阪神地域編 (1) 第 1 回 (2014 年 12 月 3 日配信分 ) 不整脈専門医からみた地域医療連携の実情とあり方 監修 井上耕一先生桜橋渡辺病院心臓 血管センター不整脈科科長 心房細動診療の最前線を学ぶマスターシリーズ第 2 弾 地域でまもる心房細動患者 ~わがまちの医療連携 ~ の最初の

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1 紙上再録 阪神地域編 心房細動マスターシリーズ第 2 弾 第 1~6 回 地域医療連携の実情とあり方 桜橋渡辺病院心臓 血管センター不整脈科科長 井上耕一先生 兵庫医科大学脳神経外科学講座主任教授 吉村紳一先生 勝部医院院長勝部芳樹先生 p.2 第 1 回 不整脈専門医からみた地域医療連携の実情とあり方 井上耕一先生 p.7 p.11 第 2 回 脳卒中専門医からみた地域医療連携の実情とあり方 吉村紳一先生 第 3 回 プライマリケア医からみた地域医療連携の実情とあり方 勝部芳樹先生 p.15 p.18 p.24 ~ 鼎談 不整脈専門医 脳卒中専門医 プライマリケア医 ~ 地域医療連携の実情とあり方 第 4 回 第 5 回 第 6 回 適切な抗凝固療法の実施 心房細動の早期発見をめぐって 心房細動アブレーション治療の位置づけをめぐって 脳梗塞急性期治療の現状と課題 そして望まれる 3 者連携の形とは 井上耕一先生 吉村紳一先生 勝部芳樹先生

2 阪神地域編 (1) 第 1 回 (2014 年 12 月 3 日配信分 ) 不整脈専門医からみた地域医療連携の実情とあり方 監修 井上耕一先生桜橋渡辺病院心臓 血管センター不整脈科科長 心房細動診療の最前線を学ぶマスターシリーズ第 2 弾 地域でまもる心房細動患者 ~わがまちの医療連携 ~ の最初の舞台は 大阪市から神戸市にかけて人口約 600 万人が暮らす阪神地域です この地域には 高度専門医療を提供する大規模な中核病院から地域住民に密着してプライマリケアを担うクリニックまで 多数の医療機関がひしめき合っており 全国でも有数の充実した医療環境を形成しています そうしたなか 心房細動患者さんのための医療連携は実情として どのように行われているのでしょうか また 連携を担う先生方自身は今後 どういった取り組みが必要と考えていらっしゃるのでしょうか こうした話題について 阪神地域の心房細動患者さんをそれぞれ異なる視点で診ていらっしゃる プライマリケア医 不整脈専門医 そして脳卒中専門医の3 名の先生方から 率直なご意見を伺ってまいります 今回まずお話を頂戴するのは 大阪市にある桜橋渡辺病院心臓 血管センター不整脈科の井上耕一先生です 全国屈指の心房細動アブレーション治療実績を誇る施設の不整脈専門医として 阪神地域全体から訪れる心房細動患者さんを診ていらっしゃいます そのご経験をもとに 日常的な臨床実感を交えて語っていただきました NOAC 登場やアブレーション治療の進歩を機に地域の勉強会が増加 それを足掛かりとしてプライマリケア医 不整脈専門医の連携は大きく前進 井上先生のご施設には 多くの心房細動患者さんが他施設からのご紹介で来院されると思います そうしたなか 心房細動患者さんのための医療連携という点に関して 先生は貴施設の位置する阪神地域の現状をどのようにご覧になっていらっしゃいますか? 心房細動患者さんをお持ちのプライマリケア医の先生方との医療連携という点に関して言えば この地域では現在 非常に円滑な実践が可能になってきているのではないかと思っています かつては 脳梗塞といえば動脈硬化性の脳梗塞を想定することが多く 心原性脳塞栓症についてはあまり認知されていない印象がありました そのため 予防のための心房細動治療の重要性も過小評価される傾向があり この地域でも 心房細動治療の視点から特別にプライマリケア医と不整脈専門医の間で連携するということは あまりなかったように思います しかし最近になり 新規経口抗凝固薬 (NOAC) の登場やカテーテルアブレーション治療の進歩等で 心原性脳塞栓症の予防を含む心房細動の治療は大きなブレークスルーを遂げました そうしたことをきっかけに 心房細動や心原性脳塞栓症をテーマとした地域の先生方のための勉強会が 私たち不整脈専門医も交えてたくさん開催されるようになり 結果として 現在ではこの地域の医療連携は大きく前進したと感じています 地域での勉強会の増加が 心房細動をめぐる医療連携構築の大きなきっかけになったのですね 具体的にどういった形で そうした場が連携の実践に発展したのでしょうか? 勉強会を通じ まず地域のプライマリケア医の先生方に 抗凝固療法の重要性や基礎疾患 リスクファクター管理の重要性 それから根治療法であるアブレーション治療の存在など 心房細動診療に関する知識や最新の情報を知っていただく機会が増えました そして そのような場で顔を合わせることによって 地域の先生方が 不整脈で分からないことがあればこの先生に頼めばいい と思ってくださるようになり 私たち不整脈専門医としても地域の先生方のニーズが分かるようになってきました こうした顔の見える関係が第一歩と 2

3 なって 徐々にプライマリケア医の先生方からのご相談やご紹介が増え それによってよりいっそう意見交換や情報共有が進み 結果として 地域全体で心房細動に対する早期の適切な治療介入が実現されるようになってきた というのが私の印象です こうしたプライマリケア医と不整脈専門医との間の活発な連携が実現できるようになった背景に 何か地域的な要因などはありますか? 一つはやはり人口も医療機関も多い地域ですので 先ほどお話ししたような勉強会などが多く プライマリケア医と不整脈専門医で コミュニケーションを取れる機会が比較的豊富に存在することだと思います 加えて 新しい診療知識の習得と実践に熱心な 意識の高 いプライマリケア医の先生方が多くいらっしゃることも この地域の恵まれているところではないかと思います 逆にこの地域の課題として挙げられる点があるとすれば どのようなことでしょうか? 医療機関が多い地域ということはそれだけ様々なお考えの先生がいらっしゃるということですので やはりプライマリケア医の先生の中には 大変熱心に 毎回のように勉強会に参加される先生もいらっしゃれば 勉強会のような場にはあまり足を運ばれず 交流をもちづらい先生も一定数いらっしゃいます そうした先生方に対し 不整脈専門医としてどのような働きかけを行っていったらよいか どのような働きかけができるのか それを考えることが今の課題だと思っています 基礎疾患の管理および抗凝固療法は プライマリケア医により適切に実践されている 心房細動の早期検出は日常診療での検脈が鍵であり 今後さらなる取り組みが求められている 心原性脳塞栓症一次予防のための連携にあたっては よく不整脈専門医の先生からプライマリケア医の先生に向けて 抗凝固療法 基礎疾患の管理 そして心房細動の早期検出の 3 つを特にお願いしたいという声が聞かれます 井上先生も同じご意見ですか? そうですね プライマリケア医の先生方に心原性脳塞栓症一次予防にあたってお願いしたい役割として 私自身も日頃から 地域の勉強会などで 心房細動の早期検出 適切な抗凝固療法の継続 そしてリスクファクターとなる基礎疾患の管理という 3 点の重要性をお話ししています ただ この地域の現状として 少なくとも私が関わっている範囲に限って言えば そうしたプライマリケア医の先生方の役割はすでに十分果たされている印象があります 例えば リスクファクターの管理に関しては 心房細動患者さんでは高血圧を合併している場合に抗凝固療法による出血のリスクが高くなりますので 通常の高血圧患者さんよりも低めに血圧をコントロールすることが大切になります 当院と連携されている地域の先生方はこうした点を十分理解されており このような合併例では特に注意を払って厳格な降圧を実践してくださっているという印象があります 先ほど先生が実現しつつあるとおっしゃっていたプライマリケア医との円滑な連携が 適切な心原性脳塞栓症の一次予防という形で まさに成果として現れてきているということですね 抗凝固療法についても同様ですか? 抗凝固療法についても ワルファリンしかなかった頃は確かに課題が多かったのですが 管理が簡便なNOACが登場してからは プライマリケア医の先生方がご自身で抗凝固療法を適切に開始 継続されることが多くなりました 例えば 当院にはカテーテルアブレーション治療目的でプライマリケア医から紹介されてくる心房細動患者さんが多くいらっしゃいますが そうした患者さんのほとんどで 既に適切な抗凝固療法を開始していただけているのが現状です また 世間一般的には 専門医のところで処方した NOACがいつの間にかワルファリンやアスピリンに変更されてしまっていた というようなケースがあると伺いますが 私自身は この地域でそうしたケースを経験したことはありません NOAC 登場後 少なくともこの地域のプライマリケアにおける治療のクオリティーは向上していると感じています 3

4 心房細動患者さんにとっては この地域は非常に理想的な治療環境ですね そう思います ただ 当院に心房細動患者さんを紹介してくださるプライマリケア医の先生というのは やはりカテーテルアブレーショ ン治療まで選択肢として考えてくださるような先生方ですから 心房細動治療について特別に意識が高いのかもしれません 地域全体 の実情がどういった状況であるかを考えるうえで その点は注意が必要ですね 心房細動の早期検出については どんな現状でしょうか? 心原性脳塞栓症一次予防に向けた心房細動の早期検出は まだ今後よりいっそう取り組んでいくべき点だと思っています そしてそのうえでは やはり検脈が欠かせません 2015 年から 日本不整脈学会と日本脳卒中協会が共同で 脈の日 心房細動週間 を設定し 患者さんご自身に対して直接脈のチェックを呼び掛ける全国的な取り組みも始まりますが プライマリケア医の先生方には ぜひ引き続き日常診療での検脈を大切にしていただきたいと思います 実際に私が経験した症例で プライマリケア医の先生のところで心房細動が検出され その後も通院していたにもかかわらず 一度も脈をとられなかったという患者さんがいらっしゃいました 心原性脳塞栓症の一次予防のためには 心房細動を早期に検出し適切な介入を行うことが欠かせません 落ち着いている患者さんであってもぜひ 継続的な脈のチェックだけはお願いしたいと思います 不整脈専門医として 井上先生ご自身が心房細動早期検出のために工夫されていることは何かありますか? 最近はイベントレコーダー ( 携帯型心電計 ) を活用しています 以前は動悸症状がある患者さんでもなかなか通常の心電図検査では心房細動がとらえられず 診断の難しい場合がありました しかし今はイベントレコーダーを持ち帰っていただくことで 少なくとも症状のある患者さんでは比較的容易に心房細動を検出でき 早期介入に役立っています 脳卒中専門医 不整脈専門医の連携が 心原性脳塞栓症既往患者さんの予後改善につながる可能性がある 不整脈専門医からの積極的な働きかけが連携構築 強化の鍵 ここまで 主に心原性脳塞栓症一次予防のための連携について伺ってまいりましたが 貴施設にご紹介されてくる心房細動患者さんの中に 心原性脳塞栓症の二次予防のために紹介されてくる方はいらっしゃいますか? 当院の場合 ご紹介いただく心房細動患者さんのうち二次予防目的の患者さんは 10% 程度で 非常に少ないのが現状です どのような流れで紹介されていらっしゃるのでしょうか? 紹介の流れとしては 脳卒中専門医の先生のところで心原性脳塞栓症の急性期治療を終えた後 プライマリケア医の先生のもとに戻された患者さんを プライマリケア医の先生が当院にご紹介くださることがほとんどです カテーテルアブレーション治療を目的にご紹介いただくケースのほか 脳梗塞発症をきっかけに初めて心房細動が検出されたため その精査や今後の治療方針決定を依頼されてご紹介いただくケースが多いです 二次予防目的での心房細動患者さんの紹介は非常に少なく しかもそのほとんどはプライマリケア医の先生から という現状なのですね 急性期治療を行った脳卒中専門医の先生から直接ご紹介を受けるケースはないのでしょうか? 心原性脳塞栓症既往の心房細動患者さんについて 脳卒中専門医の先生から不整脈専門医へ という流れでご紹介いただくケースは 現状ではなかなかありません 心房細動のための医療連携では この両者の連携が確かに不足していると思います 4

5 脳卒中専門医の先生から不整脈専門医の先生へ という連携が希薄になってしまっている背景には どういったことがあるとお考えですか? 脳卒中専門医の先生が不整脈専門医へ 二次予防目的でのご紹介をされることが少ないのは 急性期治療を終えた回復期の患者さんに対してさらなる治療の負担を掛けたくない それよりも機能予後を改善するためのリハビリにできるだけ注力させたい とお考えになるからだと思います そもそも一般的には 心原性脳塞栓症を発症した患者さんのうち 少なくない割合の方が亡くなってしまうか 寝たきりになってしまいます それ以外の患者さんもご高齢であったり麻痺が残っていたりして 通院するだけでも大変な負担になることが多いです しかもリハビリの優先度が高いことを考えると 二次予防のために不整脈への介入治療を行う必要があるという判断には なかなかたどり着かないのだろうと思います また 特にこの地域に関して言えば 二次予防は現状 抗凝固療法とリスクファクターの管理を中心に 脳卒中専門医の先生とプライマリケア医の先生の連携の中で適切に実践されていると思います そのためなおさら 脳卒中専門医の先生が不整脈への介入治療の必要性を感じられるケースは少ないのではないか と推察されます 井上先生としては 地域の不整脈専門医と脳卒中専門医の連携が強化されることにより 心原性脳塞栓症既往患者さんに対してより効果的な二次予防ができるようになるとお考えですか? はい そう思います 心原性脳塞栓症既往患者さんの中には カテーテルアブレーション治療によって予後を改善できる可能性のある患者さんが一定数含まれていると考えています 確かに心原性脳塞栓症の転帰は極めて不良ですが 一方で3 割程度の患者さんは退院時に機能障害が軽度であり 1) 社会復帰することができると聞いています そうした患者さんで 特に再発のリスクが高い方や若年の方においては 将来のことを考えて可能な限り心房細動自体へのアブレーション治療も検討し 抗凝固療法との二段構えで再発予防に努めていく方がよいと考えます また 心原性脳塞栓症既往患者さんの中には 心房細動の背景に基礎心疾患をお持ちの方がいらっしゃいます 基礎心疾患の適切な治療とコントロールは 心房細動の進展や心不全の増悪等を防ぐうえで不可欠であり 心原性脳塞栓症既往患者さんのフォローにおいてもぜひ見逃してほしくないところです そうしたことも考慮すると やはり二次予防の面で脳卒中専門医の先生と不整脈専門医がより積極的に連携していく意義は大きいと思います そうした連携の強化に向け 先生は不整脈専門医として現状 どういったことをすべきとお考えですか? 私たち不整脈専門医の側から脳卒中専門医の先生方に向け 心房細動に対する介入治療への興味 さらには信頼を持っていただけるように 働きかけや情報発信の努力が必要だと思います 例えばアブレーション治療の現状として まだ有効性に限界点はあるものの手技はほぼ確立されており 施行経験の多い施設では安定して高い治療成績が得られるようになっています そうした情報について エビデンスを交えて知っていただけるように私たちの側が働きかけなければなりません また 脳卒中専門医の先生方のなかには アブレーション治療に期待されていてもその適応に関する十分な情報がなく 実際の紹介がしづらい という先生もいらっしゃると伺います 基本的にはご紹介いただいた後に不整脈専門医の方で適応判断するということでよいと思いますが どういった患者さんに介入治療を考慮すべきかを分かりやすい形で整理して提示させていただくことも 私たち不整脈専門医の責務かと思います そのほか 二次予防において不整脈専門医の先生がより大きな役割を果たすためには どんなことが望まれるでしょうか? 脳卒中専門医の先生は急性期治療という非常に大きな役割を担っていらっしゃり 治療後の患者さんはできるだけ早くリハビリ病院に送らなければならないという事情があると思いますので リハビリ病院の先生方にアプローチしていくことも大事でしょうね ただ 脳卒中専門医の先生にしろ リハビリ病院の先生にしろ 働きかけを効果的に行っていくためには 心房細動のアブレーション治療が患者さんの予後を改善できるという レベルの高いエビデンスが新たに構築される必要があると思います 現在 アブレーション治療が心房細動患者さんの脳梗塞や死亡のリスクを低減し得ることを示唆した観察研究報告 2) はありますが 前向き研究による確固としたエビデンスはありません また アブレーション治療が心房細動患者さんの心不全を予防して予後を改善するということも 私たち術者としてはその実感があるものの やはりまだエビデンスは乏しいのが現状です 今後 脳卒中専門医の先生やリハビリ病院の先生と二次予防に向けた連携を深めていくにあたっては こうした予後に対するアブレーション治療の有効性を前向き研究で示す必要があると思います 5

