Sendai Shirayuri Women's College Gamaliel の系譜キリスト教とユダヤ教の伝承大 1. 道直人背景と目的 Gamaliel גמליאל という人物に関しては使徒行伝に二度記載されていて1 Sanhedrin סנהדרין 2 のメンバーで国民全体か

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えつまちゃわんや
4 years ago
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1 キリスト教とユダヤ教の伝承 1. 背景と目的 Gamaliel גמליאל という物に関しては使徒行伝に二度記載されていて1 Sanhedrin סנהדרין 2 のメンバーで国民全体から尊敬された律法学者であったと紹介されておりまた使徒達が殺されそうになった時彼の勧告で使徒達が許されたと伝えられている一方ユダヤ教における彼は Rabban3 Gamaliel רבן גמליאל と呼ばれラビ4 Rabbi רבי の中でも特別の尊称で呼ばれたユダヤ教の最高指導者であった物である使徒行伝に出てくる Gamaliel גמליאל とユダヤ教の Rabban Gamaliel רבן גמליאל が同一物であるという見方に関して異論は出ていない Sanhedrin סנהדרין で使徒行伝に出てくるような発言力を持つ Gamaliel גמליאל は Rabban Gamaliel רבן גמליאל 以外にいないからである筆者は Beit Gemal と Gamaliel に関するキリスト教とユダヤ教の伝承についての研究 2012 においてにキリスト教とユダヤ教の伝承で食い違いがあることを指摘しただが日本で言うなら卑弥呼よりも以前およそ 2000 年も前の物の家系の話であり紀元 70 年のローマ軍によるエルサレム陥落でユダヤ教の諸資料はエルサレム神殿とともに完膚無きまで破壊し尽くされたことを考え合わせるまでも無くある物の家系の伝承におけるばらつきなど当然とも言えるまたエルサレム崩壊の凄まじい様はヨセフス Flavius Josephus יוסף בן מתתיהו のユダヤ戦記秦訳 2002 に詳述されているところであり伝承を裏付ける証拠となる資料が残っていると考えることのほうが難しいさらに立場の違う 2 つの宗教界のそれぞれの見解から生み出された伝承であるから食い違いがあっても何の不思議も無いそれぞれの信仰的観点からそれぞれの伝承を信仰的に受け止めれば良い事であるしかしそのように受け流すには Gamaliel גמליאל という物はあまりにもきな存在であるユダヤ教ではラバン רבן という最高指導者の地位にあったから勿論のことキリスト教においても極めて重要な物なのであると言うのはキリスト教カトリック 5 の伝承によるとガマリエルは使徒たちを助けただけでなく後にキリスト教に改宗して聖として崇められるようになったと伝えられているからである Andrzej Strus それぞれ伝承であるとは言え Gamaliel גמליאל という同一物に纏わる言い伝えならば全くの作り話で無い限りその伝承の食い違いにはそれなりの理由があると考える 1

2 本研究では両伝承における Gamaliel גמליאל の家系について伝えられている内容を明らかにし特に著名の家系図 נפתלי צבי רובין ספר נצר מ שר שים 1958 を中心にした資料を用いて両伝承の不一致の意味の解明を試みる 2. Gamaliel に関するキリスト教側の伝承まず使徒行伝 5 章節の記載を確認しようサドカイ派の々が嫉妬心から使徒たちを議会に引き出し殺そうとした時のことである少し長いが引用するとところが国民全体に尊敬されていた律法学者ガマリエルというパリサイが議会で立って使徒たちをしばらくのあいだ外に出すように要求してから一同にむかって言ったイスラエルの諸君あのたちをどう扱うかよく気をつけるが良い先ごろチゥダが起こって自分を何か偉い者のように言いふらしたため彼に従った男の数が四百ほどもあったが結局彼は殺されてしまい従ったものもみな四散して全く跡形もなくなっているそののち口調査の時にガリラヤユダが民衆を率いて反乱を起こしたがこのも滅び従ったものもみな散らされてしまったそこでこの際諸君に申し上げるあのたちから手を引いてそのままにしておきなさいその企てやしわざが間から出たものなら自滅するだろうしかしもし神から出たものならあのたちを滅ぼすことはできまいまかり違えば諸君は神を敵にまわすことになるかも知れないそこで彼らはその勧告に従い使徒たちを呼び入れてむち打ったのち今後イエスの名によって語ることは相成らぬと言いわたしてゆるしてやった 7 とあるこの Gamaliel に関して Strus Andrzej Strus 2000 は以下のように述べている The ancient Christian tradition worshipped Gamaliel as a saint and affirmed that he was baptized and became disciple of Christ. 8 と呼ばれるイスこの記述の根拠として Strus は Caphar Gamala Kaphargamala קפר גמלה ラエルの村に住み小教区の司祭をしていた Lucian Lukianos が 5 世紀に書き残した手紙を取り上げている Strus によると Lucian はこの手紙の中で彼が見た Gamaliel גמליאל の幻について詳細に述べているが Gamaliel が以下のように語ったと伝えている Andrzej Strus 2000 his beloved younger son named Abibos or according to other texts Abelbus, who believed together with his father in Christ and was baptized on the same day with his father by the aforesaid apostles. 前述の使徒たち the aforesaid apostles とあるが Gamaliel の息子 Abibos に関するこの 2

