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院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

外来在宅化学療法の実際

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福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

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がんの治療

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33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

平成29年度沖縄県がん登録事業報告 背表紙印字


1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や


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2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

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密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

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付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

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研究協力施設における検討例 病理解剖症例 80 代男性 東京逓信病院症例 1 検討の概要ルギローシスとして矛盾しない ( 図 1) 臨床診断 慢性壊死性肺アスペルギルス症 臨床経過概要 30 年前より糖尿病で当院通院 12 年前に狭心症で CABG 施行 2 年前にも肺炎で入院したが 1 年前に慢性

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

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70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

遠隔転移 M0: 領域リンパ節以外の転移を認めない M1: 領域リンパ節以外の転移を認める 病期 (Stage) 胃がんの治療について胃がんの治療は 病期によって異なります 胃癌治療ガイドラインによる日常診療で推奨される治療選択アルゴリズム (2014 年日本胃癌学会編 : 胃癌治療ガイドライン第

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32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

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がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

2009年8月17日

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

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AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

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「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

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肺がんの疫学

2020 年におけるがん患者数 ( 推計 ) 男性 女性 腎その他 15,281 その他 82,563 肺 90,528 その他 77,586 乳房 50,221 胆のう 胆管 16,662 食道 26,033 全部位 500,723 前立腺 78,468 卵巣 8,922 全部位 377,396 結腸 49,871 直腸 32,345 肝臓 33,266 結腸 52,960 胃 72,617 胆のう 胆管 10,058 膵臓 10,560 肝臓 17,571 直腸 18,961 子宮 22,918 肺 33,651 胃 37,077 資料 : 大野ゆう子 中村隆 他. 日本のがん罹患の将来推計 - ベイズ型ポワソン コウホートモデルによる解析に基づく 2020 年までの予測 : がん 統計白書 - 罹患 / 死亡 / 予後 /-2004. 大島明ほか ( 編 ) 篠原出版新社 p201-207,2004.

2020 年までの部位別年齢調整罹患率の予測 男性 女性 500 全部位 人口 10 万対 500 人口 10 万対 300 300 全部位 100 胃 100 30 肺 結腸直腸 肝臓 30 胃 子宮 乳房結腸 食道 肺 直腸 10 リンパ組織 10 肝臓 膵臓 白血病 リンパ組織 3 胆のう 胆管 前立腺 3 胆のう 胆管 白血病 膵臓 食道 1 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 ( 年 ) 1 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 ( 年 ) 資料 : 大野ゆう子 中村隆 他. 日本のがん罹患の将来推計 - ベイズ型ポワソン コウホートモデルによる解析に基づく 2020 年までの予測 : がん 統計白書 - 罹患 / 死亡 / 予後 /-2004. 大島明ほか ( 編 ) 篠原出版新社 p201-207,2004.

部位別がん死亡率の推移 男性 女性 350 人口 10 万対 350 人口 10 万対 319.1 300 291.3 303.3 19.4% その他 300 19.0% 250 200 150 100 50 110.9 15.9% 3.0% 16.5% 1.3% 15.3% 11.2% 2.9% 4.8% 0.9% 7.1% 3.8% 10.4% 2.3% 8.7% 10.2% 3.8% 2.9% 4.2% 2.6% 4.1% 1.8% 51.7% 132.6 44.2% 163.5 17.6% 33.0% 2.8% 1.8% 216.4 17.4% 2.5% 2.6% 20.6% 5.6% 13.6% 4.2% 6.0% 22.9% 18.6% 2.2% 4.2% 21.8% 5.8% 13.2% 4.3% 6.8% 18.3% 2.2% 4.5% 22.3% 6.0% 12.5% 4.3% 6.8% 17.2% 2.2% 4.7% 23.0% 6.2% 11.8% 4.4% 6.8% 16.6% 白血病前立腺 気管 気管支および肺 膵臓 肝および肝内胆管 直腸 結腸 胃 250 200 150 100 50 90.2 14.6% 16.5% 8.4% 2.7% 1.6% 3.9% 3.5% 1.9% 3.5% 2.7% 100.7 15.8% 115.5 19.7% 2.9% 3.0% 139.3 21.4% 5.3% 6.7% 3.0% 12.0% 2.1% 8.0% 6.1% 11.1% 4.7% 8.6% 6.9% 5.7% 3.5% 4.9% 6.8% 7.4% 6.1% 4.1% 4.2% 4.2% 3.9% 6.0% 8.9% 2.8% 3.7% 181.4 22.3% 3.4% 4.5% 7.9% 12.6% 7.5% 8.9% 3.9% 9.9% 2.4% 190.1 22.6% 2.4% 3.5% 4.3% 8.0% 12.3% 8.0% 8.7% 4.0% 10.6% 200.3 22.6% 2.3% 3.4% 4.1% 8.3% 13.0% 8.2% 8.5% 3.8% 10.6% その他 白血病卵巣子宮乳房 気管 気管支および肺 膵臓 肝および肝内胆管直腸結腸 0 4.9% 1960 5.5% 4.8% 4.6% 4.9% 5.0% 1970 1980 1990 2000 2003 4.8% 食道 2005 ( 年 ) 0 38.4% 36.2% 28.7% 20.2% 15.3% 14.2% 13.7% 1.3% 胃 2.3% 2.2% 1.8% 1.4% 1.3% 1.4% 食道 1960 1970 1980 1990 2000 2003 2005 ( 年 ) がんの統計 2005 年度版 ( 財団法人がん研究振興財団発行 ) より資料 : 厚生労働省大臣官房統計情報部 平成 17 年人口動態統計

亡膵死肺がんによる死亡率 日本における死因の第 1 位は がん です また 部位別がん死亡率の第 1 位は 肺がん です 主な死因別死亡数の割合 (2005 年 ) 主な部位別がん死亡率 (2005 年 ) 60 人口 10 万対 50 49.2 老衰 2.4% 自殺 2.8% その他 22.9% 悪性新生物 ( がん ) 30.1% 率40 30 20 39.9 32.4 27.2 18.2 15.0 不慮の事故 3.7% 肺炎 9.9% 脳血管疾患 ( 脳卒中 ) 12.3% 心疾患 ( 心臓病 ) 16.0% 10 0 肺 *1 胃大腸 *2 肝 *3 前立腺 *4 *1: 気管 気管支および肺の悪性新生物 *2: 結腸の悪性新生物 直腸 S 状結腸移行部および直腸の悪性新生物 *3: 肝および肝内胆管の悪性新生物 *4: 男子人口 10 万対 厚生労働省 : 平成 17 年人口動態統計