6 また 当院に二次予防目的で紹介される心原性脳塞栓症既往患者さんを治療するときですが リハビリ中であったり体が不自由であったりして 患者さんご本人 ご家族とも負担を抱えて生活されていることがしばしばあります したがって できるだけ負担が増えないような方針で治療を行えるように心掛けることが大切ですね 心房細動患者さんのための連携における不整脈専門医の最も重要な役割は一次予防 接点の少ないプライマリケア医へのリーチが今後の課題 二次予防目的の脳卒中専門医との連携もこれからである これまでのお話を踏まえまして 今後さらにこの地域で心房細動患者さんを脳梗塞からまもっていくためには どのような点を重視して連携のネットワークを強化していく必要があるとお考えですか? 不整脈専門医が連携の中で果たすことを求められている最も大きな役割は やはり一次予防ですので そのために不可欠なプライマリケア医の先生との連携は 引き続き強化していくべきだと思います そしてそれにあたってはまず 初めにお話ししたとおり 地域の勉強会などの場にあまり顔を出されず コミュニケーションの機会を持ちにくい先生方への働きかけが 今後この地域では大切になっていくと思います 例えば 従来の勉強会だけでなく 本ウェブサイトのようなインターネット媒体も有効な一手段として活用するなど 私たちとしても働きかけの方法に工夫が必要かもしれません 加えて もう一つ大切な点は 私たち不整脈専門医が一人ひとりのプライマリケア医の先生が求めていらっしゃるものに応じた 柔軟な連携を行うことだと思います プライマリケア医の先生によってご専門や得意とされる領域は様々ですから そのニーズも様々です それを見極め 一番患者さんにとって良い形のバランスで連携していければと思っています 一方 脳卒中専門医の先生との連携 もしくはリハビリ病院の先生との連携に関しては まさにこれからだと思います まずは私たち不整脈専門医の側から アブレーション治療に関する情報の周知に加え 基礎心疾患合併例のように不整脈専門医による管理が必要な心原性脳塞栓症既往例があることの周知を図っていくことが 連携構築の第一歩だと思います そして そうした情報を先生方が信頼し 連携を実践に移すモチベーションとしてくださるよう 私たちは並行して アブレーション治療をはじめとする心房細動治療のエビデンスの蓄積に 引き続き取り組んでいかなければならないと考えています 参考文献 1) 北川一夫ほか. 病型別にみた入院時重症度と退院時予後との関係. 小林祥泰 ( 編 ). 脳卒中データバンク 中山書店, 東京, P )Bunch TJ, et al. Patients treated with catheter ablation for atrial fibrillation have long-term rates of death, stroke, and dementia similar to patients without atrial fibrillation. J Cardiovasc Electrophysiol. 2011; 22:

7 阪神地域編 (2) 第 2 回 (2014 年 12 月 17 日配信分 ) 脳卒中専門医からみた地域医療連携の実情とあり方 監修 吉村紳一先生兵庫医科大学脳神経外科学講座主任教授 前回の 地域でまもる心房細動患者 : 阪神地域編 (1) では 阪神地域における心原性脳塞栓症の一次予防 二次予防のための医療連携について 不整脈専門医の視点から 桜橋渡辺病院心臓 血管センター不整脈科の井上耕一先生にお話を伺いました 今回の第 2 回では 同じテーマに対して 脳卒中専門医である兵庫医科大学脳神経外科の吉村紳一先生にお話を伺います 脳卒中治療のエキスパートとして 同大学の脳卒中センターで心原性脳塞栓症患者さんの急性期治療に日々尽力されている吉村先生は 阪神地域の心房細動診療をめぐる医療連携について どのような印象やご意見を持たれているのでしょうか その現状や課題 今後目指すべき方向性などを語っていただきました 心原性脳塞栓症二次予防におけるプライマリケア医との連携は順調 一次予防ではまだ課題があるものの NOAC 登場で改善の兆し 吉村先生のご施設には 心房細動が原因で心原性脳塞栓症を発症した患者さんが多く搬送されてくることと思います そうしたなか 貴施設の位置する阪神地域での心房細動患者さんをめぐる医療連携の現状について 先生はどのような印象をお持ちですか? 私たち脳卒中専門医にとって心房細動患者さんのための医療連携というと 主に心原性脳塞栓症を発症した方の急性期治療と二次予防におけるプライマリケア医との連携が中心になります その点に関して言えば この地域では適切に行われているというのが印象です 私がこの地域に赴任してきてからの年数はまだ浅いのですが 脳神経を専門とされない地域の先生方に向け 脳梗塞の最新治療法の紹介や心原性脳塞栓症既往患者さんの抗凝固療法を含め 脳卒中をテーマにした地域勉強会等を積極的に行っており この地域の連携を今後もさらに強化していきたいと考えています 課題を感じることもありますか? 二次予防のためのプライマリケア医との連携については問題ないと思う一方 一次予防に関してはやはりまだ改善する余地があると思っています これは 当院に搬送されてくる心原性脳塞栓症患者さんの中には依然として 抗凝固療法の未実施やコントロール不良の結果として搬送されてくる方が少なくないからです 以前 自施設に搬入された心原性脳塞栓症例 100 例を調べてみたところ 30 名の患者さんは既に心房細動と診断されていたにもかかわらず その7 割は抗凝固薬を服用していませんでした また ワルファリンを内服していた患者さんも全員 PT-INR<1.6で 抗凝固療法によって適切に管理されていた例は1 例もなかったという結果でした 私たちは脳主幹動脈閉塞による脳梗塞患者さんに対して血管内治療を積極的に行っていますので 地域の中でも特に抗凝固療法に問題のあった例が集中したのだろうとは思います しかし これらの患者さんに適切な抗凝固療法が行われていれば発症を防げた あるいは軽症におさえられた可能性は否定できないと思います 心房細動と診断されているにもかかわらず抗凝固療法が不十分になってしまう背景として 先生はどういったことがあるとお考えですか? 原因の多くはワルファリンの使いづらさによるものだったと思います ワルファリンは頻繁な採血検査が必要ですが 採血が苦痛で患 7

8 者さんの受診が不規則となり 結果として内服を中止してしまうケースが多いと感じていました 一方 プライマリケア医の先生方からは ワルファリンは出血合併症が多いので使用しにくい との声も聞いておりました 当時は抗凝固療法としてはワルファリン以外の選択肢がありませんでしたし 一次予防になかなか踏み出せないというのは ある意味仕方のないことだったのかもしれません 今はワルファリンほど頻繁な採血検査が不要で 投薬管理の容易な新規経口抗凝固薬 (NOAC) が使用可能となっていますね こうした NOAC の登場後 抗凝固療法の実施状況に変化はみられていますか? はい 明らかに良くなってきていると思います NOACを飲んでいて脳塞栓症になった患者さんが全くいないわけではないのですが その数はワルファリン服用者に比べると明らかに少ないと感じます NOACでは採血に伴う患者さんの負担や出血合併症に対する懸念が軽減されますので 服薬アドヒアランスについても改善されていくのではないかと思います また NOACの登場でプライマリケア医の先生方との連携が促進されている印象があります これまではワルファリンによるコントロールの難しさから 急性期治療後の心原性脳塞栓症患者さんをプライマリケア医に戻しにくく 抗凝固療法だけは私たちが外来で管理することもありました しかし 投薬管理の容易なNOACが出て 私たちも以前ほど施設情報を気にすることなく患者さんをお戻しできるようになりました 結果として プライマリケア医と脳卒中専門医の連携には大きく拍車がかかったと感じています 脳卒中専門医は 心原性脳塞栓症二次予防のための徹底した心房細動検出と病型診断を プライマリケア医 不整脈専門医の先生方には 一次予防のための心房細動検出と治療を 心房細動と診断されていたにもかかわらず心原性脳塞栓症を発症してしまう患者さんがいらっしゃる一方で 心房細動と診断されることなく発症してしまう患者さんもいらっしゃるのでしょうか? はい いらっしゃいます 先ほど 自施設に救急搬送された心原性脳塞栓症例 100 例中の約 3 割は既に心房細動の診断を受けていたとお話ししましたが ほぼその同数の患者さんは心房細動と診断されないまま いきなり心原性脳塞栓症を発症した症例です これにはどのような背景があるとお考えでしょうか? 心房細動の検出自体が十分に行われていないため 一次および二次予防も不十分になっているということだと思います 特に注意すべきなのは脳梗塞の病型診断です 私たちは頭部 CTやMRIだけでなく ホルター心電図や経食道心エコーまで必ず行って総合的に判断しています しかし実際にはMRIのみでアテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞などと診断され 心房細動の十分な検出が行われないまま抗血小板薬を処方されてしまうケースが後を絶ちません そうなると患者さんの内服が規則的であっても脳塞栓症を再発してしまい その時になってはじめて心原性であったことに気づくことになります 残念ながら現在でもこのようなケースは多く存在します 私たちは病型診断を徹底する必要性を一次搬送先である急性期医療機関に対して啓発していかなければならないと考えています そしてこれこそが脳卒中専門医と急性期医療機関との連携の重要ポイントであると言えます 適切な病型診断が行われるために 具体的にはどのようなことを啓発していく必要があるとお考えですか? まずは一次搬送先となる急性期医療機関の先生方に対し 急性期治療を終えられた患者さんが退院されるまでの間の適切な病型診断の必要性をお伝えしたいと思います ただし 経食道心エコーなどはどの施設でもできるわけではありません したがって正確な病型診断が難しい場合には脳卒中専門医へ紹介することの必要性を呼びかけていく必要があります そしてプライマリケア医の先生方に対しても 一過性脳虚血発作 (TIA) や脳梗塞を起こしたら必ず一度は脳卒中専門医にかかるよう 患者さんを導いていただきたいと思います つまり 脳梗塞例に対しては必ず専門医が病型診断をする という意識改革が 脳梗塞に関わる全ての先生方の間でまずは必要なのだと思います そのうえで紹介を受けた脳卒中専門医の先生方にお願いしたいのが 的確な検査の実施です 先ほど 本当は心原性であるにもかかわらず十分な検査がなされないまま動脈硬化性と診断され 再発したという例を紹介しましたが こうした例には 発症時に心電図検査 経胸壁心エコー および頚動脈エコーしか行われていないことが多いのです 私の経験からすると たとえ頚動脈エコーで動脈硬化所見が認められたとしても そこから一歩踏み込んで経食道心エコーまで行うと 心内血栓やもやもやエコーが見つかったりするケースがあります ぜひ専門医の先生方にはそこまで徹底していただき 次の診療につなげていただきたいと思います 8

9 病型診断がどうしても困難な例もあるとお聞きしますが そうした例ではどのようにされていますか? 確かに なかには心原性の可能性を否定できないものの 経食道心エコーやホルター心電図まで行っても心房細動の診断がつかず 専門医ですら病型診断が困難な症例が存在します こういった症例群は近年 Embolic Stroke of Undetermined Source(ESUS) と呼ばれるようになり 研究が進められています 最近では 24 時間心電図で心房細動が検出されなかった潜因性脳卒中患者さんに埋込み型の心電計をつけて経過観察したところ 半年間で約 9% 1 年間で約 12% の患者さんに心房細動が検出されたという報告がありました 1) つまり たとえ 24 時間心電図で心房細動が検出されなくても 翌日 翌々日に心房細動が起こるかもしれず 必ずしも非心原性とは言い切れないことが分かってきたわけです ESUSについては今後もだんだんと解明されていき 将来的にはより適切な診断と治療ができるようになると思っています こうした心房細動の検出努力は 心原性脳塞栓症の発症後だけでなく 発症前の一次予防のためにも重要ですね 一次予防の観点からはどのような改善を期待されますか? 一次予防の視点からの心房細動検出に関しては やはりプライマリケア医の先生と不整脈専門医の先生に期待させていただきたいところです ここ阪神地域は人口 600 万人を超える地域ですので 心房細動の潜在患者さんは多く存在すると考えられます そうした患者さんを早期に見つけ出したうえで 理想を言えば 不整脈専門医の先生方には 心原性脳塞栓症の元凶である心房細動そのものを治していただきたいと思っています 薬物治療であろうとアブレーション治療であろうと 心原性脳塞栓症を未然に防げる可能性があるのであれば リスクとのバランスがとれる範囲で できる限り積極的に取り組んでいただきたいと思います プライマリケア医との連携とは異なり 不整脈専門医との連携は希薄 より効果的な心原性脳塞栓症二次予防を目指して一歩踏み出す努力を 心原性脳塞栓症の一次予防という観点から不整脈専門医に言及がありましたが この地域における不整脈専門医 - 脳卒中専門医の連携はどのような現状にあるとご覧になっていますか? 不整脈専門医の先生方との連携となると 主に心原性脳塞栓症既往患者さんの二次予防が目的になると思います しかしこの地域において不整脈専門医と脳卒中専門医が直接的に意見交換やコンサルテーションをするような機会は 残念ながら現状ではほとんどないと思います 確かにNOACの登場によって 講演会や勉強会を通じて不整脈専門医の先生方とお会いする機会は以前よりも増えました しかし こうした講演会等は両者の連携というよりも現状はあくまで NOACをテーマとしたものですので どうしても脳梗塞未発症の心房細動患者さんを主に診ていらっしゃる不整脈専門医の先生方は一次予防の観点から 脳梗塞発症後の患者さんを主に診ている脳卒中専門医は二次予防の観点から話すことが中心になります お互いの患者さんのバックグラウンドが異なる以上 なかなか連携についての意見交換とはいかないですね 実際の治療現場ではいかがですか? そもそも心原性脳塞栓症の患者さんは一般に予後不良なので 心房細動治療について不整脈専門医へ相談できる程度にまで回復される患者さん自体が少ないのです 結果として 実際の治療現場でも 脳卒中専門医から不整脈専門医へという流れはほとんどできていません 加えて やはり私たち脳卒中専門医としては急性期治療を通じ 脳梗塞を発症した患者さんを少しでも良い状態にすることに大きな力を注いでいます したがって 二次予防に必要な投薬やリハビリ等まではもちろん行いますが そこからさらにもう一歩踏み込み 心房細動治療のために不整脈専門医の先生方と連携するところまではなかなか力が及んでいないのが現状です 先生ご自身も 心原性脳塞栓症既往の患者さんを心房細動の治療のために不整脈専門医へ紹介されたご経験はないのでしょうか? 数としては少ないですが 私自身は紹介して奏効した経験があります 心原性脳塞栓症を起こす方の中には 若くして発症し 急性期治療によって劇的に回復するという方が 多くはないですがいらっしゃいます そうした患者さんに対しては 私は一度不整脈専門医に相談してみることをお勧めしています こうした患者さんでは今後を考えて元凶である心房細動の治療に取り組む必要がありますし さらに最近はカテーテルアブレーション治療も進歩していると聞いていますので 紹介してみる価値は大きいと思っています 実際 そのようにしてアブレーション治療を受けられ 心房細動が治ったという患者さんがいらっしゃいました 9

