腐食センターニュースNo.052( )

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1 潤滑油と腐食 ( その2) さび止め油について 出光興産 ( 株 ) 営業研究所 長瀬直樹 1. はじめに鉄は, 今日の機械文明を支える重要な金属材料であり, 今後とも工業材料の中心的存在であり続けると思われる. 鉄はさびるという欠点をもっているため, さびを防ぐ技術を必要とする. さびを防ぐ技術として, さび生成の要因である水や酸素などの腐食要因物質を金属表面から遮断する方法が取られる. このような防錆手段の中に, 塗装 めっき さび止め油による方法がある. このうち, 塗装やめっきは, 鉄の表面に塗料あるいは他の金属を厚く被覆して防錆効果を発揮するもので, 数 10μm~1mm 未満の膜厚を有し, 数年にわたる長期から半永久的な防錆を目的としている. 一方, さび止め油は, 鉱油と油膜調整剤で形成された薄い油膜, 及び油膜中の防錆添加剤が鉄の表面に吸着して防錆効果を発揮するものであり, 塗装やめっきの 1/10~1/1000 の膜厚で, 金属製品の加工過程や加工部品の保管 輸送過程のような限られた期間の一時的防錆を目的とするものである. さび止め油に要求される防錆期間としては,1 週間程度から数年迄と広範囲に渡っており, 目的とする役割 ( 防錆期間 ) が過ぎた後には, 容易に除去できることも求められる. そのため, さび止め油の多くは 1μm 以下の薄膜で屋内 6 ケ月程度の防錆性をもち, しかも塗装やめっきとは異なり容易に脱脂できる特性を有している 1). これらのことから, 塗膜厚さ当たりの防錆性で見る限りさび止め油の油膜は, 塗料や樹脂膜にはとうてい期待できない安価で良質な防錆塗膜であると言える. ちなみに, さび止め油以外の様々な潤滑油 ( エンジン油, ギヤー油, 油圧作動油等 ) にも防錆作用を付加する防錆添加剤が添加されている. しかし, 使用中に潤滑系統に混入する水分によるさびを防ぐものであり, 薄膜で防錆性を発揮するものではないことがさび止め油とは異なる. さび止め油の体系としては, 第 2 次世界大戦中に軍事物質の輸送 保管時の防錆のため, 米国で精力的に研究され,MIL 規格が整備された 2). 日本では,1959 年に MIL 規格に準拠したさび止め包装方法通則 (JIS Z0303) が制定された.1980 年に, さび止め油のすべての品質規格, 及び試験法が JIS K2246 としてまとめられた. その後の日本産業界, とくに自動車 鉄鋼産業の飛躍的な発展とともにさび止め油の需要も増大した. これに伴って, さび止め油に対する要求性能も多様化し,JIS 規格にとらわれない独自のさび止め油を選定する需要家が多くなっている. そうはいっても, さび止め油の基本体系として重要であることに変わりないので, 本稿では JIS 規格を中心に解説する. 1

2 2. さび止め油の種類と特徴さび止め油は, 基本的には防錆添加剤と油膜調整剤を石油系基剤に溶解または分散させたものである. 表 1に示すように,JIS 規格 (JIS K2246: 2007) では 3), 指紋除去形さび止め油 溶剤希釈形さび止め油 潤滑油形さび止め油 ペトロラタム形さび止め油 気化性さび止め油の 5 種類に分類され, さらに膜の性質や粘度などにより 15 種類に細分されている. 表 1 さび止め油の JIS 分類 3) 記号 膜の性質 主な用途 指紋除去形さび止め油 1 種 NP-0 低粘度油膜 機械一般, 機械部品などに付着した指紋の除去及びさび止め 溶剤希釈形さび止め油 1 種 NP-1 硬質膜 屋内及び屋外でのさび止め 2 種 NP-2 軟質膜 主として屋内でのさび止め 3 種 1 号 NP-3-1 軟質膜 主として屋内でのさび止め 2 号 NP-3-2 中高粘度油膜 ( 水置換形 ) 4 種 NP-19 透明, 硬質膜 屋内及び屋外でのさび止め ペトロラタム形さび止め油 1 種 NP-6 軟質膜 転がり軸受のような高度な機械仕上げ面などのさび止め 潤滑油形さび止め油 1 種 1 号 NP-9 低粘度油膜 金属材料及び金属製品のさび止 2 号 NP-8 低粘度油膜 め 3 号 NP-7 中粘度油膜 2 種 1 号 NP-10-1 低粘度油膜 機器類内部の一時的さび止め 2 号 NP-10-2 中粘度油膜 3 号 NP-10-3 高粘度油膜 気化性さび止め油 1 種 1 号 NP-20-1 低粘度油膜 密閉空間内でのさび止め 2 号 NP-20-2 中粘度油膜 2.1 指紋除去形さび止め油指紋除去形さび止め油は, 金属部品等に付着した指紋を除去する能力を付与したもので, 製造工程間で手作業などにより指紋が付着した機械部品の防錆に用いられる. 2.2 溶剤希釈形さび止め油溶剤希釈形さび止め油は, ミネラルスピリットや灯油のような軽質溶剤に酸化ワックス ラノリン 樹脂 潤滑油基油等の油膜調整剤と防錆添加剤を配合したもので, 固体膜から油状膜を作るものまで幅広い種類がある. 金属部品に塗布し一定時間が経過すると, 軽質溶剤が揮発して添加剤の濃縮された膜を形成する. 主として, 製造工程間や出荷時の防錆に用いられる. 2

