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2 2007 年度 ( 平成 19 年度 ) 博士学位論文 RADFET による宇宙機環境におけるトータルドーズ計測法 A total dose measurement technique using RADFETs in spacecraft environment 2008 年 3 月 鹿児島大学 大学院理工学研究科 博士後期課程生命物質システム専攻 木本雄吾 主指導教員 亀野誠二

3 目次 Abstract 1 序論 1.1 研究の背景 ~ 宇宙機環境におけるトータルドーズ計測の必要性 ~ 背景 宇宙放射線の半導体素子への影響 トータルドーズ設計の問題点 トータルドーズ計測の必要性 1.2 トータルドーズ効果 ~メカニズムと衛星不具合 ~ はじめに 背景 トータルドーズ効果による衛星不具合 人工放射線帯による影響 予期せぬ軌道投入 JAXA( 旧 NASDA を含む ) 衛星 1.3 宇宙用線量計 線量計 (Dosimeter) 各線量計の原理と校正手法の代表例 宇宙用線量計の要求事項 1.4 RADFET はじめに 歴史 計測原理と研究動向 RADFET の人工衛星への応用例 1.5 本論文の構成 2 RADFET の校正試験 2.1 これまでの試験手法の問題点 2.2 校正手法の検討 2.3 本研究で使用する RADFET 2.4 γ 線照射試験 アニールデータの取得 温度特性 (-40~60 ) 特性のばらつきの影響 線量率の影響評価 アニール効果の補正

4 2.5 陽子線照射試験 PSI における照射試験 (E=13,25,41,60MeV) 放射線医学総合研究所における照射試験 (E=70MeV) 陽子線照射試験のまとめ 2.6 電子線照射試験 2.7 RADFET または DOS センサ自身の遮蔽効果に関する考察 2.8 第 2 章のまとめ 3 フライトデータの解析 3.1 はじめに 3.2 MDS-1~つばさ衛星 ~ 3.3 MDS-1 搭載積算吸収量計 DOS(DOSimeter) フライトデータの解析 3.4 宇宙環境モデルによるトータルドーズの計算 3.5 MDS-1 搭載軽粒子モニタ SDOM(Standard DOse Monitor) フライトデータとモデルの比較 フライトデータを吸収線量に換算 捕捉陽子の過小評価 3.6 ADEOS-II( みどり 2) 搭載 RADFET の計測結果 3.7 第 3 章のまとめ 4 衛星設計への反映 4.1 衛星設計への反映 4.2 今後の計画 5 総論 謝辞 APENDIX1 APENDIX2 RADFET を使用した軌道上計測の例 DOS センサの Ray-trace によるセンサシールド厚の計算

5 Abstract This thesis mainly describes a total dose measurement technique using radiation-sensitive field effect transistors (RADFETs) in a spacecraft environment along with flight data analysis results obtained using the technique. A RADFET is a specially designed P-channel metal oxide semiconductor (PMOS) transistor that is optimized for increased radiation sensitivity and which has a thick gate oxide. Chapter 1 presents the background of this research. The necessity for total dose environment measurement in the spacecraft is explained. One reason is that radiation-hardened electronic parts have become difficult to obtain in light of the increasing use of commercial off-the-shelf products (COTS), which are vulnerable to radiation environments. Another reason is that the design for total dose has been overestimated. For these reasons, total dose measurement techniques to be used inside spacecraft have become important. Calibration methods for RADFETs are discussed in chapter 2. First, dosimeters, which measure the total dose environment, were investigated. The superiority of RADFETs used in this study was discussed. Gamma-ray irradiation test results were compared to those of electron and proton irradiation tests. Results show that a gamma-ray irradiation technique is used for a standard calibration method for RADFETs used in space. The fading phenomenon (or annealing effect), by which the RADFET voltage decreases with time, was evaluated. The annealing effect can be corrected using a deconvolution technique. Regarding irradiation dispersion, temperature effects on irradiation were analyzed; the measurement error attributable to these factors was discussed. Chapter 3 presents results of flight data analysis of the Dosimeter (DOS) onboard the Mission Demonstration test Satellite -1 (MDS-1). The MDS-1, launched on 2 February 2002, has experimental devices to verify the function of commercial parts and components, and to collect space environment data. The satellite has a highly elliptical orbit (GTO; Geostationary Transfer Orbit). The MDS-1 flight data were calibrated using the correction technique described in chapter 2. The results were compared with calculation data using the SHIELDOSE-2 based on the space radiation model (AE8 and AP8: standard trapped radiation belt models), and electron and proton data obtained from the on-board radiation spectrometer (SDOM). The model calculation is considered to overestimate the total dose in the shield of less than 2.7 mm thickness. This result might reflect the expanded use of COTS. On the other hand, flight data for the shield thicker than 8 mm shows a greater total dose than the model data. However, the value is lower by a factor of 10 than that for the thinner shield. Therefore, overestimation is not considered to be serious. A method to use these results in satellite design for total dose is discussed in chapter 4. Design margins are also reported for some shield thicknesses. Finally, the results of this research are summarized in chapter 5.

6 第 1 章 序論 1.1 研究の背景 ~ 宇宙機環境におけるトータルドーズ計測の必要性 ~ 背景旧ソビエト連邦が打上げた直径 58cm の人類初の人工衛星スプートニク 1 号が宇宙空間を周回してから今年で 50 年が経過した これ以降米国 および世界を巻き込んだ宇宙開発の時代が到来した 現在 高度約 400km 上空には完成後約 109m 約 73m( サッカーのフィールドと同じくらい ) にも及ぶ巨大な国際宇宙ステーション (International Space Station: ISS) が周回し 宇宙旅行が現実のものとなった そして気象 通信 放送 測位等 人工衛星を利用した宇宙利用が我々の生活に密接に関るようになってきている 地球環境のモニタリングのために地球観測衛星の利用が行われているのもその一例である 一方 宇宙環境が引き起こしたと考えられる人工衛星の不具合や異常が存在する 最近では 2003 年 10 月末から 11 月初旬にかけて至上最大規模の太陽フレアが多数発生し 多くの衛星に障害を及ぼしたことが知られている [1] 特に 2003 年 10 月 24 日 16 時 12 分 (UT) に宇宙航空研究開発機構 (Japan Aerospace Exploration Agency 以下 JAXA) の環境観測技術試験衛星 みどりⅡ (ADEOS-Ⅱ) の太陽電池パドル発生電力が 6KW から 1KW に低下する事象が発生し 衛星全損に至る不具合 [2] となった ISS 人工衛星の利用が広範囲に広がろうとするこれからを踏まえ 宇宙環境とその影響 リスクを再認識し 新しい問題にも対処する必要がある 例えば高精度な光学機器を取り扱う場合の新しい問題として 宇宙機周囲の汚染 ( コンタミネーション ) の問題が 宇宙から地上へ回収されてきた材料の解析からわかってきている [3] 我々の生活に一層密着するであろう人工衛星等宇宙機の設計要素の一つに耐放射線性設計がある これは文字通り宇宙機が遭遇する放射線に耐える設計を考慮することである 従来は耐放射線性のある半導体デバイスを国産で開発して使用 もしくは海外から輸入して使用してきた 現在でも特に必要なデバイスについては 半導体メーカ等にその開発を委託している半導体デバイスも存在する しかしながら PC モバイル ゲームマシン等発展著しい民生半導体分野に対し 耐放射線性を要求仕様に含める分野は圧倒的に需要が多い民生分野と比較し 採算が合わなくなってきている 加えて 最先端のデバイスに対して 機能的に何世代か遅れた製品しか入手できないことは 高機能が要求される宇宙機へのアプリケーションとしてはマイナスである また米国は技術戦略的に耐放射線性を有する高性能 IC の技術情報若しくは製品そのものの輸出を制限しているため 必要な耐放射線を有する半導体デバイスを使えない例もある こうして小型 省電力 高機能が要求される宇宙分野に対し 進歩の著しい民生部品を使用せざるを得ない状況となってきている これらには当然ながら耐放射線設計がされていない したがって民生部品を使用するためには 遮蔽設計 即ち放射線の影響を小さくするためのシールド設計を考慮する必要がある それら考慮を行うためには ミッション要求に合わせた宇宙環境モデルによる宇宙放射線の評価 シールド厚 - 放射線吸収線量 ( ドーズデプスカーブ ) の評価が必要である しかしながら昨今の宇宙機からの宇宙放射線デ

7 ータ解析の結果 従来から使用してきた宇宙環境モデルの問題点等が明らかになってきている また衛星メーカからのヒアリングによれば 海外コンポーネントと比較して国内向けコンポーネントは質量が重い 即ちシールド設計が過剰であるとの認識がある 耐放射線設計が過剰な理由の一つは耐放射線設計が Military スペックを参考に作られたことである 宇宙開発黎明期において冷戦を背景としたロケット或いはミサイル技術の進歩は高層核実験を進行させ その中には大部分の人工衛星を死に追いやった事件も存在する 高層核実験は内帯の電子フラックスを増大させ 太陽電池 データレコーダ等の衛星コンポーネントを劣化 故障させた この頃から人工衛星の開発には耐放射線設計が必要であるという認識が芽生えはじめた 米ソ冷戦時代 米国には旧ソ連による ICBM 攻撃に備え 高層 (500km) で核爆発を起こさせ 発生した放射能の帯を楯とする計画 Augus 作戦が考えられていた 核爆発中にも耐えられる人工衛星の設計というのも考えられていたのである 米国へのキャッチアップで行ってきた日本の宇宙開発は明らかなオーバースペックを受け入れてきた可能性がある 宇宙放射線の半導体素子への影響放射線が半導体素子 ( 及び材料 ) へ与える効果 影響という点では入射した全放射線の累積効果によるものと1 個の荷電粒子の入射による効果のものとに大別され 前者をトータルドーズ効果 後者をシングルイベント効果と総称している トータルドーズ効果とは 放射線との相互作用により部品 材料等の特性が変化 大部分は劣化する効果である この効果は部品 材料中に吸収される放射線のエネルギーに依存する トータルドーズ効果には電離損傷 (Ionizing damage) と変位損傷 (Displacement damage) の 2 つが存在する 電離損傷は入射放射線により電子 正孔対が発生し その影響で半導体素子等を劣化させる現象である 一方 変位損傷は半導体素子中の結晶格子原子が入射放射線によってはじき出されて格子欠陥を作り その影響で半導体素子等を劣化させる現象である 前者は IC 等半導体デバイスで問題となり 後者は太陽電池セルや CCD 素子等光学デバイスで問題となる なお MOS(Metal-Oxide-Semiconductor) 構造を有する半導体デバイスは電離損傷の影響を受けやすく 変位損傷が問題になるよりもずっと低いレベルで動作しなくなってしまう場合が多く 変位損傷まで考える必要はない よって本論文において 電離損傷の影響のみをトータルドーズ効果 (TID 効果 :Total Ionizing Damage) と定義し説明を行う さて半導体素子へのトータルドーズ効果の具体的な影響としては リーク電流の増加 消費電力の増加 閾値電圧のシフト 動作タイミングの変化等が挙げられる 図 に FPGA Actel A1425A( 民生品 ) へ行ったγ 線照射試験データについて示す [5]

8 図 FPGA へのトータルドーズ効果の影響 図 は 4 つのデバイスのスタンバイ電流がγ 線照射に従い変化した結果を示すものであるが 約 10krad(=100Gy) から徐々に電流が増加し 性能が劣化しているのがわかる トータルドーズ設計の問題点トータルドーズ効果を設計にどのように取り組むか 即ちトータルドーズ設計は民生部品適用に際し 今後ますます重要になる 一方で 半導体素子 電子機器のトータルドーズ効果による不具合に関する報告は驚くほど少ない 不具合が報告されるケースとしては宇宙機が極端な放射線環境下に曝される場合か 当初の寿命を大きく超えてトータルドーズ効果によって故障した場合かである この背景には1) 放射線モデル 2) 照射試験 3) コンポーネント遮蔽計算 4) 部品選定に関る安全率 等に起因する過度の設計マージンが存在するからであると考えられる この過度のマージンに寄与すると考えられる遮蔽計算について述べる 遮蔽は部品 材料が受けるトータルドーズ効果のレベルに強いインパクトを与え 特に電子の寄与に効く コンピュータシミュレーション技術に後押しされ 詳細に計算が行われるようになったのは最近である ESA ガンマ線観測衛星 INTEGRAL(9000km 15000km,i=51.6 ) の機器のシールド効果の計算例を表 示す [6] 一般的な要求値としては 3mm Al 球で 120krad(=1.2kGy) である 5mm Al 厚立方体を衛星構造体の上におくと 6krad(=60Gy) のレンジとなる コンポーネント 12krad のレンジではファクター 2 の設計マージンをとることとなる 12krad~ 120krad と一桁違う設計仕様となってしまう 12krad ならば 民生用 16-bitADC が使用できた可能性があったかもしれない

9 表 INTEGRAL 搭載 AFEE/DFEE コンポーネントのシールド効果の計算例 Thickness [mm Al] 球殻 [rad] 立方体 [rad] 衛星構体上の立方体 [rad] しかしながら正確なトータルドーズ計算はマージンを減らすことに貢献はするが 計算の過程にはまだ不確定要素がある シールド計算のためにそのマージンを可能な限り減らすことができても 宇宙環境モデルや放射線試験手順に関連した不確定要素が存在する トータルドーズ計測の必要性設計手法は確立されていると言えるが 実際の有効性については 実フライトデータが無いためにわかっていないのが実情である このため使いたい部品が使えなかったり 過度のシールドを行っていたりする例が後を絶たない また宇宙実証実験においては 目的とする部品 コンポーネントの耐放射線性を確認する宇宙用線量計が要求されてきた このため 宇宙機内部のトータルドーズ計測の必要性が言われてきている

10 1.2 トータルドーズ効果 ~メカニズムと衛星不具合 ~ はじめに 項で述べたとおり トータルドーズ効果は 半導体素子内部での電離損傷によって起こる効果である 本項においてそのメカニズムと具体的な衛星不具合事例について述べる 背景 1962 年に Telstar1 通信衛星がバンアレン帯の放射線による劣化現象によって運用を停止した もっともこれはこの時代の米国と旧ソ連の高高度核実験によりバンアレン帯が増大したことによる ( 後述 ) この事件以来 特に半導体材料への放射線の影響の精力的な研究が行われ 現在に至っている 放射線 厳密に言えば電離放射線は物質中に電子 - 正孔対 ( 即ち電離作用 ) を発生させる 電離量は物質中に吸収される総エネルギー量 ( 放射線吸収線量 ) に関係し 放射線吸収線量 ( 又は吸収線量 ) は通常 Gy( グレイ :Gray) で表される 1Gy=1J/kg である 学術的論文等では伝統的に rad( ラド :rad) が使用されており 100rad=1Gy 1rad=100erg/g である この吸収されたエネルギーによる主な問題は誘電体中に捕捉された電子あるいは正孔 若しくは両方であり これらは物質の特性に影響を及ぼす 熱的に成長させた酸化シリコン (SiO 2 ) はもっとも興味のある誘電物質であり また MOS(Metal Oxide Semiconductor) 構造および MOS デバイスへのトータルドーズ効果の影響は最も重要な研究課題である 電離放射線が照射された時の SiO 2 中に起こる基礎的なプロセスを図 に示す 入射した放射線は電子 - 正孔対を生成する 電子は移動度が大きく 酸化膜中からピコ秒のオーダで掃き出される [7] [8] 正孔は移動度が小さいため 電場の影響により確率的な捕捉- 跳躍 (Trap-hopping) プロセスで挙動する 電子が酸化膜から掃きだされる前に 電子と正孔のいくつかは再結合する また 電子の一部は捕捉されるが通常 それら電子に比べ多くの正孔が主に Si/SiO 2 界面に捕捉される ( 捕捉電荷 ) それに加え Si/SiO 2 界面における作用は捕捉トラップサイトを築き それは容易に Si と電荷を交換することができる ( 界面順位の形成 ) 捕捉電荷と界面準位の形成は放射線照射によって起こるデバイスの特性変化を決定する

11 図 電離放射線効果を示した MOS 構造のエネルギーバンド トータルドーズ効果による衛星不具合 人工放射線帯による影響米国初の人工衛星であるエクスプローラー I が打ちあがって数年後の 1962 年 7 月 10 日 Telstar-1 衛星 (953.8km 5637km i=44.8 ) が打ち上げられた その衛星は AT&T によって設立されたベル研究所が設計 製造 そして NASA によって支援された Telstar-1 は同日に米国からフランスへの生ライブ TV 中継を行い 衛星通信時代の幕が開けた この衛星はトランスポンダ 増幅装置を持つ初めてのアクティブな通信衛星であった 1962 年 7 月 9 日 Telstar-1 が打ち上がる前日 米国は高層核実験を行った ( スターフィッシュ実験 ) 放射線帯に注入された電子による この極めて高い放射線レベルはいくつかの電子機器 ( コマンドデコーダーのダイオード ) を劣化させ 終に 1963 年 2 月 21 日に Telstar-1 は機能を停止した これがトータルドーズ効果による初めての人工衛星の喪失と言われている しかしよく調べてみると Telstar-1 は同時期に運用されて 機能を停止した他の衛星よりも長く運用を続けた 高度約 400km で行われた1M トンクラスの高層核実験 スターフィッシュ実験により生じた圧倒的量のベータ線 ( 電子 ) は地球磁力線に捕捉され 1970 年代まで人工的な放射線帯をつくりだした この新しい放射線帯は Telstar-1 が被曝するトータルドーズを 100 倍にしたと言われている Telstar-1 は 1962 年 11 月中旬に不具合を多発し 11 月 24 日に運用を中断した しかしいくつかの処置により機能を回避したが 1963 年 2 月 21 日に永久に機能停止した Telstar-1 のコマンドデコーダーはトランジスタとナローベーストランジスタから構成されているが これらは変位損傷には敏感ではなく 電離損傷に敏感である 2 つのトランジスタへの地上試験により 0.6 と 2.3Mrad 被爆後に故障したことがわかった またスターフィッシュ実験が行われた 1962 年以降少なくとも 10 個の衛星が (7 ヶ月間に 7 つの衛星 ) が破壊されている Telstar-1 Transit 4B Traac Ariel OSO-1 などである [9] 初の国際科学衛星である Ariel は電離圏と太陽放射線を研究する NASA/GSFC と英国 ( 大学 ) の衛星であるが 1962 年 4 月 26 日に打ち上げられ

