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嚥下障害講義 ( 第 2 回 ) 九州大学耳鼻咽喉科安達一雄

今回のお話しの内容 嚥下障害の分類 嚥下評価の方法 嚥下内視鏡検査 X 線ビデオ透視 嚥下障害の治療 嚥下機能改善手術 誤嚥防止手術 リハビリテーション その他

嚥下障害の分類 ( 原因による ) 器質製嚥下障害 嚥下物の通路に問題がある 腫瘍 瘢痕狭窄 食道憩室など 運動障害性嚥下障害 嚥下機能に問題がある 脳血管障害 変性疾患 外傷 腫瘍 脳梗塞 多発性硬化症 ALS 多発性筋炎 筋ジストロフィー 頭頚部癌手術後など 機能性嚥下障害 嚥下機能には問題がない 咽喉頭炎 心因性 など

誤嚥の分類 ( 中枢レベルからの分類 ) 球麻痺型誤嚥 延髄が障害されることによる 軟口蓋や咽頭の収縮 食道入口部の開大不良喉頭挙上の障害などを認めるカーテン徴候や声帯麻痺などを伴う場合もあり咽頭クリアランスの低下によるものが多い * 延髄外側症候群 (Wallenberg 症候群 ) 仮性球麻痺型誤嚥 延髄より上位で障害されることによる 口腔期の障害や 咽頭期の嚥下反射の惹起不良など

誤嚥の分類 ( 咽頭期での分類 ) 1. 喉頭挙上期型誤嚥 喉頭の閉鎖が不十分であることによる 嚥下反射が起こらない あるいは遅れている場合嚥下反射が起こっても 喉頭の挙上が十分でない場合 2. 喉頭下降期型誤嚥 嚥下物の貯留が不十分であることによる 嚥下圧が低下する場合 咽頭の収縮が不十分 輪状咽頭筋の開大不良 3. 混合型誤嚥 1 と 2 の合わさったもの 4. 嚥下不能 有効な嚥下反射が引き起こせない状況

顕性誤嚥 : 食事などの嚥下時に明らかに誤嚥があるもの 不顕性誤嚥 : 夜間などに唾液の吸引により起こる誤嚥

検査の実際

1 嚥下内視鏡検査 (VE)

背景 1988 年に Langmore らにより 口腔期 咽頭期の嚥下障害を評価する手技としてはじめて紹介される (Langmore SE,Schatz K,Olsen N.Fiberoptic endoscopic and videofluoroscopic examination of swallowing safety :a new procedure.dyshagia.2:216 219,1988) 1997 年には FEES という略語は商標 trademark として認可されており ( 認可番号 2,104,697) ここではこの検査の望ましいプロトコールと評価を示している 咽頭と喉頭の筋肉の生理と解剖を評価し 嚥下機能を評価し どの体位 食物形態 嚥下手技がより安全で効果的な嚥下を促進するかを決める治療的検査までを含んでいる つまり FEES という言葉は単に嚥下障害や誤嚥を発見するために内視鏡を使うときには用いてはならない つまり Langmore が示したプロトコールに則った場合のみ FEES という用語を使用してよいとしている

背景 FEESと嚥下透視検査の比較された報告は多い Langmore et al(1991) Willging et al(1996) Wu et al(1997) Kaye et al(1997) いずれも特異度や感度は一致する傾向にある FEES( 嚥下内視鏡検査 ) を広めたい意図 最近では嚥下内視鏡検査 =FEES VE と用語は用いられている

VE の特徴 ファイバーを用いて行う検査である ファイバーさえあればどこでも検査可能である 往診でも評価可能 目的 1 嚥下機能について評価する 2 リハビリを行った場合の効果を評価する 3 咽頭の清潔さなどの評価を行う

VE の特徴 ( 透視との比較 ) ( 長所 ) 基本的にファイバーのみで可能であり 道具をそれほど要しない 検査コストが安い ベット上の患者など 往診が必要な患者でも検査可能である 実際の嚥下物の動態を視覚的に捕らえることができる また X 線非透過性のテストフードが使用可能である 実際の咽頭 喉頭の知覚について確認しやすい 咽頭や喉頭の病変 ( 腫瘍等 ) が確認しやすい 放射線の被曝がない 故に数回繰り返して行うことが可能である 患者も画面にて確認できるため 視覚的にフィードバックを行うことができる

