問題及びその原因を明らかにしなければならない これまで城中村形成に関する研究として 都市地理学分野 人文地理学分野 及び建築 都市計画分野においてさまざまな研究が行われてきたが ( 注 2) 城中村に関わる土地収用 管理の法規制及びその居住環境に関わる住宅の建築規制の推移を踏まえた上で 具体的な城中

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和泉市の宅地開発における制度

計画書

大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

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() 土地の総面積 利用目的別面積 所有する土地の面積は 最小で 90 m 最大で,400m であり 00~400 m との回答が最も多い 駐車場としての利用では 月極駐車場が 309 台分 日貸駐車場では 5 台分となっている 所有する総面積 00m以下 m未満 m未満

問 2. 現在 該当区域内に居住していますか 1. 居住している % 2. 居住していない % 無回答 % % 単位 : 人 1.9% 32.7% 65.4% 1. 居住している 2. 居住していない無回答 回答者のうち 居住者が約 65

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

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( 資料 3) 比較検討した住宅 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資料 4) 住宅の選択理由 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資

名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

市街化調整区域の土地利用方針の施策体系 神奈川県 平塚市 神奈川県総合計画 神奈川県国土利用計画 平塚市総合計画 かながわ都市マスタープラン 同地域別計画 平塚市都市マスタープラン ( 都市計画に関する基本方針 ) 平塚都市計画都市計画区域の 整備 開発及び保全の方針 神奈川県土地利用方針 神奈川県

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第 Ⅱ ゾーンの地区計画にはこんな特徴があります 建築基準法のみによる一般的な建替えの場合 斜線制限により または 1.5 容積率の制限により 利用できない容積率 道路広い道路狭い道路 街並み誘導型地区計画による建替えのルール 容積率の最高限度が緩和されます 定住性の高い住宅等を設ける

マンション棟数密度 ( 東京 23 区比較 ) 千代田区中央区港区新宿区文京区台東区墨田区江東区品川区目黒区大田区世田谷区渋谷区中野区杉並区豊島区北区荒川区板橋区練馬区足立区葛飾区江戸川区

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第 7 回大阪市人口移動要因調査報告書 平成 27 年 3 月 大阪市都市計画局

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指定標準 適用区域 建ぺい率 容積率 建築物の高さの最高限度 m 用途地域の変更に あたり導入を検討 すべき事項 ( 注 2) 1. 環境良好な一般的な低層住宅地として将来ともその環境を保護すべき区域 2. 農地等が多く 道路等の都市基盤が未整備な区域及び良好な樹林地等の保全を図る区域 3. 地区計

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目次 1. 市街化調整区域の土地利用方針について... 1 (1) 策定の目的... 1 (2) 方針の位置付け 市街化調整区域の課題 土地利用の方針... 3 (1) 土地利用の基本的な方針... 3 (2) 地区ごとの土地利用方針 開発計画等の調整

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□高度地区見直し案

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73,800 円 / m2 幹線道路背後の住宅地域 については 77,600 円 / m2 という結論を得たものであり 幹線道路背後の住宅地域 の土地価格が 幹線道路沿線の商業地域 の土地価格よりも高いという内容であった 既述のとおり 土地価格の算定は 近傍類似の一般の取引事例をもとに算定しているこ

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旧(現行)

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制度概要 市街化調整区域内の既存集落では 市街化区域の市街地に比べて人口減少や少子高齢化が 進行しており 地域活力の低下や地域コミュニティの衰退が懸念されています そのため 既存集落における地域活力や地域コミュニティの維持 活性化を図るため 市長が区域と予定建築物の用途を指定して 内で自己用住宅等の

Taro-03_H3009_ただし書同意基準

及びその周辺の地域における自然的条件 建築物の建築その他の土地利用の状況等を勘案し 集落の一体性を確保するために特に必要と認められるときは この限りでない (2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており か

(2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており かつ 区域外の相当規模の道路と接続していること (3) 区域内の排水路その他の排水施設が その区域内の下水を有効に排出するとともに その排出によって区域及びそ


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目次 Ⅰ 運用基準の策定にあたって P1 1 策定の目的 P1 2 運用基準の位置づけ P1 Ⅱ Ⅲ 土地利用のあり方 P1 地区計画の活用 P2 1 地区計画とは P2 2 地区計画の活用類型 P2 (a) 地域資源型 P3 (b) マスタープラン適合型 P3 (c) 街区環境整序型 P3 (d)

地区計画とは 地区計画とは 土地や建築物の所有者など地区の皆さんが合意を図りながら道路や公園などの配置 建築物の用途 容積率 高さ 色やデザイン等のルールをきめ細かく定め そのルールに基づいて建築行為等を行うことにより より良いまちづくりをすすめる手法のひとつです 地区の特性に応じて必要な項目を選択

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3 市長は 第 1 項の規定により指定した土地の区域を変更し 又は廃止しようとするときは あらかじめ久喜市都市計画審議会 ( 以下 審議会 という ) の意見を聴くものとする 4 第 1 項及び第 2 項の規定は 第 1 項の規定により指定した土地の区域の変更又は廃止について準用する ( 環境の保全

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第 2 章市の住宅 住環境をとりまく現状 人口増減 (H17 H22) 千里ニュータウンの建替団地のある町丁目で顕著に人口増加 ( 新千里西町 2 丁目 新千里東町 2 丁目等 ) 新規住宅地開発 ( 建替含む ) が行われた町丁目で 顕著に人口増加 ~-30% 減少 -30%~-5% 減少 -5%

News Release 2014 年 3 月 24 日 伊丹市と新関西国際空港株式会社が 伊丹市域におけるまちづくりの推進 について合意 伊丹市と新関西国際空港株式会社は 伊丹市域の生活環境の改善 地域コミュニティの再生等を図るためのまちづくりを連携して推進するため 2014 年 3 月 24 日


4-2 地域の課題人口の減少により 町内では老朽化した空き家 空き店舗が随所に見られるようになっており 平成 28 年 3 月に町内を調査したところ 空き家 空き店舗と思われる建物が 159 軒存在していることが判明した 特に 商店街 公共機関 医療機関等が近接する利便性の高い中心市街地における空き

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満足度調査 単純集計結果

2 都市計画法第 34 条第 11 号に係る区域指定の許可基準について 都市計画法の趣旨 施策の方針市街化調整区域において, 市街化区域に隣接又は近接し, 一体的な日常生活圏を構成している市街化の進行した一定の区域を条例で指定し, 予定建築物を周辺環境と調和する用途に制限することにより, 許可の対象

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別紙 40 東京都市計画高度地区の変更 都市計画高度地区を次のように変更する 面積欄の ( ) 内は変更前を示す 種類面積建築物の高さの最高限度又は最低限度備考 第 1 種 約 ha 建築物の各部分の高さ ( 地盤面からの高さによる 以下同じ ) は 当該部分から前面道路の反対側の境界線 高度地区

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定住意向で 今後も住み続けたい が過半数 ( 約 60%) を占めている 高齢者 障がい者対策で 身近なデイサービスの拡充 道路 公共施設のバリアフリー 相談窓口 等を求める意見が多い 子育て支援では 公園 保育所 児童館の整備 が多い 3) 周辺環境について より広い 地区単位の区分では以下のよう

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区域の整備 開発及び保全の方針地区整備計画 久世荒内 寺田塚本地区地区計画 名称久世荒内 寺田塚本地区地区計画 位置城陽市久世荒内 寺田塚本及び平川広田 面積約 22.1ha 建 築 物 等 に 関 す る 事 項 地区計画の目標 土地利用の方針 地区施設の整備方針 建築物等の整備方針 地区の区分

2. 住民アンケート調査 以下の既往のアンケート調査から 都市計画及びまちづくりに関する住民ニーズや方向性等を以下の とおり把握 解析する (1) 第 2 次長久手町土地利用計画策定にあたってのアンケート調査 1 調査の概要 調査対象は 町内在住住民及び市街化調整区域の土地所有者とし それぞれ 2,

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特に条件を定めない 条件付きで緩和する 緩和を認めない B 保存樹木 文化財等 世田谷区みどりの基本条例 ( 平成 17 年 3 月 14 日条例第 13 号 ) 第 9 条に基づき指定された保存樹木等又は 同条例第 18 条の規定に基づく小樹林の保全のために これらの存する土の部分を避けて建築する

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用途地域の指定のない地域の建築形態規制\(素案\)

< > 特別県営住宅 1 棟 県営住宅 2 棟の合計 3 棟である 県営住宅はほぼ満室の状態であるが 特別県営住宅は入居率が 53.3% である 特別県営住宅の間取りは 3LDK であり 約 60 m2と約 70 m2の広さのものがある 特別県営住宅は外観が県営住宅とほとんど変わらず 面積が若干広い

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目次 1 背景 目的 方針の位置づけ 現状の問題と課題 今後の方針

Transcription:

研究 No. 1107 中国広州市城中村の空間構成と整備方策に関する研究 - 中国広東省広州市を事例として - *1 主査三橋伸夫 *2 *3 *4 *5 委員栗原伸治, 湯国華, 安森亮雄, 黎庶旌本研究は 中国広州市の市街地近郊農村集落において 急激な都市化の下で市街地化が進み 高層かつ高密度な居住地 ( 城中村 ) が形成された経緯について 経年的な地図情報分析と現地踏査により集落空間変化を実証的に分析するとともに それが農村土地管理ならびに農村住宅建設に係る法規制の変遷と運用に密接に結びついていることを明らかにした さらに 配票調査を通じて城中村住民の居住地に対する環境評価と将来ビジョンを分析し 城中村の居住環境整備のあり方を検討した結果 1 固有の歴史 文化 空間的条件を生かした整備 2 立地条件と空間変化の特徴をふまえた修復的整備 3 在来住民 流入住民の共生社会形成に向けた整備 の三点を指摘した キーワード :1) 広州市, 2) 城中村, 3) 空間構成,4) 整備,5) 高層 高密, 6) 都市化, 7) 法制度, 8) 土地収用, 9) 留用地, 10) 都市計画 A STUDY ON SPATIAL COMPOSITION AND IMPROVING METHODOLOGY OF INNER-CITY VILLAGES IN GUANGZHOU CITY, CHINA -Case Studies in Guangzhou City, Guandong Province, China- Ch. Nobuo Mitsuhashi Mem. Shinji Kurihara, Guohua Tang, Akio Yasumori,. and Shujing Li Based on the investigation of inner-city villages in Guangzhou city, China, the study is aimed to clarify both the main policies associated with the formation of urban villages and the spatial evolution process of urbanizing villages. Conclusions can be given as follows: 1) Under the influence of industrial upgrading and immigration since 1990s, those villages have brought about the industrial transformation from the primary industry to the secondary and the tertiary, accompanied by a huge amount of housing construction within themselves; 2) Based on the location and the influence of policies, inner-city villages still have their own spatial characteristics in the old residential area. Environmental improvement in residential area should be undertaken on the context. 1. 研究背景と目的中国では 1978 年に始まる改革開放政策に従い 全国各都市で新市街地の開発及び既成市街地の再開発が展開され 近郊農村集落の市街地化が急速に進んでいる 農村集落の市街地化の下 村は自らが経営する工場 商業業務施設などを競って建設する一方 農民も 出稼ぎ者等の流入を背景とする旺盛な住宅需要に応じて 自宅の建て替え 住宅上階の借家増築を行った こうして 極めて高層かつ高密度な居住地が形成されるに至った ( 図 1) こうした市街地に囲まれた農村集落 特に集落居住域を 城中村 と呼ぶが 城中村は一般に 居住環境のみならず 土地利用 防災などの面でも大きな問題を抱えている 中国の経済発展モデル地域として知られる広州市では 1990 年代末から城中村における消防 治安 衛生問題の深刻化をきっかけに 城中村問題を解決しようとしたが 事業資金の調達が困難で集落の集団経済の行き詰まりが懸念されたこと 及び住民からの強い抵抗があったこと 図 1 城中村における高層化した集合住宅 ( 石牌村 ) などから事業が滞った このため 広州市政府は城中村の再開発 整備よりも 城中村の戸籍管理 土地利用管理 村の集団経済管理 及び社会福祉に関する制度などの改革を先行させる方針を決めた そして 2009 年に広州市政府は改めて 城中村整備改造方針 を定め 今後 10 年以内に集落の居住域全範囲に対する 全面改造 ( 再開発 ) か 集落の旧居住域に対する 整備 かのどちらかを行うことを明らかにした ( 注 1) しかし 城中村の環境整備のあり方 改善の方向性を考えるにあたり まず城中村形成の過程と現在現われている *1 宇都宮大学大学院工学研究科教授 *4 宇都宮大学大学院工学研究科准教授 *2 日本大学生物資源科学部准教授 *5 宇都宮大学大学院工学研究科博士後期課程 *3 広州大学嶺南建築研究所長教授 - 1 - -73-

問題及びその原因を明らかにしなければならない これまで城中村形成に関する研究として 都市地理学分野 人文地理学分野 及び建築 都市計画分野においてさまざまな研究が行われてきたが ( 注 2) 城中村に関わる土地収用 管理の法規制及びその居住環境に関わる住宅の建築規制の推移を踏まえた上で 具体的な城中村を事例に 城中村の土地利用構成及び建築的環境の変化を把握し 村の形成過程とそれがもたらした空間的特徴を実証的に明らかにした研究は未だ見られない ( 注そこで 本研究 3) では 城中村の形成と関連した改革開放政策開始以降の主な土地収用 管理 住宅建築規制に関する法規制の推移とともに 城中村の土地利用変化 住宅の増築 建て替えによる居住域の変化とその法的背景 及び立地条件との関連性を明らかにすることを目的とする 表 1 現地調査概要 年 / 月 調査内容 対象 2010 年 10 月調査うちあわせ 資料収集 城中村居民委員会 集落域調査 ( ききとり ) 2010 年 12 月集落居住域環境調査 ( 踏査 ) 石牌村 黄辺村 裕安囲村 法制度調査 ( ききとり ) 中山大学 広州大学 広州市 2011 年 8 月調査うちあわせ 資料収集 広州市 城中村居民委員会 2011 年 9 月集落居住域環境調査 ( 踏査 ) 鴉崗村 小洲村 黄埔村 2011 年 12 月集落住民配票調査 黄辺村 小洲村 2012 年 9 月補足調査 ( ききとり ) 城中村居民委員会 2. 研究 調査の構成 2-1. 研究方法本論では 以下の三つの視点によって研究を構成した (1) 改革開放政策が始まる 1980 年代から経済発展が急進する 1990 年代を経て 2000 年以降の現在までという城中村形成にとって重要と判断される各時期を勘案し 政策面から城中村の形成に関わる土地収用 管理に関する土地法規制 及び農村住宅建築に関する法規制とその推移を捉える (2) 上記の法規制が城中村の村域形態 面積と土地利用構成 及び居住域の建築状況など 城中村の空間構成に及ぼした変化と関連性について 異なる 3 時点で作製された白地図上の情報 及び現地踏査にもとづき 調査対象集落における空間変化の共通性と立地条件による差異を検討する (3) 集落居住域の 整備 が予定される城中村を対象に 村内住民に対して配票調査を行い 村活動への参加と交流の実態 意識 ならびに生活環境への評価 村居住域整備の方向性に対する意識をとらえる 特に 在来住民と流入住民の意識の相違に着目する これをふまえて 今後の城中村整備の視点と方策について検討する 2-2. 研究 調査対象の選定本研究では 市街地中心からの距離 ( 図 2) と建設用地率をもとに 3つの城中村を調査対象として選定した ( 図 3) ( 注 4) 中心市街地内にあり建設用地の割合が高く 改造 の対象である石牌村 中心市街地周辺にあり建設用地の割合が中位で 整備 対象である黄辺村 及び中心市街地から離れていて建設用地の割合が低く 整備 対象である裕安囲村の 3 村である また 整備 対象である城中村の集落居住域における変化の特徴をより詳細に検討するために 市街地フリンジにある鴉崗村 集落をとりまく水路が特徴的な小洲村 及び村内に多くの伝統的建築物が残る黄埔村を併せて対象に選定した 2.3 調査方法 ( 表 1) 上記の研究方法に応じ 調査内容と方法は以下のようである (1) 土地法規制の沿革に関しては 中国における憲法と土地管理法 及び地方規則からなる法的構成を前提に 1980 年代初め 図 2 城中村の市街地中心からの距離図 3 城中村の総面積に占める建設用地の割合から現在に至る期間内で 農村部の土地所有と土地収用 管理 及び農村住宅建築に関する主な法規制が施行 改訂された時点を把握する 次に 上記法規制の施行 改訂の経緯 及び広州市による施策制定 施行に関する動きを把握するため 広州市行政担当者 中山大学都市 地域研究センターと広州大学嶺南建築研究所の専門家を対象に聞き取り調査を行った (2) 城中村における土地利用構成と居住域の変化に関して 調査対象城中村の空間情報を収集するため 広州市都市計画局により 1978 年 1990 年及び 2007 年に作製された白地図を入手した 白地図では 土地の用途 道路の配置 建築物の構造種類 階数及び主な建築物の用途という情報は記載されているが 集落の境界 居住域の変化の経緯は不明である このため 調査対象城中村の行政管理機関である村民委員会 居民委員会において 村の発展及び土地利用の変化に詳しい書記 主任を対象として聞き取り調査を行った また 2007 年白地図をもとに 現地踏査により建物最新情報の更新作業を行った (3) 整備 対象である黄辺村と小洲村を対象に 居民委員会を通じて旧居住域住民に対してアンケート票を配布 ( 在来住民 流入住民各 200 部 ) し 一週間後に回収した 配布回収状況については後述する -2- -74-

