Journal of Textile Engineering, Vol.57, No.3, pp89-94

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ゆきさてらわ
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1 ORIGINAL PAPER Journal oftextile Engineering (2011), Vol.57, No.3, The Textile Machinery Society ofjapan The Measurement of High School Girl s Image for Kimono and Yukata TAMURA Kazuko *,MUROI Rie Faculty of Education, Kochi University, Akebono-cho, Kochi , Japan Received 14 September 2010; accepted for publication 17 March 2011 Abstract In this paper, high school girl s opinion on image for kimono (modern kimono and classic kimono) and yukata (brand yukata and classic yukata) were studied. The results were obtained by factor analysis are and the multiple regression analysis as follows: 1) The factor structure of high school girl s opinion on image for kimono and yukata are interpreted as (F1) visual appeal, (F2) practicality and (F3) preference. 2) As a result ofcomparing the mean factor score ofclassic kimono, modern kimono, classic yukata, and brand yukata, in the case of (F1) visual appeal, it was found that high school girls rated modern kimono and brand yukata significantly higher than classic kimono and classic yukata. In the case of (F2) practicality, it was found that they rated classic kimono significantly higher than brand yukata, classic kimono, and modern kimono. In the case of (F3) preference, it was found that they rated brand yukata significantly higher than classic yukata, classic kimono and modern kimono. 3) The following regression equation was obtained by the use of multiple regression analysis for (F1) visual appeal, (F2) practicality, (F3) preference, in the case of brand yukata, (F1) visual appeal = (F2) practicality (F3) preference. Key Words: Image, High school girl s opinion, Kimono and Yukata, Factor analysis. 着物浴衣に対する女子高校生のイメージ測定田村和子 *, 室井理恵高知大学教育学部. 緒言着物は日本の民族衣装とされているが, 現代では普段着として着ている人は極めて少ない. 着物を着る機会があるとすれば, 冠婚葬祭や成人式などの行事であり, 人々の着物に対する意識は薄れている. しかし, 近年, 浴衣ブームも起こり, 浴衣を着る若者は増えている. 従来どおりの伝統的な色柄の浴衣に加え, おしゃれな浴衣が夏祭りの会場で沢山見られる. 現代は, 服装に対して, 感性面においてそのイメージが重要な役割を果たし, イメージが商品に具現化され, 販売される時代である [1]. 若者は衣服の流行に関心が高く, 着心地よりも見栄え重視であることはよく知られている. このことは浴衣に対しても同様に考えられ, 若者は洋服を選ぶ感覚で浴衣を選択しているように感じる. 洋服に対するイメージについて調査された研究は数多くある [2,3] が, 和服に対するイメージについて研究されたものはいまだ数少ない [4,5]. 消費者の動向を予測するのに, 若者がどのような観点から, 着物や浴衣を選択しているのか, 彼らが着てみたいと思う着物や浴衣はどのような雰囲気を持っているのかを知っておく必要があると考えられるが, 高校生を対象に研究されたものはあまり見あたらない. そこで本研究では, 女子高校生を対象として, 好きな着物と浴衣に対するイメージを調査した. 今回は現代的な着物, 古典的な着物, ブランド浴衣, 古典的な浴衣のイメージの差について検討した結果を報告する. * 連絡先 : 高知大学教育学部高知市曙町 kotamu@kochi-u.ac.jp,tel:

TAMURA Kazuko, MUROI Rie. 調査方法 2.1 調査対象および調査時期調査は長崎県にある公立高校の 1 クラス 40 名 (2 年生 ) を対象とした. 調査対象者の内訳は被服コース 11 名, 食物コース 17 名, 保育看護コース 12 名である.

質問項目は, 着物 ( 振り袖 ) 浴衣を着たことがあるか, 縫ったことがあるか, 着付けを習ったことがあるか, 着付けの講座に参加したいか等である. 尺度ははいいいえの 2 段階尺度とした. や色使いで, 桔梗, 朝顔, 笹柄等である. 一方, ブランド浴衣は水玉, 椿, 紫陽花, 薔薇等, 洋服感覚の柄や色使いである.

