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1 平成 24 年度 海洋掘採施設環境影響調査 報告書 平成 25 年 3 月 一般財団法人エンジニアリング協会 石油開発環境安全センター

2 目 次 はじめに 1. 調査目的 調査体制 調査内容 現地調査 海底地形等調査 流況観測 底質調査 生物調査 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討 調査のまとめ 調査方法 現地調査 調査海域と使用船舶 調査期間 海底地形等調査 流況観測 水質調査 底質調査 生物調査 机上調査 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討 調査結果... 25

3 5.1 現地調査 海底地形等調査 流況観測 水質調査 底質調査 生物調査 現地調査結果の検討 気象概況 海象概況 ( 流況 水温 ) 海底地形 水質 底質 海生生物 まとめ 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 検証の方法 撤去後の事前評価結果の検証 撤去工事直後の事前評価の考え方の再検討 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 磐城沖海洋掘採施設撤去の概要 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討 海洋掘採施設撤去時の環境影響評価のまとめ 海洋掘採施設の撤去時の留意事項のまとめ まとめ 現地調査結果 海底地形等調査 流況観測 水質調査 底質調査 生物調査 机上調査結果 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討

4 6.2.5 ガイドラインの考え方の整理 年間の調査のまとめ 調査目的 調査体制 調査概要 現地調査 机上調査 調査結果 現地調査 机上調査 まとめ 現地調査 机上調査まとめ おわりに ( 参考資料 )

5 はじめに 海洋石油 ガスの海洋掘採施設は世界で 6000 基以上存在し 毎年 120 基以上が撤去 更新されています 設置海域は沿岸域が圧倒的に多く 沖合海域の開発の歴史が浅いこともあり 鋼製大型海洋掘採施設の撤去作業は 世界的に見ても実施例が少なく この規模の海洋掘採施設については 撤去作業に係る鉱害防止のガイドライン策定のための科学的な根拠が不足しています 海洋石油 ガスの海洋掘採施設の撤去に係るガイドラインは 安全条件 技術条件 環境条件 社会条件 経済条件を考慮して決められるものです これらの条件の中でも 海洋環境影響評価の重要性が指摘されていますが その他の条件も相互に影響を及ぼすものであることも指摘されています 海洋環境影響評価のガイドラインの要素としては 海洋掘採施設を撤去した海底面を含めた現場海域の 物理 化学 生物特性や 種の保存 撤去作業時の大気汚染 騒音 海洋汚染や 他の海洋利用者への干渉等があげられます 本調査は 海洋石油 ガスの海洋掘採施設の撤去に係るガイドラインを想定しながら 海洋石油 ガスの掘採施設がその使命を終了したのちの 海洋掘採施設の撤去に係る海洋環境影響評価を行い その結果を海洋掘採施設の撤去時における鉱害防止のガイドライン策定に資することを目的に行っています 調査対象とした海洋掘採施設は 沖合海域である福島県磐城沖 ( 水深 150m の海域 ) の海洋掘採施設で 平成 20 年度に施設の撤去前の現地海域環境調査を行い 平成 22 年度に施設の撤去時前 中 後の現地海域環境調査を行い 平成 24 年度に施設の撤去後の現地海域環境調査 ( モニタリング ) を行ったものです 海洋掘採施設の撤去に係る海洋環境影響評価のガイドライン策定の考え方をまとめるにあたっては 沖合海域である福島県磐城沖の平成 20 年度 21 年度 22 年度 24 年度の現地海洋環境調査結果 ( 平成 23 年度は東日本大震災のため調査中止 ) を中心にし 新潟県阿賀北沖 ( 水深 90m の海域 ) の海洋掘採施設の撤去事例 ( 平成 3 年から 7 年までの現地調査結果 ) を参考としました また 海洋掘採施設等の撤去に係る国際的な考え方や 海外の事例も参考にしました 国内 海外を含めて 沖合海域 ( 水深約 100m 以深 ) での海洋石油 ガスの海洋掘採施設の撤去事例が少ないので 本調査結果は今後 沖合海域での海洋掘採施設の撤去事例が増加し 経験の蓄積が増加するに従い その内容が改善されることが望まれます 最後になりましたが 本年度の調査の取りまとめにあたって 海洋環境影響評価に必要なデータの取得 分析 ならびに貴重なご意見を賜るなど 終始ご指導 ご支援をいただいた委員各位 調査にご協力いただいた関係会社ならびに 限られた予算を有効活用して報告書を取りまとめられた事務局各位に感謝いたします 海洋掘採施設環境影響調査 委員会委員長前田久明 ( 東京大学名誉教授 日本大学客員教授 )

6 1. 調査目的本事業は 海域における石油及び可燃性天然ガスの採取を行うための海洋掘採施設が当該海域の環境に及ばす影響に関する調査であり 採取終了時に行う海洋掘採施設の撤去作業が海域の環境に及ぼす影響の評価を行い 当該作業に係る鉱害防止のガイドライン策定に資することを目的とする 2. 調査体制本業務は一般財団法人エンジニアリング協会石油開発環境安全センター (SEC) の委託により実施した 調査に用いた船舶は SEC が別途契約した株式会社オフショア オペレーション所有の船舶を用いた 3. 調査内容本年度は 海洋掘採施設の撤去から 2 年後の海域環境を把握するための現地調査を実施するとともに 過年度から継続的に行った現地調査の結果を取りまとめた 3.1 現地調査現地調査は 海洋掘採施設の撤去作業が行われた夏季に実施した 調査海域は 磐城沖海洋掘採施設の残置部を中心とした海域とした 主な調査内容としては 海洋掘採施設の残置部および横倒部の周辺状況を把握するための海底地形等調査と流況観測の他に 過年度から継続的に行っている水質 底質 海生生物等の調査を実施し これらの結果を取りまとめた 海底地形等調査本調査は 環境モニタリング調査のうち海底地形および海洋掘採施設の位置や横倒し後の周辺所況を把握する目的で実施した さらに東日本大震災の影響を考慮し 試料採取予定地点が適切であることを確認することも目的に含めた 調査ではナローマルチビーム測深機を用いて 海洋掘採施設の基部と切り倒された上部周辺の海底地形および構造物の位置を観測した 今回得られた結果と 平成 22 年度に撤去実施者が取得した海洋掘採施設撤去直後の情報とを比較し 施設や海底地形の変動と 調査予定地点の適切性について調査する 流況観測流況は 水塊の移動 浮遊物質の移流 拡散等を解析するための基本項目であり 魚類等の生物の分布にも影響を及ぼすことから 物理的基礎環境を把握する上で重要である 海洋掘採施設の撤去前の流況観測は平成 20 年度調査で実施している 本年度は撤去後の流況観測として平成 20 年度調査とほぼ同内容の観測を実施した 1

7 3.1.3 水質調査水質の観測は環境影響評価において最も基本的な項目である 水質は 法的には環境基準が設けられており 植物プランクトンよる海域の基礎生産量を左右する重要な環境要素でもあるため 環境影響評価のバックデータとしても重要である データの比較等の観点から 試料の採取層と分析項目については 撤去の直前 直後に行った平成 22 年度調査と同じとした 底質調査底質は水質とは異なり 海洋掘採施設の撤去に係る人為的な影響を保存しやすい環境要素であると考えられる 測点は 施設から 200m および 1000m 離れた地点に各 4 地点の合計 8 地点とし 分析項目については 撤去の直前 直後に行った平成 22 年度調査と同じとした 生物調査動植物プランクトン 魚卵 稚仔魚及び底生生物 ( ベントス ) の微小な生物群は海域の生態系を構成する基本的要素であるため 海域への環境影響を把握するうえで重要である 特に底生生物は一般的に移動能力が低いため 局所的であっても環境負荷の影響を受けやすく 人為的な環境への影響を評価するうえで重要な指標となる 生物調査においても底質と同様に 測点は施設から 200m および 1000m 離れた地点に各 4 地点の合計 8 地点とし 試料の採取層と分析項目については 撤去の直前 直後に行った平成 22 年度調査と同じとした 3.2 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討 取りまとめた現地調査結果について 既存の知見を参考にしながら海底地形等 流況 水質 底質 生物等について各々確認し 環境への影響について検討する 3.3 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 とりまとめた現地調査結果について検討した結果を参考にしながら 平成 22 年度に実施した海洋掘採施設の撤去後の残留影響事前評価結果と比較 検討する 3.4 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討磐城沖の海洋掘採施設の撤去工事中 撤去後における環境影響評価について 事前評価内容 現地調査結果との検証結果に基づき 海域環境への影響について総合的に検討するとともに 環境影響評価の方法について考え方や枠組みを検討する また モニタリング内容についても検討する 2

8 3.5 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討今回検討した磐城沖海洋掘採施設撤去工事に係る環境影響評価結果に加え 本調査以前に実施された海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価事例を参考にして 海洋掘採施設の撤去に係る海域環境への影響について検討するとともに 環境影響評価の方法について考え方や枠組みを検討する 同時に浅海域となる沿岸域における施設についても検討する また それらを基に海洋掘採施設を撤去する場合に必要な留意すべき事項について環境保全の観点から考察する 同時に ガイドラインの考え方について整理する 3.6 調査のまとめ撤去後の海域環境への残留影響を把握するため実施する現地調査結果をとりまとめるとともに 平成 22 年度に実施した撤去後の残留影響事前評価結果の検証を行う さらに 磐城沖海洋掘採施設の撤去に係る総合的環境影響評価の検討と海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価の総括した結果をとりまとめて整理する また 今までの全般にわたる調査の概要とその成果についてとりまとめる 3

9 4. 調査方法本章では 海洋掘採施設の撤去から 2 年後の周辺海域の現況を把握するための現地調査の方法を整理した 調査に際しては 設置された委員会の委員各位から 各々の調査内容 調査の進め方及び結果の取りまとめ等について審議して頂き 評価や助言等を頂いて内容の修正をしながら結果の取りまとめを行った なお 現地での試料採取とその分析 及び 作業船の運航と調査機器の投入 揚収作業は それぞれの専門会社に依頼し実施した 4.1 現地調査ここでは 撤去の 2 年後に実施した流況 水質 底質 海生生物のデータ収集に加え 深浅測量による海底地形等を把握するための現地調査の方法について述べる 調査海域と使用船舶調査海域を図 に示した 調査海域は福島県双葉郡楢葉町沖合約 40km 水深約 154m に位置する海洋掘採施設の残置部 ( 北緯 東経 ) を中心とした海域とした なお 海洋掘採施設は平成 22 年度に撤去された 福島県 楢葉町 広野町 北緯 東経 図 調査海域 ( 海上保安庁 ( 平成 19 年度 11 月刷 )W1098 を基に作成 ) 本年度は 7 月と 8 月に調査を実施した いずれの調査でも株式会社オフショア オペレーションが所有する船舶を調査船とし 7 月調査では 第 18 海工丸 8 月調査では かいこう を使用した 4

10 各調査地点の緯度 経度を表 に示した 海洋掘採施設の残置部中心に 図 に 示す地点で調査を実施した 表 調査地点の緯度 経度 測点名 緯度 (N) 経度 (E) N N SE NE S S SW SW 係留系設置地点 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 水質 フ ランクトン 魚卵 稚仔魚:N1 SW1 底質 底生生物: 全測点 (8 地点 ) 図 調査地点 5

11 4.1.2 調査期間各調査の工程を表 と表 に示した 7 月調査では 海底地形等調査と流況調査 ( 係留系の設置 ) を行った また 8 月調査では流況調査 ( 係留系の回収 ) 水質調査 底質調査および生物調査を実施した 表 月調査の工程 月日 調査項目 作業内容 7 月 25 日 移動 東京 中の作港 ( いわき市 ) 7 月 26 日 艤装 回航 資材の積み込み 中の作港 調査海域 海底地形等調査 マルチビームによる深浅測量 7 月 27 日 流況調査 係留系の設置 回航 調査海域 中の作港 7 月 28 日 解装資材の積み下ろし移動中の作港 東京 表 月調査の工程 月日 調査項目 作業内容 8 月 27 日 移動 東京 仙台港 8 月 28 日 艤装 回航 資材の積み込み 仙台港 調査海域 8 月 29 日 流況調査係留系の回収生物調査ネット採集 ( 魚卵 稚仔魚 動物フ ランクトン ):2 測点 水質 生物調査 採水 ( 水質 植物フ ランクトン ):2 測点 8 月 30 日 底質 生物調査 採泥 ( 底質 ベントス ) :4 測点 (S1 S3 SW1 SW3) 8 月 31 日 底質 生物調査 採泥 ( 底質 ベントス ) :4 測点 (N1 N3 NE3 SE1) 回航 調査機域 塩釜港 9 月 1 日 解装採資材の積み下ろし移動塩釜港 東京 6

12 4.1.3 海底地形等調査音響測深にはナローマルチビーム測深機を使用した この測深システムは海底面にむけ扇形の音波を送受信し 広範囲の海底面から高密度な測深データを取得することができるシステムである (1) 測定方法と使用機材測深時には動揺センサー GPS を用いて 観測時の送受波器の動揺 (Roll, Pitch, Heave) 方位 (Heading) の変化とその時々の精密な測位データを取り込むことにより 高精度の測深データと位置データを同時に取得することが出来る さらにデータ処理時には 海水中の音の伝播速度自体の水深方向への変化と同変化による音波の屈折分を補正して 測深データの誤差を低減し測深精度を高めている 作業の流れを図 各センサー機器仕様を表 に示す. 本業務では 測量区域において高精度かつ高密度な水深データを取得するため ナローマルチビーム測深機 Sonic2024 を用いて面的な測深を行った 調査船の舷側にマルチビーム音響測深機の送受波器 ( ソナーヘッド ) を固定し そこからの水深を測定した 測深時の調査船の速度は 4 ノット程度とし 可能な限り等速度で航走した 測線間隔は 50m 収録設定音響ビーム角を 30 とし データの重複率 100% で測深を行った 調査船の動揺や船首方向 ( ヘディングの向き ) による水深値のずれを補正するために 調査船上に動揺センサー 方位システムを配置し測深と同時にこれらのデータも取得した 測量区域内において 水中音速度計を用いて作業開始前に 1 回水中音速の鉛直方向分布データを測定し収録した 収録した水中音速度データは 水深を求める際の水中音速度として使用した 図 にナローマルチビーム測深の概要図を示す 7

13 POS MV GPS 測位 動揺 船首方向測定 Sonic2024 ソナーヘット 海面水温 SIM (Sonar Interface Mod.) 現場作業 潮位補正 音速度計 PC (HYPACK) 計器のオフセット情報 GPS アンテナ, ソナーヘット PC (HYPACK) 室内作業 ハ ッチテストにて各補正値の決定 (Roll,Pitch,Yaw,Latency) テ ータ処理, ノイス 除去 XYZ テ ータ作成 等深線図 水深図 イメーシ 図 図 ナローマルチビーム測深 (Sonic2024) 観測 解析フロー 8

14 表 使用機器一覧表 機器名 型式ナローマルチビーム測深機 Sonic2024 型船位測定システム POS MV (Position & Orientation System for Marine Vessel) 音速 圧力スマートセンサー SVPS 解析ソフト 性能 諸元周波数 :200/400kHz 10kHz ステップ可変ビーム数 :256 本 スワッス幅 :10~160 フットプリント : 左右 0.5 前後 1.0 測深分解能:12.5 mm D-GPS 方式 ( 慣性計測 ) 測位:0.02~0.1m ロール ピッチ :0.005 ヒーブ:3.5cm(3.5%) 真方位 :0.025 船速:0.005m/s(RTK) 測定レンジ :1400~1550m/sec 測定精度:±0.05 m/sec 測定分解能 :0.015 m/sec レスポンスタイム:143μs Hypack2012 MTSAT( 補正情報受信 ) GPS 衛星 補正情報 GPS アンテナ 動揺センサー 進行方向 Sonic20245 ヘット センサー 測深範囲 ( ヒ ーム ) 図 ナローマルチビーム測深概要図 1 測地系 今回使用した測量の測地系は 座標原点 : 北緯 東経 縮尺係数 1.00 の世界測地系である 2 船位測定測位は 位置の補正情報を静止衛星から受信する方式の D-GPS を用いて測定した 9

15 3 基準面 基準面は海図と同様の最低水面 (C.D.L.) とした また潮位の補正は 気象庁所管の小名浜検潮所の潮位データを使用した (2) 調査位置 海洋掘採施設の既設および横倒しとなっている場所を中心に約 400m 400m の範囲を観 測した 観測機器は 水深 500m までの海底地形が把握可能である (3) 観測時期海底地形の観測は 平成 24 年 7 月 27 日の係留系投入調査時に実施した (4) 解析方法ナローマルチビーム測深で得られたデータを 図 の観測 解析フローの室内作業に従って成果を取りまとめた 以下に主な作業について説明する 1 パッチテスト測量船にソナーヘッド ( 送受波器 ) を艤装する際に 鉛直且つ船首方向に平行に精度良く取り付けることは難しく 若干の角度のずれを伴うことは避けられない この ずれ は 測深データに大きく影響するため ソナーヘッドの取り付け角度を計測し補正するためのパッチテストを行う必要がある パッチテストでは Roll: ロール ( 船の進行方向に対して横方向の取り付け角度 ) Pitch: ピッチ ( 船の進行方向の取り付け角度 ) Yaw: ヨー ( 船の進行方向に対する送受波器の向き ) および Latency: レイテンシー (GPS 等の測位機器のデータ処理時間遅れ ) について計測を行った 以下に各要素についての計測方法を概説する ロール : 平坦な海域において 測量船を同一測線で往復航走して地形データを取得し モニター画面に表示される往復の海底地形断面が同一の平坦な海底となるように補正するための取り付け角度の鉛直方向とのずれの値 すなわちロール方向のオフセット値を求める ピッチ : 特徴的な地形がある海域において 測量船を同一測線で往復航走して地形データを取得し モニター画面に表示される往復測定の海底地形断面が同一となるよう補正するための取り付け角度の鉛直方向とのずれの値 すなわちピッチ方向のオフセット値を求める 10

16 ヨー : 地形の変化点など特徴的な地形がある海域において 特徴的な地形を挟むように設定した平行な 2 測線について 同一方向に測量船を航走させて地形データを取得し モニター画面に表示される 2 回の測定結果で同一の特徴的な地形にずれが無くなるようなヨーのオフセット値を求める レイテンシー : 地形の変化点など特徴的な地形がある海域において 同一測線を同じ方向に 2 回異なる速度で測量船を航走させてデータを取得し モニター画面に表示される同一の地形にずれが無くなるような GPS 等位置測定機器の時間の遅れを算出する 以上の 4 項目について計測を行うことによって ソナーヘッドの取り付け角度のずれを補正する 2 ノイズの除去水中の漂流物 気泡や魚群といった物理的ノイズや 測深エコーの多重反射等により 測得データにはノイズが含まれているため これらを除去する必要がある 図 図 にノイズ除去例を示す 図 ノイズ除去前 11

17 図 ノイズ除去後 流況観測 (1) 観測期間と観測項目 2012 年 7 月 27 日 ~2012 年 8 月 29 日の 34 日間を観測期間とし 1 分間隔で流向 流速 10 分間隔で水温 塩分の連続観測を行った (2) 使用機器メモリー式電磁流向流速計 (JFE アドバンテック社製 Compact-EM) およびメモリー式 CTD(JFE アドバンテック社製 Compact-CT) を搭載した係留系 ( 写真 図 4.1-7) を使用した (3) 観測地点と観測層海洋掘採施設の残置部から南西方向に約 250m 離れた 1 地点 ( 表 図 4.1-2) を観測地点とし 表層 ( 底上 140m), 中層 ( 底上 75m) および底層 ( 底上 5m) の 3 層を観測層とした 12

18 投入作業 観測部 写真 流況調査で使用した係留系 13

19 140m 75m 5m 図 係留系の構成 14

20 4.1.5 水質調査 (1) 採水方法写真 に示す CTD 付多筒採水器 ( ロゼットサンプラー ) を用い 水圧 ( 水深 ) 測定と連動させて所定の水深の海水を採取した 写真 水質調査で使用した CTD 付多筒採水器 ( ロゼットサンプラー ) (2) 現地観測項目 採水時には 表 に示す項目を観測した 観測項目採水位置水深海象状況気象状況水温気温色相濁り臭気透明度塩分 表 採水時の現地観測項目と方法 測定方法 採水時の GPS 船位を記録音波測定により採水時の水深を記録目視観察により風浪 うねりについて それぞれ波高とその方向を 16 方位で記録天候 雲量は目視観察 ( 雲量は 0~ 10 の 11 段階表記 ) 風向風速計を用い 風向は 16 方位 風速は 0.5m/s 単位で計測 CTD メーター (Sea-Bird Electronic 社製 SBE21) を使用 ガラス棒状温度計を用い 甲板上 m の日陰にて計測 日本色研色名帳 :( 財 ) 日本色彩研究所 による目視観測 JIS K0101(1998)9.2 に示す方法 JIS K0102(1998)10.1 に示す方法 透明度板を使用 CTD メーター (Sea-Bird Electronic 社製 SBE32) を使用 (3) 採水位置図 4.1-2( 表 4.1-1) に示した N1 および SW1 の 2 測点を調査地点とし 各測点で 3 層 ( 水深 0m 75m および底上 10m) の採水を行った ただし n-ヘキサン抽出物質量分析用の試料 15

21 は表層 ( 水深 0m) のみとし クロロフィル a 分析用の試料については 植物プランクトン の採取層と同じ表層 ( 水深 0m) と中層 ( 水深 75m) の 2 層とした (4) 採水時期 8 月調査時の 1 回とした (5) 分析項目と分析方法分析項目および分析方法は 表 に示す通りとした 採取した海水は所定の容器に収容した後 分析に供するまで日本工業規格等各分析方法に定める方法により保管した 表 水質分析項目と方法 分析項目 分析方法 採水層 水素イオン濃度 (ph) 溶存酸素量 (DO) 化学的酸素要求量 (COD) 浮遊物質量 (SS) n-ヘキサン抽出物質量 昭和 46 年 12 月 28 日付環境庁告示第 59 号 水質汚濁に係る環境基準について に定める測定方法 3 層 1 層 濁度 日本工業規格 K に定める方法 全有機体炭素 (TOC) 日本工業規格 K に定める方法 硝酸態窒素 (NO3-N) 日本工業規格 K に定める方法 亜硝酸態窒素 (NO2-N) 日本工業規格 K に定める方法 3 層アンモニア態窒素日本工業規格 K に定める方法 (NH4-N) りん酸態りん (PO4-P) 日本工業規格 K に定める方法 クロロフィルa 海洋観測指針 ( 気象庁,1990)9.6.2 に準ずる方法 2 層 16

22 4.1.6 底質調査 (1) 採泥方法写真 に示すスミスマッキンタイヤー型採泥器 ( 採泥面積 :0.119m 2 ) を使用し 昭和 63 年 9 月 8 日付環水管第 127 号 ( 底質調査方法の改定について ) に定める方法 またはこれに準ずる方法により底泥を採取した (2) 現地観測項目採泥時には 表 に示す項目を観測した (3) 採泥位置採取位置は図 4.1-2( 表 4.1-1) に示す 8 測点とした (4) 採泥時期 8 月調査時の 1 回とした 写真 底質調査で使用したスミスマッキンタイヤー型採泥器 観測項目色相 ( 泥色 ) 泥温臭気 ( 泥臭 ) 泥状 夾雑物 表 採泥時の現地観測項目と方法測定方法 標準土色帖 ( 財 ) 日本色彩研究所により測定ガラス棒状温度計を使用現地観察目視観察 17

23 (5) 分析項目および分析方法分析項目および分析方法は 表 に示す通りとした 採取した底泥は所定の容器に収容した後 分析方法を記載したそれぞれの規格 法令に定める方法により保管した なお 放射性セシウムの分析は 海洋掘採施設の残置部から 1000m 離れた 4 測点 (N3 NE3 S3 SW3) で採取した底泥でのみ行った 表 底質分析項目と方法 分析項目分析方法物性 含有量試験溶出試験 粒度組成日本工業規格 A1204 に定める方法密度日本工業規格 A1202 に定める方法化学的酸素要求量 (CODsed) 硫化物昭和 63 年 9 月 8 日付環水管第 127 号 底質調査方法乾燥減量の改定について に定める方法強熱減量 (IL) 有機体炭素 (TOC) JGS に定める方法 n-ヘキサン抽出物質量ソックスレー抽出法カドミウムシアン化合物鉛六価クロムひ素昭和 63 年 9 月 8 日付環水管第 127 号 底質調査方法総水銀の改定について に定める方法アルキル水銀化合物ポリ塩化ビフェニル銅亜鉛昭和 46 年 12 月環境庁告示第 59 号付表 6に掲げるふっ素化合物方法放射性セシウム放射能測定シリーズに掲げる方法 (Cs134 Cs137) カドミウム又はその化合物 シアン化合物有機りん化合物鉛又はその化合物六価クロム化合物ひ素又はその化合物水銀又はその化合物アルキル水銀化合物ポリ塩化ビフェニル銅又はその化合物亜鉛又はその化合物ふっ化物 昭和 48 年 2 月 17 日環境庁告示第 14 号 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第五条第一項に規定する埋立場所等に排出しようとする廃棄物に含まれる金属等の検定方法 に定める方法 18

24 4.1.7 生物調査 (1) 採取項目と採取方法 採取項目と採取方法を表 に示した (2) 採取位置動植物プランクトンと魚卵 稚仔魚は図 4.1-2( 表 4.1-1) に示した N1 および SW1 の 2 測点 マクロベントスとメイオベントスは図 4.1-2( 表 4.1-1) に示した 8 測点とした 採取層は表 に示したように 動物プランクトンは表層 中層および底層の 3 層 植物プランクトンは表層および中層の 2 層 魚卵 稚仔魚は表層のみ (1 層 ) とした (3) 採取時期 8 月調査時の1 回とした 表 生物調査の採取項目と採取方法 分析項目 採取方法 採取層 動物プランクトン 植物プランクトン 魚卵 稚仔魚 マクロベントス メイオベントス 北原式定量プランクトンネット ( 写真 4.1-4) を用いた鉛直曳 ロゼットサンプラーによる各層 2L 採水 MTD ネット ( 写真 4.1-5) を用いた 2 ノット 10 分間の水平曳スミスマッキンタイヤー型採泥器を用い 0.1m 2 程度採泥スミスマッキンタイヤー型採泥器で採取した底泥に直径 30mm のコアを差し込み 30mm 厚の表層泥を分取 表層 :0~50m 中層 :50~ 100m 底層 :100~ 底上 10m 表層 :0m 中層 :75m 表層 :0m 海底面 海底面 写真 動物プランクトンの採取で使用した北原式定量プランクトンネット 19

25 写真 魚卵 稚仔魚の採取で使用した MTD ネット (4) 分析方法各分析項目の分析方法を表 に示した 試料採取後の保管については 中性ホルマリンを用い 動物プランクトンは終濃度 5% 植物プランクトンは終濃度 2% 魚卵 稚仔魚 マクロベントスおよびメイオベントスは終濃度 10% となるよう固定した 分析項目動物プランクトン植物プランクトン魚卵 稚仔魚マクロベントスメイオベントス 表 各分析項目の分析方法 分析方法 生物顕微鏡による種の同定 計数生物顕微鏡による種の同定 計数生物顕微鏡や実体顕微鏡による種の同定 計数 1mm メッシュのフルイ上に残る生物について実体顕微鏡を用い種の同定 計数及び種毎の湿重量の測定 0.03mm(30μm) メッシュのフルイ上に残る生物について実体顕微鏡や生物顕微鏡による種の同定 計数 20

26 4.2 机上調査 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討撤去後の残留影響の事前評価の検証のための基礎作業として 現地調査結果の検討を行う 取りまとめた現地調査結果について 過去の知見 あるいは 撤去工事前 撤去工事直後の現況と比較し 海洋施設の残留時の環境への影響について検討する 検討に当っては平成 20 年度及び平成 22 年度調査結果並びに他の既存の知見を参考にし 特に次の点に着目して行う 震災による地形変化等の有無の確認 既存の知見との差異についての確認 差異がある場合には その要因の検討検討項目は原則として平成 24 年度に実施する現地調査項目とする 具体的には 以下の項目となる 1 海底地形等 2 流況 3 水質 4 底質 5 生物 ( 浮遊生物 魚卵 稚仔魚 底生生物 ) 検討結果は 事前評価の検証のための資料となる 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証撤去後の残留影響事前評価結果の検証は とりまとめた現地調査結果に基づき 調査結果の検討結果を参考にしながら 平成 22 年度に実施した残留影響の事前評価結果との比較 検討により行う その際 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災による地形変化などの有無の確認をしたうえでとりまとめた撤去後の現地調査結果と事前評価の内容と比較する 比較の結果 事前評価内容と差異が見られた場合には その程度について確認し 理由について検討した上で 検討結果に基づき残留時の事前評価の考え方を再検討する (1) 撤去後の現地調査結果と事前評価結果の比較撤去後の残留影響の現地調査結果の各項目について 平成 22 年度に実施した残留影響の事前評価結果と比較する 比較に当たっては 現地調査結果の検討結果を参考にし 撤去後の海洋掘採施設の状態から影響内容について判断し 事前評価結果との差異について確認する 事前予測結果が定性的な場合には 現地調査結果の検討結果の差異に着目して変化の程度の把握及び影響評価の確認を行う 21

27 (2) 撤去後の事前評価結果の検証撤去後の現地調査結果と事前評価内容との比較の結果から 事前評価内容が妥当であったかどうかを検証する なお 平成 23 年 3 月 11 日の地震により海域の状況が変化している可能性があり 検証においてはこの影響も配慮して実施する 検証は 変化が予測されたものは予測の範囲内に収まっているかどうかを確認する また 撤去後の海洋掘採施設の状態から判断される撤去後の影響内容について 事前評価結果と差異が見られるものはその程度の差について確認したうえで 差異が見られた原因について検討する (3) 撤去後の事前評価の考え方の再検討評価結果の検証結果をもとに 事前評価の内容に差異が見られた項目について 平成 22 年度に実施した撤去後の事前評価の考え方を再検討する 再検討に当っては 次の内容に留意して行う 1) 評価の過程及び評価結果に不確実性の高い評価項目を確認する 残留された海洋掘採施設の海域での情報を入手し 事前に想定した影響要因との差異はないか検討する 2) 既存事例において 今回の事前評価結果と違っていると想定されるものについては予測評価手法について 再確認する 3) 差異の原因を検討する 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討大水深海域に設置された海洋掘採施設の撤去工事及び撤去後の残留時の環境影響について 磐城沖海洋掘採施設を事例にしてこれまで実施した事前評価内容 現況調査結果による検証結果などに基づき総合的に評価し 事前評価の適切な考え方 評価の枠組みの検討を行う 尚 本報告書における 大水深 という言葉は 通常 石油開発業界で使用される意味ではなく 海洋掘採施設の中で比較的深い深度 ( ここでは 100m 以深 ) に設置された場合の水深を意味する (1) 撤去工事時の環境影響評価の検討事例とした磐城沖海洋掘採施設の撤去工事中の環境影響評価結果をとりまとめるとともに 撤去工事時の環境影響評価を実施する際の基本的考え方 事前評価項目 予測評価の方法について 現地調査結果に基づき検証した結果を反映し 評価の枠組みをまと 22

28 める 評価の枠組みには 対象とすべき評価項目と 各評価項目についての評価の考え方をとりまとめて示す (2) 撤去後の残留影響事前評価の検討事例とした磐城沖海洋掘採施設の撤去後の残留影響評価結果をとりまとめるとともに 撤去後の残留影響事前評価を実施する際の基本的考え方 事前評価項目 予測評価の方法について 現地調査結果に基づき検証した結果を反映し 評価の枠組みをまとめる (3) 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の総括磐城沖海域での海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価結果を総括するとともに その環境影響評価結果を大水深海域の海洋施設撤去に係る環境影響評価に展開し 環境影響評価の考え方をとりまとめる (4) モニタリング内容の検討 海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価結果に基づき 撤去工事中 撤去後の鉱害防止の観点から 確認すべき項目 時期などの必要なモニタリング内容について検討する 1) モニタリング計画に係る基本的考え方の検討海洋掘採施設の撤去に係るモニタリング計画をどのような考えで検討 設計するかについて 事前評価の内容から 一般的な環境影響評価の事例を参考に 基本的考え方をまとめる 2) モニタリング項目の検討撤去工事中 撤去後にモニタリングが必要な項目及びその内容について 事前評価の結果から検討する 対象とする項目は (1) の考え方に基づき 特に予測が不確実な項目を重点的に検討する 3) モニタリングの時期 期間に関する検討 2) のモニタリングの項目について 適切な実施時期 頻度 期間などについて 既存の環境影響評価事例などを参考に検討する 4) モニタリング計画案 2) 3) で検討したモニタリングの項目 方法および頻度などに基づき モニタリング計画案をとりまとめる 23

29 4.2.4 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討既存の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討事例を参考にし 海洋掘採施設の撤去の際の鉱害防止の観点から工事に係る海域環境への影響について検討し 浅海域及び大水深海域に設置された海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価の考え方 内容について総括を行い 我が国において海洋掘採施設を撤去する場合に環境保全の観点から留意すべき事項をとりまとめる これらは 鉱害防止のためのガイドライン策定の基礎資料となると考えられる また 同時にガイドラインの考え方について整理する (1) 海洋掘採施設撤去時の環境影響評価のまとめ今回検討した事例及び既存の事例を参考にして 海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の考え方 評価項目 予測評価方法などの枠組みについて整理する その上で海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価において考慮すべき点についてとりまとめる (2) 海洋掘採施設撤去時の留意事項のまとめ海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価の枠組みの検討結果に基づき 我が国において海洋掘採施設を撤去する場合に環境保全の観点から留意すべき事項をとりまとめる また ガイドラインの考え方について整理する 24

30 5. 調査結果 5.1 現地調査本章では 撤去から 2 年後における海域環境への影響を把握するために実施した現地調査結果を示した なお 各調査の詳細データは 巻末に参考資料として添付した 海底地形等調査 (1) 海底地形測量結果今回の調査データから 1m メッシュの水深データを作成し それをもとに当該海域の等深線図を図 に イメージ図を図 に示した いずれの図面でも調査海域全般は多少の凹凸はあるものの水深は 155m 程度の平坦な地形であることがわかる 図面中央部の西側には海洋掘採施設残留部 東側に切倒した後の施設上部が顕著な突起形状を示していた 図 で赤丸 赤四角 の地点が今回の調査で確認された それぞれ海底面設置部と構造物頂部の位置である また図 イメージ図中の黒丸 黒四角 は平成 22 年度の位置情報をプロットしたものである (2) 主要点の移動距離算出結果過去に測量された位置データ ( 旧座標 世界測地系へ変換 ) と今回 (2012 年 7 月 27 日 ) の測位データをプロットし図 に海洋掘採施設の移動距離図を作成した この結果から各点の移動状況を検討した 前出イメージ図に両測量時期の点を重ねてプロットしたところ 各点それぞれに数 10cm ~ 数 m オーダーで移動が認められたが 移動方向は東 ~ 南方向が多いものの必ずしも同じではない そこで 上部 下部それぞれの海洋掘採施設の上面の点について着目し 上面のそれぞれの 4 点が作る 2 本の対角線の交点の位置と既存データの同じ交点の位置との比較を行った その結果では 上部海洋掘採施設 下部海洋掘採施設とも 方向角 80 程度の方向に 6.5m 程度移動していることが分かった ( 東北地方太平洋沖地震に伴う地盤の移動と考えられる ) 25

31 図 等深線図 ( 等深線間隔 :0.5m) 26

32 図 イメージ図 27

33 A1 A2 AL AU D1 D2 DL DU 図 海洋掘施設移動距離図 28

34 5.1.2 流況観測 (1) 水温 塩分 ( 実用塩分 ) * σt ** の経時変化流況観測時の水温の経時変化 (10 分間の平均値 ) を図 に示した 表層の水温は約 12~24 の範囲で推移し 観測期間中 緩やかに上昇する傾向を示した 中層の水温は約 10~16 底層の水温は約 8~10 の範囲で推移した 観測期間を通じて中層および底層の水温には一定の増減傾向は認められなかった 2008 年調査 ( 観測期間 :7/14~8/24) 時の水温は 表層で約 14~28 中層で約 6~14 底層で約 4~10 の範囲であった 表層の水温は 2008 年調査時よりも 2012 年調査時の方が低い傾向にあったが 中層と底層の水温は 2012 年調査時の方が高い傾向にあった 水温 ( ) 表層 中層 底層 :00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 7/27 7/31 8/5 8/10 8/15 8/20 8/25 8/29 観測期間 ( 月日 ) 図 流況観測水深の水温の経時変化 (10 分間の平均値 ) 流況観測時の塩分の経時変化 (10 分間の平均値 ) を図 に示した 表層の塩分は約 33.2~34.3 中層の塩分は約 33.7~34.3 底層の塩分は 33.9~34.1 の範囲で推移し いずれの層においても観測期間を通じての変動は小さかった 中層および底層の塩分値から 本調査海域が黒潮系水 ( 塩分が 35 程度 ) の影響をほとんど受けていないことが示唆された 2008 年調査では 表層では塩分センサーに汚れが付着したために信頼できる観測値を得ることができなかったが 中層および底層の塩分は 2012 年調査とほぼ同程度の値であった 29

35 35 34 塩分 表層 中層 底層 :00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 7/27 7/31 8/5 8/10 8/15 8/20 8/25 8/29 観測期間 ( 月日 ) 図 流況観測水深の塩分の経時変化 (10 分間の平均値 ) 流況観測時の σt の経時変化 (10 分間の平均値 ) を図 に示した 表層の σt は約 23.2~26.63 中層の σt は約 25.5~27.2 底層の σt は 27.1~27.4 の範囲で推移し いずれの層においても観測期間を通じての変動は小さかった 2008 年調査では 表層では塩分センサーに汚れが付着したために信頼できる σt 値を得ることができなかったが 中層および底層の σt は 2012 年調査とほぼ同程度の値であった σt 表層 中層 底層 20 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 7/27 7/31 8/5 8/10 8/15 8/20 8/25 8/29 観測期間 ( 月日 ) 図 流況観測水深の σt の経時変化 (10 分間の平均値 ) * : 塩分は 1 気圧 15 の塩化カリウム標準溶液 (1kg 中に gの塩化カリウムを含んだ水溶液 ) との電気伝導度比で表されるため 無次元の値 ( 単位なし ) である ** :σt 海水の密度を便宜的に表したものがσt( シグマティー ) である 海水の密度が 1000~1031kg/m 3 の間にあることから σtは海水を1 気圧下に置いた場合の密度から 1000 を差し引いた値として表される このため σtは無次元の値 ( 単位なし ) である 30

36 (2) 流向 流速の経時変化 1 流速の北方分速および東方分速の時系列解析表層 中層 底層の北方分速および東方分速の時系列変化について図 および図 に示した また 潮汐の影響を除くため 25 時間移動平均処理し 同様に図化した ( 図 5.1-9) 北方分速の平均値は 6.1cm/s( 表層 ) 6.3cm/s( 中層 ) 1.3cm/s( 底層 ) 全層平均では 4.6cm/s で相対的に南方方向への流速が卓越していた 一方 東方分速の平均値は 4.5cm/s( 表層 ) 4.0cm/s( 中層 ) 0.5cm/s( 底層 ) 全層平均では 3.0cm/s で相対的に西方方向への流速が卓越していた 2 流速ベクトルの時系列解析全層 ( 表層 中層 底層 ) の流速ベクトルの生データの時系列変化を図 に 13 時間および 25 時間移動平均処理したものを図 および図 に示した 表層 中層では南から南西方向のベクトルが卓越し 底層では南から南西方向および北東方向のベクトルが卓越していた 潮汐成分 (12 時間 24 時間 ) の影響を除去した流れ (13 時間 25 時間移動平均処理後 ) は 表層および中層は南西方向であった 底層は 相対的に流速が遅く南西方向の他に北方向の流れも確認できた ベクトル長は北方流速と東方流速の合成であるため ベクトル長の時系列変化は各分速と同様の傾向を示した 3 流向のスパイダーグラフ解析全層の流向のスパイダーグラフ ( 頻度図 ) を図 に示した 表層は SW 方向の頻度が最も高く 14% で S 方向から WSW 方向で 10% 以上の頻度があった 中層は SW の頻度が最も高く 19% で SSW 方向から WSW 方向で 10% 以上の頻度があった 底層は表層および中層と比較すると全方向で 10% 以内の頻度であり SE 方向の頻度が最も高かったが (10%) 表層および中層と同様に SW 方向 (9%) から SSW 方向 (8%) の頻度も続いて高かった 全層を通じて南西方向の流れが卓越していることがスパイダーグラフからも確認できた 4 進行ベクトル解析全層の進行ベクトルを図 に示した 進行ベクトルは流速および流向頻度の傾向に対応して 表層および中層では進行ベクトルは南西の方向に進む進行パターンを示したが 底層では表層および中層と比較して流速が小さく流向頻度が全方向 10% 以内であるため 異なる進行パターンを示した 解析期間 ( 約 33 日間 ) における進行距離は 表層では東西方向に 127km 南北方向に約 173km 中層では東西方向に 114km 南北方向に約 178km 底層では東西方向に 13km 南北方向に約 37km であった 全層ともに潮汐周期が確認できた 31

37 5 調和解析全層の解析期間を対象として 主要 4 分潮 ( 日月合成日周潮 ;K1 主太陰日周潮;O1 主太陰半日周潮 ;M2 主太陽半日周潮;S2) について調和解析を行い 調和定数を表 表 および表 に示し 潮流楕円を図 に示した 各分潮の分速の変化を図 ( 北方分速 ) および図 ( 東方分速 ) に示した 表層では 12 時間周期 (M2) が卓越し 中層および底層では 24 時間周期 (O1 K1) が卓越する結果となった 表層では 12 時間周期 (M2) が北北東 - 南南西を軸とする楕円を形成し 24 時間周期 (K1) では北 - 南を軸とする楕円を形成した 中層では 24 時間周期 (O1) が北東 - 南西を軸とする楕円 12 時間周期 (M2 S2) が東北東 - 西南西を軸とする楕円を形成した 底層では 12 時間周期の M2 と S2 24 時間周期の K1 と O1 で楕円を形成する軸に 90 度のずれが確認できた 12 時間周期 (M2) においては 表層と中層および底層で位相のずれが確認できた 32

38 (cm/s) /7/27 ~ 2012/8/ /27 9:00 7/28 9:00 7/29 9:00 7/30 9:00 7/31 9:00 (cm/s) /8/1 ~ 2012/8/ /1 0:00 8/3 0:00 8/5 0:00 8/7 0:00 8/9 0:00 8/11 0:00 8/13 0:00 8/15 0:00 (cm/s) /8/15 ~ 2012/8/ /15 0:00 8/17 0:00 8/19 0:00 8/21 0:00 8/23 0:00 8/25 0:00 8/27 0:00 8/29 0:00 表層中層底層 図 北方分速の時系列変化 33

39 (cm/s) /7/27 ~ 2012/8/ /27 9:00 7/28 9:00 7/29 9:00 7/30 9:00 7/31 9:00 (cm/s) /8/1 ~ 2012/8/ /1 0:00 8/3 0:00 8/5 0:00 8/7 0:00 8/9 0:00 8/11 0:00 8/13 0:00 8/15 0:00 (cm/s) /8/15 ~ 2012/8/ /15 0:00 8/17 0:00 8/19 0:00 8/21 0:00 8/23 0:00 8/25 0:00 8/27 0:00 8/29 0:00 表層中層底層 図 東方分速の時系列変化 34

40 30 20 表層 (cm/s) /27 9:00 8/1 9:00 8/6 9:00 8/11 9:00 8/16 9:00 8/21 9:00 8/26 9: 中層 (cm/s) /27 9:00 8/1 9:00 8/6 9:00 8/11 9:00 8/16 9:00 8/21 9:00 8/26 9: 底層 (cm/s) /27 9:00 8/1 9:00 8/6 9:00 8/11 9:00 8/16 9:00 8/21 9:00 8/26 9:00 東方成分 北方成分 図 時間移動平均処理を行った東方成分 北方成分の時系列変化 35

41 流速 (cm/s) N <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> N S 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 S 表層 流速 (cm/s) N <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> N S 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 S 中層 流速 (cm/s) N <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> N S 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 S 底層 図 流速ベクトルの時系列変化 36

42 N 20 <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> N 20 流速 (cm/s) S 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 表層 20 S N 20 <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> N 20 流速 (cm/s) S 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 中層 20 S N 20 <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> N 20 流速 (cm/s) S 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 底層 20 S 図 時間移動平均処理を行った流速ベクトルの時系列変化 37

43 N 20 <2012/07/27 09:00~2012/08/28 15:00> N 20 流速 (cm/s) S 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 表層 20 S N 20 <2012/07/27 09:00~2012/08/28 15:00> N 20 流速 (cm/s) S 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 中層 20 S N 20 <2012/07/27 09:00~2012/08/28 15:00> N 20 流速 (cm/s) S 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 底層 20 S 図 時間移動平均処理を行った流速ベクトルの時系列変化 38

44 表層 NW NNW N 20% NNE NE WNW 10 ENE W Calm 0.0% E WSW ESE SW SE SSW S SSE 中層 NW NNW N 20% NNE NE WNW 10 ENE W Calm 0.0% E WSW ESE SW SE SSW S SSE 図 流向頻度分布 39

45 底層 NW NNW N 20% NNE NE WNW 10 ENE W Calm 0.0% E WSW ESE SW SE SSW S SSE 全層 NW NNW N 20% NNE NE WNW 10 ENE W Calm 0.0% E WSW ESE SW SE SSW S SSE 表層中層底層 図 ( 続き ) 流向頻度分布 40

46 東西成分 (km) 表層 南北成分 (km) 東西成分 (km) 中層 南北成分 (km) 図 進行ベクトル図 41

47 東西成分 (km) 底層 南北成分 (km) 東西成分 (km) 全層 南北成分 (km) -150 表層中層底層 -200 図 ( 続き ) 進行ベクトル図 42

48 表 表層の調和解析結果 分潮 分速 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) M2 北方 東方 S2 北方 東方 O1 北方 東方 K1 北方 東方 表 中層の調和解析結果 分潮 分速 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) M2 北方 東方 S2 北方 東方 O1 北方 東方 K1 北方 東方 表 底層の調和解析結果 分潮 分速 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) M2 北方 東方 S2 北方 東方 O1 北方 東方 K1 北方 東方

49 表層 10 8 中層 (cm/s) (cm/s) 底層 (cm/s) :M2 :S2 :K1 :O1 :M2 始点 :S2 始点 :K1 始点 :O1 始点 図 各層別の潮流楕円 ( 両軸の単位は cm/s) 44

50 表層 cm/s 時間 中層 2 1 cm/s 時間 底層 2 1 cm/s 時間 :M2 分潮 :S2 分潮 :K1 分潮 :O1 分潮 図 各分潮の北方成分の分速 45

51 表層 2 1 cm/s 時間 中層 cm/s 時間 底層 2 1 cm/s 時間 :M2 分潮 :S2 分潮 :K1 分潮 :O1 分潮 図 各分潮の東方成分の分速 46

52 (3) 2008 年と 2012 年の流向 流速計解析との比較本事業では 2008 年の同時季に流向 流速計調査が行われている ここでは 2008 年 ( 撤去前 ) と 2012 年 ( 撤去後 ) の対象海域の流向 流速を比較検討した なお 2008 年の調査期間は 2008 年 7 月 14 日 ~8 月 24 日の 42 日間で 2012 年の調査期間 (2012 年 7 月 26 日 ~8 月 29 日の 35 日間 ) より長い 調査機器は 両年ともにアレック電子社製 Compact EM( 電磁式 ) を使用し 表層 中層 底層の各観測層の内臓メモリに毎 10 分間隔で記録 保存された測定データを利用した 1 各層別の平均流速の比較 2008 年および 2012 年の解析期間における各層別のスカラー平均流速およびベクトル平均流速を算出し表 に示した また 両平均流速より流れの方向が安定しているかどうかを判定する 1 つの指標である安定度を算出した 安定度は ( ベクトル平均流速 / スカラー平均流速 ) 100 ( % ) で定義される (JODC: 年 12 月現在 ) 表層では 2012 年が 59% 2008 年が 46% 中層では 2012 年が 63% 2008 年が 43% 底層では 2012 年が 17% 2008 年が 33% の安定度となり 両年ともに表層および中層では 50% 近くの安定度となったが 底層では安定度が低くなる傾向となった 表 各層別の平均流速の比較 2008 年 2012 年 cm/s スカラー平均流速 ベクトル平均流速 北方成分平均流速 東方成分平均流速 スカラー平均流速 ベクトル平均流速 北方成分平均流速 東方成分平均流速 表層 中層 底層 各層別の流向頻度の比較 2008 年および 2012 年の解析期間における各層別のスパイダーグラフ ( 頻度図 ) を図 に示した 2008 年および 2012 年の流向頻度は S から WSW が卓越していることが分かった また 各層毎の最多流向の順に 1 位から 3 位の頻度およびそのベクトル平均流速を表 に示した 表層においては 2008 年と 2012 年ともに概ね同じ流向頻度を示し 2012 年の流速が約 30% 小さい傾向を示した 中層においては 両年ともに流速は同等の速さとなり 流向も概ね一致する傾向を示した 底層においては 2012 年は南向きの頻度が若干他の流向より多くなったものの 全方向で同等の流向頻度を示したのに対し 2008 年は南向きの流れが卓 47

53 越する傾向となった 表層 中層と比較して相対的に流速は遅い 両年ともに全層を通じて S から WSW の流向頻度が高いことが確認できた 2008 年 2012 年 NW NNW N 20% NNE NE NW NNW N 20% NNE NE WN 10 ENE WNW 10 ENE W Calm 0.0% E W Calm 0.0% E WSW ESE WSW ESE SW SE SW SE SSW S SSE SSW S SSE 表層中層底層 図 年および 2012 年の流向頻度分布 単位 cm/s 表層中層底層 表 年および 2012 年の各層毎の頻度順位別の平均流速 2008 年 2012 年 ベク最多トル順位頻度流向平均流速 東方北方最多平均平均順位頻度流向流速流速 ベク東方北方トル平均平均平均流速流速流速 1 SSW 12.6% SW 14.5% S 11.3% SSW 13.3% WSW 10.7% S 13.2% SSW 14.9% SW 19.0% SW 13.3% WSW 15.2% S 9.6% SSW 14.2% SSW 13.8% SE 9.6% S 12.7% SSW 9.2% SSE 9.4% SW 8.2%

54 3 各層別の進行ベクトルの比較 2008 年および 2012 年の解析期間における各層別の進行ベクトルを比較する形で図 に示した 調査地点での流速ベクトルを繋げていったものである なお 両年の調査期間 (2012 年 :34 日 2008 年 :42 日 ) が異なるため 2008 年の図中に 2012 年と同じ 34 日目を矢印で示した ここでは 仮に中性浮力の物質がこの流れに乗って輸送されることを想定して考察した 表層では 2008 年と比較すると 2012 年は 西向きの流れが強い傾向を示しているが概ね同方向であり 輸送距離は短くなった この輸送距離の差は 前述したとおり 2008 年に比べ 2012 年の流速が遅いためである 中層では 2008 年と比較すると 2012 年は 表層同様に若干西向きの流れが強い傾向であったが 概ね同じ方向 同じ輸送距離となった 底層は 両年ともに表層および中層と比較すると異なる傾向を示した また 2012 年は 2008 年よりも最多流向の頻度が 10% を超える流向がないため調査地点付近を漂う傾向となり 輸送距離も短くなった 2008 年 2012 年 東西成分 (km) 東西成分 (km) 南北成分 (km) 南北成分 (km) 表層中層底層 2008 年の図中の 印は始点から 34 日目を示す 図 年および 2012 年の進行ベクトル図 49

55 4 各層別の調和解析結果の比較 2008 年および 2012 年の解析期間の主要 4 分潮について調和解析を行い 各層の調和定数および恒流成分 ( 平均流 ) を表 表 および表 に示し 潮流楕円を図 に示した 表層は 2008 年および 2012 年ともに 12 時間周期 (M2) が 中層および底層は 24 時間周期 (K1 O1) が卓越する傾向が一致した 恒流成分は 水深が深くなるほど流速が小さくなる傾向を示し 流向については 2012 年および 2008 年ともに全層で南西向きとなり一致した 表 年および 2012 年の表層の調和解析結果 分潮恒流成分 M2 S2 O1 K1 分速 振幅 (cm/s) 2008 年 2012 年 初期位相 (deg) 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) 北方 東方 北方 東方 北方 東方 北方 東方 北方 東方 表 年および 2012 年の中層の調和解析結果 分潮恒流成分 M2 S2 O1 K1 分速 振幅 (cm/s) 2008 年 2012 年 初期位相 (deg) 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) 北方 東方 北方 東方 北方 東方 北方 東方 北方 東方

56 表 年および 2012 年の底層の調和解析結果 分潮恒流成分 M2 S2 O1 K1 分速 振幅 (cm/s) 2008 年 2012 年 初期位相 (deg) 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) 北方 東方 北方 東方 北方 東方 北方 東方 北方 東方

57 年 2012 年 表層 中層 底層 :M2 :S2 :K1 :O1 : 恒流 :M2 始点 :S2 始点 :K1 始点 :O1 始点 図 年および 2012 年の各層別の潮流楕円 ( 両軸の単位は cm/s) 52

58 5.1.3 水質調査 2012 年の水質調査の結果概要を表 に示した 表 年の水質調査の結果概要 項 目 水深 0m 75m 底上 10m 平均値平均値平均値 定量下限値 水温 ( ) 塩分 濁度 ( 度 ( ホルマシ ン )) <1 <1 1 1 水素イオン濃度 溶存酸素量 (mg/l) 化学的酸素要求量 (mg/l) 有機体炭素 (mg/l) 浮遊物質量 (mg/l) <1 <1 <1 1 ノルマルヘキサン抽出物質 (mg/l) <0.5 調査せず 調査せず 0.5 硝酸態窒素 (mg/l) < 亜硝酸態窒素 (mg/l) <0.001 <0.001 < アンモニア態窒素 (mg/l) <0.01 <0.01 < リン酸態窒素 (mg/l) クロロフィルa (μg/l) 調査せず 0.01 (1) 水温水温の鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年の調査では 水深 20~40m 付近に水温躍層が認められ 水面付近の水温は 7 月調査で約 18 8 月調査で約 21 であった また 撤去直後の 2010 年 7 月調査では水面付近の水温が約 24 と高い傾向にあるものの 水深 20~40m 付近に水温躍層が認められ 2008 年と同様の鉛直分布を示した 撤去の 2 年後にあたる 2012 年 8 月調査では 水面付近の水温が約 25 と過去の調査時よりも高い傾向にあり 水深 20m 以浅に水温躍層が認められたが 2010 年 7 月調査と類似した鉛直分布を示した なお 撤去直前の 2010 年 4 月調査時は低水温期にあったため 海水が鉛直的に混合され 水温の鉛直的な変化が小さかったと考えられる 53

59 2008 年 7 月水温 ( ) 年 8 月水温 ( ) 年 4 月水温 ( ) 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 水温 ( ) 2012 年 8 月 水温 ( ) 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 水温の鉛直分布 (2) 塩分 ( 実用塩分 ) 塩分の鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査の塩分は 水面付近では約 33.7 であり 水深とともに微増し 底上 10m では約 34.0 に達した また 2008 年 8 月調査時は 水面付近で約 33.5 であり 水深とともに緩やかに増加し 底上 10m では約 34.1 であった 撤去直後の 2010 年 7 月調査では水深 40~90m 付近の値が高く 2008 年とは異なった鉛直分布を示したが 水面付近で約 33.9 底上 10m で約 34.1 と 2008 年と比べて値の範囲に大きな差異はなかった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 水面付近での変動が大きいものの 過年度の調査時と比べて値の範囲に大きな差異はなく 水深とともに緩やかに増加する傾向にあった なお 撤去直前の 2010 年 4 月調査時は低水温期にあったため 海水が鉛直的に混合され 水温と同様に鉛直的な変化が小さかったと考えられる 54

60 2008 年 7 月 塩分 年 8 月 塩分 年 4 月 塩分 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 塩分 年 8 月 塩分 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 塩分 ( 実用塩分 ) の鉛直分布 (3) σt σt の鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査の σt は 水面付近では約 24.3 底上 10m では約 26.3 であり 水深 40m 付近に密度躍層が認められた また 2008 年 8 月調査時は 水面付近で約 23.3 底上 10m では約 26.3 であり 水深とともに上昇した 撤去直後の 2010 年 7 月調査では水面付近で約 22.8 と低い傾向にあるものの 水深 10~40m 付近に密度躍層が認められ 2008 年調査と同様な鉛直分布を示した 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 水面付近の値が約 22.2 と過去の調査時よりも低い傾向にあり 水深 20m 以浅に躍層が認められたが 2010 年 7 月調査と同様の鉛直分布を示した なお 撤去直前の 2010 年 4 月調査時は低水温期であったため 海水が鉛直的に混合され 水温や塩分と同様に鉛直的な変化が小さかったと考えられる 55

61 2008 年 7 月 σt 年 8 月 σt 年 4 月 σt 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 σt 年 8 月 σt 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 σt の鉛直分布 (4) 水素イオン濃度 (ph) 水素イオン濃度の鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査の ph は いずれの測点でも水深 0m で 8.2 底上 10m で 8.0 であり 水深とともに低下する傾向にあった 2008 年 8 月調査では いずれの測点でも水深 0m で 8.2 底上 10m で 7.9 であり 水深とともに低下する傾向にあった また 2010 年の調査では 撤去直前の 4 月はいずれの測点でも水深 0m で 8.1 底上 10m で 8.0 撤去直後の 7 月はいずれの測点でも水深 0m で 8.2 底上 10m で 8.0 であり 水深とともに低下する傾向にあった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では いずれの測点でも水深 0m で 8.2 底上 10m で 8.0 であり 水深とともに低下する傾向にあった 2008 年からの 5 回の調査をとおして ph の鉛直分布の差異は小さかった 56

62 2008 年 7 月 ph 年 8 月 ph 年 4 月 ph 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 ph 2012 年 8 月 ph 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 水素イオン濃度 (ph) の鉛直分布 (5) 溶存酸素量 (DO) 溶存酸素量の鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査の DO は 水深 0m では 8.9~9.1mg/L( 飽和度は 115~ 118%) 底上 10m では 8.1~8.2mg/L の範囲にあり 水深 10m 付近から水深とともに低下する傾向にあった また 2008 年 8 月調査の DO は いずれの測点でも水深 0m では 7.5mg/L ( 飽和度は 103%) 底上 10m では 7.4mg/L であり 水深 20m 付近から水深とともに低下する傾向にあった 撤去直後の 2010 年 7 月調査では 水深 0m は 7.5~8.6 mg/l( 飽和度は 108~124%) 底上 10m は 6.9~7.3mg/L の範囲にあり 水深とともに低下する傾向にあった 2010 年 7 月の DO の鉛直分布は 2008 年 7 月 8 月のものに類似していた 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 水深 0m で 6.2~6.3mg/L( 飽和度は 92~93%) と過年度の表層 DO と比べて低い値がみられた 表層の水温が高かったことも低 DO の一因と考えられる なお 撤去直前の 2010 年 4 月調査の DO は全層を通じて他の調査時よりも高い値を示した 4 月調査時が低水温期であったため DO が増加したものと考えられる 57

63 2008 年 7 月 DO (mg/l) 年 8 月 DO (mg/l) 年 4 月 DO (mg/l) 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 DO (mg/l) 2012 年 8 月 DO (mg/l) 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 溶存酸素量 (DO) の鉛直分布 (6) 化学的酸素要求量 (COD) 化学的酸素要求量の鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査の COD は 水深 0m では 0.9~1.5mg/L 底上 10m では 0.6~0.9mg/L の範囲にあり 水深とともに低下する傾向にあった 2008 年 8 月調査の COD は 水深 0m では 1.1~1.9mg/L 底上 10m では 0.6~1.4mg/L の範囲にあり 水深とともに低下する傾向にあった 撤去直前の 2010 年 4 月調査の COD は 水深 0m では 1.3~ 1.4mg/L 底上 10m では 0.8~1.2mg/L の範囲にあり 水深とともに低下する傾向にあった 撤去直後の 2010 年 7 月調査の COD は 水深 0m では 1.2~1.7mg/L 底上 10m では 0.6 ~0.8mg/L の範囲にあり 水深とともに低下する傾向にあった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 水深 0m では 1.6~1.9mg/L 底上 10m では 1.1mg/L であり 水深とともに低下する傾向にあった 2008 年からの 5 回の調査をとおして COD の鉛直分布に大きな差異は認められなかった 58

64 2008 年 7 月 COD (mg/l) 年 8 月 COD (mg/l) 年 4 月 COD (mg/l) 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 COD (mg/l) 2012 年 8 月 COD (mg/l) 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 化学的酸素要求量 (COD) の鉛直分布 (7) 有機体炭素 (TOC) 有機体炭素の鉛直分布を図 に示した なお 有機体炭素は 2010 年調査から測定を開始した項目である 撤去直前の 2010 年 4 月調査の TOC は 水深 0m では 1.61~1.83mg/L 底上 10m では 1.28~1.47mg/L の範囲にあり 水深とともに低下する傾向にあった また 撤去直後の 2010 年 7 月調査の TOC は 水深 0m では 2.01~2.29mg/L 底上 10m では 1.44~1.64mg/L の範囲にあり 水深とともに低下する傾向にあった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 水深 0m では 1.57~1.61mg/L 底上 10m では 1.34~1.38mg/L の範囲にあり 水深とともに低下する傾向にあった 2010 年からの 3 回の調査をとおして TOC の鉛直分布に大きな差異は認められなかった 59

65 2010 年 4 月 TOC (mg/l) 年 7 月 TOC (mg/l) 年 8 月 TOC (mg/l) 水深 (m) N1 NE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 有機体炭素 (TOC) の鉛直分布 (8) 浮遊物質量 (SS) 浮遊物質量の鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査の SS は 全測点 全層を通じて <1~4mg/L の範囲にあり 水深に伴う増減傾向はみられなかった また 2008 年 8 月調査の SS は 全測点 全層を通じて <1~6mg/L の範囲にあり 水深に伴う増減傾向はみられなかった 撤去直前の 2010 年 4 月調査の SS は 全測点 全層を通じて <1mg/L であり 撤去直後の 2010 年 7 月調査の SS は 全測点 全層を通じて <1~2mg/L の範囲あった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 撤去直前の 2010 年 4 月調査時と同様に全測点 全層を通じて <1mg/L であった 60

66 2008 年 7 月 SS (mg/l) 年 8 月 SS (mg/l) 年 4 月 SS (mg/l) 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 SS (mg/l) 2012 年 8 月 SS (mg/l) 水深 (m) N1 NE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 浮遊物質量 (SS) の鉛直分布 (9) 濁度濁度の鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査の濁度は 全測点 全層を通じて <1 度 ( ホルマシ ン ) であり 2008 年 8 月調査の濁度は 全測点 全層を通じて <1~2 度 ( ホルマシ ン ) の範囲にあった 撤去直前の 2010 年 4 月調査の濁度は 全測点 全層を通じて <1 度 ( ホルマシ ン ) であり 撤去直後の 2010 年 7 月調査の濁度は 全測点 全層を通じて <1~2 度 ( ホルマシ ン ) の範囲にあった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 全測点 全層を通じて <1~2 度 ( ホルマシ ン ) の範囲にあった 2008 年からの 5 回の調査をとおして 2008 年 7 月調査時 2010 年 4 月調査時および 2012 年 8 月調査時の濁度が低かった (10) n- ヘキサン抽出物質量 2008 年からの 5 回の調査をとおして n- ヘキサン抽出物質量は全測点で定量下限値未満 (<0.5mg/L) であった 61

67 2008 年 7 月濁度 ( 度 ( ホルマシ ン )) 年 8 月濁度 ( 度 ( ホルマシ ン )) 年 4 月濁度 ( 度 ( ホルマシ ン )) 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 濁度 ( 度 ( ホルマシ ン )) 2012 年 8 月 濁度 ( 度 ( ホルマシ ン )) 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 濁度の鉛直分布 (11) 硝酸態窒素 (NO3-N) 硝酸態窒素の鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査のNO3-Nは 水面付近では定量下限値未満 (<0.01mg/L) であり 水深 40m 付近から水深とともに上昇し 底上 10mでは 0.12~0.16mg/Lの範囲にあった また 2008 年 8 月調査のNO3-Nは 水面付近では <0.01~0.02mg/Lの範囲にあり 水深 40m 付近から水深とともに上昇し 底上 10mでは 0.16~0.17mg/Lの範囲にあった 撤去直後の 2010 年 7 月調査のNO3-Nは 水深 0mでは定量下限値未満 (<0.01mg/L) 底上 10mでは 0.22~0.23mg/Lの範囲にあった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 水深 0mでは <0.01mg/L 底上 10mでは 0.14mg/L であり 水深とともに低下する傾向にあった 2010 年 7 月調査の底上 10m での値が若干高いものの 過年度からの 7 月および 8 月調査時では同様の鉛直分布がみられた なお 2010 年 4 月調査では 水深 0mでのNO3-Nの値が高かった 4 月調査時は低水温期であったため 海水の鉛直的な混合により中 底層のNO3-Nが表層部に達したと考えられる 62

68 2008 年 7 月 NO 3 -N (mg/l) 年 8 月 NO 3 -N (mg/l) 年 4 月 NO 3 -N (mg/l) 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 NO 3 -N (mg/l) 2012 年 8 月 NO 3 -N (mg/l) 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 硝酸態窒素 (NO3-N) の鉛直分布 (12) 亜硝酸態窒素 (NO2-N) 亜硝酸態窒素の鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査のNO2-Nは 全測点 全層を通じて <0.001~0.005mg/L の範囲にあり 水深に伴う増減傾向は認められなかった また 2008 年 8 月調査のNO2-N は 水深 20m 水深 75mおよび底上 10mで 0.1mg/Lを超える高い値がみられた 撤去直前の 2010 年 4 月調査では全測点 全層を通じて <0.001~0.003mg/Lの範囲にあり 撤去直後の 2010 年 7 月調査では全測点 全層を通じて <0.001~0.013mg/Lの範囲にあった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 全測点 全層を通じて <0.001mg/Lであった DOが十分に存在し NO3-NやNH4-Nが低い海域でNO2-Nが 0.1mg/Lを超える値を示すことは特殊な状況であると考えられる 2008 年 8 月調査時にみられた 0.1mg/Lを超える値は 局所的なNO2-N 濃度の高い水の出現によるものと推察される 63

69 2008 年 7 月 NO 2 -N (mg/l) 年 8 月 NO 2 -N (mg/l) 年 4 月 NO 2 -N (mg/l) 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 NO 2 -N (mg/l) 2012 年 8 月 NO 2 -N (mg/l) 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 亜硝酸態窒素 (NO2-N) の鉛直分布 (13) アンモニア態窒素 (NH4-N) 2008 年からの 5 回の調査をとおして NH4-Nは全測点 全層で定量下限値未満 (<0.01mg/L) であった (14) りん酸態りん (PO4-P) りん酸態りんの鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査のPO4-Pは 水面付近では 0.003~0.005mg/L 底上 10m では 0.024~0.028mg/Lの範囲にあり 水深とともに上昇する傾向にあった 2008 年 8 月調査のPO4-Pは 水面付近では 0.003~0.008mg/L 底上 10mでは 0.034~0.036mg/Lの範囲にあり 水深とともに上昇する傾向にあった 撤去直後の 2010 年 7 月調査のPO4-Pは 水深 0mでは 0.008~0.010mg/L 底上 10mでは 0.043~0.055mg/Lの範囲にあり 水深とともに上昇する傾向にあった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 水深 0m では 0.003~0.004mg/L 底上 10m では 0.028mg/L であり 水深とともに上昇する傾向にあった 2010 年 7 月調査の底上 10m での値が若干高いものの 過年度からの 7 月および 8 月調査時では同様の鉛直分布がみられた 64

70 なお 2010 年 4 月調査では 水深 0mでのPO4-Pの値が高かった 4 月調査時は低水温期であったため 海水の鉛直的な混合により中 底層のPO4-Pが表層部に達したと考えられる 本調査海域における栄養塩類の鉛直的な分布状況は 過去の調査結果を含めて NH4-N が全層を通じて定量下限値未満 (<0.01mg/L) であり NO3-NとPO4-Pは水深とともに増加する傾向にあった これらのことから 本調査海域が外洋的な性格を有する海域であることが示唆された 2008 年 7 月 PO 4 -P (mg/l) 年 8 月 PO 4 -P (mg/l) 年 4 月 PO 4 -P (mg/l) 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 PO 4 -P (mg/l) 年 8 月 PO 4 -P (mg/l) 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 りん酸態りん (PO4-P) の鉛直分布 (15) クロロフィルa(Chl.a) クロロフィルaの鉛直分布を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査の Chl.a は 水深 0m では 0.32~0.42μg/L 水深 75m では 0.38~0.46μg/L の範囲にあった 2008 年 8 月調査の Chl.a は 水深 0m では 0.38~ 0.46μg/L の範囲にあり 水深 75m では 0.09~0.11μg/L の範囲にあった 撤去直後の 2010 年 7 月調査の Chl.a は 水深 0m では 0.11~0.15μg/L 水深 75m では 0.06~0.20μg/L の範囲にあった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 水深 0m では 0.11~0.13μg/L 水深 75m では 0.06μg/L であった 2012 年 8 月調査と 2010 年 7 月調査の Chl.a 濃度は 2008 年調査時の 65

71 ものと比べて水深 0m での値が若干低いものの 大きな差異はなかった なお 2010 年 4 月調査では 各層の Chl.a 濃度が他の調査時よりも高かった 4 月調査時が海水の鉛直的な 混合に伴う植物プランクトンの春季増殖期であったためと考えられる 2008 年 7 月 Chl.a (μg/l) 年 8 月 Chl.a (μg/l) 年 4 月 Chl.a (μg/l) 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 E1 S1 W1 水深 (m) N1 NE1 S1 SW 年 7 月 Chl.a (μg/l) 2012 年 8 月 Chl.a (μg/l) 水深 (m) N1 SE1 S1 SW1 水深 (m) N1 SW 図 クロロフィル a(chl.a) の鉛直分布 66

72 5.1.4 底質調査 物性 含有量試験 2012 年調査の物性 含有量試験の結果概要 ( 粒度組成を除く ) を表 に示した 2012 年調査の物性 含有量試験では シアン化合物 六価クロム アルキル水銀およびポリ塩化ビフェニルが全測点を通じて定量下限値未満であった 表 年調査の物性 含有量試験の結果概要 項目 定量下限値 測定値最小値最大値平均値標準偏差 密度 (g/cm 3 ) 過マンカ ン酸カリウムによる酸素消費量 (mg/g) 有機体炭素 (mg/g) 硫化物 (mg/g) 0.01 < 乾燥減量 (%) 強熱減量 (%) n-ヘキサン抽出物質 (mg/kg) 50 < カドミウム (mg/kg) 0.05 < シアン化合物 (mg/kg) 0.5 <0.5 <0.5 <0.5 - 鉛 (mg/kg) 六価クロム (mg/kg) 1.0 <1.0 <1.0 <1.0 - ひ素 (mg/kg) 総水銀 (mg/kg) 0.01 < アルキル水銀 (mg/kg) 0.01 <0.01 <0.01 < ポリ塩化ビフェニル (mg/kg) 0.01 <0.01 <0.01 < 銅 (mg/kg) 亜鉛 (mg/kg) ふっ素化合物 (mg/kg) セシウム134 (Bq/kg) 11~ セシウム137 (Bq/kg) 12~ 注 ) セシウム 134 とセシウム 137 の値は 乾泥あたりの放射能濃度で示した (1) 粒度組成 2012 年調査の底泥の粒度組成の概要を表 に 2012 年調査の各測点における底泥粒子の中央粒径値を図 に示した また 海洋掘採施設からの距離および方位別の底泥粒子の中央粒径値を図 に示した 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 過年度の調査結果と同様に 底泥は中礫以下 (19mm 以下 ) の粒子で構成され 砂分が約 68% 細粒分が約 30% 礫分が約 2% を占めていた また 最も卓越した砂分では 細砂の比率が高かった 2012 年 8 月調査での底泥粒子の中央粒径値は 0.11~0.26mm( 平均値 :0.15mm) の範囲にあり 過年度調査の結果と同様に 海洋掘採施設からの距離に伴う明確な変化はみられなかったが N E 方向と比べて S W 方向の粒径が若干小さい傾向にあった 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥がほぼ同様の粒度組成を有して 67

73 いることが示唆された 表 年調査の粒度組成の概要 礫分 砂分 細粒分 粒径区分 最小値 (%) 最大値 (%) 平均値 (%) 標準偏差 (%) 中礫 (4.75~19mm) 細礫 (2~4.75mm) 粗砂 (0.85~2mm) 中砂 (0.25~0.85mm) 細砂 (0.075~0.25mm) シルト (0.005~0.075mm) 粘土 (<0.005mm) 中央粒径値 (mm) N 0.13 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 0.14 N1 NE m 0.14 SW1 SE SW3 S S 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 中央粒径値 (mm) 図 年調査の各測点における底泥粒子の中央粒径値 N E 方向 0.25 S W 方向 年 2010 年 2012 年 中央粒径値 (mm) 中央粒径値 (mm) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の底泥粒子の中央粒径値 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 68

74 (2) 密度 2012 年調査の各測点における底泥粒子の密度を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の底泥粒子の密度を図 に示した 底泥粒子の密度は 撤去 2 年前の 2008 年調査では 2.50~2.60g/cm( 3 平均値 :2.55g/cm 3 ) 撤去直後の 2010 年調査では 2.58~2.66g/cm 3 ( 平均値 :2.62g/cm 3 ) の範囲にあった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 2.59~2.68g/cm 3 ( 平均値 :2.64g/cm 3 ) の範囲にあった 2012 年調査の結果は過年度調査のものよりも若干高い傾向にあるが 2008 年からの 3 回の調査を通じて海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられず 測点間の差も小さかった 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥がほぼ均一な密度を有していることが示唆された N 2.62 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 2.64 N1 NE m 2.65 SW1 SE SW3 S S 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 密度 (g/cm 3 ) 図 年調査の各測点における底泥粒子の密度 N E 方向 3 S W 方向 年 2010 年 2012 年 密度 (g/cm3) 密度 (g/cm3) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の底泥粒子の密度 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 69

75 (3) 過マンガン酸カリウムによる酸素消費量 (CODsed) 2012 年調査の各測点における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の過マンガン酸カリウムによる酸素消費量を図 に示した 底泥の CODsed は 撤去 2 年前の 2008 年調査では 2.1~3.4mg/g( 平均値 :2.8mg/g) 撤去直後の 2010 年調査では 3.9~5.8mg/g( 平均値 :4.8mg/g) の範囲にあった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 4.6~6.4mg/g( 平均値 :5.5mg/g) の範囲にあった 2012 年調査の結果は過年度調査のものよりも全体的に高い傾向にあるが 2010 年調査との差は小さく 2010 年調査時と同様に海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった N 5.1 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 5.6 N1 NE m 6.4 SW1 SE SW3 S1 5.2 S3 4.6 海洋掘採施設 ( 残置部 ) CODsed (mg/g) 図 年調査の各測点における過マンカ ン酸カリウムによる酸素消費量 (CODsed) N E 方向 6 S W 方向 年 2010 年 2012 年 CODsed (mg/g) CODsed (mg/g) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の過マンガン酸カリウムによる酸素消費量 (CODsed) 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 70

76 (4) 有機体炭素 (TOC) 2012 年調査の各測点における有機体炭素量を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の有機体炭素量を図 に示した なお 有機体炭素は 2010 年調査から測定を開始した項目である 底泥の有機体炭素量は 撤去直後の 2010 年調査では 3.57~4.80mg/g( 平均値 :4.19mg/g) の範囲にあり 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 3.66~5.82mg/g( 平均値 :4.70mg/g) の範囲にあった 2010 年調査時よりも 2012 年調査時の方が高い傾向にあったが 両年ともに海洋掘採施設から離れるほど わずかではあるが高くなる傾向にあった N 5.36 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 4.41 N1 NE m 3.66 SW1 SE SW3 S S 海洋掘採施設 ( 残置部 ) TOC (mg/g) 図 年調査の各測点における有機体炭素量 (TOC) N E 方向 6 5 S W 方向 年 2012 年 TOC (mg/g) TOC (mg/g) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の有機体炭素量 (TOC) 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 71