10 そうした先生ご自身のご経験も踏まえ 今後 不整脈専門医と脳卒中専門医の連携はどのようになっていくことが望ましいとお考えですか? 私自身はこうした経験もあり 不整脈専門医との連携は今後取り組むべき課題だと思っています 実際 2015 年に神戸で私が代表幹事をつとめるワークショップがありますが 主題である急性期脳梗塞治療の話だけでなく カテーテルアブレーション治療などの不整脈治療の最前線に関するお話も取り上げられればと考えています 私たちとしても心房細動が治るならそれに越したことはなく その可能性があるのなら 従来の心原性脳塞栓症二次予防法である抗凝固療法から一歩踏み出して 不整脈専門医の先生方とできる限り連携していきたいですね そのために地域の不整脈専門医の先生方に期待することはありますか? カテーテルアブレーション治療の適応と有効性 安全性等に関する情報を始め 心房細動治療の現状について 脳卒中専門医にも積極的に発信していただきたいです 私たちもどういった患者さんであればアブレーション治療が奏効するのかなど 現状では分からない部分が多くありますので そういった理解が進めば 安心して患者さんを紹介できるようになると思います プライマリケア医との連携も 一次予防まで視野を広げてより強固に 今後は患者さんへの正しい情報提供に向けた協力も不可欠 最後に改めて プライマリケア医の先生方との連携についてですが 今後この地域ではどのような形での連携の強化が求められるとお考えですか? これまでに申し上げた通り まずは心原性脳塞栓症既往患者さんの再発を防ぐ目的から 抗凝固療法の適切な継続 そして脳卒中専門医による病型診断という 2 点は プライマリケア医との連携強化というなかで今後も一層啓発の必要があるところだと思います 加えて 近年はCHADS 2 スコアや CHA 2 DS 2 -VAScスコアといった脳梗塞のリスクを見極めるための指標が普及してきていますので こうしたスコアが高い いわゆる脳梗塞ハイリスクの患者さんについては 一次予防の段階から脳卒中専門医とプライマリケア医が連携していくと良いかもしれません 具体的には 未発症のうちに脳血管や心臓の精査を行って状態を把握し そのうえでプライマリケア医の先生方に抗凝固療法や基礎疾患の管理を行ってもらうという形ですね 今後は高齢化に伴ってハイリスク患者さんは増えると思いますので こうした連携が必要になるのではないでしょうか 一次予防の段階から連携しておけば 患者さんが万一脳梗塞を発症してしまった場合の病型診断も迅速に行われそうですね そうですね 心房細動を基礎疾患に持つことや発症前の脳血管の状態がわかっていれば 脳梗塞を発症してしまった場合に病型診断の大きな助けになりますね 現在も 心房細動の既往については かかりつけのプライマリケア医の先生への問い合わせやお薬手帳 紹介状などから知ることができますが それでもやはり情報が得られない場合があります 普段からプライマリケア医の先生方と脳卒中専門医との連携がしっかりとれているほど 患者さんにとっては有益になると考えます その他 阪神地域でのプライマリケア医の先生方との連携にあたって 強化が必要と思われる点はありますか? プライマリケア医の先生方とは今後 患者さんへの正しい医療知識の啓発という点でも連携する必要があると思っています 最近は医療に関する本が増え インターネットも普及した結果 情報が交錯し なかには 薬は全て毒であるので中止すべき というような情報も目にするようになりました 実は先日も そうした情報の影響で脳梗塞既往患者さんが抗凝固薬の服用をやめてしまい 再発して搬送されてしまいました 医学においても情報の公開は大切ですが 病状というのは一人ひとり異なるものです ですから情報が正しいかどうか 自分に合っているかどうかを 信頼できる医師と相談できるように環境を整えていく必要があります 私自身は市民講座やマスメディアの取材を積極的に引き受けて啓発に努めていますが 一人でできることには限界があります 地域全体の医療者が協力し 一体となって啓発に取り組むことができれば 患者さんがより安心して適切な医療を受けられる環境を構築できるのではないかと思います 参考文献 1)Sanna T, et al. Cryptogenic stroke and underlying atrial fibrillation. N Engl J Med. 2014, 370:

11 阪神地域編 (3) 第 3 回 (2015 年 2 月 4 日配信分 ) プライマリケア医からみた地域医療連携の実情とあり方 監修 勝部芳樹先生勝部医院院長 3 回目となる 地域でまもる心房細動患者 : 阪神地域編 ですが 地域医療連携の現状を不整脈専門医の視点からとらえた第 1 回 脳卒中専門医の視点からとらえた第 2 回に続き 今回は兵庫県西宮市で開業医をされている勝部芳樹先生より プライマリケア医のご視点からのお話を伺います 長年この地域に根差して心房細動患者さんの総合的な治療と管理に取り組まれていらっしゃる勝部先生にとって 地域の心房細動患者さんのための医療連携は今日どのような状況にあると映っているのでしょうか 地域中核病院の専門医と連携していく コツ なども交えながら プライマリケア医の視点からみた 阪神地域の心房細動診療をめぐる連携の現状と課題 今後の展望などについて語っていただきます 阪神地域は医療機関が多く 連携には恵まれた環境 不整脈専門医とは主にアブレーションの適応判断や基礎心疾患の治療で 脳卒中専門医とは主に脳卒中の発症時とフォローで連携を実践 勝部先生は 長年プライマリケア医としてこの阪神地域の心房細動診療に携わっていらっしゃることと思いますが 先生からご覧になって この地域の心房細動診療をめぐる地域医療連携はどのような現状といえますか? この地域は医療機関が非常に多く 連携にあたっては比較的恵まれた地域といえます 当院の位置する西宮市近隣だけでも 診療所の数は400を超えますし 兵庫医科大学や関西労災病院 県立西宮病院といった中核病院も数多く存在しています 他にも循環器に力を入れている中堅病院などがあり 場合によっては大阪や神戸の高次医療機関に行くこともできる距離です おかげで私たちプライマリケア医としては 患者さんに特段大きな負担を強いることなく設備の整った医療機関を紹介することができますので 循環器疾患の救急対応を含め 医療連携は全般的に充実している地域だと思います また 医療機関が多いため 循環器に限らず さまざまな診療分野をテーマにした地域勉強会が規模の大小を問わず盛んに行われています こうした場では 脳卒中や不整脈を専門とする中核病院の先生方を含め 地域の先生方が多数集まりますので 結果的に顔の見える関係が構築され 地域の活発な病診連携につながっているのではないかと思います プライマリケアから高度医療まで提供できる環境が近隣で整っているうえ 先生方同士が交流できる機会も多いということですね そうですね 阪神地域というのは広いですから 場所によっては状況が変わると思いますが 少なくとも当院のある阪神南地区に関しては連携で困っているという先生は少ないと思います 先生ご自身は普段 心房細動患者さんについて不整脈専門医および脳卒中専門医の先生方とどのような連携をされていらっしゃいますか? まずなにより こうした専門医の先生方がいらっしゃる地域の中核病院とのコミュニケーションを日頃から大切にしています 近隣病院 11

12 がほぼ毎月のように主催する勉強会等にはできる限り参加するようにしていますし 専門医の先生が中心となって開かれる会では私たちが世話人を務めたりもしています また逆に 私たちが専門医の先生に依頼して勉強会を開いていただくこともあります 私の場合はこうした日頃の関係をベースにしながら 不整脈専門医の先生とは主にカテーテルアブレーション治療が適応になり得る心房細動例や 弁膜症や心筋症といった基礎心疾患を合併しており それらの合併症の細かな管理が必要な心房細動例を中心に連携しています それ以外の心房細動例に対するレートコントロールや抗凝固療法などではあまり困ることはありません 心不全や虚血性心疾患などの合併例も可能な限り当院でフォローできるように努めています 脳卒中専門医の先生とはどのような連携をされているのですか? 脳卒中専門医の先生との連携は 主に脳卒中のリスクが高い方の検査や 発症してしまった方の紹介 逆紹介が中心です 脳卒中急性期は時間との勝負ですから 発症時の連携については日頃から気を配っていますね ただ幸いにしてこの地域ではそうした急性期の連携は比較的密に実践されてきていますので プライマリケア医として何か特別な連携をしているというようなことはありません また 心房細動が原因で心原性脳塞栓症を起こした患者さんのうち 狭心症あるいは心筋梗塞のような冠動脈疾患の既往があるケースでは 私は積極的に脳卒中専門医とコンタクトをとるようにしています 特に薬剤溶出性ステントで冠動脈疾患を治療した症例では 少なくとも 1 年間は抗血小板薬を2 剤併用することが推奨されていますので 1,2) そのうえで心原性脳塞栓症再発予防のための抗凝固薬投与となると出血リスクがさらに高まります 3) したがって このような合併例では専門医と連携しながらフォローアップするようにしています 専門医との病診連携に加え 診療科を超えた地域のプライマリケア医同士による診診連携が 地域の心房細動診療のもう一つの支え 心房細動を診ている地域のプライマリケア医の先生方のなかには 循環器をご専門とされない先生も多くいらっしゃると思います そうした先生方にとっても比較的連携しやすい環境にあると思われますか? そうですね 心房細動に関する勉強会では 地域で開業されている眼科や精神科の医師など 他科の先生方も熱心に参加されています 私たちのように循環器を専門とするプライマリケア医も 他科の先生方も来てくださるよう積極的にお声掛けしますし 実際に他科でも心房細動を合併する患者さんはいらっしゃるということでご参加くださいますので 連携の下地は比較的よく整っている方ではないかと思います また循環器以外でも 日常診療に役立つ知識を互いに教え合うような小規模の勉強会をよくやっています ここはプライマリケア医が多いため こうした個人単位での勉強会も比較的気軽に開け プライマリケア医同士の関係作りと知識の共有に役立っているのだと思います 専門医との連携だけでなく プライマリケア医同士の連携も地域の心房細動診療を支えているのですね プライマリケア医はさまざまな疾患を診ますので 病診連携はもちろん大切ですが プライマリケア医同士で互いの得手不得手を補い合う診診連携も重要だと思います 特に心房細動についてはすべての科に関わる疾患ですので 診診連携の意義は大きいですね ただ一方で 現在のこの地域での診診連携は 私が知る限りまだあくまで個人レベルのつながりだと思います そのため つながりを多く持つ先生もいれば 逆にあまり持たない先生もなかにはいらっしゃるようです そうしたつながりを拡大していく方策を 今後も地域の先生方と考えていきたいと思っています 専門医との連携において大切なことは 逆紹介後は専門医の治療方針を忠実に引き継ぐこと そしてそのための情報や知識 技術の習得 まさに理想的な形で発展してきているように見受けられる阪神地域の医療連携ですが そのコツのようなものはあるのでしょうか 例えば 勝部先生は実際に専門医の先生方と紹介 逆紹介といったやり取りを行う際 プライマリケア医としてどのようなことを工夫していらっしゃいますか? これといって特別な工夫と呼べるようなものはありません ただプライマリケア医として当たり前のこと 私の場合は循環器を専門とするプライマリケア医としてやるべきことをやっているだけです 12

13 例えば 不整脈専門医の先生にアブレーション治療の可能性を考えて紹介する際には レントゲンや心電図検査 場合によっては心臓エコー検査やホルタ 心電図検査など 当院でできる範囲の検査はしっかりと行い 患者背景や心房細動罹患歴 心機能などの検討をしたうえで紹介をしています そして患者さんが治療を受けて当院へ戻られた後は 専門医の先生が指示された術後管理の方針を忠実に実践するよう努めています 脳卒中専門医の先生との連携についても同様で 逆紹介時には必ず専門医の先生からの治療 管理についての方針を引き継ぐよう努めています それを基礎疾患等にも注意しながらしっかりと継続していくことが プライマリケア医としての私の務めだと思っています プライマリケア医に求められていることを実直にこなすということが 連携の大きなコツなのですね 他方で 最近は新規経口抗凝固薬 (NOAC) やアブレーション治療などの新しい診療情報も多く 高齢化でさまざまに基礎疾患を抱えた患者さんも増えています 求められていることをこなし続けていくことも容易ではないのでは? そうですね その点は常に勉強が必要だと思います プライマリケアは診療範囲が広いので確かに大変ですが 幸いにしてこの地域では 先ほどお話ししたように大小さまざまな勉強会があり 診診連携も活発です 万一心房細動の治療 管理で不安に思う点があれば そうした勉強会やプライマリケア医同士のつながりを通じて情報や知識を得ることができますし 自分で対応が難しければ循環器を専門とするプライマリケア医へ紹介するという対応もできます つまり重要なことは 勉強なり他のプライマリケア医との連携なり 自分の診療範囲をきちんと見極めて 専門医の先生から指示された方針を的確に実践するために必要な行動をとるということではないでしょうか 専門医の先生がプライマリケア医に求めることとして よく脈を診ることが挙げられるのですが プライマリケア医として先生はどう思われますか? 私は 脈を正確に診ることは心房細動を見つけるためのみならず プライマリケア医としての日常診療の基本だと思っています 実際 例えば糖尿病や消化器疾患で通院されている方であっても 血圧測定と脈拍測定は通常ほぼ必ず行います 実際に脈を診ることで心房細動が見つかる患者さんは多いのですか? 先ほどお話しした通り阪神地域は医療機関が非常に多いことから 患者さんが分散しており 1 医療機関あたりの平均患者数はそれほど多くないと思います また 当院では再診の方が大半ですので 新規の心房細動患者さんを見つけることはそうそうありません たとえ新規で心房細動が見つかる場合であっても その多くは動悸を訴えて来院される患者さんです ただ それでもやはり心房細動患者さんのなかには無症状の方がいますし 当院の通院患者さんでたまたま脈が飛んでいて気づいたという発作性心房細動のケースも実際に経験しています ですので プライマリケア医が日常診療の一環として脈を診ることは 当たり前のことではありますが心房細動の検出に大切なことだと思います 今後のよりよい連携に向けて 不整脈専門医の先生にはアブレーションを含めた心房細動治療全般に関する情報発信を 脳卒中専門医の先生には情報発信に加え 引き続き脳卒中急性期治療へのご尽力を期待 プライマリケア医は求められる役割を果たすための継続的な努力と互いの啓発を これまでのお話から この地域では プライマリケア医の先生が心房細動診療におけるご自身の役割や連携のあり方を 専門医の先生方と高い意識で共有され かつ実践に努めていらっしゃることを強く感じます すでに患者さんにとって理想的な環境ができつつあるように思われますが 今後さらに連携を強化していくとすれば 不整脈および脳卒中専門医の先生方にどのような役割を期待しますか? まず 不整脈専門医の先生には引き続き プライマリケア医とのコミュニケーションや心房細動治療に関する情報共有を目的とした地域の勉強会等の開催にご協力をいただきたいと思います その際 先ほど申し上げた通りプライマリケア医にはさまざまなバックグラウンドの医師がおりますので 最近 頻繁に耳にするNOACの話題ばかりではなく アブレーション治療や抗不整脈薬使用の現状もまじえて 心房細動治療全般に通じる話をしていただけると有意義なのではないかと思います 実は 先日まさにこうした内容のご講演を桜橋渡辺病院の井上耕一先生注 ) がしてくださったばかりで 今日の心房細動治療の全体像を大変分かりやすくお話しくださったので 13

