Taro-2014倫理02源流思想

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ὁ,ἡ,τό ὅς,ἥ,ὅ αὐτός, -ή, -ό καί δέ τίς, τί τις, τι οὗτος, αὕτη, τοῦτο

* 09 α-24 0 ἅ ὅς 17 β-52 0 ἄβατον ἄβατος 17 β-52 0 ἄβατος(,-η),-ον, 17 β-55 0 ἀβάτῳ ἄβατος 30 δ ἄγ ἄγω 2 ἄγε 30 γ ἀγαγεῖν ἄγω 2 13 α-02 0

* ἅ ὅς 03 05(06) 0 ἄβιος,-ον, ἄβροτον ἄβροτος ἄβροτος,-ον, 08 17(01)-03 0 ἄβυσσος,-ου (ἡ), 08 17(01)-03 0 ἀβύσσου ἄβυ

εἰς ἐπί κατά ἐγώ ἡμεῖς πρός ἐ ᾱν διά ἀλλά ἐκ,ἐξ περί ὅστις,ἥτις,ὅτι ἄν σύ ῡμεῖς ἀνά

andκαὶακαὶβa B bothalso 3 even auto- iste D in orthan asso forwhen thatsothat (G) (G) (A) (A) (G) (G) (D) (A) (A) (A) (G) (A) + subj. (G) (G) (D) (D)

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13西洋古代文化史特講Ⅰ

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2. ソクラテス (469 ~ 399.BC) 倫理学の父 ソクラテスは著作を残していないが 弟子のプラトンがソクラテスを主人公にして書いた多くの 対話篇 がある これらは どこまでがソクラテスの思想で どこからがプラトンの思想なのか区別し難い だが さしあたって ソクラテスの裁判の場面を描いた ソ

Lieber Herr Schmidt, 佐藤太郎様 Λιγότερο επίσημη επιστολή, ο αποστολέας είχε ήδη πάρε-δώσε με τον παραλήπτη προηγουμένως Lieber Johann, 佐藤太郎様 Ανεπίσημη επι

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ギリシアのドデカイーメロ(Δωδεκαήμερο)と食文化

予稿集(1)の表紙

(2) 品詞はいつも語形コードの中で最初のフィールドで示される ルドがコードセット内の配置のために許されるかを決定する それは 以降のどのフィー. 形容詞...J. 名詞...N. 定冠詞...D. 代名詞...R. 動詞...V. 接続詞...C. 助動詞...B. 間投詞...I. 前置詞...

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広島大学学術情報リポジトリ Hiroshima University Institutional Repository Title Auther(s) Citation Issue Date ミキス テオドラキス作曲ヤニス リッツォス ロミオシーニ 土居本, 稔プロピレア, 23 :

p. 201 ε áν ε ν áν ε Ind. Präs., Ind. Perf. Ind. Imperfekt ε ε ν 6 p Der sprechende deutet an, welches Verhältnis des bedingenden Satzes zur

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2 可能であった. ローマ市民およびアレクサンドリア, ナウクラティス, プトレマイス, そして 130 年に設立されたアンティノポリスの 4 つのギリシア都市の市民以外の属州住民は, 実際の人種にかかわらず エジプト人 という劣格身分に属した. エジプト人 は 州都民 とそうではないもの, 便宜的

思索の事柄 と 無 ( 松井吉康 ) c Heidegger-Forum vol 思索の事柄 と 無 1 松井吉康 ( 神戸学院大学 ) ハイデガーにとって 思索の事柄 とは 存在であった 存在こそが思索の事柄であり 存在はまさに思索において存在という姿を現す こうした思索と存在の共属

美 K Laurentianus 81, 11. End of the ninth entury. Hilary Term, 2 vols. B Vatianus Bar. 75, 13 th entury y Rainaldos of Spengel, L & Üer di

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ことが指摘される (5) このような状況のなか オリゲネスがカイサリアでキリスト教信仰教育や聖書講話に携わっていたときに迫害が生じ 彼を敬愛するアンブロシオスとプロトクテトスが捕えられた そのためオリゲネスは 殉教の勧め (εις μαρτύριον προτρεπτικός) を執筆した (6)

