様式 2 地域食品ブランド表示基準 1. 名称 沖ヶ浜田の黒糖 ( おきがはまだのこくとう ) (1) 名称の由来種子島ではサトウキビの搾汁液を濃縮して固形化したいわゆる含蜜糖を 黒糖 と呼んでいる このうち 特に種子島西之表市の沖ヶ浜田集落で製糖されたものに産地の地名を冠して 沖ヶ浜田の黒糖 と称している 2. 産地 (1) 範囲鹿児島県西之表市の沖ヶ浜田集落 サトウキビ原料については沖ヶ浜田集落およびその周辺 ( 安納 伊関地区 ) を含む (2) 範囲の設定根拠かつて種子島全域に存在した小規模含蜜糖工場 砂糖小屋 は分蜜糖工場の台頭で消滅し 現在も伝統的な製法で操業しているのは沖ヶ浜田集落内の 2 カ所のみである これらの 砂糖小屋 では 黒糖の品質を高めるため原料であるサトウキビの品質にこだわり 加工者自らが原料生産を行う一貫生産を実施している その高品質原料生産の基本の一つが栽培圃場の限定で その圃場は沖ヶ浜田集落を含む伊関 安納地区内にある 3. 歴史的伝統性種子島は南西諸島の最北端に位置し 現在ではサトウキビ栽培が経済的に成立する北限にあたる ここでサトウキビ栽培が始まったのは 1825 年とされる 当時の製糖技法についての資料はみあたらないが 種子島には沖ヶ浜田をはじめとして 古くから製塩が行われており 海水を濃縮して塩を得る伝統技法が存在した こうした技術を活用し 黒糖製造が開始されたものと考えられる 明治時代には馬や水車を利用して圧搾したサトウキビの搾り汁を 3 連の鍋が設置された釜用いて薪で煮詰めて黒糖を製糖する方法が確立しており こうした昔ながらの製糖は昭和 30 年頃まで続き 砂糖小屋 の数は戦後の最盛期には 300 にも及び 全島いたる所で 砂糖小屋 の煙突が見られた しかし 急増した 砂糖小屋 で製造された製品は品質が安定せず貯蔵性が劣ったことから 種子島にもより効率的な分蜜糖製造工場が導入されるに至った 輸入黒糖の急増と共に 分蜜糖工場の拡大に従い 砂糖小屋 は次第にその数を減らし 昭和 50 年代には沖ヶ浜田の第 31 組合の 砂糖小屋 を残し すべて消滅した 砂糖小屋 での製糖は複数のサトウキビ栽培農家による共同作業で行う 沖ヶ浜田第 31 組合では 作業は分業化されており 原料の搾汁 濃縮 製品化 製造物の整理 仕分けのそれぞれの行程の各部署で熟練した作業が行われている 特に 濃縮 製品化の行程では原料品質に対応した石灰乳投入量の決定と濃縮最終段階の見極めが重要で 糖液の色 泡の立ち方 粘りなどを豊富な経験に基づく熟練の判断によって製糖が実施されている こうして製造された黒糖は 砂糖小屋 が乱立していた頃の乱造品とは異なる高品質製品として高く評価されている 近年の健康ブームや消費者の自然食品への回帰を背景に含蜜糖の消費量は伸びている こうした中 高品質な沖ヶ浜田の黒糖は需要が多く 製品への引き合いも多い 製品価格を適性に保つことができることから 黒糖製造は魅力的な産業として改めて見直されている このような状況の下 沖ヶ浜田では伝統技法を継承し 地域の活性化にもつなげようと 若い世代が閉鎖されていた第 34 組合を復活し 伝統製法を維持しつつ品質にこだわった黒糖製造に取り組みを開始した これらの 砂糖小屋 で製造された 1
沖ヶ浜田の黒糖 は その 90% が島内で消費されているが 伝統技法を継承と地域の活性化には 生産者の所得向上も欠かせないことから沖ヶ浜田の生産者組合では島外出荷の販路拡大に取り組んでいる なお 明治以後の製糖業は許可制で大蔵省より許可された番号があり 沖ヶ浜田の黒糖小屋は今でも この時の番号を用いて 31 号組合及び 34 号組合と称している しかし 当時 約 300 組合もあった黒糖小屋は 近年 31 号正会員の 4 世帯だけとなったが この機械化されていない熟練の技を守り続けるために 3 年ほど前から 34 号組合を稼動させ 後継者育成にも力を注いでいる このように後継者を育てていく一方 現在生産される沖ヶ浜田黒糖のほぼ 90% は島内消費であるため 生産者所得を向上させるためにも 今後は島外出荷の販路拡大が必要であるため 現在 その取組を実施している 4. 