食品企業における 食事バランスガイド の活用の現状について 食品産業分野における 食事バランスガイド 活用セミナーさいたま新都心合同庁舎 2 号館共用大研修室 5A(H21.02.10) 財団法人食品産業センター普及 食育推進部二瓶徹 1
( 財 ) 食品産業センターが協働で実施した 食事バランスガイド を活用した取組 平成 17 年度 ~3 社 ~ イトーヨーカ堂 ライフコーポレーション ローソン 平成 18 年度 ~13 社 ~ ロック フィールド イズミヤ フジ ユニー マルエツ 札幌東急ストアローソン イオン ナチュラルローソン 東急ストア フレンドリーコープネット事業連合 モスフードサービス 平成 19 年度 ~16 社 ~ コープおきなわ 札幌東急ストア オギノ マルイ マルエツ ユニーナチュラルローソン 阪急百貨店 竜洋環境創造 JAシンセラ農事組合法人クラフト オリジン東秀 NRE 大増 フレンドリー小豆島食料産業クラスター協議会 パルシステム生活協同組合連合会 平成 20 年度 ~2 地域 ~ 東京都足立区 東京都港区 2
食品企業における食育推進 の必要性 3
近年の主な国の施策の動き 年 平成 12 年 平成 15 年平成 17 年 平成 18 年平成 20 年 国の施策食生活指針の策定 ( 厚生省 文部省 農林水産省 ) 健康日本 21の策定 ( 厚生省 ) 健康増進法の制定 食事バランスガイド の策定 ( 厚生労働省 農林水産省 ) 食育基本法の制定栄養教諭制度の実施食育推進基本計画の策定特定健康診査 特定保健指導の実施 4
食育推進基本計画とは 食育基本法に基づき 食育推進会議 ( 会長 : 内閣総理大臣 ) において平成 18 年 3 月に決定された ( 平成 18 年度から平成 22 年度までの 5 年間を対象 ) 食育の推進に関する施策の統合的かる計画的な推進を図るたけに決定 ( 地域における食生活の改善のための取組の推進 ) 栄養バランスが優れた 日本型食生活 の実践 食生活指針 や 食事バランスガイド の活用促進 ( 参考に食生活を送る国民の割合 60%) 健康づくりや医学教育等における食育推進 食品関連事業者等による食育推進 5 9
食育推進における食品関連事業者に求め られる取組 ( 食育推進基本計画より ) 様々な体験活動の機会の提供 より一層健康に配慮した商品やメニューの提供 食に関する分かりやすい情報や知識の提供 従来から取り組んでいる工場見学の実施や情報提供等についても 食育の推進という視点から見直し 充実 科学的知見に基づいたわかりやすい客観的な消費者への情報提供 職場の食堂等でもより一層健康に配慮したメニューの提供や食生活等に関する情報提供 資料 : 食育推進基本計画をもとに作成 6 10
従来の食品企業の取組への指摘と食を 提供する場所における取組の重要性 食品産業や健康産業では 特定の栄養素や食品中の機能性成分の効果を強調した商品開発が盛んに行われ 食事と健康に関する情報に混乱が生じた ( 丸山 [2005]) 食品購入の場や外食の場で適切な食物や情報が得られるしくみを整えておけば いわゆる狭義の栄養教育の場 ( 教室など ) に来ない人々であっても 必然的に食 健康情報に接することになる また 提供される食物すべてが健康に配慮した栄養学的にバランスの良いものであれば 選択する食物は自ずと栄養教育の場には出てこない対象層にも広く働きかけが可能なポピュレーションアプローチであり 一次予防の視点からとくに重要とされるのである ( 武見 [2005]) 資料 : 丸山千寿子 足達淑子 武見ゆかり [2005 栄養教育論 南江堂より抜粋 7
なぜ食品企業による食育推進が必 要なのか 生活者が唯一 食品を購入 飲食する場所であるからその結果 生活者の食生活に直結しやすい 効果が上がる可能性大 生活者の健康志向強 = 企業の社会的責任 (CSR) 8
食育を推進するもう 1 つの理由 CSR と SRI の観点 CSR(corporate social responsibility) = 企業が法令遵守にとどまらず 市民 地域および社会を利するような形で経済 環境 社会問題においてアプローチし 事業を成功させること SRI(social responsible investment) =CSR を果たす企業に対して 株式投資 融資などの形で資金を供給すること 9
コンビニエンスストア における取組事例 10
POP などの掲示の様子 店内入り口正面に大型スタンドパネルを設置し リーフレット パンフレットを配置 お惣菜売り場上部に買い合わせ提案ポスターを設置 スイング POP でエコバッグプレゼントを訴求 サーヒ ンク 表示 POP 11