3 2.3 ペトロラタム形さび止め油ペトロラタム形さび止め油は, 溶融したペトロラタムやワックスに防錆添加剤を添加したもので, 常温で半固体状を呈するため, 加熱溶融して使用される. 溶剤希釈形のうちの固体膜を示すものとともに防錆性が非常に強いので, 転がり軸受のような高度な機械仕上げ面の防錆や長期防錆用として使用される. 2.4 潤滑油形さび止め油潤滑油形さび止め油は, 揮発性の低い潤滑油基油に防錆添加剤と油膜調整剤を添加したもので, 金属材料, 金属製品, 及び鋼板加工部品の防錆等に用いられる. 2.5 気化性さび止め油気化性さび止め油は, 常温で高い蒸気圧を示す気化性防錆剤を潤滑油基油に添加したもので, 梱包容器内の機械部品や金属容器内面等, 密閉空間内での防錆を目的とする場合に用いられる. 3. さび止め油に使用される基剤の法規制従来, 日本で市販されているさび止め油の 8 割以上にバリウムスルホネートや酸化ワックスのバリウム誘導体等の油溶性バリウム化合物が使用されてきた. これらのバリウム化合物の安全性については,1980 年に米国環境保護庁 (EPA) 4) により制定された有害廃棄物規制に端を発し様々な議論を呼んだ. 結局, 防錆添加剤に用いられるバリウム化合物については規制対象にならないと判断されたが, 欧米ではこのころからさび止め油のバリウムフリー化が進んだ. 日本では, 水溶性バリウム化合物 が 2000 年に制定された PRTR 法 5) で規制対象となっているが, さび止め油に使用される油溶性のバリウム化合物については対象外である. しかし, 欧米への輸出部品に塗布するさび止め油にはバリウムフリー化が求められ, また油溶性バリウム化合物が何らかの工程で水溶性バリウム化合物に変化した場合には規制対象物質となる. そのため, 日本でも輸出部品を中心にバリウムフリー化への取り組みが進み始めている. 4. さび止め油の成分と作用機構表 2 に示すように, さび止め油の組成は, 防錆添加剤, 油膜調整剤, 及び基剤から成り立っている 6). 防錆添加剤としては, 金属スルホネート エステル化合物 金属石鹸 脂肪酸類 アミン塩等が用いられている. 油膜調整剤は適当な膜を形成させるもので, ワックス ペトロラタム類 重質油 樹脂等がある. 基剤は, 防錆添加剤と油膜調整剤を溶解, あるいは分散するためのもので, 溶剤や石油系鉱油等が用いられている. さび止め油の作用には,1 腐食要因物質の遮断,2 水置換性,3 腐食要因物質の中和, の3つが挙げられる. 3

4 表 2 さび止め油基材と添加剤 6) 品名 品種内容 防錆添加剤 スルホネート 金属スルホネート (Ba,Ca,Na 等 ) ( 油溶性 ) エステル化合物 高級多価アルコールのオレイン酸エステル等 金属石鹸 酸化ワックスのBa,Ca,Na 塩等 脂肪酸類 高級脂肪酸金属塩等 防錆添加剤 アミン, アミン塩 DICHAN,DIPAN 等 ( 気化性 ) 低級脂肪酸 カプリル酸, カプロン酸等 防錆添加剤 スルホネート Naスルホネート ( 水溶性 ) アミン化合物 モルフォリン, アルカノールアミン等 アミン塩, アミド類 アルケニルコハク酸アミド等 高級脂肪酸 オレイン酸, ナフテン酸等 金属石鹸 脂肪酸 K 塩等 エステル化合物 多価アルコールの脂肪酸エステル等 油膜調整剤 ワックス類 パラフィンワックス等 ペトロラタム ホワイトペト等 重質油 ブライトストック等 樹脂 ポリマー類 石油樹脂, ポリマー等 基材 軽質溶剤 第二石油類の溶剤 重質溶剤 第三石油類の溶剤 軽質潤滑油 第三石油類の石油系鉱油 中質潤滑油 第四石油類の石油系鉱油 重質潤滑油 第四石油類の石油系鉱油 その他 グリコール類 エチレングリコール等 EP 付加物 アルキルフェノールエトキシエーテル等 PAG 化合物 ポリエチレングリコール等 酸化防止剤 BHT,PAN, ジフェニルアミン等 金属不活性剤 ベンゾトリアゾール等 4.1 腐食要因物質の遮断 7,8) 図 1 に示すように, さび止め油中の防錆添加剤が金属表面に緻密な吸着膜を形成している. さらに, その上層にミセル, 油膜調整剤, 及び基油の膜が存在すると言われている. 基油膜層 ( 油膜調整剤 ) ミセル 防錆添加剤吸着層金属表面 図 1 さび止め油の防錆膜概念図 7) 4

5 これらの防錆添加剤 油膜調整剤 基油からなる防錆膜が水 酸素 その他の腐食要因物質の金属表面への侵入を遮断している. まず, 防錆添加剤分子は, 分子中の極性基が金属表面に吸着する. この吸着は, 静電的相互作用に基づく物理吸着と, 吸着分子の化学的変化をともなう化学吸着であり, 配位結合, 電子移動型錯体の形成及び水素結合によるものである. くわえて, 配列した防錆添加剤分子同士, あるいは油膜調整剤や基油との間のファンデルワールス力による相互作用によって, さらに疎水性の高く強固な混合吸着層を形成していると考えられる. 最近では, 単に金属表面に吸着するだけでなく, 金属表面を改質 ( 不動態化 ) する防錆添加剤を活用する場合もある. また, 廃棄物削減や作業環境改善のため, 遮断効果を維持しながら防錆膜の薄膜化が図られている. 4.2 水置換性 8) さび止め油の効果を最大限に発揮するためには, 清浄な金属面にさび止め油を塗布すべきである. しかし, 実際には前工程での洗浄後にたとえ目に見えなくても結露していたり, 前工程の加工で使用した水系加工液が付着したまま, 金属表面にさび止め油を塗布される場合が多い. このため, さび止め油が防錆性を発揮するためには, 金属表面に付着した水を置換し取り除くことが必要である. 水置換作用の原理について, 水が付着している金属を油に浸漬すると水 - 油 - 金属が接する点においては, 図 2に示すような準平衡状態が起こる. 次式で定義される置換エネルギー DW が負になると, 水が油に置換される. DW=γS-γSW=γW cosθ ここで,γS,γSW,γW は, それぞれ固体 / 油, 固体 / 水, 及び水 / 油の間の表面張力,θは後退接触角である. さび止め油には必ず固体への吸着性を持つ界面活性剤 ( 防錆添加剤 ) が用いられているので, 程度の差はあるにしても水置換性がある. 特に, 水置換性を求められる場合には,DW が負になる添加剤を添加図 2 さび止め油の水置換作用 8) して, 格段に水置換性を向上している. 最近では, 切削油などを中心に加工油の水系化が進んでおり, さび止め油の水置換性はますます重要になってきている. 4.3 腐食要因物質の不活性化 8) 図 1に示したように, 防錆添加剤はミセルを作りコロイド状で油中に分散しているものも多い. このミセルは, 極性基を内側に配向しているため, 水, 酸などの腐食要因物質を取り込む性質がある. この性質を可溶化といい, この作用によって塗膜中に侵入してくる 5

