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減磁曲線と磁気的安定性について. フェライトマグネットの減磁曲線 次の つのグラフは各種フェライトマグネットの減磁曲線を示したもので これによってもその性能上の差異がはっきりわかります 使用の際のパーミアンス係数 (p=bd/hd) が鋳造マグネットより低い方が望ましく その値は.~ 程度が適当で マグネットの形状は一般に偏平状になります

減磁曲線と磁気的安定性について

減磁曲線と磁気的安定性について. フェライトマグネットの磁気的安定性 着磁されたマグネット材料は 使用中に様々な外部的影響によって減磁されます 従って普通のマグネットではいろいろな安定化処理を行うことが必要になりますが フェライトマグネットは保磁力が強大なので磁気的安定性が高く 外部擾乱磁界 機械的衝撃などに対しても性能低下は極めてわずかです 温度変化フェライトマグネットは 通性としてレマネンス ( 見かけの残留磁束密度 ) の温度係数が大きく また低温で不可逆的減磁を受けるなどのために 使用に際してはマグネットの動作点の決め方に特に注意を払わなければなりません. 各種フェライトマグネットの減磁曲線の温度変化 Q Q6 SR-............... SR-H SR-..........

原理 原則. 動作点 いま動作点の温度変化による移動状況の 例を右図に示します すなわち Q6 材の における減磁曲線をAB - におけるそれをA B で表し つの動作状態を動作線 XO YOで表します 動作状態 XOではマグネットの動作点は 動作変化に伴ってXO 線上を一定の温度係数 (.9%/ ) を持って可逆的に変化します しかし 動作線がさらに傾斜した YOの状態では 動作点は温度の低下によって B B に変化してレマネンス値は増加すべきところですが 逆に B B に移行して 不可逆的な減衰量 B B に相当するレマネンス値で示されます この差は室温に戻しても変わりなく 低温で不可逆的減磁を受けた後の動作点は動作線 YOの上のB"' 点に移ります. 動作点 (XO, YO) におけるレマネンス曲線 右上図の動作線 XOおよびYOにおけるレマネンス値の変化の様子を別に表すと右図のようになり 低温による不可逆減磁がC 点に示す温度から始まることがわかります これらの低温減磁の状態は材質や動作点 ( パーミアンス係数 ) によって非常に変わりますので 低温減磁を避ける場合にはQのようにIHCの大きい材料を選ぶか あるいは動作点が その材料の最低使用限度における第 Ⅱ 象限の減磁曲線の屈曲点以上にあるように パーミアンス係数を大きくとる必要があります 高温加熱特性高温加熱による不可逆減磁はほとんどなく どの材質においてもキュリー温度より低い まではレマネンスは可逆的に変化するだけで 常温に回復後はほとんど減磁の起こる心配はありません 経時変化経時的な変化はまったく見られず 安心してご使用いただけます. 着磁 消磁 着磁フェライトマグネットは右図に示す履歴曲線から見て分かるように 金属マグネットよりはるかに大きい着磁磁界を必要としますので 完全に飽和させるには Oe 以上の磁界を加えなければなりません しかし実用上は Oe 程度の着磁で支障ありません a) 等方性フェライトマグネットは右図に示されるように いかなる方向をとって履歴曲線を画かせてもほとんど同様の曲線が得られ また 組み込みを着磁前 あるいは着磁後に行っても ほとんど磁気の強さには変化がなく取り扱いが極めて簡単です b) 異方性フェライトマグネットは右図に示されるように 成形時の磁化方向に対して 平行方向と直角方向ではそれぞれまったく異なった履歴曲線を示しますから注意を要します 一般に異方性フェライトマグネットは方位比 [Br(//)/Br [ ]] が大きいほど異方性が良好で この値はだいたい.~. です 消磁消磁は 各材質ともほぼ IHC に相当する逆磁界を与えればよいわけですが いずれも逆磁界の強さが大きく交流消磁が無理なため完全に消磁することはできません 従って大量かつ安全な消磁を行うためには キュリー温度以上に加熱する いわゆる熱消磁をするのが最も良い方法です