女子栄養大学の学生とコラボした バランス弁当の開発 学生からの提案 (6 案から 1 つ採用 ) 第 2 回開発会議 第 3 回開発会議 自社以外とコラボすることにより 新たな視点が加わる コラボして開発したことが PR となる 12
バランスのよい食事の気づきと 買合せを促す 11 商品を食べることでバランスのよい食事 2 買い併せて食べることでバランスのよい食事 3 お客様自身でセルフチェック 13
中食産業 における取組事例 14
プライスカードにおける表示方法 栄養成分表示 & 食バラ の SV 表示 15
中食産業における取組 ( 弁当開発 ) 従来の顧客層 = ボリュームを求める 新規顧客層の開拓 ( 特に若年女性 ) バランスに気を配った弁当開発 売れ行き好調 ブログなどの口コミあり 今後は 1 新規顧客層が飽きないよう バランスに気を配った弁当の種類を増やす 2 既存の弁当の販売量も保ちつつ バランス弁当の販売量を増やすことが課題 16
外食産業 における取組事例 17
店内外における PR の様子店バランスメニューの掲示外ののぼり卓上POPとリーフレットニューブックメ18
実際のメニューにおける表示方法 19
オススメな組合せ提案における表示 組合せるメニューを 揚げ物 ( オニポテ ) から サラダに変更してヘルシーさをアピール 食バラ をエネルギー量を示すことで 量的なものとエネルギー量の情報を発信 20
無料会員制度による取組 スタンプカード ( 小学生以下 ) 表 10 月から開始し 2 月時点で会員数 30,000 名と大好評! 裏 コマのマークのスタンプ捺印 表 こども用チラシ (6 才 ~9 才 ) 裏 21
店頭を活用した取組親子食事講習会 1 ~ 行政の栄養士と連携 ~ いーとみーと長田店店内での事前説明店内での販促ツールの掲示 東大阪市の子ども会の方々 12 組 31 名が参加 ( お子様 16 名 保護者 15 名のご参加 ) 22
店頭を活用した取組親子食事講習会 2 各食材の主菜 副菜 主食 牛乳乳製品 果物の 1SV( つ ) 分のサンプルと表示 お子さんたちも 各食材の表示を見ながら必要数量を各自の食器に取っています 自分たちが取ってきた食材を 食事バランスガイドのリーフレットやチラシの説明を参考に記入 23
店頭を活用した取組親子食事講習会 3 お父さんも お母さんも お子さんも懸命に食事バランスガイドのリーフレットやチラシを参考に今日のメニューの総 SV を計算し記入 東大阪保健所管理栄養士からみなさんが記入した 食事バランスガイドのリーフレットを使い説明されている様子 最後に講師の管理栄養士が用意した 食事バランスガイドのパネルでの説明にみんな聞き入る様子 この講習会を通じて 自分たちが実際に食材を選び取ってきて その SV( つ ) を計算し記入することで 食事バランスガイドの意味や使い方を知っていただけた 24
今後の食品が 取組む食育の方向性 25
食品産業トップが考える 食育 キーワード 度数 % 分類番号 食の安全 安心 12 14.8 1 地域コミュニケーション 10 12.3 2 家族団欒 ( 食卓回帰 ) 10 12.3 2 消費者の健康 6 7.4 5 地産地消 6 7.4 1 環境問題 ( 食品残渣 リサイクル等 ) 5 6.2 4 食の大切さ 4 4.9 3 食文化の継承 4 4.9 3 地域への貢献 4 4.9 4 食の豊かさ 3 3.7 3 選食能力の向上 3 3.7 5 適正価格の提示 3 3.7 6 食のおいしさ 3 3.7 3 企業の社会的責任 2 2.5 4 食のたのしさ 1 1.2 3 味覚の形成 1 1.2 5 食生活への貢献 1 1.2 5 栄養バランス 1 1.2 5 社内コミュニケーション 1 1.2 2 食の旬 1 1.2 3 81 100.0 質的データを数量化する ( 内容分析 ) 参考文献 岩男壽美子 [2000] テレビドラマのメッセージ 社会心理学的分析 勁草書房見田宗介 [1978] 近代日本の心情の歴史 流行歌の社会心理史 講談社 水野節夫 [1993] 見たいものと見えるものとのはざまで 三色旗 第 549 号 度数 % 分類番号 コミュニケーション 21 25.9 2 食の安全 安心 18 22.2 1 食への理解と食文化 16 19.8 3 品揃えと消費者教育 12 14.8 5 社会的責任 11 13.6 4 適正価格の提示 3 3.7 6 81 100.0 26