食品の独自性 (1) 食品特性黒糖の食品としての栄養価は既知のとおりであるが 沖ヶ浜田の黒糖 の特徴はその品質にある まず 製品の外観として 黒糖 からイメージする黒ではなく 緑がかかった明るい黒色 である これは 不良原料によって生じる赤味を徹底的に排除し 製造工程の最終段階で 焦げ によって生じる黒味を徹底的に排除した結果である 焦げ はカラメル臭の発生につながり 黒糖本来の風味を壊す原因となる 硬さは黒糖としては最も硬い部類に属するが 結晶が細かいため 口元で崩れやすく食べやすい これは 濃縮を焦げるぎりぎりまで行い 水分を可能な限りの除くこと および 冷却の過程で撹拌を十分に行うことで実現されている 低い含水率は黒糖の貯蔵性 すなわち賞味期限にも関係しており 含水率の低い 沖ヶ浜田の黒糖 は 1 年間常温で保存しても吸湿や糖蜜の降下 褐変などは全く見られない この他 後述の原材料の生産でも製品品質の底上げを図っており 単一原料によらないこだわり原料のブレンドによって香り 風味が整えられ 渋みなど深みのある甘に仕上げられている (2) 原材料の特徴原材料は生産者自らが栽培したサトウキビである サトウキビを栽培する圃場は糖分が高く 黒糖の仕上がりのよい赤ホヤ圃場で栽培する 赤ホヤとは九州南部地域のガラス質の火山灰土をさすが 種子島では 赤黄色の火山灰土の圃場を赤ホヤ圃場と呼んでいる アカホヤ圃場で栽培したサトウキビは黒色の火山灰土 黒ボク で栽培したサトウキビに比べ サトウキビに含まれるショ糖の含有率が高くなることが明らかにされている 栽培にあたっては 収量を重視する一般のサトウキビ栽培とは一線を画し 高品質原料生産のために投入量を押さえた栽培管理を実施している 栽培する品種は黒糖製品の品質に重点を置き 栽培しやすく黒糖の風味がよい NiF8( 農林 8 号 ) を主体に 古い品種で収量やショ糖含有率はやや低いが明るい緑色に仕上がる NCo310 や 古今のサトウキビ品種を用いている これらの品種は収穫時期や圃場による品質の違いを見極めつつ製品のばらつきをなくし 一定程度以上の品質が維持されるよう製糖時にブレンドされる (3) 原材料の使用理由黒糖製品の良否や製造時の作業性にはサトウキビ原料のショ糖含有率が大きく関係している ショ糖含有率が低いサトウキビから得た糖液は ショ糖以外の成分である 糖蜜 の含有率が相対的に高くなる ここにはショ糖を分解する酵素や有機酸のほか カリウムなどの灰分が含まれている カリウム含有率が高まると塩辛い食味となることが報告されており 塩辛みは 沖ヶ浜田の黒糖 では好ましい食味ではない こうした糖蜜の多い糖液で製糖を実施すると 不純物の沈殿化とショ糖の分解を防ぐために投入する石灰乳の投入量を増やす必要が出てくる 石灰は黒糖のえぐみの強さに関連しており ショ糖含有率の低い原料で製造した黒糖は結果としてえぐみの強い黒糖となるリスクが高まる また 糖蜜成分の多い糖液では濃縮の最終段階で水分を十分に蒸発させることが難しくなることから 濃縮の遅延が 焦げ につながり 製品にカラメル臭をもたらすことが危険が高まる 2
このように 原材料は製糖行程での仕上がりの良否にも影響することから 栽培圃場 栽培管理 品種にこだわり 品種の特徴を生かしたブレンドが実施されている (4) 製法の特徴 工程内容 1 サトウキビ収穫 自ら栽培したサトウキビを手刈りで丁寧に脱葉する ( 残葉で味が落ちる ) 2 圧搾 直径 45 センチのロールを 3 基備えた電動圧搾機で絞る 搾り汁は 一旦タンクに貯蔵される 搾り汁はが 搾ってから 1 時間以内に加 熱行程に投入される 3 加熱 濃縮 加熱 濃縮は一つの長形の竃に方形の大鍋 3 個を連結した釜で行 う 薪だけを燃料に 3 連の大鍋で移し変えながら およそ10% まで濃縮させる 最初に加熱し沸騰した直後に少量の石灰 ( 生石灰 ) を加え 中和させる また 100 から約 110 まで一番釜 ( 鍋 ) で攪拌しながら過熱する際 丁寧にアクと呼ばれる沈殿物を網ですくい除去する 二番釜 ( 鍋 ) では凡そ115 まで加熱するが その間もアクやゴミをすくい除去する 三番釜ではかき混ぜながらさらに水分を蒸発させ 温度を凡そ125 まで上げる このような作業は頭領の指揮下でタイミングが決められる 4 冷却 形成 大鍋に移し 攪拌しながら練り上げることで空気を含ませる 攪拌 時間なども練りあがりを見て決める 形成は木製の枠に流し込む カタ の状態 もしくは 枠を使用せず バラ の状態で仕上げ る 5 包装 砂糖小屋 で作られた黒糖は十分に余熱を取るため 24 時間程 度置いたものを 包装する 包装する部屋は外からごみや不純物が 混入した独立した個室の中で行われる なお パッケージデザイン は 種子島に移住したサーファーのデザイナーが新しい感覚を生か 3
