世界保健機構 (WHO( WHO) 国家的がん対策プログラムを提唱 (National Cancer Control Program) 国家的がん対策の背景 既存の知識技術だけでも 目的を達成することは可能 1/3 は予防可能 1/3 は検診 治療で救命可能 残りは治療 緩和ケアで QOL 向上可能 問題は如何に対策として実行するか? 予防 検診 ( 早期発見 ) 診断 治療 緩和ケアを包括し 効率よく運営する仕組みが必要
がんの診断 がんの診断の手順 診断のために必要な検査 診断の根拠となる検査 院内がん登録のときの優先順位 診断できなければ治療もできない 医療者と患者との信頼関係が大事
1. がんを疑う がんの診断手順 1.. いろいろな症状 ( 愁訴 ) 2.. がんが心配 3.. 元気だけれど 健診 検診で見つかる 2. 医療機関を受診 1.. 問診 2.. 診察 3.. 検査
がんを疑ったらどうするか? 症状 部位によって 受診する科を考える 1. 頭部頭が痛い 頭が重い 脳腫瘍 脳神経外科眼が痛い 見えにくい 眼腫瘍 眼科 2. 頚部首にしこり 甲状腺がん 内科 外科口の中がおかしい 頭頚部がん 耳鼻咽喉科飲み込みにくい 食道がん 内科 外科 3. 胸部おっぱいのしこり おっぱいからの出血 乳がん 外科血痰 胸が痛い 苦しい 肺がん 内科 外科
4. 腹部 ( 痛み ) 上腹部痛 胃が痛い 胃がもたれる 胃が張る 食欲がない 胃がん 内科 外科上腹部痛 胃痛 背中が痛い 黄疸 体がだるい 肝 胆道がん 膵がん 内科 外科下腹部痛 腹満 便秘 血便 お腹が渋る下痢と便秘を繰り返す 直腸がん 結腸がん 内科 外科
4. 腹部腹部のしこり全腹部 結腸がん 内科 外科上腹部 胃がん 膵がん 内科 外科下腹部 卵巣がん 子宮がん 婦人科 膀胱がん 泌尿器科左右上腹部 腎がん 泌尿器科 胆嚢がん 膵がん 内科 外科排便状況の変化 大腸がん 内科 外科排尿状況の変化 血尿 膀胱がん 前立腺がん 腎がん 泌尿器科女性性器出血 子宮がん 婦人科
5. 背部 : 背部痛 背中が張る 膵がん 内科 外科 腎がん 泌尿器科 6. 四肢 : 痛い 運動障害 しこり 軟部腫瘍 整形外科 7. 皮膚 : 皮膚の異常 皮膚がん 皮膚科 代表的な訴えのみです 通常 良性のもの 悪性のものの判断は難しい
1. がんを疑う がんの診断手順 1.. いろいろな症状 ( 愁訴 ) 2.. がんが心配 3.. 元気だけれど 健診 検診で見つかる 2. 医療機関を受診 1.. 問診 2.. 診察 3.. 検査
問診 1. 対話が重要 1 医師に言いたいこと 聞きたいことをメモしておく 2 症状を自分の言葉で話す 3 関係すると思われることを経過に沿って話す 2. 現在かかっている他の病気について話してください 3. 現在飲んでいる薬がわかるようにしてください 4. 今までの自分の病歴 ( どんな病気に いつかかってどうなったのか ) をまとめておく
診察 1. 症状がある部位の診察 2. その他の部位の診察 視診 触診 聴診 打診 まず医師が がん を疑うか否か が大事
がんの診断 がんの診断の手順 診断のために必要な検査 診断の根拠となる検査 院内がん登録のときの優先順位
診断のために必要な検査 1. がん であることを決定するための検査 2. がん の拡がりを決定するための検査 3. がん 以外の病気の有無を調べる検査 4. 治療のための条件を調べる検査 まず がん であるか否かを決定します 次に がん がどの程度のレベルであるか ( 進行度 病期分類 ) を決定します そして がん の治療を選択するために体の状況を調べます
主な検査 1. 消化管のがん内視鏡 ( 生検 病理組織診断 ) CT MRI 透視 ( バリウムの検査 ) 超音波 ( エコー ) 2. 肝 胆道 膵がん超音波 CT MRI ERCP( 胆汁細胞診等 ) 血管造影 穿刺細胞診 病理組織診断 3. 呼吸器のがん内視鏡 ( 生検 病理組織診断 ) CT(CTNB CTNB) ) MRI RI 喀痰細胞診 喀痰細胞診 胸部レントゲン 4. 乳がんマンモグラフィー 超音波 CT 穿刺細胞診 病理組織診断
主な検査 5 子宮がん 卵巣がん内視鏡 ( 生検 ) 細胞診 超音波 CT MRI 6. 腎 尿路系のがん内視鏡 ( 生検 ) 尿細胞診 尿細胞診 超音波 CT IP 7. 皮膚がん生検 8. 頭頚部がん CT MRI RI AG 甲状腺なら穿刺細胞診 9. 血液がん血液検査 骨髄穿刺細胞診腫瘍マーカー ( 血液検査 ) もチェックします 当院でできない検査 :PET