ヤニス・マリスの魅力と

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2 イエスの戒めを守るなら イエスの愛に留まることになる (2) その教えを話した理由は 弟子たちが喜びに満たされるためである 1イエスは 自分が経験している喜びを弟子たちに与えようとしている 2イエスの喜びは 父なる神への従順 ( 喜ばせること ) によって生まれる 3ヘブ 12:2 Heb 12

マルコ福音書における ピスティス <πίστις> 5 2,5 καὶ ἰδὼν ὁ Ἰησοῦς τὴν πίστιν αὐτῶν λέγει τῷ παραλυτικῷ τέκνον, ἀφίενταί σου αἱ ἁμαρτίαι. 4,40 καὶ εἶπεν αὐτοῖς τί δειλ

創世記5 創世記2章4節b~25


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分野区分 B ホストタウン推進事業 -No.32 三郷市 - 事業の目的 ギリシャ共和国を相手国とするホストタウンに登録 ( 平成 28 年 6 月 ) されたことを契機に 同国とスポーツをはじめ 文化などの更なる交流等を図るとともに 2020 年東京オリンピック パラリンピックに向け機運醸成を図り

本文/目次(裏白)

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プラトンの現実的理想国家論

1 17 b ὁ δίκαιος LXX 1 ὁ δίκαιος 1:17a ἐκ πίστεως εἰς πίστιν :4b ἐκ πίστεως ὁ δίκαιος ζήσεται 17 a 2:4b ὁ δίκαιος 1 ὁ δίκαιος ὁ δίκαιος 17 δικαι


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動向 中央マケドニアの古代都市に関する考古学調査の現状 Current Research on Ancient Macedonian Cities 松尾登史子 Toshiko MATSUO キーワード : 古代マケドニア 考古学調査都市遺跡 中央マケドニア ペラ Key-words: Ancient

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目次

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2013 年 3 月 24 日 ( 日 ) 25 日 ( 月 ) 52 回目 Ⅵ-054 八福の教え 八福の教え 054 マタ 5:3~12 ルカ 6:20~26 1. はじめに (1) 文脈の重要性 1 文脈を無視して 山上の垂訓のある言葉を取り出すことが余りにも多い 2イエスは 神の国の福音をも

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Copyright (c) 2014 Makoto Minagawa All Rights Reserved Small Voice 細きほそき こえ聲 聖書研究 大いなる強き風山を裂き岩石を砕きしが風の中にはエホバ在さざりき 風の後に地震ありしが地震の中にはエホバ在さざりき 又地震の後に火ありしが

.2 ρ dv dt = ρk grad p + 3 η grad (divv) + η 2 v.3 divh = 0, rote + c H t = 0 dive = ρ, H = 0, E = ρ, roth c E t = c ρv E + H c t = 0 H c E t = c ρv T

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1 (Berry,1975) 2-6 p (S πr 2 )p πr 2 p 2πRγ p p = 2γ R (2.5).1-1 : : : : ( ).2 α, β α, β () X S = X X α X β (.1) 1 2

(Compton Scattering) Beaming 1 exp [i (k x ωt)] k λ k = 2π/λ ω = 2πν k = ω/c k x ωt ( ω ) k α c, k k x ωt η αβ k α x β diag( + ++) x β = (ct, x) O O x

ローマ書におけるピスティスとノモス (2)E * 太田修司 パウロは固有名 ピスティス( 信 ) の意味と用語法を彼以前の宣教者たちから 学び, 受け継ぎ, 彼独自の視点から発展させた, と考えるだけの十分な理由があ る (1). パウロ以前の段階から ピスティス は, それによって指示

アリストテレス : 万学の祖 学問分類 理論的学 目的 : 知識 対象 : 常にそうであるところのもの 実践的学 目的 : 行為 対象 : たいていの場合そうであるところのもの 制作的学 目的 : 制作物 自然学 (physika) 数学 形而上学 ( 存在するもの を 存在するもの というかぎりに

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ロマ書 1 章 17 節 a の ἐκ πίστεως εἰς πίστιν の解釈について 論 ( participatory soteriology) が北米を中心に提起されている 3 その場合 救済論は キリストの義認 への我々の参与として理解される 従来の信仰義認理解とは異なり こうした新し

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プラトンにおけるヘラクレイトス像 1 阪田祥章 序問題の所在 アテナイの位置するギリシア本土とエーゲ海 ( アイガイオンの海 ) を挟んで相対する小アジア西岸地域にエペソスというギリシアの一植民都市がある. 紀元前 500 年頃がアクメー ( 盛年 ) と伝えられる 2 ヘラクレイトスはそのエペソス