した特長のあるデザインとなっている (5) 品質 衛生管理基準 1) 品質管理 工程内容 原材料 サトウキビ収穫時に原料を 1 本 1 本精査し 折れ 虫害 病害等によって不良となった原料を排除する 原材料の運搬 保管 原材料に土壌等の不純物が混入しないよう清浄なシートに包み運搬 管理する 製造工程 製造後 搾汁液は速やかに製糖行程に投入し 搾汁当日に黒糖までの行程を終える 使用機材を温湯で洗浄し 清浄化と殺菌を実施する また 製造後の製品は速やかに清浄な保管 輸送用容器に移して封をする 2) 衛生管理 工程内容 1 圧搾葉やバガス その他不純物が混入しないように搾り汁を網で濾す 2 加熱 濃縮 ひしゃくやかき混ぜ棒などの全ての道具は熱湯殺菌されたの 特に長年使用し続けているものが多く 煮沸洗浄を行っている 黒糖の味はサトウキビに大きく左右されるが それぞれのサトウキビの出来具合に合わせて頭領の熟練した経験によって 微妙な石灰量の調整がなされている また 火加減や加熱時間も一切計器を使用せず 仕上げまでのタイミングは作業員の熟練した経験によるもの 5. 生産量 (1) 全体の生産 単位 :kg 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 平成 19 年 生産量 ( 全体 ) 5,000 5,250 7,700 10,500 13,300 資料 : これまでに統計資料がなく ここに示されているものは推定値です 今後は 具 体的に数値を示すことが可能となります また 本場の本物に該当する商品は これから となりますが およそ全体の50% が対象となり 業務提携など販路拡大に伴い 対象量 が増えると予想されます 4
(2) 該当商品の生産量 ( 商品の全体量のなかで 本場の本物 に該当する商品 ) 単位 :kg 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 平成 19 年 生産量 5,000 5,250 7,700 10,500 13,300 ( 該当商品 ) 資料 : 同上 6. 製造団体 製造企業等 ( 本場の本物 に該当する商品を製造できる団体 企業名 ) 団体 企業名従業員数住所 沖ヶ浜田 31 号黒糖生産組合 8 世帯鹿児島県西之表市安納 3792-1 沖ヶ浜田 34 号黒糖生産組合 8 世帯鹿児島県西之表市安納 3793-1 7. 該当商品名 ( 本場の本物 に該当する商品名 ) 商品名製造者名 ( 製造団体 製造企業等 ) 沖ヶ浜田の黒糖 沖ヶ浜田の黒糖 沖ヶ浜田 31 号黒糖生産組合 沖ヶ浜田 34 号黒糖生産組合 8. 業界取りまとめ団体 団体名 ( 代表者役職名氏名 ) 沖ヶ浜田黒糖生産者組合 住所 鹿児島県西之表市伊関 1115 ( 事務局長野広美 ) 9. 識別マークの貼付と管理識別マークに関する管理については マークの貼付の数を把握し 該当商品以外には貼付しないよう 当生産組合が指導 管理するものとする 10. 第三者認証該当商品を製造している 31 号 34 号生産組合については 取りまとめ団体である生産組合が日頃 管理することにするが 年 1 回は県の公設試験場等に第三者認証をお願いすることにする 11. 参考 ( 社会的評価 ) 雑誌 暮らしの手帖 / 誠実な食品 に掲載 雑誌 dancyu に掲載 DVD MBC 放送及び日本テレビ取材番組に掲載 日本橋三越の催事場で 沖が浜黒糖 販売 三越催事 後世に残したい巧みの味 展出展 5
12. 添付書類 1 生産が行われている場所 ( 施設 ) の所在地を示す資料が添付されていること 2 商品に冠された地名が旧地名であり 現在 当該地名が住居表示に使用されていない場合 現在の地名との関係が分かる資料が添付されていること 3 製品概要 生産範囲 製品特性 製法 ( 含工程図 管理図 ) 社会的評価 生産量等に関する記載内容の妥当性を示す資料 ( 含写真 ) が添付されていること 4 製品特性や製法に関して記載された内容で実際に生産が行われていることを示す資料が添付されていること 5 業界取りまとめ団体に係る登記簿謄本 定款又は寄附行為の写し又は規約 直近の総会資料が添付されていること 6 当該とりまとめ団体に属さない事業者による同一食品の生産がなされている場合 当該事業者の活動規模等が分かる資料が添付されているか 6