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1 平成 23 年度授業力向上研修 ( 小 中 ) 実践のまとめ (2 学年技術 家庭 ( 技術分野 )) 平成 23 年 9 月 15 日 ( 木 ) 指導者長岡市立北中学校教諭長滋徳 1 題材名 生活に役立つものづくり 2 題材の目標ものづくりなどの実践的 体験的な学習を通して 材料と加工に関する基礎的 基本的な知識及び技術を習得するとともに 技術と社会や環境とのかかわりについて理解を深め 技術を適切に評価し活用する能力と態度を育てる 3 題材と生徒 (1) 題材について本題材では 材料 設計 けがき 切削 組立て 塗装とものづくりの基本を学習する その際に 構造の強度を高める実験や切削の練習をさせ 実践的 体験的な活動を通して 学習理解を深める また 家庭で利用できる作品を考え 構想図の設計の動機付けになるようにする この題材を通して これまでの生活を豊かにする技術や工夫について考えさせ 実践的な態度を育成するし よりよい社会の形成に寄与できる資質を育む (2) 生徒の実態木材を切断し 組み立てることを小学校の図画工作の学習の中で行っている その中で 糸のこ のこぎり やすりを使った切削 げんのうと釘を使った組立ての経験がある また 技能向上に対する意欲は高く のこぎりびきではひたむきに練習を行うことができる 特に 課題をスモールステップにすることで更なる技能向上を目指して活動することができる 課題として 自分を表現する力が不足しており 苦手としている生徒がいる 相互評価や意見交換の場で自分の考えに自信をもって発表できるようにする力を高めていく必要がある 4 題材展開の構想 (1) 研究テーマ生き生きと主体的に活動し 課題解決に向けて粘り強く取り組む生徒の育成 (2) テーマ設定の意図本校の研究主題 自分の考えをもち 主体的に表現できる生徒の育成 を受けて 技術 家庭科では 互いに協力し 生活に密着した技術と知識を習得しながら意欲的に学習に取り組む態度を育てる という目標をもって授業改善に取り組んでいる また ものづくりにおいては課題を明確にし 生活をより豊かに 便利にするために必要とするものを設計し 製作することが求められる しかし 明確な課題意識がなかったり 加工がうまくいかなかったりすると主体的に活動することはできない 受け身な活動になると完成度が低く その後の評価 活用の場面においても学習意欲は低くなり 理解を深める 1

2 ことはできない 本校の研究主題と技術 家庭科の目標を受けて 学習場面の課題解決に向けて 生き生きと主体的に活動に取り組み 試行錯誤しながら粘り強く取り組む生徒を育成したいと考え このテーマを設定した (3) 研究テーマに迫るために学習活動の充実を図る指導と評価の工夫 二つの視点 1 生徒の興味 関心を高めていく授業にするために 第 4 次のかんながけの学習場面において 二人一組でかんなを使って加工し 相互評価 を行うことにした 作業をしてない生徒が作業者を評価し 助言することで 既習内容の理解がより深まり 目標や気をつけることを意識した作業を行うことができるように支援 指導に努める 2 作業の目的を 平らな面を作ること とし 教師の師範を示す 作業中の注意点や作業後の材料の検査の仕方を確認し 本時の目標を具体的に示す また 加工精度が高い生徒を マスター ( 技能優秀生徒 ) として認定することにより 目標に向かって意欲的に学習し 技能向上を目指す (4) 研究テーマ達成にかかわる評価 1 こばけずりにおいて 平らな面に仕上げることができた と肯定的に評価する生徒の割合が 学級全体の70% 以上を目指す ( 単元終了後のアンケート評価 ) 2 主体的に活動に参加し 目標意識をもって作業を行った 生徒の割合が学年全体の70% 以上を目指す 5 題材の評価規準観点生活や技術への関心 意欲 態度生活を工夫し 創造する能力生活の技能生活の技術についての知識 理解 内容自分の作品をよりよくしようと 他から学び 改良しようとする意欲を示したり 進んで製作しようとする態度で授業に臨んでいる 創意 工夫して 独創性あふれる設計をしながら改良していくことができる 作品の製作工程まで見越した設計をし 正確に製作することができる 作品をより丈夫に設計 製作するための知識や工具の使い方を理解し 工具を安全に使用するための方法を理解している 6 指導計画 ( 全 30 時間 本時 17/30 時間 ) 過程 学習内容 学習指導上の留意点 第 1 次 生活とものづくりの技術について知ろう 生活を支える技術の発展について 具体的な例 生活を支える技術について知ろう (1) を挙げて考えさせる 工夫することのすばらしさを知ろう (2) 生活を豊かにするために 工夫されてきた技術 習 について理解させる 得 第 2 次 材料の特徴を知ろう 材料の特徴を 木材 金属 プラスチックにお 材料の特徴を調べよう (2) いて具体物を用いて考えさせる 第 3 次 構造をじょうぶにしてみよう 四角形の構造のモデルを作り 補強させ 強度 四角形の構造をじょうぶにしてみよう(3) 実験を行う 数値の比較から 補強後の評価 2