77 (5) 硫化物 2012 年調査の各測点における硫化物量を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の硫化物量を図 に示した 底泥の硫化物量は 撤去 2 年前の 2008 年調査では全ての測点で定量下限値未満 (<0.01mg/g) であったが 撤去直後の 2010 年調査では <0.01~0.09mg/g の範囲にあり S W 方向では海洋掘採施設に近づくほど高くなる傾向にあった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では <0.01~0.01mg/g の範囲にあり 測点間の差異は小さく 撤去 2 年前の 2008 年調査時と同様に海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった N <0.01 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m <0.01 N1 NE m <0.01 SW1 SE1 < SW3 S1 <0.01 S 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 硫化物 (mg/g) 図 年調査の各測点における硫化物量 N E 方向 0.1 S W 方向 年 2010 年 2012 年 硫化物 (mg/g) 硫化物 (mg/g) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の硫化物量注 1)SE1 は N E 方向の測点とした 注 2) 定量下限値未満の場合は 0.01mg/g として地点別の値を求めた 72

78 (6) 乾燥減量 2012 年調査の各測点における乾燥減量を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の乾燥減量を図 に示した 底泥の乾燥減量は 撤去 2 年前の 2008 年調査では 28.8~38.3%( 平均値 :33.0%) 撤去直後の 2010 年調査では 28.5~35.8%( 平均値 :32.2%) の範囲にあった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 29.0~36.6%( 平均値 :33.0%) の範囲にあり 2008 年からの 3 回の調査を通じて海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 底泥の間隙容積 ( 水分量 ) に大きな変化のないことが示唆された N 33.7 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 33.1 N1 NE m 34.4 SW1 SE SW3 S S 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 乾燥減量 (%) 図 年調査の各測点における乾燥減量 N E 方向 40 S W 方向 年 2010 年 2012 年 乾燥減量 (%) 乾燥減量 (%) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の乾燥減量 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 73

79 (7) 強熱減量 (IL) 2012 年調査の各測点における強熱減量を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の強熱減量を図 に示した 底泥の IL は 撤去 2 年前の 2008 年調査では 2.5~3.7%( 平均値 :3.0%) 撤去直後の 2010 年調査では 2.3~3.3%( 平均値 :2.8%) の範囲にあった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 2.5~3.4%( 平均値 :3.0%) の範囲にあり 2008 年からの 3 回の調査を通じて 測点間の差は大きいものの 海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった N 3.2 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 3.1 N1 NE m 3.1 SW1 SE SW3 S1 3.1 S3 2.7 海洋掘採施設 ( 残置部 ) IL (%) 図 年調査の各測点における強熱減量 (IL) N E 方向 4 S W 方向 年 2010 年 2012 年 3 3 IL (%) 2 IL (%) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の強熱減量 (IL) 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 74

80 (8) n-ヘキサン抽出物質 2012 年調査の各測点における n-ヘキサン抽出物質量を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の n-ヘキサン抽出物質量を図 に示した 底泥の n-ヘキサン抽出物質量は 撤去 2 年前の 2008 年調査では 50~150mg/kg( 平均値 : 108mg/kg) 撤去直後の 2010 年調査では <50~60mg/kg の範囲にあり 2010 年調査の結果は 2008 年調査のものよりも全体的に低かった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では <50~60mg/kg の範囲にあり 測点間の差異は小さく 撤去直後の 2010 年調査時と同様に海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった n-ヘキサン抽出物質量は油分の指標であり 底泥の n-ヘキサン抽出物質に関しては水産用水基準 (2005 年社団法人日本水産資源保護協会 ) にのみ基準値が定められている この中で n-ヘキサン抽出物質量は 0.1% 以下 (1000mg/kg 以下 ) と定められている 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の n-ヘキサン抽出物質量は水産用水基準よりも低い値であった N 60 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m <50 N1 NE3 <50 200m <50 SW1 SE1 <50 <50 SW3 S1 <50 S3 50 海洋掘採施設 ( 残置部 ) n-ヘキサン抽出物質 (mg/kg) 図 年調査の各測点における n- ヘキサン抽出物質量 75

81 N E 方向 n- ヘキサン抽出物質 (mg/kg) m 500m 1000m S W 方向 n- ヘキサン抽出物質 (mg/kg) 年 2010 年 2012 年 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の n- ヘキサン抽出物質量 注 1)SE1 は N E 方向の測点とした 注 2) 定量下限値未満の場合は 50mg/kg として地点別の値を求めた (9) カドミウム 2012 年調査の各測点におけるカドミウム濃度を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別のカドミウム濃度を図 に示した 底泥のカドミウム濃度は 撤去 2 年前の 2008 年調査では 0.26~0.46mg/kg( 平均値 : 0.34mg/kg) 撤去直後の 2010 年調査では <0.05~0.10mg/kg の範囲にあった 2010 年調査では 2008 年調査時よりも全体的に低い値を示した 撤去から 2 年後の 2012 年調査では <0.05~0.10mg/kg の範囲にあり 測点間の差異は小さく 撤去直後の 2010 年調査時と同様に海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった カドミウムに関する公的な基準値としては 土壌汚染対策法 * で カドミウムおよびその化合物は 150mg/kg 以下 と定められている 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥中のカドミウム濃度は土壌汚染対策法に記される基準値と比べてかなり低い値であった * : 土壌汚染対策法は 陸域の土壌を対象とした法律である 土壌汚染対策法の目的は土壌汚染による 人の健康被害の防止であり 陸域での利用のための海底浚渫土もこの法律の対象範囲となる この ため 本節では参考として 各項目の測定値と土壌汚染対策法に記される基準値との比較を行った 76

82 N 0.05 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 0.05 N1 NE3 < m 0.08 SW1 SE <0.05 SW3 S S3 <005 海洋掘採施設 ( 残置部 ) カドミウム (mg/kg) 図 年調査の各測点におけるカドミウム濃度 N E 方向 0.5 S W 方向 年 2010 年 2012 年 カドミウム (mg/kg) カドミウム (mg/kg) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別のカドミウム濃度 注 1)SE1 は N E 方向の測点とした 注 2) 定量下限値未満の場合は 0.05mg/kg として地点別の値を求めた (10) 鉛 2012 年調査の各測点における鉛濃度を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の鉛濃度を図 に示した 底泥の鉛濃度は 撤去 2 年前の 2008 年調査では 7.9~12mg/kg( 平均値 :9.1mg/kg) 撤去直後の 2010 年調査では 2.1~24mg/kg( 平均値 :6.3mg/kg) の範囲にあった 2010 年調査は 2008 年調査時よりも全体的に低い傾向にあった 撤去から2 年後の 2012 年調査では 5.5~9.3mg/kg( 平均値 :7.1mg/kg) の範囲にあり 2010 年調査時と同様に S W 方向の 200m 地点で高い値が認められたが 海洋掘採施設からの距離および方位に伴う差異は小さかった 77

83 鉛に関する公的な基準値としては 土壌汚染対策法で 鉛およびその化合物は 150mg/kg 以下 と定められている 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥中の鉛濃度は土壌汚染対策法に記される基準値と比べてかなり低い値であった N 6.8 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 6.1 N1 NE m 9.1 SW1 SE SW3 S1 9.3 S3 7.1 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 鉛 (mg/kg) 図 年調査の各測点における鉛濃度 N E 方向 S W 方向 年 2010 年 2012 年 鉛 (mg/kg) 9 6 鉛 (mg/kg) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の鉛濃度 注 )SE1 は N E 方向の測点とした (11) ひ素 2012 年調査の各測点におけるひ素濃度を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別のひ素濃度を図 に示した 底泥のひ素濃度は 撤去 2 年前の 2008 年調査では全ての測点で定量下限値未満 (<0.5mg/kg) であったが 撤去直後の 2010 年調査では 1.2~3.8mg/kg( 平均値 :2.2mg/kg) の範囲にあり N E 方向よりも S W 方向の方が高い値を示した 78

84 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 1.5~2.7mg/kg( 平均値 :2.2mg/kg) の範囲にあり N E 方向では 2010 年調査時よりも高く S W 方向では 2010 年調査時よりも低い傾向にあったが 海洋掘採施設からの距離および方位に伴う差異は小さかった ひ素に関する公的な基準値としては 土壌汚染対策法で ひ素およびその化合物は 150mg/kg 以下 と定められている 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥中のひ素濃度は土壌汚染対策法に記される基準値と比べてかなり低い値であった N 2.1 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 2.4 N1 NE m 2.7 SW1 SE SW3 S1 1.5 S3 2.5 海洋掘採施設 ( 残置部 ) ひ素 (mg/kg) 図 年調査の各測点におけるひ素鉛濃度 N E 方向 ひ素 (mg/kg) S W 方向 ひ素 (mg/kg) 年 2010 年 2012 年 0 200m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 注 1)SE1 は N E 方向の測点とした 図 海洋掘採施設からの距離 方位別のひ素濃度 注 2) 定量下限値未満の場合は 0.5mg/kg として地点別の値を求めた 79

85 (12) 総水銀 2012 年調査の各測点における総水銀濃度を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の総水銀濃度を図 に示した 底泥の総水銀濃度は 撤去 2 年前の 2008 年調査では全ての測点で定量下限値未満 (<0.01mg/kg) であったが 撤去直後の2010 年調査では <0.01~0.02mg/kg の範囲にあった 撤去から2 年後の 2012 年調査では <0.01~0.03mg/kg の範囲にあり 2008 年からの 3 回の調査を通じて海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった 総水銀に関する公的な基準値としては 土壌汚染対策法で 水銀およびその化合物は 15mg/kg 以下 と定められている 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥中の総水銀濃度は土壌汚染対策法に記される基準値と比べてかなり低い値であった N <0.01 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m <0.01 N1 NE3 < m 0.02 SW1 SE1 <0.01 <0.01 SW3 S S 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 総水銀 (mg/kg) 図 年調査の各測点における総水銀鉛濃度 N E 方向 0.1 S W 方向 年 2010 年 2012 年 総水銀 (mg/kg) 総水銀 (mg/kg) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の総水銀濃度注 1)SE1 は N E 方向の測点とした 注 2) 定量下限値未満の場合は 0.01mg/kg として地点別の値を求めた 80

86 (13) 銅 2012 年調査の各測点における銅濃度を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の銅濃度を図 に示した 底泥の銅濃度は 撤去 2 年前の 2008 年調査では 1.7~8.7mg/kg( 平均値 :3.0mg/kg) 撤去直後の 2010 年調査では 2.6~9.9mg/kg( 平均値 :4.4mg/kg) の範囲にあった 2010 年調査の結果は 2008 年調査時よりも全体的に高い値を示し 両年とも S W 方向では海洋掘採施設に近づくほど高くなる傾向にあった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 5.1~10mg/kg( 平均値 :6.7mg/kg) の範囲にあった N E 方向および S W 方向の 1000m 地点では過年度調査時よりも高い値が認められたが いずれの方位においても海洋掘採施設からの距離に伴う差異は小さかった 銅に関する公的な基準値としては 唯一 土壌の汚染に係る環境基準で農用地を対象として 125mg/kg 以下と定められている 農業用地を対象とした基準値との比較ではあるが 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥中の銅濃度は土壌の汚染に係る環境基準値と比べてかなり低い値であった N 6.3 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 5.4 N1 NE m 10 SW1 SE SW3 S1 6.7 S3 7.8 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 銅 (mg/kg) 図 年調査の各測点における銅濃度 81

87 N E 方向 10 8 S W 方向 年 2010 年 2012 年 銅 (mg/kg) 6 4 銅 (mg/kg) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の銅濃度 注 )SE1 は N E 方向の測点とした (14) 亜鉛 2012 年調査の各測点における亜鉛濃度を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の亜鉛濃度を図 に示した 底泥の亜鉛濃度は 撤去 2 年前の 2008 年調査では 58~86mg/kg( 平均値 :64mg/kg) 撤去直後の 2010 年調査では 33~130mg/kg( 平均値 :51mg/kg) の範囲にあった 2010 年調査では 海洋掘採施設近傍の SW1 で 130mg/kg S1 で 84mg/kg という高い値がみられたが 全体的には 2008 年調査時よりも低い傾向にあった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 35~60mg/kg( 平均値 :48mg/kg) の範囲にあり 2008 年調査時と同様に海洋掘採施設からの距離および方位に伴う差異は小さかった N 43 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 41 N1 NE m 60 SW1 SE SW3 S1 60 S3 45 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 亜鉛 (mg/kg) 図 年調査の各測点における亜鉛濃度 82

88 底泥や土壌における亜鉛の公的な基準値は存在しないが 亜鉛のクラーク数 ( 地殻の平均化学組成 ) が 0.004%(40mg/kg) であることから 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域における底泥の亜鉛濃度は地殻の平均的な含有量よりも若干高い傾向にあると考えられた N E 方向 120 S W 方向 年 2010 年 2012 年 亜鉛 (mg/kg) 亜鉛 (mg/kg) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の亜鉛濃度 注 )SE1 は N E 方向の測点とした (15) ふっ素化合物 2012 年調査の各測点におけるふっ素化合物濃度を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別のふっ素化合物濃度を図 に示した 底泥のふっ素化合物濃度は 撤去 2 年前の 2008 年調査では 91~110mg/kg( 平均値 : 105mg/kg) 撤去直後の 2010 年調査では 36~75mg/kg( 平均値 :63mg/kg) の範囲にあった 2010 年調査の結果は 2008 年調査のものよりも全体的に低く 両年とも海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 52~86mg/kg( 平均値 :69mg/kg) の範囲にあり 2010 年調査時と同様に 2008 年調査よりも低く 海洋掘採施設からの距離および方位に伴う差異は小さかった ふっ素化合物に関する公的な基準値としては 土壌汚染対策法で ふっ素およびその化合物は 4000mg/kg 以下 と定められている 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥中のふっ素化合物濃度は土壌汚染対策法に記される基準値と比べてかなり低い値であった 83

89 N 52 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 86 N1 NE m 66 SW1 SE SW3 S1 73 S3 65 海洋掘採施設 ( 残置部 ) ふっ素化合物 (mg/kg) 図 年調査の各測点におけるふっ素化合物濃度 N E 方向 120 S W 方向 年 2010 年 2012 年 ふっ素化合物 (mg/kg) ふっ素化合物 (mg/kg) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別のふっ素化合物濃度 注 )SE1 は N E 方向の測点とした (16) 放射性セシウム各測点における放射性セシウム (Cs134 Cs137) の放射能濃度を図 に示した なお 放射性セシウムは 2012 年調査から測定を開始した項目である Cs134 は 12~39Bq/kg 乾重 ( 平均値 :24Bq/kg 乾重 ) Cs137 は 23~68Bq/kg 乾重 ( 平均値 :46Bq/kg 乾重 ) の範囲にあり いずれの核種とも SW3 で高く N3 で低かった 84

90 N N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m NE SW3 29 Cs134 S3 60 Cs137 海洋掘採施設 ( 残置部 ) (Bq/kg 乾重 ) 図 各測点における放射性セシウムの放射能濃度 溶出試験 表 に 2012 年調査の溶出試験の結果概要を示した 2012 年調査の溶出試験では 亜鉛又はその化合物 と ふっ化物 以外は全ての測点を通じて定量下限値未満であった 表 年調査の溶出試験の結果概要 項目 定量下限値 測定値最小値最大値平均値標準偏差 カト ミウム又はその化合物 (mg/l) <0.005 <0.005 < シアン化合物 (mg/l) 0.1 <0.1 <0.1 <0.1 - 有機りん化合物 (mg/l) 0.1 <0.1 <0.1 <0.1 - 鉛又はその化合物 (mg/l) 0.05 <0.05 <0.05 < 六価クロム又はその化合物 (mg/l) 0.02 <0.02 <0.02 < ひ素又はその化合物 (mg/l) 0.02 <0.02 <0.02 < 水銀又はその化合物 (mg/l) < < < アルキル水銀化合物 (mg/l) < < < ポリ塩化ビフェニル (mg/l) < < < 銅又はその化合物 (mg/l) 0.05 <0.05 <0.05 < 亜鉛又はその化合物 (mg/l) ふっ化物 (mg/l)

91 (1) 亜鉛又はその化合物 2012 年調査の各測点における亜鉛又はその化合物の量 ( 溶出量 ) を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別の亜鉛又はその化合物の量 ( 溶出量 ) を図 に示した 底泥の亜鉛又はその化合物の量 ( 溶出量 ) は 撤去 2 年前の 2008 年調査では全ての測点で定量下限値未満 (<0.02mg/L) であったが 撤去直後の 2010 年調査では <0.02~0.06mg/L の範囲にあった 2010 年調査の結果は 2008 年調査のものよりも全体的に高かった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 0.02~0.03mg/kg( 平均値 :0.02mg/kg) の範囲にあり 過年度調査との差異は小さく 海洋掘採施設からの距離および方位に伴う差異は小さかった なお 溶出試験における亜鉛又はその化合物については 公的な基準値が規定されていない N 0.02 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 0.02 N1 NE m 0.03 SW1 SE SW3 S S 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 亜鉛又はその化合物 (mg/l) 図 年調査の各測点における亜鉛又はその化合物の量 ( 溶出量 ) N E 方向 亜鉛又はその化合物 (mg/l) m 500m 1000m S W 方向 亜鉛又はその化合物 (mg/l) 年 2010 年 2012 年 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の亜鉛又はその化合物の量 ( 溶出量 ) 注 1)SE1 は N E 方向の測点とした 注 2) 定量下限値未満の場合は 0.02mg/L として地点別の値を求めた 86

92 (2) ふっ化物 2012 年調査の各測点におけるふっ化物量 ( 溶出量 ) を図 に 海洋掘採施設からの距離 方位別のふっ化物量 ( 溶出量 ) を図 に示した 底泥のふっ化物量 ( 溶出量 ) は 2008 年調査では 0.2~0.3mg/L( 平均値 :0.3mg/L) 2010 年調査では 0.2~0.5mg/L( 平均値 :0.2mg/L) の範囲にあった 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 0.2~0.3mg/kg( 平均値 :0.3mg/kg) の範囲にあり 過年度調査との差異は小さく 海洋掘採施設からの距離および方位に伴う差異も小さかった ふっ化物に関する公的な基準値としては 土壌汚染対策法で ふっ素およびその化合物は 0.8mg/L 以下 と定められている 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥から溶出するふっ化物量は土壌汚染対策法に記される基準値と比べて低い値であった N 0.3 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 0.3 N1 NE m 0.3 SW1 SE SW3 S1 0.3 S3 0.3 海洋掘採施設 ( 残置部 ) ふっ化物 (mg/l) 図 年調査の各測点におけるふっ化物量 ( 溶出量 ) N E 方向 0.5 S W 方向 年 2010 年 2012 年 ふっ化物 (mg/l) ふっ化物 (mg/l) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別のふっ化物量 ( 溶出量 ) 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 87

93 5.1.5 生物調査 (1) 動物プランクトン 2012 年調査の動物プランクトンの結果概要を表 に示した 表 年調査の動物プランクトンの結果概要 項目 採取層 N1 SW1 平均値 表層 種類数 中層 底層 表層 個体数中層 ( 個体 /m 3 ) 底層 注 ) 表層 : 水面 ~ 水深 50m 中層 : 水深 50m~100m 底層 : 水深 100m~ 底上 10m. 1 種類数全測点を通じて 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査では 9 動物門 51 種類 2008 年 8 月調査では 8 動物門 62 種類が出現した 撤去直前の 2010 年 4 月調査では 7 動物門 44 種類 撤去直後の 2010 年 7 月調査では 7 動物門 71 種類が出現した 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 全測点を通じて 7 動物門 51 種類が出現した 2008 年からの 5 回の調査を通じて 出現種類数は 2010 年 7 月調査時が最も多く 2010 年 4 月調査時が最も少なかった 2012 年 8 月調査時の門別の出現状況は 過年度と同様に節足動物門の種類数が最も多かった また 出現した動物プランクトンのほとんどが沿岸から外洋域まで広く分布する種類であった 図 に採取層別の種類数を示した 採取層別の平均種類数は 2008 年 7 月調査では表層が 25 種類 中層が 18 種類 底層が 22 種類 ) であり 2008 年 8 月調査では表層が 25 種類 中層が 28 種類 底層が 22 種類であった 2010 年 7 月調査では表層が 29 種類 中層が 28 種類 底層が 28 種類であった また 2012 年 8 月調査時では表層が 32 種類 中層が 24 種類 底層が 14 種類であった 夏季に行ったこれらの調査では 底層での種類数が少ない傾向にあったが 季節が異なる 2010 年 4 月調査では 表層が 11 種類 中層が 13 種類 底層が 19 種類であり 各層とも他の調査時と比べて少なく 水深とともに増加する傾向にあった 88

94 2008 年 7 月 種類数 年 8 月 種類数 年 4 月 種類数 表層 表層 表層 採取層 中層 採取層 中層 採取層 中層 底層 N1 E1 S1 W1 底層 N1 E1 S1 W1 底層 N1 NE1 S1 SW 年 7 月 種類数 年 8 月 種類数 表層 表層 注 ) 表層 : 水面 ~ 水深 50m 中層 : 水深 50m~100m 底層 : 水深 100m~ 底上 10m. 採取層 中層 底層 N1 SE1 S1 SW1 採取層 中層 底層 N1 SW1 図 採取層別の種類数 2 個体数図 に採取層別の個体数を示した 撤去 2 年前の 2008 年の平均個体数は 7 月調査では表層が約 個体 /m 3 中層が約 3500 個体 /m 3 底層が約 1200 個体 /m 3 であり 8 月調査では表層が約 5300 個体 /m 3 中層で約 1700 個体 /m 3 底層で 950 個体 /m 3 であった 2010 年の個体数は 撤去直前の 4 月調査では表層が約 3800 個体 /m 3 中層が約 2400 個体 /m 3 底層が約 340 個体 /m 3 であり 撤去直後の 7 月調査では表層が約 個体 /m 3 中層が約 2800 個体 /m 3 底層が約 990 個体 /m 3 であった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査での平均個体数は 表層が約 7100 個体 /m 3 中層が約 6100 個体 /m 3 底層が約 370 個体 /m 3 であった いずれの調査時でも 動物プランクトンの個体数は水深にともなって減少する傾向にあった 2008 年からの 5 回の調査を通じて 同月の調査では ほぼ同様の個体数が出現した 89

95 2008 年 7 月 個体数 ( 個体 /m 3 ) 2008 年 8 月 個体数 ( 個体 /m 3 ) 2010 年 4 月 個体数 ( 個体 /m 3 ) 表層 表層 表層 採取層 中層 採取層 中層 採取層 中層 底層 N1 E1 S1 W1 底層 N1 E1 S1 W1 底層 N1 NE1 S1 SW 年 7 月 個体数 ( 個体 /m 3 ) 2012 年 8 月 個体数 ( 個体 /m 3 ) 表層 表層 注 ) 表層 : 水面 ~ 水深 50m 中層 : 水深 50m~100m 底層 : 水深 100m~ 底上 10m. 採取層 中層 採取層 中層 底層 N1 SE1 S1 SW1 底層 N1 SW1 図 採取層別の個体数 3 優占した種類撤去 2 年前の 2008 年調査での海域全体の優占上位 3 種類は 7 月調査では Oithona spp. (copepodite) >Copepoda (nauplius) >Paracalanus spp. (copepodite) 8 月調査では Oithona spp. (copepodite) >Copepoda (nauplius) >Microsetella norvegica であった 2010 年の調査海域全体の優占上位 3 種類は 撤去直前の 4 月調査では Copepoda (nauplius) >Oithona spp. (copepodite) >Oncaea spp. (copepodite) 撤去直後の 7 月調査では Oithona spp. (copepodite) >Copepoda (nauplius) >Paracalanus spp. (copepodite) であった 調査海域全体の優占上位 3 種類は 2008 年 7 月調査と 2010 年 7 月調査では同じであった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査での調査海域全体の優占上位 3 種類は Oncaea scottodicarloi>oithona spp. (copepodite) >Copepoda (nauplius) であった 測点別の優占上位 3 種類を図 に示した 2008 年からの 5 回の調査を通じて いずれの測点でも Oithona spp.(copepodite) が常に優占上位 3 種類に含まれた 各回調査において 測点間で優占上位 3 種類が大きく異なることはなかった 採取層別の優占上位 3 種類を図 に示した 2010 年までの 4 回の調査では いずれの採取層でも Oithona spp.(copepodite) が常に優占 90

96 上位 3 種に含まれていたが 2012 年 8 月調査の中層では優占上位 3 種類に含まれなかった 2008 年 7 月調査 N1 E1 S1 W1 24% 13% 26% 15% 28% 19% 24% 9% 32% 31% 35% 24% 25% 28% 29% 38% Pseudocalanus spp. (copepodite) Paracalanus spp. (copepodite) Oithona spp. (copepodite) Copepoda (nauplius) その他 2008 年 8 月調査 N1 E1 S1 W1 19% 16% 20% 13% 49% 53% 12% 58% 56% 13% 14% 10% 18% 19% 12% 18% Paracalanus spp. (copepodite) Oithona spp. (copepodite) Microsetella norvegica Copepoda (nauplius) その他 2010 年 4 月調査 N1 NE1 S1 SW1 19% 16% 11% 16% 21% 14% 13% 39% 47% 18% 34% 39% 30% 35% 38% 10% Oithona similis Oithona spp. (copepodite) Oncaea spp. (copepodite) Copepoda (nauplius) その他 図 測点別の優占上位 3 種類 91

97 2010 年 7 月調査 N1 SE1 S1 SW1 11% 29% 7% 23% 8% 33% 26% 37% 46% 41% 23% 40% 8% 26% 24% 18% Paracalanus spp. (copepodite) Oithona spp. (copepodite) Copepoda (nauplius) Oikopleura longicauda その他 2012 年 8 月調査 N1 SW1 10% 14% 45% 25% 47% 25% 20% Clausocalanus spp. (copepodite) Oncaea scottodicarloi その他 14% Oithona spp. (copepodite) Copepoda (nauplius) 図 ( 続き ) 測点別の優占上位 3 種類 92

98 2008 年 7 月調査 表層 中層 底層 18% 18% 10% 23% 21% 31% 29% 30% 28% 33% 28% 31% Pseudocalanus spp. (copepodite) Paracalanus spp. (copepodite) Oithona spp. (copepodite) Copepoda (nauplius) その他 2008 年 8 月調査 表層 中層 底層 15% 22% 12% 14% 16% 12% 52% 19% 57% 9% 58% 14% Penilia avirostris Oithona spp. (copepodite) Microsetella norvegica Copepoda (nauplius) その他 2010 年 4 月調査 表層 中層 底層 16% 13% 14% 25% 14% 38% 35% 36% 39% 22% 23% 25% Oithona similis Oithona spp. (copepodite) Oncaea spp. (copepodite) Copepoda (nauplius) その他 図 採取層別の優占上位 3 種類 93

99 2010 年 7 月調査 表層 中層 底層 41% 9% 30% 41% 10% 20% 33% 36% 20% 29% 19% 12% Clausocalanus spp. (copepodite) Paracalanus spp. (copepodite) Oithona spp. (copepodite) Oncaea spp. (copepodite) Copepoda (nauplius) その他 2012 年 8 月調査 表層 中層 底層 27% 30% 15% 48% 45% 52% 18% 9% 16% 15% 10% 15% Oithona spp. (copepodite) Paroithona pulla Oncaea scottodicarloi Oncaea spp. (copepodite) Copepoda (nauplius) その他 図 ( 続き ) 採取層別の優占上位 3 種類 (2) 植物プランクトン 2012 年調査の植物プランクトンの結果概要を表 に示した 表 年調査の植物プランクトンの結果概要 項目 採取層 N1 SW1 平均値 種類数 表層 中層 細胞数 表層 ( 細胞 /L) 中層 注 ) 表層 : 水深 0m 中層: 水深 75m. 1 種類数全測点を通じて 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査では 5 植物門 66 種類 ( 底層を除く ) 8 月調査では 7 植物門 78 種類 ( 底層を除く ) が出現した 撤去直前の 2010 年 4 月調査では 7 植物門 27 種類 撤去直後の 2010 年 7 月調査では 6 植物門 35 種類が出現した 2010 年調査は 2008 年調査と比べて出現種類数が少なかった 94

100 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 全測点を通じて 7 植物門 38 種類が出現した 2008 年からの 5 回の調査を通じて 出現種類数は 2008 年 8 月調査時が最も多く 2010 年 4 月調査時が最も少なかった 2012 年 8 月調査時の門別の出現状況は 過年度と同様に不等毛植物門の種類数が最も多かった また 出現した植物プランクトンのほとんどが沿岸性種であった 図 に採取層別の種類数を示した 採取層別の平均種類数は 2008 年 7 月調査では表層が 33 種類 中層が 32 種類であり 2008 年 8 月調査では表層が 42 種類 中層が 29 種類であった 2010 年 4 月調査では表層が 16 種類 中層が 13 種類であり 2010 年 7 月調査では表層が 20 種類 中層が 12 種類であった また 2012 年 8 月調査時では表層が 27 種類 中層が 9 種類であった いずれの調査でも種類数は水深とともに少なくなる傾向にあった 2008 年 7 月 種類数 年 8 月 種類数 年 4 月 種類数 表層 表層 表層 採取層 中層 採取層 中層 採取層 中層 底層 N1 E1 S1 W1 底層 N1 E1 S1 W1 底層 調査せず N1 NE1 S1 SW 年 7 月 種類数 年 8 月 種類数 表層 表層 注 ) 表層 : 水深 0m 中層 : 水深 75m 底層 : 底上 10m. 採取層 中層 採取層 中層 底層 調査せず N1 SE1 S1 SW1 底層 調査せず N1 SW1 図 採取層別の種類数 2 細胞数図 に採取層別の細胞数を示した 撤去 2 年前の 2008 年の平均細胞数は 7 月調査では表層が約 9100 細胞 /L 中層が約 細胞 /L であり 8 月調査では表層が約 細胞 /L 中層が約 7400 細胞 /L であった 95

101 2010 年の平均細胞数は 撤去直前の 4 月では表層が約 細胞 /L 中層が約 細胞 /L であり 撤去直後の 7 月では表層が約 7100 細胞 /L 中層が約 1900 細胞 /L であった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査での平均細胞数は 表層が約 4600 細胞 /L 中層が約 720 細胞 /L であった 2012 年 8 月調査の細胞数は 2008 年調査や 2010 年 7 月調査のものと比べて若干少ない程度であるが 2010 年 4 月調査では各層とも他の調査時を大きく上回る細胞数が認められた 日本の沿岸域では春季に植物プランクトンの増殖期を向かえる 本調査海域においても 植物プランクトンの細胞数に大きな季節変動のあることが示された 2008 年 7 月 細胞数 ( 細胞 /L) 年 8 月 細胞数 ( 細胞 /L) 年 4 月 細胞数 ( 細胞 /L) 表層 表層 表層 採取層 中層 採取層 中層 採取層 中層 底層 N1 E1 S1 W1 底層 N1 E1 S1 W1 底層 調査せず N1 NE1 S1 SW 年 7 月 細胞数 ( 細胞 /L) 年 8 月 細胞数 ( 細胞 /L) 表層 表層 注 ) 表層 : 水深 0m 中層 : 水深 75m 底層 : 底上 10m. 採取層 中層 採取層 中層 底層 調査せず N1 SE1 S1 SW1 底層 調査せず N1 SW1 図 採取層別の細胞数 3 優占した種類撤去 2 年前の 2008 年調査での海域全体の優占上位 3 種類は 7 月調査では Leptocylindrus mediterraneus>rhizosolenia fragilissima>gymnodinium spp. 8 月調査では Haptophyceae> Chaetoceros compressum>pseudo-nitzschia spp. であった 2010 年の調査海域全体の優占上位 3 種類は 撤去直前の 4 月調査では Chaetoceros convolutum>cryptophyceae>peridiniales 撤去直後の 7 月調査では Gymnodiniales>unidentified flagellates( 不明鞭毛藻類 )>Haptophyceae であった 96

102 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査での調査海域全体の優占上位 3 種類は Haptophyceae >Pseudo-nitzschia spp. >Bacteriastrum varians であった 測点別の優占上位 3 種類を図 に 採取層別の優占上位 3 種類を図 に示した 2008 年からの 5 回の調査を通じて 優占上位 3 種類は調査ごとに大きく異なったが 各回調査における測点間での変化は小さかった また 5 回の調査をとおして 表層と中層では優占上位 3 種類の組成または比率の変化が大きかった 2008 年 7 月調査 N1 E1 S1 W1 13% 19% 14% 14% 21% 10% 12% 12% 56% 59% 56% 56% 10% 12% 18% 18% Gymnodinium spp. Leptocylindrus mediterraneus Rhizosolenia fragilissima Pseudo-nitzschia spp. その他 2008 年 8 月調査 N1 E1 S1 W1 8% 9% 11% 11% 11% 15% 10% 9% 9% 13% 72% 63% 62% 69% 15% 13% Chaetoceros compressum Chaetoceros spp. Pseudo-nitzschia spp. Haptophyceae その他 2010 年 4 月調査 N1 NE1 S1 SW1 11% 9% 15% 9% 10% 19% 7% 39% 39% 39% 35% 16% 41% 39% 42% 30% Cryptophyceae Peridiniales Chaetoceros convolutum その他 図 測点別の優占上位 3 種類 97

103 2010 年 7 月調査 N1 SE1 S1 SW1 15% 26% 24% 26% 9% 45% 58% 54% 49% 6% 18% 11% 12% 22% 11% 14% Gymnodiniales Haptophyceae unidentified flagellates その他 2012 年 8 月調査 N1 SW1 9% 10% 7% 13% 65% 58% 19% 19% Gymnodiniales Pseudo-nitzschia spp. その他 Bacteriastrum varians Haptophyceae 図 ( 続き ) 測点別の優占上位 3 種類 98

104 2008 年 7 月調査 表層 中層 底層 22% 15% 20% 58% 8% 46% 47% 12% 24% 22% 15% 11% Gymnodinium spp. Leptocylindrus danicus Leptocylindrus mediterraneus Rhizosolenia fragilissima Chaetoceros concavicorne その他 2008 年 8 月調査 表層 中層 底層 12% 10% 17% 10% 10% 8% 63% 62% 62% 15% 18% 13% Rhizosolenia delicatula Rhizosolenia stolterfothii Chaetoceros compressum Thalassionema nitzschioides Pseudo-nitzschia spp. Haptophyceae その他 2010 年 4 月調査 表層 中層 16% 9% 37% 13% 31% 12% 34% 48% Cryptophyceae Gymnodiniales Peridiniales Corethron criophilum Chaetoceros convolutum その他 図 採取層別の優占上位 3 種類 99

105 2010 年 7 月調査 表層 中層 22% 28% 52% 38% 9% 17% 12% 22% Gymnodiniales Chaetoceros spp. Haptophyceae unidentified flagellates その他 2012 年 8 月調査 表層 中層 8% 11% 23% 62% 41% 19% 17% 19% Gymnodiniales Thalassiosira spp. Bacteriastrum varians Pseudo-nitzschia spp. Haptophyceae その他 図 ( 続き ) 採取層別の優占上位 3 種類 (3) 魚卵 稚仔魚 2012 年調査の魚卵 稚仔魚の結果概要を表 に示した 表 年調査の魚卵 稚仔魚の結果概要 項目 採取層 魚卵 N1 SW1 平均値 種類数 表層 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 表層 項目 採取層 稚仔魚 N1 SW1 平均値 種類数 表層 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 表層 注 ) 表層 : 水深 0m. 100

106 1 種類数全測点を通じて 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査では魚卵が不明卵 1 種類を含む 3 種類 ( 表層 ) 稚仔魚が 2 種類 ( 表層 ) 2008 年 8 月調査では魚卵が不明卵 2 種類を含む 3 種類 ( 表層 ) 稚仔魚が 6 種類 ( 表層 ) 出現した 撤去直前の 2010 年 4 月調査では稚仔魚は出現せず 不明卵 2 種類を含む 3 種類 撤去直後の 2010 年 7 月調査では不明卵 2 種類と稚仔魚が 1 種類 ( カタクチイワシ ) 出現した 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 全測点を通じて魚卵は不明卵 3 種類を含む 5 種類 稚仔魚はカタクチイワシ イソギンポおよびフグ科の 3 種類が出現した 魚卵の採取層別の種類数を図 に 稚仔魚の採取層別の種類数を図 に示した 2010 年以降は表層のみの調査となったが 2008 年からの 5 回の調査を通じて魚卵の種類数に大きな変化はなかった 稚仔魚の種類数は 2008 年 8 月調査で多く 2010 年 4 月調査では稚仔魚は出現しなかった 多くの魚種が春季と秋季に産卵期を向かえるため 4 月の時点では稚仔魚の数が少なかったものと推察される 2008 年 7 月 種類数 年 8 月 種類数 年 4 月 種類数 表層 表層 表層 採取層 採取層 採取層 底層 N1 E1 S1 W1 底層 出現せず N1 E1 S1 W1 底層 調査せず N1 NE1 S1 SW 年 7 月 種類数 年 8 月 種類数 注 ) 表層 : 水深 0m 底層 : 底上 10m. 表層 表層 採取層 採取層 底層 調査せず N1 SE1 S1 SW1 底層 調査せず N1 SW1 図 魚卵の採取層別の種類数 101

107 2008 年 7 月 種類数 年 8 月 種類数 年 7 月 種類数 表層 表層 表層 採取層 採取層 採取層 底層 N1 E1 S1 W1 底層 N1 E1 S1 W1 底層 調査せず N1 SE1 S1 SW 年 8 月 種類数 表層 注 1) 表層 : 水深 0m 底層 : 底上 10m. 注 2)2010 年 4 月調査では 稚仔魚は出現しなかった 採取層 底層 調査せず N1 SW1 図 稚仔魚の採取層別の種類数 2 個体数図 に魚卵の採取層別の個体数を示した 撤去 2 年前の 2008 年における表層での魚卵の個体数は 7 月調査が 7~158 個体 /1000m 3 ( 平均 :71 個体 /1000m 3 ) 8 月調査では 7~46 個体 /1000m 3 ( 平均 : 約 24 個体 /m 3 ) であった 2010 年の表層での魚卵の個体数は 撤去直前の 4 月調査が 0~6099 個体 /1000m 3 ( 平均 :1530 個体 /1000m 3 ) 撤去直後の 7 月調査では 27~125 個体 /1000m 3 ( 平均 : 約 66 個体 /1000m 3 ) であった また 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査における表層での魚卵の個体数は 68~88 個体 /1000m 3 ( 平均 :78 個体 /1000m 3 ) であった 2008 年からの 5 回の調査を通じて 夏季に実施した調査では 表層での魚卵の個体数に大きな差異はなかった しかし 季節の異なる 2010 年 4 月調査では NE1 で 1 種類の不明卵が大量に出現した 魚卵が局所的に集まった所をサンプリングしたためと考えられる 102

108 2008 年 7 月 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 2008 年 8 月 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 2010 年 4 月 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 表層 表層 表層 6099 採取層 採取層 採取層 底層 N1 E1 S1 W1 底層 出現せず N1 E1 S1 W1 底層 調査せず N1 NE1 S1 SW 年 7 月 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 2012 年 8 月 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 注 ) 表層 : 水深 0m 底層 : 底上 10m. 表層 表層 採取層 採取層 底層 調査せず N1 SE1 S1 SW1 底層 調査せず N1 SW1 図 魚卵の採取層別の個体数 図 に稚仔魚の採取層別の個体数を示した 撤去 2 年前の 2008 年における表層での稚仔魚の個体数は 7 月調査が 7~40 個体 /1000m 3 ( 平均 :18 個体 /1000m 3 ) 8 月調査が 27~66 個体 /1000m 3 ( 平均 :47 個体 /1000m 3 ) であった 2010 年の表層での稚仔魚の個体数は 撤去直前の 4 月調査では稚仔魚の出現はなく 撤去直後の 7 月調査では 0~46 個体 /1000m 3 ( 平均 :18 個体 /1000m 3 ) であった また 撤去から 2 年後の 2012 年 8 調査における表層での稚仔魚の個体数は 33~73 個体 /1000m 3 ( 平均 :53 個体 /1000m 3 ) であった 2010 年 7 月調査の SE1 と SW1 で稚仔魚の出現はなかったが 夏季に実施した調査では 表層での稚仔魚の個体数に大きな差異はなかった 103

109 2008 年 7 月 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 2008 年 8 月 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 2010 年 7 月 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 表層 表層 表層 採取層 採取層 採取層 底層 N1 E1 S1 W1 底層 N1 E1 S1 W1 底層 調査せず N1 SE1 S1 SW 年 8 月 個体数 ( 個体 /1000m 3 ) 表層 注 1) 表層 : 水深 0m 底層 : 底上 10m. 注 2)2010 年 4 月調査では 稚仔魚は出現しなかった 採取層 底層 調査せず N1 SW1 図 稚仔魚の採取層別の個体数 3 優占した種類撤去 2 年前の 2008 年における表層での魚卵の優占した種類は 7 月調査がカタクチイワシ 8 月調査がウナギ目であった 2010 年では 撤去直前の 4 月調査 撤去直後の 7 月調査ともに不明卵がほとんどを占め 種類がある程度明らかにできたのは 7 月調査で出現したフリソデウオ科だけであった また 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では不明卵の出現が多かったが ウナギ目とカタクチイワシが出現した 表層での稚仔魚の優占した種類は 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査では出現した個体のほとんどがカタクチイワシであり 8 月調査ではネズッポ科 カタクチイワシ ハゼ科が多く出現した 撤去直後の 2010 年 7 月調査と 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査での稚仔魚の優占した種類はカタクチイワシであった (4) マクロベントス 2012 年調査のマクロベントスの結果概要を表 に示した 104

110 表 年調査のマクロベントスの結果概要 項 目 最小値 最大値 平均値 軟体動物門 環形動物門 種類数 節足動物門 棘皮動物門 その他 合計 軟体動物門 環形動物門 個体数 節足動物門 ( 個体 /m 2 ) 棘皮動物門 その他 合計 軟体動物門 環形動物門 湿重量 節足動物門 (g/m 2 ) 棘皮動物門 その他 合計 種類数 2012 年調査の測点別の種類数を図 海洋掘採施設からの距離 方位別の種類数を図 に示した 全測点を通じて 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査では 8 動物門 137 種類が出現し 測点別の種類数は 31~47 種類 ( 平均 :41 種類 ) の範囲にあった 撤去直後の 2010 年 7 月調査では 9 動物門 135 種類が出現し 測点別の種類数は 36~66 種類 ( 平均 :49 種類 ) の範囲にあり NE3 で多く SW1 で少なかった また 撤去から 2 年後の 2012 年調査では 全測点を通じて 7 動物門 113 種類が出現し 測点別の種類数は 36~51 種類 ( 平均 :45 種類 ) の範囲にあり SE1 で多く N1 で少なかった 調査間で出現種類数に大きな差異はみられなかった 2008 年 7 月調査での動物門別の種類数は 環形動物門 節足動物門 軟体動物門で多く 測点別には環形動物門が 13~26 種類 ( 平均 :22 種類 ) 節足動物門が 5~11 種類 ( 平均 : 8 種類 ) 軟体動物門が 4~10 種類 ( 平均 :7 種類 ) であり 出現した種類数の約 54% が環形動物門に属していた 2010 年 7 月調査での動物門別の種類数は 環形動物門 節足動物門 軟体動物門で多く 測点別には環形動物門が 22~33 種類 ( 平均 :27 種類 ) 節足動物門が 6~14 種類 ( 平均 :10 種類 ) 軟体動物門が 4~15 種類 ( 平均 :8 種類 ) であり 出現した種類数の約 55% が環形動物門に属していた また 2012 年 8 月調査での動物門別の種類数は 環形動物門 節足動物門 軟体動物門で多く 測点別には環形動物門が 21~31 105

111 種類 ( 平均 :26 種類 ) 節足動物門が 7~11 種類 ( 平均 :10 種類 ) 軟体動物門が 3~9 種類 ( 平均 :5 種類 ) であり出現した種類数の約 58% が環形動物門に属していた 調査間で動物門別の種類数に大きな差異はみられなかった 海洋掘採施設からの距離および方位別の種類数は 全体的には 2010 年調査時が他の調査時よりも多い傾向にあるものの いずれの距離および方位においても調査間で大きな差異はなかった 以上のことから マクロベントスの出現種類数には 海洋掘採施設の撤去の前後で大きな差異のないことが示唆された N 47 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 36 N1 NE m 46 SW1 SE SW3 S1 46 S3 45 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 種類数 図 年調査の測点別の種類数 N個体数 E 方向 S W 方向 年 2010 年 2012 年 種類数 種類数 m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の種類数 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 106

112 2 個体数 2012 年調査の測点別の個体数を図 海洋掘採施設からの距離 方位別の個体数を図 示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査での個体数は 514~892 個体 /m 2 ( 平均 :729 個体 /m 2 ) の範囲にあった 撤去直後の 2010 年 7 月調査では 581~1276 個体 /m 2 ( 平均 :900 個体 /m 2 ) の範囲にあり N1 で多くSW3 で少なかった また 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 557~1088 個体 /m 2 ( 平均 :815 個体 /m 2 ) の範囲にあり SE1 で多くN1 で少なかった 調査間で出現個体数に大きな差異はみられなかった 2008 年 7 月調査での動物門別の個体数は 環形動物門 節足動物門 軟体動物門で多く 測点別には環形動物門が 284~619 個体 /m 2 ( 平均 :442 個体 /m 2 ) 節足動物門が 49~183 個体 /m 2 ( 平均 :127 個体 /m 2 ) 軟体動物門が 49~168 個体 /m 2 ( 平均 :109 個体 /m 2 ) であり 出現した個体数の約 61% が環形動物門に属していた 2010 年 7 月調査での動物門別の個体数は 環形動物門 節足動物門 軟体動物門で多く 測点別には環形動物門が 323~819 個体 /m 2 ( 平均 :558 個体 /m 2 ) 節足動物門が 57~277 個体 /m 2 ( 平均 :163 個体 /m 2 ) 軟体動物門が 32~199 個体 /m 2 ( 平均 :101 個体 /m 2 ) であり 出現した個体数の 62% が環形動物門に属していた 2012 年 8 月調査での動物門別の個体数は 環形動物門 節足動物門 軟体動物門で多く 測点別には環形動物門が 359~636 個体 /m 2 ( 平均 :494 個体 /m 2 ) 節足動物門が 116~267 個体 /m 2 ( 平均 :194 個体 /m 2 ) 軟体動物門が 24~184 個体 /m 2 ( 平均 :73 個体 /m 2 ) であり 出現した個体数の 61% が環形動物門に属していた 調査間で動物門別の個体数に大きな差異はみられなかった N 857 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 557 N1 NE m 918 SW1 SE SW3 S1 829 S3 755 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 個体数 ( 個体 /m 2 ) 図 年調査の測点別の個体数 107

113 海洋掘採施設からの距離および方位別の個体数は 全体的には 2010 年調査時が他の調査時よりも多い傾向にあるものの いずれの距離および方位においても調査間に大きな差異はなかった 以上のことから 海洋掘採施設の撤去の前後でマクロベントスの出現個体数に大きな差異のないことが示唆された N個体数 E 方向 1500 S W 方向 年 2010 年 2012 年 個体数 ( 個体 /m 2 ) 個体数 ( 個体 /m 2 ) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の個体数 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 3 湿重量 2012 年調査の測点別の総湿重量を図 海洋掘採施設からの距離 方位別の総湿重量を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査での総湿重量は 13.34~221.42g/m 2 ( 平均 :48.31g/m 2 ) の範囲にあった 撤去直後の 2010 年 7 月調査では 5.54~229.26g/m 2 ( 平均 :49.72g/m 2 ) の範囲にあり N2 で多くSW2 で少なかった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では ~225.31g/m 2 ( 平均 :74.94g/m 2 ) の範囲にあり SE1 で多くN3 で少なかった 海域全体 ( 平均値 ) では 2012 年 8 月調査時の湿重量が大きかった 2008 年 7 月調査での動物門別の湿重量は 環形動物門 軟体動物門 棘皮動物門で多く 測点別には環形動物門が 4.87~181.38g/m 2 ( 平均 :29.44g/m 2 ) 軟体動物門が 1.26~ 23.98g/m 2 ( 平均 :8.57g/m 2 ) 棘皮動物門が 0~24.33g/m 2 ( 平均 :6.53g/m 2 ) であり 総湿重量の約 61% が環形動物門で占められていた 2010 年 7 月調査での動物門別の湿重量は 棘皮動物門 環形動物門 軟体動物門で多く 測点別には棘皮動物門が 0~182.91/m 2 ( 平均 :22.78g/m 2 ) 環形動物門が 3.36~78.07g/m 2 ( 平均 :18.01g/m 2 ) 軟体動物門が 0.58 ~12.19/m 2 ( 平均 :4.87g/m 2 ) であり 総湿重量の約 46% が棘皮動物門で占められていた 2012 年 8 月調査での動物門別の湿重量は 棘皮動物門 環形動物門 軟体動物門で多く 測点別には棘皮動物門が 0.08~182.02/m 2 ( 平均 :40.25g/m 2 ) 環形動物門が 4.34~ 18.28g/m 2 ( 平均 :11.30g/m 2 ) 軟体動物門が 1.34~27.64/m 2 ( 平均 :7.99g/m 2 ) であり 総湿重量の約 54% が棘皮動物門で占められていた 2012 年 8 月調査では他の調査時よりも 108

114 棘皮動物門の湿重量が大きかった 海洋掘採施設からの距離および方位別の総湿重量は 2008 年調査では N E 方向 S W 方向ともに距離にともなって減少する傾向にあったが 2010 年調査では両方向ともに距離に伴う増減傾向はみられず 2012 年調査では N E 方向の 200m 地点で高い値が認められた 以上のことから 2008 年調査では環形動物門 2010 年調査と 2012 年調査では棘皮動物門の湿重量が大きく 海洋掘採施設の撤去の前後で局所的にマクロベントスの総湿重量が大きく変動していることが示唆された N N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m N1 NE m SW1 SE SW3 S S 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 総湿重量 (g/m 2 ) 図 年調査の測点別の総湿重量 N個体数 E 方向 150 S W 方向 年 2010 年 2012 年 総湿重量 (g/m 2 ) 総湿重量 (g/m2) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の総湿重量 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 109

115 2012 年調査の測点別の 1 個体あたりの湿重量を図 海洋掘採施設からの距離 方位別の 1 個体あたりの湿重量を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査での 1 個体あたりの湿重量は 17~320mg( 平均 :67mg) の範囲にあった 撤去直後の 2010 年 7 月調査での 1 個体あたりの湿重量は 9~255mg( 平均 :52mg) の範囲にあり 総湿重量と同様に N2 で多く SW2 少なかった 撤去直後の 2012 年 8 月調査での 1 個体あたりの湿重量は 28~207mg( 平均 :86mg) の範囲にあり 総湿重量と同様に SE1 で多く N3 で少なかった 動物門別の 1 個体あたりの湿重量は いずれの調査時とも棘皮動物門で大きかった 海洋掘採施設からの距離および方位別の 1 個体あたりの湿重量は 総湿重量の場合と同様に 2008 年調査では N E 方向 S W 方向ともに距離にともなって減少する傾向にあったが 2010 年調査では両方向ともに距離に伴う増減傾向はみられず 2012 年調査では N E 方向の 200m 地点で高い値が認められた 以上のことから 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて調査間や測点間で大型個体 ( 主に棘皮動物門 ) の出現状況が大きく異なることが示唆された N 28 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 61 N1 NE m 112 SW1 SE SW3 S1 32 S3 134 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 1 個体あたりの湿重量 (mg) 図 年調査の測点別の 1 個体あたりの湿重量 110

116 1 個体あたりの湿重量 (mg) N個体数 E 方向 m 500m 1000m 1 個体あたりの湿重量 (mg) S W 方向 年 2010 年 2012 年 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の 1 個体あたりの湿重量 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 4 優占した種類本調査海域全体の優占上位 3 種類の出現比率を図 に示した 調査海域全体の優占上位 3 種類は 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査では 個体数で Laonice sp.>chaetozone sp.>lumbrineris sp. であり 総湿重量で Glycera sp.>aphrodita sp.> Laonice sp. であった いずれの場合も優占上位 3 種類は環形動物門に属する生物であった 撤去直後の 2010 年 7 月調査では 個体数で Aglaophamus sp.>laonice sp.>lumbrineris sp. であり いずれも環形動物門に属する生物であったが 総湿重量では Ophiothrix sp.( 棘皮動物門 )>Aphrodita japonica( 環形動物門 )>Stegophiura sp.( 棘皮動物門 ) であり 2 種類が棘皮動物門に属する生物であった また 撤去 2 年後の 2012 年 8 月調査では 個体数で Chone sp.>lumbrineris sp.>aglaophamus sp. であり いずれも環形動物門に属する生物であったが 総湿重量では Spatangidae( 棘皮動物門 )>Molpadiidae( 棘皮動物門 )> Axiidae( 節足動物門 ) であり 2 種類が棘皮動物門に属する生物であった 2010 年調査と 2012 年調査では大型の棘皮動物が出現したため 総湿重量に基づく優占した種類は調査間で大きく異なった しかし 個体数の上では Lumbrineris sp. が 3 回の調査をとおして優占上位 3 種類に含まれ Laonice sp. が 2008 年調査と 2010 年調査 Aglaophamus sp. が 2010 年調査と 2012 年調査で優占上位 3 種類に含まれた このことから 海洋掘採施設の撤去の前後でマクロベントスの個体数に基づく優占した種類に大きな差異のないことが示唆された 111

117 個体数に基づく優占した種類 2008 年 7 月 2010 年 7 月 2012 年 8 月 5% 9% 8% 5% 5% 6% 6% 5% 7% 80% 82% 82% Lumbrineris sp. Aglaophamus sp. Laonice sp. Chaetozone sp. Chone sp. その他 総湿重量に基づく優占した種類 2008 年 7 月 2010 年 7 月 2012 年 8 月 11% 11% 8% 54% 54% 44% 29% 29% 30% 6% 6% 18% Aphrodita sp. Aphrodita japonica Glycera sp. Laonice sp. Laonice sp. Axiidae Ophiothrix sp. Stegophiura sp. Spatangidae Molpadiidae その他 図 優占上位 3 種類の出現比率 (5) メイオベントス 2012 年調査のメイオベントスの結果概要を表 に示した 112

118 表 年調査のメイオベントスの結果概要 項 目 最小値 最大値 平均値 種類数 原生動物門 個体数 袋形動物門 ( 個体 /10cm 2 ) 節足動物門 その他 合計 種類数 2012 年調査の測点別の種類数を図 海洋掘採施設からの距離 方位別の種類数を図 に示した 全測点を通じて 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査では 5 動物門 13 種類が出現し 測点別の種類数は 5~11 種類 ( 平均 :8 種類 ) の範囲にあった 撤去直後の 2010 年 7 月調査では 5 動物門 14 種類が出現した 測点別の種類数は 3~9 種類 ( 平均 :6 種類 ) の範囲にあり NE2 で多く SW1 と SW3 で少なかった また 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 6 動物門 12 種類が出現した 測点別の種類数は 4~7 種類 ( 平均 :6 種類 ) の範囲にあり S1 で多く S3 で少なかった 調査間で出現種類数に大きな差異はみられなかった 海洋掘採施設からの距離および方位別の種類数は いずれの調査時でも距離に伴う増減傾向はなかった N 6 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 5 N1 NE m 6 SW1 SE1 6 6 SW3 S1 7 S3 4 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 種類数 図 測点別の種類数 113

119 N E 方向 10 8 S W 方向 年 2010 年 2012 年 種類数 6 4 種類数 m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の種類数 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 2 個体数 2012 年調査の測点別の個体数を図 海洋掘採施設からの距離 方位別の個体数を図 に示した 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査での個体数は 3714~9102 個体 /10cm 2 ( 平均 :5616 個体 /10cm 2 ) の範囲にあった 2010 年 7 月調査では 634~3761 個体 /10m 2 ( 平均 :1846 個体 /10m 2 ) の範囲にあり N1 で多くSW3 で少なかった 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では 1449~2400 個体 /10m 2 ( 平均 :1851 個体 /10m 2 ) の範囲にあり NE3 で少なくSW1 で多かった 2008 年 7 月調査での動物門別の個体数は 原生動物門 袋形動物門 節足動物門で多く 測点別には原生動物門が 1585~4167 個体 /10m 2 ( 平均 :2465 個体 /10cm 2 ) 袋形動物門が 1494~3080 個体 /10cm( 2 平均 :2178 個体 /10cm 2 ) 節足動物門が 498~1539 個体 /10cm( 2 平均 :883 個体 /10cm 2 ) であり 出現した個体数の約 44% が原生動物門に属していた 2010 年 7 月調査での動物門別の個体数は 袋形動物門 節足動物門 原生動物門で多く 測点別には袋形動物門が 498~1903 個体 /10cm 2 ( 平均 :1185 個体 /10cm 2 ) 節足動物門が 0~ 544 個体 /10cm 2 ( 平均 :253 個体 /10cm 2 ) 原生動物門が 91~453 個体 /10m 2 ( 平均 :230 個体 /10cm 2 ) であり 出現した個体数の約 64% が袋形動物門に属していた また 2012 年 8 月調査での動物門別の個体数は 袋形動物門 節足動物門 原生動物門で多く 測点別には袋形動物門が 951~1902 個体 /10cm 2 ( 平均 :1296 個体 /10cm 2 ) 節足動物門が 91~362 個体 /10cm 2 ( 平均 :249 個体 /10cm 2 ) 原生動物門が 45~362 個体 /10m 2 ( 平均 :249 個体 /10cm 2 ) であり 出現した個体数の約 70% が袋形動物門に属していた 海洋掘採施設からの距離および方位別の個体数は 全体的には 2008 年調査時のものが他の調査時よりも多く 海洋掘採施設に近い地点ほど少なくなる傾向にあったが 2010 年調査と 2012 年調査ではいずれの方向でも距離に伴う増減傾向はみられなかった 2008 年調査に比べて 2010 年調査と 2012 年調査では 広域的に個体数が少なかった このことから 調査間の個体数の差異は年変動の範疇にあるものと推察された 114

120 N 1630 N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m 1766 N1 NE m 2400 SW1 SE SW3 S S 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 個体数 ( 個体 /10cm 2 ) 図 測点別の個体数 N E 方向 8000 S W 方向 年 2010 年 2012 年 個体数 ( 個体 /10cm 2 ) 個体数 ( 個体 /10cm 2 ) m 500m 1000m 0 200m 500m 1000m 海洋掘採施設からの距離 海洋掘採施設からの距離 図 海洋掘採施設からの距離 方位別の個体数 注 )SE1 は N E 方向の測点とした 3 優占した種類調査海域全体をとおして 撤去 2 年前の 2008 年 7 月調査では有孔虫目 > 線虫綱 >ソコミジンコ亜目 撤去直後の 2010 年 7 月調査では線虫綱 >ソコミジンコ亜目 > 有孔虫目が多く出現した また 撤去から 2 年後の 2012 年 8 月調査では線虫綱 > 有孔虫目 >ソコミジンコ亜目が多く出現した 115

121 5.2 現地調査結果の検討本項では 本年度の現地調査で得られた各データのとりまとめ結果を基に 撤去前及び撤去工事直後の事前評価を検証するための基礎作業として 現地調査結果の検討を行った 現地調査を実施した各項目について とりまとめた結果を過去の知見 あるいは撤去工事直後の状況と比較し 施設の残留による環境影響について検討した 海洋掘採施設環境影響調査 では これまでに撤去 2 年前の平成 20 年 7 月 同年 8 月 撤去直前及び直後の平成 22 年 4 月 同年 7 月に現地調査を実施しているが 検討に当っては 次項 5.3 撤去工事後の事前評価結果の検証 を念頭におき 主に平成 22 年度 (2010 年 )7 月調査結果を参考にして検討を行った また本年度調査時の気象 海象について 調査のバックグラウンドとしての検討を行った 気象概況本年度の 8 月期の現地調査が実施された夏季の気温は 気象庁の報道発表資料によれば 次のとおりであった この期間 太平洋高気圧におおわれて晴れの日が多く 気温は高かった 特に月の後半は晴れて暑い日が続いた 13 日から 14 日にかけて東北日本海側を中心に大雨となったほかは 局地的に大雨となった日があったがまとまった雨はなく 降水量は東北太平洋側を中心にかなり少なかった 月降水量平年比は東北太平洋側で 23% とかなり少なくなり 1946 年の地域平均の統計開始以来 少ない方からの 1 位の値を更新した また 月間日照時間は白河で 8 月の多い方からの 1 位の値を 小名浜で通年の多い方からの 1 位を更新した 月平均気温は東北北部で高く 東北南部でかなり高い 月降水量は東北日本海側で少なく 東北太平洋側でかなり少ない 月間日照時間は東北日本海側でかなり多く 東北太平洋側で多い この報告から 平成 24 年 8 月の気象概要は 平年に比べて 気温は高く 降水量はかなり少なく 日照時間はかなり多かった 116

122 報道発表資料平成 24 年 9 月 3 日仙台管区気象台より抜粋 図 平成 24 年 (2012 年 )8 月の平年差 ( 比 ) 図 海象概況 ( 流況 水温 ) 流況の現地調査は海洋掘採施設の撤去時の平成 22 年度には実施していない 今年度の調査結果と撤去前の平成 20 年度の調査結果との比較すると 恒流成分は 水深が深くなるほど流速が小さくなる傾向を示し 流向については 本年度及び平成 20 年度の結果はともに全層で南西向きとなり同様の傾向を示した ( 図 5.2-2) 2008 年 2012 年 東西成分 (km) 東西成分 (km) 南北成分 (km) 南北成分 (km) 表層中層底層 2008 年の図中の 印は始点から 34 日目を示す 図 平成 20 年及び平成 24 の進行ベクトル図 117

123 第二管区海上保安本部海洋情報部の調査結果 ( 図 5.2-2~4) により検討したその結果によれば 福島海域の流況 海表面水温は次のとおりであった 流向流速は 1 ノット未満の南向きの流れを示す時が多い 平成 24 年 8 月の海表面水温は 平年値に比べて高い 図 調査時期の流況 図 調査時期の海表面水温 118

124 図 調査時期の海表面水温の平年値からの偏差図 119

125 5.2.3 海底地形本年度に実施した当該海域の深浅測量調査と 当該海洋施設撤去工事後 ( 平成 22 年 7 月 8~9 日 ) に実施された同様の測量結果と比較すると 当該施設の中心点では およそ 6m 程度 東方向へ移動したと考えられる ( 図 5.2-6~7) なお 平成 22 年度の測量以後 平成 23 年 3 月 11 日に 平成 23 年 (2011 年 ) 東北地方太平洋沖地震 が当該地域で発生し 広範囲にわたる地盤沈下 地盤の移動が観測されており 当該海域周辺の海底面は 海上保安庁の報告によれば東へ 5~24m 移動していた ( 図 5.2-8) このことより 深浅測量結果の比較で確認された海洋施設の移動は 大震災によるものと考えられる しかしながら 例えばその場に残留している 4 箇所の基部の位置が変化した幅は 1m 程度から 10m 以上とばらつきがあるため 残留する施設の周辺の海底が一様に移動したのかあるいは測量誤差によるものかは不明であり 残留する施設の正確な位置の把握方法については 今後さらに検討の必要があると考えられる 当該海域の海図を見ると ( 図 5.2-9~10) 残留する施設は 石油開発台撤去後 と表記され 水深は 90m となっている 図 撤去工事直後の海洋掘削施設位置と平成 24 年度の位置の比較 ( イメージ ) 120

126 図 残留する海洋掘削施設の移動状況 図 平成 23 年 (2011 年 ) 東北地方太平洋沖地震 (3.11 地震 ) に伴う海底の動き 121

127 (W1098 平成 16 年 6 月 17 日刊行平成 15 年までの海上保安庁海洋情報部の測量 ) 図 撤去前の水深等 122

128 (W1098 平成 24 年 10 月 4 日刊行平成 23 年までの海上保安庁海洋情報部の測量 ) 図 撤去後の水深等 123

129 5.2.4 水質各調査時期 (2008 年 7 8 月 2010 年 7 月 2012 年 8 月 ) の結果を通覧すると各調査項目とも 調査結果に大きな差異は認められなかった (1) 水温 塩分これまでの調査結果における水温 塩分を比較すると 水温は平成 24 年度時が高い傾向にある 塩分は各調査期における差はほとんどない ( 表 5.2-1~2) 表 水温 ( 海表面 ) の比較 単位 : 調査時期 最小最大平均 平成 20 年 7 月 月 平成 22 年 7 月 平成 24 年 8 月 表 塩分 ( 海表面 ) の比較 調査時期 最小最大平均 平成 20 年 7 月 月 平成 22 年 7 月 平成 24 年 8 月

130 (2) 水質項目 本年度と平成 22 年 7 月の現地調査による水素イオン濃度 (ph) をはじめとする各水質 項目の結果は表 のとおりであり 各調査における水質項目はほぼ同様の傾向であ った 表 水質調査結果の比較 採水層 =0.5m 平成 22 年 7 月平成 24 年 8 月定量下限値項目単位最小値最大値平均値最小値最大値平均値濁度 ( 度 ) <1 <1 <1 1 水素イオン濃度 溶存酸素量 (mg/l) 化学的酸素要求量 (mg/l) 有機体炭素 (mg/l) 浮遊物質量 (mg/l) <1 2 *2 <1 <1 <1 1 n- ヘキサン抽出物質 (mg/l) <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 < 硝酸態窒素 (mg/l) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 < 亜硝酸態窒素 (mg/l) < <0.001 <0.001 < アンモニア態窒素 (mg/l) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 < リン酸態窒素 (mg/l) クロロフィル a (μg/l) 採水層 =75m 平成 22 年 7 月平成 24 年 8 月定量下限値項目単位最小値最大値平均値最小値最大値平均値濁度 ( 度 ) <1 <1 <1 1 水素イオン濃度 溶存酸素量 (mg/l) 化学的酸素要求量 (mg/l) 有機体炭素 (mg/l) 浮遊物質量 (mg/l) <1 2 *2 <1 <1 <1 1 n- ヘキサン抽出物質 (mg/l) 硝酸態窒素 (mg/l) 亜硝酸態窒素 (mg/l) <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 < アンモニア態窒素 (mg/l) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 < リン酸態窒素 (mg/l) クロロフィル a (μg/l) 採水層 = 底上 10m 平成 22 年 7 月平成 24 年 8 月定量下限値項目単位最小値最大値平均値最小値最大値平均値濁度 ( 度 ) 水素イオン濃度 溶存酸素量 (mg/l) 化学的酸素要求量 (mg/l) 有機体炭素 (mg/l) 浮遊物質量 (mg/l) <1 2 *1 <1 <1 <1 1 n- ヘキサン抽出物質 (mg/l) 硝酸態窒素 (mg/l) 亜硝酸態窒素 (mg/l) < *0.004 <0.001 <0.001 < アンモニア態窒素 (mg/l) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 < リン酸態窒素 (mg/l) クロロフィル a (μg/l) : 未分析項目 *: 定量下限以下データを定量下限値として算出した平均値 125

131 5.2.5 底質 (1) 中央粒径本年度と 2088 年 7 月 2010 年 7 月の現地調査による底質の中央粒径は細砂 中砂が主体で撤去前から大きな変化はない (2) 有機物等 ( 含有量 ) 本年度と 2008 年 7 月 2010 年 7 月の現地調査による有機体炭素の調査結果 ( 含有量 ) は図 のとおりであり 有機体炭素については撤去前から大きな変化はない 5 含有量試験 ( 有機体炭素 ) 含有量 (mg/g) 実施せず 0 12 測点 12 測点 8 測点 H20.07 H22.07 H24.08 調査時期 図 底質調査結果 ( 有機物態炭素 ) の比較 有機物に関連する項目である COD 強熱減量についても 大きな変化は認められない しかしながら 硫化物については 撤去直後の調査定点 SW1 のみで高い傾向が認められた 図 に 硫化物の含有量を調査定点別に比較した図を示した 126

132 硫化物 定量限界値 0.01 H20 H22 H 硫化物 (mg/g) E1 E2 E3 N1 N2 N3 NE2 NE3 S1 S2 S3 SE1 SW1 SW2 SW3 W1 W2 W3 調査定点 図 硫化物の調査定点別調査結果 平成 20 年度の硫化物に関する調査結果についてスミルノフ グラブス検定により調査定点間の差の検定を行ったところ 調査定点 SW1 の結果は優位水準 5% で他の調査定点との間に差が認められた 施設の下流側で施設に近い調査定点 SW1 及び S1 並びに SW2 S2 の 4 調査定点のみが 撤去工事直後の調査ではその他の調査定点と比べて高い傾向が認められた結果からは 撤去工事に伴いジャケットに付着していた生物等が剥離 落下したため硫化物の値が一時的に高くなった可能性が考えられた しかしながら 硫化物の含有量と関連があると考えられる有機体炭素量 COD 強熱減量は他の調査定点と差が認められなかった また 底層の溶存酸素量は 7.5mg/Lで 貧酸素状態ではない 以上のことから この硫化物の変動は ジャケットの付着生物等が落下したことにより 海底環境の有機物が増加した結果 一時的に高くなったものではないと判断され 撤去工事の影響による可能性は小さいと考えられた ( 社団法人 ) 日本水産資源保護協会による 水産用水基準 (2005 年 ) では 底質に関する基準として 硫化物は 0.2mg/g 以下 と規定しており 撤去直後に調査定点 SW1 において観測された 0.09mg/g はこの基準と比較して高い値ではないと判断できる 127

133 (3) 金属類等 ( 含有量 溶出試験 ) 本年度と 2010 年 7 月の現地調査による金属類の結果 ( 含有量 溶出試験 ) は表 5.2-5(1) ~(2) のとおりである 溶出試験結果については ほとんどが定量下限未満で 数値が検出された地点でもその値は低いものであり 撤去前から大きな変化はない 表 5.2-4(1) 底質調査結果 ( 金属類等 含有量 ) の比較 項目 平成 22 年 7 月平成 24 年 8 月最小最大平均最小最大平均 定量下限値 カドミウム (mg/kg) < * < * 0.05 シアン化合物 (mg/kg) <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 < 鉛 (mg/kg) 六価クロム (mg/kg) <1.0 <1.0 <1.0 <1.0 <1.0 <1.0 1 ひ素 (mg/kg) 総水銀 (mg/kg) < * < * 0.01 アルキル水銀 (mg/kg) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 < ポリ塩化ビフェニル (mg/kg) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 < 銅 (mg/kg) 亜鉛 (mg/kg) ふっ素化合物 (mg/kg) セシウム134 (Bq/kg) セシウム137 (Bq/kg) * は 定量下限値以下の値を定量下限値として算出した平均値 表 5.2-4(2) 底質調査結果 ( 金属類等 溶出試験 ) の比較 項目 平成 22 年 7 月平成 24 年 8 月最小最大平均最小最大平均 定量下限値 カト ミウム又はその化合物 (mg/l) <0.005 <0.005 <0.005 <0.005 <0.005 < シアン化合物 (mg/l) <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 < 有機りん化合物 (mg/l) <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 < 鉛又はその化合物 (mg/l) <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 < 六価クロム又はその化合物 (mg/l) <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 < ひ素又はその化合物 (mg/l) <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 < 水銀又はその化合物 (mg/l) < < < < < < アルキル水銀化合物 (mg/l) < < < < < < ポリ塩化ビフェニル (mg/l) < < < < < < 銅又はその化合物 (mg/l) <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 < 亜鉛又はその化合物 (mg/l) < * ふっ化物 (mg/l) 注 )* 定量下限値以下の値を定量下限値として算出した平均値 128

134 金属類等の含有量については カドミウム 鉛 銅 亜鉛の 4 項目において 調査時 期別あるいは調査定点別に比較すると特徴的な結果が得られた カドミウムの分析結果の比較を図 に示す カドミウム 定量限界値 0.05 H20 H22 H カドミウム (mg/kg) E1 E2 E3 N1 N2 N3 NE2 NE3 S1 S2 S3 SE1 SW1 SW2 SW3 W1 W2 W3 調査定点 図 カドミウム含有量の調査結果 カドミウムについては 撤去前の調査結果は 撤去直後 残留時と比較すると全ての調査定点で高い 撤去前の平成 20 年度における調査結果の平均値を 平成 22 年度及び本年度のそれぞれの平均値と 平均値の差の検定 (t 検定及び F 検定 ) により比較すると いずれの検定でも有位水準 5% で差が認められた 影響要因が発生しない撤去前に高い傾向であり 影響要因が発生した後の調査結果ではいずれも撤去前よりも低いことから カドミウムの値の変化については 海洋掘採施設の撤去あるいは残留の影響の可能性は低いと考えられる 環境庁 ( 当時 ) が平成 7 年度に実施した海洋環境保全調査の結果を見ると 東京湾 伊勢湾などではカドミウムの含有量が 1.0mg/kg を超える値も観測されている 高い傾向にある平成 20 年度の撤去前調査におけるカドミウム含有量の平均値は約 0.3mg/kg であり 東京湾 伊勢湾の値と比べれば約 1/3 程度であることから 底質が汚染されていたような状況ではないと判断される 129

135 鉛の分析結果の比較を図 に示す 30 鉛 定量限界値 0.2 H20 H22 H 鉛 (mg/kg) E1 E2 E3 N1 N2 N3 NE2 NE3 S1 S2 S3 SE1 SW1 SW2 SW3 W1 W2 W3 調査定点 図 鉛含有量の調査結果 鉛については 撤去直後の平成 22 年度調査の調査定点 SW1 で高い傾向が認められる 平成 22 年度の調査結果のうち 鉛含有量の測定結果を調査定点間で比較するためにスミルノフ グラブス検定を行ったところ 調査定点 SW1 の結果は優位水準 5% で他の測定結果との差が認められた 調査定点 SW1 については 施設の下流側で最も施設に近い調査定点であり この調査定点のみで鉛含有量が高かったことは 海洋掘採施設の撤去及び横倒しに伴う底泥の巻上げ等の影響で一時的に鉛含有量が高くなった可能性が考えられた 環境庁 ( 当時 ) が平成 7 年度に実施した海洋環境保全調査の結果を見ると 東京湾 伊勢湾などでは鉛の含有量平均値が 30mg/kg を超えていることから 高い傾向にあった撤去直後の SW1 の分析値 24mg/kg は 東京湾 伊勢湾と比較して高い値であるとは言えず 底質が汚染されていたような状況ではないと判断される 銅の分析結果の比較を図 に示す 130

136 12 銅 定量限界値 0.5 H20 H22 H 銅 (mg/kg) E1 E2 E3 N1 N2 N3 NE2 NE3 S1 S2 S3 SE1 SW1 SW2 SW3 W1 W2 W3 調査定点 図 銅含有量の調査結果 銅については 撤去前については調査定点 S1 で高い傾向が認められ 撤去直後については調査定点 S1 に加えて調査定点 SW1 も他の調査定点と比べて高い傾向が認められる また 残留時は撤去前 及び撤去直後よりも銅含有量の高い調査定点が多い しかしながら 残留時のデータを調査定点間で比べてみると 施設に近い調査定点 N1 や調査定点 S1 よりも 施設から離れた調査定点 N3 や調査定点 S3 の方が高いなど 施設の距離と銅の濃度の間に明確な関係は見出せない また 施設の下流側で最も施設に近い調査定点 S1 のデータを調査年次の間で比較すると 撤去前が最も高く 撤去直後 残留時と順に低下している これらのことから 銅の含有量の変化については 施設の撤去工事 あるいは残留の影響による可能性は小さいと考えられ 当該海域の海底はおよそ 6mg/kgを中心として銅の含有量には幅のある底質環境である と推測される 環境庁 ( 当時 ) が平成 7 年度に実施した海洋環境保全調査の結果を見ると 東京湾 伊勢湾などでは銅の含有量は約 10mg/kg~30mg/kg であり これらの値と比べると いずれの調査結果も高い値とは言えず 底質が汚染されていたような状況ではないと判断される 131