12 年 9 月までデータを取得した スターフィッシュ実験による太陽電池パドルの急速な劣化が原因である 断続的に機能を回復したが 1964 年 11 月に機能を停止した Transit 4B Traac についても太陽電池の劣化が原因である Telstar-1 は太陽電池に不具合がないこと Mrad クラスのトータルドーズまで耐性があったこと等を鑑みれば Telstar-1 には耐放射線設計が施されていたとみるべきである 米国と旧ソ連による高層核実験は 1967 年に国際的な条約により禁止されるまで行われた これら実験は地上だけではなく ( スターフィッシュ実験の後ハワイに限り EMP 効果 (Electro Magnetic Pulse effect) が観測 ) 放射線帯に長期間の影響をもたらした スターフィッシュ実験により 約 5 年以上内帯の電子が定常の状態より約 1 桁増加していたと言われる 予期せぬ軌道投入 HIPPARCOS は 1989 年 8 月 8 日に打上げられた ESA の恒星の位置や年周視差を 大気の影響の無い宇宙空間で精密に測定することが主ミッションの衛星である アポジモータの不具合で km i=65 の GTO へ投入された このため衛星は設計よりもより 5~10 倍の放射線を浴びることになった HIPPARCOS は 5 つのジャイロを持ち 3 つが同時に動作する ミッション 3 年後 5 つのジャイロは次々に 6 ヶ月の期間内に動作停止した その内 4 つは回転が遅くなり 最終的な停止は BipolarPROM のアクセス時間の劣化が原因でおこった PROM がうけたドーズは約 40Krad と推定されている HIPPARCOS は静止軌道で 2.5 年間の寿命で設計されが GTO で 3.5 年以上運用された またこの間 CRRES で計測された第 2 内帯の増加現象にも遭遇している [10] JAXA( 旧 NASDA を含む ) 衛星トータルドーズ効果が現れた衛星は唯一 技術試験衛星 Ⅳ 型 (ETS-Ⅳ) という意見がある この衛星は 1981 年 2 月 11 日 N-II ロケットで長楕円軌道 ( 約 220km 36000km i=28.5 ) へ打ち上げられ 同年 5 月 12 日に予定の 3 ヶ月間の運用期間を終了した その後 運用が継続され 搭載機器の機能点検等が適宜行われ 太陽電池の発生電力の低下が著しくなったため 1984 年 12 月 24 日運用を停止した 運用末期にはトータルドーズ効果による半導体デバイスの劣化の影響が出てきたとのことである

13 1.3 宇宙用線量計 線量計 (Dosimeter) 線量計とは放射線の被曝量を測定するセンサ ( 或は素子 ) 及び計測装置 ( リーダーともいう ) 一式であり センサのみを示す場合もある 計測装置等のセンサ駆動回路又は信号処理回路と一体化していて ほぼ同時に計測結果が表示されるものを能動型 センサのみで事後処理により計測結果がわかるものを受動型と分類している 一般的には放射線管理が目的で人体が受ける量と空間 ( 環境 ) が受ける量を測定するセンサが存在し 前者は水が受ける量 ( エネルギー ) 後者は水又は空気が受ける量( エネルギー ) を基本とする 人体を対象とする場合は 放射線の線質や各臓器毎の放射線感受性の違いで補正した線量を全身について合計した値 実効線量 (Sv) が使われる 空間 ( 環境 ) を対象とする場合 単位質量当りの物質が放射線によって吸収したエネルギー 放射線吸収線量 ( 又は吸収線量 )(Gy) が使用される また照射量 即ち空気中で電離されたイオンの総量を単位とするレントゲン (R) が使われる場合もある 1(R) は0 1 気圧の空気中で (C/kg) の電荷を発生させる照射線量である 各線量計の原理と校正手法の代表例 一般的な線量計 計測範囲と計測原理を表 に示す 能動的に線量率 (Gy/sec 等 ) を測定できるものは除いた 表 線量計 名称 計測範囲 計測原理 ガラス線量計 10-5 ~10Gy ある種のガラス ( 銀活性化リン酸塩ガラス ) に放射線を照射し その後紫外線を照射すると蛍光を発す PMMA 線量計 ( 商品名 Radix RN15 AmberGammachrome-YR) る ( ラジオフォトルミネッセンス ) 本現象の蛍光量が照射された線量に比例することを利用 10 3 ~10 6 Gy[11] 透明あるいは着色されたポリメチルメタクリレート (PMMA) 放射線により放射線吸収線量に比例して 変色する 変色 ( 単位厚さあたりの吸光度変化量 ) を紫外 可視光域の分光光度計で測定して利用 TLD 10-6 ~100Gy[12] CaF2 等の結晶中にある電子が 放射線との相互作用 により より高いエネルギー順位に飛び出して 結 晶中の不純物 ( 多くは Mn) のために捕捉され 過熱されるまで留まる 結晶を加熱することにより その電子が基準電位まで落ちるが そのときに特定の周波数の光子を放出する ( 熱ルミネッセンス反応 ) この光子の量が放射線吸収線量に比例することを利用 アラニン線量計 100~10kGy[13] アミノ酸の一種 アラニン中の放射線吸収線量に比 例して生じる室温で安定なラジカル量を測定する CTA 線量計 ~ Gy[14] ことを利用三酢酸セルロースの放射線照射による波長 280nm の光の吸光度の増加が放射線吸収線量に比例することを利用 例えばアラニン線量計は ESR(Electron Spin Resonance; 電子スピン共鳴 ) 線量計の一

14 つである 固体状の有機物または無機物に電離放射線を照射すると その放射線吸収線量に比例して安定なフリーラジカル又は不対電子をもつ格子欠陥が生じる これら不対電子が強磁場中でゼーマン効果と呼ばれるエネルギー分離を起こし この分離エネルギーに等しいマイクロ波を吸収することを利用して 不対電子の量を信号強度として測定することを ESR 法という この信号強度 (ESR 信号 ) から被照射体の放射線吸収線量が測定可能である 毛髪 衣類 ボタン等からの ESR 信号を利用した放射線事故後の人体被曝線量の推定や放射線処理された食品の検知等にもこの ESR による線量測定法の応用が研究されている アミノ酸の一種であるアラニンを主成分とするアラニン線量計は 生成ラジカルが室温に非常に安定であるため 高精密で安定な線量計としてその研究開発が行われてきた その開発の中で 校正試験としては国家標準で校正された線量計 ( 電離箱 ) で照射試験が行われ ばらつき 直線性 温度の影響 フェーディング ( 減衰率 ) について行われた [15] PADLES(Passive Dosimeter for Lifescience Experiments in Space) は宇宙ステーション与圧部へ搭載される生物試料への宇宙放射線影響を調べるために開発された固体飛跡検出器 (CR-39) と熱蛍光線量計 (TLD-MSO) を組み合わせた線量計と自動線量解析システムである 本組み合わせの線量計は STS-47(1992 年 ) STS-84(1997 年 ) STS-91(1998 年 ) STS-95(1997 年 ) で実験機器として搭載された また ISS/SMHDTV 撮像素子損傷影響検証実験 (2001 年 ~2002 年 ; 日間 ) ISS/SM マトリョーシカ実験 (2004 年 ~ 2005 年 ) に搭載された TLD-MSO は Mg2SiO4:Tb( ケイ酸マグネシウム ) の結晶をパイレックスガラスで封入した化成オプトニクス社製 TLD である CR-39 はジエチレングリコールビスのプラスチック板 ( 商品名 : ハーツラス TD-1( フクビ化学工業 ( 株 ))) で この板に放射線粒子が入射すると粒子の通り抜けた跡にそって 板に損傷が生じる 板を化学処理することで この損傷部分が侵食され エッチピットと呼ばれる飛跡ができる このエッチピットの形と数を詳しく調べることで 入射した粒子の位置や 放射線吸収線量がわかる TLD-MSO は放射線吸収線量の読み出しが容易であるが LET 分布測定ができないという欠点がある さらに 高 LET 放射線に対して熱蛍光効率が低下する (LET10keV/μm 以上で低下 ) ので高 LET 成分の多い宇宙船内の放射線場では放射線吸収線量を過小評価する 一方 CR-39 は低 LET 放射線には不感であるが 高 LET 放射線の飛跡を記録する能力がある CR-39 中の個々の粒子の飛跡を解析することにより個々の粒子の LET が測定できる CR-39 の LET 検出下限は約 4keV/μm なので 宇宙放射線の LET 分布測定用としては十分な機能を持つ TLD の高 LET 側の LET 応答関数を予め求めておくことにより CR-39 で測定した LET 分布を使って高 LET 側の見かけの放射線吸収線量を算出し これに基づき上述の過小評価分を補正して 正確な放射線吸収線量を評価することができる また CR-39 は 2keV/μm 以上 ( 実用的には 10keV/μm 以上 ) の重イオンの飛跡を検出できるので 線質係数や生物学的効果比が LET の関数として変化する領域で 1 次及び 2 次宇宙線の LET 分布を直接飛跡の観測から得ることができる この 2 種類の検出器から得られるデータを相補的に組み合わせることによって 全 LET 領域の放射線吸収線量 線量当量並びに平均の線質係数を評価することが可能となる 更に CR-39 で測定した LET 分布と ICRP の定める Q-LET 関係から 10keV/ μm 以上の放射線吸収線量 (LET>10keV/μm) と線量当量 (LET>10keV/μm) を計算できる

15 PADLES は宇宙船内の生物試料 宇宙飛行士の被曝 ( 線量当量 ) に寄与する陽子 α 粒子及び HZE 粒子等の高 LET 粒子の影響を測定するため 放医研 HIMAC 重イオン加速器による地上照射実験が行われた TLD 素子については重イオン照射後の熱蛍光発光量の時間依存性 ( フェーディング特性 ) データの取得 その際の保存温度依存性データの取得が行われた また粒子入射角度依存性についても評価がされた STS-89 STS-91 フライト実験においては 実時間型放射線モニタ (Real-time Radiation Monitoring Devices:RRMD)-Ⅱ,Ⅲと共に搭載された RRMD( 本説明は-Ⅲ) は Si 位置検出器を 3 枚組み合わせた検出器である CR-39 による LET 分布では標準偏差で 30% 前後のゆらぎを伴うものの その平均値統計誤差の範囲で互いに一致した しかしながら RRMD- Ⅱや CR-39 の解析方法では陽子やそのターゲットフラグメント成分が測定できないため LET 分布が過小評価になり 線量当量計算に補正を要する結果になった 補正を加えた結果 RRMD-Ⅲの結果と TLD/CR-39 組み合わせの結果はよい一致を示した [16] 宇宙用線量計の要求事項人工衛星内部用の線量計の開発要求事項としては 下記がある (1) 小型 軽量 低消費電力であること (2) 振動 衝撃 熱サイクル等の宇宙機が遭遇する環境に適合すること (3) テレメトリとして地上へデータを発信可能であること (4) 人工衛星が被曝する線量範囲を測定できること (5) 広範囲なエネルギー分布を持つ電子 陽子の混在場での計測が可能であること (1) は自明なことであるが 放射線スペクトラムを計測する粒子計測機器 (SDOM( 後述 ) 等 ) が搭載されれば 取得データから放射線吸収線量への換算は可能である しかしながら 粒子計測機器は線量計に比べはるかに大型であり その目的からして人工衛星内部には搭載できない また複数の搭載も非現実的である (2) も宇宙機特有の要求事項であり 概して厳しい機械的熱的環境に耐える必要がある (3) に関して 項で述べた線量計は受動的である 即ち線量計は後で測定する必要がある しかしながら人工衛星内部用としては 自律的にデータを取得し 地上へデータを送信できる必要がある (4) については 一般的に静止軌道 10 年で 1kGy(=10 5 rad) の被曝があると言われており 宇宙用部品の要求としてそれ以上のトータルドーズ耐性が要求されている よって 計測範囲としては 1kGy のファクター 2or3 を設定し 0~3kGy と考える (5) に関連して 一般的な線量計は放射性同位元素や加速器から発生する単色な放射線を対象としている 本研究で対象とするのは広範囲の電子 陽子の環境下での計測であり そのような環境での測定が可能でなければならない

16 1.4 RADFET はじめに RADFET は Radiation Sensitive Field Effect Transistor の略で 日本語で敢えて言えば 放射線高感受性電解効果トランジスタ といえる 特徴としては 電離損傷の効果を高くするために普通の半導体素子よりもゲート酸化膜を厚くした ( 例 400nm)PchMOS トランジスタである 表 に民生用 IC の酸化膜厚みのトレンドを示す [17] 1997 年の情報であるが 民生用マイクロプロセッサ ASIC 技術においては 現在は 100nm のレベルが予想されていた 実際はその 1/10 薄く 民生用 DRAM は 10nm である ( 参考 : 宇宙用 PowerMOSFET は 80nm のレベル ) IC の高集積密度要求に従い 酸化膜厚は薄くなる傾向であるが RADFET は放射線に感受性を持たせるため SiO 2 の酸化膜を厚く製造している 表 民生用デバイスの酸化膜要求トレンド MOS 構造を持つデバイスへの電離損傷のメカニズムについては Nch と Pch では捕捉正電荷と界面準位の影響が異なる ( 図 ) PchMOS においては電離損傷における捕捉正電荷と界面準位の影響が同じ負の方向へ働き 被曝線量に対し閾値電圧を負の方向へ増加させる しかしながら Nch では時間的にゆっくり進行する界面準位の影響があるレベルで支配的に効いてくるために 閾値電圧が被曝線量に対し正と負に変化する場合がある よって線量によって一方向に増加する PchMOS が RADFET には使用される

17 P チャネルを阻害 Gate SiO2 N チャネルを阻害 Gate SiO2 Source Drain N substrate PchMOS(Vg<0) Source Drain P substrate NchMOS(Vg>0) 閾値電圧 捕捉正電荷の影響 界面準位の影響 NchMOS 正 負の方向 正の方向 PchMOS 負 負の方向 負の方向 捕捉正電荷の影響 Ids Ids 捕捉正電荷の影響 初期特性 初期特性 界面準位の影響 界面準位の影響 - 被爆後 Vg PchMOS + - 被爆後 Vg NchMOS + 図 Nch 及び PchMOS 構造への放射線の影響 歴史 MOS トランジスタの電気特性が高エネルギー粒子又は光子によって変化することは長年知られていた 放射線吸収線量が多くなるにつれ 酸化膜中の電荷は多くなる この電荷捕捉効果の放射線吸収線量計測への応用として 放射線に感受性を高めた PchMOS トランジスタ構造の開発研究が行われてきた Holmes-Siedle はこのデバイスを Space-Charge(SC) Transducer また August は MOS dosimeters と呼んで研究を行っていた 一方 Hughes は Radiation Sensitive Field Effect Transistor 即ち RADFET とこの特別な素子を定義し 研究を行ってきたが 今日この名称がポピュラーになってきている RADFET は 1) 消費電力が小さい 2) 軽量 3) シンプル等の理由で宇宙機の放射線吸収線量計測への応用技術研究が行われてきた ヨーロッパでは ESA 及び ESTEC の契約の元 Southampthon 大学 ( イギリス ) NMRC( 現 Tyndall National Institute)( アイルランド ) で研究が行われてきた また Holmes-Siedle 氏はイギリスにおいて REM 社を設立し RADFET に関するコンサルティングを行っている 米国では Sandia National Laboratories カナ

18 ダでは Thomson Nielsen 社において研究が行われている ESA は RADFET を搭載した衛星として 1978 年には GEOS-2( 静止軌道 ) と OTS[18] を 1988 年には Meteosat-3( 静止軌道 ) を打ち上げている [19]( 後述 ) また ESA は RADFET と放射線粒子計測装置を一体コンポーネントとし人工衛星用標準放射線環境モニタ (SREM: Standard Radiation Environment Monitor) を多数製作した それらは STRV-1c(2000 年 11 月 15 打上げ 電源系の不具合で 1 ヶ月で運用終了 ) PROBA 1(2001 年 10 月 22 日打上げ 高度約 600km 太陽同期準回帰軌道 ) INTEGRAL(2002 年 10 月 17 日打上げ ) HEO( アポジ km ペリジ 10000km i=51.6 度 ) ROSETTA(2004 年 3 月 2 日打上げ 彗星 Churyumov-Gerasimenko に向かう惑星間軌道) に搭載されている カナダにおいても研究開発が行われている APENDIX1 へ応用例についてまとめる 米国では海軍においてヨーロッパのデバイスと民生 p-chmos トランジスタの比較研究が行われた 計測原理と研究動向図 に RADFET の原理を示す MOS 構造のゲート酸化膜に高絶縁シリコン酸化層を成長させる これは電荷の捕捉に十分な酸化膜厚みと電極の厚みを除けば従来型の MOS 構造である この酸化膜は二つのモードにおいて計測を行い 正の電荷を収集する 低バイアスモード下では 新しい界面トラップが it で示される位置に生成される 高バイアスモード下では 追加の捕捉電荷が ot で示される位置に生成される 金属電極に電圧をかけた場合 電子 - 正孔対が酸化膜で形成され ドリフトし 分離する 正孔トラップのシートは電子を捕獲する それに対応する負の電荷はシリコン中に形成される 図において これを s で示すが これは電気的に測定できる High Energy Particle or Photon + e Irradiation Bias,VI Metal 金属 - 酸化物 - 半導体 (MOS) 構造の断面図バイアス 電場 ;VI EI 発生した電荷 ;s= 半導体中の電荷 it= 界面 EI ot it + h Insulator 補足電荷 ot= 酸化膜捕捉電荷 h= 正孔 e= 電子 s n-silicon 図 RADFET の断面図

