海運事故最近の動向及び新たな傾向アレックスハント ITOPF( 国際タンカー船主汚染防止連盟 ) テクニカルチームマネージャー ( アジア太平洋地域 ) 石油連盟ワークショップ 2017 年 12 月東京

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やすもりおおふさ
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1 海運事故最近の動向及び新たな傾向アレックスハント ITOPF( 国際タンカー船主汚染防止連盟 ) テクニカルチームマネージャー ( アジア太平洋地域 ) 石油連盟ワークショップ 2017 年 12 月東京

2 ITOPF が対応した事故件数 (2016 年 12 月 ~2017 年 ) 12 ヵ月間で 17 件の事故タンカー =7 件 ( うち 3 件は積荷の油流出 ) 非タンカー =9 件 ( うち 7 件はバンカー重油流出 ) 流出源不明 =1 件 ( 原油 ) ITOPF の臨場 ( 現場 )

3 最近の事故 : LADY TUNA 号 (2016 年 12 月 18 日 ) LADY TUNA 号 (4,538 総トン 4,867 重量トン ) 冷凍貨物 : クロマグロ 1,500トントルコのILDIR BAYで座礁バンカー重油 (IFO-180)789 m 3 を積載約 400m 3 の油が海上に流出

4 最近の事故 : LADY TUNA 号 (2016 年 12 月 18 日 ) 汚染範囲 15km 以上の海岸線を汚染住宅地域と商業地域が混在主要な懸念事項 : 高価な魚の養魚場スズキハタ類 ( 学名 Dicentrarchus labrax) タイ ( 学名 Sparus Aurata) クロマグロ ( 学名 Thunnus thynnus)

5 最近の事故 : LADY TUNA 号 (2016 年 12 月 18 日 ) 指揮と調整トルコ当局との良好な関係 : 過去の流出と訓練地元機関との対応活動の統合政府の油流出対応契約業者との良好な関係 : 過去の流出事故油流出対応作業に情報助言を直接提供できた

6 最近の事故 : LADY TUNA 号 (2016 年 12 月 18 日 ) 油流出対応不手際な海上対応 : 未熟なオイルフェンス展開人力中心の海岸清掃活動 ITOPFの助言に基づき重機は使用しないようにした

7 最近の事故 : LADY TUNA 号 (2016 年 12 月 18 日 ) 重要な問題点 : 沈んだ油漂着した油の再移動堆積物と混合 > 密度が増大沿岸海域内で沈降 ITOPF は人力回収を勧告温度上昇に伴って油が再浮上

8 最近の事故 : LADY TUNA 号 (2016 年 12 月 18 日 ) 問題集 : 水産養殖業に対するリスク浮遊油が生簀を通過油による汚染は限定的 ITOPF が損害額を評価するため各養魚場を調査汚染の程度を記録損害軽減策について助言した魚の PAH( 多環芳香族炭化水素 ) 含有量の増加は認められなかった

9 最近の事故 : LADY TUNA 号 (2016 年 12 月 18 日 ) 問題集 : 観光業に対する脅威高級ホテルや影響力を持つ市民の夏の別荘地汚染除去に対する強い政治的圧力完了期限時期現在まで賠償請求は受けていない

10 最近の事故 :APL DENVER 号 (2017 年 1 月 3 日 ) コンテナ船 APL DENVER 号 (43,071 総トン ) コンテナ船 WAN HAI 301 号 (26,681 総トン ) マレーシアのジョホール海峡で衝突重油 (IFO-500) が最大で 300 トン流出マレーシアとシンガポールが流出油の影響を受けた

11 最近の事故 :APL DENVER 号 (2017 年 1 月 3 日 ) 汚染範囲プラウウビンの海岸とマングローブ魚イガイ海老の養殖場に影響シンガポールとマレーシアシンガポール島に軽微な影響ジョホール港内の汚染

12 最近の事故 :APL DENVER 号 (2017 年 1 月 3 日 ) 油流出対応シンガポール海事港湾庁 (MPA) とマレーシア環境省 (MOE) が監督 OSRL 及び複数の地元清掃業者高速海流用特殊オイルフェンスの使用ジョホール海峡内の養魚場の清掃プラウウビンにおける海岸清掃に重点