がん診断の根拠となる検査 ( 院内がん登録の際の検査の重みの順位 ) 1. 病理組織診断 ( 組織の顕微鏡検査 ) 2. 細胞診 ( 細胞の顕微鏡検査 ) 3. 病理学的検査以外の検体検査腫瘍マーカーなど 4. がん病巣直視下の肉眼的診断 ( 内視鏡など ) 5. 放射線画像診断 医師は より確実な診断を求めます
がんの治療 1. がん であることの確定 2. 患者本人 家族の方に がん であることを説明する 3. がん のレベル ( 拡がり ) を調べる 4. 患者の状況を調べる年齢 全身状態 基礎疾患 合併症 患者の置かれている環境 ( 家族 仕事等 ) etc 5. 患者本人 家族の方に全てを説明の上 最も適した治療方法を決定する 6. 患者の意思を優先する
がんの治療法 標準的治療 ( いろいろな治療法の組み合わせ ) 1. 手術療法 ( 外科手術 体腔鏡下手術 内視鏡下手術 ) 2. 化学療法 ( 抗がん剤 ) 3. 放射線療法 ( 当院ではできません ) 4. 内分泌 ( ホルモン ) 療法 5.TAE TAI PEIT RAF 6. 免疫療法 7. その他 重粒子線治療 遺伝子治療 etc 8. 民間療法 9. 無処置 根治性 ( がんを根こそぎ取る ) と安全性 侵襲度 ( 体に対する危険度 ) をはかりにかける
手術療法 1. 根治性の有無を考える手術して取りきれるかどうか? 2. 患者に対する侵襲性の程度を考える手術でがんが取りきれても 患者が死んでは 1. 根治手術 2. 姑息的手術 対症的手術 ( 愁訴を取り除く ) 3. 結果としての試験開腹 試験開胸など 手術結果 : 絶対的治癒切除 相対的治癒切除 絶対的非治癒切除 その他 ( 切除しない ) 他の治療法も考慮しつつ 手術内容を決定
抗がん剤の投与 化学療法 1. 投与経路 : 内服 注射 2. 用法 用量 3. 外来 入院の適否 4. 副作用のチェック 5. 一つの抗がん剤が無効になった場合 次の抗がん剤を考える 患者本人 家族の方との話し合いで決定
内分泌 ( ホルモン ) 療法 内分泌 ( ホルモン ) 療法に適した がん ( ホルモンに影響される臓器のがん ) 1. 乳がん ( 黄体ホルモン 卵胞ホルモン ) 2. 前立腺がん ( 男性ホルモン ) 3. 卵巣がん ( 女性ホルモン ) 4. 甲状腺がん ( 甲状腺ホルモン ) 5. 副腎がん ( 副腎ホルモン )
TAE TAI PEIT RAF 1.TAE( 経動脈塞栓術 ) 2.TAI( 抗がん剤動注療法 ) 3 PEIT( 経皮的エタノール注入療法 ) 4.RAF( ラジオ波焼灼術 ) 原発性肝がん 転移性肝がんに行われることが多い 最近 乳がん 肺がんに対しても試みられてきている
がん手術後のフォローアップの例 手術 ~1 ~ 年 :1/2: ヶ月 ( 手術と同じ奇数月 or 偶数月 ) 受診採血 レントゲン CT( 胸 腹部 ) など 1 年 ~5 ~ 年 :1/3: ヶ月 受診半年間隔で定期検査 ( 採血 レントゲン CT 等 ) 5 年 ~10~ 年 :1/6: ヶ月 受診検査は 1~5 年目と同じ 10 年 ~ :1/ 年 ( 手術月 ) 受診検査は年 1 回 術後 2 年目までに再発することが多い 検査は 毎年手術月 ~ 翌月にかけて定期検査を行い 胃がんなら胃ファイバー 大腸がんなら大腸ファイバー等を行う 5 年目 10 年目には全ての検査を行う 再発 転移 また新しい悪性新生物 ( がん ) の出現に備える ちなみに 乳がんの手術後 26 年目 甲状腺がんの術後 25 年目の再発 転移例もあります
がんになったらどうする 現実を直視する 今をどうするかを考えよう 気持ちを切り替える 前向きに生きる 無病息災 ではなく 一病息災 でもいいじゃないか 守らなければいけないことを守る 死の病 結核 でさえ 治る病気になった がんにならない がんにならないためにはどうする 予防と早期発見 早期治療 検診 ( 健診 ) は大事 信頼できるかかりつけできるかかりつけ医を作ろう
相談できるかかりつけできるかかりつけ医を作ろう どんなことでも相談できる 相談事に率直に対応してくれる 自分が理解できるまで説明してくれる 真実を話してくれる 自分の力量を知っている わからないことはわからないと言ってくれる 十分に対応できない場合は すぐに専門医療機関を紹介してくれるまずは 信頼関係を作ることが大事 医師が全てを知っているわけではないことも理解してほしい また 十分な時間が取れないこともあることを
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