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せとかあきくぼ
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1 独立行政法人石油天然ガスガス金属鉱物資源機構平成 19 年度 ( 第 8 回 ) 非鉄金属関連成果発表会 - 資源経済シンポジウムシンポジウムベースメタルベースメタル需給展望需給展望と価格高騰価格高騰のゆくえのゆくえ - 資料 3 世界の銅鉱業銅鉱業の変化変化と我が国へのへの影響平成 19 年 11 月 27 日金属資源開発本部本部企画企画調査部担当審議役澤田賢治

2 内容 1 1. 金属価格の高騰と非鉄メジャー 2. 中国を中心としたBRICs 諸国の台頭 3. 投機資金の流入 4. 技術開発によるコスト削減と収益の拡大 5. 製錬費 (TC/RC) の価格交渉推移 6. 価格高騰に伴うプロジェクト買収コストの変化

3 主要金属価格の推移 (23 年 5 月 ~27 年 8 月 ) 銅亜鉛ニッケルアルミ金について 23 年 5 月 (=1.) から 27 年 8 月までの推移を下図に示した銅亜鉛ニッケルは ; 5~6 倍アルミと金は 2 倍程度に高騰特に 25 年から急騰していることが明白である Cu Zn Ni Al Au 6/ Cu 3,683 6, % Zn 1,382 3, % Ni 14,733 24, % Al 1,898 2, % Au % Year 25 Year 26 Year 27 Price (May 23 = 1.) May-3 Jul-3 Sep-3 Nov-3 Jan-4 Mar-4 May-4 Jul-4 Sep-4 Nov-4 Jan-5 Mar-5 May-5 Jul-5 Sep-5 Nov-5 Jan-6 Mar-6 May-6 Jul-6 Sep-6 Nov-6 Jan-7 Mar-7 May-7 Jul-7

4 主要非鉄メジャーにおける利益の推移 (23-26 年 ) 売上高上位にある主要非鉄メジャーに対して年の当期利益の推移を検討した各社とも毎年増加傾向にあり特に 26 年の当期利益は前年比 1.4~ 2.9 倍を記録している特に企業買収により多角化した Xstrata と CVRD は 2.5 倍以上価格高騰に伴う潤沢な資金力は M&A による企業の成長と拡大に向けられる可能性 3 14, 12, 1, 当期利益 ( 百万ドル ) 8, 6, 4, 2, Anglo American BHP Billiton Rio Tinto CVRD CODELCO Phelps Dodge Xstrata 23 1,592 3,379 1,58 1, ,913 6,398 2,813 2,573 1,134 1,46 1, ,521 7,42 5,215 2,662 1,78 1,66 1, ,186 12,254 7,438 6,528 3,339 3,18 4,885

5 非鉄メジャーの売上高 (25 年 ) と 26 年の M & A 4, 35, 26 年には日本円で2~3 兆円規模の大型買収が見られた 26 年 7 月 XstrataがFalconbridgeを買収 ( 買収額 $ 161 億 ) 26 年 11 月 CVRDがIncoを買収 ( 買収額売上高 $ 17 億 ) 26 年 11 月 Freeport McMoranがPhelps Dodgeを買収 ( 買収額 $ 259 億 ) 26 年 12 月 ZinifexとUmicoreの統合 27 年 7 月にはRio TintoがAlcanを買収 ( 買収額 $ 38 億 ) 26 年の両社の売上高はそれぞれ $ 236 億 $ 254 億であり Rio Tintoは最大となる 4 25 年売上高 ( 百万ドル ) 3, 25, 2, 15, 1, (CVRD+INCO, $ 18,91 百万 ) (FCX+Phelps Dodge $ 12,833 百万 ) Xstrata+Falcon $ 16,239 百万 ) 5, Anglo American BHP Billiton Rio Tinto CVRD CODELCO Phelps Dodge Falconbridge Xstrata Norilsk Nickel Grupo Mexico INCO Teck Cominco Freeport McMoran

