Ⅰ.6 地図は縮小された図像である Ⅰ.6.1 縮尺 : 地図は 地球表面部分を縮少表現したものである 縮少の比率は地図の縮尺率である 縮尺率 = 実際と地図上の図像との間の縮小の比率 縮尺率 = 地図上で測られた距離 地形上の実際の距離 * 実例 : 1 25,000 地図上の 1cm 地表上の 25,000cm 地図上の 1cm 地表上の 250m 1/ 25,000 の地図上において 1cm は地表上の250m を表す 縮尺率は地図の凡例の中に常に示されている 凡例の中に描かれた線で表された縮尺率は 地図上で直接に距離を測定することを可能にする Kirometer Miles ( 図 -11 縮尺の表示例 ) 1) ディバイダーで距離を測る 2) その距離を線で表された縮尺率に直接転写 する ( 図 -12) Kirometer 14
1 地図の作成法 大きな縮尺率と小さな縮尺率 1 = 小さな数 1,000,000 大きな縮尺率 マップメーター 1 10,000 = 大きな数 小さな縮尺率 マップメーター ( キルビメーター ) は目盛りのついた文字盤とキャスターとを含む器具であり 地図上の湾曲した距離を直接測定することができる 注意したいのは 地図は実際のものを平面上に投影したものであるから 地図上で測定された距離は実際のものが平面上に投影された寸法にすぎない ということである B A 実際の距離 - 断面 地図上で測られた距離 ( 図 -13) 地図上で測られた距離 空から俯瞰した距離 水平方向の距離 A 地点から B 地点に行くために踏破される実際の距離は 地図上で測られた AB の距離よ りも当然ずっと長い 地図上で測られた AB の距離は 上空から俯瞰した 距離 あるいは AB 間の水平方向の距離だと言える 15
Ⅰ.6.2 土地の形状土地の形状を表すために利用されるものは : 1 等高線 2 標高点 3 素描 ( 岩場の図 氷河のクレバス ガレ場等 ) 4 陰影 ( 国土地理院の地図にはない フランスI.G.Nの地図では表示されている ) 1) 等高線 等高線は地図上に描かれた仮想の線であり 地表面において同じ高度の地点をつなげたも のである 等高線の色の濃さ : 濃い等高線 : 計曲線 薄い等高線 : 主曲線 主曲線の間に それをさらに半分に分かつ仕方で挿入される 点線で描かれた第一次補助曲線 第二次補助曲線がある 等高線の色の種類 : 地面を表す : 暗褐色 氷河を表す : 青色 ( フランス I.G.N の地図 ) 等高線間の高度差 : 連続 ( 並列 ) する 2 つの等高線の間 (2 つの主曲線の場合もあれば 主 曲線と計曲線との間の場合もある ) に存在する高度の差 ( 標高差 ) である 1/ 25,000 の地図では 等高線間の高度差は 10m である ( 計曲線だけが示されている岩場の 地帯においては 50m である ) 1/ 50,000 の地図では 等高線間の高度差は 20m である * 注意 : 地図上で国境を越えるときには 他の側 ( 外国の側 ) では等高線間の高度差が変更 されうることに注意すること ; その変更は凡例の中に示されるであろう 16
1 地図の作成法 注意 フランスI G Nの地図では 標高は計曲線上に表示されているが その表示の され方は 数字の上方が上流に向かっていて 登りの方向を示すようになっている しかし 日本の国土地理院の地図では そのようになってはいない事に注意する 読み易いように表 記されている 断面による地形の輪郭 等高線の図面 図 14 その地形に対応する地図 図 15 17
2 標高点 これらの点は 一般に特徴的な場所に位置し 地図上にその高度を示されてあり 黒い点 によって表現されている 注意 三角点は 地図製作に利用される基本図の目印であるが Ⅰ. 3を参照 それも 同様に地図上でその正確な高度が示されている 数字の上方はいつも地理的な北 真 北 を示す Ⅱ を参照 3 陰影 これは 45 の入射角で北西から照らすほのかな光によってもたらされる陰影である その陰影は傾斜の強弱に応じてその明暗の強さが変わる 日本の国土地理院の1 25000の地図では 陰影が表示されていない エリアマップ等 では表示されているものもある 4 素描 これは その傾きが60 を超える斜面 すなわち断崖や岩壁 を表すために用いられる 地形の実例 頂上 コル 鞍部 谷筋 峡谷 稜線 断崖 地図上の実例 コル 断崖 標高点 頂上 谷筋 谷筋 コル 稜線 図 16 18
1 地図の作成法 Ⅰ.6.3 傾斜間隔のあいた等高線 ( 弱い傾斜 ) 稜線 より狭い等高線 ( 強い傾斜 ) ( 図 -17 等高線による傾斜の表示) A. 傾斜の計算傾斜は地形の水平方向からの傾きである それは度数 ( 傾斜角 ) あるいはパーセンテージで表示される 度数で表示 : 地形線 * 例 傾斜角 30 水平線 ( 図 -18 傾斜の度数表示 ) パーセンテージで表示 : 高度差定義 : 傾斜 ( パーセンテージで )= 100 水平方向の距離 * 例 高度差 水平距離 ( 図 -19 傾斜を % で表示 ) 19
HB 傾斜 ( パーセンテージ )= 100 HA 例 : 仮に HB = 42m HA = 100m とすると HB 42 傾斜は : 100 = 100 = 42% HA 100 これが意味するのは 100m の水平方向の距離のために42m の高度差を登るということである 他の例 : 水平方向の距離 = 500m 高度差 = 80m とすると 80 傾斜 % = 100 = 16% 500 注意 : パーセンテージと度数を混同しないこと * 第 1 例 : 高度差 =100m 水平距離 =100m ( 図 -20) 100 パーセンテージで表示された傾斜: 100 = 100% 100 度数で表示された傾斜:45 * 第 2 例 : 高度差 =50m (57.7%) 水平距離 =86.6m ( 図 -21) 20
