遺伝性早老症コケイン症候群 1. 概要コケイン症候群 Cockayne syndrome ; CS : 紫外線性 DNA 損傷の修復システム 特にヌクレオチド除去修復における転写共益修復 ( 転写領域の DNA 損傷の優先的な修復 ) ができないことにより発症する常染色体劣性遺伝性の早老症である 1

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1 自己炎症性皮膚疾患 ( 中條 - 西村症候群ほか ) 1. 概要自己炎症性疾患は 周期熱など慢性再発性の炎症を示すが 原因となる微生物や抗原が存在せず 獲得免疫 ( リンパ球 ) よりも自然免疫 ( 好中球 マクロファージ ) の異常亢進をその本態とする疾患群である 中でも クリオピリン関連周期滅症候群 (CAPS) TNF 受容体関連周期熱症候群 (TRAPS) 化膿性関節炎 壊疽性膿皮症 座瘡特 (PAPA) 症候群 ブラウ症候群 中條 西村症候群など特徴的な皮疹を伴うものを自己炎症性皮膚疾患とし さらに 臨床的に類似するが疾患概念が明確でないウェーバークリスチャン病を取り上げる 2. 疫学本邦での患者数は CAPS 100 人 TRAPS 30 人 PAPA 症候群数人 ブラウ症候群 50 人 中條 西村症候群 20 人 ウェーバークリスチャン病 100 人ほどと推定される CAPS は NLRP3 TRAPS は TNFRSF1 PAPA 症候群は PSTPIP1 ブラウ症候群は NOD2 遺伝子の機能獲得型ヘテロ変異 中條 西村症候群は PSMB8 遺伝子の機能喪失型ホモ変異による遺伝性疾患である ウェーバークリスチャン病は原因不明の非遺伝性疾患である 各遺伝子変異により CAPS と PAPA 症候群では NLRP3 インフラマソーム ブラウ症候群ではノドソームの異常活性化 TRAPS では異常 TNFR1 分子 中條 西村症候群ではユビキチン化蛋白質の蓄積によるストレス応答として 異常な炎症が惹起されると考えられる 4. 症状 CAPS では寒冷で誘発される蕁麻疹様紅斑 TRAPS では筋痛を伴う移動性紅斑 PAPA 症候群では壊疽性膿皮症と座瘡 ブラウ症候群では苔癬様肉芽腫性丘疹 中條 西村症候群では凍瘡様紫紅色斑と結節性紅斑様皮疹 脂肪萎縮 ウェーバークリスチャン病では陥凹を残す有痛性紅斑が特徴的である また多くの疾患で発熱と関節炎を認める そのほか CAPS では難聴や無菌性髄膜炎 TRAPS では結膜炎や筋膜炎 胸痛 腹痛 ブラウ症候群ではブドウ膜炎 中條 西村症候群では大脳基底核石灰化などを認める 5. 合併症 CAPS と TRAPS ではアミロイドーシスの合併が致死的となる また多くの疾患で関節拘縮を来す そのほか CAPS と中條 西村症候群では精神発達遅滞 ブラウ症候群では失明に至ることがある 中條 西村症候群とウェーバークリスチャン病では脂肪萎縮によるやせ 皮膚の陥凹を残す 6. 治療法 CAPS では抗 IL-1β 治療が著効し 本邦ではカナキヌマブが保険適応となっている その他の疾患では副腎皮質ステロイドを中心に様々な抗炎症薬 免疫抑制剤 生物学的製剤が用いられるが 標準的な治療はない ステロイド長期内服による成長障害 緑内障 中心性肥満 骨粗鬆症などの副作用が問題となる

