第 3 回 WG での事業者プレゼン概要 再エネ発電事業者によるプレゼン概要 再生可能エネルギー電源は そのまま水素製造用途とするには高コストであり 他方で出力抑制分を活用する場合は供給安定性が低いということを踏まえ 計画段階からある程度の規模の余剰電力を見込んで発電プラントを建設 運営することも考

Similar documents
電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素 まとめ Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 2

水素 燃料電池ロードマップにおける CO2 フリー水素の位置づけ 水素 燃料電池戦略ロードマップ (2016 年 3 月改訂 ) においては より CO2 の排出が少ない水素供給構造を実現していくため 将来的には再生可能エネルギーの活用等を進めていくことが必要とされている 2040 年頃をターゲット

目次 1. 諸外国における取り組み (1) ドイツ (2) 米国 (3) その他 2.NEDO における取り組み (1) 水電解技術 (2) Power to Gas 2

目次 1. 実施内容について 背景と目的 2. 海外 P2G 事例 3. FSの中間報告 システム機能概要図 主要設備仕様案 主要設備面積試算と水素量試算 想定スケジュール 技術的要件 送電線 FSにおける今後の検討スケジュール 2017 Toshiba Corporation / Tohoku-E

目次 1. 策定の趣旨 2 2. 水素利活用による効果 3 3. 能代市で水素エネルギーに取り組む意義 5 4. 基本方針 7 5. 水素利活用に向けた取り組みの方向性 8 6. のしろ水素プロジェクト 10 1

FCH2JU は欧州全体の水素 燃料電池技術開発をリードしており 主に交通 エネルギーシステム 分野横断型のプログラムを実施している 定量目標 戦略名称 関連主体 期間 予算 定性目標 FCV 水素 ST 需給量 第 2 期燃料電池水素共同実施機構 (FCH2JU) 欧州委員会 Hudrogen E

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション


水素エネルギーに関するNEDOの取り組み

熱効率( 既存の発電技術 コンバインドサイクル発電 今後の技術開発 1700 級 ( 約 57%) %)(送電端 HV 級 ( 約 50%) 1500 級 ( 約 52%

資料 4 テクノロジーの進展と電力ネットワークの高度化や新ビジネスについての諸外国の動向 ( 第 1 回 次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会 第 1 回用参考資料 ) 2018 年 10 月 15 日

CO2 フリー水素ワーキンググループ報告書 目次 Ⅰ. 水素 燃料電池戦略ロードマップでの位置づけ / 本 WG の設置趣旨... 1 Ⅱ. 再生可能エネルギー普及拡大への対応 余剰電力の考え方 4 (1) 再生可能エネルギー発電の導入拡大に向けた取組と余剰電力... 4 (2) 余

水素の 利用 輸送 貯蔵 製造2030 年頃 2040 年頃庭用海外 水素 燃料電池戦略ロードマップ概要 (2) ~ 全分野一覧 ~ 海外の未利用エネルキ ー ( 副生水素 原油随伴カ ス 褐炭等 ) 水素の製造 輸送 貯蔵の本格化現状ナフサや天然カ ス等フェーズ3: トータルでのCO2フリー水素供

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

International Institute for Carbon-Neutral Energy Research 1 水電解による水素製造の展望 九州大学カーボンニュートラルエネルギー国際研究所 電気化学エネルギー変換研究部門 松本広重

FIT/ 非 FIT 認定設備が併存する場合の逆潮流の扱いに関する検討状況 現在 一需要家内に FIT 認定設備と非 FIT 認定設備が併存する場合には FIT 制度に基づく買取量 ( 逆潮流量 ) を正確に計量するため 非 FIT 認定設備からの逆潮流は禁止されている (FIT 法施行規則第 5

1. 目的 実施計画 高度なエネルギーマネジメント技術により 需要家側のエネルギーリソースを統合的に制御することで バーチャルパワープラントの構築を図る < 高度なエネルギーマネジメント技術 > 蓄熱槽を活用した DR 複数建物 DR 多彩なエネルギーリソースのアグリゲーション < 便益 > 系統安

untitled

日本における燃料電池の開発 Fuel Cell RD & D in Japan 2017 since 1986 一般社団法人 燃料電池開発情報センター Fuel Cell Development Information Center

ドイツで大規模ハイブリッド蓄電池システム実証事業を開始へ

日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

. 石垣島における電力系統の概要 Copyright The Okinawa Electric Power Company, Incorporated. All Rights Reserved.