Japanese Society of French Linguistics フランス語学研究, 第 44 号, 別冊,2010 年,pp 多義性をめぐって 古代思想からの一考察 * La polysémie dans la pensée antique 前島和也 (Ma e j i

n (1.6) i j=1 1 n a ij x j = b i (1.7) (1.7) (1.4) (1.5) (1.4) (1.7) u, v, w ε x, ε y, ε x, γ yz, γ zx, γ xy (1.8) ε x = u x ε y = v y ε z = w z γ yz

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第一課程古代ギリシアにおける哲学の誕生 学習指導 第一節知の原初的形態としてのミュトス プロメテウスとエピメテウス この節のポイント さきちあとち人間の知が先知 ( プロメテウス ) と後知 ( エピメテウス ) の組み合わせによって成り立つことと そうしたわざわい成り立ちによって 人間の知が虚偽と

(64) 新約聖書におけるイエスの祈り伝承をめぐって ( 土居 ) そこで マルコ同様ヨハネも手にした可能性を想定し得る受難物語における イエスの祈り 伝承古層の存在を想定しながら 先ずは現行の双方の受難物語における祈り描写を比較すると それは物語上の大枠においては共通の場に配置されているといえるが

46 神崎繁 きに違いが生ずるように見えるだけだ というのである これらについては ゼノンが自己矛盾しているだけでなく クリュシッポスも アリストンが他の諸徳をただ一つの徳の諸様態 (μιᾶς ἀρετῆς σχέσεις) だと主張したと非難しながら 徳のそれぞれを以上のように定義したゼノンを擁護

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2 I 3 1 : 13-2 : 10Gesellschafttafel 2 : 11-25Haustafel3 : I 2 : 12 I 2 : 11-3: 7 1.I 2 : Ἀγαπητοί, παρακαλῶ 2 : 11 5 παροίκους καὶ παρεπι

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2011年度 牧羊者 第Ⅳ巻

2012 年 1 月 22 日 ( 日 ) 23 日 ( 月 )54 ローマ人への手紙 15:4~13 希望から希望へ 1. はじめに (1) 文脈の確認 11~8 章が教理 29~11 章がイスラエルの救い 312~16 章が適用 (2)14:1~15:13 は 雑多な問題を扱っている 1 超道徳

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第 2 What shall I do? のはじまり 源流思想 1 初期ギリシア哲学 ミュトスからロゴスへ ( 西洋古代哲学 ) [025] 自然哲学 主な自然哲学者 アルケー (αρχη) を追求した BC 6C 頃 ギリシアの自然哲学者と呼ばれる人々が出現し 万物の根源 ( アルケー ) を論じた [024] ギリシア哲学の見取り図 自然哲学 ( タレス等 ) アルケー ソフィスト ソクラテス アレテーと無知の知 プラトン イデアとエロス アリストテレス 質料 形相 ヘレニズム思想 ( ストア派とエピキュロス ) 禁欲主義と快楽主義 / アタラクシアとアハ テイア 人物 アルケー ことばと注釈 タレス 水 日食を予言 イオニア ( 小アジア ) の人 次の二人も アナクシマンドロス ト アペイロン τό ἄπειρον( 無限なるもの ) 規定不能 アナクシメネス 空気 空気は無限で無規定だから ヘラクレイトス 火 τὰ πάντα ῥεῖ( 万物は流転する ) 同じ川に再び戻ることはできぬ 変化の法則 =ロゴス ピタゴラス 数 魂の浄化をめざし, 数と比例を崇拝 パルメニデス 有 有るものは有り, 有らぬものは有らぬ ( 変化しない何か ) ヘラクレイトス的変化の否定 エンペドクレス 火 水 土 空気 多元論 4 元素は愛 憎で離合集散 デモクリトス アトム 原子論 ( 分割不可能なもの ) 人の習わしでは 色 甘さ 苦さ しかし 真実には原子と空虚 ギリシア哲学は theory と logic の源流 1)theory: テオリア 近代では < 理論 > だが ギリシアでは 観想 ( 見ること ) τηεορια を意味した テオリア : 見る 理論 :theory プラクシス πρᾱξις: 作る 実践 :practice cf ギリシアは奴隷制 労働軽視 スコーレー ( ひま ) のある市民はテオリアを重視 2)logic : ロゴス 近代では主として< 論理 >の意味に用いられる λόγος ロゴスの意味 <ことば> < 理性 >ことばをなりたたせているもの < 真実 法則 > 理性によって発見されるもの [026] ミュトスからロゴスへ 自然哲学の意義 ミュトスからロゴスへ ( 神話から理性へ ): ロゴスによって万物の根源を説明する 1) ミュトス : 神話 myth μύθος わからないことは 神様 で説明した ex ヘシオドス 神統記 ポリスの交流で 神話 の食い違いを知る 2) 自然哲学者 : 万物の根源 (= わからないこと ) をロゴスで考え合理的に説明した ロゴスを使ったテオリアによって なぜ を自分で考え, 他人と共有できる 自然哲学は合理主義 ( ことばを使った理性に従って思索する ) の源流になった ex 科学 ( 哲学 ) の父 = タレス 13 14

