補完代替医療は一般社会前倒しに! CAM メタボ予備群 がんサバイバー 東日本大震災支援の特徴 1 津波に続いて原発事故による精神的 身体的影響と 長期の疎開による社会的影響 究極のストレス状態 医療費削減 2 医師不足 診療所閉鎖など医療崩壊が進行していた地域 3 高齢社会を直撃した自然災害 ( 高齢者人口岩手県 26.3% 気仙沼市 3.1%) 4 広範囲にわたる被害地域 ( 阪神淡路大震災 45km 東日本大震災 45km ) 国立補完代替医療センター : 名称変更 National Center for Complementary and Integrative Health(NCCIH) 東日本大震災は近代西洋医学万能説を覆した! - 阪神淡路大震災と全く様相を異にしていた!- Complementary: 補完 Integrative: 統合 Health: 健康 衛生 広範囲にわたって ライフライン ( 電気 水 ガスなど ) が絶たれた 近代西洋医学は十分に能力を発揮できなかった エコ医療 ポイント :Alternative( 代替 ) が削除されている! 津波に続いて原発事故による 精神的 身体的影響と 長期の疎開による社会的影響 究極の交感神経の緊張状態薬剤が無効! 心身医療 * * 統合医療の要素である CAM の漢方 鍼 ヨーガ マッサージ アロマテラピー 音楽療法等 被災者のストレスを緩和し 癒しに大いに役立った From 214, Dec. 17 広範囲にわたって高齢社会を直撃した 治療中心から予防 健康中心へ自分の健康の自己管理 予防医療セルフケア 帝京大大野智先生より借用 日本の医療は果たして これでよいのか? 新たな医療モデルが求められている! こころのケアーチーム 赤ジャンパーで避難所へ臨床心理士が大活躍 8:3 9:3 スケジュールの確認 9:3 12:3 市役所 / 避難所訪問 12:3 16: 昼食 / 視察 / まとめ 17: 2: 避難所訪問 / まとめ 8
喘息 2% MPS 3% 全身倦怠感 5% 上肢痛 2% 大腿部痛 5% 頭痛 4% 被災地での愁訴は? 背部痛 2% 頚部痛 5% 不眠 3% 肩痛 6% 胸痛 2% 肘痛 1% 腰下肢痛 6% 殿部痛下痢 眼精 1% 1% 疲労 1% 膝痛 7% 腰痛 29% 肩こり 15% 花粉症 1% 従来の医療システムの終焉 インパクト 1.: 健康 概念の意味の転換病気と認められないこと 心身の状態に応じて QOL が最大限に確保された状態 インパクト 2.: 保健 福祉サービスの相対的な役割の必要性の増加生活改善による疾病予防の意味合いが大きくなる インパクト 3.: 新たな健康システムの形成予防 治療 生活支援を統合的に行うことで健康を達成しようとする新たな社会システム ( 包括ケアシステム ) 猪飼周平著 病院の世紀の理論 より 引用 大槌高校での治療風景 鍼灸治療風景 医療モデルの変化と推移 2 世紀 21 世紀 Cure 疾病治療型 ( 病院完結型 ) Ex. 感染症 栄養障害 外傷治療が目標! Care 生活支援型 ( 地域包括ケア型 ) Ex. 生活習慣病 認知症 QOL が目標 時の流れ アロマセラピーチーム 支援内容 ラベンダーサシェ ( におい袋 ) の配布 コミュニケーション アロマハンドトリートメント ( 避難者 医療従事者 ) つまり 日本の現状は? 少子 超高齢社会に伴い 労働者人口 ( 納税者 ) は減少し 国民医療費及び介護費用は増大傾向である 経済発展による物質的豊かさに伴う 近代西洋医学の発展により 日本国民の平均寿命は延びた しかし 疾病構造の変化に伴い 日本の医療モデルの主流は 治療による疾病治療型 ( 病院型 =2 世紀モデル ) から 日常介入 ( 慰安も含む ) による予防 健康増進の生活支援型 ( 地域包括ケア型 =21 世紀モデル ) へとパラダイム ( 枠組 ) シフト ( 移行 ) している 小野直哉先生より借用 9
