1. 調査概要 (1) 目的本調査は計画地において 植物相や希尐種の生育状況 樹林の状況や植生状況を把握し 今後公園整備計画を検討するために必要となる基礎資料を得ることを目的として行うものである (2) 調査対象地 調査対象地を図 に示した 図 調査対象地 1

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3. 植生 3. 植生哲学堂公園の空間を構成する植生を把握するため 哲学堂 77 場を囲む範囲に生育する樹木 ( 樹高 3m 以上 ) について 調査を実施した (1) 毎木調査結果毎木調査結果を以下に示す 表 3: 毎木調査結果一覧 (1/23) エリア No. 樹種 台地 H( 樹高 ) C(

イネ科イネ科イネ科イネ科37 図鑑の見方 秋冬の植物 アキメヒシバ Digitaria violascens 4 5 花期 6 出現ポイント 7 タイプ 8 生息地 9 原産地 花期 8~10 月出現ポイント B タイプ一年草生息地畑道端原産地日本全土 1 科名 本図

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表 F: 森林総合調査結果 ( 毎木調査表 ) 地点名 : 八幡平国立公園 備考欄の用語の説明 ( 主に林業用語としての定義 ) 調査実施日 : 平成 25 年 8 月 12 日 挫折: 樹幹が折損し 折損した樹幹の各部分が確認できるもの 調査実施者 : 日本森林技術協会東北営業所工藤公也菊池京子工

事業所名 No. 科名種名学名本社 カシオ計算機 羽村技術 センター 八王子技術 センター 山形カシオ本社山梨事業所 カシオ 電子工業 カシオビジネ スサービス 甲府事業所 1 イワヒバ クラマゴケ Selaginella remotifolia 2 トクサスギナ Equisetum arvense

第 12 章植物 121 現地調査結果現地調査により確認された植物種の一覧は 資料表 121(1)~(12) に示すとおりである また 現地調査のは 春季については資料表 122(1)~(3) 夏季については資料表 123(1)~(9) 秋季については資料表 124(1)~(12) に示すとおりであ

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H22年度

変化に伴って植生がどのように変化してきたのか. また, 現在の植生にどのように影響を与えているのかを知ることが二次林の適切な保全対策を考える上で重要であると考えられる. 本研究では,1) こんぶくろ池周辺における過去の森林の取り扱いの履歴を復元し, それが現在の森林構造にどのように反映しているのかを


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3 調 査 方 法 後, 特 段 の 管 理 を 行 わず 遷 移 に 任 せるという 方 針 であったため, 調 査 前 にはエリア 内 は 枯 れ 枝 等 で 覆 われ ており, 調 査 時 には 林 床 を 整 理 する 必 要 があった その 後,ビオトープエリアを 図 に 示 したとおり

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5. 既存の研究成果等の収集 分析 検討委員会での助言をもとに 既存の研究成果等を収集し 活用可能性について分析等を実施した 既存の研究成果は 広葉樹林化ハンドブック 2010,2012( 独立行政法人森林総合研究所 ) をはじめ 学会誌等により公開されている文献などから本事業に関係すると考えられる

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Ⅲ解樹高 オオバヤシャブシカバノキ科 低木 の形 低木 単複分裂針 のつき方 は 1 個 脈は 12~16 対 の縁 対生互生束生 オオバヤシャブシの特徴 全縁 の色 赤いが咲く の色 鋸歯縁 紫のが咲く 白いが咲く 茶色 黄色 緑のが咲く 説菌類と共生するため 養分の乏しい土地でも比較的生長が早い

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I 植生調査

1. 調査概要 (1) 目的本調査は計画地において 植物相や希尐種の生育状況 樹林の状況や植生状況を把握し 今後公園整備計画を検討するために必要となる基礎資料を得ることを目的として行うものである (2) 調査対象地 調査対象地を図 1-2-1 に示した 図 1-2-1 調査対象地 1

(3) 調査方法及び調査日 1) 植物相調査調査対象地内の植物相を把握するため 全域を踏査し シダ植物以上の高等植物の生育を確認した 調査は 秋季に 1 回実施した また 確認された植物種のうち 国や埼玉県が指定するレッドリストに該当する希尐種が確認された場合は 生育位置および生育状況を記録した < 希尐種の選定根拠 > 植物 Ⅰのレッドリスト, 環境省,2007. 改訂 埼玉県レッドデータブック 2005 植物編, 埼玉県,2005. < 調査日 > 平成 22 年 9 月 13 日 2) 毎木調査計画地内の樹木の生育状況を詳細に把握するため 毎木調査を実施した 調査対象地では 平成 21 年度 朝霞市簡易植生調査報告 において K 区 J 区及びH 区の敷地外から西側約 30m に生育する樹木を対象に毎木調査が実施されている そこで 本調査では 平成 21 年度に毎木調査が実施されていない範囲を対象とした 調査は 胸高周囲 50cm ) 以上の個体注を対象とし 樹種 樹高 胸高周囲 生育位置を記録した なお 調査対象樹木にはビニール製のナンバーテープを取り付けた 生育位置は 調査対象地の人工構造物と樹木の位置関係を基に トータルステーションを用いた測量を行い 位置を記録した また 平成 21 年度と今年度の毎木結果を用いて 生育樹木の高さ 太さ 樹種別の分布状況を整理し 調査対象地の樹林の特徴をみた 調査対象地内の樹林の分布状況を整理するに当たり 図 1-3-1 の敷地区分図を用いた 注 ) 株立ちの場合は 胸高周囲 10cm 以上の幹の総和の 0.7 掛けが 50cm 以上の個体を対象とした < 調査日 > 毎木調査 : 平成 22 年 9 月 9,10 日 11 月 4,5,8,18,19 日測量 : 平成 23 年 1 月 13,14,17,18,19,20,27 日 写真 1-3-1 調査状況 写真 1-3-2 ナンバーテープ 2

図 1-3-1 調査対象地と敷地区分 3) 植生概況区分毎木調査の結果を基に現地確認を行い 植生概況区分図を作成した < 調査日 > 平成 22 年 12 月 8 日 平成 23 年 2 月 17 日 3

