様式1

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0. 試験概要 0.1. シェーマ 手術 対象 StageⅢ 結腸癌 *1 直腸 S 状部癌治癒切除症例 (CurA) PS 歳以上 8 週間以内 文書による説明と同意の取得 登録とランダム化割付割付調整因子 N 因子 *2 (N1/N1 以外 ) 施設 レジメン(mFOLFOX6/X

埼玉医科大学倫理委員会

FOLFOXに関しては 1990 年代終わり頃から2000 年にかけて 2つの臨床試験が実施された そのひとつであるStageⅡ/Ⅲ 結腸癌症例を対象とした5-FU/LV(de Gramont 法 ) とFOLFOX4のRCTであるMOSAIC では 5 年 DFS(67.4% vs. 73.3%

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

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ベバシズマブ併用 FOLFOX/FOLFIRI療法

後補助化学療法において CPT-11 の併用は推奨されていない 以上より 現在の欧米における StageⅢ 結腸癌に対する術後補助化学療法としては 5-FU/LV+L-OHP (FOLFOX FLOX) Capecitabine 5-FU/LV が標準的治療とされている 日本における大腸癌術後補助化

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1.3 試験治療の設定根拠このような背景を踏まえ 本研究では 被験者の背景や治療が均一であるJACCRO GC-07 第 Ⅲ 相試験の登録症例を対象として 胃癌化学療法の予後因子および副作用リスクマーカーの探索を目的とした付随研究を実施することとした 本研究では 治療開始前の臨床検査値等の各種の因子

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研究課題 : Niti-S 大腸ステント多施設共同前向き安全性観察研究 に関する計画書 申請者 ( 実施責任者 ) 所属埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科氏名松澤岳晃 1. 背景, 意義, 目的背景 : これまで, 本邦では大腸狭窄に対する金属ステントは薬事認可も保険収載もなかったため,

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佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

0. 概要 0.1 臨床試験課題名標準化学療法に不応 不耐の切除不能進行 再発大腸癌に対する TFTD( ロンサーフ ) +Bevacizumab 併用療法の RAS 遺伝子変異有無別の有効性と安全性を確認する第 II 相試験 0.2 区分 非ランダム化第 II 相試験 0.3 目的 5-FU 系薬

同意説明文書(見本)

頭頚部がん1部[ ].indd

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

大腸癌術前化学療法後切除標本を用いた免疫チェックポイント分子及び癌関連遺伝子異常のプロファイリングの研究 

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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

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膵臓癌について

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

第13回がん政策サミット 2016秋

手術を支持する根拠とされていた また 非治癒因子が 1 つである患者が減量手術の良い対象と報告された しかしながら それらの報告には PS が良く合併症が少なく腫瘍量が少ない患者に好んで減量手術が行われている selection bias が明らかに存在し 化学療法単独でも か月の予後が

群馬大学人を対象とする医学系研究倫理審査委員会 _ 情報公開 通知文書 人を対象とする医学系研究についての 情報公開文書 研究課題名 : がんサバイバーの出産の実際調査 はじめに近年 がん治療の進歩によりがん治療後に長期間生存できる いわゆる若年のがんサバイバーが増加しています これらのがんサバイバ

速報 海外で行われた CLASSIC 試験 国内で行われた J-CLASSIC-PII 試験および胃癌術後補助化学療法におけるオキサリプラチン併用療法に関する日本胃癌学会ガイドライン委員会のコメント 試験名 :CLASSIC 試験文献 : Adjuvant capecitabine and oxal

当院外科における 大腸癌治療の現況

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

1. 研究の名称 : 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の分子病理学的研究 2. 研究組織 : 研究責任者 : 埼玉医科大学総合医療センター病理部 准教授 百瀬修二 研究実施者 : 埼玉医科大学総合医療センター病理部 教授 田丸淳一 埼玉医科大学総合医療センター血液内科 助教 田中佑加 基盤施設研究責任者