3. 土地収用 管理及び農村住宅建築に関する主な法規制 3-1. 土地収用 管理に関する主な法規制の推移 ( 注 5) (1) 都市と農村における土地所有形態の相違と相互関係都市と農村の土地の所有形態については 1982 年から施行された憲法と中央政府の 国家建設土地徴用条例 及びそれに続く土地管理法 (1988 年 ) により明確に定められた ( 表 2) これによれば 都市の土地は都市政府が所有し 土地は個人または法人が使用できる 農村の土地は農民が集団で所有し 集団経済組織あるいは村民委員会で経営 管理するとされる (2) 経済発展による土地使用権に関する制限の変化 国家建設土地徴用条例 の施行によって 土地の使用権は市場での取引が禁止され 都市と農村で各申請者 ( 旧使用者 ) に土地使用料を払わず与えられたが 都市の土地使用者が農村の土地を使用しようとする場合 農村の土地はあらかじめ都市政府に収用され都市政府所有とし 新しい土地使用者は収用対象の土地を所有する農村に補償金を支払う いわゆる有償的土地収用制度が規定された 土地収用手続きと補償基準は 各地方がその実情に合わせて規則を定めて実施するとされた 1988 年以降は 新しい土地使用者は実物補償か補償金かどちらかの形で政府を介して居住者に補償しなければならなくなったため 作物の収穫量を基準として補償金を支払う農耕地の収用が 集落居住域の収用に優先して行われることとなった 経済発展を背景に土地需要が増える中 土地資源の効率的運用のため 1988 年から土地管理法にもとづく有償的土地使用制度が始まった それに伴い 都市の土地の使用権を得るには入札や競買を行い 使用者が都市政府に土地使用料を払うことが必要になったが 使用権を譲渡することも同時に許可された すなわち 都市の土地使用権の取引ができるようになった 一方 使用権の取引が禁止される農村では 土地が取引可能となるためには 都市政府所有の土地になることが唯一の途である この結果 都市政府は 安価な補償金で農村の土地を収用し用途を変えた後 使用者に使用権を供与して高額の土地使用料を得ることが常態化し これが都市政府の財源となっていった しかし 土地需要が増え地価が上昇する中 農村の土地収用の下で自らの利益が守られないことを感じた農村住民が反発を強め 土地の収用は難しくなっていった (3) 留用地制度 の導入による城中村における集団経済の継続以上のように 経済発展が先行したことでより早く土地収用の困難に直面した広州市では 1995 年の 広州市土地管理規定 により 全国に先駆けて 留用地制度 を導入した ( 表 2) 留用地制度 とは 村が集団所有する土地を収用する場合 土地を所有する村に一定の基準により補償金を支払う際に 収用する土地面積の 8~10% に相当する土地を村に経済的補償として追加的に与えることを指す その補償地が留用地と呼ばれる 留用地の開発は市の都市計画基準にもとづいて行われ 村は第二次産業 第三次産業に投資するようになった 補償金と留用地などの補償制度の実施により 農村には第二次産業 第三次産業の発展を通して集団経済の継続の途が開かれた ( 注 6) こう 表 2 土地収用 管理に関する法規制の推移施行年主な意義関連法規制主な関連内容 1982 年有償的土地収用制度の開始 憲法 と 国家建設徴用土 地条例 1 2 3 1988 年都市の有償的 憲法( 修正 ) 1 土地使用制度の開始 と 中華人民共和国土地管理 法 ( 修正 ) 2 市の土地は都市政府が所有し 農村の土地は農民が集団で所有する 土地使用者が土地使用料を払わず 土地を利用できる 地収用の際 新土地使用者は元使用者に収用補償金を払う必要がある 市の土地に対して 使用者が土地使用料を都市政府に支払って土地を利用できるようになった 市の土地使用権の取引ができるようになった 1995 年補償形態は補 広州市土地村が集団所有する土地を収用する際 土地を償金以外 土地管理規定 所有する村に一定の基準により補償金を支払補償も可能にう際に 収用する土地面積の 8~10% 相当すなった る土地を村に経済的補償として与える 図 4 戸建て住宅建築に関する主な建築法規制の推移して 経済発展と土地収用 管理政策の調整の影響を受けながらも 広州市の市街地周辺にある農村集落の市街地化が加速し 多くの農用地が収用され都市用地になるとともに 収用コストが割高な居住域は旧来のまま残され 新しい市街地に囲まれるようになった その半面 融通性をもつ補償制度の実施により 広州市政府にとっては土地収用の難しさがある程度緩和されるとともに 集団経済体制が継続した城中村は自治団体の活力を維持することとなった 3-2. 農村住宅の宅地面積及び住宅の階数等に関する法規制 1980 年代初めまでは 基本的に各農村居民委員会は居住需要と土地資源に応じて農民に宅地を与えたが 基準はなかった このため 1982 年から実施された中央政府による 村鎮規劃条例 及びそれに続く農村計画に関する法規では 農村住民の居住用住宅を建設する権利を原則的に保障した上で 各地方都市の実情に応じて 建築許可申請の手続き方法と戸建て住宅建築 -3- -75-

用地面積の基準及び住宅の階数などの制限を定めた まず 戸建て住宅建築用地面積の基準についてみる 広州市では 1988 年 広州市城市規則管理方法実施細則 と 1995 年 広州市農村居民住宅建設用地管理暫定規定 により 宅地面積は一人当たり耕地面積と家族人数によって定められたが 2001 年 広州市農村村民住宅建設用地管理規定 以降は 村の所在する地形で区別して 平地地帯は 80 m2以下と定められた ( 図 4) 殆どの城中村は平地地帯の市街地及びその周辺にあり 実質的に住宅建築用地は 80 m2以下となった また 土地に余裕がない城中村では 低 中層共同住宅あるいは高層住宅が推奨された 聞き取り調査と現地踏査によれば 城中村では 60 m2~80 m2が一般的であることが分かった また 1982 年 村鎮規劃条例 により 住宅の入口が面した通路の幅は 3.5m( 地震地域である場合は 5m) とされたが この規定は実際の宅地供給において遵守されて居らず 白地図でも確認できるが 従来と同様 宅地のみ碁盤の目状に区画された 過度の土地利用効率追究の結果と考えられるが これが居住域の密度を高めた一因である 戸建て住宅の階数についてみる 1988 年の規則では 住宅の階数は住宅建築用地の短手方向の長さによって区別して定められた ( 図 4) 城中村の住宅建築用地面積からみて 3~4 階が限度と考えられるが 聞き取り調査から当該規則制定当時は建設費用などの制約から2~3 階が一般的であることが分かった また 戸建て住宅に対して 都市と農村に関わらず 1988 年の規則から隣棟距離と住宅の階高などが制限された 2000 年の規則 ( 注では 農民の戸建て住宅は3 階塔屋付 7) が上限とされ 基準を満たさない場合 建替 増築を制限し基準容積以内で改築するよう指導するなど制限は厳しくなった 3-3. 農村住宅の宅地取得申請と建築許可申請に関する行政管理宅地取得申請の行政管理をみると ( 図 4) 1988 年の規則では申請の認定権は村の所在地によって異なる 広州市街地における区 ( 市レベル下の行政単位 ) の管轄範囲内にある農村では ( 注広州市政府にあり 市街地外の農村では村の所在する区 鎮 8) 政府にあった 1995 年になると 都市計画区域内にある農村の宅地取得申請の認定権は広州市国土管理局となり 都市計画区域外にある農村では村の所在する区の国土管理機関が所掌することになった 2000 年以降は 都市計画局の役割を強化するため 所在地に関わらず宅地取得申請は広州市都市計画局の審査を受けてから 国土管理局に許可を得ることになった さらに 2001 年の規定では 農村の集合住宅の宅地取得申請方法が定められ 効率的に土地を利用する集合住宅の建設が増えていった 農村の住宅建築許可申請の行政管理をみると 宅地取得申請の行政管理と同様に 1988 年からの地域による分離管理であったが 2000 年に実施が開始された規則によって 住宅建築許可権は広州市都市計画局に統合されるようになった ( 注一方 建築確認に当たる担当者の不足 9) 及び出稼ぎ者の旺盛な住宅需要のため 住宅賃貸の収益を求める農村住民は住宅の建て替えや増築を行って 6~7 階にすることが半ば黙認される状況になった 高層化 高密度化した多くの城中村では 規則 を満たさない増築が多いため 火災時の危険性が高まったことが指摘できる ( 注 10) 3-4. まとめ以上より 次のことが明らかとなった 1 経済発展に伴う都市的土地利用の需要を背景に 都市における土地使用権の譲渡制限の緩和 及び有償的土地使用制度の実施は 農村土地に対する収用を加速させた 2 有償的土地収用補償制度の実施は 活発になった村の集団経済活動 及びそれと連動した産業用地と居住用地を含む村の土地利用の変化に影響を与えたと考えられる 3 広州市は 城中村における建築活動に対して宅地面積 住宅の階数 隣棟距離などの規定を明確にし 農村住民の居住環境の改善 及び住宅地開発の規範化を促したが 宅地の接道条件が遵守されなかったことが過密化を助長したと指摘できる 4 農村住宅建築に関する法規制は整ったが 行政管理面では現場に対する監督力不足等のため 高層化 高密化が看過された 4. 石牌村 黄辺村 裕安囲にみる空間構成の変化 4-1. 調査対象城中村における村域面積と土地利用構成変化 (1) 1978 年 ~1990 年における変化 1 都市の経済発展と村域面積変化との関連 1988 年以前は土地使用権の譲渡が制限されるとともに 市街地の拡大は活発化せず 農村集落における土地収用は緩やかであった 3 村の村域面積はいずれも減少率は比較的小さい ( 表 3) 個々にみると 裕安囲は基本的に変化がなく 石牌村と黄辺村では 1978 年と比較して1990 年の総面積はやや減少した 3 償的土地収用制度と村の土地利用構成変化との関連 3 村いずれも 1978 年時点での土地利用構成は単純であり 農業用地と居住用地が主であった 1982 年から有償的土地収用制度が実施されると 産業高度化の原資となる補償金を取得することで 土地利用構成への影響が出始めた 3 村いずれも耕地が減ったが養魚池は増えた 利用しやすい耕地の収用が進む一方 水産品需要の高まりで養殖業が拡大した結果とみられる 建設用地の構成において 3 村ではいずれも居住用地が拡大したほか 村ごとに一定程度工業用地も増えた それは農業生産の収益及び土地収用による補償金を運用して 農産品の加工 運輸などの関連産業の振興につながったためと考えられる (2) 1990 年 ~2010 年における変化 1 留用地 補償金制度と村域形態 面積変化との関連 ( 共通点 ) 市街地の拡大 及び 1980 年代末から土地使用権の譲渡制限が緩和されたことによる土地需要の急増によって 1990 年以降に 3 村は農耕地が急激に減少し 同時に村域は縮小した 補償金や留用地など土地収用の補償 及び市街地化の影響に恵まれて 工業用地と商業用地が大幅に増えた 城中村である集落社会は経済的に維持できたとみられる 3 地条件による村ごとの差異石牌村は 位置する天河区が新市街地として開発される有利な立地条件を活かして 頻繁な土地収用により補償金及び飛び地化 -4- -76-