3 記述の前にヨハネ伝で有名な Nicodemus に関する記述がありパリサイであった彼がキリスト教に改宗して使徒ペテロとヨハネによってバプテスマを受けたとある従って前述の使徒たちとは使徒ペテロとヨハネのことである以下に見る通りである Andrzej Strus 2000 Nicodemus, a Pharisee known from the Gospel, who had believed in Christ and was baptised by the holy apostles Peter and John. これがキリスト教側の Gamaliel に関する評価の基礎となっている次に Gamaliel に関する使徒行伝におけるもう 1 つの箇所 22 章 3 節の記載を見てみようパウロ Paul の神殿における福音の弁明として有名な箇所の冒頭であるそこで彼は言葉をついで言ったわたしはキリキアのタルソで生まれたユダヤであるがこの都で育てられガマリエルのひざもとで先祖伝来の律法について厳しい薫陶を受け今日の皆さんと同じく神に対して熱心な者であったこの箇所のポイントは言うまでも無く Gamaliel がパウロの律法の教師であったという点であるパウロはキリスト教に改心する前に如何に律法に厳格に生きていたか如何に熱心に求のを歩んでいたかを示すために Gamaliel の門下生であったという一言をもって同胞ユダヤに弁明しているのであるそれほどに当時 Gamaliel はユダヤ教社会の中において絶対的な宗教指導者の立場にあったことが伺える加えて Strus は変興味深いことに言及している Andrzej Strus 2000 それによるとステパノの殉教に関してはギリシャ語シリア語アルメニア語グルジア語スラブ語で書かれた詳細な記述があってそこに次のような記載があるという少し長いが引用してみよう Sanhedrin סנהדרין におけるステパノの演説の後のことである The scandalized crowd seized him, and the high priest Caiaphas ordered him to be put in prison. Meanwhile the priests had called to Jerusalem a certain man named Saul9, a cousin of Stephen, who was found at Caesarea with the task of persecuting the followers of Christ. Saul arrived at Jerusalem, met Stephen at the Temple and reproached him harshly for his faith in Christ. Stephen responded, demonstrating to Saul that he was wrong, and foretelling his forthcoming conversion. Saul reached violently and beat Stephen. Then the rabbi Gamaliel, who was the teacher and master of both of them, intervened and blamed Saul for assuming an attitude contrary to the education that he had received from him. The defence of Stephen on the part of Gamaliel was so replete with sympathetic sentiments for the Cristian faith that the elders accused the latter of having pronounced blasphemies and asked for the death penalty for both of them. Saul put them in prison and the following day ordered Stephen to be brought out and to be put to death. While 3

