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さなえみのしま
5 years ago
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1 第 13 回日本臨床獣医フォーラム年次大会 2011 内視鏡を用いた犬猫の気管疾患へのアプローチ気管支鏡検査相模が丘動物病院呼吸器科城下幸仁適応合併症胸部異常陰影慢性発咳 (>2m) 喀血喘鳴など呼吸異常気道内異物マスが疑われる場合肺拡張不全不整脈の悪化出血気胸嘔吐 - 絶対禁忌全身状態不良重度の心肥大 - 相対禁忌気管気管支軟化症 Pao 2 < 60 mmhg 血液凝固能低下体重 2.5kg 未満禁忌気管支鏡的分岐命名法 Amis (1986) 仰臥位城下 (2005) 1

2 胸部 X 線所見との関連術前評価 CBC 血液生化学心電図胸部 X 線動脈血ガス分析凝固時間 (PT, APTT) 目的気管支を予定しておく同定鉗子挿入可能な葉区域気管支 20 本城下 (2005) よりラリンゲルマスクの利用 ID 5.25mm サクションセーフとラリンゲルマスク #1 ID ID 4.5mm 気管チューブ保定とラリンゲルマスク設置 2

3 気管内ステント留置犬の気管虚脱気管虚脱 GradeIV ステント留置後虚脱によって気管が細くなる要因気道外圧気道内圧 1. 気管軟骨の軟化の素因がある 2. 外圧 >> 内圧 3. 軟骨量が少ない部分気管虚脱のパターンは 3 つ 1. 動的頚部気管虚脱動的頚部気管虚脱吸気呼気上気道閉塞が原因 3

4 2. 原発性気管虚脱原発性気管虚脱吸気呼気気管軟骨の軟化が原因気管虚脱のグレード 3. 気管気管支軟化症 < 25% 膜性壁のみ内腔突出 50% 気管軟骨の軽度扁平化吸気呼気 75% 気管軟骨縁が触知可 100% 完全虚脱膜性壁は底部に接する Tangner CH, Hobson HP, Vet Surg, 1982 末梢気道閉塞と呼気努力が原因吸気気管気管支軟化症呼気気管気管支軟化症症状痰産生性高音調音量小持続性夜間悪化冬期悪化する咳発症傾向ヨーキーチワワポメラニアンシーズー Mダックス高齢短頭種治療減量徹底した気管支拡張 4

気管気管支軟化症気管気管支軟化症留置直後気管支鏡所見留置後 18 日目ステントの破損破損の時期留置後 18 日 4

気管支軟化症気管支軟化症治療内科的治療のみステント抜去後再設置管外ステントステント-in-ステント References

Assoc, 232, 228-236, 2008 Woo HM: Can Vet J, 48, 1063-1066,

5 気管気管支軟化症気管気管支軟化症留置直後気管支鏡所見留置後 18 日目ステントの破損破損の時期留置後 18 日 4 週間後 9 週間後 10 週間後 6ヶ月後 12ヶ月後 25ヵ月後に生じた背景気管支虚脱気管支軟化症気管支軟化症治療内科的治療のみステント抜去後再設置管外ステントステント-in-ステント References 城下幸仁 : 第 28 回動物臨床医学会, , 2007 Sura PA: J Am Vet Med Assoc, 232, , 2008 Woo HM: Can Vet J, 48, , 2007 Mittleman E: J Am Vet Med Assoc, 225, , 2004 症例ヨーキーメス 5 歳 10ヵ月主訴 : 喘鳴チアノーゼ 5