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本で

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臨床試験の実施計画書作成の手引き

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がんの治療

日産婦誌61巻4号研修コーナー

ける発展が必要です 子宮癌肉腫の診断は主に手術進行期を決定するための子宮摘出によって得られた組織切片の病理評価に基づいて行い 組織学的にはいわゆる癌腫と肉腫の2 成分で構成されています (2 近年 子宮癌肉腫は癌腫成分が肉腫成分へ分化した結果 組織学的に2 面性をみる とみなす報告があります (1,

がん化学 ( 放射線 ) 療法レジメン申請書 記載不備がある場合は審査対象になりません * は記入不要です 申請期日 2013/6/17 受付番号 診療科名 脳神経外科 がん腫 ( コード ) 診療科長名 申請医師名 レジメン登録ナンバー 登録申請日 審査区分 ( 下記をチェックしてください ) 登

要望番号 ;Ⅱ-286 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 33 位 ( 全 33 要望

H27_大和証券_研究業績_C本文_p indd

ただし 対象となることを希望されないご連絡が 2016 年 5 月 31 日以降にな った場合には 研究に使用される可能性があることをご了承ください 研究期間 研究を行う期間は医学部長承認日より 2019 年 3 月 31 日までです 研究に用いる試料 情報の項目群馬大学医学部附属病院産科婦人科で行

がん登録実務について

臨床研究実施計画書

スライド 1

別紙様式第1

がん化学(放射線)療法レジメン申請書

12_モニタリングの実施に関する手順書 

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

臨床研究の概要および研究計画

臨床研究に参加される研究対象者の方へ 皮膚症状を呈する膠原病における炎症性サイトカインの病態への関与について に関する研究の説明 これは臨床研究への参加についての説明文書です 本臨床研究についてわかりやすく説明しますので 内容を十分ご理解されたうえで 参加するかどうか患者さんご自身の意思でお決め下さ

CJLSG1202 説明文書 間質性肺炎を合併している化学療法未治療非小細胞肺癌非扁平上皮癌に 対するペメトレキセド + カルボプラチン併用療法の臨床 II 相試験 1. はじめに当院では最新の治療を患者さんに提供するとともに 病気の原因や診断方法 治療方法および予防方法の改善に努力しています この

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料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

がん化学(放射線)療法レジメン申請書

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

PowerPoint プレゼンテーション

1-0 治験実施計画書の要約

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃

6. 研究対象者として選定された理由 当科を受診された各種慢性肝疾患の方が研究対象者に含まれます 7. 研究対象者に生じる利益 負担および予想されるリスクノベルジン錠の国内臨床試験に置ける安全性評価対象例 74 例中 23 例 (31.1%) に副作用が認められ 主な自覚症状では悪心 4 例 (5.

平成 30 年 8 月 15 日作成第 1.2 版 ホームページ公開文書 本研究は大分大学医学部倫理委員会で審議され, 大分大学医学部長の許可を得ています 倫理委員会では 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 に基づき, 外部委員を交え, 倫理的 科学的観点から審査を行います 1. 研究の名称

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

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表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrate

平成 28 年 12 月 12 日 癌の転移の一種である胃癌腹膜播種 ( ふくまくはしゅ ) に特異的な新しい標的分子 synaptotagmin 8 の発見 ~ 革新的な分子標的治療薬とそのコンパニオン診断薬開発へ ~ 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 髙橋雅英 ) 消化器外科学の小寺泰

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が 6 例 頸部後発転移を認めたものが 1 例であった (Table 2) 60 分値の DUR 値から同様に治療後の経過をみると 腫瘍消失と判定した症例の再発 転移ともに認めないものの DUR 値は 2.86 原発巣再発を認めたものは 3.00 頸部後発転移を認めたものは 3.48 であった 腫瘍

STEP 1 検査値を使いこなすために 臨床検査の基礎知識 検査の目的は大きく 2 つ 基準範囲とは 95% ( 図 1) 図 1 基準範囲の考え方 2

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患者さんへの説明書

抗悪性腫瘍薬の開発における臨床試験エンドポイント 一般的には, 全生存期間 (OS) が真のエンドポイントとして考えられている. OS の定義 : ランダム化からあらゆる原因による死亡までの期間 OS を主要評価項目とした臨床試験を実施する場合, がん腫によっては, 非常に試験期間が長くなってしまう

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研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

Microsoft Word - 03 大腸がんパス(H30.6更新).doc

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9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究