6 26 年売上高と多様性からみた非鉄メジャーの動向 12 1 最近の非鉄メジャーは企業買収を通じて事業の多角化が顕著である Xstrata や CVRD は企業買収を通じて売上高の増加や事業内容の多角化が進行. Anglo American BHP Billiton 5 Diversity(No. of Segment) Expanding Majors Teck Norilsk Cominco Xstrata CVRD Rio Tinto Big three Majors 2 FCX PD CODELCO 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 4, 45, Sales of 26($ million)

7 三大非鉄メジャーの部門別税引き前利益 (26 年 ) Aluminium 8% Nickel 7% Other 4% Base Metal 31% BHP Billiton Rio Tinto Anglo American の 26 年における税引き前利益 ( EBITDA) を示す 6 Rio Tinto と Anglo American は 26 年 12 月 31 日時に基づき BHP Billiton は 26 年 6 月 3 日時による Petroleum 22% BHP Billiton (EBITDA:$ 17,98 m) Anglo American (EBITDA:$ 12,197 m) Aluminium 11% Other 6% Carbon Steel 28% Diamond 4% Other 9% Gold 7% Base Metal 35% Energy 11% Copper 4% Coal 9% Rio Tinto (EBITDA:$ 12,566 m) Ferrous Metals 13% Iron Ore 32% Platinum 23%

8 躍進めざましい非鉄メジャーの税引き前利益 (26 年 ) CVRD と Xstrata は近年企業買収により躍進がめざましい 26 年 12 月 31 日時における粗利益と部門別税引き前利益を示す CVRD : Net Income ($ 8,634 m), Xstrata: EBITDA($ 7,136 m) 7 CVRD Xstrata Other 1% Net Income:$ 8,634 m Other 15% EBITDA:$ 7,136 m Copper 6% Nickel 6% Aluminium 11% Coal 18% Copper 46% Iron Ore 67% Zinc & Lead 21%

9 主要オイル非鉄メジャーの売上高と純利益 (26 年 ) 26 年における主要メジャーの売上高と純利益を下図に示す非鉄メジャー最大の BHP Billiton の売上高でも Exxon Mobil の 12 分の 1 程度であり非鉄メジャーの売上高はオイルメジャーの売上高に比べて極めて小さい純利益率 ( 純利益 / 売上高 ) は代表的なオイルメジャーが 8~1% であるのに対して非鉄メジャーは 2% 以上と大きい 45, 4, Exxon Mobil 8 純利益 ( 百万ドル ) 35, 3, 25, 2, 15, 1, 非鉄メジャー ConocoPhillips 純利益率 1% Chevron 5, アルミ金の非鉄メジャー 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 4, 売上高 ( 百万ドル )

10 非鉄メジャーの売上高と純利益 (26 年 ) アルミ企業 (Alcoa, Alcan) やUS Steelの純利益率が1% 以下であるのに対し非鉄メジャーはAnglo Americanを除いて純利益率は2% 以上である 12, 非鉄メジャーの中でも売上高や純利益が大きいのは BHP Billiton, Rio Tinto, CVRD, Xstrataである BHP Billiton 純利益率 3% 9 1, Rio Tinto 純利益率 2% 純利益 ( 百万ドル ) 8, 6, 4, 2, Cameco Teck Cominco FCX Newmont Mining CVRD Xstrata CODELCO US Steel Corp Alcan 純利益率 1% 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 4, 45, 売上高 ( 百万ドル ) Alcoa Anglo American

11 非鉄メジャーの寡占化 ( 銅鉱山生産 ) 世界の銅鉱山生産 ( 含有銅量 ) において上位 5 社の生産量は 199 年の 32% から 26 年には 41% に拡大銅鉱山業を重視する非鉄メジャーの寡占化は中国製錬企業の生産拡大の中買鉱交渉において不利になる可能性がある 28 年買鉱交渉において Freeport McMoran と中国の雲南銅業は TC が 35 $/t RC が 3 /Lb PP はなしで決着 28 年のベンチマークとなる可能性が指摘されている Copper Mine Production(kt) 16, 14, 12, 1, 8, 6, 4, 2, 銅鉱山生産 (26 年 ) 銅鉱山生産 (199 年 ) 上位 5 社によるによる銅鉱山生産 8,64 6,67 6,786 2, 生産順位企業名生産量 ( 千 t) 比率 (%) 累計 (%) 生産順位企業名生産量 ( 千 t) 比率 (%) 累計 (%) 1 CODELCO ( チリ ) 1, CODELCO ( チリ ) 1, 新 Freeport McMoran( 米国 ) 1, Phelps Dodge ( 米国 ) BHP Billiton( 豪州 ) 1, Rio Tinto ( 英国 ) Xstrata( スイス ) Asarco ( 米国 ) Rio Tinto ( 英国 ) State of Congo ( コンゴ ) Anglo American ( 英国 ) KGHM ( ポーランド ) Grupo Mexico( メキシコ ) State of Zambia ( ザンビア ) KGHM ( ポーランド ) Cyprus Minerals ( 米国 ) Norilk Nickel ( ロシア ) Norilk Nickel ( ロシア ) Kazakhmys( 英国 ) Magma Copper ( 米国 ) 年世界生産合計 14, 年世界生産合計 8,96 1. 出典 : Raw Materials Group 26