137 亜鉛の分析結果の比較を図 に示す 亜鉛 定量限界値 0.2 H20 H22 H 亜鉛 (mg/kg) E1 E2 E3 N1 N2 N3 NE2 NE3 S1 S2 S3 SE1 SW1 SW2 SW3 W1 W2 W3 調査定点図 亜鉛含有量の調査結果 亜鉛については 鉛と同様に撤去直後の調査定点 SW1 のみで高い傾向が認められる 平成 22 年度の調査結果うち 亜鉛含有量の測定結果を調査定点間で比較するためにスミルノフ グラブス検定を行ったところ 調査定点 SW1 の結果は優位水準 5% で他の調査定点との間に差が認められた 施設の下流側で最も施設に近い調査定点 SW1 のみで 撤去工事直後の一時期でのみ高い傾向が認められた結果から 撤去工事及び横倒しに伴う底泥の巻上げ等の影響で一時的に亜鉛含有量が高くなった可能性が考えられた 亜鉛含有量に関して他海域での調査結果を見ると 環境庁 ( 当時 ) が平成 7 年度に実施した海洋環境保全調査の結果では 東京湾及びその周辺海域における亜鉛の測定値は 16~400mg/kg と幅が広く これらの値と比較して撤去直後に調査定点 SW1 で観測された 130mg/kg という値は 特異に高い値ではないと判断できる 以上のように 硫化物 カドミウム 鉛 銅 亜鉛の 5 項目については 特徴的なデータが観測された このうち鉛 亜鉛の 2 項目については 撤去直後に行った調査でのみ高い傾向が認められたことから 工事による影響の可能性が考えられた 132

138 5.2.6 海生生物 (1) 動 植物プランクトン 1) 動物プランクトン本年度と 2008 年 7 月 2010 年 7 月の現地調査による動物プランクトンの調査結果の概要は図 (1)~(3) のとおりである 調査年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群の変化はなく 大きな差異はない 個体 /m H20.07 H20.08 H22.07 H24.08 調査時期 原索動物 きょく皮動物毛がく動物 触手動物節足動物 環形動物軟体動物 刺胞動物繊毛虫 肉質鞭毛虫 図 (1) 動物プランクトンの調査結果 ( 表層 ) の比較 個体 /m H20.07 H20.08 H22.07 H24.08 調査時期 原索動物 きょく皮動物毛がく動物 触手動物節足動物 環形動物軟体動物 刺胞動物繊毛虫 肉質鞭毛虫 図 (2) 動物プランクトンの調査結果 ( 中層 ) の比較 133

139 個体 /m H20.07 H20.08 H22.07 H24.08 調査時期 原索動物 きょく皮動物毛がく動物 触手動物節足動物 環形動物軟体動物 刺胞動物繊毛虫 肉質鞭毛虫 図 (3) 動物プランクトンの調査結果 ( 底層 ) の比較 134

140 2) 植物プランクトン本年度と 2008 年 7 月 2010 年 7 月の現地調査による植物プランクトンの調査結果の概要は図 (1)~(2) のとおりである 調査年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群の変化はなく 大きな差異はない 細胞数 /L H20.07 H20.08 H22.07 H24.08 調査時期 図 (1) 植物プランクトンの調査結果 ( 表層 ) の比較 不明鞭毛藻類緑色植物ユーグレナ植物ハプト植物不等毛植物渦鞭毛植物クリプト植物藍色植物 細胞数 /L H20.07 H20.08 H22.07 H24.08 調査時期 図 (2) 植物プランクトンの調査結果 ( 中層 ) の比較 不明鞭毛藻類緑色植物ユーグレナ植物ハプト植物不等毛植物渦鞭毛植物クリプト植物藍色植物 135

141 (2) 魚卵 稚仔魚本年度と 2008 年 7 月 8 月 2010 年 7 月の現地調査による魚卵 稚仔魚の調査結果は表 5.2-5~6 のとおりである 調査年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群の変化はなく 大きな差異はない 表 魚卵の調査結果 ( 表層 ) の比較 調査時期 種類数最小最大合計 平成 20 年 7 月 月 平成 22 年 7 月 平成 24 年 8 月 調査時期 個体数 [ 個体 /1,000m3] 最小最大平均 平成 20 年 7 月 月 平成 22 年 7 月 平成 24 年 8 月 表 稚仔魚の調査結果 ( 表層 ) の比較 調査時期 種類数最小最大合計 平成 20 年 7 月 月 平成 22 年 7 月 平成 24 年 8 月 調査時期 個体数 [ 個体 /1,000m3] 最小最大平均 平成 20 年 7 月 月 平成 22 年 7 月 平成 24 年 8 月

142 (3) ベントス 1) マクロベントス本年度と 2008 年 7 月 2010 年 7 月の現地調査によるマクロベントスの調査結果は図 (1)~(3) のとおりである 調査年次の違いによる種類数 総出現個体数に大きな差異はなく 主要な構成生物群の変化も見られず 撤去前から大きな変化はない 種類数 マクロベントス ( 種類数 ) 原索動物棘皮動物触手動物節足動物星口動物環形動物軟体動物ひも形動物刺胞動物 10 0 H20.07 H22.07 H24.08 調査時期 図 (1) マクロベントスの調査結果 ( 種類数 ) の比較 個体数 マクロベントス ( 個体数 ) 原索動物棘皮動物触手動物節足動物星口動物環形動物軟体動物ひも形動物刺胞動物 H20.07 H22.07 H24.08 調査時期 図 (2) マクロベントスの調査結果 ( 個体数 ) の比較 137

143 一方 湿重量についてみると 環形動物門は経年的に減少し 棘皮動物は逆に増加 している傾向が見られる 湿重量 (g/ m2 ) マクロベントス ( 湿重量 ) 原索動物棘皮動物触手動物節足動物星口動物環形動物軟体動物ひも形動物刺胞動物 H20.07 H22.07 H24.08 調査時期 図 (3) マクロベントスの調査結果 ( 湿重量 ) の比較 そこで 3 年間共通して調査を行った調査定点について 環形動物の湿重量の変化を見ると 図 (4) のようになる H20 H22 H24 量(g )200 環形動物の湿重量 湿 重 50 0 N1 S1 N3 S3 調査定点 図 (4) 3 年間の調査で共通の調査定点における環形動物の湿重量の比較 138

144 図に示したように 施設から 200m の調査定点である N1 及び S1 のうち N1 で は撤去前の平成 22 年度調査で大きな値が見られるが S1 では大きな変化は認められ ない 一方 施設から 1,000m の 最も離れている調査定点 N3 及び S3 では いずれ も経年的に見て特定の傾向は確認できない 調査定点全体を比較した図を図 (5) に示した 施設から 200m の調査定点 N1 から W1 についてみると 調査定点により出現状況は異なり N1 では経年的に減少 している傾向が認められるが SE1 では撤去直後よりも残留時の方が大きく S1 で は大きな変化はない 施設から 500m の調査定点 N2 から W2 についてみると 200m の調査定点と同様 に調査定点により出現状況は異なり 特定の傾向は確認できない 施設から 1,000m の調査定点 N3 から W3 については 施設からの距離が最も大きく撤去等の影響を受 けにくい調査定点であると考えられるが これらの調査定点でも経年的に見て特定の 傾向は確認できない H20 H22 H24 量(g )200 環形動物の湿重量 湿 重 50 0 N1 E1 SE1 S1 SW1 W1 N2 NE2 S2 E2 SW2 W2 N3 NE3 E3 S3 SW3 W3 調査定点 図 (5) 全調査定点における環形動物の湿重量の比較 以上のことから マクロベントスのうち 環形動物における重量の減少は 経年的なものではなく また撤去等の影響の可能性は小さく 自然変動あるいは特定の調査定点における出現状況による変化の可能性が考えられた 139

145 2) メイオベントス本年度と 2008 年 7 月 2010 年 7 月の現地調査によるメイオベントスの調査結果は図 (1) のとおりである 撤去前の平成 20 年 7 月と比べ 撤去直後の 2010 年 7 月 残留時の 2012 年 8 月における出現個体数は半数以下で少ない これは 主に原生動物門の出現個体数が少なかったことによるものである その他の動物門の出現状況については 原生動物門の変動と同程度の大きな変化は認められない 個体数 ( 個体 /10cm2) メイオベントス ( 個体数 ) 節足動物環形動物軟体動物袋形動物繊毛虫原生動物 0 H20.07 H22.07 H24.08 調査時期 図 (1) メイオベントスの調査結果 ( 個体数 ) の比較 個体数が減少した原生動物門について 3 年間共通して調査を行った調査定点における出現個体数の変化を見ると 図 (2) のようになる 図に示したように 施設との距離とは無関係に いずれの調査定点においても撤去前の平成 20 年度と比べて 平成 22 年度の撤去直後及び本年度の出現個体数は少なくなっている さらに 図 (3) に全調査定点の比較を示した 3 年間共通して調査を行った調査定点と同様に 全ての調査定点で 撤去直後及び残留時は撤去前よりも少ない出現となっている メイオベントスの餌料と考えられる底質中の有機物量に関連する有機体炭素 COD 強熱減量などに大きな変化は認められないことから 餌料環境の変化による個体数の減少とは考え難い 以上のこととあわせ 施設からの距離とは無関係な変動であることから 平成 20 年度は周辺海域全体で原生動物門に属するメイオベントスの個体数が多かった自然変動による変化の可能性が大きく 海洋施設の撤去 残留の影響による変化の可能性は小さいと考えられた 140

146 3000 メイオベントス 原生動物門の出現個体数 H20 H22 H 個体数(1500 個体) N1 S1 N3 S3 調査定点 図 (2) 3 年間の調査で共通の調査定点における原生動物門の出現個体数の比較 4500 環形動物の湿重量 H20 H22 H 湿重 2500 量(g ) N1 E1 SE1 S1 SW1 W1 N2 NE2 S2 E2 SW2 W2 N3 NE3 E3 S3 SW3 W3 調査定点 図 (3) 全調査定点におけるメイオベントスの出現個体数の比較 141

147 5.2.7 まとめ調査の結果 撤去した施設及びその場に残留する施設は およそ 6m 程度 東方向へ移動していた 撤去工事直後から本年度調査までの間の平成 23 年 3 月 11 日に 平成 23 年 (2011 年 ) 東北地方太平洋沖地震 が当該地域で発生し 広範囲にわたる地盤沈下 地盤の移動が観測されており 当該海域の海底面は東へ 5~24m 移動していた このことより 深浅測量結果の比較で確認された海洋施設の移動は 大震災によるものと考えられるが その場に残留している 4 箇所の基部が移動した幅は 1m 程度から 10m 以上とばらつきがあるため 残留する施設の周辺の海底が一様に移動したのかは不明であり 残留する施設の正確な位置の把握方法については 今後さらに検討の必要があると考えられる また 当該海域の物理環境及び生物の出現状況は 当該海洋施設の撤去前 撤去工事直後 本年度調査までの間 概ね同様の傾向にあるが 底質の金属類含有量及び底生生物では一部で変化が認められた 底質の鉛 亜鉛については 撤去工事の影響の可能性が考えられたが 底生生物については 変化は自然変動によるものと考えられた 当該海洋施設の設置前の状況 海洋施設から 200m 以内のごく近傍の状況を調査することで 周辺海域の変化が施設の撤去及び残留に起因するかを より確実に判断することが可能になると考えられた 142

148 5.3 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証平成 22 年度に 海洋掘採施設環境影響調査 において実施された撤去後の残留影響の事前評価結果は 平成 19 年度の 海洋掘採施設の廃止措置に係る環境影響評価 において検討された海洋掘採施設の撤去工事に係る環境影響評価の枠組みに沿い さらには撤去工事直後の事前評価の検証結果を反映して実施されたものである この評価の枠組みは 情報の蓄積が少ない中で検討されたものであることから 評価内容について検証し 評価の枠組みの再確認を行なうことによって より信頼性の高いものになると考えられる そのため 本年度実施した撤去工事後の現地調査結果等に基づいてこの事前評価結果を検証した 検証の方法 (1) 撤去後の現地調査結果と事前評価結果の比較今年度に実施した撤去工事後の現地調査の各項目について その結果を平成 22 年度 (2010 年 ) に実施した撤去工事直後あるいは直後の調査により把握した状況と比較し 変化の有無を確認した その結果から 残留による環境への影響の有無について検討し 事前評価結果との差異について確認した 事前の予測が定性的に行なわれている場合には 現地調査結果に基づく差異に着目して 予測内容の確認を行い 事前評価結果の検討を行った なお 現地調査結果は 5.1 現地調査 に示したとおりであり 撤去前の現況との比較検討は 5.2 現地調査結果の検討 において行った また 撤去工事終了後の平成 23 年 3 月 11 日には太平洋三陸沖を震源として東北地方太平洋沖地震が発生し この地震により大規模な津波が発生した 評価結果の検討においてはこの地震等の影響も念頭において行った 撤去後の事前評価結果の検証撤去後の現地調査結果と事前評価内容との比較の結果から 事前評価内容が妥当であったかどうかを検証した 検証は 変化が予測されたものは予測の範囲内に収まっているかどうかを確認し 差異がみられた場合については原因を検討した なお 残留する施設はその場に残留するもの ( ジャケット下部 ) と横倒して残留するもの ( ジャケット上部 ) があるため それぞれ検討した 以下 各項目について検討した 143

149 (1) 水環境 1) 海水の濁り 1 予測評価の内容残留した海洋掘採施設により海底付近の流況が変化し 海底土の巻上げが発生する場合 あるいは残留する施設が海底で波浪等により移動することがある場合には海底の状態によっては 海底土が巻き上げられて濁りが発生する可能性が考えられた そのため 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から検討した その場に残留する施設については施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認した 横倒して残留するものについては 施設の移動の可能性と その場合の海底土の巻き上げの可能性について 類似事例等を参考に検討した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである その場に残留 点検時の ROV による海底付近の映像から恒常的に濁りの発生する状況ではないことが確認できている また 施設の設置以降 ジャケット海底面付近で局所的に洗掘が生じているが その程度は最大でも 50cm 程度である 施設の設置以後 25 年経過している状況を鑑みれば 常時この海域の海底で土砂が舞い上がり濁りが発生している状況ではないことが推測され 残留後も同様の状況であることが予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 重量が約 5,300 トンであり 水中重量は約 2,000 トンになる 残留する海域の海底は平坦な砂質域であり 横倒しされたジャケット上部は海底面上で安定しているものと考えられる ジャケットの構造と建設設計時に検討したプラットフォーム基底付近 (EL.-154m) の 100 年に一度の確率 の嵐のときの潮流は 0.4 ノット ( 約 20cm/s) とされているので ジャケットに加わる力は十分に小さいことは事業者によって検討されている また これまで新潟県沖海域で同様のものが海底に沈められているが これまで台風等により移動したような話は聞かれていないことも合わせて 移動の可能性は小さいと予測される そのため それによる海底の巻き上げ等はなく それに伴って発生する海底付近の濁りも生じないものと予測される 施設の存在によって生じる海底付近の流れの変化による巻上げ等については その場に残留施設のこれまでの経緯を参考にすれば 同様の状態であると考えられ 常時この海域の海底で土砂が舞い上がり濁りが発生している状況ではないことが予測される 144

150 3 調査結果今年度実施した現地調査結果によれば 濁りの程度を指標する 濁度 及び 浮遊物質量 の観測値は 底上 10m 層ではいずれも定量下限値未満であり 清浄な状態であることが確認された 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底付近に濁りを生じる可能性は小さく 影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海底付近の流れにより移動する可能性は小さく それに伴って海底付近に濁りを発生させる可能性は小さいものと考えられた また 横倒して残留する施設が移動の可能性が小さいことから その存在による変化はその場に残留する施設と同様であると考えられ 施設の存在により海底付近に濁りを生じる可能性は小さいと考えられる 以上のことから 横倒して残留する施設についても 濁りに関する影響は軽微であると考えられた b. 評価の検証調査結果より 残留する海洋施設に起因する流動変化等による濁りの舞い上がりは特定されないことから 評価の妥当性は検証されたと判断できる 145

151 2) 有害物質等による海水の汚れ 1 予測評価の内容残留した海洋掘採施設から海水中に溶出する有害物質の有無について検討することが必要である 特に殺生物性の有害物質が含まれる塗料を使用している場合には必須である また 波浪等により移動し 海底土の巻き上げの可能性がある場合は 海底土の有害物質による影響も考慮することが必要である その場に残留する施設については 施設の塗装等の性状から確認するとともに施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認した 横倒して残留するものについては 施設の塗装等の性状から確認した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである その場に残留 その場に残留する施設の性状は構造用炭素鋼であり 塗装されていない 付帯している防食陽極はアルミニウム合金である 残留する施設内に残っているパイプラインの一部は撤去前に洗浄され 洗浄後の内部に油等が残存していないことを洗浄後に充填した海水の分析で確認している このような状態で残留されていることから 施設そのものからの有害物質等による海水の汚れが生じる可能性は小さいと予測される 海水の濁りの予測結果のとおり 施設の設置以来 存在する施設による海底の巻き上げの可能性は小さく また 底質調査による分析結果から底質に有害物質は含まれていないことから 海底の巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可能性は小さいことが予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設の性状は構造用炭素鋼である ジャケット頂部付近であった部分はエポキシ樹脂主体の塗料で塗装されているが この塗料は広く一般的に用いられている海洋掘採施設用塗料であり 成分表からみて 有害物質は含まれていない 付帯している防食陽極はアルミニウム合金である 残留する施設内に残っているパイプラインの一部は撤去前に洗浄され 洗浄後の内部に油等が残存していないことを洗浄後に充填した海水の分析で確認している このような状態で残留されていることから 施設そのものからの有害物質等による海水の汚れが生じる可能性は小さいと予測される 海水の濁りの予測結果のとおり その場に残留施設同様 存在する施設による海底の巻き上げの可能性は小さく また 底質調査による分析結果から底質に有害物質は含まれていないことから 海底の巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可能性は小さいことが予測される 146

152 3 調査結果撤去前 撤去工事直後及び今年度の調査結果によれば 水質の有害物質に大きな差はみられず 調査対象項目はすべて低濃度であり 海水の汚染は確認されなかった 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 残留する施設の性状から考えて 施設から有害物質等が海水に付加する可能性は小さいものと考えられる また 施設による海底の巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可能性も小さいことが予測されることから その場に残留する施設による有害物質等による海水の汚染の影響は軽微であると考えられた b. 評価の検証撤去前 撤去工事直後 今年度の調査結果より 水質に大きな変化はみられないことから 評価の妥当性は検証されたと判断できる 147

153 (2) 海底環境 1) 底質 1 予測評価の内容 a. 底質の粒径組成の変化残留した海洋掘採施設により海底付近の流況変化が起こる場合には 底質の粒径組成が変化する可能性が考えられる そのため 流況の変化と同時に底質の粒径組成の変化の可能性の有無を検討した 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から予測評価した その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認した 横倒して残留するものについては 施設の移動の可能性と その場合の海底土の巻き上げの可能性から 類似事例等参考にして確認した b. 底質の有機物質量の濃度の変化残留した海洋掘採施設に新たに付着する生物に起因する有機物質の増加について検討した 海洋掘採施設により海底付近の流況変化が起こる場合には同時に底質の撹乱が起こる可能性が考えられ 海底の有機物質の変化について検討した その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認する 横倒して残留するものについては 施設の存在の状況と 移動等による海底土の巻き上げの可能性について 類似事例等から定性的に予測した c. 有害物質等の底質への負荷残留した海洋掘採施設から発生する有害物質等による海底への負荷について検討する 特に殺生物性の有害物質が含まれる塗料を使用している場合には必須である 残留した海洋掘採施設が移動し海底撹乱を起こした場合には 浮遊した土砂の再堆積等による海底土砂からの影響について検討した その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認するとともに 施設の塗装等の性状から確認した 横倒して残留するものについては 施設の塗装等の性状から確認した d. 海底地形の変化新たに海底に残留する場合には 残留した海洋掘採施設そのものによる海底地 148

154 形の変化を検討した 残留した海洋掘採施設による流況変化及び波浪等による施設の移動による海底撹乱に伴う海底地形の変化についても検討した その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認した 横倒して残留するものについては 施設の存在の状況から定性的に予測した 2 予測結果 平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 粒径組成 その場に残留 残留する施設の存在により海底の巻き上げが起こる可能性は小さいことが 水環境への影響の検討において予測された 撤去前の底質調査結果より 近傍海域 (200m) と周辺海域 (1km) の底質の粒径組成は同様であることが確認されていることから 設置以降施設の存在により広い範囲の底質の粒径組成が変化した事実はないことが確認できている 以上のことから 今後この施設がその場に残留しても 海底の粒径組成に変化が生じる可能性は小さいものと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 水環境への影響で検討したとおり その重量と海底付近の流速から残留後流れによって移動する可能性が小さく それによって海底の巻き上げが生じる可能性も小さいことが考えられた そのため 海底撹乱による海底の粒径組成の変化を生じる可能性は小さいものと予測される 施設の存在によって生じる変化は その場に残留する施設のこれまでの経緯を参考にすれば 同様の状態であると考えられ 存在することによる海底撹乱による海底の粒径組成の変化を生じる可能性は小さいものと予測される 149

155 有機物質 その場に残留 残留する施設の存在により海底の巻き上げが起こる可能性は小さいことが 水環境への影響の検討において予測された 撤去前の底質調査結果より 近傍海域 (200m) と周辺海域 (1km) の底質の有機物質量は同様であることが確認されていることから 設置以降施設の存在により広い範囲の有機物質の濃度が変化した事実はないことが確認できている 以上のことから 今後この施設がその場に残留しても 海底の有機物質量に変化が生じる可能性は小さいものと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 水環境への影響で検討したとおり その重量と海底付近の流速から残留後流れによって移動する可能性が小さく それによって海底の巻き上げが生じる可能性も小さいことが考えられた そのため 移動等に伴う海底撹乱による海底の有機物質量の変化を生じる可能性は小さいものと予測される 施設の存在によって生じる変化は その場に残留する施設のこれまでの経緯を参考にすれば 同様の状態であると考えられ 存在することによる海底撹乱による海底の有機物質量の変化を生じる可能性は小さいものと予測される 横倒し前にジャケットに付着していた生物は 横倒し後 生息環境の変化から死亡 脱落する可能性が考えられる これらはそのまま海底に落下し 施設周辺のごく近傍の海底の有機物質量を増加させる可能性が予測される しかしその変化の範囲は 撤去前のプラットフォームの海底の状況から類推して 200m 以内の範囲と予測される 有害物質 その場に残留 その場に残留する施設の性状は構造用炭素鋼であり 塗装されていない 付帯している防食陽極はアルミニウム合金である 残留する施設内に残っているパイプラインの一部は撤去前に洗浄され 洗浄後の内部に油等が残存していないことを洗浄後に充填した海水の分析で確認している このような状態で残留されていることから 施設により有害物質等による底質の汚れが生じる可能性は小さいと予測される 撤去前の底質調査により 底質に有害物質は含まれていないことから 設置以降 施設により有害物質等による底質の汚れが生じたことはないと推測され 残留後も同様の状態が続くものと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設の性状は構造用炭素鋼である ジャケット頂部付近であった部分はエポキシ樹脂主体の塗料で塗装されているが この塗料は広く一般的に用いられている海洋掘採施設用塗料であり 成分表からみて 有害物質は含まれていない 付帯している防食陽極はアルミニウム合金である 残留する施設内に残っているパイプラインの一部は撤去前に洗浄され 洗浄後の内部に油等が残存していないことを洗浄後に充填した海水の分析で確認している このような状態で残留されていることから 施設そのものから有害物質等による底質の汚れが生じる可能性は小さいと予測される 150

156 海底地形 その場に残留 事業者が実施した施設の撤去前 撤去直後のサイドスキャンソナーによる海底地形の調査結果では 施設周辺の大きな海底地形の変化は確認されていない 施設の設置以降 ジャケット海底面付近で局所的に洗掘が生じているが その程度は最大でも 50cm 程度である 施設の設置以後 25 年経過している状況を鑑みれば 施設の存在により大きな海底地形の変化は生じなかったものと考えられ 施設の残留後も同様の状況であることが予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 約 70m 約 100m 高さ約 30~50m の状態で海底に新たに存在することになり これまで平坦であった海底にわずかではあるが凸部を生じることになる しかしながら 海洋においてこの程度の変化は小さなものであり 海図上における水深変化もごく狭い範囲であることから 当該海域の海底地形を大きく変化させるものではないと予測される また 存在する施設の海底付近での洗掘もその場に残留する施設の事例から考えて局所的なものであり 海域の海底地形を大きく変化させるものではないものと予測される 3 調査結果 a. 粒度組成撤去前 撤去工事直後 今年度の調査結果によれば 周辺海域の粒度組成に変化は見られない b. 有機物質撤去前 撤去工事直後 今年度の調査結果によれば 周辺海域の底質の有機体炭素 硫化物に大きな変化は確認されていない c. 有害物質撤去前 撤去工事直後 今年度の調査結果によれば 金属類の分析結果は溶出試験結果ではほとんどが定量下限未満で 数値が検出された地点でもその値は低いものであり 撤去前から大きな変化はない 含有量試験では 一部の項目で変化が認められたものの 観測された値はいずれも低いものであり 有害物質による底質の汚れは生じていないと判断される d. 海底地形撤去工事直後 今年度の調査結果によれば 当該海洋施設周辺の水深は約 0~5 m 深くなっており 当該施設は約 6m 東へ移動していた 151

157 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 粒径組成 その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底撹乱を生じ 広範囲の粒径組成の変化が生じる可能性は小さく 残留による影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海底付近の流れにより移動する可能性は小さく それに伴って海底撹乱を生じ 粒径組成の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた また 横倒して残留する施設が移動の可能性が小さいことから その存在による変化はその場に残留する施設と同様であると考えられ 施設の存在により粒径組成の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた 以上のことから 横倒して残留する施設についても 粒径組成に関する影響は軽微であると考えられた 有機物質 その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底撹乱を生じ 広範囲の有機物質量の変化が生じる可能性は小さく 残留による影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設が海底付近の流れにより移動する可能性 また 存在することに伴い海底撹乱を生じ 有機物質量の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた 横倒し前にジャケットに付着していた生物の死亡 脱落等による海底への落下に伴い 施設周辺のごく近傍の海底の有機物質量を増加させる可能性が予測されたが その変化の範囲は 撤去前のプラットフォームの海底の状況から類推して200m 以内の範囲と予測されることから 海域の広い範囲を変化させるものではないと考えられ 残留による当該海域への影響は軽微であると考えられた 有害物質 その場に残留する施設及び横倒しして残留する施設は ともにその性状から考えて 施設から有害物質等が海底に付加する可能性は小さいものと考えられ 残留による影響は軽微であると考えられた 152

158 海底地形 その場に残留 施設の設置以降 施設の存在による海底の変化はジャケット海底面付近で局所的に洗掘が生じているのみであり 施設の設置以降の状況から考えて残留後も同様の状況であることが予測されることから 施設の残留による海底地形への影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は海底にわずかではあるが凸部を生じさせるという変化をもたらすが その範囲は最大で 100m であり 海洋においては限定された狭い範囲であり 今後それが増大することも考えられないことから 海底地形への影響は軽微であると考えられた また 存在する施設の海底付近での洗掘による海底地形への影響についてもその場に残留する施設同様 影響は軽微であると考えられた b. 評価の検証粒度組成 有機物質 有害物質 ( 金属類 ) については 撤去前 撤去工事直後 今年度の調査結果より それぞれの項目に変化はみられないことから 評価の妥当性は検証されたと判断できる 海底地形については 水深の増加 残留する当該海洋施設の移動が確認されたが 撤去工事後の平成 23 年 3 月 11 日に発生した 平成 23 年 (2011 年 ) 東北地方太平洋沖地震 により当該地域を含む広範囲で地盤沈下 地盤の移動が観測されており 当該海域の海底面は東へ 5~24m 移動していたことより 調査結果の比較で確認された水深の増加と 海洋施設の移動は 大震災によるものと考えられる よって 評価の妥当性は検証されたと判断できる 153

159 (3) 流況 1 予測評価の内容海域に海洋掘採施設が残留し存在する場合には 新たな海底付近の流れの障害物となることが考えられ 流況が変化する可能性が考えられる 残留をする施設の構造を考慮した上で検討した その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認した 横倒して残留するものについては 施設の存在の状況から定性的に予測した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである その場に残留 事業者への聞き取り調査結果によれば 施設の設置以降 施設の存在によって周辺海域の流況に変化が生じたという事例はみられていない その場に残留することにより これまで同様の状況が続くことが考えられ 当該海域の流況が変化することはないものと予測される 横倒して残留 施設を横倒して残留することにより これまで平坦な海底に凸部が生じることになる そのため 海底付近の流況が変化することが想定されるが 残留する施設の主構造は鋼管の部材により組まれたものであり それらの部材の径は長さに比較して細いので 水の抵抗を大きく受けるものではない 施設の存在する周辺の限られた範囲では 例えばその内部では流速が低減するなどミクロな範囲での流速変化が生じることは予測されるが 撤去前の海洋掘採施設の存在により海域の流況が大きく変化したということがないという事実に鑑み 海域全体の流況を変化させるものではないと予測される 3 調査結果今年度の調査結果と撤去前の 2008 年の調査結果とを比較すると 恒流成分は水深が深くなるほど流速が小さくなる傾向を示し 流向については 今年度調査 2008 年調査ともに全層で南西向きとなり一致した 本年度の第二管区海上保安本部の結果では 7 月から 8 月上旬までは流れが弱かったものの 8 月中旬からは南方向への流れが卓越していた この 7~8 月の結果は 154

160 当該海域周辺の海域では 南向きの流れがみられており 当該海域も 流れの大き さは小さいものの南向きの傾向があるものと推測された 以上のことから 本年度の流況は例年同様の状況と考えられた 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである その場に残留 施設の設置以降 施設の存在によって周辺海域の流況に変化が生じたという事例はみられていないことから 残留することにより当該海域の流況が変化することはないものと予測されることから 流況への影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 施設を横倒して残留することにより 海底に凸部が生じることになり 施設周辺の限られた範囲の流況が変化することが想定されるが 既存の海洋掘採施設の設置以降の状況に鑑み 海域全体の流況を変化させるものではないと予測されることから 海域の流況への影響は軽微であると考えられた b. 評価の検証 2008 年調査時の流況と様相は若干異なるが 基本的に例年通りの傾向であり 海洋掘採施設周辺の流況変化は残留の影響ではなく海流の自然変化によるものと考えられた そのため 事前評価結果は妥当なものと考えられる 155

161 (4) 海生生物 1) プランクトン 1 予測評価の内容濁水の発生及び有害物質による汚染の発生予測に基づく生息環境の定性的な予測評価を行った 一般に 浅海部の海中に濁りが生じる場合 植物プランクトンの光合成に影響が生じ 海洋の一次生産量が変化する可能性がある また 海水の濁りを含めた水環境の変化は生息する動物プランクトンにも影響が考えられる a. 評価の内容及び方法プランクトンの生息環境である水環境が変化する場合には 植物プランクトン 動物プランクトンへの影響を予測評価した その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認した 横倒して残留するものについては 施設の存在の状況及び水環境の変化の予測結果から定性的に予測した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 施設の残留により水環境の変化の可能性は小さいことが予測されることから プランクトンの生息環境の変化の可能性も小さいことが予測される 3 調査結果水環境に大きな変化はみられず 植物プランクトン 動物プランクトンの調査結果でも 撤去前 撤去工事直後 今年度を通じて 調査年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群に変化は認められず プランクトンの生息環境の変化は確認されなかった 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 156

162 施設の残留によりプランクトンの生息環境の変化の可能性は小さいことが予測される ことから 残留による影響は軽微であると考えられる b. 評価の検証プランクトンの生息環境である水環境に大きな変化はみられなく 植物プランクトン 動物プランクトンの調査結果でも 撤去前 撤去工事直後 今年度を通じて 調査年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群に変化は認められなかった このことより 評価の妥当性は検証されたと判断できる 2) 遊泳生物 1 予測評価の内容水環境 海底環境の変化の予測に基づく海洋生物の生息環境の変化を定性的に予測する a. 評価の内容及び方法遊泳生物の生息環境の悪化が予測される場合には遊泳生物への影響が想定されることから それぞれの予測結果に基づいて 生息環境の変化の程度を予測する 水環境への影響が予測される場合 あるいは海洋掘採施設の存在そのものにより遊泳生物への影響が考えられる場合には 影響を予測評価する 対象は 遊泳魚類 海産哺乳類 ウミガメ等である その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認した 横倒して残留するものについては 施設の存在の状況及び水環境の変化の予測結果から定性的に予測した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 157

163 その場に残留 施設の撤去前の検査時の ROV 調査結果によれば施設周辺には施設を隠れ場所とすると考えられる魚類の存在が確認できている その場に残留する施設は 従来の施設に比べ海面付近の部分がなく 多量の付着生物の存在がなくなることから この存在に依存していた遊泳生物は減少する可能性はあるが 海底付近の隠れ場所として利用していたと考えられる遊泳生物はこれまで同様存在するものと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 平坦な海底に魚礁を設置するのと同様の変化をもたらすことから 他地点のプラットフォームを魚礁に転用した事例から類推して 魚類が蝟集して 近傍のその場に残留する施設と同様の魚類相が形成されるものと予測される 3 調査結果水環境の海水の濁り 有害物質の負荷については 今年度実施した現地調査結果によれば清浄な状態が保たれており 影響は軽微であると判断されている そのため 遊泳動物の生息環境である水環境の変化は小さなものであると判断した 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである その場に残留 残留前の施設周辺の遊泳魚類相が一部変化する可能性は考えられるが 残留部分周辺の生物は残留前と同様の状態が継続し 大きな変化はないものと考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設には 残留前の平坦な海底であった場合とは違った魚類相が形成されるような変化が予測されるが 横倒しする場所がその場に残留する施設の近傍であることから 残留される施設周辺に形成される魚類相は 従来から近傍の既存の施設周辺に生息する魚類等と同様と考えられる この変化は 環境への影響という観点からは軽微なものと考えられる b. 評価の検証残留する施設の周辺を含め 福島県沖は震災等の影響により漁業操業が実施されていない そのため 漁獲量の比較などは実施できないものの 水環境等の生息環境の変化は事前評価結果のとおり軽微なものであり 残留による影響はほとんど 158

164 みらないことから 事前評価結果の内容が妥当なものであると考えられた 3) 底生生物 1 予測評価の内容海底環境の影響 海底付近の濁りの発生の予測結果を元に 底生生物への影響を予測評価する また 切断したジャケットの移動による生物の圧殺についても予測評価する a. 評価の内容及び方法海底環境の変化に伴う底生生物の生息環境の変化及び横倒しにより底生生物が影響を受ける範囲の最大限の影響を想定して予測した 海底環境への影響が予測される場合は 海底環境の変化の予測結果を基に 底生生物への影響を予測評価した 残留した海洋掘採施設への付着生物についても検討した その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認した 横倒して残留するものについては 施設の存在の状況及び海底環境の変化に伴う底生生物の生息環境の変化を想定して予測した 159

165 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである その場に残留 残留する施設の存在により海底環境の変化の可能性が小さいことは検討されている 撤去前の底質調査結果より 近傍海域(200m) と周辺海域 (1km) の底生生物の状況の大きな差異はないことが確認されていることから 設置以降施設の存在により広い範囲の底生生物相が変化した事実はないことが確認できている ただし 直下の海底では これまで海面付近の付着生物から供給されていた有機物が ジャケット上部撤去により減少することから 底生生物に何らかの変化が生じることが想定されるが その範囲は極めて限定されたものと考えられる 以上のことから 今後この施設がその場に残留しても この海域の底生生物に変化が生じる可能性は小さいものと予測される 付着生物についても 従来の生息環境と同様の状態が継続することから 大きく変化することはないものと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は そこに存在し続けることになる 海底環境へ及ぼす変化はごく近傍の局所的なものであり 海域に大きな変化を及ぼすものではないことは既に予測したが 当該海域は 平坦な砂泥底であることから そこに新たに存在する構造物は 海底に岩が出現したようなもので 新たな生息環境が創出されるものと考えられる これまで設置されていた海洋掘採施設ではジャケット基底付近の海底では ジャケットに付着する生物や そこから海底に供給される有機物等により 周辺とはやや違った環境が存在することが目視観察により確認されているが 今後同様の環境が形成されるものと予測される 3 調査結果底質環境に大きな変化はみられず 底生生物 ( マクロベントス メイオベントス ) 調査結果でも 撤去前 撤去工事直後 今年度を通じて 調査年次の違いにより量的には多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群に変化は認められなかった 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 160

166 その場に残留 施設の残留により 底生生物に変化が生じる可能性は小さいものと予測され また 付着生物についても 従来の状態から大きく変化することはないものと予測されたことから 施設の残留による付着生物及び底生生物への影響は軽微であると考えられる 横倒して残留 横倒して残留する施設により 新たな付着生物の基盤ができ また そこから供給される有機物により海底の局所的な底生生物層が変化することが考えられる しかしながら 撤去前の底生生物調査結果からもわかるように 施設の周辺の生物相に大きな変化がみられないことから 施設の残留による生物相の変化は局所的なものであり 海域の広い範囲に及ぶものではないものと考えられ 環境への影響という観点からは影響は軽微と考えられる b. 評価の検証底生生物の生息環境である底質環境に大きな変化はみられなく 底生生物の調査結果でも 撤去前 撤去工事直後 今年度を通じて 調査年次の違いにより量的には多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群に変化は認められなかった このことより 評価の妥当性は検証されたと判断できる 161

167 (5) 生態系脆弱な生態系 海洋生物の生息にとって重要な海域及び特殊な生態系の存在の有無を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認した 横倒して残留するものについては 施設の存在の状況 性状と 脆弱な生態系等の存在の現状から定性的に予測評価した 1) 藻場 干潟 サンゴ群落その他の脆弱な生態系 1 予測評価の内容藻場 干潟 サンゴ群落その他の脆弱な生態系の存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 文献調査結果によれば 残留する施設の近傍には藻場 干潟等の脆弱な生態系は存在していない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 3 調査結果残留後に藻場 干潟 サンゴ群落その他の脆弱な生態系の存在に変化があったという情報は得ていないので これら脆弱な生態系は事前予測どおり存在していないと考えられた 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 残留する海洋掘採施設の近傍には影響を受ける藻場 干潟 サンゴ群落その他の等の脆弱な生態系は存在していないことから 残留による影響はないものと考えられる 162

168 b. 評価の検証震災等の影響により情報が不足している部分はあるものの 残留海域の周辺においては事前評価時から水環境等の現況に大きな変化がないことから 事前評価結果は妥当なものであったと考えられる 2) 重要な生物種の産卵場又は生育場その他の海洋生物の生息又は生育にとって重要な海域 1 予測評価の内容重要な生物種の産卵場又は生育場その他の海洋生物の生息又は生育にとって重要な海域の存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである その場に残留 残留する施設周辺の海域は 水産庁資源回復計画の太平洋北部沖合性カレイ類資源回復計画の保護区となっている また 複数種の海産哺乳類が影響想定海域を含む 日本周辺の広い海域に分布する しかし 残留される施設の 1983 年の設置以降 これらの保護区あるいは海産哺乳類の生息海域の環境に特段の問題を生じていない そのため 施設の残留による環境影響の面で著しい障害を生じる恐れはないと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海域での新たな存在として 海底に存在し続けることになる 海洋における保護区が引き続き設定されると考えた場合 毎年 4 月 1 日から 6 月 30 日までの期間には保護区内に残留する施設が存在することになる しかし残留する施設は 水環境 海底環境を大きく変化させるものではないことがこれまで予測されている 一方 残留する施設は同様のものが他地点で魚礁として再利用されている事例もあり 集魚効果が認められているものもあることから 今回残留する施設も同様の形状であり その存在により漁業への寄与も予測される 163

169 また 施設を残留する海域は 海産哺乳類の移動経路になることは十分考えられるが 残留範囲は限られたごく狭い範囲であり 廃棄された施設は海面から少なくとも 90m の水深が確保されていることから これらの生物の移動あるいは生息に影響を及ぼすものではなく その生息環境に変化を及ぼすものではないと予測される 3 調査結果水環境の海水の濁り 有害物質の負荷については変化の範囲が限定的であり 影響は軽微であると考えられた そのため 遊泳動物等の生息環境である水環境の変化は小さなものであると判断した 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである その場に残留 残留する施設は 1983 年の設置以降 保護区あるいは海産哺乳類の生息海域の環境に特段の問題を生じていない そのため 施設の残留によるこれら重要な海域への影響は軽微であると考えられる 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海域での新たな存在として 海底に存在し続けることになるが 存在する状態は 既存の海洋掘採施設等がこれまで魚礁に転用された場合と同様の形態である 当海洋掘採施設 あるいは魚礁に転用された他地点事例からは この存在によって周辺環境への特段の影響が生じたという事実はみられていないことから これらの重要な海域への影響は軽微であると考える b. 評価の検証廃棄した施設の周辺を含め 福島県沖は震災等の影響により漁業操業が実施されていない そのため 資源量の目安となる漁獲量についての比較などは実施できないものの 水環境等の生息環境の変化は事前評価結果のとおり軽微なものであり 残留による影響はほとんどみられないことから 事前評価結果の内容が妥当なものであると考えられた 164

170 3) 特殊な生態系 1 予測評価の内容特殊な生態系の存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 海洋掘採施設の残留場所は 沿岸から約 40km 沖合 水深約 150m の平坦な海底の海域であり 文献調査によれば この海域に化学合成生態系等の特殊な生態系は分布しない そのため 海洋掘採施設の残留により 変化を及ぼすことはないものと予測される 3 調査結果施設の残留後に特殊な生態系の存在が確認されたという情報は得ていないので これら特殊な生態系は事前予測どおり存在していないと考えられた 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 残留する海洋掘採施設近傍には影響を受ける化学合成生態系その他の特殊な生態系は存在していないことから 残留による影響はないものと考えられる b. 評価の検証震災により地形等に変化はあったものの 残留海域においては事前評価時から環境の現況に大きな変化がないことから 事前評価結果は妥当なものであったと考えられる 165

171 (6) 人と自然との触れ合い活動の場海洋レクリエーションの利用 海中公園等の存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認する 横倒して残留するものについては 施設の存在の状況 性状と 海洋レクリエーションの利用 海中公園等の存在の現状から定性的に予測評価する 1) 海水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用 1 予測評価の内容海水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 当該海域は 沿岸から約 40km 沖合 水深約 150m の外洋域であり この海域において海水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用はない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 3 調査結果新聞等の報道によれば 震災等の影響により 福島県沿岸では海洋レクリエーションはほとんど実施されていない また 新たな海洋レクリエーションの場が開発された という情報も得られていない 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海水浴場その他の海洋レクリエーションの場 としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えられる 166

172 b. 評価の検証現時点では 当該海域を含め福島県では海洋レクリエーションが実施される状況にないため検証は困難であるが 残留海域においては事前評価時から環境の現況に大きな変化がないことから 事前評価結果は妥当なものであったと考えられる 2) 海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域としての利用 1 予測評価の内容海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域としての利用の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 当該海域は 沿岸から約 40km 沖合 水深約 150m の外洋域であり この海域には海中公園等の自然環境の保全を目的とした区域はない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 3 調査結果残留後に自然環境の保全を目的とした区域に変化があったという情報は得ていないので これら自然環境の保全を目的とした区域としての利用は事前予測どおり存在していないと考えられた 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えられる b. 評価の検証震災により地形等に変化はあったものの 残留海域においては事前評価時から環境の現況に大きな変化がないことから 事前評価結果は妥当なものであったと 167

173 考えられる 168

174 (7) 海域利用当該海域での海域利用の状況を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化 施設の残留の状態から 影響を定性的に予測評価する その場に残留する施設については 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認する 横倒して残留するものについては 施設の存在の状況 性状と 漁場 航路 海底ケーブルの敷設 海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用の現状から定性的に予測評価する 1) 漁場 1 予測評価の内容当該海域での漁場としての利用の状況を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化 工事範囲から 影響を定性的に予測評価した 2 予測結果 平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 残留する施設の近傍の海域はカレイ類等の漁場として利用されている 3 調査結果震災等の影響により 福島県の沖合いでは漁業は操業されていない 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 海洋掘採施設を残留する場所は漁場の一部に及んでいるが 残留については地元漁業者と調整済みであること 残留後は保安部への届けにより海図にその存在が記載されることから 当該海域の漁業に及ぼす影響は軽微であると考えられる b. 評価の検証現時点では漁業は実施されていないが これは震災等の影響によるものであるため 残留による影響の有無の検証は現時点では困難であると考えられる 169

175 2) 航路 1 予測評価の内容当該海域での航路としての利用の状況を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化 工事範囲から 影響を定性的に予測評価した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 残留する施設の近傍に主要な航路はない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 3 調査結果施設の残留後に航路の設定に変化があったという情報は得られていない 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 残留する海洋掘採施設近傍には主要な航路はなく また 残留する海洋掘採施設は海面までの水深を 90m 以上確保し IMO のクリアランス基準 (55m) を担保していることから 仮に漁船等の通行があったとしても 航路利用への影響はないものと考えられる b. 評価の検証事前予測どおり対象海域に航路の利用はなく 当該海域の航路利用への影響はみられず 事前評価結果は妥当なものと考えられた 170

176 3) 海底ケーブルの敷設 1 予測評価の内容当該海域での海底ケーブルの敷設の状況を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化 工事範囲から 影響を定性的に予測評価した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 残留する施設の近傍に海底ケーブルはない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 3 調査結果残留後に海底ケーブルの敷設状況に変化があったという情報は得られていない 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 海洋掘採施設の残留場所近傍には海底ケーブルの敷設はないことから 海域の海底ケーブルへの影響はないものと考えられる b. 評価の検証海底ケーブルの敷設状況に変化がなく 事前予測どおりの状況であったため 事前評価のとおり海底ケーブルへの影響はなく 事前評価結果は妥当であるものと考えられる 171

177 4) 海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用 1 予測評価の内容当該海域での海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用の状況を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化 工事範囲から 影響を定性的に予測評価した 2 予測結果平成 22 年度調査結果における予測結果は次のとおりである 残留する施設の近傍では磐城沖石油開発のガス田掘採施設が稼動していたが 現在はこれも含めて存在しない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 3 調査結果残留後に海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用状況に変化があったという情報は得られていない 4 事前評価結果及び評価の検証 a. 事前評価結果平成 22 年度調査結果における評価結果は次のとおりである 海洋掘採施設の残留場所には 現在海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用はないことから 底資源の探査又は掘削その他の海底の利用への影響はないものと考えられる b. 評価の検証海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用状況に変化がなく 事前予測どおりの状況であったため 事前評価のとおりこれら海底利用への影響はなく 事前評価結果は妥当であるものと考えられる 172

178 5.3.3 撤去工事直後の事前評価の考え方の再検討評価結果を検証した結果に基づき 事前評価の内容の差異の有無を確認し 平成 22 年度に実施された撤去工事直後の事前評価の考え方を再検討した (1) 事前評価の検証結果のまとめ事前評価の検証結果内容を 検証まとめとしてとりまとめた ( 表 5.3-6) 評価結果を検証した結果 事前評価の内容に差異がみられた項目はなく 各項目の環境への影響評価結果は 全ての項目で影響は軽微という事前評価の結果に合致していたと考えられる 撤去から今年度の調査の間に東北地方太平洋沖地震があったため その影響が懸念されたが 残留施設の周辺の海洋環境の大きな変化は 地盤の移動以外 明らかな変化は確認できなかった (2) 事前評価の妥当性今回の検証により 事前評価内容 考え方については 妥当であったと判断できた 173

179 ( 1 ) 水環境 ( 2 ) 海底環境 評価項目 水質 底質 1 海水の濁り ⅰ 粒径組成 残留した海洋掘採施設により海 その場に残留 調査結果より 残留する海洋施設に起因す 底付近の流況が変化し 海底土の 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底る流動変化等による濁りの舞い上がりは特定 巻上げが発生する場合 あるいは残留する施設が海底で波浪等により移動することがある場合に海底土が巻き上げられて濁りが発生する可能性が考えられる 付近に濁りを生じる可能性は小さく 影響は軽微であると考えられた されないことから 評価の妥当性は検証されたと判断できることから 事前評価どおりである 横倒して残留 横横倒して残留する施設の移動の可能性は小さく その存在による変化はその場に残留する施設と同様であり 海底付近に濁りを生じる可能性は小さいと考えられる 濁りに関する影響は軽微であると考えられた 残留する施設の性状 残留場所 残留する施設の性状から有害物質等が海水に付加する 撤去前 撤去工事中 今年度の調査結果よ 2 有害物となる海底の状況から 海水中に 可能性は小さいものと考えられる また 施設による海底のり 水質に大きな変化は見られないことから 質等によ溶出する有害物質について ある 巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可 事前評価どおり る海水のいは海底土の巻き上げによる海底能性も小さいことが予測され 有害物質等による海水の汚 汚れ 土の有害物質による影響を検討する 染の影響は軽微であると考えられた 残留する施設の性状 残留場所 その場に残留 現地調査結果では撤去直後の状況と大き となる海底の状況から 海底付近 施設の設置以後の状況からみて 海底撹乱を生じ広範 な違いはなく 事前評価どおり の流況変化が起こる可能性と底質囲の粒径組成の変化が生じる可能性は小さく 残留によ の粒径組成の変化の可能性を検 る影響は軽微であると考えられた 討し 予測評価する ⅱ 有機物質 残留した海洋掘採施設に新たに付着する生物に起因する有機物質の増加 あるいは海底付近の流 況変化により海底の有機物質の変化について検討する 横倒して残留 横倒して残留する施設の移動する可能性は小さく 海底撹乱により粒径組成の変化が生じる可能性は小さい その存在による変化はその場に残留する施設と同様であり 粒径組成に関する影響は軽微であると考えられた その場に残留 現地調査結果では撤去直後の状況と大き 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底な違いはなく 事前評価どおり 撹乱を生じ 広範囲の有機物質量の変化が生じる可能性は小さく 残留による影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設の存在により海底撹乱を生じ 有機物質量の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた 残留した施設の付着生物の落下による海底への有機物の負荷は 撤去前の海底の状況から類推してごく近傍と予測され 限定された範囲であることから影響は軽微であると考えられた 海洋掘採施設からの有害物質等 残留する施設の性状から考えて 有害物質等が海底に 現地調査結果では撤去直後の状況と大き ⅲ 有害物の負荷 施設の移動等により海底付加する可能性は小さいく 海底土の性状からも残留によな違いはなく 事前評価どおり 質による撹乱を起こした場合の土砂の再堆る影響は軽微であると考えられた 汚れ積等による影響について検討する 海底 ⅳ 海底地地形形 評価内容 新たに存在する海洋掘採施設による海底地形の変化を検討する 残留した海洋掘採施設による流況変化及び施設の移動による海底撹乱に伴う海底地形の変化についても検討する 表 5.3-6(1) 検証結果のまとめ -1 事前評価結果 その場に残留 施設の設置以降 ジャケット海底面付近で局所的に洗掘が生じているのみであり 施設の設置以降の状況から考え て残留後も同様の状況であることが予測され 海底地形への影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は海底にわずかに凸部を生じさせる しかし その範囲は最大で 100m であり 海洋では狭い範囲であり 今後それが増大することも考えられないことから 影響は軽微であると考えられた また 施設の海底付近での洗掘による海底地形への影響についてもその場に残留する施設同様 影響は軽微であると考えられた 評価の検証結果 水深の増加 残留する当該海洋施設の移動が確認されたが 撤去工事後のH23 年 3 月 11 日に発生した 平成 23 年 (2011 年 ) 東北地 方太平洋沖地震 により当該地域を含む広範囲で地盤沈下 地盤の移動が観測されており 当該海域の海底面は東へ5~24m 移動していたことより 調査結果の比較で確認された水深の増加と 海洋施設の移動は 大震災によるものと考えられる ( 3 ) 流況 流況 海域に海洋掘採施設が残留し存 その場に残留 在する場合に 新たな海底付近の流れの障害物となることが考えられ 流況が変化する可能性が考えられる 残留をする施設の構造を考慮したうえで検討する 施設の設置以降の流況変化の事例は見られていないことから 残留により当該海域の流況の変化はないものと予測され 影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 施設の残留により海底に新たに凸部が生じ 周辺の限られた範囲で流況が変化することが想定されるが 既存の施設の設置以降の状況に鑑み変化は局所的であり 海域の流況への影響は軽微であると考えられた 2008 年調査時の流況と様相は若干異なるが 基本的に例年通りの傾向であり 海洋掘採施設周辺の流況変化は残留の影響ではなく海流の自然変化によるものと考えられ 事前評価どおり 174

180 生物環境 生物環境 評価項目 ( 7 ) 海域利用 2 遊泳生物 3 底生生物 ⅱ 海洋生物の生息にとって重要な海域 ⅲ 特殊な生態系 1 海洋レクリエーション ⅱ 海中公園等 ⅰ 漁場 ⅱ 航路 ⅲ 海底ケーブル敷設 ⅳ 海底資源等 a. 評価内容 水環境への影響 あるいは海洋掘採施設の存在そのものにより遊泳生物への影響が考えられる場合には 影響を予測評価する d. 事前評価結果 水環境の変化による植物プランク 水環境の変化の可能性は小さいことが予測されることか 4 1 プラントン 動物プランクトンへの影響をら 残留による影響は軽微であると考えられる クトン予測評価する ( ) 海生生物 ( 5 ) 生態系 触れ 6 合い活人動との自場然との ( ) その場に残留 残留前の施設に依存していた遊泳魚類相が一部変化する可能性は考えられるが 残留部分周辺の生物は残留前と同様の状態が継続し 大きな変化はないものと考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設により平坦な海底が変化することから違った魚類相が形成されるような変化が予測されるが その場に残留する施設の近傍であることから 残留される施設周辺に形成される魚類相はこれまで同様と考えられる この変化は 軽微なものと考えられる 調査年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群に変化は認められず 事前評価どおり 漁獲量の比較などは実施できないものの 水環境等の生息環境の変化は事前評価結果の通り軽微なものであり 事前評価どおり 海底環境への影響に基づきが底 その場に残留 現地調査結果では 調査年次の違いにより生生物への影響を予測評価する 施設の残留により 底生生物に変化が生じる可能性は小量的には多少ばらつきはあるが 主要な構残留した海洋掘採施設への付着さく 付着生物についても 従来の状態から大きく変化す成生物群に変化は認められず 事前評価ど生物についても検討する ることはないと予測され 影響は軽微であると考えられる おり 脆弱な生態系 海洋生物の生息 ⅰ 脆弱なにとって重要な海域及び特殊な生生態系態系の存在の有無を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する 海洋レクリエーションの利用 海中公園等の存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する 当該海域での海域利用の状況を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化 施設の残留の状態から 影響を定性的に予測評価する 表 5.3-6(2) 検証結果のまとめ -2 横倒して残留 横倒して残留する施設に新たな付着生物の基盤が出来 そこから供給される有機物により海底の局所的な底生生物層が変化することが考えられる しかし 撤去前の底生生物の状況から施設の周辺の生物相は場所により大きな変化が見られないことから 変化は局所的であり 環境への影響という観点からは影響は軽微と考えられる 近傍には影響を受ける藻場 干潟 サンゴ群落その他の等の脆弱な生態系は存在していないことから 残留による影響はないものと考えられる その場に残留 残留する施設は 1983 年の設置以降 保護区あるいは海産哺乳類の生息海域の環境に特段の問題を生じてい ない そのため 施設の残留によるこれら重要な海域への影響は軽微であると考えられる 横倒して残留 当海洋掘採施設 あるいは魚礁に転用された他地点事例からは 新たに存在することによって周辺環境への特段の影響が生じたという事実は見られていないことから 影響は軽微であると考える 震災等の影響により情報が不足している部分はあるものの 残留海域の周辺においては事前評価時から水環境等の現況に大きな変化がないことから 事前評価どおり 資源量の目安となる漁獲量についての比較などは実施できないものの 水環境等の生息環境の変化は事前評価結果の通り軽微なも のであり 残留による影響はほとんどみらないことから 事前評価どおり 残留する海洋掘採施設近傍には影響を受ける化学合成 災により地形等に変化はあったものの 残生態系その他の特殊な生態系は存在していないことから 留海域においては事前評価時から環境の現残留による影響はないものと考えられる 況に大きな変化がないことから 事前評価どおり 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えられる 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えられる 海洋掘採施設を残留する場所は漁場の一部に及んでいるが 地元漁業者と調整済みであること 保安部への届けにより海図にその存在が記載されることから 当該海域の漁業に及ぼす影響は軽微であると考えられる 残留する海洋掘採施設近傍には主要な航路はなく 海面までの水深を 90m 以上確保し IMO のクリアランス基準 (55m) を担保していることから 漁船等の航行があったとしても 航路利用への影響はないものと考えられる 現時点では海洋レクリエーションが実施される状況にないため検証は不可能であるものの 残留海域においては事前評価時から環境の現況に大きな変化がないことから 事前評価どおり 震災により地形等に変化はあったものの 残留海域においては事前評価時から環境の現況に大きな変化がないことから 事前評価どおり 漁業は実施されていないが 震災に伴うものであり 残留によるものではないと考えられる 対象海域に航路の利用はなく 当該海域の航路利用への影響は見られず 事前評価どおり 海洋掘採施設の残留場所近傍には海底ケーブルの敷 海域の状況は事前評価時の状況と同様で設はないことから 海域の海底ケーブルへの影響はないもあり 影響はないと考えられる のと考えられる 現在その他の海底の利用はないことから 海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用への影響はないものと考えられる 評価の検証結果 海域の状況は事前評価時の状況と同様であり 影響はないと考えられる 175

181 5.4 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討大水深海域に設置された海洋掘採施設の撤去工事及び撤去後の残留時の環境影響について 磐城沖海洋掘採施設を事例にしてこれまで実施した事前評価内容 現況調査結果による評価内容の検証結果などに基づき総合的に評価し 事前評価の適切な考え方 評価の枠組みの検討を行った あわせて モニタリング内容についても検討した 磐城沖海洋掘採施設撤去の概要磐城沖海洋掘採施設は福島県東方沖合い 40km の水深約 150m の海域に 天然ガス採取を目的として昭和 58 年 (1983 年 ) に設置された施設である ( 図 5.4-1) この施設は平成 19 年 (2007 年 ) に生産操業を終了し 平成 22 年 (2010 年 ) に撤去された 撤去後 施設の一部は設置場所及びその近傍に残留された (1) 撤去工事の概要海洋掘採施設は 上載設備 ジャケット上部 ジャケット下部に区分して撤去が行われた 撤去した上載設備は陸上にて処分し それ以外の部分は当該海域に残留されたが 撤去工事時の影響評価は事前の計画を元に実施しているため ここでは 事前計画に基づいた工事の概要を記載する ( 図 5.4-1) 1) 上載設備上載設備は モジュールサポートフレーム デッキ フロアー 設備 装置等から成る 撤去は クレーン船を用いて 建設時の搭載順序と逆の順序で行う これは 構造体を切断 撤去する場合に その重量 強度を建設時と同等にして 安全に作業を実施するためである この上載設備は陸上に撤去してスクラップ化し 資源として利用する 2) ジャケット上部及びパイプラインの一部ジャケットはスカートパイル最上部近辺 (EL.(-)92.5m) の位置で切断し ジャケット上部は撤去後 ジャケット下部に近接して横倒しにして海底面上に残留する なお 同時にジャケット内部のパイプラインも同様に処置する 撤去工程及び概要は以下のとおりである 1 レグ メインパイル及びパイプラインの切断 ROV(Remotely operated Vehicle) 及びダイヤモンドワイヤーソー (Diamond Wire Saw :DWS) 等を用い レグとメインパイル (2 重管の状態 ) を外側から切断する 2 メインパイルの回収ジャケット吊り重量の低減を図る為 切断後にメインパイルを回収する 杭長は 175

182 100m 長に達する為 2 分割にて回収する メインパイルの回収後 切断されたジャケット上部が下部よりずれないようにズ レ止め短管をレグ内に挿入する 3 ブレースの切断 ROV 及びアブレッシブウォータージェット (Abrasive Water Jet :AWJ) ダイ ヤモンドワイヤーソー等で切断する 4 レグ内の排水 エア充填 レグ内水の排出方法は コンプレッサーを用いた排出方法とする 5 ジャケット吊上げ 仮置き ジャケットをクレーン船にて吊上げ 横移動して海底の所定の位置にジャケット を仮置きする 6 ジャケットの横倒し吊りワイヤーをジャケットから取り外し ジャケットとクレーン船間の横倒し用のワイヤーを連結調整して ジャケットをクレーン船のスラスター能力により引っ張り 横倒しにする 3) ジャケット下部等及びパイプラインの一部上載設備及びジャケット上部を撤去後 ジャケット下部等及びジャケット下部内のパイプラインはその場所に残留する 1 ジャケット下部等の処理ジャケット下部等は土中部分も含め切断部から下部をそのままの状態で残留する 2 パイプラインの処理パイプラインは 管内を洗浄後ジャケットの海底部の出口付近で切断し ジャケット下部内のものはそのまま残留する パイプライン処理具体的作業は以下のとおりである a. 洗浄パイプラインの管内洗浄は まず洗剤で洗浄し その後水洗いをする 洗浄に使用した洗剤 ( 界面活性剤 ) およびその後の海水による脱洗剤作業で発生する排水は陸上で回収し タンクローリーにて運搬して 産業廃棄物処理を行う b. 切断洗浄後のパイプラインはジャケット上部と同様に切断する 176

183 c. 処理撤去する上載設備の部分に存在するパイプラインは 上載設備とともに撤去して陸上処分する ジャケット上部の部分に存在するパイプラインは ジャケット上部とともに残留する 同時にジャケット基部の海底面上のパイプラインの一部も撤去して陸上処分する ジャケット下部のパイプラインは残留する 177

184 磐城沖海洋掘採施設 ( プラットフォーム ) 北緯 東経 [ 海図 (W1098 塩屋崎至石巻湾 ) 平成 16 年海上保安庁より作成 ] 図 磐城沖海洋掘採施設 ( 海洋掘採施設 ) 位置 178

185 [ 海洋掘採施設の撤去の区分 ] 撤去して陸上にて処分 : 上載設備切断後近傍海域に残留 : ジャケット上部 ( ジャケット上部内のパイプラインを含む ) 切断後その場に残留 : ジャケット下部等 ( ジャケット下部内のパイプラインを含む ) 上載設備 撤去して陸上にて処分 シ ャケット上部 切断後残留 ジャケット EL-92.5m シ ャケット下部 切断後残留 ハ イフ ライン メインハ イル及びスカートハ イル 図 海洋掘採施設の撤去方法の区分 179

186 (2) 海洋掘採施設の残留の概要海洋掘採施設の撤去工事により上載設備は陸上へ撤去された 他の部分については 事前の計画どおり ジャケット部は海底面上 62m で切断され それより上部は近傍海域に横倒しにされ ジャケット下部はその場に残置され 海域に残留された 残留時の状態は 撤去後に実施されたサイドスキャンソナーによる調査により確認されている ( 図 5.4-3) 残留後は海図 (W1098 塩屋崎至石巻湾 ) に 石油開発台撤去跡 として水深 90m の記載がされている ( 図 5.4-4) ( 事前予想図 ) ( 磐城沖石油開発株式会社の提供による ) ( 測量結果 ) ジャケット下部 ( その場に残留 ) ジャケット上部 ( 横倒し ) ( 磐城沖石油開発株式会社の提供による ) 図 残留の状態 180

187 ( 海図 W1098 塩屋崎至石巻湾 平成 24 年 10 月 4 日刊行 ) 図 残留施設の海図における記載 181

188 5.4.2 磐城沖海域の概要撤去前の磐城沖海洋掘採施設が位置する磐城沖海域 ( 図 5.4-1) の海洋掘採施設周辺の概況は 既存資料によれば次のとおりである (1) 気象福島県内は奥羽山脈と阿武隈高地の二つの山系によって東西三つの地方に区分され その地形により浜通り ( 太平洋側特有 ) 会津( 日本海側特有 ) および中通り ( 前 2 者の中間 ) の 3 つの気象変化が基調となる 過去 10 年間 (1996 年 ~2005 年 ) に発生した台風のうち福島県ないし福島県沿岸を通過した台風は 10 件 (1 件 / 年 ) であった (2) 海象 ( 水深 流況 ) 磐城沖海洋掘採施設は 福島県の沿岸から東に約 40km 沖合いにある 水深は約 150m であり 当該海域の等深線の間隔は沿岸部に比べ広く なだらかな傾斜となっている 常磐海域ではほぼ年間を通じて犬吠埼近海を東流する黒潮の補流の性質を持つ南下流が見られ ごく沿岸域では沖合南下流の反流の北上流が時々見られる 海洋施設周辺の海面の流れは 0.5 ノット以下の場合が多い (3) 水環境当該海域の海表面の平均的な水温の年変動は 気温の低下と親潮系冷水の南下により 3 月に 7 台の最低水温が 逆に気温の上昇と黒潮系水の北上により 8 月に 22 台の最高水温が認められる 春季以降の気温上昇期には表層近くに水温躍層が形成される 一般的に東北海区 ( とくに常磐海域 ) の塩分量は水系の相違により異なり 黒潮系水は高く 津軽暖流系水がこれに次ぎ 親潮系水は低い また 当該海域の沿岸域には陸水に起因する沖合域より低塩分の沿岸水が常に存在する 海水の密度は 冬季は上下の密度差が見られず 6 月頃から 10 月頃にかけて成層が形成され 40~60m の密度躍層の存在が認められる (4) 海底環境当該海域の水深 50m 以浅が砂質 水深 50m~100m 付近までは砂泥質または泥質である 磐城沖海洋掘採施設近傍の粒径組成は 粒径 200μm 程度の粒子の出現頻度が高い 底質の有機物質の量は 全有機炭素は 0.3~0.7% 全硫化物は全て定量下限値(0.01mg/g) 未満であった 磐城沖海洋掘採施設周辺の周辺 4km 四方の海底状況は 水深が 149m~157mであり 急斜面がみられないフラットな海底である 周辺 1km 四方の海底状況では 海洋施設周辺の水深は 154m 前後で 1m 程度しか高低差がなく 周辺はほぼ平らな地形である 182

189 (5) 海生生物福島県海域の遊泳性魚類は漁獲対象のサンマ マイワシ マグロ類 カツオなどが分布する これらは広域に季節回遊する浮魚であり 周年生息場とする魚種ではない 海洋掘採施設には脚部に海表面から海底まで各種の生物が付着しており 軟体動物のイガイ類や節足動物のフジツボ類 刺胞動物のイソギンチャク目や海綿動物のカイメン類などが多くみられる 水深 150m 付近での主要な底生生物 ( マクロベントス ) はゴカイ類である 大型の底生生物であるメガベントスは 底生性魚類としてカレイ類 アオメエソ 無脊椎動物として棘皮動物のヒトデ類が多い (6) 生態系福島県沿岸にはアラメ カジメ等の藻場が存在しているが 沿岸部のみであり 海洋掘採施設周辺には存在しない また干潟 サンゴ礁も海洋掘採施設周辺には存在しない 当該海域は海産哺乳類の分布域の一部となっているが 海産哺乳類の分布は広範囲にわたっており 当該海域は一時的な通過海域であると考えられる 熱水生態系その他の特殊な生態系の存在は確認されていない (7) 社会環境等福島県の沿岸域では海水浴場が多く分布するが 海洋掘採施設周辺は沿岸から約 40km 沖合いであり海水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用はない また 福島県では海岸を含む県立自然公園は磐城海岸 松川浦 そして勿来の 3 地域あり 海洋掘採施設に最も近いのは磐城海岸県立自然公園である 海洋掘採施設は沿岸から約 40km 沖合いであり この海域に海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域はない 当該海域ではカレイ類 アオメエソ マダラ等が主要漁獲対象となっている また 回遊性魚類はマイワシ マサバ サクラマス シロザケ ブリ類が季節的に漁獲されている 沿岸域には法律で指定された航路はなく 沖合いに東京湾口 ~ 津軽海峡西口航路がある 海洋掘採施設周辺には海底ケーブルは敷設されていない 海底資源等は磐城沖ガス田が存在するのみである 183

190 5.4.3 撤去工事時の環境影響評価の検討 (1) 環境影響評価の基本的考え方海洋掘採施設等の廃止に係る撤去工事は環境影響評価法 ( 平成 9 年法律第 81 号 ) の対象事業ではなく 国内法上は環境影響評価が要求されるものではない そのため 海洋掘採施設の廃止に係る工事に当たっては 既存の環境影響評価対象事業を参考にしながら 海洋環境に配慮を求められる事業に関する法的枠組みも考慮し 撤去に当たって配慮すべき事項を整理する方法で検討した その結果 撤去に係る環境影響評価の基本的な考え方を以下のように考えた 洋掘採施設の撤去工事に係る環境影響評価の具体的な枠組みとしては 環境影響評価法 に要求されている評価項目を参考とすることが適切と考えられた この法律における工事中の影響評価の枠組みが本事業に近いと考えられる 本事業に係る環境影響評価を実施するに当たっては 海洋汚染等及び海上災害の防止に係る法律 に定める海洋施設の海洋投入処分許可申請に係る事前評価の内容を参考にすることが適切と考えられる 本事業に係る環境影響評価を実施するに当たっては 地域や海域等の特性を考慮して 適宜 項目の追加を検討することが適切と考えられる なお 基本的な考え方を検討するに当って参考とした法律等及びその要求事項の概要は 次のとおりである 1) 法律 環境影響評価法 : 環境影響評価法の対象事業は 埋立てをはじめとする 13 事業及び港湾計画である 工事の実施及び土地又は工作物の存在及び供用時について 主務省令により評価項目を事業ごとに 参考項目 として示している 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 : 海洋施設を廃棄する場合には許可申請が必須であり その際に海洋廃棄により海洋環境に及ぼす影響についての事前評価した書類の添付が義務づけられている 対象項目は海域への影響を評価する上で必要な 水環境 海底環境 海洋生物 生態系 海洋の利用 である 鉱山保安法 : 鉱山保安法では坑井の廃止時において鉱害の防止の観点から 鉱業権者に対して必要な措置を講じることを定めている 石油の湧出を防止するために 坑井の密閉及び坑口付近の原状回復の措置が必要となる 184

191 2) 地方公共団体の環境影響評価条例各地方公共団体には環境影響評価条例が制定されている 評価対象項目は事業及び地域の特性に応じ 生活環境項目から自然環境 社会環境項目まで幅広く定められているが 鉱物採掘 が対象事業とされているのは 17 団体 (15 都県と2 政令市 ) である 3) ガイドライン等参考になるガイドライン等では 対象とするプロジェクトに応じて 検討内容が詳細に解説されている 国際協力銀行 (JBIC): 環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン鉱山 石油 ガス開発 パイプライン等の事業が参考になる ( 独 ) 石油天然ガス 金属鉱物資源機構 (JOGMEC): HSE 審査基準油ガス田開発事業において環境影響評価に満たすべき HSE 基準等のうち 環境に関わる 汚染対策 自然環境 社会環境 の基準項目が参考になる ( 社 ) 日本水産資源保護協会他 : 漁業影響調査指針大規模開発事業における漁業影響調査に対する基本的な考え方を整理したものである 国際金融公社 (IFC): EHS Guideline 業種別ガイドラインのうち Offshore Oil and Gas Development が参考になる (2) 評価項目の設定 1) 撤去工事計画に基づく影響要因と環境要素の抽出環境影響評価に当たっては評価項目の設定が必要であるが 評価項目は事業の実施により発生する環境への影響要因と それによって影響を受けると考えられる環境要素との組み合わせから想定される そのため まず影響要因及び環境要素を抽出した 1 影響要因の抽出 a. 影響要因の考え方 環境影響評価法 ( 平成 9 年法律第 91 号 ) に基づく環境影響評価においては 環境影響評価法に基づく基本的事項 ( 環境庁告示第八十七号 )( 以下 基本的事項 という ) において 事業ごとに主務省令により 環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査 予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針 ( 以下 環境影響評価項目選定指針 という ) を定めるものとされており それぞれの対象事業はこれを参考にして環境影響評価を実施している 185

192 本事業においては 環境影響評価法の枠組みを参考に実施することが適切と考え 基本的事項を参考にした 基本的事項では 環境影響評価項目等選定指針において影響要因の細区分を行うに当たっての留意事項を次のとおり示しており 今回もこの考え方を参考とした 影響要因の細区分は 環境影響評価を行う時点における事業計画の内容等に応じて ( ア ) 当該対象事業に係る工事の実施 ( イ ) 当該工事が完了した後の土地 ( 他の対象事業の用に供するものを除く ) 又は工作物 ( 以下 土地等 という ) の存在 ( 法第二条第二項第一号トに掲げる事業の種類に該当する事業以外の事業にあっては土地等の供用に伴い行われることが予定される事業活動その他の人の活動を含む ) のそれぞれに関し 物質等を排出し 又は既存の環境を損ない若しくは変化させる等の要因を整理するものとする ( 下線は引用者 ) b. 影響要因の検討海洋掘採施設の撤去による影響要因は 撤去に係る 準備作業 と 撤去工事 の2つに分類できた 撤去前には 磐城沖海洋掘採施設の撤去は 次のような方法が考えられていた 上載設備 : すべて撤去して陸上にて処分する 下部構造 ( ジャケット パイル ): 自然海底面上 62m で切断して撤去する 以上のことから 各々の場合に発生する要因は 撤去に係る準備作業はパイプライン等の洗浄 撤去工事は工事用船舶の航行 上載設備の撤去 ジャケットの切断工事の実施 下部構造の撤去が考えられる いずれも海洋における工事であることから 工事船の航行 / 存在が共通して考えられた 影響要因の区分 ⅰ) 工事用船舶の航行 / 存在海洋掘採施設の撤去において 作業の開始から終了までいずれの作業にも作業工事船の存在がある そのため これらの影響要因を一括して扱う 作業船の存在による影響 作業船の排ガス排出 作業船運航による水中騒音発生 他の海域利用への影響 夜間照明 廃棄物の発生 186

193 ⅱ) 事前作業撤去工事に先立ってパイプライン等の洗浄作業が行われるため これらを事前作業として位置づける イ. 洗浄パイプラインはジャケットのレグに沿ってジャケット本体に取り付けられている部分がジャケットとともに切断されて撤去される 撤去前にはその部分も含めた洗浄作業が実施される この場合 洗浄排液が海中に流出すれば 海域環境への影響の可能性が考えられる 洗浄作業時の排水の排出 ⅲ) 撤去工事撤去工事は上載設備の撤去 下部設備の撤去が実施される 下部設備の撤去は 今回の事例では切断して近傍に移動し 仮置き後横倒しにする イ. 上載設備の撤去 洗浄作業時の排水の排出 撤去工事に伴う騒音 振動 ロ. 下部構造の撤去 撤去工事 ( 切断 ) による影響 撤去工事による騒音 振動 切断による水中騒音の発生 切断に伴う切り屑の発生等 切断後の仮置き後の横倒しによる海底攪乱 2 環境要素の抽出 a. 環境要素の考え方基本的事項では 環境影響評価項目等選定指針において環境要素の細区分を行うにあたって以下のように定めており 別表において環境要素の区分を示している ( 表 5.4-1) 環境要素の細区分は 法令による規制 目標の有無 環境に及ぼすおそれのある影響の重大性等を考慮して 適切に定められるものとする 今回もこの考え方を参考にして 事業計画の内容に応じて 環境に及ぼすおそれのある影響を考慮して環境要素を整理するものとする 187

194 表 環境要素の区分及び影響要因の区分 環境影響評価法に基づく基本的事項 ( 平成 9 年環境庁告示第 87 号 ) 別表 ( 最終改正 : 平成 17 年 3 月 30 日環境省告示第 26 号 ) 188