2 遺伝性早老症コケイン症候群 1. 概要コケイン症候群 Cockayne syndrome ; CS : 紫外線性 DNA 損傷の修復システム 特にヌクレオチド除去修復における転写共益修復 ( 転写領域の DNA 損傷の優先的な修復 ) ができないことにより発症する常染色体劣性遺伝性の早老症である 1936 年にイギリスの小児科医 Cockayne により 視神経の萎縮と難聴を伴い発育が著明に低下した症例 として最初に報告された 特異な老人様顔貌 皮下脂肪の萎縮 低身長 著明な栄養障害 難聴なども伴う 2. 疫学 50 名 CS の責任遺伝子はヌクレオチド除去修復系に関わる CSA(5q12.1) CSB(10q11.23) 色素性乾皮症 (xeroderma pigmentosum ; XP)B D G 群の原因である XPB(2q14.3) XPD(19q13.32) XPG(13q33.1) の 5 つである これらの遺伝子異常により何故 CS に老人様顔貌 発育不全などの多彩な臨床症状が起きるのかは未だに不明である 4. 症状光線過敏症 特有の早老様顔貌 ( 小頭 目のくぼみ 皮下脂肪萎縮 ) 著明な発育 発達遅延網膜色素変性 感音性難聴など多彩な症状を呈する 臨床診断には診断基準 ( 主徴候 副徴候あり ) (Nance & Berry, 1992) がきわめて有用である 各種症状は乳児期に出現し年齢とともに進行する CT では脳幹 ( 特に基底核 ) の石灰化 MRI では脱髄性変化がみられる 臨床的に古典型 ( タイプ 1) 重症型 ( タイプ 2) 遅発型 ( 軽症型 )( タイプ 3) の 3 型に分類される 5. 合併症著明な発育不全 栄養障害がみられ 思春期までに完全に失明し聴力を失う 関節の拘縮 筋緊張は徐々に進行する 10 歳を超えれば歩行困難で車椅子生活となり 思春期には経口摂取が困難となり経鼻栄養が必要になる う歯も好発する 転倒による外傷には細心の注意を払う必要がある 20 歳前後から予後に直結する腎障害 肝機能障害 呼吸器系 尿路系感染症がみられる 6. 治療法 CS は単一遺伝子疾患であるため根治的治療法はない CS は紫外線からの遮光 補聴器や眼鏡の使用に加え 栄養障害 感染 腎障害などに対する対症療法が行われている 関節の拘縮 筋緊張に対してはリハビリが有用である

3 遺伝性早老症ウェルナー症候群 1. 概要ウェルナー症候群 Werner syndrome ; WS : RecQ DNA ヘリカーゼの変異で発症する常染色体劣性遺伝性の早老症である 1904 年 ドイツの内科医 Werner により初めて記載された疾患で 思春期以降に皮膚 眼 内臓に老化症状が加速する 患者数は本邦症例が 8 割を占める 2. 疫学 1000 名 WS の責任遺伝子は DNA の複製や組み換えに関与するヘリカーゼをコードする RecQ protein-like 2 (RECQL2 : WNR) (8q12) であるが WS でみられる様々な早老症状 ( 特徴的な顔貌 皮下脂肪萎縮 若年発症の白内障 糖尿病 動脈硬化 高リスク悪性腫瘍との関連はまだ解明されていない 4. 症状低身長で 思春期以降に老化徴候が出現し 加齢により加速する 鳥様早老顔貌 四肢皮下脂肪の萎縮 若年性白内障 白髪 甲高い声 糖尿病 高脂血症 手足の角化 潰瘍形成などが出現する 皮膚 軟部組織 造血組織系の悪性腫瘍 ( 特に非上皮系 ) も合併しやすい 5. 合併症全身の老化の加速により 若年齢にもかかわらず動脈硬化 耐糖能異常 白内障 骨粗鬆症などが進行し 高頻度に悪性黒色腫 骨肉腫 軟部肉腫 甲状腺癌などの悪性腫瘍を合併する 皮膚潰瘍はしばしば難治である 6. 治療法 WS は単一遺伝子疾患であるため根治的治療法はない 出現してくる合併症への対応 ( 内科疾患への薬物療法 白内障や腫瘍に対する外科的治療 難治性皮膚潰瘍に対する外用療法など ) が行われる