12 中国の台頭とその影響年代以後の急激な経済発展に伴い非鉄金属需要も大きく増加 26 年世界第 1 位の消費量を誇る鉱種 : 鉄銅鉛亜鉛ニッケル錫アルミプラチナ輸出から輸入ポジションへの変更 : ニッケル (2 年 ) 鉛 (21 年 ) 亜鉛 (22 年 ) 銅 ( 輸入の拡大 )

13 世界消費量増加に対する中国の寄与 (22~26 年 ) 前年比増加率 (%) 世界銅消費量の伸び Others China 世界亜鉛消費量の伸び金属価格が高騰した 22 年以降における銅亜鉛ニッケルの世界消費量の伸びを中国の寄与 ( 赤 ) とその他世界の寄与 ( 青 ) で示した 3 金属の世界消費は中国によって牽引されており価格高騰の要因は中国の需要拡大に起因する 12 中国における 2-26 年の銅地金消費量の増加は 1,681 千 t と世界増加量の 9% 亜鉛の増加は 1,713 千 t と世界増加量の 88% ニッケルの増加は 183 千 t と世界増加量の 82% を占めている世界ニッケル消費量の伸び前年比増加率 (%) (2.) (4.) 前年比増加率 (%) (2.) Others 3.4 (1.6) 2.2 (.4) 1.4 Others (.7) China China (1.2)

14 中国の銅鉱山生産地金生産地金消費 ( 年 ) 中国の銅消費は 1996 年から拡大しており 1998 年には日本を抜いて世界第 2 位の消費国となり 22 年には米国を抜いて世界最大の消費国となった 26 年は世界銅消費の 21% を占めている 26 年銅消費 China 21% 13 中国の国内銅鉱山生産は 75 千トン程度であり海外からの銅精鉱やスクラップに大きく依存している Japan 7% 4, Other 72% 3,5 3, Production and Consumption(kt) 2,5 2, 1,5 1, Mine Production Refined Production 1,119 1,179 1,211 1,174 1,371 1,523 1,633 1,836 2,199 2,6 2,999 Refined Consumption 1,193 1,27 1,42 1,484 1,928 2,37 2,737 3,84 3,364 3,656 3,61

15 中国における銅の消費動向 (25 年 ) 最近中国市場の銅需要は安定成長を続けており平均年間純増加量は 3 千トンを越えており主に電力家電電子情報分野で消費されている 14 特に電力不足がここ 2~3 年電力業界の投資を急増させ銅需要を大きく牽引している 25 年の電力業界における銅需要は全体の 59.1% を占めており 24 年より 1.3 ポイント増えている電子 / 情報 9% 機械製造 7% 建築その他 6% 軽工業 2% 電力 58%