195 b. 環境要素の検討撤去作業時に影響を受けると考えられる環境要素を選定する 環境影響評価法に基づく環境影響評価で用いられる区分を参考にして 今回対象となると考えられる環境要素をあげると以下の項目が考えられる 環境要素の区分に当たっては 対象地域が海洋であることを考慮した ⅰ) 大気環境 ( 大気質 騒音 振動 ) ⅱ) 水環境 ( 水質 ) ⅲ) 海底環境 ( 底質 海底地形 ) ⅳ) 流況 ⅴ) 生物環境 ( 海生生物 生態系 ) ⅵ) 人と自然との触れ合いの活動の場 ⅶ) 海域利用 ⅷ) 環境への負荷 ( 温室効果ガス 夜間照明 廃棄物等 ) なお 磐城沖海域の事例では下部施設を残留する計画であるが 陸上に撤去する場合にはジャケットの付着生物による環境への影響 ( 除去する場合には濁り等 そのまま搬送する場合には悪臭 廃棄物の発生 ) を考慮し 環境要素を選定する必要がある また 海外事例では海洋生物として海鳥も対象とされるが 今回はヘリコプター等の騒音発生源がなく施設の存在と海鳥の生活との関わりがないことから対象外とした 2) 評価項目の選定評価項目の選定は 撤去工事に伴う影響要因と環境要素をそれぞれ横軸 縦軸に記し 各項目の組み合わせでマトリックスを作成して 撤去工事において影響を受けると考えられる項目について個別にその可能性について検討した 1 評価項目の考え方基本的事項では 環境影響評価項目等選定指針に示す評価項目の設定の考え方を次のように述べている 個別の事業ごとの環境影響評価の項目の選定に当たっては それぞれの事業ごとに 影響要因を事業特性に応じて適切に区分した上で 参考項目を勘案しつつ 事業特性及び地域特性に関する情報 法第二章第二節に規定する手続を通じて得られた環境の保全の観点からの情報等を踏まえ 影響要因の細区分ごとに当該影響要因によって影響を受けるおそれのある環境要素の細区分を明らかにすべき旨 環境影響評価項目等選定指針において定めるものとする 今回も同様に考え 先に検討した影響要因及び環境要素から環境影響評価項目を検討した ( 表 5.4-2) 189

196 表 海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価項目の選定 環境の自然的構成要素の良好な状態の保持 大気環境 騒音 振動 水環境 海底環境 生物の多様性の確保及び自然環境生物環境の体系的保全 大気質 二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等 注 : 表中の 印は評価対象項目であることを示す 事前作業パイプライン洗浄等 騒音騒音 水中騒音にも配慮する 振動 振動 水の濁り 水質有害物質等による汚れ 粒径組成 底質 有機物質 有害物質等による汚れ 海底地形 海底地形 浚渫の有無に留意する 流況流況 海生生物 生態系 人と自然と人と自然との触れ合いの豊かな触活動の場れ合い 海域利用 環境要素の区分 温室効果ガス等 光害環境への負荷廃棄物等 影響要因 工事用船舶の航行 / 存在 上載設備の撤去 撤去工事 ジャケットの切断 プランクトン 切断後の移動等 遊泳生物 海産哺乳類等を含む 底生生物 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとって重要な海域 特殊な生態系 海洋レクリエーション 海中公園等 漁場 航路 海底ケーブル敷設 海底資源等 船舶からの二酸化炭素 夜間照明 作業船からの廃棄物 切り屑 備考 190

197 (3) 予測 評価の考え方海洋掘採施設の撤去工事に係る事前環境影響評価は 撤去工事に伴い想定される影響について設定した環境影響評価項目のそれぞれについて 以下の手順で事前環境影響評価を行った ⅰ. 環境影響範囲及び変化の程度の予測を行う ⅱ. 環境の変化の程度と緩和措置から影響の程度について評価する 1) 予測の考え方撤去工事による環境影響の範囲を想定し その範囲における環境要素の変化の程度を予測した 予測の方法は 類似事例の引用等により行った 1 環境影響想定海域の検討対象海域の水深 流況等の状況に基づき 撤去工事による影響の及ぶ範囲を検討し 影響が想定される海域の範囲を検討する 2 各環境影響評価項目について変化の程度の予測各環境影響評価項目ごとに 環境影響要因の影響の程度について工事の特性から検討し その結果生じる変化の程度 変化の及ぶ範囲を予測する 予測の方法は 類似事例 過去の調査結果等を参考にし あるいは引用して行う 定量的な予測が可能な場合は 定量的な予測を行う 2) 評価の考え方環境影響評価の対象とする各項目について どういう視点で評価するかを検討した 各評価項目に関して 評価の考え方をまとめて表 に示した 191

198 192 評価の考え方二酸化窒素二酸化硫黄粉じん等騒音騒音振動振動水の濁り 発生する濁りは海底付近の流速 底質の粒径組成 浚渫方法等によって違うので これらの情報をよく把握した上で 濁りの拡散範囲と濃度を予測評価する必要がある 海底付近に設置した切断用の機器の駆動装置の引き起こす乱流によって海底表面の巻上げが発生したり 爆破による方法ではその衝撃で海底土の巻上げによる濁りの発生の可能性が考えられる そのため 切断方法に応じて濁りの発生の可能性を検討の上 予測評価する必要がある 有害物質等による水の汚れ 施設やパイプラインの洗浄等を実施する場合には 作業工程 海域への排出の有無 洗剤等の種類 濃度等について検討の上 評価対象とする必要がある 事前に海底土の有害物質の含有量等の性状を確認した上で予測評価を行う必要がある 撤去の際のジャケット切断時に パイル内の水が流出し 海水への負荷の可能性が考えられることから 状況を把握した上で 予測 評価を検討することが必要である 切断に AWJ を使う際には使用される研磨剤の成分を把握した上で 評価について検討する必要がある 粒径組成 撤去工事のジャケット切断時に海底土砂の浚渫を実施する場合には 浚渫土の仮置きに伴う海底の被覆や浮遊土砂の再堆積により 底質の粒径組成が広範囲に変化し底生生物等への影響が考えられる このことに留意して底質の粒径組成の変化を予測評価する必要がある 有機物質 撤去工事時に海底土砂の浚渫を実施する場合には 浚渫土の仮置きに伴う海底の被覆や浮遊土砂の再堆積により 底質の有機物質の量が変化し底生生物等への影響が考えられる このことに留意して底質の有機物質の量の変化を予測評価する必要がある 有害物質による汚れ 海底土砂の浚渫を実施する場合には 浚渫土の仮置きに伴う海底の被覆や浮遊土砂の再堆積により 有害物質等による底質の汚れが発生することが考えられる このことに留意して 事前に浚渫する底質の有害物質の含有量等の性状を確認した上で 予測評価する必要がある ジャケットの切断方法に AWJ を用いる場合には研磨剤の成分を把握しておく必要がある 海底地形海底地形 撤去工事時に浚渫を実施する場合には 浚渫する海底及び排出する海底の双方に海底地形の変化が生じることを考慮する必要がある 流況流況 ジャケットの撤去による流況への影響は局所的なものと考えられる 流況の現況を把握することは 濁りの拡散予測等を行うための基礎データとして重要である 評価項目大気質海底環境底質 海洋施設の撤去に係る作業における大気環境への影響については 工事船からの排ガスの排出による二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等による影響を発生源の位置と陸岸の関連を考慮して検討するのが望ましい 船舶の航行及び工事機器による騒音が発生し 水中騒音による影響も考えられる 海洋施設の撤去に係る作業における工事船舶等による騒音は 発生源の位置と陸岸の関連を考慮して検討するのが望ましい 周辺海域に海産哺乳類 は虫類が出現する可能性があり 特に周辺海域がその生物の生活のなかで重要な役割を担っている場合には水中騒音の影響についても配慮する必要がある 爆破による切断の場合は その衝撃による影響が大きいことを考慮する必要がある 水環境水質大気環境騒音 振動表 5.4-3(1) 海洋掘採施設廃止に係る環境影響評価の考え方

199 193 評価の考え方プランクトン 浚渫を行う場合には 底質の状況 浚渫方法等から 濁りの予測を実施した上で 濃度 発生範囲及び継続時間等から植物プランクトン 動物プランクトンへの影響を予測評価する必要がある 遊泳生物 水環境への影響が生じる場合や 水中騒音による影響 ( 爆破による衝撃波による影響も含む ) が予測される場合には遊泳生物への影響を考慮して予測評価する必要がある 底生生物 海底環境への影響が予測される場合は 底生生物への影響が懸念される そのため 海底環境の変化の予測結果を元に 底生生物への影響を予測評価する必要がある 脆弱な生態系海洋生物の生息にとって重要な海域特殊な生態系海洋レクリエーション海中公園等漁場航路海底ケーブル敷設海底資源等船舶からの二酸化炭素 評価項目として 排出量を把握するとともに 他の排出源との比較を行うことも考慮する必要がある 夜間照明 夜間の漁業操業がある場合には漁獲物の誘引による漁業への影響等が考えられることから 工事の場所 周辺の生物の分布状況 海域利用の状況等から判断して配慮する必要がある 作業船舶からの廃棄物 廃棄物の処理が海洋環境に影響を与えないように適切に処理されるかどうかを確認した上で評価が行われる必要がある 陸上での処理を考慮する場合には 工事期間の長さにより評価結果が変ることが想定される 切り屑 切断するのは鋼管であり 切り屑は鉄くずであることから 海底環境を悪化させるような物質は含んでいないが 発生量を把握した上で 予測評価について検討することが望ましい 廃棄物等海域利用温室効果ガス等光害人と自然との触れ合い活動の場海生生物 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとって重要な海域及び特殊な生態系の存在の有無を確認した上で 撤去工事による環境の変化が及ぼす影響について予測評価する必要がある 当該海域での海域利用の状況を把握した上で 撤去工事において 工事船舶等の存在 工事の実施が及ぼす影響について予測評価する必要がある 当該海域での以下の海域利用の利用状況を把握した上で 撤去工事において 工事船舶等の存在 工事の実施が及ぼす影響について予測評価する必要がある 生態系生物環境評価項目表 5.4-3(2) 海洋掘採施設廃止に係る環境影響評価の考え方

200 3) 想定される影響に対する検討 撤去作業において主に想定される影響について 検討を行った 1 パイル等の切断時作業に係る海域環境への影響海洋掘採施設の撤去における水中でのパイル等の切断方法について影響の検討を行った 磐城沖海洋掘採施設では機械的切断方法が計画されており パイル外面から切断する場合はダイヤモンドワイヤーソー (Diamond Wire Saw:DWS) を用いる工法が適切であり パイル内面から切断する場合は アブレッシブジェット (Abrasive Water Jet:AWJ) を用いる工法が適切である a. 外側からの切断時の影響検討 CUT 社が行っているダイヤモンドワイヤーソーを使用した際の評価では 初期的評価 (Initial Environmental Evaluation) において 他の工法 ( 爆破 AWJ) に比べ 直接的な環境影響はないと評価し 二次的な影響として 駆動装置の回転により乱流が生じ 海底表面の撹乱による影響が想定され この影響は小さい (minor) と評価している MMS の報告では DWSを含む機械的切断方法は 一般的に海生生物及び環境には影響がないと考えられる とされている DWS による切断作業実施時に影響が想定される評価項目は 駆動装置に係る排出ガスによる大気への負荷 海水撹乱に伴う海底土の巻き上げによる水質汚濁 騒音 振動である これらは 既に影響評価の事例でみられたように環境への影響はほとんどないものと考えられており 今回想定している切断作業においても同様のことが考えられる 外側から切断する場合の環境影響を考えると 切断工法そのものが要因となる環境への影響と 切断するケース ( 部位 ) によって付随して発生する環境影響を同時に考慮する必要がある 他の環境評価の事例から見て 沖合い域での DWS による切断工事そのものは. 大気 水質 騒音の要素について影響はみられない その切断作業が実施される場所によって 浚渫による海底環境の撹乱等の影響が付随的に発生する また 結果的に影響はないと判断されているが 大気への影響などはその負荷量は作業時間に比例し 負荷量の差となって現れる b. 内側からの切断時の影響検討内側から切断する場合の工法は AWJ による方法を検討した CUT 社の評価によれば AWJ の場合ウォータージェット水に含まれる研磨剤の排出が主な汚濁の原因となること及び噴出するウォータージェット水による海底表面の撹乱による影響があるとされている MMS の報告では 排出される研磨剤は本質 194

201 的に不活性であり影響はないと考えられている AWJ による切断作業実施時に影響が想定される評価項目は ウォータージェット水の噴出に伴う研磨剤による水質汚濁 海底表面の巻き上げ 作業時の騒音などが考えられる 影響評価の事例でみたように騒音については影響がないとされている 研磨剤の排出については 評価が分かれているが 含まれる物質及び使用される量を確認する程度で良いのではないかと考えられた 内側からの切断では 他に爆薬による方法が考えられるが この方法は 爆発時の衝撃の圧力が 作業員や 海生生物に大きな影響を与える 海外では 特に海産哺乳類やウミガメへの影響が懸念されている例が多く 使用時には周辺環境の確認 使用時期の配慮等が必要であると考えられる 2 影響検討のためのシミュレーション磐城沖海洋掘採施設の撤去工事における環境影響において 施設のパイルを海底面下から切断し撤去が実施された場合の底泥拡散等による海洋への環境影響についてシミュレーションを行なった シミュレーションを実施するにあたり 想定した事象は 海洋掘採施設の海底付近で メインパイル及びスカートパイル周辺の土砂を海底下 6mほど浚渫し 海洋掘採施設から 20mほど離れた場所に土砂を仮置きする このときの土砂を放出管により下向きに放出する場合である 計算の結果 流れが無い場合には 濁りの分布は 水平方向に 放出口を中心に 1mg/L 以上の濁りが半径約 50m 程度広がった 周辺の流速が 20cm/sec の場合には 流れの下流方向に 1mg/L 以上の濁りが約 135m 付近まで広がった ( 図 5.4-5) 水平方向の広がりは 20m 程度である 周辺の流速が 40cm/sec の場合には 放出口直下に濁りが到達せず強い流れにながされ水平方向に広がっていき 濁りの水平方向の幅は 2 から 4 メートル程度である また 細かい土砂が多いため 1mg/L 以上の流れの下流方向に濁りは数百メートル程度到達した 放出口 3 時間後の鉛直断面図 ( 周辺流速 20cm/sec) 単位 :mg/l 図 海洋掘採施設撤去時の濁りの予測結果 195

202 3 水中騒音に係る検討海洋掘採施設の撤去工事においてジャケットの切断工事が実施される その方法は一般に火薬爆破 熱切断 機械切断などがある 火薬爆破の場合は水中の衝撃波が問題となるが 近年は海産哺乳類を代表とする大型海生生物への騒音問題についても関心が高まっており 機械的切断工法の場合の水中騒音について検討した 海洋では 自然の音 生物が発する音あるいは人工音など様々な音が存在する 水中での騒音の発生源としては 船舶の航行 地震探査のエアガン 浚渫工事などがある 人工音による水中騒音は クジラ等の海産哺乳動物への潜在的影響が考えられる 一般的にクジラ類は 110dB~120dB の音を避けるとされておち また 忌避する音に対して回避行動を取ることも知られている N. W. Hutton の環境影響評価では海洋施設の撤去時の水中騒音について検討されており 水中騒音の原因として ヘリコプターと工事船の航行に伴う騒音が挙げられている この水中騒音に対しては 工事中に海産哺乳類を定期的に観察する 群れを避ける等の対策を講じることとしている 阿賀沖北海洋掘採施設撤去時の事例では 爆破による切断時の発破音響について予測評価し 発破点を中心に 200m 程度の範囲で魚類に対して影響を与えることが確認されている そのため 阿賀沖海洋掘採施設撤去時には 爆破による切断前に短時間の間隔の小爆発を繰返し 魚類を爆破による影響範囲外へ逃がすための威嚇爆破を行うという緩和措置を実施し 魚類への影響はほとんど見られなかった切断作業の影響評価の事例として CUT 社が行ったダイヤモンドワイヤーソーによる影響の検討かあり 水質 大気 騒音について 切断に関わる各装置による影響を 5 段階で行っている Offshore での騒音について評価しており 海上 水中の区分が明らかでないが その結果は対象外か あるいは影響なし (No Pollution) である 施設の機械的切断に伴う水中騒音に関しては データもなく 予測される影響の検討 その影響に対する配慮が特にされていないのが実情である 環境影響評価における近年の事例等も鑑みれば 海洋生物への影響の関心の高まりがある中 水中騒音の実態を把握した上で 機械的切断に伴う影響の有無の確認が必要であると考えられる (4) 評価結果 海洋掘採掘施設の撤去工事に係る環境影響評価の結果は 表 のとおりである 196

203 表 5.4-4(1) 評価結果 -1 評価項目 評価内容 事前評価結果 ( 1 ) 大気環境 大気質 二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等 海洋施設の撤去に係る作業における大気環境 磐城沖海洋掘採施設と同規模のN. W. Hutton の撤去工事に係る大気への影響については 工事船からの排ガスの排汚染物質の排出量予測を当てはめ 東京電力広野火力発電所の窒素酸出による二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等に化物排出量等を検討した その結果 運転開始が昭和 55 年の既設 1 2 号よる影響を発生源の位置と陸岸の関連を考慮し機 ( 出力 60 万 kw 2) では合計で窒素酸化物約 4,600トン 硫黄酸化物約て検討する 6,800トンであり 平成 16 年に運転開始の5 号機 ( 出力 60 万 kw) ではそれぞれ580トン 770トンであった これらと比較すると N. W. Hutton の撤去工事に係る排出量は 窒素酸化物では出力 60 万 kw 級の旧式の発電所の年間排出量より少ないが 最新式の機器に比べやや多いものとなっている 硫黄酸化物 (N. W. Hutton の排出量では二酸化硫黄であるが ) は 最新式の機器に比べても少ないものであった 工事船はDMA 級燃料油を使用する新造船であり 高効率の作業が期待され 大気への負荷低減に効果的であると考えられる 作業地点は陸地から40km 離れた外洋域であり 当該海域は 夏季には南西の風が卓越し 年間を通じて5~7.5m/sの風が多くなっている そのため 排出された排ガスは速やかに拡散するものと考えられ その負荷は局所的であると考えられる 以上のことから 工事用船舶からの大気汚染物質の負荷はごく局所的なものであり 周辺地域に及ぼす影響は軽微であると考えられる ( 2 ) 騒音 振動 騒騒音音 工事船等による騒音 振動 工事船等による騒音 振動 海洋施設の撤去に係る作業における工事船舶 工事の実施場所は陸地から40km 離れた沖合の海域であり 騒音が陸地等による騒音は 発生源の位置と陸岸の関連をまで到達する可能性は小さい 考慮して検討する 作業船の騒音源の機器の騒音は小さく 杭打設等の大音響を出す作業 振動は対象としないはない ヘリコプターはこれまで海洋掘採施設稼働中に運行していた場合と同様のルートであり 工事中は限られた時間 回数であるため 騒音の発生は一時的なものである 高性能の船舶の使用により効率的に作業を進めることにより 工事期間の短縮を図っており 騒音の発生期間が低減されることになる 以上のことから 工事船による騒音は限定的なものであり その影響は軽微なものであると考えられる 水中騒音 エンジン音による水中騒音については 影響予測事例が少なく 発生実態を把握し 検討する 切断機器による騒音の発生については 機器の特性等から検討する 水中騒音 切断工事では従来使用していた発破を ROV 及びダイヤモンドワイヤーソー アブレッシブウォータージェットによる切断方法とすることにより 水中騒音の発生の低減を図っている 海域ではこれまで多くの工事が実施されており 今回の発生状況もこれまでの多くの工事と同等のものと推定されるが 諸元等が明らかでないため 実際に測定することにより発生量の大きさを把握し 検証することが望ましい ( 3 ) 水環境 水質 1 海水の濁り 評価基準は水産用水基準の負荷量 2ppmを想 ジャケットの切断による濁水の発生はない 定するが パイプラインの洗浄水 切断時の付 切断部位の付着生物の剥離による濁りの発生は 切断位置の状況から着物除去はいずれも発生諸元が不明であり 規考えて軽微なものであると考えられる 模も小さいものと考えられることから 定性的な ジャケット上部の海底面への仮置き後の横倒し時に想定される海底土砂評価を考える の巻き上げによる濁水の発生は シミュレーション結果では横倒しの数分 ジャケット移動横倒し時の濁水発生は底質の後には 場合によっては高濃度の濁りが海底面から80m 程度まで上昇する巻上げを想定して検討する が 発生後 1 時間程度で収束することが予測された 水平的な広がりも 2ppmの発生範囲はジャケットから最大で200m 程度広がることが予測された 予測結果では鉛直的にも水平的にもごく限られた範囲であり 発生時間も短時間であることから 水の濁りの変化は大きいものではないと考えられる 洗浄排水等の排出 ジャケット切断時のパイル 撤去前の準備作業で有害物質 油分を含んだ排水が発生する場合に内の水の流出 パイル切断時にアブレッシブは 陸上処分する計画であること ジャケット切断時のパイル内の水から流ウォータージェットを用いる場合には ウォー出する水質はレグの性状から考えて鉄錆が含まれているのみであること タージェット に含まれる研磨剤により また横倒切断時の ウォータージェット に含まれる研磨剤は毒性が低いこと 周辺 2 有害物質し時の海底巻き上げにより 有害物質が海水中海域の海底土からの有害物質の溶出量は基準値以下であることから 工等による海水に拡散する恐れが考えられる 事に伴う排水 底質の巻き上げ等による有害物質の水環境への影響は軽の汚れ微であると考えられる 197

204 表 5.4-4(2) 評価結果 -2 評価項目 評価内容 事前評価結果 ( 4 ) 海底環境 ( 5 ) 流況 底質 ⅰ 粒径組成 ⅱ 有機物質 ⅲ 有害物質による汚れ 海底 ⅳ 海底地形地形 ( 6 ) 海生生物 流況 1 プランクトン ジャケット切断時の海底巻上げ 切断ジャケットの移動後の横倒し時の海底撹乱等による海底の物理化学的変化の影響について予測評価する 今回の作業で可能性が大きいのはジャケット移動後の横倒し時の海底土の巻き上げによる変化である 変化の程度の予測及び評価は現状の底質の物理化学的性状に基づいて 定性的に行なう 海洋掘採施設を撤去する場合には それまで 予測結果から 海洋掘採施設の撤去による流況の変化はほとんどないも流れの抵抗となっていた構造物がなくなることかのであり 流況への影響は軽微であるものと考えられる ら流況が変化する可能性が考えられる 施設の性状から構造物の有無による流況の変化について定性的に評価する 濁水の発生等による水環境の変化によるプランクトンの生息への影響を評価する 水の濁り及び有害物質による汚染についての水環境の変化の予測に基づいて行う 変化の程度の予測結果から 底質の粒径組成 底質の有機物質量の濃度 有害物質等の底質への負荷及び海底地形の変化は小さいものと予測されることから 撤去工事に係る海底環境への影響は軽微であるものと考えられる 撤去工事により発生する海水の濁りによるプランクトンの生息海域の環境の変化はごく限られた時間及び範囲であること また 仮置き後の横倒し時の海水の濁りの発生は 場合によっては海底面上 80m まで 平面的にも最大で 200m 程度海底近くを広がると予測されるが 約 1 時間後には濁りは収束することが予測されており 極めて限定された空間で短時間発生するのみである 濁りの発生する範囲は平成 20 年度の調査結果から動 植物プランクトンの生息数が表 中層に比較して少ない底層であることから植物プランクトンの光合成に大きな影響はなく また生息する動物プランクトンに関しても生息環境の変化はごく短時間で限られた範囲であることからこの海域の動 植物プランクトンの生息に大きな影響を及ぼすものではないと考えられる 海底土の巻き上げによる有害物質の負荷による汚染についても変化は小さいものと予測されていることから 撤去工事による動 植物プランクトンの生息環境への影響は軽微であるものと考えられる 生物環境 2 遊泳生物 遊泳生物の生息環境の悪化 水中騒音による影響が予測される場合には遊泳生物への影響が想定されることから それぞれの予結果に基づいて 生息環境の変化の程度を予測する 遊泳生物の生息環境の変化の程度からみて その変化は限定された範囲であり またごく短時間であることから 海洋生物への影響は軽微であると考えられる 3 底生生物 底生生物への影響は 生息環境の悪化の程 底生生物の生息環境の変化の予測 横倒し時の生物の圧殺の予測結果度で評価する すなわち海底環境の影響 海底から見て 底生生物の一部はジャケット上部の横倒し時に影響を受けると付近の濁りの発生の予測結果を元に 底生生考えられるが 当該海域に生息する底生生物全体から見れば ごくわずか物への影響を予測評価する なものであり 底生生物の生態系の連続性に影響を与えるようなものでは 切断したジャケットの移動による生物の圧殺にないと予測される ついても予測評価する メイオベントスも海底の巻上げによる海底撹乱の影響で個体数の減少等の影響を受けると考えられるが 影響は一時的かつ限定された範囲であることから 比較的早い時期に回復するものと予想され 大きな影響はないものと考えられる 以上のことから 底生生物への影響は小さいものであると考えられる 生物環境 ( 7 ) 生態系 ⅰ 脆弱な生態系 ⅱ 海洋生物の生息にとって重要な海域 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとって重要な海域及び特殊な生態系の存在の有無を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する 撤去作業により影響を受ける藻場 干潟 サンゴ群落その他の等の脆弱な生態系は存在していないことから 撤去工事の影響はないものと考えられる 予測結果から考えて 重要な生物種の産卵場又は生育場その他の海生生物の生息又は生育にとって重要な海域の状態が大きく変化することはないものと予測されたことから 海洋掘採施設の撤去による影響は軽微であると考えられる なお 海産哺乳類への影響については 水中音響観測結果により検証することが望ましい ⅲ 特殊な生態系 撤去作業により影響を受ける化学合成生態系その他の特殊な生態系は存在していないことから 撤去工事の影響はないものと考えられる 198

205 表 5.4-4(3) 評価結果 -3 評価項目 評価内容 事前評価結果 触れ 8 合い活人動との自場然との ( ) ( 9 ) 海域利用 1 海洋レクリエーション ⅱ 海中公園等 ⅰ 漁場 ⅱ 航路 海洋レクリエーションの利用 海中公園等の存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する 当該海域での海域利用の状況を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化 工事範囲から 影響を定性的に予測評価する 撤去作業により影響を受ける水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用はないことから 撤去工事の影響はないものと考えられる 撤去作業により影響を受ける海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域としての利用はないことから 撤去工事の影響はないものと考えられる 工事区域は漁場の一部に及んでいるが 工事範囲の設定は漁業者と調整済みであること 工事を想定している期間の後半 (7 8 月 ) は底引網漁業の休漁期であること 作業に当たっては警戒船を配置し 安全確保等に努めることから 当該海域の漁業に及ぼす影響は軽微であると考えられる 工事区域には主要な航路はなく 事前に海上保安庁に工事計画書を提出し関係者に事前の通告を行ない海域の利用について周知に努め さらに 警戒船による警戒を行なうことから 仮に漁船等の通行があったとしても 工事による航路利用への影響は軽微であると考えられる ( 1 0 ) 環境への負荷 ⅲ 海底ケーブル敷設 ⅳ 海底資源等 1 温室効果ガスの排出 工事区域には海底ケーブルの敷設はないことから 海域の海底ケーブルの敷設への影響はないものと考えられる 工事区域には自社のガス田掘採にかかる施設以外に海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用はないことから 底資源の探査又は掘削その他の海底の利用への影響はないものと考えられる 撤去工事における工事船 作業機器の稼動に 磐城沖海洋掘採施設と同規模のN. W. Hutton の撤去工事に係る二酸より温室効果ガスである二酸化炭素の排出が想化炭素の排出量予測を当てはめて検討した 沿岸部に立地する東京電力定される 温室効果ガスの排出は地球環境への広野火力発電所 (1-5 号機 380 万 kw) の平成 20 年度の二酸化炭素 (CO2) 影響が想定される の発生量は1,110 万トン ( 販売した電力 熱等に伴う排出量を除く発電所等配分後は43.6 万トン ) である 参考にしたN. W. Huttonの数値は82,000トンであり 発電所の1 年間の排出量と比べると総量では小さな値である さらに 最新の船舶を使用し効率よく作業を進めることで負荷の低減を考えて実施される計画であることから 工事期間中に二酸化炭素の排出はあるものの 限定された期間であることも考え合わせ 影響は軽微であると考えられる 2 夜間照明 作業は 24 時間実施することから夜間照明は必要であり 工事等による夜間照明は 船舶周辺の海面の照度変化が問題となる 撤去工事区域は陸地から 40km 離れた沖合海域であることから 人への健康被害や農. 作物被害等の影響は想定されず 海洋生物の蝟集あるいは 操業される漁業への影響が考えられる 工事に当たっては 先立って漁業者等関係者への事前の通知 調整を行なうことで 漁業への影響は軽微であると考えられる 工事期間中に海生生物の蝟集が起こったとしても工事区域は海洋の限られた範囲であり 工事期間は限定された期間であり 海洋環境への影響は小さいものと考えられるが 光の及ぶ範囲等予測の不確実な部分があることから 工事時にその状況を確認して検証することが必要であると考えられる 3 廃棄物 撤去工事に伴う廃棄物及び一定期間の工事 撤去工事に伴い 撤去した海洋掘採施設施設 工事に伴う生活系廃棄に伴う活動から発生する廃棄物の排出が予測さ物及び産業廃棄物が発生することが予測された 撤去した海洋掘採施設れる 施設は陸上に輸送しスクラップして再利用が図られる 工事に伴い発生する生活系廃棄物及び産業廃棄物はサプライボートにより陸上に輸送し廃棄物として適切に処理される計画である 効率良い作業により工期の短縮化を図っていることにより生活系廃棄物の削減も図れることになり 環境への影響は軽微であると考えられる 4 切断による切り屑 撤去工事に伴う切断等で切り屑が発生する これらは海洋に拡散あるいは堆積することが想定される 切断時の切り屑は海中に落下し 拡散あるいは堆積することが予測されるがこれらは微細であり回収が困難である 鋼材の切り屑は鉄屑であり 海洋環境中に鉄が一時的に増加するが その量は 0.067m 3 であり 工事海域は外洋域であること 鉄は様々な形で自然環境に存在するものであることから 切り屑による海中での増加による影響は軽微であると考えられる 199

206 (5) 環境影響評価の検証撤去工事後の調査により 事前に行った撤去工事時の影響評価内容について検証し 評価の枠組みの再確認を行った 1) 検証結果の概要撤去工事時の事前評価結果について 撤去工事時の現地調査結果等から 事前予測 評価についてその内容を検証した 検証は以下の方法で実施した 現地調査結果に基づく検証 現場状況に関するヒアリング等に基づく検証 得られた情報から 環境影響評価の内容 ( 前提条件 予測 評価の手法及び結果 ) を評価項目ごとに検証した 結果は表 のとおりである 各項目の環境への影響評価結果は 全ての項目で影響は軽微という事前評価の結果に合致していたと考えられるが 予測及び評価の過程で検討すべき課題が残った その項目は次のとおりである 1 予測内容が違っていたもの 排出ガスによる負荷に関連する項目 2 現地調査等による検証を待って評価できたもの 水中音響 夜間照明 3 今後の調査結果を待つ必要があるもの 流況 底生生物( メイオベントス ) これらについて 結果 原因及び今後の対応について検討した 1 予測内容が違っていたもの ( 排出ガスによる負荷に関連する項目 ) 結果 類似事例として参照した事例に比べ 検証した今回の磐城沖の事例では 小さなものであった 原因 工事船舶の規模 工事の期間が違っていたことが原因であると考えられる 今後の対応 今回のように他事例から類推する場合は 同規模の施設であっても 工事内容をよく確認した上で類推することが必要である 2 現地調査等による検証を待って評価できたもの ( 水中音響 夜間照明 ) 結果 参考にできる事例がなかったことから 現地調査 工事中の状況確認 200

207 により検証した 検証結果は事前の定性評価どおりであった 今後の対応 事前の情報のない場合は 監視調査による確認が必要であり 監視調査計画の立案の際の参考とする 3 今後の調査結果を待つ必要があるもの a. 流況 結果 工事中の確認をしていないので 残留時の確認によって検証する 今後の対応 残留時の確認によって検証する なお 参考にできる他地点事例などがあれば有効である b. 底生生物 ( メイオベントス ) 結果 海域全体で変化が見られた 原因 年変動の可能性も考えられるが 現時点では原因の判断は困難 今後の対応 残留時のデータの確認によって検証する なお 既存文献等で参照できるものがあれば情報として補完できる 2) 事前評価の考え方に反映すべき留意点検証の結果 情報が不足しており後の調査結果により再確認が必要な項目はあったが 評価の枠組みに反映する事項はなかった なお 事前の情報不足については 今後対処方法について検討していく必要があると考えられた (6) 撤去工事時の環境影響評価結果撤去工事時には 流れの下流側で底質の化学的性状が変化する可能性が考えられたが 変化の程度は一般環境の変動範囲内での数値であった 他の環境要素が大きく変化したことはなく その結果 撤去工事による海域環境への影響は軽微であると考えられた 201

208 ( 1 ) 大気環境 表 5.4-5(1) 検証結果 -1 評価項目 評価の検証結果 検証まとめ 磐城沖海洋掘採施設の撤去工事は 主な作業船であるクレーン船の工事期間 事前評価のとおり影響は軽 二酸化窒素が5 月 7 日から7 月 5 日までの59 日間であり それに関連する作業船も含めると計 微であったと考えられ 事前 10 隻の作業船が稼動した 燃料使用量は合計 2,341kLであった 評価結果は妥当なものである この燃料使用量から窒素酸化物 二酸化硫黄の排出量を計算すると それぞ と考えられた れ約 180トン及び約 8.1トンであった ただし 類似事例で予測し 二酸化硫黄 参考にしたN. W. Huttonの予測量より大幅に少なく 近傍の発電所の排出量にた内容は 実際の検証結果よ り大きかった 大気質 比べ極めて少ない値であった これは DMA 級燃料油を使用する新造船を用い 高効率に作業が実施された結果であり 大気への負荷低減に効果的であったと考えられることから 負荷が低減されたものと考えられた 以上のことから 工事用船舶からの大気汚染物質の負荷は局所的なものであり 周辺地域に及ぼす影響は軽微であったと考えられ 事前評価結果は妥当なものであると考えられた ( 2 ) 騒音 振動 騒騒音音 船上の作業区域においても騒音の発生は大きくなく 事前評価どおり陸域への 事前予測 評価どおりで 影響はないものと考えられた また 作業員への騒音に対しても対策がとられて事前評価結果は妥当 おり 作業区域での騒音影響は軽微なものと考えられた 作業は短期間で実施されており 工事船による騒音は限定的なもので 事前評価どおりその影響は軽微であったと考えられ 事前評価結果は妥当なものであると考えられた ヘリコプターの運航は 海洋掘採施設の操業時には3 便 / 週であり 工事中でもほぼ同様の頻度と考えられた 期間も工事中の約 2ヶ月間に限られたため 騒音による負荷は操業時に比べ特に大きくなっているものではないと考えられ 影響は軽微であると考えられた その結果 事前評価の結果は妥当なものであると考えられた 音響に関する現地調査結果から 船の推進音とトランスポンダー等の工事用船 現地調査により検証でき舶の稼動に伴う音が主に検出された た パイル等の切断の音は検出されず 切断機そのものからの発生音は軽微なも 事前予測 評価どおりで のと考えられた そのため 本工事により発生する水中騒音は 工事用船舶に起事前評価結果は妥当 因するものが主なものであり 事前評価のとおり 他の海洋工事と同等のものであると考えられ 影響は軽微であると考えられた その結果 事前評価の結果は妥当なものであると考えられた ( 3 ) 水環境 水質 1 海水の濁り 工事中の濁りの状況に関する聞き取り調査結果及びROVの映像記録から 切断作業時の濁りは軽微なものであり 仮置き時の海底巻上げについても軽微なものであった これらのことから 海水の濁りの変化は大きなものではなく 事前評価の結果は妥当なものであると考えられた 排水 廃棄物の処理は計画通り実施され ビルジの排水の油分は海洋汚染防止法に則り15ppm 未満にして排出されている 底質の溶出試験結果からも低濃 2 有害物質度であることが確認され また ウォータージェット切断も予定より少なくなったこと等による海から 研磨剤の使用は当初より少なく 事前評価どおり有害物質の水環境への水の汚れ 影響は軽微であったと考えられる その結果 事前評価の結果は妥当なものであると考えられた 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 海底環境 流況 ( 4 ) ( 5 ) 底質 ⅰ 粒径組成 現況調査結果等によれば 流れの下流方向の南西 200m 地点で特徴的な変化 ⅱ 有機物質がみられたが その変化は小さく 底質への負荷は小さく限定的であり また海底地形そのものの変化も確認されず 事前評価のとおり 影響は軽微であったと ⅲ 有害物質考えられた その結果 事前評価結果は妥当なものであると考えられた による汚れ ⅳ 海底地形 流況 2008 年調査時の流況と様相は若干違うが 基本的に例年通りの傾向であり 海洋掘採施設周辺の流況変化は撤去工事の影響ではなく海流の変化によるものと考えられた そのため 事前評価結果は妥当なものと考えられるが 今後 残留時の現況調査結果も合わせて検証する必要がある 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 事前評価結果は妥当なものと考えられるが 残留時の現況調査結果も合わせて検証する 生物環境 ( 6 ) 海生生物 1 プランクトン 動植物プランクトンの生息環境である水環境の変化は 海水の濁り 有害物質の負荷に関して 海底付近で限られた時間 範囲で発生するものであり 工事による影響は軽微であると考えられた 植物プランクトンの種類 個体数に撤去工事前の状況と比べて違いが見られる が 各調査点で同様の変化であること及び生息環境の変化の程度が軽微であることをあわせて考えると 撤去工事による影響というより海域状況によるものと考えられる そのため 事前評価のとおり 環境変化から類推した影響評価は妥当なものであると考えられた 生息環境の変化は事前評価結果の通り軽微なものであり 工事中の当該海域での観察情報からも遊泳生物への影響はほとんどみられず軽微なものであると 2 遊泳生物判断でき 事前評価結果の内容が妥当なものであると考えられた 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 202

209 生物環境 ( ) 表 5.4-5(2) 検証結果 -2 評価項目評価の検証結果 切断後のジャケットの仮置きによる海底の濁りは ROVの観察結果によれば10 6 分程度で収まり軽微なものであり 水環境 海底環境の変化は事前評価結果どおりであると考えられた マクロベントスの調査結果から影響は軽微であることが確認できた 一方メイオ海ベントスは全調査点で個体数が少ない傾向が見られ 全調査点が同じ傾向を示生 3 底生生物すことから 自然変動の可能性も考えられ 横倒しの影響であるかどうかの判断生物 は困難であった そのため メイオベントス以外の底生生物についての事前評価結果は妥当なものであったと判断されるが メイオベントスについては今後の調査結果に基づき検討の必要があると考えられた 検証まとめ メイオベントス以外の底生生物については事前評価結果は妥当なものであったと判断されるが メイオベントスについては今後の調査結果に基づき検討の必要があると考えられた ⅰ 脆弱な生態系 事前評価時から環境の現況に変化がないことから 事前評価結果は妥当なものであったと考えられた 生息環境の変化は事前評価結果のとおり軽微なものであった イルカ クジラ ⅱ 海洋生物類の一部の可聴域の音の発生は確認できたが 工事中の当該海域での観察情の生息に報からも海産哺乳類への影響はほとんどみられず軽微なものであると判断でき とって重要事前評価結果の内容が妥当なものであると考えられた な海域 事前評価時から環境の現況に変化がないことから 事前評価結果は妥当なも ⅲ 特殊な生のであったと考えられた 態系 動触と 事前評価時から環境の現況に変化がないことから 事前評価結果は妥当なも 1 海洋レクリのれ自 8 のであったと考えられた エーション場合然いと ⅱ 海中公園 事前評価時から環境の現況に変化がないことから 事前評価結果は妥当なも活の人等のであったと考えられた ( 9 ( 7 ) 生態系 ( ) ⅰ 漁場 漁業関係者との事前調整 工事実施時期の選定等から漁業への影響はなかったものと判断できた よって 事前評価内容は妥当なものと考えられた 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 ) 海域利用 ( 1 0 ) 環境への負荷 ⅱ 航路 ⅲ 海底ケーブル敷設 事前予測どおり対象海域に航路の利用はなく 工事期間中は突発的なプレジャーボートの接近のみであり それについても監視体制が機能しており 当該海域の航路利用への影響は見られず 事前評価結果は妥当なものと考えられた 海底ケーブルの敷設状況に変化がなく 事前予測どおりの状況であったため 事前評価のとおり海底ケーブルへの影響はなく 事前評価結果は妥当であるものと考えられた 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用状況に変化がなく 事前予測ど 事前予測 評価どおりで ⅳ 海底資源おりの状況であったため 事前評価のとおりこれら海底利用への影響はなく 事事前評価結果は妥当 等前評価結果は妥当であるものと考えられた 参考にしたN. W. Huttonの予測量より大幅に少なく 近傍の発電所の排出量に 事前評価のとおり影響は軽比べ極めて少ない値であった これは DMA 級燃料油を使用する新造船を用微であったと考えられ 事前い 高効率に作業が実施された結果であり 負荷低減に効果的であったと考えら評価結果は妥当なものである 1 温室効果れ 負荷が低減されたものと考えられた と考えられた ガスの排出 以上のことから 工事用船舶からの温室効果ガスの負荷はごく局所的なもので ただし 類似事例で予測しあり 周辺地域に及ぼす影響は軽微であったと考えられ 事前予測結果は妥当た内容に比べ 実際の検証結であるものと考えられた 果では小さかった 工事実施時の夜間照明の状況は 現場の状況の写真から見て広く海域を照明するようなものではなく 工事区域の工事船の周辺部分のみを照明するものであった 2 夜間照明 この照明により海域に変化が生じたという報告もみられず 工事時の夜間照明 による海洋環境への影響は軽微なものと判断され 事前評価結果は妥当なものと考えられた 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 3 廃棄物 作業に伴い発生する廃棄物は事前の処理計画どおり実施され 処理された そ 事前予測 評価どおりで のため 環境への影響は軽微であると判断され 事前評価結果が妥当なもので事前評価結果は妥当 あると考えられた 4 切断による切り屑 事前に予測したとおり 切り屑はROVでは確認できない程度のものであり 切断は計画通り実施されたことから発生量は予測どおりであったと考えられた 切り屑の発生について予測の範囲内であったと考えられることから それに基づく評価結果も事前評価どおりであり影響は軽微であると判断され 事前評価結果が妥当なものであると考えられた 事前予測 評価どおりで 事前評価結果は妥当 203

210 5.4.4 撤去後の残留影響事前評価の検討磐城沖海洋掘採施設の撤去後の残留影響評価結果をとりまとめるとともに 撤去後の残留影響事前評価を実施する際の基本的考え方 事前評価項目 予測評価の方法について 現地調査結果に基づき検証した結果を反映し 評価の枠組みをまとめた (1) 残留時の環境影響評価の基本的考え方海洋掘採施設の残留影響の事前予測評価は 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 ( 昭和 45 年法律第 136 号 )( 以下 海防法 という ) に定める海洋施設の廃棄に係る許可申請における事前評価とほぼ同様の状況下での事前評価となっている ここでは 撤去時の事前評価と同様の考え方で 影響評価項目を選定し 残留後に影響が想定される範囲及び影響の程度について予測し 影響評価を行った (2) 評価項目の選定 1) 影響要因の抽出残留する海洋掘採施設は 既に生産活動を終えた施設であり 残留後 何らの活動を行なうわけではない そのため 海洋掘採施設の残留に当たって発生する環境への影響要因は 残留する施設の存在によるものであり 施設そのものから何らかの物質が排出される場合及び施設の存在そのものが環境影響要因になるものと考えられる 影響要因を整理すると次のとおりである 残留施設の性状施設からの化学物質等の負荷の可能性 水環境 海底環境への影響 残留施設の存在これまで存在しなかったものが存在することになる 流況への影響 生物の生息基盤の増加 ( 付着生物 遊泳生物 ) 海底への有機物質の付加 海生生物 生態系への影響 海域利用への影響 残留施設の状態移動等がある場合 水環境 海底環境への影響 海生生物 ( 底生生物 ) への影響 これらの要因は 海洋掘採施設が設置されていたその場に残留する場合と 横倒して近傍に残留する場合のそれぞれの状況において発生することになる 2) 環境要素の確認撤去工事時に対象となった環境要素は下記の1から10である 施設を残留する場合には 撤去工事時に比べ 生産活動等は行なわずそこに存在する 204

211 のみ という状況を勘案すると 大気環境への影響及び残留する海洋掘採施設からの温室効果ガス等の環境への負荷の要素は除外できるものと考えた その結果 対象となる撤去工事時の環境要素は撤去工事時に対象とした要素のうち3 から9が対象となった 1 大気環境 対象としない 2 騒音 振動 対象としない 水環境 ( 水質 ) 4 海底環境 ( 底質 海底地形 ) 5 流況 ( 残留影響評価の対象 ) 6 海生生物 7 生態系 8 人と自然との触れ合いの活動の場 9 海域利用 環境への負荷 ( 温室効果ガス 夜間照明 廃棄物等 ) 対象としない なお 細区分は影響評価項目の設定時に行った 3) 評価項目の選定撤去工事時の影響評価の場合と同じ考え方で選定した評価項目は表 表 である 海洋掘採施設の残留は 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 ( 昭和 45 年法律第 136 号 )( 海洋汚染防止法 ) に定める海洋掘採施設の廃棄とほぼ同様の状況であり この影響評価項目案は 廃棄物の海洋投入処分の許可申請のために定められた海洋汚染防止法に基づく告示 ( 海洋掘採施設廃棄の許可の申請に関し必要な事項を定める件 ( 平成 18 年環境省告示第 153 号 )) に定められている事前評価項目を含むものとなっている 205

212 表 洋掘採施設残留に係る影響評価項目の選定 環境要素の区分 影響要因 施設からの負荷 横倒して残留 ( ジャケット上部 ) その場に残留 ( ジャケット下部 ) 施設の存在 横倒して残留 ( ジャケット上部 ) その場に残留 ( ジャケット下部 ) 施設の状態 横倒して残留 ( ジャケット上部 ) その場に残留 ( ジャケット下部 ) 備考 大気環境 大気質 二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等 騒音 振動環境の自然的構成要素の良好な状水環境態の保持 生物の多様性の確保及び自然環境生物環境の体系的保全 海域利用 光害環境への負荷廃棄物等 騒音 騒音 振動 振動 水質 * 水の濁り - - 移動の有無による * 有害物質等による汚れ * 粒径組成 - - 底質 * 有機物質 海底環境 * 有害物質等による汚れ 海底地形 * 海底地形 - - 流況 流況 プランクトン - - 人と自然と人と自然との触れ合いの豊かな触活動の場れ合い 温室効果ガス等 海生生物 生態系 遊泳生物 - - 海産哺乳類等を含む * 底生生物 付着生物を含む * 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとっ * て重要な海域 * 特殊な生態系 * 海洋レクリエーション - - * 海中公園等 - - * 漁場 - - * 航路 - - * 海底ケーブル敷設 - - * 海底資源等 - - 船舶からの二酸化炭素 夜間照明 作業船からの廃棄物 切り屑 注 :1. 表中の 印は 各影響要因に対する評価対象項目であることを示す 2. 環境要素の区分の右の欄の * 印の項目は 海洋汚染防止法に定める海洋施設の廃棄申請の事前評価の対象項目である 206

213 207 表 海洋掘採施設残留時の環境影響評価項目の検討評価項目の検討水の濁り 海洋掘採施設が海底で波浪等により移動することがある場合には海底の状態によっては 海底土が巻き上げられて濁りが発生する可能性が考えられるので 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から予測評価することが必要 有害物質等による水の汚れ 残留した海洋掘採施設から海水中に溶出する有害物質の有無について検討することが必要 特に殺生物性の有害物質が含まれる塗料を使用している場合には必須 波浪等により移動し 海底土の巻き上げの可能性がある場合は 海底土の有害物質による影響も考慮することが必要 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から予測評価することが必要 粒径組成 残留した海洋掘採施設により海底付近の流況変化が起こる場合には底質の粒径組成が変化する可能性が考えられ 流況の変化と同時に底質の粒径組成の変化の可能性の有無を検討することが必要 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から予測評価することが必要 有機物質 残留した海洋掘採施設に新たに付着する生物に起因する有機物質の増加について検討することが必要 海底付近の流況変化が起こる場合には同時に底質の撹乱が起こる可能性が考えられ 海底の有機物質の変化について検討が必要 有害物質による汚れ 残留した海洋掘採施設から発生する有害物質等による海底への負荷について検討が必要 特に殺生物性の有害物質が含まれる塗料を使用している場合には必須 残留した海洋掘採施設が移動し海底撹乱を起こした場合には 浮遊した土砂の再堆積等による海底土砂からの影響について検討することが必要 海底地形海底地形 新たに海底に残留する場合には 残留した海洋施設そのものによる海底地形の変化を検討することが必要 残留した海洋施設による流況変化及び波浪等による施設の移動による海底撹乱に伴う海底地形の変化についても検討することが必要 流況流況 海洋掘採施設の残留により新たな構造物が存在することになり 構造を考慮したうえで流況への影響を検討することが必要 プランクトン プランクトンの生息環境である水環境 流況が変化する場合には検討が必要 遊泳生物 水環境への影響が予測される場合 あるいは海洋掘採施設の存在そのものにより遊泳生物への影響が考えられる場合には 影響を予測評価する必要がある 底生生物 海底環境への影響が予測される場合は 海底環境の変化の予測結果を元に 底生生物への影響を予測評価することが必要 残留した海洋掘採施設への生物付着が予想されることから付着生物についても検討が必要 脆弱な生態系海洋生物の生息にとって重要な海域特殊な生態系海洋レクリエーション海中公園等漁場航路海底ケーブル敷設海底資源等 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとって重要な海域及び特殊な生態系の存在の有無を確認した上で 残留した海洋掘採施設の存在による環境の変化が及ぼす影響について予測評価する必要がある 当該海域での海域利用の状況を把握した上で 残留した海洋掘採施設の存在による影響について予測評価する必要がある 当該海域での海域状況を把握した上で 残留した海洋掘採施設の存在による影響について予測評価する必要がある 生態系評価項目海域利用海底環境底質人と自然との触れ合い活動の場海生生物水環境水質生物環境

214 (3) 予測及び評価の考え方海洋掘採施設の残留時の事前環境影響評価は 想定される影響について設定した環境影響評価項目のそれぞれについて 撤去工事の事前環境影響評価と同様に 以下の手順で事前環境影響評価を行なった 1) 予測の方法施設の残留による環境影響の範囲を想定し その範囲における環境要素の変化の程度を予測した 予測の方法は 類似事例 過去の調査結果等を参考にし 或いは引用して行う 特に 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認した 1 洋掘採施設残留時の影響範囲の検討対象海域の水深 流況等の状況に基づき 残留による影響の及ぶ範囲を検討し 影響が想定される海域の範囲を検討した なお 海防法に基づく海洋施設の廃棄許可申請に伴う事前評価の実施の際の影響想定海域の考え方も参考にした 2 環境影響評価項目について変化の程度の予測各環境影響評価項目について 環境影響要因の影響の程度について施設の残留の状況から検討し その結果生じる変化の程度 変化の及ぶ範囲を予測した 予測の方法は 類似事例 過去の調査結果等を参考にし あるいは引用して行った また 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認し 変化の程度の予測の参考とする また 定量的な予測可能な場合は 定量的な予測を行った 2) 評価の方法施設の残留による影響要素の変化の程度を確認し 残留に際し実施される可能性のある緩和措置の情報を入手し これらを基に環境影響評価項目について環境影響評価を行った (4) 評価結果予測 評価の順と考え方に基づき 評価項目ごとに環境影響範囲及び変化の程度の予測を行い その予測結果に基づく事前評価を行った 評価は各評価項目ごとに 原則として その場に残留する場合 横倒しして残留する場合のそれぞれについて行った 評価項目ごとの事前評価結果は表 のとおりである 208

215 表 5.4-8(1) 残留時の評価結果 -1 評価項目 評価内容 事前評価結果 ( 1 ) 水環境 水質 1 海水の濁り 残留した海洋掘採施設により海底付近の流況が変化し 海底土の巻上げが発生する場合 あるいは残留する施設が海底で波浪等により移動することがある場合には海底の状態によっては 海底土が巻き上げられて濁りが発生する可能性が考えられる そのため 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から検討する 残留した海洋掘採施設から海水中に溶出する有害物質の有無について検討することが必要である 特に殺生物性の有害物質が含まれる塗料を使用している場合には必須 2 有害物質である 等による海水 波浪等により移動し 海底土の巻き上げのの汚れ 可能性がある場合は 海底土の有害物質による影響も考慮することが必要 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から予測評価することが必要 その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底付近に濁りを生じる可能性は小さく 影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海底付近の流れにより移動する可能性は小さく それに伴って海底付近に濁りを発生させる可能性は小さいものと考えられた また 横倒して残留する施設が移動の可能性が小さいことから その存在による変化はその場に残留する施設と同様であると考えられ 施設の存在により海底付近に濁りを生じる可能性は小さいと考えられる 以上のことから 横倒して残留する施設についても 濁りに関する影響は軽微であると考えられた 残留する施設の性状から考えて 施設から有害物質等が海水に付加する可能性は小さいものと考えられる また 施設による海底の巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可能性も小さいことが予測されることから その場に残留する施設による有害物質等による海水の汚染の影響は軽微であると考えられた ( 2 ) 海底環境 底 ⅰ 粒径組成質 残留した海洋掘採施設により海底付近の流況変化が起こる場合には底質の粒径組成が変化する可能性が考えられる そのため 流況の変化と同時に底質の粒径組成の変化の可能性の有無を検討する 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から予測評価する その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底撹乱を生じ 広範囲の粒径組成の変化が生じる可能性は小さく 残留による影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海底付近の流れにより移動する可能性は小さく それに伴って海底撹乱を生じ 粒径組成の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた また 横倒して残留する施設が移動の可能性が小さいことから その存在による変化はその場に残留する施設と同様であると考えられ 施設の存在により粒径組成の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた 以上のことから 横倒して残留する施設についても 粒径組成に関する影響は軽微であると考えられた ⅱ 有機物質 残留した海洋掘採施設に新たに付着する生物に起因する有機物質の増加について検討する 海洋掘採施設により海底付近の流況変化が起こる場合には同時に底質の撹乱が起こる可能性が考えられ 海底の有機物質の変化について検討する その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底撹乱を生じ 広範囲の有機物質量の変化が生じる可能性は小さく 残留による影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設が海底付近の流れにより移動する可能性 また 存在することに伴い海底撹乱を生じ 有機物質量の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた 横倒し前にジャケットに付着していた生物の死亡 脱落等による海底への落下に伴い 施設周辺のごく近傍の海底の有機物質量を増加させる可能性が予測されたが その変化の範囲は 撤去前のプラットフォームの海底の状況から類推して 200m 以内の範囲と予測されることから 海域の広い範囲を変化させるものではないと考えられ 残留による当該海域への影響は軽微であると考えられた 残留した海洋掘採施設から発生する有害物質等による海底への負荷について検討 特に殺生物性の有害物質が含まれる塗料を使用している場合には必須 ⅲ 有害物質 残留した海洋掘採施設が移動し海底撹乱による汚れを起こした場合には 浮遊した土砂の再堆積等による海底土砂からの影響について検討する その場に残留する施設及び横倒しして残留する施設は ともにその性状から考えて 施設から有害物質等が海底に付加する可能性は小さいものと考えられ 残留による影響は軽微であると考えられた 209

216 表 5.4-8(2) 残留時の評価結果 -2 評価項目評価内容事前評価結果 ( 2 ) 海底環境 海底 ⅳ 海底地形地形 新たに海底に残留する場合には 残留した海洋掘採施設そのものによる海底地形の変化を検討する 残留した海洋掘採施設による流況変化及び波浪等による施設の移動による海底撹乱に伴う海底地形の変化についても検討する その場に残留 施設の設置以降 施設の存在による海底の変化はジャケット海底面付近で局所的に洗掘が生じているのみであり 施設の設置以降の状況から考えて残留後も同様の状況であることが予測されることから 施設の残留による海底地形への影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は海底にわずかではあるが凸部を生じさせるという変化をもたらすが その範囲は最大で 100m であり 海洋においては限定された狭い範囲であり 今後それが増大することも考えられないことから 海底地形への影響は軽微であると考えられた また 存在する施設の海底付近での洗掘による海底地形への影響についてもその場に残留する施設同様 影響は軽微であると考えられた ( 3 ) 流況 流況 海域に海洋掘採施設が残留し存在する場 その場に残留 合には 新たな海底付近の流れの障害物と 施設の設置以降 施設の存在によって周辺海域の流況に変化が生じたとなることが考えられ 流況が変化する可能性いう事例は見られていないことから 残留することにより当該海域の流況が変が考えられる 残留をする施設の構造を考慮化することはないものと予測されることから 流況への影響は軽微であると考したうえで検討する えられた 横倒して残留 施設を横倒して残留することにより 海底に凸部が生じることになり 施設周辺の限られた範囲の流況が変化することが想定されるが 既存の海洋掘採施設の設置以降の状況に鑑み 海域全体の流況を変化させるものではないと予測されることから 海域の流況への影響は軽微であると考えられた プランクトンの生息環境である水環境が変 4 1 プランクト化する場合には植物プランクトン 動物プランンクトンへの影響を予測評価する ( ) 施設の残留によりプランクトンの生息環境の変化の可能性は小さいことが予測されることから 残留による影響は軽微であると考えられる 生物環境 海生生物 2 遊泳生物 3 底生生物 水環境への影響が予測される場合 あるいは海洋掘採施設の存在そのものにより遊泳生物への影響が考えられる場合には 影響 を予測評価する 対象は 遊泳魚類 海産哺乳類 ウミガメ等である その場に残留 残留前の施設周辺の遊泳魚類相が一部変化する可能性は考えられるが 残留部分周辺の生物は残留前と同様の状態が継続し 大きな変化はないも のと考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設には 残留前の平坦な海底であった場合とは違った魚類相が形成されるような変化が予測されるが 横倒しする場所がその場に残留する施設の近傍であることから 残留される施設周辺に形成される魚類相は 従来から近傍の既存の施設周辺に生息する魚類等と同様と考えられる この変化は 環境への影響という観点からは軽微なものと考えられる 海底環境への影響が予測される場合は 海 その場に残留 底環境の変化の予測結果を元に 底生生物 施設の残留により 底生生物に変化が生じる可能性は小さいものと予測さへの影響を予測評価する れ また 付着生物についても 従来の状態から大きく変化することはないも 残留した海洋掘採施設への付着生物につのと予測されたことから 施設の残留による付着生物及び底生生物への影響いても検討する は軽微であると考えられる 横倒して残留 横倒して残留する施設により 新たな付着生物の基盤が出来 また そこから供給される有機物により海底の局所的な底生生物層が変化することが考えられる しかしながら 撤去前の底生生物調査結果からもわかるように 施設の周辺の生物相に大きな変化が見られないことから 施設の残留による生物相の変化は局所的なものであり 海域の広い範囲に及ぶものではないものと考えられ 環境への影響という観点からは影響は軽微と考えられる 210

217 表 5.4-8(3) 残留時の評価結果 -3 評価項目 評価内容 事前評価結果 ( 5 ) 生態系 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとって重 残留する海洋掘採施設の近傍には影響を受ける藻場 干潟 サンゴ群落そ要な海域及び特殊な生態系の存在の有無をの他の等の脆弱な生態系は存在していないことから 残留による影響はない ⅰ 脆弱な生確認した上で 水環境 海底環境 流況の変ものと考えられる 態系化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する その場に残留 残留する施設は 1983 年の設置以降 保護区あるいは海産哺乳類の生息海域の環境に特段の問題を生じていない そのため 施設の残留によるこれら重要な海域への影響は軽微であると考えられる 生物環境 ⅱ 海洋生物の生息にとって重要な海域 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海域での新たな存在として 海底に存在し続けることになるが 存在する状態は 既存の海洋掘採施設等がこれまで魚礁に転用された場合と同様の形態である 当海洋掘採施設 あるいは魚礁に転用された他地点事例からは この存在によって周辺環境への特段の影響が生じたという事実は見られていないことから これらの重要な海域への影響は軽微であると考える ⅲ 特殊な生態系 残留する海洋掘採施設近傍には影響を受ける化学合成生態系その他の特殊な生態系は存在していないことから 残留による影響はないものと考えられる い活 6 動の場人と自然との触れ合 ( ) ( 7 ) 1 海洋レクリエーション ⅱ 海中公園等 ⅰ 漁場 海洋レクリエーションの利用 海中公園等の 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海水浴場その他の海洋レクリエー存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変ションの場としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えら化の程度から 対象となるものの変化を定性れる 的に予測評価する 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えられる 当該海域での海域利用の状況を確認した 海洋掘採施設を残留する場所は漁場の一部に及んでいるが 残留につい上で 水環境 海底環境 流況の変化 施設ては地元漁業者と調整済みであること 残留後は保安部への届けにより海図の残留の状態から 影響を定性的に予測評にその存在が記載されることから 当該海域の漁業に及ぼす影響は軽微で価する あると考えられる 海域利用 ⅱ 航路 ⅲ 海底ケーブル敷設 ⅳ 海底資源等 残留する海洋掘採施設近傍には主要な航路はなく また 残留する海洋掘採施設は海面までの水深を 90m 以上確保し IMO のクリアランス基準 (55m) を担保していることから 仮に漁船等の通行があったとしても 航路利用への影響はないものと考えられる 海洋掘採施設の残留場所近傍には海底ケーブルの敷設はないことから 海域の海底ケーブルへの影響はないものと考えられる 海洋掘採施設の残留場所には 現在海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用はないことから 底資源の探査又は掘削その他の海底の利用への影響はないものと考えられる 211

218 (5) 残留影響評価の検証 1) 検証結果の概要海洋掘採施設の残留時の影響評価を検証した結果 事前評価の内容に差異が見られた項目はなく 各項目の環境への影響評価結果は 全ての項目で影響は軽微という事前評価の結果に合致していたと考えられる ( 表 5.4-9) 撤去から今年度の調査の間に東北地方太平洋沖地震があったため その影響が懸念されたが 残留施設の周辺の海洋環境の大きな変化は 地盤の移動以外 明らかな変化は確認できなかった なお 震災及びそれに伴う事故のため 当該海域では漁業等の海域利用が制限されており 残留による海域利用への直接の影響の有無は確認できていない 2) 事前予測評価の考え方に反映すべき留意点今回の検証により 事前評価内容は概ね妥当であったと判断でき 事前の予測 評価の方法に反映すべき点はなかった (6) 撤去後の残留時の環境影響評価結果施設の残留時には 残留された施設の新たな存在により海域の微小環境が変化する可能性が考えられたが 目に見える形での大きな変化はなく 残留による環境への影響は軽微なものであると考えられた 212

219 ( 1 ) 水環境 ( 2 ) 海底環境 評価項目 水質 底質 1 海水の濁り ⅰ 粒径組成 残留した海洋掘採施設により海 その場に残留 調査結果より 残留する海洋施設に起因す 底付近の流況が変化し 海底土の 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底る流動変化等による濁りの舞い上がりは特定 巻上げが発生する場合 あるいは残留する施設が海底で波浪等により移動することがある場合に海底土が巻き上げられて濁りが発生する可能性が考えられる 付近に濁りを生じる可能性は小さく 影響は軽微であると考えられた されないことから 評価の妥当性は検証されたと判断できることから 事前評価どおりである 横倒して残留 横横倒して残留する施設の移動の可能性は小さく その存在による変化はその場に残留する施設と同様であり 海底付近に濁りを生じる可能性は小さいと考えられる 濁りに関する影響は軽微であると考えられた 残留する施設の性状 残留場所 残留する施設の性状から有害物質等が海水に付加する 撤去前 撤去工事中 今年度の調査結果よ 2 有害物となる海底の状況から 海水中に 可能性は小さいものと考えられる また 施設による海底のり 水質に大きな変化は見られないことから 質等によ溶出する有害物質について ある 巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可 事前評価どおり る海水のいは海底土の巻き上げによる海底能性も小さいことが予測され 有害物質等による海水の汚 汚れ 土の有害物質による影響を検討する 染の影響は軽微であると考えられた 残留する施設の性状 残留場所 その場に残留 現地調査結果では撤去直後の状況と大き となる海底の状況から 海底付近 施設の設置以後の状況からみて 海底撹乱を生じ広範 な違いはなく 事前評価どおり の流況変化が起こる可能性と底質囲の粒径組成の変化が生じる可能性は小さく 残留によ の粒径組成の変化の可能性を検 る影響は軽微であると考えられた 討し 予測評価する ⅱ 有機物質 残留した海洋掘採施設に新たに付着する生物に起因する有機物質の増加 あるいは海底付近の流 況変化により海底の有機物質の変化について検討する 横倒して残留 横倒して残留する施設の移動する可能性は小さく 海底撹乱により粒径組成の変化が生じる可能性は小さい その存在による変化はその場に残留する施設と同様であり 粒径組成に関する影響は軽微であると考えられた その場に残留 現地調査結果では撤去直後の状況と大き 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底な違いはなく 事前評価どおり 撹乱を生じ 広範囲の有機物質量の変化が生じる可能性は小さく 残留による影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設の存在により海底撹乱を生じ 有機物質量の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた 残留した施設の付着生物の落下による海底への有機物の負荷は 撤去前の海底の状況から類推してごく近傍と予測され 限定された範囲であることから影響は軽微であると考えられた 海洋掘採施設からの有害物質等 残留する施設の性状から考えて 有害物質等が海底に 現地調査結果では撤去直後の状況と大き ⅲ 有害物の負荷 施設の移動等により海底付加する可能性は小さいく 海底土の性状からも残留によな違いはなく 事前評価どおり 質による撹乱を起こした場合の土砂の再堆る影響は軽微であると考えられた 汚れ積等による影響について検討する 海底 ⅳ 海底地地形形 評価内容 新たに存在する海洋掘採施設による海底地形の変化を検討する 残留した海洋掘採施設による流況変化及び施設の移動による海底撹乱に伴う海底地形の変化についても検討する 表 5.4-9(1) 検証結果 -1 事前評価結果 その場に残留 施設の設置以降 ジャケット海底面付近で局所的に洗掘が生じているのみであり 施設の設置以降の状況から考え て残留後も同様の状況であることが予測され 海底地形への影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は海底にわずかに凸部を生じさせる しかし その範囲は最大で 100m であり 海洋では狭い範囲であり 今後それが増大することも考えられないことから 影響は軽微であると考えられた また 施設の海底付近での洗掘による海底地形への影響についてもその場に残留する施設同様 影響は軽微であると考えられた 評価の検証結果 水深の増加 残留する当該海洋施設の移動が確認されたが 撤去工事後のH23 年 3 月 11 日に発生した 平成 23 年 (2011 年 ) 東北地 方太平洋沖地震 により当該地域を含む広範囲で地盤沈下 地盤の移動が観測されており 当該海域の海底面は東へ5~24m 移動していたことより 調査結果の比較で確認された水深の増加と 海洋施設の移動は 大震災によるものと考えられる ( 3 ) 流況 流況 海域に海洋掘採施設が残留し存 その場に残留 在する場合に 新たな海底付近の流れの障害物となることが考えられ 流況が変化する可能性が考えられる 残留をする施設の構造を考慮したうえで検討する 施設の設置以降の流況変化の事例は見られていないことから 残留により当該海域の流況の変化はないものと予測され 影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 施設の残留により海底に新たに凸部が生じ 周辺の限られた範囲で流況が変化することが想定されるが 既存の施設の設置以降の状況に鑑み変化は局所的であり 海域の流況への影響は軽微であると考えられた 2008 年調査時の流況と様相は若干異なるが 基本的に例年通りの傾向であり 海洋掘採施設周辺の流況変化は残留の影響ではなく海流の自然変化によるものと考えられ 事前評価どおり 213

220 生物環境 生物環境 評価項目 ( 7 ) 海域利用 2 遊泳生物 3 底生生物 ⅱ 海洋生物の生息にとって重要な海域 ⅲ 特殊な生態系 1 海洋レクリエーション ⅱ 海中公園等 ⅰ 漁場 ⅱ 航路 ⅲ 海底ケーブル敷設 ⅳ 海底資源等 a. 評価内容 水環境への影響 あるいは海洋掘採施設の存在そのものにより遊泳生物への影響が考えられる場合には 影響を予測評価する d. 事前評価結果 水環境の変化による植物プランク 水環境の変化の可能性は小さいことが予測されることか 4 1 プラントン 動物プランクトンへの影響をら 残留による影響は軽微であると考えられる クトン予測評価する ( ) 海生生物 ( 5 ) 生態系 触れ 6 合い活人動との自場然との ( ) その場に残留 残留前の施設に依存していた遊泳魚類相が一部変化する可能性は考えられるが 残留部分周辺の生物は残留前と同様の状態が継続し 大きな変化はないものと考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設により平坦な海底が変化することから違った魚類相が形成されるような変化が予測されるが その場に残留する施設の近傍であることから 残留される施設周辺に形成される魚類相はこれまで同様と考えられる この変化は 軽微なものと考えられる 調査年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群に変化は認められず 事前評価どおり 漁獲量の比較などは実施できないものの 水環境等の生息環境の変化は事前評価結果の通り軽微なものであり 事前評価どおり 海底環境への影響に基づきが底 その場に残留 現地調査結果では 調査年次の違いにより生生物への影響を予測評価する 施設の残留により 底生生物に変化が生じる可能性は小量的には多少ばらつきはあるが 主要な構残留した海洋掘採施設への付着さく 付着生物についても 従来の状態から大きく変化す成生物群に変化は認められず 事前評価ど生物についても検討する ることはないと予測され 影響は軽微であると考えられる おり 脆弱な生態系 海洋生物の生息 ⅰ 脆弱なにとって重要な海域及び特殊な生生態系態系の存在の有無を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する 海洋レクリエーションの利用 海中公園等の存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する 当該海域での海域利用の状況を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化 施設の残留の状態から 影響を定性的に予測評価する 表 5.4-9(2) 検証結果 -2 横倒して残留 横倒して残留する施設に新たな付着生物の基盤が出来 そこから供給される有機物により海底の局所的な底生生物層が変化することが考えられる しかし 撤去前の底生生物の状況から施設の周辺の生物相は場所により大きな変化が見られないことから 変化は局所的であり 環境への影響という観点からは影響は軽微と考えられる 近傍には影響を受ける藻場 干潟 サンゴ群落その他の等の脆弱な生態系は存在していないことから 残留による影響はないものと考えられる その場に残留 残留する施設は 1983 年の設置以降 保護区あるいは海産哺乳類の生息海域の環境に特段の問題を生じてい ない そのため 施設の残留によるこれら重要な海域への影響は軽微であると考えられる 横倒して残留 当海洋掘採施設 あるいは魚礁に転用された他地点事例からは 新たに存在することによって周辺環境への特段の影響が生じたという事実は見られていないことから 影響は軽微であると考える 震災等の影響により情報が不足している部分はあるものの 残留海域の周辺においては事前評価時から水環境等の現況に大きな変化がないことから 事前評価どおり 資源量の目安となる漁獲量についての比較などは実施できないものの 水環境等の生息環境の変化は事前評価結果の通り軽微なも のであり 残留による影響はほとんどみらないことから 事前評価どおり 残留する海洋掘採施設近傍には影響を受ける化学合成 災により地形等に変化はあったものの 残生態系その他の特殊な生態系は存在していないことから 留海域においては事前評価時から環境の現残留による影響はないものと考えられる 況に大きな変化がないことから 事前評価どおり 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えられる 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えられる 海洋掘採施設を残留する場所は漁場の一部に及んでいるが 地元漁業者と調整済みであること 保安部への届けにより海図にその存在が記載されることから 当該海域の漁業に及ぼす影響は軽微であると考えられる 残留する海洋掘採施設近傍には主要な航路はなく 海面までの水深を 90m 以上確保し IMO のクリアランス基準 (55m) を担保していることから 漁船等の航行があったとしても 航路利用への影響はないものと考えられる 現時点では海洋レクリエーションが実施される状況にないため検証は不可能であるものの 残留海域においては事前評価時から環境の現況に大きな変化がないことから 事前評価どおり 震災により地形等に変化はあったものの 残留海域においては事前評価時から環境の現況に大きな変化がないことから 事前評価どおり 漁業は実施されていないが 震災に伴うものであり 残留によるものではないと考えられる 対象海域に航路の利用はなく 当該海域の航路利用への影響は見られず 事前評価どおり 海洋掘採施設の残留場所近傍には海底ケーブルの敷 海域の状況は事前評価時の状況と同様で設はないことから 海域の海底ケーブルへの影響はないもあり 影響はないと考えられる のと考えられる 現在その他の海底の利用はないことから 海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用への影響はないものと考えられる 評価の検証結果 海域の状況は事前評価時の状況と同様であり 影響はないと考えられる 214

221 5.4.5 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の総括 (1) 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る総合評価結果磐城沖海洋掘採施設撤去に係る撤去工事時及び残留時の環境影響評価を実施した結果をとりまとめた 1) 撤去工事時の影響評価結果事前評価内容及び評価内容の検証の結果は以下のとおりであった 事前評価時には 工事中の環境変化が予測されたものはあったが 重大な影響が想定されるものはなかった 撤去工事後の検証結果 施設の南側の底質に一部変化が見られたが 変化は予測の範囲内であり 環境への影響は小さいものであった 撤去工事による環境要素の変化の可能性 事前の情報不足 参考事例が少ないための予測の不確実さが確認できた項目があったが 環境影響は小さいものであった 今後 十分な情報収集とモニタリングで対応できると考えられた 事前評価内容 考え方は概ね妥当であった 検証結果に基づき評価の考え方への反映する事項はなく 事前評価時に検討し実施した評価の考え方を基本とすることで良いと考えられた 2) 施設の残留による影響評価結果事前評価内容及び評価内容の検証の結果は以下のとおりであった 事前評価は撤去工事時の影響評価と同様の考え方で実施した 事前評価時には 残留施設のごく近傍での環境変化が予測されたが 海洋環境に重大な影響が想定されるものはなかった 残留後の検証結果 地震の影響と見られる変化があったが 残留による影響と確認されるものはなく 環境への影響は軽微と考えられた 事前評価内容 考え方は概ね妥当であった 検証結果に基づき評価の考え方への反映する事項はなく 事前評価時に検討し実施した評価の考え方を基本とすることで良いと考えられた 3) 総合評価結果 1 撤去工事時には 流れの下流側で底質の化学的性状が変化する可能性が考えられた 215

222 が 変化の程度は一般環境の変動範囲内での数値であった 他の環境要素が大きく 変化したことはなかった その結果 撤去工事による海域環境への影響は軽微であ ると考えられた 2 施設の残留時には 残留された施設の新たな存在により海域の微小環境が変化する 可能性が考えられたが 目に見える形での大きな変化はなく 残留による環境への 影響は軽微なものであると考えられた 3 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る海域への環境影響は軽微なものと考えられた (2) 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の留意点 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価を実施する過程で留意すると考えられた 点について以下にとりまとめた 1) 予測評価時に留意した点 1 撤去工事時の影響撤去工事時の影響評価においては 撤去工事により生じる主な影響要因に着目した 特に 撤去方法に関連する要因が大きく 切断方法による要因 撤去の工法による要因が大きいものと考えられた 主に留意した影響は以下のとおりである 施設切断時の水中音の影響 撤去工法による海底撹乱の可能性による影響 引き倒し時の濁りの発生による影響 2 残留時の影響残留時の影響評価においては 残留する施設の状態により生じる主な影響要因に着目した 影響が生じるのは残留する施設に由来するものであり その存在 性状等 主に留意した影響は以下のとおりである 残留施設の存在による影響 残留施設からの有害物質の負荷による影響 残留施設の移動による海底撹乱による影響 2) 評価結果において留意が必要な点現地調査結果等による事前評価内容の検証の結果 予測どおり影響は軽微であると判断されたが 予測内容に違いが見られたものがあった これは 事前の予測において限定された情報により予測を行ったもので その結果過大な予測をすることになった 結 216