今世紀の新たな健康システム CAM から IM (Integrative Medicine) へ QOL という目標の下に統合された包括ケアシステム 医療 ( 病院 ) CAM から全人的統合医療へ 保健 ( 公衆衛生 ) QOL 福祉 ( 介護など ) 今世紀の新たな健康システム QOL という目標の下に統合された包括ケアシステム 医療モデル 社会モデル 統合医療 保健 ( 公衆衛生 ) 医療 ( 病院 ) QOL 福祉 ( 介護 ) 統合医療とは? (Integrative Medicine) 近代西洋医学を前提として これに補完代替療法 (CAM:Complementary & Alternative Medicine) や伝統医学等を組み合わせて 更に QOL(Quality of Life: 生活の質 ) を向上させる医療であり 医師主導で行うものであって 場合により多職種が協働して行うもの 統合医療 のあり方に関する検討会 ( 平成 24-25 年 ) 国際障害分類における障害モデル 統合医療の役割と意義 疾病 1) 機能障害 2) 能力障害 3) 社会的不利益 impairment disability handicap 例 ): 脳卒中 ( 疾病 ) によって 手の麻痺 ( 機能障害 ) が残り そのために字を書くことができず ( 能力障害 ) その結果人々とのコミュニケーションに困難が生じた ( 社会的不利益 ) 医療モデル ;( 急性期 ) 治療による回復を目指す 社会 ( 生活 ) モデル ;( 慢性期 ) リハビリによる機能障害の緩和 代替法 ( 口を使う ) 他者の支援で字が書ける 等 我々には疾病により障害を受けたとしても 良好な生活 (QOL) を再建できる様々な方法がある このモデルはそのまま 高齢者に対する福祉にも適応される 猪飼周平著 病院の世紀の理論 より 引用 現代西洋医療 + 全人的医療 有機的癒合 統合医療 補完代替医療 + 科学的根拠 ( エビデンス ) 1
統合医療とは? F(x) = F(x) = F(x) = F(x) = ( こころ + からだ ) dx 心身一如 全人的医療 ( 西洋医学 + 東洋医学 )dx ( 未来医療 + 伝統医療 )dx ( 心身に対する医療 + 環境を考慮した医療 )dx 五感に関わる医療 64 統合医療とは? オーケストラのようなもの! 統合医療でなければ対応できない病態がある! 現行医療の限界! がんサバイバー PTSD 認知症 ------- 統合医療的アプローチ - 阪大病院での臨床試験の紹介 - (1) メタボリック症候群に合併したがん患者に対する 未来医療的アプローチを含む統合医療による介入試験 (2) 大規模災害に対する統合医療的アプローチ (3) 線維筋痛症に対する 統合医療的アプローチによる介入試験 ~215.9 統合医療とは? JR 福知山線脱線事故 弦楽器 ( 第 1 2 バイオリン ) オーケストラのようなもの! 打楽器管楽器 ( 木管 金管 ) 弦楽器 ( ビオラ チェロ コントラバス ) 25, 4.25, 9:18AM 死者 17 人 負傷者 562 人 先頭の 2 両が塚口駅 尼崎駅間の曲線で脱線 線路脇のマンションに激突した 指揮者 11
臨床試験 外傷後の後遺障害患者に対する補完代替医療を取り入れた統合的な介入プログラムの実施可能性ならびに影響要因の検討 (1) 211 年 8 月 23 日 大阪大学医学部付属病院臨床研究倫理審査委員会で承認 : 第 1 期臨床試験終了 11 名 (JR 福知山線関連は 9 名 ) 外傷後の後遺障害患者に対する補完代替医療を取り入れた統合的な介入プログラムの実施可能性ならびに影響要因の検討 (2) 212 年 8 月 1 日 同臨床研究倫理審査委員会で承認 : 第 2 期臨床試験終了 外傷後の後遺障害患者に対する補完代替医療を取り入れた統合的な介入プログラムの実施可能性ならびに影響要因の検討 (3) 213 年 8 月 1 日 同臨床研究倫理審査委員会で承認 : 第 3 期臨床試験終了 大阪大学医学部附属病院で臨床試験が行われた 一般保険医療が新たに必要な者 もしくは一般保険医療を受けているが 治療途中で状態が落ち着いていない者は除外した 試験スケジュール 1 回 2 回 3 回 4 回 5 回 6 回 7 回 8 回 9 回 1 回 診察 心理療法 鍼 アロマセラピー マクギル疼痛質問票 