2. 調査結果 (1) 植物相調査 1) 確認種調査対象地で生育が確認された植物の内訳を表 2-1-1 に示した 確認された植物は シダ植物 8 科 15 種 裸子植物 7 科 8 種 被子植物 71 種 221 種であり 全体で 86 科 244 種であった 確認種一覧を表 2-1-2 に示した 調査対象地は 40 年以上放置された立地であり 自然遷移により 現在の樹林が形成された立地である 調査対象地内の樹林は落葉広葉樹林が広く分布し 高木ではヤマザクラ エノキ ムクノキ ミズキ ハリエンジュが優占し 下層にはシロダモ ヤツデ ヒイラギ カクレミノといった常緑広葉樹の低木や ジャノヒゲ マンリョウ テイカカズラ ツルグミ サイハイランといった草本が生育していた このような樹林は 主に建物周りの植栽地であった場所に成立しており 元々ヤマザクラやハリエンジュ等が植栽され これらが放置され 高木層にエノキ ムクノキ ミズキなどが侵入し 林床植生が一部回復していると考えらえる また 建物跡地にも樹木は侵入し 樹林を形成していた その他に 広範囲にコンクリートで覆われた立地では樹林の発達状況は悪く 草地あるいは低木疎林になっており アカメガシワ オオニシキソウ アキノエノコログサ ビロードモウズイカ メマツヨイグサといった種が生育していた また 過去に植栽されたと考えらえるイチョウ アメリカスズカケノキ ヒマラヤスギ ハリエンジュ キンモクセイ モチノキ等が生育している立地でも 林床植生の回復がみられた 以上のことから 調査対象地では樹林化に伴い 林内の植生が回復してきているが途中段階であり 外来種も多いと考えられる 表 2-1-1 植物の生育確認種内訳 分類 科数種数 シダ植物 8 15 裸子植物 7 8 種子植物 離弁花類 45 127 双子葉植物被子植物合弁花類 19 52 単子葉植物 単子葉類 7 42 合計 86 244 4

表 2-1-2 確認種一覧 (1/5) 科名種名学名 環境省 RD 埼玉県 RD マツハ ラン マツバラン Psilotum nudum NT CR トクサ スギナ Equisetum arvense ハナヤスリ フユノハナワラビ Botrychium ternatum フサシタ カニクサ Lygodium japonicum イノモトソウ イノモトソウ Pteris multifida オシタ ナガバヤブソテツ Cyrtomium devexiscapulae ヤブソテツ Cyrtomium fortunei ベニシダ Dryopteris erythrosora クマワラビ Dryopteris lacera オクマワラビ Dryopteris uniformis イノデ Polystichum polyblepharum ヒメシタ ホシダ Cyclosorus acuminatus ヒメワラビ Thelypteris torresiana var. calvata ミドリヒメワラビ Thelypteris viridifrons メシタ イヌワラビ Athyrium niponicum イチョウ イチョウ Ginkgo biloba マツ ヒマラヤスギ Cedrus deodara アカマツ Pinus densiflora スキ スギ Cryptomeria japonica ヒノキ ヒノキ Chamaecyparis obtusa マキ イヌマキ Podocarpus macrophyllus イヌカ ヤ イヌガヤ Cephalotaxus harringtonia イチイ カヤ Torreya nucifera カハ ノキ イヌシデ Carpinus tschonoskii フ ナ スダジイ Castanopsis cuspidata var. sieboldii マテバシイ Lithocarpus edulis クヌギ Quercus acutissima アラカシ Quercus glauca シラカシ Quercus myrsinaefolia コナラ Quercus serrata ニレ ムクノキ Aphananthe aspera エノキ Celtis sinensis var. japonica アキニレ Ulmus parvifolia ケヤキ Zelkova serrata クワ ヒメコウゾ Broussonetia kazinoki クワクサ Fatoua villosa イチジク Ficus carica カナムグラ Humulus japonicus マグワ Morus alba ヤマグワ Morus australis イラクサ ヤブマオ Boehmeria japonica var. longispica アオミズ Pilea pumila タテ ミズヒキ Antenoron filiforme イヌタデ Persicaria longiseta イタドリ Reynoutria japonica ナガバギシギシ Rumex crispus ヤマコ ホ ウ ヨウシュヤマゴボウ Phytolacca americana オシロイハ ナ オシロイバナ Mirabilis jalapa スヘ リヒユ スベリヒユ Portulaca oleracea ナテ シコ ウシハコベ Stellaria aquatica アカサ シロザ Chenopodium album アリタソウ Chenopodium ambrosioides var. ambrosioides ヒユ ヒカゲイノコズチ Achyranthes bidentata var. japonica ヒナタイノコズチ Achyranthes bidentata var. tomentosa モクレン コブシ Magnolia praecocissima 5