6 腐食要因物質を捕獲する. 腐食要因物質の混入が予想される場合には, 防錆膜中に侵入してくる酸性物質を中和するために, さび止め油に塩基性の添加剤を添加することが多い. 腐食要因物質について, 従来は防錆期間中に外部から飛散してくる海塩粒子や SX ガスなどを対象としてきた. 最近では, 前工程加工後の洗浄工程の省略等により, さび止め油が塗布される金属表面に水系加工液中の腐食要因物質や摩耗粉が介在することが多くなっている. このような場合には, 水系加工液中の腐食要因物質によってさび止め油を塗布するとき既にさび始めていることがある. そのため, さび止め油に対しては, 単に水系加工液を置換するだけではなく, 腐食要因物質の中和能力もより求められるようになってきている. 5. さび止め油の適用例もっともさび止め油の需要の多い自動車 鉄鋼用途での適用例を紹介する. 表 3に, 自動車用パネル材の製造工程における鋼板用さび止め油の使用例を示す. 鋼板用さび止め油は, 鋼板出荷用さび止め油 洗浄用さび止め油 KD 出荷用さび止め油に分類することができる.( Knock Down= 部品を輸送し, 輸送先で組み立てること ) 表 3 の各工程において, 防錆性に差のある 2 種類のさび止め油の適用事例を図 3 に示す. 表 3 自動車パネル材の製造工程に使用されるさび止め油とその要求性能 製造工程使用するさび止め油要求性能 製鉄所 調質圧延 ( 水系 ) 調質圧延液 水系調質圧延液の置換性, 不活性化 防錆塗布 鋼板出荷用さび止め油 梱包 保管 出荷 積層状態, 暴露状態での防錆性 自動車工場 ( 輸出 ) 開梱 洗浄 ( レベリング ) 洗浄用さび止め油 洗浄性 プレス加工 溶接 接着 プレス時の潤滑性 溶接性 油面接着性 ( 梱包 KD 輸出 ) (KD 出荷用さび止め油 ) ( 防錆性 ) 脱脂 化成処理 塗装 脱脂性, 化成処理性 塗装なじみ性 6

7 防錆性に優れるさび止め油 防錆性に劣るさび止め油 コイル材 ( 鋼板出荷用さび止め油 ) 自動車パネル ( 洗浄用さび止め油 ) 自動車部品 (KD 出荷用さび止め油 ) 図 3 防錆性に差のある 2 種類のさび止め油の適用事例 鉄鋼メーカーで生産される鋼板 ( 冷間圧延鋼板や表面処理鋼板等 ) は, 冷間圧延 焼純後に, 水系の調質圧延液で仕上げ圧延される. そのため, 水系の調質圧延液が付着したまま潤滑油形さび止め油に相当する鋼板出荷用さび止め油が塗布され, コイルまたは積み重ねた切り板状で保管されて, 自動車メーカー等のユーザーに出荷される. そのため, 鋼板出荷用さび止め油には積層状態と暴露状態での防錆性が求められ, さらに水系調質圧延液の置換性と不活性化も求められる. 自動車用内板用途については, 洗浄工程を通さず直接プレス加工されることが多いため, プレス加工時の潤滑性も要求される. 自動車用外板用途については, プレス加工前に塗装後の塗装鮮映性に影響する鋼板表面の微細なゴミや金属粉を洗浄除去する必要があり, 低粘度の溶剤希釈形さび止め油の一種である洗浄用さび止め油が用いられる. 通常, 洗浄後の鋼板はそのままプレス加工され, 工場内で一時保管されて, その後組み立てラインに移行される. そのため, 洗浄用さび止め油には防錆性に 7

8 くわえて洗浄性や潤滑性も要求される. 洗浄用さび止め油に求められる暴露防錆期間は, 通常 1 ケ月以内である. 要求される防錆期間がこれ以上になるときや, プレス後の鋼板を輸出 海上輸送する場合には, 溶剤希釈形さび止め油の一種であるKD 出荷用さび止め油がプレス加工後に塗布される. いずれのさび止め油を用いる場合でも, プレス加工後の鋼板は, 溶接, 及び接着されアルカリ脱脂されてさび止め油が除去され, 化成処理後に塗装される. したがって, 上記のさび止め油には, 溶接や接着に影響しないこと, アルカリ脱脂性に優れること, 化成処理や塗装に影響しないことも必要である. このように, さび止め油はただ単に金属部品を防錆するだけでなく, 前工程の影響を排除し後工程に影響を残さないことが重要である. 近年, さび止め油を取り巻く環境が多様化している. さび止め油は, 様々な高機能金属製品の防錆に適用され, さらに世界中の様々な腐食環境での防錆が求められている. さび止め油開発メーカーでは, ますます多様化する材料と環境に適したさび止め油の開発に取り組んでいる. 参考文献 1) 小山三郎 : 出光技報, 34 (1991), 14. 2) 笠岡頸 : 防錆管理, 26 (1982), 18. 3) JIS K2246:2007 さび止め油 : 日本規格協会, (2007), 4. 4) 川村一網 : 防錆管理, 25 (1981), 25. 5) 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律 (PRTR). 6) 防錆管理士テキスト第 1 分冊 A-3, 防錆技術協会, (2004), 17. 7) 桜井俊男, 玉井康勝 : 応用界面化学, 朝倉書店, (1968), ) 桜井俊男 : 石油製品添加剤, 幸書房, (1979), 246,