PHQ 9 VAS( 身体 精神的苦痛 ) 前後前後前後前後前後前後前後前後 VAS( 介入満足度 ) マクギル疼痛質問票 : 疼痛評価 PHQ-9: うつ病チェックシート VAS(Visual Analog Scale): 現在の痛みを線上に記載してもらい ~1 の数値で表す 患者背景 対象 - 外傷後 3 年以上経過した外傷を起因とする身体的苦痛を訴える 11 名 ( 男 2 名, 女 9 名, 平均 52.7±16.3 歳 ) 年齢性別事故受傷内容 1 4 代? JR 脱線右膝粉砕骨折 左膝靱帯損傷 2 2 代? JR 脱線骨盤骨折 仙骨神経根損傷 右下肢感覚麻痺 PTSD 3 4 代? JR 脱線右肩甲骨骨折 全身打撲 クラッシュ症候群 4 6 代? JR 脱線胸部 腰部挫傷 全身打撲 5 7 代? JR 脱線左肺損傷 左肋骨骨折 額裂傷 PTSD 6 4 代? JR 脱線左足関節挫傷 左足関節拘縮 腰椎圧迫骨折 PTSD 7 4 代? JR 脱線脊椎圧迫骨折 PTSD うつ 8 7 代? JR 脱線 ( 遺族 ) PTSD 9 3 代? JR 脱線骨盤骨折 肋骨骨折 右距骨剥離骨折 1 6 代? 11 7 代? 車ごと崖から転落 海外バス事故 肋骨骨折 頭部挫傷 右手関節炎 胸椎破裂骨折 PTSD: Post Traumatic Stress Disorder ( 心的外傷後ストレス障害 ) 結果 1 VAS(mm) 身体的 精神的苦痛 身体的苦痛精神的苦痛 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 VAS(mm) 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 目的 ( 第一次研究 ) 結果 2 身体的 精神的苦痛 1. 災害および事故により慢性的な身体的 精神的苦痛を訴える患者に 心理療法 鍼 アロマセラピーを同時に取り入れた統合医療的な介入を実施する 2. 主要評価項目 : 介入完遂率実施可能性 ( 安全性 ) を評価心理療法 副次評価項目 : 抑うつ症状 PTSD 様症状 身体的 精神的苦痛 アロマセラピー 鍼 VAS(mm) 8 7 6 5 4 3 2 1 身体的苦痛 * ** ** ** * ** ** ** 前介入前 後介入後 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 VAS(mm) 8 7 6 5 4 3 2 1 精神的苦痛 ** ** ** ** * ** * ** 前介入前 後介入後 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 (UMIN-CTRR6792) ** :p<.1,* :p=.1, vs 介入前値 12
スコアVAS(mm) ひのきランイランュニパーベリーレープフルーツ正ラベンダーA B C D マーミントダリンラベンダーラベンダーパーベリーパーベリーミントミントリンリンイランイランプフルーツプフルーツ結果 3 疼痛評価 結果 5 オイル選択率, 介入満足度 25 マクギル疼痛質問票 オイル選択率 (n=87) 1 アロマ介入満足度 9 2 15 1 5 * * * :p<.5, vs 1 回目 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 ひのきジュニパーベリー 18% ペパーミントグレープフルーツ 4% 真正ラベンダーマンダリン 34% イランイランローズマリーカンファ 8% 8 7 6 5 4 3 2 1 真ジローズマリーカンファンイペパグ結果 4 コアうつ評価 精油別身体的 精神的苦痛改善値 11 1 9 8 7 6 5 ** PHQ 9 * * * * ス** ΔVAS(mm) 5 4 3 2 身体的苦痛 ** ΔVAS(mm) 5 4 3 2 精神的苦痛 **:p<.1 *:p<.5 4 3 2 1 5~9: 軽度うつ 1~14: 中程度うつ 15~: 重症 * :p<.5, vs1 回目 ** :p<.1, 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 