表 2-1-2 確認種一覧 (2/5) 科名種名学名 マツフ サ サネカズラ Kadsura japonica クスノキ クスノキ Cinnamomum camphora ヤブニッケイ Cinnamomum japonicum ゲッケイジュ Laurus nobilis タブノキ Machilus thunbergii シロダモ Neolitsea sericea キンホ ウケ コボタンヅル Clematis apiifolia var. biternata メキ ヒイラギナンテン Mahonia japonica ナンテン Nandina domestica アケヒ アケビ Akebia quinata ミツバアケビ Akebia trifoliata ツツ ラフシ アオツヅラフジ Cocculus orbiculatus ト クタ ミ ドクダミ Houttuynia cordata ツハ キ ヤブツバキ Camellia japonica ヒサカキ Eurya japonica モッコク Ternstroemia gymnanthera チャノキ Thea sinensis ケシ タケニグサ Macleaya cordata スス カケノキ アメリカスズカケノキ Platanus occidentalis モミジバスズカケノキ Platanus x acerifolia ユキノシタ ウツギ Deutzia crenata アジサイ Hydrangea macrophylla ハ ラ キンミズヒキ Agrimonia japonica ヘビイチゴ Duchesnea chrysantha ヤブヘビイチゴ Duchesnea indica ビワ Eriobotrya japonica キジムシロ Potentilla fragarioides var. major ミツバツチグリ Potentilla freyniana カマツカ Pourthiaea villosa var. laevis ウワミズザクラ Prunus grayana ヤマザクラ Prunus jamasakura オオシマザクラ Prunus lannesiana var. speciosa タチバナモドキ Pyracantha angustifolia トキワサンザシ Pyracantha coccinea シャリンバイ Rhaphiolepis umbellata アズマイバラ Rosa luciae ノイバラ Rosa multiflora テリハノイバラ Rosa wichuraiana クサイチゴ Rubus hirsutus モミジイチゴ Rubus palmatus var. coptophyllus ナワシロイチゴ Rubus parvifolius カジイチゴ Rubus trifidus マメ ヤブマメ Amphicarpaea bracteata ssp. edgeworthii var. japonica ツルマメ Glycine max ssp. soja マルバヤハズソウ Kummerowia stipulacea メドハギ Lespedeza cuneata ネコハギ Lespedeza pilosa クズ Pueraria lobata ハリエンジュ Robinia pseudoacacia ムラサキツメクサ Trifolium pratense シロツメクサ Trifolium repens フジ Wisteria floribunda カタハ ミ カタバミ Oxalis corniculata トウタ イク サ エノキグサ Acalypha australis オオニシキソウ Euphorbia maculata 環境省 RD 埼玉県 RD 6

表 2-1-2 確認種一覧 (3/5) 科名種名学名 トウタ イク サ コニシキソウ Euphorbia supina アカメガシワ Mallotus japonicus ユス リハ ユズリハ Daphniphyllum macropodum ミカン コクサギ Orixa japonica サンショウ Zanthoxylum piperitum センタ ン センダン Melia azedarach ウルシ ヌルデ Rhus javanica var. roxburgii ハゼノキ Rhus succedanea カエテ イロハモミジ Acer palmatum モチノキ イヌツゲ Ilex crenata モチノキ Ilex integra クロガネモチ Ilex rotunda ニシキキ ツルウメモドキ Celastrus orbiculatus f. orbiculatus ニシキギ Euonymus alatus コマユミ Euonymus alatus f. ciliato-dentatus ツルマサキ Euonymus fortunei var. radicans マサキ Euonymus japonicus マユミ Euonymus sieboldianus フ ト ウ ノブドウ Ampelopsis glandulosa var. heterophylla ヤブガラシ Cayratia japonica ツタ Parthenocissus tricuspidata ヤマブドウ Vitis coignetiae エビヅル Vitis ficifolia var. lobata シナノキ カラスノゴマ Corchoropsis tomentosa アオキ リ アオギリ Firmiana simplex ク ミ ツルグミ Elaeagnus glabra ナワシログミ Elaeagnus pungens スミレ タチツボスミレ Viola grypoceras ウリ アマチャヅル Gynostemma pentaphyllum カラスウリ Trichosanthes cucumeroides アカハ ナ メマツヨイグサ Oenothera biennis ミス キ アオキ Aucuba japonica ミズキ Cornus controversa サンシュユ Cornus officinalis ウコキ タラノキ Aralia elata ヤツデ Fatsia japonica セイヨウキヅタ Hedera helix キヅタ Hedera rhombea セリ ヤブジラミ Torilis japonica オヤブジラミ Torilis scabra ツツシ オオムラサキ Rhododendron pulchrum ヤフ コウシ マンリョウ Ardisia crenata イズセンリョウ Maesa japonica カキノキ カキノキ Diospyros kaki エコ ノキ エゴノキ Styrax japonica モクセイ ネズミモチ Ligustrum japonicum トウネズミモチ Ligustrum lucidum イボタノキ Ligustrum obtusifolium キンモクセイ Osmanthus aurantiacus ギンモクセイ Osmanthus fragrans ヒイラギ Osmanthus heterophyllus キョウチクトウ テイカカズラ Trachelospermum asiaticum var. intermedium カ カ イモ ガガイモ Metaplexis japonica アカネ ヘクソカズラ Paederia scandens アカネ Rubia argyi 環境省 RD 埼玉県 RD 7

表 2-1-2 確認種一覧 (4/5) 科名種名学名 ヒルカ オ アサガオ Ipomoea nil クマツツ ラ ムラサキシキブ Callicarpa japonica クサギ Clerodendrum trichotomum シソ ヒメオドリコソウ Lamium purpureum ヒメジソ Mosla dianthera イヌコウジュ Mosla punctulata ナス クコ Lycium chinense アメリカイヌホオズキ Solanum americanum ヒヨドリジョウゴ Solanum lyratum コ マノハク サ ビロードモウズイカ Verbascum thapsus ノウセ ンカス ラ キササゲ Catalpa ovata キリ Paulownia tomentosa キツネノマコ キツネノマゴ Justicia procumbens ハエト クソウ ハエドクソウ Phryma leptostachya ssp. asiatica オオハ コ オオバコ Plantago asiatica ヘラオオバコ Plantago lanceolata スイカス ラ ハナゾノツクバネウツギ Abelia x grandiflora ウグイスカグラ Lonicera gracilipes var. glabra スイカズラ Lonicera japonica ニワトコ Sambucus racemosa ssp. sieboldiana ガマズミ Viburnum dilatatum サンゴジュ Viburnum odoratissimum var. awabuki キク ブタクサ Ambrosia artemisiifolia var. elatior オオブタクサ Ambrosia trifida ヨモギ Artemisia princeps ノコンギク Aster ageratoides ssp. ovatus アメリカセンダングサ Bidens frondosa コセンダングサ Bidens pilosa オオアレチノギク Conyza sumatrensis リュウノウギク Dendranthema japonicum ヒメムカシヨモギ Erigeron canadensis ハルジオン Erigeron philadelphicus アキノノゲシ Lactuca indica セイタカアワダチソウ Solidago altissima オニノゲシ Sonchus asper ノゲシ Sonchus oleraceus ヒメジョオン Stenactis annuus ユリ ノビル Allium grayi オオバギボウシ Hosta montana ヤブラン Liriope muscari ハタケニラ Nothoscordum fragrans ノシラン Ophiopogon jaburan ジャノヒゲ Ophiopogon japonicus ナガバジャノヒゲ Ophiopogon ohwii オオバジャノヒゲ Ophiopogon planiscapus オモト Rohdea japonica サルトリイバラ Smilax china シオデ Smilax riparia var. ussuriensis ユッカ Yucca filanmentosa ヤマノイモ ヤマノイモ Dioscorea japonica オニドコロ Dioscorea tokoro ツユクサ ツユクサ Commelina communis ヤブミョウガ Pollia japonica イネ カモジグサ Agropyron tsukushiense var. transiens 環境省 RD 埼玉県 RD 8