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

目次 再エネ由来水素の利活用 東芝での取組み 技術開発 今後の展開 2

2 PJM ( 東部 13 州及びコロンビア特別区でエネルギー 容量市場 及び 送電系統を運営 ) o 2017 年に稼働していた設備容量の 39% (278 MW) を占め 電力量の 31% にあたる 269 MWh を供給 o 出力変動を迅速に調整できる電源を確保する目的で 2012 年にアンシ

今回の調査の背景と狙いについて当社では国のエネルギー基本計画の中で ZEH 普及に関する方針が明記された 200 年より 実 邸のエネルギー収支を調査し 結果から見えてくる課題を解決することが ZEH の拡大につなが ると考え PV 搭載住宅のエネルギー収支実邸調査 を実施してきました 205 年

UIプロジェクトX

第 2 章各論 1. フェーズ 1( 水素利用の飛躍的拡大 ) 1.2. 運輸分野における水素の利活用 FCV は 水素ステーションから車載タンクに充填された水素と 空気中の酸素の電気化学反応によって発生する電気を使ってモーターを駆動させる自動車であり 一般ユーザーが初めて水素を直接取り扱うことにな

事例8_ホール素子

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

スライド 1

次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

PowerPoint プレゼンテーション

南早来変電所大型蓄電システム実証事業

海外視察内容のご報告 2016 年 12 月 22 日 株式会社野村総合研究所グローバル製造業コンサルティング部

<4D F736F F F696E74202D E815B839395F18D908F912082C882D782DC82AB205B8CDD8AB B83685D>

水素供給設備整備事業費補助金平成 28 年度概算要求額 62.0 億円 ( 新規 ) 省エネルギー 新エネルギー部燃料電池推進室 事業の内容 事業イメージ 事業目的 概要 燃料電池自動車 (FCV) は 水素を燃料とする自動車で 内外の自動車メーカーによって 開発競争が進め

包括的アライアンスに係る基本合意書の締結について

本資料で いている 葉の定義 グリーン水素 再生可能エネルギー由来の低炭素な水素 グリーン電 再生可能エネルギーで発電する低炭素な 電 2

Microsoft Word 後藤佑介.doc

RIETI Highlight Vol.66

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

スライド 1

エネルギー規制 制度改革アクションプラン (11 月 1 日 ) の概要 重点課題と詳細リスト 現時点で政府が取り組むこととしている又は検討中の事項を 実施 検討事項詳細リスト (77 項目 ) として取りまとめ その中から 3つの柱で計 26 項目の重点課題を特定 1 電力システムの改革 (9 項

<4D F736F F F696E74202D E9197BF A A C5816A CE97CD82CC90A28A458E738FEA2E B8CDD8AB B83685D>

水素 燃料電池戦略ロードマップ改訂の内容 フェーズ 1: 水素利用の飛躍的拡大 ( 現在 ~) 1. 定置用燃料電池 ( エネファーム / 業務 産業用燃料電池 ) エネファームの将来的な目標価格を明確化 2020 年頃に自立的普及 PEFC( 固体高分子形燃料電池 ) 型 :2019 年までに 8

スライド 1

発電単価 [JPY/kWh] 差が大きい ピークシフトによる経済的価値が大きい Time 0 時 23 時 30 分 発電単価 [JPY/kWh] 差が小さい ピークシフトしても経済的価値

Microsoft PowerPoint - ä¹šå·žéł»å−łï¼ıㅊㅬㇼㅳè³⁄挎+报本語; [äº™æ‘łã…¢ã…¼ã…›]

富士フイルムホールディングス、電力と蒸気を自然エネルギー由来100%に

再生可能エネルギーの自立に向けた取組の加速化 1 FIT 制度の創設当初は 量 の拡大を重視し 固定価格と買取義務に依拠した売電モデルの下で 高コストで大量 多様なプレーヤーが再生可能エネルギー発電事業に参入 世界的に脱炭素化へのモメンタムが高まり 再生可能エネルギーがコスト競争力のある主力電源とな