1 地図の作成法 度数で表示された傾斜 :30 50 % で表示の傾斜 : 100 = 57.7% 86.6 B. 地図上で傾斜を測定する方法用具 :1 半透明な1mm 方眼紙 2 三角定規 3 分度器 4 関数付き電卓 5AGSJマップゲージ (AGSJ 製 最も簡易に測定できる 実用新案申請中 ) * 例 :A 地点と B 地点の間の平均の傾斜を測定する 1/25.000 の地図 : 1cm 250m 1mm 25m A B 主曲線 :10M 計曲線 :50M (1/25,000 地図 ) ( 図 -22 立山室堂付近 ) 1) パーセンテージによる傾斜の計算 : 1/25,000の地図 : AとBの間の距離:16mm 25m 16mm = 400m 高度差:2500m - 2300m = 200m 200 傾斜 = 100 = 50% 400 21
2) 度数による傾斜の測定 : C A α B ( 図 -23) AB の距離を線引きする この線分は水平方向の距離を表す B から AB と直角に 高度差を表す線分 BC を引く 高度差 = 200m 1/25,000 の地図 :200m = 8mm 実際の傾斜ラインACを線引きする ABは水平方向の距離を表す BCは高度差を表す ACはAとBの間の平均的傾斜上での実際の距離と傾斜ラインを表す こうしてできた角度 αが傾斜角であり 分度器を用いて あるいはコンパスの目盛りの付いた文字盤を用いて直接に 測定できる α = 26 関数計算機能付き電卓があるなら tan α = 高度差 / 水平距離 = 200 / 400 = 0.5 逆正接 Atan(0.5) = 26.56 22
㟁Ꮚᅜᅵ 1 地図の作成法 傾斜の輪郭 断面図 を描く 例 A地点とG地点の間の傾斜の輪郭を描く 図 24 立山内蔵助谷スキー滑走ルート G D E F C A B A B C 標高 m D E ルートが直線上に無いため 各ポイント を断面に鉛直にプロット出来ないことを注 意する 方眼紙を地図に重ねて 回転させ F ながら描く 水平距離 m 図 25 滑走断面と斜度 滑走距離の算定 道のりを直線で描く A G間の道のりを一定の傾斜をもった複数の部分に切り分ける 6つの部分AB BC CD DE EF FGが得られる 区間 AB BC CD DE EF FG 23 高度差 m 水平距離 m 斜度 度 滑走距離 m 65 100 33 119 50 255 11 260 150 610 14 628 30 198 8 200 420 577 36 714 150 400 21 427 表 1 G
* 注意 : 明らかではあるが AG 間に引かれた破線は2 点間の傾斜の実際の輪郭を表してはいない 実際は諸部分 (AB,BC,CD,DE,EF,FG) の連続であり 各々の部分が固有の斜度をもっている AG 間に引かれた破線は平均の斜度を表している 2 点間に測定される傾斜は その 2 点間の傾斜平均斜度である A ( 図 -26 平均斜度 ) B C D 高差(865m )水平距離 (2,140 m) E 平均斜度 (22 ) 標F G 実際の傾斜( 実際の諸傾斜 ) に対応する輪郭 ( 実線 ) 平均傾斜に対応する輪郭( 破線 ) 平均斜度 = 総高度差 / 総水平距離 = 865 / 2,140 100 = 40.42% = 22 AGSJ マップゲージを用いた簡易測定 地図上で簡易に傾斜を測定するための測定器具を AGSJ で考案している この用具を用 いることにより 等高線にゲージ を当てることによりその斜面の傾 斜角度が容易に測定できる 山岳スキーのルート調査用に考 案されたものである 30 40 50 60 20 10 1:25,000 計曲線 100m 単位で測定 1:50,000 計曲線 200m 単位で測定 5 4 ( 度 ) 1:50,000( 上 ) (M) 200 1:25,000( 下 ) 1000 2000 4000 0 100 200 500 1000 1500 2000 0 1 2 3 4 5 6 7 8 (CM) AGS-J Mountain Map-Gage 1:25,000 計曲線 50m 単位で測定 1:50,000 計曲線 100m 単位で測定 ( 度 ) 5 実用新案申請中 10 3020 40 50 60 ( 図 -27 AGSJ マップゲージ ) 24
等高線上の計曲線100mの位置で度数を読む 度数は14 と読める ᗘ㸧 ta un J Mo - AGS -G &0 ㄳ ᪂ ᐇ 図 28 P༢ P༢ ィ Ѝࠉ ࠉィ Ѝ ap M n i 㸧 ᗘ age 0 ༢ P P༢ ィ ࠉ Ѝ Ѝࠉィ 等高線上の計曲線100m の位置で度数を読む 度数は35 と読める ᗘ㸧 ᗘ㸧 記号 0 AGS-J Mountain Map-Gage Ѝࠉ ィ P༢ Ѝࠉィ P༢ Ⅰ 6 4 Ѝࠉィ P༢ Ѝࠉィ P༢ 図 29 &0 ᐇ ᪂ ㄳ 1 地図の作成法 主要な記号は地図の凡例に記載されている それらは地表の自然的および人工的な細目を図 式的に表している これら記号の図柄と形は単純な法則に従っており 知識なしにもその意味を理解することが 普通はできる 注意 線状の記号は3つのグループに分けられるが それらは決して混同しないように一瞥 して判別されなければならない 1 幹線道路 道路 小道 2 鉄道や電線の軌道 3 国境や境界 県や市町村や郡などの 25