表 2-1-2 確認種一覧 (5/5) 科名種名学名 環境省 RD イネ メリケンカルカヤ Andropogon virginicus ケトダシバ Arundinella hirta メヒシバ Digitaria ciliaris オヒシバ Eleusine indica カゼクサ Eragrostis ferruginea コスズメガヤ Eragrostis poaeoides アシボソ Microstegium vimineum var. polystachyum ススキ Miscanthus sinensis ケチヂミザサ Oplismenus undulatifolius コチヂミザサ Oplismenus undulatifolius var. japonicus オオクサキビ Panicum dichotomiflorum ヨシ Phragmites australis ホテイチク Phyllostachys aurea モウソウチク Phyllostachys pubescens アズマネザサ Pleioblastus chino アキノエノコログサ Setaria faberi キンエノコロ Setaria glauca エノコログサ Setaria viridis ヤシ シュロ Trachycarpus fortunei カヤツリク サ エナシヒゴクサ Carex aphanolepis ヒメカンスゲ Carex conica ヒゴクサ Carex japonica ヒカゲスゲ Carex lanceolata ナキリスゲ Carex lenta ラン サイハイラン Cremastra appendiculata VU 86 科 244 種 1 2 埼玉県 RD 出典 ) 植物 Ⅰ のレッドリスト, 環境省,2007. 改訂 埼玉県レッドデータブック 2005 植物編, 埼玉県,2005. 外来種ハンドブック, 日本生態学会,2002. 帰化植物写真図鑑, 全国農村教育協会,2001. 日本の帰化植物, 平凡社,2003. 凡例 環境省 RD NT : 準絶滅危惧種 埼玉県 RD CR : 絶滅危惧 ⅠA 類 VU : 絶滅危惧 Ⅱ 類 9

2) 希尐種調査対象地で生育が確認された希尐種はマツバラン サイハイランの 2 科 2 種であった ( 表 2-1-3) 確認された希尐種の内訳は 環境省レッドリスト該当種 1 種 埼玉県レッドデータブック 2005 該当種 2 種であった 確認位置を図 2-1-1 に示した 科名種名学名 表 2-1-3 確認された希少種 希尐種 環境省 RD 1 埼玉県 RD 2 マツハ ランマツハ ラン Psilotum nudum NT CR ランサイハイラン Cremastra appendiculata VU 1 環境省版レッドリスト ( 環境省 2007) NT; 準絶滅危惧 ( 現時点では絶滅危険度は小さいが 生息条件の変化によっては 絶滅危惧 に移行する可能性のある種 ) 2 埼玉県レッドデータブック植物編 2005( 埼玉県 2005) CR; 絶滅危惧 ⅠA 類 ( ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの ) VU; 絶滅危惧 Ⅱ 類 ( 絶滅の危険が増大している種 ) a) マツバランマツバランは 調査対象地内の 6 ヶ所で 合計 44 茎の生育が確認され B 区およびI 区に 1 ヶ所づつ H 区およびJ 区に 2 地点づつ分布していた 主な確認地点は ヤマザクラが優占し アカメガシワ エノキ ムクノキなどの高木が生育している林であった ヤマザクラやエノキなどの高木の根元に生育している個体が多くみられた 写真 2-1-1 マツバラン 写真 2-1-2 マツバランの生育環境 10

b) サイハイランサイハイランは 調査対象地内の 17 ヶ所で およそ 100 株の生育が確認され 特にD 区で多く確認された 主な確認地点は ヤマザクラ アカメガシワ エノキ ムクノキが優占する林で 林内はやや暗く シュロやアオキ ネズミモチ ナガバジャノヒゲ ヤブラン等が生育していた 写真 2-1-3 サイハイランの個体 写真 2-1-4 サイハイランの生育環境 11

図 2-1-1 希少種確認位置図 12

(2) 毎木調査 1) 調査結果 a) 確認状況今年度の調査の結果 38 種 2754 本確認された 平成 21 年度 朝霞市簡易植生調査報告書 では 図 2-2-1 に示す範囲に 24 種 834 本確認された これら 2 つの調査結果を合わせると 調査対象地では 44 種 3588 本の樹木が確認された ( 表 2-2-1) 区分 落葉広葉樹 常緑広葉樹 針葉樹 総計 表 2-2-1 年度別樹木の内訳 種名 平成 21 年度平成 22 年度総計本数合計本数合計本数合計 ヤマザクラ 348 688 1036 アカメガシワ 93 523 616 ハリエンジュ 105 344 449 ムクノキ 97 316 413 エノキ 62 256 318 ミズキ 34 177 211 アオギリ 136 136 アメリカスズカケノキ 47 36 83 ヤマグワ 5 44 49 オオシマザクラ 48 48 イチョウ 6 17 23 ケヤキ 4 19 23 アキニレ 4 12 16 キリ 819 10 2652 10 3472 モミジバスズカケノキ 7 2 9 ウワミズザクラ 9 9 エゴノキ 4 1 5 ヌルデ 1 4 5 ヒメコウゾ 4 4 キササゲ 1 1 クヌギ 1 1 コブシ 1 1 サンシュユ 1 1 センダン 1 1 ハゼノキ 1 1 マグワ 1 1 プラタナス.sp 1 1 モチノキ 3 42 45 キンモクセイ 1 19 20 トウネズミモチ 1 12 13 モッコク 5 5 シラカシ 4 4 スダジイ 7 4 92 4 99 ネズミモチ 4 4 イヌツゲ 1 1 タケ.sp 1 1 トキワサンザシ 1 1 ヤブツバキ 1 1 ヒマラヤスギ 6 6 12 ヒノキ 2 2 アカマツ 1 1 8 10 カヤ 1 1 18 スギ 1 1 レバノンスギ 1 1 44 種 834 2754 3588 13