2. 研究の目的及び意義について目的 : 手根管症候群の臨床的な重症度と腱鞘滑膜に発現する炎症性のサイトカインやAGEsの関連を検討する事です 意義 : 手根管症候群の重症度と周囲組織の炎症の相関が明らかになれば 抗炎症作用を持つ薬剤が手根管症候群の治療に有用となる理由がより明らかとなると考えられま

様式1

遠隔転移 M0: 領域リンパ節以外の転移を認めない M1: 領域リンパ節以外の転移を認める 病期 (Stage) 胃がんの治療について胃がんの治療は 病期によって異なります 胃癌治療ガイドラインによる日常診療で推奨される治療選択アルゴリズム (2014 年日本胃癌学会編 : 胃癌治療ガイドライン第

手順書03

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体

Transcription:

StageIII 結腸癌治癒切除例に対する術後補助化学療法としての mfolfox6 療法または XELOX 療法における 5-FU 系抗がん剤およびオキサリプラチンの至適投与期間に関するラ ンダム化第 III 相比較臨床試験 (ACHIEVE trial) に関する研究計画書 申請者 ( 実施責任者 ) 所属 埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科 氏名 石橋敬一郎 1. 背景, 意義, 目的現在, 結腸癌の術後補助化学療法の投与期間は6ヵ月とされている. 推奨されているレジメンは FOLFOX 療法,XELOX 療法,5-FU/LV 療法,Capecitabinである. 近年, 投与期間の短縮化を試みる検討が割れているが, 5-FU の投与期間の短縮を検討するStageⅡ/Ⅲの大腸癌治癒切除例を対象にした SAFFA 試験では,5-FU/LV 療法 (Mayo) を6ヵ月間投与する群に対するinfusional 5-FU 療法を3 ヵ月間投与する群の優越性が検討されたが,5 年 RFSおよび5 年 OSにおいてinfusional 5-FU 療法を3 ヵ月間投与する群でより良好である傾向が示唆され, 同時に有害事象の発現率についても有意に低いことが示された1). また,MOSAIC 試験 2),NSABP C-07 試験 3) の結果から, オキサリプラチンの投与期間を短縮, 総投与量を減量しても, 効果を維持しながら重篤な末梢神経症状の発現率を低く抑える可能性が見出されている. つまり, 術後補助化学療法におけるオキサリプラチンの投与期間を短縮し投与量を減量した場合においても, オキサリプラチンの有効性を保持しながら重篤な有害事象の発現率を低く抑える可能性が示唆された. 現在, 海外では結腸癌術後補助化学療法におけるFOLFOX 療法およびXELOX 療法の 6ヵ月間投与に対する3ヵ月間投与の非劣性を検証するIDEA 試験が実施されている. このような背景から, 各種ガイドラインにおいて推奨されている結腸癌の術後補助化学療法はFOLFOX 療法および XELOX 療法の6ヵ月間投与であるが, その高い有効性と引き換えに重篤な有害事象の発現が問題となる. そのため, 術後補助化学療法の有効性が保持できるのであれば, 投与期間を短くすることで患者や医療従事者に与えられるメリット, 医療経済に対するメリットは測り知れない. 本試験は, 試験群の投与期間を3ヵ月間として,StageⅢの結腸癌治癒切除例を対象に, 術後補助化学療法としての mfolfox6/xelox 療法の6ヵ月間投与法 ( 対照群 :S 群 ) に対するmFOLFOX6/XELOX 療法の3ヵ月間投与法 ( 試験群 :T 群 ) のDFS における非劣性を検証することを目的とする. なお, このDFS における非劣性の検証は, 国際共同試験であるIDEA 試験にて統合解析として実施される予定である. IDEA 試験について近年, 大規模な臨床試験を実施する方法として, 同じ内容の臨床試験を複数のグループで実施し, そのデータを統合解析することが試みられている.IDEA(International Duration Evaluation of Adjuvant chemotherapy colon cancer prospective pooled analysis) 試験は,StageⅢ 結腸癌治癒切除例に対する術後補助化学療法としてのmFOLFOX6 療法またはXELOX 療法の6 ヵ月間投与群に対する3 ヵ月間投与群の非劣性 ( 非劣性マージン :HR 1.1) の検証を目的とした大規模 Prospective Pooled Analysis である. 現在 IDEA 試験は, 世界 5 つの臨床試験グループで進行中のランダム化第 III 相試験のデータ (GERCOR Trial, SCOTTrial, CALGB/SWOG C80702 Trial, TOSCA Trial, HORG Trial) を集約中である. なお,2011 年 11 月 1