14 出席された他科の先生方からも 来てよかった と大変好評でした また 近年急速に進歩してきているアブレーション治療には 循環器を専門とするプライマリケア医としては特に興味があります 最新の実施状況や成績など 不整脈専門医の先生方には積極的に発信していただければと思います 当院では適応となる症例がまだ少ないのですが あと 5~10 年もすれば 持続性の心房細動等でも治療成績が向上し さらに多くの患者さんの治療が可能になるのではないかと期待しています アブレーション治療は急速に普及してきていますから 今後もその進歩には注目していきたいですね 注 ) 桜橋渡辺病院の井上耕一先生は 本シリーズ第 1 回 地域でまもる心房細動患者 : 阪神地域編 (1) ~ 不整脈専門医からみた地域医療連携の実情とあり方 ~ でご登場いただきました では 脳卒中専門医の先生方の役割についてはどのようにお考えですか? 脳卒中専門医の先生方にも不整脈専門医の先生方と同様 プライマリケア医に対する勉強会や講演会などを通して 脳卒中の治療等に関する最新の情報を地域全体に発信いただけることをお願いします 加えて 脳卒中専門医の先生方にはこれまで通り心原性脳塞栓症への迅速なご対応をお願いできればと思います この地域の脳卒中急性期治療の水準は非常に高いのですが 脳卒中患者さんの予後をさらに良くしていくためには これまで以上に効率的な救急搬送のネットワーク作りが求められていると思います 現在 当院のある西宮市近隣では h-anshinむこねっと 4) という二次救急システムの構築が進められていますが このシステムが稼働すれば 地域の登録医療機関の診療機能情報や患者情報などが閲覧できるほか 病院のリアルタイムな救急受け入れ状況が検索できるようになると聞いています 心房細動患者さんが万一心原性脳塞栓症を発症してしまった場合も 時間をロスすることなく適切な急性期医療機関への救急搬送が可能になるでしょうし 脳卒中既往患者さんの紹介 逆紹介などもやりやすい環境が整うと期待しています では最後に 今後の阪神地域の心房細動患者さんをめぐる医療連携でプライマリケア医に期待される役割について プライマリケア医である勝部先生ご自身のお考えを教えてください プライマリケア医の役割は 日常診療で心房細動を見逃さないこと そして心房細動に対する基本的な治療である抗凝固療法やレートコントロールができるようにしておくことです そのためにも 専門医による勉強会や講演会にはできる限り参加し 必要な知識や情報を積極的に取り入れていくことが大切だと思います 一方 そうした基本的な役割を既にしっかりとこなされている先生方にとっては 専門医の先生方から得た知識や情報を自分の地域のプライマリケア医全体でいかにして共有していけるか それを考えることが重要な役割になるのではないかと思います 何度も申し上げた通り プライマリケア医にはさまざまなバックグラウンドの方がおられるので プライマリケア医同士のネットワークを活かしてお互いに声をかけ合い 専門医の先生方とも協力しながら 地域全体で対応していく努力が必要になっていくように思います 参考文献 1) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン (2012 年度合同研究班報告 ), ST 上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン (2013 年改訂版 ) 2) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン (2010 年度合同研究班報告 ), 安定冠動脈疾患における待機的 PCI のガイドライン (2011 年改訂版 ) 3)Dewilde W, et al. Design and rationale of the WOEST trial: What is the Optimal antiplatelet and anticoagulant therapy in patients with oral anticoagulation and coronary StenTing (WOEST). Am Heart J. 2009; 158: ) 阪神医療福祉情報ネットワーク h-anshin むこねっと ( 14

15 阪神地域編 (4) 第 4 回 (2015 年 2 月 18 日配信分 ) ~ 鼎談 不整脈専門医 脳卒中専門医 プライマリケア医 ~ 地域医療連携の実情とあり方 1 適切な抗凝固療法の実施 心房細動の早期発見をめぐって 心房細動に対する地域的な医療連携の実践に焦点をあてる本マスターシリーズ第 2 弾 地域でまもる心房細動患者 ~わがまちの医療連携 ~ では 最初の舞台として阪神地域を取り上げ これまで 3 回の配信を通じ阪神地域で診療にあたられている 3 名の先生方 不整脈専門医の井上先生 脳卒中専門医の吉村先生 プライマリケア医の勝部先生から それぞれ順にお話を伺ってまいりました 今回からの計 3 回ではその締めくくりとして 3 名の先生方全員に鼎談という形で直接 情報 意見交換を行っていただきます 鼎談の1 回目となる今回は 地域医療連携の実情についてそれぞれの先生方が感じていらっしゃる手ごたえと課題を 抗凝固療法の普及と心房細動の発見という題材のもと 語り合っていただきました NOAC 登場以降 適切な抗凝固療法の知識が地域全体に浸透してきた印象 出血リスク指標がないことで不安感がある半面 プライマリケアでも処方しやすくなった しかし抗凝固療法が不十分で脳塞栓症になる例もまだ少なくなく 抗凝固療法のより良い実践の形について 今後も地域全体で考えることが大切 心原性脳塞栓症の予防を考えるうえでまず欠くことのできないトピックは 抗凝固療法だと思いますが 先生方はご自身の心房細動患者さんを診療されているなかで この阪神地域での抗凝固療法の実施状況に関し どのような印象をお持ちでしょうか? 新規経口抗凝固薬 (NOAC) が登場したことによる変化等も踏まえてお聞かせください 井上 : 適切な抗凝固療法による心原性脳塞栓症の予防が心房細動患者さんの予後を改善するうえで非常に重要であることは 今や議論の余地がないところだと思います 特に近年のNOAC 登場以降 心房細動に対する抗凝固療法をテーマに取り上げた勉強会が数多く開催されるようになりました そのおかげもあってかと思いますが この地域では プライマリケア医の先生方が抗凝固療法について非常に豊富な知識を持たれるようになっていて 適切な抗凝固療法がかなり普及してきていると感じています 実際 以前は紹介医の先生から 抗凝固療法はよく分からないのでお任せします と言われたり抗血小板薬を処方されていたりといったケースが多々ありましたが 今では当院にプライマリケア医の先生から心房細動患者さんが紹介されてくると すでに適切な抗凝固療法を開始していただいている というケースが大変多くなっています 勝部 : 私はプライマリケア医としてこれまで主にワルファリンを処方してきましたが 確かに NOACが出たことで抗凝固療法は以前より管理しやすくなったと思っています ワルファリンはやはり管理が煩雑でしたので とりわけ循環器を専門としないプライマリケア医の先生にとっては使いづらさがあったと思いますし 循環器専門医でもワルファリン処方時の出血リスクにはしばしば不安を感じているように思います 私の場合は 例えば高齢で認知症のある方や同居家族のいない方など 服薬アドヒアランスの不良が懸念される患者さんの場合には 出血リスクを恐れてつい PT-INRを低めに管理してしまう傾向がありました NOACにはPT- INRのような明確な指標がありませんので 適切に管理ができているかどうか不安を感じる面もありますが プライマリケア医にとっては ワルファリンほど繊細な管理の必要性がなくなり 処方を躊躇するようなことも少なくなったのではないかと思います 吉村先生はいかがでしょうか? 先生は井上先生や勝部先生とは少し異なり 心原性脳塞栓症を発症してしまった心房細動患者さんを主に診ていらっしゃいますが この地域における抗凝固療法の実施状況についてどのような印象をお持ちですか? 吉村 : NOACが登場したことで 私たち脳神経外科医を含め 心臓を専門としない医師でも抗凝固療法を比較的容易に実施できるようになり ワルファリンしかなかった頃と比べて適切な脳塞栓症の予防がより広く行われるようになってきていると感じます た 15

16 だ 地域全体で予防はもう十分かと言われると そうとも言い切れないのが実情かと思います 以前 自施設に搬入された心原性脳塞栓症例のうち 発症前に心房細動と診断されていた患者さんを対象に 抗凝固療法の実施状況を調べてみたのですが 抗凝固薬を処方されていた患者さんは約 3 割に過ぎませんでした しかもその約 3 割の処方例のうち PT-INRが1.6を超えている方は1 人もいらっしゃいませんでした つまり 抗凝固薬をそもそも処方されていなかったか あるいは服用していてもコントロールが不良だった心房細動患者さんが 心原性脳塞栓症を起こして私たちの施設に運ばれていたわけです 適切な抗凝固療法の必要性をあらためて感じさせる結果でした 近年は脳梗塞の急性期治療も目覚ましく進歩しており 当院では適応を見極めながら rt-pa 静注療法に加えて最新デバイスによる脳血管内治療を取り入れてきた結果 患者さんの社会復帰率は徐々に増加して今や約 5 割にまで伸びてきています とはいえ 逆に言えばいまだ約 5 割の脳梗塞患者さんは社会復帰がかなわない現状ということですから やはり心原性脳塞栓症については発症自体の予防が極めて重要になります そのことを念頭に置きながら NOACを含めた抗凝固療法の実施のあり方を今後も地域全体で考えていく必要がありますね NOAC は服薬アドヒアランスが悪いと十分な効果が得られない 服用目的と中断した場合のリスクの重大さを繰り返し説明する努力や 薬価の高さを理由に残薬数を聞き出すなどしてアドヒアランスを確認する工夫が不可欠 心房細動の診断がついていたにもかかわらず適切な抗凝固療法が実施されていなかった患者さんが 心原性脳塞栓症を発症してしまい 搬送されてくる実態がある という吉村先生の脳卒中急性期治療現場からのご指摘をいただきましたが 井上先生と勝部先生はどのように思われますか? 井上 : 抗凝固薬を処方されていても 適切なコントロールができていなければ有効な心原性脳塞栓症予防にならないというのは まさに吉村先生のご指摘の通りで 私も実感としてあります ただ一方で ワルファリンに関しては 出血リスクの怖さからPT-INRのコントロールが低めになりがちという処方医の心理も理解できます 私自身 抗凝固療法をワルファリンで実施していた当時は 脳梗塞を起こす患者さんとほぼ同じぐらいの頻度で脳出血を起こす患者さんがいらっしゃいましたので どうしても弱めに管理したいと思うところがありました 勝部 : 確かに処方医としては 十分な治療を施さないことが悪い結果をもたらすという意識は当然あるわけですが 一方で自分が処方した薬で副作用が起こることは避けなければという いわゆる First, do no harm. の思いがありますからね ただそうはいっても 吉村先生が今ご指摘くださったことは 逆に言えば抗凝固療法が適切に実施されてさえいれば 心房細動患者さんが心原性脳塞栓症 特に吉村先生のご施設に搬送されるような大梗塞を起こすことはほぼない ということを意味しますよね それを伺って 私自身 厳格な抗凝固療法の重要性をあらためて深く感じました 今後は適応となる患者さんにはより積極的に適切な抗凝固薬処方を検討し 管理をさらに徹底していきたいと思います ただ 私たちがいくらそう思っても 服薬アドヒアランスが悪いとどうにもならないので そこが大きな課題ですね ワルファリンの場合はPT-INRを測ることで確認できますが NOACの場合はそういった確認に使える指標が確立されていませんから 井上 : そうですね ワルファリンの場合は採血チェックの結果から少なくとも直近数日間の服薬アドヒアランスについては分かりますが NOACでは患者さんが ずっと飲んでいます とおっしゃったら基本的に信じるしかないですからね しかも NOACはワルファリンよりも半減期が短い 1-4) ですから アドヒアランスの悪さが脳梗塞の予防効果の低下に直結してしまいます この点は やはり NOACの一番の課題だと思います 現状 処方医がアドヒアランスを良好に保つためにできることとしては 患者さんの受診のたびに 脳梗塞を予防するという抗凝固薬服用の目的と服用を中断した場合のリスクの大きさを 繰り返しお伝えすることしかないのではないかと思います 吉村 : 1 次予防の場合は 患者さんに抗凝固薬を飲まない怖さを理解してもらうこと自体が難しいですね その点では 当院を受診される患者さんはほとんどが脳梗塞の発作を経験されている方なので ご本人もそのご家族も抗凝固薬の必要性をよく理解されていて アドヒアランスが良好なことが多いです 特に NOACを使用するようになってからは 採血チェックによる用量調節も必要なく 1 日 1 回あるいは2 回の服用を継続するだけなので 抗凝固薬を服用し続けるハードルが低くなっていると思います ただ NOACは薬価が高いですから それがアドヒアランス不良の原因になっていることがあるようです ですので これは講演会で学んだことですが 患者さんに 高いお薬だから余っていたらもったいないですね あと何日分残っていますか? という尋ね方をすることでアドヒアランスをチェックしています 井上 : それは良いアイデアですね 薬価を理由に聞いてあげたら 患者さんも本当のことを話してくれやすいかもしれませんね 勝部 : そうですね 薬価は患者さんにとってはやはり大きな問題ですからね 私も抗凝固療法を開始する際には 薬価の点も含めて患 16

