音叉振動式レオメータ : レオビスコ RV-1 の特長 エー アンド デイ第 1 設計開発本部出雲直人深見雄二 菅野将弘 The features of the tuning-fork vibration rheometer; RHEO-VISCO RV-1 Naoto Izumo, Yuji Fu

Similar documents
振動式粘度計で測定される物理量について

静粘度 sv と振動式粘度計について エー アンド デイ設計開発本部〇出雲直人 小岩井淳志 Static Viscosity sv and Vibration type Viscometer Naoto Izumo Koiwai Atsushi Higashi-Ikebukuro,Toshima-k

新しい粘度計を利用したアルコール濃度 曇点などの物理量測定について 振動式粘度計を利用し サンプル量 2ml にて 0.3~1000mPa s の連続測定を可能にします 株式会社エー アンド デイ

untitled

新しい質量センサーを使用した汎用天びん エー アンド デイ設計開発本部〇出雲直人 長根吉一 Super-Hybrid-Sensor for New Balances Naoto Izumo Yoshikazu Nagane A&D CO., LTD Higashi-Ikebukuro,Toshima

Microsoft PowerPoint - セコニック_流体クラブ pptx

Microsoft Word -

領域シンポ発表

ACモーター入門編 サンプルテキスト

RLC 共振回路 概要 RLC 回路は, ラジオや通信工学, 発信器などに広く使われる. この回路の目的は, 特定の周波数のときに大きな電流を得ることである. 使い方には, 周波数を設定し外へ発する, 外部からの周波数に合わせて同調する, がある. このように, 周波数を扱うことから, 交流を考える

<4D F736F F F696E74202D2094F1836A B F8095A88EBF82CC8A4A94AD82C982C282A282C42E B8CDD8AB B83685D>

JAS Journal 2015 Vol.55 No.2(3 月号 ) 特集 : カーオーディオ ハイレゾ時代に相応しい高性能スピーカー振動板の開発 三菱電機株式会社鈴木聖記 NCV という名の革新的なスピーカー振動板を開発した NCV は Nano Carbonized high Velocity

JCSS 校正対象機器音叉型振動式粘度計 音叉型振動式粘度計 SV A シリーズは JCSS 校正対象機器です エ- アンド デイの高度な技術レベルと高い信頼性が裏づけた 粘度測定の標準機器です 粘度計 SV A series Sine-wave Vibro Viscometer 音叉型振動式粘度計

【NanotechJapan Bulletin】10-9 INNOVATIONの最先端<第4回>

EOS: 材料データシート(アルミニウム)

本日の内容 HbA1c 測定方法別原理と特徴 HPLC 法 免疫法 酵素法 原理差による測定値の乖離要因

DURACON POM グレードシリーズ ポリアセタール (POM) TR-20 CF2001/CD3501 ミネラル強化 ポリプラスチックス株式会社

第 4 週コンボリューションその 2, 正弦波による分解 教科書 p. 16~ 目標コンボリューションの演習. 正弦波による信号の分解の考え方の理解. 正弦波の複素表現を学ぶ. 演習問題 問 1. 以下の図にならって,1 と 2 の δ 関数を図示せよ δ (t) 2

第 28 回センシングフォーラム投稿原稿 テーマ : 分析天びんの基本性能に関する考察 ( 英題 :Consideration about basic performance of analysis balance) 発表者 :( 株 ) エー アンド デイ第 1 設計開発本部出雲直人 深見雄二 佐

Microsoft Word - note02.doc

PowerPoint プレゼンテーション

パソコンシミュレータの現状

Microsoft Word - H26mse-bese-exp_no1.docx

木村の理論化学小ネタ 緩衝液 緩衝液とは, 酸や塩基を加えても,pH が変化しにくい性質をもつ溶液のことである A. 共役酸と共役塩基 弱酸 HA の水溶液中での電離平衡と共役酸 共役塩基 弱酸 HA の電離平衡 HA + H 3 A にお

<4D F736F F D20837E836A837D E82CC88D98FED E12E646F63>

Microsoft Word - basic_15.doc

PowerPoint プレゼンテーション

問題 2-1 ボルト締結体の設計 (1-1) 摩擦係数の推定図 1-1 に示すボルト締結体にて, 六角穴付きボルト (M12) の締付けトルクとボルト軸力を測定した ボルトを含め材質はすべて SUS304 かそれをベースとしたオーステナイト系ステンレス鋼である 測定時, ナットと下締結体は固着させた