時点で目標症例数 10,500 例中,5,000 例程度の集積が行われている. 本試験ではIDEA 試験の中心メンバーからの参加要請を受け, 本試験のデータをIDEA 試験に組み込むことを計画している. なお, 本試験の結果は結腸癌術後補助化学療法の治療方針に大きな影響を与えることが予想されるため, 本試験のデータはIDEA 試験の登録ならびにデータが公表されるまで公表しないこととする. 2. 方法対象 :StageⅢ 結腸癌 ( 直腸 S 状部癌含む ) 治癒切除症例試験概要 : フローチャートを示す. 手術 対象 StageⅢ 結腸癌 *1 直腸 S 状部癌治癒切除症例 (CurA) PS 0-1 20 歳以上 8 週間以内 文書による説明と同意の取得 登録とランダム化割付割付調整因子 N 因子 *2 (N1/N1 以外 ) 施設 レジメン (mfolfox6/xelox) 2 週間以内 対照群 *3 : Standard 群 (S 群 ) (6 ヵ月間投与群 : Six months) 試験群 *3 : Test 群 (T 群 ) (3 ヵ月間投与群 : Three months) プロトコール治療 プロトコール治療 mfolfox 療法 12 コース mfolfox 療法 6 コース or or XELOX 療法 8 コース XELOX 療法 4 コース 治療スケジュール 治療スケジュール 6 ヵ月 3 ヵ月 オキサリプラチン オキサリプラチン 5-FU/l-LV or カペシタビン 5-FU/l-LV or カペシタビン 症例毎の追跡調査 ( 最終症例登録後 6 年 ) 2

*1: 盲腸癌も含む *2: N1c (UICC TNM 7 th edition) も適格とする *3: mfolfox6 療法から XELOX 療法への変更 XELOX 療法から mfolfox6 療法への変更を認めない 評価項目 (1) 主要評価項目 : 無病生存期間 *1 (Disease-free Survival: DFS*1) *1: IDEA 試験における DFS のイベントは, 再発および死亡と定義されており, 一般的には無再発生存期間 (Relapse-free Survival: RFS) を指す. (2) 副次的評価項目 :1 無病生存期間 *2 (Disease-free Survival: DFS*2) *2: イベントは再発 再発以外のがん病変 ( 二次癌 ) の発生および死亡と定義する. 2 治療成功期間 (Time to Treatment Failure: TTF) 3 全生存期間 (Overall Survival: OS) 3 有害事象治 5 療完遂率 6 相対用量強度 7リンパ節転移個数, 郭清リンパ節個数, 検索リンパ節個数等と予後の検討 8 末梢性感覚ニューロパチー ( 末梢神経症状 ) 9 予後因子および副作用予測因子の探索 ( 付随研究 : ゲノム薬理学研究 ) 3. 研究期間 症例登録期間 : 倫理委員会承認後 ~2015 年 7 月 31 日 研究期間 : 倫理委員会承認後 ~2021 年 7 月 31 日 4. 予定症例数 全国で 1200 例 ( 各群 600 例 ). 当科では 20 例を登録する予定. 5. 研究実施場所 消化管 一般外科外来または病棟 6. 患者選択基準 除外基準, 研究に参加されなかった場合の治療について患者選択基準 (1) 病理組織学的に大腸原発の腺癌と診断されている症例. (2) 手術所見及び切除標本所見による主占居部位が盲腸または結腸, 直腸 S 状部と診断されている症例 *1. *1: 大腸多発癌は 2 つの浸潤癌 *2 まで適格とし, 割付因子は Multiple を選択する *2: 浸潤癌とは粘膜下層以深への浸潤を認めるものと定義し粘膜内癌はカウントしない (3) D2 あるいは D3 の系統的リンパ節郭清を含む大腸切除が施行されている症例. (4) 根治度 A の手術が施行されている症例 ( 肉眼的にも顕微鏡下にも腫瘍の残存がない ). (5) 総合所見における病期が Stage III(T any N1 * /2/3 M0) である症例 ( 大腸癌取り扱い規約第 7 版補訂版 ). *: N1c(UICC TNM 7 th edition) も適格とする ( 所属リンパ節への転移を認めず, かつ腫瘍塊が漿膜下層, 腸間膜または腹膜ではない結腸 直腸周囲組織に認める場合 ) 3