223 果的には安全側の予測であり 影響は軽微なものであったが 工事計画は直前まで変更の可能性があるものの より正確な予測のためには 可能な限り詳細な事前情報の収集が必要であると考えられた また 環境要素の変化の確認において 結果として影響は軽微であったものの 変化の原因が海洋掘採施設の撤去に係るものであるかどうかの判断が難しいものがあった これは 周辺環境の情報の蓄積により解決される場合もあると考えられることから 撤去工事の事前 工事中 事後の的確な情報収集が必要と考えられた (3) 大水深海域の撤去時の環境影響評価における考え方と留意点磐城沖海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価の実施事例から 沖合の水深の大きい海域に設置された海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価を実施する際の考え方と留意すべき点についてとりまとめた 1) 大水深海域の海洋掘採施設撤去時の特徴磐城沖海域の海洋掘採施設のような大水深海域に設置された施設の特徴として 以下のような地理的な特徴が考えられる 離岸距離が大きい 設置水深が大きく数 10m から 100m を超える場合がある この結果施設が大型化する例が多い 施設が大型である このような施設を撤去する際には その工法 工期に制限があり それに応じた 環境への影響要因が発生する 例えば磐城沖海域の場合には 大型クレーン船が海域に定位し昼夜作業を続行し 海面下の切断作業は全て機械が実施することによる 夜間照明の影響であったり 切断機器による水中騒音の発生 機器の使用に伴う海底撹乱の可能性等の影響が想定された さらには 撤去したジャケット部分は陸上への完全撤去は困難であり 法 ( 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 ) に沿った形で海底に残留されたため それに伴う影響要因が想定された このような要因を受ける環境要素は 沿岸域 ( 浅海域 ) と比較した場合次のような特徴が考えられる 数 km 以内に人の生活圏がない 海域環境及び生息する生物の違いが想定される 海域利用の特徴に違いがある 217

224 大水深海域での海洋掘採施設撤去時の環境影響評価は このような要因 要素の特徴 を考慮して実施することが必要であると考えられる 2) 環境影響評価の考え方 1 基本的考え方海洋掘採施設の撤去は環境影響評価法の対象ではないが 環境影響評価法に基づく環境影響評価の考え方を参考にし 海域の特性を考慮して実施することが適切である 国内法上は環境影響評価の対象外である 既存の環境影響評価対象事業の技術的方法を参考にする 評価対象項目等は海洋環境に配慮を求めているガイドライン等も参考にする 2 作業の手順環境影響評価の作業手順は環境影響評価法に基づく環境影響評価の手順を参考にして実施する ( 図 5.4-6) 作業は まず撤去の作業内容 残留の状態から影響要因を抽出し 対象海域の特性から環境要素を選定した上で 評価項目を設定する 環境要素は海域の特性を考慮して検討する 次に影響要因による環境要素の変化を影響と捉え その変化の程度を予測し その結果により環境影響を評価する その際 事前に検討された あるいは予測結果により検討された影響を回避 低減する措置を考慮して評価する 撤去工事の概要残留の状態 ( 影響要因 ) 海域環境 ( 環境要素 ) 想定される海域環境への影響 ( 影響評価項目 ) 変化の程度に基づく影響評価 影響要因による変化の程度の予測 検証 保全措置 モニタリング 図 海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の実施手順 218

225 3 影響要因 a. 撤去工事時撤去工事に伴う影響要因の主なものは以下のとおりである 事業の詳細に応じてさらに具体的な要因を検討する必要がある 工事船の航行 / 存在 事前作業 : パイプライン洗浄等 撤去工事 : 上載設備の撤去 ジャケットの切断 撤去 b. 残留時海洋掘採施設の残留に伴う影響要因の主なものは以下のとおりである 残留する施設の性状 状態によりさらに具体的な要因を検討する必要がある 残留施設の性状 : 施設からの化学物質等の負荷の可能性 残留施設の存在 : 海底での新たな存在 残留施設の状態 : 残留後の移動等による影響 4 環境要素海洋掘採施設の撤去に際して影響を受ける可能性が考えられる海域の環境要素の主なものは以下のとおりである 対象海域の特性によりさらに具体的な要素を検討する必要がある 特に生物環境に関しては 海洋生物のみならず海鳥等も考慮する必要がある 大気環境 ( 大気質 ) 騒音 振動 水環境 ( 水質 ) 海底環境 ( 底質及び海底地形 ) 流況 生物環境 ( 海生生物及び生態系 ) 人と自然との触れ合い活動の場 ( 海中公園等 ) 海域利用 ( 漁場 航路等 ) 環境への負荷項目 ( 二酸化炭素等 ) は残留時の評価対象ではない 5 評価項目影響要因と環境要素の組み合わせで事業の内容を勘案し評価項目を選定する 前述 1) 大水深海域の海洋掘採施設撤去時の特徴 の特徴に事業内容が反映されて 細分化された評価項目において対象事業の評価項目が設定される 表 は磐城沖海域の事例である 219

226 6 予測 評価方法影響要因による環境要素の変化の程度について 以下の方法で適宜予測を行い その結果に基づき 影響の程度を評価する その際 可能な限り定量的な予測 評価が行う シミュレーション可能なものは定量的な予測 評価を実施する 環境への負荷が想定される場合は負荷量を計算する 類似の他地点事例等を参照して定性的な予測 評価を行う 220

227 表 磐城沖海洋施設撤去に係る環境影響評価項目 影響要因 撤去工事の影響 残留影響 環境要素の区分 工事用船舶の航行 / 存在 事前作業 撤去工事 施設からの負荷 施設の存在 施設の状態 二酸化窒素 大気環境 大気質 二酸化硫黄 粉じん等 騒音 振動 騒音 騒音 ( 水中騒音 ) 振動 振動 水環境 海底環境 水質 底質 水の濁り 有害物質等による汚れ 粒径組成 有機物質 有害物質等による汚れ 海底地形海底地形 流況流況 プランクトン 海生生物 遊泳生物 生物環境 底生生物 脆弱な生態系 生態系 海洋生物の生息にとって重要な海域 特殊な生態系 人と自然との触れ合い活動の場 海洋レクリエーション 海中公園等 漁場 海域利用 航路 海底ケーブル敷設 海底資源等 温室効果ガス等 光害 廃棄物等 船舶からの二酸化炭素 夜間照明 作業船からの廃棄物 切り屑 注 : 表中の 印は評価対象項目であることを示す 221

228 3) 大水深海域の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の際に考慮すべき事項 磐城沖海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価の実施事例から考えた大水深海域の 海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の際に考慮すべき事項は以下のとおりである 1 影響要因に関する事項撤去の工法 撤去後の措置 ( 陸上へ撤去あるいは残留の内容 ) から影響要因が抽出されることから 大水深海域特有の具体的な工事内容等を確認し 適切に要因を抽出する必要がある 磐城沖海洋掘採施設を例とした考慮すべき事項は以下のとおりである a. 撤去前 施設やパイプラインの洗浄 密閉 埋設等の 撤去工事前に実施される準備作業において石油流出や他の化学物質による環境汚染の可能性が考えられる b. 撤去工事時 ジャケット切断時のパイル内の水の流出 切断に AWJ を使用する際の研磨剤の成分などによる水質汚濁に留意する ジャケットの切断時 発破 機械的切断等使用する切断方法により発生する水中騒音による影響に留意する 撤去後 切断した施設を移動する場合の 海底への仮置きあるいは引き倒しの際の海底撹乱及びそれに伴う濁りの発生 周辺生物への影響に留意する c. 残留時 残留する場合は 海底にこれまで存在しなったものが存在することになり 漁業操業への影響が懸念されることから その影響に留意する 残留した施設からの金属類等の有害物質の流出による環境影響が懸念される 残留した施設が波の力等で移動 浮上し 海底撹乱等を生じることなどで海域環境に影響を及ぼさないよう留意する 2 環境要素に関する事項大水深海域ではその地理的特徴から海域に関する既存情報が少ない場合が多く また 現地調査を実施する場合でも制限要因が大きいことから 情報収集に困難が伴うことが多い 環境影響の予測 評価を適切に実施するためには現況情報の把握が重要となることから 可能な範囲で早い段階から ( 例えば施設の建設前 ) 適宜 現地情報の収集 把握を行っておくことが望ましいと考えられる また 現地調査を行う際には 調査の困難さも考慮して 影響予測 評価を念頭に置いた効率的な現地調査の実施が必要であると考えられる その際 対象項目の選定等に比較的事例の多い海外の情報を参考にするなどの対応が望ましいと考えら 222

229 れる 大水深海域での環境情報は限られることから 適切な予測 評価のために 可能な範囲で早い段階から現地情報を把握しておくことが望ましい 環境要素等の選定 現地情報の収集に当たっては 事例の多い海外情報を参考にすることも検討する 3 予測 評価に関する事項事業内容 ( 影響要因 ) や地域の情報 ( 環境要素 ) 等の事前情報が少ない場合など 予測結果が不確実である場合が多い 対応策として 上記のとおり事前に充分な情報を収集 把握する方法が望ましいが 不可能な場合も含めて他の理由によっても予測が不確実な場合がある その場合にはモニタリングにより確認することが望ましいが 上記のとおり 現地調査は困難なことが多いことから 事前に必要な監視内容を 調査の可能性も含めて検討しておく必要がある 事業内容 ( 影響要因 ) 地域の情報( 環境要素 ) 等の情報を事前に収集 把握する モニタリングによる調査内容に制限があることから 事前に適切なモニタリング計画を検討する 223

230 5.4.6 モニタリング内容の検討磐城沖海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価結果に基づき 撤去工事時 残留時の鉱害防止の観点から 確認すべき項目等について 必要と考えられるモニタリング内容を検討した (1) モニタリング計画に係る基本的考え方の検討モニタリングは 監視 追跡のために行う観測や調査のこと ( EIC ネット : 環境用語集 ( より ) であり 環境変化の把握 環境影響評価の予測評価の検証 環境の監視等のために実施される 環境影響評価においては 予測時に不確定な要素がある場合や 環境保全措置の手法や効果がよくわかっていない場合には それを補うために調査等を行うことが必要となる 環境影響評価法では 基本的事項において 事後調査 という位置づけで 以下のように定めている 選定項目に係る予測の不確実性が大きい場合 効果に係る知見が不十分な環境保全措置を講ずる場合 工事中又は供用後において環境保全措置の内容をより詳細なものにする場合等においては環境への影響の重大性に応じ 代償措置を講ずる場合においては当該代償措置による効果の不確実性の程度及び当該代償措置に係る知見の充実の程度を踏まえ 当該事業による環境への重大性に応じ 工事中及び供用後の環境の状態等を把握するための調査 ( 以下 事後調査 という ) の必要性を検討するとともに 事後調査の項目及び手法の内容 事後調査の結果により環境影響が著しいことが明らかとなった場合等の対応の方針 事後調査の結果を公表する旨等を明らかにできるようにすること なお 事後調査を行う場合においては 次に掲げる事項に留意すること ア事後調査の項目及び手法については 事後調査の必要性 事後調査を行う項目の特性 地域特性等に応じて適切な内容とするとともに 事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能なように設定されるものとすること イ事後調査の実施そのものに伴う環境への影響を回避し 又は低減するため 可能な限り環境への影響の少ない事後調査の手法が選定され 採用されるものとすること ウ事後調査において 地方公共団体等が行う環境モニタリング等を活用する場合 当該対象事業に係る施設等が他の主体に引き継がれることが明らかである場合等においては 他の主体との協力又は他の主体への要請等の方法及び内容について明らかにできるようにすること ( 下線は引用者 ) 環境影響評価法に基づく基本的事項 ( 平成 9 年環境庁告示第 87 号 ) 本検討においては 環境影響評価法の考え方を参考にするという基本的考え方で進めていることから モニタリングにおいても同様に参考にすることとした この考えに沿えば 海洋掘採施設の撤去に係るモニタリング調査は 事前の予測評価において 情報の制限等から予測の不確実性が大きいもの 撤去工事時あるいは残留時の環境の状態を把握することが必要なものを対象にモニタリングを行うという考え方が適切であると考えられた 224

231 (2) モニタリング項目の検討モニタリング実施の基本的考え方に則り 対象とする項目を以下のとおり考えた 予測の不確実性が大きいもの 事前に情報不足等で予測が不確実であったもの 検証のためにモニタリングが必要である 撤去工事時あるいは残留時の環境の状態を把握し継続監視するもの 予測結果では影響が軽微であっても 常に環境への負荷が想定され 影響が軽微であること確認するため 1) 撤去工事時撤去工事時の事前評価及びその結果の検証からモニタリング項目に該当するものは次のとおりであった 1 事前の予測内容が不確実であり 工事中の調査により確認した 水中騒音 水中騒音調査 夜間照明 夜間照明確認 2 工事による環境負荷が想定されたが 事前評価では影響は軽微と予測され 検証の結果も予測どおりであった これらは結果として影響は小さいものであったが 施設の場所 規模等に応じて配慮する必要がある 撤去工事時の水質影響 水質 撤去工事時の海底撹乱 底質 底生生物 2) 残留時残留時の事前評価及びその結果の検証からモニタリング項目に該当するものは次のとおりであった 1 事前の予測内容が不確実であり 事後の調査により確認したものはなかった 2 残留する施設により影響が想定されたが 事前評価では影響は軽微と予測され 検証の結果も予測どおりであったもの 残留時の底質変化 底質調査 底生生物調査 なお 海洋施設を残留する場合 残留する施設への魚類等の蝟集の可能性が考えられる この現象は 通常 わが国では環境影響評価の対象とはされず また大水深海域での調査は困難が予想されるが 残留による環境変化の確認という観点から 可能な範囲で確認調査の実施を検討しても良いと考えられる 225

232 (3) モニタリング調査方法の検討各項目の調査においては 事前に調査した環境調査結果との比較のため 分析項目等は同内容とし 調査方法も同様の方法とするのが望ましいと考えられる また 海底の状況については ROV 等による映像情報による確認が望ましい (4) モニタリングの時期 頻度に関する検討 1) 時期磐城沖海洋掘採施設の撤去に際しては 撤去工事直前 撤去工事時 撤去工事直後にそれぞれ可能な調査を実施した また 残留時には残留後 2 年目に調査した 1 撤去工事時この実施状況に基づいてモニタリング時期を検討すると 撤去工事時のモニタリング調査は 工事に併せて実施するのが適切であり 調査対象項目に応じて 要因発生時に調査を実施することが望ましい なお 撤去工事時には安全性の観点からモニタリング調査が制限されるものもあり その場合は工事の直前 直後の情報を得ることで対応することも考慮することが良いと考えられる 2 残留時残留時のモニタリングは 残留後の変化を確認することが必要であることから 事前の評価内容と比較できるように適切な時期に実施することが望ましい 環境省が海洋汚染防止法に基づく海洋施設の廃棄許可申請の際に義務付けている環境影響調査における監視調査の考え方 ( 海洋施設廃棄の許可の申請に関し必要な事項を定める件 平成 18 年環境省告示第 153 号 ) では 廃棄するものによって若干違いはあるが 概ね次のような内容を定めている 事前評価において環境への影響が最大となると想定される時期あるいは物理的な変化が安定すると想定される時期に監視を実施することを原則とする 影響の程度が極めて小さく 廃棄後速やかに変化が安定すると想定される場合には 原則として廃棄後 3 年目 ( 又は4 年目以降の適切な時期 ) に監視を実施するものとする 海洋施設の廃棄は 本検討で言う残留に相当すると考えられることから 残留時のモニタリング実施時期はこの考え方が参考になる その結果 残留時のモニタリング時期は 今回の実施例から考えて 残留して数年後に実施するのが適切ではないかと考えられた なお その際事前評価の内容と違っ 226

233 ている場合は 適応的な対応が必要となる 2) 頻度なお モニタリングの頻度は 環境変化の把握という観点からは一般的な海域環境調査の四季調査を理想とするが 大水深海域では 気象 海象条件や地理的な条件から 沿岸域と同様の四季調査は困難な場合が多く 少なくとも撤去前の情報と比較できる時期に実施することが望ましいと考えられる (5) モニタリング計画内容 上記で検討したモニタリングの内容に基づき 磐城沖海洋掘採施設を例としたモニタ リング計画案をとりまとめた ( 表 ) 表 モニタリング計画案 区分 撤去工事時 残留時 備考 1 項目 水質調査 底質調査 底生生物調査 水中騒音調査 夜間照明確認 底質調査 底生生物調査 可能な範囲で施設への生物蝟集状況の確認も検討する 具体的な項目は事前環境調査と同様の項目 2 方法 事前環境調査と同様の方法 事前環境調査と同様の方法 3 実施時期 及び頻度 ROV 等の映像による確認 が望ましい 撤去工事時 ( 影響要因発生 時 ) 場合によっては工事の直前 直後の実施を考慮する ROV 等の映像による確認 が望ましい 残留数年後 適切な時期 可能であれば四季調査が望ましい 227

234 5.5 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討平成 20 年度から本年度まで 磐城沖海洋掘採施設を事例として 水深 100m を越える沖合に設置された海洋掘採施設について 撤去時の環境影響調査及び評価を実施してきた 過去には磐城沖海洋掘採施設よりは水深は浅いが沖合に設置された阿賀沖北海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価の事例がある 海洋に設置された掘採施設の撤去の際に 環境への影響に留意することは鉱害防止の観点から必要であると考えられるが わが国にはこれまで具体的な環境影響評価の枠組みはなく 今回 特に沖合の海洋掘採施設における環境影響評価について検討した 本項では 本調査の成果である磐城沖海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価の内容とともに 過去に実施された阿賀沖北海洋掘採施設の事例を参考にして 我が国において海洋掘採施設を撤去する場合に環境保全の観点から留意すべき事項をとりまとめた 同時に 沿岸部の水深の浅い いわゆる浅海域と呼ばれる海域の場合についても検討した 海洋掘採施設撤去時の環境影響評価のまとめ (1) 既存事例の概要 ( 阿賀沖北海洋掘採施設の事例 ) 阿賀沖北海洋掘採施設は平成 5 年度に撤去されたが これは我が国初めての大型海洋掘採施設の撤去工事であった そのため 海域への環境影響について 撤去前 工事中 撤去後に調査が実施されている この事例を参考に海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価について整理した 1) 施設の概要阿賀沖北油田は 新潟沖合約 16km ( 水深 90m) に位置する ( 図 5.5-1) 図 阿賀沖北海洋掘採施設位置 228

235 阿賀沖北海洋掘採施設は 昭和 59 年 (1984 年 ) に海洋掘採施設が設置され 平成 5 年 (1993 年 ) に生産活動を停止した 海洋掘採施設は 8 本脚 ( メインパイル =8 本 スカートパイル =4 本 ) で 総重量は 8400 トン ( ジャケット =4900 トン デッキ モジュール =3500 トン ) ジャケット全高は 98mであった ( 図 5.5-2) 図 阿賀沖北海洋掘採施設 2) 撤去工事の概要ジャケットパイルの水中切断は シェイプドチャージ方式を採用し 12 本のパイル内部をジェッティングにより海底面下 8mまで掘削して海底面下 5mに爆薬をセットして行なった 切断作業は 1 シリーズ 4 本を 1 秒ごとに切断し 3 日で全 22 本の切断を完了した また 全撤去工事に要した期間は合わせて 52.5 日であった 3) 阿賀沖北海域の状況海域の現況を把握するため現地調査を行った 調査は表 に示す項目を実施した 表 調査項目と実施年度 年度平成平成平成 5 年平成項目 3 年 4 年前中後 6 年 備 考 流況 流向 流速の連続観測 海底状況 落下 残置物の確認 発破音響 予備 発破時の音圧測定 底泥拡散 予備 発破時の底泥拡散測定 水質 環境項目 栄養塩類 底質 一般項目 溶出 含有量 生物 底生 浮遊 遊泳生物 資料収集 国内 海外資料の収集 229

236 調査結果による海域の状況は次の通りであった 1 流況最多出現流速は 海面下 10m で 10~20cm/s 底層で 0~10cm/s であり 底層の流速は表層域の 1/2 程度に減少した 流向は北東が卓越し 南西方向の顕著な転流は調査期間中 1 回観測されたのみであった 海洋掘採施設の撤去で微小な流れは変化すると想定されたが 観測結果からは異常な流れが検出されず 開放的な海域であるため周辺への影響は無いと考えられた 2 海底状況音響測深機 サイド スキャン ソナー サブボトムプロファイラーなどで海底面上や海底面下の状況を調査し 整地作業やパイプライン埋め戻し後の状況を確認した 音響測深記録から 海洋掘採施設跡では周囲より最大約 1.5m 海底地形が隆起していたことが確認された ( 図 5.5-3) この原因として 海洋掘採施設の運転期間中ジャケット部に付着したカキ殻を排貝し これが長期に渡り堆積したものと考えられた カキ殻の分布は北東 - 南西方向に長い楕円形を示し 潮流の卓越方向と一致した SW プラットフォーム跡 NE 2m 110m 図 カキ殻による隆起 ( 音響測深記録例 ) 3 発破音響パイル切断時に発破箇所から 100m 地点で 5~7bar 200m 地点で 2barの衝撃波が測定され 損傷を受けた魚類の浮上が確認された ( 図 5.5-4) 既往知見から 200mの範囲内の魚類が影響を受けたと考えられ 今後の撤去工事では魚類の散逸措置や より影響の少ない切断方法の検討などの必要性が示唆された また 観測による測定結果は数値モデルによるシミュレーション結果と概ね一致し ( 図 5.5-5) 数値モデルの有効性が検証された 230

237 図 発破による損傷を受けた魚類レントゲン写真 爆破箇所毎の音圧測定結果 (H5 年 6 月 20 日 ) シミュレーション結果 図 音圧測定結果とシミュレーション結果との比較 4 底泥拡散調査 撤去作業中の濁度計による観測の結果 浮遊物質量 (SS) は概ね 0.3~0.6mg/l の 低い値で推移し 大きな変化は観測されなかった また 撤去作業中は観測場所の制約などもあり 発破時の状況を完全には捉えられなかった しかし 調査海域の底質性状や既存資料などから判断すると 発破に伴う海底泥の巻き上げは比較的狭い範囲でかつ短期的であり 周辺環境への影響は小さかったと考えられた また 数値モデルによるシミュレーションの結果 ( 図 5.5-6) 発生した濁りは発破点の直近で速やかに沈降し 70m 地点では 1/100 に 200m 地点では 1/600 に減少することが示された 図 底泥拡散状況のシミュレーション結果 ( 発破後 3 時間まで ) 231

238 5 水質調査海域は 距岸 16km 水深 90mの開放的な海域で 常時対馬暖流の影響下にある このため CODや栄養塩類の値は夏季の内湾 沿岸域で観測される値に比べ低い傾向を示した 平成 5 年度の調査では 天候不順の影響もあり 調査海域周辺の表層域に阿賀野川及び信濃川に由来すると考えられる低塩分水が分布し 特に透明度や CODの値に影響を及ぼした また 調査海域は対馬暖流の影響により水塊が常に流動している 撤去工事は継続的な負荷をもたらすものではなく 短期的かつ小規模であるため 水質調査の結果から周辺環境への影響は確認されなかった 6 底質調査海域の底質は シルト分もしくはそれ以下の微細粒子が 95% 以上を占め 砂 礫分はほとんど含まれない このことから 調査海域の底層流が微弱であり かつ底質が安定していることが示された 施設周辺で有害物質や重金属類の異常値は確認されず 生産期間を通してこれらの蓄積は無かったと考えられた また 撤去工事の前後で 底質の性状 有害物質や重金属類の値に大きな変化は確認されなかった 7 生物 a. 浮遊生物植物プランクトンは 4 回の調査で合計 133 種が出現し 珪藻類が 91 種と卓越した また春季に種類数が少なく 夏季に増加する傾向が認められた 細胞数は調査回別にみると 平均 9,700~407,000 細胞 /l の範囲で変動した 動物プランクトンは 4 回の調査で合計 104 種が出現し その半数を橈脚類が占めた 個体数は調査回別にみると 平均 1,505~15,253 個体 /m 3 の範囲で変動した 植物 動物プランクトンともに 対馬暖流を代表する種と沿岸域の普通種が卓越していた プランクトンは遊泳力が弱いため 濁りや発破衝撃圧の影響を受けたと考えられるが その影響は狭い範囲で かつ短期的であるため 撤去工事の影響は調査結果に表れなかった これらのことより撤去工事による影響は軽微であると考えられた b. 底生生物マクロベントスは 4 回の調査で合計 78 種が出現し 多毛類が 48 種と卓越した メイオベントスは 4 動物門 6 綱の種が確認された マクロベントス メイオベントスともに撤去直後に海洋掘採施設跡近傍 ( 半径 200m 以内 ) の個体数及び種類数が増加した ( 図 5.5-7) この原因として 発破によ 232

239 る捕食者の排除や生物の死骸が一時的に堆積したことにより適応能力の強い種が蝟 集 繁殖した結果と考えられた 1 年後には海洋掘採施設周辺域に近い生物相に戻っ ていることが確認された マクロベントス個体数 (ind./0.1m2) P/F 近傍周辺域 メイオベントス個体数 (ind./70m2) P/F 近傍周辺域 0 H4.7 H5.5 H5.8 H6.8 調査年月 0 H4.7 H5.5 H5.8 H6.8 調査年月 マクロベントス種類数 P/F 近傍周辺域 H4.7 H5.5 H5.8 H6.8 調査年月 メイオベントス種類数 H4.7 H5.5 H5.8 H6.8 調査年月 P/F 近傍周辺域 図 マクロベントス ( 左 ) メイオベントス ( 右 ) の個体数及び種類数の出現状況 c. 魚卵 稚仔魚魚卵は 4 回の調査で合計 20 種の卵が出現した 各期の種類数に大きな変動はみられなかった 個体数は 9~4,058 個体 / 曳網の範囲にあり 優占種はカタクチイワシであった 稚仔魚は 4 回の調査で合計 33 種が出現した 個体数の出現状況を各調査回 層別にみると 1~69 個体 / 曳網の範囲にあり 出現種はカタクチイワシ 次いでマイワシが多かった 魚卵 稚仔魚はともに 対馬暖流に生息する代表的な魚種が確認された また 個体数及び種類数の経年変化が認められたが 撤去の影響ではなく水温 塩分 透明度等が年により異なったためと考えられた d. 水産有用生物 4 回の調査で 魚類 35 種 その他 14 種の合計 49 種が採取された 種類数 個体数ともに調査時期による差は小さかった また 各調査期においてタマガンゾウビラメが第一優占種であった これらの結果から 撤去工事の影響は無かったものと推察された 233

240 4) 環境影響評価の実施内容 1 影響要因の検討 a. 音による影響要因の検討海洋掘採施設撤去作業時に発生する音による環境への影響は図 に示した 海洋掘採施設撤去作業時に発生する音は 発破音とその他工事中の音 ( カッター音 使用船舶音を含む ) を考慮した 衝撃波を伴う発破音は海洋掘採施設近傍に生息する生物を死亡させ 一方その他の工事中の音は周辺海域に生息する生物を忌避もしくは蝟集させる可能性があり 最終的に漁獲への影響を予測した impact 発破音 工事中の音 ( 衝撃波 ) ( 雑音 ) 近傍に生息する生物への影響 死魚類 ( 成体 幼生 卵 ) 流動 水温等により伝搬方法 強さが左右される 周辺海域に生息する生物への影響 忌避 蝟集魚類成体 漁獲への影響 図 撤去作業時の音による環境影響フロー図 b. 底泥撹乱による影響要因の検討海洋掘採施設撤去作業及びパイプラインの切断 処理時等に 海底堆積物が巻き上げられるために起こる 環境への影響をフロー図に示した ( 図 5.5-9) impact リグ撤去時及びパイプライン処理時の底泥拡散 堆積物質の懸濁 拡散 底生生物群集の撹乱 ( 直接的影響 ) 懸濁物質の増加 ( 間接的影響 ) 栄養塩類 重金属等の溶出 ( 間接的影響 ) 浮遊生物等への影響 堆積物質の懸濁 拡散 生物相 漁獲量の変化 ( 魚類等の忌避 蝟集 ) 図 海底堆積物の巻き上げにより起こる環境影響フロー図 234

241 堆積物の懸濁 拡散による直接的影響として 底生生物群集の撹乱があげられた また 間接的影響として濁度の増加と栄養塩類 重金属等の溶出による浮遊生物への影響が考えられ 最終的に生物相 漁獲量の変化が予測された 2 環境要素の抽出撤去作業により生じる環境影響は それぞれが独立した要因によるものではなく 相互に関連していると考えられた これらを把握するための環境要素として 以下 ⅰ) ~ⅲ) の 3 つに大別し 把握内容を検討した ⅰ) 物理環境海域の流動 ( 流向 流速 ) を測定し 音波の伝達方向 懸濁物質の拡散方向及び影響範囲を把握する ⅱ) 化学環境海底撹乱に伴う懸濁物質 栄養塩類の増加及びこれらの拡散方向 範囲を把握する ⅲ) 生物環境衝撃波あるいは懸濁物質による生物環境への直接的な影響 及び音響伝搬 懸濁物質の移動 拡散 特定物質の溶出等による間接的要因を把握する 3 評価項目の設定 影響要因とその影響を受ける環境要素を実際の海域調査で観測するために設定した調査項目とその目的を表 に示した この項目を評価項目とした 235

242 理環境化学環境生物環境項目目的物流況海底状況発破音響底泥拡散水質底質底生生物浮遊生物遊泳生物 表 影響評価のための調査項目水塊の移動 懸濁物質の拡散などを解析するとともに 魚類など生物の分布にも影響を及ぼすため 環境調査の基本項目としてデータを取得する 落下物 残置物の確認 掘削泥の分布状況やパイプライン埋め戻し後の状況を確認する 影響は短期間であるが 強力な衝撃波は掘採施設近傍の生物に大きな影響を与えるため 衝撃圧の大きさと距離による減衰を観測する また 事前にシミュレーションモデルを作成し 影響範囲を予測した 堆積した底泥を攪乱することにより 堆積物の拡散 再堆積などが起こり 底生生物の生息環境に直接的な影響を与えることが予測されるため 海洋掘採施設周辺域の濁度を測定した また 事前にシミュレーションモデルを作成し 堆積物の拡散 再堆積エリアを予測した 生物生息環境の基本要素で 環境影響評価のバックデータとして重要である 撤去工事時の排水や 拡散された底泥からの溶出物質による影響の有無を調査する 生物生息環境の基本要素で 環境影響評価のバックデータとして重要である 海洋掘採施設操業中の汚染や撤去工事による堆積物性状の変化について調べる 海底上や底泥中に生息する動物群で 底生魚類の餌料として重要である 移動性に乏しく 環境変化の影響を反映しやすいことから 指標性が高いと考えられる 海域の基礎生産や物質循環に重要な生物群である 遊泳力が乏しいため物理 化学的影響を受けやすく 環境の改変に対する耐性は低いが 瞬間的な影響を捉えにくいと考えられる 魚類など水産上重要な生物群を含む 撤去工事が漁業活動へ与える影響の有無を調べる 4 阿賀沖北海洋掘採施設撤去に係る評価結果阿賀沖北海洋掘採施設の撤去工事の影響は 海洋掘採施設の撤去前 撤去中 撤去後に実施した調査結果による表 の様に要約された その結果 海洋掘採施設撤去に係る影響は 海洋掘採施設周辺の狭い範囲に限定され 工事期間も短期であるため 周辺海域に及ぼす影響はほとんどないと考えられた 236

243 理環境化学環境生物環境表 評価結果 項目結果概要物流況 海底状況 発破音響 海洋掘採施設の撤去で局所的な流れは変化する可能性は考えられるが 特異的な流況は観測されなかった 開放的な海域であるため周辺への影響はないと考えられた 深浅測量の結果 北東 - 南西方向に長い楕円形状にカキ殻が分布していた また カキ殻は厚みは最大 1.5m であった サイド スキャン ソナーの調査結果により 21 個の微小な落下物と考えられる反射が確認された パイル切断時に発破箇所から 100m 地点で 5~7bar 200m 地点で 2bar の衝撃波が測定され 損傷を受けた魚類の浮上が確認された 既往知見から 200mの範囲内の魚類は影響を受けたと考えられた 今後は魚類の散逸措置や 影響の少ない切断方法の検討が必要であると考えられた 観測場所の制約などもあり 発破時の状況を完全には捉えられなかった しかし 調査海域の底質性状や他の調査例などから判断すると 発底泥拡散破に伴う海底泥の巻き上げは比較的狭い範囲でかつ短期的であり 周辺環境への影響は小さかったと考えられた 調査海域は対馬暖流の影響下にあり 水塊は常に流動している また 水質撤去工事は継続的な負荷をもたらすものではく 短期的かつ小規模であるため 周辺環境への影響は確認されなかった 撤去工事の前後及び対象域と周辺域とでは 底質の性状 有害物質や重底質金属類の値に大きな変化は確認されなかった 底生生物調査で確認した生物種は周辺海域に広く分布しており 撤去工事の前後で大きな変化は確認されなかった また 撤去直後に海洋掘採施設跡の浮遊生物底生生物の種組成が変化し 発破の影響と考えられたが 翌年には周辺遊泳生物と同じ生物相に戻っていることが確認された 237

244 5) 評価に係る留意事項阿賀北沖海洋掘採施設の撤去に係る環境調査及び影響評価結果から 撤去に係る各作業においての留意事項が抽出された 1 廃坑措置等海洋掘採施設撤去作業以前に行われる 廃坑措置 パイプラインの洗浄 密閉 埋設については 作業手順が確立しており 適切に行われれば石油流出や他の化学物質による環境汚染の危険度は低く 世界的にも過去に汚染事例の報告はない また これ以降の本体撤去作業に関する限り汚染の心配は非常に小さいと考えられる しかし 撤去にともなう汚染の有無を確認する上では 周辺で撤去時の水 底質モニタリング調査を行うことが望まれる 2 発破切断作業発破切断作業では 海洋掘採施設周辺の魚類 海産哺乳類等が被害を受けることが懸念される 衝撃音圧は発破点を中心に 200m 程度の範囲で魚類に対して重大な影響を与えたことが調査結果から明かとなった このため 海洋掘採施設周辺に群遊している魚類に対しては魚群探知機等で蝟集状況を把握した上で 適当な散逸措置 例えば 小型発破 エアーガン 水中スピーカー ( イルカ鳴き声等 ) バブリング フラッシュライト等をとることが望まれる 漁業活動の盛んな海域では 漁業者との調和を図る意味からも 有用魚種の生態的知見や漁業に関する情報等を撤去計画 ( 時期 方法 ) に反映させる必要があると考えられる ウミガメ 海産哺乳類に関しては発破時に監視を行う他 海洋掘採施設で目視記録をつけ 出現時期を割り出すなど地域性にあった撤去計画を作る必要があろう 海洋の作業において海洋生物の被害を最小限にするためには このような方策を具体的に指針に盛り込むことが必要だと考えられる 3 底泥拡散発破にともない海底土の巻き上げが起こることも予想されるが 一般的な条件下のシミュレーションおよび阿賀沖北海洋掘採施設での調査事例 ( 撤去前 中 後の比較 ) によれば 懸濁の影響は比較的狭い範囲かつ短期的であったと考えられる そのため 撤去作業時の海洋環境への影響は小さいと考えられた 4 整地作業撤去後の海洋掘採施設位置周辺の落下物回収 整地作業は 漁業 航行の安全の上から必要であり 特に残留したパイプラインの端部を重点的に海底面の状況をモニタリングする必要があると考えられる 238

245 (2) 磐城沖海洋掘採施設における環境影響評価の概要前章 5.4 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 において検討した海洋掘採施設撤去の際の環境影響評価の概要をとりまとめた 1) 評価結果の概要 1 撤去工事時には 流れの下流側で底質の化学的性状が変化する可能性が考えられたが 変化の程度は一般環境の変動範囲内での数値であった 他の環境要素が大きく変化したことはなかった その結果 撤去工事による海域環境への影響は軽微であると考えられた 2 施設の残留時には 残留された施設の新たな存在により海域の微小環境が変化する 可能性が考えられたが 目に見える形での大きな変化はなく 残留による環境への 影響は軽微なものであると考えられた 3 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る海域への環境影響は軽微なものと考えられた 2) 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の留意点 1 影響要因に関する事項撤去の工法 撤去後の措置 ( 陸上へ撤去あるいは残留の内容 ) から影響要因が抽出されることから 具体的な工事内容等を確認し 適切に要因を抽出する必要がある 磐城沖海洋掘採施設を例とした留意すべき事項は以下のとおりである a. 撤去前 施設やパイプラインの洗浄 密閉 埋設等の 撤去工事前に実施される準備作業において石油流出や他の化学物質による環境汚染の可能性が考えられる b. 撤去工事時 ジャケット切断時のパイル内の水の流出 切断にAWJを使用する際の研磨剤の成分などによる水質汚濁の可能性が考えられる ジャケットの切断時 発破 機械的切断等使用する切断方法により発生する水中騒音により 海産哺乳類等への影響が考えられる 撤去後 切断した施設を移動する場合の 海底への仮置きあるいは引き倒しの際の海底撹乱及びそれに伴う濁りの発生 周辺生物への影響に留意する c. 残留時 残留する場合は 海底にこれまで存在しなったものが存在することになり 漁 239

246 業操業への影響が懸念されることから その影響に留意する 残留した施設からの金属類等の有害物質の流出による環境影響が懸念される 残留した施設が波の力等で移動 浮上し 海底撹乱等を生じることなどで海域環境に影響を及ぼさないよう留意する 2 環境要素に関する事項 沖合の海洋掘採施設設置海域では地理的特徴から環境情報は限られることから 適切な予測 評価のために 可能な範囲で早い段階から現地情報を把握しておくことが望ましい 環境要素等の選定等に当たっては 事例の多い海外情報を参考にすることも検討する (3) 浅海域の事例の検討前項で検討してきた沖合の海洋掘採施設は 以下のような地理的な特徴が考えられる 岸から離れた沖合に設置されている 設置水深が数 10m から 100m を超える この結果施設が大型化する このような施設を撤去する際には その工法 工期に制限があり それに応じた 環境への影響要因が発生する さらに このような要因を受ける環境要素は 次のような特徴が考えられる 数 km 以内に人の生活圏がない 沖合域特有の生物環境の可能性が考えられる 海域利用に特徴がある 一方で 岸に近い沿岸域は 水深が浅くいわゆる浅海域と呼ばれる海域であり 沖合域の海域とは地理的特徴の違いとともに 海域環境にも違いが見られる この海域に施設が存在し 施設の撤去が計画される場合には 今回検討した沖合の海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価時の特徴と比較しながら沿岸域の特徴を類推すると 以下のような特徴が想定される そのため 仮に 沿岸域 ( 浅海域 ) に存在する海洋掘採施設を撤去する場合には このような特徴に関する留意も必要であると考えられる 240

247 人の生活圏に近いことから 工事に係る大気汚染 騒音の影響の可能性が想定される 沿岸域での漁業活動 海洋レクリエーション等の頻繁な海域利用が想定される 沿岸域に藻場 干潟等の脆弱な生態系 あるいは国立公園等の特別な地域が存在する可能性が高いことから 事前の確認が必要である 水深が小さいことから 撤去時の切断は海底面下で行わなければならず * その際に撤去の方法により海底撹乱あるいは底面で濁りが発生する可能性が大きい *IMO89 年ガイドラインの付属書 大陸棚および排他的経済水域に設置された海洋施設および構造物の撤去に関するガイドラインおよび基準 では 撤去の際 船舶航行の安全性確保のために海面まで 55m を確保しなければいけない とされている 241

248 5.5.2 海洋掘採施設の撤去時の留意事項のまとめ海洋掘採施設の廃止に当たっては 平成 20 年 (2008 年 ) に経済産業省鉱山保安課より石油鉱山保安部会中間報告書 ( 海洋掘採施設等の廃止措置に関する基本的考え方について ) が報告されている この中で 海洋掘採施設の廃止措置に関して 海外の動向を参考にしながら 主に以下のような考え方が示されている 上載施設は全て陸上に運搬して処分する 下部構造物は自然の海底面下の適切な位置で切断 撤去して 適切な措置を行うことを原則とするが 自然の海底面より上の位置で切断 撤去する方法以外に適切な方法がない場合には自然の海底面より上の位置での切断 撤去を検討することができる 切断方法は非爆破切断方法が望ましい また 前項で示したように IMO98 年ガイドラインでは 海洋施設撤去後 船舶航行の安全性確保のために 海面まで 55mを確保しなければならないとされており 水深の小さい海域では 上記の考え方の中の海底面下の適切な位置で切断 という方法が必須になる 磐城沖海洋掘採施設は これらの考え方に沿って施設の撤去が行われている 以上の考え方を参考にしながら 本調査で検討した海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価の結果に基づき 撤去時に留意すべき事項をとりまとめた さらに ガイドラインの考え方について整理した (1) 海洋掘採施設の撤去時の留意事項 1) 環境影響が懸念される事項 1 阿賀沖北海洋掘採施設の事例阿賀沖北海洋掘採施設では撤去工事が海洋環境に及ぼす影響は小さいと評価されたが 調査結果では 限定的ではあるが 撤去工事時に底生生物の変化が見られ また海底泥の巻上げも想定された また発破による切断では 200mの範囲まで魚類に影響が見られた 2 磐城沖海洋掘削施設の事例磐城沖海洋掘採施設では 撤去工事時 残留時ともに環境への影響は軽微なものであったことが確認された しかし 影響は軽微であったものの底質の変化がみられ また 撤去の影響ではないと考えられたが 底生生物の量等に変化が見られた また 影響は確認されなかったが 切断時等の水中騒音の影響も懸念された 242

249 3 事例から検討された留意事項これらの海底で確認された変化は 設置されている海洋掘採施設の撤去という行為が 底質 底生生物に及ぼす影響の可能性を示唆しているものと考えられる また 近年使用が控えられているが発破による切断 あるいは機械的切断時に発生する水中騒音が海洋動物に及ぼす影響も懸念されている そのため 海洋掘採施設の撤去時には 特に海底環境及び底生生物に留意が必要であると考えられる さらに海産哺乳等への影響が懸念される水中音について 実態の把握 対策等が必要であると考えられる 2) 環境配慮が必要な事項海洋掘採施設の撤去に際しての環境影響評価では 工事の内容及び残留の状態から環境に与える影響の要因を抽出し 影響の可能性のある項目について評価項目を設定した 今回検討した事例では 事前の評価及び事後の確認によれば これら全てに大きな影響が生じることはなかったが 事後の確認において環境変化が確認された項目があり 作業内容によっては影響が生じる可能性が考えられた これらは環境影響評価の結果の留意事項として前項で検討した この検討結果を元に 海洋掘採施設の撤去時に想定される影響について 表 に示した これらの想定される影響は 上記 1) の検討のように影響が懸念されるものについては検討が重要と考え で示した また 施設の状態によって あるいは撤去工事の方法によって影響の可能性が大きくなるものがあり 条件付で重要と考えられるものには で示した その他の項目については 配慮が必要であることから 事業内容に応じて あるいは次項に述べる環境影響評価の実施結果等から可能な範囲で対応することが望ましいと考えられる 3) 環境影響評価等のための情報収集海洋掘削施設の撤去に当たっては 上記で検討したとおり 様々な内容 程度の影響が想定されるが 事前にこれらを予測して 適切に対処するために 事前の環境影響評価の実施が有効であると考えられる 環境影響評価の実施のための枠組みは今年度の成果として 前章 5.4 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 において示した 本調査の検討において 評価対象とする項目について 事前の予測 評価及び確認のために現地調査等により情報収集を行った 各項目の評価結果では影響は軽微であったが 配慮が必要な項目については情報の把握と検討が必要なことは前項で示したとおりであり 調査項目についてもその必要性を検討し また実施時期等について検討した 243

250 1 調査項目前項の環境への配慮事項の重要性にあわせて 必要な現地調査項目を示した ( 表 5.5-5) なお 今回の事例検討では対象とならなかったが 施設稼動時の生物の利用状況や撤去の工法により発生する可能性のある影響の 2 項目を追加した 海鳥 付着生物 魚類等の生物が 海洋掘採施設設置時に 海洋掘採施設を生活に必要な施設 ( 中継地 生息基盤等 ) としていた場合の 撤去後の生活基盤の喪失による影響が想定される 撤去工事の際 浚渫を行う計画がある場合は 浚渫工事 浚渫土砂の仮置き等による海底撹乱の影響が想定される また モニタリングを実施する項目によっては事前の情報把握が必要なので 事前の調査対象とする必要がある 2 調査時期環境影響評価を実施するには 撤去作業前に現況の把握を行う必要があるが 事例の検討結果及び国内で実施されている環境影響評価のための調査実施の事例等に加え また 撤去前の事前準備の期間も考慮した結果 撤去工事の1~ 数年前に実施することが望ましいと考えられる 調査は 一般の環境調査のように四季の調査が望ましいが 沿岸域に比べて調査の困難さが想定される沖合では 海域の状況に応じて 撤去工事の影響が把握できる時期を考慮した上で 適切な時期 ( 季節 ) に実施することが妥当だと考えられる なお 沿岸域では四季調査が望ましい 情報の確認には 撤去工事中 撤去後の監視調査 ( モニタリング ) も必要であるが 項目 時期とも事前の調査結果と比較できるように 同等の内容で実施することが望ましいと考えられる 撤去工事中には 調査項目によっては 安全性の観点から工事中ではなく 直前 直後の実施という方法の選択も可能と考えられる 3 調査の範囲環境影響評価の際の現地調査の範囲は ある要因による影響が想定される範囲の内外で実施することが一般的である 海洋掘採施設の撤去に関しては 事例検討結果から 環境への影響は軽微であるが環境変化が確認される範囲が 海洋掘採施設の直近の 200m 程度の範囲であることが確認されている この範囲は周辺の流れの状況等によって違うことが想定されるが それを考慮した上で 磐城沖の事例を参考にして 数 100mの範囲を影響が想定される範囲 1~2km 離れた地点を対照地点として設定することを基本として 現地の状況に応じて調整することで対応できると考えられる 244

251 4) モニタリング項目 時期については 前章 5.4 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 において検討した内容に沿うのが良いと考えられる すなわち 工事中は水質 底質 底生生物 水中騒音を主として対象とし 撤去後は海底の変化に着目し 底質 底生生物に着目して実施することが望ましい 実施時期は 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 の海洋施設廃棄許可申請の手続きに係る環境監視の規定を参考に 撤去後 3 年を目安にして 撤去数年後に設定するのが適切であると考えられる 245

252 作業内容 撤去の準備施設の洗浄 要因 排水の排出 表 5.5-4(1) 海洋掘採施設撤去時に想定される影響と配慮事項 -1 主に影響が想定される環境要素 想定される影響 影響の特徴 留意事項 対策 配慮の重要性 水質 洗浄排水の漏出による水質汚濁 排水の適切な処理計画作業時のモニタリング実施 動植物プランクトン 海生生物 生態系 水質汚濁による生息環境の悪化沿岸域では藻場 干潟等への影響に留意する 作業船の存在海域利用海域の占有による利用阻害 排ガスの排出大気質排ガスによる大気汚染 沿岸域では特に漁場 海上交通の利用が多いので影響に留意する 沿岸域では陸地への影響の可能性が考えられる 事前の周知と理解が必要工事中の監視が必要 負荷量の把握 24 撤去作業 作業船の航行 / 存在 排水 水質排水による水質汚濁沿岸域では富栄養化の促進に留意する 動植物プランクトン水質汚濁による生息環境の悪化 水中騒音の発生海産哺乳類水中騒音による行動阻害 夜間照明 沖合い域では回遊経路の阻害等に留意する 事前の確認 工事中の監視が必要 海生生物 夜間照明による蝟集 漁業 夜間照明による操業阻害 廃棄物の発生生活に伴う廃棄物の発生による環境負荷適切な処理 沿岸域では陸地への影響の可能性が考え騒音の発生騒音掘削時の機器稼動による騒音の発生られる 切断時の水中騒音の発生 海生生物 ( 魚類 海産哺乳類 水中騒音による行動阻害 工法により影響が違うので事前に影響検討が必要 事前の確認 工事中の監視が必要 施設の切断 作業に伴う水質汚濁 作業に伴う海底撹乱 水質濁りの発生 有害物質の負荷 海生生物 生態系水質汚濁による生息環境の悪化 水質 浚渫等に伴う海底撹乱による濁りの発生 工法により影響が違うので事前に影響検討が必要 浚渫が伴う場合は特に留意する 底質海底撹乱 再堆積による底質変化 海生生物 生態系水質 底質変化による生息環境の悪化 浚渫工事の実施による海底撹乱 底質 底生生物 浚渫 土砂の仮置きによる影響 浚渫を実施する場合に留意が必要である 廃棄物の発生 水質 底質 切り屑の拡散 堆積による環境への負荷 注 :1. 表中の太字で示した項目は想定される影響に 特に配慮が必要なものである 2. 配慮の重要性 の記号は : 重要 : 条件によって必要となる ( 影響の特徴 モニタリングが必要等 ) : 可能であれば対応が望ましい を示す

253 表 5.5-4(2) 海洋掘採施設撤去時に想定される影響と配慮事項 作業内容施設の移動撤去作業整地 仮置き 引き倒し 要因 施設の不在 ( 基盤の喪失 ) 整地 主に影響が想定される環境要素 想定される影響 影響の特徴 留意事項 対策 配慮の重要性 水質 仮置き 引き倒しに伴う海底撹乱による濁りの発生 底質 仮置き 引き倒しに伴う海底撹乱による底事前の調査による確認が質の変化必要 底生生物 仮置き 引き倒しに伴う生物の圧殺水質 底質の変化による生息環境悪化 海鳥付着生物 魚類 生活に利用していた施設の喪失 水質 整地に伴う濁りの発生 底質 整地に伴う海底撹乱による底質変化 海生生物 生態系 水質 底質の変化による生息環境悪化海域利用整地作業により影響が回避 低減できる 流況施設の存在による流況変化 施設の残留 施設の存在 施設からの負荷 施設の移動 海生生物 生態系 施設の存在による海底環境の変化に伴う生物相の変化 生物が蝟集する可能性が考えられる モニタリングによる確認が望ましい 漁業船舶航行 施設の存在による海域利用阻害 水質 残留施設からの有害物質の負荷による 残留前の性状確認が必要 底質 水質 底質への影響 海生生物 生態系 水質 底質の変化による生息環境悪化生態系 水質 施設の移動等に伴う海底撹乱による濁りの発生 残留方法の検討が必要 底質 施設の移動等に伴う海底撹乱による底質変化 海生生物 生態系水質 底質の変化による生息環境悪化漁業施設の移動による漁業操業阻害 注 :1. 表中の太字で示した項目は想定される影響に 特に配慮が必要なものである 2. 配慮の重要性 の記号は : 重要 : 条件によって必要となる ( 影響の特徴 モニタリングが必要等 ) : 可能であれば対応が望ましい を示す

254 表 海洋掘採施設撤去時の現地調査による情報収集 調査項目 区分 現地調査の実施 モニタリング 大気環境 大気質 二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等 騒音 振動騒音騒音 ( 水中騒音 ) 水環境水質底質海底環境 水の濁り 有害物質等による汚れ 粒径組成 有機物質 有害物質等による汚れ 海底地形海底地形 流況流況 海生生物 プランクトン 海産哺乳類生物環境海鳥 遊泳生物 底生生物 生態系 脆弱な生態系海洋生物の生息にとって重要な海域特殊な生態系 人と自然との触れ合い活動の場 海洋レクリエーション 海中公園等 漁場 海域利用 航路 海底ケーブル敷設 海底資源等 温室効果ガス等 光害 廃棄物等 船舶からの二酸化炭素夜間照明作業船からの廃棄物切り屑 注 : 表中の記号は : 重要 : 条件によって必要となる ( 影響の特徴 モニタリングが必要等 ) : 可能であれば対応が望ましい を示す なお 印のついてない項目は文献調査等により情報収集し 環境影響評価対象とすることが望ましい項目である 248

255 (2) ガイドライン策定の考え方 1) 基本的考え方海洋施設の廃止に伴う撤去作業時の鉱害防止のためのガイドラインには 撤去作業時の鉱害防止の考え方 対策 配慮事項が解説されるものが望ましいと考える ケーススタディとして実施した環境影響調査及び評価の結果をもとに想定される鉱害 ( 環境影響 ) をピックアップして 事前の検討方法 その対応策についてとりまとめる 2) 枠組みの検討盛り込むべき具体的内容は 以下の内容を考えた 全体の方針 考え方を示し 配慮すべき項目をピックアップする さらに 個別の配慮事項ごとに解説する その上で項目案を以下に示した 各項目案の内容の一部は 前項までに検討した結果が参考になる < 項目案 > 1. 基本的事項 1.1 基本的考え方 1.2 法的位置づけの整理 1.3 事例から見た鉱害防止のポイント 過去の環境影響評価事例から見た留意点のピックアップ 事業段階別の影響要因のピックアップ 2. 撤去時の鉱害防止の留意点 2.1 準備段階 2.2 工事実施前 2.3 工事中 2.4 工事後 3. 環境影響評価の実施環境要素別配慮事項 249

256 6. まとめ 6.1 現地調査結果 海底地形等調査 調査海域全般は多少の凹凸はあるものの 水深 155m 程度の平坦な地形であることが示された 海洋掘採施設の上部 下部ともに 方向角 80 程度の方向に 6.5m 程度移動していることが分かった ( 東北地方太平洋沖地震に伴う地盤の移動と考えられる ) 流況観測 (1) 水温 塩分 ( 実用塩分 ) σt の経時変化 表層の水温は緩やかに上昇する傾向を示したが 中層および底層の水温には一定の増減傾向は認められなかった 表層の水温は 2008 年調査時よりも 2012 年調査時の方が低い傾向にあったが 中層と底層の水温は 2012 年調査時の方が高い傾向にあった 塩分と σt はいずれの層においても観測期間を通じて変動は小さかった 2008 年調査では 表層では塩分センサーに汚れが付着したために信頼できる観測値を得ることができなかったが 中層および底層の塩分と σt は 2012 年調査とほぼ同程度の値であった (2) 流向 流速の経時変化 表層では 2008 年 2012 年ともに概ね同じ流向頻度を示し 2012 年の流速が約 30% 小さい傾向を示した 中層では 両年ともに流速は同等の速さとなり 流向も概ね一致する傾向を示した 底層では 2008 年は南向きの流れが卓越する傾向にあったが 2012 年は全方向で同等の流向頻度を示した 両年ともに 表層 中層と比較して底層の流速は遅いが 全層を通じて S から WSW の流向頻度が高かった 表層は 両年ともに 12 時間周期 (M2) が 中層および底層は 24 時間周期 (K1 O1) が卓越する傾向にあった 恒流成分は 水深が深くなるほど流速が小さくなる傾向を示し その流向は 両年ともに全層で南西向きであった 水質調査 2012 年 8 月調査時の水面付近の水温は過去の調査時よりも高い傾向にあった 水温と σt の鉛直分布は 2012 年 8 月調査時と 2010 年 7 月調査時では類似していた また

257 年 8 月調査時の塩分は 水面付近での変動が大きいものの 過年度の調査時と比べて値の範囲に大きな差異はなく 水深とともに緩やかに増加する傾向にあった ph DO COD および TOC は 水深とともに低下する傾向にあり 海洋掘採施設の撤去の前後をとおして 調査間での鉛直分布の差異は小さかった ただし 2012 年 8 月調査の表層 DO は過年度と比べて低い値を示した 表層の水温が高かったことも低 DO の一因と考えられる 2008 年からの 5 回の調査をとおして 水の濁りの指標である SS と濁度は 2012 年 8 月調査時と撤去直前の 2010 年 4 月調査時の値が低かった 2008 年からの 5 回の調査をとおして 油分の指標である n-ヘキサン抽出物質量は定量下限値未満 (<0.5mg/L) であった NO3-N PO4-Pおよびクロロフィルaは 夏季の調査間では類似した鉛直分布を示した 本調査海域における栄養塩類の鉛直的な分布状況は 過去の調査結果を含めて NH4-N が全層を通じて定量下限値未満 (<0.01mg/L) であり NO3-NとPO4-Pは水深とともに増加する傾向にあった これらのことから 本調査海域が外洋的な性格を有する海域であることが示唆された 底質調査 (1) 物性 含有量試験 2008 年からの 5 回の調査をとおして シアン化合物 六価クロム アルキル水銀およびポリ塩化ビフェニルは定量下限値未満であった 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥がほぼ同様の粒度組成 密度および水分量を有していることが示唆された 海洋掘採施設から離れるほど TOC はわずかではあるが高くなる傾向にあったが CODsed IL および乾燥減量は過年度からのいずれの調査でも 海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった 硫化物 カドミウム 鉛 ひ素 銅 総水銀および亜鉛は 過年度調査では海洋掘採施設の近傍で若干高い値がみられる場合もあったが 2012 年調査では海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった 2012 年調査において Cs134 は 12~39Bq/kg 乾重 ( 平均値 :24Bq/kg 乾重 ) Cs137 は 23~68Bq/kg 乾重 ( 平均値 :46Bq/kg 乾重 ) の範囲にあった (2) 溶出試験 2008 年からの 5 回の調査をとおして 亜鉛又はその化合物 と ふっ化物 以外は全ての測点で定量下限値未満であった 251

258 6.1.5 生物調査 (1) 動物プランクトン 2012 年 8 月調査では 7 動物門 51 種類が出現した 2008 年からの 5 回の調査を通じて 出現種類数は 2010 年 7 月調査時が最も多く 2010 年 4 月調査時が最も少なかった 2012 年 8 月調査時の門別の出現状況は 過年度と同様に節足動物門の種類数が最も多く 出現した動物プランクトンのほとんどが沿岸から外洋域まで広く分布する種類であった 2008 年からの 5 回の調査を通じて 同月の調査では ほぼ同様の個体数が出現した また いずれの調査時でも 動物プランクトンの個体数は水深にともなって減少する傾向にあった 2008 年からの 5 回の調査を通じて いずれの測点でも Oithona spp.(copepodite) が常に優占上位 3 種類に含まれた 各回調査において 測点間で優占上位 3 種類が大きく異なることはなかった (2) 植物プランクトン 2012 年 8 月調査では 7 植物門 38 種類が出現した 2008 年からの 5 回の調査を通じて 出現種類数は 2008 年 8 月調査時が最も多く 2010 年 4 月調査時が最も少なかった また いずれの調査でも種類数は水深とともに少なくなる傾向にあった 2012 年 8 月調査時の門別の出現状況は 過年度と同様に不等毛植物門の種類数が最も多かった また 出現した植物プランクトンのほとんどが沿岸性種であった 2012 年 8 月調査の細胞数は 2008 年調査や 2010 年 7 月調査のものと比べて若干少ない程度であった 2008 年からの 5 回の調査を通じて 優占上位 3 種類は調査ごとに大きく異なったが 各回調査における測点間での変化は小さかった (3) 魚卵 稚仔魚 2012 年 8 月調査では 魚卵は不明卵 3 種類を含む 5 種類 稚仔魚はカタクチイワシ イソギンポおよびフグ科の 3 種類が出現した 2008 年からの 5 回の調査を通じて 魚卵の種類数に大きな変化はなかった 稚仔魚の種類数は 2008 年 8 月調査で多く 2010 年 4 月調査では稚仔魚は出現しなかった 多くの魚種が春季と秋季に産卵期を向かえるため 4 月の時点では稚仔魚の数が少なかったものと推察される 2008 年からの 5 回の調査を通じて 夏季に実施した調査では 表層での魚卵および稚仔魚の個体数に大きな差異はなかった (4) マクロベントス 252

259 2012 年 8 月調査では 全測点を通じて 7 動物門 113 種類が出現し 環形動物門の種類数比率が最も高かった 過年度からの調査間で出現種類数および動物門別の種類数に大きな差異はみられなかった 2012 年 8 月調査での個体数は 557~1088 個体 /m 2 ( 平均 :815 個体 /m 2 ) が出現し 環形動物門の個体数比率が最も高かった 過年度からの調査間で出現個体数および動物門別の個体数に大きな差異はみられなかった 海洋掘採施設からの距離および方位別の種類数および個体数は いずれの距離および方位においても調査間に大きな差異はなかった 2012 年 8 月調査での湿重量は 24.31~225.31g/m 2 ( 平均 :74.94g/m 2 ) の範囲にあり 2008 年からの 5 回の調査を通じて 海域全体 ( 平均値 ) では最も大きい傾向にあった 2008 年調査では環形動物門 2010 年調査と 2012 年調査では棘皮動物門の湿重量が大きく 海洋掘採施設の撤去の前後で局所的にマクロベントスの総湿重量 1 個体あたりの湿重量が大きく変動した 海洋掘採施設の撤去の前後でマクロベントスの個体数に基づく優占した種類に大きな差異はみられなかった (5) メイオベントス 2012 年 8 月調査では 6 動物門 12 種類が出現し 過年度からの調査間で出現種類数に大きな差異はなかった また 海洋掘採施設からの距離および方位別の種類数は いずれの調査時でも距離に伴う増減傾向はなかった 2012 年 8 月調査での個体数は 1449~2400 個体 /10m 2 ( 平均 :1851 個体 /10m 2 ) の範囲にあり その約 70% が袋形動物門に属していた 海洋掘採施設からの距離および方位別の個体数は 2008 年調査では海洋掘採施設に近い地点ほど少なくなる傾向にあったが 2010 年調査と 2012 年調査ではいずれの方向でも距離に伴う増減傾向はみられなかった 2008 年調査に比べて 2010 年調査と 2012 年調査では 広域的に個体数が少なかった このことから 調査間の個体数の差異は年変動の範疇にあるものと推察された 2008 年からの 5 回の調査を通じて いずれの調査でも線虫綱 ソコミジンコ亜目 有孔虫目の出現数が多かった 253

260 6.2 机上調査結果 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討本項では 5.2 においてとりまとめた結果を基に 撤去工事前 あるいは撤去工事直後の状況と違いがみられるもの みられないもの等に区分し さらに 違いが見られたものについてはその理由の検討結果を示した (1) 海象概況 ( 流況 水温 ) 本年度の調査結果と撤去前の平成 20 年の調査結果とを比較した その結果 恒流成分は 水深が深くなるほど流速が小さくなる傾向を示し 流向については 本年及び平成 20 年ともに全層で南西向きとなり一致し 撤去工事直後との間で大きな差異は認められなかった (2) 海底地形本年度に実施した当該海域の深浅測量調査と 当該海洋施設撤去工事後に実施された同様の調査結果と比較すると 当該施設の中心点ではおよそ 6m 程度 東方向へ移動したと考えられるが この変化は大震災によるものと考えられた (3) 水質各調査時期 ( 平成 20 年 7 8 月 平成 22 年 7 月 平成 24 年 8 月 ) の結果を通覧すると 各調査項目とも 調査結果に大きな差異は認められなかった (4) 底質底質調査結果のうち 中央粒径 有機物量及び金属類溶出試験結果については 撤去前から大きな変化はない しかしながら 金属類含有量試験結果については カドミウム 鉛 銅 亜鉛 硫化物の 5 項目において 調査年次間あるいは調査定点間で比較すると特徴的な結果が得られた これらのうち鉛 亜鉛については 撤去直後に行った調査でのみ高い傾向が認められたことから 撤去工事による影響の可能性が考えられた (5) 海生生物動物プランクトン 植物プランクトン 魚卵 稚仔魚については 調査年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群の変化はなく大きな差異は認められないが マクロベントス及びメイオベントスについては 出現状況に変化が認められた しかしながら この変化は海洋掘採施設の撤去 残留による影響の可能性は小さいと考えられた 254

261 残留する施設はおよそ 6m 程度 東方向へ移動していたが この原因は平成 23 年 3 月 11 日に発生した 平成 23 年 (2011 年 ) 東北地方太平洋沖地震 によるものと考えられる しかしながら その場に残留している 4 箇所の施設基部 ( フーチング部 ) は 移動の大きさに 1m 程度から 10m 以上とばらつきが認められた この差は 残留する施設の周辺の海底の移動が一様ではないのか あるいは測定 解析誤差によるものかは不明であり 残留する施設の正確な位置の把握方法については 今後さらに検討の必要があると考えられる また 当該海域の物理環境及び生物の出現状況は 当該海洋施設の撤去前 撤去工事直後 本年度調査までの間 概ね同様の傾向にあるが 底質の一部及び底生生物については以下のような変化が認められた 底質 撤去前のみ高かったものカドミウム 撤去前は 1 調査点のみで高く 撤去後の残留時には施設から離れた点で高くなっているもの銅 撤去工事直後のみ高かったもの硫化物 鉛 亜鉛これらのうち 鉛及び亜鉛については 撤去工事の影響により一時的に濃度が高くなった可能性が考えられたが 硫化物 カドミウム 銅については 変化の原因が撤去あるいは残留の影響による可能性は低いと判断された 底生生物 : マクロベントス 環形動物門の湿重量が減少 棘皮動物の湿重量が増加 底生生物 : メイオベントス 撤去前のみ原生動物門有孔虫目の出現数が多い底生生物の出現状況の変化は いずれも撤去あるいは残留の影響による可能性は低いと考えられた 当該海域における海洋施設設置前の底質の状況及び底生生物の出現状況に関する自然変動の幅を把握すると共に 海洋施設から 200m 以内の施設近傍の底質の状況等を調査し 当該海域の現況をより正確に把握することで 周辺海域の変化が施設の撤去 残留に起因するかをより正確に判断することが可能になると考えられた 255

262 6.2.2 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証残留影響に関する事前評価内容の検討結果をとりまとめ 事前評価内容が適切であったかについて検証 判断した その結果 ほとんどの事前評価内容は適切であったことが検証されたが 人と自然との触れ合い活動の場 海域利用等に関しては 震災等の影響により海域における活動 海域利用等が困難であることから 現時点では予測 評価の検証ができない項目があった 事前に行った残留時の事前環境影響評価の内容及びその検証結果を表 に示す 256

263 表 6.2-1(1) 残留時の事前環境影響評価の内容及び検証結果 評価項目 評価内容予測結果 ( 影響範囲及び程度 ) 事前評価結果調査結果評価の検証結果 (1) 水環境水質 1 海水の濁り 2 有害物質等による海水の汚れ 残留した海洋掘採施設により海底付近の流況が変化し 海底土の巻上げが発生する場合 あるいは残留する施設が海底で波浪等により移動することがある場合には海底の状態によっては 海底土が巻き上げられて濁りが発生する可能性が考えられる そのため 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から検討する 残留した海洋掘採施設から海水中に溶出する有害物質の有無について検討することが必要である 特に殺生物性の有害物質が含まれる塗料を使用している場合には必須である 波浪等により移動し 海底土の巻き上げの可能性がある場合は 海底土の有害物質による影響も考慮することが必要 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から予測評価することが必要 その場に残留 点検時の ROV による海底付近の映像から恒常的に濁りの発生する状況ではないことが確認できている また 施設の設置以降 ジャケット海底面付近で局所的に洗掘が生じているが その程度は最大でも 50cm 程度である 施設の設置以後 25 年経過している状況を鑑みれば 常時この海域の海底で土砂が舞い上がり濁りが発生している状況ではないことが推測され 残留後も同様の状況であることが予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 重量が約 5,300トンであり 水中重量は約 2,000トンになる 残留する海域の海底は平坦な砂質域であり 横倒しされたジャケット上部は海底面上で安定しているものと考えられる ジャケットの構造と建設設計時に検討したプラットフォーム基底付近 (EL.-154m) の 100 年に一度の確率 の嵐のときの潮流は 0.4ノット ( 約 20cm/s) とされているので ジャケットに加わる力は十分に小さいことは事業者によって検討されている また これまで新潟県沖海域で同様のものが海底に沈められているが これまで台風等により移動したような話は聞かれていないことも 合わせて 移動の可能性は小さいと予測される そのため それによる海底の巻き上げ等はなく それに伴って発生する海底付近の濁りも生じないものと予測される 施設の存在によって生じる海底付近の流れの変化による巻上げ等については その場に残留施設のこれまでの経緯を参考にすれば 同様の状態であると考えられ 常時この海域の海底で土砂が舞い上がり濁りが発生している状況ではないことが予測される その場に残留 その場に残留する施設の性状は構造用炭素鋼であり 塗装されていない 付帯している防食陽極はアルミニウム合金である 残留する施設内に残っているパイプラインの一部は撤去前に洗浄され 洗浄後の内部に油等が残存していないことを洗浄後に充填した海水の分析で確認している このような状態で残留されていることから 施設そのものからの有害物質等による海水の汚れが生じる可能性は小さいと予測される 海水の濁りの予測結果のとおり 施設の設置以来 存在する施設による海底の巻き上げの可能性は小さく また 底質調査による分析結果から底質に有害物質は含まれていないことから 海底の巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可能性は小さいことが予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設の性状は構造用炭素鋼である ジャケット頂部付近であった部分はエポキシ樹脂主体の塗料で塗装されているが この塗料は広く一般的に用いられている海洋掘採施設用塗料であり 成分表から見て 有害物質は含まれていない 付帯している防食陽極はアルミニウム合金である 残留する施設内に残っているパイプラインの一部は撤去前に洗浄され 洗浄後の内部に油等が残存していないことを洗浄後に充填した海水の分析で確認している このような状態で残留されていることから 施設そのものからの有害物質等による海水の汚れが生じる可能性は小さいと予測される 海水の濁りの予測結果のとおり その場に残留施設同様 存在する施設による海底の巻き上げの可能性は小さく また 底質調査による分析結果から底質に有害物質は含まれていないことから 海底の巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可能性は小さいことが予測される その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底付近に濁りを生じる可能性は小さく 影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海底付近の流れにより移動する可能性は小さく それに伴って海底付近に濁りを発生させる可能性は小さいものと考えられた また 横倒して残留する施設が移動の可能性が小さいことから その存在による変化はその場に残留する施設と同様であると考えられ 施設の存在により海底付近に濁りを生じる可能性は小さいと考えられる 以上のことから 横倒して残 留する施設についても 濁りに関する影響は軽微であると考えられた 残留する施設の性状から考えて 施設から有害物質等が海水に付加する可能性は小さいものと考えられる また 施設による海底の巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可能性も小さいことが予測されることから その場に残留する施設による有害物質等による海水の汚染の影響は軽微であると考えられた 今年度実施した現地調査結果によれば 濁りの程度を指標する 濁度 浮遊物質量 の観測値は 底上 10m 層で 1 度と 1mg/l 以下の値で 清浄な状態であった 撤去前 撤去工事中及び今年度の調査結果によれば 水質の有害物質に変化はみられず 対象項目はすべて低濃度で 変化はみられない 調査結果より 残留する海洋施設に起因する流動変化等による濁りの舞い上がりは特定されないことから 評価の妥当性は検証されたと判断できる 撤去前 撤去工事中 今年度の調査結果より 水質に大きな変化はみられないことから 評価の妥当性は検証されたと判断できる 257

264 表 6.2-1(2) 残留時の事前環境影響評価の内容及び検証結果 評価項目 評価内容予測結果 ( 影響範囲及び程度 ) 事前評価結果調査結果評価の検証結果 ⅰ 粒径組成 残留した海洋掘採施設により海底付 その場に残留 近の流況変化が起こる場合には底質の粒径組成が変化する可能性が考えられる そのため 流況の変化と同時に底質の粒径組成の変化の可能性の有無を検討する 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から予測評価する 残留する施設の存在により海底の巻き上げが起こる可能性は小さいことが 水環境への影響の検討において予測された 撤去前の底質調査結果より 近傍海域 (200m) と周辺海域 (1km) の底質の粒径組成は同様であることが確認されていることから 設置以降施設の存在により広い範囲の底質の粒径組成が変化した事実はないことが確認できている 以上のことから 今後この施設がその場に残留しても 海底の粒径組成に変化が生じる可能性は小さいものと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 水環境への影響で検討したとおり その重量と海底付近の流速から残留後流れによって移動する可能性が小さく それによって海底の巻き上げが生じる可能性も小さいことが考えられた そのため 海底撹乱による海底の粒径組成の変化を生じる可能性は小さいものと予測される 施設の存在によって生じる変化は その場に残留する施設のこれまでの経緯を参考にすれば 同様の状態であると考えられ 存在することによる海底撹乱による海底の粒径組成の変化を生じる可能性は小さいものと予測される その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底撹乱を生じ 広範囲の粒径組成の変化が生じる可能性は小さく 残留による影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海底付近の流れにより移動する可能性は小さく それに伴って海底撹乱を生じ 粒径組成の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた また 横倒して残留する施設が移動の可能性が小さいことから その存在による変化はその場に残留する施設と同様であると考えられ 施設の存在により粒径組成の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた 以上のことから 横倒して残留する施設についても 粒径組成に関する影響は軽微であると考えられた 撤去前 撤去工事直後 今年度の調査結果によれば 周辺海域の粒度組成に変化は見らない 粒度組成 有機物質 有害物質 ( 金属類 ) の溶出試験については 撤去前 撤去工事直後 今年度の調査結果より それぞれの項目に大きな変化はみられない 金属の含有量試験結果では 一部項目に変化が認められたものの 観測された値はいずれも低いものであり 有害物質による底質の汚れは生じていないと考えられることから 評価の妥当性は検証されたと判断できる 海底地形については 水深の増加 残留する当該海洋施設の移動が確認されたが 撤去工事後の H23 年 3 月 11 日に発生した 平成 23 年 (2011 年 ) 東北地方太平洋沖地震 により当該地域を含む広範囲で地盤沈下 地盤の移動が観測されており 当該海域の海底面は東へ 5~24m 移動していたことより 調査結果の比較で確認された水深の増加と 海洋施設の移動は 大震災によるものと考えられる よって 評価の妥当性は検証されたと判断できる (2) 海底環境 底質 ⅱ 有機物質 残留した海洋掘採施設に新たに付着する生物に起因する有機物質の増加について検討する 海洋掘採施設により海底付近の流況変化が起こる場合には同時に底質の撹乱が起こる可能性が考えられ 海底の有機物質の変化について検討する その場に残留 その場に残留 残留する施設の存在により海底の巻き上げが起こる可能性は小さいことが 水環境 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底撹乱をへの影響の検討において予測された 生じ 広範囲の有機物質量の変化が生じる可能性は小さく 残留 撤去前の底質調査結果より 近傍海域(200m) と周辺海域 (1km) の底質の有機物による影響は軽微であると考えられた 質量は同様であることが確認されていることから 設置以降施設の存在により広い範囲の有機物質の濃度が変化した事実はないことが確認できている 以上のことから 今後この施設がその場に残留しても 海底の有機物質量に変化が生じる可能性は小さいものと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 水環境への影響で検討したとおり その重量と海底付近の流速から残留後流れによって移動する可能性が小さく それによって海底の巻き上げが生じる可能性も小さいことが考えられた そのため 移動等に伴う海底撹乱による海底の有機物質量の変化を生じる可能性は小さいものと予測される 施設の存在によって生じる変化は その場に残留する施設のこれまでの経緯を参考にすれば 同様の状態であると考えられ 存在することによる海底撹乱による海底の有機物質量の変化を生じる可能性は小さいものと予測される 横倒し前にジャケットに付着していた生物は 横倒し後 生息環境の変化から死亡 脱落する可能性が考えられる これらはそのまま海底に落下し 施設周辺のごく近傍の海底の有機物質量を増加させる可能性が予測される しかしその変化の範囲は 撤去前のプラットフォームの海底の状況から類推して 200m 以内の範囲と予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設が海底付近の流れにより移動する可能性 また 存在することに伴い海底撹乱を生じ 有機物質量の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた 横倒し前にジャケットに付着していた生物の死亡 脱落等による海底への落下に伴い 施設周辺のごく近傍の海底の有機物質量を増加させる可能性が予測されたが その変化の範囲は 撤去前のプラットフォームの海底の状況から類推して 200m 以内の範囲と予測されることから 海域の広い範囲を変化させるものではないと考えられ 残留による当該海域への影響は軽微であると考えられた 撤去前 撤去工事直後 今年度の調査結果によれば 周辺海域の底質の有機体炭素 硫化物に大きな変化は見らない 残留した海洋掘採施設から発生する その場に残留 有害物質等による海底への負荷について検討 特に殺生物性の有害物質が含まれる塗料を使用している場合には必須 残留した海洋掘採施設が移動し海底撹乱を起こした場合には 浮遊した土砂の再堆積等による海底土砂からの影響について検討する その場に残留する施設の性状は構造用炭素鋼であり 塗装されていない 付帯している防食陽極はアルミニウム合金である 残留する施設内に残っているパイプラインの一部は撤去前に洗浄され 洗浄後の内部に油等が残存していないことを洗浄後に充填した海水の分析で確認している このような状態で残留されていることから 施設により有害物質等による底質の汚れが生じる可能性は小さいと予測される 撤去前の底質調査により 底質に有害物質は含まれていないことから 設置以降 施設により有害物質等による底質の汚れが生じたことはないと推測され 残留後も同様の状態が続くものと予測される その場に残留する施設及び横倒しして残留する施設は ともにその性状から考えて 施設から有害物質等が海底に付加する可能性は小さいものと考えられ 残留による影響は軽微であると考えられた 撤去前 撤去工事直後 今年度の調査結果によれば 金属類の分析結果は溶出試験結果ではほとんどが定量下限未満で 数値が検出された地点でもその値は低いものであり 撤去前から大きな変化はない 含有量試験では 一部の項目で変化が認められた ⅲ 有害物質による汚れ 横倒して残留 横倒して残留する施設の性状は構造用炭素鋼である ジャケット頂部付近であった部分はエポキシ樹脂主体の塗料で塗装されているが この塗料は広く一般的に用いられている海洋掘採施設用塗料であり 成分表から見て 有害物質は含まれていない 付帯している防食陽極はアルミニウム合金である 残留する施設内に残っているパイプラインの一部は撤去前に洗浄され 洗浄後の内部に油等が残存していないことを洗浄後に充填した海水の分析で確認している このような状態で残留されていることから 施設そのものから有害物質等による底質の汚れが生じる可能性は小さいと予測される 海底地形 ⅳ 海底地形 新たに海底に残留する場合には 残 その場に残留 留した海洋掘採施設そのものによる海底地形の変化を検討する 残留した海洋掘採施設による流況変化及び波浪等による施設の移動による海底撹乱に伴う海底地形の変化についても検討する 事業者が実施した施設の撤去前 撤去直後のサイドスキャンソナーによる海底地形の調査結果では 施設周辺の大きな海底地形の変化は確認されていない 施設の設置以降 ジャケット海底面付近で局所的に洗掘が生じているが その程度は最大でも 50cm 程度である 施設の設置以後 25 年経過している状況を鑑みれ ば 施設の存在により大きな海底地形の変化は生じなかったものと考えられ 施設の残留後も同様の状況であることが予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 約 70m 約 100m 高さ約 30~50m の状態で海底に新たに存在することになり これまで平坦であった海底にわずかではあるが凸部を生じることになる しかしながら 海洋においてこの程度の変化は小さなものであり 海図上における水深変化もごく狭い範囲であることから 当該海域の海底地形を大きく変化させるものではないと予測される また 存在する施設の海底付近での洗掘もその場に残留する施設の事例から考えて局所的なものであり 海域の海底地形を大きく変化させるものではないものと予測される その場に残留 施設の設置以降 施設の存在による海底の変化はジャケット海底面付近で局所的に洗掘が生じているのみであり 施設の設置以降の状況から考えて残留後も同様の状況であることが予測されることから 施設の残留による海底地形への影響は軽微であると 考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は海底にわずかではあるが凸部を生じさせるという変化をもたらすが その範囲は最大で 100m であり 海洋においては限定された狭い範囲であり 今後それが増大することも考えられないことから 海底地形への影響は軽微であると考えられた また 存在する施設の海底付近での洗掘による海底地形への影響についてもその場に残留する施設同様 影響は軽微であると考えられた 水深の増加 残留する当該海洋施設の移動が確認されたが 撤去工事後の H23 年 3 月 11 日に発生した 平成 23 年 (2011 年 ) 東北地方太平洋沖地震 により当該地域を含む広範囲で地盤沈下 地盤の移動が観測されており 当該海域の海底面は東へ 5~24m 移動していたことより 調査結果の比較で確認された水深の増加と 海洋施設の移動は 大震災によるものと考えられる 258