4 掌蹠角化症 1. 概要掌蹠角化症は 手掌と足蹠の過角化を主症状とする疾患群である もっとも代表的なものは Thost-Unna 型掌蹠角化症 Vorner 型掌蹠角化症であるが それ以外にも線状または円形掌蹠角化症 点状掌蹠角化症 Sybert 型掌蹠角化症 Greither 型掌蹠角化症 優性 Meleda 型掌蹠角化症 Meleda 病 Gamboug-Nielsen 型掌蹠角化症 長島型掌蹠角化症 指端断節型掌蹠角化症 食道癌を合併する掌蹠角化症 口囲角化を合併する掌蹠角化症 指趾硬化型掌蹠角化症 先天性厚硬爪甲症 Papillon-Lefevre 症候群 Naxos 病などがある 2. 疫学約 1000 人 Thost-Unna 型掌蹠角化症の一部は KRT1 あるいは KRT16 遺伝子の変異で生じる しかし このタイプの掌蹠角化症は遺伝的に不均質であり 上記遺伝子以外の遺伝子も原因になっている可能性がある Vorner 型掌蹠角化症であるが KRT9 遺伝子の変異で昇嗣 s る Meleda 病は SLURP1 gene 遺伝子の変異で生じる 指端断節型掌蹠角化症は LOR あるいは GJB2 遺伝子の変異で生じる 先天性厚硬爪甲症 KRT6A, KRA6B, KRT16 あるいは KRT17 遺伝子の変異で生じる Papillon-Lefevre 症候群は cathepsin C(CTSC) 遺伝子の変異で生じることが分かっている まだ原因遺伝子の判明していない掌蹠角化症も多い 4. 症状掌蹠の過角化 潮紅が見られる 過角化 潮紅の程度は掌蹠角化症の病型により変化が見られる 掌蹠には局所多汗をともない 白癬を合併することが多い 掌蹠の局所多汗による悪臭 爪甲の変化を認めるものもある Meleda 病や指端断節型掌蹠角化症では指端断節を認める 5. 合併症大部分の掌蹠角化症では合併症はない 食道癌を合併する掌蹠角化症では食道癌 Papillon-Lefevre 症候群では歯周症 歯牙脱落 口腔内悪臭を合併する Naxos 病では心肥大 心電図異常 頭髪の異常がみられる 6. 治療法局所療法が主体である ステロイド軟膏 ビタミン D3 軟膏 角質溶解剤などを用いる 重症例はチガソン内服を行う

5 ヘイリー ヘイリー病 (Hailey-Hailey 病 家族性良性慢性天疱瘡 ) 1. 概要常染色体優性遺伝を示す先天性皮膚疾患で 生下時には皮膚病変はなく青壮年期に発症することが多い 腋窩 陰股部 頸部 肛囲などの間擦部に小水疱やびらん 痂皮を形成するが より広範囲に皮膚病変を形成することもある 通常 予後良好な疾患であるが 夏季に悪化し 紫外線曝露や機械的刺激 二次感染が増悪因子になることがある 病理組織学的には 表皮基底層直上から上層の棘融解が特徴的である 責任遺伝子は ATP2C1 である 2. 疫学約 300 の本邦報告例 ( 正確な患者数の統計はない ) ATP2C1 遺伝子はゴルジ体膜上の secretory pathway calcium -ATPase 1(SPCA1) というカルシウムポンプをコードする SPCA1 は Ca や Mg をゴルジ体へ輸送する機能を持ち 細胞質およびゴルジ体のホメオスタシス維持に関与している ダリエ病と同様に常染色体優性遺伝する機序として カルシウムポンプ蛋白の遺伝子異常によって haploinsufficiency が起こり 正常アレル由来遺伝子産物の発現が更に低下し生じるとされるが 細胞内カルシウムの上昇と皮膚病変の関係は明らかではなく 表皮細胞内に水疱を形成する機序も明らかにされていない 4. 症状生下時には皮膚病変はなく 青壮年期になると腋窩 鼠径 頸部 肛門周囲などの間擦部を中心に 小水疱やびらんを生じ 症状は慢性に経過する 温熱 紫外線 機械的刺激 感染などが増悪因子となる ときに より広範囲に皮膚病変が拡がることがあり 胸部 腹部 背部などに拡大する また 夏季に増悪し 冬季に軽快する傾向がある 発汗時に増悪する しばしば 皮膚病変部に ヘルペスウィルスや細菌感染を合併する 広範囲 重篤になったときは著明な疼痛を示し QOL が低下する 5. 合併症皮膚症状に細菌 真菌 ウイルスなどの感染症を併発することがある 皮膚病変の癌化は認められない しかしながら 皮膚病変が広範囲 重篤になったときは著明な疼痛を示し QOL が低下する 高度の湿潤状態の皮膚病変では ときに 悪臭を呈することがある 全身の細胞の細胞内カルシウムの上昇が存在する可能性があるが 他臓器病変は一般的に認められない 6. 治療法局所のステロイド軟膏や活性型ビタミン D3 軟膏外用やレチノイド 免疫抑制剤などの全身療法が文献的に使用されているが 効果に一定の知見はない 対症療法が主体であり 根治療法は見出されていない 二次的な感染症を生じたときには 抗真菌薬 抗菌薬 抗ウィルス薬を使用する 最近 異常な変異部を取り除くように mutation read through を起こさせる治療として suppressor trna による遺伝子治療やゲンタマイシンなどの薬剤投与が試みられている