用語解説 (SI 単位系 ). 磁気特性 磁界地球上には磁界 ( 磁場 ) があります この磁界はフェライトマグネットはもちろん 電流の流れる導線周辺にも存在します 磁界の記号は H SI 単位系の場合 A/m(CGS 単位系で Oe) で表します たとえば 地球磁界はおよそ A/m(.Oe) です また.6MA/m(,Oe) 程度の磁界ならば電磁石によって比較的 簡単に作ることができますが これより強い磁界を作るには色々工夫が必要になります 磁化磁界の中にマグネットの素材を置くと その素材は磁気的な変化を起こします この変化を磁化と呼びます また その変化の度合いを 磁化の強さ で表わし SI 単位系ではその記号として M 単位は T(CGS 単位系では記号が πm または πi 単位は G) を用います 飽和磁化マグネット素材に加える磁界を増加していくと 素材は磁化を増し やがて飽和状態になります この量を飽和磁化といいます たとえばバリウムフェライトマグネットの飽和磁化 Js はおよそ.T(G) です 着磁マグネット素材に磁化が飽和するまで充分磁界を加える作業を着磁と呼びます そして着磁に要した磁界を取り去ると マグネット素材には磁化が残ったままの状態となり ここで はじめて マグネット素材がフェライトマグネットと生まれ変わるわけです 磁束密度 ( 磁気誘導 ) 以上のように着磁によってマグネット素材は磁化されますが この時素材には一般に磁束が通るようになります 単位面積当たりの磁束を磁束密度 ( 磁気誘導 ) と呼び記号は B で表します 単位は 磁化の強さの単位と同じガウス (G) です この磁束密度は B=J+μοH で表すことができるので ひとくちにいえば 素材に加わっている磁界とその時の磁化の強さを加えたものに等しくなっています 空気の磁化の強さは磁界の強さに無関係にほとんど零 ( つまり空気の πi はほぼ零 ) なので 着磁に用いた磁界の外にマグネットを取り出した後 そのマグネットのまわりの大きさが そのままその場所での磁界となるわけです 応用上 最も大切なものは この磁束密度の大きさです 残留磁束密度 保磁力 ヒステリシス曲線マグネット素材に徐々に磁界を加えて行ったり また磁界を減少させて逆の磁場を加えて行ったりした時に マグネット素材の磁化の強さや 磁束密度が どの様に変化するかを述べてみましょう まずマグネット素材に徐々に磁界を加えて行くと 素材はしだいに磁化の強さを増し ついに飽和磁化の点に達することは前に述べた通りで ここまでの磁化過程を初磁化過程といいます 次に磁界を減少させ マグネット素材に加わる外部磁界を零にした時 マグネット素材が持っている磁束密度を残留磁束密度 Br ( 残留磁気誘導 ) と呼びます さらに外部磁界のない状態から今までと逆方向に磁界をかけて行くと 磁化も磁束密度も減少を始めます そしてマグネット素材に磁束が通らなくなる状態がきます この時かかっている磁界の大きさを保磁力 HCB と呼びます さらに逆方向磁界を増して行くと 磁束は今までと逆方向に流れはじめ ある所で磁化もなくなります この時の磁界の大きさを保磁力 HCJ と呼びます つまり 保磁力には つあって つは磁束密度 B を零にする磁界 HCB つは磁化の強さ J を零にする磁界 HCJ です 保磁力 HCJ の点を超えて逆磁界を増加させてゆくと 磁化は はじめの向きと逆になり 逆磁界の向きと一致し やがて磁化は飽和に達します このくり返しにより描かれる曲線がヒステリシス曲線といわれるものです ( 右図参照 ) 反磁界フェライトマグネットは 自分で作る N 極 S 極によって外部に磁界を作る一方 マグネット内部にも同じ N 極 S 