1-1) は, 地色が黄系統のぼかし ( 薄い黄黄みの橙 ) で, 菊と百合 ( 白 ), 棕櫚竹 ( 赤みの紫, 紫みの赤, 紫みの青 ) が描かれた, 明るい感じの着物である. それに対して, 現代的な着物 (Fig. 1-2) は, 地色が赤系統のぼかし ( 浅い赤紫赤みの紫 ) で, 牡丹 ( 黄 ) と葉 ( 赤 ) が描かれた, 派手な感じの着物である. 古典的な浴衣 (Fig.

2 TAMURA Kazuko, MUROI Rie. 調査方法 2.1 調査対象および調査時期調査は長崎県にある公立高校の 1 クラス 40 名 (2 年生 ) を対象とした. 調査対象者の内訳は被服コース 11 名, 食物コース 17 名, 保育看護コース 12 名である. 調査は平成 21 年 6 月 7 月にかけて, 教室で質問紙を配布し, 調査内容を説明した後, その場で回答させ, 回収した. 記入漏れは回収時にチェックした. 2.2 調査内容着物 ( 振袖 ) 浴衣の実態調査調査対象者の意識を知るために, 着物 ( 振り袖 ) 浴衣について簡単なアンケートを行った. 質問項目は, 着物 ( 振り袖 ) 浴衣を着たことがあるか, 縫ったことがあるか, 着付けを習ったことがあるか, 着付けの講座に参加したいか等である. 尺度ははいいいえの 2 段階尺度とした. や色使いで, 桔梗, 朝顔, 笹柄等である. 一方, ブランド浴衣は水玉, 椿, 紫陽花, 薔薇等, 洋服感覚の柄や色使いである. これらの中から, 今回は古典的な着物, 現代的な着物, 古典的な浴衣, ブランド浴衣の典型的なものをつ選択して分析した. 選択した着物浴衣を Fig. 1-1,1-2,1-3,1-4 に示す. 図に示すように, 古典的な着物 (Fig. 1-1) は, 地色が黄系統のぼかし ( 薄い黄黄みの橙 ) で, 菊と百合 ( 白 ), 棕櫚竹 ( 赤みの紫, 紫みの赤, 紫みの青 ) が描かれた, 明るい感じの着物である. それに対して, 現代的な着物 (Fig. 1-2) は, 地色が赤系統のぼかし ( 浅い赤紫赤みの紫 ) で, 牡丹 ( 黄 ) と葉 ( 赤 ) が描かれた, 派手な感じの着物である. 古典的な浴衣 (Fig. 1-3) は, 地色が青系統 ( 濃紺地 ) に白い桔梗が描かれた, 涼しそうな感じの浴衣である. それに対して, ブランド浴衣 (Fig. 1-4) は, 地色が黒系統 ( 黒地 ) で小さな水玉と笹の葉 ( 白 ) と, 大きな薔薇 ( 明るい赤紫, さえた赤紫 ) が描かれた女性的な感じの浴衣である着物浴衣に対するイメージ測定 (1) 古典的な着物現代的な着物古典的な浴衣ブランド浴衣の定義本研究では, 最近流行している洋服感覚の柄や色使いの着物を現代的な着物, 昔からある和服独特の柄や色使いの伝統的な古典模様の着物を古典的な着物と定義している. 浴衣は元々, お風呂の湯上がりに着る着物であることから, 浴衣の柄は少しでも涼しく見えるように, 白地や藍地, 紺地に秋の草花を染めた柄が一般的である. しかし, 最近では浴衣ブームにのって, 若者を対象とした洋服の高級ブランドも浴衣を販売するようになった. こうしたブランド物の浴衣は夏の季節感や清涼感を表現していないものが多い [6]. 洋服感覚の柄や色使いで, 夏の季節感や清涼感を出していないブランド物の浴衣を本研究では, ブランド浴衣と定義し, これに対して, 昔ながらの白地や紺地に伝統的な古典模様の浴衣を古典的な浴衣と定義した. Fig. 1-1 Classic Kimono. (2) 刺激試料刺激試料は, 色柄が豊富で品数が多く, 新しいデザインも開発されているという理由で, インターネットのカラー写真の中から, 一般的に女子高校生が着用すると思われる, 色と柄の異なる 10 種類の着物 ( 古典的な着物 5 種類と現代的な着物 5 種類 ) を選んだ. 選択した古典的な着物は和服独特の柄や色使いで, 竹, 菊, 梅, 鳥柄等である. 一方, 現代的な着物は水玉, チェック, 牡丹, 薔薇柄等, 洋服感覚の柄や色使いである. 浴衣についても同様にインターネットから, 色と柄の異なる 10 種類の浴衣 ( 古典的な浴衣 5 種類とブランド浴衣 5 種類 ) を選んだ. 選択した古典的な浴衣は涼しさを演出した柄 Fig. 1-2 Fig. 1-3 Modern Kimono. Classic Yukata. 90