図 2-2-1 年度別の樹木分布 14

b) 高さ調査対象地に生育する樹木の高さについて 樹高を用いて傾向をみた 確認された樹木の樹高を 5m 単位で 5 段階に区分し 図 2-2-2 及び表 2-2-2 に示し 樹高階別の樹木分布を図 2-2-3 に示した 調査対象地内に生育する樹木は 樹高 10m~15m の個体が 1,861 本と最も多く 全体の半数以上を占めていた 次いで樹高 5m~10m の個体が 1,276 本 樹高 15m~20m の個体が 375 本 樹高 3m~5m の個体が 67 本 樹高 20m を越える個体は 9 本であった 樹高 3m~5m の個体は 建物の周辺や 人工構造物上に成立した草地の周りに点在していた 樹高 5m~10m の個体は 特にL 区の人工構造物周辺に多くみられた 樹高 10m~15m は全体に広く分布し 特にA 区及びD 区 K 区の樹林の中心部に多くみられた 樹高 15m~20m は 特にA 区及びD 区 K 区にかたまって分布していた 樹高 20m 以上の個体は C 区およびK 区で確認された 以下に各階級の詳細を示した 樹高 3m~5m の個体で最も多い樹種はアカメガシワの 24 本であり 次いでヤマザクラの 16 本 エノキの 5 本であった これらの個体は コンクリートの隙間や 建物周辺にのみわずかにみられた 樹高 5m~10m の個体で最も多く確認された樹種はアカメガシワの 300 本であり 調査対象地全域で確認され 特にL 区で多く確認された 次いでヤマザクラの 260 本であり 本種も調査対象地全域で確認され 特にH 区で多く確認された 次いで ムクノキの 167 本であった 樹高 10m~15m の個体で最も多く確認された樹種はヤマザクラの 620 本であり 本種は調査対象地全域で確認され 特にA 区およびK 区の全域や F 区およびI 区西部の一般道路に面した場所 さらにH 区の南側で多く確認された 次いで多く確認された樹種はアカメガシワの 280 本で 特にA 区およびD 区で多く確認された 次いで多く確認された樹種は ハリエンジュの 273 本であった 樹高 15m~20m の個体で最も多く確認された樹種はヤマザクラの 140 本であった 次いでハリエンジュの 82 本 エノキの 39 本であった これらの個体は かたまって分布し 一部列状に生育していた 樹高 20m 以上の個体は尐なく ヒマラヤスギが 5 本 アメリカスズカケノキが 4 本のみ確認された C 区ではアメリカスズカケノキ K 区ではヒマラヤスギが局所的に分布していた 15

本数 2000 1800 2 7 針葉樹 常緑広葉樹 1600 落葉広葉樹 1400 1200 2 81 1000 1852 800 600 1193 400 8 3 200 0 1 58 3~ 5 未満 8 5~ 10 未満 10~ 15 未満 364 15~ 20 未満 5 20~25 4 樹高 (m) 図 2-2-2 樹高階別の樹木本数 16

区分 種名 表 2-2-2 種別の樹高階分布 3~ 5 未満 5~ 10 未満 樹高階分布 10~ 15 未満 15~ 20 未満 20~ 25 合計 総計 ヤマザクラ 16 260 620 140 1036 アカメガシワ 24 300 280 12 616 ハリエンジュ 94 273 82 449 ムクノキ 7 167 208 31 413 エノキ 5 111 163 39 318 ミズキ 121 81 9 211 アオギリ 15 106 15 136 アメリカスズカケノキ 23 39 17 4 83 ヤマグワ 4 36 9 49 オオシマザクラ 17 31 48 イチョウ 1 14 8 23 落ケヤキ 8 7 8 23 葉広アキニレ 1 13 2 16 葉キリ 1 8 1 10 3472 樹 モミジバスズカケノキ 3 4 2 9 ウワミズザクラ 6 3 9 エゴノキ 3 2 5 ヌルデ 1 4 5 ヒメコウゾ 3 1 4 キササゲ 1 1 クヌギ 1 1 コブシ 1 1 サンシュユ 1 1 センダン 1 1 ハゼノキ 1 1 マグワ 1 1 プラタナス.sp 1 1 モチノキ 4 40 1 45 キンモクセイ 17 3 20 トウネズミモチ 1 12 13 モッコク 1 4 5 常緑シラカシ 1 3 4 広スダジイ 2 2 4 99 葉 ネズミモチ 4 4 樹 トキワサンザシ 1 1 ヤブツバキ 1 1 イヌツゲ 1 1 タケ.sp 1 1 ヒマラヤスギ 1 6 5 12 ヒノキ 1 1 2 針アカマツ 1 1 葉樹カヤ 1 1 スギ 1 1 18 レバノンスギ 1 1 総計 44 種 67 1276 1861 375 9 3588 17