265 表 6.2-1(3) 残留時の事前環境影響評価の内容及び検証結果 評価項目 (3) 流況 評価内容予測結果 ( 影響範囲及び程度 ) 事前評価結果調査結果評価の検証結果 海域に海洋掘採施設が残留し存在 その場に残留 する場合には 新たな海底付近の流れの障害物となることが考えられ 流況が変化する可能性が考えられる 残留をする施設の構造を考慮したうえで検討する 事業者への聞き取り調査結果によれば 施設の設置以降 施設の存在によって周辺海域の流況に変化が生じたという事例は見られていない その場に残留することにより これまで同様の状況が続くことが考えられ 当該海域の流況が変化することはないものと予測される 横倒して残留 施設を横倒して残留することにより これまで平坦な海底に凸部が生じることになる そのため 海底付近の流況が変化することが想定されるが 残留する施設の主構造は鋼管の部材により組まれたものであり それらの部材の径は長さに比較し その場に残留 施設の設置以降 施設の存在によって周辺海域の流況に変化が生じたという事例は見られていないことから 残留することにより当該海域の流況が変化することはないものと予測されることから 流況への影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 施設を横倒して残留することにより 海底に凸部が生じることになり 施設周辺の限られた範囲の流況が変化することが想定されるが 既存の海洋掘採施設の設置以降の状況に鑑み 海域全体の流況を変化させるものではないと予測されることから 海域の流況への影響は軽微であると考えられた 今年度の調査結果と撤去前の 2008 年の調査結果とを比較すると 恒流成分は水深が深くなるほど流速が小さくなる傾向を示し 流向については 2012 年及び 2008 年ともに全層で南西向きとなり一致した 本年度の第二管区海上保安本部の結果では 7 月から 8 月上旬までは流れが弱かったものの 8 月中旬からは南方向への流れが卓越していた この 7~8 月の結果は 当該海域周辺の海域では 南向きの流れがみられており 当該海域も 流れの大きさは小さいものの南向きの傾向があるものと推測された 以上のことから 本年度の流況は例年同様の状況と考えられた 2008 年調査時の流況と様相は若干異なるが 基本的に例年通りの傾向であり 海洋掘採施設周辺の流況変化は残留の影響ではなく海流の自然変化によるものと考えられた そのため 事前評価結果は妥当なものと考えられる 1 プランクトン 2 遊泳生物 プランクトンの生息環境である水環境 施設の残留により水環境の変化の可能性は小さいことが予測されることから プラが変化する場合には植物プランクトンクトンの生息環境の変化の可能性も小さいことが予測される ン 動物プランクトンへの影響を予測評価する 水環境への影響が予測される場合 あるいは海洋掘採施設の存在そのも のにより遊泳生物への影響が考えられる場合には 影響を予測評価する 対象は 遊泳魚類 海産哺乳類 ウミガメ等である 施設の残留によりプランクトンの生息環境の変化の可能性は小さいことが予測されることから 残留による影響は軽微であると考えられる 水環境に大きな変化はみられなく 植物プランクトン 動物プランクトプランクトンの生息環境である水環境に大きな変化ンの調査結果でも 撤去前 撤去工事直後 今年度を通じて 調査はみられなく 植物プランクトン 動物プランクトンの年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物調査結果でも 撤去前 撤去工事直後 今年度を通群に変化は認められなかった じて 調査年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群に変化は認められなかった このことより 評価の妥当性は検証されたと判断できる その場に残留 その場に残留 水環境の海水の濁り 有害物質の負荷については 今年度実施し 施設の撤去前の検査時のROV 調査結果によれば施設周辺には施設を隠れ場所と 残留前の施設周辺の遊泳魚類相が一部変化する可能性は考えた現地調査結果によれば清浄な状態が保たれており 影響は軽微すると考えられる魚類の存在が確認できている その場に残留する施設は 従来のられるが 残留部分周辺の生物は残留前と同様の状態が継続であると判断されている そのため 遊泳動物の生息環境である水施設に比べ海面付近の部分がなく 多量の付着生物の存在がなくなることから このし 大きな変化はないものと考えられた 環境の変化は小さなものであると判断した 存在に依存していた遊泳生物は減少する可能性はあるが 海底付近の隠れ場所として利用していたと考えられる遊泳生物はこれまで同様存在するものと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 平坦な海底に魚礁を設置するのと同様の変化をもたらすことから 他地点のプラットフォームを魚礁に転用した事例から類推して 魚類が蝟集して 近傍のその場に残留する施設と同様の魚類相が形成されるものと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設には 残留前の平坦な海底であった場合とは違った魚類相が形成されるような変化が予測されるが 横倒しする場所がその場に残留する施設の近傍であることから 残留される施設周辺に形成される魚類相は 従来から近傍の既存の施設周辺に生息する魚類等と同様と考えられる この変化は 環境への影響という観点からは軽微なものと考えられる 残留する施設の周辺を含め 福島県沖は震災等の影響により漁業操業が実施されていない そのため 漁獲量の比較などは実施できないものの 水環境等の生息環境の変化は事前評価結果のとおり軽微なものであり 残留による影響はほとんどみらないことから 事前評価結果の内容が妥当なものであると考えられた 生物環境 (4) 海生生物 3 底生生物 海底環境への影響が予測される場合は 海底環境の変化の予測結果を元に 底生生物への影響を予測評価する 残留した海洋掘採施設への付着生物についても検討する その場に残留 残留する施設の存在により海底環境の変化の可能性が小さいことは検討されている 撤去前の底質調査結果より 近傍海域 (200m) と周辺海域 (1km) の底生生物の状況の大きな差異はないことが確認されていることから 設置以降施設の存在により広い範囲の底生生物相が変化した事実はないことが確認できている ただし 直下の海底では これまで海面付近の付着生物から供給されていた有機物が ジャケット上部撤去により減少することから 底生生物に何らかの変化が生じることが想定されるが その範囲は極めて限定されたものと考えられる 以上のことから 今後この施設がその場に残留しても この海域の底生生物に変化が生じる可能性は小さいものと予測される 付着生物についても 従来の生息環境と同様の状態が継続することから 大きく変化することはないものと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は そこに存在し続けることになる 海底環境へ及ぼす変化はごく近傍の局所的なものであり 海域に大きな変化を及ぼすものではないことは既に予測したが 当該海域は 平坦な砂泥底であることから そこに新たに存在する構造物は 海底に岩が出現したようなもので 新たな生息環境が創出されるものと考えられる これまで設置されていた海洋掘採施設ではジャケット基底付近の海底では ジャケットに付着する生物や そこから海底に供給される有機物等により 周辺とはやや違った環境が存在することが目視観察により確認されているが 今後同様の環境が形成されるものと予測される その場に残留 施設の残留により 底生生物に変化が生じる可能性は小さいものと予測され また 付着生物についても 従来の状態から大きく変化することはないものと予測されたことから 施設の残留による付着生物及び底生生物への影響は軽微であると考えられる 横倒して残留 横倒して残留する施設により 新たな付着生物の基盤が出来 また そこから供給される有機物により海底の局所的な底生生物層が変化することが考えられる しかしながら 撤去前の底生生物調査結果からもわかるように 施設の周辺の生物相に大きな変化が見られないことから 施設の残留による生物相の変化は局所的なものであり 海域の広い範囲に及ぶものではないものと考えられ 環境への影響という観点からは影響は軽微と考えられる 底質環境に大きな変化はみられなく 底生生物 ( マクロベントス メイオベントス ) 調査結果でも 撤去前 撤去工事直後 今年度を通じて 調査年次の違いにより量的には多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群に変化は認められなかった 底生生物の生息環境である底質環境に大きな変化はみられなく 底生生物の調査結果でも 撤去前 撤去工事直後 今年度を通じて 調査年次の違いにより量的には多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群に変化は認められなかった このことより 評価の妥当性は検証されたと判断できる 259

266 表 6.2-1(4) 残留時の事前環境影響評価の内容及び検証結果 評価項目 評価内容予測結果 ( 影響範囲及び程度 ) 事前評価結果調査結果評価の検証結果 生物環境 (5) 生態系 ⅰ 脆弱な生態系 ⅱ 海洋生物の生息にとって重要な海域 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとって重要な海域及び特殊な生態系の存在の有無を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する 文献調査結果によれば 残留する施設の近傍には藻場 干潟等の脆弱な生態系は存在していない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される その場に残留 残留する施設周辺の海域は 水産庁資源回復計画の太平洋北部沖合性カレイ類資源回復計画の保護区となっている また 複数種の海産哺乳類が影響想定海域を含む 日本周辺の広い海域に分布する しかし 残留される施設の 1983 年の設置以降 これらの保護区あるいは海産哺乳類の生息海域の環境に特段の問題を生じていない そのため 施設の残留による環境影響の面で著しい障害を生じる恐れはないと予測される 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海域での新たな存在として 海底に存在し続けることになる 海洋における保護区が引き続き設定されると考えた場合 毎年 4 月 1 日から 6 月 30 日までの期間には保護区内に残留する施設が存在することになる しかし残留する施設は 水環境 海底環境を大きく変化させるものではないことがこれまで予測されている 一方 残留する施設は同様のものが他地点で魚礁として再利用されている事例もあり 集魚効果が認められているものもあることから 今回残留する施設も同様の形状であり その存在により漁業への寄与も予測される また 施設を残留する海域は 海産哺乳類の移動経路になることは十分考えられるが 残留範囲は限られたごく狭い範囲であり 廃棄された施設は海面から少なくとも 90m の水深が確保されていることから これらの生物の移動あるいは生息に影響を及ぼすものではなく その生息環境に変化を及ぼすものではないと予測される 残留する海洋掘採施設の近傍には影響を受ける藻場 干潟 サンゴ群落その他の等の脆弱な生態系は存在していないことから 残留による影響はないものと考えられる その場に残留 残留する施設は 1983 年の設置以降 保護区あるいは海産哺乳類の生息海域の環境に特段の問題を生じていない そのため 施設の残留によるこれら重要な海域への影響は軽微であると考えられる 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海域での新たな存在として 海底に存在し続けることになるが 存在する状態は 既存の海洋掘採施設等がこれまで魚礁に転用された場合と同様の形態である 当海洋掘採施設 あるいは魚礁に転用された他地点事例からは この存在によって周辺環境への特段の影響が生じたという事実は見られていないことから これらの重要な海域への影響は軽微であると考える 残留後に藻場 干潟 サンゴ群落その他の脆弱な生態系の存在に変化があったという情報は得ていないので これら脆弱な生態系は事前予測どおり存在していないと考えられた 震災等の影響により情報が不足している部分はあるものの 残留海域の周辺においては事前評価時から水環境等の現況に大きな変化がないことから 事前評価結果は妥当なものであったと考えられる 水環境の海水の濁り 有害物質の負荷については変化の範囲が限廃棄した施設の周辺を含め 福島県沖は震災等の定的であり 影響は軽微であると考えられた そのため 遊泳動物等影響により漁業操業が実施されていない そのたの生息環境である水環境の変化は小さなものであると判断した め 資源量の目安となる漁獲量についての比較などは実施できないものの 水環境等の生息環境の変化は事前評価結果のとおり軽微なものであり 残留による影響はほとんどみられないことから 事前評価結果の内容が妥当なものであると考えられた (6) 人と自然との触れ合い活動の場 ⅲ 特殊な生態系 1 海洋レクリエーション ⅱ 海中公園等 海洋レクリエーションの利用 海中公園等の存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する 海洋掘採施設の残留場所は 沿岸から約 40km 沖合 水深約 150m の平坦な海底の海域であり 文献調査によれば この海域に化学合成生態系等の特殊な生態系は分布しない そのため 海洋掘採施設の残留により 変化を及ぼすことはないものと予測される 当該海域は 沿岸から約 40km 沖合 水深約 150m の外洋域であり この海域において海水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用はない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 当該海域は 沿岸から約 40km 沖合 水深約 150m の外洋域であり この海域には海中公園等の自然環境の保全を目的とした区域はない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 残留する海洋掘採施設近傍には影響を受ける化学合成生態系その他の特殊な生態系は存在していないことから 残留による影響はないものと考えられる 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えられる 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えられる 施設の残留後に特殊な生態系の存在が確認されたという情報は得ていないので これら特殊な生態系は事前予測どおり存在していないと考えられた 新聞等の報道によれば 震災等の影響により 福島県沿岸では海洋レクリエーションはほとんど実施されていない また 新たな海洋レクリエーションの場が開発された という情報も得られていない 残留後に自然環境の保全を目的とした区域に変化があったという情報は得ていないので これら自然環境の保全を目的とした区域としての利用は事前予測どおり存在していないと考えられた 震災により地形等に変化はあったものの 残留海域においては事前評価時から環境の現況に大きな変化がないことから 事前評価結果は妥当なものであったと考えられる 現時点では海洋レクリエーションが実施される状況にないため検証は不可能であるものの 残留海域においては事前評価時から環境の現況に大きな変化がないことから 事前評価結果は妥当なものであったと考えられる 震災により地形等に変化はあったものの 残留海域においては事前評価時から環境の現況に大きな変化がないことから 事前評価結果は妥当なものであったと考えられる ⅰ 漁場 当該海域での海域利用の状況を確 残留する施設の近傍の海域はカレイ類等の漁場として利用されている 認した上で 水環境 海底環境 流況の変化 施設の残留の状態から 影響を定性的に予測評価する 海洋掘採施設を残留する場所は漁場の一部に及んでいるが 残留については地元漁業者と調整済みであること 残留後は保安部への届けにより海図にその存在が記載されることから 当該海域の漁業に及ぼす影響は軽微であると考えられる 震災等の影響により 福島県の沖合いでは漁業は操業されていない 現時点では漁業は実施されていないが これは震災等の影響によるものである 従って 残留による影響の有無の検証は現時点では困難であると考えられる ⅱ 航路 残留する施設の近傍に主要な航路はない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 残留する海洋掘採施設近傍には主要な航路はなく また 残留施設の残留後に航路の設定に変化があったという情報は得られてい事前予測どおり対象海域に航路の利用はなく 当該する海洋掘採施設は海面までの水深を90m 以上確保し IMOのクない 海域の航路利用への影響はみられず 事前評価結リアランス基準 (55m) を担保していることから 仮に漁船等の通行果は妥当なものと考えられた があったとしても 航路利用への影響はないものと考えられる (7) 海域利用 ⅲ 海底ケーブル敷設 残留する施設の近傍に海底ケーブルはない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 海洋掘採施設の残留場所近傍には海底ケーブルの敷設はないことから 海域の海底ケーブルへの影響はないものと考えられる 残留後に海底ケーブルの敷設状況に変化があったという情報は得ら海底ケーブルの敷設状況に変化がなく 事前予測れていない どおりの状況であったため 事前評価のとおり海底ケーブルへの影響はなく 事前評価結果は妥当であるものと考えられる ⅳ 海底資源等 残留する施設の近傍では磐城沖石油開発のガス田掘採施設が稼動していたが 現在はこれも含めて存在しない そのため 海洋掘採施設の残留により これらの環境に変化を及ぼすことはないものと予測される 海洋掘採施設の残留場所には 現在海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用はないことから 底資源の探査又は掘削その他の海底の利用への影響はないものと考えられる 残留後に海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用状況に変化があったという情報は得られていない 海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用状況に変化がなく 事前予測どおりの状況であったため 事前評価のとおりこれら海底利用への影響はなく 事前評価結果は妥当であるものと考えられる 260

267 6.2.3 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討磐城沖海洋掘採施設の撤去工事は平成 22 年 7 月に実施されたが 本調査において撤去工事時及びその後の施設の残留時の環境影響評価を実施した 本項では 平成 21 年度 ~ 平成 24 年度に実施した撤去工事時の環境影響評価及びその検証結果 並びに撤去後の施設の残留による環境影響評価及びその検証結果をとりまとめた あわせて 影響評価結果に基づくモニタリングの検討結果についてもとりまとめた (1) 撤去工事時の環境影響評価の検討 1) 磐城沖海域の概要撤去前の磐城沖海洋掘採施設は 福島県の沿岸から東に約 40km 沖合いの水深約 150m の海域に設置されていた この海域では ほぼ年間を通じて犬吠埼近海を東流する黒潮の補流の性質を持つ南下流が見られ ごく沿岸域では沖合南下流の反流の北上流が時々見られる 海洋施設周辺の海面の流れは 0.5 ノット以下の場合が多い 沿岸部から沖合いにかけて 等深線は海岸線にほぼ平行となっており 沖合いに行くに従って水深は増していく 当該海域の等深線の間隔は沿岸部に比べ広く なだらかな傾斜となっている 海洋掘採施設周辺の海底状況は 急斜面がみられないフラットな海底である 当該海域の底質は 水深 50m 以浅が砂質 水深 50m~100m 付近までは砂泥質または泥質である 海洋掘採施設近傍は 砂質が主体の底質である 水深 150m 付近での主要な底生生物 ( マクロベントス ) はゴカイ類である 大型の底生生物であるメガベントスは 底生性魚類としてカレイ類 アオメエソ 無脊椎動物として棘皮動物のヒトデ類が多い 海洋掘採施設周辺に藻場 干潟 サンゴ礁は存在しない 当該海域は海産哺乳類の分布域の一部となっているが 海産哺乳類の分布は広範囲にわたっており 当該海域は一時的な通過海域であると考えられる 当該海域ではカレイ類 アオメエソ マダラ等が主要漁獲対象となっている また 回遊性魚類はマイワシ マサバ サクラマス シロザケ ブリ類が季節的に漁獲されている 沿岸域には法律で指定された航路はなく 沖合いに東京湾口 ~ 津軽海峡西口航路がある 海洋掘採施設周辺には海底ケーブルは敷設されていない 2) 撤去工事の概要磐城沖海洋掘採施設の撤去前に環境影響評価を行った際の撤去時工事計画は以下の 261

268 とおりである 1 海洋掘採施設の撤去概要海洋掘採施設は 上載設備 ジャケット上部 ジャケット下部に区分して撤去を行う 撤去した上載設備は陸上にて処分し それ以外の部分は当該海域に残留する計画である 2 撤去作業の手順 a. 上載設備上載設備は モジュールサポートフレーム デッキ フロアー 設備 装置等から成る 撤去は クレーン船を用いて 建設時の搭載順序と逆の順序で行う これは 構造体を切断 撤去する場合に その重量 強度を建設時と同等にして 安全に作業を実施するためである この上載設備は陸上に撤去してスクラップ化し 資源として利用する b. ジャケット上部及びパイプラインの一部ジャケットはスカートパイル最上部近辺 (EL.(-)92.5m) の位置で切断し ジャケット上部は撤去後 ジャケット下部に近接して横倒しにして海底面上に残留する なお 同時にジャケット内部のパイプラインも同様に処置する 3) 環境影響評価の考え方 1 撤去工事時の環境影響評価の基本的考え方海洋掘採施設等の廃止に係る作業は 環境影響評価法 の対象事業ではなく 国内法上は環境影響評価が要求されるものではない 検討の結果 基本的な考え方として以下のように考えた 洋掘採施設の撤去工事に係る環境影響評価の具体的な枠組みとしては 環境影響評価法 に要求されている評価項目を参考とすることが適切と考えられた この法律における工事中の影響評価の枠組みが本事業に近いと考えられる 本事業に係る環境影響評価を実施するに当たっては 海洋汚染等及び海上災害の防止に係る法律 に定める海洋施設の海洋投入処分許可申請に係る事前評価の内容を参考にすることが適切と考えられる 本事業に係る環境影響評価を実施するに当たっては 地域や海域等の特性を考慮して 適宜 項目の追加を検討することが適切と考えられる 2 実施手順既存の環境影響評価の手順を参考にして 以下の手順で実施した 262

269 a. 影響要因の抽出 : 事業内容から影響要因を抽出した b. 環境要素の選定 : 周辺環境状況を把握し 影響を受ける可能性のある環境要素を選定した c. 評価項目の設定 : 影響要因と環境要素から想定される影響内容を影響評価項目として設定した d. 影響予測及び評価 : 各評価項目について変化の程度を予測し 保全措置を勘案しながら評価を行った 3 評価項目の設定環境影響評価に当たっては評価項目の設定が必要であるが 評価項目は事業の実施により発生する環境への影響要因と それによって影響を受けると考えられる環境要素との組み合わせから想定される そのため まず影響要因及び環境要素を抽出した a. 影響要因の抽出撤去工事に係る影響要因は以下のものを抽出した ⅰ) 工事用船舶の航行 / 存在 ⅱ) 事前作業 ⅲ) 撤去工事 b. 環境要素の選定環境要素は 環境影響評価法に基づく環境影響評価で参考にされる区分に沿って 当該海域の環境の現況に基づき以下の項目を考えた 大気環境 ( 大気質 ) 騒音 振動 水環境 ( 水質 ) 海底環境 ( 底質及び海底地形 ) 流況 生物環境 ( 海生生物及び生態系 ) 人と自然との触れ合いの活動の場 ( 海中公園等 ) 海域利用 ( 漁場 航路等 ) 環境への負荷 ( 温室効果ガス 夜間照明 廃棄物等 ) c. 評価項目の設定評価項目は影響要因と環境要素の組み合わせから 設定した 4 予測 評価の方法撤去工事に伴い想定される影響について設定した環境影響評価項目のそれぞれにつ 263

270 いて 以下の手順で環境影響の予測及び評価を行った 1. 環境影響範囲及び変化の程度の予測を行う 2. 環境の変化の程度と緩和措置から影響の程度について評価する a. 予測の方法撤去工事による環境影響の範囲を想定し その範囲における環境要素の変化の程度を予測した 予測の方法は 類似事例 過去の調査結果等を参考にし あるいは引用して行った 定量的な予測可能な場合は 定量的な予測を行った b. 評価の方法予測結果に基づき 対策 あるいは保全措置を考慮して各影響評価の評価を行った 各評価項目の評価の考え方は 5.4 章に示したとおりである c. 想定される影響に関する検討撤去作業時に想定される影響のうち 特に事前に懸念された以下のものについて検討した ⅰ) パイル等の切断時作業に係る海域環境への影響 ⅱ) 影響検討のためのシミュレーション ⅲ) 水中騒音に係る検討 4) 評価結果撤去工事による影響評価結果では 重大な影響が想定されるものはなかった 撤去工事に特有の主な影響要因に対する評価結果は以下のとおりであった 1 水中騒音 ( ジャケット切断時の水中騒音による影響 ) 他事例同様 影響は軽微と考えられるが 情報が不足しており 今後検証が必要である 2 水質 ( ジャケット横倒し時の濁りの発生による影響 ) シミュレーション結果による濁りの範囲 持続時間から 影響範囲は限定的で極めて短時間であると予測し 影響は小さいと評価した 3 底質 ( ジャケット横倒し時の海底撹乱による影響 ) 海底土の巻上げと再堆積による海底環境の変化の予測結果から 影響範囲は限定的で極めて短時間であると予測し 影響は小さいと評価した 264

271 4 底生生物 ( ジャケット横倒しによる底生生物への影響 ) 海底撹乱によるメイオベントスへの影響 横倒し時の底生生物の圧殺が想定されたが 過去の研究事例から比較的早い時期に回復すること 横倒しされたジャケットは構造的に接地面積は少ないことから影響は小さいと評価した 5 海生生物 ( 水中騒音による海産哺乳類への影響 ) 影響は軽微と考えられるが 情報が不足しており 水中音調査による検証が必要 6 海域利用 ( 漁場 航路等の海域利用へ影響を検討 ) 関係者と調整済みであることから影響は軽微と評価した 5) 評価結果の検証撤去工事中あるいは撤去工事直後の調査結果から 評価結果の検証を行った 事前に情報が少なかった項目については 調査結果により確認を行った 1 検証結果の概要撤去工事に特有の主な項目についての検証結果は以下のとおりであった a. 水中騒音 ( ジャケット切断時の水中騒音による影響 ) 撤去工事中の現地調査結果では切断時の騒音は確認できなかった 事前評価どおり 実施された工法での切断時の騒音の影響は軽微 b. 水質 ( ジャケット横倒し時の濁りの発生による影響 ) 事前評価どおり 実施された工法での切断時の騒音の影響は軽微 c. 底質 ( ジャケット横倒し時の海底撹乱による影響 ) 流れの下流方向南西 200m 地点で数値の変化が見られたが 変化は小さいもので 海底環境への影響は事前評価どおり軽微と考えられた d. 底生生物 ( ジャケット横倒しによる底生生物への影響 ) 現地調査結果では メイオベントスの個体数が少なかったが 全調査点で同じ傾向がみられたため 自然変動の可能性も考えられ 今後の検討が必要であると判断された e. 海生生物 ( 水中騒音による海産哺乳類への影響 ) 切断による水中騒音は確認されず 関係者への聞き取り結果からは 近傍で確認したイルカの行動に変化はなかったことから影響は見られなかったと考えられた 265

272 f. 海域利用 ( 漁場 航路等の海域利用へ影響を検討 ) 工事中問題は発生せず 事前評価どおりであった 2 事前評価の考え方に反映すべき留意点 検証の結果 情報が不足しており後の調査結果により再確認が必要な項目はあったが 評価の枠組みに反映する事項はなかった 6) 撤去工事時の影響評価結果撤去工事時には 流れの下流側で底質の化学的性状が変化する可能性が考えられたが 変化の程度は一般環境の変動範囲内での数値であった 他の環境要素が大きく変化したことはなかった その結果 撤去工事による海域環境への影響は軽微であると考えられた (2) 残留時の環境影響評価の検討 1) 海洋掘採施設の残留の概要磐城沖石油開発 の海洋掘採施設は 平成 22 年 5 月より撤去工事が始まり 同年 7 月には撤去が終了した 撤去は計画通り実施され 海洋掘採施設のうち上載設備は陸上へ撤去された ジャケット部は海底面上 62m で切断され それより上部は近傍海域に横倒しにされ ジャケット下部はその場に残置され海域に残留された 2) 環境影響評価の考え方 1 残留時の環境影響評価の基本的考え方撤去工事時の評価結果の検証では 当初の評価の考え方 枠組みを変更するような結果ではなかったことから 残留時の環境影響評価は 撤去工事時の環境影響評価の考え方と同じ考え方で進めた 2 実施手順撤去工事時の環境影響評価と同じ手順で実施した 3 評価項目の設定環境影響評価に当たっては評価項目の設定が必要であるが 評価項目は事業の実施により発生する環境への影響要因と それによって影響を受けると考えられる環境要素との組み合わせから想定される そのため まず影響要因及び環境要素を抽出した a. 影響要因の抽出残留する海洋掘採施設による影響要因は以下のものを抽出した 266

273 残留施設の性状施設からの化学物質等の負荷の可能性 残留施設の存在これまで存在しなかったものが存在することになる 残留施設の状態移動等がある場合 なお これらの要因は 海洋掘採施設が従来から在ったその場に残留する場合と 横倒 して近傍に残留する場合のそれぞれの状況において発生する b. 環境要素の選定海洋掘採施設が残留する海域は撤去工事が実施された海域と同海域であることから 影響を受けると考えられる環境要素は撤去工事時と同じである ただし 施設を残留する場合には 撤去工事時に比べ 生産活動等は行なわずそこに存在するのみ という状況を勘案して 対象となる環境要素は限定された c. 評価項目の設定評価項目は影響要因と環境要素の組み合わせから 設定した 4 予測 評価の方法海洋掘採施設の残留により想定される影響について設定した環境影響評価項目のそれぞれについて 撤去工事時と同様の手順で環境影響の予測及び評価を行った 3) 評価結果海洋掘採施設の残留による影響評価結果では 重大な影響が想定されるものはなかった 残留による主な影響要因に対する評価結果は以下のとおりであった 1 水質 ( 残留した施設からの有害物質の溶出による影響 ) 残留する施設の性状 ( 鋼製 ) 付属するパイプラインの一部は内部洗浄済みのため 施設から溶出する有害物質はなく影響は軽微であった 2 底質 ( 残留する施設の存在による海底撹乱の影響 ) 新たな構造物の存在により ごく近傍の流況が変化して海底撹乱の可能性があるが その範囲は小さく影響は軽微と予測した 3 海域利用 ( 漁場 航路等の海域利用へ影響を検討 ) 残留後は海図に記載され 存在が周知されること 地元関係者と調整済みであることから影響は軽微であった 267

274 4) 評価結果の検証 残留後の現地調査結果に基づき 評価結果の検証を行った 1 検証結果の概要海洋掘採施設の残留による影響が想定される主な項目についての検証の結果 残留施設の周辺の海洋環境の大きな変化は 地盤の移動以外 明らかな変化は確認できなかった 2 事前評価の考え方に反映すべき留意点地震の影響と見られる変化があったが 事前の予測と大きく違った評価結果はなく 評価の枠組みに反映する事項はなかった 5) 海洋掘採施設の残留による影響評価結果施設の残留時には 残留された施設の新たな存在により海域の微小環境が変化する可能性が考えられたが 目に見える形での大きな変化はなく 残留による環境への影響は軽微なものであると考えられた (3) 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の総括 1) 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る総合評価結果 1 撤去工事による影響評価結果 事前の評価結果では 重大な影響が想定されるものはなかった 撤去工事後に検証した結果は次のとおりであった 底質の性状に変化がみられたが その変化の程度は一般環境の変動の範囲内であり 環境への影響は小さいと考えられた 事前の情報不足 参考事例が少ないための予測の不確実な部分があったが 事後の調査結果から 事前の評価内容に違いはなく 妥当なものであると判断した 撤去工事の影響ではなく海域環境の変化が原因であると考えられたものに関しては今後の情報収集と確認が必要と考えられた 事前評価内容 考え方は概ね妥当であると判断した 事前に検討した予測 評価の考え方で大きな問題はないものと考えられた 2 施設の残留による影響評価結果 事前の評価結果では ごく近傍での環境変化が予測されたが 海洋環境に重大な影響が想定されるものはなかった 268

275 残留後に検証した結果は次のとおりであった 地震の影響と考えられる位置の移動がみられたが 残留による影響は確認されず 残留による影響は軽微と考えられた 事前評価内容 考え方は概ね妥当であると判断した 事前に検討した予測 評価の考え方で大きな問題はないものと考えられた 3 総合評価結果 撤去工事時には 流れの下流側で底質の化学的性状が変化する可能性が考えられたが 変化の程度は一般環境の変動範囲内での数値であった 他の環境要素が大きく変化したことはなかった その結果 撤去工事による海域環境への影響は軽微であると考えられた 施設の残留時には 残留された施設の新たな存在により海域の微小環境が変化する可能性が考えられたが 目に見える形での大きな変化はなく 残留による環境への影響は軽微なものであると考えられた 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る海域への環境影響は軽微なものと考えられた 2) 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価における留意事項 1 予測評価時において留意した事項 a. 予測評価の考え方で留意した事項 確定した影響評価の枠組みがないことから 評価の枠組みを考える 事業内容から適切な評価項目を選定する b. 撤去工事中の影響で留意した事項 施設切断時に発生する水中音の影響 撤去工法による海底撹乱による影響 引き倒し時の海水の濁りの発生による影響 c. 残留時の影響で留意した事項 残留施設の存在による影響 残留施設からの周辺環境への有害物質の負荷の影響 残留施設の移動による海底撹乱の影響 2 評価結果において留意した事項 事前の情報不足により予測が不確実な場合は 撤去工事中あるいは 残留時の現地調査により確認を行った 事後の現地調査結果による検証において 予測どおり影響は軽微であると判断さ 269

276 れたが 事前の予測において限定された情報により過大な予測をする場合があり より正確な予測のために可能な限り詳細な事前情報の収集が必要でると考えられた 海洋施設設置前の情報不足等により 確認された環境の変化の解析が十分できなかった 3) 大水深海域の海洋掘採施設撤去の特徴磐城沖海洋掘採施設の撤去時及び残留時の環境影響評価の実施結果に基づき 沖合の水深の大きい海域に設置された海洋掘採施設撤去に係る環境影響に関する特徴を整理した 1 地理的特徴 離岸距離が大きい 設置水深が大きく数 10m から 100m を超える場合がある 2 影響要因の特徴このような海域に設置された施設を撤去する際には その工法 工期に制限があり それに応じた 環境への影響要因が発生する 例えば要因として 磐城沖海域の場合には 大型クレーン船が海域に定位し昼夜作業を続行する 海面下の切断は全て機械が実施する 等である さらには 撤去したジャケット部分は陸上への完全撤去は困難であり 法に沿った形で海底に残留した 3 環境要素沿岸域 ( 浅海域 ) と比較した場合次のような特徴が考えられる 詳細は地域によって違う 周辺に生息する生物の違い 海域利用の特徴の違い 大水深海域での海洋掘採施設撤去時の環境影響評価は このような要因 要素の特徴を考慮して実施することが必要である 4) 大水深海域に設置された海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価の考え方と留意点 1 基本的考え方既存の法アセスの考え方を参考にし 海域の特性を考慮して実施する 国内法上は環境影響評価の対象外である 既存の環境影響評価対象事業を参考にする 270

277 事業 設置場所等に関連する法律 ガイドライン等も参考にする 2 作業の手順既存の環境影響評価の手順を参考にして 以下の手順で実施する a. 影響要因の抽出 b. 環境要素の選定 c. 評価項目の設定 d. 影響予測及び評価 3 評価項目 影響要因と環境要素の組み合わせで事業の内容を勘案し評価項目を選定する 4 予測 評価方法 シミュレーション可能なものは実施する 環境への負荷が想定される場合は負荷量を計算する 類似の他地点事例等を参照して定性評価を行う (4) モニタリング内容の検討磐城沖海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価結果に基づき 撤去工事中 残留時の鉱害防止の観点から 確認すべき項目等について 今後必要と考えられるモニタリング内容を検討した 検討の結果 磐城沖海洋掘採施設を例としたモニタリング計画案をとりまとめた ( 表 6.2-2) 表 モニタリング計画案 区分撤去工事中残留時備考 1 項目 2 方法 3 実施時期 及び頻度 水質調査 底質調査 底生生物調査 水中騒音調査 夜間照明確認 事前環境調査と同様の方法 ROV 等の映像による確認が 望ましい 撤去工事時 ( 影響要因発生時 ) 場合によっては工事の直前 直後の実施を考慮する 底質調査 底生生物調査 事前環境調査と同様の方法 ROV 等の映像による確認が 望ましい 残留数年後 適切な時期 可能であれば四季調査が望ましい 具体的な項目は事前環境調査と同様の項目 271

278 6.2.4 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討本調査の成果である磐城沖海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価の内容とともに 過去に実施された阿賀沖北海洋掘採施設の事例を参考にして 我が国において海洋掘採施設を撤去する場合に環境保全の観点から留意すべき事項をとりまとめた 同時に 沿岸部の水深の浅い いわゆる浅海域と呼ばれる海域についても検討した (1) 海洋掘採施設撤去時の環境影響評価のまとめ 1) 既存事例の概要 ( 阿賀沖北海洋掘採施設の事例 ) 1 施設の概要阿賀沖北油田は 新潟沖合約 16km( 水深 90m) に位置する 昭和 59 年にプラットフォームが設置され 平成 5 年に生産活動を停止した 海洋掘採施設の総重量は 8400 トン ジャケット全高は 98mであった 2 撤去工事の概要ジャケットパイルの水中切断は 12 本のパイル内部をジェッティングにより海底面下 8mまで掘削して海底面下 5mに爆薬をセットして行なった 切断作業は 3 日で全 22 本の切断を完了した また 全撤去工事に要した期間は合わせて 52.5 日であった 3 阿賀沖北海域の状況海域の現況を把握するために平成 3 年 ~ 平成 7 年に実施された現地調査結果ら概要をとりまとめた a. 流況最多出現流速は 海面下 10m で 10~20cm/s 底層で 0~10cm/s であり 底層域の流速は表層域の 1/2 程度に減少した 流向は北東が卓越していた b. 海底状況音響測深記録から 撤去後の海洋掘採施設跡では周囲より最大約 1.5m 海底地形が隆起していた この原因として 海洋掘採施設の運転期間中ジャケット部に付着したカキ殻を排貝し これが長期に渡り堆積したものと考えられた カキ殻の分布は北東 - 南西方向に長い楕円形を示し 潮流の卓越方向と一致した c. 水質調査海域は 距岸 16km 水深 90m の開放的な海域で 常時対馬暖流の影響下にある このため COD や栄養塩類の値は夏季の内湾 沿岸域で観測される値に比べ低い 272

279 傾向を示した d. 底質調査海域の底質は シルト分もしくはそれ以下の微細粒子が 95% 以上を占め 砂 礫分はほとんど含まれない このことは 調査海域の底層流が微弱であり かつ底質が安定していることを示す 施設周辺で有害物質や重金属類の異常値は確認されず 生産期間を通してこれらの蓄積はなかったと考えられた e. 生物 ⅰ) 浮遊生物植物プランクトンは珪藻類が卓越した また春季に種類数が少なく 夏季に増加する傾向が認められた 細胞数は調査回別にみると 平均 9,700~407,000 細胞 /l の範囲で変動した 動物プランクトンは種類数の半数を橈脚類が占めた 個体数は調査回別にみると 平均 1,505~15,253 個体 /m 3 の範囲で変動した 植物 動物プランクトンともに 対馬暖流を代表する種と沿岸域の普通種が卓越していた ⅱ) 底生生物マクロベントスは多毛類が卓越した メイオベントスは 4 動物門 6 綱の種が確認された マクロベントス メイオベントスともに撤去直後に海洋掘採施設跡近傍 ( 半径 200m 以内 ) の個体数及び種類数が増加した この原因として 発破による捕食者の排除や生物の死骸が一時的に堆積したことにより適応能力の強い種が蝟集 繁殖した結果と考えられた 1 年後には海洋掘採施設周辺域に近い生物相に戻っていることが確認された ⅲ) 魚卵 稚仔魚魚卵は 4 回の調査で合計 20 種の卵が出現した 優占種はカタクチイワシであった 稚仔魚は 4 回の調査で合計 33 種が出現した 出現種はカタクチイワシ 次いでマイワシが多かった 魚卵 稚仔魚はともに 対馬暖流に生息する代表的な魚種が確認された ⅳ) 水産有用生物 4 回の調査で 魚類 35 種 その他 14 種の合計 49 種が採取された 種類数 個体数ともに調査時期による差は小さかった また 各調査期においてタマガンゾウビラメが第一優占種であった 273

280 4 環境影響評価の実施内容 a. 影響要因の検討 ⅰ) 音による影響因子の検討海洋掘採施設撤去作業時に発生する音は 発破音とその他工事中の音 ( カッター音 使用船舶音を含む ) を考慮した 衝撃波を伴う発破音は海洋掘採施設近傍に生息する生物を死亡させ 一方その他の工事中の音は周辺海域に生息する生物を忌避もしくは蝟集させる可能性があり 最終的に漁獲への影響を予測した ⅱ) 底泥撹乱による影響因子の検討海洋掘採施設撤去作業及びパイプラインの切断 処理時等に 海底堆積物が巻き上げられるために起こる 環境への影響を検討した 堆積物の懸濁 拡散による直接的影響として 底生生物群集の撹乱があげられた また 間接的影響として濁度の増加と栄養塩類 重金属等の溶出による浮遊生物への影響が考えられ 最終的に生物相 漁獲量の変化が予測された b. 環境影響因子の抽出撤去作業により生じる環境影響は それぞれが独立した要因によるものではなく 相互に関連していると考えられた 環境影響因子として 以下 a.~c. の 3 つに大別し項目をした ⅰ) 物理環境海域の流動 ( 流向 流速 ) を測定し 音波の伝達方向 懸濁物質の拡散方向及び影響範囲を把握する ⅱ) 化学環境海底撹乱に伴う懸濁物質 栄養塩類の増加及びこれらの拡散方向 範囲を把握する ⅲ) 生物環境衝撃波あるいは懸濁物質による生物環境への直接的な影響 及び音響伝搬 懸濁物質の移動 拡散 特定物質の溶出等による間接的要因を把握する 5 評価項目の設定環境影響因子を実際の海域調査で観測するために設定した調査項目とその目的を表 に示した 274

281 理環境化学環境生物環境表 影響評価のための調査項目 項目目的物流況海底状況発破音響底泥拡散水質底質底生生物浮遊生物遊泳生物 水塊の移動 懸濁物質の拡散などを解析するとともに 魚類など生物の分布にも影響を及ぼすため 環境調査の基本項目としてデータを取得する 落下物 残置物の確認 掘削泥の分布状況やパイプライン埋め戻し後の状況を確認する ( 新日本海石油開発株式会社が実施 ) 影響は短期間であるが 強力な衝撃波は掘採施設近傍の生物に大きな影響を与えるため 衝撃圧の大きさと距離による減衰を観測する また 事前にシミュレーションモデルを作成し 影響範囲を予測した 堆積した底泥を攪乱することにより 堆積物の拡散 再堆積などが起こり 底生生物の生息環境に直接的な影響を与えることが予測されるため プラットフォーム周辺域の濁度を測定した また 事前にシミュレーションモデルを作成し 堆積物の拡散 再堆積エリアを予測した 生物生息環境の基本要素で 環境影響評価のバックデータとして重要である 撤去工事中の排水や 拡散された底泥からの溶出物質による影響の有無を調査する 生物生息環境の基本要素で 環境影響評価のバックデータとして重要である プラットフォーム操業中の汚染や撤去工事による堆積物性状の変化について調べる 海底上や底泥中に生息する動物群で 底生魚類の餌料として重要である 移動性に乏しく 環境変化の影響を反映しやすいことから 指標性が高いと考えられる 海域の基礎生産や物質循環に重要な生物群である 遊泳力が乏しいため物理 化学的影響を受けやすく 環境の改変に対する耐性は低いが 瞬間的な影響を捉えにくいと考えられる 魚類など水産上重要な生物群を含む 撤去工事が漁業活動へ与える影響の有無を調べる 6 阿賀沖北海洋掘採施設撤去に係る評価結果阿賀沖北海洋掘採施設の撤去工事の影響は 海洋掘採施設周辺の狭い範囲に限定され 工事期間も短期であるため 周辺海域に及ぼす影響はほとんど無いとの結論されている 海洋掘採施設の撤去前 撤去中 撤去後に実施した調査結果による各調査項目の環境影響調査結果を表 に示した 275

282 項目結果概要物理環境化学環境生物環境表 阿賀沖北海域における海域環境調査結果 流況発破音響底泥拡散水質底質底生生物浮遊生物遊泳生物 流れは海域における物質の輸送 拡散に関与し 撤去工事の影響を解明する上の基本的な項目である プラットフォームの撤去により局所的な流は変化するであろうが 開放的な海域であるため周辺への影響は無いと結論される パイル切断時に 100m 地点で 5~7bar 200m 地点で 2bar の衝撃圧が測定された 影響域を調べるため数値モデルを開発しシミュレーションを実施した結果は観測値と良く一致し 今後の撤去時の影響予測に使えるとの確信を得た なお 発破切断時には魚類への影響が確認され シミュレーションによると影響範囲は半径 200m 程度と予測された 調査海域の底質性状および既存資料の結呆から 工事による底泥拡散は小規模であろうと推察された また 底泥拡散についても数値モデルを開発したが 観測場所の都合上から現場との整合性を確認することができず 今後の課題と考えられる 調査海域は対馬暖流の影響を受け 水塊は常に流動している また 撤去工事は継続的な汚染負荷を伴うものでは無く 短期的かつ小規模で あり 調査結果からも周辺環境への影響は無かったと結論される 撤去工事の前後で 底質性状 有害物質 重金属等に大きな変化はみられず 工事の影響は認められない また プラットフォーム跡にはカキ殻の堆積が確認されたが これも周辺海域に悪影響を及ぼす事は無いと結論される 調査で出現した生物は周辺海域に広く分布する種で 撤去工事の前後にも大きな変化は認められない 撤去工事が短期的かつ小規模であることから 海域全体への影響は無いと結論される また 底生生物では撤去直後のプラットフォーム跡で種組成に変化がみられたが 1 年後には通常の生物相に戻っていることが確認された 7 評価に係る留意事項 a. 廃坑措置等プラットフォーム撤去作業以前に行われる 廃坑措置 パイプラインの洗浄 密閉 埋設については 汚染の心配は非常に小さいと考えられるが 撤去にともなう汚染の有無を確認する上では 周辺で撤去時の水 底質モニタリング調査を行うことが望ましい b. 発破切断作業発破切断作業では プラットフォーム周辺の魚類 海棲ほ乳類等が被害を受けることが心配される 魚群探知機等で蝟集状況を把握した上で 適当な散逸措置をとることが望ましい ウミガメ 海産哺乳類に関しては発破時に監視を行う他 プラットフォームで目視記録をつけ 出現時期を割り出すなど地域性にあった撤去計画を作る必要がある c. 底泥拡散発破にともない海底土の巻き上げが起こることも予想されるが 海洋環境への影響は小さいと結論される 276

283 d. 整地作業撤去後のプラットフォーム位置周辺の落下物回収 整地作業は 漁業 航行の安全の上から必要であり 特に残置したパイプラインの端部を重点的に海底面の状況をモニターする必要がある 2) 磐城沖海洋掘採施設における環境影響評価の概要磐城沖海域を事例として大水深海域における海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の枠組みを整理し 考慮すべき点についてとりまとめた 1 基本的考え方既存の法アセスの考え方を参考にし 海域の特性を考慮して実施する 国内法上は環境影響評価の対象外 既存の環境影響評価対象事業を参考にする 事業 設置場所等に関連する法律 ガイドライン等も参考にする 2 作業の手順既存の環境影響評価の手順を参考にして 以下の手順で実施する a. 影響要因の抽出 : 事業内容から影響要因を抽出する 大水深海域での工法の特徴を反映する b. 環境要素の選定 : 周辺環境状況を把握し 影響を受ける可能性のある環境要素を選定する その際 海域の特性を考慮する c. 評価項目の設定 : 影響要因と環境要素から想定される影響内容を影響評価項目として設定する d. 影響予測及び評価 : 各評価項目について変化の程度を予測し 保全措置を勘案しながら評価を行う 3 評価項目影響要因と環境要素の組み合わせで事業の内容を勘案し評価項目を選定する 4 予測 評価方法 シミュレーション可能なものは実施する 環境への負荷が想定される場合は負荷量を計算する 類似の他地点事例等を参照して定性評価を行う 5 評価に係る留意事項 施設やパイプラインの洗浄 密閉 埋設等の 撤去工事前に実施される準備作業において石油流出や他の化学物質による環境汚染の可能性が考えられる 277

284 ジャケット切断時のパイル内の水の流出 切断に AWJ を使用する際の研磨剤の成分などによる水質汚濁に留意する ジャケットの切断時 発破 機械的切断等使用する切断方法により発生する水中騒音による影響に留意する 撤去後 切断した施設を移動する場合の 海底への仮置きあるいは引き倒しの際の海底撹乱及びそれに伴う濁りの発生 周辺生物への影響に留意する 残留する場合は 海底にこれまで存在しなったものが存在することになり 漁業操業への影響が懸念されることから その影響に留意する 残留した施設からの金属類等の有害物質の流出による環境影響が懸念される 残留した施設が波の力等で移動 浮上し 海底撹乱等を生じることなどで海域環境に影響を及ぼさないよう留意する 3) 浅海域の事例の検討前項で検討してきた沖合の海洋掘採施設は 岸から離れた沖合に設置されており 設置水深が数 10m から 100m を超える場合があり その結果施設が大型化しているものが多いという特徴がある 一方で 岸に近い沿岸域は 水深が浅くいわゆる浅海域と呼ばれる海域であり 沖合域の海域とは地理的特徴の違いとともに 海域環境にも違いが見られる この海域に施設が存在し 施設の撤去が計画される場合には 今回検討した沖合の海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価時の特徴と比較しながら沿岸域の特徴を類推すると 人の生活圏に近いことに起因する影響 漁業 レクリエーション等による沿岸域の頻繁な利用 切断時の水深の確保の問題等の特徴が想定され 沿岸域 ( 浅海域 ) に存在する海洋掘採施設を撤去する場合には このような特徴に関する留意も必要であると考えられる (2) 海洋掘採施設の撤去時の留意事項のまとめ海洋掘採施設の廃止に当たって 平成 20 年に経済産業省鉱山保安課より報告された石油鉱山保安部会中間報告書 ( 海洋掘採施設等の廃止措置に関する基本的考え方について ) では 以下のような考え方が示されている 上載施設は全て陸上に運搬して処分する 下部構造物は自然の海底面下の適切な位置で切断 撤去して 適切な措置を行うことを原則とするが 自然の海底面より上の位置で切断 撤去する方法以外に適切な方法がない場合には自然の海底面より上の位置での切断 撤去を検討することができる 切断方法は非爆破切断方法が望ましい 278

285 これらを参考にしながら 浅海域及び大水深海域における海洋掘採施設の撤去に係る 環境影響評価の枠組みの検討結果に基づき 留意すべき事項をとりまとめた 1) 環境影響が懸念される事項事例検討で確認された海域での変化は 設置されている海洋掘採施設の撤去という行為が 底質 底生生物に及ぼす影響の可能性を示唆しているものと考えられる また 近年使用が控えられているが発破による切断 あるいは機械的切断時に発生する水中騒音が海洋動物に及ぼす影響も懸念されている そのため 海洋掘採施設の撤去時には 特に海底環境及び底生生物に留意が必要であると考えられる さらに海産哺乳等への影響が懸念される水中音について 実態の把握 対策等が必要であると考えられる 2) 環境配慮が必要な事項今回の事例の検討結果を元に 海洋掘採施設の撤去時に想定される影響について 水中音 底質 底生生物への影響が懸念されるものについては検討が重要と考えた また 施設の状態によって あるいは撤去工事の方法によって影響の可能性が大きくなるものがあり 例えば工法により濁りが発生するものなど 水質への影響が懸念され 条件付で重要と考えられた その他の項目については 配慮が必要であることから 事業内容に応じて可能な範囲で対応することが望ましいと考えられた 3) 環境影響評価等のための情報収集海洋掘削施設の撤去に当たっては 様々な内容 程度の影響が想定されるが 事前にこれらを予測して 適切に対処するために 事前の環境影響評価の実施が有効であると考えられる ガイドラインの考え方の整理海洋掘採施設撤去の際に 鉱害防止の観点から環境影響への配慮が必要である これまで実施されてきた 海洋掘採施設撤去時の環境影響検討の事例を元に 海洋掘採施設撤去時に配慮すべき環境影響についてのガイドラインの考え方 構成案を検討し とりまとめた (1) ガイドライン策定の考え方 1) 基本的考え方海洋施設の廃止に伴う撤去作業時の鉱害防止のためのガイドラインには 撤去作業時の鉱害防止の考え方 対策 配慮事項が解説されるものが望ましい 279

286 ケーススタディとして実施した環境影響調査及び評価の結果をもとに想定される鉱害 ( 環境影響 ) を選定して 事前の検討方法 その対応策をとりまとめる 2) 記載項目の検討記載項目は 以下の内容を考えた 全体の方針 考え方を示し 配慮すべき項目を選定する 個別の配慮事項ごとに解説する (2) 記載項目の検討記載すべき項目とその内容案を以下のように考えた 1 基本的事項 ( 基本的考え方 法的位置づけの整理 事例から見た鉱害防止のポイント ) 2 撤去時の鉱害防止の留意点一例として 作業の実施順に 各々設置海域 ( 水深 ) の特徴に係る留意点及びその対応 解説が記載される ( 例 : 準備段階 工事実施前 工事中 工事後 ) 3 環境影響評価の実施環境要素別配慮事項撤去工事前の環境配慮の方法として 環境影響評価の実施が望ましいことから その考え方 方法について記載する 280

287 7. 4 年間の調査のまとめ 7.1 調査目的本事業は 海域における石油及び可燃性天然ガスの採取を行うための海洋掘採施設が当該海域の環境に及ばす影響に関する調査であり 採取終了時に行う海洋掘採施設の撤去作業が海域の環境に及ぼす影響の評価を行い 当該作業に係る鉱害防止のガイドライン策定に資することを目的とする 7.2 調査体制本業務は一般財団法人エンジニアリング協会石油開発環境安全センター (SEC) の委託により実施した 調査に用いた船舶は SEC が別途契約した株式会社オフショア オペレーション所有の船舶を用いた 7.3 調査概要 現地調査現地調査では 海洋掘採施設の撤去の前後において海域環境を把握するための調査として流況観測 水質調査 底質調査および生物調査を実施した また 撤去工事中には工事音の影響を把握するための水中音響調査 撤去から2 年後には残留した海洋掘採施設による海底地形への影響を把握するための海底地形等調査を実施した (1) 各年度の調査内容と調査項目現地調査に関する 各年度の調査内容を表 に 各年度の調査項目を表 に示した 表 現地調査の各年度の調査内容 年度 調査名 調査年月 調査内容 流況観測 ( 係留系設置 ) 水質調査 底質調査 2008 年 7 月平成 20 年度 生物調査 ( 採水 ネット採集 採泥 ) 撤去 2 年前調査流況観測 ( 係留系回収 ) 水質調査 生物調査 2008 年 8 月 ( 採水 ネット採集 ) 平成 22 年度 撤去直前調査 2010 年 4 月 水質調査 生物調査 ( 採水 ネット採集 ) 平成 22 年度 撤去中調査 2010 年 6 月 水中音響調査 平成 22 年度 水質調査 底質調査 生物調査 ( 採水 ネット 2010 年 7 月撤去直後調査採集 採泥 ) 平成 24 年度 撤去 2 年後調査 2012 年 7 月 流況観測 ( 係留系設置 ) 海底地形等調査 2012 年 8 月 流況観測 ( 係留系回収 ) 水質調査 底質調査 生物調査 ( 採水 ネット採集 採泥 ) 表 現地調査の各年度の調査項目 281

288 調査項目観測 分析項目 H20 年度 ( 測点 層 ) H22 年度 ( 測点 層 ) H24 年度 7 月調査 8 月調査撤去直前撤去中撤去直後 ( 測点 層 ) 流向 流速 1 点 3 層 42 日間 点 3 層 34 流況観測水温 塩分 1 点 3 層 42 日間 日間 水中音響周波数 音圧 点 1 層 - - 海底地形音波探査 ( ナローマルチヒ ーム ) 既設周辺 採水位置 水深 4 点 4 点 4 点 - 4 点 2 点現気象 海象 気温 4 点 4 点 4 点 - 4 点 2 点地水温 塩分 (CTDメーター) 4 点 全層 4 点 全層 4 点 全層 - 4 点 全層 2 点 全層観色相 ( 水色 ) 透明度 4 測点 4 点 4 点 - 4 点 2 点臭気 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層 水素イオン濃度 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層 溶存酸素量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層水化学的酸素要求量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層質浮遊物質量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層調査水 n-ヘキサン抽出物質量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 1 層 - 4 点 1 層 2 点 3 層質濁度 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層 試 全有機体炭素 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層 験 硝酸態窒素 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層 亜硝酸態窒素 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層 アンモニア態窒素 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層 りん酸態りん 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層 クロロフィルa 4 点 3 層 4 点 3 層 4 点 2 層 - 4 点 2 層 2 点 3 層 採泥位置 水深 12 点 点 8 点 現 気象 海象 気温 12 点 点 8 点 地 泥温 12 点 点 8 点 観 色相 ( 泥色 ) 12 点 点 8 点 測 臭気 ( 泥臭 ) 12 点 点 8 点 泥状 夾雑物 12 点 点 8 点 粒度組成 12 点 点 8 点 密度 12 点 点 8 点 化学的酸素要求量 12 点 点 8 点 硫化物 12 点 点 8 点 乾燥減量 12 点 点 8 点 強熱減量 12 点 点 8 点物 n-ヘキサン抽出物質量 12 点 点 8 点性全有機体炭素 点 8 点 カドミウム 12 点含 点 8 点有シアン化合物 12 点 点 8 点量鉛 12 点 点 8 点底試六価クロム 12 点 点 8 点質験ひ素 12 点 点 8 点調総水銀 12 点 点 8 点 査 アルキル水銀化合物 12 点 点 8 点 ポリ塩化ビフェニル 12 点 点 8 点 銅 12 点 点 8 点 亜鉛 12 点 点 8 点 ふっ素化合物 12 点 点 8 点 放射性セシウム (Cs-134,137) 点 カドミウム又はその化合物 12 点 点 8 点 シアン化合物 12 点 点 8 点 有機りん化合物 12 点 点 8 点 鉛又はその化合物 12 点 点 8 点 溶 六価クロム化合物 12 点 点 8 点 出 ひ素又はその化合物 12 点 点 8 点 試 水銀又はその化合物 12 点 点 8 点 験 アルキル水銀化合物 12 点 点 8 点 ポリ塩化ビフェニル 12 点 点 8 点 銅又はその化合物 12 点 点 8 点 亜鉛又はその化合物 12 点 点 8 点 ふっ化物 12 点 点 8 点 動物プランクトン 4 点 3 層 4 点 3 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 2 点 3 層 植物プランクトン 4 点 3 層 4 点 3 層 4 点 2 層 - 4 点 2 層 2 点 2 層 生物調査魚卵 稚仔魚 4 点 2 層 4 点 2 層 4 点 1 層 - 4 点 1 層 2 点 1 層 マクロベントス 12 点 点 8 点 メイオベントス 12 点 点 8 点 (2) 調査位置 282

289 磐木沖石油開発株式会社が所有していた海洋掘採施設 ( 写真 7.3-1) が設置されていた福島県双葉郡楢葉町地先東方約 40km 水深約 155m の地点 ( 図 7.3-1) を中心に 卓越する海流の上手と下手でデータ取得ができるように 同心円状に複数の調査測点を配置した 各調査での調査測点を図 7.3-2~ 図 に 全測点の緯度 経度を表 に示した 写真 磐城沖石油開発株式会社が所有していた海洋掘採施設 (2010 年 4 月 18 日撮影 ) 福島県 楢葉町 広野町 北緯 東経 図 海洋掘採施設の設置地点 ( 海上保安庁 ( 平成 19 年度 11 月刷 )W1098 を基に作成 ) 283

290 N N3 N2 1000m 500m 200m N1 W3 W2 W1 E1 E2 E3 係留系設置点 S1 S2 海洋掘採施設 ( 横倒前 ) 水質 フ ランクトン 魚卵 稚仔魚 : N1 E1 S1 W1 底質 底生生物 : 全測点 (12 測点 ) 図 撤去 2 年前調査 (2008 年調査 ) の調査測点 S3 N 1000m 500m 200m N1 NE1 SW1 S1 海洋掘採施設 ( 横倒前 ) 水質 フ ランクトン 魚卵 稚仔魚 : N1 NE1 S1 SW1 図 撤去直前調査 (2010 年 4 月調査 ) の調査測点 284

291 5000m N4 N 1000m N3 500m N2 200m N1 S1 S2 海洋掘採施設 ( 横倒前 ) 5000m S3 S4 背景雑音のサンプリング : N1~N4 ブレース切断音のサンプリング : S1~S4 B1パイル切断音のサンプリング : S1~S4 図 撤去中調査 (2010 年 6 月調査 ) の調査測点 N N3 海洋掘採施設 ( 横倒後 ) N2 NE3 1000m 500m 200m N1 NE2 SW1 SE1 SW2 S1 SW3 S2 S3 海洋掘採施設 ( 残置部 ) 水質 フ ランクトン 魚卵 稚仔魚 : N1 SE1 S1 SW1 底質 底生生物 : 全測点 (8 測点 ) 図 撤去直後調査 (2010 年 7 月調査 ) の調査測点 285

292 N N3 海洋掘採施設 ( 横倒部 ) 1000m NE3 N1 200m SW1 SE1 係留系設置点 S1 SW3 海洋掘採施設 ( 残置部 ) S3 水質 フ ランクトン 魚卵 稚仔魚 : N1 SW1 底質 底生生物 : 全測点 (12 測点 ) 図 撤去 2 年後調査 (2012 年調査 ) の調査測点 表 全調査地点の緯度 経度 測点名 緯度 (N) 経度 (E) N N N N NE NE NE E E E SE S S S S SW SW SW

293 表 7.3-3( 続き ) 全調査地点の緯度 経度 測点名 緯度 (N) 経度 (E) W W W 係留系設置点 海洋掘採施設 (3) 調査方法 1 流況観測メモリー式電磁流向流速計 ( アレック電子社製 Compact-EM) およびメモリー式 CTD ( アレック電子社製 Compact-CT) を搭載した係留系 ( 図 7.3-7) を使用し 観測期間中 1 分間隔で流向 流速 10 分間隔で水温 塩分の連続観測を行った 2 水質調査 CTD 付多筒採水器 ( ロゼットサンプラー )( 写真 7.3-2) を用い 水圧 ( 水深 ) 測定と連動させて所定の水深の海水を採取した 採取した海水は所定の容器に収容した後 分析に供するまでそれぞれの規格 法令に定める方法により保管した 写真 CTD 付多筒採水器 写真 スミスマッキンタイヤー型採泥器 3 底質調査写真 に示したスミスマッキンタイヤー型採泥器 ( 採泥面積 :0.119m 2 ) を使用し 昭和 63 年 9 月 8 日付環水管第 127 号 ( 底質調査方法の改定について ) に定める方法 又はこれに準ずる方法により底泥を採取した 採取した底泥は所定の容器に収容した後 分析に供するまでそれぞれの規格 法令に定める方法により保管した 287

294 140m 75m 5m 図 流況観測で用いた係留系の構成 288

295 4 生物調査生物調査に関する 試料の採取方法を表 に 各分析項目の分析方法を表 に示した 試料採取後の保管については 中性ホルマリンを用い 動物プランクトンは終濃度 5% 植物プランクトンは終濃度 2% 魚卵 稚仔魚 マクロベントスおよびメイオベントスは終濃度 10% となるよう固定した 分析項目動物プランクトン植物プランクトン魚卵 稚仔魚マクロベントスメイオベントス 表 生物調査の試料の採取方法 採取方法 北原式定量プランクトンネット ( 写真 7.3-4) を鉛直曳 ロゼットサンプラーによる採水 (2L) MTD ネット ( 写真 7.3-5) を 2 ノット 10 分間の水平曳スミスマッキンタイヤー型採泥器を用い 0.1m 2 程度採泥上記採泥器に直径 3cm のコアを差し込み表層泥 3cm を分取 分析項目動物プランクトン植物プランクトン魚卵 稚仔魚マクロベントスメイオベントス 表 各分析項目の分析方法 分析方法 生物顕微鏡を用い種の同定及び計数生物顕微鏡を用い種の同定及び計数生物顕微鏡や実体顕微鏡を用い種の同定及び計数 1mm メッシュのフルイ上に残る生物について実体顕微鏡を用い種の同定 計数及び種毎の湿重量の測定 0.03mm(30μm) メッシュのフルイ上に残る生物について実体顕微鏡や生物顕微鏡を用い種の同定及び計数 写真 動物プランクトンの採取で使用した北原式定量プランクトンネット 289

296 写真 魚卵 稚仔魚の採取で使用した MTD ネット 5 水中音響調査水深 20m に設置したハイドロフォンによって 海洋掘採施設から離れながら海中音を録音し 切断音の距離に対する減衰特性を測定した ( 図 7.3-8) 海中音の録音は 切断音の特徴を把握し易くすることを考え 切断機 (DWS: ダイヤモンドワイヤーソー ) の稼働時および非稼働時の異なる条件下で測定した 測定時には DWS の稼働状況を確実に把握するため 撤去工事のオペレーターとトランシーバー等で交信をとりながら調査を行った 測定中は調査船のエンジンを停止し 漂流状態とした 海中音の測定項目は周波数と音圧とし 周波帯範囲は 20Hz~ 約 100kHz とした 低域データ系統 ( 測定用周波数範囲 :200Hz~22kHz) OST-2150 低域用増幅器 Aquafeeler Ⅲ 低域用録音機 SONY PCM-D1 高域データ系統 ( 測定用周波数範囲 :4kHz~96kHz) OST-2140 高域用増幅器 ST80B 高域用増幅器 Aquafeeler MONO 高域用録音機 KORG MR-1 フロート 約 20m ゴム紐 ( ダンパー ) 吊下索 + ハイドロホンケーブル ハイドロホン保護枠低域用ハイドロホン (OST-2150) 高域用ハイドロホン (OST-2140) 鉛入りロープ 図 水中音響調査機器の系統図 290

297 6 海底地形等調査海洋掘採施設を中心とする 400m 400m の範囲を調査域とし ナローマルチビーム測深機 (Sonic2024) を用いた音響測深により海底地形を把握した 海底地形等調査の観測および解析の概要は図 および図 に示すとおりである POS MV GPS 測位 動揺 船首方向測定 Sonic2024 ソナーヘット 海面水温 SIM (Sonar Interface Mod.) 現場作業 潮位補正 音速度計 PC (HYPACK) 計器のオフセット情報 GPS アンテナ, ソナーヘット, PC (HYPACK) 室内作業 ハ ッチテストにて各補正値の決定 (Roll,Pitch,Yaw,Latency) テ ータ処理, ノイス 除去 XYZ テ ータ作成 等深線図 水深図 イメーシ 図 図 ナローマルチビーム測深の観測 解析フロー MTSAT( 補正情報受信 ) GPS 衛星 補正情報 GPS アンテナ 動揺センサー 進行方向 Sonic20245 ヘット センサー 測深範囲 ( ヒ ーム) 図 ナローマルチビーム測深の概要図 291

298 7.3.2 机上調査机上調査では 現地調査結果及び既存資料から対象海域の状況の把握を行い 磐城沖海洋掘採施設の撤去及び残留による環境影響評価の実施 事後の検証を行った さらに過去に調査した地点の情報も加えて 海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価について検討した 各年度の机上調査の項目は図 に示した また 各年度の調査概要は 以下に年度ごとに示した H20 年度 現地調査 撤去 2 年前 (7 8 月 ) 流況観測 水質調査 底質調査 生物調査 机上調査 平成 20 年度 1) 磐城沖海域の現況 1 現地調査結果の検討 2 磐城沖海域の特性 2) 今後の調査内容の検討 H21 年度 平成 21 年度 1) 撤去工事中の環境影響の事前評価 2) 平成 22 年度現地調査計画の策定 3) 残留による影響の事前予測評価の検討 4) 残留影響の現地調査内容の検討 H22 年度 撤去直前(4 月 ) 撤去中(6 月 ) 撤去直後(7 月 ) 水質調査 底質調査 生物調査 水中音響調査 平成 22 年度 1) 現地調査結果の検討 2) 撤去工事中の事前評価結果の検証 3) 撤去後の残留影響の事前評価 4) 撤去後の現地調査計画の策定 H23 年度 H24 年度 撤去 2 年後 (7 8 月 ) 海底地形等調査 流況観測 水質調査 底質調査 生物調査 平成 24 年度 1) 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討 2) 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 3) 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 4) 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討 5) ガイドラインの考え方の整理 注 : 図には同時に実施した現地調査の項目も記載した 現地調査の概要は に記載した 図 机上調査の各年度の調査項目 292

299 (1) 平成 20 年度 1) 磐城沖海域の現況 2008 年に実施した現地調査結果及び既存の報告等から磐城沖海域の特性を把握し磐城沖海域の現況についてとりまとめた 1 現地調査結果の検討 2008 年に実施した撤去前の海域の現地調査で得られた流況観測 水質 底質 海生生物の各データを整理し 調査結果について 当該海域に既存の知見があるものについてはこれらを参考に比較検討した 2 磐城沖海域の特性 2008 年の現地調査結果及び既存の報告等から 磐城沖海域の撤去前の現況の概要についてとりまとめると共に 当該海域の特性についてとりまとめた 2) 今後の調査内容の検討 2008 年の現地調査結果に基づき 撤去工事中 残留による影響に係る環境影響評価を適切に実施するための次年度以降の調査内容を検討し とりまとめた (2) 平成 21 年度 1) 撤去工事中の環境影響の事前評価海洋掘採施設の撤去工事中に関する環境影響評価の枠組みを確立するため 事前の予測評価を実施した 事前の予測評価に当たっては 計画されている磐城沖海洋掘採施設の撤去計画を参考として 対象海域の状況に基づいて環境影響要因と環境要素を抽出し 影響評価項目を設定した その上で 各評価項目について 工事の実施に伴い影響が想定される範囲及び影響の程度について予測し 評価を行った 2) 平成 22 年度現地調査計画の策定 2008 年の調査結果と事前評価結果を基に 以後の現地調査計画を検討し 策定した その際以下の点に留意した 調査実施時期は 撤去直前 撤去中及び撤去直後の海域環境の現況把握のため 3 回実施する計画とし 一貫した調査結果を得るため 基本的には 2008 年と同様の調査内容 方法を踏襲する 調査項目は 2008 年に実施した現地調査における調査項目について継続して情報を取得することにする さらに パイル等の切断時の水中騒音の把握のため水中音響の観測を計画する 293

300 調査点の配置は 2008 年の現地調査を基本とし 事前評価結果とあわせて検討 する 3) 残留による影響の事前予測評価の検討海洋掘採施設撤去後の残留による海域環境への影響に係る事前予測評価を実施するための考え方を検討した 検討結果は 撤去時の現地調査結果で把握される海域の現況に基づき実施される残留時の影響評価の資料とした 4) 残留影響の現地調査内容の検討 2008 年の現地調査で得られた知見や事前評価結果を基に 撤去前及び撤去時の調査結 果と比較できるような現地調査内容を検討した (3) 平成 22 年度 1) 現地調査結果の検討撤去工事中の現地調査結果の検討は 2010 年に現地調査を実施した各項目についてとりまとめた結果を 過去の知見 あるいは 撤去工事前の現況と比較し 工事中の環境への影響について検討した 検討に当っては 過去の知見との差異の確認及び差異がある場合の検討に重点を置いた 2) 撤去工事中の事前評価結果の検証撤去工事中の事前評価結果の検証は とりまとめた現地調査結果に基づき 調査結果の検討結果を参考にしながら 平成 21 年度に実施した撤去中の環境影響の事前評価結果との比較により行った 比較の結果 事前評価内容と差異がみられた場合には その程度について確認し 理由について検討した上で 撤去工事中の事前評価の考え方を再検討した その検討結果は 撤去後の残留影響の事前評価の考え方に反映した 3) 撤去後の残留影響の事前評価撤去後の残留影響の事前評価は平成 21 年度の机上調査の結果に基づき また 撤去時の事前評価の検証結果を参考にして 基本的に撤去時の環境影響評価と同様の方法で実施した 4) 撤去後の現地調査計画の策定海洋掘採施設撤去後の海域環境を把握するための 調査項目及び調査方法を検討し 策定した 調査計画の策定に当たっては 撤去前及び撤去中の調査結果と比較可能となることを念頭において検討した 294

301 (4) 平成 24 年度 1) 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討撤去後の残留影響の事前評価の検証のための基礎作業として 現地調査を実施した各項目について結果の検討を行った 検討は とりまとめた各現地調査結果について 過去の知見 あるいは 撤去工事前 撤去工事直後の現況と比較することにより行った 検討に当っては 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災平成の影響を考慮して行った 2) 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証撤去後の残留影響事前評価結果の検証は 2012 年に実施した現地調査のとりまとめ結果に基づき 平成 22 年度に実施した残留影響の事前評価結果との比較 検討により行った 検証の結果 事前評価内容と差異がみられた場合には その程度について確認し 理由を検討した上で 残留時の事前評価の考え方を再検討した 3) 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討水深 100m を越える大水深海域に設置された海洋掘採施設の撤去工事及び撤去後の残留時の環境影響について 磐城沖海洋掘採施設を事例にしてこれまで実施した事前評価内容 現況調査結果による検証結果などに基づき総合的に評価し 事前評価の適切な考え方 評価の枠組みの検討を行った 検討に当っては これまで実施した撤去時及び残留時の環境影響評価の検討結果をとりまとめ その上で磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の総括を行った さらに モニタリング内容について 基本的な考え方 項目 時期及び期間に関して検討した 4) 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討既存の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討事例を参考にし 海洋掘採施設の撤去の際の鉱害防止の観点から工事に係る海域環境への影響について検討した 事例としたのは水深 100m 以浅の浅海域に設置されていた阿賀沖北海域の海洋掘採施設及び水深 100m 以深の大水深海域に設置されていた磐城沖海洋掘採施設である これらの施設の撤去時の検討結果を参考にし 我が国において海洋掘採施設を撤去する場合に環境保全の観点から留意すべき事項をとりまとめた 5) ガイドラインの考え方の整理これまでの検討結果を基に海洋掘採施設撤去時に配慮すべき環境影響についてのガイドラインの考え方をとりまとめた 295