極によって磁界が生じています これを反磁界 ( 減磁界 ) とよび その大きさも向きもマグネット内部の磁束密度とは異なっております 反磁界は自分自身の磁化を減少させるように作用し N 極 S 極が近づくほど すなわちマグネットの長さ ( 寸法比 : 長さ / 直径 ) が小さい程 大きくなります 減磁曲線磁束密度の項で述べたように フェライトマグネットは磁化された結果残る磁束を利用しますから 反磁界が大きくても磁束密度が消滅せずに残っている程 フェライトマグネットの特質をよく備えているといえます 従ってひとくちにいって残留磁束密度と保磁力 BHC が大きいことがすぐれたフェライトマグネットの必要条件です 逆磁界の大きさにより磁束密度がどう変化するかを知るために減磁曲線を用います この曲線は とりもなおさず磁束密度と磁界の関係を示したヒステリシス曲線の第 象限そのものです ( 上右図参照 ) フェライトマグネットの真の評価の第一歩はこの減磁曲線を見ることです

用語解説 (SI 単位系 ) 動作点フェライトマグネットに加わる反磁界 Hd であるとき フェライトマグネットは減磁曲線上 Bd に相当する磁束密度 ( 磁気誘導 ) を出していることになります このように Hd Bd で示される点をそのフェライトマグネットの動作点と呼びます ( 右図参照 ) しかし実際の使用にあたっては この動作点は周囲の状況によって変化します たとえば着磁した直後のマグネットの動作点が右図の P 点であったとしても そのマグネットに鉄片をつけると マグネットの反磁界が減少し磁束密度がさらに増加する所に動作点は移動します フェライトマグネットの動作点 最大エネルギー積減磁曲線の項で述べたように フェライトマグネットの磁気特性の判定の基準は まず減磁曲線を見ることです つまり ある反磁界 Hd があるときに 磁束密度 Bd がいくら出せるかを知ることができればよいわけです そこでもっと簡単にフェライトマグネットの磁気特性を判定する方法として動作点上の Hd Bd の積の最大値を用います Hd Bd はマグネットが外部の空間に出すことのできるマグネット単位体積あたりのエネルギーに比例した量であるために その最大値を最大エネルギー積と呼んでいます 最大エネルギー積の単位は SI 単位系で J/m CGS 単位系で GOe です フェライトマグネットの最適設計は 動作点がこの最大エネルギー積の点に来るようにした場合であるといわれます その理由は必要エネルギーを取り出すのにフェライトマグネットの体積を最少にすることができるからです マイナーループ動作点はフェライトマグネットの使用状況によって移動することを述べましたが この移動は一般に減磁曲線上をそのまま移動するものではなく 右図に示すように初めの動作点の位置を基点として作る小さなヒステリシス曲線上を動きます この減磁曲線上から始まる小さなヒステリシス曲線をマイナーループと呼びます フェライトマグネットの動作点はこのマイナーループ上の点に来るのが普通です しかし スピーカ用マグネットのように動作点が移動しない場合には 当然 動作点は減磁曲線上にあります マイナーループとループ上の動作点. 磁気特性の熱的変化 不可逆温度変化フェライトマグネットを高温にさらし再び常温に戻すと材質に変化がなくてもフェライトマグネットの作る磁束密度は減少します このような磁束密度の変化率は 高温にさらす時間とともに次第に減少し比較的短時間で飽和に達し 変化は止まります この時の始めの磁束密度に対する変化率を不可逆温度変化率と呼びます この不可逆温度変化は程度の差はありますが あらゆるフェライトマグネットに認められ その変化の大きさは保持温度とマグネットの動作点の位置により大幅に異なります 可逆温度変化 ( 温度係数 ) 今まで述べて来たことはすべて常温における磁気特性について述べておりますが マグネットを低温または高温にさらした場合 その温度での磁気特性がどうであるかということは 実際の使用に関して極めて大切なことです この磁気特性の温度変化を知るには各温度での減磁曲線が必要となります これを簡略化して動作点 Bd の 当りの変化を可逆温度変化率 ( 温度係数 ) といいます この可逆温度変化は各温度での不可逆温度変化が完了してから測定いたします また一般のマグネットではマグネットの動作点の位置によって可逆温度変化率が変化しますが 一つの数字で代表される時は やはり可逆透磁率と同じように最大エネルギー積の点での Bd の変化をいいます