図 2-2-3 樹高階別の樹木分布 18

c) 太さ 1 胸高断面積確認された樹木は単幹の個体と株立ちの個体が混在していたため 胸高周囲を胸高断面積に換算し 調査対象地の樹木の太さの傾向をみた なお 株立ちの個体については 各株の胸高断面積の総和を個体の胸高断面積として算出した 確認された樹木の胸高断面積を 250cm 2 単位で 6 段階に区分し 図 2-2-4 及び表 2-2-3 に示し 胸高断面積階別分布を図 2-2-5 に示した 調査対象区内に生育する樹木は 胸高断面積 250~500 cm 2 ( 胸高周囲 56~79cm) の個体が 1254 本と最も多く 全体の 35% であった 次いで 500~750 cm 2 ( 胸高周囲 79~112cm) の個体が 699 本 胸高断面積 750~1000 cm 2 ( 胸高周囲 112~125cm) の個体が 389 本 胸高断面積 159~250 cm 2 ( 胸高周囲 45~56cm) の個体が 376 本 胸高断面積 1000~1250 cm 2 ( 胸高周囲 125~137cm) の個体が 228 本 胸高断面積 1250 cm 2 ( 胸高周囲 137cm) を越える個体は 642 本であった 胸高断面積 159~250 cm 2 ( 胸高周囲 45~56cm) の個体は 過去の主要道線沿いや L 区の人工構造物沿いに点在していた 胸高断面積 750~1000 cm ( 2 胸高周囲 112~125cm) の個体は 調査対象地全域に広く分布していた 胸高断面積 1250 cm 2 ( 胸高周囲 137cm) 以上の個体は 過去の主要道線沿いに多くみられ 部分的に列状に生育していた 以下に各階級の詳細を示した 胸高断面積 159~250 cm 2 ( 胸高周囲 45~56cm) の個体で最も多く確認された樹種は アカメガシワの 109 本であり 次いでムクノキの 62 本 ヤマザクラの 51 本であった これらの個体は 過去の主要道線や L 区の人工構造物沿いや林縁などの明るい光環境の立地に多く生育していた 胸高断面積 250~500 cm 2 ( 胸高周囲 56~79cm) の個体で最も多く確認された樹種は アカメガシワの 285 本であり 次いでヤマザクラの 277 本 ムクノキの 168 本であった 胸高断面積 500~750 cm 2 ( 胸高周囲 79~112cm) の個体で最も多く確認された樹種は ヤマザクラの 186 本であり 次いでアカメガシワの 128 本 ハリエンジュの 113 本であった 胸高断面積 750 ~1000 cm 2 ( 胸高周囲 112~125cm) の個体で最も多く確認された樹種は ヤマザクラの 126 本であり 次いでハリエンジュの 65 本 アカメガシワの 48 本であった これら胸高断面積 250~1000 cm 2 ( 胸高周囲 56~125cm) の個体は 調査対象地全域に広く分布していた 胸高断面積 1000~1250 cm 2 ( 胸高周囲 125~137cm) の個体で最も多く確認された樹種は ヤマザクラの 93 本であり 次いでハリエンジュの 43 本 エノキの 26 本であった 胸高断面積 1250 cm 2 ( 胸高周囲 137cm) 以上の個体で最も多く確認された樹種は ヤマザクラの 303 本であり 次いでハリエンジュの 75 本 ムクノキの 57 本であった 胸高断面積 1000 cm 2 ( 胸高周囲 125 cm ) 以上の個体は 過去の主要道線沿いに多くみられ 部分的に列状に生育していた 19

本数 1400 1200 29 3 針葉樹 常緑広葉樹 落葉広葉樹 1000 800 600 1222 20 15 14 400 1 13 679 17 5 613 200 362 372 223 0 159~ 250 未満 (45~56 cm未満 ) 250~ 500 未満 (56~79 cm未満 ) 500~ 750 未満 (79~112 cm未満 ) 750~ 1000 未満 (112~125 cm未満 ) 1000~ 1250 未満 (125~137 cm未満 ) 1250 以上 (137 cm以上 ) 胸高断面積 (cm 2 ) ( 胸高周囲 cm) 図 2-2-4 胸高断面積階別の樹木本数 20

区分 種名 表 2-2-3 種別の胸高断面積階分布 159~ 250 未満 (45~56 cm未満 ) 250~ 500 未満 (56~79 cm未満 ) 胸高断面積階分布 ( cm 2 ) 500~ 750 未満 (79~112 cm未満 ) 750~ 1000 未満 (112~125 cm未満 ) 1000~ 1250 未満 (125~137 cm未満 ) 1250 以上 (137 cm以上 ) 落葉 ヤマザクラ 51 277 186 126 93 303 1036 アカメガシワ 109 285 128 48 15 31 616 ハリエンジュ 29 124 113 65 43 75 449 ムクノキ 62 168 67 39 20 57 413 エノキ 33 121 55 41 26 42 318 ミズキ 31 95 52 12 9 12 211 アオギリ 16 71 26 10 9 4 136 アメリカスズカケノキ 5 19 14 7 1 37 83 ヤマグワ 4 25 13 4 1 2 49 オオシマザクラ 3 7 11 13 3 11 48 イチョウ 1 1 21 23 ケヤキ 4 7 2 2 2 6 23 アキニレ 4 6 3 3 16 キリ 5 1 4 10 3471 モミジバスズカケノキ 1 2 1 5 9 ウワミズザクラ 1 4 1 3 0 9 エゴノキ 4 1 0 5 ヌルデ 3 2 0 5 ヒメコウゾ 1 3 0 4 キササゲ 1 0 1 クヌギ 1 0 1 コブシ 1 0 1 サンシュユ 1 0 1 センダン 1 0 1 ハゼノキ 1 0 1 マグワ 1 0 1 プラタナス.sp 1 0 1 合計 362 1222 679 372 223 613 3471 常緑 モチノキ 4 17 11 12 1 0 45 キンモクセイ 2 3 2 4 3 6 20 トウネズミモチ 5 5 2 1 13 モッコク 1 3 1 0 5 シラカシ 4 4 スダジイ 4 4 99 ネズミモチ 1 1 1 1 0 4 イヌツゲ 1 1 タケ.sp 1 0 1 トキワサンザシ 1 0 1 ヤブツバキ 1 0 1 合計 13 29 20 17 5 15 99 針葉 ヒマラヤスギ 12 12 ヒノキ 1 1 2 アカマツ 1 0 1 カヤ 1 0 1 18 スギ 1 1 レバノンスギ 1 0 1 合計 1 3 0 0 0 14 18 総計 376 1254 699 389 228 642 3588 :() は胸高周囲長を示す 合計 総計 21