6 ダリエ病 (Darier 病 ) 1. 概要常染色体優性遺伝性疾患であり 家族発生が多いが 孤発例も約 40% にみられ浸透率は 95% 以上と高い 小児期から 10 歳代で発症することが多く 顔面 胸部 背部など脂漏部位を中心に角化性の小丘疹を生じ 鱗屑 痂皮を伴うようになる 小丘疹は時に融合し増殖性疣状局面を形成する 皮膚外症状として 精神発達遅滞やてんかん 躁うつ病などの精神症状を伴うことがある 組織学的には円形体 顆粒体などの異常角化と基底層直上の表皮細胞間裂隙が特徴である 責任遺伝子は ATP2A2 である 2. 疫学発症頻度 (3.6~10 万人に 1 人 ) より 1300~3600 人程度と推計 ATP2A2 遺伝子は P type calcium ATPase に分類されるカルシウムポンプの sarco-endoplasmic reticulum ATPasetype 2(SERCA2) をコードする SERCA2 は細胞内の小胞体からゴルジ体に分布し 細胞質内カルシウム濃度を調節している 常染色体優性遺伝する機序として haploinsufficiency が起こり 正常アレル由来遺伝子産物の発現が更に低下し 細胞内カルシウム濃度に逸脱が生じ発症するとされる カルシウム濃度の逸脱からどのような機序により表皮細胞間解離と角化異常が惹起されるかはいまだ不明である 4. 症状粟粒大の褐色角化性丘疹が頭部や胸背部中央など脂漏部位にみられ 必ずしも毛孔一致性でなく 集簇し角化性痂皮を伴う局面を形成し 時に増殖性局面を呈する そう痒 悪臭を伴うことが多い 鼠径部など間擦部では丘疹が融合して乳頭状となり 浸軟と二次感染を合併して強い悪臭を伴う 手足では手掌 足底の点状陥凹 角化性局面 角質増殖がみられる 手背 足背では疣贅状肢端角化症を伴うことがある 爪は脆弱 粗造化などを示すが 毛髪異常はない 粘膜にも白色の小丘疹や小結節が口腔内や肛門 外陰粘膜に出現する 5. 合併症皮膚外症状として精神発達障害やてんかん 躁うつ病などの精神症状を伴う事がある 細菌や真菌の二次感染により 皮疹が増悪し そう痒や悪臭の増強が起こり 特に悪臭と皮疹の見た目の心理的影響が大きな問題となることがある ウイルス性感染症の合併ではヘルペスウイルスによる カポジ水痘様発疹症が多い 6. 治療法内服療法ではエトレチナートが頻用され 有用性が高いが副作用も多い シクロスポリンも有効との報告があるが SERCA2 の発現低下の可能性もあり 効果発現機序は不定である ステロイド内服も水疱形成を示す特殊なタイプに有効とされる 外用療法では ステロイドや Vitamin D3 軟膏などが用いられ レチノイドやアダパレン ( ナフトエ酸誘導体 ) なども試みられている 難治性の増殖局面にはレーザーによる外科的剝離術や 二次感染に抗生剤 抗真菌剤が投与される

