はじめに 2016 年 11 月にパリ協定が発効した 予想を上回る速さでの発効であったが パリ協定の発効と同じ 2016 年 11 月に行われた米国の大統領選挙において パリ協定の脱退を公約に掲げていた共和党のトランプ候補が当選し 2017 年に米国はパリ協定からの脱退を決めた しかし 各国からのパ

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1 平成 29 年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業 市場メカニズム交渉等に係る国際動向調査 報告書 平成 30 年 3 月 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

2 はじめに 2016 年 11 月にパリ協定が発効した 予想を上回る速さでの発効であったが パリ協定の発効と同じ 2016 年 11 月に行われた米国の大統領選挙において パリ協定の脱退を公約に掲げていた共和党のトランプ候補が当選し 2017 年に米国はパリ協定からの脱退を決めた しかし 各国からのパリ協定への積極的な関与に変化の兆しは変わらず パリ協定の 6 条の下での市場メカニズムの具体的な実施規則について 協議が続けられている パリ協定では 6 条において協調的アプローチ等の規定がおかれ 他国で得られた排出削減量を取引し 自国が決定する貢献 (NDC) の目標達成に活用することが認められている 京都議定書においても他国の排出削減量を自国の目標達成に利用する柔軟性措置 市場メカニズムの活用が認められていた このようにパリ協定でも京都議定書と同様な措置が設けられているものの パリ協定と京都議定書では 内容が大きく異なるため 京都議定書の下での実施規則を そのままパリ協定の下では利用できない 一方で 我が国は 世界に誇る低炭素技術や製品の普及等を積極的に推進し 世界規模での地球温暖化対策を進めていくため 低炭素技術 ( 省エネ技術 新エネ技術 石炭火力等 ) の普及等による温室効果ガスの排出削減を適切に評価する新たな仕組みである 二国間クレジット制度 ( 以下 JCM) の推進のため 積極的な取り組みを実施している 2020 年以降 JCM の今後のあり方を検討する上で パリ協定の下での市場メカニズムの実施規則の協議の動向 特にダブルカウントの回避を含むアカウンティング方法の動向は無視できないものである また 国際的に見ると世界銀行の下での変革的炭素資産ファシリティー (Transformative Carbon Asset Facility TCAF) 市場メカニズム導入準備基金(Partnership for Market Readiness PMR) や G7 の下で実施されている炭素市場プラットフォームなどの市場メカニズムに関連する様々な取組みが実施されている これらの取組みは 今後の国際社会における市場メカニズムに関する取組みに大きな影響を及ぼす可能性もある そこで本調査では パリ協定の下での市場メカニズムの交渉の動向を調査し 交渉の上での論点 各国の立場を明らかにした上で 各論点での各国の対立構造を分析するとともに 世界銀行の取組みの現状を調査し JCM を含む市場メカニズムを活用した GHG 排出削減の在り方を分析した 本報告が パリ協定の下での市場メカニズムに関する協議や JCM の有効活用に向け貢献するとともに JCM における制度運用の参考となれば幸甚である 2018 年 3 月 ( 一財 ) 日本エネルギー経済研究所 i

3 目次 ( ア ) 用語集... iv 第 1 章.2020 年以降の市場メカニズムを巡る国際交渉の動向 パリ協定第 6 条の交渉論点... 1 (1). COP24 において合意が求められる文書... 1 (2). 交渉上の論点... 2 (3). アカウンティングの重要性... 3 (4). 京都議定書とパリ協定の性質の違い... 3 (5). 相当の調整 の重要性 パリ協定第第 6 条に関する各国の見解の整理... 5 (1). これまでの交渉の経緯... 5 (2). アカウンティングに関する各国の見解... 7 (3). 第 6 条 2 項の主要な論点 (4). 第 6 条 4 項の主要な論点 (5). 第 6 条 8 項について (6). 各国の見解と今後の交渉の方向性についての分析 第 2 章. JCM を含む市場メカニズム活用を通じた温室効果ガス排出削減の在り方に関する 調査分析 JCM の動向 (1). JCM における登録済みプロジェクト クレジット発行の動向 市場メカニズムに関する様々な取組み (1). 世界銀行における市場メカニズムに関する取組み (2). 炭素市場プラットフォームにおける取組み JCM を含む市場メカニズム活用を通じた温室効果ガス排出削減の在り方に関する 調査分析 第 3 章. 海外の市場メカニズムの動向調査 国際的な動向 ( 京都メカニズム等の動向 ) (1). 第 13 回京都議定書締約国会合 (CMP13) での交渉の動向 (2). プロジェクト開発の停止 (3). 継続する CER の発行 (4) 年までの予想される需要 (5). UNFCCC 以外の市場メカニズム (2021 年以降の取組み ) 各国における市場メカニズムの動向 ii

4 (1). 米国における市場メカニズムに関する動向 (2). EU における市場メカニズムに関する動向 (3). 中国における市場メカニズムに関する動向 (4). 韓国における市場メカニズムに関する動向 補足資料 第 93 回 CDM 理事会報告 第 94 回 CDM 理事会報告 第 95 回 CDM 理事会報告 第 96 回 CDM 理事会報告 第 97 回 CDM 理事会報告 iii

5 ( ア ) 用語集 Assigned Amount unit 附属書 Ⅰ 国に割り当てられた初期算定割当量 AILAC The Independent Alliance of Latin America and the Caribbean( 独立中南米カリブ諸国連合 ) チリ コロンビア コスタリカ ホンジュラス グアテマラ パナマ ペルーが参加している UNFCCC の交渉グループ ALBA Bolivarian Alliance for the Peoples of our America(ALBA) ボリビア ベネゼエラ キューバ ニカラグア エクアドルなどが参加する UNFCCC の交渉グループ AOSIS Alliance of Small Island States( 小島嶼諸国連合 ) セントルシア モルジブ ツバル フィジーなどが参加する UNFCCC の交渉グループ BAU 特段の対策を行わない場合 (Business As Usual) のこと CCS 二酸化炭素回収 貯留 (Carbon Dioxide Capture and Storage) 発電所や工場等の出源から分離回収した二酸化炭素を地層に貯留する技術の総称 分離方法には 化学吸収法 物理吸収法 膜分離法 物理吸着法 深冷分離法 ハイドレート分離法等がある 貯留方法には 地中隔離法 海洋隔離法 プラズマ分解法等がある CDM クリーン開発メカニズム (Clean Development Mechanism) 京都議定書によって温室効果ガス排出量の数値目標が設定されている先進国が 数値目標が設定されていない途上国内において排出削減等のプロジェクトを実施し その結果生じた排出削減量分のクレジットを先進国へ移転するスキームの総称 CER Certified Emission Reduction CDM を通じて発行されたクレジット CH 4 メタン 温室効果ガスの種類で 有機性の廃棄物の最終処分場や 沼沢の底 家畜の糞尿 下水汚泥の嫌気性分解過程などから発生する CMA パリ協定締約国会合 CMP 京都議定書締約国会合 (the Conference of the Parties serving as the Meeting of the Parties to the Kyoto Protocol) 京都議定書の締約国の会合 COP とともに 現在は年に一度の頻度で開催されている iv

6 CO 2 二酸化炭素 温室効果ガスの種類で 石油 石炭 木材等の炭素を含む物質の燃焼 動植物の呼吸や微生物による有機物の分解等による発生する 一方 植物の光合成によって様々な有機化合物へと固定される COP 気候変動枠組条約締約国会議 (the Conference of the Parties) 気候変動枠組条約の締約国の会議 現在は年に一度の頻度で開催されている cooperative Approach 協調的アプローチ 6 条 2 項で規定されている市場メカニズム CMP 京都議定書締約国会合 EIG Environmental Integrity Group( 環境十全性グループ )UNFCCCの下での交渉グループ スイス 韓国 メキシコ ルクセンブルグなどが参加 ERU Emission Reduction Unit 共同実施を通じて発行されたクレジット ETS 排出権取引または排出量取引制度 (Emissions Trading Scheme) 環境汚染物質の排出量低減のために用いられる経済的手法であり 全体の排出量を抑制するために 国や企業などの排出主体間で排出する枠 ( キャップ ) を割り当て 枠を超過して排出する主体と枠を下回る主体との間でその枠の売買をする制度 排出枠の割当方法には過去の実績に応じて無償で割り当てる方法 ( グランド ファザーリング ) や必要な排出枠を政府等から有償で調達する方法 ( オークション ) 等 様々な方法が存在する EUA EU アロウワンス (EU Allowance) EUETS で取引される排出枠 EUETS 欧州域内排出量取引制度 (European Emissions Trading Scheme) 京都議定書上の EU 加盟国の約束を できるだけ小さい費用で経済的に効率よく達成することを目的として 2005 年より欧州域内の EU15 カ国を対象として開始された 順次対象国を拡大し 現在では EU27 カ国を対象としている GHGs 温室効果ガス (Greenhouse Gases) 地表から放射された赤外線の一部を吸収することによって 温室効果をもたらす気体の総称 京都議定書では 二酸化炭素 メタン 一酸化二窒素 ハイドロフルオロカーボン パーフルオロカーボン 六フッ化硫黄が抑制の対象となっている v

7 HFC ハイドロフルオロカーボン (Hydrofluorocarbons) 京都議定書の対象ガス IPCC 気候変動に関する政府間パネル (Intergovernmental Panel on Climate Change) 人為的な気候変動のリスクに関する最新の科学的 技術的 社会経済的な知見をとりまとめて評価し 政策決定者に情報を提供することを目的とした政府間機構 1970 年代の異常気象を契機に 気候変動に関する科学的情報を包括的に提供する必要性が高り IPCC の設立構想が 1987 年の WMO 総会並びに UNEP 理事会で提案され 1988 年に承認 同年に IPCC が設立された ITMOs 6 条 2 項に定められた国際的に移転される緩和の成果 (Internationally Transferred Mitigation Outcomes) のこと 6 条 2 項で下で移転される緩和の成果の単位 JI 共同実施 (Joint Implementation) 京都議定書において 温室効果ガス排出量の数値目標が設定されている先進国間で排出削減等のプロジェクトを実施し その結果生じた排出削減量分のクレジットを投資国側のプロジェクト参加者に移転することができるスキームの総称 LMDC Like Minded Developing Country Group( 有志途上国グループ ) 中国 サウジアラビアなどの新興国 途上国で作る UNFCCC での交渉グループ LULUCF 土地利用 土地利用変化および森林 (Land use, land use change and forestry) いわゆる吸収源 MRV 測定 報告 検証 (Measurement, Reporting and Verification) Modalities and Procedures 様式と手続き CDM の Modalities and Procedures や6 条 4 項のメカニズムの Modalities and Procedures がある Non-market Approach 非市場アプローチ パリ協定 6 条 8 項で規定されている取組み N 2O 亜酸化窒素 燃焼 窒素肥料の使用 化学工業 ( 硝酸などの製造 ) や有機物の微生物分解等によって発生する温室効果ガス NF 3 三ふっ化窒素 京都議定書の対象ガス 第 2 約束期間から追加された vi

8 PFC パーフルオロカーボン (Perfluorocarbons) 京都議定書の対象ガス REDD 森林減少 劣化による排出の削減 (Reducing Emissions from deforestation and forest degradation in developing countries) RMU Removal Unit 吸収源活動によるネットの吸収量として発行されたクレジット SB COP および CMP の補助機関 (Subsidiary Body) 科学上および技術上の助言に関する補助機関 (SBSTA : Subsidiary Body for Scientific and Technological Advice) 実施に関する補助機関 (SBI: Subsidiary Body for Implementation) などがある SBI 実施に関する補助機関 SBSTA 科学上および技術上の助言に関する補助機関 SF 6 六フッ化硫黄 京都議定書の対象ガス UNFCCC 国連気候変動枠組条約 (United Nations Framework Convention on Climate Change) 地球温暖化問題に対する国際的な枠組みを設定した条約 京都議定書 Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change 先進国の温室効果ガス排出量について 法的拘束力のある数値目標を各国毎に設定 国際的に協調して 目標を達成するための仕組み ( 排出量取引 クリーン開発メカニズム 共同実施など ) を定めている 一方 途上国に対しては 数値目標などの新たな義務は導入していない 京都メカニズム京都議定書目で定められた標達成のための温室効果ガス削減プロジェクト ( 共同実施 クリーン開発メカニズム ) や排出量取引の総称 附属書 I 締約国 UNFCCC の附属書に掲げられた国 ( 主に先進国 ) vii