2 ソフィストからソクラテスへ BC 5C 頃 ギリシアのアテネにソフィストと呼ばれる人々が出現した後 ソクラテ スが現れ 魂への配慮を説いた [027] ソフィストソフィスト : σοφια( 知恵 ) のある人 職業教師 青年達に弁論術を教えた 絶対的な真理はないという相対主義から 詭弁家 と評価される [030] 魂と徳 魂への配慮 徳 ( アレテー ἀρετή)=よさ 卓越性 ex 馬のアレテー = 速い ε π ι μ έ λ ε ι α τ η ς 人のよさ= 魂 ( プシュケー ψυχή) のよさ ψυχής ~ 真に大切なのは 魂をよくすること 知徳合一魂のよさ ( 徳 ) はロゴスによって知るこができる ( 徳は知なり ) 本当に知っていれば善い行動をする ( 知行合一 ) 魂がよくなり よく生きる ことが幸福だ ( 福徳一致 ) プロタゴラス 人間は万物の尺度である < ある > ということについては < ある > ことの < ない > ということについては < ない > ということの [031] ソフィストとソクラテスの意義 ソフィストのどこが < 売り > か?: ロゴスの対象をフュシスからノモスへ向けた [028] ソクラテス ソクラテス デルフォイのアポロン神の神託 ( ソクラテス以上の知者はいない ) (BC470? によって フィロソフィア ( 知を愛する Philosophy: 哲学 ) の ~ BC399) [029] 問答法と無知の知 問答法 ( 助産術 ) 無知の知 生活に入る 青年を腐敗させる罪で死刑 悪法もまた法なり ソクラテスの哲学探求方法 相手 ( 知者?) と議論しその矛盾を指摘することで相手の無知を自覚させ, 真理を生み出すことを助ける ( だから助産術 ) 問答の結論 : 他の人間は < 真に大切なもの > を知らない ( 汝自身を知れ ) ならば 自分を無知と思う私 ( ソクラテス ) の方が知を愛している ~ 自分の無知について自覚していること 哲学の立脚点 自然 (φύσις フュシス ) はの秩序 ( ロゴス ) は, 人間のことば ( ロゴス ) で解釈される ならば 人間世界の秩序 (νόμος ノモス ) が探求の対象でなくてはならない ソフィストのどこが < アラ > か?: 相対主義に陥った 人間は複数いる 複数の人に複数の秩序 秩序は人それぞれ ( 相対主義 ) ソクラテスのどこが < 売り > か?: 人間共通の よい生き方 (= 倫理 moral) の概念を提出した 相対的な秩序 ( ソフィストの知 ) を超えた 人間に共通の秩序 (= 徳 真に知るべき事 ) の存在を考えた cf アレテーの中身を整理したのはプラトン ~ ただ生きることではなく, よく生きることが大切なのだ οὐ τὸ ζῆν περὶ πλείστου ποιητέον ἀλλὰ τὸ εὖ ζῆν 15 16