7 表皮下自己免疫性水疱症 ( 疱疹状皮膚炎 後天性表皮水疱症など ) 1. 概要表皮下自己免疫性水疱症は 表皮真皮間接合を担う各種タンパクに対する後天的な自己免疫反応により皮膚の細胞接着が傷害されて水疱を形成する皮膚疾患の一群であり 全身に水疱が生じ 組織学的に表皮下水疱を示す皮膚疾患である 代表的疾患は水疱性類天疱瘡で もっとも患者数が多い しかし 水疱性類天疱瘡以外にも 多数の亜型 ( ジューリング疱疹状皮膚炎 後天性表皮水疱症 線状 IgA 水疱性皮膚症 抗ラミニンガンマ 1 類天疱瘡など ) があり それぞれ基底膜領域の異なった抗原に反応する自己抗体が存在することが明らかとなっている 疾患ごとに臨床的特徴が異なり 治療法も異なる これまでに欧米の疱疹状皮膚炎患者で特定の HLA アレルとの相関が指摘されているが 日本人患者では検討されていない 他の疾患でも遺伝学的な背景は明らかにされていない 適切なガイドライン作成のために 疫学調査と QOL 調査が必要である 2. 疫学 5,000 人 ( 正確な統計はないが過去の報告からの推測 ) 表皮下自己免疫性水疱症の疾患群は 血中の抗表皮基底膜部自己抗体が 表皮基底膜部にある抗原蛋白に結合することにより 表皮と真皮間の細胞接着を傷害し 水疱が生じる疾患である 疱疹状皮膚炎の抗原は表皮トランスグルタミナーゼであり 後天性表皮水疱症の抗原は VII 型コラーゲン 線状 IgA 水疱性皮膚症の抗原は lamina lucida 型では 97kDa タンパクと 120kDa の LAD-1 であることがわかっているが Sublamina densa 型ではいまだ明らかでない 抗ラミニンガンマ 1 類天疱瘡については 本申請者のグループが 2009 年に ラミニンガンマ 1 に反応する表皮下自己免疫性水疱症が存在することを明らかにし 抗ラミニンガンマ 1 類天疱瘡と名づけた 後天性表皮水疱症において 疾患モデルマウスが作製され 疾患類似の自己免疫反応と水疱形成が再現されることが示され その自己抗体が病原性を有していることが明らかとなっている 4. 症状ジューリング疱疹状皮膚炎では 環状配列する小水疱が 肘 膝 殿部に好発する 後天性表皮水疱症では 主として外力の当たる部位に難治性の水疱が生じ 治癒後に瘢痕と稗粒腫の形成をみる 爪の変形も生じる 線状 IgA 水疱性皮膚症では環状に配列する小水疱や緊満性の中型水疱が見られる 抗ラミニンガンマ 1 類天疱瘡では 尋常性乾癬に合併する症例が約 30% あり 小水疱型類天疱瘡の臨床症状を呈することが多い 5. 合併症全身に水疱やびらん面が多発して 分泌液と血清蛋白の持続的漏出を伴い低蛋白血症に陥り 広汎な熱傷のような臨床像を呈し厳重な全身管理を要することがある さらに 免疫抑制療法もあいまって 全身のびらんに細菌感染を起こして 敗血症から DIC をおこし 死に至ることも少なくない 口腔粘膜や食道病変を伴ったときは 疼痛のため食事の摂取困難をきたし 時に流動食 高カロリー輸液などの栄養補給が必要である ステロイド剤の副作用として胃潰瘍 糖尿病 高血圧 骨粗鬆症 高コレステロール血症 高血圧などがある 免疫抑制剤の副作用としての合併症に 骨髄抑制 感染症 肝障害などがある また ミノマイシン アクロマイシン ロキシスロマイシン DDS などの副作用としての合併症に 肝障害 腎障害 貧血 色素沈着などがある 6. 治療法疱疹状皮膚炎の治療は DDS が第一選択であり ときにステロイドが投与される 欧米ではグルテン除去食が第一選択となっているが 本邦の疱疹状皮膚炎患者には無効なことが多い 後天性表皮水疱症はステロイド単独もしくはステロイドと DDS の併用で治療される 線状 IgA 水疱性皮膚症では ロキシスロマイシン内服療法またはテトラサイクリン ( あるいはミノサイクリン ) とニコチン酸アミドの併用内服療法や DDS ステロイド投与が用いられる 抗ラミニンガンマ 1 類天疱瘡では ステロイド投与が第一選択である いずれの疾患も難治の場合 ステロイドパルス療法 血漿交換療法 アザチオプリン シクロスポリン シクロフォスファミド ミゾリビンなどの免疫抑制剤が用いられる また 大量ガンマグロブリン静注療法 (IVIG 療法 ) にも一定の効果がある