9 第 1 章.2020 年以降の市場メカニズムを巡る国際交渉の動向 1. パリ協定第 6 条の交渉論点パリ協定の下で実施される市場メカニズムについては第 6 条において規定されているものの 具体的な実施のための実施規則 ( ガイダンスや規則など ) の策定が必要とされており 2016 年以降 検討作業が続けられている ここでは パリ協定第 6 条の実施規則の交渉上の論点を明確化した上で それぞれの論点について各国が どのような立場をとっているのか意見書に示された見解を踏まえて整理し これらの見解について分析する なお (1). COP24 において合意が求められる文書 2015 年の COP21 において採択されたパリ協定は 京都議定書とは異なり全ての国が排出削減目標を設定し 米中印等の世界の主要な温室効果ガス排出国が参加する国際社会における初めての枠組となり 画期的な協定となった その後 米国のトランプ大統領がパリ協定からの脱退を表明したものの 他の国は今後も 引き続き パリ協定に留まり パリ協定の下で温暖化対策に取組んでいく意向を示している パリ協定では 第 6 条において市場メカニズムに関連する規定が置かれているものの 具体的な実施規則については パリ協定の第 1 回締約国会合 (CMA1) において採択されることとされている 1 パリで採択された決議では CMA1までに第 6 条に関して次のような文書を策定することが求められている 第 6 条 2 項については 協調的アプローチに関するガイダンス 第 6 条 4 項については 持続可能な発展メカニズムに関する規則 様式と手続き 第 6 条 8 項については 非市場アプローチに関する作業計画 当初は パリ協定の発効までに 2~3 年の時間がかかると想定されていたが 各国の批准手続きが想定以上に早く進み 2016 年 11 月 COP22 開催期間中に発効するに至り CMA1 が開催されることとなった 第 6 条以外の条文でも CMA1での実施規則の合意を目指し 各国は交渉していたものの この時点では 採択可能な文書は作成されていなかったため 対応策が協議され 2018 年の COP24 において採択することを目指し作業を継続することで各国は合意した 2016 年以降 三つの文書を策定するための実質的な議論は 2017 年末までに補助機関会合 COP23 ラウンドテーブルなどの UNFCCC が主催する正式な会合や 各国が自主的に実施している非公式協議などの様々な場を通じて協議が続けられてきた また 補助機関会合 COP の開催に合わせて 2017 年末までに各国政府に対して 3 回の 1 パリ協定第 6 条 1/CP.21 パラ 37~ パラ 41 1

10 意見書の提出が求められてきている 会合では 各国とも意見書の内容を踏まえて 協議に臨んでおり 意見書の内容を分析することで 各国のそれぞれの論点についての考え方が分かる また 3 回の意見書を通じて 原則的な提案から より個別具体的な制度の提案がなされるようになってきている これらの意見書で示された制度に関する具体的な提案が 今後の制度の策定の基礎となることから 最終的に合意される制度を予想する上でも 各国が提出した意見書の分析は重要である ここでは 特に 市場メカニズムに関連する論点となっている第 6 条 2 項 4 項に注目する 第 6 条 2 項 4 項に関しては 後述するように取引の際の単位 その単位を目標に活用した場合のアカウンティングの方法など様々な論点があり 各国の見解が鋭く対立している このように各国が対立しているのは これら二つの論点の成果によってパリ協定の市場メカニズムのあり方を左右することになり 2020 年以降の各国の温暖化対策にも影響を及ぼす可能性を秘めているためである 第 6 条 8 項については 未だに非市場アプローチでどのような取組みがなされるのか その具体的な内容についても明確になっていない まずは具体的な取組み内容について 各国が意見交換する段階に留まっている また 非市場アプローチの取組みがどのような形で各国の目標達成に活用されるのかも現時点では明確になっていない 一部の国は新しい制度の構築を提案しているが それに対して支持する声は広がっていないのが現状である (2). 交渉上の論点交渉においては パリ協定第第 6 条や COP21 で採択された決議 (1/CP.21) が CMA1 において決定することを求めている論点について協議されているとともに 協議を通じて各国から議論する必要があると指摘された論点についても協議されている 表 1 市場メカニズムに関連する論点 ( 第 6 条 2 項と 4 項 ) パリ協定第 6 条 2 項に関する論点 a. ガイダンスの対象 b. 堅固なアカウンティング b. 自主的な参加 パリ協定第 6 条 4 項に関する論点 a. 様式と手続きの対象と原則 (6 条 4 項のメカニズムの対象 ) c. ダブルカウントの回避 ( 対応するための調整 Corresponding Adjustment) c. 対象とする活動 d. 透明性 d.overall mitigation の意味 e. 環境十全性 e. ダブルカウント f. 持続可能な発展 f. 環境十全性 g. ガバナンス g. 持続可能な発展 h. 他の規定との関連性 h. ガバナンス i.cdm との関連性 j. 他の規定との関連性 ( 出典 ) 各種資料から日本エネルギー経済研究所作成 2

11 (3). アカウンティングの重要性協議の中で 重要な論点となっているのが 市場メカニズムを活用した場合のアカウンティングである 特に 第 6 条の協議の中では 一つの排出削減量を二カ国で目標値の利用に活用するダブルカウントをどのように回避するのか その具体的な方法をどのように定めるのかが 重要な論点となっている アカウンティングとは各国がパリ協定の下で提出する NDC の達成を評価することであるが 第 6 条の下では 複数の国の間で排出削減量が移転され 最終的にいずれかの国で目標達成に利用されることになる 図 1 パリ協定の下でのダブルカウントの可能性 ( 出典 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 この利用の際に 排出削減量が創出された国と目標値に利用した国が 双方ともに 排出削減量を目標値に利用した場合 一つの排出削減量が 2 度 目標達成に利用されたこと ( ダブルカウント ) になり 結果として排出量の増加をもたらすことになる そのため 第 6 条の下での取組みが排出量の増加につながらないように NDC の目標達成を判断するアカウンティングについて何らかの規則を設ける必要がある さらに パリ協定は京都議定書と異なる性質を持っていることから 京都議定書の下で実施されていたアカウンティングの方法とは異なる方法が求められている このため 一つの排出削減量を複数の国で目標達成に利用するダブルカウントの回避が重要な論点となっているのである (4). 京都議定書とパリ協定の性質の違い パリ協定と京都議定書では 目標設定の方法がまったく異なることから 市場メカニズム 3

12 の活用に当たっても 新たなルールが求められる理由となっている まず 京都議定書がパリ協定と異なるのは 排出削減目標は先進国のみに設定され 途上国に対しては設定されず 二元的な構造となっていることである 京都議定書では 2008 年から 2012 年までの間に先進国全体での温室効果ガス (GHG) の排出量の目標値 (1990 年比で 5% の排出削減 ) を定めた後に トップダウンで個々の先進国に認められる排出量の目標値が定められていった さらに 設定された目標値は tco2e を単位として設定され 目標達成を判断する際も GHG の排出量のみを tco2e を単位として算定し判断された 目標達成のために先進国が他国 ( 他の先進国あるいは途上国 ) で生じた排出削減量を 取引を通じて取得 目標達成に利用する際の単位も tco2e とされた 一方 パリ協定では 先進国だけではなく途上国も何らかの目標値が設定される一元的な構造となっている点で京都議定書と異なる さらに パリ協定の加盟国全体で排出量の目標値は定められず ( 温度上昇を一定の範囲に収めることだけが規定されている ) 各国が それぞれの状況を踏まえてボトムアップで独自に策定する 自国が決定する貢献 (Nationally Determined Contribution 以下 NDC) の下で目標値を設定している 京都議定書と同様に基準年の排出量の水準から 複数年にわたって排出量を削減する複数年の排出削減目標が設定されている場合もあるが 基準年は設けられているが単年度の目標である場合や 原単位の目標値が設定されている場合もある また 目標値の設定方法については各国に大きな裁量が認められているため tco2e だけではなく 再生可能エネルギーの導入目標値を電力量 kwh 容量 kw などで設定されている場合が多く 途上国では適応に関する取組みを目標として設定する場合も多い そのため 目標達成の判断にあたっては tco2e 以外の単位も考慮しなければならなくなっている さらに NDC の規制対象となっている産業分野については国によって異なり 全経済活動が対象となっている場合もあるが 一部 NDC の規制対象外となっている場合も多い このように多様な目標設定がなされている中で 他国で得られた排出削減量をどのような単位で取引するのか また 得られた他国の排出削減量を目標達成にあたってはどのようにアカウンティングを行うか 京都議定書とは異なる対応がパリ協定では求められている (5). 相当の調整 の重要性第 6 条の下では 二国間あるいは多国間の間で排出削減量あるいは排出割当量が移転され 最終的には何れかの国で NDC の目標達成に活用される その際に 排出削減量あるいは排出割当量を提供した国と 提供された排出削減量 割当量を受け入れ NDC の目標達成に活用した国の間での調整が必要とされ COP21 における決定文書では Corresponding Adjustment( 相当の調整 ) を踏まえた形でダブルカウントの回避を行うことが求められている しかし 具体的には 相当の調整 がどのようなものとなっているのか明らかではない そのため 相当の調整 において 誰が いつ 何を どのように 調整するのか明確にすることが必要とされているのである 4

13 2. パリ協定第第 6 条に関する各国の見解の整理 (1). これまでの交渉の経緯上記のように 2016 年以降 パリ協定第 6 条の実施のために求められるガイダンス 規則 様式と手続き 作業計画について協議が続けられてきた この中では COP などの会合における協議がなされるだけではなく 各国から意見書が提出されている 既に 3 回の意見書提出 (2016 年 10 月 2017 年 3 月 2017 年 10 月の 3 回 ) が行われ 多様な提案がなされている 表 2 これまでの交渉の経緯 2016 年 5 月 SB 44 協議開始 : 意見書提出を合意 2016 年 11 月 COP 年 5 月 SB 年 11 月 COP23 作業計画に合意 (SB46 まで ) 作業計画に合意 (COP23 まで ) 作業計画に合意 (SB48 まで ) ラウンドテーブル開催意見書提出ラウンドテーブル開催意見書提出ラウンドテーブル開催意見書提出 2018 年 5 月 SB 年 11 月 COP24 パリ協定の実施規則採択 ( 予定 ) ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 第 1 回目の意見書提出では 原則的な姿勢を示す内容が多かったのに対し 2 回目 3 回目の意見書提出では より詳細な内容を提案しているものも見られた ここでは これまでの意見書提出において示された各国からの具体的な制度の提案について論点毎に見ていく 分析にあたっては UNFCCC のウェブ上で公開されている資料とともに COP などでの協議における発言を下に各国の立場を分析した報告書などを参照した 2 また 意見書提出にあたっては 個別に各国が提出する場合も見られるが グループで意見書を提出している場合も多いため グループで提出している場合は グループの意見書を参照した ( 交渉グループについては図 2 参照 ) 2 各国の意見書については以下の UNFCCC ウェブサイトで公開されているものを参照 参照文献としては次の文献 Dr. Axel Michaelowa and Dr. Sandra Greiner Understanding the status of negotiations on Art. 6.2 of the Paris Agreement Discussion Paper January 2018 Perspectives Climate Change 5

14 図 2 UNFCCC の交渉における交渉グループ ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 6

15 (2). アカウンティングに関する各国の見解 6 条において様々論点が議論されているが 6 条 2 項と 4 項においては ITMOs の定義 アカウンティング 第 6 条 2 項と 4 項の関係の三つの論点について各国から様々な見解が示されている これら三つの論点は アカウンティングの具体的な方法 ( 何を どのように算定するのか ) に関連しており アカウンティングの方向性を左右していく重要な論点であると言えるだろう アカウンティングは第 6 条 2 項で規定されているものの 第 6 条 4 項の下で実施される活動から得られる排出削減量の各国の NDC の達成の活用の際にも適用する必要があり 2 項と 4 項 それぞれで重要な論点となっている 1 ITMOs の定義パリ協定の下での NDC では再生可能エネルギーの導入目標等も設定されており CO2 を単位としない目標もある このような多様な目標を設定している国同士で取引される単位をどのようなものとするのか また そもそも どのようなものをパリ協定の下での取引を認めるのか パリ協定の中では 明確にされていない そのため各国は ITMOs について様々な見解を表明している ITMOs の具体的な内容 tco2e を指標とした国際的 に取引される排出削減量の 単位 tco2e 以外に換算できない 緩和の成果も ITMOs の対 象とする その他 表 3 ITMOs の定義に関する各国の提案 各国の見解 豪州 EU 日本 NZ EIG AOSIS 等の多くの国 グループが tco2e を指標とした取引の単位とすることを提案 EU は 6 条 2 項の協力的アプローチ 4 項のメカニズムともに ITMOs を創出すると定義 LMDC(Like Minded Developing Countries) やアラブグループは 全ての緩和の分野に対応するために 多様な緩和の指標が必要となることから tco2e で示される排出削減量等以外にも 適応への取組み ( パリ協定 4 条 7 項で規定されている経済の多様化を含む ) に由来する緩和へのコベネフィットについても ITMOs に含めるべきと主張している アフリカグループは ITMOs をクレジット ユニットのように保有可能なものではなく 目標達成の際に 二国間で交換されたユニットの移転を追跡するための記帳 (bookkeeping) であると主張 ITMOs は排出量取引制度の連携による排出枠の交換 6 条 4 項のメカニズムに由来するクレジットに紐づけられると説明している ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 7