9 アルミニウムの腐食のおはなしその 3 古河スカイ 兒島洋一 1. はじめにおはなしその 1 1) で, 地上水 - 大気の飽和した中性の水 - 環境に関する項にご好評をいただいた そこで今回は, これより少し広い意味での水環境について, その中にアルミニウム (Al) を漬けたときに表面で進行するカソード反応 - 水環境中物質の還元反応 -に着目した 諸先達の解説などのお世話になりながら, シリーズその 3 を続けさせていただくこととする 2. 自然電位 2.1 標準電極電位と自然電位代表的金属について, 各金属材料の流動海水中自然電位 2), 各金属元素の一般的なイオン化反応に関する標準電極電位 (E ) および各金属試験片の塩酸 (HCl) 塩化ナトリウム (NaCl) 硫酸ナトリウム (Na 2 S 4 ) 水酸化ナトリウム (NaH) 水溶液中自然電位 3) を図 1 中に左から順に示す 流動海水中に長期間浸漬して測定された値は, 各種金属材料の自然電位の代表的値として異種金属接触腐食の指標に用いられ, 実環境中活性度序列として扱われている E は, 金属元素 (X) のイオン化反応 ( 例えば X=X n+ +ne) に関与する, 電子 (e) を除くすべての化学種が標準状態にあるときの平衡電極電位に相当する 平衡電極電位では, 上の電気化学反応は, 見かけ上どちら向きにも進行しない このような E は熱力学的活性度を示し, 大きいほど貴金属元素であり, 小さいほど卑金属元素である 4 種の水溶液中自然電位は, 大気中におかれた 0.1M 水溶液に 10 10mm 2 の測定面をもつ試験片を 24h 浸漬したときの値である 銅 (Cu) 鉄 (Fe) 亜鉛 (Zn) などでは,E と流動海水中自然電位におけるそれぞれの序列が対応している これに対し, 耐食金属材料 1) に属す Al チタン (Ti) ニッケル (Ni) などは,E は下方に, 流動海水中自然電位は上方にある すなわちこれらは熱力学的活性度が極めて高く, それゆえ水 (H 2 ) と速やかに反応し, その反応生成物として下地金属保護性の高い酸化物皮膜 ( 不動態皮膜 ) が形成される こうして耐食金属材料の実環境中活性度の低さ ( 高耐食性 ) が維持されている 4) 各種金属材料の各々の使用環境における耐食 腐食挙動は, 例えば上述の不動態皮膜形成のように, さらにその動的平衡による維持, または局部的破壊のように, すべて材料と環境との相互作用そのものである このときの自然電位 ( 腐食電位 ) には, 進行中の相互作用, 場合によってはその履歴までもが反映されることとなる 図 1 に示した E および各環境中の自然電位の値 1 つ 1 つを, またいくつかを比較して眺めながらこれら相互作用について考察をめぐらすことは興味深く, 腐食防食技術者を目指す方々には好適な座学演習課題とも思われる 9

10 2.2 Al の自然電位図 1 に示した 4 種の水溶液中自然電位のうち Al に関するものを電極電位 -ph 平衡図 (E-pH 図 ) 5) 中に赤丸でプロットしたものを図 2 に示す HCl,NaCl,Na 2 S 4 および NaH の 0.1M 水溶液の ph は, 便宜的にそれぞれ 1,7,7 および 13 とした 同図には Turcotte による, 脱イオン水および NaCl の 0.56M 水溶液を基本とした液中での自然電位の ph 依存性 6) も併せて記入した 自然電位が,pH および Cl - の影響を受けていることが分かる ph の影響はアルカリ側で大きく, 高 ph 域では中性域よりおおよそ 1V 卑化している 一方で, 酸性側での ph 依存性は小さい E-pH 図において, アルミニウムイオン (Al 3+ ) 活量が 1 に達する平衡 ph 2 7) 以下においても, アルカリ側のようには卑化せず, 中性域とほぼ同様の値域にある これら 4 つの自然電位を, 孔食電位 (E PIT ) の塩化物イオン (Cl - ) 濃度依存性 4) と比較して図 3 にプロットした 同図には,HCl の 0.3M 水溶液中に 0.5h 浸漬して測定した自然電位も併せてプロットした Cl - が含まれる各溶液中の自然電位は, 孔食が発生しうる場合には E PIT で頭打ちになり, 孔食の成長とともに徐々に卑化する こうして, これら環境の自然電位は Cl - 濃度に依存する Cl - の作用が, 不動態皮膜攻撃による孔食誘発というアノード反応への影響が主であるのに対して,pH は, 均一溶解速度などのアノード特性への影響 5) のみならず, カソード反応への影響も大きい これについて次章に述べる 10

11 3. 水環境のカソード反応 3.1 溶存酸素消費と水素発生金属腐食におけるカソード反応は, 当該金属に対して酸化剤 1) として働きうる環境中物質の還元反応である H 2 環境における Al 合金腐食の一般的なカソード反応である溶存酸素 ( 2 ) 消費反応および水素 (H 2 ) 発生反応を次項よりとりあげる 水溶液に含まれる溶存 2 濃度は, 気相中 2 分圧 ( P 2 ) 水溶液温度, および水溶液の塩濃度に依存する これら依存性を図 4a および 4b 8) にそれぞれ示す 溶存 2 濃度は, P 2 にほぼ比例し, また温 度および塩濃度が高くなると減少する 地上水の溶存 2 濃度 8 mass ppm 1) は, 図 4a 中に破線で示した P 2 =0.2 atm 25 の場合に相当する また電気化学測定において試験液に純窒素 (N 2 ) などを吹き込む脱気は, 大気中におかれていたために P の気相と平衡状態にある液相に対して, P 2 0 として溶存 2 濃度を下げる作業である 3.2 カソード反応の平衡電極電位溶存 2 消費反応は, 2 のH 2 への還元に関する電気化学反応式として, 4H e=2H 2 (1) と書くことができ, この反応の平衡電極電位 (E eq ) は 25 では, E eq = ph log P 2 (2) である 一方 H 2 発生反応は, 水素イオン (H + ) の H 2 への還元に関する電気化学反応式およびその E eq として, 2H + +2e=H 2 (3) E eq = ph log P H2 (4) と書ける これらの E eq の計算は,Walther Nernst(1864~1941)25 歳の業績であるネルンストの式による 式 (1) では, 溶存 2 還元反応における酸化体 / 還元体対 ( 2 /H 2 ) を,pH の低い酸性溶液における酸 / 塩基対 (H + /H 2 ) と組み合わせて書いている これを,pH の高いアルカリ溶液における酸 / 塩基対 (H 2 /H - ) と組み合わせた場合の電気化学反応式および E eq は, 2H e=4H - (5) E eq = log[h - ] log P 2 (6) である 水のイオン積 ([H + ] [H - ]=10-14 ) から, -ph+log[h - ]=-14 (7) であり, 式 (2) と式 (6) とが同じであることが分かる 同様に,H 2 発生反応における酸化体 / 還元体対 (H + /H 2 ) を, アルカリ溶液における酸 / 塩基対 (H 2 /H - ) と組み合わせた場合の電気化学反応式および E eq は, 2H 2 +2e=H 2 +2H - (8) E eq = log[h - ] log P H2 (9) である これも, 水のイオン積より (4) と同じ式になる 以上のように, 式 (1) と式 (5) および式 (3) と式 (8) はそれぞれ, 対応する E eq が同値で,E-pH 図中では同一直線 aおよびbで表されており, 電気化学的平衡論からみると同義と言える 9) 平衡論からみると同義と言えたこれらの電気化学反応式は, 量論 速度論 移動論からみると全く異なる意義を持つことを示している 式 (1) は, 溶存 2 とH + とが反応して H 2 を生じる反応を意味しており,H + が存在する酸性溶液中での電気化学反応式として適当である いま, 酸性 11