1 真正き結果 6 * * マイロペグひジンラーパレのュA ダンB ズーCーきDニマリーカンファ1 真マイロペグひジ正ンラーパレのュAダンBズーCーD ニマリーカンファ介入方法 - アロマセラピー 精油の作用機序 アロマセラピー鎮痛 鎮静作用のあるエステル類 血流改善作用のあるモノテルペン類の効果を期待し 4 種類オイルを作成 毎回好みの香りを選択してもらう 施術部位 : 症状に合わせて施術時間 :3 分程度基材 : ホホバオイル (Simmondia chinensis ) 精油濃度 :1~3% 初回にパッチテストを行い アレルギー反応の有無を確認 真正ラベンダー ( Lavandula angustifolia ) + マンダリン (Citrus reticulate) イランイラン ( Canaga odorata ) + ローズマリーカンファ ( Rosmarinus officinalis ) ペパーミント (Mentha piperi) + グレープフルーツ (Citrus paradise ) ひのき (Chamaecyparis obtuse Endl ) + ジュニパーベリー (Juniperus communis ) ハイパープランツ社製, マンダリンのみ MEADOWS( 彩生舎より供与 ) 副交感神経真正ラベンダーマンダリンエステル類 モノテルペン類が豊富 副交感神経を向上 ペパーミントグレープフルーツ抗うつ効果が高く 交感神経を向上させる 交感神経 鎮痛作用 イランイランローズマリーカンファ鎮痛効果が高いエステル類メチルベンゾエート フェノリックエーテル類含有 ひのきジュニパーベリーエステル類が少なくモノテルペン類が豊富 副交感神経を向上 副交感神経 13
考察 慢性的痛み うつ 事故 大規模災害 災害 背景と目的 PTSD 身体的 精神的苦痛 真正ラベンダージュニパーベリー 副交感神経向上 痛み軽減 自律神経機能低下 トリートメント 副交感神経向上 (Sakaue et al. ICA212, JJSA21) 交感神経向上ペパーミントグレープフルーツ 副交感 + 交感神経向上 痛み軽減 補完代替医療鍼灸 ヨーガアロマセラピー認知行動療法 etc 不安感 疲労感 痛み 不眠 PTSD の症状には様々なものがあるが その中でも痛みや疲労感は一般的な医療を行っても改善しないケースも多く 治療に難渋することから 補完代替医療などが用いられる事が多い 一方 鍼灸治療に関しても PTSD に対して有用との報告はあるが どのような治療方法が効果的かに関しては不明である そこで 大規模災害の後遺症をもつ者に対して鍼治療を行い 治療方法による効果の違いを検討した 結語 外傷後後遺障害を有する症例に対し 心理療法 鍼 アロマセラピーを同時に取り入れた統合医療的な介入が有害事象なく遂行出来た 精油別検証では 副交感神経を向上させる施術に交感神経を向上させるペパーミント グレープフルーツを選択した際に より強い身体的 精神的苦痛軽減効果を認めることが示唆された A. 対象 偶発的な外傷後 1 年以上経過したにも関わらず身体的 精神的苦痛を訴えているもの中で 同意の得られた 12 名 ( 福知山線脱線事故被害者 : 8 名 ( うち 1 名は家族 ) その他の事故被害者 :4 名 ) を対象とした B. 治療方法 方法 対象者は はじめは鍼治療に対する恐怖心も強いことから置鍼 ( 鍼を刺し そのまま置いておく手技 ) とし 治療数回後 (2-4 回後 ) から鍼通電治療 ( 四肢への電気刺激 ) を実施した C. 治療部位 a. 局所治療症状に応じて 疼痛局所の圧痛部位に鍼治療を行った b. 全身治療手三里 合谷 足三里 陽陵泉置鍼時 :1 分鍼通電時 : 4Hz 1 分 手三里 合谷 陽陵泉足三里 全身の治療部位 介入方法 - 鍼治療 カウンセリング 精神科医 臨床心理士の介入による精神的アプローチの実行 鍼治療 治療時間 :3 分程度治療部位 : 症状に合わせてトリガーポイント等を選択治療内容 : 通電を併用鍼 : ディスポーザブル鍼 4mm2 号鍼 LC Type, PYONEX.2mm.6mm ( セイリン株式会社より供与 ) D. 