19 典型的な界面準位の影響 Dose level 照射前 Drain current ID 放射線吸収線量が 1 3 に増 加するにつれ マイナス方向 ( 左方向 ) へシフトする Id=10uA - Gate voltage Vg + 図 P-chMOS トランジスタの閾値電圧のシフト 図 は発生した電荷を測定する方法の一つを示している 即ち MOS トランジスタの電流 -ゲート電圧カーブのシフトを測定する ドレイン電流をある値 たとえば 10μA とし その電流値におけるゲート電圧 ( 閾値電圧 (Vth)) を計測する この Vth は放射線吸収線量のパラメータである 高バイアスモードでは酸化膜捕捉電荷 ot が生成する 高バイアスモードは ( 例えば 100V/ μm( 約 +10V 電極に印可 )) に正の電場を印可したものである 閾値電圧の初期値からの変化量 ΔVth は放射線生成電荷密度 ΔQ ot に比例する ΔVth=KΔQ ot で K は定数である ある放射線吸収線量の範囲において ΔQ ot は放射線照射に比例する 理想的な線量の式は次の様に示される ΔVth=R A D (1) ここで R は電荷の生成 酸化膜の厚みに関係する定数である A は電荷 ot が捕捉される確率 D は放射線吸収線量を示す R と A は MOS デバイス固有のものである 低バイアスモードでは バイアスとして 0 又は負の電圧を印可する ( 例えば-2V) 界面電荷 it とその酸化膜への効果は酸化膜捕捉電荷 ot の生成よりも理解されていない しかしながら Winokur[4] らは高い負の電圧を MOS キャパシタに印可した場合 界面準位の生成が抑えられた一方 正の電圧では界面準位の生成率が多くなることを発見した また電圧を印可しない ゼロバイアスモードも研究されている Freeman [20] によれば (1) 式の R はほぼ酸化膜厚の平方根に比例する また A はシリコン近傍の捕捉電荷が存在する帯域を通過してホールが動いて止まる確率に比例すると主張している 捕捉中心が 例えば酸化膜の高温処理やイオン注入によって十分に大きな密度に形成されれば A の値 ( ここでは ΔQ ot ) は大きくなる このように高感度 RADFET は十分な正孔捕捉中心を持つ厚い酸化膜を持っている August[21] や McLean[22] は 低バイアスモード ( バイアス 0 又は負 ) において 下記の関係であることを示している ΔV th =D 0.66 (2) Holmes-Siedle[23] は 50-1,000rad(=0.5-10Gy)(Co 60 γ 線 ) で試験したところ 上記のと

20 おり 線形ではあるが より高い線量では線形を示さなかったこと主張している またより厚い酸化膜では 10rad(=0.1Gy) レベルにおいてΔV th が容易に計測できることを示しており rad(= Gy) において 下記の関係であることを示している ΔV t =kd n (3) ここで n は大部分のデバイスで 0.98 より大きかった また ,000rad(= Gy) では n は徐々に減少し August[21] や McLean[22] が示した 0.6 付近に近づいたことを述べている このようにデバイスや酸化膜厚 ロットによって感受性が異なることが言われている これは 数種の放射線による捕捉電荷の発生モデルが存在しているからと考えられる Huges は一方で 酸化膜からの電子の拡散モデルを提唱している [24] すべでの線量計は幾らかの緩和効果を受ける これは アニール効果又はフェーディング と呼ばれている 熱蛍光線量計 (TLD) 或いはガラス線量計のフェーディングは数週間で約 20% にも達する Nichols[25] による MOS デバイスへの照射試験における線量率効果に関するレビューは ドーズレート効果はあまり重要ではないが 極めて弱い線量率 例えば宇宙空間における宇宙放射線による照射では 再結合プロセスは地上の実験室レベルと大きく異なることが考えられると結論づけている これについて Holmes-Siedle は RADFET 構造 即ち最も感受性がある pchmos においては深く捕捉されたサイト中に放射線が誘発した電荷が保持されていると実験において結論づけている よって閾値電圧のシフトは MOS 型構造のデバイスと異なり 長時間において大きく変化しないとしている 一方 RADFET に蓄積された電荷を消去する方法については 1) 約 時間デバイスを加熱する 2) 紫外線を酸化膜に照射する 方法がある これらの方法は RADFET を再利用する可能性を示唆している Kelleher[26] は 40krad(400Gy) まで照射した RADFET を でアニール加熱させた結果 ほぼ完全に回復したことを示した さらに再度照射試験した結果 第 1 回目の照射後 Vt より 5% 少ない Vth まで変化したことを示している これに関連して NMRC( 現 Tyndall 国立研究所 ) は 放射線吸収線量を 1rad 分解能で 1Mrad のレンジで計測できる RADFET ベースの線量計の開発を行った [27] このシステムは複数の RADFET で構成され おのおのがヒータで温度制御される RADFET に近接したヒータはデバイスをある温度に制御することを可能とし さらに必要ならば放射線によってできた生成された捕捉電荷をアニールすることができる さて RADFET をリモートで運用する場合 基本的に 曝露モード と 計測モード の 2 つのモードがある 図 に 2 つのモードについて示す 1 つは 曝露モード と呼ばれ 放射線環境に 曝す モードである 曝露モード は複数の手法があり ゲート (Vg) に正のバイアス ( 例えば +5V)( 高バイアスモード ) トランジスタすべての端子が接地され曝露されているモードや負のバイアス ( 例えば-5V) を印可モード ( 低バイアスモード ) 更にドレインに計測モードと同じ電流を一定で流すモード ( これは結果的にゲートに負のバイアスを印可したことと同意 ) がある もう一つは 測定モード で 電圧値を読み取るモードである ドレイン ゲートを接地 ソース / バルクに電流 ( 例えば 10μA) を通電後のゲート-ソース間電圧 (Vds) を測

21 定する Gate Source ゲート電圧 0V RADFET Drain 10µA Gate Source Drain V ゲート電圧 5V -5V or Id=-10μA 一定 Gate Source Drain RADFET Exposure mode 図 運用モード RADFET Measure mode 曝露モードと計測モードを切り替える際に起こる界面電位の揺れ 即ちドリフトは誤差要因になり得る またロット毎にこれら効果は異なる これは 量は少ないが Si/SiO 2 界面にあるアルカリ金属が負のゲート電圧のもとで移動することに由来する [28] RADFET の人工衛星への応用例例えば Adams Daly らは 8 個の RADFET 及び 2 個の 256KbitSRAM を METEOSAT-3( 静止軌道 1988 年 7 月打上げ ) に搭載し 放射線の影響を計測した [19] RADFET は 60 の視野でハニカムパネル及び太陽電池セル ( 約 0.2g/cm 2 ) 下に搭載されている 表 に RADFET のバイアス及びシールド条件等を示す これら RADFET50 個を同じロットから選択し Co- 60 で照射し 校正を行った

22 表 RADFET のパラメータ シールド 酸化膜厚 Exposure 感度 [mv/rad] [μm] バイアス [V] RADFET1 無し RADFET2 無し RADFET3 無し RADFET4 1.5mm Al RADFET5 Al/Ta* RADFET6 1.5mm Al RADFET7 無し RADFET8 無し * シールドは 1.5mm Al と同じ 0.405g/cm 2 となる様に選択 RADFET8 は高感度のため トランスファー軌道において飽和してしまった また RADFET6 7 は逆に低感度であったため データが得られなかった RADFET1~5 について 温度補正 スムージングしたデータを表 に示す 予測データは形状とシールドの補正をした 表 RADFET による計測結果 RADFET 予想ドーズレート 実測ドーズレート 予想 / 実測 [rad/day] [rad/day] RADFET RADFET RADFET RADFET RADFET 図 に 3 つの太陽フレアイベントを含む 2 年間の RADFET1~4 データについて示した RADFDT1 は ±12rad 4 は ±14rad の誤差を有する RADFET1 のバックグランドは 1.1rad/ 日ある この値は太陽フレアの前後でも変わらなかった しかしながら 図 に示す通りドーズレートは一定ではなく RADFET1 で 0~3rads/ 日であった 1989 年 10 月にイベントではドーズレートは 20 倍となったデータが得られている これを含めた3つのドーズの急増は太陽陽子による影響と結論づけている NOAAGOES の陽子データと SHIELDOSE を使用して放射線吸収線量を計算した結果は 450rads で RADFET1 の 225rads と異なる 経験的に Co 60 と低エネルギー陽子の感度比は 1.53~2 であるため RADFET1 の値は 346~450rads であると解析している また RADFET4 と 5 によるアルミニウムとタンタル 即ち低原子番号材料と高原子番号材料によるシールド効果の違いは視野角等の影響により識別できなかった

23 Dose (rad) 温度 Temp( ) 図 年から 2 年間のトータルドーズの変化 図 RADFET1 のドーズレート (rads/day) の日変化 またインドが 2003 年 5 月 8 日に静止軌道へ打上げた GSAT-2 衛星には TRDM(Total Radiation Dose Monitor) と呼ぶ 5 つの RADFET を搭載した計測システムが搭載された [29] RADFET はアイルランド NMRC( 現 Tyndall National Institute) 製であるが 酸化膜厚 100nm

24 と 400nm が使用されている 4 つの RADFET は厚みが異なる半球ドームを持ち 5 個目の RADFET はシールド無しで計測回路内部に配置された 5 つのシールド厚等について表 に示す 表 インド GSAT-2 に搭載された RADFET Dosimeter RADFET ドーム厚み デバイスの厚 最大計測レ 初 期 分 解 能 (mm Al) みを考慮した ンジ (rads/1bit) 厚み g/cm 2 (mm) (rads) GRD nm (1.89) 300k 800 GRD nm (3.93) 17k 65 GRD nm (6.96) 4k 14 GRD nm (10.19) 4k 14 GRD nm k 800 過去の例によれば Holmes-Siedle をはじめ RADFET 計測は曝露モードと計測モード 即ち 放射線を被曝するモードと RADFET を計測するモード 2 つのモードを用いている しかしながら インド GSAT-2 における実験では RADFET へ Ids=10μA を通電し 常時計測が行われている この結果 RADFET のゲート電圧はソースに対して負の電位となり 従って RADFET の感受性は低くなる しかしながら 彼らはコマンドが不要となり運用が楽になったと主張している 地上照射試験 (γ 線 ) において Ids=0 と 10μA の相違を実験した 結果 Ids=0A の方が Ids=10μA よりも数倍感受性が高かった 理由について考察はしていない また彼らは E=8MeV の電子線 (2.54Krads/min) で照射試験を行い γ 線と反応が一致していることを示している 図 に軌道上で取得された例 (GRD-10) を示す GSAT-2 は 2003 年 5 月 8 日に打上げられ GTO に 2 日間投入された その後 同年 5 月 10 日から静止軌道上に投入され ( 東経 48 ) 計測が行われた 2003 年 10 月 28~31 日及び 2004 年 7 月 26~28 日の太陽フレアによる放射線吸収線量の急増が計測されている 表 に TRDM で計測された放射線吸収線量を示す

25 図 TRDM(GRD-10( ドームシールド厚 0.8mm)) で計測されたトータルドーズ 表 各シールド厚下で計測されたトータルドーズ Dosimeter GTO dose Total dose GSO dose Dose rate Oct.2003 (dome (rads/2days) (rads) (rads/year) (rads/min) Solar flare thickness) GRD-10 dose (rads) (0.8mm) GRD (2.8mm) GRD (5.74mm) GRD (8.86mm) 各データを全方向視野が受ける放射線吸収線量へ補正した それを NASA の捕捉電子線モデル AE-8 モデルを使用して放射線吸収線量を計算し 放射線吸収線量について比較したものを図 に示す 本比較には陽子 ( フレアによる影響も ) は含まれていない TRDM は衛星の西面に搭載されたため 温度は午後により高く 午前中により低い 最低は 6 で 最高は 44 であった 温度変化について 図 に示す 彼らの手法は感受性が低い RADFET をアンプで増幅して補うものであるが 温度補正の誤差がかなり含まれていると考えられる また図 でわかるとおり 温度サイクルの影響も示唆される

26 図 においては陽子のデータ (AP-8) は含まれていない なぜならば 2MeV 以下の陽子の飛程は Al で 0.04mm 以下であるため 静止軌道において 陽子はドーズには寄与しないと主張している 図 TRDM と NASA AE-8 Max との比較 (4π アルミシールド ) 図 日の温度変化

27 1.5 本論文の構成本論文は宇宙機環境におけるトータルドーズ計測法に関して 広いエネルギースペクトラムを持った電子 陽子で構成された宇宙放射線環境が及ぼすトータルドーズを計測するセンサ RADFET の地上校正技術を確立し その宇宙実証としてフライトデータを解析することを目的とする 本章 序論 では トータルドーズ効果とその影響を説明し 宇宙機環境におけるトータルドーズ計測の必要性の背景を述べると共に トータルドーズを計測するためのセンサ 即ち宇宙用線量計の要求事項について説明した そして本研究で使用した RADFET の計測原理 フライトデータ例等について説明した 第 2 章 RADFET の校正試験 では これまで行われてきた RADFET の校正試験の問題点を洗い出し 従来十分な評価が行われていなかった陽子 電子線の照射試験を行った γ 線照射試験においては 校正を行うための基礎データを取得すると共に アニールデータを取得した また線量率の依存性について確認すると共に アニール効果の補正を検討し 結果について述べた 第 3 章 フライトデータの解析 では MDS-1 へ搭載した RADFET を用いたセンサ (DOS センサ ) を用いて取得した人工衛星内部のトータルドーズ環境データを解析すると共に RADFET の地上校正手法の検証も行った また宇宙環境モデル及び軌道上で取得した電子 陽子のエネルギースペクトラムからトータルドーズへ変換したものとの比較を行った 第 4 章 衛星設計への反映 では第 3 章で得られたフライトデータ解析結果から今後の衛星設計手法へ提案を行った 第 5 章 総論 で 本論文の結果を総括した

28 [ 参考文献 ] [1] 五家建夫 宇宙環境リスク事典 丸善 (2006)p [2] JAXA ホームページ URL:// [3] Naoko Baba, Yugo Kimoto, Mineo Suzuki, External Contamination Observed On The Micro-Particles Capturer And Space Environment Exposure Device, Journal of Spacecraft and Rockets( 投稿中 ) [4]Tateo Goka, Haruhisa Matsumoto, Shunji Takagi, Empirical model based on the measurements of the Japanese spacecrafts, Radiation Measurement 30 (1999) pp [5]RADECS 2003Short Course p3-a, 18 [6]Robert Ecoffet, In-flight anomalies on devices, p120, SREC04 [7] R.C. Huges, Hole Mobility and Transport in Thin SiO2 Films, Appl. Phys. Lett. 26,436 (1975). [8] F.B. Mclean, H.E.Boesch,Jr., and T.R. Oldham, Electron-Hole Generation, Transport, and Trapping in SiO2, in Ionizing Radiation Effects on MOS Devices and Circuits, edited by T.P. Ma and P.V. Dressendorfer, John Wiley & Sons, New York, pg. 87 (1989) [9]E.P.Wenaas, Spacecraft charging effects on satellites following STARFISH event, RE ,1928 [10]E.J.Daly, F.van Leeuwen, H.D.R Evans, M.A.C.Perryman, Radiation belt and transient solar magnetospheric effects on Hipparcos radiation background, IEEE. Trans. Nucl.Sci., vol41, no6.pp2376, 1994 [11]Characteristics of Harwell Gammachrome YR PMMA Dosimeters [12] アラニン線量計 アミノグレイ 取扱い説明書及び測定報告書 日立電線 [13] 三酢酸セルロースフィルム線量計 FTR-125 カタログ 富士フィルム [14] 小嶋拓治 田中隆一 電子スピン共鳴 (ESR) 法を用いた大線量測定 Radioisotopes, Vol.41, (1992) [15] 小嶋拓治 津田政行 アラニン線量計の放射線治療線量レベル (1-100Gy) への応用, Radioisotopes, Vol.44, No.9, (1995) [16] 俵祐子, 受動 積算型線量計による宇宙放射線計測技術の開発, 放射線 Vol27,No4 (2001) [17] Semiconductor Industry Association, The National Technology Roadmap for Semiconductors Technology Needs, 1997 Edition [18] L.Adams, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1978,NS-25,pp1607 [19] L.Adams, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1991,NS-38,No.6,pp [20] R.F.A. Freeman and A.G.Holmes-Siedle, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1978,NS-25,1216. [21] L.S. August, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1984,NS-31,801. [22] ]F.B.McLean, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1980,NS-27,1651. [23] A.G.Holmes-Siedle,Nucl.Instrum. Methods 1974,121,

29 [24] R.C.Hughes, J.Appl.Phys. 1985,58(3),1375. [25] D.K.Nichols, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1980,NS-27,1016 [26] A.Kelleher, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1994,NS-41,445 [27] BarryO Connel,CERNWorkshop 1997, Dec [28] A.Holmes-Siedle, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1983,NS-30,4135 [29] B. R. Bhat, IEEE Trans. Nucl.Sci. 2005,NS-52,No.2,