死亡率1990 死亡率1990 肺がんによる死亡率の推移 1950 年代から 肺がんは世界的に増加しています 肺がん死亡率の推移の国際比較 (WHO mortality database; 世界標準人口による年齢調整死亡率 ) 男性女性 100 100 人口 10 万対人口 10 万対ハンガリー英国 10 アメリカ 香港イタリア フランス韓国 スウェーデン 10 英国 香港 アメリカハンガリースウェーデン 日本 イタリア 韓国 フランス 日本 1 1950 1960 1970 1980 2000 ( 年 ) 1 1950 1960 1970 1980 2000 ( 年 ) WHO mortality database, http://www.ciesin.org/ic/who/mortalitydatabase.html

喫煙とがんの関係 ( 男性 ) がんの部位別死亡に及ぼす毎日喫煙の寄与危険度 (%) 咽頭がん (83) 肺がん (1454) 末梢血管の疾患 (30) 動脈瘤 (69) 食道がん (438) 95.8% 71.5% 64.7% 50.0% 47.8% 肺気腫 気管支拡張症 (318) 胃潰瘍 (455) くも膜下出血 (211) 虚血性心疾患 (2170) 47.8% 39.2% 38.2% 35.5% 肝臓がん (788) 膵臓がん (399) 胃がん (3414) 男性観察人 1,709,273 人観察年昭和 41 年 ~57 年 ( ) 内の数字は死亡数 28.3% 28.3% 25.1% がんの統計 2003 年度版 ( 財団法人がん研究振興財団発行 ) より資料 : 平山雄著 予防がん学 - その新しい展開 - メディサイエンス社 ( 東京 ) 1987 年

喫煙とがんの関係 非喫煙者の妻に対する喫煙夫の影響 非喫煙の妻の特定死因に及ぼす夫の喫煙の寄与危険度 (%) 脳腫瘍 (34) 副鼻腔がん (28) 肺がん (200) 虚血性心疾患 (494) 69.5% 36.2% 31.0% 11.6% 総死亡 (9106) 全部位がん (2705) 観察人 1,709,273 人観察年昭和 41 年 ~57 年 ( ) 内の数字は死亡数 11.1% 9.9% がんの統計 2003 年度版 ( 財団法人がん研究振興財団発行 ) より資料 : 平山雄著 予防がん学 - その新しい展開 - メディサイエンス社 ( 東京 ) 1987 年

対リス喫煙とがんの関係 ( 男性 ) 非喫煙者群のがん罹患リスクを 1 とした場合の禁煙者群および喫煙者群の相対リスク 4.5 非喫煙者群 禁煙者群 4 喫煙者群 3 5 相2.2 ク2 1.7 1.6 1.6 1.4 1.4 1.3 1 1 1 1 1 肺がん胃がん大腸がん 0 全がん がんの統計 2005 年度版 ( 財団法人がん研究振興財団発行 ) より

喫煙とがんの関係 ( 女性 ) 非喫煙者群のがん罹患リスクを 1 とした場合の禁煙者群および喫煙者群の相対リスク 4.2 非喫煙者群 禁煙者群 4 3.7 喫煙者群 3 対リスク2 1 5 相1 1.5 1.5 1 1 0.7 1.3 1 1.3 1.4 1 1.1 1.7 0 全がん 肺がん 胃がん 大腸がん 乳がん がんの統計 2005 年度版 ( 財団法人がん研究振興財団発行 ) より

喫煙率の推移 性別 年代別喫煙率の推移 (%) 100 男性 90 80 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳以上 70 60 50 40 30 女性 20 10 0 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 ( 資料 ) 健康ネット HP: 厚生労働省の最新たばこ情報 ( 日本専売公社 日本たばこ産業株式会社による調査より )

喫煙率の推移 主要国の喫煙人口比率の推移 (%) オランダ 60 デンマーク 50 英国 日本 40 アメリカ ドイツ 30.4( 韓国 ) 30 フランス イタリア 32.0 30.3 28.0 27.0 26.0 24.3 24.2( イタリア ) 20 スウェーデン 韓国 17.5 17.5 10 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2003 OECD HEALTH DATA 2005,October05

喫煙と肺がんの関係 肺がんの最大の原因は喫煙です 人口寄与危険率人口全体の肺がんに喫煙がどのくらい関与しているか 曝露群寄与危険率喫煙者において肺がんの発生に喫煙がどのくらい関与しているか 男性女性男性女性 71.6% 15.6% 77.5% 57.3% 富永祐民 : 癌と化学療法 25:789-796,1998 肺がんに関する正しい知識を持ち 禁煙を推し進めることが肺がんに対して最も重要になります

喫煙と肺がんの関係 喫煙によるがん罹患の人口寄与割合 男性 全がん 男性 肺がん 4.5 倍 68% 1.0 倍 1.4 倍 7% 29% 1.6 倍 22% 1.0 倍 2.2 倍 9% 59% 24.3% 23.4% 52.3% 吸わない やめた 吸う 25.0% 23.0% 52.0% 吸わない やめた 吸う 女性 1.0 倍 3% 1.5 倍 1% 1.5 倍 2% 女性 1.0 倍 18% 3.7 倍 2% 4.2 倍 16% 92.8% 1.4% 吸わない やめた 5.9% 吸う 93.0% 吸わない 1.0% 6.0% やめた吸う がんの統計 2005 年度版 ( 財団法人がん研究振興財団発行 ) より

7 相対リス喫煙と肺がんの関係 ( 男性 ) 非喫煙者群の肺がん罹患リスクを 1 とした場合の禁煙者群および喫煙者群の相対リスク 5 4 ク3 2 3 2.7 4.5 4.8 6.4 6 1.8 1 1 1 0 非喫煙者 ~9 10~19 20~ ~19 20~39 40~59 60~ 禁煙者 ( 禁煙後年数 ) 喫煙者 ( 喫煙量 Pack-years) がんの統計 2005 年度版 ( 財団法人がん研究振興財団発行 ) より

6 肺がん死亡率(非喫煙者を1 として喫煙開始年齢別にみた肺がん標準死亡率 ( 男性 ) ( 倍 ) 5.7 5 4.7 4 4.1 3 2.4 2 1.4 1 1 0 )20 歳以上 19 歳以下 24 歳以下 25 歳以上 29 歳以下 30 歳以上 34 歳以下 35 歳以上非喫煙 がんの統計 2003 年度版 ( 財団法人がん研究振興財団発行 ) より ( 昭和 41 年 ~57 年 )

喫煙をやめてからの年数と肺がん死亡率の関係 ( 男性 ) 5 肺がん死亡率(非喫煙者を1 として( 倍 ) 4.5 4 3 2 2 1.6 1.4 1 1 0 喫煙中 )4 年未満 4 年以上 10 年未満禁煙後の年数 10 年以上非喫煙 がんの統計 2003 年度版 ( 財団法人がん研究振興財団発行 ) より ( 昭和 41 年 ~57 年 )

肺がんについて

肺の構造と働き 上葉 右肺 気管主気管支 左肺 上葉 右肺と左肺 葉気管支 上葉 上葉 中葉 中葉 下葉 縦隔 下葉 右肺 左肺 下葉 心臓 気管分岐部 食道 下葉 右肺 上葉 中葉 下葉左肺 上葉 下葉