VE の特徴 ( 透視との比較 ) ( 短所 ) 嚥下の瞬間が見えないため ( ホワイトアウト ) 嚥下動態 ( 誤嚥の種類など ) は嚥下造影検査に比べると評価しにくい 口腔期や食道期の評価が困難 経鼻的に挿入された状態での評価は本来の嚥下運動と異なる可能性を有する やや手技に熟練を要する 場合によっては検者しか観察できない

検査の実際

検査の是非 ( 前段階として ) 意識状態が保たれている肺炎等の感染が落ち着いている意思の疎通がある程度可能である体位 ( 座位またはそれに近い ) がとれる経口摂取ができる これらを満たしていないと 基本的に検査は不可

体位について 基本的に座位あるいはそれに近い体位となるが 患者 がいつも食べている体位や さらに高く頭を持ち上げ るといった形での体位の保持が重要となる

前処置 基本的には通常のファイバーと同様 ( 鼻処置 ) 鼻腔内に 4% キシロカイン液 塗布用ボスミンを噴霧し 吸引する 口腔内は清潔にしておく 口腔内の感覚 誤嚥したときの問題 吸引の準備

嚥下物の準備 緑色や青色に着色された液体当科では 緑色の ( 食用 ) 色素水やピオクタニン希釈水を用いている欧米ではgreen dye 液体であれば 粘膜とコントラストがつくものをゼリー プリンなど また 実際の食事でもよい当科ではエンゲリード を用いている

挿入 先ず上咽頭を観察する 発声 空嚥下にて軟口蓋 咽頭後壁の動きを観察する カーテン徴候の有無の確認 軟口蓋の閉鎖の程度の観察 duh nuh duh nuh( ダーナーダーナー ) p, t,k( 破裂音 ) やf,s,th( 摩擦音 )

喉頭の観察 (1) 器質的疾患の有無を観察する 安静時 高齢者では後壁の腫脹 (forestier 病 ) を認め 嚥下機能が低下していることがある クリアランス障害 下咽頭 舌根部 喉頭蓋の形態なども確認する

喉頭の観察 (2) 奥に内視鏡を進めるが 仮に唾液等で汚染が 酷く 観察が困難であれば 吸引および含嗽を 行う

喉頭の観察 (3) 喉頭を明視下におき 唾液の貯留の有無 ( 喉頭蓋谷 梨状窩 ) を観察する 唾液あるいは食塊の貯留があれば 咽頭クリアランスの低下を疑う 全体的な唾液の貯留は知覚の低下も疑う所見である

声門部を観察する 喉頭の観察 (4) 声帯の可動性および声門閉鎖を観察する 発声 咳払いなど 場合によっては息こらえを指示する 声帯麻痺があれば 誤嚥の可能性を疑う 時に 気管切開例や 脳梗塞例などでは呼吸性に声門部を 唾液が上下する様子が観察される 声門閉鎖不全 ( 声帯麻痺 声帯萎縮 ) は当然ながら 嚥下に不利な条件である 気管切開も同様

喉頭の観察 (5) 発声 空嚥下にて咽頭壁 ( 側壁 ) の動きを観察する 咽頭麻痺があれば 咽頭クリアランスの低下および時に誤嚥を生じる 原疾患からある程度所見の想像がつく場合も多い

喉頭の観察 (6) 披裂部 喉頭蓋喉頭面を実際に内視鏡先端にて刺激してみる 嚥下反射や咳嗽反射がなければ さらに声帯方向に進め 反射の有無を確認する 反射がなければ 口腔摂取は非常に危険な状態と考える

喉頭の観察 (7) 嚥下物を 口腔内に入れる 口腔内保持の状態を評価する ( しばらく口腔内保持してもらう ) 当科では先に作成しておいた緑色の色素水を1 回 5 cc 注入している 嚥下物に関しては実際の食事でもまた ゼリーなどの半固形物でも良い これらは液体に比べると流入速度が遅いため 誤嚥の評価には有用であると言える

喉頭の観察 (8) 一度ファイバーを喉頭蓋上方 ( 一般には口蓋垂の高さまで ) まで引き実際に嚥下してもらう 嚥下反射が起こらなければ 嚥下不能と評価する 嚥下した瞬間はホワイトアウトし 観察できないが その後の状況から誤嚥の程度を推測する ホワイトアウトが無ければ 咽頭期嚥下の惹起不全があるか 咽頭壁収縮が障害されている可能性が高い