30 第 2 章 RADFET の校正試験 2.1 これまでの試験手法の問題点 1.4 項で述べたとおり RADFET の校正試験の大部分はγ 線で行われている これはトータルドーズ効果の模擬 即ち電離損傷の模擬をγ 線で行ってきたからに他ならない また γ 線の使用が安価で容易だからでもある 宇宙用電子部品のトータルドーズ試験に関する MIL スペック (MIL-STD-883 Method [1]) 及び ESA の規格 (ESCCNo.22900[2]) にもγ 線での照射条件等の規格が存在する 評価方法はどちらも 2 つの部分から成っている 第 1 の部分は試験の主要な部分であり 50 から 300rad(Si)/sec(=0.5~3Gy(Si)/sec) の線量率 ( の場合 ) で規定の線量まで照射し その後電気的測定を行う この部分は n-mos のゲート酸化膜やフィールド酸化膜の正電荷発生に起因する特性不良や機能不良を評価する方法である 民生用 CMOS の場合はフィールド酸化膜に起因するリーク電流増加が主要な故障モードである 第 2 の部分は加速エージングあるいはリバウンド試験と呼ばれるもので 低線量率照射の効果を模擬するものである その方法は 例えば では規定線量の 0.5 倍の追加照射とその後のバイアス印加で 時間のエージングを行い さらに電気的測定を行う 現在のところ この方法は長時間にわたり正電荷のアニールと界面準位の発生が同時に起こる MOS デバイスのみに適用され MOS デバイスの低線量率効果を評価するものである 低線量率照射ではアニール効果により正電荷発生は抑制され 界面準位発生が主になるので 界面準位発生による機能不良が主要な故障モードである 照射後の高温エージングにより 正電荷のアニールと界面準位の発生が起こる これは室温 低線量率照射で起こる電荷発生の挙動と同じであるので 低線量率照射試験を模擬できるとしている 一方 におけるリバウンド試験は 1~10 rad(si)/sec(=0.01~0.1gy(si)/sec) 又は 0.01~0.1 rad(si)/sec(=0.1~1mgy(si)/sec) で規定の照射を行い その後室温で 24 時間及び 時間のエージングを行うことが規定されている この方法も MOS デバイスで長時間にわたり正電荷のアニール効果と界面準位の発生が同時におこる時間依存性の効果 即ち低線量率効果を評価できるとしている 2 つの方法の違いは線量率 線量およびアニール条件 ( リバウンド試験 ) の 3 点にあるが 界面準位の発生を模擬するリバウンド試験を実際に行ってみると デバイス毎のばらつきが大きすぎるのがわかる [3] これには常に捕獲正電荷を選択的にアニールさせられるとは限らないという問題があり 更に加速性が明確でないために 得られたデータが実環境の何年分に相当しているかわからないという問題点が指摘されている [3] よって低線量率照射試験効果である界面準位の発生の影響 即ちアニール効果の影響を何らかの方法で補正する必要がある 実際の宇宙放射線環境下においてトータルドーズ効果に支配的なのは 電子及び陽子である しかしながら これまで行われてきた RADFET の照射試験においては 宇宙放射線環境に支配的なそれら粒子については十分な試験が行われてきたとは言い切れない 電子に関しては B. R. Bhat 氏らは 8MeV の電子線照射試験を行って γ 線 (Co-60) 照

31 射試験結果と同じ結果であったことを報告している [4] しかしながら 実放射線環境と照らし合わせて考えてみると E=8MeV の電子は人工衛星の内部帯電を引きおこす Killer Electron として その存在は確認されているが 定常的にはトータルドーズ効果を問題にするエネルギーとしてはふさわしくない 論文にもなぜ E=8MeV で照射試験を行ったかの説明が不足している また最近報告された Holmes-Siedle 氏の論文 [5] において 氏が行ってきた照射試験の概要が示されており 電子は 500MeV のみ CERN のレプトン源によって照射された 結果は約 10 5 Gy から 10 6 Gy のレンジで氏の RADFET( 酸化膜厚 130nm) は理論曲線と一致したことを示しているが 本研究と対象エネルギー範囲が桁違いに異なっている 一方 陽子について L.Adams 氏らの実験においては 低エネルギー陽子の影響はγ 線の影響の 1.53~2 倍になると主張している [6] 一方 R.L. Pease 氏らは E=60-200MeV の陽子照射に対する RADFET の反応はγ 線の 65-85% であったと報告している [7] 陽子線照射試験については γ 線よりも過大評価になるのか 過小評価になるのかは不明確である もう一つ センサ自身の遮蔽厚影響 ( シールド効果 ) を評価する必要がある 照射源が γ 線であればその影響は少ないが 本研究の対象である電子及び陽子の影響を考える場合 その影響は無視できない 2.2 校正手法の検討 2.1 項で議論した問題点をもとに本研究における照射試験等の校正手法について検討した まず従来主にγ 線のみで行ってきた照射試験を 宇宙放射線で影響が大きいエネルギー範囲の電子 陽子の RADFET への影響を解明するために陽子 電子に拡大して行う 陽子に関しては人工衛星の搭載部品への陽子の到達を鑑み 飛程数 mm レベルの 10MeV~70MeV で照射試験を行う 電子については同様に電子の到達を鑑み 飛程約 2mm レベルの 1MeV で照射試験を行う 両結果について γ 線照射試験結果との相違を比較 検討する 自然環境で線量率が変化するのは自明であり その状態に対応できるかの確認するために 線量率を変化させて照射試験を行う 照射はγ 線を用いて行う これは電子正孔対の生成 消滅スピードが線量率によって変わらないことを確認すると共にアニール効果の補正の検討が目的である また最近のバイポーラトランジスタについては より低線量率照射の方が劣化量が大きいという報告 (ELDER:Enhanced Low Dose Rate Sensitivity) があり [8] RADFET についてもその影響の可能性があるという報告 [9] もあった これらについて検証する 最小 0.3Gy/h レベルから最大 5KGy/h の線量率での照射を行い 線量率の影響 アニール効果の補正手法について検討する 自身のシールド効果については 特に本研究においては MDS-1 搭載用 DOS センサについて陽子線照射で確認する またレイトレースを用いて解析を行った 以上行った照射試験を基本条件で取得した校正試験結果と比較しながら検討する 基本条件は MIL-STD-883 をベースとした Al ケース (t=3mm) で RADFET を遮蔽し Co-60 からのγ 線で照射試験を行う方法である これは二次電子平衡を作り出す手法で 比較的均一な照射場を作り出す 照射終了後 アニール特性を取得する (10000 時間目標 ) アニール補正の検討のためにデータを取得する

32 以上検討した校正試験については 人工衛星搭載用センサ (MDS-1 搭載用積算吸収線量計センサ ) については数に限りがあるため 内蔵 RADFET チップ ( ベアダイ ) が同一の RADFET14PIN DIP(Dual In-line Package) タイプで試験を行い サンプル数を増やした RADFET は MOSFET であるため 温度による電気特性変化が予想される このため 未照射サンプル及び照射中温度を変化させたサンプルに関する電気的特性の温度依存性データを取得し 温度の影響の補正を行う 以上検討した校正試験計画の概要を図 に示す 校正データの基になる被爆した放射線吸収線量については 国家標準で校正された線量計 ( 電離箱が中心 ) を RADFET のなるべく近い位置へ設置して測定した

33 電機的特性試験 温度 RADFET MDS-1DOS- センサ γ 線 100Gy 100Gy 1,10,100,1K,10KGy RADFET(4 種 ) 照 バイアス条件 過去の問題点 射試 ばらつき温度 (-10,0,60,125 ) アニール特性 γ 線のみで評価電子 陽子の影響 験 陽子線 線量率 0.3Gy/h~5kGy/h 13,25,41,60MeV エネルキ ー 13,25,41,60MeV 70MeV 70MeV アニール効果 電子線 エネルキ ー 1MeV 1MeV 線量率効果 自身のシールド効果 デコンボリューションによる補正 Raytrace によるシールド厚の把握 図 RADFET の宇宙放射線線量計としての校正手法概要

34 2.3 本研究で使用する RADFET 入手可能な RADFET は 4 種類存在する 表 に諸元を示す 酸化膜厚が 100nm 400nm 1000nm の 3 種が存在し 400nm においては初期値が異なる 2 種類が存在する 表 RADFET の種類 酸化膜厚 [mm] 初期値 [V] * 感度 * (Vg(0V/5V))[mV/Gy] 備考 / / / 133 Implanted gate oxide(impl と表記 ) / 240 * 簡易カタログ値より 入手可能な 4 種類は 14PIN のセラミックス製 DIP(Dual In-line Package) の形状である 図 に形状について示す 4 種について 形状及び内部のベアダイ ( チップ ) のサイズは同じである MDS-1 搭載積算吸収線量計 (DOS) 用センサは 14PIN DIP タイプの内部に配置されているものと同じベアダイを使用している ( 詳細は別途 ) ADEOS-II 搭載積算吸収線量計 (DOS) 用センサは 14PIN DIP タイプを使用した [10] 2mm (a) 図 RADFET の形状 (a) RADFET のベアダイ ( 囲み部が使用 PchMOS) (b) (a) を内蔵した 14PINDIP タイプ (ADEOS-II 等 ) (c) (a) を HIC 化して内蔵した MDS-1 搭載用 DOS センサ (b) (c) 10mm 10mm

35 2.4 γ 線照射試験 4 種類の RADFET に対し Co-60 からのγ 線を照射した 群馬県高崎市のラジエ工業で行った 線量 ( 線量率 ) は各 1Gy(10Gy/h) 10Gy(50Gy/h) 100(10Gy/h) 1000(5KGy/h) 10K(5KGy/h) で照射を行った 照射試験の様子を図 に示す 電離箱 図 照射試験の様子 結果について図 に示す グラフにおいて X 軸は電離箱等で実測した放射線吸収線量を示し Y 軸は Vth の初期値からの変化量を示す 実験はゲートに電圧をかけない (= ゲートを接地 Vg=0V) モードとゲートに 5V を印可したモード (Vg=5V)2 条件でデータを取得した d V th (V ) nm (0V ) IM PL(0V) 400nm (0V ) 100nm (0V ) d V th (V ) nm (5V ) IM PL(5V) 400nm (5V ) 100nm (5V ) E E E E E E E E E E E E +04 TotalD ose(g y) TotalD ose(g y) (a)vg=0v 図 γ 線照射試験結果 (b)vg=5v RADFET の反応式としては 1 章で述べたとおり 下記で表される ΔVth=k D n (2-1) ΔVth:Vth の初期値からの変化量 k,n: 係数 D: 放射線吸収線量 図 に示したグラフからは (2-1) 式で表される関係にほぼなっていることがわかる 照射試験で得られた結果について 式 (2-1) に当てはめた結果について表 に示す

36 表 2.4-1(Vg=0V) k n R nm nmIMPL nm nm 表 2.4-1(Vg=5V) k n R nm nmIMPL nm nm アニールデータの取得照射終了後 時間後までアニール特性を取得した Vg=0V の結果を図 に示す After 10kGy irradiation After 10kGy irradiation 10.0 After 1kGy irradiation 10.0 After 1kGy irradiation dvds[v] 1.0 After 100Gy irradiation After 10Gy irradiation dvds[v] 1.0 After 100Gy irradiation After 10Gy irradiation After 1Gy irradiation Elapsed time[hour] After 1Gy irradiation Elapsed time[hour] (a)1000nm (b)400nmimpl dvds[v] After 10kGy irradiation After 1kGy irradiation After 100Gy irradiation After 10Gy irradiation dvds[v] After 10kGy irradiation After 1kGy irradiation After 100Gy irradiation After 10Gy irradiation 0.1 After 1Gy irradiation Elapsed time[hour] Elapsed time[hour] (c)400nm (d)100nm 図 アニール特性 (Vg=0V)

37 またアニール特性について 照射直後を 100 として 各線量照射後 時間後の変化量を表 へ示す 表 各 RADFET のアニール特性 ( 各線量照射後から 時間後の変化量 [%]) Total dose [Gy] k 10k 1000nm nmIMPL nm nm 図 2.4-1,2 及び表 から (1) 初期値が小さい ( 約 1.8V) こと ( 回路製作上 Vth のダイナミックレンジを広く取れる ) (2) アニール特性が安定していることの理由から MDS-1 搭載用では 400nmIMPL を選択することとした 温度特性 (-40~60 ) 軌道上で予測されうる温度環境下での温度特性データを取得した 400nmIMPL のみの結果を図 へ示す Vth[V](Device 1) Temp[ C] 図 温度依存性 温度が上昇するにつれ Vth が小さくなる傾向が得られた これから室温 (T=25 ) へ換算する下記の補正式を得た

38 K= 放射線被曝後についても同様な温度依存性があると仮定すると ある温度 (T ) における Vth を室温 (T=25 ) に換算する補正式は以下の通りである T = 25deg Vth10uA = Vth10uA ( T ) T (2-2) 特性のばらつきの影響同線量を与えた場合の RADFET の Vth のばらつきの確認試験を行った 東京都駒沢の地方独立法人東京都立産業技術研究センター駒沢分室で実験を行った 初期値の異なる RADFET(400nmIMPL)12 個に同線量 (100Gy(100Gy/h)) を照射した 照射試験の様子を図 へ示す 図 東京都立産業技術研究センターで行った γ 線照射試験 照射試験結果を度数分布について図 に示す Probability Sensitivity(V/100Gy) 図 Gy 照射した時の度数分布

39 100Gy 照射した場合 Vth の初期値からの変化量 ΔVth は平均 ΔVth=3.839[V] 標準偏差 σ=0.24 平均値の標準誤差 σm=0.07 であった よって誤差は 0.07/3.839= % である ここで 400nmIMPL の校正式は 表 より ΔVth=k D n (k=0.1338,n=0.6112)(2-1) なので トータルドーズを求める校正式は (2-1) を逆関数にして D=k ΔVth a (k =25.8,a=1.57) (2-3) となる トータルドーズ D 算出の誤差は δ D δ ΔVth = a = = % D ΔVth である 線量率の影響評価これまで行った照射試験について 線量率の影響を評価した 線量率を表 2.3-に示す また照射試験結果を図 へ示す 表 試験で使用した線量率 場所 ESTEC ラジエ工業 線量率 [Gy/h] 2,30, ,1k,5k dvds[v] Gy/h Gy/h 1 30Gy/h Totaldose[Gy] dvgs[v] kGy/h 1kGy/h 1kGy/h Gy/h 10Gy/h 10Gy/h E E E E E E+04 Total dose[gy(si)] 図 線量率の影響の評価 約 80Gy までの範囲において 3 種の線量率 (2Gy/h 30Gy/h 100Gy/h) で評価した いずれも同一特性曲線上に乗り 線量率の依存性はない 1000Gy を超える領域範囲も含めて 100Gy/h,1kGy/h,5kGy/h で照射した場合も 同一プロット上にのり 線量率の依存性はないと考えられる

40 2.4.5 アニール効果の補正 2Gy/h 以上の線量率では線量率依存性が無いことが示された しかし それよりも小さい線量率 実宇宙放射線環境下ではアニール効果の影響が発生する アニール効果は捕捉正電荷へのトンネル注入によって生じ [11] 誘起される電荷量は指数関数的に減少する これは中和の対象となる捕捉正電荷が界面に近い方から中和されて行くためにだんだん遠くなり トンネル注入が指数関数的に起こりにくくなるためである また同照射量で照射後から十分時間が経っていれば線量率が違っても捕捉正電荷の分布は同一になる この性質を利用して任意の線量率で照射した後 その回復特性を観測すれば 別の線量率に対する劣化量が推定できる [3] たとえば図 は FPGA に 0.1Gy/h の照射率で 100Gy まで照射した時の電源電流をモニタしたグラフである 照射終了後からの電源電流は指数関数的に減少しているが この直線を 時間後 即ち約 1 年後まで外挿した点の電流値がミッション終了時の値と予想できるという手法である この手法を RADFET のアニール効果補正に検討したが 結果できなかった 図 へ RADFET の変化例を示す RADFET は他のデバイスに比べアニール効果の回復が小さく FPGA の様な外挿ができなかった そこでアニール効果の影響を受けた観測値をデコンボリューションすることで アニール効果を受ける前の観測値を導く手法でアニール効果を補正した 図 に RADFET の応答関数について示す 応答関数は図 アニール特性 (Vg=0V) の各線量照射したデータを照射を停止した時点からの変化量へ規格化したグラフからフィッティングして求めた 観測値を Vth obs アニール効果を受ける前の観測値を Vth real アニール効果の応答関数を αe -βt とおくと Vth obs t real β ( t τ ) = Vth ( τ ) αe dτ (2-4) 0 となり (2-4) 式中の Vth obs をデコンボリューションし アニール効果を受ける前の観測値 Vth real を導く デコンボリューションは Labview8.0 を用いて行った 図 FPGA の電源電流の劣化予測

41 kGy/h,10kGy dvth(v) Gy/h,1kGy Gy/h,100Gy Time(hour) 図 RADFET の Vth の時間変化 Relative value y = 0.97x R 2 = Time [hour] 図 RADFET のアニール効果の応答関数 図 に計測データ (dvthobs) とその値をデコンボリューションした結果 (dvthreal) について示す 試験は線量率が最も低く (0.3Gy/h) 設定できる日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所内コバルト 60 照射施設において約 3 ヶ月間行った RADFET は 400nmDIP タイプを曝露モード時 5V(ADEOS-II 搭載用 RADFET と同じ計測方式 ) で運用し データを取得した なお試験中温度は平均 でほぼ一定であった 同図へ式 (2-1) で得られ

42 た曲線をプロットした結果 デコンボリューションした結果 (dvthreal) とほぼ同じ結果が得られることを確認した dvth[v] Calibration Curve dvthreal dvthobs Totaldose[Gy] 図 デコンボリューションを行った結果 2.5 陽子線照射試験陽子線照射試験の目的は 2.1 項で述べたとおり 宇宙機内部におけるトータルドーズ効果で支配的である陽子の影響を把握し γ 線照射試験による評価を検証することである 宇宙放射線環境を模擬する陽子線の照射は大規模な加速器でなければ行えない 本実験において スイスの PSI(Paul Scherrer Institute) と日本の放射線総合医学研究所のサイクロトロンを利用して実験を行った PSI における照射試験 (E=13,25,41,60MeV) スイス PSI においてはエネルギー E=13,25,41,60MeV の 4 条件で試験を行った 陽子照射試験結果を図 示す γ 線照射試験同様横軸にトータルドーズ 個々のエネルギーについて RADFET サンプルは 8 つで照射を行った

43 13MeV dvds[v] Totaldose[Gy] Time[sec] R4.3(0V) R4.4(0V) R5.1(0V) R5.2(0V) R5.3(0V) R5.4(0V) R10.1(0V) R10.2(0V) 25MeV dvds[v] Totaldose[Gy] Time[sec] R4.3(0V) R4.4(0V) R5.1(0V) R5.2(0V) R5.3(0V) R5.4(0V) R10.1(0V) R10.2(0V) 41MeV dvds[v] Totaldose[Gy] Time[sec] R4.3(0V) R4.4(0V) R5.1(0V) R5.2(0V) R5.3(0V) R5.4(0V) R10.1(0V) R10.2(0V)