302 7.4 調査結果 現地調査 (1) 流況観測 1 水温 塩分 ( 実用塩分 ) σt の経時変化 表層の水温は 2008 年調査時よりも 2012 年調査時の方が低い傾向にあったが 中層と底層の水温は 2012 年調査時の方が高い傾向にあった 塩分と σt は いずれの層においても観測期間を通じての変動は小さかった 2008 年調査では 表層の塩分センサーに汚れが付着したために信頼できる観測値を得ることができなかったが 中層および底層の塩分と σt は 2012 年調査とほぼ同程度の値であった 2 流向 流速の経時変化 表層では 2008 年 2012 年ともに概ね同じ流向頻度を示し 2012 年の流速が約 30% 小さい傾向を示した 中層では 両年ともに流速は同等の速さとなり 流向も概ね一致する傾向を示した 底層では 2008 年は南向きの流れが卓越する傾向にあったが 2012 年は全方向で同等の流向頻度を示した 両年ともに 表層や中層と比較して底層の流速は遅いが 全層を通じて S から WSW の流向頻度が高かった 表層は 両年ともに 12 時間周期 (M2) が 中層および底層は 24 時間周期 (K1 O1) が卓越する傾向にあった 恒流成分は 水深が深くなるほど流速が小さくなる傾向を示し その流向は両年ともに全層で南西向きであった (2) 水質調査 2012 年 8 月調査時の水面付近の水温は他の調査時よりも高い傾向にあった 水温と σt の鉛直分布は 2012 年 8 月調査時と 2010 年 7 月調査時では類似していた ph DO COD および TOC は 水深とともに低下する傾向にあり 海洋掘採施設の撤去の前後をとおして 調査間での鉛直分布の差異は小さかった 2008 年からの 5 回の調査をとおして 水の濁りの指標である SS と濁度は 2012 年 8 月調査と撤去直前の 2010 年 4 月調査での値が低かった いずれの調査においても 油分の指標である n-ヘキサン抽出物質量は定量下限値未満 (<0.5mg/L) であった NO3-N PO4-Pおよびクロロフィルaは 夏季の調査間では類似した鉛直分布を示した 本調査海域における栄養塩類の鉛直的な分布状況は いずれの調査においてもNH4-Nが全層を通じて定量下限値未満 (<0.01mg/L) であり NO3-NとPO4-Pは水深とともに増 296

303 加する傾向にあった これらのことから 本調査海域が外洋的な性格を有する海域であることが示唆された (3) 底質調査 1 物性 含有量試験 いずれの調査においても シアン化合物 六価クロム アルキル水銀およびポリ塩化ビフェニルは定量下限値未満であった 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥がほぼ同様の粒度組成 密度および水分量を有していることが示唆された 海洋掘採施設から離れるほど TOC はわずかではあるが高くなる傾向にあったが CODsed IL および乾燥減量は過年度からのいずれの調査でも 海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった 硫化物 カドミウム 鉛 ひ素 銅 総水銀および亜鉛は 過年度調査では海洋掘採施設の近傍で若干高い値がみられる場合もあったが 2012 年調査では海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった 2 溶出試験 いずれの調査においても 亜鉛又はその化合物 と ふっ化物 以外の項目は全ての測点で定量下限値未満であった (4) 生物調査 1 動物プランクトン 2008 年からの 5 回の調査を通じて 出現種類数は 2010 年 7 月調査時が最も多く 2010 年 4 月調査時が最も少なかった いずれの調査においても 節足動物門の種類数が最も多く 出現した動物プランクトンのほとんどが沿岸から外洋域まで広く分布する種類であった 2008 年からの 5 回の調査を通じて 同月の調査では ほぼ同様の個体数が出現した また いずれの調査時でも 動物プランクトンの個体数は水深にともなって減少する傾向にあった 各回調査において 測点間で優占上位 3 種類が大きく異なることはなかった 2 植物プランクトン 2008 年からの 5 回の調査を通じて 出現種類数は 2008 年 8 月調査時が最も多く 2010 年 4 月調査時が最も少なかった また いずれの調査でも種類数は水深とともに少なくなる傾向にあった いずれの調査においても不等毛植物門の種類数が最も多く 出現した植物プランクトン 297

304 のほとんどが沿岸性種であった 夏季に実施した調査間では出現した細胞数に大きな差異はなかった 2008 年からの 5 回の調査を通じて 優占上位 3 種類は調査ごとに大きく異なったが 各回調査における測点間での変化は小さかった 3 魚卵 稚仔魚 2008 年からの 5 回の調査を通じて 魚卵の種類数に大きな変化はなかった 稚仔魚の種類数は 2008 年 8 月調査で多く 2010 年 4 月調査では稚仔魚は出現しなかった 多くの魚種が春季と秋季に産卵期を向かえるため 4 月の時点では稚仔魚の数が少なかったものと推察される 夏季に実施した調査間では 魚卵および稚仔魚の個体数に大きな差異はなかった 4 マクロベントス いずれの調査でも 環形動物門の種類数比率が最も高かった また 調査間で出現種類数および動物門別の種類数に大きな差異はみられなかった いずれの調査でも 環形動物門の個体数比率が最も高かった また 調査間で出現個体数および動物門別の個体数に大きな差異はみられなかった 海洋掘採施設からの距離および方位別の種類数および個体数は いずれの距離および方位においても調査間で大きな差異はなかった 2008 年からの 5 回の調査を通じて 海域全体での湿重量は 2012 年 8 月調査時が最も大きい傾向にあった 2008 年調査では環形動物門 2010 年調査と 2012 年調査では棘皮動物門の湿重量が大きく 海洋掘採施設の撤去の前後で局所的にマクロベントスの総湿重量 1 個体あたりの湿重量が大きく変動した 海洋掘採施設の撤去の前後でマクロベントスの個体数に基づく優占した種類に大きな差異はみられなかった 5 メイオベントス 調査間で出現種類数に大きな差異はなかった また 海洋掘採施設からの距離および方位別の種類数は いずれの調査でも距離に伴う増減傾向はなかった 海洋掘採施設からの距離および方位別の個体数は 2008 年調査では海洋掘採施設に近い地点ほど少なくなる傾向にあったが 2010 年調査と 2012 年調査ではいずれの方向でも距離に伴う増減傾向はみられなかった 2008 年調査に比べて 2010 年調査と 2012 年調査では 広域的に個体数が少なかった このことから 調査間の個体数の差異は年変動の範疇にあるものと推察された いずれの調査でも 線虫綱 ソコミジンコ亜目 有孔虫目の出現数が多かった 298

305 (5) 水中音響調査 DWS 稼働時のみ発生している音として Hz 付近の周波数成分が認められた 音の減衰シミュレーションから これらの周波数成分は DWS の稼働にともない船上で発電機等の何らかの振動を発生する機器によるものと考えられた DWS 稼働時のみ発生する特徴的な周波数成分は検出できなかった このため DWS 本体から発生する騒音は音圧レベルが小さく 音源から約 200m 離れた地点においても 背景雑音に隠れてしまうものと考えられた DWS が発する切断音は その他の工事音と比較し環境への影響が極めて軽微であることが推察できる DWS の停止 / 稼働に関わらず 1kHz~100kHz までの広帯域にわたり連続スペクトル ( 広帯域雑音 ) が発生していた このような特徴を持つ音源としては 船舶のスクリューやスラスターが水中で回転する際に海中をかき混ぜ発生するキャビテーション等が挙げられる DWS の停止 / 稼働に関わらず 21kHz~23.5kHz を 500Hz 間隔で発信時間間隔が 3 秒のピーク 27~28.5kHz を 500Hz 間隔で発信時間間隔が 3 秒のピーク そして 31kHz で発信時間間隔が 3 秒のピークが存在していた これらのピークは 水中音響機器系 ( 作業船の位置保持のためのトランスポンダー ) によるものであった 一般的な海産哺乳類として ハクジラ類の可聴域( 周波数と音圧レベルの関係 ) を例として 工事音による影響について考察した 音響測位機器系の音はハクジラ類に明瞭に聞こえるのではないかと推測されたが その他の工事音についてはハクジラ類への影響は少ないと考えられた (6) 海底地形等調査 調査海域全般は多少の凹凸はあるものの 水深 155m 程度の平坦な地形であることが示された 海洋掘採施設の上部 下部ともに 方向角 80 程度の方向に 6.5m 程度移動していた ( 東北地方太平洋沖地震に伴う地盤の移動と考えられる ) 299

306 7.4.2 机上調査 (1) 平成 20 年度 1) 磐城沖海域の現況 1 現地調査結果の検討 a. 流況 2008 年の流況調査結果では 流向は各期間を通じて概ね南方向に卓越する傾向がみられた 第二管区海上保安本部海上情報部が公開している同期間の海流図でもほぼ同様の結果であった b. 水質水質に関して 当該海域では水温 塩分以外の既往知見がみられない ⅰ) 水温 2008 年 7 月の調査結果では 表層水温は 2006 年の同時期の既存資料に比べて 2~ 2.5 低かった 福島県水産試験場が報告している 2007 年 ~2008 年の福島県沖の海水温の平年偏差によれば 海表面では 2008 年 7 月では平年よりわずかに低く 8 月には平年よりわずかに高い状況であった ⅱ) 塩分 2008 年の塩分調査結果について 調査海域に近い富岡沖のデータと比較すると 7 月 8 月ともに過去の塩分データの変動内にあり 既往の知見から大きく異なるものではなかった c. 底質 ⅰ) 粒径組成 2008 年の底質調査結果のうち粒径組成は 既往の文献と比べると同様の結果であり 細砂が主体の底質であった ⅱ) 有機物質濃度 2008 年の底質調査では化学的酸素要求量 (COD) を測定しているが 既往の COD の知見はみられない なお 有機汚染度を示す全硫化物は 2008 年調査結果では定量下限値未満 (0.01mg/g) であった ⅲ) 金属類 2008 年の底質の金属類の調査結果では 既存資料のある鉛 亜鉛 銅を比較するとほぼ同様の値であった 300

307 d. 生物 2008 年に実施した生物調査は 動 植物プランクトン 卵 稚仔 底生生物 ( マクロベントス メイオベントス ) であるが 動 植物プランクトン 卵 稚仔及びメイオベントスに関しては当該海域における既往知見はみられず 既存資料との比較検討はできなかった マクロベントスの 2008 年調査結果は 既存資料の 2006 年の調査結果と比較すると 種類数 個体数及び湿重量に大きな違いはみられず 環形動物が種類数 個体数ともに多い傾向は同様であった 2 磐城沖海域の特性対象海域は 磐城沖プラットフォーム及びその周辺海域である ( 図 7.3-1) a. 当該海域の概況磐城沖プラットフォームは 福島県の沿岸から東に約 40km 沖合にある 水深は約 150m であり 当該海域の等深線の間隔は沿岸部に比べ広く なだらかな傾斜となっている b. 流況常磐海域ではほぼ年間を通じて犬吠埼近海を東流する黒潮の補流の性質を持つ南下流がみられ ごく沿岸域では沖合南下流の反流の北上流が時々みられる 海洋施設周辺の海面の流れは 0.5 ノット以下の場合が多い c. 水質当該海域の海表面の平均的な水温の年変動は 気温の低下と親潮系冷水の南下により 3 月に 7 台の最低水温が 逆に気温の上昇と黒潮系水の北上により 8 月に 22 台の最高水温が認められる 春季以降の気温上昇期には表層近くに水温躍層が形成される 一般的に東北海区 ( とくに常磐海域 ) の塩分量は水系の相違により異なり 黒潮系水は高く 津軽暖流系水がこれに次ぎ 親潮系水は低い また 当該海域の沿岸域には陸水に起因する沖合域より低塩分の沿岸水が常に存在する 2008 年 7 月 8 月の水質調査結果では 栄養塩類の鉛直的な分布状況は NH4-Nが全層を通じて定量下限値未満であり NO3-NとPO4-Pは水深とともに増加する傾向にあり 本調査海域が外洋的な性格を有する海域であることが示唆された d. 底質当該海域は水深 50m 以浅が砂質 水深 50m~100m 付近までは砂泥質または泥質で 301

308 ある 磐城沖海洋掘採施設周辺は細砂が主体の底質である 底質の有機物質濃度は 全有機炭素 (TOC) で 3~7mg/g である 底質の有害物質等の含有量試験結果では ほとんどが定量下限値未満かあるいは低い値であった e. 生物 ⅰ) プランクトン現地調査により確認された動物プランクトンは 節足動物門の種類数が最も多く ほとんどが沿岸から外洋域まで広く分布する種類であった 現地調査により確認された植物プランクトンは 不等毛植物門の種類数が最も多く 出現した種類のほとんどが沿岸性種で 数種類ではあるが外洋性種も確認された ⅱ) 魚卵 稚仔魚現地調査結果において確認された当該海域の魚卵は カタクチイワシ ウナギ目 不明卵であった 個体数は表層で多かった 現地調査で確認された稚仔魚は 表層ではネズッポ科 カタクチイワシ ハゼ科 底層ではカタクチイワシ ハゼ科 ヒラメ科 ハダカイワシ科が多かった 個体数は 魚卵と同様に表層で多かった ⅲ) 底生生物当該海域のメガロベントスは 2006 年に実施された既存資料 ( 底曳き網調査結果 ) によれば 磐城沖海洋掘採施設近傍では 底生性魚類はアオメエソ 無脊椎動物としては棘皮動物のヒトデ類が多く出現している マクロベントスは 2008 年の現地調査結果及び既存資料によれば 環形動物が優先する海域である メイオベントスは 2008 年の現地調査結果によれば 原生動物 袋形動物門が優占していた f. 生態系福島県沿岸にはアラメ カジメ等の藻場が存在しているが 沿岸部のみであり海洋掘採施設周辺には存在しない また 干潟 サンゴ礁も海洋掘採施設周辺には存在しない 磐城沖プラットフォーム周辺の海域は 水産庁資源回復計画の太平洋北部沖合性カレイ類資源回復計画の保護区となっており 毎年 4 月 1 日から 6 月 30 日まで 資源維持のためヤナギムシガレイとキアンコウの漁獲禁止による保護区となっている 当該海域は海産哺乳類の分布域の一部となっているが 海産哺乳類の分布は広範囲にわたっており 当該海域は一時的な通過海域であると考えられる 302

309 熱水生態系等の生態系の存在は確認されていない g. 海域利用福島県の沿岸域では海水浴場が多く分布するが 海洋掘採施設周辺は沿岸から約 40km 沖合であり海水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用はない また 福島県では海岸を含む県立自然公園は磐城海岸 松川浦 そして勿来の 3 地域あり 海洋掘採施設に最も近いのは磐城海岸県立自然公園である 海洋掘採施設は沿岸から約 40km 沖合であり この海域に海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域はない 当該海域ではカレイ類 アオメエソ マダラ等が主要漁獲対象となっている また 回遊性魚類はマイワシ マサバ サクラマス シロザケ ブリ類が季節的に漁獲されている 沿岸域には法律で指定された航路はなく 沖合に東京湾口 ~ 津軽海峡西口航路がある 海洋掘採施設周辺には海底ケーブルは敷設されていない 海底資源等は磐城沖ガス田が存在するのみである 2) 今後の調査内容の検討平成 20 年度の成果では 海洋掘採施設の撤去前の現況が把握された 以後の調査は まず撤去工事の実施に先立ち 撤去工事の事前環境影響評価を行うことが必要であると考えられる 同時に 撤去時の海域調査内容の検討及び策定を行う 次に 撤去工事実施時 ( 平成 22 年度 ) に工事中の現況把握のための海域調査を実施する この調査結果をもとに 事前評価の検証及び残留による事前評価を行い 工事後の現況把握のための調査計画を検討する 最終年には 撤去工事後の現況把握のための海域調査を行い この結果を基に残留による事前評価の検証及び残留による評価を行う さらに 海洋掘採施設の撤去に係る総合的な環境影響評価を行う 303

310 (2) 平成 21 年度 1) 撤去工事中の環境影響の事前評価海洋掘採施設の撤去工事中の環境影響評価の枠組みを確立するため 事前の予測評価を実施した 事前の予測評価に当たっては 実際に磐城沖石油開発 ( 株 ) で計画されている海洋掘採施設の撤去計画を参考事例として 海洋掘採施設が位置する磐城沖海域の状況に基づいて環境影響要因と環境要素を抽出し 影響評価項目を設定した その上で 工事の実施に伴う影響の程度について予測し 予測結果に基づき事前の環境影響評価を行った 1 撤去工事計画に基づく環境影響要因と環境要素の抽出海洋掘採施設の撤去工事により影響を及ぼすと考えられる環境影響要因を抽出し その影響を受けると考えられる環境要素の抽出をそれぞれ行った a. 環境影響要因の抽出環境影響評価法を参考にして 事業計画の内容から想定される影響要因を検討した ⅰ) 撤去工事の概要海洋掘採施設は上載設備 ジャケット上部 ジャケット下部に区分して撤去を行う 上載設備は 陸上に撤去してスクラップ化し 資源として利用する ジャケットはスカートパイル最上部近辺 (EL.(-)92.5m) の位置で切断し ジャケット上部は撤去後 ジャケット下部に近接して横倒しにして海底面上に残留する なお 同時にジャケット内部のパイプラインも同様に処置する ⅱ) 撤去作業の内容と要因の区分イ. 工事用船舶の航行 / 存在作業の開始から終了まで作業工事船の存在し そのための影響要因が想定される 工事作業船の存在による影響 作業船の排ガス排出 作業船運航による水中騒音発生 他の海域利用への影響 夜間照明 廃棄物の発生 ロ. 事前作業撤去工事に先立つパイプライン等の洗浄による影響が想定される 304

311 洗浄作業時の排水の排出 ハ. 撤去工事 上載設備の撤去 下部設備の撤去の影響が想定される 切断後 下部設備は近傍に横 倒し 残留する ( イ ) 上載設備の撤去 撤去工事に伴う騒音 振動 ( ロ ) 下部構造の撤去 撤去工事 ( 切断 ) による影響 撤去工事による騒音 振動 切断による水中騒音の発生 切断に伴う切り屑の発生等 切断後の仮置き後の横倒しによる海底攪乱 b. 環境要素の抽出環境影響評価法を参考にして 対象地域が海洋であることを考慮した上で環境要素を以下のとおり整理した ⅰ) 大気環境 ( 大気質 騒音 振動 ) ⅱ) 水環境 ( 水質 ) ⅲ) 海底環境 ( 底質 海底地形 ) ⅳ) 流況 ⅴ) 生物環境 ( 海生生物 生態系 ) ⅵ) 人と自然との触れ合いの活動の場 ⅶ) 海域利用 ⅷ) 環境への負荷 ( 温室効果ガス 夜間照明 廃棄物等 ) 2 環境影響評価項目の設定 抽出された環境影響要因と環境要素から 磐城沖海域で撤去工事を実施する際に想定 される環境影響評価項目を検討し設定した ( 表 7.4-1) 305

312 表 海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価項目の選定 環境の自然的構成要素の良好な状態の保持 生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全 二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等 騒音騒音 水中騒音にも配慮する 振動 振動 水の濁り 水質有害物質等による汚れ 粒径組成 底質 有機物質 有害物質等による汚れ 海底地形 海底地形 浚渫の有無に留意する 流況流況 プランクトン 遊泳生物 海産哺乳類等を含む 底生生物 生物環境 脆弱な生態系 生態系 海洋生物の生息にとって重要な海域 特殊な生態系 海洋レクリエーション人と自然との触れ合い 活動の場 海中公園等 漁場 航路 海底ケーブル敷設 海底資源等 温室効果ガス等 船舶からの二酸化炭素 光害 夜間照明 作業船からの廃棄物 廃棄物等 切り屑 注 : 表中の 印は 各影響要因に対する評価対象項目であることを示す 人と自然との豊かな触れ合い 海域利用 環境への負荷 環境要素の区分 大気環境 騒音 振動 水環境 海底環境 大気質 海生生物 影響要因 工事用船舶の航行 / 存在 事前作業パイプライン洗浄等 上載設備の撤去 撤去工事 ジャケットの切断 切断後の移動等 備考 306

313 3 環境影響範囲及び変化の程度の予測並びに予測結果に基づく事前評価 撤去工事に係る環境影響評価は 響評価項目のそれぞれについて以下の手順で行った a. 環境影響範囲及び変化の程度の予測 ⅰ) 環境影響想定海域の検討及び変化の程度の予測対象海域の状況に基づき 工事により影響の及ぶ範囲を検討し 影響が想定される範囲を検討した その上で 各評価項目への影響要因による影響の程度について 類似事例 過去の調査結果等を参考にし あるいは引用する等により予測を行った ⅱ) 想定される影響に関する検討撤去作業時に想定される影響のうち 特に事前に懸念されたものについて検討した イ. パイル等の切断時作業に係る海域環境への影響磐城沖海洋掘採施設では 2 種類の機械的切断方法 ( ダイヤモンドワイヤーソー (Diamond Wire Saw:DWS) 及びアブレッシブジェット (Abrasive Water Jet:AWJ)) を用いる計画である DWSの場合 CUT 社が行っている評価では 他の工法 ( 爆破 AWJ) に比べ 直接的な環境影響はないと評価し 二次的な影響として 駆動装置の回転による海底表面の撹乱による影響が想定されるが この影響は小さい (minor) と評価している AWJによる切断作業では ウォータージェット水の噴出に伴う研磨剤による水質汚濁が主に想定されるが 研磨剤の性状から影響はないと考えられている ロ. 影響検討のためのシミュレーションパイルを海底面下で切断する場合の底泥拡散等による海洋への環境影響が想定され 海底下 6mで浚渫して 20m 程度離れた場所に土砂を仮置きする場合の濁りの発生を想定してシミュレーションを行なった 計算の結果 濁りの分布は周辺の流速が 20cm/sec の場合には 流れの下流方向に 1mg/L 以上の濁りが約 135m 付近まで広がった ハ. 水中騒音に係る検討ジャケットの切断の際の水中騒音についての発生諸元等の具体的なデータはない CUT 社が行ったダイヤモンドワイヤーソーによる影響の検討では Offshoreでの騒音についての評価では その結果は対象外か あるいは影響なし (No Pollution) であった b. 予測結果に基づく事前評価撤去工事による影響要素の変化の程度 及び撤去工事に際し実施される可能性のある緩和措置の情報を入手し 環境影響評価項目について環境影響評価を行う 評価項目ごとの評価の結果を表 にとりまとめた 307

314 表 7.4-2(1) 評価結果 -1 評価項目 評価内容 事前評価結果 ( 1 ) 大気環境 大気質 二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等 海洋施設の撤去に係る作業における大気環境 磐城沖海洋掘採施設と同規模のN. W. Hutton の撤去工事に係る大気への影響については 工事船からの排ガスの排汚染物質の排出量予測を当てはめ 東京電力広野火力発電所の窒素酸出による二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等に化物排出量等を検討した その結果 運転開始が昭和 55 年の既設 1 2 号よる影響を発生源の位置と陸岸の関連を考慮し機 ( 出力 60 万 kw 2) では合計で窒素酸化物約 4,600トン 硫黄酸化物約て検討する 6,800トンであり 平成 16 年に運転開始の5 号機 ( 出力 60 万 kw) ではそれぞれ580トン 770トンであった これらと比較すると N. W. Hutton の撤去工事に係る排出量は 窒素酸化物では出力 60 万 kw 級の旧式の発電所の年間排出量より少ないが 最新式の機器に比べやや多いものとなっている 硫黄酸化物 (N. W. Hutton の排出量では二酸化硫黄であるが ) は 最新式の機器に比べても少ないものであった 工事船はDMA 級燃料油を使用する新造船であり 高効率の作業が期待され 大気への負荷低減に効果的であると考えられる 作業地点は陸地から40km 離れた外洋域であり 当該海域は 夏季には南西の風が卓越し 年間を通じて5~7.5m/sの風が多くなっている そのため 排出された排ガスは速やかに拡散するものと考えられ その負荷は局所的であると考えられる 以上のことから 工事用船舶からの大気汚染物質の負荷はごく局所的なものであり 周辺地域に及ぼす影響は軽微であると考えられる ( 2 ) 騒音 振動 騒騒音音 工事船等による騒音 振動 工事船等による騒音 振動 海洋施設の撤去に係る作業における工事船舶 工事の実施場所は陸地から40km 離れた沖合の海域であり 騒音が陸地等による騒音は 発生源の位置と陸岸の関連をまで到達する可能性は小さい 考慮して検討する 作業船の騒音源の機器の騒音は小さく 杭打設等の大音響を出す作業 振動は対象としないはない ヘリコプターはこれまで海洋掘採施設稼働中に運行していた場合と同様のルートであり 工事中は限られた時間 回数であるため 騒音の発生は一時的なものである 高性能の船舶の使用により効率的に作業を進めることにより 工事期間の短縮を図っており 騒音の発生期間が低減されることになる 以上のことから 工事船による騒音は限定的なものであり その影響は軽微なものであると考えられる 水中騒音 エンジン音による水中騒音については 影響予測事例が少なく 発生実態を把握し 検討する 切断機器による騒音の発生については 機器の特性等から検討する 水中騒音 切断工事では従来使用していた発破を ROV 及びダイヤモンドワイヤーソー アブレッシブウォータージェットによる切断方法とすることにより 水中騒音の発生の低減を図っている 海域ではこれまで多くの工事が実施されており 今回の発生状況もこれまでの多くの工事と同等のものと推定されるが 諸元等が明らかでないため 実際に測定することにより発生量の大きさを把握し 検証することが望ましい ( 3 ) 水環境 水質 1 海水の濁り 評価基準は水産用水基準の負荷量 2ppmを想 ジャケットの切断による濁水の発生はない 定するが パイプラインの洗浄水 切断時の付 切断部位の付着生物の剥離による濁りの発生は 切断位置の状況から着物除去はいずれも発生諸元が不明であり 規考えて軽微なものであると考えられる 模も小さいものと考えられることから 定性的な ジャケット上部の海底面への仮置き後の横倒し時に想定される海底土砂評価を考える の巻き上げによる濁水の発生は シミュレーション結果では横倒しの数分 ジャケット移動横倒し時の濁水発生は底質の後には 場合によっては高濃度の濁りが海底面から80m 程度まで上昇する巻上げを想定して検討する が 発生後 1 時間程度で収束することが予測された 水平的な広がりも 2ppmの発生範囲はジャケットから最大で200m 程度広がることが予測された 予測結果では鉛直的にも水平的にもごく限られた範囲であり 発生時間も短時間であることから 水の濁りの変化は大きいものではないと考えられる 洗浄排水等の排出 ジャケット切断時のパイル 撤去前の準備作業で有害物質 油分を含んだ排水が発生する場合に内の水の流出 パイル切断時にアブレッシブは 陸上処分する計画であること ジャケット切断時のパイル内の水から流ウォータージェットを用いる場合には ウォー出する水質はレグの性状から考えて鉄錆が含まれているのみであること タージェット に含まれる研磨剤により また横倒切断時の ウォータージェット に含まれる研磨剤は毒性が低いこと 周辺 2 有害物質し時の海底巻き上げにより 有害物質が海水中海域の海底土からの有害物質の溶出量は基準値以下であることから 工等による海水に拡散する恐れが考えられる 事に伴う排水 底質の巻き上げ等による有害物質の水環境への影響は軽の汚れ微であると考えられる 308

315 表 (2) 評価結果 -2 評価項目 評価内容 事前評価結果 ( 4 ) 海底環境 ( 5 ) 流況 底質 ⅰ 粒径組成 ⅱ 有機物質 ⅲ 有害物質による汚れ 海底 ⅳ 海底地形地形 ( 6 ) 海生生物 流況 1 プランクトン ジャケット切断時の海底巻上げ 切断ジャケットの移動後の横倒し時の海底撹乱等による海底の物理化学的変化の影響について予測評価する 今回の作業で可能性が大きいのはジャケット移動後の横倒し時の海底土の巻き上げによる変化である 変化の程度の予測及び評価は現状の底質の物理化学的性状に基づいて 定性的に行なう 海洋掘採施設を撤去する場合には それまで 予測結果から 海洋掘採施設の撤去による流況の変化はほとんどないも流れの抵抗となっていた構造物がなくなることかのであり 流況への影響は軽微であるものと考えられる ら流況が変化する可能性が考えられる 施設の性状から構造物の有無による流況の変化について定性的に評価する 濁水の発生等による水環境の変化によるプランクトンの生息への影響を評価する 水の濁り及び有害物質による汚染についての水環境の変化の予測に基づいて行う 変化の程度の予測結果から 底質の粒径組成 底質の有機物質量の濃度 有害物質等の底質への負荷及び海底地形の変化は小さいものと予測されることから 撤去工事に係る海底環境への影響は軽微であるものと考えられる 撤去工事により発生する海水の濁りによるプランクトンの生息海域の環境の変化はごく限られた時間及び範囲であること また 仮置き後の横倒し時の海水の濁りの発生は 場合によっては海底面上 80m まで 平面的にも最大で 200m 程度海底近くを広がると予測されるが 約 1 時間後には濁りは収束することが予測されており 極めて限定された空間で短時間発生するのみである 濁りの発生する範囲は平成 20 年度の調査結果から動 植物プランクトンの生息数が表 中層に比較して少ない底層であることから植物プランクトンの光合成に大きな影響はなく また生息する動物プランクトンに関しても生息環境の変化はごく短時間で限られた範囲であることからこの海域の動 植物プランクトンの生息に大きな影響を及ぼすものではないと考えられる 海底土の巻き上げによる有害物質の負荷による汚染についても変化は小さいものと予測されていることから 撤去工事による動 植物プランクトンの生息環境への影響は軽微であるものと考えられる 生物環境 2 遊泳生物 遊泳生物の生息環境の悪化 水中騒音による影響が予測される場合には遊泳生物への影響が想定されることから それぞれの予結果に基づいて 生息環境の変化の程度を予測する 遊泳生物の生息環境の変化の程度からみて その変化は限定された範囲であり またごく短時間であることから 海洋生物への影響は軽微であると考えられる 3 底生生物 底生生物への影響は 生息環境の悪化の程 底生生物の生息環境の変化の予測 横倒し時の生物の圧殺の予測結果度で評価する すなわち海底環境の影響 海底から見て 底生生物の一部はジャケット上部の横倒し時に影響を受けると付近の濁りの発生の予測結果を元に 底生生考えられるが 当該海域に生息する底生生物全体から見れば ごくわずか物への影響を予測評価する なものであり 底生生物の生態系の連続性に影響を与えるようなものでは 切断したジャケットの移動による生物の圧殺にないと予測される ついても予測評価する メイオベントスも海底の巻上げによる海底撹乱の影響で個体数の減少等の影響を受けると考えられるが 影響は一時的かつ限定された範囲であることから 比較的早い時期に回復するものと予想され 大きな影響はないものと考えられる 以上のことから 底生生物への影響は小さいものであると考えられる 生物環境 ( 7 ) 生態系 ⅰ 脆弱な生態系 ⅱ 海洋生物の生息にとって重要な海域 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとって重要な海域及び特殊な生態系の存在の有無を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する 撤去作業により影響を受ける藻場 干潟 サンゴ群落その他の等の脆弱な生態系は存在していないことから 撤去工事の影響はないものと考えられる 予測結果から考えて 重要な生物種の産卵場又は生育場その他の海生生物の生息又は生育にとって重要な海域の状態が大きく変化することはないものと予測されたことから 海洋掘採施設の撤去による影響は軽微であると考えられる なお 海産哺乳類への影響については 水中音響観測結果により検証することが望ましい ⅲ 特殊な生態系 撤去作業により影響を受ける化学合成生態系その他の特殊な生態系は存在していないことから 撤去工事の影響はないものと考えられる 309

316 表 (3) 評価結果 -3 評価項目 評価内容 事前評価結果 触れ 8 合い活人動との自場然との ( ) ( 9 ) 海域利用 1 海洋レクリエーション ⅱ 海中公園等 ⅰ 漁場 ⅱ 航路 海洋レクリエーションの利用 海中公園等の存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する 当該海域での海域利用の状況を確認した上で 水環境 海底環境 流況の変化 工事範囲から 影響を定性的に予測評価する 撤去作業により影響を受ける水浴場その他の海洋レクリエーションの場としての利用はないことから 撤去工事の影響はないものと考えられる 撤去作業により影響を受ける海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域としての利用はないことから 撤去工事の影響はないものと考えられる 工事区域は漁場の一部に及んでいるが 工事範囲の設定は漁業者と調整済みであること 工事を想定している期間の後半 (7 8 月 ) は底引網漁業の休漁期であること 作業に当たっては警戒船を配置し 安全確保等に努めることから 当該海域の漁業に及ぼす影響は軽微であると考えられる 工事区域には主要な航路はなく 事前に海上保安庁に工事計画書を提出し関係者に事前の通告を行ない海域の利用について周知に努め さらに 警戒船による警戒を行なうことから 仮に漁船等の通行があったとしても 工事による航路利用への影響は軽微であると考えられる ( 1 0 ) 環境への負荷 ⅲ 海底ケーブル敷設 ⅳ 海底資源等 1 温室効果ガスの排出 工事区域には海底ケーブルの敷設はないことから 海域の海底ケーブルの敷設への影響はないものと考えられる 工事区域には自社のガス田掘採にかかる施設以外に海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用はないことから 底資源の探査又は掘削その他の海底の利用への影響はないものと考えられる 撤去工事における工事船 作業機器の稼動に 磐城沖海洋掘採施設と同規模のN. W. Hutton の撤去工事に係る二酸より温室効果ガスである二酸化炭素の排出が想化炭素の排出量予測を当てはめて検討した 沿岸部に立地する東京電力定される 温室効果ガスの排出は地球環境への広野火力発電所 (1-5 号機 380 万 kw) の平成 20 年度の二酸化炭素 (CO2) 影響が想定される の発生量は1,110 万トン ( 販売した電力 熱等に伴う排出量を除く発電所等配分後は43.6 万トン ) である 参考にしたN. W. Huttonの数値は82,000トンであり 発電所の1 年間の排出量と比べると総量では小さな値である さらに 最新の船舶を使用し効率よく作業を進めることで負荷の低減を考えて実施される計画であることから 工事期間中に二酸化炭素の排出はあるものの 限定された期間であることも考え合わせ 影響は軽微であると考えられる 2 夜間照明 作業は 24 時間実施することから夜間照明は必要であり 工事等による夜間照明は 船舶周辺の海面の照度変化が問題となる 撤去工事区域は陸地から 40km 離れた沖合海域であることから 人への健康被害や農. 作物被害等の影響は想定されず 海洋生物の蝟集あるいは 操業される漁業への影響が考えられる 工事に当たっては 先立って漁業者等関係者への事前の通知 調整を行なうことで 漁業への影響は軽微であると考えられる 工事期間中に海生生物の蝟集が起こったとしても工事区域は海洋の限られた範囲であり 工事期間は限定された期間であり 海洋環境への影響は小さいものと考えられるが 光の及ぶ範囲等予測の不確実な部分があることから 工事時にその状況を確認して検証することが必要であると考えられる 3 廃棄物 撤去工事に伴う廃棄物及び一定期間の工事 撤去工事に伴い 撤去した海洋掘採施設施設 工事に伴う生活系廃棄に伴う活動から発生する廃棄物の排出が予測さ物及び産業廃棄物が発生することが予測された 撤去した海洋掘採施設れる 施設は陸上に輸送しスクラップして再利用が図られる 工事に伴い発生する生活系廃棄物及び産業廃棄物はサプライボートにより陸上に輸送し廃棄物として適切に処理される計画である 効率良い作業により工期の短縮化を図っていることにより生活系廃棄物の削減も図れることになり 環境への影響は軽微であると考えられる 4 切断による切り屑 撤去工事に伴う切断等で切り屑が発生する これらは海洋に拡散あるいは堆積することが想定される 切断時の切り屑は海中に落下し 拡散あるいは堆積することが予測されるがこれらは微細であり回収が困難である 鋼材の切り屑は鉄屑であり 海洋環境中に鉄が一時的に増加するが その量は 0.067m 3 であり 工事海域は外洋域であること 鉄は様々な形で自然環境に存在するものであることから 切り屑による海中での増加による影響は軽微であると考えられる 310

317 2) 平成 22 年度現地調査計画の策定平成 22 年度の現地調査計画は撤去直前 撤去中及び撤去直後の 3 回の調査を考えた 具体的調査内容は 平成 20 年度に実施した調査内容と比較し 主に以下の点につき項目及び調査方法の見直しを行った 調査内容の一覧表を表 に示す 1 パイル切断時の水中音響調査の実施を予定する 2 水質の観測は表層 中層 底層の 3 層で観測を実施する 有機物量を表す指標として全有機体炭素量を用いることとし 調査項目に加えた 3 海底環境は全底質分析項目の調査を行う 水質同様 全有機体炭素量を追加した 4 流況の観測は安全上の問題から実施しない 5 動植物プランクトン 魚卵 稚仔魚は 従来同様に実施する 6 底生生物 ( メイオ及びマクロベントス ) は 重要な指標となるため 少なくとも撤去直後の調査を実施する 7 撤去後の海洋掘採施設は設置地点の東方約 60m の地点に横倒しとなる計画であることから サンプリングの確実性や安全性を考慮して 図 に示すA 案及びB 案の 2 通りが考えられたが 流向の卓越する方向及び正反対の方向を比較するためにB 案を選択した N W3 A 案 1000m 500m 200m W2 W1 NE3 NE2 NE1 横倒予定位置 B 案 N3 1000m N2 500m N1 200m NE3 NE2 NE1 横倒予定位置 SW3 SW1 SW2 S1 S2 海洋掘採施設 SW3 SW1 SW2 S1 S2 海洋掘採施設 S3 S3 水質 浮遊生物 魚卵 稚仔魚 :NE1, S1,SW1,W1 底質 底生生物 : 全測点 (12 地点 ) 水質 浮遊生物 魚卵 稚仔魚 : N1,NE1,S1,SW1 底質 底生生物 : 全測点 (12 地点 ) 図 平成 22 年度調査測点 ( 左 :A 案 右 :B 案 ) 311

318 表 平成 20 年度調査項目と平成 22 年度調査項目との比較 調査項目観測 分析項目 H20 年度 ( 測点 層 ) H22 年度 ( 測点 層 ) 1 回目調査 2 回目調査撤去直前撤去中撤去直後 流向 流速 1 点 3 層 42 日間 流況調査水温 塩分 1 点 3 層 42 日間 水中音響周波数 音圧 点 1 層 - 海底地形音波探査 採水位置 水深 4 点 4 点 4 点 - 4 点一気象 海象 気温 4 点 4 点 4 点 - 4 点般水温 塩分 (CTDメーター) 4 点 全層 4 点 全層 4 点 全層 - 4 点 全層項目色相 ( 水色 ) 透明度 4 点 4 点 4 点 - 4 点臭気 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 水素イオン濃度 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 溶存酸素量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 化学的酸素要求量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層採浮遊物質量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層水ノルマルヘキサン抽出物質量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 1 層 - 4 点 1 層 水 濁度 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 質 全有機体炭素 点 3 層 - 4 点 3 層 硝酸態窒素 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 亜硝酸態窒素 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 アンモニア態窒素 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 りん酸態りん 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 クロロフィルa 4 点 3 層 4 点 3 層 4 点 2 層 - 4 点 2 層 採泥位置 水深 12 点 点 一 気象 海象 気温 12 点 点 般 泥温 12 点 点 項 色相 ( 泥色 ) 12 点 点 目 臭気 ( 泥臭 ) 12 点 点 泥状 夾雑物 12 点 点 粒度組成 12 点 点 密度 12 点 点 化学的酸素要求量 12 点 点 硫化物 12 点 点 乾燥減量 12 点 点 強熱減量 12 点 点物ノルマルヘキサン抽出物質量 12 点 点性全有機体炭素 点 含カドミウム 12 点 点有シアン化合物 12 点 点量鉛 12 点 点 六価クロム 12 点 点採試泥験ひ素 12 点 点総水銀 12 点 点 アルキル水銀化合物 12 点 点 ポリ塩化ビフェニル 12 点 点 銅 12 点 点 亜鉛 12 点 点 ふっ素化合物 12 点 点 カドミウム又はその化合物 12 点 点 シアン化合物 12 点 点 有機りん化合物 12 点 点 鉛又はその化合物 12 点 点 溶 六価クロム化合物 12 点 点 出 ひ素又はその化合物 12 点 点 試 水銀又はその化合物 12 点 点 験 アルキル水銀化合物 12 点 点 ポリ塩化ビフェニル 12 点 点 銅又はその化合物 12 点 点 亜鉛又はその化合物 12 点 点 ふっ化物 12 点 点 動物プランクトン 4 点 3 層 4 点 3 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 植物プランクトン 4 点 3 層 4 点 3 層 4 点 2 層 - 4 点 2 層 生物 魚卵 稚仔魚 4 点 2 層 4 点 2 層 4 点 1 層 - 4 点 1 層 マクロベントス 12 点 点 メイオベントス 12 点 点 312

319 3) 残留による影響の事前予測評価の検討海洋掘採施設の撤去後の残留による海域環境への環境影響評価の枠組みを確立するため 事前予測評価について検討した 検討に当たっては 撤去工事時の事前評価と同様に考えた 1 撤去後の状況に基づく環境影響要因と環境要素の抽出海洋掘採施設の撤去工事後の措置は 上載設備は陸上への撤去 残りのジャケット部は海域への残留である 残留に当たっては ジャケットをスカートパイル最上部近辺 (EL.(-)92.5m) の位置で切断し ジャケット上部は撤去後ジャケット下部に近接して横倒しにして海底面上に ジャケット下部はその場に それぞれ残留する計画である 海洋掘採施設の残留による環境影響要因について 残留する海洋掘採施設は 既に生産活動を終えた施設であり生産活動を行なうわけではないため 海洋掘採施設の残留に当たって発生する環境への影響要因は 残留する施設の存在によるものであり 施設そのものから何らかの物質が排出される場合及び施設の存在そのものが環境影響要因になるものと考えられる 環境要素は 撤去工事中の事前評価の場合と同様に考え 同様のものとした ただし 海洋掘採施設の残留では生産活動等は行なわずそこに存在するのみ という状況を勘案すると 大気環境への影響及び残留する海洋施設からの温室効果ガス等の環境への負荷の要素は除外できるものと考えた その結果 対象となる環境要素は以下のとおりとなった a. 大気環境 ( 大気質 騒音 振動 ) 対象としない b. 水環境 ( 水質 ) c. 海底環境 ( 底質 海底地形 ) d. 流況 e. 生物環境 ( 海生生物 生態系 ) f. 人と自然との触れ合いの活動の場 g. 海域利用 h. 環境への負荷 ( 温室効果ガス 夜間照明 廃棄物等 ) 対象としない 2 環境影響評価項目の設定影響要因と環境要素から 残留する際に想定される評価項目を設定した 海洋掘採施設の残留は 海防法に定める海洋施設の廃棄にほぼ同様の状況であり 廃棄物の海洋投入処分の許可申請のために定められた 海防法 に基づく告示に定められている事前評価項目を含むものとなっている ( 表 7.4-4) 313

320 表 海洋掘採施設残留に係る環境影響評価項目の選定 環境要素の区分 影響要因 近傍に移動して残留 ( ジャケット上部 ) 施設の存在 その場に残留 ( ジャケット下部 ) 備考 大気環境 大気質 二酸化窒素 - - 二酸化硫黄 - - 粉じん等 - - 環境の自然的構成要素 の良好な状態の保持 騒音 振動 水環境 生物の多様性の確保及び自然環境生物環境の体系的保全 騒音 騒音 - - 振動 振動 - - 水質 * 水の濁り 移動の有無による * 有害物質等による汚れ * 粒径組成 底質 * 有機物質 海底環境 * 有害物質等による汚れ 海底地形 * 海底地形 流況 流況 プランクトン 海生生物 生態系 人と自然と人と自然との触れ合いの豊かな触活動の場れ合い 海域利用 温室効果ガス等 光害環境への負荷廃棄物等 遊泳生物 海産哺乳類等を含む * 底生生物 付着生物を含む * 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとっ * て重要な海域 * 特殊な生態系 * 海洋レクリエーション * 海中公園等 * 漁場 * 航路 * 海底ケーブル敷設 * 海底資源等 船舶からの二酸化炭素 - - 夜間照明 - - 作業船からの廃棄物 - - 切り屑 - - 注 :1. 表中の 印は 各影響要因に対する評価対象項目であることを示す 2. 環境要素の区分の右の欄の * 印の項目は 海防法に定める海洋施設の廃棄申請の事前評価の対象項目である 314

321 3 環境影響範囲及び変化の程度の予測並びに予測結果に基づく事前評価海洋掘採施設の残留による事前環境影響評価の実施の考え方について検討した 事前評価は 想定される影響について設定した環境影響評価項目のそれぞれについて 以下の手順で事前環境影響評価を行なう a. 環境影響範囲及び変化の程度の予測海洋掘採施設の残留による環境影響の範囲を想定し その範囲における環境要素の変化の程度を予測する 予測の方法は 類似事例 過去の調査結果等を参考にし 或いは引用して行う b. 予測結果に基づく事前評価撤去工事時の環境影響評価と同様の考え方で 残留による影響要素の変化の程度 及び撤去工事に際し実施される可能性のある緩和措置の情報を入手し 各評価項目について環境影響評価を行う なお 評価は 撤去工事中の事前評価の検証を行なった後に実施する 4) 残留影響の現地調査内容の検討残留後の現地調査は 残留影響の有無や程度について評価することを目的として 基本的には平成 22 年度の撤去工事中の調査内容を踏襲し 比較しやすいデータの取得を考えて検討した 平成 22 年度調査内容との見直し点は以下のとおりである 1 残留時の調査は工事が行われないため 水中の騒音観測を実施しない 2 水環境は 平成 22 年度と同様の調査を1 回実施する 3 海底環境のうち底質については 撤去直後と同様に人為的汚染物質や海底かく乱による環境への影響を検証するために実施する 4 残留時の現地調査には 音波探査もしくは海底画像の撮影により海底地形のデータ取得を検討することが望ましい 5 流況は 海洋設備の有無による流況の変化確認のため実施する 6 動植物プランクトン及び魚卵 稚仔魚は年変動等の環境を把握する上で重要であり 継続して実施する マクロベントス及びメイオベントスについても継続して調査を実施する 315

322 (3) 平成 22 年度 1) 現地調査結果の検討 1 気象概況気象庁の報道発表資料によれば 2010 年夏季の平均気温は 北日本と東日本は 1946 年以降で最も高く 夏季 (6~8 月 ) の平均気温平年差は 福島地方では 1.5 度以上高い傾向がみられている 2 流況第二管区海上保安本部海洋情報部の調査結果では 2010 年 7~8 月の結果は 当該海域周辺の海域では南向きの流れがみられていることから 当該海域も流れの大きさは小さいものの南向きの傾向があるものと推測され 例年同様の状況と考えられた 3 水質 a. 水温 塩分 2010 年調査と 2008 年調査の同時期の結果を比較すると 水温は 表層付近では 2010 年では 2008 年調査時より 5 程度高いが 躍層以深ではほぼ同程度の値を示している 塩分は 躍層付近の鉛直分布傾向が異なるが そこ以外ではほぼ同傾向を示している 表層の高水温は 塩分が過去の結果と差がないことから気温によるものではないかと考えられた 塩分濃度の違いは 当該海域の流況の特色による海域の変動と考えられることから 水温 塩分の違いは海洋施設の撤去工事に関わるものではないと考えられた b. 水質項目 2010 年の各水質項目の調査結果は 2008 年の同時期の調査結果と比較すると 全ての項目でほぼ同様の傾向であった 4 底質 a. 中央粒径 密度 2010 年の現地調査結果では 底質の中央粒径 密度は 海洋掘採施設からの距離に関わらずほぼ一様であり 2008 年調査時と同様の分布傾向で変化は認められなかった b. 有機物等 2010 年の調査結果では硫化物が南西方向 (SW)200m 地点で高い傾向を示し 2008 年の結果と比較して特徴的であった 当該海域は流れが南向きの傾向が見られ 撤去時に底質の巻上げが発生すると その下流側の南方向に影響が及ぶことは事前予測の際に検討されており この硫化物の結果はその可能性も考えられた 316

323 c. 金属類等 ( 含有量 ) 2010 年の調査結果では南西 (SW) 方向の各調査点のヒ素及び南西方向の 200m 地点の鉛 銅 亜鉛が高い傾向がみられ 2008 年の結果と比較して特徴的であった 南西方向の 200m 地点で他と比較して高い値がみられた項目については 前項の有機物等でみられた硫化物の結果同様 海底の巻上げ等による可能性も考えられた d. 金属類等 ( 溶出量 ) 2010 年の調査結果を 2008 年の調査結果と比較すると 亜鉛が各調査点で高い傾向が見られ ふっ化物は南西方向の 200m でわずかに高い傾向がみられたが いずれも低い値であり 明瞭な差の有無 要因等については今後の検討する必要がある 5 海生生物 a. 動 植物プランクトン 2010 年の動物プランクトンの調査結果は 2008 年の同時期の調査結果と同様の傾向を示していることから大きな違いはないものと考えられた 植物プランクトンでは種類数 細胞数が少なく 優占種は珪藻類がみられず 2008 年の結果と傾向が異なっていた これは 水質調査結果で水温が異なっており 躍層付近の塩分の状態から水塊構造の違いも想定されたことから この変化は自然変動によるものと考えられた b. 魚卵 稚仔魚 2010 年の魚卵 稚仔魚の調査結果は 2008 年の同時期の調査結果と比較すると 調 査点によるばらつきはみられるが 全体量としては同様の傾向と考えられた c. ベントスマクロベントスの 2010 年の調査結果は 2008 年調査結果と比較すると 種類数 個体数ともに大きな違いはみられず ほぼ同様であると考えられた メイオベントスの 2010 年の調査結果は 2008 年調査結果と比較すると各調査点ともに個体数少ない傾向がみられた 特定の調査点の差ではないことから 当該海域での自然変動の可能性も考えられるが 今後の現地調査結果等による検討が必要である 6 音響調査海洋施設の撤去工事中の音響調査結果では 海中音の実測値から確認できた音は 船舶の推進機関音 切断機稼働中に発生する微弱な音 一定間隔で発生する水中音響機器系の音であった 切断機稼働中に発生する微弱な音はその発生源の推定結果から 切断機器そのものではなく 船上の動力機関の可能性が考えられた この調査結果からみて 海中の切断機そのものからの発生音は極めて小さいものであ 317

324 ると考えられた 2) 撤去工事中の事前評価結果の検証平成 21 年度に 海洋掘採施設環境影響調査 において実施された撤去工事中の事前評価結果について 撤去工事中の現地調査結果等から 事前予測 評価についてその内容を検証し 評価の枠組みの再確認を行なった 1 検証の方法検証は 撤去工事中の現地調査を実施した各項目について その結果を撤去前の現状と比較し その結果に基づき事前評価結果との差異について確認し さらに工事の実施状況に関連する周辺環境状況等について関係者に聞き取りを行い その結果に基づき 定性的な現況把握を行なった 2 検証結果事前評価の検証では 全ての項目で影響は軽微である という事前評価結果内容に合致した結果であった しかし 予測 評価の過程で 内容に違いがみられるものなどが確認できた 具体的には次のような項目である a. 予測内容が違っていたもの 排出ガスによる負荷に関連する項目類似事例として参照した事例に比べ 検証した今回の磐城沖の事例では 小さなものであった これは工事船舶の規模 工事の期間が違っていたことが原因であると考えられ 今後 他事例から類推する場合は 同規模の施設であっても 工事内容をよく確認した上で類推することが必要である b. 現地調査等による検証を待って評価できたもの 水中音響 夜間照明これらの項目は 参考にできる事例がなかったことから 現地調査 工事中の状況確認により検証した 検証結果は事前の定性評価通りであった 今後 事前の情報のない場合は 監視調査による確認が必要である c. 今後の調査結果を待つ必要があるもの 流況工事中の確認をしていないので 残留時の確認によって検証する 底生生物 ( メイオベントス ) 318

325 海域全体で変化がみられたが 現時点では原因の判断は困難であった 今後の 残留時のデータの確認によって検証することが必要である 今回の検証により 事前評価内容 考え方については ほぼ妥当であったと判断できた ただし 現時点では予測内容の差異 変化の状況が確認しきれなかった項目等もあり これらは事前の情報確認の程度の違いもその一因と考えられることから この点について 今後対処方法について検討していく必要があると考えられた 4 撤去後の残留影響の事前評価の考え方への反映撤去工事中の事前評価の検証結果において 事前評価の内容を再確認する必要があった項目のうち 残留影響の事前評価においても対象となる項目は 流況及び底生生物である これらの再確認の内容は 情報不足ということから 残留時の現地調査結果を確認した上で再度評価を行うことである 既存文献 他地点事例等の資料を参照することが有効であると考えられるが これらは評価の枠組みに直接関係するものではないことから 今回の検証結果から残留影響の評価の枠組みへ反映する項目で該当するものはないと考えた 3) 撤去後の残留影響の事前評価海洋掘採施設の撤去後の残留による環境影響評価の枠組みを確立するため 事前の予測評価を実施した 平成 21 年度に実施された 海洋掘採施設環境影響評価 において 環境影響評価項目が設定され 事前評価実施の手順について検討が行われている この成果に基づき また 撤去時の事前評価の検証結果を参考にしながら 残留後に影響が想定される範囲及び影響の程度について予測し 影響評価を行った 1 海洋掘採施設の残留計画に基づく影響要因と環境要素の確認 a. 磐城沖石油開発株式会社海洋掘採施設の残留の概要磐城沖石油開発 の海洋掘採施設は 平成 22 年 5 月より撤去工事が始まり 同年 7 月には撤去が終了した 撤去は計画通り実施され ジャケット上部は近傍海域に横倒しにされ ジャケット下部はその場に残置され海域に残留することになった b. 影響要因の確認残留する海洋掘採施設は 既に生産活動を終えた施設であり 残留後 何らの活動を行なうわけではない そのため 環境への影響要因は残留する施設の存在によるものであり 影響要因を整理すると次のとおりである 319

326 残留施設の性状施設からの化学物質等の負荷の可能性 水環境 海底環境への影響 残留施設の存在これまで存在しなかったものが存在することになる 流況への影響 生物の生息基盤の増加 ( 付着生物 遊泳生物 ) 海底への有機物質の付加 海生生物 生態系への影響 海域利用への影響 残留施設の状態移動等がある場合 水環境 海底環境への影響 海生生物 ( 底生生物 ) への影響 c. 環境要素の確認残留影響を検討する際の環境要素は下記の項目である ⅰ) 水環境 : 水質 ⅱ) 海底環境 : 底質 海底地形 ⅲ) 流況 ⅳ) 生物環境 : 海生生物 生態系 ⅴ) 人と自然との触れ合いの活動の場 ⅵ) 海域利用 2 影響評価項目の設定環境影響評価項目の設定に当たっては 環境要因の確認結果に基づき 平成 21 年度に検討した際の 施設の存在 を 施設からの負荷 施設の存在 及び 施設の状態 に区分して検討した その上で要因ごとに影響が想定される項目を検討した ( 表 7.4-5) 320

327 表 海洋掘採施設残留に係る影響評価項目の設定 環境要素の区分 影響要因 施設からの負荷 横倒して残留 ( ジャケット上部 ) その場に残留 ( ジャケット下部 ) 施設の存在 横倒して残留 ( ジャケット上部 ) その場に残留 ( ジャケット下部 ) 施設の状態 横倒して残留 ( ジャケット上部 ) その場に残留 ( ジャケット下部 ) 備考 大気環境 大気質 二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等 騒音 振動環境の自然的構成要素の良好な状水環境態の保持 生物の多様性の確保及び自然環境生物環境の体系的保全 海域利用 光害環境への負荷廃棄物等 騒音 騒音 振動 振動 水質 * 水の濁り - - 移動の有無による * 有害物質等による汚れ * 粒径組成 - - 底質 * 有機物質 海底環境 * 有害物質等による汚れ 海底地形 * 海底地形 - - 流況 流況 プランクトン - - 人と自然と人と自然との触れ合いの豊かな触活動の場れ合い 温室効果ガス等 海生生物 生態系 遊泳生物 - - 海産哺乳類等を含む * 底生生物 付着生物を含む * 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとっ * て重要な海域 * 特殊な生態系 * 海洋レクリエーション - - * 海中公園等 - - * 漁場 - - * 航路 - - * 海底ケーブル敷設 - - * 海底資源等 - - 船舶からの二酸化炭素 夜間照明 作業船からの廃棄物 切り屑 注 :1. 表中の 印は 各影響要因に対する評価対象項目であることを示す 2. 環境要素の区分の右の欄の * 印の項目は 海防法に定める海洋施設の廃棄申請の事前評価の対象項目である 321

328 3 環境影響範囲及び変化の程度の予測並びに予測結果に基づく事前評価海洋掘採施設の残留による事前環境影響評価は 施設の残留に伴い想定される環境影響評価項目のそれぞれについて 以下の手順で実施した a. 環境影響範囲及び変化の程度の予測を行う b. 環境の変化の程度と緩和措置から影響の程度について評価する a. 環境影響範囲及び変化の程度の予測 ⅰ) 海洋掘採施設残留時の影響範囲の検討対象海域の水深 流況等の状況に基づき 残留による影響の及ぶ範囲を検討し 影響が想定される海域の範囲を検討した なお 海防法に基づく海洋施設の廃棄許可申請に伴う事前評価の実施の際の影響想定海域の考え方も参考にした ⅱ) 影響範囲における環境要素の変化の程度の予測各環境影響評価項目について 影響要因の影響の程度について海洋掘採施設の残留の状況から検討し その結果生じる変化の程度 変化の及ぶ範囲を予測した 予測の方法は 類似事例 過去の調査結果等を参考にし あるいは引用して行った 特に 施設の設置以降 施設の存在により生じた事象について確認し 将来の変化について予測した b. 予測結果に基づく事前評価施設の残留による影響要素の変化の程度及び残留の際に施された緩和措置の情報を入手し 環境影響評価項目について影響評価を行った ⅰ) 環境影響の程度の確認予測した変化の程度 及ぶ範囲に基づいて 各環境影響評価項目について環境影響の程度を検討した ⅱ) 残留時の緩和措置の確認工事実施時に計画される可能性のある緩和措置によって 事前に想定される環境影響が軽減されることから 事前評価に当たっては 緩和措置の情報を入手しとりまとめた ⅲ) 環境影響評価各評価項目について 影響の程度及び緩和措置を基に環境影響評価を行った 評価項目ごとに環境影響範囲及び変化の程度の予測並びに予測結果に基づく事前評価の結果を表 にとりまとめた 322

329 表 7.4-6(1) 残留時の評価結果 -1 評価項目 評価内容 事前評価結果 ( 1 ) 水環境 水質 1 海水の濁り 残留した海洋掘採施設により海底付近の流況が変化し 海底土の巻上げが発生する場合 あるいは残留する施設が海底で波浪等により移動することがある場合には海底の状態によっては 海底土が巻き上げられて濁りが発生する可能性が考えられる そのため 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から検討する 残留した海洋掘採施設から海水中に溶出する有害物質の有無について検討することが必要である 特に殺生物性の有害物質が含まれる塗料を使用している場合には必須 2 有害物質である 等による海水 波浪等により移動し 海底土の巻き上げのの汚れ 可能性がある場合は 海底土の有害物質による影響も考慮することが必要 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から予測評価することが必要 その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底付近に濁りを生じる可能性は小さく 影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海底付近の流れにより移動する可能性は小さく それに伴って海底付近に濁りを発生させる可能性は小さいものと考えられた また 横倒して残留する施設が移動の可能性が小さいことから その存在による変化はその場に残留する施設と同様であると考えられ 施設の存在により海底付近に濁りを生じる可能性は小さいと考えられる 以上のことから 横倒して残留する施設についても 濁りに関する影響は軽微であると考えられた 残留する施設の性状から考えて 施設から有害物質等が海水に付加する可能性は小さいものと考えられる また 施設による海底の巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可能性も小さいことが予測されることから その場に残留する施設による有害物質等による海水の汚染の影響は軽微であると考えられた ( 2 ) 海底環境 底 ⅰ 粒径組成質 残留した海洋掘採施設により海底付近の流況変化が起こる場合には底質の粒径組成が変化する可能性が考えられる そのため 流況の変化と同時に底質の粒径組成の変化の可能性の有無を検討する 残留する施設の性状 残留場所となる海底の状況から予測評価する その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底撹乱を生じ 広範囲の粒径組成の変化が生じる可能性は小さく 残留による影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海底付近の流れにより移動する可能性は小さく それに伴って海底撹乱を生じ 粒径組成の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた また 横倒して残留する施設が移動の可能性が小さいことから その存在による変化はその場に残留する施設と同様であると考えられ 施設の存在により粒径組成の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた 以上のことから 横倒して残留する施設についても 粒径組成に関する影響は軽微であると考えられた ⅱ 有機物質 残留した海洋掘採施設に新たに付着する生物に起因する有機物質の増加について検討する 海洋掘採施設により海底付近の流況変化が起こる場合には同時に底質の撹乱が起こる可能性が考えられ 海底の有機物質の変化について検討する その場に残留 施設の設置以後の状況からみて 施設の存在により海底撹乱を生じ 広範囲の有機物質量の変化が生じる可能性は小さく 残留による影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設が海底付近の流れにより移動する可能性 また 存在することに伴い海底撹乱を生じ 有機物質量の変化が生じる可能性は小さいものと考えられた 横倒し前にジャケットに付着していた生物の死亡 脱落等による海底への落下に伴い 施設周辺のごく近傍の海底の有機物質量を増加させる可能性が予測されたが その変化の範囲は 撤去前のプラットフォームの海底の状況から類推して 200m 以内の範囲と予測されることから 海域の広い範囲を変化させるものではないと考えられ 残留による当該海域への影響は軽微であると考えられた 残留した海洋掘採施設から発生する有害物質等による海底への負荷について検討 特に殺生物性の有害物質が含まれる塗料を使用している場合には必須 ⅲ 有害物質 残留した海洋掘採施設が移動し海底撹乱による汚れを起こした場合には 浮遊した土砂の再堆積等による海底土砂からの影響について検討する その場に残留する施設及び横倒しして残留する施設は ともにその性状から考えて 施設から有害物質等が海底に付加する可能性は小さいものと考えられ 残留による影響は軽微であると考えられた 323

330 表 (2) 残留時の評価結果 -2 評価項目評価内容事前評価結果 ( 2 ) 海底環境 海底 ⅳ 海底地形地形 新たに海底に残留する場合には 残留した海洋掘採施設そのものによる海底地形の変化を検討する 残留した海洋掘採施設による流況変化及び波浪等による施設の移動による海底撹乱に伴う海底地形の変化についても検討する その場に残留 施設の設置以降 施設の存在による海底の変化はジャケット海底面付近で局所的に洗掘が生じているのみであり 施設の設置以降の状況から考えて残留後も同様の状況であることが予測されることから 施設の残留による海底地形への影響は軽微であると考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設は海底にわずかではあるが凸部を生じさせるという変化をもたらすが その範囲は最大で 100m であり 海洋においては限定された狭い範囲であり 今後それが増大することも考えられないことから 海底地形への影響は軽微であると考えられた また 存在する施設の海底付近での洗掘による海底地形への影響についてもその場に残留する施設同様 影響は軽微であると考えられた ( 3 ) 流況 流況 海域に海洋掘採施設が残留し存在する場 その場に残留 合には 新たな海底付近の流れの障害物と 施設の設置以降 施設の存在によって周辺海域の流況に変化が生じたとなることが考えられ 流況が変化する可能性いう事例は見られていないことから 残留することにより当該海域の流況が変が考えられる 残留をする施設の構造を考慮化することはないものと予測されることから 流況への影響は軽微であると考したうえで検討する えられた 横倒して残留 施設を横倒して残留することにより 海底に凸部が生じることになり 施設周辺の限られた範囲の流況が変化することが想定されるが 既存の海洋掘採施設の設置以降の状況に鑑み 海域全体の流況を変化させるものではないと予測されることから 海域の流況への影響は軽微であると考えられた プランクトンの生息環境である水環境が変 4 1 プランクト化する場合には植物プランクトン 動物プランンクトンへの影響を予測評価する ( ) 施設の残留によりプランクトンの生息環境の変化の可能性は小さいことが予測されることから 残留による影響は軽微であると考えられる 生物環境 海生生物 2 遊泳生物 3 底生生物 水環境への影響が予測される場合 あるいは海洋掘採施設の存在そのものにより遊泳生物への影響が考えられる場合には 影響 を予測評価する 対象は 遊泳魚類 海産哺乳類 ウミガメ等である その場に残留 残留前の施設周辺の遊泳魚類相が一部変化する可能性は考えられるが 残留部分周辺の生物は残留前と同様の状態が継続し 大きな変化はないも のと考えられた 横倒して残留 横倒して残留する施設には 残留前の平坦な海底であった場合とは違った魚類相が形成されるような変化が予測されるが 横倒しする場所がその場に残留する施設の近傍であることから 残留される施設周辺に形成される魚類相は 従来から近傍の既存の施設周辺に生息する魚類等と同様と考えられる この変化は 環境への影響という観点からは軽微なものと考えられる 海底環境への影響が予測される場合は 海 その場に残留 底環境の変化の予測結果を元に 底生生物 施設の残留により 底生生物に変化が生じる可能性は小さいものと予測さへの影響を予測評価する れ また 付着生物についても 従来の状態から大きく変化することはないも 残留した海洋掘採施設への付着生物につのと予測されたことから 施設の残留による付着生物及び底生生物への影響いても検討する は軽微であると考えられる 横倒して残留 横倒して残留する施設により 新たな付着生物の基盤が出来 また そこから供給される有機物により海底の局所的な底生生物層が変化することが考えられる しかしながら 撤去前の底生生物調査結果からもわかるように 施設の周辺の生物相に大きな変化が見られないことから 施設の残留による生物相の変化は局所的なものであり 海域の広い範囲に及ぶものではないものと考えられ 環境への影響という観点からは影響は軽微と考えられる 324

331 表 (3) 残留時の評価結果 -3 評価項目 評価内容 事前評価結果 ( 5 ) 生態系 脆弱な生態系 海洋生物の生息にとって重 残留する海洋掘採施設の近傍には影響を受ける藻場 干潟 サンゴ群落そ要な海域及び特殊な生態系の存在の有無をの他の等の脆弱な生態系は存在していないことから 残留による影響はない ⅰ 脆弱な生確認した上で 水環境 海底環境 流況の変ものと考えられる 態系化の程度から 対象となるものの変化を定性的に予測評価する その場に残留 残留する施設は 1983 年の設置以降 保護区あるいは海産哺乳類の生息海域の環境に特段の問題を生じていない そのため 施設の残留によるこれら重要な海域への影響は軽微であると考えられる 生物環境 ⅱ 海洋生物の生息にとって重要な海域 横倒して残留 横倒して残留する施設は 海域での新たな存在として 海底に存在し続けることになるが 存在する状態は 既存の海洋掘採施設等がこれまで魚礁に転用された場合と同様の形態である 当海洋掘採施設 あるいは魚礁に転用された他地点事例からは この存在によって周辺環境への特段の影響が生じたという事実は見られていないことから これらの重要な海域への影響は軽微であると考える ⅲ 特殊な生態系 残留する海洋掘採施設近傍には影響を受ける化学合成生態系その他の特殊な生態系は存在していないことから 残留による影響はないものと考えられる い活 6 動の場人と自然との触れ合 ( ) ( 7 ) 1 海洋レクリエーション ⅱ 海中公園等 ⅰ 漁場 海洋レクリエーションの利用 海中公園等の 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海水浴場その他の海洋レクリエー存在の有無と 水環境 海底環境 流況の変ションの場としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えら化の程度から 対象となるものの変化を定性れる 的に予測評価する 海洋掘採施設の残留により影響を受ける海中公園その他の自然環境の保全を目的として設定された区域としての利用はないことから 残留による影響はないものと考えられる 当該海域での海域利用の状況を確認した 海洋掘採施設を残留する場所は漁場の一部に及んでいるが 残留につい上で 水環境 海底環境 流況の変化 施設ては地元漁業者と調整済みであること 残留後は保安部への届けにより海図の残留の状態から 影響を定性的に予測評にその存在が記載されることから 当該海域の漁業に及ぼす影響は軽微で価する あると考えられる 海域利用 ⅱ 航路 ⅲ 海底ケーブル敷設 ⅳ 海底資源等 残留する海洋掘採施設近傍には主要な航路はなく また 残留する海洋掘採施設は海面までの水深を 90m 以上確保し IMO のクリアランス基準 (55m) を担保していることから 仮に漁船等の通行があったとしても 航路利用への影響はないものと考えられる 海洋掘採施設の残留場所近傍には海底ケーブルの敷設はないことから 海域の海底ケーブルへの影響はないものと考えられる 海洋掘採施設の残留場所には 現在海底資源の探査又は掘削その他の海底の利用はないことから 底資源の探査又は掘削その他の海底の利用への影響はないものと考えられる 325

332 4) 撤去後の現地調査計画の策定撤去後の現地調査地点は 横倒しされた海洋掘採施設の近隣を避けるため 平成 22 年度の撤去直後調査 (7 月調査 ) と同様とした 過年度調査項目と撤去後調査時の項目との比較を表 に示した 平成 22 年度と比較した場合 工事に伴う騒音が発生しないため 水中音響調査を廃止した また 長期係留が必要なため 工事中は安全上の理由から観測不可能であった流向流速の観測を実施し 平成 20 年度データとの比較を行う 海底地形の確認に関しては 磐城沖石油開発株式会社が平成 22 年度の撤去完了後に ROV 及びサイドスキャンソナーを利用した海底観察の情報を取得している このため 撤去後の現地調査時にはこれらのデータを利用して撤去直後の海底地形について確認を行う その他の観測項目は全て平成 22 年度と同様である 326

333 表 過年度調査項目と撤去後現地調査項目との比較 調査項目観測 分析項目 H20 年度 ( 測点 層 ) H22 年度 ( 測点 層 ) H23 年度 1 回目調査 2 回目調査撤去直前撤去中撤去直後 ( 測点 層 ) 流向 流速 1 点 3 層 42 日間 点 3 層 30 流況調査水温 塩分 1 点 3 層 42 日間 日間 水中音響周波数 音圧 点 1 層 - - 採水位置 水深 4 点 4 点 4 点 - 4 点 4 点一気象 海象 気温 4 点 4 点 4 点 - 4 点 4 点般水温 塩分 (CTDメーター) 4 点 全層 4 点 全層 4 点 全層 - 4 点 全層 4 点 全層項色相 ( 水色 ) 透明度 4 点 4 目点 4 点 - 4 点 4 点臭気 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層 水素イオン濃度 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層 溶存酸素量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層 化学的酸素要求量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層採浮遊物質量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層水ノルマルヘキサン抽出物質量 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 1 層 - 4 点 1 層 4 点 1 層 水 濁度 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層 質 全有機体炭素 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層 硝酸態窒素 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層 亜硝酸態窒素 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層 アンモニア態窒素 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層 りん酸態りん 4 点 6 層 4 点 6 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層 クロロフィルa 4 点 3 層 4 点 3 層 4 点 2 層 - 4 点 2 層 4 点 2 層 採泥位置 水深 12 点 点 12 点 一 気象 海象 気温 12 点 点 12 点 般 泥温 12 点 点 12 点 項 色相 ( 泥色 ) 12 点 点 12 点 目 臭気 ( 泥臭 ) 12 点 点 12 点 泥状 夾雑物 12 点 点 12 点 粒度組成 12 点 点 12 点 密度 12 点 点 12 点 化学的酸素要求量 12 点 点 12 点 硫化物 12 点 点 12 点 乾燥減量 12 点 点 12 点 強熱減量 12 点 点 12 点物ノルマルヘキサン抽出物質量 12 点 点 12 点性全有機体炭素 点 12 点 カドミウム 12 点 - - 含 - 12 点 12 点有シアン化合物 12 点 点 12 点量鉛 12 点 点 12 点 六価クロム 12 点 点 12 点採試泥験ひ素 12 点 点 12 点総水銀 12 点 点 12 点 アルキル水銀化合物 12 点 点 12 点 ポリ塩化ビフェニル 12 点 点 12 点 銅 12 点 点 12 点 亜鉛 12 点 点 12 点 ふっ素化合物 12 点 点 12 点 カドミウム又はその化合物 12 点 点 12 点 シアン化合物 12 点 点 12 点 有機りん化合物 12 点 点 12 点 鉛又はその化合物 12 点 点 12 点 溶 六価クロム化合物 12 点 点 12 点 出 ひ素又はその化合物 12 点 点 12 点 試 水銀又はその化合物 12 点 点 12 点 験 アルキル水銀化合物 12 点 点 12 点 ポリ塩化ビフェニル 12 点 点 12 点 銅又はその化合物 12 点 点 12 点 亜鉛又はその化合物 12 点 点 12 点 ふっ化物 12 点 点 12 点 動物プランクトン 4 点 3 層 4 点 3 層 4 点 3 層 - 4 点 3 層 4 点 3 層 植物プランクトン 4 点 3 層 4 点 3 層 4 点 2 層 - 4 点 2 層 4 点 2 層 生物 魚卵 稚仔魚 4 点 2 層 4 点 2 層 4 点 1 層 - 4 点 1 層 4 点 1 層 マクロベントス 12 点 点 12 点 メイオベントス 12 点 点 12 点 注 : 撤去後の現地調査 は 平成 22 年度の検討時には 平成 23 年度調査 と想定していたため 表中ではその表記としている 327

334 (4) 平成 24 年度 1) 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討 2012 年に実施した現地調査結果を 撤去工事前 (2008 年 ) 撤去工事直後(2010 年 ) の現地調査結果等と比較して 差異の確認をした 1 海象概況 ( 流況 ) 2012 年及び 2008 年ともに全層で南西向きとなり一致し 撤去工事前との間で大きな差異は認められなかった 2 海底地形 2012 年に実施した当該海域の深浅測量調査と 海洋掘採施設撤去直後に実施された測量結果を比較すると 当該施設の中心点では 6m 程度 東方向へ移動していた 平成 23 年 (2011 年 )3 月 11 日に 平成 23 年東北地方太平洋沖地震 が発生し 海上保安庁ではこの地震により当該海域周辺の海底面は東へ 5~24m 移動したと報告していることから 測量結果による施設の移動は 震災によるものと考えられた 3 水質 2008 年 7 8 月 2010 年 7 月及び 2012 年 8 月の調査結果を検討した結果 各調査項目とも調査結果に大きな差異は認められなかった 4 底質底質調査結果のうち 中央粒径 有機物量及び金属類溶出試験結果について 撤去前から大きな差異はみられなかった 差異がみられたものは金属類含有量試験結果のうちカドミウム 鉛 銅 亜鉛 硫化物の 5 項目であった このうち 海洋施設の影響の可能性が考えられたのは 鉛 亜鉛の 2 項目であり 撤去直後の流れの下流方向の海洋掘採施設直近の調査点 SW1( 南西方向 200m 地点 ) で高い傾向が認められたことから 工事による影響の可能性が考えられた しかし その数値は海域で一般にみられる数値の範囲内であった また 撤去後の 2012 年の調査結果では他の調査点と比べ高い傾向はみられず 撤去直後の一時的な変化の可能性が考えられた 5 海生生物動 植物プランクトン 魚卵 稚仔魚は 調査年次の違いにより出現量に多少ばらつきはあるが 主要な構成生物群の変化はなく 大きな差異はなかった 底生生物 ( ベントス ) に関して マクロベントスは 調査年次の違いによる種類数 総出現個体数に大きな差異はなく 主要な構成生物群の変化もみられず 撤去前から大きな変化はなかったが 湿重量では 環形動物門は経年的に減少し 棘皮動物は逆に増 328

335 加している傾向がみられた 底質の有機体炭素量 COD に大きな変化は確認されていないことから 餌料環境の変化によるものではないと想定され 自然変動の可能性も考えられた メイオベントスは撤去直後の 2010 年には撤去前に比べ出現固体数が減少しており 撤去 2 年後の 2012 年調査では 2010 年の調査時と同様であった これは海洋掘採施設撤去の影響も想定されたが 底質の化学物質の変化が示唆するように下流側の変化であれば可能性が考えられるが 全調査点で同様の傾向を示すことから 海洋掘採施設撤去の影響による可能性は低いのではないかと考えられた 2) 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証評価結果を検証した結果 事前評価の内容に差異がみられた項目はなく 各項目の環境への影響評価結果は 全ての項目で影響は軽微という事前評価の結果に合致していたと考えられる 撤去から今年度の調査の間に東北地方太平洋沖地震があったため その影響が懸念されたが 残留施設の周辺の海洋環境の大きな変化は 地盤の移動以外 明らかな変化は確認できなかった なお 海域利用等に関しては震災等の影響により海域における活動 海域利用等が困難になっており 海洋掘採施設撤去によるものではないと考えられる また 今回の検証により 事前評価内容 考え方については 妥当であったと判断できた 329