市町村から国への要望一覧 事項名要望内容改善案 ( 省庁名を記入してください ) いつまでに実施するか 効果 ( 現状との数値比較等 ) 再生可能エネルギーの導入促進 要望事項 1 政府は将来を見据えた責任あるエネルギー政策を実行するためにも エネルギー基本計画に掲げている再生可能エネルギーの導入量

会社案内2015(日本語)

豊田通商株式会社 CSR Report 2011

PowerPoint プレゼンテーション

200kW 未満 272 万円 /kw 以下 200kW 以上 1,000kW 未満 109 万円 /kw 以下 1,000kW 以上 3 万 kw 未満 39 万円 /kw 以下 4 木質バイオマス発電設備 (2 万 kw 未満 木質バイオマス燃料の年間利用率 80% 以上と見込まれるもの ) <

ä÷ìåèoóÕ (Page 2)

再生可能エネルギー発電と二次電池を導入した地域電力システムのシミュレーションによる設計

スライド 1

余白 1

本日の発表内容 A123 Systems 社 (LLC ) の蓄電 SI 部門 A123 Energy Solutions を $100M で買収 A123 Energy Solutions は電力会社 企業向け蓄電システムを提供 世界トップクラスのシステム納入実績 (11 社 出力 110MW 以

はじめに 福島県は復興の大きな柱として 福島を 再生可能エネルギー先駆けの地 とすべく 再生可能エネルギーの拡大 関連する産業の集積 研究開発を進めている 2012 年 3 月に改訂された 福島県再生可能エネルギー推進ビジョン ( 改訂版 ) においては 2040 年頃を目途に福島県内の 1 次エネ

海外における 水素導入の現状調査

海外情報10月号.indb

( 太陽光 風力については 1/2~5/6 の間で設定 中小水力 地熱 バイオマスについては 1/3~2/3 の間で設定 )) 7 適用又は延長期間 2 年間 ( 平成 31 年度末まで ) 8 必要性等 1 政策目的及びその根拠 租税特別措置等により実現しようとする政策目的 長期エネルギー需給見通

Microsoft PowerPoint - RITE-N-膜-岡崎

パワーポイント・デザイン標準 (案)

(2) 技術開発計画 1 実施体制 技術開発代表者 戸田建設株式会社 ( 全体調整 ( 設計 調達 建造 運用 検証 )) 佐藤郁構造工学 情報工学分野について 23 年間の業務実績 小林修構造工学分野について 28 年間の業務実績 西田哲哉実施体制強化のため専任研究補助員を増員 2 実施スケジュー

1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

SPERA 水素技術の紹介 - 技術概要 - 有機ケミカルハイドライド (OCH) 法 CH 3 メチルシクロヘキサン (MCH) 輸送 水素 CH 3 水素 水素化 貯蔵 トルエン 貯蔵 脱水素 CH 3 CH 3 輸送 CH 3 CH 3 + 3H 2 ΔH= -205kJ/mol トルエン M

経営指標の概要 ( 電気事業 ) 1. 経営の状況 ( 電気事業全体で算出 ) 算出式 ( 法適用事業 ) 算出式 ( 法非適用事業 ) 1 経常収支比率 (%) 1 収益的収支比率 (%) 指標の意味 経常収益 100 経常費用 総収益 100 総費用 + 地方債償還金 法適用企業に用いる経常収支

対策名 1 温室効果ガスの排出の抑制等に資する設備の選択キ未利用エネルギーの活用のための設備導水 送水 配水等における管路の残存圧力等を利用した小水力発電設備の導入 概要 地形の高低差から生じる水の位置エネルギーがある場所や導水管路 送水管路 配水池入口等で余剰圧力が利用できる場所 あるいは弁の開度

<4D F736F F F696E74202D D34966B8BE38F428E735F907B8E52976C C835B83932E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

Microsoft PowerPoint 東京都水素社会推進会議

会社概要

PEFC 1 6 PEFC % CO FC FC 36 LHV 10 FC 1 DSS 8 8.5kW FC 342

□120714システム選択(伴さん).ppt

Microsoft PowerPoint _配布資料1-14.ppt

1 事業全体の成果 2


富士通セミコンダクタープレスリリース 2013/04/22

1 タウンメガソーラーの実現 7 2 街の発展を想定したメガソーラー整備及び連結 8 3 北九州水素タウン 9 4 風の道に沿った小型風力発電の導入 10 5 工場廃熱の活用 ( 工場廃熱の植物工場等利用 ) 11 6 工場廃熱の活用 ( バイナリー発電 ) 12 7 次世代 BDF の開発などバイ

05JPOWER_p1-40PDF.p....