気管と気管支 気管支分岐 分岐次元気管 0 1 気管支 2 3 4 気管支の構造 終末細気管支 呼吸細気管支 肺胞道 17 18 19 20 気管や太い気管支の前側壁は馬蹄形の軟骨が存在する 後壁は平滑筋や結合組織からなる 肺胞 23

肺胞の構造 静脈血 動脈血 肺胞でのガス交換 吸入気 肺動脈 肺静脈 毛細血管 肺胞 O 2 静脈血 動脈血 CO 2

肺がんの種類 原発性肺がん : 肺から発生したがん 一般に肺がんとは この原発性肺がんのことをいいます 転移性肺腫瘍 : 乳がん 大腸がんなど ほかの臓器に発生し 肺に転移を起こしたがん がんの進行の仕方や治療に対する感受性は もともと発生した臓器のがんの特徴を持っているため 原発性肺がんとは検査の種類や治療法が異なります

肺がんの種類 組織所見による分類 1 小細胞がん 2 腺がん 3 扁平上皮がん 4 大細胞がん 治療上の分類 小細胞肺がん 2~4 をまとめた非小細胞肺がん

肺がんの発生部位とタイプ がんができた場所による分類 肺門型 ( 中心型 ) 肺の入り口 ( 肺門 ) 近くにできたもの特徴 : 喫煙との関連が多い血痰が出ることがある このタイプの組織型に多いのは扁平上皮がん小細胞がん 肺野型 ( 末梢型 ) 肺門から遠いところ ( 肺野 ) にできたもの特徴 : 喫煙との関連が少ない 自覚症状が出にくい このタイプの組織型に多いのは腺がん大細胞がん

肺がんの特徴 / 小細胞肺がん 小細胞がん 小さながん細胞の集団に見える 顕微鏡で見たがん組織 特徴 原発性肺がんのおよそ 20% を占める 進行が非常に速く 悪性度が高い 放射線や抗がん剤に対する感受性が高い

肺がんの特徴 / 非小細胞肺がん 腺がん 非小細胞肺がん 扁平上皮がん 大細胞がん 顕微鏡で見たがん組織 写真 : 肺癌取扱い規約 1999 年 10 月 ( 改訂第 5 版 ), 金原出版 特徴 喫煙との関連は他のタイプに比べて少ない 肺の末梢に発生することが多い 血痰などの症状が出にくい場合が多い 比較的太い気管支から発生する 血痰等の症状が出現する割合が高い 喫煙との関係が深い ほかに分類できないものが混入するため 均一なカテゴリーとは言いにくい面がある

肺がんの検査と診断

肺がんの検査 初めに行う検査 肺がんが疑われたときに行う検査 ( 確定診断 ) 肺がんの確定診断が得られたときに行う検査 ( 病期診断 ) 胸部 X 線検査喀痰細胞診など 胸部 CT 検査 ( 胸部 CT のみでは確定診断にはなりません ) 気管支鏡検査経皮生検胸腔鏡検査縦隔鏡検査など 胸部 CT( 造影が望ましい ) 頭部 MRI CT 腹部 CT エコー骨シンチグラフィー PET など

アプローチの流れ肺がんの診断手順 問診 症候 症状 検査 理学所見 ( 視診 触診 打診 聴診 ) < まず 以下のような検査を行う > 胸部 X 線検査 喀痰細胞診 ( 胸部 CT 検査 ) など < 上記の検査で肺がんが疑われたとき > 確定診断の実施 気管支鏡検査 経皮生検 胸腔鏡検査 縦隔鏡検査など < 上記の検査で肺がんの確定診断が得られた場合 > 病期診断の実施 頭部 MRI CT 腹部 CT エコー 骨シンチグラフィー PET など 参考 : 肺癌 ( 南光堂 )P11~15

胸部 X 線検査 利点簡単に行える ( 約 1~2 分程度 ) 頻用されている腫瘍の位置がわかる 欠点ある程度の腫瘍の大きさが必要 約 2cm 以上死角になる部分が存在する 特徴 肺野末梢型肺がんには有用平面的にしか映らないため適切な条件設定が必要読影に経験が必要である

参考 胸部正面 X 線写真 正常な胸部 X 線写真 気管 鎖骨 心臓 右の横隔膜 ( この下に肝臓がある )

胸部 CT 検査 ( 胸部 CT スキャン ) 利点死角になる部分が少ない非常に淡い陰影 小型病変も発見可能 CT の撮り方 線源 欠点費用が高く 大掛かりな機器が必要放射線の被曝量が多い ベッドが移動 検出器 特徴 病変の存在診断において 最も有効な検査方法である 特に Multi-detector CT の出現によりさらに高分解能の画像が得られるようになった

ヘリカル CT ヘリカル (Helical) は ラセン を意味します ヘリカル CT では 管球が放射線を出しながら体のまわりを回転して断面像をつくります 従来型 CT ヘリカル CT 写真提供 : 東芝メディカルシステムズ株式会社

ヘリカル CT コードの絡まりを解決 連続回転が可能になった 連続したデータがとれる スピードが上がる 通常のスキャンとヘリカルCTによるスキャン A: 従来型 CT によるスキャン 寝台移動の方向管球回転の軌跡 X 線管 ブラシ スリップリング B: ヘリカル CT によるスキャン 寝台移動の方向 管球回転の軌跡 扇状 X 線 検出器 従来型 CT では特定の横断面を順次スキャンするが (A) ヘリカル CT では体軸を中心に連続的ならせん状のスキャンを行う (B)

ヘリカル CT 従来型 CT ヘリカル CT

Multi-detector CT( マルチスライス CT) スピードはさらに上がり 3 次元データーの収集ができる 空間分解能が向上し 人体を 3 次元で観察できる a: 従来の検出器 (1 次元検出器 ) 回転によって 2 次元データを取得可能 b: 多列検出器 (2 次元検出器 ) 回転によって 3 次元データを取得可能 Z 軸 ( 体軸方向 ) 多様化

参考 胸部 X 線検査と胸部 CT 検査 単純 X 線写真の死角をなくす CT 画像 単純 X 線写真像 CT 画像の見え方 衣服 気管 右肺 左肺 右肺 左肺 (A) A のレベルで胸の断面を見た CT 像 肺の病巣 ( 心臓の陰になって見えにくい ) 気管支 血管下行大動脈 右肺 心臓 左肺 肺の病巣 ( はっきり見える ) 上図の で示す部分の肺は 単純 X 線写真では心臓や横隔膜の陰になって見えにくいが CT( 下図 ) では足のほうから見上げた断面像なので 死角ができずはっきり見える 血管 血管下行大動脈