3 Journal oftextile Engineering (2011), Vol.57, No.3, 調査結果及び考察 3.1 着物浴衣の実態調査 Fig. 1-4 Brand Yukata. (3) 形容詞の選定イメージの形容詞については, 渡辺ら [1], 神谷ら [4], 藤原 [7] の形容詞から, 有用と考えられる形容詞を 12 選んだ. 高校生にプリテストを行い, わかりにくい形容詞をわかりやすい形容詞に変えて, イメージ測定尺度とした. 尺度はどちらでもないを中心にしてやや非常にとした 5 段階尺度とした. なお, 各形容詞対の測定尺度の左より,5 1 点を与え, 得点化した着物浴衣に対するイメージの測定着物浴衣のスライドを用いて刺激を一つずつ提示し, それらから受けるイメージを評定させたデータの処理まず, 着物浴衣別に形容尺度への反応の平均値を算出し, 高得点の形容詞と低得点の形容詞から, 着物浴衣のイメージを明らかにした. 次に, 着物間, 浴衣間の差を明らかにするために, 平均値の差の検定 (t 検定 ) を行った. さらに, 着物浴衣に対するイメージの因子構造を明らかにするために, 着物と浴衣を合わせて因子分析を行なった. 因子分析は形容詞に対する評定値を変数とし, 刺激試料 4 種類調査対象者 40 名の評定値を観測回数として, 主因子法により, 回転前の因子行列を求め, バリマックス回転により, 最終的な因子行列を求めた. 因子の数はスクリュープロットをもとに決定した. そして, 現代的な着物, 古典的な着物, ブランド浴衣, 古典的な浴衣間の差異を明らかにするために, 抽出された因子に関して, 因子得点の平均値を算出し, 一元配置の分散分析と多重比較 (Tukey-HSD 法 ) を行った. また, 試料別に因子得点間の相関係数 ( ピアソンの積率相関係数 ) を求め, 相関の高かったものについて重回帰分析を行った. 着物と浴衣の実態調査を行った結果を Table 1 に示す. 意見項目の文章は簡略化している. 表に示すように, 着物を着たことがある生徒が 67.5% で, 習い事, 七五三, お正月に着用されていた. しかし, 着物を縫ったことがなく,20.0% が購入していた. 着物の着付けを習った生徒が 5.0% で, 高校の授業での着物の着付け講座に参加したいと 62.5% の生徒が回答した. 生徒にとって, 着物は特別行事に着用するものとしてとらえられていることがわかった. 浴衣については, 表に示すように, 浴衣を着たことがある生徒が 95.0% で, 花火大会, 夏祭りに着用されていた. しかし, 浴衣を縫ったことがなく,65.0% が購入していた. 浴衣の着付けを習った生徒が 27.5% で, 高校の授業での浴衣の着付け講座に参加したいと 67.5% の生徒が回答した. 生徒にとって, 浴衣は花火大会, 夏祭りに着用するものとしてとらえられていることがわかった. 3.2 現代的な着物と古典的な着物に対するイメージの差着物に対するイメージの測定結果を Table 2-1 に示す. 表に示すように, 現代的な着物で, 高い得点を得た形容詞は, 派手な, 豪華な, 個性的な, 明るい, 活発なである. その反対に低い得点を得た形容詞は, 親しみやすい, 実用的な, 普段のであった. 古典的な着物については, 高い得点を得たものは, 明るい, 豪華なで, 得点が低かったのは, 実用的な, 普段のであった. 現代的な着物は派手な, 豪華な, 個性的な, 明るい, 活発なというイメージを持たれており, 古典的な着物は明るい豪華なというイメージを持たれていることがわかった. 晴れ着に対する着用嗜好と評価との関連について,206 名の女子大生と 329 名の女子短大生を調査した樋泉ら [5] は, 振り袖は礼装用としてふさわしい, 目立つのに十分な要素を持っている等の項目を高く評価している反面, 着付けが難 Table 1 質問内容着たことがある Actual Condition ofkimono (Furisode) and Yukata 着物 ( 振袖 ) 人数 27 % 67.5 人数 % 38 浴衣 95.0 縫ったことがある買ったことがある着付けを習ったことがある着付け講座に参加したい