喉頭の観察 (9) 嚥下を指示し 嚥下物が流入してから嚥下反射が起こるまでの時間が長ければ 咽頭知覚が障害されており 挙上期型誤嚥の原因となる 嚥下後にファイバーを進め喉頭内を観察する 喉頭内に嚥下物を確認できた場合 ( 嚥下時に咳嗽を認め ) 色素水あるいは嚥下物の喀出 を認めた場合 誤嚥を疑う

喉頭の観察 (10) 喉頭蓋谷 梨状窩の嚥下物の貯留はクリアランスの低下および下降期型の誤嚥を疑う 可能であれば その状態でもう一度嚥下してもらい 貯留物が嚥下にて消失するか 誤嚥してしまうか評価する

喉頭の観察 (11) 再現性を確認するために検査は数回行うことが望ましいが 誤嚥が推測されるものではその限りではない 当科では1 回の診察で2 回行うこととしている 1 回目は誤嚥を認めることが意外と多い

重要なポイント 早期の咽頭への垂れ込み : 嚥下の前 ( ホワイトアウトの前 ) に色素水が舌根を超えているもの 残留 : 色素水が嚥下後に咽喉頭に残っているもの 侵入 : 色素水が披裂喉頭蓋ひだを乗り越えて喉頭前庭に入ること 誤嚥 : 色素水が声帯より下に入りこむこと

ベット上での検査

ID 主訴原疾患組織型 VEの目的 要望 嚥下内視鏡検査機能評価チャート 九州大学病院嚥下サポートチーム氏名歳検査日原発部位亜分類 TNM 入院 外来依頼科 Stage 病歴 治療歴 内服薬 1 2 3 4 気管切開の有無 カニューレ 肺炎 頻度 回日 1 日 2 ワクチン 放 Gy 照射期 ~ 身長 cm 体重 kg 射 Gy 間線 ~ BMI 検査日 栄養管理主食量割水分 ALB g/dl 検査日内容採血食事状況副食量割 Hb g/dl stroke 発症日 1 2 脳 MRI 有無 検査日 JCS 従命 ADL 点数 点 検査日 非嚥下時所見 鼻咽腔閉鎖 カーテン徴候 唾液貯留など咽頭腔の衛生状態 声帯運動麻痺 固定位置 声門閉鎖 発声持続時間 秒 声門閉鎖反射や咳反射の惹起性 色素水 ゼリー嚥下 咽頭期嚥下反射の惹起性 咽頭クリアランス 喉頭侵入や誤嚥ゼリー咽頭クリアランス 液体嚥下スコア合計 点 ゼリー喉頭侵入や誤嚥 器質的異常の有無 喉頭 下咽頭腫瘍 ( 特に下咽頭 ) 憩室 咽頭後壁の突出 (Forestier 病 ) など 内視鏡的アセスメント コメント 治療日 1 2 3 4 歯科での口腔ケア呼吸器リハ NST 評価医師

カーテン徴候 咽頭後壁が健側に移動する Ⅸ,Ⅹ 神経の麻痺による咽頭麻痺の可能性を疑う クリアランス障害

フォレスティア病 食道入口部の開大が悪化し クリアランス障害をきたす

挙上期型誤嚥

下降期型誤嚥 クリアランス障害とともに気管内流入を認めている

混合型誤嚥

混合型誤嚥 初診時 リハ後

嚥下不能

VE から見た経口 ( 直接訓練 ) 不可の条件 ひどい誤嚥がある 咳反射がない 嚥下不能である 体位保持が困難 指示が入りにくい

2 嚥下造影検査 (VF) X 線ビデオ透視

X 線ビデオ透視 X 線ビデオ透視は嚥下機能評価の最も重要な評価方法である 側面および正面を撮影 ビデオに記録する 後で見直し 評価できるため 一般にはバリウム (100%~120%) を用いるが 明らかな誤嚥を疑う場合は水溶性の血管造影剤 ( イソビスト等 ) を用いる ただ 放射線被爆の問題があり 繰り返し行うべきではない

X 線ビデオ透視の長所 短所 ( 長所 ) 咽頭期嚥下および嚥下物の動態を観察することができる ゆえに誤嚥した瞬間も確認が可能である 食道期の観察も可能 内視鏡検査に比べると侵襲が小さい 耳鼻科医以外でも検査可能 小児でも行うことができる ( 短所 ) 透視室でしか行うことができない 録画装置およびシステムを必要とする 基本的に造影剤を必要とする 被爆があるため 頻回には行うことができない 実際の食事などの動態を見るには工夫が必要 血管造影剤を使用する場合 保険適応の問題がある しかしながら 嚥下機能評価の gold standard は透視検査である