病理診断とは 病理診断には 細胞診と組織診がある 病理診断とは 画像診断で胸部異常影を認める部位から細胞や組織を採取し それを顕微鏡でみてがんかどうか診断することです がんの確定診断には 原則として病理診断が必要 細胞診 組織診 簡便で被験者の負担が少ない ( 検査対象は個々の細胞 ) 材料採取法として 喀痰細胞診 気管支鏡検査 ( 気管支鏡下穿刺 洗浄細胞診など ) 経皮的肺穿刺 (CT ガイド下穿刺 X 線透視下穿刺など ) 生検ともいわれ 細胞単体ではなく 組織構築を判断する ( 検査対象は各種生体組織 ) 材料採取法として 気管支鏡検査 ( 気管支鏡下生検など ) 経皮的肺生検 (CT ガイド下肺生検 X 線透視下肺生検など ) 縦隔鏡下肺生検 胸腔鏡下肺生検

肺がんの細胞診 喀痰細胞診 細胞診 痰 胸水中の細胞 および内視鏡や細胞採取用の針を用いて集めた細胞を顕微鏡で観察します 肺がんの確定診断をつけるためにとても有用な方法の一つです 喀痰細胞診 喀出された痰を集め 痰中に存在する細胞を調べる検査 肺がん診療において基本的な検査 被験者への肉体的苦痛が少なく 特に中心型早期がんの発見に有用 ( 喀痰細胞診 ) 写真 : 肺癌取扱い規約 1999 年 10 月 ( 改訂第 5 版 ), 金原出版

肺がんの細胞診 直接採取法 気管支鏡検査 気管支肺胞洗浄 (BAL) 経気管支的穿刺吸引細胞診 (TBAC) など経皮的穿刺 CT ガイド下穿刺 X 線透視下穿刺 胸水穿刺など 気管支鏡による細胞診 経皮的針細胞診

肺がんの組織診 組織診 組織診とは 1 個 ~ 数 10 個の細胞を検査する細胞診とは異なり 細胞とその周囲の間質 すなわち構造をもった組織片を採取し それを顕微鏡でみてがん細胞があるかどうかを調べることです 細胞診よりも侵襲的で合併症も多くなる 材料採取法として 気管支鏡検査 経気管支肺生検 (TBLB) など 経皮的肺生検 (CT ガイド下生検 X 線透視下生検 ) 縦隔鏡下肺生検 胸腔鏡下肺生検など ( 組織診 ) 写真 : 肺癌取扱い規約 1999 年 10 月 ( 改訂第 5 版 ), 金原出版

内視鏡検査 気管支鏡検査 気管支鏡検査とは 気管支に細くて軟らかい内視鏡を口や鼻から挿入し 気管支の中を観察したり 肺や気管支の組織 細胞や細菌をとって調べる検査です 利点局所麻酔で行えるため外来通院での検査が可能である 欠点組織採取のために出血 気胸 発熱などの症状が出ることがある 気管支ファイバースコープファイバーは細くてやわらかいため局所麻酔で行うことができる 写真提供 : オリンパスメディカルシステムズ株式会社

内視鏡検査 縦隔鏡検査 縦隔鏡検査とは 全身麻酔下で胸骨上部 ( 頭側 ) を切開し 内視鏡を挿入して 気管の周囲を観察し 縦隔のリンパ節などを生検する検査です 利点気管支鏡では不可能な気管の外側の観察や生検が可能 欠点全身麻酔を行うため入院が必要頸部に 2~3cm の皮膚切開が必要縦隔での処置や治療のために出血 気胸 発熱などの症状が出ることがある

内視鏡検査 胸腔鏡検査 胸腔鏡とは 通常 3 箇所 胸部を小切開し 胸腔内を観察します 専用の器具を用いての低侵襲な手術も可能で 自然気胸や肺の腫瘍などの呼吸器疾患に対して行います 通常は全身麻酔下で行うが 胸水を対象とした場合などは局所麻酔で行う場合もあります 利点気管支鏡では不可能な胸腔内や肺表面の観察や生検が可能 欠点一般に 全身麻酔で行うため入院が必要胸に小さな切開が必要胸腔内での処置や治療のために出血 気胸 発熱などの症状が出ることがある 胸腔鏡下手術 (VATS) 胸腔鏡で観察しながら肺の病巣を鉗子で切除する 胸腔鏡 鉗子

MRI(Magnetic Resonance Imaging; 磁気共鳴画像 ) 利点無侵襲 無障害の検査 ( 現在までの報告 ) 肺がんと結核腫の鑑別など 内部構造の判断に有用 欠点 CT に比較して空間分解能がやや低い時間と経費の点からも 胸部については X 線や CT をこえるものではない 写真提供 : 東芝メディカルシステムズ株式会社

PET PET 検査とは 陽電子を放出する核種で標識した物質を投与し その物質の代謝の違いに基づき画像化する新しい診断技術です 18 F-FDG( フルオロデオキシグルコース ) を投与 18 F-FDG= ブドウ糖 + 放射能 がん細胞は ブドウ糖が好き がん細胞は 正常細胞の 3~8 倍のブドウ糖を消費する脳細胞も同様なので 頭部に強い集積が見られる 脳にも集積が見られる がん細胞に FDG がたくさん集まって がんが光って見える 写真提供 : 東芝メディカルシステムズ株式会社 写真提供 : 医療法人社団ゆうあい会

参考 PET(FDG-PET) 検査の方法 薬剤を静脈内注射して 写真を撮るだけ 1 回の撮影 ( 約 30 分 ) で検査が可能 PET 検査の方法 1 4 時間程度の絶食の後 FDG を静注 2 1 時間ほど安静に 3 PET 装置の検査台に寝る 4 撮影開始 5 検査時間は約 30 分程度 * 検査終了後は普段通り生活ができる 市販の FDG 放射性医薬品基準フルデオキシグルコース (18F) 注射液 製品名 FDG スキャン R 注 ( 日本メジフィジックス社 ) FDG スキャン R -MP 注 ( 財団法人先端医学薬学研究センター ) 写真提供 : 東芝メディカルシステムズ株式会社 * 被曝量は従来の核医学検査より極めて少ない 体内に注入された放射性物質は 2 時間後には約半分になる

シンチグラフィー 放射線同位元素を用いて 病巣部を画像化する核医学検査 遠隔転移の状態をスクリーニングするのに有用 ガリウム タリウム テクネシウムなどが用いられている 写真提供 : 東芝メディカルシステムズ株式会社

肺がんの腫瘍マーカー 腫瘍マーカー体の中にがんができると 血液や尿中にマーカー ( 目印 ) となる物質が出てくることがあります その物質のことを腫瘍マーカーと呼びます 肺がんにおける腫瘍マーカーは 特異性や感受性に問題があり その利用はあくまでも補助的なもの 肺がんの主な腫瘍マーカー CEA SLX SCC CYFRA21-1 NSE ProGRP 特異性 ; 疾患のない症例で検査が陰性である割合 感受性 ; 疾患のある症例で検査が陽性である割合 診断 予後予測 再発の検出 治療の反応などについては一定の価値があり 肺がん診療の種々の局面で有用性がある