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

Microsoft Word - 【実施方針】水素利用等先導研究開発事業_ 次世代電池水素部

4 木質バイオマス発電設備 (2 万 kw 未満 木質バイオマス燃料の年間利用率 80% 以上と見込まれるもの ) < 下記要件のいずれかを満たすもの > 年間稼働率 80% 以上と見込まれるもの kw あたりの資本費一定以下 2,000kW 未満 62 万円 /kw 以下 2,000kW 以上 2

PowerPoint プレゼンテーション

200kW 未満 272 万円 /kw 以下 200kW 以上 1,000kW 未満 109 万円 /kw 以下 1,000kW 以上 3 万 kw 未満 39 万円 /kw 以下 4 木質バイオマス発電設備 (2 万 kw 未満 木質バイオマス燃料の年間利用率 80% 以上と見込まれるもの ) <

Microsoft Word - 報告書.doc

1.NEDO クリーン コール技術の取組 CO2 回収コスト削減技術 発電効率の改善 NEDO プロジェクト IGCC (EAGLE STEP-1) IGFC 向け石炭ガスクリーンナップ技術開発 IGCC 水蒸気添加噴流床ガス化技術開発 技術確立時期 2006 年 2017 年 2030 年 石炭火

イ使用年数基準で更新する施設 ( ア ) 使用年数基準の設定使用年数基準で更新する施設については 将来の更新需要を把握するためにも 更新するまでの使用年数を定める必要がありますが 現時点では 施設の寿命に関する技術的な知見がないことから 独自に設定する必要があります このため あらかじめ施設を 耐久

Microsoft PowerPoint _04_槌屋.ppt [互換モード]

Microsoft PowerPoint _ _挰喬表è³⁄挎(æ¡‹)H _报渖é£�åfi†.pptx

仕様書 1 概要 (1) 供給場所茨城県笠間市鯉淵 6528 茨城県笠間市旭町 654 (2) 業種及び用途医療 ( 病院 ) 茨城県立中央病院 茨城県立こころの医療センター 2 仕様 (1) 電力供給条件ア電気方式交流三相 3 線式イ供給電圧 ( 標準電圧 ) 別紙 基本情報一覧表 参照ウ計量電圧


新興国市場開拓事業平成 27 年度概算要求額 15.0 億円 (15.0 億円 ) うち優先課題推進枠 15.0 億円 通商政策局国際経済課 商務情報政策局生活文化創造産業課 /1750 事業の内容 事業の概要 目的 急速に拡大する世界市場を獲得するためには 対象となる国 地

スマートコミュニティと新しいビジネス ~エネルギー関連新規ビジネスを促進するために~

<4D F736F F D F CD94AD93648BA689EF938A8D65815E8C6E939D CC897E8A8A89BB814592E197F589BB82CC8EE691678

Transcription:

第 4 回 CO2 フリー水素 WG 事務局提出資料 平成 28 年 9 月 29 日 資源エネルギー庁省エネルギー 新エネルギー部新エネルギーシステム課水素 燃料電池戦略室