17 者さんにメリット デメリットを一通りご説明し 基本的には患者さんご自身にNOACかワルファリンかを選択していただくようにしています NOACとワルファリンを比較すると ほとんどの患者さんではNOACの方がメリットは多いと思いますが 薬価についてはワルファリンの方が圧倒的に安価なので その点を気にしてワルファリンを希望される方もやはりいらっしゃいます 患者さんに密着して診療する私たちプライマリケア医にとっては そのように薬価の点にもきちんと配慮してあげて処方を決める姿勢が非常に重要だと考えています 心房細動と診断されずにいきなり心原性脳塞栓症を発症してしまうケースが相当数ある 心房細動の早期検出には毎回の受診時の検脈や携帯型心電計の活用も有用なものの 無症候性例も多く 容易ではない 心原性脳塞栓症予防のうえで重要なもう一つの側面である 心房細動の発見の現状と課題について お話しいただきたいと思います まず現状として 吉村先生から 心原性脳塞栓症を発症して先生のご施設に搬送される患者さんのうち 搬送後に初めて心房細動と診 断されるという方がどれくらいいらっしゃるかを教えていただけますか? 吉村 : 正確な数では把握していませんが すでに他施設で心房細動の診断がついていた患者さんと 私たちのところで初めて診断される患者さんが およそ半々という印象です 搬入時に診断のついていない患者さんのなかには 入院中にちょうど心房細動の発作が現れて気付くケースや 入院中にいろいろ努力をしてもどうしても診断できず フォローアップでようやく検出されるケース 5) などがあります 最近は埋込み型心電計を用いることでフォローアップ中の心房細動検出率が従来よりも高まったという報告があります このように 心房細動を診断できていない患者さんは 地域全体でみるとまだ相当数いらっしゃるのだと思います 井上 : 心房細動は無症候性の患者さんも多いため 吉村先生がおっしゃる通り 不整脈が現れているタイミングをうまくとらえて検出に結び付けるのは容易ではないと思います ですから 私や吉村先生のような中核病院の医師より患者さんの身近にいらっしゃるプライマリケア医の先生方には 毎回の受診時の検脈や 脈拍の異常を検出した場合の心電図検査をぜひお願いしたいですね それだけで心房細動の検出率というのはもっと上がるのではないかと思っています 勝部 : 私自身もプライマリケア医の役割はまさにそこにあると思います 受診のたびの血圧測定と脈拍測定を欠かさないことは プライマリケアにおける日常診療の基本で その基本をきちんと行った結果として心房細動を早期検出できるというのがあるべき姿だと思います しかしそれ以上に何ができるかというと なかなか難しいのが現実です 例えば心電図検査は 循環器専門医以外のプライマリケア医の先生にとってはハードルが高い面もあると思います また 自覚症状を訴えられている患者さんであれば携帯型心電計を活用することで心房細動を検出できることもありますが 無症状の心房細動に対しては地道に脈を診ていくことが唯一の発見法であるように思います 井上 : そうですね 本来 症状というのは強すぎれば患者さんのQOLを損なう一方で 早期に異常を発見するための危険信号の役割もありますから それがないケースが多いというのは心房細動患者さんの予後に影響する大きな問題だと思います 抗凝固療法の開始が遅れて心原性脳塞栓症を発症し その後初めて心房細動と診断されるケースや 心不全の増悪を来してから診断されるケースなどではしばしば予後不良となってしまいますから 今後も無症候性心房細動をどのように見つけていくかは地域全体の課題ですね 参考文献 1) プラザキサカプセル 75mg 110mg 添付文書 (2014 年 7 月改訂 ( 第 8 版 )) 2) イグザレルト錠 10mg 15mg 添付文書 (2014 年 2 月改訂 ( 第 3 版 )) 3) エリキュース錠 2.5mg 5mg 添付文書 (2013 年 12 月改訂 ( 第 3 版 )) 4) リクシアナ錠 15mg 30mg 60mg 添付文書 (2014 年 9 月改訂 ( 第 3 版 )) 5)Sanna T, et al. Cryptogenic stroke and underlying atrial fibrillation. N Engl J Med. 2014, 370:

18 阪神地域編 (5) 第 5 回 (2015 年 3 月 4 日配信分 ) ~ 鼎談 不整脈専門医 脳卒中専門医 プライマリケア医 ~ 地域医療連携の実情とあり方 2 心房細動アブレーション治療の位置づけをめぐって 昨年末の第 1 回から始まった阪神地域編の締めくくりとしまして 前回から 阪神地域で診療に従事されている不整脈専門医の井上先生 脳卒中専門医の吉村先生 プライマリケア医の勝部先生の3 名による鼎談の様子をお届けしています この地域での心房細動をめぐる医療連携の実情とあり方というテーマに沿って 前回は地域のなかでの抗凝固療法の実施状況と心房細動の検出という観点から 先生方が感じていらっしゃる手ごたえや課題をお話しいただきましたが 今回は心房細動の治療法の一つとして近年注目されている カテーテルアブレーション治療の展望に焦点を当てます まずは井上先生から治療の現状等をご紹介いただいたうえで アブレーション治療の普及によって連携の形がどのように変化していくことが望まれるか また そのような変化をさらに良い方向へ進めていくためにはどういったことが必要か 等について語り合っていただきました 心房細動に対するアブレーション治療の位置づけは 現在のガイドラインでは症状 QOL の改善が目的とされている しかし脳梗塞や心不全の合併による予後悪化を防ぐ効果が報告されており 今後のエビデンス確立と適応拡大に期待 まず井上先生から 心房細動に対するアブレーション治療の現状について解説いただけますでしょうか 井上 : 現在 国内での心房細動に対するアブレーション治療の施行件数は年間約 2~3 万件に上っており 年々増加傾向にあります ただその適応に関しては 現在のところ あくまで症状の解消とQOLの改善を基準に考えられており 予後に準じたものにはなっていません これは国内のアブレーション治療に関するガイドラインが改訂された時点でまだ心房細動のアブレーション治療による予後改善のエビデンスが限られていたためで 心房細動に対するファーストラインの治療は抗不整脈薬 それが効かない場合にアブレーション治療というのが現行のガイドラインの考え方になります ( 表 1) 1) しかし一方で アブレーション治療が心房細動患者さんの予後を改善するというエビデンスが徐々に発表されてきているというのが最近の動向でして 今日はそれを少しご紹介できればと思います 表 1: カテーテルアブレーションの適応 カテーテルアブレーションの適応 クラスⅠ 1. 高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認めず, かつ重症肺疾患のない薬物治療抵抗性の有症候性の発作性心房細動で, 年間 50 例以上の心房細動アブレーションを実施している施設で行われる場合 クラス Ⅱa 1. 薬物治療抵抗性の有症候性の発作性および持続性心房細動 2. パイロットや公共交通機関の運転手など職業上制限となる場合 3. 薬物治療が有効であるが心房細動アブレーション治療を希望する場合 クラス Ⅱb 1. 高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認める薬物治療抵抗性の有症候性の発作性および持続性心房細動 2. 無症状あるいはQOLの著しい低下を伴わない発作性および持続性心房細動クラス Ⅲ 1. 左房内血栓が疑われる場合 2. 抗凝固療法が禁忌の場合 [ 循環器病の診断と治療に関するガイドライン ( 年度合同研究班報告 ). カテーテルアブレーションの適応と手技に関するガイドライン. 循環器病の診断と治療に関するガイドライン より転載 ] 18

19 まず日本から発信された比較的新しいエビデンスとして アブレーション治療後の血栓塞栓症発症率を検討した結果が2014 年に報告されています 2) 発作性心房細動に対しアブレーション治療を施行した 1,156 例を平均 49.5ヵ月フォローアップしたものですが それによると 血栓塞栓症の発症はたったの 9 例 (0.78%) にとどまっていました CHADS 2 スコアが平均 0.8なので もともと発症リスクは高くないのですが それでも約 50ヵ月で 0.78% という数値は印象的だと思います 一方 この研究では 術後の発症率にCHADS 2 スコアが 2 点以上かどうかと フォローアップ期間中の心房細動再発の有無が影響しているという結果も示されており ( 図 1) 術後の治療方針を考えるにあたって考慮が必要かもしれません これが日本の代表的なアブレーション施行施設における現状で 心房細動患者さんの血栓塞栓症の発症を抑制するうえでアブレーション治療が有効となる可能性を示していると思います 一方 海外からは 合計 3 万例を超えるレジストリーのデータを用い 心房細動に対するアブレーション治療の脳梗塞予防効果をケースコントロール研究で検証した結果が報告されています 3) 心房細動に対しアブレーション治療を行った AF ablation 群 心房細動があるがアブレーション治療はしなかった AF no ablation 群 そして心房細動の既往がないno AF 群の3 群に分け 年齢と性別をマッチングしたうえで追跡期間中の脳梗塞発症リスクを比較したものですが 結果は CHADS 2 スコアの大きさによらず AF no ablation 群ではno AF 群の約 1.8 倍と最もリスクが高かった一方 AF ablation 群ではむしろ no AF 群と比べても脳梗塞発症リスクがやや低い傾向を示すという 興味深いものでした AF ablation 群では抗凝固療法が広く実施されていることも背景にあると思われますが この結果は アブレーション治療を行うことで心房細動患者さんの脳梗塞発症リスクを低減できる可能性を示唆する重要なエビデンスだと思います 他方 心房細動のアブレーション治療によって心不全合併例の心機能改善が期待できる可能性を示唆した報告も いくつか出てきています まず 2010 年に発表されたメタ解析では 心不全合併例を対象にしたアブレーション治療の効果に関する複数の報告を解析した結果 アブレーション治療を行った症例では左室駆出率 (LVEF) が約 11% 改善していました ( 図 2) 4) さらに これを機に前向き研究が行われるようになり 2013 年以降 アブレーション治療がレートコントロールに比べてLVEF 最高酸素摂取量 (peak VO 2 ) BNP NYHA 心機能分類といった臨床指標の改善効果に優れていることを示す 2つの無作為化比較試験の結果が報告されています 5,6) こうした報告が出てきている流れを考えると アブレーション治療が心不全を合併する心房細動患者さんの予後を改善するというエビデンスが確立されるのも 時間の問題ではないかと思います 吉村 : アブレーション治療に大きな可能性を感じさせるお話ですね 当院にいらっしゃる患者さんは既に脳塞栓症を起こした方ばかりで 再発によって命が危険にさらされるリスクの高い方々ですから 心房細動のアブレーション治療によってそのリスクを少しでも低減できるのであれば 積極的に検討し 紹介させていただきたいと思います ただ 現行のガイドラインによれば 適応は脳梗塞発症リスクではなく症状によって判断されるのですね 井上 : はい 今のところは動悸や息切れ等の症状を診て適応を判断するというのが ガイドラインの方針になっています 吉村 : なるほど しかし予後の観点から考えれば 本来血栓塞栓症の既往がある患者さんこそアブレーション治療の適応とすることが望ましいのではないでしょうか? 井上 : はい 私もそう思います ただ こうしたエビデンスが複数出始めたのは最近ですので ガイドラインではまだそこまで反映されていないのが現状かと思います 他方 今の当院での実臨床に関して言えば プライマリケア医の先生が予後の改善を目的に転帰良好な脳塞栓症既往患者さんを紹介してくださり アブレーション治療を行うケースはしばしばありまして 実は今日もそうした患者さんの紹介を受けたばかりです せっかく良好に回復されたのですから 私たちとしても再発予防のためにできる限りのことはさせていただきたいと思っています 吉村 : 心原性脳塞栓症を発症し 急性期治療を終えてからアブレーション治療を行うまでは どの程度の間隔を空けるのがよいのですか? 井上 : まだ明確な基準はないのですが やはり急性期治療後は機能回復を目指したリハビリ治療が優先になりますので 一般的には約半年 ~1 年後にご紹介いただくケースが多いですね 勝部 : 先ほど井上先生がお話しくださった アブレーション治療後に心機能の改善が認められたという複数の報告に関してなのですが これらは心房細動が原因で心不全を発症した場合のみ 改善がみられたということでしょうか? それとも 心房細動の基礎心疾患としてもともと心不全を持っていた場合でも 改善がみられたのでしょうか? 井上 : ご紹介した報告 4-6) では両方のケースが含まれていまして 心房細動で心不全のある方が包括的に対象となっています 勝部 : つまり拡張型心筋症や肥大型心筋症の患者さんのように 心房細動が心不全の原因ではないケースでも 心房細動にアブレーション治療を行うことで心機能が改善したということですか? 井上 : そういうことになります 実は改善の程度でいえば 先生のご指摘のとおり 心房細動の後に心不全になった方と心房細動が起こる前に基礎心疾患があった方とでは 後者で少し程度が劣っていたのですが それでもアブレーション前に比べて心機能が改善していたことは事実です 6) ガイドラインでは現状 心機能低下例に対するアブレーション治療は成功率が低いという理由で推奨レベルが低くなっている 1) のですが 現場の人間からすると 心機能が低下している患者さんこそ本当はアブレーション治療の良い適応なのにという思いが 実感としてあります プライマリケア医の先生方にはできる限り積極的に紹介をご検討いただければと思います 19

20 血栓塞栓症無発症(a) 1.0 心房細動再発なし 98.1% (b) 1.0 CHADS 2 <2 99.5% 心房細動再発あり 96.9% P=0.014 血栓塞栓症無発症率 CHADS % P= 率図 1: 発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション治療後の血栓塞栓症無発症率を (a) 心房細動再発の カテーテルアブレーション最終施行時からの経過時間 ( 月 ) カテーテルアブレーション最終施行時からの経過時間 ( 月 ) 有無 および (b)chads 2 スコアの大きさ (2 点以上 vs. 2 点未満 ) により比較した結果 [ 文献 2) より転載 ] 試験名 変化 (95% CI) 加重 (%) Chen (2004) Hsu (2004) Tondo (2006) Gentlesk (2007) Khan (2008) Lutomsky (2008) Nademanee (2008) De Potter (2010) (0.032, 0.060) (0.177, 0.244) (0.134, 0.146) (0.118, 0.162) (0.055, 0.105) (0.045, 0.155) (0.062, 0.096) (0.043, 0.115) 全体 (I 2 = 96.7%, p < 0.001) (0.073, 0.145) 加重はランダム効果解析による 左室駆出率の変化 図 2: 心不全合併心房細動例に対するカテーテルアブレーション治療が左室駆出率に及ぼす影響についてのメタ解析結果 [ 文献 4) より転載 Copyright 2010 Elsevier. All rights reserved.] 3 次元マッピングシステム等の治療機器の進歩によって アブレーション手技は従来よりも簡便化 現状の平均的な治療成績は 1 年後の 洞調律維持または発作 75% 以上減少 の割合が 発作性心房細動で約 70% 非発作性心房細動で約 60% 少し詳細なところになりますが 最近のアブレーション治療の手技の実際や治療成績についても教えていただけますか? 井上 : 心房細動に対するアブレーション治療の手技は昔に比べると随分変化しています その大きな要因の一つが3 次元マッピングシステムの進歩で 昔は 2 次元の透視画像を使って左房内のカテーテルや焼灼部位の位置を確認していましたが 今は透視を使わなくても 3 次元マッピングシステム上で確認できるようになりました 例えば現在普及している CARTO 3システムでは 先端に磁気センサがついた専用カテーテルを用いて周波数の異なる3つの磁気の強度を測定することにより その専用カテーテルが心腔内のどこにあるかを 3 次元的に割り出してくれます そしてその位置情報をもとにしてコンピューター上に左房の立体画像が構築されていくうえ その画像には術前に撮影した CT 画像を統合することもできるので 左房の詳しい解剖を考慮しながら通電していくことができます また 今では専用カテーテルだけでなく他の通常のカテーテルの位置も表示できますし SOUNDSTAR というカテーテルを接続すれば心腔内超音波画像もCARTO 3システム上で表示できますので アブレーションカテーテルが接触している心筋の先にどのような構造物があるかといったことも確認しながら手技を進められます ( 図 3) 20