当科での方法 1. 側面像で血管造影剤 10cc を嚥下する ( できれば 2 回 ) 2. 正面でバリウムを嚥下する 3.2 回目のバリウム嚥下にて食道内の器質的病変も確認 4. 場合により斜位にて造影を行う

透視標準

喉頭挙上 ( 側面像 ) 喉頭挙上度 喉頭がどれぐらい持ち上がるか 喉頭挙上遅延時間(LEDT) 喉頭が持ち上がる速さ

喉頭挙上度 造影剤はイソビスト R 300 を 10ml 使用 A : 第 3 頚椎前縁上端 安静喉頭位 LEDT 開始位 距離 α B : 第 5 頚椎前縁下端最大挙上位 C の椎体方向距離 /A B 間距離 ( 距離 α)

実際には喉頭 ( 声帯レベル ) が何椎体上昇したかを観察している また 喉頭挙上障害を認める場合 舌骨の下顎骨方向への動き 舌骨 - 甲状軟骨間の短縮の程度を観察する

喉頭挙上遅延時間 (LEDT) 造影剤が食道入口部に到達し 喉頭が最大挙上位に達するまでの時間 標準値 :0.35sec

咽頭クリアランスの評価 ( 正面像 ) 咽頭壁の収縮 麻痺の有無 食道入口部の開大 咽頭クリアランスの程度 ( 造影剤がどれだけ残るか )

咽頭クリアランスの定量 標準画像嚥下量画像遺残画像囲まれた部分の差より 1 回嚥下にてクリアされた造影剤の割合 (%) を求める 実際には遺残量に応じ 0-3 度と表示している (0: 遺残なし 1: 少量遺残 2:1 と 3 の間 3: 遺残したものが流入 )

その他の観察項目 器質的疾患の有無 腫瘍 骨棘の突出 憩室の存在 食道病変 喉頭の位置( 喉頭下垂の有無 ) 声帯の動き( 正面 ) 咽頭麻痺の有無( 正面 ) 軟口蓋の動き( 側面 )

挙上期型誤嚥

下降期型誤嚥

嚥下不能

嚥下造影検査機能評価チャート ID 主訴原疾患組織型 VFの目的 要望 九州大学病院嚥下サポートチーム入院 外来氏名歳検査日依頼科原発部位亜分類 TNM Stage 病歴 治療歴 内服薬 1 2 3 4 気管切開の有無カニューレ肺炎頻度回日 1 日 2 ワクチン放 Gy 照射期 ~ 身長 cm 体重 kg 射 Gy 間線 ~ BMI 検査日栄養管理主食量割水分 ALB g/dl 検査日内容採血食事状況副食量割 Hb g/dl stroke 発症日 1 2 脳 MRI 有無検査日 JCS 従命 ADL 点数点検査日 検査時の条件 体位経鼻胃管カニューレ リクライニング検査口腔相口腔内保持咽頭相 液体嚥下 ゼリー嚥下 嚥下惹起性 (LEDT) 鼻咽腔閉鎖 逆流 嚥下惹起性 (LEDT) 喉頭侵入や誤嚥 R 実施順 咽頭収縮咽頭筋麻痺器質的異常や運動障害食道入口部の開大前後径喉頭侵入や誤嚥 食道相一次蠕動 アセスメント コメント 咽頭への移送 憩室 その他 コマ %LE(P) % 安静時声帯位置 第 挙上時声帯位置 第 cm コマ咽頭クリアランス 気管孔閉鎖嚥下の実施 咽頭クリアランス誤嚥量 舌運動 声帯麻痺 治療日 咳反射 1 2 3 4 頸椎 頸椎 歯科での口腔ケア呼吸器リハ NST 評価 医師

治療

外科的治療の分類 嚥下機能改善手術 : 嚥下の機能を改善する 経口摂取を目指す 誤嚥防止手術 : 誤嚥を防止する 多くの場合 音声が犠牲となる 経口摂取を保証するものではない

高度嚥下障害 嚥下不能症例の取り扱い ( 外科的治療 ) 透視による評価を行った後 1 高度嚥下障害症例 : 嚥下機能改善手術 or 誤嚥防止手術 2 嚥下不能症例 : 誤嚥防止手術 1: 喉頭摘出術 2: 喉頭閉鎖術 ( 声門上喉頭閉鎖術 声門閉鎖術 ) 3: 気管食道吻合術 喉頭気管分離術 4: その他 : 気管切開 胃瘻