8 化膿性汗腺炎 1. 概要本疾患はアポクリン汗腺の発達する思春期以降から 40 歳までに アポクリン汗腺の多い腋窩 鼠径部 肛門周囲 臀部に発症する 慢性化すると 数か月から数年にわたり皮疹の新生を繰り返し 瘻孔を形成するに至る 瘻孔からの排膿が持続することも多く 患者の QOL を著しく障害する 2. 疫学本邦では不明 ( 米国の報告で発症頻度は 0.053% 53 人 /10 万人 ) 従来 アポクリン汗腺病変が病変の主体であると考えられていた 現在は閉塞による毛包炎が病態の本態であり 後に毛包脂腺やアポクリン汗腺へ炎症が波及する また性ホルモンや好中球機能異常などの関与も報告されている 欧米では 30~40% の患者で家族歴がある 日本人においても家族内発生例があるが頻度は不明である 海外 ( 中国とドイツなど ) で γ-secretase 遺伝子変異が報告されており 日本でも同じ遺伝子異常の報告がある 4. 症状脇窩 鼠径 臀部 陰部などに有痛性の結節が出現 その後増大 軟化し排膿する 排膿後に瘻孔を形成する 慢性化すると周囲に拡大し瘻孔を形成していく 皮下では瘻孔が複雑に交通し 膿を常に排出するため悪臭がみられる 5. 合併症肛門周囲部に発生すると外痔瘻を合併することがある 慢性炎症の結果 貧血 低タンパク血症 アミロイドーシス 有棘細胞癌などが合併することもある 6. 治療法炎症が強い時期では抗炎症作用を持つ抗生剤を投与する テトラサイクリン系やマクロライド系がよく用いられる 難治性の瘻孔を形成する場合は切除も考慮する 近年 炎症症状の制御という観点からステロイド 免疫抑制剤 TNFα 阻害薬などが用いられることもある