4 TAMURA Kazuko, MUROI Rie Table 2-1 Comparision ofmean score between Classic Kimono and Modern Kimono Table 2-2 Comparision ofmean score between Classic Yukata and Brand Yukata 尺度古典的現代的 t 検定尺度古典的現代的 t 検定派手な地味なおしゃれなおしゃれでない豪華なシンプルな若々しい大人っぽい 4.58 個性的な平凡な派手な地味な明るい暗い明るい暗い 4.45 活発なおとなしい活発なおとなしい緊張したくつろいだ個性的な平凡なおしゃれなおしゃれでない好き嫌い若々しい大人っぽい豪華なシンプルな好き嫌い緊張したくつろいだ親しみやすい親しみにくい親しみやすい親しみにくい * 実用的な装飾的な 1.63 実用的な装飾的な普段のお出かけ用の 1.68 普段のお出かけ用の p < 0.01 * p < 0.05 p < 0.01 しく着装に時間がかかる, 手入れがしにくい等, 実用的な面で低く評価しているまた, ニューキモノは目立つのに十分な要素を持っている, おしゃれをしているという気分になる等の項目の評価が高いと報告している. このことは本研究結果とほぼ一致している. 次に, 平均値の差の検定 (t 検定 ) を行い, 現代的な着物と古典的な着物に対するイメージの違いを検討した. その結果, 派手な, 豪華な, 個性的な, 活発な, 緊張した, 好き, 親しみやすい, 実用的な, 普段のについては危険率 1% 水準で有意な差が認められた. このうち, 古典的な着物の得点が高かった形容詞は, 好き, 親しみやすい, 実用的な, 普段のであった. 3.3 ブランド浴衣と古典的な浴衣に対するイメージの差浴衣に対するイメージの測定結果を Table 2-2 に示す. 表に示すように, ブランド浴衣で, 高い得点を得た形容詞は, おしゃれな, 若々しい, 派手な, 明るい, 活発な, 個性的な, 好き, 豪華な, 緊張したで, 全体的に平均値が高く, 得点が低かったのは, 普段のであった. 古典的な浴衣については, 高い得点を得たものが少なく, 親しみやすい, 実用的なが高く, 得点が低かったのは, 若々しい, 明るい, 豪華な, 緊張したであった. ブランド浴衣はおしゃれな, 若々しい, 派手な, 明るい, 活発な, 個性的な, 好き, 豪華な, 緊張したというイメージを持たれており, 古典的な浴衣は親しみやすい, 実用的なイメージを持たれていることがわかった. 次に, 平均値の差の検定を行い, ブランド浴衣と古典的な浴衣に対するイメージの違いを検討した. その結果, 親しみやすいのみ危険率 5% 水準で, その他はすべて危険率 1% 水準で有意な差が認められた. このうち, 古典的な浴衣の得点が高かった形容詞は, 着物と同様に, 親しみやすい, 実用的な, 普段のであった. 3.4 着物浴衣に対するイメージの因子構造着物浴衣のイメージの差を明らかにするために, 着物と浴衣を合わせて因子分析を行った. 因子の解釈は, 因子負荷量 0.45 以上の項目で, 因子負荷量が大きい項目の内容を中心に行った. 抽出された因子は 3 因子である. 第 1 因子から第 3 因子を特徴づける形容詞および因子負荷量を Table 3 に示す. まず, 第 1 因子で負荷量の大きい形容詞をみると, 明るい, 活発な, 派手な, 個性的な, 豪華なの負荷量が高く, 華やかで見栄えが良いという内容であるので, 華やかさの因子 Table 3 Factor loading of three factor for Image 寄与率 (%) 因子尺度因子負荷量 ( 累積寄与率 (%)) 明るい暗い 0.86 活発なおとなしい 0.82 第因子派手な地味な個性的な平凡な 0.78 (37.37) 豪華なシンプルな 0.59 実用的な装飾的な第因子普段のお出かけ用の 0.52 (49.95) 親しみやすい親しみにくい第因子好き嫌い 0.60 (62.34) 92