嚥下機能改善手術が可能となる条件 嚥下機能改善手術 : 嚥下機能を改善し 経口摂取を目指す手術 音声は犠牲にならない 嚥下反射を認めること ( 嚥下不能ではない ) 片側性病変であること 自立歩行が可能な程度の ADL が保たれていること

嚥下機能改善手術について 喉頭挙上の遅延 挙上制限 喉頭挙上術 舌骨下筋群切断 食道入口部の開大不全 輪状咽頭筋切断術 嚥下圧の低下 咽頭形成術 咽頭弁形成術 声帯麻痺 声帯内方移動術 ( 喉頭形成術 披裂軟骨内転術 声帯内注入術 )

喉頭挙上術 文字通り喉頭を持ち上げる手術 舌骨 - 甲状軟骨 (thyrohyoidpexy) 下顎骨 - 舌骨 下顎骨 - 舌骨 - 甲状軟骨 下顎骨 - 甲状軟骨 舌骨下筋群切断術

喉頭挙上術 ( 甲状軟骨 - 下顎骨 )

喉頭挙上術 ( 甲状軟骨 - 舌骨 )

挙上術後透視

輪状咽頭筋切断術

輪状咽頭筋切断術 (CP myotomy)

骨棘削開 ( フォレスティア病に対し )

術前後透視 術前 術後

咽頭形成術

術前後透視 術前 術後

誤嚥防止手術 誤嚥を防止するための手術であり 必ずしも経口摂取を目的としない 多くの場合 音声が犠牲となる 1: 喉頭摘出術 2: 喉頭閉鎖術 ( 声門上喉頭閉鎖術 声門閉鎖術 ) 3: 喉頭気管分離術 気管食道吻合術 4: その他 : 気管切開 近年 喉頭気管分離術の報告が多く認められる

絶対条件 高度嚥下障害のうち 制御不能の誤嚥をきたす症例 付帯状況 1 音声によるコミュニケーションが困難な症例 2 気道管理に苦労している症例 3 病状の改善が期待できない症例 4 患者あるいは家族の希望

喉頭気管分離術の分類 1:Lindeman 法 いわゆる気管食道吻合術 (tracheoesophageal diversion) の原法 気管切開のない症例に用いる 2.Lindeman 変法 /Baron 法 喉頭断端を盲端とする方法 (laryngotracheal separation) 狭義の喉頭気管分離術 *Krespi 法 気管切開が置かれている症例に用いる方法 *Krespi 変法 気管切開 特に気管切開が高位に置かれている症例にでも可能な方法

術式 Lindeman 法 Krespi 法 Krespi 変法 Lindeman 変法 Baron 法

喉頭気管分離術 ( 気管食道吻合術 ) の意義 1 手技がそれほど煩雑ではなく 喉頭摘出に比べ侵襲が少ない 2 喉頭摘出と同様に確実な効果が期待できる 3 喉頭を残す手術であり 受容しやすい 4 経口摂取に伴う危険性が低下する 5 気道管理が容易となる 在宅管理へ 6 理論的には再吻合することが可能である

手術所見 ( 気管食道吻合術 )

術前後透視 術前 術後

過去 7 年間に当科において喉頭気管分離術 ( 気管食道吻合術 ) を試行した症例 全 25 症例 : 男性 17 症例 女性 8 症例 原疾患 脳性麻痺 ( 低酸素脳症 )13 症例 脳梗塞後 5 症例 変性疾患 3 症例 筋疾患 2 症例 脳腫瘍術後 2 症例

術式 Lindemann 原法 (1975) 端側吻合 16 症例 :7 症例が気管切開後 Krespi 変法 (1984) 側々吻合 9 症例 : いずれも気管切開後

( 名 ) 年齢分布 ( 歳 )

栄養方法 主な摂取方法 経口摂取の有無 腸瘻 2 例 (8%) なし 7 例 (28%) あり 18 例 (72%) 手術は必ずしも経口摂取を担保するものではない

症例 47 歳男性 2008 年 2 月 : 脳梗塞 ( 右延髄外側 ) 発症し 福岡市民病院入院 呼吸管理のため 気管切開される その後香椎リハビリテーション病院にてリハビリを行う ADL は改善 ( 杖歩行 ) も 嚥下機能は改善せず 胃瘻増設 2008 年 9 月 : 水戸病院に転院し リハビリを続行も嚥下機能は改善せず 2010 年 10 月 : 喉頭気管分離術の適応についてコンサルトを受ける