6 BW 3.40kg BCS:3 T:38.1 身体検査鎮静下に気管内挿管挿管下にて Spo2 97% 気管支鏡検査第 79 病日 EMS 留置 6

EMS 留置翌日第 362 病日ステント留置後 10 カ月ステント前端に肉芽形成なし細菌性気管炎なし気道内ステント留置 vs 外科療法

頭が術後 3 日以内にプロテーゼ設置の有無にかかわらず全層性の壊死性気管炎と血栓を呈し死亡した Kirby BM: Vet Surg, 20, 49

7 EMS 留置翌日第 362 病日ステント留置後 10 カ月ステント前端に肉芽形成なし細菌性気管炎なし気道内ステント留置 vs 外科療法設置が迅速処置自体が非侵襲的手技が比較的容易胸部気管まで広く支持が可能初期改善効果に優れ早期退院可能ステント留置 vs 外科療法なぜステント留置か? 外科療法の合併症反回喉頭神経障害気管完全分離による気管全層壊死 Kirbyの実験 20 頭の正常犬にらせんプロテーゼ縫着のため気管完全分離を施し 4 頭が術後 3 日以内にプロテーゼ設置の有無にかかわらず全層性の壊死性気管炎と血栓を呈し死亡した Kirby BM: Vet Surg, 20, 49 54, 1991 反回喉頭神経は分りづらい 2007 年 Vet Stent-Trachea 頭尾外径 10 Fr の細径デリバリーシステム Nitinol SEMS 犬気管虚脱に合った豊富なサイズバリエーション 7

8 ステント留置の方法 1 ステント留置の方法 2 適応適切な減量と 3 週間以上の内科療法を行っても反応しない重度の気管虚脱 -McKiernan B: ACVIM Bronchoscopic Stenting Workshop, In: ACVIM, San Antonio, TX, 2008 禁忌呼気努力を呈する疾患 ( 気管気管支軟化症など ) -McKiernan B: ACVIM Bronchoscopic Stenting Workshop, In: ACVIM, San Antonio, TX, 2008 合併症反応性肉芽処置反応性肉芽ステントの移動破損細菌性気管炎ステント前後の虚脱形成処置前 APC+MMC 塗布後 8

ステント内ブラッシング重度気管虚脱に対する気管内ステント留置 # 種類性年齢体重診断ステント合併症転帰 1 チワワ M 7y6m 7.0kg 気管虚脱 GradeIV 2 ヨーキー M 12y5m 4.0kg + 気管気管支軟化症 3 ヨーキー F 5y10m 3.4kg 気管虚脱 GradeIV 4 ヨーキー M 13y10m 3.

9 ステント内ブラッシング重度気管虚脱に対する気管内ステント留置 # 種類性年齢体重診断ステント合併症転帰 1 チワワ M 7y6m 7.0kg 気管虚脱 GradeIV 2 ヨーキー M 12y5m 4.0kg + 気管気管支軟化症 3 ヨーキー F 5y10m 3.4kg 気管虚脱 GradeIV 4 ヨーキー M 13y10m 3.5kg + 気管気管支軟化症 5 チワワ M 3y4m 3.3kg 気管虚脱 GradeIV 6 ヨーキー M 12y9m 4.7kg 気管虚脱 GradeIII 7 ポメラニアン M 3y2m 2.3kg 気管虚脱 GradeIV 8 ヨーキー M 2y6m 1.7kg 気管虚脱 GradeIV 9 ポメラニアン M 10y4m 2.3kg 気管虚脱 GradeIV Wallstent X2 ( ステンレス ) Ultraflex (Nitinol) T>Vetstent- Trachea 肉芽形成留置後 3m 破損留置後 18d なし 51 ヵ月生存 (12y2m) 36 ヵ月生存 (15y5m) 生存中 31ヵ月経過 12ヵ月生存 (14y10m) Vetstent- 破損支軟化症 Trachea 留置後 11m (14y10m) T>Vetstent- Trachea Vetstent- Trachea Vetstent- Trachea T>Vetstent- Trachea X2 Vetstent- Trachea なしなしなしなしなし生存中 22 ヵ月経過生存中 14 ヵ月経過生存中 14 ヵ月経過生存中 12 ヵ月経過生存中 2 ヵ月経過 T> :Tチューブ緊急設置気管内ステント留置動的頚部気管虚脱原発性気管虚脱気管気管支軟化症気管内ステント留置の注意点 Grade IV に対する最終手段気管支軟化症の有無の確認上気道閉塞疾患の有無の確認最大気管径の正確な計測を行う在宅ネブライゼーションは必須留置後 3-6ヵ月毎の気管支鏡検査症例気管腫瘍雑種猫避妊済メス 11 歳 11ヵ月主訴 : 呼吸困難 9