肺がんの腫瘍マーカー 腫瘍マーカー CEA 特徴 最も一般的な腫瘍マーカー 主に腺がんで上昇 予後因子としても有用である SLX 腺がんでやや陽性率が高い SCC 扁平上皮がんで 20~50% ほどの確率で高値を示す CYFRA21-1 扁平上皮がんで 60~80% ほどの確率で高値を示す SCC より陽性率が高く 正確である NSE 小細胞がんのマーカー ProGRP 小細胞がんのマーカー NSE と同じ程度の陽性率 再発を予測するために有効である Q&A 知っておきたい肺がん質問箱 100, メディカルレビュー社,2003 より

肺がんの腫瘍マーカー 腫瘍マーカーの使われ方 初診時 : がんの早期発見のために単独で用いることはない がんの疑いがある患者さんに対し 画像検査などと併用して使用 組織型 : おおよその組織型を推定できることがある 進行度 ( 病期 ): 進行度を推定できることがある しかし 数値が低い ( 陰性 ) からといって 必ずしも早期と言うわけではない 治療の効果 : 定期的に検査し変化をみることで 治療の効果をモニターすることがある 再発の発見 : 再発の可能性がある患者さんに対し 定期的に検査を行う その他 : 悪性胸水の鑑別診断や予後の予測の補助など

病期診断とは がんの進行度を確認するため 病期診断 (Staging) を行います 病期診断は 治療法を決定する上で重要な情報になります 病期診断 (Staging) における3つの因子 1. 原発巣 ( がんが発生した場所 ) の状況 :T 因子 2. リンパ節への転移の状況 :N 因子 3. 遠隔転移の状況 :M 因子 この 3 つの因子により がんの進行度を大きく 6 期 ( 潜在がん 0 期 ~Ⅳ 期 ) に分けられる 潜在がんと 0 期のがんは 極めて早期のがんであるため 見つかることは少ないのが現状である

病期診断における検査 原発巣の状況 (T 因子 ) の検査 主に胸部 X 線写真 胸部 CT 気管支鏡など リンパ節転移の状況 (N 因子 ) の検査 胸部 CT が最も重要その他 PET 縦隔鏡 胸腔鏡など 遠隔転移の状況 (M 因子 ) の検査 胸部 腹部の CT 脳 CT MRI 骨のアイソトープ検査 ( 骨シンチ :Bone Scan) PET など

病期診断原発巣の状況 :T 因子 (Tumor 原発腫瘍 ) 大きさだけではなく 周りの臓器への浸潤度を考慮して分類します TX T0 Tis 原発腫瘍の存在が判定ができない あるいは画像上または気管支鏡的には観察できない喀痰または気管支洗浄液中に悪性細胞が存在する 原発腫瘍を認めない 上皮内癌 T1 T2 T3 T4 腫瘍の最大径が 3cm 以下で 肺組織または臓側胸膜に囲まれており 気管支鏡的に癌浸潤が葉気管支より中枢に及ばないもの ( 即ち主気管支に及んでいない ) 腫瘍の大きさまたは進展が以下のいずれかであるもの 腫瘍の最大径が 3cm をこえるもの 主気管支に浸潤が及ぶが 腫瘍の中枢側が気管分岐部より 2cm 以上離れているもの 臓側胸膜に浸潤のあるもの 肺門に及ぶ無気肺あるいは閉塞性肺炎があるが一側肺全体に及ばないもの 腫瘍の大きさと無関係に 隣接臓器 即ち胸壁 横隔膜 縦隔胸膜 壁側心膜のいずれかに直接浸潤する腫瘍腫瘍が気管分岐部から 2cm 未満に及ぶが 気管分岐部の浸潤のないもの無気肺あるいは閉塞性肺炎が一側肺全体に及ぶもの 腫瘍の大きさと無関係に 縦隔 心臓 大血管 気管 食道 椎体 気管分岐部に浸潤の及ぶ腫瘍同一肺葉内に存在する腫瘍結節悪性胸水を伴う腫瘍 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

原発巣の状況 :T1 腫瘍の最大径 3cm 腫瘍は肺の中におさまっている 腫瘍の最大径が 3cm 以下で 肺組織または臓側胸膜に囲まれており 気管支鏡的にがん浸潤が葉気管支より中枢に及ばないもの ( 即ち主気管支に及んでいない ) 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

原発巣の状況 :T2 気管分岐部 最大径が 3cm をこえるもの 腫瘍の最大径 >3cm 腫瘍の浸潤は気管分岐部から 2cm 以上はなれている 主気管支に浸潤が及ぶが 腫瘍の中枢側が気管分岐部より 2cm 以上離れているもの 肺門 臓側胸膜 臓側胸膜に浸潤のあるもの 臓側胸膜に浸潤 肺門に及ぶ無気肺あるいは閉塞性肺炎 ( 片側の全体には及ばない ) 肺門に及ぶ無気肺あるいは閉塞性肺炎があるが一側肺全体に及ばないもの 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

原発巣の状況 :T3 壁側胸膜肋骨胸壁 横隔膜 縦隔胸膜 大きさと無関係に隣接臓器 即ち胸壁 (superior sulcus tumour を含む ) 横隔膜 縦隔胸膜 壁側心膜のいずれかに直接浸潤する腫瘍 気管分岐部 気管分岐部から 2cm 未満まで浸潤気管分岐部に浸潤はない 腫瘍が気管分岐部から 2cm 未満に及ぶが 気管分岐部に浸潤のないもの 一側肺全体に及ぶ無気肺あるいは閉塞性肺炎 無気肺あるいは閉塞性肺炎が一側肺全体に及ぶもの参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

原発巣の状況 :T4 食道へ浸潤他に縦隔 心臓 大血管 椎体に浸潤 気管 気管分岐部に浸潤 大きさと無関係に縦隔 心臓 大血管 気管 食道 椎体 気管分岐部に浸潤の及ぶ腫瘍 原発巣 転移巣 同一肺葉内に転移病巣悪性胸水 ( 胸水にがん細胞が混じっている ) 同一肺葉内に存在する腫瘍結節 悪性胸水を伴う腫瘍 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

T 因子の検査 T 因子は 主に胸部 X 線写真 胸部 CT および気管支鏡などで検査します 鎖骨 気管 黒い部分 : 空気が多く X 線の通りやすい部分 背中側の肋骨 大動脈の U ターンするところ 心臓から肺に出てくる血管 白い部分 : 筋肉や脂肪 骨など X 線の通りにくい部分 CT 心臓 中心にある白い部分 : 縦隔 右の横隔膜 ( この下に肝臓がある ) 胃および大腸の中にある空気 縦隔には心臓や大動脈があり さらに多くのリンパ節がある 気管支鏡 写真提供 : オリンパスメディカルシステムズ株式会社 肺がんの診断が確定していない時期に これらの検査を受けることも多いため T 因子に関しては病期診断と確定診断がほぼ同時に進行します