44 60MeV dvds[v] Totaldose[Gy] Time[sec] R4.3(0V) R4.4(0V) R5.1(0V) R5.2(0V) R5.3(0V) R5.4(0V) R10.1(0V) R10.2(0V) 図 陽子照射試験の結果 dvds[v] MeV 41MeV 25MeV 13MeV Dose[Gy] 図 陽子照射試験の結果 ( まとめ ) E=13,25,41,60MeV の 4 条件のエネルギーについて照射した結果 エネルギー依存性が確認された E=60MeV を基準とすると エネルギーが低くなるにつれ低い変化量が得られた 放射線医学総合研究所における照射試験 (E=70MeV) 項で行った陽子照射試験へ追加して E=70MeV で照射試験を行った フライト品 DOS センサの形状 ( 裏面 横面 ) の影響の確認も同時に行った 14PinDIP タイプの RADFET とフライト品である DOS センサを同時に縦方向又は 横方向に設置し 陽子線を照射した 図 に試験時の構成を示す

45 縦置きにして照射 ( 横方向からの影響確認 ) DOS センサ 陽子線 陽子線 RADFET 電離箱 RADFET(14PINDIP) と同時照射 図 DOS センサへの照射試験構成 図 に 14PinDIP タイプの RADFET と DOS センサ正面 横面及び裏面から陽子線照射した結果を示す 4 つの結果は ±10% 以内に入っており 優位な差はなかった dvth[v] 縦置き 正面からの照射 DOSS77U DOSS68T DOSS69 RADFET 裏面からの照射 Totaldose[Gy] 図 DOS センサの形状の影響の評価 図 に RADFET(5 個 ) 及び DOS センサを陽子線照射したと共にγ 線照射試験で取得した校正カーブ ( 式 (2-3)) を示す 結果はγ 線照射試験結果とほぼ同じであった

46 5.0 dvth[v] RADFET31 RADFET44 RADFET47 RADFET55 RADFET59 DOSS75 Calibration Curve Totaldose[Gy] 図 γ 線との比較 ( 陽子 E=70MeV) 陽子線照射試験のまとめ RADFET に対し陽子線の影響は過小評価を招くという指摘がある [6] これはγ 線と陽子等高 LET( 線エネルギー付与 ) 粒子とでは 酸化膜中に発生する電子 正孔対の発生 再結合のメカニズムが異なることによる 陽子の場合は コラム (columnar) 再結合モデルによって示される [12] 文献[7] によれば陽子 E=60~200MeV において 65~85% となった実験結果がある 一連の本照射実験において その傾向 ( プロトンのエネルギーが低くなるにつれ 変化量が小 ) は見られ 本実験においては 13MeV から 60MeV 未満のエネルギーにおいて過小評価となった ( 約 80%) ただし 60MeV 70MeV においては γ 線照射結果とほぼ同じ結果が得られた γ 線による評価を基準とした結果を図 に示す 本結果からエネルギー約 10MeV~60MeV の陽子の影響については γ 線照射試験で校正した場合 25% の過小評価が生じていることがわかった この影響については エラーバーで示すこととする

47 orma1.5nlisedaγ ryvtδ PrtonEnergy[MeV]図 γ 線を基準とした陽子線の影響 2.6 電子線照射試験電子線を RADFET に照射し γ 線照射試験結果との比較を行った 電子線照射は日本原子力研究開発機構高崎研究所電子線加速器を用いて行った 試験の様子を図 へ示す 図 電子線照射試験 照射試験は RADFET と DOS センサに対して行った 試験結果を図 に示す またγ 線照射試験から得られた校正曲線を実線で図 へ追記した γ 線との結果を比較するため 本試験で得られた結果の差の分布を調べた 度数分布の結果を図 へ示す 平均 0.02(V) 標準偏差は 0.28 であった この結果から電子線照射による RADFET への影響は γ 線による照射と同じことがわかる したがって 電子線による影響はγ 線で模擬できると言える しかし DOS センサについてはγ 線による評価より約 30% 少ない結果であった これについては DOS センサ自身のシールド効果によると考えられる

48 dvth[v] RADFET F1 DOSS 5 γ 線照射から得 られた校正曲線 Totaldose[Gy] 図 電子線照射試験結果 Probability Difference (V) 図 電子線照射結果と γ 線校正試験結果の差の度数分布 2.7 RADFET または DOS センサ自身の遮蔽効果に関する考察照射試験における RADFET 及び宇宙放射線の DOS センサ自身の遮蔽効果について確認するために本研究に関係するエネルギー範囲約 0.01~500MeV の範囲の飛程を計算した エネルギー範囲については 下限値は捕捉電子の下限値 上限値は捕捉陽子の上限値を参考にした 計算は NIST(National Institute of Standards and Technology) の Stopping-Power and Range Tables for Electrons, Protons, and Helium Ions [13] を用いた 実際の電子の挙動はターゲット物質によって衝突物理が異なるため 複雑である 本計算はターゲット物質を Al とし 平均的な飛程の目安とする 本計算手法以外の他の手法 ( たとえば SRIM[14]

49 等 ) が存在するが 飛程の広がりとしては その平均的な飛程のファクター 2 以上にも及ぶ [15] 図 に電子 E=1MeV をアルミニウム中に照射した場合のモンテカルロ計算の例を示す 特に電子の場合 ターゲット物質よりも軽いため 確率的な挙動を示す 平均的な飛程の計算結果を図 に示す 図 Al 中の電子 E=1MeV の動き Range in Al[mm] Electron Proton Energy[MeV] 図 電子 陽子の Al 中の飛程 1MeV 電子の Al 中の飛程は約 1.8mm であった よって 2.6 項電子線照射試験において APENDIX2 の評価でわかった DOS センサのシールド厚 2mm であれば 電子はシールド中でエネルギーを失い センサである RADFET に到達しないはずである しかし結果は 0Gy ではなく シールドが無い場合の約 70% の放射線吸収線量であった DOS センサは銅 (Cu) 等の金属で囲まれている 制動放射線の発生は原子番号の2 乗にほぼ比例し 比較的重い金属 Cu 等からの制動放射線の影響が放射線吸収線量が予想以上であったことが原因の一つと考えられる また陽子について 照射試験で使用した約 10MeV~60MeV の陽子の飛程は約 0.7~14mm で

50 ある このエネルギー範囲の影響が支配的である場合 2.5 項で述べたとおり +25% の誤差が生じていると考えられる また逆にシールド厚 14mm 以上を貫通する E=60,70MeV 以上の陽子の影響が支配的である場合は γ 線による校正式で評価しても問題ないと考えられる 2.8 第 2 章のまとめ RADFET に対し従来十分な評価が行われていなかった陽子 電子線の照射試験をおこなった 陽子 (E=13~60MeV) においては変化量がγ 線の約 80% であることがわかった これは γ 線の校正結果に対して 25% の過小評価を生じさせる E=60,70MeV ではγ 線と同じ効果であることがわかった よってγ 線による校正式で評価しても問題ない 電子については γ 線と同じ効果であることを確認した よって電子線の影響はγ 線で模擬可能である 線量率を変化させて照射した結果 2Gy/h~5kGy/h においては線量率依存性が無いことを確認した 一方で 0.3Gy/h の照射試験においては アニール効果が発生する 本影響をデコンボリューションすることで取り除き 実験データと比較して正しく補正できることを示した また基本的なγ 線照射試験を RADFET 及び DOS センサに対し行い MDS-1 搭載用 DOS センサ用校正式を取得した [ 参考文献 ] [1] MIL-STD-883 Method [2] ESA/ESCCNo [3] 久保山智司, 半導体デバイスの低線量率照射試験技術と宇宙機器への適用, 放射線と産業 No.68(1995) [4] B. R. Bhat, IEEE Trans. Nucl.Sci. 2005,NS-52,No.2, [5]Andrew Holmes-Siedle, Federio Ravotti, Maurice Glaser, The Dosimetric Performance of RADFETs in Radiation Test Beams, 2007 IEEE Radiation Effects Data Workshop Record,2007,pp42-57 [6] L.Adams, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1991,NS-38,No.6, [7]R.L. Pease, IEEE Trans. Nucl.Sci. 2001,NS-48,No.3, [8]E.W.Enlow, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1991,NS-38, [9]S.J.Kim, Enhanced Dose Rate Sensitivity (ELDRS) Observed in RADFET sensor, Proc.RADECS2003, [10] Yugo Kimoto, Norio Nemoto, Haruhisa Matsumoto, Ken-ichiro Ueno, Tateo Goka, and Toshihiro Omodaka, Space Radiation Environment and Its Effects on Satellites: Analysis of the First Data from TEDA on Board ADEOS-II, 2005, IEEE Trans. Nucl. Sci., VOL.52, No.5, pp [11]F.B.McLean, A Direct Tunneling Model of Charge Transfer at the Insulator-semiconductor Interface in MIS Devices, HDL-TR-1765,

51 [12]F.B. McLean, H.E. Boesch,Jr.,and T.R.Oldham, Electron-hole generation, transport, and trapping in SiO2, in Ionizing Radiation Effects MOS Devices & Circuits, T.P.Ma and Paul V. Dressendorfer, Eds. New York;Wiley,1989 [13] M.J. Berger, J.S. Coursey, M.A. Zucker and J. Chang, Stopping-Power and Range Tables for Electrons, Protons, and Helium Ions, [14] James F. Ziegler, The Stopping and Range of Ions in Matter, [15]Andrew Holmes-siedle & Len Adams, Handbook of radiation effects second edition,pp387, January,

52 第 3 章 フライトデータの解析 3.1. はじめに第 1 章で述べた本研究の背景の通り 人工衛星内部のトータルドーズ環境を測定する要求が存在する 本章では 2 章における RADFET の校正試験手法に基づき宇宙用線量計の開発を行い RADFET を 2 つの人工衛星に搭載した 一つは MDS-1 もう一つは ADEOS-II である 本章において 主に MDS-1 へ搭載した RADFET 即ち DOS センサのフライトデータについて 第 2 章の成果を反映させて解析した結果について述べる 3.2. MDS-1~つばさ衛星 ~ MDS(Mission Demonstration test Satellite)-1( つばさ ) は民生部品の地上評価技術の軌道上機能確認 将来の汎用的なキーコンポーネントの小型化技術の確認及び放射線等宇宙環境計測をミッションとする 衛星外観 軌道イメージ 軌道条件等諸元について図 表 に示す (a) MDS-1 衛星外観 (b) 軌道イメージ 図 MDS-1( つばさ ) 表 諸元 打上げ 運用終了 軌道 2002 年 2 月 4 日 2003 年 9 月 25 日 500km 35700km(GTO) 軌道傾斜角 28.5 姿勢 本体形状 質量 スピン制御 (5rpm) m 475kg±5kg

53 3.3. MDS-1 搭載積算吸収量計 DOS(DOSimeter) DOS は積算吸収線量計センサ (DOS-S:DOS-Sensor) 積算吸収線量計センサシールドモジュール (DOS-SSM:DOS-Sensor Shield Module) 及び積算吸収線量計回路部 (DOS-E: DOS-Electronics) で構成されている DOS-S は衛星構体パネル内 各実験機器内部 DOS-SSM 等 合計 56 カ所配置されている 一つの DOS-SSM には 4 個の DOS-S が配置され 4 個の DOS-S はそれぞれに厚さの異なったアルミニウムの半球 (0.7,3,6,10mm) で覆われている DOS-SSM は 2 式あり +Z 面 ( 太陽指向面 :DOS-SSM1) 及び-X 面 ( スピン面 :DOS-SSM2) に向けて構体パネルの外部に搭載されている 図 3.2-1(a) に DOS-SSM1 -SSM2 の搭載場所 図 3.2-1(b) に SSM 外観について示す また図 に DOS-S が配置された実験機器と搭載個数について示す DOS-SSM1 DOS-SSM2 図 3.2-1(a) DOS-SSM1 と-SSM2 の搭載場所 Z 軸は回転軸 DOS-SSM1 と-SSM2 はそれぞれ衛星の +Z 面 -X 面に搭載されている 図 3.2-1(b) SSM 外観

54 +Z +Y +X SSR (14) DOS-E (4) +Z panel 内部 (1) CSD TSC SDOM (1) CPV (2) -X panel 内部 (1) PCS (4) HIT/MAM -Z panel 内部 (1) 図 DOS-S が配置された実験機器等と個数 ( ) DOS-SSM の後側は衛星の構体によってシールドされている DOS-E は 2 式あり DOS-S の計測 (1 式 32ch( 基準抵抗含む )) 及び衛星システムとの通信 電力インタフェースを行う DOS は以下の 3 つのモードを持つ (1) オフモード ( スタンバイ電流のみが流れる ) (2) 計測モード (DOS-S 内の RADFET Pt 温度センサの計測 ) (3) チェックモード ( 電気校正信号により処理部を校正する ) DOS-S の計測は (2) で行われ これは第 2 章 RADFET の校正試験等で行った計測条件と同じである フライトデータの解析 DOS は 2002 年 2 月 9 日 17:23(UT) にターンオンされた その後 2002 年 2 月 10 日 2:20 3:30(UT) にチェックモードに移行され チェックアウトが実施された チェックアウトにおいて異常 その他問題は無く 計測モードに移行された 計測モードに移行された初期の段階においては MDS-1 のバス機器 実験機器のチェックアウトおよびシャント運用上の衛星電源オフ等の影響で データおよび機器の状態が安定していなかった よって 有効なデータ取得開始時期として その後の DOS を含めた実験機器の温度が安定し 定常的な運用およびデータ取得がほぼ始まった 2002 年 2 月 26 日を基点とした そして つばさ (MDS-1) の運用が終了する直前の 2003 年 9 月 22 日まで (574 日間 1300 周回 ) 取得されたデータについて解析した 本解析においては DOS-SSM1 2 のデータを用いる またこれ以降 シールド厚については SSM の半球シールド厚に DOS センサ自身のシールド厚 2mm を加えた値で示す ( mm) APENDIX2 へ DOS センサのシールド厚計算結果を示す 図 に Z 面 (DOS-SSM1) -X 面 (DOS-SSM2) のトータルドーズの時系列変化を 各シールド厚について示す

55 Totaldose[Gy] mmZ 5mmZ 8mmZ 12mmZ Feb May Aug Nov Feb May Aug Nov Date (a)z 面 (DOS-SSM1) Totaldose[Gy] mmX 5mmX 8mmX 12mmX Feb May Aug Nov Feb May Aug Nov Date (b)-x 面 (DOS-SSM2) 図 トータルドーズの時系列変化

56 1300 周回後 (574 日間 ) において シールド厚 mm それぞれについて +Z 面 (DOS-SSM1)1.78 x x Gy -X 面 (DOS-SSM2)2.13 x x Gy であった 図 に+Z 面 (DOS-SSM1) 及び -X 面 (DOS-SSM2) の温度変化を示す 各 SSM に配置された 4 つの DOS-S の温度はほぼ同じで 差は ±1 以下であった SSM1 SSM2 Temperature[deg] Feb May Aug Nov Feb May Aug Nov Date 図 に +Z 面 (DOS-SSM1) 及び -X 面 (DOS-SSM2) の温度変化 DOS-SSM1 及び DOS-SSM2 の平均はそれぞれ で +Z 面 (DOS-SSM1) の方が-X 面 (DOS-SSM2) よりも高い これは +Z 面がほぼ太陽方向であるからである 2002 年 3 月頃の一時的な減少及び運用終了直前の 2003 年 8 月頃を除いて 温度環境は ±2 で推移している 図 の解析ではこの値を用いて温度補正をおこなった

57 3.4. 宇宙環境モデルによるトータルドーズの計算宇宙放射線モデルとして JAXA の Space Environments Effects System(SEES)[1] 中にある捕捉陽子モデル AP8 捕捉電子モデル AE8 太陽陽子モデル JPL1991 及び遮蔽計算モデルとして SHIELDOSE-2 を使用し 時系列のトータルドーズを計算した JPL1991 の信頼度は 75% とし ターゲットの形状は 2π( 半球 ) 材質は Si とした 計算は 1 ヶ月毎に更新した軌道 6 要素データを用い ( その間軌道は不変と仮定 ) その 1 ヶ月間毎の計算を合算した 計算結果を-X 面搭載 DOS フライトデータと合わせ図 に示す なお太陽陽子の寄与はほとんど無い シールド厚 2.7mm におけるフライトデータはモデル予測値とほぼ同じであった しかし他のシールド厚 mm においてフライトデータは それぞれモデル予測値に対してファクター であった 後者の内 シールド厚 5mm においては 2002 年 11 月に シールド厚 8 12mm においては 2002 年 5 月にフライトデータがモデル予測値を上回っている 静的な宇宙環境モデル値は運用期間において常に一定である ( 太陽活動極大期で一定 ) よって運用期間が長くなるにつれてその差異が大きくなるのは 捕捉電子 捕捉陽子の両方又はいずれかのフラックスが宇宙環境モデルで過小に評価されている可能性を示している

58 図 宇宙環境モデルと -X 面搭載 DOS センサによる比較モデル予測値フライトデータ FebMarAprMayJunJulAugSepOctNovDecJanFebMarAprMayJunJulAugSep mmModel 2.7mmDOSXTotaldose[Gy]DateFebMarAprMayJunJulAugSepOctNovDecJanFebMarAprMayJunJulAugSep Date5mmModel 5mmDOSXTotaldose[Gy]FebMarAprMayJunJulAugSepOctNovDecJanFebMarAprMayJunJulAugSep Date8mmModel 8mmDOSXTotaldose[Gy]FebMarAprMayJunJulAugSepOctNovDecJanFebMarAprMayJunJulAugSep Date12mmModel 12mmDOSXTotaldose[Gy]

59 特にシールド厚が厚い (8 12mm) ケースにおいて顕著なので 捕捉陽子のフラックスが過小に評価されている可能性がある 図 にシールド厚に対するトータルドーズの関係をモデル予測値 フライトデータについて示す Totaldose[Gy] フライトデータ 10 1 モデル予測値 Thickness(Al)[mm] 図 シールド - ドーズカーブ ( フライトデータ モデル予測値 ) モデル予測値はフライトデータと比較すると約 3mm を境として薄いシールド厚では過大評価 厚いシールド厚では過小評価であることがわかった シールド厚 3mm は一般的な衛星構体によるシールド厚と言われる シールド設計上重要なシールド厚 3mm 付近ではフライトデータはモデル予測値とほぼ一致していることがわかった しかし ここを境として不一致となっている これら不一致の原因は上記で述べたとおり 宇宙環境モデルの捕捉電子 捕捉陽子の実環境との不一致が原因だと考えられる 各シールド厚においてモデル予測値における捕捉電子 陽子の寄与の割合を調べた結果を図 に示す シールド厚 2.7 5mm においては捕捉電子の影響が支配的である 一方 シールド厚 8 12mm では捕捉陽子の影響が支配的である よって不一致の原因は薄いシールド厚では捕捉電子 厚いシールド厚では捕捉陽子が原因と考えられる