第 3 回 WG での事業者プレゼン概要 再エネ発電事業者によるプレゼン概要 再生可能エネルギー電源は そのまま水素製造用途とするには高コストであり 他方で出力抑制分を活用する場合は供給安定性が低いということを踏まえ 計画段階からある程度の規模の余剰電力を見込んで発電プラントを建設 運営することも考えられる 水素製造事業の自立化に向けては設備利用率の向上や上記余剰電力の活用等による投入電力単価の低減が重要であり また水素の輸送コストや貯蔵コスト等も考慮されるべきである 発電予測と DR 制御技術の成熟により 多くのグリーン電力の供給が可能となり CO2 フリー水素社会の基盤構築に資する 再エネのポテンシャルが高い一方で送配電網が弱く グリッド独立性が高い地域がターゲットエリアになる システム事業者によるプレゼン概要 再生可能エネルギー由来電力の系統接続は 電力安定化システムを介して行っている システム構成としては 電気二重層キャパシタ 鉛電池 ニッケル水素電池を組み合わせたものである 水素製造用の電力としては 再生可能エネルギー電力の余剰 ( 中長周期変動成分 ) を分離し活用できると良いのではないか CO2 フリー水素製造事業の収益拡大のためには FIT 売電と水素製造のベストミックスを模索する必要がある また 貯蔵電力をアンシラリーサービスにも活用できれば 発電事業者にとっては新たな収入源となる可能性がある 上記に加え 電気 熱 水素 ガスの共同検針や それら各エネルギー需要の最適化にむけた取組を進めることも CO2 フリー水素社会の実現につながると思われる 1

第 3 回 WG での委員からの主なご意見 P2G の優位性 海外においては 大規模なエネルギー貯蔵になると P2G に優位性があるという分析が存在する 蓄電池は kw と kwh が比例的な関係になる傾向があるが P2G は kw と kwh の組み合わせを柔軟に設定できるという利点がある一方 kw コスト ( 水電解装置及び純水素燃料電池部分のコスト ) が高いことが課題 このコストが低減し水素の製造価格が下がっていけば P2G に優位性が出てくる アンシラリーサービスとしての P2G 日本でアンシラリーサービス市場が確立されたとしても P2G の参入可否については応答性などを踏まえた検証が必要 送配電事業者はコスト効率性が高いものを選択するため そういった面で他の技術に対して優位性を持つことが P2G に求められる CO2 フリー水素の需要 CO2 フリー水素の国全体でのニーズが不明確である CO2 フリー水素の需要家や その育成 拡大方策についても検討していくべき 政府にも支援をしていただきたい CO2 フリー水素需要の創出という意味では 環境価値をマーケット化するという手法が考えられるが容易ではなく 現状では CO2 フリー水素を選ぶメリットが企業の社会貢献以外にないことが課題である 2

第 4 回 WG 議題 1P2G 技術の現状と見通し 2 他の競合技術との比較分析 株式会社日本製鋼所 旭化成株式会社 東レ株式会社 3

エネルギー貯蔵技術の比較 1 SEI* は各エネルギー貯蔵技術について下図のように整理している * SBC Energy Institute:Schlumberger 系のオランダの研究機関 (NPO 法人 ) 水素を活用したエネルギー貯蔵技術については大容量および長期間のエネルギー貯蔵が可能であり 年間を通しての断続的な出力変動に対しては水素によるエネルギー貯蔵が最も適しているとしている 再エネ出力変動の調整 送配電線の投資延期 周波数 電圧調整 ブラックスタートサービス [ 出所 ] Hydrogen-Based Energy Conversion (SEI, 2014) 4

エネルギー貯蔵技術の比較 2 水電解 + 水素タンク + 燃料電池のシステムを二次電池 ( フロー電池含む ) と比較すると エネルギー密度が高い一方で エネルギー変換効率などは劣るという特徴を持つ システム 重量密度 エネルギー密度 体積密度 エネルギー変換効率 寿命 コスト ( 万円 /kwh) 応答速度 水電解 + 水素タンク + 燃料電池 圧縮水素 液体水素 32,900 Wh/kg 32,900 Wh/kg 1,290 Wh/L (70MPa) 約 50~80% 2,330 Wh/L 約 15 年以下 ( エネファームのケース ) 不明 不明 鉛蓄電池 10~ 40Wh/kg 40~ 80Wh/L 約 75~85% 約 10 年以下 3~5 5~10 ミリ秒 リチウムイオン電池 80~ 200Wh/kg 200~ 300Wh/L 約 95% 以上約 10 年以下 5~20 <20 ミリ秒 NaS 電池 110~ 130Wh/kg 140Wh/L 約 90% 約 15 年以下 3~4 0~5 ミリ秒 レドックスフロー電池 10~ 30Wh/kg 10Wh/L 以下 約 70% 約 20 年以下 10~30 0~20 ミリ秒 出所 : 水電解技術の現状と課題 ( 光島 松津, 2011) 等から野村総合研究所作成 5