多次元レーザー分光で探る凝縮分子系の超高速動力学

( 全体 ) 年 1 月 8 日,2017/1/8 戸田昭彦 ( 参考 1G) 温度計の種類 1 次温度計 : 熱力学温度そのものの測定が可能な温度計 どれも熱エネルギー k B T を

物薬

Q

ギリシャ文字の読み方を教えてください


例 e 指数関数的に減衰する信号を h( a < + a a すると, それらのラプラス変換は, H ( ) { e } e インパルス応答が h( a < ( ただし a >, U( ) { } となるシステムにステップ信号 ( y( のラプラス変換 Y () は, Y ( ) H ( ) X (

2. 水晶振動子とその発振方法この測定には水晶振動子と呼ばれる 特定の角度 (AT カットと呼ばれるものが主流 ) で板状に切り出された円形の水晶片の両面を電極となる 2 枚の金属薄片で挟んだものを使用いたします この水晶振動子の 2 枚の金属電極にはそれぞれ端子がついており 両者間に電圧を印加する

実験題吊  「加速度センサーを作ってみよう《

フィードバック ~ 様々な電子回路の性質 ~ 実験 (1) 目的実験 (1) では 非反転増幅器の増幅率や位相差が 回路を構成する抵抗値や入力信号の周波数によってどのように変わるのかを調べる 実験方法 図 1 のような自由振動回路を組み オペアンプの + 入力端子を接地したときの出力電圧 が 0 と

2009 年 11 月 16 日版 ( 久家 ) 遠地 P 波の変位波形の作成 遠地 P 波の変位波形 ( 変位の時間関数 ) は 波線理論をもとに P U () t = S()* t E()* t P() t で近似的に計算できる * は畳み込み積分 (convolution) を表す ( 付録

<4D F736F F F696E74202D AC89CA95F18D9089EF975C8D658F F43945A A CC8A4A94AD298F4390B394C5205B8CDD8AB B83685D>

PowerPoint プレゼンテーション

数値計算で学ぶ物理学 4 放物運動と惑星運動 地上のように下向きに重力がはたらいているような場においては 物体を投げると放物運動をする 一方 中心星のまわりの重力場中では 惑星は 円 だ円 放物線または双曲線を描きながら運動する ここでは 放物運動と惑星運動を 運動方程式を導出したうえで 数値シミュ

PowerPoint Presentation

スライド 1

Microsoft PowerPoint - siryo7

2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

Autodesk Inventor Skill Builders Autodesk Inventor 2010 構造解析の精度改良 メッシュリファインメントによる収束計算 予想作業時間:15 分 対象のバージョン:Inventor 2010 もしくはそれ以降のバージョン シミュレーションを設定する際

10生活環境研究報告.indd

53nenkaiTemplate

平成27年度 前期日程 化学 解答例

Microsoft PowerPoint - 熱力学Ⅱ2FreeEnergy2012HP.ppt [互換モード]

ÿþŸb8bn0irt

Microsoft PowerPoint - 第7章(自然対流熱伝達 )_H27.ppt [互換モード]

放射線検出モジュール C12137 シリーズ 高精度で小型の高感度放射線検出モジュール C12137シリーズは シンチレータとMPPC (Multi-Pixel Photon Counter) を内蔵した 137 Cs ( セシウム137) などからのγ 線検出を目的とするモジュールです 入射したγ

材料強度試験 ( 曲げ試験 ) [1] 概要 実験 実習 Ⅰ の引張り試験に引続き, 曲げ試験による機械特性評価法を実施する. 材料力学で学ぶ梁 の曲げおよびたわみの基礎式の理解, 材料への理解を深めることが目的である. [2] 材料の変形抵抗変形抵抗は, 外力が付与された時の変形に対する各材料固有

形式 :PDU 計装用プラグイン形変換器 M UNIT シリーズ パルス分周変換器 ( レンジ可変形 ) 主な機能と特長 パルス入力信号を分周 絶縁して単位パルス出力信号に変換 センサ用電源内蔵 パルス分周比は前面のスイッチで可変 出力は均等パルス オープンコレクタ 電圧パルス リレー接点パルス出力