した留用地を含む資本を運用し ホテル デパート オフィスと電気店街などの商業施設を村の集団経済を支える産業として経営するようになった ( 注 11) 大きく圧縮された村域面積 飛び地を含む村域形態 及び第三次産業用地の拡大が石牌村の特徴である 黄辺村は 市街地化が比較的遅れた白雲区に位置し 村域はおおむね維持したが 工業用地が大幅に増加し 居住用地を抜いて黄辺村の主要な土地利用となった ディベロッパーによる商業 住宅団地開発のため 1990 年代から相次いで土地を収用され 取得した補償金を工場建設 賃貸に投入した結果とみられる 旧市街地の南西に位置する裕安囲では 市街地化が遅れていたが 1990 年代後半に地下鉄駅の建設とディベロッパーによる商業 住宅団地開発のため 村は補償金を運用して工場の建設 賃貸を行い さらに地場産業である花卉栽培を振興した 1990 年代末に隣接する西塱村と合併した結果 2010 年には村自体の総面積は 5.0ha のみになり 居住用地が村域の 85.3% を占めるまでになった 近年 裕安囲では居住域の整備事業を行い 居住環境が改善しつつある 4-2. 集落居住域における空間構成の変化と特徴前節で取り上げた 3 城中村 (2010 年調査 ) を含めて 整備対象とされた鴉崗村 小洲村と黄埔村を調査分析対象に加えて (2011 年調査 ) 城中村の集落居住域の空間構成に関する変化を明らかにする 集落全域の分析と同様 6 村とも 1978 年 1990 年及び 2007 年の白地図を用い 2010 年 2011 年現地調査時に建物の新築 増築及び取り壊しなどの情報を追加し分析した (1) 城中村における居住域の変化に関する共通性城中村居住域は 形成時期によって新居住域と旧居住域の二つの部分から成る 定義として 聞き取り調査と現地踏査から 変化が緩やかであった 1980 年以前における居住域を旧居住域 1980 年以降のものを新居住域とした 図 6は小洲村の調査時点 (2011 年 ) における居住域の空間形態 建物の階数及びオープンスペース 公的施設 歴史的環境要素の配置を示すものであり 他の村もこれと同様に分析した 新居住域内では 宅地面積に関する規制にもとづいて 60~80 m2程度の住宅敷地が画一的に区画され 幅 3~7m ほどの通路と 建物の敷地境界からのセットバックで生じた 1~3m ほどの路地でネットワークがグリッドのパターンで構成された 路地両側のほぼ 4 階以上の住宅が狭い隣棟間隔で立ち並び さらに二階以上の部分が路地の上に乗り出すようになった 整備事業の範囲とされる旧居住域の空間的特徴をみる 建築物の建て替え 増築に伴う高層化 高密度化が進みながらも 調査対象とされた6 つの村の旧居住域内のいずれもが 幅が 1 ~2m ほどの従来からの小路地 さらには小洲村と鴉崗村における居住域内を貫いた水路という固有の屋外交通ネットワークを未だ残している そして集落の歴史を示すシンボルとみられる祠 廟 寺院 清代民居などの伝統的建築物は 村ごとに一定程度残っているため 城中村での行事 イベント 住民間の交流 集会の機能を果たして続けている (2) 集落居住域の拡張 6 村では 集落居住域はいずれも拡大してきた 1978 年から 表 3 3 村の土地利用構成 石牌村の土地利用構成 1978 年 1990 年 2010 年 土地種類 面積 (ha) % 面積 (ha) % 面積 (ha) % 居住用地 21.6 6.1 26.2 8.2 31.1 71.0 工業用地 3.9 1.2 10.7 3.3 0.8 1.8 建公共施設用地 0.0 0.0 33.0 10.2 0.0 0.0 設商業 オフィス用地 0.0 0.0 0.0 0.0 7.3 16.7 用インフラ用地 道路 15.2 4.3 34.4 10.6 0.0 0.0 地教育施設用地 0.8 0.2 0.8 0.2 1.6 3.6 空地 0.0 0.0 0.2 0.1 2.7 6.2 緑地 / 公園 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 不明 6.9 1.9 6.4 2.0 0.0 0.0 農業耕地 294.2 83.1 191.0 59.1 0.0 0.0 用地養魚池 / 池 11.4 3.2 20.4 6.3 0.3 0.7 合計 354.0 100.0 323.1 100.0 43.8 100.0 黄辺村の土地利用構成 1978 年 1990 年 2010 年 土地種類 面積 (ha) % 面積 (ha) % 面積 (ha) % 居住用地 5.4 3.6 10.3 7.7 17.0 17.6 工業用地 2.3 1.5 7.9 6.0 43.6 45.1 建公共施設用地 0.0 0.0 0.0 0.0 4.5 4.7 設商業 オフィス用地 0.0 0.0 5.5 4.1 8.8 9.1 用インフラ用地 道路 7.5 4.9 4.1 3.0 7.4 7.7 地教育施設用地 0.0 0.0 0.0 0.0 2.5 2.6 空地 0.0 0.0 2.9 2.2 3.6 3.7 緑地 / 公園 0.0 0.0 0.0 0.0 3.9 4.0 不明 2.0 1.2 0.0 0.0 0.0 0.0 農業耕地 132.6 87.3 99.8 75.1 4.9 5.0 用地養魚池 / 池 2.3 1.5 2.5 1.9 0.5 0.5 合計 152.0 100.0 133.0 100.0 96.7 100.0 裕安囲の土地利用構成 1978 年 1990 年 2010 年 土地種類 面積 (ha) % 面積 (ha) % 面積 (ha) % 建居住用地 1.4 3.4 2.4 5.9 4.9 85.3 設工業用地 0.0 0.0 0.7 1.7 0.0 0.0 用インフラ用地 道路 7.4 18.4 6.7 16.5 0.5 8.7 地緑地 / 公園 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 6.0 不明 0.3 0.6 1.6 3.9 0.0 0.0 農業耕地 26.3 65.3 19.3 48.0 0.0 0.0 用地養魚池 / 池 4.9 12.3 9.7 24.0 0.0 0.0 合計 40.3 100.0 40.3 100.0 5.8 100.0 1990 年までの12 年間と1991 年から調査の年までの期間との 2 期間に対して 居住域面積の平均増加率は村ごとに表 3 に示すように異なる 平均増加率を比較してみると 前期と後期で比較して 小洲村と黄埔村は増加率が上昇したが その他 4 村における居住域の拡大は減速した そのうち石牌村では 新中心市街地に位置し 土地収用と村自体の経済発展の土地需要を優先したため 増加率は 6 村中では最下位になった 黄辺村と裕安囲では 土地に余裕があり集団経済の発展により住民が富裕化したため 居住域の拡張は著しく いずれも相対的に高い年増加率を維持した 中心市街地から離れた鴉崗村では 時期ごとの平均増加率は 2.4% 1.9% に留まった 小洲村と黄埔村は広州市街地の南にある海珠区に位置し 1978 年から 1990 年までの平均年増加率は 3.5% と 0.7% であったが 1990 年以降 海珠区は広州市街地が東南へ拡張した影響により経済が発展したことを受け 2 村では 3.7% と 2.1% の平均年増加率で拡大した (3) 集落居住域の高層化 高密度化城中村では 居住域の拡大とともに 住宅の主に新築と建替が進んでいる 3 時点における居住域の建蔽率と容積率の変化にもとづいて6 村の空間変化を分析した ( 図省略 ) ( 注 12) ほぼ全ての村で経年的に建蔽率と容積率がともに上昇しており 1990 年以降 特に居住域の容積率の上昇は加速し 更なる高層化 高密度化に向かっている このうち 石牌村と黄辺村の変化が最も著しい 黄辺村では 居住域建蔽率では 1978 年の 56% か -5- -77-

( 注 : 石牌村と裕安囲では 1990 年と 2010 年の村域の変化が大きいため 1990 年の地図で四角形が囲む範囲は 2010 年の地図範囲を指す ) 図 5 3 村における土地利用構成の変化 ら 1990 年の 48% と一時低下したが これは居住域の拡張に従って居住域が東に接する養魚池 ( 現公園池 ) をとり込み 居住域の中心部が広い外部空間となったための見かけ上の低下であり 2010 年には再び 60% に上昇している 容積率では 1978 年の 56% から 1990 年 63% 2010 年には 258% までに至った また 農村住宅の階数に関する規制は3 階塔屋付を上限としたことから 4 階以上建物の棟数が占める割合の変化をみた ( 表 4) 1990 年までは6 村いずれも割合が極めて低く 最も割合が高い黄辺村では 0.8% にすぎなかった 調査年には 全ての村で 1990 年より大幅に上昇していた そのうち 最下位にあった小洲村でも4 階以上建物の占める割合は 15.6% に上昇し 変化が最も著しい石牌村と黄辺村では 80.2% と 64.2% までに至った 集落居住域の高層化 高密度化の要因として 建築確認に当たる担当者の不足が関係するが 同時に 自治的管理機関であ る村民委員会と居民委員会は 殆どの住民が住宅の建替 増築を通して住宅の賃貸収入を得るため 規則を満たさない行為への取締りには消極的な態度で臨むという状況も大きく関連した (4) 村ごとの居住域変化の地域性村別にみると 中心市街地にあって商業施設経営を主にする石牌村と工場施設を経営する黄辺村では高層化 高密度化が相対的に著しい一方 鴉崗村では 石牌村と黄辺村と比較して高層化 高密度化は遅れているが これまでの傾向をみて 今後さらに高層化 高密度化が進行すると予測される 裕安囲では 2010 年から広州市のモデル整備対象として整備事業が実施され 一部の住宅を取り壊して集合住宅が建設されつつあり 居住域全体としての高層化 高密度化が抑制されるとみられる 水郷集落の環境を持つ小洲村では 2000 年に 広州市第一批歴史文化保護区 に登録され 2009 年 1 月から 海珠区小洲村歴史文化保護区規劃 が実施されたため 旧居住域内の開発と -6- -78-