12 溶液中でこのカソード反応が進行しており, この溶液の ph を徐々に上昇させて中性 ~アルカリ性化させた場合のことを考える カソード反応が進行する金属表面では式 (1) に従って, 溶存 2 とともに H + と電子 (e) が消費される e は金属内から, 溶存 2 とH + は溶液の沖合いからそれぞれ金属表面に供給される ここで, 沖合い溶液の ph が上昇して H + 濃度が下がることで,H + の供給速度が反応によって H + の消費される速度に追いつかなくなると, 反応は式 (5) に従って H 2 との反応で溶存 2 を還元するようになる このように式 (5) は, 中性 ~アルカリ性溶液中での式として適当である これと同様に, 式 (3) は酸性溶液中での H 2 発生を示す電気化学反応式として適当である 溶液の ph 上昇または反応速度上昇により,H + の金属表面への供給が追いつかなくなると, 式 (8) に従って H 2 の直接還元によって H 2 が発生するように変化する 3.3 Pt のカソード分極曲線前項で述べた各電気化学反応式の意義の違いは, 分極曲線上に, より具体的に現れる ph を各値に調整した溶液中で, 白金 (Pt) 電極を用いて測定した, カソード分極曲線を図 5 10) に示す Pt 電極は, 電極材料である Pt 自身がイオン化せず, 環境中物質の酸化還元反応に関する電流のみを検出できるため, 腐食環境の酸化特性を考察するのに便利である 同図中のカソード電流は, 溶存 2 還元反応と H 2 発生反応を内容としている まず, 図中の左上部分にみられる溶存 2 還元反応についてみてみる ph=1.4~3.05 の酸性溶液では, 最も貴電位域で溶存 2 とH + とが関与する反応が式 (1) に従って進行し, 卑方向への電位掃引とともに反応速度は増加し,60~120 mv/decade の勾配で電流密度は増加する このような電流密度の対数と電極電位との勾配をターフェル勾配という この勾配の見られた後, 電流密度は増加せず一定となる ここでは, 式 (1) における反応物質のうちの溶存 2 の供給が頭打ちとなっている この供給速度が律速となって, 卑方向への電位掃引を続けても, カソード反応はより活発にはならない 溶存 2 は, 沖合い溶液から Pt 表面へ拡散によって供給されており, ここでは溶存 2 拡散律速にあるといい, このときの電流密度 を溶存 2 拡散限界電流密度 ( i L 2 ) という ph が 4 以上になって沖合い溶液の H + 濃度が低くなると, 溶存 2 の拡散律速域に入る前に,H + の供給速度のほうが先に律速となり,H + H の拡散限界電流密度 ( i + L ) が現れる この後,H 2 分子が直接関与する反応が式 (5) に従って進む領域を経て,pH 3.05 と同様の溶存 2 の拡散律速域に入る 次に, 図中の右下部分にみられる H 2 発生反応について見てみる 低 ph 域ではまず, 式 (3) に従って H + の還元反応が進行し, ターフェル勾配 30~40 mv/decade となる 卑方向への掃引を続 H けると, i + L が現れた後,H 2 分子の直接還元反応が式 (8) に従って進行するターフェル勾配約 120mV/decade へと移る H + 還元反応のカソード分極曲線は ph に依存して, 反応物質である H + H の濃度減少とともに,30~40mV/decade のターフェル勾配は卑側にほぼ平行に移動し, i + L は減少する 反応物質が H + を含まない式 (8) を内容とする部分のカソード分極曲線は ph には依存しない 反応物質の H 2 は溶媒で, 純水では 55.6 M もあり, ガス発生がよほど活発にならない限 12

13 り, その供給が律速になることはない E-pH 図中には平衡論的に同一直線で示された各反応であるが, 分極曲線には量論 速度論 移動論的差異が明瞭に現れるのが面白い 3.4 拡散限界電流密度 i 2 L はフィックの第一法則に基づいて次式で計算することができる i 2 L =n F D 2 C 2 /δ (10) この式に, 式 (1) 式(5) の e の係数 n=4, ファラデー定数 F 105C/mol,25 における拡散定数 D 10-5 cm 2 /s, 溶存 2 2 濃度 C = mol/cm 3 ( 図 4a 中の 0.2atm,25 の値 ), 静 2 止溶液における拡散層厚さδ=0.05cm, の各値 4) を代入すると, il 2 20μA/cm 2 が得られる 図 4a 中, および図 4b 右側には, 溶存 2 濃度に対応した il 2 の値を示した P 2 は, C 2 を介して i 2 L とは比例関係にあってこれには大きく影響するが,E eq への影響は小さく, P 2 =0.2~1.0atm で生じるちがいは, 式 (2) と (6) より 12mV で, 通常スケールの E-pH 図ではb 線に差異は生じな い il 2 H と同様に i + L は次式, + H i L =n F D C H + /δ (11) に,H + の価数 n=1, 拡散定数 D H cm 2 /s 11), H + 濃度 C H + =10 -ph-3 mol/cm 3, の各値を代入する H と, i + L ph +5μA/cm 2 が得られる 図 5 中の分極曲線に現れる il 2 H および i + L が, 上述の計算値よりも大きいのは, この測定では回転ディスク電極 12) を用いているため電極表面近傍の δが静止溶液中よりも小さいことによる 純 Fe 8), 16), を用いて測定したカソード分極曲線を図 6 17) に示す 溶液は 4%NaCl に HCl が添加されたもので, 脱気により溶存 2 濃度は低くなっている 同液中では式 (1) と式 (5) の反応はほとんど起こらず, 斜線を施した右側で, まず式 (3) H 次いで式 (8) に従った H 2 発生の反応電流がみられる 静止した各 ph の溶液で現れた i + L は, 上 8) 述の計算値の約半分で大まかに対応した値と言える 3.5 Al のカソード分極曲線大気飽和の NaCl の 1M 水溶液中 99.99%Al 99%Al Pt 13) 14), および自然海水中 SUS316 鋼について測定したカソード分極曲線を図 7 に示す いずれの測定液も静止状態である Pt 電極およ び浸漬 1 ヵ月後の SUS316 鋼で前項の計算値と同程度の il 2 が観察されたのに対して, 各 Al ではこれより小さい値域に溶存 2 還元反応を示す電流がみられる Pt 電極について, それ自身が溶解しないことの利点は先に述べた その逆に Al 電極は, カソード分極曲線測定中も自身の溶解によるアノード反応速度はゼロではなく, 溶存 2 還元電流の真値は図中の測定値より大きい しかし, これを考慮しても Al は溶存 2 を還元しにくい表面を持ち, この傾向は Al の純度とともに高まると言える このようなカソード特性は, 浸漬直後のステンレス鋼も同様である 4) Pt および各 Al 電極では, 溶存 2 還元域のさらに卑側で, 式 (8) に相当する電流がみられる この H 2 発生反応も,Al 上では Pt 上より起こりにくく,Pt 上よりかなり卑な電位で起こり始め, この傾向も純度とともに大きくなる 5%NaCl 水溶液に酢酸を加え ph を 3 程度にした溶液中で,1000 系 Al 合金および Pt を用いて測定したカソード分極曲線を図 8 に示す 15) Pt では, 貴電位域より式 (1), 式 (3) および式 (8) H を内容とした反応電流が順次現れる i + L に相当する電流密度が, 図 6 のそれより大きいのは, 酢酸が解離定数の小さい弱酸であることによる H + の Pt 表面への供給が, 液中に H + よりも圧倒的高濃度に存在する酢酸分子 (CH 3 CH) の拡散によって賄われている 9), 15), 17) Al では, 式 (1) の電流はより大きな式 (3) のそれに隠れてみえない 式 (3) と式 (8) の電流がみられる電位 13