Microsoft PowerPoint pptx

SP8WS

Microsoft Word - 最新070604 肌弾力の計測について.doc

エラー動作 スピンドル動作 スピンドルエラーの計測は 通常 複数の軸にあるセンサーによって行われる これらの計測の仕組みを理解するために これらのセンサーの 1つを検討する シングル非接触式センサーは 回転する対象物がセンサー方向またはセンサー反対方向に移動する1 軸上の対象物の変位を測定する 計測

報道関係者各位 平成 24 年 4 月 13 日 筑波大学 ナノ材料で Cs( セシウム ) イオンを結晶中に捕獲 研究成果のポイント : 放射性セシウム除染の切り札になりうる成果セシウムイオンを効率的にナノ空間 ナノの檻にぴったり収容して捕獲 除去 国立大学法人筑波大学 学長山田信博 ( 以下 筑

s と Z(s) の関係 2019 年 3 月 22 日目次へ戻る s が虚軸を含む複素平面右半面の値の時 X(s) も虚軸を含む複素平面右半面の値でなけれ ばなりません その訳を探ります 本章では 受動回路をインピーダンス Z(s) にしていま す リアクタンス回路の駆動点リアクタンス X(s)

アクティブフィルタ テスト容易化設計

今週の内容 後半全体のおさらい ラグランジュの運動方程式の導出 リンク機構のラグランジュの運動方程式 慣性行列 リンク機構のエネルギー保存則 エネルギー パワー 速度 力の関係 外力が作用する場合の運動方程式 粘性 粘性によるエネルギーの消散 慣性 粘性 剛性と微分方程式 拘束条件 ラグランジュの未

Microsoft Word - 木材の塩素濃度報告110510_2.docx

ニュートン重力理論.pptx

プランクの公式と量子化

Microsoft PowerPoint - 01_内田 先生.pptx

NJM78L00S 3 端子正定電圧電源 概要 NJM78L00S は Io=100mA の 3 端子正定電圧電源です 既存の NJM78L00 と比較し 出力電圧精度の向上 動作温度範囲の拡大 セラミックコンデンサ対応および 3.3V の出力電圧もラインアップしました 外形図 特長 出力電流 10

<4D F736F F D20824F B CC92E8979D814696CA90CF95AA82C691CC90CF95AA2E646F63>

国土技術政策総合研究所 研究資料

形式 :WYPD 絶縁 2 出力計装用変換器 W UNIT シリーズ パルスアイソレータ ( センサ用電源付 2 出力形 ) 主な機能と特長 パルス入力信号を絶縁して各種のパルス出力信号に変換 オープンコレクタ 電圧パルス リレー接点パルス出力を用意 センサ用電源内蔵 耐電圧 2000V AC 密着

Microsoft PowerPoint - Š’Š¬“H−w†i…„…C…m…‰…Y’fl†j.ppt

木村の理論化学小ネタ 液体と液体の混合物 ( 二成分系 ) の気液平衡 はじめに 純物質 A( 液体 ) と純物質 B( 液体 ) が存在し, 分子 A の間に働く力 分子 B の間に働く力 分子 A と分子 B の間に働く力 のとき, A

Techniques for Nuclear and Particle Physics Experiments Energy Loss by Radiation : Bremsstrahlung 制動放射によるエネルギー損失は σ r 2 e = (e 2 mc 2 ) 2 で表される為

< B837B B835E82C982A882AF82E991CF905593AE90AB8CFC8FE382C98AD682B782E988EA8D6C8E40>

形式 :KAPU プラグイン形 FA 用変換器 K UNIT シリーズ アナログパルス変換器 ( レンジ可変形 ) 主な機能と特長 直流入力信号を単位パルス信号に変換 オープンコレクタ 5V 電圧パルス リレー接点出力を用意 出力周波数レンジは前面から可変 ドロップアウトは前面から可変 耐電圧 20

圧電型加速度センサ Piezoelectric Acceleration sensor 特長 Features 圧電素子に圧電型セラミックを用いた加速度センサは 小型堅牢 高感度で広帯域を特長としております 従って 低い周波数の振動加速度から衝突の様な高い加速度の測定まで 各分野で 幅広く使用されて

Microsoft PowerPoint - machida0206

MIR シリーズの概要 MlRシリーズは受光面積 2.2mmX2.2mm の高感度赤外線サ-モパイルです サ-モパイルは 半導体製造技術により 100 対の熱電対を受光部に集積したものです サ-モパイルは 熱起電力型素子ですので バイアス電圧や 内蔵トランジスタ用電源といったものを必要と致しません

参 考 1. 工事請負契約書 2. 建設分野で使われるおもな単位 3.SI 単位換算率表

Problem P5

コンクリート工学年次論文集 Vol.27

Japanese nuclear policy and its effect on EAGLE project

何が起こっているかを知ろう!