13 シンガポール海峡 : 油流出リスクが高い船舶交通量が非常に多い狭い海峡 (1.46 海里 ) 衝突事故が頻発 (2017 年に 3 件発生 ) 対応が複雑越境船舶交通量

14 最近の事故 :DAWN KANCHIPURAM 号 (2017 年 1 月 28 日 ) プロダクトタンカー DAWN KANCHIPURAM 号 (29,141 総トン ) LPG タンカー BW MAPLE 号 (47,386 総トン ) チェンナイのエンノーレ港から 2 海里の海上で衝突積荷 : ガソリン及びディーゼル油 IFO-180 が最大で 300 トン海上に流出したと推定

15 最近の事故 :DAWN KANCHIPURAM 号 (2017 年 1 月 28 日 ) 汚染範囲汚染の限界

16 最近の事故 :DAWN KANCHIPURAM 号 (2017 年 1 月 28 日 ) 政府インド沿岸警備隊タミルナードゥ州汚染管理委員会海運総局地域回収業者警察船主管理会社指定請負業者船主カマラハールエンノーレチェンナイアダーニ港湾 IOC 石油産業団体 BPCL CPCL 船主責任保険 (P&I) クラブ P&I クラブコレスポンデント P&I クラブ鑑定人技術支援指揮と統制インド沿岸警備隊が海上対応を主導タミルナードゥ州における準備不足海岸清掃を主導する行政機関がない合議制の意思決定大規模な人員の動員管理と調整が困難

17 最近の事故 :DAWN KANCHIPURAM 号 (2017 年 1 月 28 日 ) 油流出対応緊急段階海上対応は港湾に限定初期の重点は人力回収効果の低い手法 + 安全性の問題多量の廃棄物 +2 ( 第 2レベル ) 汚染計画実行段階船主が対応を引き継いだ請負 / 受託業者が指定された (ITOPFの助言) 清掃計画の作成 (ITOPFが草稿) 連携の改善 + 有効な手法共同調査 (ITOPFが組織) 4 月中旬に清掃を終了

18 最近の事故 :DAWN KANCHIPURAM 号 (2017 年 1 月 28 日 ) 問題集アクセスの悪さ衛生及び安全性公衆によるデモ

19 最近の事故 :DAWN KANCHIPURAM 号 (2017 年 1 月 28 日 ) 漁業への影響政府は漁業禁止令を発令せず野生生物の油汚染の報告なし船舶や漁具に対する若干の物的損害損害賠償請求の95% は市場の信頼回復に関連賠償請求はP&Iクラブ及びアドバイザーが審査中

20 最近の事故 :AGIA ZONI II 号 (2017 年 9 月 10 日 ) AGIA ZONI II 号 (1,579 総トン 3,205 重量トン ) ギリシャ船籍 1972 年に建造バンカー船 / バンカーバージ / 補油船 : 重油 2,362 トンを搭載 02:30 頃ピレウス沖の投錨地で沈没重油 700m 3 が海上に流出したと推定

21 最近の事故 :AGIA ZONI II 号 (2017 年 9 月 10 日 ) ペラマピライキ地域アテネサラミス島ピレウスアテネリビエラ汚染範囲油は数時間以内にサラミスに到達したピライキとアテネリビエラは数日以内に油で汚染された全体で最大 30km の海岸線が影響を受けた

22 最近の事故 :AGIA ZONI II 号 (2017 年 9 月 10 日 ) 指揮と統制ギリシャ政府は国家緊急時対応計画の下で全責任を負っている商船省傘下の海洋環境保全局 ( ギリシャ沿岸警備隊 ) 船主は対応活動を組織することを期待される船主はギリシャの海難救助会社 SPANOPOULOS と契約 - 同社は地元清掃業者 6 社に下請け