21 図 3:CARTO 3システムを使用した心房細動に対するアブレーション手技販売名 : バイオセンス CARTO 3 医療機器承認番号 :22200BZX 販売名 : サウンドスター医療機器承認番号 :22300BZX それから 最近特に注目されているテクノロジーの一つに カテーテル先端の心筋に対する接触具合 いわゆるコンタクトフォースを測定できるアブレーションカテーテルがあります アブレーション治療では コンタクトフォースが弱すぎると十分な焼灼がされず 逆に強すぎると穿孔してしまう危険があるのですが このコンタクトフォースが随時グラム数で確認できるようになったことで 術者としては 特に注意してカテーテルを操作しなければならない部位等が徐々に分かるようになってきました こうした治療機器全般の進歩によって アブレーション治療の手技は従来と比べると簡便になり 結果として安全性も高まってきているというのが私の実感です 最後に治療成績ですが 2014 年に発表された全国的な心房細動アブレーションの登録調査 7) によれば 1 回のアブレーションを施行して 1 年後に臨床的な成功指標 を満たした症例の割合は 発作性心房細動で約 70% 非発作性心房細動で約 60% という結果でした 治療成績は施設によって違いがありますが これが日本全国の平均的な現状といえます ただし 再発例でも約半数以上は 発作頻度が減る等の明らかな症状改善がみられる 9) とされていますので 現在のアブレーション治療は 再発率が高いと言われるわりには患者さんの満足度が高い治療法ではないかと思っています 勝部 : アブレーション治療を受けられた患者さんは治療後 どのような感想を持たれることが多いのですか? 苦痛だったという方も多いのでしょうか? 井上 : そうですね それはやはりいらっしゃいます セデーション ( 鎮静 ) を深くすれば苦痛を軽減できるのですが そうすると今度は呼吸が不安定になる影響等でカテーテル操作が難しくなり 心タンポナーデ等の合併症を起こすリスクが高まります そういった事情から 当院の場合は浅い鎮静下で呼吸をコントロールしつつアブレーションしているというのが現状です ただ一方で 術後の患者さんに何が一番苦しかったか聞いてみると 実はアブレーション自体よりも 術前検査の経食道心エコーや 術直後に6 時間ベッド上で安静を保つことが一番苦痛だった とおっしゃる方が多いです つまり 治療の苦痛と言ってもそれほど強いわけではなく 術後すぐは もう 2 度と受けたくない と言っていた患者さんでも 大抵は1 2ヵ月程度も経過すれば また受けてもいい とおっしゃいますね 勝部 : 経食道心エコーのプローブは太めなので 確かに患者さんは苦しいでしょうね セデーション下で行うこともできるのですか? 井上 : はい 可能です 施設によっては 患者さんの要望を考慮して適宜そのようにされていると思います 吉村 : 合併症にはどのようなものがあるのですか? 井上 : 心房細動アブレーションの重大な合併症のなかでも最も頻度が高いものは 心タンポナーデです 1) アブレーションカテーテルを心筋に強く当て過ぎた状態で 気づかずに通電を続けてしまった場合等に心房壁を穿孔して発生します 開胸までいくことはまずないですが ドレナージが必要になるケースが 1% 強存在している 7) のが現状です ただ 最近は 先ほど申し上げたようなコンタクトフォース測定機能付きのカテーテルを使用することで 心穿孔の発生率が下がった 10) というような報告も見られ始めているので 心タンポナーデの発生頻度に関しては今後少し減少するのではないかと思っています 他方 私たち術者が警戒しているもう一つの重大な合併症は 脳梗塞です 焼灼巣の表面やアブレーションカテーテルの先端電極に血栓が形成されることで発生すると考えられています これを防ぐため 過剰な焼灼に注意する カテーテル先端から水をまきながら通電する 術中も抗凝固療法を中断しない といった工夫を行っています 勝部 : プライマリケア医の立場から さらに 2 点 井上先生に伺いたいことがあります まず心房細動患者さんをアブレーション治療目的で不整脈専門医の先生に紹介する場合 どのタイミングがベストなのでしょうか? 井上 : 紹介のタイミングはケースによるところがあるので一概には言えませんが 基本的には患者さんが困っているかどうかが一つの 21

22 基準だと思います 心房細動は まずはやはり薬で保存的に治療を試みることが常道だと思いますが それでも症状やレートが十分改善されずに患者さんが辛さを訴えていらっしゃったり その治療方針について 今後も投薬が続く可能性等に対する将来的な不安を患者さんが感じていらっしゃったりすることがあると思います そうした場合に アブレーション治療というもう一つの治療選択肢があるということを 患者さんに提示してあげていただければと思います 勝部 : なるほど ではもう一つの質問なのですが 私たちプライマリケア医がアブレーション治療を念頭において患者さんを紹介する場合 患者さんにはあらかじめどの程度の説明をしておくとよいでしょうか? 治療の手順や入院を含めて必要な日数 術前検査の内容 費用等 説明しておいた方がよい点を具体的に教えていただけますか? 井上 : まずアブレーション治療自体は 局所麻酔と鎮静下で行われ 多くの場合 3 時間程度で終了し 入院が5 日間程度になります 術前検査に関しては施設によって多少違いがあると思いますが 一般的には造影 CTを撮り 患者さんによっては術前日や当日等直前に経食道心エコーを行います 経食道心エコーは先ほどのお話のように アブレーション治療よりも苦痛と感じる患者さんが少なくないので あらかじめその可能性は先生方からも患者さんにご説明いただいた方がよいかもしれません この調査 7) ではアブレーション治療の成功指標を 再施行なしで (1)1 年間洞調律が維持できた場合 もしくは (2) 発作が75% 以上減少する 臨床的成功 (clinical/partial success) 8) を1 年後の時点で示した場合 とした アブレーション治療でより積極的な早期介入を行うためには 成功率のさらなる向上が必要 井上先生からご覧になって アブレーション治療の課題と感じられる点があるとすれば どのような点でしょうか? 井上 : やはり成功率のさらなる向上が望まれます 先ほどお示ししたとおり 洞調律の維持もしくは発作の75% 以上の軽減という臨床的な成功指標を満たす割合は 発作性心房細動でまだ約 70% という現状ですので 症状が軽度で心不全の合併もないという患者さんや 抗凝固療法が特に問題なく実施できているような患者さん等では 積極的にお勧めすることができません どうしても何らかの点で困っていらっしゃる患者さんが対象になります これが今後 80% 90% へと向上してくれば そのような今はさほど困っていない患者さんであっても 将来のことを考え 転ばぬ先の杖としてアブレーション治療をお勧めすることができるようになるのではないかと思います ですので 有効性のさらなる向上は私たちアブレーションの術者にとってはやはり一番の課題ですね その達成に向けては 今後おそらく治療技術上の何らかのブレイクスルーが必要になってくると思います また 治療成績に関しては 施設間でばらつきがあることも課題だと思っています 心房細動患者さんは数が多いので さまざまな施設で広くアブレーション治療が実施されるのは望ましいことだと思うのですが 理想をいえば やはりどの施設でも同じように安全かつ治療効果の高いアブレーション治療を行えるということが大切だと思います 先ほどご紹介したような新しいテクノロジー等をうまく活用することで 治療成績が均一化されていくことを期待しています 一方で もちろん安全性の向上も必要です 現状でも重大な合併症の発生頻度はかなり低いのですが それでもやはり術者としては 多くの症例をやっていると年に 1 例ぐらい心タンポナーデや脳梗塞を術中ないしは術直後に経験します 合併症発生率のさらなる減少は今後も追求していかなければならないところだと思っています プライマリケア医も脳卒中専門医も アブレーション治療についてはほとんど知らない 地域の勉強会を通じ 適応や患者紹介のタイミングについて不整脈専門医との情報共有を強化することが必要 心房細動に対するアブレーション治療について井上先生からご説明いただいてきましたが 地域のプライマリケア医や脳卒中専門医の先生方のなかで こうした情報はどの程度浸透しているのでしょうか? また その現状を踏まえ 今後どのような情報共有が必要になってくると思われますか? 勝部 : 私は循環器を専門としてはいますが アブレーション治療に関してはまだ十分には理解できておらず 今あらためて勉強させてもらった点も多くあります 不整脈関連の話題はそもそも難解で取っ付きにくいですから プライマリケア医全体で考えるなら アブレーション治療についてはほとんど知られていないのが現状だと思います 井上 : 確かに プライマリケア医の先生方と不整脈専門医で勉強会を行う機会は多いですが 基本的にNOACや血圧等の話題が中心で アブレーション治療を題材にしたものは少ないですからね 22

23 ただ そう考えると 脳卒中専門医の先生方との交流の機会はさらに少ないですね 吉村 : そうですね 私たち脳神経外科医は脳梗塞の急性期治療に深く関わっていますが 心房細動のアブレーション治療については詳しく知らない人の方が多いと思います しかし血栓回収デバイスによる脳血管内治療が大きく注目されていますし その普及とともに脳梗塞の再発予防に携わる医師も増えてくると思います 今後は不整脈専門医の先生方がお持ちのアブレーション治療に関する情報を 私たちも共有できるようにしていきたいですね 脳神経外科医が重症の心原性脳塞栓症例を診る機会は 今後ますます増えていくと思いますし そうした患者さんは再発すれば命の危険があるような高リスクの方々ですから 不整脈専門医の先生方に紹介して心房細動に対するアブレーション治療をしていただくことで予後改善を図ることができるならば 非常に望ましいことではないかと思います そういった意味で 不整脈専門医の先生には どのような症例を適応として紹介したらよいか等の情報を 脳神経外科医を含め脳卒中専門医が参加する勉強会の場で 積極的に発信していただければありがたいです 私たちにはアブレーション治療の情報が不足していると思います 勝部 : 同感です 私たちプライマリケア医も アブレーション治療についてはもっと認識を深める必要があると思います 特に 先ほど私から井上先生に質問させていただいたような 適応や患者さんを紹介するタイミングといったことは プライマリケア医として知っておいた方がよい情報だと思いますが 残念ながら現状はあまり認知されていないと思います 不整脈専門医の先生方には できれば何でも質問しやすい小規模の勉強会を数多く開いていただき こうした情報をかみ砕いて教えていただけるとありがたいですね 井上 : おっしゃる通りですね 地域の勉強会は必ずしも医師のイニシアチブで開催できるものばかりではないので 望ましい形で行うことが難しい場合もあるかもしれませんが とはいえ アブレーション治療によって予後改善が期待できる心房細動患者さんを見逃さないようにするためには 適応や紹介いただくタイミング それから予後改善についてのエビデンスといった情報を プライマリケア医や脳卒中専門医の先生方と共有していくことがやはり不可欠だと考えます そのために 私たち不整脈専門医の側からの働きかけもいっそう強化していきたいと思います 参考文献 1) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン ( 年度合同研究班報告 ). カテーテルアブレーションの適応と手技に関するガイドライン. 循環器病の診断と治療に関するガイドライン 2012: )Takigawa M, et al. Late-phase thromboembolism after catheter ablation for paroxysmal atrial fibrillation. Circ J. 2014; 78: )Bunch TJ, et al. Atrial fibrillation ablation patients have long-term stroke rates similar to patients without atrial fibrillation regardless of CHADS 2 score. Heart Rhythm. 2013; 10: )Wilton SB, et al. Meta-analysis of the effectiveness and safety of catheter ablation of atrial fibrillation in patients with versus without left ventricular systolic dysfunction. Am J Cardiol. 2010; 106: )Jones DG, et al. A randomized trial to assess catheter ablation versus rate control in the management of persistent atrial fibrillation in heart failure. J Am Coll Cardiol. 2013; 61: )Hunter RJ, et al. A randomized controlled trial of catheter ablation versus medical treatment of atrial fibrillation in heart failure (the CAMTAF trial). Circ Arrhythm Electrophysiol. 2014; 7: )Murakawa Y, et al. Nationwide survey of catheter ablation for atrial fibrillation: the Japanese Catheter Ablation Registry of Atrial Fibrillation (J-CARAF)--report of 1-year follow-up. Circ J. 2014; 78: )Calkins H, et al HRS/EHRA/ECAS expert consensus statement on catheter and surgical ablation of atrial fibrillation: recommendations for patient selection, procedural techniques, patient management and follow-up, definitions, endpoints, and research trial design. Europace. 2012; 14: )Ouyang F, et al. Long-term results of catheter ablation in paroxysmal atrial fibrillation: lessons from a 5-year follow-up. Circulation. 2010; 122: )Akca F, et al. A prospective study on safety of catheter ablation procedures: Contact force guided ablation could reduce the risk of cardiac perforation. Int J Cardiol. 2015; 179:

24 阪神地域編 (6) 第 6 回 (2015 年 3 月 18 日配信分 ) ~ 鼎談 不整脈専門医 脳卒中専門医 プライマリケア医 ~ 地域医療連携の実情とあり方 3 脳梗塞急性期治療の現状と課題 そして望まれる 3 者連携の形とは 昨年末から始まった阪神地域編の締めくくりとして 前々回から 阪神地域で診療に従事されている不整脈専門医の井上先生 脳卒中専門医の吉村先生 プライマリケア医の勝部先生の3 名による鼎談の様子をお届けしてきています この地域での心房細動をめぐる医療連携というテーマに沿って これまで抗凝固療法の普及や心房細動の検出のほか カテーテルアブレーション治療の進歩とそれを受けての連携の形等が話題に取り上げられてきました 鼎談最終回となる今回の話題は 心房細動患者さんが脳梗塞を発症してしまった際の急性期治療および再発予防のための連携 そして今後の地域の展望です まずは吉村先生から この地域における急性期治療の現状や課題等に関してご説明いただき そのうえで 鼎談全体の総括として 同じ地域の心房細動患者さんを異なる側面でご覧になっている先生方の視点から 今後望ましいと考える情報共有や連携強化のあり方をめぐって語り合っていただきました 脳梗塞急性期治療では rt-pa 静注療法の適応が発症後 4.5 時間以内に拡大 現在のガイドラインでも第一選択として推奨されているものの 重症例 主幹動脈閉塞例への有効性が低いという限界も 近年新たに登場した血栓回収療法では 発症後 8 時間以内までが適応となり 従来よりも幅広い症例への対応が可能になった 心房細動患者さんのための地域医療連携を考えるにあたって欠かせない話題の一つはやはり 心原性脳塞栓症を発症したらどうするかということかと思います そこでまず吉村先生から 最近の変化も踏まえた脳梗塞急性期治療の現状を解説いただけますでしょうか? 吉村 : まず 脳梗塞急性期の治療法としてよく知られているのは 2005 年に承認されたrt-PA 静注療法だと思いますが 最近の大きな変化の1つには この治療法の適応が発症後 3 時間以内から4.5 時間以内にまで拡大されたことが挙げられます 発症後 3~ 4.5 時間であっても有効性を発揮するというエビデンスが構築されたためで 1) 日本では 2012 年に適応拡大が承認されました 現在 禁忌事項がない限りはまず rt-pa 静注療法をするというのがガイドラインの推奨になっています 2) ただ これには課題もありまして rt-pa 静注療法が施行できた脳梗塞症例は現在年間 1 万例近くに達しているものの それでも脳梗塞発症例全体の5% 以下とされています 1) 投与可能時間の延長によって一気に増加すると期待されたのですが それほどの増加はみられませんでした 日本の救急体制下ではそもそも3 時間以内に対応できていることが多い というのが1つの理由だと思いますが 加えてやはり 時間が経過するほど進行した脳梗塞例も増えてしまうということがあると思います また rt-pa 静注療法は 比較的軽症の例に対しては治療成績が良いのですが 重症になるほど有効性は下がり NIHSS15 点以上になると発症 3ヵ月後のmRS0~1の達成率は2 割を切ってしまうとも報告されています 3) 内頚動脈等太い主幹動脈の閉塞例でも有効性が低く 3) rt-pa 静注療法だけでは限界を感じざるを得ないという現状があります そこで近年 rt-pa 静注療法の非適応 無効例に対する新たな治療法として保険適用となったのが血栓回収療法です 血栓を溶かせないなら取ってしまおうということで カテーテルで血栓を捕捉あるいは吸引するデバイスが 2010 年 2011 年と相次いで承認されました 血栓回収療法は発症後 8 時間以内が適応とされ 大きな血栓にも直接アプローチできるので rt-pa 静注療法しかなかった頃と比べると より幅広い症例に対応できるようになりました 自験例の中には 内頚動脈等の閉塞に対して rt-pa 静注療法が効かず このままだと重度の後遺症か死に至るという状況から 血管内治療を行ったことで劇的に回復できたという方もいらっしゃいます ( 図 1) 24