D 液 日団協技術資料 D 液 地上設置式横型バルク貯槽等の発生能力 1. 制定目的 バルク貯槽又はバルク容器 ( 以下 バルク貯槽等という ) を設置し 自然気化によってLP ガスを消費しようとする場合 需要家の消費量に対して十分な量のLPガスを供給すること

小野測器レポート「振動の減衰をあらわす係数」

電流プローブと計測の基礎 (Tektronix 編 ) 電圧波形は違うのが当たり前 オームの法則 ( 図 1) により 電流は抵抗器によって電圧に変換することができます 電流波形を観測 するとき 電流経路に抵抗器を挿入し電圧に変換後 電圧波形として電圧プローブで観測する手法が あります この手法にお

テクノロジーレポート

1: DTS r 1, r 2 v ρ(x) = π(r1 2 r2) 2 dr dt 1 v x (2) t=x/v DTS [2] wt% KCl %/ 2 3 5wt% NaCl 3wt% ( ) 2 45 NaCl 300Hz 4-1.3%/ [2]

第6章 実験モード解析

数値流体解析 (CFD) によるスプレー性能の最適化ブリテン No.J955A 数値流体解析 (CFD) による スプレー性能の最適化

Microsoft Word - ultrasonic_2010.doc

<8AEE B43979D985F F196DA C8E323893FA>

問題 2 資料 No.2 を見て 次の設問に答えなさい < 送風機の断面図 > で示す片吸込み型送風機において 過去に何らかの原因で運転中に羽根車のアンバランスが増大し 軸受損傷に至った経緯がある このアンバランス増大傾向をいち早く捉えるために ポータブル型の振動診断器によって傾向管理を行うことにな

Microsoft Word - 2_0421

(3) E-I 特性の傾きが出力コンダクタンス である 添え字 は utput( 出力 ) を意味する (4) E-BE 特性の傾きが電圧帰還率 r である 添え字 r は rrs( 逆 ) を表す 定数の値は, トランジスタの種類によって異なるばかりでなく, 同一のトランジスタでも,I, E, 周

MB 端子 2.0x2.0 MB MB MB MB MB

技術解説_有田.indd

特長 01 裏面入射型 S12362/S12363 シリーズは 裏面入射型構造を採用したフォトダイオードアレイです 構造上デリケートなボンディングワイヤを使用せず フォトダイオードアレイの出力端子と基板電極をバンプボンディングによって直接接続しています これによって 基板の配線は基板内部に納められて

Transcription:

第 29 回センシングフォーラム投稿原稿 テーマ : 音叉振動式レオメータ : レオビスコ RV-1 の特長 ( 英題 :The features of the tuning-fork vibration rheometer; RHEO-VISCO RV-1) 発表者 :( 株 ) エー アンド デイ第 1 設計開発本部出雲直人 深見雄二 菅野将弘 主催 :SICE( 社 ) 計測自動制御学会計測部門 協賛 : 応用物理学会 次世代センサ協議会 センシング技術応用研究会 電子情報通信学会 電気学会 日本機械学会 精密工学会 他 期日 :212 年 9 月 27 日 ( 木 ) 28 日 ( 金 ) 会場 : 茨城大学工学部日立キャンパス ( 茨城県日立市 )