16 世界経済における BRICs 諸国の台頭 BRICs: Brazil, Russia, India, China 米 Goldman Sachs 証券が 23 年 1 月に発表したレポート Dreaming With BRICs: The Path to 25, Goldman Sachs Global Paper, October 23. の中で初めて登場した造語世界の人口の約 42%( ( 約 27 億人 25 年 ) GDP の約 1%( ( 約 4.6 兆ドル, 25 年 ) 国土面積の約 28% % を占める BRICs は原油でこそ輸出ポジションにあるが銅は世界消費の 3% を占めており輸入ポジション 15 GDP Population Land GDP Growth Crude Oil (25) Copper (26) (Year 25) (Year 25) (Year 23) (Year 25) Production Consumption Production Consumption Brazil 1.8% 2.8% 6.3% 2.28% 2.2% n/a.9% 2.% Russia 1.8% 2.2% 12.6% 7.2% 12.1% 3.3% 5.1% 4.6% India 1.8% 17.% 2.4% 8.6% nil n/a.2% 2.4% China 5.1% 2.4% 7.1% 9.9% 4.6% 8.5% 5.% 21.1% BRICs 1.5% 42.4% 28.4% 6.86% 18.9% 11.8% 11.2% 3.1% World $ 43,616 billion 6,465 million Km % b/d b/d t t

17 投機的資金の流入 16 投機的資金流入の背景 1 世界的な低金利政策と低インフレによるファイナンシャルマーケットのリクイディティの増加年に出版された Facts and Fantasies about Commodity Future や The Tactical and Strategic Value of Commodity Futures による商品市場からの高収益の期待投機的資金流入の規模 1 25 年で $ 1,2 億以上 26 年で $ 1,7 億以上と推定 2 流入は以下のタイプのファンドによる商品への流入規模は 25 年末時 Commodity specific hedge funds, Non-core commodity funds ($ 35 億 ) Commodity trade advisors ($ 13 億 ) Financial Institutions ($ 8 億 ) 最近拡大傾向にある Financial Institutions と Commodity index 1 平均的な Commodity index はエネルギー (52%) 農産物(28%) 貴金属 (8%) 非鉄金属(12%) とエネルギーに重点が置かれている 2 主要な Commodity index として Goldman Sachs Commodity Index, Dow-Jones AIG Commodity Index, Reuters/Jefferies CRB Index, がある

18 商品市場に流入する投機資金 2 年あたりより商品先物市場の未決済残 ( 建て玉 Open interest) が急拡大 (= 資金流入の拡大 ) 未決済残 ( 数量 ) に同時期の価格を乗じて資金規模を計算すると 2 年の 2 億ドル (2.3 兆円 ) から 6 年 7 月 1,2 億ドル (13.8 兆円 ) 前後に拡大最も大きいのは WTI で現在 8 億ドル (9.2 兆円 ) 程度 17 1 億ドル 1 6 N Y K / C G O 市場主要商品未決済残高価値 ( 数量時価 ) C o p p e r W T I G o l d S u g a r C o r n 出典 : 柴田明夫 (26) JOGMEC 資源経済シンポジウム

19 投機資金の流入 ( ヘッジファンド ) ヘッジファンドの明確な定義はないが私募によって機関投資家や富裕層等から私的に大規模な資金を集め様々な手法で運用する代替投資の一つ市場変化に対するヘッジとして空売りを行ったことからこの名がある商品に特化したヘッジファンドは需給のファンダメンタルに基づいておりその他は金利為替レート等のマクロ経済に依存年金基金が 5 年かそれ以上の長い期間で運用されるのに対し多くのヘッジファンドは 3 ヶ月の短い期間でレバレッジという手法を活用して相場の下落というリスクを空売り等のテクニックを駆使して回避 ( ヘッジ ) する 18 ヘッジファンドはアナリストやファンドマネージャーが過少評価している銘柄には買い ( ロング ) のポジション過大評価の銘柄には売り ( ショート ) のポジションを取る相場全体が下げの環境下では空売りを仕掛けることで収益を得る売りと買いの両方を仕掛けているので相場全体の動きがどちらに進んでも片方の玉がヘッジとなり損失は最小になる価格将来価格スポット価格時間