評価方法 A. 患者の背景因子に関する評価 a. IES-R(The Impact of Event Scale-Revised) PTSDの程度を評価するためにIES-Rを用いて評価した IES-Rは 睡眠の途中で目が覚めてしまう や ものごとに集中できない など 22の質問項目を 5 段階 (88 点満点 ) で評価し 24/25 点をカットオフ値とした b. PHQ-9(Patient Health Questionnaire-9) うつの程度を評価するために PHQ-9を用いて評価した 疲れた感じがする または気力がない あまり食欲がない または食べ過ぎる など9の質問項目を4 段階 (27 点満点 ) で評価し 4 点はなし 5 9 点は軽微 軽度 1 14 点は中等度 15 19 点は中等度 重度 2 27 点は重度の症状レベルであると評価した B. 鍼灸治療の前後評価主観的な身体的苦痛と精神的苦痛強さを Visual Analogue Scale (VAS) を用いて評価した なお VAS は 1mm 幅のものを用い 左端 (mm) を 苦痛なし 右端 (1mm) を 考えられる最大の苦痛 と記載した 14
E. 解析方法 結果のまとめ 四肢への治療 解析は治療前の IES-R の評価を参考に 点数が 25 点以上を高値群 (6 名 ) 24 点以下を低値群 (6 名 ) に分類し 置鍼治療と鍼通電治療をそれぞれ最初に行った日の治療前後の VAS を改善度で比較した IES-R 高値群 身体的苦痛 精神的苦痛 鍼通電 鍼通電 < 置鍼 置鍼 なお 測定値はすべて平均値 ± 標準偏差 (mean±s.d.) で表記した 統計処理は高値群と低値群の変化率を Wilcixon signedrank-test を用いて 有意差を検出した IES- 低値群 身体的苦痛 精神的苦痛 鍼通電 鍼通電 置鍼 置鍼 今回 局所の疼痛治療に加えて 全身治療 ( 四肢の経穴 : 手三里 - 合谷 足三里 - 陽陵泉 ) に置鍼もしくは鍼通電を行った際の効果を比較し検討した その結果 IES-R 高値群では四肢への置鍼よりも鍼通電で身体的苦痛に有意な変化が認められたが IES-R 低値群では治療法による効果の違いは認められなかった 結果 IES-R 高値群 IES-R 低値群 人数 6 6 n.s 年齢 47.7±11.7 57.3±17.7 n.s 男女比 2:4 2:4 n.s IES-R 4.1±6.1 13.7±7.5 p<.1 PHQ-9 12.7±5. 5.±3.2 p<.1 VAS( 身体的 ) 68.4±1.7 56.7±29.2 n.s VAS( 精神的 ) 48.±25.7 55.2±34. n.s 表 1: 対象者の治療前の値表はIES-Rの点数を24/25 点をカットオフ値としたときの高値群と低値群の値を示す 高値群ではPHQ-9は中程度のうつを 低値群では軽度のうつを示し 2 群には有意差が存在したが (p<.1) その他の値には群間に差は認められなかった 結語 IES-R 高値群では 置鍼と鍼通電の治療法の違いで 身体的苦痛の変化に有意な差が存在したが 精神的苦痛の変化には有意な差が認められなかった IES-R 低値群では 置鍼と鍼通電の治療法の違いで 身体的苦痛や精神的苦痛の変化に有意な差が認められなかった A 1 8 6 mm 4 2 図 1:IES-R 高値群における治療前後の身体的苦痛の変化 mean±s.d. 置鍼時通電時 治療前治療後置鍼時鍼通電時 図は IES-R 高値群の治療前後における身体的苦痛の変化を示す A は治療前後の各個人の VAS 実数値を B はその変化率の合計を示している 置鍼時 ( 赤 ) の変化に比べて 鍼通電時 ( 青 ) の方が身体的苦痛が変化した 変化率 (%) B 1 5-5 -1 P<.5 mean±s.d. 考察 一般的に四肢への刺激では 置鍼よりも鍼通電の方が下行性疼痛抑制系などの脳を介した鎮痛系の賦活が起こりやすいことが知られている 以上のことから PTSD 傾向の強い患者では 疼痛局所の問題に加えて 鍼通電により中枢への何らかの影響が関与している可能性が考えられた 15