音叉振動式レオメータ : レオビスコ RV-1 の特長 エー アンド デイ第 1 設計開発本部出雲直人深見雄二 菅野将弘 The features of the tuning-fork vibration rheometer; RHEO-VISCO RV-1 Naoto Izumo, Yuji Fukami, Masahiro Kanno A&D Company Limited Abstract We developed a new rheometer which shear rate can be changed by the sensor plate amplitude in stages, based on the tuning-fork vibration viscometer SV series. Also we report the physical properties for non-newtonian fluid with using the newly developed rheometer RHEO-VISCO RV1, which works with tuning-fork vibration method. Keywords Newtonian fluid,bingham fluid, dilatant fluid, thixotropy fluid 1) はじめにの測定方法として 振動計が 211 年 5 月に JIS 規格化されました またの校正対象機器として振動計が JCSS 規格に含まれています これらの規格に合致した計として A&D では 2 年前から世界で唯一となる音叉振動式計を製品化し 現在では SV シリーズとして販売しています 音叉振動式計では 共振周波数が 3Hz と低く また微振動となり試料に与えるエネルギーレベルが低いので 最小桁が.1mPa s となる高感度と安定性を実現しており アセトン相当となる.3mPa s の低から 1,mPa s までの高を連続測定できる性能を持っています この特長から 計としては初めて 変化を検出することで非イオン系界面活性剤の曇点の測定 1 アルコールの濃度測定 蛋白質や接着剤の硬化過程などを測定することが可能となっています このように特長ある振動式ですが 非ニュートン流体の測定がほとんどとなる研究者からは 固定されているずり速度を変更できないか との話しが多くありました そこで 音叉振動式計 SV をベースとして ずり速度 ( 振動子の振幅 ) を段階的に変更可能としたレオメータを開発しました 新しく製作した音叉振動式レオメータ : レオビスコ RV-1 で測定された非ニュートン液体の物性について報告します 2) 音叉振動式レオメータの原理 2 3 音叉振動式計では 2つの振動子を音叉同様に水平板ばね方向に共振させ 振動子の振幅を一定に保つのに必要となる振動エネルギーを電磁力により補償しています つまり 変位センサ液体の粘性抵抗に相当する駆動力を与え その駆動力が粘電磁駆動部性抵抗に比例することから を求めています また 振動計では原理的に粘性抵抗として 密度が求まります この 密度を 静 4と呼んで 動 温度センサと区別しています 音叉振動式では 振動子を共振させるのに必要となる駆動試料力と慣性項 粘性項 弾性項に関する運動方程式を計算す振動子ることで 振動子を駆動する力が 密度に比例することが理解されます Fig 1. 検出部の機構 振動式計の理論モデルについて途中を省略して説明します Fig.1 で図示する機構において 振動子が周波数 f で振動する場合 液体から振動子が受ける機械的インピーダンス Rz は R z = A πfηρ となり 右式を構成する各内容は f : 振動周波数 (Hz) A : 振動片の両面の面積 η : 液体の

i t ρ : 液体の密度となります ここで 電磁駆動部が振動片に一定の振動速度 Ve ω を与えてい F る力を F とすると Rz = = A πfηρ iωt Ve と表すことができます 上式から電磁駆動部が与える力は静 ( ηと密度 ρの積 ) 4に比例していることがわかります 実際の測定では 試料となる液体に対して振動子が常に一定の振幅を維持するよう電磁駆動部に発生するトルクを制御し その制御に必要となる電流が 密度 すなわち静に比例することを利用しています 音叉振動式計を応用したレオメータ ( レオビスコ ) では 高感度の維持を最重要課題としたため 構造上の共振点となる固有振動数を変化させることが難しく 振動子の振幅を段階的に変えて ずり速度を変更し その各ずり速度で振動子を駆動する時のトルクと振動子の表面積からシアストレスを計算して静を求めています また 本報告では 便箋上 試料の密度を水相当となる 1.g/cm 3 と仮定して無次元化して表示 :mpa sと表記しています Fig.2に製品の外観図を載せました 製品の構成は計と同じです また現在 レオビスコで測定可能なずり速度の範囲は水と JS2 を基本とすると 振動子の振幅で.2~1.2mm ずり速度換算で 1~ 2s 1 となります RV-1 では 一般的な振動式と同様に振動子にサイン波での繰返し振動が与えられる為 回転計とは異なり一定値のずり速度は決まりません そこで 刻々と変化するずり速度を実効値に換算して表記しています つまり ずり速度は時間と共に変化するとの認識が必要になり Fig.2 製品の外観ます RV-1 の測定可能範囲とずり速度については Fig.3 を参照してください 1 1 ニュートン流体 ( 水 校正用標準液 ) の振幅 ずり速度 ( 実効値 ) の関係 (.7, 25) 測定範囲 (.6, 5) (1.2, 3) 値 (mpa s) 1 1 1 ずり速度 1s -1 ずり速度 5s -1 ずり速度 1s -1 ずり速度 5s -1 1 ずり速度 1s -1 (.2,.3).1 (1.2,.3).2.4.6.8 1 1.2 Fig. 3 ニュートン流体の振幅 ずり速度の関係