60 100% Norm aliz e d E ffe c t 80% 60% 40% 20% Sola r-p Trapped-P Brem s Trapped-E 0% Thickness[m m ] 図 各シールド厚における捕捉電子 陽子の寄与 3.5. MDS-1 搭載軽粒子モニタ SDOM(Standard DOse Monitor) SDOM は宇宙放射線の内 質量の軽い粒子 ( 電子 陽子 α 粒子 ) をエネルギー弁別し 計測する センサは 3 枚のシリコン半導体検出器 (SSD) シンチレータ 2 台の光電子倍増管 (PMT) アンチシンチレータ(ACS) 及びビームストッパーで構成されている エネルギーの低い宇宙放射線は 手前のシリコン半導体検出器で検出する シリコン半導体検出器では 粒子が検出器内部に発生させる電荷量を検出する エネルギーの高い宇宙放射線はシリコン半導体検出器を突き抜けてしまうため 後方のシンチレータで検出する シンチレータでは 粒子がシンチレータ内に起こす発光量を光電子倍増管で検出する センサ部の側面及び後方から入射してくる粒子は SDOM のエネルギー及びフラックス計測精度を低下させるため ビームストッパーを設けてこれらの粒子の入射を妨げると共に アンチシンチレータ (ACS) の信号によりこれらの粒子の誤計測を防ぐ シリコン半導体検出器及び光電子増倍管からの電気信号はアナログ処理回路により増幅 波形整形された後 フラッシュ ADC によるピーク検出を行う 計測モードではセンサの出力値とあらかじめデジタル処理回路に用意されている Look Up Table( 弁別表 ) を比較することにより 入射粒子及びエネルギーの弁別を行い 粒子毎及びエネルギー範囲毎にフラックスを出力する Look Up Table はセンサの故障も考慮して複数用意されており コマンドにより使用する Look Up Table の変更が可能である MDS-1 への搭載位置 センサ形状等について 図 に示す

61 100mm SDOM サイズ : mm 質量 :9kg( 写真のハンドレール除く ) 図 MDS-1 への搭載位置 センサ形状等 (SDOM は DOS-SSM2 と同じ-X 面に搭載され 同方向に視野を持つ ) 表 に SDOM のエネルギーテーブルを示す 電子 陽子 表 SDOM の計測エネルギー範囲 チャンネル 最低エネルギー [MeV] 最大エネルギー [MeV] 平均エネルギー [MeV] E E E P P P P P P P P P P P P

62 フライトデータとモデルの比較 SDOM フライトデータを解析に用いるにあたり 宇宙環境モデルの内 捕捉電子モデル AE8 との比較を行った 選択した軌道条件を表 計算結果を図 に示す MDS-1 が電子の内帯を通過していくのがわかる 表 軌道条件 計算開始 2002/2/26 00:00:00 計算終了 2002/2/28 00:00:00 Epoch /26 00:00:00 軌道長半径 km 離心率 軌道傾斜角 Ascending node Argument Mean anomaly E +07 Flux[particles/cm 2 /str/sec/m ev ] 1.00E E E E E E E +00 A E 8= M ev A E 8= M ev A E 8= M ev 2002/2/ /2/ /2/ /2/ /2/28 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 Date 図 AE8 モデルから計算した捕捉電子の挙動 次に同じ期間中に取得された SDOM の電子データ ( チャンネル E1 E2 E3) との比較を行った 結果を図 に示す

63 1.00E +07 Flux[particles/cm 2 /str/sec/m ev ] 1.00E E E E E E E +00 A E 8= M ev SDO M E1 2002/2/26 0: /2/26 12: /2/27 0: /2/27 12: /2/28 0:00 Date (a)sdom E1 1.00E +07 Flux[particles/cm 2 /str/sec/m ev ] 1.00E E E E E E E +00 A E 8= M ev SDO M E2 2002/2/26 0: /2/26 12: /2/27 0: /2/27 12: /2/28 0:00 Date (b) SDOM E2 1.00E +07 Flux[particles/cm 2 /str/sec/m ev ] 1.00E E E E E E E +00 A E 8= M ev SDO M E3 2002/2/26 0: /2/26 12: /2/27 0: /2/27 12: /2/28 0:00 Date (c) SDOM E3 図 各チャンネル毎の時系列変化の比較 フライトデータは内帯及び外帯を通過する挙動はモデル値とほぼ合致しているが エネ

64 Flux[/cm2/day/MeV/Str] ルギー及び取得時刻でフライトデータが大きい場合と小さい場合が混在する トータルドーズに影響を及ぼす長期的な平均を宇宙環境モデルと比較した SDOM の電子 陽子の各チャンネルのフラックス値を 1 日毎に算出し 2002 年 2 月 26 日 ~2003 年 9 月 22 日まで平均した 電子に関しては モデルと比較してフライトデータが多いことを示唆し ている ( 図 ) 1SDOM フライトデータ Flux[/cm 2 /day/mev/str] 宇宙環境モデル Energy [MeV] 図 電子のエネルギースペクトラム 10宇宙環境モデル SDOM フライトデータ 10Energy [MeV] 図 陽子のエネルギースペクトラム 陽子の結果を図 へ示す 陽子の場合 E=30MeV を境として それより小さいエ

65 ネルギーはモデルが過大評価 大きいエネルギーはモデルが過小評価であることを示している E=30MeV の飛程は約 4.5mm のため シールド厚 5mm 以上については モデルが過小評価している可能性がある SDOM フライトデータを吸収線量に変換 DOS において実測されたフライトデータの信頼性を向上させるために SDOM のフライトデータを用い 吸収線量を計算した SDOM のフライトデータは各エネルギーチャンネルのフラックスの時系列データを用いた 吸収線量計算には SHIELDOSE-2 を用いた SDOM のデータは運用上の都合で 運用日時により 2 秒値 (2 秒 MIF 時 計測時間 / 計測間隔 =2 秒 /2 秒 ) と 8 秒値 (8 秒 MIF 時 計測時間 / 計測間隔 =2 秒 /8 秒 ) が混在する ここではそれらの 1 分平均値を用いた またノイズと判断されるデータは削除した 電子の 4ch 及び 5ch は陽子による影響でカウント数が過大評価されるため使用しなかった SHIELDOSE-2[2] は米国の Stephen M. Seltzer が開発したコードで 電子 ( 電子による ) 制動放射線及び陽子にあらかじめ数種のエネルギー ( 例 0.01MeV,0.1MeV, 100MeV, ) の StoppingPower と Range のテーブルを作成し 入力放射線エネルギーから各シールド厚に対する吸収線量を計算するプログラムである 宇宙機設計では標準的に用いられている SHIELDOSE-2 へ SDOM の時系列データを入力し 図 に示すフローで時系列の吸収線量を計算した T=0 SDOM データ ( 時系列 ) yyyy:mm:dd hh:mm:ss 電子 陽子 [particles/cm 2 /str/sec/mev] Shield thickness:x[mm] Material:Si SHIELDOSE-2 dose[gy] 次の時刻 Yes No T=end dose 形状 :2π( 半球 ) t=0 図 SHIELDOSE-2 を使った計算フロー

66 計算結果を SDOM と視野が同じ-X 面搭載 DOS フライトデータと合わせ図 に示す SDOM からの計算値は シールド厚 mm それぞれについて 3.79x x Gy であった シールド厚 5mm を除き SDOM フライトデータを吸収線量に変換した方が大きかった シールド厚 2.7mm については SDOM による電子計測が多めに出力されていることが考えられる シールド厚 8 12mm において SDOM データの方が大きい理由は 第 2 章でわかった陽子の過小評価の影響だと考えられる 陽子は物質中で運動を停止する直前で急激に物質へエネルギーを与えるため (Bragg ピーク ) シールド厚 = 飛程と考えれば その飛程を持つエネルギーの陽子の寄与が高いと考えられる 約 8mm 及び 12mm が飛程の陽子のエネルギーは約 42MeV 54MeV である この付近のエネルギーにおいて RADFET は-25% で過小評価するため DOS フライトデータの+ 側にエラーバー 25% を追記する しかし DOS フライトデータの値が SDOM フライトデータを吸収線量に変換した方に比べ小さかった 今回ノイズが大きく信頼性が少ないため SDOM データに関し 電子の 3MeV よりエネルギーが大きいデータは使っていない しかしながら 8mm を超えるシールド厚には図 で示すとおり 電子の影響が少ないと考えられる よってシールド厚 8mm 及び 12mm の結果は陽子の影響が大部分である これらシールド厚で SDOM のデータの方が大きい理由は SHIELDOSE-2 モデルで想定する理想的な半球形状と SSM の形状の違いの効果が考えられる

67 Totaldose[Gy] mmSDOM 2.7mmDOSX Totaldose[Gy] mmSDOM 5mmDOSX Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Date Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Date Totaldose[Gy] mmSDOM 8mmDOSX Totaldose[Gy] mmSDOM 12mmDOSX Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Date Date 図 SDOM フライトデータを SHIELDOSE-2 へ入力 計算した結果と DOS フライトデータ (-X 面 ) の比較

68 3.4.3 捕捉陽子の過小評価宇宙環境モデルが実環境の捕捉陽子を過小評価していることについては NASA の Xapsos らも NOAA 衛星のデータを使ったデータ解析で主張している [3] NOAA/TIROS( または TIROS/NOAA) 衛星は NOAA が継続的に低軌道 ( 約 800km) に打ち上げてきた気象衛星であり 宇宙環境モニタ Space Environment Monitor (SEM) が搭載されており そのデータを基にした捕捉粒子モデル (NOAAPRO) が構築されている それらデータの比較 [4] によれば 高度 400km(i=45 ) という本実験と比較して低高度ではあるが AP-8MIN( 極小期モデル ) を基準とするとエネルギー約 7MeV 以上についてはフラックスが過小評価 エネルギー約 7MeV 以下では過大評価であるとの解析結果が示されている ( 図 ) 図 捕捉陽子モデルの比較 ( 低高度 ) 実際 GPM(Global Precipitation Measurement) プロジェクトにおける NASA との耐放射線環境条件の確認の中で NASA 側は捕捉陽子条件に関し NOAA/TIROS データに補正された AP8 モデル値 を採用し AP8 モデル値の各エネルギーに対するフルエンスを 8.74 倍して提示してきた またトータルドーズに関しても 捕捉陽子の影響を同様に 8.74 倍にして提示してきた 図 に提示されたドーズデプスカーブの JAXA 計算結果 (SEES[1] での計算 ) との比較を示す SEES の計算においては AP8 が使用されている シールド厚約 5mm より厚いシールドでは NASA が提示した値が約 1 桁 AP8 の結果より大きくなっている この様にシールド厚 5mm 以上のトールドーズ評価は今後厳しくなる可能性があるが 元々宇宙用部品の耐放射線性に重要な 1kGy レベルより 1~2 桁少ないトータルドーズであるた

69 め電子部品等のトータルドーズ耐性への影響は少ないと考える 1.00E+05 GPM/DPR SEES 1.00E+04 Total dose [rads] 1.00E E E+01 内部計算のエラーにつき参考 Aluminum Shield thickness[mm] 図 GPM プロジェクトにおけるドーズデプスカーブの比較 3.6. ADEOS-II( みどり 2) 搭載 RADFET の計測結果 [5] 環境観測技術衛星 (ADEOS-II) は地球観測プラットフォーム技術衛星 (ADEOS) の観測ミッションを継承すると共に 地球温暖化 オゾン層の破壊 世界各地の異常気象の発生等のグローバルな環境変動のメカニズムの実態把握及び原因究明などの世界的な気候変動研究を行うために必要なデータ取得を目的とした約 6 4 4m 打上げ時質量約 3.7t の大型衛星である 地球観測のためのセンサ類の他に 宇宙環境による人工衛星の不具合や故障現象との関連を解明するため 軌道上の宇宙環境と衛星用部品 材料の劣化等の工学的な技術データを取得する機能を有する技術データ取得装置 (TEDA) が搭載された TEDA のセンサの一つとして RADFET によるトータルドーズ計測装置が搭載された RADFET は MDS-1 と異なり 14PIN DIP タイプを曝露モード時 5V をゲートに印加して使用した ADEOS-II は 2002(H14) 年 12 月 14 日 10:31(JST) に H-IIA ロケット 4 号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた TEDA は同年 12 月 30 日にヒータモードからスタンバイモードに移行し 初期チェックアウトを翌年 2003 年 2 月 2 日から 3 日に実施 その後継続的に 2003 年 10 月 24 日 (ADE0S-II は同日 16:12(UT) に運用異常により 運用を停止した ) までデータが取得された ADEOS-II 搭載 TEDA には 8 つの RADFET が搭載された 配置位置と打上げ後から 2003 年

70 10 月 23 日までのトータルドーズの計測結果を表 に示す 表 RADFET の配置場所と計測結果 CH 配置場所 打上げ後から 2003 年 10 月 23 日までのトータルドーズ [Gy(Si)] CH1 +Y 面 ( ミッションハーネスフレーム ) 中央から+X 方向より CH2 +Y 面 ( ミッションハーネスフレーム ) 2.59 中央 CH3 -Y 面 ( ミッションハーネスフレーム ) 1.14 中央から+X 方向より CH4 -Y 面 ( ミッションハーネスフレーム ) 中央 5.34 CH5 放射線粒子モ 半球 Al シールド厚 6.20 CH6 ニタ (DOM) と同視野 0.7mm 半球 Al シールド厚 2mm 2.10 CH7 半球 Al シールド厚 4mm 1.66 CH8 半球 Al シールド厚 11mm 1.52 図 に半球 Al シールド中の RADFET(CH5,6,7,8) の計測結果及び SHIELDOSE-2 を使用した時系列のトータルドーズ予測を示す トータルドーズ予測手法は 3.3 項と同じであるが 太陽陽子モデル JPL1991 の信頼度を 75% 95% の 2 通り計算した また SHIELDOSE-2 による計算において RADFET 自身のシールド厚を Al 換算 0.8mm を追加して評価した 結果モデル計算からシールド厚 3mm で約 20Gy のトータルドーズと推定されるが RADFET の取得データは最も薄いシールドにおいても そのレベルまで達していない 図 からも取得データのモデル計算結果からの解離が大きいことがわかる 原因として データ取得期間が短いこと 衛星からのシールドの影響 モデル値の過大評価等が考えられる

71 1.00E+02 Shieldose-2_1.5mm JPL95% Totaldose[Gy(Si)] 1.00E E+00 Shieldose-2_1.5mm JPL75% 0.7mm shield 2mm shield 4mm shield 11mm shield Shieldose-2_11.8mm JPL95% Shieldose-2_11.8mm JPL75% 1.00E Jan Mar-03 9-May Jun Aug-03 6-Oct Nov-03 Date 図 半球 Al シールド中の RADFET(CH5,6,7,8) の計測結果及びトータルドーズ予測 3.7. 第 3 章のまとめ第 2 章の校正手法を反映して MDS-1 搭載 DOS センサデータを補正し 解析した まず DOS フライトデータとモデル予測値とを比較した DOS フライトデータはモデル予測値に対し シールド厚 2.7mm でほぼ同じであった しかし シールド厚 mm ではそれぞれファクター であった DOS センサからのフライトデータからドーズデプスカーブを作成し 評価した 結果 衛星設計に重要な 3mm 以下のシールド厚では宇宙環境モデルが過大評価している結果が得られた これは民生用電子部品のトータルドーズ設計をより薄いシールド厚で使用できる可能性を示唆している 一方 3mm を超えるシールド厚では宇宙環境モデルが過小評価している結果が得られた 民生用電子部品の適用という観点では このシールド厚におけるトータルドーズは 100Gy レベルのため インパクトは少ない 100Gy レベルは民生部品でも使用可能な範囲である 電子 陽子スペクトラムデータについて SDOM フライトデータと宇宙環境モデルとを比較した 電子について 全体的に SDOM フライトデータが大きい 陽子については E=30MeV を境として それより小さいエネルギーでは宇宙環境モデルが過大評価 大きいエネルギーは宇宙環境モデルが過小評価であった E=30MeV の飛程は Al 中で約 4.5mm のため シールド厚 3mm 以上についてモデルが過小評価しているとした DOS センサの結果を裏付けていると考える SDOM フライトデータを吸収線量に変換し DOS センサからのフライトデータと比較した シールド厚 5mm を除き SDOM フライトデータを吸収線量に変換した方が大きかった シールド厚 2.7mm については SDOM による電子のカウントが多めに出力されていることが考え

72 られる シールド厚 8mm 及び 12mm の結果は陽子の影響が大部分であり これらシールド厚で SDOM のデータの方が大きい理由は SHIELDOSE-2 モデルで想定する理想的な半球形状と SSM の形状の違いの効果が原因の一つと考えられる [ 参考文献 ] [1] [2]S. M. Seltzer, Updated calculations for routine space-shielding radiation dose estimates: SHIELDOSE-2, Gaithersburg, MD, NIST Publication NISTIR 5477, [3] Xapsos, M.A.; Huston, S.L.; Barth, J.L.; Stassinopoulos, E.G, Probabilistic model for low-altitude trapped-proton fluxes, IEEE Trans. Nucl.Sci. 2002,NS-49,No.6, [4] Stuart L. Huston, Trapped Proton Models:TPM-1 and Beyond, Radiation Models Workshop Oct.,2004 [5] Yugo Kimoto, Norio Nemoto, Haruhisa Matsumoto, Ken-ichiro Ueno, Tateo Goka, and Toshihiro Omodaka, Space Radiation Environment and Its Effects on Satellites: Analysis of the First Data from TEDA on Board ADEOS-II, 2005, IEEE Trans. Nucl. Sci., VOL.52, No.5, pp