図 2-2-5 胸高断面積階別の樹木分布 22

2 大径木確認された樹木のうち 単幹で胸高周囲が 150 cm以上の個体を大径木とし 胸高周囲を 20cm 単位で 10 段階に区分し 樹種別に整理した 樹種別の本数を表 2-2-4 に示し 分布を図 2-2-6 に示した 確認された大径木は 235 本であり 調査対象地で確認された樹木全体の 6.5% を占めた これらは 人工構造物沿いや過去の主要道線沿いに 多くみられた 最も胸高周囲が大きい個体は 胸高周囲 364.2 cmのヤマザクラであった 最も多く確認された樹種は ヤマザクラの 85 本で 次いで ハリエンジュの 27 本 アメリカスズカケノキの 25 本 ムクノキの 24 本 イチョウおよびエノキの 20 本 ヒマラヤスギの 10 本 ミズキの 5 本 シラカシおよびスダジイの 4 本 モミジバスズカケノキおよびアカメガシワ ケヤキの 3 本 キリの 2 本であった ヤマザクラは 調査対象地全域で確認され 特にK 区で多く確認された また A 区および D 区 H 区において 人工構造物に沿って列状に分布していた ハリエンジュは D 区の南部およびG 区 H 区で多く確認された アメリカスズカケノキは 列状に分布している個体が多く 特に C 区では 東西方向に走る過去の主要道線に沿って列状に分布していた このように大径木は 生育場所にある程度規則性がみられ 過去の土地利用時に植栽されたものであると考えられる 表 2-2-4 大径木 ( 単幹の胸高周囲 150cm 以上 ) 樹種別の樹木本数 胸高周囲階分布 ( cm ) 種名 150 170 190 210 230 250 270 290 310 330 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 合計 170 190 210 230 250 270 290 310 330 ヤマザクラ 26 19 16 6 5 3 4 3 1 2 85 ハリエンジュ 11 4 3 5 4 27 アメリカスズカケノキ 1 4 7 6 1 4 1 1 25 ムクノキ 7 6 6 2 2 1 24 イチョウ 3 5 4 5 2 1 20 エノキ 10 5 3 2 20 ヒマラヤスギ 2 1 3 3 1 10 ミズキ 2 1 1 1 5 シラカシ 2 1 1 4 スダジイ 1 1 2 4 モミジバスズカケノキ 1 1 1 3 アカメガシワ 2 1 3 ケヤキ 2 1 3 キリ 1 1 2 合計 65 48 44 32 17 12 9 4 1 3 235 23

図 2-2-6 樹種別の大径木の分布 24

d) 樹林構成樹林の構成種をみるために 調査対象地で確認された樹木を サクラ類 雑木林の構成樹種 先駆性樹種 外来樹種の 4 タイプに区分し表 2-2-5 に示した また 分布状況として 各タイプの分布図を作成した 分布図は サクラ類は 1 枚 雑木林の構成樹種は落葉広葉樹 常緑広葉樹 針葉樹の 2 枚 先駆性樹種は 1 枚 外来樹種は落葉広葉樹と常緑広葉樹 針葉樹の 2 枚の計 6 枚作成した ( 図 2-2-7) 以下に各タイプの詳細を示した サクラ類は 調査対象地に生育するサクラ類のうち 特に観賞的価値が高いヤマザクラ オオシマザクラの 2 種を区分した ヤマザクラ及びオオシマザクラは 1084 本確認され 調査対象域全域に分布しており A 区 H 区 K 区に多く分布していた 主に人工構造物の周りや過去の主要道線沿いに生育していた 雑木林の構成樹種は 18 種 1044 本確認された このうち落葉広葉樹は ムクノキ エノキ ミズキ ケヤキ ウワミズザクラ エゴノキ クヌギ コブシ センダン ハゼノキの 10 種 常緑広葉 針葉樹はモチノキ ネズミモチ シラカシ スダジイ ヤブツバキ イヌツゲ アカマツ カヤの 8 種を区分した 落葉広葉樹は 主にムクノキ エノキ ミズキであり これらの樹種は調査対象地全域に広く分布していた ケヤキはD 区及びG 区に局所的に分布していた 常緑広葉樹は 主にモチノキであり 建物周辺や過去の主要道線に列状に生育していたことから 過去に植栽された個体であると考えらえる 先駆性樹種は アカメガシワ ヤマグワ ヌルデ ヒメコウゾ マグワの 5 種を区分した 先駆性樹種は 675 本確認し このうちアカメガシワは 91% を占めていた これらの種は 草地や建物跡地など光環境の良好な場所 樹林の林縁部に多く生育していた 外来樹種は 19 種 785 種確認された このうち 落葉広葉樹は ハリエンジュ アオギリ アメリカスズカケノキ イチョウ アキニレ キリ モミジバスズカケノキ キササゲサンシュユ プラタナス.sp の 10 種 常緑広葉 針葉樹はキンモクセイ トウネズミモチ モッコク トキワサンザシ タケ.sp ヒマラヤスギ ヒノキ スギ レバノンスギの 9 種の計 19 種を区分した このうち ハリエンジュ及びトウネズミモチは外来生物法において要注意外来生物に指定されており 生態系に悪影響を及ぼしうることから取り扱いに注意が必要な種である 落葉広葉樹は 主に ハリエンジュ アオキ プラタナス ( アメリカスズカケノキ モミジバスズカケノキ プラタナス.sp) であり ハリエンジュは過去の主要道線に沿って局所的に分布していた アオギリは D 区およびF 区で多く分布していた プラタナスは 一部で過去の主要道線に沿って列状に分布していた 25