14 域は,Pt および図 6 に示した Fe よりはるかに卑で, カソード分極を開始した自然電位 ( 腐食電位 ) 直下から,H 2 発生反応が活発になり始めている Al のこのような自然電位における H 2 発生反応は,pH が下がるほど, 酢酸溶液では酢酸添加量が多いほど 15), 温度が高いほど 18), 自然電位が卑なほど,H 2 発生が起こりやすい表面 ( より貴な電位から H 2 発生がおこる ) ほど活発になることになる 4. 腐食速度とカソード反応 Al の腐食速度の ph 依存性を図 9 に示す Pourbaix が掲載した 5) ことで諸解説に頻出する酸性およびアルカリ性域の各種緩衝溶液中のデータは, 原著 19) の測定詳細には遡及しにくいが, 孔食は対象とされておらず, 均一腐食に関するものである これらに Hassel らが, 中性域において精密に測定した値を加えた 20), 21) 同図には溶存 2 消費および H 2 発生の最大反応速度として i 2 L H および i + L の計算値も示した さらに同図の右側には, 各種金属材料の腐食速度を比較のために示した 4) ただし, 電流密度と腐食速度との対応は Al を基準とした値である いま, 溶液の ph を中性から徐々に上げた場合を考える Al の腐食速度は, 中性域では il 2 より かなり小さいが, アルカリ側で ph の上昇に伴って腐食速度が増大すると, il 2 を上回る このとき, カソード反応が溶存 2 消費で賄いきれなくなると, カソード反応が式 (5) から式 (8) に変わり, これと同時に式 (8) の起こりうる電位域へと自然電位が大きく卑化することになる Al とは逆にアルカリ域で腐食速度の小さくなる Fe では,pH 上昇に伴い不動態化して自然電位は大きく貴化する 14

15 次に, 溶液の ph を中性から徐々に下げた場合を考える 酸性側でも,Al の腐食速度は ph 低下 H に伴って増大する カソード反応は, i + L が ph 低下とともに大きくなり,pH<4 で il 2 H < i + L となる これに伴いカソード反応のメインは, 自然電位が H 2 発生域にある場合, 式 (1) から式 (3) へと移っていく Al 合金の E PIT は比較的卑なほうで, また表面での溶存 2 還元反応も活発でないことから, 中性での自然電位はそれほど貴化していない このような自然電位域と酸性溶液中における式 (3) の反応電位域とは, さほど離れていないことから, このような ph 推移に伴う自然電位変化は小さいことになる 図中には, SUS304 鋼の活性態のピーク電流密度 4) も示した SUS304 鋼は, このピークが il 2 を超える ph 2 で, 不動態を維持できなくなり, カソード反応の式 (1) から式 (3) への変化とともに,Al の挙動とは対照的に自然電位は大きく卑化する 少々長くなったが, 以上が図 2 に示した自然電位の ph 依存性の周辺事情である 中性 ~ 酸 22) 性域における Al 合金の自然電位は, 腐食形態と明瞭には対応していないので注意が必要である 5. おわりに Al 合金構造物の防食設計において, 自然電位のみが一人歩きしがちである 昨今の各種金属地金の急騰から,Al 合金には Cu 合金 ステンレス綱などの代替材料としての要請が強まっている Al 合金に期待される使用環境が中性塩化物環境に限られず多様化するなかで, これら環境中の自然電位におけるアノード反応およびこれと対をなすカソード反応の内容を看過すると, 設計の根本を誤りかねないと危惧される 本稿がアルミニウムと水環境との関係のご理解の一助となることを願いつつ, 本年も大方のご批判を切に請う次第である 参考文献 1) 兒島洋一 :Furukawa-Sky Review, 2 (2006), 62. 2)F. L. LaQue : Marine Corrosion Causes and Prevention, John Wiley & Sons, (1975), )R. Winston Revie : Uhlig's Corrosion Handbook 2nd edition, Wiley-Interscience, New Jersey, (2000), ) 腐食防食協会編 : 材料環境学入門, 丸善,(1993), 18, 27, 100, 257, 269, )M. Pourbaix : Atlas of Electrochemical Equilibrium in Aqueous Solutions, NACE, Houston, (1966), 168, ) 伊藤伍郎 : 軽金属, 31 (1981), ) 腐食防食協会編 : 金属の腐食 防食 Q&A コロージョン 110 番, 丸善, (1988), )H. Kaesche : Metallic Corrosion, NACE, Houston, (1985), 115, 111, ) 増子曻, 高橋正雄 : 電気化学 問題とその解き方, アグネ技術センター, (1993), 29, ) 佐藤教男 : 電極化学 ( 下 ), 日鉄技術情報センター, (1994), 356. 日本金属学会会報, 20 (1981), ) 腐食防食協会編 : 金属の腐食 防食 Q&A 電気化学入門編, 丸善, (2002), ) 電気化学会編 : 電気化学便覧第 5 版, 丸善, (2000), ) 杉本克久 : 防蝕技術, 20 (1971), ) 明石正恒 : 防食技術, 32 (1980),