3) レオビスコ :RV-1 による測定例 1 ニュートン流体について水と JS2 の測定結果について説明します 水は化学的に安定な物質での標準物質となり 2 で 1.mPa s の値と規定されています 比較的温度変化は小さいのですが 室温付近で 1 当り約 -2% の変化があり 測定時には温度管理に注意が必要です Fig. 4 5 に水と JS2 について 温度 25 一定の条件下で振動子の振幅を山から谷までとなるピーク / ピークで.2(.7)~1.2mm まで変更した時の値をプロットしました 2 イオン交換水 2 2 JS2 1 1.5 1.5 1.5 1.5 16 12 8 4 8 6 4 2.2.4.6.8 1 1.2.2.4.6.8 1 1.2 Fig. 4 イオン交換水 : 振幅値 - Fig. 5 標準液 JS2: 振幅値 - Fig.4 からニュートン流体は振幅 ( ずり速度 ) と ( シアストレス ) に比例関係のあることが示されています の標準液となる JS2 に関しても 標準液として優れたニュートン性を示していると判断されます 2 ビンガム流体 ( 肌用保湿クリーム ) 保湿クリームについて測定した結果について説明します Fig.6 は振動子の振幅を 1 分ずつ.7/.1/.2/.4/.6/.8/1./1.2mm と 約 Δ.2mm 間隔で変化させて 振幅最小から最大 最大から最小まで 1 往復させて その時の各を測定したものです 横軸が時間 縦軸左が 縦軸右が振動子の駆動力 ( 電流 ) となります Fig.7 は Fig.6 のデータを 横軸を振動子の振幅 縦軸をと振動子のとしたものです 振幅がある値よりも大きくなると 値が急激に下がるビンガム流体としての傾向が見られます また ずり速度を低下させても 値が測定開始時の値に戻らないチクソ性が確認されます 保湿クリームは 手に取ってこすり合わせた時にクリームのが低下しなければ 伸びが悪くなり 肌に塗り難く また塗った後では値の高い方が 溶液のたれる心配がなくなります ですから この製品は上記特性を持たせるようビンガム流体として設計されていると考えられます 7 肌用保湿クリーム 25 一定 35 7 肌用保湿クリーム 25 一定 35 6 5 4 3 2 1 :1: :2: :3: :4: :5: :6: :7: :8: :9: :1: :11: :12: :13: 時間 (h:mm:ss) :14: :15: 3 25 2 15 1 5 (ma) 6 5 4 3 2 1 1 5.2.4.6.8 1 1.2 3 25 2 15 Fig. 6 保湿クリーム : 時間 - Fig. 7 保湿クリーム : 振幅値 -