: 祠 : 廟 : 宮 : 青煉瓦を用いた住宅 ( 古い様式の住宅 ) : オープンスペース : 河岸 : 井戸 : 橋 6 階 5 階 4 階 3 階 2 階 1 階 川 東北入口 北入口 図 7 小洲村旧居住域 ( 左 : 水路 右 : 路地 ) 旧居住域範囲 西入口 東入口 居住域の面積 ( ha) 居住域面積の平均増加率 (%) 建蔽率 (%) 容積率 (%) 4 階以上建物の棟数の割合 (%) 川 川 南入口 図 6 小洲村における空間要素の配置表 4 集落居住域における空間構成の変化 村名 1978 年 1990 年 2010 年 /2011 年 石牌村 21.6 26.2 31.1 黄辺村 5.4 10.3 17.0 裕安囲 1.4 2.4 4.9 鴉崗村 28.3 36.4 51.0 小洲村 17.5 24.9 43.9 黄埔村 26.8 29.1 42.0 石牌村 1.8 0.9 黄辺村 7.6 3.3 裕安囲 6.0 5.2 鴉崗村 2.4 1.9 小洲村 3.5 3.7 黄埔村 0.7 2.1 石牌村 55.0 63.0 70.0 黄辺村 56.0 48.0 60.0 裕安囲 不明 44.0 50.0 鴉崗村 34.2 42.8 43.4 小洲村 47.6 47.8 47.7 黄埔村 28.4 31.2 35.0 石牌村 57.0 77.0 328.0 黄辺村 56.0 63.0 258.0 裕安囲 不明 54.0 147.0 鴉崗村 35.0 54.7 106.2 小洲村 49.3 71.0 137.6 黄埔村 30.1 40.6 90.4 石牌村 0.0 0.0 80.2 黄辺村 0.0 0.8 64.2 裕安囲 不明 0.0 47.2 鴉崗村 0.2 0.5 17.2 小洲村 0.0 0.2 15.6 黄埔村 0.0 0.2 24.2 建て替え行動が行政的に制限されている 黄埔村は数多くの伝統民居 祠といった文化財を観光資源とすべく政府の支援を受け 観光開発企業と連携して 2010 年から旧居住域内で文化財の修復 観光ルートづくり 環境の緑化と衛生の強化及び商店街づくりなどが行われている この2 村では 他の4 村に比較して旧居住域の高層化 高密度化の抑制と従来からの集落環境保全の双方が実現しているとみられる 4-3. まとめ以上より 次のことが明らかとなった 1 広州市における土地使用権の譲渡制限の緩和 及び有償的土 川 高架道路 図 8 黄辺村旧居住域 ( 左 : 住宅建替 右 : 親水公園 ) 地使用制度の施行により土地収用が加速した結果 農業用地が急激に減少し消失するとともに 村域は縮小しつつある 2 土地収用の活発化とともに 補償金と留用地を含む補償制度の実施によって 飛び地のような村域形態が現われ 工業 商業用地の増加と居住域の拡大という土地利用構成の転換を伴いつつ 城中村は市街地の中で経済的に持続できるようになった 3 農村住宅の宅地及び住宅建築に関する法規制は 城中村における居住域 特に新居住域の開発を規範化したが 流入住民の住宅需要によって 建替 増築が行われ 高層化 高密度化が著しく進むこととなった 4 広州市の行政監督力不足とともに 城中村の村民委員会 居民委員会が規則に満たさない建替 増築行為を黙認したことが居住域の高層化 高密度化の一因となった 51990 年代以降は 経済状況と地理的立地により 城中村ごとの村域と土地利用構成 及び居住域空間構成の変化に差異が大きく現われた 5. 城中村住民の地域交流と生活環境評価 5-1. 住民への配票調査次に 同じく 整備 対象とされる城中村であるが都市化程度が異なる小洲村と黄辺村と対象として 村内の旧居住域住民を対象に配票調査を行った ねらいは 城中村居住域の生活環境指標に対する満足度評価 及び今後の環境整備のあり方に関する指向をとらえ 城中村居住域の環境整備課題と整備方向について検討することである これに関連して 住民の地域交流に関する実態と意識 定住意向なども把握して コミュニティとしての城中村の実像に迫ろうとする 2011 年 12 月に小洲村と黄辺村の居民委員会を通して村内旧居住域の外来住民と流入住民に各々 200 部の配票を配布して 一週間後回収した その結果小洲村で在来住民 183 部 ( 有効回収率 91.5%) 流入住民 166 部 ( 有効回収率 83%) 黄辺村で在来住民 180 部 ( 有効回収率 90%) 流入住民 191 部 ( 有効回収率 95.5%) の有効回答が得られた ( 表 5) -7- -79-

表 5 配票調査の概要 集落 対象住民 調査年月 配布数 有効回収数 有効回収率 (%) 旧居住域に住む人口抽出率 (%) 小洲村在来住民 20121.12. 200 183 91.5 3090 5.9 流入住民 20121.12. 200 166 83 1050 15.8 黄辺村在来住民 20121.12. 200 180 90 1300 13.8 流入住民 20121.12. 200 191 95.5 6000 3.2 注 : 旧居住域に住む人口は 村ごとに旧居住域に住む人口が総人口に占める割合を計算した 5-2. 小洲村 黄辺村の概要と住民の基本属性 小洲村は 面積約 4.5k m2 そのうち約 2.67 k m2の果樹栽培地 を含む 2011 年現在 在来住民约 6,000 人余りが在籍し,3,000 人余りの流入住民が推計される 旧居住域では総人口の 65% の 在来住民 ( 約 3,900 人 ) と 35% の流入住民 ( 約 1,050 人 ) が混 住していると推計される 自然的景観と伝統的水郷環境に恵ま れて広州市内大学が集まる大学城に近いため 近年 村内には 予備校 ギャラリーなど文化教育及び観光に関連する産業が増 えつつある その経済活動の影響を受けて 旧居住域における 住宅の建て替えによる高層化が進みつつあり 従来からの集落 居住環境が悪化する兆しが現れている 黄辺村は 面積ほぼ 0.9k m2 工業開発 住宅開発と都市整備 によって 近傍に地下鉄駅が立地するようになり ディベロッパーによって建てられた高層住宅団地と集落の集団経済組織によって建てられた賃貸工場が多く 農耕地はほとんど残っていない 2011 年現在 2,600 人の在来住民が在籍し 約 16,000 人の流入住民が推計される 旧居住域では 1,500 人の在来住民と 6,000 人の流入住民が混住していると推計される 村内の旧居住域では 従来からの路地で構成される交通ネットワークがあるが 住宅自体の建て替えによって既に高層 高密度化した 定住意向を含む回答者の属性について表 6に示す 調査対象 2 集落について 城中村の特徴と考えられる居住者属性の共通性が明らかとなった 城中村では 30~40 歳代の青年層が主な居住者となり 都市化の影響で農業が衰えた反面 企業の事務職 工場のブルーカラー 及び自営業が主要な職業となっている 持家層と借家層とは住宅を共用し 5 年以内の居住歴をもつ居住者と 10 年以上の定着性が高い居住者とが共存する混住社会である また 核家族の多い流入住民と比較して在来住民の方は世帯員が多い家族を構成し 居住面積も広いため居住条件がより良いである 定住意向をみると 定住意向が高いのは在来住民に限られるわけではなく 定住意向を持つ流入住民も 4 割弱を占めて多い こうしたことからも 城中村居住域の環境整備に際して 代々暮らしてきた在来住民についてのみならず 居住人口が多く定住意向を持つ流入住民のニーズにも配慮する必要があると考えられる 集落別にみると 小洲村では農耕地が残り 大学 研究施設に近接するとともに観光的要素をもつ伝統的環境を残るため 農業に従事する居住者がやや多くを占めるとともに 大学以上の高学歴を持つ学生と自営業者が相対的に多い そして RC 構造の住宅は5 割以下 築年代が 2000 年以降となる新しい住宅は 3 割強にとどまった 住宅の建て替えが盛んになっているが 伝統的住宅と数多くの中低層住宅が点在し いまだに全体とし 表 6 回答者の属性 住民属性の構成比 (%) カテゴリ 全体小洲村黄辺村小洲村在来小洲村流入黄辺村在来黄辺村流入 住民 住民 住民 住民 出身地当村 39.0 35.5 42.3 64.5 3.6 87.2 0.0 広州市内 13.5 18.9 8.4 22.4 15.1 6.7 9.9 広東省以内 25.6 24.6 26.4 8.7 42.2 3.3 48.2 広東省以外 21.1 20.6 21.6 3.8 39.1 1.7 40.3 不明 0.8 0.4 1.3 0.6 0.0 1.1 1.6 性別 男 42.2 42.4 42.0 44.3 40.4 48.3 36.1 女 53.3 52.1 54.4 51.4 53.0 50.6 58.1 不明 4.5 5.5 3.6 4.3 6.6 1.1 5.8 年齢 30 歳未満 29.2 36.7 22.1 27.3 47.0 15.6 28.3 30~49 歳 50.7 40.4 60.4 41.0 39.8 60.6 60.2 50 歳以上 17.9 21.2 14.8 29.0 12.7 23.8 6.3 不明 2.2 1.7 2.7 2.7 0.5 0.0 5.2 学歴 小卒以下 17.5 19.5 15.6 25.7 12.7 18.3 13.1 中卒 31.7 23.2 39.6 23.0 23.5 31.7 47.1 高卒 31.8 31.5 32.1 25.7 38.0 34.4 29.8 大卒 ( 院卒 ) 9.0 16.0 2.4 13.7 18.7 4.4 0.5 不明 10.0 9.8 10.3 11.9 7.1 11.2 9.5 職業 学生 パート 7.5 13.2 2.2 7.7 19.3 2.8 1.6 農民 11.3 17.5 5.4 26.2 7.8 6.1 4.7 公務員 企業の事務職 16.8 14.3 19.1 15.3 13.3 21.7 16.8 工場の職員 27.2 14.0 39.6 10.4 18.1 25.0 53.4 自営業者 10.8 15.5 6.5 7.1 24.7 5.0 7.9 専業主婦 11.4 10.9 11.9 15.3 6.0 16.1 7.9 定年退職 無職 13.8 12.3 15.1 16.9 7.2 23.3 7.3 不明 1.2 2.3 0.2 1.1 3.6 0.0 0.4 主な居住旧村部 70.7 71.1 70.4 44.8 100.0 38.9 100.0 場所 新村部 村外 25.6 27.5 23.7 52.5 0.0 48.9 0.0 不明 3.7 1.4 5.9 2.7 0.0 12.2 0.0 住宅の世持ち主専用 19.6 26.4 13.2 45.4 5.4 25.6 1.6 帯構成 持ち主と借家共用 38.3 42.1 34.8 36.6 48.2 34.4 35.1 借家のみ 29.7 25.2 34.0 12.6 39.2 27.2 40.3 不明 12.4 6.3 18.0 5.4 7.2 12.8 23.0 同居人数 1~2 人 19.7 25.5 14.3 12.6 39.8 1.7 26.2 3~4 人 50.0 39.8 59.6 40.4 39.2 53.9 64.9 5 人以上 28.9 33.5 24.5 47.0 18.7 42.8 7.3 不明 1.4 1.2 1.6 0.0 2.3 1.6 1.6 住宅の構 RC 構造 61.1 46.7 74.7 54.6 38.0 85.6 64.4 造 RC+ レンガ 21.5 34.1 9.7 33.9 34.3 4.4 14.7 レンガ + 木 5.1 9.5 1.1 6.6 12.7 1.7 0.5 不明 12.3 9.7 14.5 4.9 15.0 8.3 20.4 住宅の築 1989 年以前 13.3 22.9 4.3 33.9 10.8 6.1 2.6 年代 1990 年 ~1999 年 18.6 21.5 15.9 25.1 17.5 23.3 8.9 2000 年以降 42.5 36.4 48.2 35.5 37.3 66.1 31.4 不明 25.6 19.2 31.6 5.5 34.4 4.5 57.1 自世帯の40 m2未満 29.4 18.9 39.4 11.5 27.1 3.9 72.8 専用居住 40~60 m2未満 27.2 33.8 21.0 30.6 37.3 23.3 18.8 面積 60 m2以上 41.3 45.3 37.5 54.6 34.9 72.2 4.7 不明 2.1 2.0 2.1 3.3 0.7 0.6 3.7 居住年数 5 年以内 48.3 49.3 47.4 20.2 81.3 4.4 88.0 5 年 ~10 年以内 8.5 10.9 6.2 12.6 9.0 9.4 3.1 10 年以上 38.9 37.0 40.7 65.0 6.0 82.2 1.6 不明 4.3 2.8 5.7 2.2 3.7 4.0 7.3 居住契機本籍 婚姻 48.1 48.1 48.0 87.4 4.8 96.1 2.6 通勤 通学の利便性 31.1 31.2 31.0 7.1 57.8 2.2 58.1 知人の紹介 15.6 12.0 18.9 1.1 24.1 0.6 36.1 独特な集落環境 3.8 6.3 1.3 3.8 9.0 0.0 2.6 不明 1.4 2.4 0.8 0.6 4.3 1.1 0.6 定住意向定住する 61.5 63.6 59.6 86.3 38.6 82.8 37.7 移転する 10.6 13.5 7.8 6.0 21.6 4.5 10.9 まだ決まらない 26.1 20.6 31.3 7.7 34.9 10.6 50.8 不明 1.8 2.3 1.3 0.0 4.9 2.1 0.6 サンプル数 : 全体 -720 小洲村 -349( 在来 -183 流入 -166) 黄辺村 -371( 在来 -180 流入 -191) 小洲村在来住民 小洲村流入住民 黄辺村在来住民 黄辺村流入住民 小洲村在来住民 小洲村流入住民 黄辺村在来住民 黄辺村流入住民 13.9 11.5 13.9 10.5 21.9 24.6 35.0 30.6 36.1 33.0 50.6 48.2 54.6 いつも参加するたまに参加する参加しない不明 45.9 51.7 51.7 56.5 38.0 29.5 17.8 いつも参加するたまに参加する参加しない不明 図 10 趣味の集まりへの参加 51.8 図 9 地域行事 ( 祭り イベント等 ) への参加 34.9 23.0 13.3 0.5 0.6 0.5-8- -80-