P2G システムと蓄電池のコスト比較 1 燃料電池セルスタックメーカー Ballard は 20MW の電力貯蔵システムについて 蓄電池 (NaS) と P2G システムのコスト比較を実施している NaS 電池については 容量 (kwh) によらず kwh あたりのコストは一定 ($500(5 万円 )) であるのに対し P2G システムは 容量が大きくなるほど単価が小さくなり 9 時間以上の領域において蓄電池に対し優位性を持つ結果となっている *1USD=100JPY で計算 [ 出典 ] A Discussion of PEM Fuel Cell Systems and Distributed Generation (Ballard, 2011) 6

P2G システムと蓄電池のコスト比較 2 英国水素エネルギー事業者である ITM Power は 32MWh の電力貯蔵システムについて 蓄電池 ( リチウムイオン ) と P2G システムのコスト比較を実施している リチウムイオン電池の $6.7m/MW $1.67m/MWh(4 時間容量 ) に対し P2G システムについては $2.7m/MW $0.67m/MWh(4 時間容量 ) と試算している また P2G システムのフットプリントが半分程度である点にも注目すべきである [ 出典 ] GRID BALANCING AND SUPPORT: POWER-TO-GAS ENERGY STORAGE (ITM Power, 2015) Tehachapi Wind Energy Storage Project (Southern California Edison Company, 2014) 7

アルカリ型と PEM 型の比較 1 CSIRO* は アルカリ型水電解装置について 既に確立された技術で 製造される水素と酸素が混合する危険性を低減でき また 7~8 年毎のメンテナンスを行えば数十年に渡り稼働可能であるとしている * 豪州連邦科学産業研究機構 (Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation) 一方 PEM 型の特徴としては 自己加圧が可能 ( 最大 16.5MPa) であり 水素ステーションでの供給を行う場合などに追加的な圧縮を節減できることや 製造される水素の純度が極めて高いことなどを挙げている [ 出所 ] Cost Assessment of Hydrogen Production (CSIRO,2016) 8

アルカリ型と PEM 型の比較 2 同機構は SOEC 型も含めた 3 方式を下図のように整理しており 水素製造効率については PEM 型に優位性がある一方 稼働可能年数や CAPEX においては 現状ではアルカリ型に優位性があるとしている [ 出所 ] Cost Assessment of Hydrogen Production (CSIRO,2016) 9

水電解装置のコスト構造 FCHJU* はレポートにて一般的な水電解装置のコスト分析を公開している * Fuel Cell and Hydrogen Joint Undertaking: 欧州における官民パートナーシップ コストの半分以上を占めているスタック部分を分解すると アルカリ型では電極 PEM 型ではバイポーラプレートがスタックコストのおよそ半分を占めている [ 出所 ] Development of Water Electrolysis in the European Union Final Report (FCHJU, 2014) 10

水電解装置のコスト低減見込みと開発動向 1 SEI は 水電解装置のコスト低減見通しと今後必要とされる開発の方向性について言及している PEM 型については アルカリ型に比して CAPEX が高いことに触れ セル スタック プラントそれぞれのレベルにおいてコスト低減が必要としている なお スタックレベルでは 2025 年時点で $315/kW( 約 3.2 万円 /kw) までコスト低減可能と試算している アルカリ型については 電流密度の向上が必要とし セルの素材についてより高温に耐えうる素材の開発が求められると結論付けている *1USD=100JPY で計算 [ 出所 ] Hydrogen-Based Energy Conversion (SEI, 2014) 11

水電解装置のコスト低減見込みと開発動向 2 FCHJU は アルカリ型及び PEM 型水電解装置を活用した P2G システムについて 2030 年までの CAPEX 低減見通しを公表している レポートによると 2025 年時点のシステムコストは アルカリ型については 610/kW( 約 7 万円 /kw) PEM 型については 870/kW(10 万円 /kw) まで低減可能としている *1EUR=115JPY で計算 [ 出所 ] Development of Water Electrolysis in the European Union Final Report (FCHJU, 2014) 12