23 最近の事故 :AGIA ZONI II 号 (2017 年 9 月 10 日 ) 海上での対応 ITOPF と請負 / 受託業者が共同で空中監視を実施地元の請負 / 受託業者が小型油回収船を配備遭難現場及び沿岸海域で油を回収欧州海上保安機関 (EMSA) は大型流出対応船 (AKTEA OSRV) を配備掃海アームオイルフェンス油回収機を装備したタンカー海岸線保護のための広範なオイルフェンスの展開

24 最近の事故 :AGIA ZONI II 号 (2017 年 9 月 10 日 ) 海岸清掃活動清掃活動は複数の自治体にまたがって実施された活動は技術的な判断基準よりも政治的圧力で推進された現場の優先順位付け資源の配分及び清掃手法請負 / 受託業者間の全体的な調整及び競争の欠如スローペースの作業不明確な計画現場でのコミュニケーション不足現場での清掃ではなく海岸の物質を除去廃棄物の過剰な生成 + 著しく過剰な処分費用回収した沈殿物を浄化するためにセメントミキサー車の使用を勧告した清掃活動は 12 月も継続中 ITOPF 関係者は現地に滞在中

25 最近の事故 :AGIA ZONI II 号 (2017 年 9 月 10 日 ) 問題集 : 沈殿した油サラミス及びリビエラ沿岸の広範な地域人力回収 : 浅瀬の歩行と潜水作業ダイバー操作型の吸引ホースも使用

26 最近の事故 :AGIA ZONI II 号 (2017 年 9 月 10 日 ) 賠償賠償請求の規模は不明 CLC 92(92 年民事責任条約 ) の限度額 =536 万ユーロ FUND 92(92 年基金条約 ) + 追加基金 FUND 92 の利用可能額は 2 億 4100 万ユーロ

27 大規模タンカー油流出事故件数 1970~1979 年年平均 24.5 回の流出事故大規模タンカー油流出事故件数 1980~1980 年年平均 9.4 回の流出事故 1990~1999 年年平均 7.7 回の流出事故 2000~2009 年年平均 3.2 回の流出事故 2010~2016 年年平均 1.7 回の流出事故

28 大規模タンカー油流出事故件数タンカーによる油流出事故件数の減少と原油石油製品ガス積載量の増加油流出事故件数 (7 トン以上 ) 原油石油製品ガスの合計積載量 ( 百万トン )

29 傾向 : 世界的な頻発地帯 ITOPFが対応した流出事故件数 (2007~2017 年 )=206 件中国韓国日本マレーシアシンガポールスペイン英国フランスギリシャ台湾小計残りは50 以上の国で発生

30 傾向 : コンテナ船の事故危険物複雑なサルベージ活動コンテナの保管と扱いの手順

31 船舶油流出の将来は? 東アジアへ向かう / 通過する船舶交通量の継続的な増加 ( 石油化学品 ) 主要港近辺及び通過する船舶からの流出リスクが増加? コンテナ輸送量の増加 :15 年間で 69 百万 TEU から 178 百万 TEU へリスクの増加? 有害危険物質 (HNS) 問題? 長期間に及ぶサルベージ / 対応活動バンカー重油の LNG への置換が普及する可能性? 船舶からのバンカー重油流出リスクの減少?

32 2017 年振り返るべき年

33 効果的な対応へのカギは何か?

概要国際補償制度の原理法的枠組み IOPC 基金の仕組み補償請求の査定最近のトピックス

概要国際補償制度の原理法的枠組み IOPC 基金の仕組み補償請求の査定最近のトピックス油濁損害賠償に係る国際枠組みについて石油連盟油流出に関する国際シンポジウム 2012 国際油濁補償基金法務審議官吉田晶子概要国際補償制度の原理法的枠組み IOPC 基金の仕組み補償請求の査定最近のトピックス国際制度 : なぜ必要か? タンカーからの持続性油流出による汚染損害の被害者に対する補償和解による補償補償制度の統一的かつ整合性のある適用すべての補償請求者の平等な取扱 1992

海運事故 最近の動向及び新たな傾向 アレックス ハント ITOPF( 国際タンカー船主汚染防止連盟 ) テクニカル チームマネージャー ( アジア太平洋地域 ) 石油連盟ワークショップ 2017 年 12 月東京

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