336 3) 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討磐城沖海洋掘採施設の撤去工事は平成 22 年 7 月に実施されたが 本調査において撤去工事時及びその後の施設の残留時の環境影響評価を実施した 平成 21 年度 ~ 平成 24 年度に実施した撤去工事時の環境影響評価及びその検証結果 並びに撤去後の施設の残留による環境影響評価及びその検証結果をとりまとめた あわせて 影響評価結果に基づくモニタリング実施内容の検討結果についてもとりまとめた なお 平成 20 年度 ~ 平成 22 年度調査結果と重複する部分は その旨記載し 詳細は割愛した 1 磐城沖海洋掘採施設撤去の概要撤去工事の概要は (2) 平成 21 年度 1) 撤去工事中の環境影響の事前評価 1 撤去工事計画に基づく環境影響要因と環境要素の抽出 a. 環境影響要因の抽出 に記載した 撤去後 ジャケット部は海底面上 62m で切断され それより上部は近傍海域に横倒しにされ ジャケット下部はその場に残置され海域に残留された 2 磐城沖海域の概要 (1) 平成 20 年度 1) 磐城沖海域の現況 に記載した 3 撤去工事時の環境影響評価の検討撤去工事時の環境影響評価の検討内容は (2) 平成 21 年度 1) 撤去工事中の環境影響の事前評価 に記載したとおり 以下の基本的考え方にしたって 評価項目の設定 予測評価を実施した 環境影響評価の基本的考え方 海洋掘採施設等の廃止に係る作業は 環境影響評価法 の対象事業ではなく 国内法上は環境影響評価が要求されるものではない 海洋掘採施設の撤去工事に係る環境影響評価の具体的な枠組みとしては 環境影響評価法 に要求されている評価項目を参考とすることが適切と考えられた この法律における工事中の影響評価の枠組みが本事業に近いと考えられる 本事業に係る環境影響評価を実施するに当たっては 海洋汚染等及び海上災害の防止に係る法律 に定める海洋施設の海洋投入処分許可申請に係る事前評価の内容を参考にすることが適切と考えられる 本事業に係る環境影響評価を実施するに当たっては 地域や海域等の特性を考慮して 適宜 項目の追加を検討することが適切と考えられる 330

337 a. 評価結果評価結果は 撤去工事による影響評価結果では 重大な影響が想定されるものはなかった 撤去工事に特有の主な影響要因に対する評価結果は以下のとおりであった ⅰ) 水中騒音 ( ジャケット切断時の水中騒音による影響 ) 他事例同様 影響は軽微と考えられるが 情報が不足しており 今後検証が必要である ⅱ) 水質 ( ジャケット横倒し時の濁りの発生による影響 ) シミュレーション結果による濁りの範囲 持続時間から 影響範囲は限定的で極めて短時間であると予測し 影響は小さいと評価 ⅲ) 底質 ( ジャケット横倒し時の海底撹乱による影響 ) 海底土の巻上げと再堆積による海底環境の変化の予測結果から 影響範囲は限定的で極めて短時間であると予測し 影響は小さいと評価 ⅳ) 底生生物 ( ジャケット横倒しによる底生生物への影響 ) 海底撹乱によるメイオベントスへの影響 横倒し時の底生生物の圧殺が想定されたが 過去の研究事例から比較的早い時期に回復すること 横倒しされたジャケットは構造的に接地面積が少ないことから影響は小さいと評価 ⅴ) 海生生物 ( 水中騒音による海産哺乳類への影響 ) 影響は軽微と考えられるが 情報が不足しており 水中音調査による検証が必要 ⅵ) 海域利用 ( 漁場 航路等の海域利用へ影響を検討 ) 関係者と調整済みであることから影響は軽微と評価 評価結果の詳細は (2) 平成 21 年度 1) 撤去工事中の環境影響の事前評価 3 環境影響範囲及び変化の程度の予測並びに予測結果に基づく事前評価表 に記載した b. 評価結果の検証事前評価の検証では 全ての項目で影響は軽微である という事前評価結果内容に合致した結果であった しかし 予測 評価の過程で 内容に違いがみられるものなどが確認できた これらは 事前の情報不足により過大な予測をしていたもの 調査により 331

338 情報が得られて判断できたもの 今後の調査結果を待つ必要があるもの であり いずれも情報の不足によるものであった そのため 事前評価内容 考え方については ほぼ妥当であったと判断できた ただし 予測内容の差異 変化の状況が確認しきれなかった項目等については 事前の情報確認の程度等について検討していく必要があると考えられた c. 撤去工事時の影響評価結果撤去工事時には流れの下流側で底質の化学的性状が変化する可能性が考えられたが 変化の程度は一般環境の変動範囲内での数値であった 他の環境要素が大きく変化したことはなかった その結果 撤去工事による海域環境への影響は軽微であると考えられた 4 残留時の環境影響評価の検討環残留時の環境影響評価は撤去工事時と同様の考え方で実施し 詳細は (3) 平成 22 年度 3) 撤去後の残留影響の事前評価 に記載した a. 評価結果海洋掘採施設の残留による影響評価結果では 重大な影響が想定されるものはなかった 残留による主な影響要因に対する評価結果は以下のとおりであった ⅰ) 水質 ( 残留した施設からの有害物質の溶出による影響 ) 残留する施設の性状 ( 鋼製 ) 付属するパイプラインの一部は内部洗浄済みのため 施設から溶出する有害物質はなく影響は軽微であった ⅱ) 底質 ( 残留する施設の存在による海底撹乱の影響 ) 新たな構造物の存在により ごく近傍の流況が変化して海底撹乱の可能性があるが その範囲は小さく影響は軽微と予測した ⅲ) 海域利用 ( 漁場 航路等の海域利用へ影響を検討 ) 残留後は海図に記載され 存在が周知されること 地元関係者と調整済みであることから影響は軽微であると考えられた なお 評価結果の詳細は (3) 平成 22 年度 3) 撤去後の残留影響の事前評価 3 環境影響範囲及び変化の程度の予測並びに予測結果に基づく事前評価 b. 予測結果に基づく事前評価表 に記載した 332

339 b. 評価結果の検証海洋掘採施設の残留による影響が想定される主な項目についての検証の結果 地震の影響とみられる変化があったが 事前の予測と大きく違った評価結果はなく 評価の枠組みに反映する事項はなかった c. 海洋掘採施設の残留による影響評価結果施設の残留時には 残留された施設の新たな存在により海域の微小環境が変化する可能性が考えられたが 目に見える形での大きな変化はなく 残留による環境への影響は軽微なものであると考えられた 5 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の総括 a. 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る総合評価結果 撤去工事時には 流れの下流側で底質の化学的性状が変化する可能性が考えられたが 変化の程度は一般環境の変動範囲内での数値であった 他の環境要素が大きく変化したことはなかった その結果 撤去工事による海域環境への影響は軽微であると考えられた 施設の残留時には 残留された施設の新たな存在により海域の微小環境が変化する可能性が考えられたが 目に見える形での大きな変化はなく 残留による環境への影響は軽微なものであると考えられた 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る海域への環境影響は軽微なものと考えられた b. 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価における留意事項 ⅰ) 予測評価時において留意した事項イ. 予測評価の考え方で留意した事項 確定した影響評価の枠組みがないことから 評価の枠組みを考える 事業内容から適切な評価項目を選定する ロ. 撤去工事中の影響で留意した事項 施設切断時に発生する水中音の影響 撤去工法による海底撹乱による影響 引き倒し時の海水の濁りの発生による影響 ハ. 残留時の影響で留意した事項 残留施設の存在による影響 残留施設からの周辺環境への有害物質の負荷の影響 残留施設の移動による海底撹乱の影響 333

340 ⅱ) 評価結果において留意した事項 事前の情報不足により予測が不確実な場合は 撤去工事中あるいは 残留時の現地調査により確認を行った 事後の現地調査結果による検証において 予測どおり影響は軽微であると判断されたが 事前の予測において限定された情報により過大な予測をする場合があり より正確な予測のために可能な限り詳細な事前情報の収集が必要でると考えられた 海洋施設設置前の情報不足等により 確認された環境の変化の解析が十分できなかった c. 大水深海域の海洋掘採施設撤去の特徴磐城沖海洋掘採施設の撤去時及び残留時の環境影響評価の実施結果に基づき 水深の大きい沖合の海域に設置された海洋掘採施設撤去に係る環境影響に関する特徴を整理した ⅰ) 地理的特徴 離岸距離が大きい 設置水深が数 10m から 100m を超える場合がある この結果施設が大型化する例が多い 施設が大型である ⅱ) 影響要因の特徴このような海域に設置された施設を撤去する際には その工法 工期に制限があり それに応じた 環境への影響要因が発生する 例えば要因として 磐城沖海域の場合には 大型クレーン船が海域に定位し昼夜作業を続行する 海面下の切断は全て機械が実施する 等である さらには 撤去したジャケット部分は陸上への完全撤去は困難であり 法に沿った形で海底に残留した ⅲ) 環境要素沿岸域 ( 浅海域 ) と比較した場合次のような特徴が考えられる 詳細は地域によって違う 数 km 以内に人の生活圏がない 海域環境及び生息する生物の違いが想定される 海域利用の特徴に違いがある 334

341 大水深海域での海洋掘採施設撤去時の環境影響評価は このような要因 要素の特徴 を考慮して実施することが必要であると考えられる d. 大水深海域に設置された海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価の考え方と留意点 ⅰ) 基本的考え方既存の法アセスの考え方を参考にし 海域の特性を考慮して実施することが適切である 国内法上は環境影響評価の対象外である 既存の環境影響評価対象事業を参考にする 事業 設置場所等に関連する法律 ガイドライン等も参考にする ⅱ) 作業の手順既存の環境影響評価の手順を参考にして 以下の手順で実施する イ. 影響要因の抽出 : 事業内容から影響要因を抽出する 大水深海域での工法の特徴を反映する ロ. 環境要素の選定 : 周辺環境状況を把握し 影響を受ける可能性のある環境要素を選定する その際 海域の特性を考慮する ハ. 評価項目の設定 : 影響要因と環境要素から想定される影響内容を影響評価項目として設定する ニ. 影響予測及び評価 : 各評価項目について変化の程度を予測し 保全措置を勘案しながら評価を行う ⅲ) 評価項目 影響要因と環境要素の組み合わせで事業の内容を勘案し評価項目を選定する 磐城沖海洋掘採施設の例を示す ( 表 7.4-8) ⅳ) 予測 評価方法 シミュレーション可能なものは実施する 環境への負荷が想定される場合は負荷量を計算する 類似の他地点事例等を参照して定性評価を行う 335

342 表 環境影響評価項目 ( 磐城沖海洋施設撤去に係る事例 ) 影響要因 撤去工事の影響 残留影響 環境要素の区分 工事用船舶の航行 / 存在 事前作業 撤去工事 施設からの負荷 施設の存在 施設の状態 二酸化窒素 大気環境 大気質 二酸化硫黄 粉じん等 騒音 振動 騒音 騒音 ( 水中騒音 ) 振動 振動 水環境 海底環境 水質 底質 水の濁り 有害物質等による汚れ 粒径組成 有機物質 有害物質等による汚れ 海底地形海底地形 流況流況 プランクトン 海生生物 遊泳生物 生物環境 底生生物 脆弱な生態系 生態系 海洋生物の生息にとって重要な海域 特殊な生態系 人と自然との触れ合い活動の場 海洋レクリエーション 海中公園等 漁場 海域利用 航路 海底ケーブル敷設 海底資源等 温室効果ガス等 光害 廃棄物等 船舶からの二酸化炭素 夜間照明 作業船からの廃棄物 切り屑 注 : 表中の 印は 各影響要因に対する評価対象項目であることを示す 336

343 4 モニタリング内容の検討磐城沖海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価結果に基づき 撤去工事中 残留時の鉱害防止の観点から 確認すべき項目等について 今後必要と考えられるモニタリング内容を検討した a. モニタリング計画に係る基本的考え方の検討海洋掘採施設の撤去に係るモニタリング調査は 事前の予測評価において 情報の制限等から予測の不確実性が大きいもの 撤去工事中あるいは残留時の環境の状態を把握することが必要なものを対象にモニタリングを行うという考え方が適切であると考えられた 磐城沖海洋掘採施設を例としたモニタリング計画の検討の結果 表 に計画案をとりまとめた 表 モニタリング計画案 区分 撤去工事中 残留時 備考 1 項目 水質調査 底質調査 底質調査 底生生物調査 具体的な項目は事前環境調査と同様の項目 底生生物調査 水中騒音調査 夜間照明確認 2 方法 3 実施時期 及び頻度 事前環境調査と同様の方法 ROV 等の映像による確認が 望ましい 撤去工事時 ( 影響要因発生時 ) 場合によっては工事の直前 直後の実施を考慮する 事前環境調査と同様の方法 ROV 等の映像による確認が 望ましい 残留数年後 適切な時期 可能であれば四季調査が望ましい 337

344 4) 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討本調査の成果である磐城沖海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価の内容とともに 過去に実施された阿賀沖北海洋掘採施設の事例を参考にして 我が国において海洋掘採施設を撤去する場合に環境保全の観点から留意すべき事項をとりまとめた 同時に 沿岸部の水深の浅い いわゆる浅海域と呼ばれる海域の場合についても検討した 1 海洋掘採施設撤去時の環境影響評価のまとめ a. 既存事例の概要 ( 阿賀沖北海洋掘採施設の事例 ) 阿賀沖北海洋掘採施設は平成 5 年度に撤去されたが これは我が国初めての大型海洋掘採施設の撤去工事であった そのため 海域への環境影響について 撤去前 工事中 撤去後に調査が実施されている ⅰ) 施設の概要阿賀沖北油田は 新潟沖合約 16km( 水深 90m) に位置する 阿賀沖北海洋掘採施設は 昭和 59 年 (1984 年 ) に海洋掘採施設が設置され 平成 5 年 (1993 年 ) に生産活動を停止した ⅱ) 撤去工事の概要ジャケットパイルの水中切断は 12 本のパイル内部をジェッティングにより海底面下 8mまで掘削して海底面下 5mに爆薬をセットして行なった ⅲ) 阿賀沖北海域の状況海域の現況を把握するため現地調査を行った 調査結果による海域の状況は次の通りであった 流況は 最多出現流速は 海面下 10m で 10~20cm/s 底層で 0~10cm/s であり 流向は北東が卓越していた 海底状況は 音響測深記録から 撤去後の海洋掘採施設跡では周囲より最大約 1.5m 海底地形が隆起していた この原因として 海洋掘採施設の運転期間中ジャケット部に付着したカキ殻を排貝し これが長期にわたり堆積したものと考えられた 調査海域は開放的な海域で 常時対馬暖流の影響下にある このため水質は COD や栄養塩類の値は夏季の内湾 沿岸域で観測される値に比べ低い傾向を示した 底質は シルト分もしくはそれ以下の微細粒子が 95% 以上を占め 砂 礫分はほとんど含まれない 施設周辺で有害物質や重金属類の異常値は確認されず 生産 338

345 期間を通してこれらの蓄積はなかったと考えられた 海生生物は 植物プランクトンは珪藻類が卓越し 春季に種類数が少なく 夏季に増加する傾向が認められた 動物プランクトンは半数を橈脚類が占めた 植物 動物プランクトンともに 対馬暖流を代表する種と沿岸域の普通種が卓越していた 底生生物は マクロベントスは多毛類が卓越した メイオベントスは 4 動物門 6 綱の種が確認された マクロベントス メイオベントスともに撤去直後に海洋掘採施設跡近傍 ( 半径 200m 以内 ) の個体数及び種類数が増加した この原因として 発破による捕食者の排除や生物の死骸が一時的に堆積したことにより適応能力の強い種が蝟集 繁殖した結果と考えられた 1 年後には海洋掘採施設周辺域に近い生物相に戻っていることが確認された 魚卵 稚仔魚は 卵では優占種はカタクチイワシ 稚仔魚はカタクチイワシ 次いでマイワシが多かった 魚卵 稚仔魚はともに 対馬暖流に生息する代表的な魚種が確認された 水産有用生物は 4 回の調査で 魚類 35 種 その他 14 種の合計 49 種が採取された 種類数 個体数ともに調査時期による差は小さかった また 各調査期においてタマガンゾウビラメが第一優占種であった ⅳ) 環境影響評価の実施内容イ. 影響要因の検討影響要因は 以下のものが考えられた 音による影響: 発破音とその他工事中の音 ( カッター音 使用船舶音を含む ) 底泥撹乱による影響: 海洋掘採施設撤去作業及びパイプラインの切断 処理時等による海底撹乱 間接的影響として濁度の増加と栄養塩類 重金属等の溶出による影響 ロ. 環境要素の抽出撤去作業により生じる環境影響は それぞれが独立した要因によるものではなく 相互に関連していると考えられ これらを把握するための環境要素として 物理環境 化学環境 生物環境の 3 つに大別し 検討した ハ. 評価項目の設定環境影響因子を実際の海域調査で観測するために設定した調査項目とその目的を表 に示した 339

346 理環境化学環境生物環境項目目的物流況 海底状況 発破音響 底泥拡散 水質 底質 底生生物 浮遊生物 遊泳生物 表 影響評価のための調査項目 水塊の移動 懸濁物質の拡散などを解析するとともに 魚類など生物の分布にも影響を及ぼすため 環境調査の基本項目としてデータを取得する 落下物 残置物の確認 掘削泥の分布状況やパイプライン埋め戻し後の状況を確認する ( 新日本海石油開発株式会社が実施 ) 影響は短期間であるが 強力な衝撃波は掘採施設近傍の生物に大きな影響を与えるため 衝撃圧の大きさと距離による減衰を観測する また 事前にシミュレーションモデルを作成し 影響範囲を予測した 堆積した底泥を攪乱することにより 堆積物の拡散 再堆積などが起こり 底生生物の生息環境に直接的な影響を与えることが予測されるため プラットフォーム周辺域の濁度を測定した また 事前にシミュレーションモデルを作成し 堆積物の拡散 再堆積エリアを予測した 生物生息環境の基本要素で 環境影響評価のバックデータとして重要である 撤去工事中の排水や 拡散された底泥からの溶出物質による影響の有無を調査する 生物生息環境の基本要素で 環境影響評価のバックデータとして重要である プラットフォーム操業中の汚染や撤去工事による堆積物性状の変化について調べる 海底上や底泥中に生息する動物群で 底生魚類の餌料として重要である 移動性に乏しく 環境変化の影響を反映しやすいことから 指標性が高いと考えられる 海域の基礎生産や物質循環に重要な生物群である 遊泳力が乏しいため物理 化学的影響を受けやすく 環境の改変に対する耐性は低いが 瞬間的な影響を捉えにくいと考えられる 魚類など水産上重要な生物群を含む 撤去工事が漁業活動へ与える影響の有無を調べる ニ. 阿賀沖北海洋掘採施設撤去に係る評価結果阿賀沖北海洋掘採施設の撤去工事の影響は 海洋掘採施設周辺の狭い範囲に限定され 工事期間も短期であるため 周辺海域に及ぼす影響はほとんどないと考えられた 海洋掘採施設の撤去前 撤去中 撤去後に実施した調査結果による各調査項目の環境影響調査結果を表 に示した 340

347 項目結果概要物理環境化学環境生物環境表 阿賀沖北海域における海域環境調査結果 流況 発破音響 底泥拡散 流れは海域における物質の輸送 拡散に関与し 撤去工事の影響を解明する上の基本的な項目である プラットフォームの撤去により局所的な流は変化するであろうが 開放的な海域であるため周辺への影響はないと結論される パイル切断時に 100m 地点で 5~7bar 200m 地点で 2bar の衝撃圧が測定された 影響域を調べるため数値モデルを開発しシミュレーションを実施した結果は観測値と良く一致し 今後の撤去時の影響予測に使えるとの確信を得た なお 発破切断時には魚類への影響が確認され シミュレーションによると影響範囲は半径 200m 程度と予測された 調査海域の底質性状および既存資料の結呆から 工事による底泥拡散は小規模であろうと推察された また 底泥拡散についても数値モデルを開発したが 観測場所の都合上から現場との整合性を確認することができず 今後の課題と考えられる 水質底質底生生物浮遊生物遊泳生物 調査海域は対馬暖流の影響を受け 水塊は常に流動している また 撤去工事は継続的な汚染負荷を伴うものでは無く 短期的かつ小規模で あり 調査結果からも周辺環境への影響はなかったと結論される 撤去工事の前後で 底質性状 有害物質 重金属等に大きな変化はみられず 工事の影響は認められない また プラットフォーム跡にはカキ殻の堆積が確認されたが これも周辺海域に悪影響を及ぼすことはないと結論される 調査で出現した生物は周辺海域に広く分布する種で 撤去工事の前後にも大きな変化は認められない 撤去工事が短期的かつ小規模であることから 海域全体への影響はないと結論される また 底生生物では撤去直後のプラットフォーム跡で種組成に変化がみられたが 1 年後には通常の生物相に戻っていることが確認された ⅴ) 評価に係る留意事項イ. 廃坑措置等プラットフォーム撤去作業以前に行われる 廃坑措置 パイプラインの洗浄 密閉 埋設については 汚染の心配は非常に小さいと考えられるが 撤去に伴う汚染の有無を確認する上では 周辺で撤去時の水 底質モニタリング調査を行うことが望ましい ロ. 発破切断作業発破切断作業では プラットフォーム周辺の魚類 海産哺乳類等が被害を受けることが心配される 魚群探知機等で蝟集状況を把握した上で 適当な散逸措置をとることが望ましい ウミガメ 海産哺乳類に関しては発破時に監視を行う他 プラットフォームで目視記録をつけ 出現時期を割り出すなど地域性にあった撤去計画を作る必要がある ハ. 底泥拡散発破に伴い海底土の巻き上げが起こることも予想されるが 海洋環境への影響は小さいと考えられた 341

348 ニ. 整地作業撤去後のプラットフォーム位置周辺の落下物回収 整地作業は 漁業 航行の安全の上から必要であり 特に残置したパイプラインの端部を重点的に海底面の状況をモニターする必要があると考えられる b. 磐城沖海洋掘採施設における環境影響評価の概要磐城沖海域を事例とした大水深海域における海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の枠組み及び留意事項は (4) 平成 24 年度 3) 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 に記載したとおりである c. 浅海域の事例の検討前項で検討してきた沖合の海洋掘採施設は 以下のような地理的な特徴が考えられる 岸から離れた沖合に設置されている 設置水深が数 10m から 100m を超える場合がある この結果施設が大型化する このような施設を撤去する際には その工法 工期に制限があり それに応じた 環境への影響要因が発生する さらに このような要因を受ける環境要素は 次のような特徴が考えられる 数 km 以内に人の生活圏がない 沖合域特有の生物環境の可能性が考えられる 海域利用に特徴がある 一方で 岸に近い沿岸域は 水深が浅くいわゆる浅海域と呼ばれる海域であり 沖合 域の海域とは地理的特徴の違いとともに 海域環境にも違いが見られる この海域に施設が存在し 施設の撤去が計画される場合には 今回検討した沖合の海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価時の特徴と比較しながら沿岸域の特徴を類推すると 以下のような特徴が想定され 沿岸域 ( 浅海域 ) に存在する海洋掘採施設を撤去する場合には このような特徴に関する留意も必要であると考えられる 人の生活圏に近いことから 工事に係る大気汚染 騒音の影響の可能性が想定される 沿岸域での漁業活動 海洋レクリエーション等の頻繁な海域利用が想定される 沿岸域に藻場 干潟等の脆弱な生態系 あるいは国立公園等の特別な地域が存在する可能性が高いことから 事前の確認が必要である 水深が小さいことから 撤去時の切断は海底面下で行わなければならず * その際に撤去の方法により海底撹乱あるいは底面で濁りが発生する可能性が大きい *IMO89 年ガイドラインの付属書 大陸棚および排他的経済水域に設置された海洋施設および構造物の撤去に関するガイドラインおよび基準 では 撤去の際 船舶航行の安全性確保のために海面まで 55m を確保しなければいけない とされている 342

349 2 海洋掘採施設の撤去時の留意事項のまとめ海洋掘採施設の廃止に当たって 平成 20 年に経済産業省鉱山保安課より報告された石油鉱山保安部会中間報告書 ( 海洋掘採施設等の廃止措置に関する基本的考え方について ) では 以下のような考え方が示されている 上載施設は全て陸上に運搬して処分する 下部構造物は自然の海底面下の適切な位置で切断 撤去して 適切な措置を行うことを原則とするが 自然の海底面より上の位置で切断 撤去する方法以外に適切な方法がない場合には自然の海底面より上の位置での切断 撤去を検討することができる 切断方法は非爆破切断方法が望ましい また 前項で示したように IMO98 年ガイドラインでは 海洋施設撤去後 船舶航行の安全性確保のために 海面まで 55mを確保しなければならないとされており 水深の小さい海域では 上記の考え方の中の海底面下の適切な位置で切断 という方法が必須になる 磐城沖海洋掘採施設は これらの考え方に沿って施設の撤去が行われている 以上の考え方を参考にしながら 本調査で検討した海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価の結果に基づき 撤去時に留意すべき事項をとりまとめた a. 環境影響が懸念される事項阿賀沖北海洋掘採施設では撤去工事が海洋環境に及ぼす影響は小さいと評価されたが 調査結果では 限定的ではあるが 撤去工事時に底生生物の変化が見られ また海底泥の巻上げも想定された また発破による切断では 200mの範囲まで魚類に影響が見られた 磐城沖海洋掘採施設では 撤去工事時 残留時ともに環境への影響は軽微なものであったことが確認された しかし 影響は軽微であったものの底質の変化がみられ また 撤去の影響ではないと考えられたが 底生生物の量等に変化が見られた また 影響は確認されなかったが 切断時等の水中騒音の影響も懸念された これらの海底で確認された変化は 設置されている海洋掘採施設の撤去という行為が 底質 底生生物に及ぼす影響の可能性を示唆しているものと考えられる また 近年使用が控えられているが発破による切断 あるいは機械的切断時に発生する水中騒音が海洋動物に及ぼす影響も懸念されている そのため 海洋掘採施設の撤去時には 特に海底環境及び底生生物に留意が必要であると考えられる さらに海産哺乳等への影響が懸念される水中音について 実態の把握 対策等が必要であると考えられる 343

350 b. 環境配慮が必要な事項今回検討した事例では 事前の評価及び事後の確認によれば これら全てに大きな影響が生じることはなかったが 事後の確認において環境変化など確認され 作業内容によっては影響が生じる可能性が高いものがあり これらは環境影響評価の結果の留意事項として前項で検討した この検討結果を元に 海洋掘採施設の撤去時に想定される影響について 水中音 底質 底生生物への影響が懸念されるものについては検討が重要と考えた また 施設の状態によって あるいは撤去工事の方法によって影響の可能性が大きくなるものがあり 例えば工法により濁りが発生するものなど 水質への影響が懸念され 条件付で重要と考えられた その他の項目については 配慮が必要であることから 事業内容に応じて可能な範囲で対応することが望ましいと考えられた c. 環境影響評価等のための情報収集海洋掘削施設の撤去に当たっては 上記で検討したとおり 様々な内容 程度の影響が想定されるが 事前にこれらを予測して 適切に対処するために 事前の環境影響評価の実施が有効であると考えられる この事前の予測 評価及び確認のために現地調査等により情報収集が必要であり これらの調査の内容は 事例検討より以下のようにとりまとめた ⅰ) 調査項目前項の環境への配慮事項の重要性にあわせて 必要な現地調査項目は 水中音に関連する調査 底質 底生生物調査である また 工法により必要となる項目として水質調査 遊泳生物 海産哺乳類も対象となる なお 今回の事例検討では対象とならなかったが 施設稼動時の生物の利用状況や撤去の工法により発生する可能性のある影響の 2 項目を追加した 海鳥 付着生物 魚類等の生物が 海洋掘採施設設置時に 海洋掘採施設を生活に必要な施設 ( 中継地 生息基盤等 ) としていた場合の 撤去後の生活基盤の喪失による影響が想定される 撤去工事の際 浚渫を行う計画がある場合は 浚渫工事 浚渫土砂の仮置き等による海底撹乱の影響が想定される ⅱ) 調査時期環境影響評価を実施するには 撤去作業前に現況の把握を行う必要があるが 事例の検討結果及び国内で実施されている環境影響評価のための調査実施の事例等に 344

351 加え 撤去前の事前準備の期間も考慮した結果 撤去工事の1~ 数年前に実施することが望ましいと考えられる 調査は 一般の環境調査のように四季の調査が望ましいが 沿岸域に比べて調査の困難さが想定される沖合では 海域の状況に応じて 撤去工事の影響が把握できる時期を考慮した上で 適切な時期 ( 季節 ) に実施することが妥当だと考えられる なお 沿岸域では四季調査が望ましい 情報の確認には 撤去工事中 撤去後の監視調査 ( モニタリング ) も必要であるが 項目 時期とも事前の調査結果と比較できるように 同等の内容で実施することが望ましいと考えられる 撤去工事中には 調査項目によっては 安全性の観点から工事中ではなく 直前 直後の実施という方法の選択も可能と考えられる ⅲ) 調査の範囲環境影響評価の際の現地調査の範囲は ある要因による影響が想定される範囲の内側と外側の地点で実施することが一般的である 海洋掘採施設の撤去に関しては 事例検討結果から 環境への影響は軽微であるが環境変化が確認される範囲が 海洋掘採施設の直近の 200m 程度の範囲であることが確認されている この範囲は周辺の流れの状況等によって違うことが想定されるが それを考慮した上で 磐城沖の事例を参考にして 数 100mの範囲を影響が想定される範囲 1~ 2km 離れた地点を対照地点として設定することを基本として 現地の状況に応じて調整することで対応できると考えられる d. モニタリング項目 時期については 工事中は水質 底質 底生生物 水中騒音を主として対象とし 撤去後は海底の変化に着目し 底質 底生生物に着目して実施することが望ましい 実施時期は 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 の海洋施設廃棄許可申請の手続きに係る環境監視の規定を参考に 撤去後 3 年を目安にして 撤去数年後に設定するのが適切であると考えられる 345

352 5) ガイドラインの考え方の整理海洋掘採施設撤去の際に 鉱害防止の観点から環境影響への配慮が必要であり 海洋掘採施設撤去時の環境影響検討の事例を基に 海洋掘採施設撤去時に配慮すべき環境影響についてのガイドラインの考え方 構成案を検討し とりまとめた 1 ガイドライン策定の考え方 a. 基本的考え方基本的考え方は 海洋施設の廃止に伴う撤去作業時の鉱害防止のためのガイドラインには 撤去作業時の鉱害防止の考え方 対策 配慮事項が解説されるものが望ましい b. 記載項目の検討具体的内容は 全体の方針 考え方を示し 配慮すべき項目を選定し これらを個別の配慮事項ごとに解説することが望ましいと考えられた 2 記載項目の検討記載すべき項目とその内容案を以下のように考えた a. 基本的事項 ( 基本的考え方 法的位置づけの整理 事例から見た鉱害防止のポイント ) b. 撤去時の鉱害防止の留意点一例として 作業の実施順に 各々設置海域 ( 水深 ) の特徴に係る留意点及びその対応 解説が記載される c. 環境影響評価の実施環境要素別配慮事項撤去工事前の環境配慮の方法として 環境影響評価の実施が望ましいことから その考え方 方法について記載する 346

353 7.5 まとめ 現地調査 (1) 流況観測 表層では 2008 年 2012 年ともに概ね同じ流向頻度を示し 2012 年の流速が約 30% 小さい傾向を示した 中層では 両年ともに流速は同等の速さとなり 流向も概ね一致する傾向を示した 底層では 2008 年は南向きの流れが卓越する傾向にあったが 2012 年は全方向で同等の流向頻度を示した 両年ともに 表層や中層と比較して底層の流速は遅いが 全層を通じて S から WSW の流向頻度が高かった (2) 水質調査 2012 年 8 月調査時の水面付近の水温は他の調査時よりも高い傾向にあった 水温と σt の鉛直分布は 2012 年 8 月調査時と 2010 年 7 月調査時では類似していた ph DO COD および TOC は 水深とともに低下する傾向にあり 海洋掘採施設の撤去の前後をとおして 調査間での鉛直分布の差異は小さかった 2008 年からの 5 回の調査をとおして 水の濁りの指標である SS と濁度は 2012 年 8 月調査時と撤去直前の 2010 年 4 月調査時の値が低かった いずれの調査においても 油分の指標である n-ヘキサン抽出物質量は定量下限値未満 (<0.5mg/L) であった 本調査海域における栄養塩類の鉛直的な分布状況は いずれの調査においてもNH4-Nが全層を通じて定量下限値未満 (<0.01mg/L) であり NO3-NとPO4-Pは水深とともに増加する傾向にあった これらのことから 本調査海域が外洋的な性格を有する海域であることが示唆された (3) 底質調査 1 物性 含有量試験 いずれの調査においても シアン化合物 六価クロム アルキル水銀およびポリ塩化ビフェニルは定量下限値未満であった 海洋掘採施設の撤去の前後を通じて 本調査海域の底泥がほぼ同様の粒度組成 密度および水分量を有していることが示唆された 海洋掘採施設から離れるほど TOC はわずかではあるが高くなる傾向にあったが CODsed IL および乾燥減量は過年度からのいずれの調査でも 海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった 硫化物 カドミウム 鉛 ひ素 銅 総水銀および亜鉛は 過年度調査では海洋掘採施設の近傍で若干高い値がみられる場合もあったが 2012 年調査では海洋掘採施設からの 347

354 距離および方位に伴う明確な変化はみられなかった 2 溶出試験 いずれの調査においても 亜鉛又はその化合物 と ふっ化物 以外の項目は全ての測 点で定量下限値未満であった (4) 生物調査 1 動物プランクトン いずれの調査においても 節足動物門の種類数が最も多く 出現した動物プランクトンのほとんどが沿岸から外洋域まで広く分布する種類であった 2008 年からの 5 回の調査を通じて 同月の調査では ほぼ同様の個体数が出現した また いずれの調査時でも 動物プランクトンの個体数は水深にともなって減少する傾向にあった 各回調査において 測点間で優占上位 3 種類が大きく異なることはなかった 2 植物プランクトン いずれの調査においても不等毛植物門の種類数が最も多く 出現した植物プランクトンのほとんどが沿岸性種であった 夏季に実施した調査間では出現した細胞数に大きな差異はなかった 2008 年からの 5 回の調査を通じて 優占上位 3 種類は調査ごとに大きく異なったが 各回調査における測点間での変化は小さかった 3 魚卵 稚仔魚 2008 年からの 5 回の調査を通じて 魚卵の種類数に大きな変化はなかった 稚仔魚の種類数は 2008 年 8 月調査で多く 2010 年 4 月調査では稚仔魚は出現しなかった 夏季に実施した調査間では 魚卵および稚仔魚の個体数に大きな差異はなかった 4 マクロベントス いずれの調査でも 種類数および個体数は環形動物門の比率が最も高かった 調査間で種類数 動物門別の種類数 個体数および動物門別の個体数に大きな差異はみられなかった 海洋掘採施設からの距離および方位別の種類数および個体数は いずれの距離および方位においても調査間で大きな差異はなかった 2008 年調査では環形動物門 2010 年調査と 2012 年調査では棘皮動物門の湿重量が大きく 海洋掘採施設の撤去の前後で局所的にマクロベントスの総湿重量 1 個体あたりの湿重量が大きく変動した 348

355 海洋掘採施設の撤去の前後でマクロベントスの個体数に基づく優占した種類に大きな差 異はみられなかった 5 メイオベントス 調査間で出現種類数に大きな差異はなかった また 海洋掘採施設からの距離および方位別の種類数は いずれの調査時でも距離に伴う増減傾向はなかった 個体数は 2008 年調査では海洋掘採施設に近い地点ほど少なくなる傾向にあったが 2010 年調査と 2012 年調査ではいずれの方向でも距離に伴う増減傾向はみられなかった 2008 年調査に比べて 2010 年調査と 2012 年調査では 広域的に個体数が少なかった このことから 調査間の個体数の差異は年変動の範疇にあるものと推察された いずれの調査でも 線虫綱 ソコミジンコ亜目 有孔虫目の出現数が多かった (5) 水中音響調査 DWS 稼働時のみ発生している音は DWS の稼働にともない船上で発電機等の何らかの振動を発生する機器の作動によるものと考えられた DWS 稼働時のみ発生する特徴的な周波数成分は検出できなかった このため DWS 本体から発生する騒音は音圧レベルが小さく 音源から約 200m 離れた地点においても 背景雑音に隠れてしまうものと考えられた DWS の停止 / 稼働に関わらず発生する音として 水中音響機器系の音 ( 作業船の位置保持のためのトランスポンダー ) を確認したが その他は船舶のスクリュー等のキャビテーション音等が考えられた 音響測位機器系の音はハクジラ類に明瞭に聞こえるのではないかと推測されたが その他の工事音についてはハクジラ類への影響は少ないと考えられた (6) 海底地形等調査 調査海域全般は多少の凹凸はあるものの 水深 155m 程度の平坦な地形であることが示された 海洋掘採施設の上部 下部ともに 方向角 80 程度の方向に 6.5m 程度移動していた ( 東北地方太平洋沖地震に伴う地盤の移動と考えられる ) 机上調査まとめ (1) 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価結果 磐城沖海洋掘採施設の撤去工事時には 流れの下流側で底質の化学的性状が変化する可能性が考えられたが 変化の程度は一般環境の変動範囲内での数値であった 他の環境要素が大きく変化したことはなかった その結果 撤去工事による 349

356 海域環境への影響は軽微であると考えられた 施設の残留時には 残留された施設の新たな存在により海域の微小環境が変化する可能性が考えられたが 事後の現地調査結果から確認できるような変化はなく 残留による環境への影響は軽微なものであると考えられた 磐城沖海洋掘採施設撤去に係る海域への環境影響は軽微なものと考えられた この評価結果に基づき 以下の表のとおりモニタリング内容を検討したが 磐城沖海域では 撤去後 2 年目 (2012 年 ) の現地調査結果により残留による影響が軽微であることを確認しており このモニタリング内容を満足したものと考えられた 表 モニタリング案 区分 撤去工事中 残留時 備考 1 項目 水質調査 底質調査 底質調査 底生生物調査 具体的な項目は事前環境調査と同様の項目 底生生物調査 水中騒音調査 夜間照明確認 2 方法 3 実施時期 及び頻度 事前環境調査と同様の方法 ROV 等の映像による確認が 望ましい 撤去工事時 ( 影響要因発生時 ) 場合によっては工事の直前 直後の実施を考慮する 事前環境調査と同様の方法 ROV 等の映像による確認が 望ましい 残留数年後 適切な時期 可能であれば四季調査が望ましい (2) 海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価の検討阿賀沖北海洋掘採施設及び磐城沖海洋掘採施設を事例とした沖合の海洋掘採施設の撤去における環境影響評価の検討により 海洋掘採施設の撤去の際の鉱害防止の観点から工事に係る海域環境への影響について検討した 同時に沿岸域の特長についても考察した 350

357 1) 環境影響の検討環境影響評価の結果では 各事例において重大な環境影響はないとの結果であった 磐城沖海域ではモニタリング調査に相当する撤去 残留後 2 年目の調査により 撤去 残留により海域環境に大きな変化が生じていないことを確認している しかし 撤去 残留時には 環境への重大な影響はみられていないものの 対象により違いはあるが環境の変化が生じることは予測されており 今後の海洋掘採施設の撤去に際して これらに対する留意 配慮が必要であると考えられた 今回検討した各事例における撤去時の環境への留意事項を基に 想定される主な配慮事項を以下に示した 2) 環境配慮が必要な事項海洋掘採施設の撤去に際しての環境影響評価では 工事の内容及び残留の状態から環境に与える影響の要因を抽出し 影響の可能性のある項目について評価項目を設定した 今回検討した事例では 事前の評価及び事後の確認によれば これら全てに大きな影響が生じることはなかったが 事後の確認において環境変化が確認された項目があり 作業内容によっては影響が生じる可能性が考えられた これらは環境影響評価の結果の留意事項として前項で検討した この検討結果を元に 海洋掘採施設の撤去時に想定される影響について 表 に示した これらの想定される影響は 上記 1) の検討のように影響が懸念されるものについては検討が重要と考え で示した また 施設の状態によって あるいは撤去工事の方法によって影響の可能性が大きくなるものがあり 条件付で重要と考えられるものには で示した その他の項目については 配慮が必要であることから 事業内容に応じて あるいは次項に述べる環境影響評価の実施結果等から可能な範囲で対応することが望ましいと考えられる 3) 環境影響評価等のための情報収集海洋掘削施設の撤去に当たっては 上記で検討したとおり 様々な内容 程度の影響が想定されるが 事前にこれらを予測して 適切に対処するために 事前の環境影響評価の実施が有効であると考えられる 環境影響評価の実施のための枠組みは (4) 平成 24 年度 3 ) 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 において示した 本調査の検討において 評価対象とする項目について 事前の予測 評価及び確認のために現地調査等により情報収集を行った 各項目の評価結果では影響は軽微であったが 配慮が必要な項目については情報の把握と検討が必要なことは前項で示したとおり 351

358 であり 調査項目についてもその必要性を検討し また実施時期等について検討した 1 調査項目前項の環境への配慮事項の重要性にあわせて 必要な現地調査項目を示した ( 表 7.5-3) なお 今回の事例検討では対象とならなかったが 施設稼動時の生物の利用状況や撤去の工法により発生する可能性のある影響の 2 項目を追加した 海鳥 付着生物 魚類等の生物が 海洋掘採施設設置時に 海洋掘採施設を生活に必要な施設 ( 中継地 生息基盤等 ) としていた場合の 撤去後の生活基盤の喪失による影響が想定される 撤去工事の際 浚渫を行う計画がある場合は 浚渫工事 浚渫土砂の仮置き等による海底撹乱の影響が想定される また モニタリングを実施する項目によっては事前の情報把握が必要なので 事前の調査対象とする必要がある 2 調査時期環境影響評価を実施するには 撤去作業前に現況の把握を行う必要があるが 事例の検討結果及び国内で実施されている環境影響評価のための調査実施の事例等に加え また 撤去前の事前準備の期間も考慮した結果 撤去工事の1~ 数年前に実施することが望ましいと考えられる 調査は 一般の環境調査のように四季の調査が望ましいが 沿岸域に比べて調査の困難さが想定される沖合では 海域の状況に応じて 撤去工事の影響が把握できる時期を考慮した上で 適切な時期 ( 季節 ) に実施することで良いと考えられる なお 沿岸域では四季調査が望ましい 情報の確認には 撤去工事中 撤去後の監視調査 ( モニタリング ) も必要であるが 項目 時期とも事前の調査結果と比較できるよう同等のものが望ましいと考えられる 撤去工事中には 調査項目によっては 安全性の観点から工事中ではなく 直前 直後の実施という方法の選択も可能と考えられる 3 調査の範囲環境影響評価の際の現地調査の範囲は ある要因による影響が想定される範囲の内側及び外側の地点で実施することが一般的である 海洋掘採施設の撤去に関しては 事例検討結果から 環境への影響は軽微であるが環境変化が確認される範囲が 海洋掘採施設の直近の 200m 程度の範囲であることが確認されている この範囲は周辺の流れの状況等によって違うことが想定されるが それを考慮した上で 磐城沖の事例を参考にして 数 100mの範囲を影響が想定される範囲 352

359 1~2km 離れた地点を対照地点として設定することを基本として 現地の状況に応じて 調整することで対応できると考えられる 4) モニタリング項目 時期については 前項に示した内容に沿うのが良いと考えられる すなわち 工事中は水質 底質 底生生物 水中騒音を主として対象とし 撤去後は海底の変化に着目し 底質 底生生物に着目して実施することが望ましい 実施時期は 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 の海洋施設廃棄許可申請の手続きに係る環境監視の規定を参考に 撤去後 3 年を目安にして 撤去数年後に設定するのが適切であると考えられる なお 沖合域での情報は少ないことから 情報収集は可能であれば早い段階から現地調査等により情報収集しておくことが有効であると考えられる なお 現地調査 モニタリングの実施に当たっては 沖合域における調査は情報の少なさと現地調査実施の困難さを伴うことから 海域の特性に応じて適切な計画立案が必要であると考えられる 353

360 作業内容 撤去の準備施設の洗浄 要因 排水の排出 表 7.5-2(1) 海洋掘採施設撤去時に想定される影響と配慮事項 -1 主に影響が想定される環境要素 想定される影響 影響の特徴 留意事項 対策 配慮の重要性 水質 洗浄排水の漏出による水質汚濁 排水の適切な処理計画作業時のモニタリング実施 動植物プランクトン 海生生物 生態系 水質汚濁による生息環境の悪化沿岸域では藻場 干潟等への影響に留意する 作業船の存在海域利用海域の占有による利用阻害 排ガスの排出大気質排ガスによる大気汚染 沿岸域では特に漁場 海上交通の利用が多いので影響に留意する 沿岸域では陸地への影響の可能性が考えられる 事前の周知と理解が必要工事中の監視が必要 負荷量の把握 35 撤去作業 作業船の航行 / 存在 排水 水質排水による水質汚濁沿岸域では富栄養化の促進に留意する 動植物プランクトン水質汚濁による生息環境の悪化 水中騒音の発生海産哺乳類水中騒音による行動阻害 夜間照明 沖合い域では回遊経路の阻害等に留意する 事前の確認 工事中の監視が必要 海生生物 夜間照明による蝟集 漁業 夜間照明による操業阻害 廃棄物の発生生活に伴う廃棄物の発生による環境負荷適切な処理 沿岸域では陸地への影響の可能性が考え騒音の発生騒音掘削時の機器稼動による騒音の発生られる 切断時の水中騒音の発生 海生生物 ( 魚類 海産哺乳類 水中騒音による行動阻害 工法により影響が違うので事前に影響検討が必要 事前の確認 工事中の監視が必要 施設の切断 作業に伴う水質汚濁 作業に伴う海底撹乱 水質濁りの発生 有害物質の負荷 海生生物 生態系水質汚濁による生息環境の悪化 水質 浚渫等に伴う海底撹乱による濁りの発生 工法により影響が違うので事前に影響検討が必要 浚渫が伴う場合は特に留意する 底質海底撹乱 再堆積による底質変化 海生生物 生態系水質 底質変化による生息環境の悪化 浚渫工事の実施による海底撹乱 底質 底生生物 浚渫 土砂の仮置きによる影響 浚渫を実施する場合に留意が必要である 廃棄物の発生 水質 底質 切り屑の拡散 堆積による環境への負荷 注 :1. 表中の太字で示した項目は想定される影響に 特に配慮が必要なものである 2. 配慮の重要性 の記号は : 重要 : 条件によって必要となる ( 影響の特徴 モニタリングが必要等 ) : 可能であれば対応が望ましい を示す

361 表 7.5-2(2) 海洋掘採施設撤去時に想定される影響と配慮事項 作業内容施設の移動撤去作業整地 仮置き 引き倒し 要因 施設の不在 ( 基盤の喪失 ) 整地 主に影響が想定される環境要素 想定される影響 影響の特徴 留意事項 対策 配慮の重要性 水質 仮置き 引き倒しに伴う海底撹乱による濁りの発生 底質 仮置き 引き倒しに伴う海底撹乱による底事前の調査による確認が質の変化必要 底生生物 仮置き 引き倒しに伴う生物の圧殺水質 底質の変化による生息環境悪化 海鳥付着生物 魚類 生活に利用していた施設の喪失 水質 整地に伴う濁りの発生 底質 整地に伴う海底撹乱による底質変化 海生生物 生態系 水質 底質の変化による生息環境悪化海域利用整地作業により影響が回避 低減できる 流況施設の存在による流況変化 施設の残留 施設の存在 施設からの負荷 施設の移動 海生生物 生態系 施設の存在による海底環境の変化に伴う生物相の変化 生物が蝟集する可能性が考えられる モニタリングによる確認が望ましい 漁業船舶航行 施設の存在による海域利用阻害 水質 残留施設からの有害物質の負荷による 残留前の性状確認が必要 底質 水質 底質への影響 海生生物 生態系 水質 底質の変化による生息環境悪化生態系 水質 施設の移動等に伴う海底撹乱による濁りの発生 残留方法の検討が必要 底質 施設の移動等に伴う海底撹乱による底質変化 海生生物 生態系水質 底質の変化による生息環境悪化漁業施設の移動による漁業操業阻害 注 :1. 表中の太字で示した項目は想定される影響に 特に配慮が必要なものである 2. 配慮の重要性 の記号は : 重要 : 条件によって必要となる ( 影響の特徴 モニタリングが必要等 ) : 可能であれば対応が望ましい を示す

362 表 海洋掘採施設撤去時の現地調査による情報収集 調査項目 区分 現地調査の実施 モニタリング 大気環境 大気質 二酸化窒素 二酸化硫黄 粉じん等 騒音 振動騒音騒音 ( 水中騒音 ) 水環境水質底質海底環境 水の濁り 有害物質等による汚れ 粒径組成 有機物質 有害物質等による汚れ 海底地形海底地形 流況流況 海生生物 プランクトン 海産哺乳類生物環境海鳥 遊泳生物 底生生物 生態系 脆弱な生態系海洋生物の生息にとって重要な海域特殊な生態系 人と自然との触れ合い活動の場 海洋レクリエーション 海中公園等 漁場 海域利用 航路 海底ケーブル敷設 海底資源等 温室効果ガス等 光害 廃棄物等 船舶からの二酸化炭素夜間照明作業船からの廃棄物切り屑 注 : 表中の記号は : 重要 : 条件によって必要となる ( 影響の特徴 モニタリングが必要等 ) : 可能であれば対応が望ましい を示す なお 印のついてない項目は文献調査等により情報収集し 環境影響評価対象とすることが望ましい項目である 356

363 ( 参考資料 )

364 表 1 採水時の海象 気象等 (2012 年 8 月調査 ) 測点 N1 SW1 項目調査日 2012 年 8 月 30 日 2012 年 8 月 30 日 調査時間 08:03~08:18 08:35~9:00 天候 晴 晴 波の高さと方向 0~0.5m 南西 北東 0~0.5m 南西 北東 雲量 4 3 風向 風速 SW 5.0m/s SW 4.0m/s 気温 水色 5B2.5/4.5 5B2.5/4.5 透明度 18m 18m 臭気 なし なし 採水位置緯度 採水位置経度 水深 155m 155m 表 2 採泥時の海象 気象等 (2012 年 8 月調査 ) 測点 N1 N3 NE3 SE1 項目調査日 2012 年 8 月 31 日 2012 年 8 月 31 日 2012 年 8 月 31 日 2012 年 8 月 31 日 調査時間 08:57~09:13 07:17~07:38 07:50~08:12 08:30~08:47 天候 晴 晴 晴 晴 波の高さと方向 0~0.5m 南南西 北北東 0~0.5m 南南東 北北西 0~0.5m 南 北 0~0.5m 南南西 北北東 雲量 風向 風速 SW 4.0m/s SSE 2.0m/s SSW 2.0m/s WSW 4.0m/s 気温 ( ) 水色 3PB2.0/5.0 3PB2.0/5.0 3PB2.0/5.0 3PB2.0/5.0 透明度 (m) 臭気 なし なし なし なし 採泥位置緯度 採泥位置経度 水深 放射能 (Bq/cm 2 ) 泥温 泥状 夾雑物 細砂 シルト なし 細砂 シルト なし 細砂 シルト なし 細砂 シルト なし 泥色 7.5Y4/2 7.5Y4/2 7.5Y4/2 7.5Y4/2 測点 S1 S3 SW1 SW3 項目調査日 2012 年 8 月 30 日 2012 年 8 月 30 日 2012 年 8 月 30 日 2012 年 8 月 30 日 調査時間 09:47~10:10 10:23~10:44 09:05~09:39 10:55~11:25 天候 晴 晴 晴 晴 波の高さと方向 0~0.5m 西 東 0~0.5m 南西 北東 0~0.5m 西 東 0~0.5m 南西 北東 雲量 風向 風速 W 5.0m/s SES 4.0m/s W 3.0m/s SW 4.0m/s 気温 ( ) 水色 5B2.5/4.5 5B2.5/4.5 5B2.5/4.5 5B2.5/4.5 透明度 (m) 臭気 なし なし なし なし 採泥位置緯度 採泥位置経度 水深 放射能 (Bq/cm 2 ) 泥温 泥状 夾雑物 細砂 貝殻 細砂 貝殻 細砂 貝殻 細砂 シルト なし 泥色 7.5Y4/2 7.5Y4/2 7.5Y4/2 7.5Y4/2 参考資料 -1

365 表 4 水質分析結果 (2012 年 8 月調査 ) 測点 N1 SW1 項目水深 0m 75m 底上 10m 0m 75m 底上 10m 定量下限値 水温 ( ) 塩分 濁度 ( 度 ( ホルマシ ン )) <1 <1 1 <1 <1 1 1 水素イオン濃度 溶存酸素量 (mg/l) 化学的酸素要求量 (mg/l) 有機体炭素 (mg/l) 浮遊物質量 (mg/l) <1 <1 <1 <1 <1 <1 1 n-ヘキサン抽出物質 (mg/l) < < 硝酸態窒素 (mg/l) < < 亜硝酸態窒素 (mg/l) <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 < アンモニア態窒素 (mg/l) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 < りん酸態りん (mg/l) クロロフィルa (μg/l) 表 4 底質分析 ( 物性 含有量試験 ) 結果 (2012 年 8 月調査 ) 測点 N1 N3 NE3 SE1 S1 S3 SW1 SW3 項 目 密度 (g/cm 3 ) 過マンカ ン酸カリウムによる酸素消費量 (mg/g) 有機体炭素 (mg/g) 硫化物 (mg/g) <0.01 < <0.01 < < 乾燥減量 (%) 強熱減量 (%) n-ヘキサン抽出物質 (mg/kg) <50 60 <50 <50 <50 50 <50 <50 カドミウム (mg/kg) < < <0.05 シアン化合物 (mg/kg) <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 鉛 (mg/kg) 六価クロム (mg/kg) <1.0 <1.0 <1.0 <1.0 <1.0 <1.0 <1.0 <1.0 ひ素 (mg/kg) 総水銀 (mg/kg) <0.01 <0.01 <0.01 < <0.01 アルキル水銀 (mg/kg) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 ポリ塩化ビフェニル (mg/kg) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 銅 (mg/kg) 亜鉛 (mg/kg) ふっ素化合物 (mg/kg) セシウム134 (Bq/kg) セシウム137 (Bq/kg) 注 ) セシウム 134 とセシウム 137 の値は 乾泥あたりの放射能濃度で示した 表 5 底質分析 ( 溶出試験 ) 結果 (2012 年 8 月調査 ) 参考資料 -2

366 測点 N1 N3 NE3 SE1 S1 S3 SW1 SW3 項 目 カト ミウム又はその化合物 (mg/l) <0.005 <0.005 <0.005 <0.005 <0.005 <0.005 <0.005 <0.005 シアン化合物 (mg/l) <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 有機りん化合物 (mg/l) <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 鉛又はその化合物 (mg/l) <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 六価クロム又はその化合物 (mg/l) <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 ひ素又はその化合物 (mg/l) <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02 水銀又はその化合物 (mg/l) < < < < < < < < アルキル水銀化合物 (mg/l) < < < < < < < < ポリ塩化ビフェニル (mg/l) < < < < < < < < 銅又はその化合物 (mg/l) <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 <0.05 亜鉛又はその化合物 (mg/l) ふっ化物 (mg/l) 表 6 動物プランクトン分析結果 (2012 年 8 月調査 ) プラットフォーム単位 : 個体 /m 3 番測点 N1 SW1 号門綱 ( 亜綱 ) 目科種表層中層底層表層中層底層 1 肉質鞭毛虫根足虫有孔虫 - Foraminifera 50 2 放射足虫 - - Radiolaria 刺胞動物ヒドロムシクダクラゲ - Siphonophora 軟体動物マキガイ - - Gastropoda (larva) 節足動物甲殻 ( 鰓脚 ) ミジンコシダ Penilia avirostris ウミオオメミジンコ Evadne spinifera Evadne tergestina 甲殻 ( 橈脚 ) カラヌスアカルチア Acartia sp. (copepodite) 10 9 カラヌス Calanus pacificus Calanus spp. (copepodite) Mesocalanus tenuicornis Calanidae (copepodite) カロカラヌス Calocalanus sp. (copepodite) カンダシア Candacia sp. (copepodite) セントロパジェス Centropages sp. (copepodite) クラウソカラヌス Clausocalanus arcuicornis Clausocalanus furcatus Clausocalanus minor Clausocalanus pergens Clausocalanus spp. (copepodite) Pseudocalanus spp. (copepodite) Ctenocalanus vanus (copepodite) Clausocalanidae (copepodite) メトリディア Metridia sp. (copepodite) パラカラヌス Paracalanus parvus Paracalanus spp. (copepodite) キクロプスオイトナ Oithona atlantica Oithona similis Oithona spp. (copepodite) Paroithona pulla Paroithona pulla (copepodite) ハルパクチクスエクチノソマ Microsetella norvegica Microsetella rosea Microsetella spp. (copepodite) ポエキロストムコリケウス Corycaeus affinis オンケア Oncaea media Oncaea scottodicarloi Oncaea venusta Oncaea spp Oncaea spp. (copepodite) Copepoda (nauplius) 甲殻 ( 蔓脚 ) フジツボ - Balanomorpha (nauplius) Balanomorpha (cypris) 甲殻 ( 軟甲 ) オキアミ - Euphausiacea (furcilia) 毛がく動物ヤムシヤムシヤムシ Sagitta nagae Sagitta spp. (juvenile) きょく皮動物ヒトデ - - Ophiuroidea (ophiopluteus) 原索動物オタマボヤオタマボヤオタマボヤ Oikopleura longicauda Oikopleura spp サイヅチボヤ Fritillaria spp サルパウミタルウミタル Doliolum nationalis 個体数合計 種類数 沈殿量 (ml/m 3 ) 注 ) 表層 : 水面 ~ 水深 50m 中層: 水深 50m~100m 底層: 水深 100m~ 底上 10m. 参考資料 -3

367 表 7 植物プランクトン分析結果 (2012 年 8 月調査 ) 単 位 : 細胞数 /L 番 測点 N1 SW1 号 門 綱 目 科 種 0m 75m 0m 75m 1 藍色植物 藍藻 ネンジュモ ユレモ Trichodesmium sp. * 30 2 クリプト植物 クリプト藻 - - Cryptophyceae 30 3 渦鞭毛植物 渦鞭毛藻 プロロケントルム プロロケントルム Prorocentrum minimum Prorocentrum triestinum 60 5 ギムノディニウム - Gymnodiniales ノクティルカ ノクティルカ Noctiluca scintillans 45 7 ペリディニウム ケラチウム Ceratium kofoidii Ceratium trichoceros 15 9 Ceratium tripos ペリディニウム Protoperidinium spp カルキオディネラ Scrippsiella sp オキシトキサム Oxytoxum tesselatum Oxytoxum sp Peridiniales 不等毛植物 珪藻 円心 タラシオシーラ Thalassiosira spp Thalassiosiraceae メロシーラ Leptocylindrus danicus Leptocylindrus mediterraneus アステロラムプラ Asteromphalus heptactis Asteromphalus sarcophagus リゾソレニア Guinardia flaccida Rhizosolenia fragilissima Rhizosolenia indica Rhizosolenia phuketensis ビドゥルフィア Hemiaulus membranaceus キートケロス Bacteriastrum varians Chaetoceros compressum Chaetoceros debile Chaetoceros denticulatum Chaetoceros didymum var. protuberans Chaetoceros distans Chaetoceros spp 羽状 ニッチア Cylindrotheca closterium Nitzschia sp Pseudo-nitzschia spp ハプト植物 ハプト藻 - - Haptophyceae 緑色植物 プラシノ藻 - - Prasinophyceae 不明鞭毛藻類 unidentified flagellates 合計 種類数 沈殿量 (ml/l) 注 : 種名に * を付けた種の数値は糸状体数を示す 参考資料 -4

368 表 8 魚卵分析結果 (2012 年 8 月調査 ) 単 位 : 個体数 /1000m 3 番 測点 N1 SW1 号 門 綱 目 科 種 和名 項目 個体数 個体数 1 脊椎動物 硬骨魚 ニシン カタクチイワシ Engraulis japonicus カタクチイワシ 7 2 ウナギ - Anguilliformes ウナギ目 Unidentified s.o. Egg-1 単脂球形卵 Unidentified s.o. Egg-2 単脂球形卵 Unidentified n.o. Egg 無脂球形卵 7 合計 ( 個体数 ) 種類数 4 4 不明卵の特徴 種 和名 卵径 (mm) 油球径 (mm) 油球数 その他 Unidentified s.o. Egg-1 単脂球形卵 Unidentified s.o. Egg-2 単脂球形卵 Unidentified n.o. Egg 無脂球形卵 表 9 稚仔魚分析結果 (2012 年 8 月調査 ) 単 位 : 個体数 /1000m 3 番 測点 N1 SW1 号 門 綱 目 科 種 和名 項目 個体数 個体数 1 脊椎動物 硬骨魚 ニシン カタクチイワシ Engraulis japonicus カタクチイワシ スズキ イソギンポ Pictiblennius yatabei イソギンポ 13 3 フグ フグ Tetraodontidae フグ科 7 合計 ( 個体数 ) 種類数 1 3 参考資料 -5

369 表 10(1/2) マクロベントス分析結果 (2012 年 8 月調査 N E 方向 ) 参考資料 -6

370 単位 : 個体数 ; 個体 / m2湿重量 ;g/ m2番測点 N1 N3 NE3 SE1 号門綱目科種和名項目個体数湿重量個体数湿重量個体数湿重量個体数湿重量 1 刺胞動物花虫イソギンチャク - Actiniaria イソギンチャク目 2 ハナギンチャクハナギンチャク Cerianthidae ハナギンチャク科 3 ひも形動物ヒモムシヒモムシ - Heteronemertini ヒモムシ目 NEMERTINEA ひも形動物門 軟体動物カセミミズケハダウミヒモケハダウミヒモ Chaetodermatidae ケハダウミヒモ科 マキガイニナタマガイ Naticidae タマガイ科 ブドウガイキセワタガイ Philine argentata キセワタガイ ツノガイツノガイツノガイ Striodentalium rhabdotum ムチツノガイ ニマイガイキヌタレガイキヌタレガイ Petrasma pusilla キヌタレガイ 10 クルミガイマメクルミガイ Acila insignis キララガイ スミゾメソデガイ Neilonella dubia ハトムギソデガイ シワロウバイ Nuculana sp. シワロウバイ属 13 Yoldia similis ナガソデガイ 14 フネガイオオシラスナガイ Limopsis sp. オオシラスナガイ属 イガイイガイ Solamen spectabilis キサガイモドキ Mytilidae イガイ科 ウグイスガイミノガイ Limatula vladivostokensis ヒメユキバネガイ ハマグリトマヤガイ Cyclocardia ferruginea クロマルフミガイ ツキガイ Lucinoma yoshidai ヨシダツキガイモドキ ウミタケガイモドキリュウグウハゴロモガイ Periploma plane リュウグウハゴロモガイ 21 隔鰓シャクシガイ Cardiomya sp. ヒメシャクシガイ属 22 環形動物ゴカイサシバゴカイサシバゴカイ Paranaitis sp Phyllodoce sp Phyllodocidae サシバゴカイ科 25 コガネウロコムシ Aphrodita sp. 26 ウロコムシ Harmothoe sp ノラリウロコムシ Sthenelais sp Sthenolepis sp シリス Syllinae ゴカイ Nereis surugaensis スルガゴカイ チロリ Glycera sp ニカイチロリ Goniada sp Glycinde sp カギアシゴカイ Paralacydonia paradoxa カギアシゴカイ シロガネゴカイ Aglaophamus sp イソメナナテイソメ Onuphis sp. 37 Onuphidae ナナテイソメ科 イソメ Eunice sp Marphysa sp. 40 ギボシイソメ Lumbrineris sp Ninoe sp セグロイソメ Drilonereis sp ノリコイソメ Schistomeringos sp. 44 ホコサキゴカイホコサキゴカイ Phylo sp Scoloplos sp. 46 ヒメエラゴカイ Aricidea antennata ツルヒゲヒメエラゴカイ Aricidea simplex ボウズヒメエラゴカイ Aricidea sp Paraonidae ヒメエラゴカイ科 スピオスピオ Laonice sp Malacoceros indicus ツノスピオ 52 Polydora sp. 53 Prionospio dubia オカスピオ Prionospio sp. 55 Spiophanes kroeyeri スズエラナシスピオ ミズヒキゴカイ Chaetozone sp Tharyx sp ハボウキゴカイハボウキゴカイ Diplocirrus sp Pherusa sp イトゴカイイトゴカイ Leiochrides sp Notomastus sp Pulliella sp Capitellidae イトゴカイ科 64 タケフシゴカイ Clymenura sp Clymenopsis cingulata ヒトエラタケフシゴカイ Rhodine loveni ミノガサタケフシゴカイ Clymenella sp Maldanella harai ハナビラタケフシゴカイ Asychis disparidentata クツガタタケフシゴカイ Maldanidae タケフシゴカイ科 オフェリアゴカイオフェリアゴカイ Travisia sp トノサマゴカイ Scalibregma inflatum トノサマゴカイ フサゴカイカザリゴカイ Ampharete sp. 74 Amphicteis sp Auchenoplax sp Ampharetidae カザリゴカイ科 フサゴカイ Pista sp Terebellidae フサゴカイ科 タマグシフサゴカイ Terebellides sp. 80 Trichobranchus bibranchiatus ヒモエラタマグシフサゴカイ ケヤリケヤリ Chone sp Euchone sp. 83 Sabellidae ケヤリ科 星口動物星虫ホシムシ - Sipunculida ホシムシ目 節足動物甲殻カイムシウミホタル Cypridinidae ウミホタル科 Philomedidae Euphilomedes sp コノハエビコノハエビ Nebalia japonensis コノハエビ 88 クーマナギサクーマ Sympodomma sp. マルオクーマ属 シロクーマ Eudorella sp. クツガタクーマ属 ナンノクーマ Nannastacidae ナンノクーマ科 91 クーマ Diastylis sp. クーマ属 Dimorphostylis sp. サザナミクーマ属 ワラジムシ Ilyarachnidae Ilyarachna sp ヨコエビスガメソコエビ Ampelisca furcigera コブトリスガメ Ampelisca misakiensis ミサキスガメ Byblis sp. オボコスガメ属 イシクヨコエビ Photis sp. クダオソコエビ属 ホテイヨコエビ Cyproideidae ホテイヨコエビ科 フトヒゲソコエビ Lysianassidae フトヒゲソコエビ科 クチバシソコエビ Oedicerotidae クチバシソコエビ科 ヒサシソコエビ Phoxocephalidae ヒサシソコエビ科 マルソコエビ Urothoe sp. マルソコエビ属 エビアナエビ Axiidae アナエビ科 コブシガニ Ebalia tuberculosa ヤマトエバリア クモガニ Pugettia minor ヒメモガニ 106 ヒゲガニ Podocatactes hemifer トゲヒゲガニ 棘皮動物クモヒトデクモヒトデスナクモヒトデ Amphiuridae スナクモヒトデ科 クモヒトデ Ophiura sp Stegophiura sp Ophiuridae クモヒトデ科 ウニブンブクホンブンブク Spatangidae ホンブンブク科 SPATANGOIDA ブンブク目 113 ナマコイモナマコイモナマコ Molpadiidae イモナマコ科合計 ( 個体数 湿重量 ) 種類数 注 : 欄内の "0.00" は湿重量が0.08g 未満を表す 表 10(2/2) マクロベントス分析結果 (2012 年 8 月調査 S W 方向 ) 参考資料 -7

371 単位 : 個体数 ; 個体 / m2湿重量 ;g/ m2番測点 S1 S3 SW1 SW3 号門綱目科種和名項目個体数湿重量個体数湿重量個体数湿重量個体数湿重量 1 刺胞動物花虫イソギンチャク - Actiniaria イソギンチャク目 ハナギンチャクハナギンチャク Cerianthidae ハナギンチャク科 ひも形動物ヒモムシヒモムシ - Heteronemertini ヒモムシ目 NEMERTINEA ひも形動物門 軟体動物カセミミズケハダウミヒモケハダウミヒモ Chaetodermatidae ケハダウミヒモ科 マキガイニナタマガイ Naticidae タマガイ科 7 ブドウガイキセワタガイ Philine argentata キセワタガイ ツノガイツノガイツノガイ Striodentalium rhabdotum ムチツノガイ ニマイガイキヌタレガイキヌタレガイ Petrasma pusilla キヌタレガイ クルミガイマメクルミガイ Acila insignis キララガイ 11 スミゾメソデガイ Neilonella dubia ハトムギソデガイ シワロウバイ Nuculana sp. シワロウバイ属 Yoldia similis ナガソデガイ フネガイオオシラスナガイ Limopsis sp. オオシラスナガイ属 イガイイガイ Solamen spectabilis キサガイモドキ 16 Mytilidae イガイ科 ウグイスガイミノガイ Limatula vladivostokensis ヒメユキバネガイ ハマグリトマヤガイ Cyclocardia ferruginea クロマルフミガイ 19 ツキガイ Lucinoma yoshidai ヨシダツキガイモドキ ウミタケガイモドキリュウグウハゴロモガイ Periploma plane リュウグウハゴロモガイ 隔鰓シャクシガイ Cardiomya sp. ヒメシャクシガイ属 環形動物ゴカイサシバゴカイサシバゴカイ Paranaitis sp. 23 Phyllodoce sp. 24 Phyllodocidae サシバゴカイ科 コガネウロコムシ Aphrodita sp ウロコムシ Harmothoe sp ノラリウロコムシ Sthenelais sp. 28 Sthenolepis sp. 29 シリス Syllinae ゴカイ Nereis surugaensis スルガゴカイ チロリ Glycera sp ニカイチロリ Goniada sp Glycinde sp. 34 カギアシゴカイ Paralacydonia paradoxa カギアシゴカイ シロガネゴカイ Aglaophamus sp イソメナナテイソメ Onuphis sp Onuphidae ナナテイソメ科 イソメ Eunice sp Marphysa sp ギボシイソメ Lumbrineris sp Ninoe sp セグロイソメ Drilonereis sp ノリコイソメ Schistomeringos sp ホコサキゴカイホコサキゴカイ Phylo sp Scoloplos sp ヒメエラゴカイ Aricidea antennata ツルヒゲヒメエラゴカイ Aricidea simplex ボウズヒメエラゴカイ Aricidea sp Paraonidae ヒメエラゴカイ科 スピオスピオ Laonice sp Malacoceros indicus ツノスピオ Polydora sp Prionospio dubia オカスピオ Prionospio sp Spiophanes kroeyeri スズエラナシスピオ ミズヒキゴカイ Chaetozone sp Tharyx sp. 58 ハボウキゴカイハボウキゴカイ Diplocirrus sp Pherusa sp. 60 イトゴカイイトゴカイ Leiochrides sp Notomastus sp Pulliella sp Capitellidae イトゴカイ科 タケフシゴカイ Clymenura sp Clymenopsis cingulata ヒトエラタケフシゴカイ 66 Rhodine loveni ミノガサタケフシゴカイ 67 Clymenella sp Maldanella harai ハナビラタケフシゴカイ 69 Asychis disparidentata クツガタタケフシゴカイ 70 Maldanidae タケフシゴカイ科 オフェリアゴカイオフェリアゴカイ Travisia sp. 72 トノサマゴカイ Scalibregma inflatum トノサマゴカイ フサゴカイカザリゴカイ Ampharete sp Amphicteis sp Auchenoplax sp Ampharetidae カザリゴカイ科 フサゴカイ Pista sp. 78 Terebellidae フサゴカイ科 タマグシフサゴカイ Terebellides sp Trichobranchus bibranchiatus ヒモエラタマグシフサゴカイ 81 ケヤリケヤリ Chone sp Euchone sp Sabellidae ケヤリ科 星口動物星虫ホシムシ - Sipunculida ホシムシ目 節足動物甲殻カイムシウミホタル Cypridinidae ウミホタル科 Philomedidae Euphilomedes sp コノハエビコノハエビ Nebalia japonensis コノハエビ クーマナギサクーマ Sympodomma sp. マルオクーマ属 89 シロクーマ Eudorella sp. クツガタクーマ属 ナンノクーマ Nannastacidae ナンノクーマ科 クーマ Diastylis sp. クーマ属 Dimorphostylis sp. サザナミクーマ属 ワラジムシ Ilyarachnidae Ilyarachna sp. 94 ヨコエビスガメソコエビ Ampelisca furcigera コブトリスガメ Ampelisca misakiensis ミサキスガメ 96 Byblis sp. オボコスガメ属 イシクヨコエビ Photis sp. クダオソコエビ属 ホテイヨコエビ Cyproideidae ホテイヨコエビ科 99 フトヒゲソコエビ Lysianassidae フトヒゲソコエビ科 クチバシソコエビ Oedicerotidae クチバシソコエビ科 ヒサシソコエビ Phoxocephalidae ヒサシソコエビ科 マルソコエビ Urothoe sp. マルソコエビ属 エビアナエビ Axiidae アナエビ科 コブシガニ Ebalia tuberculosa ヤマトエバリア クモガニ Pugettia minor ヒメモガニ ヒゲガニ Podocatactes hemifer トゲヒゲガニ 棘皮動物クモヒトデクモヒトデスナクモヒトデ Amphiuridae スナクモヒトデ科 クモヒトデ Ophiura sp Stegophiura sp Ophiuridae クモヒトデ科 111 ウニブンブクホンブンブク Spatangidae ホンブンブク科 SPATANGOIDA ブンブク目 ナマコイモナマコイモナマコ Molpadiidae イモナマコ科 合計 ( 個体数 湿重量 ) 種類数 注 : 欄内の "0.00" は湿重量が0.08g 未満を表す 表 11 メイオベントス分析結果 (2012 年 8 月調査 ) 参考資料 -8

372 単位 : 個体数 /10cm 2 番号門 綱 目 科 種 測点 N1 N3 NE3 SE1 S1 S3 SW1 SW3 1 原生動物 根足虫 有孔虫 - Foraminiferida 有孔虫目 繊毛虫 CILIOPHORA 繊毛虫門 袋形動物 イタチムシ - - GASTROTRICHA イタチムシ綱 45 4 線虫 デスモスコレクス Desmoscolecidae Desmoscolecidae NEMATODA 線虫網 1, , ,359 1,087 1,812 1,585 6 動ふん - - KINORHYNCHA 動ふん網 45 7 軟体動物 ニマイガイ - - BIVALVIA ニマイガイ綱 45 8 環形動物 ゴカイ サシバゴカイ シリス Exogoninae 45 9 節足動物 甲殻 カイムシ - Ostracoda カイムシ目 カイアシ - Harpacticoida ソコミジンコ亜目 Harpacticoida(nauplius) ソコミジンコ亜目 ( ノープリウス ) クーマ - CUMACEA クーマ目 45 合計 1,766 1,630 1,449 1,450 2,265 1,721 2,400 2,128 参考資料 -9

373 図 1 粒度組成分析結果 (2012 年 8 月調査 N1,3) 参考資料 -10

374 図 2 粒度組成分析結果 (2012 年 8 月調査 NE3,SE1) 参考資料 -11

375 図 3 粒度組成分析結果 (2012 年 8 月調査 S1,S3) 参考資料 -12

376 図 4 粒度組成分析結果 (2012 年 8 月調査 SW1,SW3) 参考資料 -13

377 Copepoda(nauplius) Oithona sp.(copepodite) Oncaea scottodicarloi 写真 1 優占した動物プランクトン (2012 年 8 月調査 ) Gymnodiniales Haptophyceae Pseudo-nitzschia sp. 写真 2 優占した植物プランクトン (2012 年 8 月調査 ) 参考資料 -14

378 ウナギ目不明卵 ( 単脂球形卵 -1) 不明卵 ( 単脂球形卵 -2) 写真 3 優占した魚卵 (2012 年 8 月調査 ) カタクチイワシ イソギンポ フグ科 写真 4 優占した稚仔魚 (2012 年 8 月調査 ) 参考資料 -15

379 Chone sp. Lumbrineris sp. Aglaophamus sp. 写真 5 個体数で優占したマクロベントス (2012 年 8 月調査 ) 線虫綱 有孔虫目 ソコミジンコ亜目 写真 6 優占したメイオベントス (2012 年 8 月調査 ) 参考資料 -16

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