(6) 原発巣切除後 8 週間以内に登録可能かつ登録後 2 週間以内に治療開始可能である症例. (7) 20 歳以上の症例. (8) PS (ECOG) 0 または 1 の症例. (9) 体表面積 (BSA)( DuBois の式 ) が 2.2m 2 以下の症例. (10) 化学療法, 免疫療法, 放射線療法の既往がない症例. (11) 主要臓器機能について, 以下の基準を満たしている症例 ( 検査値は登録前 14 日以内の最新の値とす る ) 注 ). 好中球数 1,500 /mm 3 血小板数 100,000 /mm 3 血清クレアチニン 施設基準値の 1.5 倍 総ビリルビン 2.0 mg/dl AST および ALT 100 IU/L CEA 10 ng/ml (12) 試験への参加について, 本試験登録前に患者本人による署名, 日付が記載された同意書を得てい る症例. (13) mfolfox6,xelox 群ともに CCr>30ml/min を満たすこと. XELOX 群では,70 歳以上または CCr 30-50ml/min の症例は登録できない. 除外基準 (1) 虫垂癌の症例. (2) 悪性腫瘍の既往がある症例.* *: 5 年以上の無再発期間がある場合, および内視鏡的に治癒切除された粘膜内癌 ( 胃癌, 大腸癌, 食道癌 ) や治癒切除された子宮頸部癌, 皮膚の基底細胞癌または扁平上皮癌は登録可 (3) 妊娠中または授乳中の女性. (4) 妊娠する可能性のある女性, 生殖能力を有する男性.* *: 男女共に本試験治療期間中および治療後 1 ヵ月間までの期間は避妊を行うことに同意し, かつ妊 娠時のリスクについて理解している場合は登録可能 (5) 本試験の登録前 30 日以内に治験に参加している症例. (6) 末梢性感覚ニューロパチー ( 末梢神経症状 Grade1 以上 ) を有している症例. (7) コントロール不能な糖尿病を有する症例 ( インスリン投与が必要な場合も含む ). (8) コントロール不能なうっ血性心不全, 狭心症, 高血圧, 不整脈を有する症例. (9) ステロイド剤の継続的な全身投与 ( 内服又は静脈内 ) を受けている症例. (10) 神経学的または精神的に重大な疾患の既往, 合併がある症例. (11) 活動性の感染症を有する症例 ( 既知の活動性 HBV HCV HIV 陽性例など ). (12) 既知の DPD 欠損が確認されている症例. (13) 5-FU,l-LV, オキサリプラチン, カペシタビンに対してアレルギーの既往がある症例. (14) オキサリプラチンの投与歴のある症例. (15) その他, 医師が当該臨床試験の参加に不適当と判断している症例. 4