病期診断 リンパ節への転移の状況 : N 因子 (Lymph Node リンパ節の状態 ) リンパ節への転移状況を考慮して分類します NX 所属リンパ節が判定できない N0 所属リンパ節転移なし N1 同側気管支周囲および / または同側肺門リンパ節および肺内リンパ節転移で 原発腫瘍の直接浸潤を含む N2 同側縦隔リンパ節転移および / または気管分岐部リンパ節転移 N3 対側縦隔 対側肺門 同側または対側斜角筋前 または鎖骨上窩リンパ節転移 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

リンパ節への転移の状況 :N1 原発巣 同側肺門リンパ節に転移 同側気管支周囲に転移 肺内リンパ節に転移 同側気管支周囲および / または同側肺門リンパ節および肺内リンパ節に転移肺門リンパ節肺内リンパ節転移 : 転移 : 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

リンパ節への転移の状況 :N2 原発巣 気管分岐部リンパ節転移 同側縦隔リンパ節および / または気管分岐部リンパ節に転移縦隔リンパ節転移 : 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

リンパ節への転移の状況 :N3 斜角筋前リンパ節へ転移 鎖骨上窩リンパ節へ転移対側縦隔リンパ節へ転移 原発巣 対側肺門リンパ節へ転移 対側縦隔 対側肺門 同側または対側斜角筋前 または鎖骨上窩リンパ節に転移 縦隔リンパ節転移 : 肺門リンパ節転移 : 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

N 因子の検査 N 因子の検査では 胸部 CT が最も重要になります 胸部 X 線だけでは確認できなかった縦隔の内部構造が 胸部 CT によって明瞭にわかります 胸部 CT のほかにも 最近では PET がより感度の高い検査として注目されています 縦隔鏡 胸腔鏡といった侵襲的な手段で N 因子を確認する方法もあります

病期診断遠隔転移の状況 :M 因子 (Metastasis 転移 ) 遠隔転移の有無で分類します MX M0 M1 遠隔転移が判定できない 遠隔転移なし 遠隔転移がある ただし ( 同側または対側の ) 他肺葉に存在する腫瘍結節も含まれる 肺がんの遠隔転移は 脳 骨 肝臓 副腎 そして肺自身に多く発生します 治療法の決定の前に これらの臓器に転移があるかどうかを調べることは 非常に重要になります 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

遠隔転移の状況 :M1 原発巣 対側肺転移 肝転移 遠隔 ( 肝臓 骨 脳 副腎など ) に転移 肝臓 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

M 因子の検査 胸部 腹部の CT 胸部 腹部の CT は T 因子 N 因子の検査でも重要な役割を果たしますが 肺 肝臓 副腎の遠隔転移の検査にも使われます 写真提供 : 東芝メディカルシステムズ株式会社 胸部 CT

M 因子の検査 脳の CT MRI 骨のアイソトープ検査 脳の CT MRI 脳の病変を確認するためには CT が必須です 最近では 脳の検査に MRI を行う施設もあります CT および MRI は 造影剤を静脈内注射して検査を行います MRI 骨のアイソトープ検査 ( 骨シンチ Bone Scan ) 微量のテクネシウムという放射性同位元素 ( アイソトープ ) を注射し 一定時間後 アイソトープが病変に集まった後に γ カメラで全身を写します この物質は 骨 とくに腫瘍の部分に集まりやすい性質を持っています なお 放射線は人体に悪影響が出るほどの量ではありません 診断用核医学装置 骨シンチ 脳 CT

病期の決定 原発巣 (T) リンパ節への転移 (N) 遠隔転移 (M) のそれぞれの状況を確認後 それらを組み合わせることによって病期を判断します 病期の分類表 潜伏癌 TX N0 M0 0 期 Tis N0 M0 ⅠA 期 T1 N0 M0 ⅠB 期 T2 N0 M0 ⅡA 期 T1 N1 M0 ⅡB 期 T2 N1 M0 T3 N0 M0 T1 N2 M0 ⅢA 期 T2 N2 M0 T3 N1/N2 M0 ⅢB 期 Tは関係なし N3 M0 T4 Nは関係なし M0 Ⅳ 期 Tは関係なし Nは関係なし M1 参考 : 肺癌取扱い規約 2003 年 10 月 改訂第 6 版

肺がんの治療

肺がんの治療法 手術 切除可能な状況であれば 最も治癒の可能性が高い 局所療法 放射線療法 癌が局所にとどまっている場合には 手術に次いで 有効な治療法 治癒が望めない状況でも 症状緩和などに有効な治療法 全身療法 抗がん剤による薬物療法 ( 化学療法剤 分子標的治療薬等 ) 生存期間の延長や QOL の改善を目的として行われる

治療法の選択 がん細胞の種類 ( 非小細胞肺がん / 小細胞肺がん ) がんの大きさと広がり ( 進行度 ) によって治療法は異なります また 治療法は全身の状態などによって変更されることがあり 下記は一応の原則です 進行度 ( 病進行度 ( 病期 ) 非小細胞肺がん小細胞肺がん期 ) Ⅰ 期手術 Ⅰ 期手術 + 化学療法 Ⅱ 期手術限局型化学療法 + 放射線療法 ⅢA 期 一部は手術 (+ 化学療法 ) それ以外は化学療法 + 放射線療法 ⅢB 期 化学療法 + 放射線療法 進展型 化学療法 Ⅳ 期 化学療法 再発例化学療法または分子標的治療再発例化学療法

肺がんの治療手術療法

手術について 手術では 目標となった場所に存在する 肉眼で確認できる がん細胞のすべてを取り除くこと を目的とします 手術が適応となる条件 1) 手術で切除可能なところにがんが局所に存在すること 2) 手術に耐えられる体力があること 手術の対象になるがん 非小細胞肺がん :Ⅰ Ⅱ 期および ⅢA 期の一部小細胞肺がん :Ⅰ 期 これ以外の病期でも手術が試みられることはありますが 十分な根拠があるわけではありません

皮膚の切開法 右上葉切除の場合 手術をする場合 通常では背中側 肩甲骨の内側から肋骨に沿って斜め下 前の方向に切開します 肋骨は切り取ってしまうのではなく 押し広げるようにします

標準的な手術 肺葉切除術 がん病巣 右肺 左肺 5 つの肺葉 ( 右 3 つ 左 2 つ ) のうち どこかにがんが発生した場合 3 つの標準的な手術方法があります 肺葉切除術肺葉のどこかにがんが発生したときに その一つを取り除く方法 ( 図 ) 右上葉切除 縦隔リンパ節 肺門リンパ節 2 葉切除術右肺の場合 上葉と中葉 あるいは中葉と下葉の 2 つをあわせて取り除く方法 片肺全摘出術 がんが肺葉の根元付近にまで浸潤している場合 右肺あるいは左肺の全部を取り除く方法 片肺全摘出は手術後の肺活量の低下が大きく 身体への負担も大きいため 実施するかの判断は慎重になります