マーケティングから ソーシャル マーケティングへ マーケティング : 顧客を満足させて 利益を得る ソーシャル マーケティング : 組織の目標 責任を充足するためのキーとして顧客満足ならびにそれを含む長期的な公衆の福祉を創設することを目的とするマネジメント 食品産業 ( 小売業 中食産業 外食産業 ) 食育における食品産業のステークホルダー 消費者 食品メーカー 卸売業 生産者 ( 農水産物 ) 行政 ( 国 地方公共団体 ) 教育機関 非営利組織 27 資料 : フィリップ, コトラー [2002], コトラーのマーケティング マネジメント 基本編 ピアソンエデュケーション参照
今後の食育推進の方向性 ( 地域連携 ) 地域住民を対象とした 地域食育の取組 ( 案 ) 地域食育推進ネットワーク 目標 地域住民に 食事 と 運動 の大切さを伝える 地域住民の意識 行動の変容 7 行政機関 栄養士会 健康関連機関を活用した取組保健所 スポーツジム等と連携したイベント ( ウォークラリー ) 相談コーナー等の開催 1 食品企業 ( 団体 ) 全体の調整 2 紙媒体を活用した取組区広報誌 社内報 学校便り フリーペーパー 折込チラシ等を活用した情報提供 6 生産者連携による取組子どもを対象にした農業体験 5 食品関連機関による取組掲示 配布物 商品開発 献立提案 料理教室 イベント等の開催による情報提供 ( 学校給食と連携した献立提案など 教育機関等とも連携 ) 地域住民 4 教育機関による取組授業内における普及 啓発 給食への SV の表示 保護者への啓発 普及 3Web(SNS) を活用した取組情報発信とコミュニケーション 28
東京都足立区 港区 における食育の取組事例 29
東京都足立区 港区での取組例 1 * 食品産業センターとの連携事例 3 歳児健診 ( 保健所連携 ) 料理教室 ( 東京ガスと栄養士会連携 ) 和菓子作り ( 虎屋 区と連携 ) クイズ & シールラリー 子どもが描く食卓の絵 収穫体験 ( オリジン ローソン 区と連携 ) ( 地域コミュニティバスと連携 ) ( 戸板女子短期大学 区と連携 30 )
東京都足立区 港区での取組例 2 * 食品産業センターとの連携事例 給食便り ( 区立小学校と連携 ) 行政イベント (TP カンパニーと連携 ) 店頭啓発 ( ライフと連携 ) 出前授業学生によるレクチャー ( ハウスと区立小学校と連携 )( 戸板女子短期大学 区と連携 31 )
東京都足立区 港区での取組例 3 * 食品産業センターとの連携事例 食レンジャーによるビンゴ大会 戸板女子短期大学の学園祭内における食育まつり ( 戸板女子短大 区 オリジン弁当 東京ガス TP カンパニーと連携 ) 豆つかみゲーム 親子カレーコンテスト 32
東京都足立区 港区での取組例 4 * 食品産業センターとの連携事例 1Enjoy! ヘルシーウォーキング 食事と運動の大切さを伝えるイベント ( 区 ルネサンス オリジン弁当 マルエツ ライフと連携 ) 2 食事バランス教室 3 親子で遊ぼう! 33
東京都足立区 港区での取組例 5 * 食品産業センターとの連携事例 写真を掲載し見つけやすいように 学校給食の献立 表 主菜だけでなく 1 食の提案 3 食の献立の提案 ( 量的なものも示す ) 1 保護者に学校給食の 量 を伝え 子どもに 1 日に なにを どれだけ 食べればいいかの理解を促す 2 時間がなく 日々の献立を考える手間を考え メーカーの商品を使い 簡単 バランス を提案 裏 1 日の量をコマに色を塗り理解を促す 学校給食を組み合わせたバランス献立と簡単レシピ ( 教育委員会 ハウス食品 日本ハム キッコーマン ) 34
東京都足立区 港区での取組例 6 * 食品産業センターとの連携事例 1 食べ物とカラダのつながりの説明 2 料理カードを使って食べたい料理の選択 3 選択した料理名の記入と料理区分への振り分け 地域にある身近なお店 ( オリジン東秀 ) による出前授業 児童に関心を抱いてもらい みんなで考えるようグループワークにて実施 4 食事バランスガイド レクチャー 5バランスを考えた料理の選択 35 料理カードを活用した 食事バランスガイド 出前授業 ( 教育委員会 オリジン東秀 女子栄養大学 )
まとめ 36
まとめ 1. 国の施策において食品事業者が食環境整備 食育に取組むべきであるという責務が明確化 2. 家庭に直接介入せず 栄養教育の場ではない 日頃 消費者が食品を購入 飲食する場所からアプローチすることの波及効果 (= 食品企業が取組む必要性 ) 3. 消費者と食品企業がWin-Winの関係になる継続性のある取組が重要 4. 食品企業と 各ステークホルダーとが連携し 様々な角度から地域住民を対象とした公衆衛生活動の取組が重要 5. 日々の食生活に活用していただける内容 そしてそれを継続して支援する体制の強化が重要 37
ご清聴有難うございました 38