9 皮膚家族性腫瘍症候群 (1 母斑性基底細胞癌症候群 2Cowden 病など ) 1. 概要 1 母斑性基底細胞癌症候群は常染色体優性遺伝で Hedgehog シグナル伝達分子である PTCH 遺伝子に変異を認める遺伝性疾患である 皮膚の多発性基底細胞母斑 顎骨嚢胞 骨格異常 異所性石灰化 手掌足底の点状陥凹を認める 2Cowden 病は原因遺伝子として癌抑制遺伝子である PTEN 遺伝子に変異を認める遺伝性疾患である 皮膚病変としては 多発外毛根鞘腫 四肢の角化症 口腔粘膜乳頭腫があり 全消化管の過誤腫性ポリポーシスをきたす 2. 疫学 1300 人を超える 2 不詳 1 母斑性基底細胞癌症候群では PTCH 遺伝子に変異を認める 2Cowden 病では PTEN 遺伝子変異を認める 4. 症状 1 母斑性基底細胞癌症候群の患者には 皮膚の多発性基底細胞母斑 顎骨嚢胞 骨格異常 異所性石灰化 手掌足底の点状陥凹を認める 2Cowden 病の皮膚病変としては 多発外毛根鞘腫 四肢の角化症 口腔粘膜乳頭腫があり 全消化管の過誤腫性ポリポーシスをきたす 5. 合併症 1 母斑性基底細胞癌症候群では顎骨嚢胞 骨格異常 異所性石灰化を認める 2Cowden 病では乳癌や甲状腺癌を始めとする悪性腫瘍 巨頭症 消化管の過誤腫 精神遅滞などをともなうことがある 6. 治療法 1 外科的切除 液体窒素凍結療法 レーザー治療 インターフェロン α の腫瘍内局注 2Cowden 病では悪性腫瘍の cancer surveillance が行われるが 原因治療はない

10 血管系母斑 母斑症 特にスタージ ウェーバー症候群 1. 概要スタージ - ウェーバー症候群は母斑症の一つであり 三叉神経の眼神経枝が分布する部位の皮膚にみられるポートワイン母斑 脳軟膜 脈絡膜の静脈性毛細血管の異常 緑内障 てんかん発作 脳卒中 知的障害を特徴とする 2. 疫学 3 人 2013 年の報告で スタージ - ウェーバー症候群の病因として GNAQ 遺伝子における一塩基変異が同定された 4. 症状出生時から 主に顔面 頭部 三叉神経の眼神経枝が分布する部位の皮膚に赤ぶどう酒色の紅斑 ( ポートワイン母斑 ) がある ポートワイン母斑は皮膚のすぐ下の毛細血管の血管腫から生じ 脳軟膜 脈絡膜の静脈性毛細血管の異常や腫瘍を伴うと 体の片側にけいれんや筋力低下を起こす また 眼圧により視神経が侵されて 緑内障が起こり 眼球が拡大し 突出することがある 5. 合併症ポートワイン母斑 脳軟膜 脈絡膜の血管異常 けいれん 緑内障 6. 治療法対処療法であり 根治治療はない

11 遺伝性毛髪疾患 1. 概要遺伝性毛髪疾患は先天的に毛髪に何らかの異常を来す疾患群であり 500 種類以上の異なる疾患が知られているが 日本人では常染色体劣性縮毛症 / 乏毛症の患者数が最も多い また 連珠毛の患者も比較的高頻度に存在する 2. 疫学 10,000~15,000 人 常染色体劣性縮毛症 / 乏毛症は LIPH または LPAR6 遺伝子の変異によって発症する 連珠毛は 常染色体優性または常染色体劣性遺伝形式を示すが 前者は毛ケラチン遺伝子 (KRT81, KRT83, KRT86) の 後者は DSG4 遺伝子の変異で発症することが知られている しかしながら 日本人におけるこれらの毛髪疾患の臨床症状や遺伝子型についての情報はまだ乏しい 4. 症状常染色体劣性縮毛症 / 乏毛症の患者は 出生時より頭髪が細く縮れており 成長が数センチで止まってしまう また 加齢とともに脱毛が進行して乏毛症が顕著になることが多い 連珠毛の臨床症状の特徴は毛髪が脆弱で切れ易いことであり 顕微鏡で観察すると毛髪が周期的に細くなり数珠状を呈する 5. 合併症常染色体劣性縮毛症 / 乏毛症と DSG4 遺伝子変異による連珠毛の患者では 乾燥肌が認められることがある また 毛ケラチン遺伝子変異による連珠毛の患者では爪の変形を伴うことがある 6. 治療法有効な治療法は存在しない