リンパ節の郭清 右肺 左肺 がん細胞はリンパ節に転移しやすいため 肺葉を切除しても肺門部や縦隔にあるリンパ節にがん細胞が残っている可能性があります そのため リンパ節の郭清を行います 縦隔リンパ節 肺門リンパ節 手順 : 切除後に残った肺を脇によけて 肺門部と縦隔のリンパ節を取り除く 取り除いたリンパ節については がん細胞の有無を病理検査によって調べる

縮小手術 がん病巣 右肺 左肺 がんが小さい場合は 区域切除 部分切除を行う場合があります がんの病巣部位だけをとる手術です 利点 : 切除する肺の部分が小さいため 手術後の肺活量の低下が軽減される 手術の負担が小さい 縦隔リンパ節 肺門リンパ節 欠点 : がん細胞が残ってしまう確率は高くなる 年齢や全身の状態 手術前のがんの状況によって選択されます

胸腔鏡手術 ( バッツ : VATS;Video Assisted Thoracic Surgery) 処置具 手術の方法 : 1. 胸部に穴を開けてファイバーを胸の中に入れ その先についた CCD カメラで胸腔の内部を観察する 2. 別に開けた穴から処置具を差し込んで手術を行う 多くの場合は全身麻酔で行うが 検査目的だけの場合は局所麻酔で行うこともある CCD カメラ 胸腔鏡 処置具 利点 大きく切らないため 傷が小さい 術後の痛みが少ない 身体への負担が少ない など 欠点 写真提供 : オリンパスメディカルシステムズ株式会社 出血した時の対応が難しい 医師の慣れが必要で かなりの熟練を要する 大量の出血があった場合は 通常の 開胸手術 に切り替えることがある

気管支形成術 がんが気管支に浸潤し かつ末梢肺にがんが無い場合 根元の気管支の一部分だけを切り取って残りをつなぐ手術 技術的には複雑になるが 肺の機能低下は軽減できる がん病巣 吻合

拡大手術 ( 隣接臓器の合併切除 ) 肺がんが周囲の組織に浸潤している場合 浸潤 ( 周囲にしみ出るように広がること ) している組織の一部も一緒に切除する手術 胸膜 心膜 肋骨などへの浸潤が代表的 ときに 大動脈 横隔膜を一緒に切除することもある 身体への負担が大きいため 判断には慎重を要する 熟練した外科医と肺がん専門のチームによるカンファレンスが必要

肺がんの治療薬物療法

非小細胞肺がんに用いられる主な抗がん剤 [ 一般名 ( 略号 )] 化学療法剤プラチナ製剤 プラチナ製剤以外 分子標的治療薬 シスプラチン (CDDP) カルボプラチン (CBDCA) イリノテカン (CPT-11) パクリタキセル (PAC TXL) ドセタキセル (DOC TXT) ビノレルビン (VNR) ゲムシタビン (GEM) マイトマイシンC(MMC) ビンデシン (VDS) アムルビシンテガフール ウラシル配合剤 (UFT) フルオロウラシル (5-FU) TS-1 ゲフィチニブ

化学療法について 化学物質を基にした薬剤で がん細胞の DNA 合成に必要な代謝物や DNA 合成を直接阻害して がん細胞を死滅させることを目的とした治療法を化学療法といいます 化学療法により 生存期間の延長や QOL( 生活の質 ) の改善が認められます 抗がん剤が肺がんに対して有効であるということ 医学的に 有効 とは がんの大きさが半分以下になり その状態が 4 週間以上続くことをいいます

非小細胞肺がんに対する分子標的治療薬 ( ゲフィチニブ ) による治療 作用機序 がん細胞は自分自身が増殖することで大きくなり 病気を悪化させます 増殖 EGFR: 上皮成長因子受容体 癌細胞 細胞膜 がん細胞の表面には EGFR( 上皮成長因子受容体 ) と呼ばれるタンパク質がたくさん発現していることが多く このタンパク質からの信号が細胞内に伝わるとがん細胞が増殖します ゲフィチニブはがん細胞を直接攻撃するのではなく この信号の伝達を止めることで がん細胞の増殖を抑える または がんを小さくすると考えられていますが 詳細はまだわかっていません ゲフィチニブ ゲフィチニブ

非小細胞肺がんに対する薬物療法の適応 手術のできない Ⅲ 期の場合は 放射線療法と化学療法の併用が勧められます 放射線が使用できない場合 ( 胸水がたまっている 放射線をあてる範囲が広すぎる場合など ) には 抗がん剤の単独治療を行います 手術で取りきれる範囲を超えている Ⅳ 期の肺がんには 抗がん剤が治療の主体になります 抗がん剤の対象になる非小細胞肺がん 一部の Ⅲa 期 Ⅲb 期 Ⅳ 期

非小細胞肺がんに対する抗がん剤治療 初回治療 75 歳未満で全身状態が良好な場合 : シスプラチンを含む 2 剤併用療法が強く勧められる シスプラチンとの併用には 塩酸イリノテカン ビノレルビン ゲムシタビン パクリタキセル ドセタキセルが強く勧められる シスプラチンの毒性が懸念される場合 : シスプラチンを含まない2 剤併用療法も選択肢となり得る 初回治療に無効または再発した場合 前化学療法でプラチナ製剤単独もしくは それを含む併用化学療法に無効 あるいは再発した患者にはドセタキセルの投与を行うよう勧められる 分子標的薬剤 上皮成長因子受容体 (EGFR) のチロシンキナーゼ阻害剤の投与を勧めるだけの根拠は明確でない 参考 : 肺癌診療ガイドライン 2005 年版

小細胞肺がんに対する薬物療法 小細胞肺がんは非小細胞肺がんに比べ 化学療法剤による効果が得られやすいため 化学療法が治療の主体となります 治療により 限局型の約 90% 進展型の約 80% の患者さんにおいて がんの大きさを半分以下に縮小させることが可能です 限局型の約 30~40% 進展型の約 10~20% の患者さんにおいては がんがほぼ消失した状態になります ただし 多くの患者さんは治癒せず 次の治療が必要となります 通常の検査でわからないくらいになった場合は その状態が2~3 年以上続くと 再発の危険性は大きく減少します

[ 一般名 ( 略号 )] 化学療法剤小細胞肺がんに用いられる主な抗がん剤 プラチナ製剤 プラチナ製剤以外 シスプラチン (CDDP) カルボプラチン (CBDCA) イリノテカン (CPT-11) エトポシド (ETP VP-16) シクロホスファミド (CPA CPM) ドキソルビシン (DXR ADR) ビンクリスチン (VCR) ノギテカンアムルビシン