3 習得 活用探究 第 4 次 生活に役立つものをつくろう 構想図のかき方 (2) 製作する構想図をかこう (2) 材料の切削練習 (1) のこぎりびき (3) (2) かんながけ < 本時 2/3> (3) 作品製作 (1) けがき (1) (2) 材料の切削 (4) (3) 組み立て (1) (4) やすりがけ (1) (5) 塗装 (2) (6) 評価 (1) 第 5 次 持続可能な社会の実現に向けた技術とそ の利用 (2) 比較をさせる キャビネット図 等角図のかき方について 複数回かくことで理解できるように課題を設定する 使用目的や使用条件を整理し 生活をより豊かにする製品を考え 設計する課題とする のこぎりびき かんながけの練習をする機会を設定し 安全に道具が使用できるようにする 本番材料で安全に 適切に道具を使用できるようにする やすりがけの際に 木目を意識させて仕上げを行う 作品の自己評価をし 他者評価をもらう機会を設定する ものづくりと環境問題を通して 持続可能な社会の実現に向けた再資源として利用方法や技術について話し合う場を設定する 7 本時の学習 平らな面を作ろう (1) 本時のねらい かんながけの仕方を理解し 工具を適切に用いて材料を加工し 平らな面をつくることができる (2) 本時の評価規準観点生活や技術への関心 意欲 態度生活を工夫し 創造する能力生活の技能生活の技術についての知識 理解 学習活動における具体的評価規準 < 評価方法 > かんながけを意欲的に行い 話し合い活動において意見交換しているか < 活動 学習プリント> 平らな面をつくるためにはどのようにすればよいか考え 学習プリントにまとめることができたか < 学習プリント> 平らな面を作ることができたか < 製作 > 平らな面を作るためにかんなをどのように使うとよいか 生活の技術についての知識を利用しながら 学習プリントにまとめている < 学習プリント> (3) 本時の計画 ( 平らな面を作ろう ) 時間学習活動教師の働きかけ評価 導入 5 分 本時のねらいについて理解する 平らな面を作ろう かんなの特徴について復習する 本時のねらいを明確にして 提示する ( カード提示 ) 平らな面を作ろう かんながけについて こばとこぐちでかんながけする方法が違うことを確認する 3

4 展開 10 分 学習プリントの内容把握 教師の師範を見ながら 学習プリントの評価項目と照らし合わせる 学習プリントを配布する 学習プリントの内容を説明する 生徒を集め 学習プリントについて説明しながら チェック項目を確認させる 3 分 木材 かんなを準備する 木材 工具を準備して席につく ことを指示する 課題 13 分 二人一組で 平らな面を削る 木材を削る プリントの項目をチェックしながら助言を行う 平らな面を作ろう 二人一組で 木材を削り 相互評価をすることを指示する 材料の点検をして評価させる 机間巡視をして 活動の様子を見取り助言する 平らな面をつくることができる生徒 (A 評価 ) への手立て 材料に線を引き その線にあわて削るように指導する 工具を上手に扱えない生徒 (C 評価 ) への手立て かんなの持ち方 刃先の出を点検し 指導する 発問平らな面をつくるために 気をつけなければいけないことを考えてみよう 13 分 班で評価プリントから課題を 2 つにしぼり 解決策の話し合いをする 発表をして振り返る 平らに削るためにはどうすればよいか 考える 班で話し合う内容を評価プリントから 2 つにしぼり 解決策を具体的に挙げさせる 発表をさせ うまくいっていない点について改善策を全体で確認する 平らな面にするためには どうすればよいか 解決策が2つともできた班 (A 評価 ) への手立て 3 つ目の課題の解決策を考えるように指示する 解決策が1つもできない班 (C 評価 ) への手立て 道具を用いて 具体的に気をつければよい点を考えさせる まとめ 6 分 本時を振り返り 要点を確認する 片付けを行う 次時の内容を把握する 本時の学習を要約し 大切なポイントを確認させる 清掃をするように指示する 次時の内容を確認する 4