ての農村集落的環境が残っている 黄辺村は 市街地に近く 都市化が進んで農耕地はほぼ無くなったが工場を多く持つため 在来住民と流入住民ともに 中卒 高卒の学歴をもつ居住者が多くを占め 企業の事務職員と工場従業員を合わせて6 割に及ぶ そして 7 割強の住宅は RC 構造に建て替わっている 特に 2000 年以降に頻繁に行われた住宅の建替に従って 居住域がさらに高層 高密度化した 5-3. 住民の地域活動参加と交流 ( 図 9 10) 次に 住民の地域活動への参加 及び住民個々の交流に関して見る 地域活動参加の頻度については 地域行事と趣味の集まりの二つの側面からとらえたが 黄辺村に比較して小洲村での在来住民と流入住民間の差が少なく また 在来住民の参加程度は黄辺村の方が高い さらに 在来住民と流入住民間の個人的な交流の程度について ( 図表省略 ) 黄辺村の方が二つの住民グループ間の個人的な交流が比較的深いと見られる すなわち 流入住民に対する設問で 在来住民を 3 人以上知っている割合は小洲村が 51.8% であるのに対して 黄辺村は 79.1% と 30 ポイント弱高い 他方 在来住民に対する設問で 流入住民を3 人以上知っている割合も小洲村が 54.1% であるのに対して 黄辺村は 75.6% と 20 ポイント強高い 小洲村は在来住民の2 割が広州市の他所から転入しており 在来住民の同質性の面では黄辺村の方が高いため これが地域行事や趣味の集まりへの参加に影響していると考えられる 小洲村では 在来住民は従来からの集落的組織性が強く 流入住民では特に学生 文化教育関係者などの住民間での連携によりある程度の組織性があるため イベントや地域活動が多く行われることで 同じグループ内の交流が強くなる 一方 黄辺村では 都市化の影響で 在来住民では従来からの組織性が従来と比べてやや弱くなり 流入住民では出稼ぎの工員が多く 地域活動の参加より個人的生活 交流のほうを重視するためと考えられる また 在来住民と流入住民との交流の深さで黄辺村の方が高いのは 流入住民の居住年数において大きな差異は見られないことから 両村の物理的環境の違いが反映していることが推察される 黄辺村では旧居住域と新居住域を隔てて中央に元養魚池である池 公園が整備され また 隣接して集会所 高齢者活動センターが立地することから これが在来住民と流入住民との交流に一定程度反映しているのではないかと考えられる 5-4. 住民の生活環境評価小洲村と黄辺村における旧居住域の居住環境について快適性の観点からその満足度をとらえた 居住環境に関する13 項目 ( 小洲村では 水路 を加えて 14 項目 ) を設定し それぞれ 大変満足 から 大変不満 までの5 段階評価を行った 結果を図 11~ 図 14 に示し その評価概要を述べる 小洲村と黄辺村の 720 人の住民を対象とする居住環境評価からみた満足度が黄辺村在来住民を除き共通して高い項目は 治安状況, 消防安全, 衛生管理である 城中村では 高層化した建物と高密度な居住人口及び流入住民の出入りが激しく 居住 治安状況 2.2 0 10 20 54.6 30 40 50 60 70 35.0 80 90 6.60.5 1.1 100 消防安全治安状況 2.2 1.1 54.6 48.6 35.0 43.7 6.60.5 1.1 6.0.5 消防安全 1.1 衛生管理 5.5 48.6 37.7 43.7 50.3 6.0.5 5.50.5 衛生管理 5.5 37.7 50.3 5.50.5 照明施設 2.7 36.6 50.3 9.80.5 照明施設 2.7 36.6 50.3 9.80.5 道路整備 1.1 26.8 42.1 29.5 0.5 道路整備 1.1 26.8 42.1 29.5 0.5 歴史建物の整備 1.1 歴史建物の整備 1.1 23.5 23.5 44.3 44.3 27.3 27.3 3.8 3.8 街路樹の多さ街路樹の多さ 4.9 4.9 35.5 35.5 54.6 54.6 4.9 4.9 下水システム 0.5 23.0 51.4 21.3 3.3 0.5 公園と緑地 1.1 30.1 56.3 12.6 ベンチとテーブルの設置 0.5 19.7 63.4 16.4 運動施設と場所の設置 0.5 24.6 56.3 18.6 旧居住域の建築密度 1.6 19.7 53.0 24.0 1.6 プライバシー保護 0.5 0.5 16.4 43.7 29.0 10.4 その他その他 : 水路の整備水路の整備 0.5 0.5 23.5 23.5 33.9 33.9 33.9 33.9 8.2 8.2 ( 凡例は図 11~ 図 14 に共通 ) 大変満足 満足 どちらともいえない 不満 大変不満 不明 図 11 居住環境に対する満足度評価 ( 小洲村在来住民 ) 治安状況 2.4 60.8 33.1 3.0 0.6 消防安全 2.4 56.0 38.6 2.4 0.6 衛生管理 2.4 50.0 42.2 4.2 0.6 照明施設 4.8 41.6 45.2 7.21.2 道路整備 0.6 34.3 50.0 13.9 1.2 歴史建物の整備 2.4 34.3 39.8 18.7 4.2 0.6 街路樹の多さ 3.6 42.2 47.0 6.60.6 下水システム 1.2 31.9 53.0 10.8 3.0 公園と緑地 1.2 35.5 55.4 7.20.6 ベンチとテーブルの設置 0.6 35.5 46.4 14.5 3.0 運動施設と場所の設置 0.6 33.1 51.8 11.4 2.4 0.6 旧居住域の建築密度 0.6 27.7 52.4 15.7 3.0 0.6 プライバシー保護 1.2 28.9 50.0 14.5 4.21.2 その他 : 水路の整備 0.6 28.3 47.0 18.7 4.8 0.6 図 12 居住環境に対する満足度評価 ( 小洲村流入住民 ) 治安状況 2.27.8 69.4 19.4 0.6 消防安全 0.610.6 67.8 18.9 2.2 衛生管理 12.2 70.0 17.2 0.6 照明施設 1.711.7 71.7 14.4 0.6 道路整備 11.1 72.8 15.6 0.6 歴史建物の整備 1.1 15.6 65.6 16.7 1.1 街路樹の多さ 0.6 16.1 66.7 16.1 0.6 下水システム 10.6 60.0 23.9 5.6 公園と緑地 0.611.1 73.3 12.8 2.2 ベンチとテーブルの設置 11.7 71.7 14.4 2.2 運動施設と場所の設置 0.610.6 63.9 20.0 5.0 旧居住域の建築密度 1.17.8 63.9 21.7 5.6 プライバシー保護 10.0 63.3 17.2 1.77.8 図 13 居住環境に対する満足度評価 ( 黄辺村在来住民 ) 治安状況 0.5 49.7 39.8 9.9 消防安全 0.5 48.2 41.9 9.4 衛生管理 46.6 44.0 9.4 照明施設 3.1 45.0 42.9 8.9 道路整備 2.6 41.4 46.6 9.4 歴史建物の整備 0.5 45.0 45.5 8.9 街路樹の多さ 0.5 36.1 53.9 9.4 下水システム 0.5 38.7 50.8 9.9 公園と緑地 0.5 35.1 55.5 8.9 ベンチとテーブルの設置 33.5 57.1 9.4 運動施設と場所の設置 0.5 34.0 56.0 9.4 旧居住域の建築密度 0.5 30.9 58.1 9.90.5 プライバシー保護 31.9 58.6 8.90.5 図 14 居住環境に対する満足度評価 ( 黄辺村流入住民 ) -9- -81-