16 2 アカウンティングの実施方法これまでの意見書に示されていた見解から 各国が考えるパリ協定の下でのアカウンティングの方法として どのようなものがありうるのか その方向性についてはある程度 明らかになってきている 特に アカウンティングにおいては ダブルカウントを回避するために 誰が いつ 何を どのように 調整するのかについて定める 相当の調整 が重要な論点となっており 各国から 様々な提案がなされている それ以外にも NDC の規制対象分野以外の分野で得られた排出削減量をどのようにカウントするのか 国際民間航空機関 (ICAO) の下での温暖化対策に ITMOs が活用された場合の対応方法についても 交渉上の論点となっており 各国が見解を示している ⅰ. アカウンティングの基本的な考え方 アカウンティングをどのように行うのか 大きく三つの考え方が示されている 報告書提 出によるもの ユニット発行によるもの 緩衝登録簿設定によるものの三つである アカウンティングの方法 報告書提出による アカウンティング ユニット発行によるアカ ウンティング 緩衝登録簿設定によるア カウンティング 表 4 アカウンティングの基本的な考え方 各国の見解 ニュージーランドは 国際的な ITMOs の移転について報告書提出し 透明性を確保する制度を提案している 隔年報告書 国家インベントリー報告書を活用し ITMOs の移転状況の報告は 日本 EIG アフリカグループ AOSIS 等からも提案されている ブラジルは NDC の最終年に想定される排出量に NDC の対象期間年数を乗じた数量に相当するユニット (Quantified Contribution Unit, 以下 QCU) を発行し この取引を一定の条件の下に認め NDC の達成にあたっては 排出量と QCU の数量を比較することで判断する制度を提案している LMDC は アカウンティングに際して Buffer Zone Registry ( 緩衝登録簿 ) を設けて この中で ITMOsの取得と移転を管理することを提案 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 ⅱ.NDC の規制対象分野以外で生じた ITMOs の取り扱い先進国においては 全ての経済活動分野が規制対象となっているが 途上国においては 全ての経済活動分野が規制対象となっているわけではない そのため NDC の規制対象分野以外での排出削減活動から得られた ITMOs が途上国から他の国に移転され目標達成に利用された場合 どのような対応をとるのか論点となっている 様々な見解が各国から示されている 8

17 NDC 対象規制外の ITMOs への 対応 ITMOs の由来が NDC 規制対象 内外を問わず 相当の調整 を行うとする立場 ITMOs の由来が規制対象外で あれば 相当の調整 を行わ ない 今後の検討課題とする立場 表 5 NDC 規制対象外の ITMOs への対応 各国の見解 日本 EIG は NDC の規制対象外に由来する ITMOs であっても 相当の調整 を行うと主張 AOSIS は NDC の規制対象外の ITMOs の利用を認めることで ホスト国における NDC の規制対象分野の拡大を阻害してはならないと指摘 アフリカグループは NDC の規制対象外の ITMOs については 相当の調整 を適用すべきでないと主張 アフリカグループは NDC の規制対象分野となっていない分野についてはデータ収集に困難があるためで ITMOs を創出するプロジェクトを NDC 規制対象分野でも認め 促進することでデータ収集がなされ 将来的に NDC の規制対象分野の拡大に貢献すると主張 アラブグループは NDC の規制分野の設定と ITMOs の Corresponding Adjustment は別問題であると指摘 NZ は NDC の規制対象外で生じた ITMOsについては 調整を行わないとの見解を示している カナダは NDC の規制対象外に由来する ITMOs の取扱いについては 今後の検討課題であるとの立場 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 ⅲ 国際民間航空機関の温暖化対策 (CORSIA) との関係 2016 年に国際民間航空機関 (ICAO) において 2020 年以降の国際民間航空部門における温暖化対策として市場メカニズム (CORSIA) を導入することが合意された (CORSIA の詳細については第 3 章を参照 ) ICAO の規制への活用 ICAO の規制への活用を認 める立場 ICAO との協力関係を構築 するべきとする立場 ICAO の活用を今後の検討 課題とする立場 表 6 CORSIA への対応 各国の見解 アフリカグループは 6 条 4 項のメカニズムから得られるユニットの CORSIA への活用を認める立場を示した EIG も ITMOs の活用を認めるものの その場合 ITMOs の取消しが必要との立場を示した 豪州は緩和の成果を CORSIA に活用した場合に ダブルカウントの回避が必要との見解を示している AILAC は パリ協定の協力的アプローチと CORSIA の整合性を保つために ICAO の下で続けられている CORSIA の下で認められるユニットのタイプの検討作業を ICAO と CMA の共同で行うことを提案 ノルウェー AOSIS 等は CORSIA への活用を今後の検討課題としている ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 9

18 CORSIA では UNFCCC やパリ協定の下での市場メカニズムで発行されるユニットを目標達成に利用することが認められているが CORSIA にどのように対応していくのか パリ協定第 6 条の下で発行されたユニットが利用された場合に パリ協定ではどのような扱いとするのか 各国で見解が分かれている 10

19 3 相当の調整 の具体的な内容当初の意見書提出では 各国とも 相当の調整 について その取組みの重要性について認めているものの 具体的な制度について提案している国は少なかった しかし 意見書提出の回数を重ね さらに協議を行う中で いくつか具体的な調整方法が提案されてきている 相当の調整 の方法 報告する排出量の調整方法 NDC を踏まえた調整方法 ユニット発行による調整方法 緩衝登録簿による調整 表 7 相当の調整 の方法 各国の見解 ニュージーランドは 隔年報告書や国家インベントリー報告書の中で ITMOs の移転 獲得数量及びその相手国 ITMOs を反映させた排出量 ( 移転あるいは獲得した ITMOs の数量に対応するもの ) を記録するアカウンティング報告書を含め 相当の調整 を行うことを提案している アフリカグループは ITMOs の移転 取得に応じて NDC を調整することを提案している 小島嶼諸国連合(AOSIS) は NDC が達際された場合の排出量を算定した上で 相応の調整 のための NDC アカウントを設け この NDC アカウントの数量を控除 追加することで対応することを提案 ブラジルは 6 条 2 項の下で 各国の NDC に相当する排出量のユニット (QCU) を発行し QCU プールにおいて管理し 他国との排出削減量の取引にあたっては この QCU を移転 取得することを提案 この移転 取得に対応して QCU プールの控除 追加がなされる 一方で ブラジルは 6 条 4 項の下で発行されるクレジットについては ホスト国における 相当の調整 を行わない方法を提案 LMDC は 緩衝登録簿において ITMOsの移転を管理することを提案 ゼロからはじめ 国外から取得した場合はプラスに記録し 国外へ転出した場合はマイナスとして記録していく方法を提案 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 11

20 4 第 6 条 2 項と 4 項の関係について第 6 条 2 項と 4 項の関係についても様々な見解がある 6 条 2 項のガイダンスを 6 条 4 項のユニットの移転にも適用するべきとする考え方や 6 条 2 項において 6 条 4 項と同様な取組みを実施した場合は 6 条 4 項と同様の基準に従うべきなど様々な見解がある 6 条 2 項と 4 項の関係 6 条 2 項を全ての排出削 減量の移転に適用するべ きとする立場 6 条 4 項のユニットにつ いて 6 条 2 項のガイダン スの対象外とする立場 6 条 4 項の基準を 6 条 2 項の削減活動にも適用す るべきとする立場 その他の見解 表 8 第 6 条 2 項と 4 項の関係 日本 NZ 豪州 カナダ EU AOSIS EIG 等は 6 条 4 項の下で創出されたユニットも 6 条 2 項の下のアカウンティングのガイダンスの対象となるとの見解 ブラジルは 6 条 4 項については クレジット発行から受取国 ( 買手国 ) に対してのクレジットの引渡の段階では 6 条 2 項は適用されず ( 相当の調整 も行われない ) 受取国から第三国への移転に際して 相当の調整 適用されると主張 AOSIS は 6 条 2 項と 4 項の関係に関連して ( 排出削減 ) 活動をベースにした ITMOs の移転にあたって 質の確保のために最低でも 6 条 4 項の基準 (real, measurable, additional, verified and long -term emissions reduction) を満たすべきであると指摘 南アフリカは 6 条 2 項 4 項ともに一つの監督機関の下で運営を管理されるべきとの提案をしている AILAC は 6 条 2 項は ITMOs の創出 移転に関するもの 6 条 4 項は ITMOs を創出するメカニズムとして位置づけ ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 12

21 (3). 第 6 条 2 項の主要な論点第 6 条 2 項では アカウンティングが中心的な論点となっているが それ以外にも 幾つかの論点がある 特に 各国の見解が対立しているのは環境十全性 持続可能な発展に関してどのような取組みが必要とされているか という点である この論点は 第 6 条 2 項で規定されているガイダンスの対象と関連するとともに ガバナンスの在り方を巡る議論とも関連しており 第 6 条 2 項における重要な論点の一つとなっている 各国の見解を以下のようにまとめた 1 環境十全性 持続可能な発展とガバナンス環境十全性 持続可能な発展に関しても 6 条 2 項のガイダンスに含めるのかどうかで各国の見解は異なる このような異なる見解が示される背景には 各国の自主的な取組みを重視するのか 中央集権的な取組みを重視するのかの立場の違いがあるように見える 環境十全性と持続可能な発展への取組み ガイダンスの対象とする立場 ( 中央集権的な取組みを重視 ) ガイダンスの対象外とする立場 ( 各国の自主的な取組みの重視 ) 表 9 環境十全性と持続可能な発展への取組み 各国の見解 AOSIS は 環境十全性を確保するための国際的な中央集的な管理制度を設け ITMOs の利用にあたっての環境十全性が確保されているか技術的なレビューの実施 ダブルカウントが回避されたのかの検証作業 登録簿の管理 ITMOs の移転の追跡システムの管理 ( シリアル番号等 ) を行うことを提案 EIG は 環境十全性の確保のための登録簿の整備の必要性を指摘し 登録簿を整備できない国が利用可能な UNFCCC の下での登録簿の整備の必要性を指摘 南アフリカは アカウンティング 取引の記録 環境十全性に対応するとともに 6 条全体の監督を行う機関の設立を提案 ニュージーランドは 環境十全性について ガイダンスを策定せず 環境十全性に関して各国の取組みの結果を アカウンティングのために提出する報告書の中で報告することを提案 ( 報告書の記述内容について示唆を与えるための原則の策定 ) 豪州は 環境十全性 持続可能な発展に関して各国がそれぞれ取組み その内容を報告することを提案 パナマは 6 条において環境十全性 持続可能な発展に関してガイダンスを策定することは求められていないと指摘 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 13