73 第 4 章 衛星設計への反映 4.1. 衛星設計への反映 MDS-1 搭載積算吸収線量計 (DOS) のフライトデータの解析を通し これまでわからなかった実環境データとモデルデータの共通点 相違点を見いだすことができた これまでの衛星設計における トータルドーズ効果に対する設計手順について図 へ示す 宇宙放射線環境モデル 電子及び陽子のエネルギースペクトラム 軌道条件 打上げ年度 ミッション期間 安全率 (*) システム要求 Dose-Depth Curve (*) 太陽フレアに対する信頼度水準を含む システムレベル 安全率 システムトータ システム 衛星機器配置 搭載機器レベル ルドーズ環境 遮蔽厚データ 質量分布 搭載機器トータル 搭載機器 搭載機器 ドーズ環境 遮蔽厚データ 実装設計 部品 材料の変更 部品及び材料の耐放射線特性 部品 材料放射線耐量データ 文献部品材料データ 遮蔽厚の増加 対策? No 放射線劣化は許容値内か? 不明 部品材料 放射線試験 Yes 使用条件の変更により許容値内 終 了 図 トータルドーズに対する設計フロー [1]

74 図 における不確定要素としては 以下が挙げられる (1) 宇宙放射線モデル ( 捕捉電子線モデル AE8 捕捉陽子モデル AP8 等 ) (2) シールド厚計算 (3) 部品 材料の地上放射線試験データ (1) に関し AE8 AP8 は昨今の実計測データにより下記の食い違いがあることがわかってきている 表 に概要を示す 表 AE8 AP8 とフライトデータとの比較結果のまとめ 過大評価 過小評価 電子 AE8 5MeV 以下 (CRRES( 極大 ))[2] 5MeV 以上 (CRRES( 極大 ))[2] POLE(GEO) の 10 倍多い [4] 0eV から外挿しているため低エネルギー領域は特にエラー大で過大 [5] 陽子 AP8 15MeV 以下 (CRRES( 極大 ))[2] 20MeV 以上 (CRRES( 極大 ))[2] 10-45MeV(ETS-VI( 極小 ))[3] E> MeV;1000km 以下でファクター 2[4] NASA の AE8 AP8 との比較データは上記に示したとおり複数あるが 概して ファクター 2 の誤差が言われている[6] (2) に関し 現在標準的に使われている SHIELDOSE-2 と最新の高エネルギー粒子輸送コードであるモンテカルロシミュレーション GEANT4[7] との比較が行われている Multi-Layered Shielding Simulation Software(MULASSIS) は ESA が開発した GEANT4 をベースとした放射線シールド計算ツールである これによれば 5mm 以下のシールドでは MULASSIS による結果は SHIELDOSE-2 の結果より 5~10% 低かったが シールドが厚くなるにつれ差異は少なくなったという報告がある [8] 同論文の記述の通り 二次粒子のトータルドーズへの寄与について シールド厚が厚くなるにつれ大きくなることを SHIELDOSE-2 が十分に考慮してない可能性があるが [8] その差は数% で少なく SHIELDOSE-2 での評価は妥当であると考えられる 他 CAD を使ってのモンテカルロシミュレーション技術が昨今発達し NOVICE 等ツールも徐々に開発されてきている [9] そして kev レンジから MeV レンジで NOVICE と GEANT4 の結果は良く一致することが示されている [10] これらソフトウエアの比較検討結果から 簡易的な SHIELDOSE-2 の評価は妥当であり SHIELDOSE-2 による評価は当分続くと考えられる (3) については 部品のバラツキ と照射試験の構成からの誤差であり 多く見積もっても十数 % の誤差があると考えられる しかしながら 地上照射試験手法は今後も議論が続

75 くと予想され デバイス毎に考慮する必要がある さらに不確定要素ではないが 実際の設計にあたっては 安全率 若しくは マージン が考慮される 例えば JPL ではファクター 2 を定めている [11] NASA の GPM(Global Precipitation Measurement) コア衛星に関するトータルドーズ設計においては最低でもファクター 2 を推奨している [12] ESA ではファクター 2-5 を定めている [13] 一方旧 NASDA は ESA 同様 2-5 をプロジェクト判断で採用している よって トータルドーズ設計を厳しくする側へ支配的要素は フロー上段の 電子及び陽子のエネルギースペクトラム と中央の 安全率 である 安全率 は必要な概念であるが 宇宙放射線モデルの不確定要素と 2 重に加わるため トータルドーズ設計を過剰にしている可能性がある よってこの 安全率 を本研究等の実環境データを基に小さくしていくことが今後の民生部品適用において大切と考える また宇宙放射線モデルの不確定要素をできるだけ排除すれば トータルドーズ設計のための誤差要因はかなり減ると考えられる 本研究においては シールド厚 2.7mm ではマージン (= モデル予測値 フライトデータ ) はほぼ 1 それより厚いシールド厚 mm では DOS センサフライトデータの方が宇宙環境モデルより多かったため それぞれ となった これら結果から従来の AE8 AP8 モデル値を使う場合 宇宙環境モデル予測値からの吸収線量を計算した結果を 3 倍 ( ファクター 3) にすれば十分であることがわかった その際 薄いシールド 2.7mm 以下ではモデルが過大評価であるため マージンの設定には注意が必要である しかしながら本提案は太陽活動極大期 MDS-1 が周回した静止トランスファー軌道という限定的な条件で取得した結果であるため すべてのミッションに適用はできない 軌道上トータルドーズを計測した実績例として参考とするべきである 4.2. 今後の計画第 2 3 章の成果をこれからの DOS センサ校正技術へ応用する計画は下記の 4 つがある (1)ETS-Ⅷ 搭載用 DOS ETS-VIII( きく 8 号 ) は 8 番目の技術試験衛星で 19 17m の大型展開アンテナを有する移動体からの高速通信技術実験等をミッションとする大型衛星である ETS-Ⅷは H-IIA11 号機によって 2006 年 12 月 18 日に打ち上げられた 静止軌道 ( 静止位置東経約 146 度 ) を周回するこの衛星には 技術データ取得装置 (Technical Data Acquisition Equipment: TEDA) が搭載され 宇宙環境の計測を行っている TEDA の一つのセンサとして 積算吸収線量計 (DOS) が搭載された DOS センサは 衛星の東西面および TEDA の処理部内に合計 7 個搭載されている DOS センサは MDS-1 へ搭載されたセンサのフライト予備品 即ち同一のセンサが搭載されている (2)SOHLA-1 搭載用 RCC[14] SOHLA-1 は JAXA から技術移管を受け東大阪宇宙開発協同組合が製作する小型衛星である

76 この衛星には RADFET4 つが搭載され 衛星構体外 ( 一つは RADFET の計測回路 (RCC) 内部 ) のトータルドーズを計測する ( 図 表 4.2-1) 計測回路 センサを図 へ示す 表 SOHLA-1 諸元 打上げ 軌道 姿勢 2008 年度 600km 700km(SSO) スピン制御 + 磁気トルク 電力 30-40W 通信 アマチュア通信 Sband 本体形状 質量 mm 約 50kg 図 SOHLA-1 計測部 センサ部 図 SOHLA-1 搭載トータルドーズ計測装置 (2)SDS-1 搭載用 DOS[15] SDS(Small Demonstration Satellite)-1 は JAXA 総合技術研究本部が進める小型の実証衛星シリーズの 1 型である 本衛星用には RADFET のベアダイを使用し MDS-1 搭載用センサを更に小型化したセンサ ( 図 4.2-3) を 7 個搭載し 実証コンポーネント内部や 構造ハニカム材の内側等におけるトータルドーズを計測する センサ自身のシールド厚は 0.5mm (Al 換算 ) である

77 図 SDS-1 搭載用センサ (8 19 3mm, ケーブル 500mm 込みで 4g) (3)JEM 曝露部搭載 SEDA-AP MPAC&SEED 環境モニタ材国際宇宙ステーション (ISS) の日本のモジュールである きぼう (JEM) 曝露区に搭載される SEDA-AP( 宇宙環境計測ミッション ) のセンサの一つである MPAC&SEED は宇宙材料曝露実験と微小粒子捕獲実験を行う この宇宙材料曝露実験のトータルドーズモニタとして RADFET 搭載が計画され プロジェクトが進行中である (4) その他その他遠隔測定可能 超小型である特性を生かした応用分野として原子力 加速器施設におけるロボット等によるリモート測定や 放射線治療の際のカテーテル内臓型センサとしての活躍が期待される [ 参考文献 ] [1]JAXA 耐放射線設計基準書,JERG-2-003( 改訂途中版 ) [2]Gussenhoven,M.S.,E.G.Mullen, and D.H.Bautigam, 1996, Improved Under-standing of the Earth s Radiation Belt from the CRREs Satellite, IEEE Trans.Nucl.Sci.,vol.43,No.2, pp [3]Goka T, H. Matsumoto, T.Fukuda,S.takagi, 1996, Space Environment and Effect Measurements from ETS-VI Satellite, Proceedings on ESA symposium Environment Modeling for Space based Applications ESA-SP-392 [4]D.M.Boscher et al,trans. IEEE Nuc.Sci,2003 [5] AE モデルを作った Dr.Tom Mortom 氏からの聞き取り,2006 [6]Janet L.Barth Next Generation Radiation Environment Models,Proceedings of the 41th RASEDA, 2000 [7] 5 -

78 [8] F. Lei, P. R. Truscott, C. S. Dyer, B. Quaghebeur, D. Heynderickx, P. Nieminen, H. Evans, and E. Daly, MULASSIS: A Geant4-Based Multilayered Shielding Simulation Tool, Trans.IEEE Nuc.Sci, VOL. 49, NO. 6, Dec 2002 [9]Jordan T., The accuracy of NOVICE electron shielding calculations, RADECS91, 320-4,1991 [10]Boscher D.,Rapport ONERA-CNES, RI 1/06023 DESP Nov [11] Radiation Design Margin Requirement, PD-ED-1260,May 1996 [12]Michael Xapsos and Janet Barth, Radiation Environment for the Global Precipitation Measurement (GPM) core Spacecraft November 2007 [13]Len Adams, Space Radiation Effects in Electronic Componets,ESA 資料,2003 [14] Yugo Kimoto, Hiroshi Tachihara, Small Total Dose Measurement System For Satellite, Proc. 57th International Astronautical Congress-2006 [15] Yugo Kimoto, Yohei Satoh, Hiroshi Tachihara, Small Total Dose Measurement System For SDS-1, Proc. 58th International Astronautical Congress

79 第 5 章総論 本論文は宇宙機環境におけるトータルドーズ計測法に関して 広いエネルギースペクトラムを持った電子 陽子で構成された宇宙放射線環境が及ぼすトータルドーズ効果を計測する RADFET の地上校正技術を確立し それを用いて人工衛星内部のトータルドーズ環境を測定したものである 宇宙放射線によるトータルドーズ効果を評価する手法については 電離損傷を模擬する γ 線を用いた MIL-STD-883 Method に基づいて行うことが国際的に主流である したがって 過去の衛星搭載用 RADFET の校正照射試験はγ 線を主に行われており 宇宙放射線の効果で支配的である電子及び陽子での照射試験は十分行われていなかった 本論文では電子 (E=1MeV) 及び陽子 (E=13,25,41,60,70MeV) で照射試験を行い γ 線照射試験結果と比較し γ 線のみによる校正試験技術を評価した 電子線照射によるトータルドーズはγ 線校正試験と同じであった 一方 陽子線照射試験では 13MeV~60MeV のエネルギーにおいてγ 線校正試験結果の約 80% であった また 60MeV 及び 70MeV のエネルギーにおいてはγ 線照射試験結果と同じであった 陽子の影響が支配的なシールド厚約 10mm を超える場合は計測誤差があるものの トータルドーズ効果に影響のある電子線及び陽子線環境下での RADFET による計測が 比較的簡易なγ 線照射試験で校正できることを示した また RADFET を使用した計測の問題点であるアニール ( フェーディング ) 効果のデータを取得し 補正手法について検討した アニール効果の影響は時間に対して指数関数的に減少する この応答関数を利用し アニール効果を含んだ計測値をデコンボリューションすることで アニール効果を含まない計測値を導く手法でアニール効果を補正した 次に RADFET の計測原理 過去の計測例を踏まえ MDS-1(Mission Demonstration Satellite -1) 搭載用トータルドーズ計測装置 ( 積算吸収線量計 :DOS) 及びその校正技術について検討した MDS-1 搭載用に選択した RADFET400nmIMPL について 特性のばらつき及び温度依存性 計測誤差についての評価を行った また MDS-1 搭載用 DOS センサ自体の形状の影響 ( シールド厚 ) について 材料 構造データを基に Ray-trace を使用して検証し フライトデータ解析に必要なシールド厚値を得た 以上行った照射試験結果及びアニールデータ補正技術をフライトデータ処理へ反映し MDS-1 搭載用 DOS センサのフライトデータを解析した まず DOS フライトデータとモデル予測値とを比較した DOS フライトデータに対しモデル予測値はシールド厚 2.7mm でほぼ同じであった しかし シールド厚 mm においてフライトデータは それぞれモデル予測値に対してファクター であった DOS センサからのフライトデータからドーズデプスカーブを作成し 評価した結果 衛星設計に重要な 3mm 以下のシールド厚では宇宙環境モデルが過大評価していると考えられる これは民生用電子部品のトータルドーズ設計をより薄いシールド厚で使用できる可能性を示唆している 一方 3mm を超えるシールド厚では宇宙環境モデルが過小評価している結果が得られた 民生用電子部品の適用という観点では このシールド厚におけるトータルドーズは 100Gy レベルのため インパクトは少ない 100Gy レベルは民生部品でも使用可能な範囲である

80 次に電子 陽子スペクトラムデータについて SDOM フライトデータと宇宙環境モデルとを比較した 電子について 全体的に SDOM フライトデータが大きい 陽子については E =30MeV を境として それより小さいエネルギーでは宇宙環境モデルが過大評価 大きいエネルギーは宇宙環境モデルが過小評価であった E=30MeV の飛程は Al 中で約 4.5mm のため シールド厚 3mm 以上についてモデルが過小評価しているとした DOS センサの結果を裏付けていると考える SDOM フライトデータを吸収線量に変換し DOS センサからのフライトデータと比較した シールド厚 5mm を除き SDOM フライトデータを吸収線量に変換した方が大きかった シールド厚 2.7mm については SDOM による電子計数が多めに出力されていることが考えられる トータルドーズ設計を過剰にする要因として不確定要素 安全率の設定がある 不確定要素での支配的なのは 電子及び陽子のエネルギースペクトラム と 部品 材料地上放射線データ である またこの 安全率 を本研究等で得られた実環境データを基に小さくしていくことが今後の民生部品適用において大切と考える 太陽活動極大期 MDS-1 が周回した静止トランスファー軌道という限定的な条件で取得した結果ではあるが DOS センサの解析結果から従来の AE-8 AP-8 モデル値を使う場合 宇宙環境モデル値からの吸収線量を計算した結果を 3 倍 ( ファクター 3) にすれば十分であることがわかった その際 薄いシールド 2.7mm 以下ではモデルが過大評価であるため マージンの設定には注意が必要である 本実験において設計値 ( モデル予測値 ) と実測値の違い ( マージンの実際 ) を得ることができた

81 謝辞 本研究にあたり 亀野誠二准教授 越石英樹准教授には大変お世話になりました 技術的内容はもとより 研究に対する考え方 方向性 まとめ方 研究者なるものとは? 等について深くご意見を頂き とても感謝しております 時々あった辛口のコメントは当方のやる気の起爆剤となりました 面高俊宏教授には社会人学生に入る前からいろいろ相談に乗っていただいて ご助言を頂きました 本当にありがとうございました 本研究を行うにあたり JAXA 環境計測グループの五家建夫専門グループ長 松本晴久技術領域リーダー 三宅弘晃さん 風間洋一さんらに多くの叱咤激励 ご助言を頂きました お忙しい時間を拝借して プレゼンテーションを聴いて頂き そしてコメントもいただきました また宇宙技術開発 SED の小泉勉さん 小川敏晴さんにはデータ処理のサポートをしていただきました そして放射線照射試験の際は 菱栄テクニカの大平秀春さん 大園浩之さん 伊藤正和さんの支援を頂きました 特に大平秀春さんには初期の頃から RADFET 計測システム全般の設計 製作を行って頂きました そのおかげで照射実験を多数行うことができました 皆さんの協力があってこそ 本論文が完成しました ありがとうございました 本研究に関連して 2002 年 9 月から 2003 年 9 月まで RADFET の製造元であるアイルランド旧 NMRC( 現在 Tyndall National Institute) において Visiting Researcher として RADFET の研究を行いました それを契機として Aleksandar Jaksic 博士には良い研究仲間として また友人として 大変お世話になりました 一緒に照射試験をし 議論しました その機会に培った知識 技術は本論文へ活かされています Thank you very much for your support. 社会人特別選抜に出願 入学したほぼ同じ時期に人事異動となり その運命的な流れにいささかの不安や不満があったことはぬぐい去れませんが 何とか乗り切る 走りきることができたのは 皆様方のおかげです 最後に 私が社会人学生にチャレンジすることに関して 理解と協力をいただきました妻 子供達に感謝いたします