初診時透視 混合型誤嚥を認めるが 嚥下反射は生じている 気管切開はあるが カニューレ変更にて発声可能 年齢は 47 歳と若い 問題は知覚が落ちている点 嚥下機能改善手術を行うこととした

2009 年 1 月輪状咽頭筋切断術 + 右咽頭形成 + 喉頭挙上術施行その後カニューレを変更 ポーテックス ( いわゆるカフ付き ) スピーチカニューレ スピーチバルブ付きレティナ レティナ開口部の閉鎖 2009 年 4 月 : 気管切開孔閉鎖 喀痰喀出不良にて 2010 年 5 月 : 気管孔形成および右喉頭形成術 Ⅰ 型施行

喉頭形成術 Ⅰ 型 目的 音声の改善 誤嚥の防止 喀出力の強化

現在の透視 現在は気管孔を維持されているものの 栄養は経口摂取を行っている

嚥下訓練について 1. 基礎訓練 ( 間接訓練 ): 食物を用いない方法 A. 口唇 舌 頬などの運動訓練 リラクゼーション 口腔ケアも重要 B. 顔面のマッサージ ( アイスマッサージなど ) C. 発声 構音訓練 : プッシング法 ブローイングなど D. 呼吸 排痰訓練 E. 嚥下反射誘発手技アイスマッサージ メンデルスゾーン手技 食道バルーン拡張法など F. 筋力の強化 :Shakir 法

嚥下訓練について 2. 摂食訓練 ( 直接訓練 ) A. 実際にゼリーや食物などをもちいて嚥下してもらう B. 摂食時の条件 30 度仰臥位 頚部前屈 スプーン等の道具の工夫 C. 誤嚥防止と咽頭残留除去 息こらえ嚥下 (suplaglottic swallowing) 横向き嚥下 うなずき嚥下など

3. 輪状咽頭筋機能不全への対処法 頚部突出法 バルーン拡張法 一側嚥下 4. 嚥下食の工夫 粘性のあるゼリー状のものから 固形物に移行していく 5. 肺理学療法 腹式呼吸 深呼吸 咳そう訓練 排痰など

本日のまとめ 嚥下障害の分類 検査の方法および長所 短所 治療法について

嚥下をとりまくさまざまな問題点 歯科との問題 嚥下にかかわる耳鼻科医が少ないこと 造影剤の問題 他科との連携

関係者各位平成 22 年 9 月吉日九州大学医学部耳鼻咽喉科 頭頚部外科梅崎俊郎 安達一雄第一回福岡摂食嚥下カンファレンスの開催および演題募集のお知らせ現在嚥下を取り巻く事情はさまざまな問題を抱えており その一つとして多くの施設で 耳鼻科医等の医師の指導による嚥下評価および治療が行われていないことがあろうかと思います 今回 そのような状況を少しでも改善すべく 嚥下カンファレンスを開催する運びとなりました 趣旨といたしましては 嚥下に携わる方々で意見交換し 知識を深め より患者様によって良い治療を目指していきたいということであります それぞれの施設での困っている症例 うまくいった症例などを持ち寄り 気軽にそして忌憚のない意見交換のできる場として 本カンファレンスを定期的に開催していければと考えております つきましては下記の形式にて演題 ( 症例提示 ) を募集したいと思いますので 周知のほどよろしくお願いいたします ( 参加のみも大歓迎です ) ( 開催日程 場所 ) 平成 22 年 11 月 20 日 ( 土 ) 14:00~17:00( 予定 ) 参加費 :500 円 ( 予定 ) 会場 : 福岡国際医療福祉学院住所 : 福岡市早良区百道浜 3-6-40 ( カンファレンス内容 ( 予定 )) 嚥下に関する教育講演 嚥下障害症例の症例検討 ( 演題募集要項 ) 症例の背景 経過等について簡単にまとめたものを下記アドレスに送付していただきます( 字数は無制限 ) 疑問点や困っている点がございましたら お書き添えください ( 発表形式 ) 基本的にpowerpointでの発表をお願いいたします また 動画がありましたら それぞれのメディアにも対応いたします できれば症例の嚥下機能を評価できるもの ( 透視 ファイバー所見など ) があった方がよろしいかと思います 発表時間 :7 分程度質疑応答 :3 分程度連絡先 092-642-5668( 九州大学耳鼻科医局 / 安達 ) メールアドレス :adakazu@qent.med.kyushu-u.ac.jp (10 月末までにお願いいたします )

ご清聴ありがとうございました