区分種名サクラ類 表 2-2-5 特徴的な樹種の区分 雑木林の構成樹種 特徴的な先駆性樹種 外来樹種合計総計 ヤマザクラ 1036 アカメガシワ 616 ハリエンジュ 449 ムクノキ 413 エノキ 318 ミズキ 211 アオギリ 136 アメリカスズカケノキ 83 ヤマグワ 49 オオシマザクラ 48 イチョウ 23 落ケヤキ 23 葉アキニレ 16 3472 広葉キリ 10 樹モミジバスズカケノキ 9 ウワミズザクラ 9 エゴノキ 5 ヌルデ 5 ヒメコウゾ 4 キササゲ 1 クヌギ 1 コブシ 1 サンシュユ 1 センダン 1 ハゼノキ 1 マグワ 1 プラタナス.sp 1 モチノキ 45 キンモクセイ 20 トウネズミモチ 13 モッコク 5 常緑ネズミモチ 4 広シラカシ 4 99 葉スダジイ 4 樹トキワサンザシ 1 ヤブツバキ 1 タケ.sp 1 イヌツゲ 1 ヒマラヤスギ 12 ヒノキ 2 針アカマツ 1 葉 18 樹カヤ 1 スギ 1 レバノンスギ 1 総計 44 種 2 18 5 19 3588 26

サクラ類 雑木林の構成樹種 ( 落葉広葉樹 ) 雑木林の構成種 ( 常緑広葉 針葉樹 ) 先駆性樹種 外来樹種 ( 落葉広葉樹 ) 外来樹種 ( 常緑広葉樹 ) 図 2-2-7 タイプ別の樹木分布 27

e) 結果の解析毎木調査の結果より 調査対象地の樹林を構成している主な種は ヤマザクラ ムクノキ エノキ ミズキ アカメガシワ ハリエンジュであることが明らかになった これらの種の侵入課程 個体群拡大様式等の傾向をみるために 大径木とそれ以外の個体を区別し 図 2-2-8 に示した ムクノキ エノキ ミズキの大径木は 過去の主要道線上及び 建物跡地に多くみられた 大径木より小さい個体は 過去の主要道線や建物跡地の他に 樹林内にも点在していた 以上のことから これらの種は 主要道線及び建物周りに植栽または鳥散布により定着した後 徐々に個体数が増加したと考えられる また 鳥散布であるため 一斉林は形成せず ヤマザクラ林等の主要構成種となっている ヤマザクラ及びハリエンジュの大径木は 過去の主要道線や建物跡地周辺にみられ 過去に植栽されたと考えられる これらの種は過去に植栽された個体が大きく生長し 調査対象地内の種子散布源となり 個体数が増加した 特に鳥散布であるサクラ類は 種子の散布距離が長く 調査対象地では 母樹となる個体より離れて定着し 全体的にみると 広い範囲でサクラ類がみられたと考えられる 一方 ハリエンジュは主に風散布種子であるため 大径木周辺で個体が多く生育していた アカメガシワは先駆性樹種であるため あまり大きな個体にはならない種である 調査対象地内でも大径木は尐なかった 建物跡周辺や林縁に多くの個体が集中して分布していた 以上のことから 調査対象地の樹林は ヤマザクラが優占し 主要構成木としてムクノキ エノキ ミズキが混在する また 林縁及び草地の周辺にはアカメガシワが優占していた 外来樹種では ハリエンジュが一部樹林を形成していたが 多くの個体が単木であり 過去に植栽された個体であると考えられた 調査対象地で個体数が多かった樹木の多くは鳥散布型の形態を持つ樹種であり これらの種が自然に増加していったと考えられる 28

サクラ類ムクノキエノキ ミズキアカメガシワハリエンジュ 図 2-2-8 樹種別大径木 (150cm 以上 ) 及びそれ以下の個体の分布 29

(3) 植生概況区分毎木調査結果を基に 植生概況区分図を作成し 現地にて確認を行った 植生概況区分を表 2-3-1 に 植生概況区分を図 2-3-1 に示した 調査の結果 植生を 12 タイプに区分した 調査対象地で確認された植生タイプのうち樹林タイプは ケヤキ優占型タイプ シラカシ優占型タイプ サクラ類優占型タイプ ヒマラヤスギ優占型タイプ プラタナス優占型タイプ ハリエンジュ優占型タイプ アカメガシワ エノキ ムクノキ優占型タイプであった サクラ類優占型タイプについては 優占種ごとに 3 つのタイプに区分した 各植生タイプの分布状況を以下に示した ケヤキ優占型タイプは ケヤキの大径木にエノキ ムクノキが混在している樹林である 調査対象地内に分布は尐なく D 区の一部で確認された シラカシ優占型タイプの分布は尐なく シラカシの大径木が 4 本列状に分布しているL 区の西側のみみられた サクラ類優占型タイプは調査対象地内に広く分布がみられ アオギリ優占型 エノキ ムクノキ優占型 アカメガシワ優占型に区分した サクラ類 -アオギリ優占タイプは D 区 E 区 F 区にのみみられ 分布は限られていた サクラ類 -アカメガシワ優占タイプは A 区の建物周辺 過去の主要道線周辺にまとまって分布していた サクラ類 -エノキ ムクノキ優占タイプは過去の主要道線沿いやK 区に広く分布していた ヒマラヤスギ優占型タイプは K 区にみられ コの字型に分布していた プラタナス優占型タイプは 大径木が列状に生育し まとまりを形成していた ハリエンジュ優占型タイプは ムクノキ ミズキが混在する樹林であり 過去の主要道線を挟んでまとまりを形成している場所が多くみられた アカメガシワ エノキ ムクノキ優占型タイプは L 区の建物跡地や周辺などの光環境の良好な場所 樹林の林縁部に成立していた 竹林は D 区 E 区 F 区にまたがり 2 つの大きなまとまりを形成していた 草地は L 区 E 区 G 区に広く分布し コンクリートが露出した立地に多く成立していた 表 2-3-1 植生タイプ一覧 No. 凡例 1 ケヤキ優占型タイプ 2 シラカシ優占型タイプ 3-1 サクラ類 -アオギリ優占型タイプ 3-2 サクラ類 -アカメガシワ優占型タイプ 3-3 サクラ類 -エノキ ムクノキ優占型タイプ 4 ヒマラヤスギ優占型タイプ 5 プラタナス優占型タイプ 6 ハリエンジュ優占型タイプ 7 アカメガシワ エノキ ムクノキ優占型タイプ 8 竹林 9 草地 10 人工構造物 30

図 2-3-1 植生概況区分図 図 2-3-2 整備基本計画図 31