3 プラトンとイデア プラトンはイデアの概念と それへの愛 ( エロス ) を唱える理想主義者だった [032] プラトン プラトンソクラテスの弟子 師の死後 アカデメイアという学園を開いた (BC427 前期 : ソクラテス思想の紹介 ソクラテスの弁明 クリトン ~ 347) 中後期: イデア論等の展開 パイドン 饗宴 国家 [033] イデア論 イデアモノの究極の姿 ( 完全な ものそのもの ) ιδέα 例花が花とわかるのは, 花のイデアに似ているから エロス ἔρως (1) イデアはどこにあるか? : イデア界に実在する 経験 感覚では見えない ( 洞窟の比喩 ) (2) 現実世界 ( 現象界 ) にあるものは?: 不完全で変化するイデアの似姿 (3) 魂はもともとイデア界にあったので, イデアを想起する ( アナムネーシス ) することができる (4) イデアがイデアである根拠は?: イデアのイデア ( 究極のイデア = 善のイデア ) 魂がかつての故郷イデア界を恋いしたう (= 想起する ) こと これによって 善のイデア = 本当に知るべき事 を求める [034] 愛 の概念の違い エロス : あこがれ ( 恋 ) : 不完全な者が完璧なものを恋い慕う アガペー : ゆるし : 完全な神が不完全な人間を許し救う フィリア : 友愛 ( 友情 ) : 人間同士の相互信頼とおもいやり 慈悲 : いつくしみ : 完全を求める者が一切をすくい上げる [035] 魂の三分説と四元徳 魂の 三分説 部位 その働き よく機能した状態 = 四元徳 [036] 哲人国家 頭理性 = イデアの知を求める知恵 胸気概 ( 意志 )= 勝利 名誉を求める制勇気 正義 腹欲望 = 金銭 利益を求める節制 哲人哲学者が政治をおこなうべきだとする説 政治人頭胸腹 知恵の徳をもつ統治者 [037] プラトンの意義 社会統治者防衛者生産者 = 哲人王 プラトンのどこが < 売り > か?: ソクラテスの 真の知 の内容を明らかにした 真の知 = 善のイデア についての知 イデア論のどこが < 売り > か?: 現実を超えた理想 ( イデア idea) の世界を想定 制 御 して 人間の魂の働き (=エロス) を中心に世界を秩序だてた 思想主義 (idealism) 御 17 18

4 アリストテレスとヘレニズム思想 アリストテレスは 現実主義の哲学を主張して中庸の徳を主張した 彼の後のギリシ ア思想は 禁欲主義と快楽主義とに分かれた 幸福主義善は幸福 ( 何かが得られて心が満足した状態 ) 幸福の段階幸福 ( 快楽 ): 享楽的生活 幸福 ( 富 ): 蓄財的生活 幸福 ( 名誉 ): 政治的生活 幸福 ( 真理 ): 観想的生活 = 真理を直観 = 最高善 [038] アリストテレス [042] ヘレニズム思想 アリストテレス (BC384 ~ 322) マケドニアの人 プラトンの弟子 アレクサンドロス大王の家庭教師 学園リュケイオンを開き 学問を集大成 形而上学 詩学 ニコマコス倫理学 エピクロス派快楽主義幸福 = 精神的快楽 ( 魂の平静さ = アタラクシア ) ( エピクロス ) 隠れて生きよ魂が平静であるためには政治から離れる [039] 形相と質料 形相と質料 形相 : エイドス ( イデアと同義 ) もの の本当の姿 ~ ただし イデア界にはなく もの の中に存在する 質料 : ヒューレー もの の材料 ストア派 禁欲主義 幸福 = 魂の平静さ = 情念からはなれ理性に従う ( アパテイア ) ( ゼノン ) コスモホ リタニス ム世界市民主義 理性をもつ人類は国家を超え平等 [040] 徳と中庸 徳 知性的徳 頭 ( 理性 ) のよさ ex 知識 技術 教育や学習で得る 倫理的 ( 習性的 ) 徳 人柄のよさ ex 節制 友愛 正義 中庸 よい行為の繰り返し ( 習性 ) で得る倫理的徳とは中庸 ( 過不足なく偏らない ) である ex 無謀 勇気 臆病 友愛と正義互いが相手の善を願う相互的愛情 = 友愛 ( フィリア ) 社会でのバランスのとれた正義 [041] 正義と政治 [043] アリストテレスとヘレニズム思想の意義 アリストテレスのどこが < 売り > か?: 事物の本質をイデア界から現実世界に求めた プラトンのイデア界は現実によって変えられない イデアが現実世界にあるなら 世界の探求 ( 自然哲学の目標 ) はナンセンスではない ~ 自然哲学と人間学 ( ソクラテス プラトン ) を統合した 学問の体系化 cf アリストテレス= 万学の祖 正義の二段階 全体的正義 : ポリスの法を守る 部分的正義 : 個人をフェアに評価する配分的正義 : 能力 実績に応じて評価調整的正義 : 各人の利害を均等にする なぜヘレニズム思想が生まれたか?: アレクサンドロス大王によってポリスが崩壊しポリス的市民生活像が崩壊したから エピクロス派 社会 ( ポリス ) から離れる ストア派 ポリスの枠を超える ( コスモポリス = 全世界が一つのポリス ) 19 20