5 2 年 組 番名前 1. 復習 かんなの刃を出すときにたたく場所に1 で書こう 刃を戻す時にたたく場所は2 で書こう 2. 復習 刃先の出は 下の図のように 0.05~0.2 mmでるように調整する 台じり 3. こばけずりの仕方削る方向 材料をこばけずり台の上に置き かんなを工作台上ですべらせてけこばずる 木目は ならい目になるようにけずる けずり台木材止め木 材料の検査方法 けずった材料の面に さしがねをあてる すき間をみる 1 2 材料 4. こばけずりを行って ペアの相手に評価してもらおう 評価した人 ( ) チェック項目 ( 評価 : 大変よい A よい B もうすこしがんばろう C もっとがんばろう D) 工 程 チェック項目 ( 評価内容 ) 評価 1 回目 2 回目 材料の押さえ方 1 材料が横にずれないように押さえられているか 削っている時 2 材料の端より先に 刃先が出ているか 3かんなを動かすスピードを速くすることができたか 4 材料の端になったら 真っすぐにかんなを引いているか 材料の検査方法 5 削った後の材料に さしがねをあてて 隙間がないかを点検する 材料を平らな場所において すき間を見る 検査結果 6すき間がない A すき間がほとんどない B すき間が少しある C すき間がかなりある D 助言されたこと ( 評価する人が書くこと ) 材料 平らな面を作るためにはどうしたらいいだろうか ( 班で1~4から2つ上手くいかないことを話し合う ) 改善点 ( ) 解決策 改善点 ( ) 解決策 今回の反省と次回へ向けての意気込み 5

6 自己評価 1 目標を持って こばけずりを意欲的に行うことができたか ( A B C ) 2こばけずりにおいて 平らな面を作ることができた ( A B C ) 8 実践を振り返って (1) 授業の実際前時までに学習した 1かんなの持ち方 置き方 2かんなの刃の出し方 戻し方 3 刃先の出の見方 長さを確認してから 課題を提示した 作業の目的を 平らな面を作ること として師範を行った 削り終わった後に 材料が平らな状態になったことを調べる検査方法を説明した また ペアを作り相互評価をしながら お互いに評価し合い助言し合うことで工程のポイントを確認しながら 作業を進めるよう指示した 作業を始めると それぞれがペアの相手の作業をみてワークシートに評価を記入していた 机間支援をしてまわると 刃先の出を調整することがうまくできない生徒が複数いた ワークシートに示したチェック項目がしっかり理解できていても うまく削ることができない生徒が多くいることが分かった そこで 生徒を集めて 刃先の出について再確認する機会をもち 刃先が出すぎている状態を確認することができた その結果 授業の終末で行ったワークシートへの反省記述には 刃先の出をきちんと合わせていないとうまく削ることができない という項目を自分で付け加えて振り返りを行っている生徒が複数見られた (2) 研究のテーマに迫るための有効な手立てについて 生徒の自己評価 ( 各評価の左側が本授業終了後 右側が単元終了後の振り返り人数 ) A B C アこばけずりにおいて 平らな面に仕上げることができた イ主体的に活動に参加し 目標意識をもって作業を行った 相互評価 についてペアでの 相互評価 を行うことで 主体的に学習に参加し 適切な評価や助言をしようとする姿勢がみられた これは 授業のアンケートの結果からも上記 イ の評価項目について肯定的に評価をしている生徒が多くいた この結果から 相互評価 を行うことは 研究テーマに迫るために有効な手立てであると考える 本時だけでなく その後の授業においても教え合いを行い お互いに補助をしながら作業する姿がみられた 2 教師の師範について 6

7 目標を明確にし 学習ポイントを分かりやすく提示することは 目的意識をもって意欲的に活動に取り組んでいくことにつながった 3 マスター( 技能優秀生徒 ) の認定について加工精度が高い生徒を マスター ( 技能優秀生徒 ) と認め 評価することで 技能向上を目指して積極的に練習する生徒が多く現れ 学習の動機付けとして大きくはたらいた また マスター として認定した生徒からリトルティーチャー役を務めてもらい 教え合いを行うことで 基本的な技術の習得を達成できた生徒が全体の8 割に達した 4 課題の設定について生活をより豊かにするために 家庭で使える製品のデザインを考えるという課題を設定することで 実際に利用しやすいように工夫したり 加工も丁寧にしようとしたりする姿勢がみられた また 加工の技術が向上すると自分の思い通りの形に仕上げることができ 生き生きとした活動が継続した 自分の作品が形になり 仕上げのやすりがけや塗装の場面では 真剣な表情で加工していた このことからこの単元における課題設定は 生き生きとした活動の動機付けとして大変効果的であったと考える 工夫した作品例 お盆 工夫のポイント 取っ手の部分に丸みをつけた 加工精度が高く 仕上げを丁寧にした 本棚 本のタイトルを見やすくなるように 使いやすさ を考えななめに本が収納できるデザインにした (3) 今後の課題 1 作業時間と試行錯誤をする時間の確保身に付けさせたい基本的な知識 技術を習得するために 習得 活用の場面をもっと明確にして 作業する時間をしっかりと確保していかなければならない さまざまな方法を試行錯誤しながら 自分なりの作業のこつをつかめるようにすることが必要であると考える 今回の授業では 作業時間を多く設定することができなかったことが大きな反省点の一つである 2 学習環境の整理 7

8 切削作業には材料の固定が大切である しかし 本実践では固定するための道具が教材 教具としてそろっていなかったため うまく作業がはかどらない場面がみられた 今後教材整備指針を参考に 学習環境を整理していく必要がある 8