問診室内生活同居動物なし定期予防実施既往歴なし 2 週間前より呼吸困難が次第に悪化 5 日前より食欲低下前医 CT

10 問診室内生活同居動物なし定期予防実施既往歴なし 2 週間前より呼吸困難が次第に悪化 5 日前より食欲低下前医 CT にて気管分岐部気管内腫瘍と診断気管支鏡下処置を希望され当院来院画像提供 : ファミリー動物病院 ( 千葉 ) 身体検査 BW 3.0kg BCS:2 T:38.2 P:96/ 分 R:24/ 分努力性呼吸気管分岐部で吸気時優位の Wheezes 聴取 X 線検査ビデオ透視検査動脈血ガス分析気管支鏡検査 ph 7.33 (7.24~7.45) Pco2 49 (mmhg) (26~41) Po2 91 (mmhg) (88~118) [HCO3 - ] 25.1 (mmol/l) (14.5~20.5) Base Excess -0.1 (mmol/l) (-14.5~-1.4) AaDo2 2 (mmhg) (0~20) 10

小胞巣状の増生巣を形成して浸潤角化巣の形成は不明瞭治療および経過治療方針カルボプラチン150mg/m 2 IV ピロキシカム0.

025mg/kg PO q24hのみに変更 Follow-up 切除後 7 ヵ月 (220 日 ) 目の CT, 胸部 X

: 扁平上皮癌腺癌悪性リンパ腫診断は気管支鏡検査治療は外科切除猫喉頭および気管のマス病変 27 例平均生存期間 5 日間

11 気管支鏡下処置第 2 病日 ph 7.43, Pco2 35 mmhg, Po2 91 mmhg, AaDo2 17 mmhg 低分化型の扁平上皮癌第 33 病日小胞巣状の増生巣を形成して浸潤角化巣の形成は不明瞭治療および経過治療方針カルボプラチン150mg/m 2 IV ピロキシカム0.3mg/kg PO q48h 経過化学療法後嘔吐食欲不振が生じ初回投与のみで中止メロキシカム0.025mg/kg PO q24hのみに変更 Follow-up 切除後 7 ヵ月 (220 日 ) 目の CT, 胸部 X 線にて局所再発なし呼吸状態一般状態良好気管腫瘍犬 : 良性 - 平滑筋腫悪性 - 骨軟骨肉腫骨肉腫肥満細胞腫扁平上皮癌猫 : 扁平上皮癌腺癌悪性リンパ腫診断は気管支鏡検査治療は外科切除猫喉頭および気管のマス病変 27 例平均生存期間 5 日間 References 1. Clifford CA, Textbook of Respiratory Diseases in Dog and Cats, Saunders, , Jakubiak MJ, J Am Anim Hosp Assoc, 41, ,

12 気管内腫瘍 # 動物種類性年齢体重 Pao2 AaDo2 1 猫雑種 M 9y4m 4.3kg 70 mmhg 25 mmhg 2 猫雑種 F 20y9m 2.5kg 106 mmhg (O2 吸入 ) 3 猫雑種 F 11y11m 3.0kg 91 mmhg 2 mmhg 4 猫 Amsh F 13y1m 2.9kg 63 mmhg 20 mmhg Paco2 診断治療転帰 46 mmhg AC 内視鏡下部分切除 59 mmhg SCC 喉頭全摘出 49 mmhg SCC 内視鏡下切除 7 ヵ月間生存 2 ヵ月間生存 3 猫雑種 F 11y11m 3 0kg 91 mmhg 49 mmhg SCC 内視鏡下 16 ヵ月間生存 58 mmhg SCC 内視鏡下 APC 術後 <24h 死亡気管内異物 AC: Adenocarcinoma, 腺癌 SCC: Squamous cell carcinoma, 扁平上皮癌症例雑種猫メス 7 歳問診 3 週間前に突然呼吸困難になった主訴 : 呼吸困難胸部異常陰影身体検査 BW 2.90kg BCS:2 T37.6: P: 心音聴取不可 R:44/ 分咳なし肺音粗励胸式吸気努力呼気努力胸部気管でwheezeあり動脈血ガス分析 ph 7.34 (7.24~7.45) Pco2 54 (mmhg) (26~41) Po2 78 (mmhg) (88~118) [HCO3 - ] 28.4 (mmol/l) (14.5~20.5) Base Excess 1.9 (mmol/l) (-12.5~-1.4) AaDo2 12 (mmhg) (0~20) 12