5 Journal oftextile Engineering (2011), Vol.57, No.3, と解釈した. 第 2 因子は実用的な, 普段の負荷量が高いので, 実用的で普段に気軽に着れると捉えている内容であるので, 実用性の因子と解釈した. 第 3 因子は親しみやすい, 好きの因子負荷量が高いので, 親しめて好きという内容であるので, 親しみの因子と解釈した. 以上の結果から, 着物浴衣に対するイメージは, 華やかさ, 実用性, 親しみの 3 因子によって構成されていることがわかった. Table 5 Correlation coefficients between factor scores 古典的浴衣ブランド浴衣因子 F1 F2 F1 F2 F1 華やかさ F2 実用性 * * F3 親しみ * p < 0.05 がわかった. 3.5 因子得点の比較 3.6 因子得点間の相関因子分析から抽出された 3 因子に関して, 因子得点の平均値を算出した結果を Table 4 に示す. 表に示すように, 現代的な着物は古典的な着物よりも華やかさの因子得点が高いが, 実用性と親しみの因子得点は低かった. 実用性の因子得点は, 両者ともにマイナスであった. ブランド浴衣は古典的な浴衣よりも華やかさと親しみの得点が高いが, 実用性の得点は低かった. 現代的な着物, 古典的な着物, ブランド浴衣, 古典的な浴衣を多重比較したところ, 華やかさの因子については危険率 1% 水準で有意な差が認められ, 現代的な着物とブランド浴衣の得点が高く, 次いで, 古典的な着物であり, 得点が一番低かったのは古典的浴衣であった. 現代的な着物とブランド浴衣は古典的な着物や古典的な浴衣よりも華やかなイメージであるといえる. 実用性の因子についても危険率 1% 水準で有意な差が認められ, 古典的な浴衣の得点が最も高く, 次いで, ブランド浴衣と古典的な着物であり, 得点が一番低かったのが現代的な着物であった. 古典的な浴衣が最も実用的なイメージを持ち, 現代的着物が最も実用的でないイメージを持つといえる. 親しみの因子については, ブランド浴衣の得点が最も高く, 次いで, 古典的な浴衣と古典的な着物であり, 得点が一番低かったのは現代的な着物で, 危険率 1% 水準で有意な差が認められた. ブランド浴衣が最も評価が高く, 現代的な着物が最も低いといえる. 以上の結果から, 女子高校生は現代的な着物に華やかなイメージ, 古典的な浴衣には実用的なイメージ, そして, ブランド浴衣に華やかで親しみやすいイメージを持っていること因子第因子第因子実用性 p < 0.01 Table 4 Comparision ofmean factor score 着物古典 A 現代 B 古典 C ブランド D 華やかさ浴第因子親しみ衣 F Turky-HSD B D > A > C C > D A > B D > C A > B 華やかさ因子と実用性親しみ因子間にある関係を明らかにするために, 試料別に因子得点間の相関係数を求めた. Table 5 に示すように, ブランド浴衣において, 華やかさ因子と実用性因子間に r = 0.346(p < 0.05), 華やかさ因子と親しみ因子間で r = 0.329(p < 0.05) の正の相関があることがわかった. また, 古典的な浴衣においても華やかさ因子と実用性因子間に r = 0.376(p < 0.05) の正の相関が認められた. そこで, 華やかさと実用性親しみの間に成り立つ関係式を見つけるために, 重回帰分析を行った. その結果, 華やかさ = 実用性親しみの回帰式が求められた. 重回帰式の当てはまりをみるために, 予測値と残差を求め, 実測値と予測値の相関を求めたところ, 相関係数 r= で,1% 水準で有意であった. 以上の結果から, ブランド浴衣を気軽に楽しめると評価した生徒は, ブランド浴衣に対して華やかな印象をもっており, 実用性と親しみが華やかさの印象につながっているといえる. 夏祭りや花火大会に, 高校生が気軽に楽しめ, 華やいだ気分になれる浴衣は, 洋服感覚の柄や色使いの華やかな浴衣であることがわかった.. 結言女子高校生を対象として, 着物浴衣に対するイメージを調査し, 現代的な着物, 古典的な着物, ブランド浴衣, 古典的な浴衣間のイメージの差について検討した. 結果は以下の通りである. 1) 調査の分析に因子分析を用いたところ, 華やかさ, 実用性, 親しみの 3 因子が抽出された. 2) これら 3 因子について, 現代的な着物, 古典的な着物, ブランド浴衣, 古典的な浴衣の因子得点を多重比較したところ, イメージの違いが顕著にみられた. 華やかさの因子については, 現代的な着物とブランド浴衣の得点が高く, 次いで, 古典的な着物であり, 古典的な浴衣が最も低かった. 実用性の因子については, 古典的な浴衣の得点が最も高く, 次いで, ブランド浴衣と古典的な着物であり, 現代的な 93