22 2 京都メカニズムの規則を援用する提案京都議定書の下で実施された市場メカニズム 京都メカニズムにおいて適用されていたいくつかの規則を第 6 条 2 項においても適用することを提案するグループもある 具体的には クレジットの発行時あるいはクレジットの移転時に一定の割合のクレジットを控除し それを適用基金の資金源とする share of proceeds 市場メカニズムの参加に際して一定の条件を定める適格性 目標達成への取組みについて国内での取組みを中心的なものと位置づけ 市場メカニズムを補足的なものとする補足性の原則の三つである ( それぞれの措置については Box の説明を参照 ) 京都メカニズムの規則を 援用する提案 share of proceeds 表 10 京都メカニズムの規則を援用する提案 各国の見解 アフリカグループは 6 条 2 項の下で 6 条 4 項と同様な取組みがなされる場合は share of proceed を適用するべきと主張 LMDC は 6 条 2 項の下での ITMOs の移転に際して 累進的に Share of proceed の率を上昇させていく方法を提案 適格性 補足性 アラブグループやアフリカグループは 全てのパリ協定加盟国が 自主的に ITMOs の活用に関わる協力的アプローチに参加できると主張 LDC は 数量化した NDC を持っていること 国家インベントリーを毎年提出していること 国家指定機関が ITMOsの取引を承認すること等を条件として示している EIG は パリ協定の参加国であるとともに パリ協定 6 条の実施に関わる CMA 決議に従っていること 協力的アプローチへの参加を承認する国家指定機関を設けること 民間企業がガイダンス等を遵守することを確保すること等を条件とすることを主張している AOSIS は環境十全性を確保する観点から ITMOsの利用制限を各国が自発的に行うことを提案 AILAC は ITMOs の活用の前に各国が国内での best effort を行うべきと主張 アラブグループは 6 条 2 項 4 項ともに各国の国内での取組みを維持するために利用が制限されると主張 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 14

23 BOX. 京都メカニズムの share of proceeds 適格性 補足性について Share of proceeds 適格条件 補足性については 京都メカニズムの下で設けられた規 制である 京都議定書では それぞれ以下のような規制となっていた share of proceeds について Share of proceeds について 京都議定書 12 条において実施される CDM において発行されるクレジットについて 発行時に一定の割合 (2%) を適応基金の資金源として控除するとともに 発行手続き費用をトン数に応じて最大で US$35 万 (15,000tCO2e までは tco2e あたり US$0.1 15,000tCO2e を超える部分については tco2e あたり US $0.2) を支払うこととされていた また 第 2 約束機関において JI の下で発行される ERU においても 2% の share of proceeds が徴収されるとともに AAU の取引にあたっても 最初の取引において 2% share of proceeds が適用されることになった 適格性について 京都議定書の下では 京都メカニズムの利用にあたって一定の条件を満たすことが求め られ 条件を満たさない場合は利用に制限が課せられた 京都メカニズムの参加要件 (a). 京都議定書の加盟国であること (b). 3 条 7 および 8 に基づく割当量が決議 13/CMP.1 に基き算定 記録されていること (c). GHG の排出量及び吸収量の算定を行う国内システムの整備 (d). 7 条 4 と関連するガイドラインに基づく国別登録簿の整備 (e). 毎年の排出量 吸収量目録の提出 (f). 7 条 1 と関連するガイドラインに基づく AAU 算定に関する必要な補足情報の提出 補足性の原則京都議定書では 附属書 B に規定された目標値の達成にあたって 国内での取組みを優先し 市場メカニズムによって得られたクレジットは補足的なものとすることが定められていた しかし 具体的な数量については規定されず 各国の裁量の下で補足性の原則は実施された 15

24 (4). 第 6 条 4 項の主要な論点第 6 条 4 項においては CMA の監督の下で持続可能な発展と GHG 排出量の緩和に貢献する新たなメカニズムを設けることを定められている しかし その具体的な内容については 今後 決定されることとなっている これは京都議定書の下で実施されている市場メカニズム 中でもクリーン開発メカニズム (CDM) を パリ協定の下でどのような位置づけとするのか とも関連し主要な論点となっている 1 第 6 条 4 項の制度の在り方 (CDM の移行 ) 第 6 条 4 項のメカニズムについて各国の見解は大きく異なっている 6 条 4 項の制度の在り方各国の見解 現行の CDM( 制度 プロ ジェクト CER) を 6 条 4 項のメカニズムとするもの 既存の制度の経験を踏まえ て新たな制度を構築するも の 第 6 条 4 項をクレジットメ カニズムの認定制度とする もの 新しい制度を求めるもの 表 11 第 6 条 4 項の制度のあり方 ブラジルが提案したもので 現行の CDM の制度 プロジェクト CER を全て 修正を加えることなく 6 条 4 項のメカニズムとすること (Sustainable Development Mechanism SDM) を提案している アラブグループも現行の CDM をそのままパリ協定の下へ移行することを支持 南アフリカは CDM の現行の制度には 大きな課題があり またパリ協定は京都議定書とは大きく異なることを踏まえ 既存の CDM プロジェクトについて 6 条 4 項のメカニズムとの整合性を評価した上で 6 条 4 項の下での活動として認めることを提案している EIG は 既存のプロジェクトが 継続して排出削減活動を実施していく重要性を指摘 その上で パリ協定の新たな状況を踏まえ再評価し 既存のプロジェクトを 6 条 4 項の下で認めることを提案 AILAC は第 6 条 4 項のメカニズムを 京都メカニズムとは根本的に変更し 排出削減プロジェクト認証制度を認定することを提案している 具体的には 第 6 条 4 項のメカニズム自身は 方法論の承認 プロジェクトの登録 クレジットの発行は行わず そのような活動を実施している既存のメカニズム 例えば CDM を一定の基準を踏まえて認定し 認定されたメカニズムが第 6 条 4 項の下で排出削減活動を登録し クレジットを発行することが認められるものである CDM 以外にも 民間の団体が運営するクレジットメカニズム (Verified Carbon Standard 等 ) もあり これらのメカニズムも第 6 条 4 項の下で実施されうる 日本 EU 豪州等は新しい制度を設けるべきと主張 豪州は 6 条 4 項のメカニズムを Cooperation Mitigation Mechanism(CMM) とすべきと主張 EU は 京都メカニズムの存続そのものに反対 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 16

25 2 全体的な緩和の具体的な方法について第 6 条 4 項の下でのメカニズムでは 単なるオフセット ( 相殺 ) ではなく Overall mitigation( 全体的な緩和 ) を達成することが求められている 京都議定書の下で実施された CDM や共同実施 (JI) 等では 他国で得られた排出削減量を 自国の目標値から増加した排出量を相殺することに留まっていたが パリ協定の第 6 条 4 項では 相殺することを超え さらなる排出削減に貢献すること ( 全体的な緩和 ) が求められている しかし 全体的な緩和を達成するための具体的な方法については明確な規定が置かれておらず 各国から幾つかの提案がなされている 全体的な緩和の具体的な方法 について 保守的なベースライン設定に よる対応 発行するユニットから一定割 合の控による対応 表 12 全体的な緩和の具体的な方法 各国の見解 日本は 排出削減事業のベースライン排出量を設定する際に 保守的なベースライン ( 削減量を算定する基準となる排出量 ) を設定することで純削減を達成することを提案 つまり 排出削減量ベースラインの設定を プロジェクトが実施されない場合に想定される Business As Usual (BAU) の排出量の水準を排出削減量の算定の基準とするのではなく より低い排出量を排出削減量の算定の基準とすることで 発行されるユニットを小さくすることで Overall mitigation( 全体的な緩和 ) を達成しようとするもの AOSIS は ホスト国におけるユニットの発行の段階で一定の割合で ユニットを取消すことを Overall mitigation とすることを提案 AOSIS は 保守的なベースラインの設定により ユニットの発行量は少なくなるものの 減少したユニット発行量に相当する排出削減量は 単にホスト国の目標達成に利用されるだけで全体の削減にはつながらないと指摘 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 17

26 (5). 第 6 条 8 項について既にのべたように 6 条 8 項については 条文で規定されている 非市場アプローチ の具体的な内容が明確になっておらず 各国が様々な見解を示している 具体的な取組みの内容については 新たな制度を設けることを提案するものもあるが 今後 作業計画の下で検討を続けることを提案するものや 既存の UNFCCC の取組みの中で検討作業を続けることを提案する国もある 今後の取組みの提案 新たな制度の設立を提案 様々な取組みの調整のための 取組みを提案 既存の制度を活用する取組み の提案 作業計画において具体的な取 り組むことを提案 表 13 第 6 条 8 項に関する提案 各国の見解 ウガンダは 適応に取り組むための Adaptation Benefit Mechanism(ABM) の創設を提案 ABM ではユニットを適応に取り組む事業に発行し このユニットを踏まえて民間企業は資金調達を行う 南アは 既存の取組みとの重複を回避し 相乗効果をもたらすためにガイダンスが必要であり 既存の取組みの登録簿あるいは途上国のニーズに対応する支援を見出すための制度を設ける必要性を指摘 LMDC は 6 条 8 項の下での取組みは ユニットの移転を伴わない緩和 適応 資金の間の相乗効果を狙う幅広い取組みであり 各国の自発的な協力を促すための制度を整備し ガイダンスを策定するとともに 途上国のニーズと そのニーズを満たすための手段を示した登録簿を設けることを提案 NZ は UNFCCC の既存の技術的検証プロセス (TEP) と技術専門家会合 (TEM) を 6 条 8 項の取り組みとして実施することを提案 EU は 2 年間の作業計画を設け 2019 年から開始し 2020 年に作業計画の結果 明らかになったことを勧告として CMA に対して提出し その上で取り組むことを提案 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 18

27 (6). 各国の見解と今後の交渉の方向性についての分析 1 分権的な取組みと中央集権的な取組みここまで述べてきたように 各論点において各国が様々な制度の提案をしているが これらの意見書において示された個々の論点に関する提案の内容を分析し 整理していくと大きく二つに分類することができる 分権的な取組みを重視する立場と中央集権的な制度を提案するものと 分権的な制度を提案するものの二つである 分権的な制度を提案するものでは 京都議定書とは異なり 各国の自主的な取組み 裁量度を可能な限り認め 国際的な規則も最低限のものに留めようとする制度が提案されている 一方 中央集権的な制度を提案するものでは 京都議定書に類似した制度 国際的な規則の下での取組み ( 一元的なユニットの発行 適格性要件の設定等 ) ユニット(ITMOs) の移転を管理するための国際制度 環境十全性や持続可能な発展に関する国際的な基準とモニタリング制度等が提案されている このように見解が分かれる背景には アカウンティングにおいてパリ協定の下での多様な NDC に対応することを重視する立場と 市場メカニズムを活用して自国の排出削減を進めていくことを重視する立場で 各国の関心が異なることがあると考えられる 2 NDC の多様性への対応したアカウンティングを重視する立場既に述べたように パリ協定の下では ボトムアップで各国が それぞれの事情を踏まえて NDC を策定しており 国によって目標設定の方法が大きく異なる そのため京都議定書とは異なる対応が求められているのである 京都議定書の下では 市場メカニズムへの参加に条件が設けられる一方で 市場メカニズムの下でのユニット クレジットの取引も 発行されたユニット クレジットを登録簿内の追加 控除することで行われた 更に 目標達成に際してのアカウンティングは 排出量と償却したユニット クレジットの数量を tco2e で比較することで行われ ユニット クレジットの数量が排出量を上回っていれば目標達成したと見なされた これは 京都議定書の下で排出削減目標を設定している全ての国が 1990 年を基準として全ての経済活動分野を対象とした排出削減目標を設定していたことから可能な方法であった 一方で パリ協定では 京都議定書と同様な目標達成の判断方法をとることは出来ない 目標値の設定方法が異なり 目標値の中には GHG の排出削減目標だけではなく再生可能エネルギーの導入量など tco2e ではない単位の目標も含まれており さらに 絶対目標だけではなく原単位目標も設定されているためである そのため パリ協定では 京都議定書のような一律の方法での 目標達成の判断をとることは ほぼ不可能であり 各国の NDC に応じた目標達成の判断方法が求められる このような NDC への多様性に対応するためには 国際社会において一律の基準を設けるのではなく 各国の多様な状況に対応する分権的な取組みが必要となる 分権的な取組みを 19