20 技術革新によるコスト削減採掘から製錬の工程において技術開発によるコスト削減についてレビューした結論として過去 15 年革新的な技術開発はないが鉱山機器の大型化や無人化を通じて着実なコスト削減がみられる採掘 2. 破砕選鉱 3. 湿式製錬過去 15 年採掘機器に大きな技術革新はなく大型化等が進行 1 ダンプトラックの大型化 (2t 台から 3t 台近くは 4t) Catterpilar 793(218t), Komatsu 83E(28t) Komatsu 93E(29t), Catapillar 797B(345t) etc. 2 GPS 搭載の無人トラックによる操業チリの CODELCO における GPS 搭載の Komatsu 93E の導入 3 坑内掘り鉱山におけるロードホールダンプ (LHD) の遠隔操作坑内掘りの遠隔操作が進んでおり 5 年以内に無人化も可能過去 15 年破砕浮選機器に変化はなく大型化や無人化が進行 1 破砕工程におけるエキスパートシステムの導入 2 浮選機器の大型化とテレビカメラによる監視体制 3 機器のモニタリングやデータの集中管理体制の確立最近まで湿式製錬の対象は酸化銅鉱石や輝銅鉱に富む二次富化帯であったが黄銅鉱から成る初生銅鉱床や銅精鉱に向けられている 1 低品位初生銅鉱床は莫大な量を誇っておりダンプリーチングやヒープリーチングによる回収が期待される 5,t/ 年以下の小規模操業も可能であり建設コストも安い 2 銅精鉱の湿式製錬は乾式製錬で難しい低品位や少量のものも対象となるさらに砒素等を残して銅のみが回収される

21 銅生産コストコストの推移 ( 年 ) 年の銅生産コストについて C1 コスト ( キャッシュコスト ) の名目銅生産コストと実質銅生産コスト (1995 年ドル ) の 2 方法により表現した年の実質銅生産コストの推移から明らかなコスト削減トレンドが認められるこのコスト削減は採鉱選鉱機器の大型化や改良工程管理のコンピューター化生産規模の拡大によるスケールメリット等の技術開発に起因しているまた湿式製錬による酸化鉱や低品位の廃石からの銅回収は銅供給の拡大に貢献している 2 12 生産コストの削減 1 銅生産コスト (1995$) コスト ( /Lb) 8 6 銅生産コスト ( 名目 )

22 主要銅鉱山における銅生産コスト (24 年 ) 下図は銅生産量が 2 千トン以上の鉱山の銅生産コストカーブ (24 年 ) を示す C1 コスト ( 正味直接キャッシュコスト ) = キャッシュコストー副産物クレジット C3 コスト ( トータルコスト ) = C1 コスト + 間接コスト + 金利 24 年の銅価格は 13 /Lb であり一部の鉱山生産コストは価格を超えている長年生産コストが価格を上回る場合は不採算鉱山として閉山の対象となる C3 Cost ( トータルコスト ) C1 Cost 25 年銅価格 (167.1 /Lb) y 年銅価格 (13.1 /Lb) 生産コスト ( /Lb) , 2, 3, 4, 5, 6, 7, 銅生産量 ( 千 t)

23 銅価格 vs 銅生産コスト ( 年 ) 年における銅価格と英国調査機関のデータによる銅生産コスト ( トータルコスト ) を比較したその結果 198 年代後半以来銅生産コストは常に銅価格を下回っていることが判明 Rio Tinto の David Humphreys(1991) は銅価格が低迷した 198 年代中頃を契機として非鉄メジャーの経営方針の違いを指摘したこの違いは急激に拡大する銅市場に依存し過ぎた生産体制から銅価格の低迷や銅市場の縮小によるコスト競争の激化であるその結果銅価格のサイクルがピークに達した 1989 年 1995 年及び 26 年において利益が拡大価格及びトータルコスト ( /Lb) 年 : トータルコスト > 銅価格銅価格年 : トータルコスト < 銅価格世界経済拡大世界景気回復中国需要拡大 1 5 トータルコスト

24 買鉱条件 (TC/RC) 非鉄金属鉱山において付属製錬所を有しない場合は精鉱として買鉱製錬所 ( カスタムスメルター ) へ販売 25 年における精鉱の貿易市場は銅は4,858 千トン ( 消費量の29%) 亜鉛は3,234 千トン ( 消費量の32%) 精鉱の価格決定は精鉱品位溶錬費 (TC) 精錬費(RC) 基準地金価格等売り手側( 鉱山 ) と買い手側 ( 製錬所 ) で様々な条件が取り決められこれを買鉱条件と呼ぶその結果鉱山会社側取り分 = 精鉱価格製錬所側取り分 = 製錬費 (TC/RC) 23 国内販売価格精鉱価格製錬費関税等 (TC TC/RC RC) 鉱山会社側の取り分 LME 価格製錬会社側の取り分精鉱の輸送費 TC( 溶錬費 ): 精鉱を1t 当たり処理関税国内諸掛 ( 国内プレミアム ) CIF( 着港渡し価格 ): 精鉱の船積みする溶錬費相当 ($/t) から受取地までの運賃保険料を鉱山側が負担 FOB( 本船渡し ): 製錬所側が船を精錬費相当 ( /Lb) 手配し鉱山側が船積みまでの費用を負担 RC( 精錬費 ): 粗銅から電気銅までの