胸部 X 線所見気管支鏡検査気道内処置摘出した異物キュレット粘膜病変の細胞診を行う再使用可

摘出は困難外科手術透視ガイド下にバルーンカテーテルや硬性鏡用把持鉗子を用いて摘出されている

米澤覚 : 第 24 回動物臨床医学会年次大会プロシーディング 129-130 2003 2.

4. Tivers MS, Moore AH : J Small Anim Pract, 47,

13 胸部 X 線所見気管支鏡検査気道内処置摘出した異物キュレット粘膜病変の細胞診を行う再使用可気管内異物猫で多い犬ではまれ小石が多い小枝植物片花弁なども報告あり気管支鏡は診断のみ摘出は困難外科手術透視ガイド下にバルーンカテーテルや硬性鏡用把持鉗子を用いて摘出されている References 1. 米澤覚 : 第 24 回動物臨床医学会年次大会プロシーディング Padrid PA, McKiernan BC: Small Animal Endoscopy, 2nd ed, Mosby, , Goodnight ME: J Am Vet Med Assoc, 237, , Tivers MS, Moore AH : J Small Anim Pract, 47, , Tenwolde AC : J Vet Intern Med, 24, , Zambelli AB: J S Afr Vet Assoc, 77, 45-50, 2006 気管狭窄 13

45) Pco2 56 (mmhg) (26~41) Po2 64 (mmhg)

14 症例雑種猫メス 11 歳 8ヵ月問診 1ヵ月前より軽い咳が始まる 1 週間前より突然呼吸困難になった主訴 : 呼吸困難身体検査 BW 2.32kg BCS:1 T:37.4 P:138/ 分 R:28/ 分胸式吸気努力吸気時頚部気管部に強い高音調の喘鳴音頚部触診にてマス病変なし動脈血ガス分析 ph 7.34 (7.24~7.45) Pco2 56 (mmhg) (26~41) Po2 64 (mmhg) (88~118) [HCO3 - ] 29.4 (mmol/l) (14.5~20.5) Base Excess 3.4 (mmol/l) (-14.5~-1.4) AaDo2 19 (mmhg) (0~20) 胸部 Ⅹ 線検査ビデオ透視検査 14

15 気管拡張処置気管支鏡検査導入後横臥位透視ガイド下にて TT ID30mm ID3.0mm ID3.5mm ID4.0mm(OD5.6mm) とゆっくり慎重に挿管した T チューブ設置 ( 外径 6mm) 炎症性狭窄 ph 7.43, Pco2 35 mmhg, Po2 91 mmhg, AaDo2 17 mmhg 間質に軽度の線維化を伴ったリンパ球主体の炎症細胞浸潤 4 ヵ月後 4 ヵ月後 T チューブ抜去 ph 7.43, Pco2 35 mmhg, Po2 91 mmhg, AaDo2 17 mmhg 15

16 良性気管狭窄猫で多い犬では少ない原因気管チューブのカフ圧過剰による気管粘膜壊死挿管時気管粘膜損傷咬傷や交通事故など頚部気管外傷気管軟骨壊死を伴うと狭窄の進行が早い References 1. Alderson B: J Small Anim Pract. 47, , Berg J: J Am Vet Med Assoc. 198, , Harley HR: Thorax. 26, ,

01クリニカルシンポジウムー気管内ステント pptx

01クリニカルシンポジウムー気管内ステント pptx 第 35 回動物臨床医学会記念年次大会 ( 大阪 ) 2014.11.15 クリニカルシンポジウム外科テンポラリーステント最近話題の獣医療におけるステント療法呼吸器分野気管内ステント相模が丘動物病院呼吸器科 ( 神奈川県 ) 城下幸仁 T -Montgomery WW: Arch Otolaryngol, 82, 320-321 (1965) パーマネントステント Vet Stent-Trachea