16 15) 兒島洋一, 大谷良行 : 軽金属学会第 111 回秋期大会概要集,(2006), 279.: 第 53 回材料と環境討論会講演集,(2006), )M. Stern : J. Electrochem. Soc., 102 (1955), )Ralf Feser : Corrosion and xide Films, ed. by M. Stratmann and G. S. Frankel, Wiley-VCH, Weinheim, (2003), ) 大谷良行, 兒島洋一 : 軽金属学会第 113 回秋期大会概要集,(2007), )A.Y.Chatalov : Effet du ph sur le comportement électrochimique des métaux et leur résistance à la corrosion, Dokl. Akad. Naouk S.S.S.R., 86 (1952), )A. W. Hassel and M. M. Lohrengel, Mater. Sci. Forum, (1995), )J. W. Schultze and A. W. Hassel : Corrosion and xide Films, ed. by M. Stratmann and G. S. Frankel, Wiley-VCH, Weinheim, (2003), )M. G. Fontana and N. D. Greene : Corrosion Engineering,McGraw-Hill, (1967), 28. 本稿は Furukawa-Sky Review No. 4 (2008) に掲載したもので 古河スカイ の承諾のもとここに転載した 最近の問合わせから Cr(Ⅵ) を使わないめがねめっき? Q: 眼鏡の加工の際に 工程上六価クロムを使用してのめっきは避けられないと云われました 眼鏡加工工場では六価クロムの規制について それほど強い認識がないようでした もしご存知でしたら 六価クロムを使用していない眼鏡めっき工場を教えて下さい ご回答方お願い致します A: 眼鏡枠製造で六価クロムが使用される工程は 主に次のものがあります 1. 白クロムめっき 2. 黒クロムめっき 3. クロメート処理 4. 電着塗装のコネクター処理 5.ABS 樹脂等のエッチング 1 2 は装飾用としておこなわれるめっきです 1) めっき液は六価クロムですが めっきされた皮膜自体は金属クロムであり めっき後の水洗で六価クロム ( 水溶性 ) を皮膜から除去できます 2) 3 のクロメート処理はいわゆる化成処理の 1 つであり 防錆やめっき皮膜の密着性確保の目的でおこないます 4 は めっき皮膜と電着塗装部の密着性確保のためにおこないますが コネクターなどの商品によって使用状況が異なります 5 の樹脂エッチングは 樹脂上にめっきをする際の密着性確保のための前処理です 自動車 家電関連業界の昨今の規制では 製造の工程途中でも六価クロムを使用してはいけない という動きが出ていますが 眼鏡分野ではまだそこまでではありません しかし 今後 同じ動向となることが考えられます 現在 上記の工程における六価クロム代替品として三価クロム品などが多く出ており これらを使った加工が可能です しかし 防食性や耐摩耗性 風合い 色調等において 六価クロム品よりも優れた性能を得ることは難しいようです ご質問内容の六価クロムを用いた塗装は おそらく 3 のクロメート処理と考えられます 県内には 当該処理はおこなわずに別手段で対応して眼鏡枠を製品化している事業所があります 参考文献 1) 森河務, 表面技術, 11, 720 (2009). 2) 腐食センターニュース, No. 33, p.6. ( 福井県工業技術センター中津美智代 ) 16

17 最近の問合わせから 銅合金の腐食への硫化水素濃度 Q: 地下室内に排水処理装置を設置したことにより室内に希薄な硫化水素ガスが流れ出し これによると思われる 砲金及び銅製品に緑青が発生しました 硫化水素の濃度と砲金の腐食について資料などあるでしょうか また 現在硫化水素濃度が 0.009ppm と低濃度の状態でも腐食は進行するものでしょうか A: 流れ出した硫化水素 H 2 S 濃度はどの程度であったのだろうか 銅上に生成する硫化物 CuS 皮膜の厚さと暴露条件 H 2 S 濃度 (ppm) 暴露時間 (hr ) との関係を図 1 1)2) に示す この図で皮膜厚さが最高の 10 2 nm に達する暴露条件は およそ 10 ppm-hr とよめる H 2 S 濃度について 人間に対する許容値 *1 は 10 ppm であるが 電子機器に対するそれ *2 は 2 ppb また通常の屋内濃度は 0.2~1 ppb とされる 3) 温泉地などでは 10 ppb を超えることもあるので 脱硫装置によって 2 ppb 以下 (1~2 ppb) に抑える 4) このように考えると上記の 10 ppm-hr は 0.01 ppm (10 ppb ) 1000hr. 程度と推定するのがもっともらしいかもしれない いずれにしても緑青とよばれる皮膜は少なくともμm レベル以上の厚い皮膜であるから その生成をここでの H 2 S( たとえば上記の 10 ppb) のみによるとみなすことはできない 酸素 水分などの寄与のほうが大きいであろう H 2 S の 現在 濃度 9 ppb は上記の電子機器に対する許容値 2 ppb を超えているので腐食に影響なしとすることはできず さらに低減すべきであろう 図 1. ガス濃度 (ppm) 暴露時間 (hr) と銅上の平均皮膜厚さ (nm) との関係 (22,90%RH). *1 毎日繰り返し曝露したとき ほとんどの労働者に悪影響がみられないような大気中物質濃度の時間加重 3) 平均値. H 2 S を扱った鉄鋼各社の専門家によると 1ppm 以上で強臭 : 10ppm で即倒 また 2ppm 検知管が市販されている *2 米国内のおおむね 95% 以上の機器設置場所がこの数字以下の値を示し 残り 5% の場所ではこの値以上になる年平均濃度 3). 1) 腐食防食協会編 : 腐食防食データブック, 丸善, p.497(1995). 2)T.E. Graedel,etal:Corros. Sci., 23,1141(1983). 3) 腐食防食協会編 : 電子機器部品の腐食 防食 Q&A, 丸善, p.44(2006). 4) 腐食防食協会編 : 腐食 防食ハンドブック, 丸善, p.856(2000). 17