6 TAMURA Kazuko, MUROI Rie 着物が最も低かった. 親しみの因子については, ブランド浴衣の得点が最も高く, 次いで, 古典的な浴衣と古典的な着物であり, 現代的な着物が最も低かった. 3) 因子得点間の相関を求めたところ, ブランド浴衣において, 華やかさと実用性の因子間, 華やかさと親しみの因子間に正の相関があることがわかった. 古典的な浴衣においては, 華やかさと実用性間に正の相関が認められた. 4) 重回帰分析を行ったところ, ブランド浴衣において, 華やかさ = 実用性親しみの回帰式が求められた. 以上の結果から, ブランド浴衣を気軽に楽しめると評価した生徒は, ブランド浴衣に対して華やかな印象をもっており, 実用性と親しみが華やかさの印象につながっていることが推察された. 今後, 調査対象者を増やすことで, さらに明らかな結果が得られるものと考える. 謝辞生, そして, アンケートにご協力いただきました生徒の皆様に深謝します. References [1] Watanabe S, Kawamoto E, Nakagawa S (1991) Journal of Home Economics ofjapan, 42, [2] Kato Y (2006) Journal ofhome Economics ofjapan, 57, [3] Naitou A, Kobayashi S (2002) Jpn. Res. Assn. Text. End- Uses, 43, [4] Kamitani A, Ishihara H (2008) Jpn. Res. Assn. Text. End- Uses, 49, [5] Toizumi Y, Nagai M, Nakagawa S (1990) Journal ofhome Economics ofjapan, 41, [6] ShiroM, UchidaE, HatanoA(2000) Jpn. Res. Assn. Text. End-Uses, 41, [7] Fujiwara Y (1987) Journal ofhome Economics ofjapan, 38, 本研究にあたり, 調査にご協力いただきました岩村明子先 94

Journal of Textile Engineering, Vol.57, No.6, pp

NOTE Journal of Textile Engineering (2011), Vol. 57,. 6, 163-169 2011 The Textile Machinery Society of Japan University Student s Conscious Attitudes toward Coming of Age Costumes TAMURA Kazuko Faculty