ソクラテス思想の根幹 εἰ οὖν με, ὅπερ εἶπον, ἐπὶ τούτοις ἀφίοιτε, εἴποιμ ἂν ὑμῖν ὅτι ἐγὼ ὑμᾶς, ( 私が知の探求をやめれば罪に問わないと提案されたと仮定して ) アテネの諸君, 私は諸君を本当に敬愛している ὦ ἄνδρες Ἀθηναῖοι, ἀσπάζομαι μὲν καὶ φιλῶ, πείσομαι δὲ μᾶλλον τῷ θεῷ ἢ ὑμῖν, が, 私は諸君に従わない ( ソクラテス以上の知者はいないと言った ) 神に従うのだ καὶ ἕωσπερ ἂν ἐμπνέω καὶ οἷός τε ὦ, οὐ μὴ παύσωμαι φιλοσοφῶν 私は命の続く限り, 可能な限り, 知恵を愛することをやめない λέγων οἷάπερ εἴωθα, ὅτι ὦ ἄριστε ἀνδρῶν, Ἀθηναῖος ὤν, だから, 諸君に指摘する 優秀な諸君よ, 諸君はアテネ市民である, πόλεως τῆς μεγίστης καὶ εὐδοκιμωτάτης εἰς σοφίαν καὶ ἰσχύν, 最高の都市, 知恵と力で最も名高いアテネの市民である χρημάτων μὲν οὐκ αἰσχύνῃ ἐπιμελούμενος ὅπως σοι ἔσται ὡς πλεῖστα, でありながら, 恥ずかしくないのか, 金をほしがるとは καὶ δόξης καὶ τιμῆς, φρονήσεως δὲ καὶ ἀληθείας καὶ τῆς ψυχῆς ὅπως ὡς βελτίστη ἔσται οὐκ ἐπιμελῇ οὐδὲ φροντίζεις; καὶ ἐάν τις ὑμῶν ἀμφισβητήσῃ καὶ φῇ ἐπιμελεῖσθαι, οὐκ εὐθὺς ἀφήσω αὐτὸν οὐδ ἄπειμι, ἀλ 評判, 名声の獲得に汲々として, 知恵, 真実, 魂の鍛錬を気にかけないとは οὐδὲν γὰρ ἄλλο πράττων ἐγὼ περιέρχομαι ἢ πείθων ὑμῶν καὶ νεωτέρους καὶ πρεσβυτέρους μήτε σωμάτων 私のしていることはただ一つ, 老若を問わず, 諸君との議論だ a) 諸君の肉体や富には 構うな, ἐπιμελεῖσθαι μήτε χρημάτων πρότερον μηδὲ οὕτω σφόδρα ὡς τῆς ψυχῆς ὅπως ὡς ἀρίστη ἔσται, λέγων ὅτι 魂の鍛錬にこそ配慮せよ と 私は説く, 金銭から徳は生まれない,b) 金銭などの諸々 は, 徳によって, 個人にとっても国家にとっても, 良きものとなるのだ ( プラトン ソクラテスの弁明 29C-30B) a) 魂への配慮 b) 福徳一致 プラトンのイデア論 ἀλλ ἐάν τίς μοι λέγῃ δι ὅτι καλόν ἐστιν ὁτιοῦν, ἢ χρῶμα εὐανθὲς ἔχον ἢ σχῆμα ἢ ἄλλο ὁτιοῦν τῶν τοιούτων, τὰ μὲν ἄλλα χαίρειν ἐῶ, ταράττομαι γὰρ ἐν τοῖς ἄλλοις πᾶσι τοῦτο δὲ ἁπλῶς καὶ ἀτέχνως καὶ ἴσως εὐήθως ἔχω παρ ἐμαυτῷ, ὅτι οὐκ ἄλλο τι ποιεῖ αὐτὸ καλὸν ἢ ἡ ἐκείνου τοῦ καλοῦ εἴτε παρουσία εἴτε κοινωνία εἴτε ὅπῃ δὴ καὶ ὅπως προσγενομένη: 誰かが言ったとしよう, あるものが美しいのは, 色が輝いているからだ 形やその類いの性質があるから ( 美しいの ) だ 私はその手の一切の説と訣別する その手の説は私 を混乱させるだけだ 私はシンプルに, 無造作に, 愚直に, 次のことにこだわりたい ものを美しくしているのは, 美が顕わになるというか, 美を分かち合うというか, 美そ のものが現れ出ることについて, 積極的ないいことばが浮かばないが, οὐ γὰρ ἔτι τοῦτο διισχυρίζομαι, ἀλλ ὅτι τῷ καλῷ πάντα τὰ καλὰ γίγνεται καλά. とにかく, 断じて言う, すべての美しいものが美しいのは, 美 ( のイデア ) によってだ と ( プラトン パイドン 100c-d) プラトニック ラブ 魂と恋 ( ちょっと大人向き ) Σωκράτης οὐκοῦν ὁ μὲν τοῦ σώματός σου ἐρῶν, ἐπειδὴ λήγει ἀνθοῦν, ἀπιὼν οἴχεται; ソクラテス 君の身体に恋してる者は, 身体の盛りが過ぎれば, さっと逃げる Ἀλκιβιάδης φαίνεται. アルキビアデスうん Σωκράτης ὁ δέ γε τῆς ψυχῆς ἐρῶν οὐκ ἄπεισιν, ἕως ἂν ἐπὶ τὸ βέλτιον ἴῃ; ソクラテスげない でも君の魂に恋する者は, 君が魂を鍛錬している限り, 逃 Ἀλκιβιάδης εἰκός γε. アルキビアデスたぶん Σωκράτης οὐκοῦν ἐγώ εἰμι ὁ οὐκ ἀπιὼν ἀλλὰ παραμένων λήγοντος τοῦ σώματος, τῶν ἄλλων ἀπεληλυθότων. ソクラテス僕は逃げないよ, 君と変わることなく付きあうよ 君の身体が盛りを過ぎ, 他人が逃げ去っても Ἀλκιβιάδης εὖ γε ποιῶν, ὦ Σώκρατες: καὶ μηδὲ ἀπέλθοις. アルキビアデス アルキビアデス君 ソクラテス, 嬉しいよ, ずっと一緒だよ ( プラトン アルキビアデス 131c-d) 21 22