25 非鉄メジャーと製錬企業の利益配分最近の製錬企業と鉱山側との平均的な買鉱交渉の推移は以下の通り 25 年交渉 : TC 86$/t RC 8.6 /Lb PP のベンチマークは 9 /Lb 26 年交渉 : TC 6$/t RC 6. /Lb PP は 12 ー 18 /Lb のみ適用 27 年交渉 : TC は 55$/t, RC 5.5 /Lb, PP は廃止の方向で決着非鉄メジャーとわが国製錬企業の利益配分は 25 年で 1:4.7( 価格の 21% が製錬企業 ), 26 年で 1:13.6( 価格の 7% が製錬企業 ), であり 27 年は 1:24.4 ( 価格の 4% が製錬企業 ) と予想される年 26 年 27 年 35 4 ( /Lb Lb) ( /Lb Lb) (35 35 /Lb Lb?) /Lb 9% TC/RC PP( /Lb) Copper Price( /Lb) 9% 鉱山側鉱山側 12 /Lb 5 1 PP 9 /Lb 5 製錬側製錬側 TC/RC TC/RC TC/RC (21.6 /Lb) (15.1 /Lb) (13.8 /Lb) P.P TC/RC Price

26 世界の探鉱費 ( 金ベースメタルダイヤモンド白金 ) Metals Economics Group(MEG) による世界の探鉱費は 1997 年のピークから減少傾向にあったが金属価格の高騰とともに増加し 25 年以降 1997 年の水準を大きく越えている特にジュニアの探鉱費は 24 年からメジャーの探鉱費を越えている 26 年の探鉱費では地域別には中南米が鉱種別には金が探鉱ステージ別にはレイトステージがそれぞれ一番多い 8, アジア 4% 米国 8% その他 18% 豪州 11% アフリカ 16% 中南米 24% カナダ 19% 25 世界の金ベースメタル白金等探鉱費 ( 百万ドル ) 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 政府機関ジュニア企業 1,744 1, ,487 2,334 3,66 中堅企業 ,222 メジャー企業 1,923 1,634 1,43 1,32 1, ,138 1,48 1,843 2,166 その他 8% 白金 3% ダイヤモンド 12% ベースメタル 32% 鉱山周辺 18% レイトステージ 43% 金 45% グラスルーツ 39%

27 探鉱投資と鉱床発見 ( 年 ) 年の間において埋蔵銅量 5 千トン以上で将来開発の可能性がある発見プロジェクトは 25 件あり国別としてチリ (6 件 ) 豪州及びブラジル (4 件 ) ペルー (3 件 ) 等からなる 25 件の発見はグラスルーツ探鉱による発見であり鉱山の周辺探鉱による発見はふくまれない 25 件の発見銅量は 51,15 千トンであり世界最大鉱山の 2 鉱山分の量に匹敵する 26 埋蔵銅量 ( 千トン ) 14, 12, 1, 8, 6, 4, 2, 発見銅量 12,21 11,843 3, 11,496 7,566 1,57 3,42 発見件数発見件数発見年プロジェクト名国名発見企業埋蔵銅量 ( 千トン ) 1997 Peko Diq パキスタン BHP Minerals 5, Alenao ブラジル CVRD(67%), BNDES(33%) 2, Antapaccay(Tintaya) ペルー BHP Minerals 2, San Nicolas メキシコ Teck(55%), Western Copper(45%) 2,8 ( 小計 ) 12, Glogow Deep ポーランド KGHM 2, Conchi チリ Antofagasta 2, Los Chancas ペルー SPCC 2, 1998 Sepon Copper ラオス Rio Tinto 1, Cristalino ブラジル CVRD(67%), BNDES(33%) 1, Telfer Deep 豪州 Newcrest Mining Project 118 ブラジル CVRD(67%), BNDES(33%) 663 ( 小計 ) 11, Gameleira ブラジル CVRD 3, ( 小計 ) 3, 2 Telegrafo Sur チリ Antofagasta 4,41 2 Esperanza チリ Antofagasta 2,791 2 Mina Justa ペルー Rio Tinto 1,746 2 Boyongan フィリピン AAC(7%), Philex(3%) 1,117 2 West Musgrave 豪州 WMC 99 2 Afton Deep カナダ DRC Resources 811 ( 小計 ) 11, Oyu Tolgoi モンゴル Ivanhoe 3, La Fortuna(El Morro) チリ Noranda(7%), Metallica(3%) 2, Prominent Hill 豪州 Minotaur(19%), Mt Woods(81%) 1,455 ( 小計 ) 7, Lufua コンゴ First Quantum 1,25 22 Vicky チリ CODELCO 545 ( 小計 ) 1,57 23 該当なし 24 Regalito チリ Lumina Copper 2,7 24 Kalkaroo 豪州 Havilah Resources 72 ( 小計 ) 3,42 総計 51,15 15