地としての管理意識が低かったため 治安 衛生問題が悪化し火災の発生もあった 近年では村内に監視カメラによる治安システムが導入されて 村が自ら立ち上げた衛生管理機関か民間会社に委託することで掃除 ごみの回収を行って 住民に対する管理も強化することによって城中村の治安 消防 衛生の環境は以前と比較してよくなった このことが結果に反映していると考えられる 一方 満足度が相対的に低い項目は 黄辺村の流入住民を除きプライバシー保護の問題である 建て詰まりによる隣家との関係に不満をもつ住民が多い他 小洲村では主に休日などに観光客が旧居住域内にある土産物店や飲食店 ギャラリーなどへ行くため路地を歩き回ることもその理由になっていると考えられる また 小洲村では歴史的建物の整備 道路の整備 水路の整備に対して在来住民 流入住民ともに不満が高くなっている いずれも整備が遅れていることが原因である 歴史的環境の残る落ち着いた雰囲気を望む住民が多いことが判る これに対して 黄辺村では 在来住民において下水道 建築密度について評価がやや低い他は 歴史的建物の整備 道路の整備については満足度が高い 黄辺村は市街地に近く 工場の建設などを通じて村の経済力が強いため 小洲村と比較して 村内の生活基盤及び歴史的建物の整備が進展していると考えられる 在来住民と流入住民の差異に着目すると 両村とも在来住民と比較して流入住民の満足度が相対的に高いことが共通する 逆に 黄辺村では在来住民の居住環境評価が全般的に低い満足度であることが顕著となっている 経済的には一定の水準を達成したものの 高層 高密度化に伴う居住環境悪化が全般的な満足度の低さにつながっていると考えられる なお 配票調査では住宅内の居住環境評価についても問うている 紙幅の関係で省略するが 先に表 6で示したように在来住民と流入住民との間では住戸専用面積には大きな差異がある しかし 黄辺村在来住民を除くと 居住面積の広さ, キッチン トイレの設備の充実 間取り 採光 通風 騒音などの項目で小洲村在来住民が4 割から5 割 両村流入住民で3~4 割が満足と回答している 項目間では住宅の騒音に対する評価が相対的に低い 黄辺村在来住民では居住専用面積の大きな割合は高いが 高層高密化が全般的な満足度の低下を招いている 5-5. 住民の環境整備指向同様に 旧居住域の居住環境整備の必要性について 満足度と同じく 13 項目 ( 小洲村では 水路 を加えて 14 項目 ) に対して それぞれ 最優先で必要 必要 どちらともいえない 必要ない の 4 段階評価を行った 結果を図 15~ 図 18に示し その評価結果を述べる まず 二つの集落の差異が顕著なことが特徴的である 小洲村の方が全般的に整備の必要性に対して意識が強い 同時に それぞれの集落において在来住民と流入住民の意識の差は小さいことが共通する 住宅環境には差異があるものの 一つの住棟に混住するために居住環境整備の意識には共通性が育まれると考えられる 治安を改善する 3.8 51.4 44.3 0.5 消防設備の整備 1.6 56.3 41.5 0.5 衛生環境の改善 2.7 53.6 42.6 1.1 街灯の整備 6.0 41.0 50.3 2.7 道路の整備 9.8 53.0 36.1 1.1 歴史建物の修繕 10.9 48.6 38.8 1.6 街路樹の設置 3.8 26.8 66.1 3.3 下水システムの整備 7.7 47.5 43.7 1.1 公園と緑地の整備 2.2 36.1 57.4 3.8 0.5 ベンチとテーブルの整備 2.7 40.4 53.0 3.8 運動施設の整備 1.6 51.4 43.7 3.3 建築密度 高度を抑える 14.2 31.7 49.7 2.7 1.6 プライバシー保護 18.6 33.9 43.7 2.7 1.1 水路の整備 35.0 38.8 25.7 0.5 最優先必要どちらともいえない必要ない不明 ( 凡例は図 15~ 図 18 に共通 ) 図 15 居住環境整備に対する必要性評価 ( 小洲村在来住民 ) 治安を改善する 4.8 51.8 38.0 4.8 0.6 消防設備の整備 3.0 53.6 38.6 4.2 0.6 衛生環境の改善 4.2 61.4 30.7 3.6 街灯の整備 4.8 52.4 35.5 7.2 道路の整備 6.0 51.2 39.2 3.0 0.6 歴史建物の修繕 9.6 47.6 39.2 3.0 0.6 街路樹の設置 4.8 40.4 48.2 6.0.6 下水システムの整備 6.0 53.0 36.7 3.6 0.6 公園と緑地の整備 3.0 49.4 43.4 3.6 0.6 ベンチとテーブルの整備 4.2 49.4 39.8 4.2.4 運動施設の整備 7.2 46.4 41.6 4.2 0.6 建築密度 高度を抑える 14.5 39.8 41.0 4.2 0.6 プライバシー保護 19.9 37.3 40.4 1.8 0.6 水路の整備 15.7 51.2 31.3 1.8 図 16 居住環境整備に対する必要性評価 ( 小洲村流入住民 ) 治安を改善する 0.6 37.8 54.4 6.70.6 消防設備の整備 0.6 37.2 56.1 6.1 衛生環境の改善 1.1 38.3 54.4 5.60.6 街灯の整備 27.2 65.0 7.8 道路の整備 25.6 68.3 5.60.6 歴史建物の修繕 26.1 60.6 12.21.1 街路樹の設置 28.9 59.4 10.01.7 下水システムの整備 5.6 32.8 54.4 7.2 公園と緑地の整備 27.2 57.2 15.6 ベンチとテーブルの整備 28.9 58.3 12.8 運動施設の整備 3.9 30.6 55.6 10.0 建築密度 高度を抑える 1.1 33.9 58.9 6.1 プライバシー保護 0.6 29.4 56.1 6.7 7.2 図 17 居住環境整備に対する必要性評価 ( 黄辺村在来住民 ) 治安を改善する 0.5 40.3 53.9 5.2 消防設備の設備 42.4 52.9 4.7 衛生環境の改善 1.0 41.4 51.8 5.8 街灯の整備 2.6 28.8 55.0 13.1 0.5 道路の整備 2.1 30.9 53.4 13.6 歴史建物の修繕 31.9 58.1 9.9 街路樹の設置 32.5 59.2 8.4 下水システムの整備 0.5 35.1 56.0 8.4 公園と緑地の整備 0.5 36.1 53.9 9.4 ベンチとテーブルの整備 35.1 56.0 8.9 運動施設の整備 33.5 57.1 9.4 建築密度 高度を抑える 35.1 53.9 11.0 プライバシー保護 34.0 56.5 8.90.5 図 18 居住環境整備に対する必要性評価 ( 黄辺村流入住民 ) -10- -82-

小洲村では 水路の整備 プライバシー保護 及び建物密度 高度を抑える 歴史的建物の修繕の項目において最優先の整備を求める回答を含めて必要性が高い 特に 水路整備については 1/3の在来住民が最優先でという回答を示した 小洲村に残されている伝統的環境と歴史的建物 ( 伝統様式住居 社寺 廟 祠など ) 観光的要素( 水路 石橋 船着き場 広場など ) の保全が在来住民 流入住民の双方から求められていることが明らかである 図 19 居住環境整備のビジョンに対する選好評価 ( 単数回答 ) 一方 黄辺村では ほぼ全ての項目において在来 流入住民を問わず3~4 割の回答者が整備は必要としているが 過半数なお 黄辺村の村居民委員会への聞き取り調査により 村指導はどちらとも言えないとしており 整備の必要性は小洲村ほど層には 地下鉄駅が立地し好条件を生かすべく旧居住域の全面強くはない 流入住民では 治安改善 消防設備 衛生環境改的な再開発 すなわち 改造 に対する期待がくすぶっている善を除くと 他の項目はいずれも 1 割ほどの回答者が整備の必が 広州市当局の方針には従う他ない 要なしとしている 後述する流入住民における旧居住域の全面 5-6. まとめ的な改造への期待を読みとることができる 小州村と黄辺村において住民の居住環境評価 ( 満足度 整備居住環境整備に関して 最後に居住地の将来ビジョンについ必要性 ) 及び居住地の将来ビジョンについて検討した結果 2 て4つの項目から 1つ選択する設問に対する回答を見る ( 図 19) 集落の間の立地条件および居住地の高層 高密度化の進捗状況 4つの項目は 従来からの居住地環境を受け継ぐ 集落環の相違により 評価とビジョンに大きな差異が認められた 境を生かして観光地として整備 空地 緑地をつくり密度を小州村では 歴史的な建物や水路 および一定の農地が残さ抑える 及び 居住地を取り壊して高層マンション団地にする れ 伝統的な水郷農村の環境が残存している こうした条件をである 結果を図 19 に示す 二集落の在来 流入住民で各々異生かした整備を広州市当局は検討中であり 水郷農村環境を生なる回答が示された 二集落を比較した場合 小洲村で比較的 かすビジョンは村の在来住民 流入住民にも一定程度浸透して在来住民と流入住民の差異は小さいことが判る いることが明らかになった 居住地の密度も比較的低く抑えら小洲村では 在来住民は 集落環境を生かして観光地としてれている しかし 農地の収用を抑制することは 村の集団経整備 が最も多く 次いで 居住地を取り壊して高層マンショ済振興を通じた居住環境整備及び観光資源保全のための事業のン団地にする が続く 流入住民は わからない が最も多い遅れに結びついている すなわち 農村環境保全と観光開発とが 観光地 と 従来からの居住地環境を受け継ぐ がこれにはトレードオフ関係があり 居住地の高層 高密度化への誘因次ぐ 流入住民の中でも 小洲村のもつ環境に惹かれて移り住として潜在していると考えられる これまでの農地収用によらんだ学生 レストラン 喫茶店と土産物店などの自営業者 及ない集落経済活動の活性化への途を探る必要がある びギャラリー アトリエと予備校などの芸術 文化教育関係者黄辺村では 市街地化の下で主に工場経営が集団経済を支え などは 観光地 と 従来からの居住地環境を受け継ぐ とい居住地の環境整備が進展した また 地下鉄駅の立地が新たなう回答を示すが 一部の在来住民に 高層マンション団地 指住宅団地を誘致するとともに 在来住民は住宅の改築や増築を向があり 対立する構図が形成されている 既に述べたように 行って居住地の高層 高密度化が進展した この結果 経済的小洲村では 2000 年に 広州市第一批歴史文化保護区 に登録さには成功したが 居住環境の高密度化がさまざまな不満を生んれ 2009 年 1 月から 海珠区小洲村歴史文化保護区規劃 が実でいる 居住地の全面的再開発の要求も一部に存在する 居住施されたため 旧居住域内の開発と建替が規制されている こ密度の上昇を抑えて修復的な環境整備に転換する必要がある のため 他の城中村のように高層 高密度化が進展する恐れは城中村は在来住民と流入住民の混住社会であるが 流入住民少ないが 住民意識の中に開発指向が潜在することが判明した の中にも定住志向が存在することは 共生社会の形成に向けた黄辺村では 在来住民と流入住民との間の意識差は小洲村と手がかりとして貴重である 両者の間の交流活動の進展に向け比較してきわめて大きい 在来住民の過半は 従来からの居住た居住環境整備が求められる 地環境を受け継ぐ を支持するのに対して 流入住民の半数近くが 高層マンション を指向している 黄辺村の流入住民の 6. 結論多数派は近隣の工場に勤務する工員で 短期の出稼ぎ単身者も本研究では 経済成長への対処として整備された法制度を規多く含まれる こうした層は都市的な利便性 快適性を求めて定条件として 都市における土地の有償的使用制度の実施と譲開発指向を示すと考えられる一方 定住指向の核家族世帯の回渡制限の緩和が 城中村の土地収用の活発化とそれに伴う村域答者には 従来からの居住地環境を受け継ぐ 空地 緑地をの縮小 飛び地化を促進した過程について 事例分析を通してつくり密度を抑える など環境保全指向が少なからず存在する 明らかにした また 有償的土地収用制度の実施が 城中村に -11- -83-