5 一神教とユダヤ教 [045] ユダヤ教 ユダヤ教 : パレスチナ地方にすむユダヤ人 ( イスラエル人 ) の宗教 パレスチナで生まれたユダヤ教は ヤーヴェを信じる律法思想だった ヤーウェ ユダヤ教の唯一神 [044] キリスト教思想の見取り図ユダヤ教イエス原始キリスト教団イスラム教 ヤーウェ 律法 選民思想アガペー三元徳 教父哲学 スコラ哲学アッラー 六信五行 モーセ た 1)BC13 C 頃のユダヤ人の指導者 それまでエジプト人の奴隷だっ ユダヤ人を連れて エジプトを脱出 (~ 出エジプト記 旧約聖書 ) 2) 十戒 : モーセがヤーウェから授かった律法 ex 安息日を守れ 姦淫するな ものを盗むな キリスト教は 理性主義の限界を克服する 信仰による救済思想 の源流 1) 知 のもつ二つの問題点 知 と 徳 ( よいこと ) との関係 a) 知徳合一 ( よいことをしっていればよくなる ) の限界 善をなそうと思う自分には いつも悪が付きまとっているという法則に気づきます 内な る人 としては神の律法を喜んでいますが わたしの五体にはもう一つの法則があって心の法 則と戦い わたしを 五体の内にある罪の法則のとりこにしているのが分かります わたしは なんと惨めな人間なのでしょう ( パウロ 新約聖書 ローマの信徒への手紙 7-21 ~ 24) ~ なにがよいか知っていても ( 説明できても ) よいことができないという人間の現実をどう解決するか? b) 知 が < 悪 ( 罪 )> をもたらすという矛盾 律法によらなければ わたしは罪を知らなかったでしょう たとえば 律法が むさぼる な と言わなかったら わたしはむさぼりを知らなかったでしょう ( パウロ 新約聖書 ローマ 人への手紙 7-7) 2) 脱神話の二つの型 神に代わって人間理性を信頼する ロゴス ( ギシリア思想 ) 神の働きを言語化して信仰する アガペー ( キリスト教 ) 旧約聖書 原罪 選民思想 [046] ユダヤ教の意義 ユダヤ教の聖典 旧約 = ヤーウェとユダヤ人との 契約 ヤーウェ律法を守る 恩寵 ユダヤ人 神の作った人間 ( アダムとイブ ) の犯した罪 契約を交わしたユダヤ人のみが救われる ~ ノアの方舟 ユダヤ教のどこが < 売り > か?: 一神教の原型となった ユダヤ教のどこがイエスによって否定されたか?: 選民思想と形式化した律法主義 律法を守ることのみが 信仰 信仰の本質をイエスは問いなおした 23 24