28 求める主張の背景には このような NDC への多様性に対応したアカウンティングを重視す る立場があるものと考えられる 3 市場メカニズムによる支援を重視する立場また一方で 市場メカニズムによって得られる支援を下に自国の温暖化対策を進めていくことを重視する立場もある この立場をとる国の中でも 特に市場メカニズムを独自に構築する能力を有する国が限られていることも 各国の立場に影響を与えている可能性もある 日本は 独自の市場メカニズム JCM を実施しているが このような独自の市場メカニズムを構築する能力を有する国は限定されている 意見書の中でも アフリカグループは 中央集権的な取組みである第 6 条 4 項のメカニズムについて 独自に市場メカニズムを構築する能力を持たない国が 市場メカニズムに参加するための機会を与えるものと指摘しており 途上国以外にも 先進国のノルウェーも同様の見解を示している これらの国々 独自に市場メカニズムを構築する能力を持たない国の多くにとっては 第 6 条 4 項の市場メカニズムへの参加は 目標達成のために国外での排出削減量を購入することが目的ではなく 国外に排出削減量を売却することで自国内での温暖化対策を進めることが目的であると考えられる 3 そのため これらの国にとっては 自国の温暖化対策を進めるための支援を得るためには 中央集的な取組みの下で 排出削減量の買い手となる国が市場メカニズムに参加することが必要となる その一方で 排出削減量の買い手となる国が 自国に必要な排出削減量を 主に分権的な制度である第 6 条 2 項の下で獲得する状況となった場合 中央集権的な第 6 条 4 項のメカニズムの需要が失われてしまうことになりかねない そのため第 6 条 2 項と 6 条 4 項を同等な水準で活用することが可能になるように 二つの条項ともに同様な中央集権的な制度の導入を求めるものと思われる 4 今後の交渉の方向性これまで述べてきたように 各国から各論点について様々な見解が示されているが 合意に向けた検討作業は続けられている 2017 年 5 月 11 月にドイツ ボンで 第 46 回補助機関会合が開催され その後 COP23 が開催された これらの会合を通じて協議が行われ COP23 においては 各国の意見書や協議の中で示された見解を踏まえて議長が作成した非公式文書 (COP23 会議中に第 3 版まで更新されたもの ) が作成された そして この非公式文書を留意しながら 2018 年に開催される第 48 回補助機関会合において 科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合 (SBSTA) 議長に 第 6 条 2 項 4 項 8 項について求められている文書に求められる要素案を含んだ非公 3 UNFCCC 事務局がまとめた資料では NDC の中で市場メカニズムの活用を示している国のほとんどは途上国であり 国外からの資金源を調達することを念頭においていることが報告されている UNFCCC 事務局 Carbon Market and Policy Development 第 97 回 CDM 理事会資料 20

29 式文書を作成することを求めるとともに その際には 非公式文書の作成に先立って提出された各国からの意見書や COP23 で作成された議長の非公式ノートを踏まえることを要請し 今後も検討作業を行うことで合意した COP23 で作成された議長の非公式ノートでは 対立している各国の見解がそのまま残されており 今後 作成される SBSTA 議長の非公式文書においても 対立点が残された文書になると思われる 今後の協議では これらの対立点について妥協点を探っていくことが必要である その際には パリ協定の下で設定された多様な NDC に対応しながら アカウンティング方法を どのように構築していくのか が重要な論点になると考えられる 特に ダブルカウントの回避は市場メカニズムの正当性を確保する上でも必須の論点であり ダブルカウントの回避が どのような実施されるのかによって 今後のパリ協定の下での市場メカニズムの発展を左右するものになりうるだろう また 京都議定書の下で実施されてきた制度を パリ協定の下でどのような位置づけとするかでも パリ協定の下での制度の方向性を左右するものになりえる 特に CDM の継続については 各国の見解が異なり政治的な妥協点を見出すのが困難な論点となっている CDM の下で これまでに発行された CER を無条件で 2020 年以降 パリ協定の下で目標達成に利用することは パリ協定の下での温暖化対策の実施を阻害する可能性もあり 無条件で利用を認めることは難しい その一方で これまでに発行された CER が 2020 年以降 価値を持たないものになった場合 CDM プロジェクトに参加してきた企業にとっては損失となり これらの企業からの制度の信頼性を 2020 年以降も確保することが困難になる可能性もある このように複雑に絡み合った利害関係をどのように整理した上で 妥協点を見出すことが 今後の交渉の課題となっている 21

30 第 2 章. JCM を含む市場メカニズム活用を通じた温室効果ガス排出削減の在り方に関する調査分析 1. JCM の動向日本政府は 途上国の温暖化対策の実施を支援するために様々な事業を実施している 政府開発援助を通じた支援以外の取組みとして 近年 注目を集めているのが二国間クレジットメカニズム (JCM) である JCM では 優れた GHG 排出削減技術 サービス システム インフラを途上国への導入を支援し その結果 得られた排出削減量を日本の目標達成に活用するものである 2010 年から 実施可能性調査 (FS 調査 ) などの取組みが開始されるとともに 関心を持つ途上国との協議を行われ 2017 年末までには JCM を実施するために 17 カ国の政府と JCM を実施することで合意した 図 3 JCM の基本的な考え方 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 図 4 JCM パートナー署名国 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 22

31 (1). JCM における登録済みプロジェクト クレジット発行の動向 1 ホスト国と導入技術の動向 JCM の実施を合意したパートナー国においては 日本とパートナー国が協力して運営する合同委員会が JCM の管理 運営を行っている 具体的には JCM プロジェクトとして実施される事業の排出削減量を算定するための MRV 方法論の承認 GHG 排出削減事業の登録 排出削減量へのクレジットの発行などである JCM の実施を合意したパートナー国では 既に 実際に排出削減事業を行う JCM プロジェクトも 7 カ国 25 件にも上る さらに その中の 4 カ国において合計で約 10,000tCO2e の排出削減が達成されている 登録されたプロジェクトを見ると インドネシアが 9 件のプロジェクトを登録しており 登録されたプロジェクトの予想年間排出削減量でもさらにクレジットについても 19,000tCO2e と最も多い ただし 実際のクレジットの発行がなされた排出削減量については 40tCO2e に留まっている インドネシアに次いでプロジェクトが登録されているモンゴル (5 件 ) は予想年間排出削減量もインドネシアについで約 14,000tCO2e となっている さらに これまでに約 9,000tCO2e のクレジット発行がなされ クレジット発行がなされている 4 カ国 ( インドネシア モンゴル パラオ ベトナム ) の中で最も多い排出削減量となっている バングラデシュ 表 14 JCM 登録済みプロジェクト インドネシア ラオスモンゴルパラオタイベトナム 太陽光 LED 1 1 タコグラフ 1 1 建物省エネ 2 2 工場省エネ 1 1 高効率エアコン高効率ボイラー 合計 2 2 高効率冷蔵庫 3 3 省エネ熱供給システム 1 1 送電網 1 1 総計 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 23

32 表 15 JCM 登録済みプロジェクトの年間平均予想排出削減量 ( 単位 :tco2e) バングラデシュ インドネシア ラオスモンゴルパラオタイベトナム 太陽光 13, ,417 LED タコグラフ 建物省エネ 工場省エネ 17,822 17,822 高効率エアコン 高効率ボイラー ,505 高効率冷蔵庫 省エネ熱供給システム 166 送電網 総計 , , ,719 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 表 16 JCM クレジット発行対象排出削減量 ( 単位 :tco2e) インドネシア モンゴル パラオ ベトナム 総計 省エネ ( 送電網 ) 省エネ ( 冷凍庫 ) 省エネ ( 熱供給 ) 省エネ ( 運輸 ) 太陽光発電 8, ,828 総計 40 9, ,464 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 導入されている技術を見ると省エネ関連の技術が多い 運輸 交通 エアコン 冷蔵庫など エネルギー効率の高い機器の導入を目指すプロジェクトが大半を占める一方で 再生可能エネルギーに関しては太陽光発電のみとなっている ただし 予想排出削減量では工場省エネについで多く 実際にクレジットの発行対象となりうる排出削減量を見ると最も多い削減量となっており 排出削減量で見ると太陽光発電によるものが大半を占めている 24

33 2 JCM で導入される技術の背景と今後の課題上記のように JCM では 主に省エネ 再生可能エネルギー 中でも太陽光発電などの技術が導入されている これは 登録前の FS 調査段階で導入が検討されている技術を見ても同様の傾向が見られ 省エネの占める割合が最も高く 再エネの中では 太陽光発電が最も多い このような傾向は 後述する京都議定書の下で実施されている CDM とは大きく異なる CDM は 途上国において排出削減プロジェクトを実施し その結果 得られた排出削減量を先進国の京都議定書の目標達成に活用する制度であり JCM と類似している部分もある 特に CDM でも先進国の企業と途上国の企業が協力して 途上国内で排出削減事業を行う点は JCM と似ている部分があるが 導入されている技術については大きくことなる CDM では 主に再生可能エネルギー関連のプロジェクトが実施されており その中でも水力 風力の割合が多く 太陽光発電の割合は非常に小さい (CDM プロジェクトのうちの 1%) また CDM の下では 省エネプロジェクトの割合は非常に小さい ( 全登録件数の 8%) このような違いは JCM は技術の移転を念頭において制度構築されたのに対して CDM においては技術移転については 大きな優先順位は与えられていなかったことも影響している可能性がある CDM の下で技術移転されたプロジェクトを調査した UNFCCC 事務局の報告書では 技術移転がなされたと考えられるプロジェクトは全体のプロジェクト件数の約 33% に留まるとの結果が示されている 4 図 5 JCM FS 調査で導入が検討されている技術 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 4 UNFCCC THE CONTRIBUTION OF THE CLEAN DEVELOPMENT MECHANISM UNDER THE KYOTO PROTOCOL TO TECHNOLOGY TRANSFER

34 特に 水力発電 風力発電などでは技術移転された割合は低くなっているが 太陽光発電では 調査した時点では 100% のプロジェクトで技術移転がなされていたことが報告されている 制度の当初の目的において技術移転を行うことを主眼と置くかどうかの違いは このような導入される技術の違いを生じさせている可能性はある 省エネ部門についても 工場での自家発電に関連するプロジェクトで技術移転の割合は低い傾向が見られたが サービス部門での省エネ (83%) やエネルギー供給部門での省エネ (70%) では比較的高い割合で技術移転がなされたものと報告されている このような CDM プロジェクトの経験を踏まえると JCM においては 技術移転が必要な技術が採用されているものと思われ それが CDM の採用技術との違いが生じる要因の一つとなっている可能性がある つまり JCM は途上国への技術移転を促す制度として機能しているとも言える その一方で 署名国は 17 カ国に上っているものの プロジェクトの登録件数 クレジット発行対象となりうる排出削減量については 更に拡大させていく余地は多い 今後 さらにプロジェクトの登録件数を伸ばすとともに 登録したプロジェクトの下で排出削減量を増やしていくことが求められているといえるだろう 2. 市場メカニズムに関する様々な取組み市場メカニズムに関連して 世界銀行が主導した取組み 各国政府が主導する取組みなど様々な取組みが実施されている これらの取組みは 今後の国際社会における市場メカニズムの動向に様々な形で影響を及ぼす可能性がある そこで ここでは 世界銀行が主導する二つの取組み (PMR TCAF) そして G7 の下で実施されている炭素市場プラットフォームの動向を踏まえて 現在 国際社会における市場メカニズムに関連してどのような取組みが実施されているのか調査結果を報告する (1). 世界銀行における市場メカニズムに関する取組み 1 世界銀行におけるこれまでの取組み世界銀行 ( 以下 世銀 という ) は 2000 年から市場メカニズムに関連して様々な取組みを行ってきた その取組みは 2013 年ごろを境として大きく変わってきている 2012 年までは 主に CDM や JI などの京都議定書の下で実施されるプロジェクトからクレジットを買い取る基金の設立と その運営が取組みの中心であった 多くの基金が設立され 京都議定書の下で何らかの排出削減義務を負っている政府や 温暖化対策の一環としてクレジットを購入する企業が これらの基金に出資した 世銀は これらの基金の資金を活用し CDM や JI の制度がまだ十分に整備されていない段階から プロジェクト開発に積極的に参加した このような市場の成長する初期の段階における世銀によるプロジェクト開発への参加は CDM プロジェクトの開発の促進に少なからず貢献し 京都クレジットの 26