25 治療前 治療後 図 1: 血栓回収療法の実際 地域のより広範囲の患者さんに血管内治療の受療機会を提供するため 当院では連携先の 4 施設から rt-pa を点滴投与しつつ患者さんを転送してもらう ドリップ - シップ - レトリーブ の仕組みを構築 現在 施行症例数の約半数がこの仕組みで搬送され 治療転帰も良好である 勝部 : 素晴らしいですね 今ご紹介いただいたような最新の脳血管内治療は 地域全体で広く実施されるようになっているのですか? 吉村 : 脳梗塞に対する血管内治療を施行できる施設は 徐々に増えてきてはいるものの まだ十分とは言えません 専門医の数が不足していることが理由の一つで 特に当院のように 24 時間 365 日で受け入れ可能な施設は珍しいですね これは全国的な問題でして 関東などでも同じ状況です そうした状況ですので 当院では地域のより広い範囲の患者さんに対し この治療を必要とすることがあれば可能な限り受けられるよう ドリップ -シップ -レトリーブ という医療連携システムの構築を進めています ( 図 2) これは主に重症例や主幹動脈閉塞例の場合に 搬入施設でrt-PA 静注を開始し ( ドリップ ) そのまま救急車で当院へ転送し( シップ ) そして当院へ到着した際に症状の改善が見られなければすぐに脳血管内治療で血栓を回収する ( レトリーブ ) というものです 現在 周辺の関連病院を含む4 施設とこの形で連携しており 発症から再開通までの時間は平均 280 分 退院時の平均 mrsは2.5と 当院に直接搬送された症例よりも良好な結果を収めているほどです また 当院での脳梗塞に対する急性期再開通療法の施行症例数は年間 50 例超と 全国でもトップクラスに達していますが 今ではその約半数が ドリップ -シップ の形で当院に搬送された症例です 今後は こうした連携システムを地域全体で展開していけるようにすることが大切でしょうね 井上 : 現状は 先端的な血管内治療を行えば回復できるかもしれないという脳梗塞患者さんも 搬送先によってはその治療が行われないというケースが多いのですか? 吉村 : そうですね 全国的にみれば 最初の搬入施設でrt-PAが効かなかった場合 もしくは発症後 4.5 時間以内にrt-PA 静注を開始できなかった場合 そのまま急性期治療を終了するというケースは まったく珍しくないと思います というのも 血栓回収療法の有効性は臨床現場では実感されていたものの そのエビデンスが確立したのはごく最近だからです 2014 年 10 月と2015 年 2 月の国際学会で 従来のrt-PA 静注療法単独による治療よりも血栓回収療法を併用した治療の方が機能的自立の達成に優れることを示した 4つのランダム化比較試験の結果が 立て続けに報告されました 4-7) 情報が新しいため 日本脳卒中学会等のガイドラインにはまだ推奨の記載がありませんが この治療を一人でも多くの患者さんが受けられるよう 施設間の連携について積極的に推し進めることが必要です 1 ) 点滴 (Drip) まず搬入施設で rt-pa 静注療法施行 2 ) 転送 (Ship) 重症例 主幹動脈閉塞例は転送 3 ) 血管内治療 (Retrieve) 脳血管内治療専門医により 血栓摘出 図 2: 地域のより広範囲の脳梗塞患者さんに対して血管内治療の施行を可能にする ドリップ- シップ- レトリーブ の仕組み 25

26 血栓回収療法で良好な予後を得るためのポイントは 発症 ~ 再開通の時間短縮 再開通率の上昇 適切な症例選択 これらの点の改善により 当院での治療後の社会復帰率は約 50% に到達 今後の課題は公表された有効性のエビデンスに基づき 各地域における連携システム強化と治療の均てん化を促進すること 吉村 : 一方 さまざまな研究結果や現場での経験の積み重ね等から 血栓回収療法で良好な予後を得るためのポイントが分かってきています 具体的にはまず 脳梗塞の発症から再開通までの時間を可能な限り短縮することです 再開通が30 分遅れると死亡率が 20% 増加するというメタ解析の結果が報告されており 8) 少しでも早い治療の開始が患者さんの予後改善には不可欠と言えます そのため まずは発症から病院到着までの時間を少しでも短縮できるように 患者さんやご家族を啓発し 救急隊との連携を強化すること等が重要です 加えて 到着から治療開始までの時間を短縮する 私たち治療者の努力と工夫も必要です 当院では 他施設から患者さんを転送してもらう場合には 先ほどご紹介した通りドリップ -シップで rt-paを点滴投与しながら救急搬送してもらうほか 患者さんの到着後は CTやMRIを省略し 直接カテーテル室に搬入するようにしています 今はカテーテル室のフラットパネル式血管撮影装置でCTに近いイメージが撮影できますので その画像で頭蓋内出血がなければ 時間短縮のために局所麻酔で脳血管内治療を開始する という流れにしています 予後改善に必要と考えられる 2 点目は 再開通率の上昇です これには 最近国内でも新たに使用可能になっている ステント型の血栓回収デバイスが有用と言われています 当院でもこのステント型デバイスを使用し始めて以来 再開通率は上昇しました しかし一方で ステントを血管内で牽引しますので 穿通枝を損傷したり 血栓が飛散して新たな塞栓を生じてしまったりといったリスクもあり 現在は血栓をステント型で回収する際に吸引型のデバイスも併用しています その結果 当院では 閉塞血管支配領域の半分以上に再灌流が得られる症例が 95% にまで達しています 最後のポイントは 脳血管内治療の適応を検討し 適切な症例を選択することです 軽症例ではrt-PA 静注療法だけで十分な再開通と良好な予後を得られることが多いので 血管内治療の施行は患者さんに必要以上の負担やリスクを与えてしまうことになりかねません 一方で 重症度が高すぎると今度は良好な転帰が得られにくくなり 梗塞範囲が広いほど また再開通に時間を要するほど転帰良好例の割合は減少することが報告されています 9) ただ そもそも臨床現場では 重症例に対し血管内治療を施行しない場合には転帰良好となる可能性が極めて低いわけですし 患者さんにとってみれば最後の頼みの綱でもありますので どこからどこまでを適応とするかの判断は非常に難しいと言えます 実際 血管内治療の有効性を示した最新のエビデンスの中には 発症後 12 時間までの症例を対象に検討が行われた報告もあります 5) ので 当院では現在 適応はある程度柔軟に考え できるだけ積極的に施行する方針としています さて こうした 3つのポイントを中心に治療チーム一丸となって工夫を重ねてきた結果 最近の当院における転帰良好例の割合は約 50% にまで達しました 退院時のmRSが0~2 つまり社会復帰可能なレベルにまで機能回復できた患者さんの割合がほぼ半数に達したということですので 以前の脳梗塞急性期治療に比べると 隔世の感があります ( 図 3) 今後は こうした治療を各地域で広めていくことが課題ですね エビデンスがようやく確立されたばかりなので 現場で治療のネットワークを形成していくにはまだ少し時間がかかると思います また 現状のエビデンスではまだ適応と考えられていない重症例等に関する情報も さらに蓄積していく必要があります こうした観点から 私たちは国内の前向き多施設共同研究を継続して情報収集に努めたいと考えています いずれガイドラインの推奨グレードが上がれば 連携に関する問題も徐々に改善されていくのではないかと思います 井上 : 先生のご施設で社会復帰率が約 5 割に達しているというのは素晴らしいですね 私自身 脳梗塞急性期の新しい治療デバイスが登場したといった程度のことは知っていましたが 実際それほどまでに治療成績が向上しているとは存じませんでした 施設をあげたさまざまな努力に加え 先生方の情熱があるからこそ 高い治療成績につながっているのだと感じます 私の患者さんでも 脳梗塞を発症して治療を受けるケースがあり その後の回復の難しさは実感していますので 先生のご施設のような取り組みが地域全体に広がっていくことに期待したいです 38% 5% 9% 14% 29% 5% mrs: 0: 全く症候がない 1: 症候はあっても明らかな障害はない 2: 軽度の障害 3: 中等度の障害 4: 中等度から重度の障害 5: 重度の障害 6: 死亡 図 3: 兵庫医科大学病院脳卒中センターで急性期脳梗塞治療を受けた患者さんの退院時 mrs スコアの内訳 26

27 吉村 : そうですね やはり患者さんのためには どの施設に運ばれても同様の治療が受けられるという 治療の均てん化が今後求められてくると考えています 当院のほかにも脳血管内治療を施行できる施設が協力して地域の脳卒中治療のセンターとなり 急性期脳梗塞における病院連携のシステム化を進めていけるようになれば と思っています 的確な病型診断のため 頚部エコーによる動脈硬化性病変の確認に加えて経食道心エコーによる心内血栓等のチェックも必要 当院では現在 心原性脳塞栓症の急性期抗凝固療法をヘパリンとワルファリンではなく NOAC で行っているが 早期離床や頭蓋内出血リスクの軽減といったメリットに加え 心内血栓の縮小 消失効果もある 心原性脳塞栓症に関しては 急性期治療後の再発予防もよく話題になりますが 吉村先生のご施設ではどのような方針で行っていらっしゃいますか? 吉村 : 先ほど血栓回収療法による急性期治療を行う際のポイントを 3つ申し上げましたが 治療後の適切な抗血栓療法による再発予防も 良好な予後を確保するためには非常に大切です そもそも適切な病型診断がなくては適切な抗血栓療法は行えませんので 私たちは血管造影検査だけでなく 頚部エコーによる動脈硬化性病変の確認 さらには必ず経食道心エコーも行って心内血栓の有無を確認します これらの結果に基づいて 心原性脳塞栓症と診断すれば抗凝固薬を アテローム血栓性脳梗塞であれば抗血小板薬を投与開始するといった形が基本になります そして心原性脳塞栓症に対する急性期の抗凝固療法に関しては 従来はヘパリンをまず開始して 後日ワルファリンへ切り替える方法が主流でしたが 現在当院では原則 NOACで開始しています 急性期におけるNOACの使用をめぐってはまだ議論があり とりわけ既に心内で形成された血栓を溶かす効果があるかという点で結論の異なる症例報告 10,11) が混在している状況なのですが 当院の臨床経験からは NOACでも十分な効果を得られています また ワルファリンを使用していた頃はやはり頭蓋内出血の合併が多かったのですが NOACを使用するようになってからは 明らかにその頻度は減っています 従来と比べて早く離床もできるようになりますし 急性期からの NOACの使用は患者さんにとってメリットが大きいのではないかと感じています 勝部 : 急性期に投与を開始する抗血栓薬の選択にはさまざまなパターンがあると思うのですが 例えば動脈硬化所見に心房細動を合併しているケースのように 脳梗塞の原因が複合的と考えられる場合は 抗凝固薬に加えて抗血小板薬も併用することが多いのでしょうか? 吉村 : ご指摘の点は現在 非常に注目されています アテローム血栓性脳梗塞は抗血小板薬 心原性脳塞栓症は抗凝固薬のみというのが原則ですが 頚動脈や頭蓋内血管の狭窄部位にステントを留置した心房細動患者さんでは 両方を投与せざるを得ません また 最近 PCIを受けたという患者さんが心原性脳塞栓症を発症してしまった場合には 3 剤の投与になってしまうケースもあるようです しかし 多剤併用は頭蓋内出血を含め重度の出血を増やすことが分かってきていますので できる限り短期間のみにとどめ 漸減していくようにしています 心原性脳塞栓症を発症した心房細動患者さんのための連携強化を目指し 不整脈専門医と脳卒中専門医が相互理解を深めることは有意義 プライマリケア医はいざというとき適切な施設へ迅速に紹介できるように 顔の見える病診連携を構築する日頃からの努力が不可欠 吉村先生から脳梗塞急性期治療をめぐる最新の状況について ご施設の治療現場で実践されていることや 地域での施設間連携の取り組みも交えてご説明いただきました こうした情報は 地域のプライマリケア医や不整脈専門医の先生方の中でどの程度浸透しているのでしょうか? また その現状を踏まえ 今後どのような情報共有が必要になってくると思われますか? 井上 : 脳梗塞急性期治療の最近の臨床成績等 初めて伺ったお話も多く 大変勉強になりました これまで 私たち不整脈専門医は 心房細動についてはやはりプライマリケア医の先生方と情報共有や連携を図ることがメインであり 脳卒中専門医の先生方との関係はほとんど作れてこなかったと思います 正直なところ 私自身 大阪市近辺で吉村先生のご施設のように熱心な脳血管内治療をされているのはどの施設なのか 詳しくは把握できていないのが実情です 心原性脳塞栓症の急性期治療後 心房細動に対する積極的な介入治療を受けられるまでに回復される患者さんが多くないという背景はあると思いますが それでもやはり相互理解は非常に大切であると 今日のお話を聞いて強く感じました 心原性脳塞栓症既往の心房細動患者さんについては おそらく今後も 脳卒中専門医の先生から直接というよりは プライマリケア医の先生方を介してご紹介いただく形が基本になると思います しかしそうした間接的な形であっても 心房細動患者さんを通じて私たち不整脈専門医と脳卒中専門医の先生方がつながりを持っている以上 双方がお互いの現場で理解し合える部分を増やしていければ 地域全体で真に心房細動患者さんにとって有益な医療環境が育まれてくるのではないかと思います 勝部 : 井上先生から心房細動アブレーション治療についてお話しいただいた際も同様に感じましたが プライマリケア医自身が最新の治療について理解しておくことの重要性をあらためて感じました プライマリケア医の役割の1つは 専門施設での急性期治療 27