28 発見企業別銅埋蔵量 ( 年 ) 年間において埋蔵銅量 5 千トン以上で将来開発される可能性のある発見鉱床は 25 件であり発見埋蔵銅量は 51,15 千トンである 27 非鉄メジャーによる発見は全体の 59% であり残り 41% はジュニアであった非鉄メジャーでは Antofagasta(19%) BHP Billiton(18%) Rio Tinto(8%) CVRD(7%) Grupo Mexico(4%) Anglo American(2%) CODELCO(1%) となっている BHP Billiton 18% その他 41% Rio Tinto 8% Antofagasta 19% CVRD 7% Grupo Mexico 4% Anglo American 2% CODELCO 1%

29 銅探鉱コスト ( 年 ) 28 探鉱活動にはグラスルーツ探鉱確認探鉱 /FS( 鉱量確定ボーリングや開発確認のための F/S 調査 ) 鉱山周辺探鉱 ( 既存鉱山周辺探鉱や衛星鉱床発見のためのボーリング等 ) の 3 段階があり探鉱コストを以下のように定義する (1) 探鉱コスト ( 新規発見 ) = 年銅探鉱費 / 新規発見銅量 = 3,948 百万 $ / 51,15 千 t = 77 $/t (2) 探鉱コスト ( グラスルーツ )= 年グラスルーツ銅探鉱費 / 新規発見銅量 = 3,948 百万 $.4 / 51,15 千 t = 31 $/t

30 銅プロジェクトの買収コスト (26 年 1 月 -27 年 2 月 ) 26 年 1 月 ~27 年 2 月に行われた銅プロジェクトの買収案件 13 件をリストアップした買収コスト ( 買収価格 / 権益分埋蔵銅量 ) を算出したところ以下の結果を得た生産段階の買収コスト : 85~964 $/t F/S と確認段階の買収コスト : 17~331 $/t 生産段階の買収コストは広い範囲であるが多くは生産前段階よりも高い 29 プロジェクト名国名開発段階買い手売り手権益 (%) 価格 ($ 百万 ) 埋蔵銅量 ( 千 t) コスト ($/t) Tintaya ペルー生産 Xstrata BHP Billiton 1% $75 百万 El Tesoro チリ生産 Antofagasta Equatorial 39% $41 百万 1, Reko Diq パキスタン確認 Antofagasta Tethyan Copper 75% $224.4 百万 Caserones チリ確認 Pan Pacific Regalito Copper 1% $137 百万 2,79 51 Pebble 米国 F/S Kennecott Northern Dynasty 9.9% $77.9 百万 2, Tritton 豪州生産 Straits ResourcesTritton Resources 41.4% $57.8 百万 Xietongmen 中国確認 Continental Great China Mining 5% $53 百万 Red Chris カナダ F/S Imperial Metals bcmetals 96.9% $31.8 百万 Lumwana ザンビア F/S ZCCM Equinox Minerals 6% $3 百万 1, Chibuluma ザンビア生産 Metorex Industrial 35% $21 百万 South Development Oyu Tolgoi モンゴル F/S Rio Tinto Ivanhoe Mines 2% $691 百万 17, Andacollo チリ生産 Aur Resources Compania Minera 27% $13 百万 4, Del Pacifico Vizcachitas チリ確認 GHG Resources Global Copper 76% $11.46 百万出典 : Metals Economics Group (26) Raw Materials Data (27) 等に基づき作成