35 取引市場の創成期において 世銀が大きな役割を果たしていた 5 一方 2013 年以降 世銀の下での市場メカニズムに関する取組みが それまでの京都クレジットの購入を目的とした基金から 市場メカニズムを通じた途上国の支援へと その内容を変えていった これは 2013 年以降 京都議定書の下で目標達成のためのクレジットへの需要が見込めなくなったためである 2012 年まで クレジットの需要の大半を占めていた欧州からの需要が 2013 年以降は見込めなくなったことや 2013 年以降の京都議定書の第 2 約束期間については日本が目標値を設定しないなど クレジットの需要のほとんどが失われてしまう状況に陥った このような状況を踏まえて 2013 年以降は 目標達成のためのクレジットの買取りではなく プロジェクト開発を通じて途上国の温暖化対策を支援する取組みへと変わっていったと考えられる 世銀では さらに途上国における政策導入を支援する取組みを 2013 年以降 展開するようになっている 2 市場メカニズム導入準備基金 (PMR) における取組み市場メカニズム導入準備基金 (Partnership for Market Readiness PMR) は 情報 知識の共有や 技術的な支援等を行うことで途上国に市場メカニズムを導入することを支援することを目的とされている 2011 年から活動を開始したが 京都議定書の下で発行されるクレジットを購入することを目的とせず 途上国における政策の導入を支援することを主目的とした点で その当時の世銀の市場メカニズムに関連する取組みの中では特異な存在であった PMR には これまでに先進国 13 か国 ( 日本 米国 豪州など ) が出資する一方で 実施国として途上国 18 カ国 ( 中国 インドネシア ベトナム タイ等 ) が参加している また国以外にも州政府等の地方レベルの政府も 市場メカニズムに経験があれば 技術的パートナーとして参加することが認められており 米国のカリフォルニア州 カナダのケベック州 ( 排出量取引制度を実施 ) なども参加している 支援を受ける途上国は 市場メカニズムの導入を図るために必要とされる準備作業を提案 (Market Readiness Proposal MRP) することが求められており 途上国から示された MRP を踏まえて PMR は途上国への支援を行うこととされている 既に 5 年の実施経験があり 相応の実績を残しているものの 資金支援を実施するために手続きに遅れが見られることや MRP が策定されたものの 実際に市場メカニズムが導入され 試行の段階に至っているものが限られているなどの課題も指摘されている また これまでに出資した資金を下にした活動は 2020 年までとされており 2020 年以降の取組みについては まだ決定されていない パリ協定の合意を受けて 途上国における排出削減への取組みの重要性は更に増していることを踏まえて 2020 年以降の PMR のあり方について議論がなされている 5 World Bank s Carbon Finance Unit 10 Years of Experience in Carbon Finance World Bank

36 表 17 PMR の概要 資金規模 目的 US$1.27 億 途上国に市場メカニズムを導入するためのロードマップ作成や 市場メカニズムの試行を支援するとともに 情報交換 知識 経験を提供 共有することを目的 参加国 出資国 実施国 日本 米国 豪州 スペイン等の 13 カ国 インドネシア ベトナム メキシコ タイ コスタリカ 中国等の 18 カ国 ( うち JCM 署名国が 5 国 ) 活動の概要 2011 年から活動を開始し 15 か国で炭素価格導入に向けたロードマップを完成し 15 の技術ノートを完成させるなどの実績をあげた ( 出典 ) 各種資料から日本エネルギー経済研究所作成 議論の中では 参加国から途上国における NDC の実施に PMR の取組みをどのように結び付けていくのか 情報と知識の共有を 2020 年以降 どのように改善していくのかなどの課題が指摘されており 今後 更に検討を進めていくこととされている PMR の下で途上国における政策導入支援の観点からは一定の成果を挙げてきたと言えるが その一方で 個別の企業における排出削減対策にどのように結びつけていくのか 今後の課題となっていると言える 既に述べたように パリ協定の下では途上国にも排出削減目標が設定され 相応の取組みが求められていることを踏まえると PMR が実施しているような途上国における温暖化政策の策定 実施への支援は 今後 益々 重要性を増してくるものと考えられる 3 変革的炭素資産ファシリティー (TCAF) における取組み世銀は 途上国における政策支援を行う新しい取組みの発足を 2015 年 11 月に発表した パリ協定の下での途上国における温暖化対策の策定 実施を支援するための変革的炭素資産ファシリティー (Transformative Carbon Asset Facility TCAF) である TCAF は PMR が実施している政策導入への支援だけではなく 導入支援した温暖化対策により得られる排出削減量を買い取る ( 成果主義型資金拠出 (Result Based Finance RBF)) ことで途上国における温暖化対策の導入 実施を支援するとともに 更に大きな排出削減を実現することを目指している 2017 年 3 月から正式に運営を開始しており US$3000 万 ~5000 万規模のプログラムへの支援を行う方向で 具体的な支援プログラムの選定を行っている TCAF は 2020 年以降 途上国における排出削減を支援する新たな取組みとして 注目を集めているが 政策措置の導入が具体的な活動にどのように結びつけるかは課題も残されている 28

37 表 18 TCAF の概要 資金規模 支援対象 ( 想定 ) 資金提供方法 追加的な資金 US$5 億 政策を実施することによって得られる効果に対して MRV を適用し 排出削減量を確認した上で 資金提供を行うこと ( 政策クレジット セクトラルクレジットの購入 ) 低炭素政策 ( 産業界へのクリーンエネルギー目標 省エネ基準の設定 ) の実施 都市交通機関の低炭素化 グリーン建築物基準 高効率照明導入への補助金等を実施 化石燃料補助金の撤廃 成果型資金拠出 ( 排出削減量が確認できてから資金を拠出する ) 排出削減量の算定にあたっては厳格な MRV( 計測 報告 検証方法 ) を適用する TCAF の支援する事業に対しては 世界銀行グループやその他の資金源から US$20 億 別途 資金提供することも期待される ( 出典 ) 各種資料から日本エネルギー経済研究所作成 (2). 炭素市場プラットフォームにおける取組み炭素市場プラットフォームは 2015 年 6 月に開催された G7 エルマウ サミットの首脳宣言において市場メカニズムの低炭素成長への投資のインセンティブを与える上での重要性を認識し G7 以外の国や世界銀行などと自主的な参加に基づく戦略的な対話の場を設けることに合意したことを受けて設けられた 表 19 炭素市場プラットフォームの概要 参加国 これまでの 取組み 日本 ドイツ 米国 英国 フランス イタリア カナダ EU オーストラリア チリ インドネシア 韓国 ニュージーランド セネガル スイス ベトナム 世界銀行 経済協力開発機構 (OECD) 気候変動に関する国際連合枠組条約事務局 (UNFCCC 事務局 ) ICAP( 国際炭素行動パートナーシップ ) 2015 年の G7 エルマウ サミットで炭素市場に関する戦略的な対話の場を設けることに合意 2016 年 日本 東京において第 1 回戦略対話を界隈 2017 年 イタリア ローマにおいて第 2 回戦略対話を開催 ( 出典 ) 各種資料から日本エネルギー経済研究所作成 これまでに 2016 年に東京 2017 年にローマで 既に 2 回の会合開催されており この際 G7 参加国だけではなくチリ セネガルなどの途上国からの参加を得るとともに 世界銀行 OECD UNFCCC 事務局等の国際機関なども参加し 多様なバックグラウンドを持つ参加者が議論に参加した形で実施されている この取組みでは 市場メカニズムに関する様々な課題について 専門家からの発表を踏ま 29

38 えて意見交換がなされている このような専門家や多様なバックグラウンドを持つ参加者との意見交換を通じ 市場メカニズムに関する専門的な知見が共有されるとともに 参加国間で 他の国の状況について理解を深めることに貢献していると言えるだろう 3. JCM を含む市場メカニズム活用を通じた温室効果ガス排出削減の在り方に関する調査分析これまで述べてきたように 世界銀行や各国政府による市場メカニズムに関する様々な取組みがなされている これらの取組みは 主に政策導入の支援や政策への理解の共有などが主要な目的となっており 個々の企業 施設への技術導入を支援することを目的の一つとしている JCM とは異なる そのため PMR TCAF などは政策 プログラムの導入を支援するものの 個別の企業 施設での取組みに結びつけることができるか不確実な部分が残されている 一方で JCM に関しては個別の企業 施設における取組みを 技術移転などを通じて支援することが可能である 既に述べたように ある程度の成果を挙げてきているものの 今後 さらに多くの企業 施設に技術の導入を図っていくことが求められている このような技術移転の促進 拡大は 世銀などが実施している取組みでは十分に対応できない部分を補うことにもつながるものと期待できる JCM を通じた技術移転を更に拡大していくためには 二つの対応策が考えられる 一つは ホスト国に対して技術移転につながる政策 基準の設定を支援していくことである 日本として 市場メカニズムに関連する様々な取組みに参加しており それらの取組みを通じて 途上国に対して技術移転につながる政策の導入を支援することも一つの対応策になりうるであろう また 資金的な支援を行うことも考えられる TCAF 等で導入されている成果主義型の資金提供 (RBF) では 新しい設備導入時には資金は得られず その設備を導入し 稼動させた結果 得られる排出削減量に対して資金が提供される 個々の企業 施設における設備導入を更に容易にするため 設備導入時の資金支援についても検討する必要があるだろう 具体的には 成果主義型の資金提供を受けた途上国政府の下で規制が導入された際に 途上国企業に対して規制遵守のための設備導入を支援するために金融機関が融資するとともに その融資への返済は 新しい設備導入の結果 得られた排出削減量に対して支払われるホスト国からの資金 ( ホスト国は成果主義型の資金提供を国際金融機関などから受ける ) を活用する制度などが考えられる この際 設備導入の結果 得られる排出削減量の測定については JCM の方法論などを活用することも考えられる 今後 更なる経済成長が見込まれるとともに それに伴い GHG 排出量の増加が予想されている途上国へ よりエネルギー効率の良い技術の導入を支援していくことは 長期的な視点から見た温暖化対策に不可欠であり その際 JCM は様々な形で貢献する可能性を秘めているとも言えるだろう 30

39 第 3 章. 海外の市場メカニズムの動向調査 1. 国際的な動向 ( 京都メカニズム等の動向 ) パリ協定の下での市場メカニズムに関する交渉 世界銀行などでの市場メカニズムに関する取組みの他にも 京都議定書の下での市場メカニズム 京都メカニズム (CDM JI) が実施されている また 2016 年 10 月には国際民間航空部門において市場メカニズムを活用した温暖化対策の実施に合意した ここでは 京都メカニズムと国際民間航空部門における市場メカニズムの動向について報告する (1). 第 13 回京都議定書締約国会合 (CMP13) での交渉の動向 2017 年 11 月 6 日から 11 月 17 日までドイツ ボンにおいて開催された京都議定書だい 13 回締約国会合 (CMP13) においては 京都メカニズム関連の議題として次の論点が示されていた CMP 議題 4 : CDM に関する事項 CMP 議題 5 : Joint Implementation に関する事項 SBI 議題 8(a): CDM の様式と手続きに関するレビュー この三つの議題のうち Joint Implementation に関する事項と CDM の様式と手続きに関するレビューについては 協議は行われず CMP 議題 4 の CDM に関する事項のみ協議が行われた 議論の中では 環境十全性と透明性の確保に関する提案がなされるとともに CDM を継続して利用されることを保証することが提案されたが これらの提案に対しては合意がえられなかった 最終的には 京都議定書第 2 約束期間のための改正 ( ドーハ改正 ) の批准を各国に求めるとともに CDM 理事会に対して標準化方法論の策定と承認手続きの簡素化に関する作業を引き続き実施するよう求める決議が採択された (2). プロジェクト開発の停止 2012 年にドーハで開催された CMP8 において 2013 年以降 2020 年まで京都議定書の第 2 約束期間として実施することが合意されたものの 第 2 約束期間を実施するために改正された京都議定書への批准手続きが遅れ いまだに発効していない さらに 2012 年までは欧州の政府 排出量取引制度の規制対象企業 日本の政府 自主行動に取り組む企業などからの需要が見込まれたものの 2013 年以降 欧州の排出量取引制度 (EU ETS) においては 厳しい利用条件が設けられるとともに 大量の余剰の排出枠が生じたことや 日本においては第 2 約束期間の目標値を設定しなかったことから 京都クレジットへの需要の大半は失われることになった 31

40 需要がほとんど見込めない状況の中で 2013 年以降 プロジェクトの有効化手続き 登録手続き 発行手続きの件数は大きく減少した 登録プロジェクト CER の発行は僅かではあるが 2013 年以降も継続して行われているものの 有効化手続きに至っては ついに 2017 年 4 月以降 1 件も手続きが行われない状況となった 登録手続きについては それ以降も継続して行われているものの この状況が続けば いずれは登録手続きも行われなくなり 新規の登録プロジェクトの追加が停止することになる (2012 年に約 3200 件の追加が行われて以降 登録プロジェクトの件数は急激に減少しており 2017 年は 31 件にまで減少した ) 図 6 CDM の有効化審査の推移 ( 出所 )CDM 理事会公表データを踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 図 7 CDM 登録プロジェクトの推移 ( 出所 ) 各種資料より日本エネルギー経済研究所が作成 32