水素製造コスト ドイツにおいて再エネから水素を製造するコストは ベストケースで現在 kg あたり 5.0~7.6 (600~900 円 ) 程度 2030 年には kg あたり 3(350 円 ) 程度まで低下することが見込まれている また アルカリに対し PEM が優位性を持つことも予想されている ドイツにおける水素製造コスト *1EUR=115JPY で計算 RG only: 自営線で設備利用率 31% の風力のみから水素を製造した場合 [ 出所 ] Development of Water Electrolysis in the European Union Final Report (FCHJU, 2014) 13

技術開発の方向性 ( 案 ) Power-to-gas は技術的には既に ready の状態にある また 大規模なエネルギー貯蔵領域において コストやフットプリントの面で優位性がある可能性 今後の再エネ導入拡大への対応 ( グリッドの弾力性確保 ) としては 再エネ出力変動への応答性やオーバーロードへの対応力が求められる 技術開発の KPI として 1 エネルギー変換効率 2 コスト 3 寿命の 3 つが挙げられるが これらは相反する要素を含んでおり 戦略的に研究開発を進めることが必要 特に Power-to-gas の装置レベルでのエネルギー変換効率については 既にある程度の高効率化が図られていることから Power-to-gas 技術の社会実装を進めるため ボトルネックとなるコストの低減 (2) を中心に PEM については耐久性の確保 (3) も並行して進めるべきではないか IEA* によれば 現在の水電解システムの CAPEX は $850~1,500( アルカリ ) $1,500~ 3,800/kW(PEM) NEDO の技術開発指針おける水電解システムのコスト目標として 26 万円 /(Nm3/h)( 約 5 万円 /kw) を見通せる技術の確立を掲げているが これを早期に実現していくことが重要 * Hydrogen and Fuel Cells Technology Roadmap (IEA, 2015) 14

CO2 フリー水素 WG 検討スケジュール ( 案 ) 第 1 回 第 2 回 6/22 第 3 回 8/9 第 4 回 第 5 回 10/25 第 6 回 第 7 回 時期議題内容 5/13 1WG 趣旨説明 検討の目的 射程 2P2G を巡る現状 1 再生可能エネルギー接続状況と系統負荷対策等について 2P2G の経済性 導入可能性等について 0 グリーン電力証書の現状 1 未利用電力を活用した水素製造泳ぎ発電予測技術 2 蓄エネルギー技術の最適運用 9/29 1P2G 技術の現状と見通し Ⅰ 2 他の競合技術との比較分析 11 月下旬 12 月下旬 1P2G 技術の現状と見通し Ⅱ 2CO2 フリー水素の定義について 3CO2 フリー水素のアプリケーション ( 地産地消 都市における利用について ) 1 国内外の CCS について 2 海外の CO2 フリー水素について 1 海外の P2G 事例 ( 出張報告 ) 2 取組方針の整理 報告書骨子案 WG 開催趣旨 目的 アウトプット スケジュール 海外動向 NEDO プロ概要説明 再エネ接続による系統逼迫状況 蓄電池等の系統負荷対策 水素利用に対する期待と課題 余剰電力の考え方 再エネからの水素製造の経済性 P2G の適地 導入可能性 国内外のグリーン電力証書取引について 発電予測技術について 再エネの短周期成分の分離 活用方策について 水電解技術 水素貯蔵技術 純水素燃料電池について 蓄電池等の蓄エネルギー技術との比較 工場の CO2 フリー化等 CO2 フリー水素の利活用方策について 再エネ由来水素 副生水素等の LCA 既存のエネルギーインフラを踏まえた CO2 フリー水素の地方における地産地消 都市への輸送の考え方等を整理 国内 国外の CCS を取り巻く状況について EOR 技術 海外からの水素輸送について 秋の出張報告 骨子案の審議 今後の議論の状況に応じて適宜変更があり得る プレゼン候補者 ( 敬称略 ) 1 METI 2 NEDO 1 九州電力 東北電力 2 日本エネルギー経済研究所 エネルギー総合工学研究所 0METI 12NTT ファシリティース ユーラスエナシ ーホールテ ィンク ス 富士電機 12JSW 旭化成 東レ 1 東芝 2 トヨタ自動車 3 JX エネルギー 岩谷産業 東芝 1 METI 2 川崎重工業 千代田化工建設 1 METI NEDO 2 METI 第 8 回 1 月下旬 1 報告書案の審議 報告書案の審議 1 METI 15