使用上の注意 安全上の注意. 磁化された大型マグネットはマグネット同士または鉄片などの磁性体との間に非常に強い吸引力 ( またはマグネット間の反発力 ) が生じます 運搬や組立の際に手などを挟まれたり 吸引力や反発力で体のバランスを崩し 思わぬ怪我をすることがありますので 適切な治具を使用するなど マグネットの取り扱いには十分にご注意ください. マグネットのシャープなエッジで手や指などに怪我をすることがあります 取り扱いには十分ご注意ください. 空芯コイルを用いて着磁する場合は マグネットがコイルから急激に飛び出す事があり危険です 安全のため マグネットはコイルの中心部に置き 固定して着磁を行ってください. マグネットを誤って飲み込まないよう 幼児の手の届かないところに保管してください 万一飲み込んだ場合は医師にご相談ください. 金属に敏感に反応するアレルギー体質の方は マグネットに触れると皮膚が荒れたり赤くなったりする場合があります このような症状が現われた場合にはマグネットに触れる作業はお避けください 6. ペースメーカーなど電子医療機器を装着した人へマグネットを近づけると 正常な作動を損なう事があり 大変危険ですので十分ご注意ください 7. マグネットは一般に割れやすく 破片が目に入ったり 破片で怪我をすることがありますのでご注意ください マグネットは吸引力が強いため 手を挟まれないようにご注意ください 設計上の注意. 異方性フェライトマグネットの場合 材質によっては低温で減磁するものがありますので注意が必要です ご使用になる温度で必ずご確認ください. フェライトマグネットは伝送用などに多用されていますが 特に割れやすい材質ですので 十分な衝撃に耐えるような対策を行ってください 取扱いの注意. 着磁されたマグネット同士を直接重ねると マグネットが離れにくくなったり 欠けることがあります マグネット間にボール紙をスぺーサーとして挟み込んでご使用ください. 着磁されたマグネットを鉄板に吸引させたり マグネット同士を吸引 反発させると減磁することがありますのでご注意ください. 着磁されたマグネットを交流 直流磁界に近づけると 減磁することがあります. 着磁されたマグネットは鉄粉などのゴミを吸着しますので 梱包ケースから取り出す場合はホコリのない環境で行ってください. マグネットは 着磁されてないものでも微少な磁性体が付着する場合がありますので 取り扱いに注意してください また 精密モータに使用する場合は 組み付け後洗浄してからご使用ください 6. マグネットはそれぞれの材質に特有のキュリー温度があります キュリー温度近くに加熱すると磁力を失います 組立などで加熱せざるを得ない場合は弊社へご相談ください 7. ヨークなどに接着する場合は 接着後に機械的な歪みが残らないような接着材及び接着方法を選んでください 残留応力が加わったまま使用されますと わずかの衝撃でマグネットが割れることがあります 8. マグネットは衝撃に弱く 割れや欠けが発生しやすいので取り扱いにご注意ください 割れや欠けは特性劣化の原因となります その他の注意事項. マグネットを磁気テープ フロッピーディスク プリペイドカード ブラウン管 切符 電子時計などに近づけないでください 磁気記録媒体が破壊されたり 磁化されて使用できなくなることがあります. マグネットを電子機器に近づけないでください 計器板 制御盤に影響し 故障や事故につながることがあります