41 既に JI に関しては 2014 年以降 1 件も登録されず クレジットも発行されない状況となっており このことは 現状では CDM JI ともにプロジェクトの開発がほぼ行われなくなっていることを示唆しているとも言える (3). 継続する CER の発行有効化審査件数 登録件数が減少している中で CER の発行は一定の水準が保たれている 2011 年から 2012 年にかけて約 3 億 tco2e の発行がなされた後 2013 年以降 発行量は減少したものの 発行量がゼロとなる状況には至っていない 2015 年以降 減少傾向にはあるものの 1 億 2000 万 tco2e の近辺で発行量は推移し 1 億 tco2e を超える発行量を維持している 図 8 CER 発行量の推移 ( 件数及び発行量 ) ( 出所 ) 各種資料より日本エネルギー経済研究所が作成 また 主要な発行国は中国 インド ブラジル 韓国の四カ国となっており 2012 年以前と 2013 年以降の間で大きな変化はない その一方で クレジットを発行したプロジェクトの種類を見ていくと 2012 年以前では HFC N2O などの産業過程で発生する GHG の排出削減プロジェクトに由来するものが大半であったが 2013 年以降は 再生可能エネルギーに由来するクレジットが大きな割合を占めている ホスト国に関しては 中国 インド ブラジル 中でも中国 インドについては既に石炭火力発電所が稼動されている中で 再生可能エネルギーが導入されたことで多くの排出削減量がえられたことや 冷媒工場や肥料工場などが多数 立地していたことで これらの施設から製造工程で発生する温室効果係数 (GWP) が高い HFC N2O などの GHG の排出削減事業を行うことが可能であったため より多くのクレジットの発行が可能になったも 33

42 のと考えられる プロジェクトタイプの変化については 2012 年までは EU ETS において HFC N2O などのクレジットを遵守へ利用することが認められていたが 2013 年以降は利用が 禁じられたことが影響しているものと思われる 既に述べたように 2013 年以降は 2012 年までの京都議定書の目標達成のための需要はほとんど見込めない状況となっており それに応じた形で供給されるクレジットにも変化が生じているものと考えられる 図 9 発行されたクレジットのホスト国 ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 図 10 発行されたクレジットのプロジェクトタイプ ( 出所 )CDM 理事会発表資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 (4) 年までの予想される需要上記のように 欧州 日本などの主要な需要はなくなったとはいえ 一定のレベルでの需要が存在することを意味している UNFCCC 事務局が作成した資料によれば いくつかの需要が存在していることが指摘さ 34

43 れている 6 まず 挙げられるのは 韓国からの需要である 韓国では 独自に排出量取引制度を導入し その規制対象事業者には 韓国国内で実施されている CDM プロジェクトのクレジットを規制の遵守に活用することを認めている 韓国は非附属書 Ⅰ 国であるため 京都議定書の下での国別登録簿を保有していないが CDM 理事会が管理している CDM 登録簿には非附属書 Ⅰ 国も保有口座を開設することが認められており 韓国国内で実施されている CDM プロジェクトの韓国側の参加企業も保有口座を開設している これらの韓国企業が保有する CER を CDM 登録簿内で自主的な取り消し手続きにより 取消すことで韓国国内の排出量取引制度で取引可能なクレジットを韓国政府が発行している この制度を活用し 韓国国内の CDM プロジェクトから発行された多くの CER が 取り消し手続きにより取消されており これまでに CDM 登録簿内で取消された CER 約 2,700 万 tco2e のうち 6 割にあたる 1700 万 tco2e が韓国のプロジェクトに由来するクレジットとなっている これまでは 韓国国内で実施されるプロジェクトに由来するクレジットに限定されていたものの 今後 韓国国外で実施されている CDM プロジェクトの利用も認める方針を示しており 更に需要が拡大する可能性はある 7 次に考えられるのが 世銀が 2013 年以降に発行されるクレジットを対象としている成果主義型の基金である 第 2 章でも述べたように 世界銀行は 2013 年以降 成果主義型の資金提供を行い 途上国支援を行うための基金を設立しており 成果 ( 排出削減量 ) の判断基準としてクレジットが活用されていることが多い 例えば Pilot Auction Facility(PAF) では CDM を含めた様々なオフセット制度からのクレジットを 2000 万トン近く購入する契約を結んでいる さらに 企業の環境貢献をアピールするための自主的な CER の取り消しである 規制を遵守するためではなく 自らの企業イメージの改善のためにクレジットを購入する需要も存在している 以前は CER は このような企業イメージ改善のためのクレジットとしては取引されていなかったものの 2014 年以降 しだいに取引量を増やしていると UNFCCC 事務局は報告している CDM 理事会も このような需要に対応するため CDM 登録簿での自主的取消しの手続きを設けるとともに ウェブ上で取消し手続きを認めるなどの利用促進策を講じている これらの需要は 2020 年までに見込まれる需要であるが 2021 年以降は 更に別な需要もあると予想されている 6 UNFCCC Secretariat Carbon market and policy development CDM EB97 30 October to 3 November 年から 2017 年までは 韓国国内の CDM プロジェクトに由来するクレジットを合計で約 1 億 5000 万 tco2e 利用することが認められていた 2018 年以降については 2015 年まで韓国国内 韓国国外のクレジット合わせて約 4 億 tco2e の利用が認められている 35

44 (5). UNFCCC 以外の市場メカニズム (2021 年以降の取組み ) 1 CORISA の概要 2016 年 10 月にモントリオールで開催された国際民間航空機関 (ICAO) において市場メカニズムを活用した温暖化対策を実施することを合意した 国際民間航空部門は UNFCCC の規制対象とはなっておらず ICAO において排出削減対策を実施することとされていた そのため 2010 年 2013 年に ICAO において燃料効率の改善を行うことや 2020 年以降 排出量を増加させないことなどに合意してきた しかし 具体的な排出を抑制させるための具体的な方法については 2016 年の総会で決定されることとされ 2013 年以降 協議が続けられてきた その結果 合意されたのが Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation(CORSIA) である CORSIA の下で 各国の国際的な航空便を運行している企業は 基準排出量 (2019 年と 2020 年の平均排出量 ) からの排出量の増加を抑制するために 様々な取組みを行うことが求められている CORSIA では 基準排出量から増加した排出量についてはクレジットを活用して規制を遵守することも認められており UNFCCC とパリ協定の下に設けられているメカニズムに由来するクレジットについては利用を認めると決定されている しかし 具体的にどのようなクレジットの利用が認められるかは決められていなかった 2016 年 10 月の合意では CORSIA を実施していくために必要とされる排出量のモニタリング 報告書提出 検証 (MRV) の具体的な方法 CORSIA の下での利用が認められるクレジットの種類 基準 クレジットの取引に必要な登録簿の整備について 技術的な検討作業を行った上で 2018 年に決定するとされている 航空部門における排出削減対策は 燃料消費を抑制するための効率的な運行やエネルギー効率の良い航空機の導入によるものについては 効果は限定的なものに留まり 本質的な問題の解決には化石燃料以外の CO2 を排出しないエネルギー源を活用することが求められる しかし 現時点では 商業的に実用可能なレベルでの代替的なエネルギー源はなく 当面の間は オフセットクレジットの活用により排出量の増加分を相殺することで対応しなければならない状況となっている 2018 年 1 月までに 2021 年以降 自主的に CORSIA に参加することを表明した国は 73 カ国に上り この中には米国 中国なども含まれており 国際民間航空部門の 87% が規制対象となるものと予想されている 現時点では どのようなクレジットの利用が認められるのか明確にはなっていないものの また CORSIA の下でどれだけの需要が見込まれるのか不確実な部分は残るものの CORSIA は 2021 年以降 現在 実施されている様々な市場メカニズムの主要な需要となる可能性もある 36

45 表 20 CORSIA の概要 規制の概要 2021 年以降 基準排出量 (2019 年から 2020 年の平均排出量 ) に国際民間航空会社の排出量を抑えることを目標とし ( オフセット義務量を設定 ) 目標を達成するために市場メカニズムの活用を認めるもの オフセット義務量は 原則として各年の規制対象事業者の排出量に排出量の伸び率を示す成長係数を排出量に乗じて設定するが オフセット義務量と成長係数の設定方法 ( 業界全体の排出量の伸び率 個々の企業の排出量の伸び率などを踏まえ算定 ) はフェーズにより異なる 規制対象 2021 年から 2026 年までは自主的な参加 2027 年以降は原則として 全て国が参加 後発発展途上国 小島嶼諸国 内陸発展途上国などについては自主的に参加を表明する場合以外は 規制対象外とされる 航空経路の離発着地の何れかが適用除外となっている航空ルートについては適用されない 今後の規制の実施予定 2021 年 ~2023 年パイロットフェーズ 各国が自主的に参加 オフセット義務量については各国に算定方法の選択肢が与えられる 2024 年 ~2026 年第 1 フェーズ ( 自主的参加 ) 各国が自主的に参加 オフセット義務量成長係数は予め決められた方法で算定 2027 年 ~2035 年 (2027 年 ~2029 年 ) (2030 年 ~2032 年 ) (2033 年 ~2035 年 ) 遵守期間 遵守方法 利用が認められるクレジット 第 2 フェーズ ( 義務的参加 ) 2018 年における世界全体の有償キロトン (RTK) の 0.5% 以上を占める国あるいは RTK の占有率が上位から累積で 90% に達する国以外 8 は全て義務的に参加 成長係数については 第 2 フェーズにおいて 3 年毎に変化 3 年間 燃費効率の高い航空機の導入 バイオ燃料の導入 オフセットクレジットの利用 UNFCCC とパリ協定のメカニズムの下で発行されたユニット ( 利用が認められるクレジットについては協議中 ) ( 出所 ) 各種資料を踏まえて日本エネルギー経済研究所作成 2 CORSIA で利用が認められるクレジット既に述べたように ICAO の下で MRV の方法 クレジットの利用基準などについて検討作業が行われており 2018 年 1 月には利用可能なクレジットの基準に関する草案が発表された この中では MRV の方法 代替燃料の判断基準 さらに CORSIA の下で利用が認められるクレジットの基準として クレジットを創出するプログラムについて基準が示された 草案で示された基準は以下のとおりである 8 有償キロトンとは有償貨物を輸送し 飛行した距離 ( 輸送した貨物の量 ( トン ) に飛行した距離 ( キ ロ ) を乗じて算出 ) 37

46 CORSIA で利用が認められるクレジットの基準 9 追加的な排出削減量を踏まえてクレジットを発行していること 現実的かつ信頼性の高いベースラインを設定していること 数量化された排出削減量を MRV の下でモニタリング 報告 検証する制度をもっていること クレジットの移転が追跡可能になっていること 排出削減量が永続的なものであること リーケージへの対応がなされていること ダブルカウントを行わないこと 同一の排出削減量に二重にクレジットを発行しないこと 一つのクレジットを重ねて遵守に活用しないこと 遵守に活用されたクレジットを発行する根拠となった排出削減量が 他の規制の遵守に活用されないこと クレジットを発行したプロジェクトが他の規制に違反していないこと 示された基準については様々な評価が示されており この基準を満たすことは CDM 以外に民間が実施しているオフセットメカニズムでも可能ではないかとの指摘もある 10 その一方で 草案で示された基準について 環境 NGO からは過去の教訓から学んでおらず CDM や JI などの京都メカニズムで指摘されてきた問題が繰り返される可能性があるとの懸念も示されている 11 EU 域内では EU ETS で利用が禁じられている植林クレジットの利用が認められる余地が残されたことに対して 欧州議会の議員から懸念が示されている 12 しかし 欧州の各国政府も 問題は認識しているものの 今回 示された基準は これまでの協議を経て妥協した末に得られたものであり クレジットの利用基準について再交渉を認めることで 他の MRV などの論点の再交渉を認めることにつながることを回避したいとの思惑もあると報じられている 13 また 発表された草案に対して ほとんど国は見解を示さなかったが MRV については今後の実施日程が実行可能か懸念する声が上がった 民間の業界団体は CORSIA の下で 9 Proposal for the First Edition of Annex 16, Volume IV, concerning Standards and Recommended Practices relating to the Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation (CORSIA) を踏まえて作成 ARP.pdf 10 Carbon Pulse ANALYSIS: CORSIA s wide-door offset policy may give airlines fewer clues on costs Jan 31, Carbon Pulse Isolated EU nations willing to waive through CORSIA rulebook EC official Feb 10, Ends Europe Aviation agency set for clash with MEPs Feb15, 前掲注 (11) 参照 38