82 APENDIX1 RADFET を使用した軌道上計測の例 1 Adams Holome-Sielde[1,2] は初期の RADFET 即ち p-chmos トランジスタを用いて軌道上の 2 つの宇宙機の放射線吸収線量を 7 年間計測した 一つは ESA が 1978 年 5 月 12 日に打上げた OTS(Orbital Test Satellite) である ( 静止軌道 10 W) もう一つは 1978 年 7 月 14 日に打ち上げた GEOS2( 静止軌道 i=11.8 ) である ( 静止軌道 0~35 E) ダイナミックレンジは 5V で 8bit/word の分解能である これは 20mV/bit の分解能で 150rad (Si)/bit に対応する OTS には 1 つ (devicea) GEOS2 には 5 つ (deviceb~f) の 同じセンサではあるがドーズデプスカーブが得られるようなセンサを搭載した 本実験では 低バイアスモード 或いは ゼロバイアスモード で運用され このシステムが長期のデータ取得と衛星運用上の制約 ( 電源のオフ ) に際し 優れた計測手法であることを実証した この実験におけるセンサデバイスは TOT シリーズの pmos を使用し ゲート酸化プロセスは 1.5%HCl 含ドライ酸素雰囲気中数種の温度で行われ 次に窒素雰囲気でアニールを行い 更にリン酸塩化物雰囲気中 分間 安定化を行った 最終的なゲート酸化膜は 0.12 から 0.9μm であった 放射線の校正試験は Fulmer 製 1000Ci(37TBq)Co60 と ESTEC にある 150kVX 線源を使用した GEOS2 搭載のセンサユニットについて 図 1-1 に示す ( 参考図 1-2) また各衛星におけるシールド厚等について 表 1-1 に示す 表 1-1 各衛星におけるシールド厚等 衛星 Device シールド厚 電子エネ 陽子エネ 視野 (4π mm( Al) g/cm 2 ル ギ ー ル ギ ー からの割 (MeV) (MeV) 合 ) OTS A GOES-2 B GOES-2 C GOES-2 D GOES-2 E GOES-2 F METEOSAT G 衛星構体内 全方向 図 1-3 に 1 年あたりのドーズについて 3 つの線量計 (A B C) から得られたデータを示す 各データは先の手法によって校正され 視野情報から全方向からのデータに補正された シールドの薄いところのドーズ時間変化においては太陽黒点数と逆相関であった 極小期と極大期でドーズが 10 倍違った 例えば OTS の 1.6mm 厚のデータでは 20Krad/1 年と 2Krad/1 年であった GEOS2 の 1.6mm 厚のデータでは 5 倍の差であったが 2.6mm 厚データでは差が小さかったデータが得られた 図 1-4 に1 年あたりの最大と最小のドーズと 7 年間の 1 年あたりの平均ドーズを OTS GEOS2 衛星及び METEOSAT の各衛星のシールド厚毎にプロットした METEOSAT については 全方向で 7mm 厚のシールドである ( この場合 n-chmos トランジスタ ) NASA - A1-1 -

83 の AEI-7L0 モデル計算結果を SHIELDOSE の半無限平板モデルで出力しプロットした METEOSAT を除いて 1 年あたりの平均ドーズはモデル予想値よりも小さかったことが示されている おおむねモデル計算予想値は実測最高値のファクター 2 であった この結果は GEOS2 には耐放射線性ではない半導体素子と比較的薄いシールド厚の機器が多く搭載されているが これら機器が予想に比べ問題なく使用されていることの理由も説明できるとされている これは 1~2MeV の電子が長期的な変動を環境に与えていることを示唆している トータルドーズへの陽子の寄与は小さかった 図 1-1 GEOS 搭載センサユニット ( 約 120g 750μW 以下 ) 図 年 3 月 17 日 ESTEC Adams 氏訪問時にとった写真 ( 右 ;OTS 搭載モニタ装置 左 ;CRRES 搭載モニタ装置 ) - A1-2 -

84 (a)ots のデータ (b)geos2 のデータ図 1-3 太陽活動度とドーズ /1 年の関係 図 1-4 フライトデータと予測計算値のドーズ-デプスカーブ データは 7 年間の平均値で示している 2 韓国の KAIST のグループ [3,4] は小型衛星 KITSAT-1 に RADFET( イギリス REM 製 ) を搭載し 1992 年 9 月から 1994 年 12 月にわたる 2 年以上衛星内部の放射線吸収線量 2 カ所を計測した KITSAT-1 は韓国初の人工衛星で TOPEX/POSEIDON の副ペイロード ( アリアン 4 の ASAP 使用 ) として 1992 年 8 月 10 日に打ち上げられた 高度は 1330km 2 つの TOT500 タイプの RADFET が衛星内の異なる場所に配置された 予想以上に温度サイクルの影響を受けたため 温度補正が行われた 2 つの RADFET は衛星基板モジュール上から 2 番目の DSPE/CRE ボードに取り付けられており RADFET-1 は衛星の壁側に近 - A1-3 -

85 い位置にある 一方 RADFET-3 はモジュールの中心に近い位置にある RADFET-1 は壁側に近い位置にあるため RADFET-3 より多くの放射線を受けると考えられる NASA の AP8MAX と AE8MAX 及び DGRF モデルを磁場モデルに適用したドーズモデルを用いて搭載位置における放射線吸収線量を求めた シールド厚はモンテカルロ法を用いて各々の RADFET から衛星の外壁へのシールド厚を 4π 立体角に対して計算した 結果を表 2-1 に示すが 取得したデータはモデルよりも約 40% 少ない結果が得られた AP8MAX,AE8MAX 磁場モデル :DGRF AP8MIN,AE8MIN 磁場モデル :DGRF 表 2-1 モデルとの比較 RADFET-1 RADFET-3 [rad/year] [rad/ year] 温度の影響について Galloway らの式 [5] に当てはめ 検証をおこなった また 3krad/h から 90krad/h の異なるドーズレートで試験を行ったが 大きなドーズレート依存性は見られなかった 結果 軌道上の挙動をほぼ再現できた しかしながら モデル (NASA モデル APEXRAD モデル (APEXRAD の方が 各々のシールドで約 30% 50% AP8MAX/AE8MAX の結果より大きい )) との食い違いは不明であった NASA モデルは低高度でのドーズとフラックスを低く評価している可能性 実環境の低ドーズレートの影響等の理由が考えられている - A1-4 -

86 図 2-1 KITSAT-1 搭載 RADFET(2 カ所 ) の閾値電圧の経年変化 ( 上 ) (1992 年 9 月 ~1994 年 12 月 ) RADFET 搭載ボードの温度変化 ( 下 ) 3 Phillips 研究所 NRL[6] は Combined Release and Radiation Effects Satellite(CRRES) に PMOS ドシメータ (RAEDFET) を搭載した CRRES は 1990 年 7 月 25 日に 350km 34950km,i=18.2 の長楕円軌道に打ち上げられた データは 14.5 ヶ月間取得された Microelectronics Package (MEP) には 64 個の異なるシールド厚を持つ PchMOS が線量計として搭載された 64 個 (32ch 毎に A 系 B 系 ) は MEP 中の 3 つのレベルに分けられて搭載された 最初のレベル ( レベル1) は 0.25mm(10mils) のアルミとセンサ自体 T0-5 コバールパッケージにカバーされており これはアルミ換算で 1.65mm と等価である 次のレベル ( レベル 2) は更に最初のプリント基板にシールドされている 3 つ目のレベル ( レベル 3) は更にプリント基板にシールドされている また 48 個のサーミスターが 3 つすべてボードの温度を計測する様に配置されている また CRRES には DMSP F7 衛星にも搭載された pin 型 SSD にドーム型 Al シールド (4 種 ) をカバーした放射線モニタ (Space Radiation Monitor:SRM) が搭載されている 厚みは 2mm 5.9mm 11.6mm 22.5mm - A1-5 -

87 で それぞれ 電子で MeV 陽子で MeV の閾値の粒子を分別する E=50KeV~1MeV の低い LET の影響 即ち電子 E=140MeV 以下の陽子 制動放射線からの放射線吸収線量を計測する LOLET と E=1~10MeV の高い LET の影響 即ち E=140MeV 以下の陽子からの放射線吸収線量を計測する HILET に識別される 図に 2mm 及び 5.9mm シールド厚 Al ドーム下の LOLET HILET ドーズ及びトータルのドーズを示す 約 600 周回までは 2mm 厚から 5.9mm 厚にシールドが厚くなるにつれ ファクター 20 程線量が減少することがわかる 2mm シールド厚では陽子の影響はわずか 10% であるが シールドが厚くなるにつれ 陽子の影響は 60% を超える 587 周回以降は新しい流入粒子 電子の影響が厚いドーム (5.9mm 11.6mm 22.5mm) でも 60% を超える 図 3-1 にレベル 1,2,3 のドーズの時系列変化 ( 横軸周回数 ) を示す レベル 1 の線量計は約 30Krad(Si) で飽和していることがわかる 上記の SRM と PMOS ドシメータの比較結果を図に示す 図 3-2 はレベル 1 に設置された PMOS ドシメータの結果を Y 軸に示し SRM ( シールド厚 2mm) の結果を X 軸にプロットしたものであるが 2 つの結果の関係は比例していることがわかる レベル 1 におかれた PMOS ドシメータはほぼ SRD( シールド厚 2mm) の結果とよく一致していると結論づけられている レベル 2 の PMOS ドシメータは SRD のシールド厚 5.9mm の結果と比較した 線形性についてはよく一致しているが 一部のセンサはスポット的なまたはコンポーネントのシールドの影響で差が見られたと結論づけられている また図 3-3 にレベル 2 に設置された No.11 の PMOS ドシメータと SRD ( シールド厚 2mm) の時系列変化を示す 最初の 600 周回までは主に陽子の影響を受けている それ以降の周回は電子の影響を受けていることが受けている 全周回において両者の結果は良く一致しており これは電子と陽子が PMOS デバイスに同様なダメージを与えていることを示しており よって PMOS ドシメータはこの種の宇宙放射線環境において使用できると結論づけている また彼らは温度補正の重要性を示唆している 図 3-1 各シールド厚のトータルドーズの時系列変化 ( 横軸 ; 周回数 ) - A1-6 -

88 図 3-3 レベル 2 のトータルドーズ時系列変化 4 Ryden らのイギリスの QinetiQ( 前 DERA) のグループは Merlin と呼ぶ小型の宇宙天気モニタ (Space weather Monitor) を開発し ガリレオ実証衛星 (GALILEO System Testbed satellite(gstb-v2/a) に搭載した [7,8,9] Merlin はすでにフライト実績がある CREDO (PIN ダイオードを用いた LET モニタ ) や SURF( 内部帯電モニタ ) 実験機器をベースとしたものである GSTB-V2/A は欧州ガリレオナビゲーション衛星システムの実証衛星で SSTL( サリー 英国 ) が開発を行った Giove-A とも呼ばれている またこの衛星には Merlin のほかに サリー大学が開発した CEDEX と呼ぶ同様な放射線モニタも搭載された Merlin は表に示す特徴を持つ CREDO と SURF 及びトータルドーズ計測をワンパッケージにした機器である トータルドーズについては 2 カ所の位置について RADFET を用いて行われた RADFET は電源の ONNOFF 等で読み取りに影響が無いように バイアス無しで運用される シールド厚や感度はプロジェクト毎に合わせられる Merlin は NASA の Living with a Star Space Environment Testbed(SET-1) に相互環境モニタ (CREDANCE) としても搭載される予定である 表 4-1 Merlin の性能 計測項目等 計測レンジ等 陽子 >40MeV フルエンス 重イオン 100MeV/g/cm 2 ~25100 MeV/g/cm 2 の LET スペクトラム トータルドーズ Krad(SiO2) 2 つのシールド厚下 内部帯電 / 電子 3 つのシールド厚下の電流 (fa/cm -2 )200KeV~2MeV の電子 (3ch) 表面帯電 ( オプション ) 表面電圧 or 電流 ( リモートユニット ) GSTB-V2/A(Giove-A) は 2005 年 12 月 28 日に打上げられ 軌道長半径 23600km,i=56 の軌道 (MEO) へ投入された Merlin の RADFET のシールドは宇宙空間へ向けて Al 換算で 3mm と 6mm(2mmAl+0.25mmKovar と 5mmAl+0.25mmKovar) である また Merlin 同様に搭載された CEDEX は陽子 (E=45-50MeV) フラックス LET スペクトラム - A1-7 -

89 計測 (32MeV/g/cm 2 ~10,000 MeV/g/cm 2 ) の他にドーズレートモニタ機能も有する 4 つの異なるシールドドーム (2mm,4mm アルミニウム 2mm,4mm 銅 ) 内に小型 PIN ダイオードを有し 電離放射線入射に起因した電流を測定することでドーズレートを計測する ダイオードは耐 UV 性民生ダイオードで水晶窓を有する 暗電流は 0.4pA で ドーズレートの感度は約 7.6pA/mrad(Si)/sec である 校正は QinetiQ 内 REEF 施設で Sr 90 ベータ源を使って行った Merlin と CEDEX は打上げ後直ちに電源がオンされ データを取得した 図 4-3 に Merlin で計測された帯電とトータルドーズ環境について示した (2005 年 12 月から 2006 年 5 月まで ) 2006 年 4 月の電子の増加に起因すると考えられるドーズの急上昇が計測されている また図に見える周期的な電子の増加イベント ( 帯電データに見られる ) はコロナホールからの高速太陽風によって引き起こされる外帯のポンピング現象だと述べられている いずれにしても このデータは平均的に時間依存なく蓄積されるという従来からの考えとは異なり 短い期間に集中的に電子の増加と共にドーズを受けていることがわかる これは CEDEX のドーズレートモニタデータでも確認できた 126mm 185mm 60mm 1Kg( 標準 ) 2.5W 図 4-1 Merlin ユニット 図 4-2 Merlin のカットモデル [8] この図から RADFET は 14pinDIP タイプと考えられる - A1-8 -

90 図 4-3 Merlin で取得された帯電とトータルドーズデータ (2006 年 1 月 ~5 月 ) Dose については シールド厚 3mm の方が 5mm(6mm の間違いと考えられる ) よりもトータルドーズが多いと考えられるため 凡例が入れ違ったと考えられる 5 カナダは ISS における船外活動における線量計測に特化して RADFET を活用している EVA 放射線モニタ装置 (Extravehicular Activity Radiation Monitoring: EVARM) は 2001 年 12 月 6 日に STS-108(UF-1) で打ち上げられ 2002 年 ( 例えば 2002 年 10 月 10 日米国 David Wolf 宇宙飛行士は EVA の際に EVARM を携帯 )) 2003 年に実験が行われた [10] EVARM はクルーの皮膚 目 造血器官への放射線の影響を精密に測定し クルーの被曝放射線量を最小限に抑える放射線防護対策を講じる目的で開発された EVARM は 12 個の線量計 (3 個が 1 セット 3 宇宙飛行士分と予備 ) とリーダー ( 計測装置 ) パソコンから構成され 線量計には RADFET が使用された 図 5-1 に 3 つの線量計 ( 線量計バック ) を示す この線量計バックは EVA スーツ下着のポケットに収容された EVARM はオタワにある Thomson Nielsen 社 Ian Thomson 博士が P.I である 同 Thomson Nielsen 社は主に放射線治療用に RADFET( 彼らは MOSFET 線量計と呼ぶ ) を使用している 他に宇宙用としては STRV 1C(2000 年 9 月 15 日に GTO へ打上げられたが 電源系の不具合で 1 ヶ月で運用終了 ) 用にドーズデプスモニターを開発 搭載 また Mir 宇宙ステーション BION ビゲロー社のジェネシス I において線量計測を行っている - A1-9 -

91 図 5-1 EVARM の 3 線量計 図 5-2 EVARM のリーダー 6 SREM(Standard Radiation Environment Monitor) は ESA 版 SDOM と言うべき ESA とスイスの Paul Scherrer Institute が開発した宇宙放射線モニタ ( 図 6-1) である SREM は電子 陽子のフラックス計測の他に RADFET を使ったトータルドーズ測定機能も有する 表 6-1 に搭載された衛星について示す 現在のところ 文献 (11) 以外の発表はない RAFET に関するデータも発表されていない - A1-10 -

92 図 6-1 SREM 表 6-1 SREM が搭載された衛星 衛星 STRV-1c PROBA 1 INTEGRAL, ROSETTA 打上げ 運用 2000/9/15~( 注 1) 2001/10/22~ 2002/10/17 ~ 2004/3/2~ 軌道情報 GTO(250x36000k m),i=7deg, 10.5h SSO(570x640km),i =98deg, 97min 彗 ( 注 1) 打上げ 1 ヶ月後に不具合で運用停止 HEO(1000x km), 51.6deg, 72h 星 Churyumov- Gerasimenko に向かう惑星間軌道 [ 参考文献 ] [1]L.Adams, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1978,NS-25,1607 [2] A.Holmes-Siedle, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1985,NS-32,,No.6, [3]Y.H.Shin, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1999,NS-46,No.6, [4]Sung-Joon Kim, IEEE Trans. Nucl.Sci. 2002,NS-49,No.6, [5]K.F. Galloway, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1984,NS-31,No.6, [6]K.P. Ray, IEEE Trans. Nucl.Sci. 1992,NS-39,No.6, [7]K.A. Ryden, IAC-2004-IAA.4.9.4/U.6.04, [8]K.A. Ryden, IAC-2006, B [9]Merlin-Space Weather Hazard Monitor catalog [10]CSA EVARM の H.P [11] A. Mohammadzadeh, IEEE Trans. Nucl.Sci. 2003,NS-50,No.6, A1-11 -

93 APENDIX2 DOS センサの Ray-trace によるセンサシールド厚の計算 MDS-1 搭載用 DOS センサ内部の詳細について 図 1-1 へ示す b a a' b DOS センサ外観 黄銅の Lid を取り除いた所 図 1-1 DOS センサ内部の詳細 (a) a-a 断面 図 1-1 DOS センサ内部の詳細 (b) b-b 断面 ここで図 1-1 の情報から DOS センサの形状データを模擬して Ray-trace で DOS センサ RADFET の視野方向のシールド厚を計算した Ray-trace は FASTRADver.3[1] を用いて行った 図 1-2 に入力した形状とセンサである RADFET からの視野情報を示す 結果 -X ±Y +Z 面からの影響が全体の 93% を占め -Z 面即ち裏側からの寄与はほとんど無かった この 4 方向からの寄与で一番大きな +Z 方向の最低のシールド厚は 2.1mm であった この 2mm 厚を DOS センサのシールド厚として使用することとする - A2-1 -

94 図 1-2 Ray-trace で計算した結果 [ 参考文献 ] [1]T. Beutier, E. Delage, M.Wouts, O. Serres, P.-F. Peyrard, FASTRAD New Tool for Radiation Prediction, Proceedings of the 7th European Conference on Radiation and its effects on Components and Sytems, pp , Sep A2-2 -

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