進展型小細胞肺がんに対する抗がん剤治療 初回治療 シスプラチンとエトポシドの併用療法は標準的治療として行うよう強く勧められています シスプラチンと塩酸イリノテカンの 2 剤併用療法は標準的治療として行うよう勧められています 全身状態が悪い患者に対しても単剤 ( 経口エトポシド ) より多剤併用療法を行うよう強く勧められています 再発した場合 標準的治療はないが 前治療終了後 90 日以上経過後に再発したものは 再発小細胞肺癌の化学療法にも効果が高い傾向にあり 初回化学療法と同様のレ ジメンを行う余地があるが 勧めるだけの根拠は明確ではありません 参考 : 肺癌診療ガイドライン 2005 年版

抗がん剤による副作用 抗がん剤には表のような副作用があります 治療の際には 注意すべき副作用などを主治医とよく話し合い 治療を始めることが大切です 主な副作用と発現時期 発現時期 主な副作用 投与日 アレルギー反応 アナフィラキシー 血圧低下 頻脈 不整脈 めまい 発熱 血管痛 耳下腺痛 吐き気 嘔吐 ( 急性 ) 2~3 日 全身倦怠感 食欲不振 吐き気 嘔吐 ( 遅延性 ) 7~14 日 14~28 日 口内炎 下痢 食欲不振 胃部重感 血液毒性 ( 白血球減少 好中球減少 血小板減少 貧血 ) 臓器障害( 骨髄 内分泌腺 生殖器 心臓 肝臓 腎臓 膵臓 ) 脱毛 皮膚の角化 肥厚 色素沈着 神経障害( 手足のしびれなど ) 免疫不全 膀胱炎 2~6 ヵ月 肺線維症 うっ血性心不全 Q&A 知っておきたい肺がん質問箱 100, メディカルレビュー社,2003 より

抗がん剤による主な副作用とその対策 骨髄抑制 ( 血液毒性 ) 骨髄抑制 ( 血液毒性 ) 対策 ほとんどの化学療法剤に認められる副作用で 化学療法施行時には必発します 程度は患者の全身状態 栄養状態 年齢 腫瘍の進展範囲 骨髄浸潤の有無 前治療歴 併用療法などに影響されます 時には生命に関わる重大な合併症となります 白血球 ( 好中球 ) 減少症 白血球 ( 好中球 ) が過度に減少すると感染症にかかりやすくなる 血小板減少症 血小板が過度に減少すると簡単に出血しやすくなり 血が止まりにくくなる 白血球 ( 好中球 ) 減少では 感染症対策が重要となる また 重篤な合併症を伴う発熱性好中球減少に対しては G-CSFの使用を考慮する 発熱時には病態把握のための検査を行うとともに 菌の同定を待たずに適切な抗菌剤を投与する必要がある 血小板の減少には 血小板を輸血するのが一般的 がん診療レジデントマニュアル第 4 版医学書院プラクティカル内科シリーズ 1 肺癌南光堂

抗がん剤による主な副作用とその対策 消化器症状 消化器症状 ( 悪心 嘔吐 下痢 口内炎など ) 頻度が高く 重症となればQOLが低下し 治療を中止せざるを得ないこともあります 悪心 嘔吐 がん化学療法の副作用の中で 最もつらい症状の1つ 持続すると脱水 電解質異常や低栄養を引き起こす 下痢 悪心 嘔吐に比べれば苦痛は少ないが QOLの低下 高度の脱水 腎不全 電解質異常 循環不全 重感染症などを起し 致命的となることがある 口内炎 がん化学療法の約 40% にみられ 疼痛のみならず 食事摂取低下や治療継続意思低下を引き起こしQOLを大きく損なう 対策 悪心 嘔吐には ステロイドと 5-HT3 受容体拮抗剤という薬剤を抗がん剤投与前に投与する 強い悪心 嘔吐を引き起こす薬剤については 投与前にステロイドと 5HT3 受容体拮抗剤を併用投与する 下痢には 整腸剤のほかロペラミド オクトレオチドなどが使われる 口内炎の治療は確立されていないため 口腔内の清潔と口腔内感染症の防止といった予防が非常に重要である がん診療レジデントマニュアル第 4 版医学書院プラクティカル内科シリーズ 1 肺癌南光堂

抗がん剤による主な副作用とその対策 心毒性 心毒性 ( 心不全 不整脈など ) 発現頻度は低いが不可逆的である 診断が遅れたり 対応を間違えると症状が進行し 重篤となるため 注意深い観察が必要です 心毒性を起こす薬剤として アントラサイクリン系薬剤 ( ドキソルビシンなど ) が代表的であるが それ以外の薬剤でも起こります 対策 確立した治療法がないため 対症療法が主体となる 患者の状態 抗がん剤の種類 併用薬の有無など 個々のリスクファクターを考慮し投与量 投与方法の変更 定期的なモニタリングにより対処していくことが重要である がん化学療法の副作用と対策中外医学社癌化学療法副作用対策のベスト プラクティス照林社

抗がん剤による主な副作用とその対策 肺毒性 肺毒性 ( 急性肺障害 間質性肺炎など ) 対策 一度発症すると治療が中断され 時に死に至ることもあるため 十分に注意すべき副作用です ほとんど全ての抗がん剤で起こる危険性があります 早期発見 早期対応が重要です 初期症状としては かぜの様な症状 ( 息切れ 呼吸がしにくい 咳 発熱など ) がみられます 治療前に胸部 CT 検査を実施し 肺の機能などを十分に検討する必要がある 抗がん剤投与にあたっては 常に肺毒性発症の可能性を念頭に置き 定期的な胸部聴診 胸部 X 線 臨床検査を実施する必要がある 肺障害が疑われた場合には 被疑薬物の投与を中止し 診断に必要な検査を迅速に行う 発症時にはステロイド薬の投与を中心とした治療が行われる 癌化学療法副作用対策のベスト プラクティス照林社

抗がん剤による主な副作用とその対策 神経障害 脱毛 神経障害 対策 脱毛 対策 他の毒性に比べて一度症状が出現すると長期化し かつ不可逆性となる場合が多いです 根本的な治療法や治療薬はない 早期に症状を発見し 原因となる薬剤を中止あるいは減量することが基本となる 末梢神経障害に対してはビタミン薬を投与が行われるが 効果は確立していない 身体的な面で重症となることは少ないが 直接目にする有害反応であるため 心理的な影響 QOL への影響が大きい ほとんどの抗がん剤が原因となり得ます 脱毛の予防法は確立されてはいない 頭皮冷却法 頭皮絞め付け法などや 発毛剤の投与も試みられているが 予防に関する有用性は認められていない 脱毛に対する有効な治療法はないため 頭皮の保護や容姿を整える意味で 帽子 スカーフ バンダナなどを着用する場合が多い 癌化学療法副作用対策のベスト プラクティス照林社