31 銅買収プロジェクト (26 年 1 月 27 年 2 月 ) 銅価格が高騰した 26 年 1 月以降の銅プロジェクト買収案件 13 件を表示買収コストは生産段階の 5 件のうち 3 件は生産前段階の案件よりも高い探鉱コスト ( 年 ) は 31 $/t でありプロジェクト買収コストよりも安い Tintaya( 生産段 6 $/t 3 $/t Oyu Tolgoi 6 買収価格 ( 百万ドル ) El Tesoro( 生産段階 ) 1 $/t Reko Diq 2 1 Tritton Chibuluma South Andacollo( 生産段階 ) Red Chris Caserones 探鉱コスト : 31~77 $/t 5 1, 1,5 2, 2,5 3, 3,5 4, 権益分埋蔵銅量 ( 千トン )

32 銅買収価格の比較 1992~21 年の銅プロジェクト買収及び売却価格 ( 赤色 ) と 26 年 1 月 ~27 年 2 月の銅プロジェクト買収価格 ( 緑色 ) を比較した 1992~21 年における買収案件はすべて 2 $/t 以下であったが 26 年以降の生産段階の買収プロジェクト案件では 6 $/t 以上のものがあり買収コストが高騰 Tintaya 6 $/t 3 $/t Oyu Tolgoi 買収及び売却価格 ( 百万ドル ) El Tesoro Reko Diq El Abra 26 年 1 月 ~27 年 2 月の買収案件 1992 年 ~21 年の買収と売却案件 1 $/t 2 Cananea Caserones 1 Kansanshi 5 1, 1,5 2, 2,5 3, 3,5 4, 権益分埋蔵銅量 ( 千トン )

33 まとめ金属価格の高騰により非鉄メジャーは 26 年において過去最高の利益を記録したその結果 26 年以降 2~4 兆円の大型買収が行われるとともに寡占化が進んでいる 2. BRICs 諸国 (Brazil, Russia, India, China) の GDP 成長率は 25 年で 6.9% であり世界経済の成長率 (3.8%) を大きく越えている特に中国は鉄銅鉛亜鉛ニッケル錫アルミプラチナにおいて世界最大の消費国となっている銅消費でも中国が世界銅消費の牽引の役割を果たしている 3. 世界的な低金利政策や低インフレによるファイナンシャルマーケットのリクイディティの増加を背景に投機的資金の流入が 22 年より増加傾向にあるその結果価格高騰と需給ファンダメンタルに対する過敏なヘッジファンドによる乱高下をもたらしている 4. 銅鉱業において革新的な技術開発はないが鉱山機器の大型化や無人化湿式製錬によるコスト削減が行われており銅価格が低迷した 198 年代中頃に不採算鉱山の整理後 199 年代以降銅生産コストは常に銅価を下回っており世界経済のブーム時の価格高騰の間に大きな利益をもたらす構造となっているそのため 26 年は未曽有の収益をもたらしている 5. 我が国の製錬業界にとって最近の銅価格高騰はプラスの影響があるしかしながら世界の精鉱市場で競争が激化しているため製錬所側の取り分が相対的に低くなっている年以降の銅価核高騰に伴い銅プロジェクト買収コストの変化を検討した 26 年以降の生産段階の買収コストは 85~964 $/t であり 1992~21 年の買収コストに比べて高騰している

表1-4

表1-4 ベースメタル国際需給動向銅 2013.1 金属資源レポートベースメタル国際需給動向 1. 銅の国際市況と需給動向金属企画調査部 1. LME 価格と在庫 (2012 年 10 月 ~11 月 ) - LME LME, US /, US /Q GDP, US / PMI, US / LME.. 図 1-1. 銅 :LME 価格と在庫の推移 (2012 年 10 月 11 月 ) 2. 需給 ICSG