おける集団経済の維持発展に必要な資本をもたらし 産業構成の高度化及びそれと関連した土地利用構成の転換につながったことを明らかにした さらに 城中村民の宅地取得と住宅建築に関する規定は 居住域の開発と住民の生活改善の規範化を進めた反面 出稼ぎ流入者向けの住宅賃貸業による経済収益を意図した広範囲かつ大量な建替 増築行為に対して 行政側の監督力の不足 さらに村の自治管理機関の住民側に立った事態放置が 城中村居住域の高層化 高密度化に大きく影響したことを明らかにした これらは城中村の居住環境整備方策を検討する上での前提条件になると考えられる 城中村住民の側から今後の居住環境整備のあり方 方向性を考えると 第一に 城中村個々が旧来から受け継いだ固有の歴史 文化 空間的条件を生かした整備であるべきこと 次いで 城中村の立地条件と空間変化の特徴をふまえた 全面的再開発ではない修復的整備であるべきこと そして第三に在来住民と流入住民の共生社会の形成促進に向けた整備であるべきこと が指摘できる < 謝辞 > 本研究の実施にあたりご指導 ご協力をいただいた広州市国土資源与房屋管理局 中山大学城市与区域研究センター 広州大学嶺南建築研究所 ならびに各城中村居民委員会 集団経済組織の関係者の方々に謝意を表します < 注 > 1) 2009 年に発布された 広州市人民政府関予広州市推進 城中村 ( 旧村 ) 整治改造的実施意見 により 市内 138ヵ所の城中村 ( 広州市街地にある越秀区 荔湾区 海珠区 白雲区 天河区 黄埔区と蘿崗区内にある城中村 ) に対する整備 改造パターンとして 2 種が定められた 1つは 全面改造 パターンである これは広州市の都市計画で決められた都市機能の向上と産業構成の高度化を図る重要機能区域内に位置する 52ヵ所の城中村に対して 全体的に取り壊して再開発するものである もう1 つは 環境整備 パターンである 重要機能区域外に位置し 環境整備不足の城中村に対して 居住環境の向上を中心とし 違法的に建てられた建築物を取り締まり 消防通路を計画し ファサードを整備して 環境 衛生 消防 住宅安全 インフラなどが都市の基準に満たすようにするものである 2) 参考文献 1)~5) を参照 3) 本研究報告は 参考文献 10) の構成 内容を踏まえ (3 章及び 4 章 ) これに配票調査結果の分析 考察 (5 章 ) を付加したものである 4) 李俊夫 城中村の改造 ( 参考文献 2)) によれば 城中村の改造 ( 再開発 ) 整備の必要性は村の立地と土地利用構成に主に関わり 特に 1 市街地中心からの距離 2 村の総面積に占める農耕地を主とする農業用地と既に建設に利用された土地である建設用地の比率に関して建設用地の割合の高さ の2 点が係わるとする 5) 土地収用 管理に関する主な法規制の推移について 張建明 広州市城中村研究 ( 参考文献 1)) を参考にした 6) 広州市国土資源与房屋管理局の張建明副主任への聞き取り調査によれば 留用地の返還方法にはいくつかの形式がある 最初は 市政府が村から収用した土地 ( 耕地が主な対象とされる ) そのものから決まった割合で留用地を返還した しかし 異なる時期の収用で村の留用地は飛び地のような土地が生じて 土地を集約的に利用することができなくなる そのため 上記の方法のほか 政府は一定区域内にある複数の村に対して 近くの場所か新開発する工 商業団地かで一定面積の土地をその複数の村に留用地として供与して その留用地を運営する村ごとに土地を運営するか株の形で土地を統合して運営するかを選 択することもできるようになった 7) 3 階建ての住宅の場合 屋上を利用するために 建築面積の半分までの塔屋を建築することが許される 8) 中国の行政体制の枠組みは 中央政府 省 直轄市 自治区で その下は都市部を管轄する市と農村部を管轄する県が同じ行政レベルにある 市の行政体制の枠組みについては 上から区 街道 社区からなり 同様に 県では鎮 ( 郷 ) 村 生産隊からなるが 1982 年の地方行政改革施行により 市は県も管轄して 県と区 街道と鎮 ( 郷 ) 村と社区がそれぞれ同級として扱われることになった 市街地化が進む中 農村の管轄機関である鎮も区の管轄範囲に取り入れられたが 農村の社会管理 人口管理 土地制度などは鎮のもつ機能として継続している 9) 広州市では 都市管理のため各種の法的取締りを行う機関である 城市管理総合行政執法局 ( 城管 ) がある 2009 年現在 城管の担当者数は僅か 3 196 人であるが 業務範囲は全市域であり 業務内容は公共的空間の違法的占用から 屋台車 の無許可販売や違法的建設行為の取り締まりなどまでの都市管理にかかわる 160 項目もある 広州市では 138 ヵ所の城中村があり 調査対象である集落の居住域における調査当時の建物数だけをみても 例えば 小洲村 1723 棟 黄辺村 1055 棟であり 担当者の配置が不足が明らかである 10) 2003 年 6 月 14 日に広州市中心市街地にある冼村内の賃貸住宅で火事が起こり 8 人が死亡し 32 人が負傷した (8 人重傷 ) ことは 近年における広州市城中村の最も影響の大きな火災事故となった 11) 石牌村は野菜栽培を主な農業生産とした近郊農村集落であったが 天河区における新市街地開発により 1980 年代から 1995 年までに村内の農耕地は完全に収用された 現在 石牌村は広州市の新中心市街地に位置して 村の集団経済はホテルとデパートの経営 オフィスと電気店街の賃貸事業を中心に展開している 12) 城中村居住域内の白地図に記載された建物の構造 階数 及び現地踏査にもとづいて 建物を 1~2 階 3~4 階 5~6 階 7 階以上の 4 段階に区分して分析を行った < 参考文献 > 1) 張建明 : 広州市城中村研究 広東人民出版社 2003 2) 李俊夫 : 城中村的改造 科学出版社 2004 3) 易洪艷ほか : 城中村の居住空間構成とその変容に関する研究 中国西安市西八里村の事例 日本建築学会計画系論文集第 71 巻第 605 号 p p109~117 2006.7 4) 易洪艷ほか : 城中村の借家人の居住履歴とその受け皿機能に関する研究 中国西安市西八里村の事例 日本建築学会計画系論文集第 73 巻第 623 号 pp79~86 2008.1 5) 孫立ほか : 中国都市部における各類型の低所得者地域の住環境改善意識に関する研究 -- 重慶市を事例として 日本建築学会計画系論文集第 76 巻第 662 号 pp 819-826 2011.4 6) 黎庶旌 三橋伸夫 安森亮雄 本庄宏行 : 城中村の外部共用空間における住民の生活行動に関する研究 - 中国広州市黄辺村の事例 - 日本建築学会技術報告集第 19 巻第 41 号 pp.283-288 2013.2( 掲載決定 ) 7) 黎庶旌ほか : 中国広州市城中村の生活環境整備に関する研究 その~ 3 日本建築学会大会( 北陸 ) 学術講演梗概集 E2 pp.401-406 2010.9 8) 黎庶旌ほか : 中国広州市城中村の形成過程における法規制と空間構成 その1~2 日本建築学会大会( 関東 ) 学術講演梗概集 E2 pp.617-620 2011.8 9) 黎庶旌ほか : 城中村の空間構成と整備方策に関する研究 その1~2 日本建築学会大会 ( 東海 ) 学術講演梗概集 E2 pp.53-56 2012.9 10) 黎庶旌 三橋伸夫 藤澤悟 望月瞬 安森亮雄 栗原伸治 本庄宏行 : 中国広州市城中村の形成過程における法規制の推移と空間構成の変化との関連性 日本建築学会計画系論文集第 78 巻第 684 号 2013.2 ( 掲載決定 ) < 研究協力者 > 本庄宏行 宇都宮大学工学部技術職員 藤澤 悟 宇都宮大学大学院工学研究科地球環境デザイン学専攻博士前期課程 2 年 望月 瞬 宇都宮大学大学院工学研究科地球環境デザイン学専攻博士前期課程 1 年 -12- -84-