47 利用が認められるクレジットの基準よりも MRV の具体的な方法について 2018 年 6 月までに合意することを重視しているとの見方もある 14 今後 さらに協議が行われる場合でも MRV に関して協議の時間が多くとられ クレジットの利用基準の協議については 後回しにされる可能性もある そのため 草案で示された CORSIA の下で利用が認められるクレジットの種類については このまま正式な基準として採択される可能性もあるものの さらに協議が行われた場合は 当初の予定 (2018 年 6 月 ) よりも 遅れる可能性も残されている このような制度をめぐる不確実性により プロジェクト開発に遅れが生じ 結果として将来的なクレジットの供給に影響を及ぼす可能性もある 14 Carbon Pulse Nations urged to waive through CORSIA rulebook as time pressure hits airlines Feb 10,

48 2. 各国における市場メカニズムの動向市場メカニズムに関して欧米の先進国だけではなく 近年は中国 韓国などの新興国 途上国において導入の動きが見られる 欧州の EUETS は 2012 年まで最も大きなクレジットの需要源として国際的なクレジット取引市場に大きな影響力を及ぼしてきた また 近年 既に述べたように韓国の排出量取引制度は CDM クレジットの利用を認めるなど国際的な市場メカニズムにも影響を及ぼして生きている ここでは 市場メカニズムに関する海外の主要な動向についての調査した結果を報告する (1). 米国における市場メカニズムに関する動向 2016 年にオバマ大統領の下で米国は パリ協定を批准し 既設の火力発電所を対象としたクリーンパワープランを策定するなど 温暖化対策に積極的に取り組んだが トランプ大統領は選挙期間中から気候変動問題については懐疑的な発言を繰り返し 当選後は 環境規制を撤廃するとともにパリ協定から脱退すると述べていた 政権発足直後 トランプ政権はクリーンパワープランの見直し パリ協定の脱退などを決定し オバマ政権の温暖化対策を撤廃する方針を打ち出している しかし パリ協定の脱退通知が有効となるのは 2020 年とされており また 国務省内では 今後もパリ協定の加盟国として交渉に関与し続ける方針が示され 事実 2017 年にドイツ ボンで開催された COP23 において米国も代表団を派遣し 協議に参加している また 国務省の方針では ICAO の下での CORISA については 今後も参加し続ける方針が示されており 大きな変更をなされないものと思われる 一方で ブッシュ政権時代から 一部の州では 連邦政府とは別に 温暖化対策に積極的に取り組み 排出量取引制度などが導入されている 米国 北東部のニューヨーク州などの 9 州は 2009 年から火力発電所だけを対象とした独自の排出量取引制度 Regional Greenhouse Gases Initiative(RGGI) を実施している RGGI に参加している 9 州が 2017 年 8 月に RGGI の 2021 年以降 2030 年までの制度改正に合意した 21 か月にも及んだ制度見直し作業の結果の合意であったが この制度改正により 2030 年までに規制対象となっている発電所の排出量を 30% 削減するとともに 価格低迷に対応するために 余剰の排出枠の繰越しの制限 価格動向を踏まえて排出枠の市場への供給管理を行う Emissions Containment Reserve(ECR) の設立等の対策も 新たに盛り込まれた さらに 当初 RGGI から脱退していたニュージャージー州は 2017 年の州知事選で民主党系の知事が誕生したことに伴い 改めて RGGI に参加することが決定された また バージニア州でも民主党系の州知事が RGGI に参加する意向を示しており 今後 RGGI へ参加する州が拡大していく可能性もある カリフォルニア州においては 2006 年に共和党系のシュワルツネッガー知事の下で排出量取引制度を中心とした温暖化対策を実施する法案が可決され 2013 年から排出量取引制度が実施されている 2017 年 8 月には 2020 年以降 2030 年までの排出量取引制度を実 40

49 施するための改正案を可決した この中では 2020 年以降 上限価格を設定することが決まるとともに カリフォルニア州内での排出削減活動に由来するオフセットクレジットの利用を増加させること 排出枠のオークション収益について より幅広い用途を認めること等が決められた このように RGGI カリフォルニア州の排出量取引制度はともに 2017 年に 2020 年以降 2030 年まで制度を継続することで合意しており 温暖化対策を更に進めていくことが決まっている このように 連邦政府レベルで温暖化対策が後退する一方で 州レベルでの温暖化対策は更に進んでいく可能性がある (2). EU における市場メカニズムに関する動向 EU は 2014 年に 2030 年の温室効果ガス排出削減目標として 1990 年比 40% を決定したが この 2030 年目標の達成には 現行の関連指令の改正が必須となる 欧州環境庁 (EEA) が 2017 年に発表した EU の排出量見通しによれば 2020 年目標は 1990 年比 26% まで削減することで達成する可能性が高いことと推計されている 一方で 2030 年目標は 現行の政策だけでは達成ができないと推計している このため 2030 年目標を達成する観点から 欧州排出量取引制度指令 (EUETS 指令 ) の改正が注目されていた 2030 年目標を達成するために EUETS では 2005 年比で 43% 削減することが 2030 年目標において設定されており これを達成するための制度改正案が 2015 年 7 月に欧州委員会から提案された そして 提案から 2 年 4 カ月の議論を経て 2017 年 11 月 ETS 指令 (2003/87/EC) 改正案を採択することに欧州議会 加盟国 欧州委員会が合意した 図 11 EU の温室効果ガス排出量と削減目標 排出見通し ( 出所 )EEA(2017) Trends and projections in Europe

50 今後 欧州議会本会議 欧州理事会での採択手続きを経て 官報に公示された後に 施行 される予定である 15 本指令改正案は 2021 年以降の EUETS 第 4 フェーズの制度を規定 する 以下に第 3 フェーズからの改正部分の概要を示す 毎年の排出上限の減少率を第 3 フェーズの 1.74% から 2.2% に引き上げ ETS による電力価格上昇分への産業部門向け補償 (Compensation) を オークション収入の 25% を上限とする ただし 補償対象 補償額 補償理由を公表することで制度の透明性を確保する 産業部門向け無償割当を 2030 年までの 移行措置 と明確に位置付けて継続 2016 年 年の 2008 年からの効率性改善率を踏まえベンチマーク値を見直し 将来のベンチマーク値の減少幅もこれを踏まえ決定 カーボンリーケージのリスクに曝されているセクターへの 100% 無償割当を継続 無償割当の際に 設備容量の増減ではなく 直近 2 年間の生産量の増加 減少を踏まえて割当量を決定 CSCF(cross-sectoral correction factor) 16 が適用される場合に備え オークションの一部を free allocation buffer とする 加えて 後述の Modernization Fund と Innovation Fund の一部を CSCF が適用される際に無償割当に振り分ける 総 EUA の 57% は オークションで割当を実施 このうち 2% を Modernization Fund とし 主に東欧諸国へ分配 東欧諸国の電力部門の現代化を支援 発電設備等の改修費用を無償割当の形で設備所有者へ割当 ただし 資金拠出の対象国は 2013 年の一人当たり GDP が EU 平均の 60% を下回ること また 拠出された資金が設備の改修に適切に活用されたことを確認することができるように透明性を確保すること 4.5 億トンの EUA の売却益を基に Innovation Fund を創設 EIB が運用し CCS 等のプロジェクトへ投資 EUA 取引価格を安定化させるための市場安定化留保 (MSR(Market Stability Reserve)) へ第 3 フェーズの新規参入リザーブ等の未割り当て分を繰り入れ また MSR への毎年の繰入比率を当該年に予定されている EUA オークション量の 12% から 24% に引き上げる 15 原稿執筆時点では公示されていなかったが 3 月 19 日に官報に公示された 16 オークション量と ベンチマークにより計算された無償割当量との合計が 決定された全体の排出上限 を超過しないよう 適用される調整係数 42

51 国際クレジットは引き続き利用禁止 域外の主要国の気候変動政策動向を把握し 必要に応じて国境調整措置等を WTO ルールに基づき導入を検討する (3). 中国における市場メカニズムに関する動向 2016 年に習近平国家主席が 2017 年から全国レベルでの GHG 排出量取引制度の導入を発表したことを受けて いつ制度が開始されるのかに注目が集まったものの 政府からの正式な発表はなかなか発表されなかった 2013 年以降 順次 発足した中国の試行的排出量取引制度は 全国的な排出量取引制度に関連した不透明なニュースや情報が交錯している中 実施されていた 2016 年に創設された福建省市場を含む 8 つの試行的排出量市場の価格は 2017 年の年初の 1 月 2 日から 12 月 25 日まで 概ね安定した価格推移を見せたが 一部の市場では 将来的に制度が不透明な状況の影響を受けて激しい値動きを見る場合もあった 各市場の具体的な価格変化として 北京市はトンあたり 元から 元に微増 上海市は 元から 元に上昇した一方で 広東省は 元から 元に微減 天津市は 元から 8.51 元に大幅下落 深セン市は 元から 元に下落 湖北省 元から 元に下落 重慶市は 元から 4.75 元大幅下落 福建省は 元から 元に大幅に下落した 北京市 上海市 広東省 深セン市 湖北省といった 制度設計や市場運営を比較的慎重に行っている市場では総じて 大きな価格変動は見られなかった 2017 年 3 月に国家発展改革委員会の 新規 CCER プロジェクトの審査停止 の通知があり これを受けて広東省では CCER が低価格で売り出されていたなどの影響があったものの その一方で 2017 年 6 月に広東省は地方政府として中国の初林業オフセットの方法論を採用するなどの動きが見られた また 湖北省は オフセットの対象地域を省の 25 の最も貧しい地域に限定し 最貧困地域への助成政策として試行的排出量取引市場の役割を強化し 2018 年 1 月に湖北省は排出量取引制度の対象基準を引き下げて対象企業数を約 40% 増やして排出枠の割当案を発表した 試行的排出量取引制度の下での規制対象企業の遵守状況に関しては 2016 年の割当案に対して北京は 98% 上海 99.7% 広東省 100% 深セン市 99% 天津市 100% 福建省 97.8% となっており 大半の規制対象企業が遵守していることが明らかになっている 全国レベルでの排出量取引制度については 2017 年の年末を迎えた 12 月 19 日に発展改革委員会が 炭素排出権取引の樹立に関する全国テレビ会議 を開催し 中国全国版 ETS の正式な開始を宣言した 会議によると 中国国務院の 全国炭素排出権取引市場構築に関する方案 ( 発電産業 ) を策定した上で まず電力産業のみを対象に実施することが正式に決定された 年間 CO2 排出量が 2.6 万トン ( 石炭消費換算約 1 万トン ) という基準で対象となる電力企業が 1,700 社程度 総排出量が 30 億トン超になる見込みである また 排出権の割当にはベンチマーク 43

52 を適用するという 制度運営の初期段階ではベンチマーク基準を厳しくする考えがなく 中国認証排出削減量 (CCER) の利用や排出権に関わる金融取引商品についても認めない方針を示した さらに全国レベルでの排出量取引制度の対象となった企業は 現在 試行的排出量取引制度の規制対象から除外される方針が示された また制度の開始時期はシステム開発 準備とシミュレーション型の取引をそれぞれ 1 年間程度に計画しているため 実質的に 2020 年以降になる見通しである 当初中国政府が宣言した 2017 年中に全国レベルでの排出量取引制度の実施からは大きく後退した形となったが このことは 中国政府において排出量取引制度に対してより慎重になったことが影響している可能性もある (4). 韓国における市場メカニズムに関する動向韓国は 2030 年までに BAU 比から 37% を削減するといった国家削減目標を COP に提出しており 2016 年 11 月にパリ協定を批准した 主な気候変動対策としては 2015 年から産業 エネルギー転換 建物 輸送 廃棄物部門の 5 つの部門 23 の業種を対象に排出量取引制度 (ETS) 実施している 韓国 ETS は 5 年ごとの計画期間で区切られているが,2020 年までは過渡的制度運用期間として 第 1 計画期間は 2015 年 1 月 1 日から 2017 年 12 月 31 日までとなっており 第 2 計画期間は 2018 年 1 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までである 産業部門への負担を緩和するため, 第 1 計画期間においては 100% 無償割当となっており 第 2 計画期間の無償割当は 97%( 有償割当は 2019 年から実施予定 ) 第 3 計画期間以降は 95% 以下との方針が示されている 図 12 韓国 ETS 排出権価格の推移 (2017 年 1 月 ~2018 年 1 月 ) ( 出所 ) 韓国取引所 44

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