(mpa s) 8 7 6 5 4 3 2 1 25 35 4 肌用保湿クリーム 45 -.2.2.4.6.8 1 1.2 Fig.8 は温度を変化させた時の保湿クリームの振動子振幅との関係をグラフ化したものです の温度依存性と 温度を変えても低いずり速度で値の上昇する傾向は変わらない事が理解されます Fig. 8 保湿クリーム : 温度変化による振幅値 - 3 ダイラタント流体 ( コーンスターチ水溶液 : コーンスターチ 62%+ 水 38%) Fig.9 1 11 のグラフはコーンスターチの水溶液を測定した結果です コーンスターチの水溶液中でスプーンを早く動かすと大きな抵抗が またゆっくり動かすと抵抗力をほとんど感じないこと つまりずり速度が大きくなると急激にが高くなる現象のあることが認識されています このコーンスターチ溶液を測定すると 振動子の振幅が.8mm を越えたところで急激に値も高くなることが確認されました 2 コーンスターチ濃度 62%( 重量比 ) 1 2 コーンスターチ濃度 62%( 重量比 ) 1 16 12 8 4 8 6 4 2 :: :1: :2: :3: :4: :5: :6: :7: :8: :9: :1: :11: :12: :13: :14: :15: 時間 (h:mm:ss) Fig. 9 コーンスターチ ( 濃度 62%): 時間 - (mpa s) 16 8 12 6 8 4 4 2.2.4.6.8 1 1.2 Fig. 1 コーンスターチ ( 濃度 62%): 振幅値 - Fig.9 は Fig.6 同様 振動子のとを各振幅についてグラフ化したものです また Fig.1 は振動子の振幅を横軸 を縦軸に表しなおしたグラフです 振動子の振幅が.8mmを越えた ところで それまでの 1mPa s 以下の値が急上昇して 2mPa s 近くになることがわか ります Fig.11 では水の重量比をわずかに変え コーンスターチ て同じ測定を行ったグラフを追加しま 25 した 新たに作ったコーンスターチ 2 15 1 5 濃度 62%( 重量比 ) 濃度 6%( 重量比 ) 6% の試料では ずり速度の上昇による急激な上昇は見られませんでした ダイラタント流体の急激な弾性反応がという物理量で測定されたことも初めてと思われますが また僅か2% の混合比率差で急激なの上昇現象が無くなるのは大変興味深い測定結果と.2.4.6.8 1 1.2 言えます (mpa s) Fig. 11 コーンスターチ : 異なる濃度による振幅値 -

4 チクソトロピー流体 ( ケチャップ ) 最後にトマトケチャップの測定結果について説明します トマトケチャップにはチクソ性があると言われており ずり速度の上昇に伴い が低下していく傾向が見られます Fig.12 では 振動子の振幅が大きくなると 当初の 2mPa s が 9mPa s まで低下する現象が確認されました また 横軸を振動子の振幅 縦軸を表示した Fig.12 では 振幅を減らした時に値が減る特徴的な傾向が確認されました 5 トマトケチャップ 5 5 トマトケチャップ 5 値 (mpa s) 4 3 2 1 4 3 2 1 4 3 2 1 4 3 2 1 :: :1: :2: :3: :4: :5: :6: :7: :8: :9: :1: 時間 (h:mm:ss) :11: :12: :13: :14: :15:.2.4.6.8 1 1.2 Fig. 12 トマトケチャップ : 時間 - Fig. 13 トマトケチャップ : 振幅値 - 4) 課題及び今後音叉振動式計の振動子の振幅を変化させ ずり速度を変更可能としました このことで 非ニュートン流体の特長となる現象 例えば液体の挙動を明確化できるデータの取得が可能となり このデータをグラフ化すことで 非ニュートン流体の持つ特異な現象把握が容易に数値化できることも明らかなりました 振動式のずり速度は 振動子が周期的な往復運動をする必要のあることから ゼロから最大値を行き来するものとなります この為 ずり速度とシアストレスは実効値として表現される特徴があります また 音叉振動式を始め 現在のところ振動式には回転式のようにずり速度を構成する明確な相手面が存在していません また 振動式で得られる粘性抵抗は 密度 となります これらの特長や考え方は 既存の計やレオメータとは相容れないものがあると認識されます しかし 例えば音叉式計は 1 感度が高く また 2 ダイナミックレンジが広く 3 液体から固体までの物性変化をとして計測でき かつ計測に必要となる 4 エネルギーが大変小さく 5 被測定材料の物性を変えること無く測定できるなどの特徴的な性能を持っています は古くて新しい分野となりますが 計測技術の進歩が新しい材料開発を促進させる事実もあります そこで 今後は振動式の持つ特性を考慮し より広範囲な 非ニュートン流体の解析ツールとしての機能向上を目指します このことで 低の液体から固体に近い高までの材料について より高度な動的粘弾性測定機器として 磁性流体 塗料 インク 石油関連材料 ポリマー 接着剤 研磨剤やセラミック材料から 製薬 化粧品 食品までの広範囲な新分野での材料開発ツールとして提案していきたいと考えています 参考文献 1 エー アンド デイホームページ 計 SV-Aseries Users Handbook 2 改訂 川田裕郎著計量管理協会編コロナ社 3 振動計の試作 深田栄一高分子学会高分子 1957 年 1 月号別冊 4 静 sv と振動式計について ( 社 ) 計測自動制御学会計測部門第 24 回センシングフォーラム