12 鼻瘤 ( 腫瘤型酒さ ) 1. 酒皶の概要酒皶は 赤ら顔を基礎とする疾患群で 紅斑毛細血管拡張型 丘疹膿疱型 腫瘤 鼻瘤型の 3 型に分類される 日本では皮膚科医を除いて 一般人と一般医療関係者での認知度の低い疾患である 日本人には少ないと考えられているが 不快な火照り感を感じる人々は多く 認知度が低いために日本人ではその頻度が実情よりも低く考えられている その病態は不明であるが 最近の研究で外界刺激を関知する自然免疫系の異常 過敏性が指摘されるようになってきた これらの自然免疫系の過敏性や酒皶は白人や人種差に影響される側面も見いだされ 何らかの人種差や遺伝学的背景をもって発症していることが想定されている しかしながら 遺伝学的検討は今日まで為されていない 2. 酒皶の疫学日本での統計は不明 推定 0.01 ー 0.001%(1 ー 10 万人に一人 ) 3. 酒皶の原因 病態これまでの研究で 自然免疫機構 細菌叢などの微生物環境 神経学的検討などが酒皶病態研究として行われてきた しかしながら 一義的な原因解明には到達していない 遺伝学的検討は なぜ特定の人種に多いのかという疑問やなぜ共通の環境に生活する特定の個人に発症するのかという疑問に一定の答えを与えるものと考えられる 特に重症型の酒皶である鼻瘤 腫瘤型においては男性患者の比率が多く それ以外の紅斑型や丘疹型の酒皶では女性患者が多いことと対比を為す 性差からも重症型酒皶の鼻瘤では特に遺伝学的背景が疾患形成に影響を与えることが考えられる 4. 酒皶の症状症状 病型により 3 型に分けられる 紅斑毛細血管拡張型 : 顔面の紅斑 ( 赤くなること ) を主症状とし 毛細血管拡張を鼻周囲や頬部に認める 日光照射 寒暖差や洗顔などの外的刺激で一過性の潮紅や火照り感が数十分持続する 丘疹膿疱型 : 痤瘡 ( ニキビ ) に似た紅色の丘疹 ( ブツブツ ) や膿疱が顔面の頬部や頤部を中心に多発する 背景に紅斑毛細血管拡張型酒皶の症状を有することが多く ステロイド外用剤で悪化する 鼻瘤 腫瘤型 ; 顔面の鼻部や頬部に肉芽腫から腫瘤を形成する 鼻部では脂腺の開大が顕著となり 重症例では鼻閉を来す 男性に多い 5. 酒皶の合併症 眼合併症 ; 眼球結膜の充血炎症と 眼瞼での肉芽腫性変化を来すことがある 更年期障害 ; 閉経前後に酒皶が発症したり 増悪することがある 高血圧 ; 高血圧により酒皶症状の内 紅斑が増強することがある 6. 酒皶の治療法 紅斑毛細血管拡張型 : 確立された治療法はない 増悪を防ぐための増悪因子の回避とスキンケアを行う 色素レーザーや IPL ( インテンストパルスライト ) 治療が有効との報告がある 丘疹膿疱型 : 日本の保険診療範囲内では有効な治療方法はない 低用量のドキシサイクリン内服と調剤製剤によるメトロニダゾール軟膏や医薬部外品 ( アゼライン酸含有化粧品 ) が有効である 鼻瘤型 腫瘤型 ; 日本の保険診療範囲内の内服剤や外用剤では有効な治療方法はない 大きな腫瘤に対しては 外科的に切除を行う

161 家族性良性慢性天疱瘡

161 家族性良性慢性天疱瘡 161 家族性良性慢性天疱瘡 概要 1. 概要家族性良性慢性天疱瘡 ( ヘイリー ヘイリー病 ) は 常染色体優性遺伝を示す先天性皮膚疾患で 生下時には皮膚病変はなく青壮年期に発症することが多い 腋窩 陰股部 頸部 肛囲などの間擦部に小水疱やびらん 痂皮を形成するが より広範囲に皮膚病変を形成することもある 通常 予後良好な疾患であるが 夏季に悪化し 紫外線曝露や機械的刺激 二次感染が増悪因子になることがある

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