28 を要する患者さんがいざ目の前に現れた場合に 迅速に適切な施設へ紹介することにあると思います 脳梗塞の最新治療法の詳細までは知らなくてもよいと思うのですが 少なくとも現在どういった治療ができるようになっているかをある程度理解し そのような治療がどの施設で可能であるかを日頃から把握しておく必要があると思います 加えて そうした情報を活用して迅速に対応するためには 日頃の勉強等と併せて 顔の見える病診連携を築いておくことも大切だと考えます 今こうして吉村先生や井上先生のお話を聞きながらあらためて感じましたが やはり顔が見えると紹介しやすくなり 治療の詳細や治療成績などについての疑問点なども尋ねやすくなります しかし お名前は存じていても実際にお会いしたことがないと 紹介することに躊躇してしまいがちなのが実情ではないでしょうか 今後は私たちプライマリケア医の方からも専門医の先生方がいらっしゃる周辺の中核病院に積極的に働き掛け 交流を図る努力が必要なのかもしれませんね プライマリケア医と専門医の顔の見える連携を地域全体で増やしていくために 双方が顔を合わせて意見交換できる勉強会の場が鍵を握る 多様なバックグラウンドの先生方が興味を持って参加できるよう工夫がいるが 各施設の地理的環境の差が参加の障壁になっている実情にも配慮が必要 中核病院の専門医による電話相談受け付け 媒体を活用した情報共有も有意義 勝部先生から 顔の見える連携 の重要性をご指摘いただきましたが 今後それを地域全体で実現するために必要なこととしては 勝部先生が挙げられた プライマリケア医の先生方ご自身による努力に加えて 中核病院の専門医の先生方からのどういったアプローチがあればよいと思われますか? 勝部 : プライマリケア医が幅広く情報や知識の習得に努めながら 地域の中核病院の不整脈専門医や脳卒中専門医の先生方と顔を合わせて交流するという点では やはり地域の勉強会等はとても有用な場だと思います ただ そうした場に参加しても受け身で情報に接するだけではなかなか十分な理解が得られません 前々回 ( 第 4 回 ) でも申し上げたように 気軽な質疑応答や率直な意見交換がしやすい 比較的小規模な勉強会の開催をお願いしたいと思います 例えば抗凝固療法について言えば プライマリケアの実臨床ではなかなか目標に到達できない場合があり さまざまな理由から抗凝固薬を処方すらしていない患者さんもいらっしゃることと思います こうした現状を踏まえた話も共有しながら率直に意見を交換できる場が増えると これまで積極的には足を運んでこられなかったプライマリケア医の参加も増え 顔の見える連携が促進されるように思います 吉村 : 連携を強化するうえで顔の見える関係を構築することがポイント という勝部先生のご指摘はまさにおっしゃる通りだと思います そうした関係ができていれば 急性期治療の際の連携に限らず 診療等で何か困って意見を聞きたいといった際にも比較的気軽に相談でき 迅速な対応が可能になります 私もその点はできる限り意識して地域の先生方との関係構築にあたるよう努めています 例えば講演会や勉強会を開く際は なるべくさまざまな先生方が興味を持ってくださるようにちょっとキャッチーなタイトルを付けたり 参加者の先生方が発言しやすいようにあえて脳神経が専門外の先生のみにご参加いただいたり といった工夫を行っています 勝部 : プライマリケア医の勉強会には さまざまなバックグラウンドの医師がいらっしゃいますので そのような工夫をしていただけると本当にありがたいですね また 今回先生方がお話しくださったような 脳梗塞や心房細動に対する治療の現状をご解説いただけると なお有意義な場になるのではないかと思います 参加された先生方全員にすべてを理解いただくことは難しいと思いますが それでもそうした現状をさまざまなプライマリケア医の先生方が頭の片隅に置くようになるだけで 地域の連携や診療環境はかなり変わってくるはずだと思います 井上 : おっしゃるとおりですね 私も実際に勉強会等でたびたび顔を合わせることを通じて患者さんをご紹介くださるようになった連携先の先生方は多く 顔が見える関係というのは連携の第一歩だと思っています ただその一方で 私たちなりに工夫をしてみてもなかなか勉強会等の場に足を運んでいただけず 連携につなげていくための接点を持つこと自体が簡単ではない先生方もいらっしゃると感じています 勝部 : そうですね その背景には プライマリケア医の先生方が置かれている環境の地域差があるように思います 例えば 西宮市について言えば 中心に近い西宮西地区と西宮東地区では比較的狭い範囲に合計 171 医療機関もあるのに対し 北の塩瀬山口地区はその広さの割に19 医療機関しかないといったように 地区によって医療機関の密度や交通の利便性等の地理的環境にかなり差があります ( 図 4) こうなるとどうしても勉強会等が開催される場所は中心部に偏ってしまい そこから離れた地区の先生方は参加したくてもできない状況が生じてしまいます 西宮市内だけでもこれだけ環境の差がありますので 阪神地域全体での情報共有の促進や連携強化に取り組んでいくうえでは なおさらプライマリケア医ごとに置かれている環境の違いといった点も考慮する必要があるように思います 例えば プライマリケア医からの質問に対し専門医の先生が答えてくださるような電話あるいはメールの相談窓口といったサービスを中核病院で行っていただけると プライマリケア医にとってはありがたいことであると思います 井上 : 確かに 地理的な問題等から参加できない先生は多くいらっしゃるでしょうね そういう意味では 勉強会だけでなく 本鼎談のよ 28

29 うなウェブコンテンツやウェブカンファレンス それから雑誌といった多様な媒体を活用して情報共有を促進することにも取り組んでいく必要性がありそうですね 地理的に不利な環境にいらっしゃる先生方に限らず 場合によっては 勉強会はどうも苦手だがウェブや雑誌なら見るといった先生方もいらっしゃるはずなので 情報を発信する側としては いろいろな媒体を通じて多角的に働き掛けることが重要だと思います そうした働き掛けが功を奏すれば 1 人でも多くの先生が勉強会の場に足を運んで下さるかもしれません 武田尾 循環器科標榜施設数 / 医療機関総数 西宮名塩 3/19 17/104 塩瀬山口 中国自動車道生瀬 JR 宝塚線阪急今津線仁川甲東園西宮北 瓦木 6/47 甲陽園 苦楽園口 門戸厄神 国道 171 号線 西宮北口名神高速道路阪神神戸線夙川 西宮西 西宮阪神国道 甲子園口 JR 神戸線 阪神本線 西宮 今津 西宮東 R43 阪神高速神戸線 西宮南 甲子園国道 2 号線武庫川 7/80 鳴尾 7/45 9/63 今津西線阪神高速湾岸線 19/91 図 4: 西宮市の各地区にある循環器科標榜施設の数と医療機関総数 [ 西宮市医師会所属の医療機関数に基づく (2015 年 2 月 10 日現在 )] 不整脈専門医 脳卒中専門医 プライマリケア医の合同勉強会を開くなら この地域でのアブレーション治療のさらなる普及を目指し予後改善のエビデンス 適応や紹介タイミング等を発信したい ( 井上先生 ) 脳梗塞急性期治療の現状紹介に加え 該当する症状が出現した患者さんは一刻も早く専門施設へ搬送するように訴えたい ( 吉村先生 ) 急性期脳卒中患者さんを専門施設に搬送するための連携 心房細動管理に関するプライマリケア医としての経験を共有したい ( 勝部先生 ) 最後に もしも先生方 3 名が演者となって この地域のプライマリケア医 不整脈専門医 脳卒中専門医の先生方を一堂に集めた合同勉強会を開催するとしたら 先生方はそれぞれどのようなトピックでお話しされたいですか? また 他のお 2 人からはどのような話をお聞きになりたいですか? 第 4 回から今回まで 計 3 回にわたったこの鼎談の総括も兼ねて お聞かせください 井上 : 心房細動がテーマでしたら私はやはり抗凝固療法かアブレーション治療についてお話しすることになるのでしょうが 抗凝固療法は既に多くの場所で話題にされてきましたので できれば アブレーション治療によってどこまで予後を改善できるのか といったトピックでお話しさせていただきたいですね 現状でどの程度のエビデンスの蓄積が進んでいるかに加えて この鼎談で勝部先生と吉村先生からご質問いただいたような アブレーション治療の適応や患者さんを紹介するタイミング等に関しても もっと分かりやすく整理して解説させていただきたいと思います それによって一人でも多くの アブレーション治療に適した心房細動患者さんが この治療にたどり着くようになってくれれば嬉しいですね 聞かせていただきたいトピックとしては 吉村先生からは今回お話しくださった内容をまさにそのままお願いしたいです 脳梗塞急性期治療の現場に登場した新しい治療法に関して その概要と現在の治療成績 普及に向けた地域での連携強化の取り組み 29

30 や 患者さんの予後改善に向けたさまざまな工夫など 多くの先生方にとって非常に勉強になるお話だと思います また 吉村先生のように情熱を持って治療にあたっている先生が身近にいることを知れば 地域の先生方にとっては大変心強いと思います 一方 勝部先生はやはり私たち 3 名の中では 最も地域の現場のニーズというものを把握されている先生だと思っています ですので 私としてはぜひ 先生ご自身からプライマリケアの現場でしばしば悩む心房細動診療の課題等を提起していただき それに対して自らのプライマリケア医としてのご経験をもとに解決策を示すといった形でお話しいただけると 非常に有意義で興味深いのではないかと思います プライマリケア医の先生にとっては実践的で参考になるでしょうし 私たち中核病院の専門医にとってはプライマリケア医の先生方のニーズを把握する機会となります 吉村 : 私からは まず今回お話しさせていただいたような脳梗塞急性期治療の最新の現状をご紹介させていただければと思います そのうえで特にプライマリケア医の先生方に向けては 当院の 24 時間対応のホットラインをお知らせする等して 患者さんが意識を失って倒れたり麻痺や言語障害等の症状が現れたりしたら 短時間で元に戻ったとしても とにかくできるだけ早く救急車に乗せて搬送してくださいと強くお伝えしたいですね 加えて 心原性脳塞栓症再発予防のための抗凝固療法に関しても 慢性期に入ると徐々に患者さんの服薬コンプライアンスが低下していきがちなので 長期的な服薬管理をしっかり行っていくという非常に重要な役割をプライマリケア医の先生方にお願いできればと思います 井上先生 勝部先生からご提供いただきたい話題としては 今回の鼎談でお2 人からお話しいただいた内容が本当に大変面白いお話でしたので ぜひともそのまま私たち脳卒中専門医に向けてお話しいただきたいですね 井上先生からは特にアブレーション治療の有効性 とりわけ心原性脳塞栓症既往患者さんにおける脳梗塞の再発予防効果に関してお話をいただければ 脳卒中専門医にとってはやはり非常にインパクトが大きいだろうと思います 勝部先生からは プライマリケアの実臨床の観点から心原性脳塞栓症の予防について現状や課題をお聞かせいただきたいです 勝部 : 私から専門医の先生方のお役に立てるようなお話をすることは難しいですが 専門分野の異なるプライマリケア医の先生方に向けて私自身の経験を自分なりに整理して共有させていただくこと 例えば脳卒中が疑われる患者さんに遭遇した場合や初診の心房細動患者さんを診た場合等に 実際どのような手順で対応し 専門医療機関と連携していくのかといったことは お示しできるかと思います お2 人にお願いしたいテーマに関しては 今回の鼎談でお聞かせいただいたようなお話を多くのプライマリケア医に対してもお願いしたいと思います 吉村先生からは脳梗塞急性期治療の現状を紹介していただければ 私たちプライマリケア医にとって非常にインパクトがあると思います 一方 NOACなどの抗凝固療法については教えていただける機会は多いので 井上先生にはやはりアブレーション治療などの非薬物療法の現状と展望を中心にぜひお聞かせいただきたいですね 先生方がお話しくださったような内容での勉強会をいつかぜひ実現できれば と心から思います 本日はありがとうございました 参考文献 1) 日本脳卒中学会, 発症 3 時間超 4.5 時間以内の虚血性脳血管障害患者に対する rt-pa( アルテプラーゼ ) 静注療法の適正な施行に関する緊急声明 年 9 月, 2) 脳卒中合同ガイドライン委員会編, 脳卒中治療ガイドライン 東京 : 協和企画 ; ) 中川原譲二. rt-pa 静注療法の臨床的転帰に及ぼす患者背景因子の影響. 脳卒中. 2008; 30: )Berkhemer OA, et al. A randomized trial of intraarterial treatment for acute ischemic stroke. N Engl J Med. 2015; 372: )Goyal M, et al. Randomized assessment of rapid endovascular treatment of ischemic stroke. N Engl J Med Feb 11. [Epub ahead of print] 6)Campbell BC, et al. Endovascular therapy for ischemic stroke with perfusion-imaging selection. N Engl J Med Feb 11. [Epub ahead of print] 7)Saver JL, et al. SWIFT PRIME Results. International Stroke Conference Feb 11; Nashville, USA. 8)Mazighi M, et al. Impact of onset-to-reperfusion time on stroke mortality: a collaborative pooled analysis. Circulation. 2013; 127: )Goyal M, et al. Effect of baseline CT scan appearance and time to recanalization on clinical outcomes in endovascular thrombectomy of acute ischemic strokes. Stroke. 2011; 42: )Takasugi J, et al. Dissolution of the left atrial appendage thrombus with rivaroxaban therapy. Cerebrovasc Dis. 2013; 36: )Tabata E, et al. Increase in the size of an intracardiac thrombus during Dabigatran therapy (110 mg b.i.d.)in an acute cardioembolic stroke patient. Cerebrovasc Dis Extra. 2013; 3:

31 井上耕一先生 桜橋渡辺病院心臓 血管センター不整脈科科長 1995 年 大阪大学医学部卒業 1996 年 桜橋渡辺病院内科 2002 年 大阪大学大学院医学系研究科修了 2002 年 桜橋渡辺病院心臓 血管センター内科 2007 年 同内科医長 2008 年 同不整脈科科長 2014 年 同内科部長 ( 兼任 ) 日本不整脈学会認定不整脈専門医日本循環器学会認定循環器専門医 吉村紳一先生 兵庫医科大学脳神経外科学講座主任教授 1989 年 岐阜大学医学部卒業 同年 同脳神経外科入局 1992 年 国立循環器病研究センター脳神経外科 1995 年 岐阜大学大学院医学研究科入学 1998 年 同修了 ( 医学博士 ) 1999 年 ハーバード大学マサチューセッツ総合病院脳卒中研究室 2000 年 チューリヒ大学脳神経外科学 2001 年 岐阜大学医学部脳神経外科講師 2004 年 岐阜大学大学院医学系研究科脳神経外科助教授 2008 年 同臨床教授 2014 年 兵庫医科大学脳神経外科学講座主任教授現在に至る 日本脳神経外科学会専門医 指導医日本脳血管内治療学会指導医日本脳卒中学会専門医 勝部芳樹先生 勝部医院院長 1979 年 慶應義塾大学工学部数理工学科卒業 1988 年 東京慈恵会医科大学医学部卒業 同年 大阪大学医学部第一内科入局 同年 国立大阪南病院循環器科 1993 年 大阪大学医学部第一内科 1996 年 神戸掖済会病院内科 2001 年 大阪回生病院内科 2002 年 勝部医院院長現在に至る 日本内科学会認定内科医日本循環器学会専門医日本医師会認定産業医日本医師会認定健康スポーツ医 31

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