18 最近の問合わせから 鉄の屋外での腐食速度 Q: 一般的な話でよいのですが 鉄は屋外に置いて暴露した場合 年間で何ミリ程度さびて腐食しますか? A: 海水中で数年経過以降の鉄 ( 普通鋼 ) の腐食速度は 約 0.1mm/ 年というほぼ一定値をとり これは通常の淡水中でも同様である この値は 静置水中で鋼表面に到達する溶存酸素の物質流束 ( 単位時間 単位表面積あたりの到達酸素量 ) の約 1/2( 鋼表面さび層の下地防食係数 ゼロであれば腐食速度は約 0.2 mm/ 年 ) が鋼を腐食させることを表している 後述の経年速度式 D=at n では a=0.1mm n=1.00 と表される 屋外暴露の場合のデータ例を図 1 に示す 1) 日本海沿岸にある No.1 の場合 nは約 1 で平均腐食速度も上記の 0.1mm/y に近い これに対し広島県山間部の No.3 では n=0.49 a=0.018mm と穏和な地域での特徴を示している わが国の住宅分野では日本の標準地域屋外での腐食速度を D=0.05t 1.0 とし 住宅内部位では一般に 0.05/7mm/y として評価を実施している 1) 腐食防食協会編 : 住宅の腐食 防食 Q&A, 丸善,p (2004). 18

19 最近の問合わせから 鉄の土壌中での腐食量 -200 年では? Q:200 年住宅に対応するため地盤 ( 土壌 ) 改良を検討しています この一環として鋼管が土壌中でどのくらい腐食するかを調べています 50 年で 1 mm程度というデータはあるのですが その根拠となる文献等もほしいのです A: 国内 10 ヶ所における鋼杭 (SS41 鋼 全長 15mのL 断面杭 ) の 10 年間にわたる試験結果 1) を表 1 2) に示す 全平均は ( 両面 )/2=0.005( 片面 ) mm/y で 最大でも /2=0.015 mm/y( 片面 ) である 最大値での経年変化は図 1 3) の1( 印 ) に示す 回帰式 1によれば 10 年後で約 0.2 mm 100 年後で 0.55 mmと推定される 10 年を超えるデータは製鉄所構内 ( ) や淡水成の粘土質土壌 ( ) に埋められていたもので 直線 1の延長よりはかなり大きな侵食深さを示す これらデータの最大値が従うとみなせる直線 2 3) によると 40 ~50 年後には腐食深さは 10 mmを超してしまい 無防備の鋼だけでは 200 年に対処できそうにない 塗覆装 ( 文献 2), p.131) やコンクリートとの複合材を検討したい 19

20 1) 大崎順彦編 : 鋼杭の腐食, 鋼材倶楽部, p. 66(1980). 2) 腐食防食協会編 : 住宅の腐食 防食 Q&A, 丸善, p (2004). 3) 文献 2), p.174~175. 石油パイプラインの市街電車による迷走電流腐食 米国腐食学会の誕生 この場合の埋設管の腐食は迷走電流腐食, 図 1(a), という 電車を動かす直流電源 ( 変電所 ) の電 ( 気分 ) 解作用によるもので 電食とよばれた 1900 年頃からの多発から 数 10 年以上にわたる調査を経て NACE の創立までを年表的に表 1 に示す かえって腐食していない事例に遭遇した場合に 問題なし としてしまわないでその意味を熟考する人達もおられたのであろう 電気防食法 ( 図 1(b), 表 年 ) が発見された 1) これは外部電源方式であって 流電陽極方式( 表 年 ) とあわせて今日の電気防食を構成している 人口のみならず埋設管 電車ともに高密度に分布するわが東京では電食問題が絶えることなく 現在も東京電蝕防止対策委員会がその任にあたられている 埋設管で特記すべきもうひとつはマクロセル腐食である 建屋にひき込まれる直前の鋼管外面での土中腐食が建屋を構成するコンクリート中鉄筋と接続されていることによって 1 mm/y 級の腐食速度 ( センターニュース 048,p.23) に加速される 1)-5) 内容物が都市ガス LPG ガスの場合は人命に及ぶ事故にも至っている 4) たとえば都市ガス本管には必ず適用されている 塗覆装 + 電気防食という防食措置が規制的にも及びにくい ( あるいは遅れがちな ) 末端供給管に ものごとが集中したわけである 20

21 表 1. 埋設管迷走電流腐食の発生経緯と学会の発足 1) 腐食防食協会編 : 材料環境学入門, 丸善, p.5(1993). 2) 松島巖 : 配管の土壌腐食, 防食技術, 25, 563(1976). 3) 松島巖, 布村恵治 : 建物周辺の埋設配管のマクロセル形成状況の調査, 防食技術,29, 517(1980). 4) 岡本勝群 : 建屋まわりの埋設配管の腐食, 防食技術, 30, 300(1981). 5) 中島博志 : 埋設配管腐食対策のシステム的考え方, Boshoku Gijutsu, 33, 349(1984). 21

22 目 次 腐食センターニュース No.052 ( ) 潤滑油と腐食 ( その2) 1 -さび止め油について- アルミニウムの腐食のおはなし (3) 9 発行者 :( 社 ) 腐食防食協会腐食センター 東京都文京区本郷 湯淺ビル5 階 最近の問合わせから- Cr(Ⅵ) を使わないめがねめっき? 16 銅合金の腐食への硫化水素濃度 17 鉄の屋外での腐食速度 18 鉄の土壌中での腐食量 -200 年では? 19 石油パイプラインの市街電車による迷走電流腐食 米国腐食学会の誕生 20 Tel: ,Fax: jim@corrosion-center.jp URL: 腐食センターニュース の創刊号以来のバックナンバーは腐食センターの上記ホームページで閲覧できます ここに掲載された文章および図表の無断使用, 転載を禁じます. 腐食防食協会

腐食センターニュースNo.052( )

腐食センターニュースNo.052( ) 潤滑油と腐食 ( その2) さび止め油について 出光興産 ( 株 ) 営業研究所 長瀬直樹 1. はじめに鉄は, 今日の機械文明を支える重要な金属材料であり, 今後とも工業材料の中心的存在であり続けると思われる. 鉄はさびるという欠点をもっているため, さびを防ぐ技術を必要とする. さびを防ぐ技術として, さび生成の要因である水や酸素などの腐食要因物質を金属表面から遮断する方法が取られる. このような防錆手段の中に,

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