研究に参加されなかった場合の治療について 研究に参加されなかった場合は大腸癌治療ガイドラインに準じた治療を行う. 7. 期待される利益及び不利益, 危険性この 臨床試験 では, 未承認薬の開発治験とは異なり, すでに厚生労働省により認められた抗がん剤を組み合わせての大腸がんの治療を行います. この試験中に有害事象が生じた場合は, 通常の保険診療の範囲内で, 最善かつ必要な治療を行う. 有害事象の発現は実地医療と同様の程度で起こりうることであり, 試験に参加したという理由で変わるものではない. 逆に, 計画書 (p.24- ) に記載されたとおり, 減量, 中止規準を設け, 試験グループ内での徹底を行い, 実地医療よりも頻回なモニターを行うことにより, 有害事象の発現リスクを下げること, 有害事象の重篤化を防ぐことが可能であると考えられる. また, データの解析は匿名化のもとで行われているため, 個人情報が漏洩する可能性はない. 8. 有害事象への対応 この試験中に有害事象が生じた場合は, 通常の保険診療の範囲内で, 最善かつ必要な治療を行う. 9. 費用について 本研究で行われる治療は通常の保険診療の範囲で行われる. 患者の金銭的利益, 不利益は一切生 じない. 10. 資料の取扱い 本研究で利用する試料はない. また, 付随研究への参加は予定しない. 付随研究に参加する場合は埼 玉医科大学倫理委員会の承認を得た後行う. 11. 人権への配慮と個人情報の保護 ヘルシンキ宣言, 臨床研究に関する倫理指針 に従って人権擁護の配慮に努める. 研究に必要なデータベースの連結可能匿名化は本研究に参加しない熊谷洋一准教授が行なう ( 対応表はインターネットと接続されていないコンピューター内で厳重に管理する ). 研究で得られたデータは, 当院の個人情報保護責任者である病理部田丸淳一教授のもとで厳重に管理される. 12. 利益相反 本試験の計画 実施 報告において, 研究の結果および結果の解釈に影響を及ぼすような 起こりえ る利益の衝突 は存在しない. 13. 知的財産権 本研究で得られた結果から特許などの知的財産権が生み出された場合, その権利は研究者に帰属する. 14. 対象者に理解を求め同意を得る方法 対象者に対し説明者 ( 研究実施責任者および共同研究者 ) が書類 ( 添付資料 2) を用い, 外来あるい 5

は病棟のプライバシーの保たれた場所で説明する. 説明時期はすべての治療の開始前とする. 本研究の目的及び方法, 予想される利益と不利益, 研究的側面の説明, 個人情報の保護, 本研究に同意しなくても不利益を受けないこと, 同意した場合でも随時撤回できることなどについて説明し, 承諾を得た場合, 本人より署名を得る ( 添付資料 2). 15. 医学上の貢献の予測現在, 各種ガイドラインにおいて推奨されている結腸癌の術後補助化学療法はFOLFOX 療法および XELOX 療法の6 ヵ月間投与であるが, その高い有効性と引き換えに重篤な有害事象の発現が問題となる. そのため, 術後補助化学療法の有効性が保持できるのであれば, 投与期間を短くすることで患者や医療従事者に与えられるメリット, 医療経済に対するメリットは測り知れない. 以上より, 今後の結腸癌治癒切除例に対する術後補助化学療法の新しいアプローチとして,mFOLFOX6/XELOX 療法の至適投与期間を検証することは意義があると考える. 16. 研究代表者, 当センター研究責任者 実施者 研究代表者 : 外科系研究代表者 森正樹 大阪大学大学院医学系研究科消化器外科 内科系研究代表者 大津敦 国立がん研究センター東病院臨床開発センター IDEA 調整代表者 吉野孝之 国立がん研究センター東病院消化管内科 当センター研究責任者 : 埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科准教授 石橋敬一郎 実施者 : 埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科 教授 石田秀行 埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科 助教 傍島 潤 埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科 助教 松澤岳晃 埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科 助教 幡野哲 埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科 助教 田島雄介 埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科 助教 近範泰 参考文献 1) Chau I, Norman AR, Cunningham D,et al. A randomised comparison between 6 months of bolus fluorouracil/leucovorin and 12 weeks of protracted venous infusion fluorouracil as adjuvant treatment in colorectal cancer. Ann Oncol. 2005;16(4):549-57. 2) Andre T, Boni C, Navarro M, et al. Improved Overall Survival With Oxaliplatin, Fluorouracil, and Leucovorin As Adjuvant Treatment in Stage Ⅱ or Ⅲ Colon Cancer in the MOSAIC Trial. J Clin Oncol 2009; 27: 3109-3116. 3) Kuebler JP, Wieand HS, O'Connell MJ, et al. Oxaliplatin combined with weekly bolus fluorouracil and leucovorin as surgical adjuvant chemotherapy for stage II and III colon cancer: results from NSABP C-07. J Clin Oncol. 2007;25(16):2198-204. 6