6 イエスとキリスト教 紀元前後に出現したイエスは 神の本質をアガペーと考え 無償の愛を説いた イエ スの死後 パウロはキリスト教を地中海に広め 中世ヨーロッパのキリスト教世界の基礎を作った [047] イエス イエス (Jesus) ユダヤのナザレに生まれ ( 処女懐胎 ) バプテスマのヨハネの洗礼 BC4?~ AD30? を受けて 30 歳頃から主にしいたげられた人たちに宣教を開始 サドカイ派 パリサイ派 ( ユダヤ教 ) を批判 3 年後に死刑 [048] イエスの教え 福音 喜ばしい知らせ ( 音信 ) 神の国の実現や救いについての教え アガペーイエスの説いた愛 1) 無償の愛 2) 創造的愛 3) 犠牲の愛 新約聖書 A: 神の人への愛 ( 平等愛 ) 罪人にも等しく注がれる愛 (~ 神がイエスを送り 人類の罪を贖うため十字架にかけた愛 ) B: 人の神への愛 ( 信仰 心を尽くし, 精神を尽くし 思いを尽くして, あなたの神である主を愛しなさい マタイによる福音書 22-37 C: 人と人との愛 ( 隣人愛 隣人を自分のように愛しなさい 同 22-39) ~ 敵を愛し 自分を迫害する者のために祈りなさい ( マタイによる福音書 5-44 いわゆる 山上の垂訓 キリスト教の聖典 イエスのもたらした神と人との新しい契約 神 信仰 恩寵 ( 神の愛 ) 全人類 [049] イエスの意義 イエスの思想のどこが < 売り > か?:1) 律法の内面化 2) ユダヤ人の為の教えから人類のための教えへ 1) ユダヤ教の律法 : 外面的規定 イエス : 心の中身 (= 信仰 隣人愛 ) を問題にした 2) 隣人愛の拡大 : ユダヤ人にための教え 全人類のための教え [050] 原始キリスト教団 (1) ペテロ ペテロ (?~ AD67 頃 ): イエスの最初の弟子 ペテロの否認 イエスの復活の証人 ローマ カトリック教会の創始者 ネロの迫害によって殉死? (2) パウロパウロ (?~ AD46 頃 ): パリサイ派からキリスト教に回心 イエスの死後 キリスト教を伝道 原始キリスト教団を形成 ネロの迫害によって殉死? 贖罪と復 活 イエスの死 = 人の原罪をつぐなったもの, イエスの死後の復活信仰 イエスは神の子であり救世主 ( キリスト )~ キリスト信仰の発生 三元徳 1) 信仰 2) 希望 3) 愛 信仰と希望と愛と, この三つはいつまでも残る [051] ローマカトリック 教父哲学とスコラ哲学 アウグスティヌス 神の国 カトリック教義の確立カトリック = 普遍的 4~5C 告白 1) 人は原罪を負う 神の恩寵で救われる 2) 世界の歴史は神の国と地の国との闘争 3) 三位一体 : 神 = 神の子 ( イエス )= 聖霊 トマス=アクィナス 神学大全 スコラ哲学を体系化 ( アリストテレス哲学で 13C 信仰と理性を統合する ) 信仰 > 理性 ウィリアム オッカム信仰を哲学から切り離す ( オッカムの剃刀 ) 25 26