4 Gamaliel was set free, Stephen was taken outside the city, towards the Mount Olives, to be judged. 新約聖書外の記事ではあるがこれだけ多くの言語で保存されている内容だけに完全に無視することも出来ないであろう伝承の主なポイントを整理しておくと 1 サウロ Saul はこの時すでにキリストの弟子たちを迫害する命でカイザリヤ Caesarea に行っていた 2 呼び戻されたサウロはステパノを石打ちする者たちの上着の番をする以前にステパノに会いキリストへの信仰を激しく非難し殴ってさえいた 3 ステパノはサウロが間違っていることを示し彼の回心の予言さえしていた 4 ガマリエル Gamaliel はサウロの師であっただけでなくステパノの師でもあって 2 の争いを止めに入り教えと違う態度のサウロを非難した 5 ステパノ擁護がキリストへの信仰に対する同情に満ちていたため長老たちはガマリエルを冒瀆罪で告発しステパノと共に死刑を求刑した 6 サウルは 2 を獄に繋ぎ翌日ステパノを殺すために連れ出したガマリエルは釈放されたとなる 3. ユダヤ教側の Gamaliel に関する伝承 Gamaliel גמליאל はユダヤ教では Rabban Gamaliel רבן גמליאל と呼ばれラビ Rabbi רבי の中でも特別の尊称で呼ばれたユダヤ教の最高指導者である彼はまたイエスの時代のユダヤ教を 2 分していた 2 学派の一方ヒレル学派の創始者であるヒレル Hillel הלל の孫でありダビデ王の系であるサンヘドリン Sanhedrin סנהדרין の最高権威者でありヒレル学派の 7 の指導者の筆頭であった彼はサンヘドリン Sanhedrin סנהדרין の長に与えられた Rabban רבן という称号を付して呼ばれた最初の物であったタルムード תלמוד 10 には律法に関して彼を超える物はその後現れなかったと記されて 11 いる Sotah 15 : 18 また彼の思想はミシュナー משנה に記されている Pirkei Avot 1 : 16 そして彼は生涯 Rabban であり続けたというのがユダヤ教の伝承である彼は第二神殿の崩壊の 20 年前にエルサレムで亡くなった Frederic P. Miller, キリスト教側の Gamaliel の家系に関する伝承 Gamaliel の家系に関するキリスト教側の伝承は Lucian Lukianos が 5 世紀に書き残した手紙によるもので彼に幻で現れた Gamaliel 自身が語ったとされる内容であるそれによると妻の名が Edna 長男の名が Selemia で二共キリストを受け容れることを望まなかったため Gamaliel に反対して彼の元を去りクファルサレミア Capharsalemia の Edna の父方の家に戻ってそこで亡くなって葬られたとなっている次男は Gamaliel が愛した Abibos と言う名の男子である彼は父と共にキリストを信じ前述の通り父と同じ日に使徒ペテロとヨハネによって洗礼を受けた彼は完璧に律法に精通しており父 Gamaliel よりもよく知っていて神の聖典の第二の教師であったが 20 才で結婚することなく亡くなり Stephen と Nicodemus の墓から少し離れた場所に葬られたというものである 4

5 5. ユダヤ教側の Gamaliel の家系に関する伝承 Gamaliel は初代のサンヘドリンナシー Nasi נשיא 12 であったヒレル Hillel הלל の孫であり父はサンヘドリンの二代目ナシーに指名されたシメオン Simeon שמעון である妻の名は不明である Rabban Gamaliel I 13 の長子はシメオン Simeon 14 שמעון בן גמליאל で賢者 the wise חכמים の一でありユダヤの民の指導者であった父 Gamaliel I が第二神殿崩壊の前 50 C.E. に亡くなるとサンヘドリン Sanhedrin סנהדרין のナシー Nasi נשיא の地位を引き継ぐ伝承によると彼はローマ軍に殺された 10 のユダヤ殉教者の 1 と伝えられている Emil Bernhard Cohn 1961 彼の墓はイスラエル北部ゴランジャンクション Golani Junction צמת גולני 近くのクファルカナ Kfar Kana כפר קנה にあり 2000 年の間ユダヤの重要な巡礼サイトになっているまたユダヤ教の伝承では Gamaliel の第二子は女子で彼女の娘 Gamaliel の孫娘はシモンベンナタナエル Simon ben Nathanael שמעון בן נתנאל という祭司 priest כהן と結婚したことになっている בנימין לאו 2002 Rabban Gamaliel I の孫の Gamaliel II ヤブネの Gamaliel と呼ばれやはり Rabban は父シメモン Simeon the son of Gamaliel שמעון בן גמליאל の領地を受け継いだとされその領地はカイザリアにあったと伝えられている Emil Bernhard Cohn 1961 Rabban は強な権力と富を持っていて代々引き継がれていた Rabban Gamaliel I はその地位を確立した初代の物であるから当然莫な富と財産を築いたことは想像に難くないがそれに関する資料は 70 C.E. のローマ軍による第二神殿とエルサレムのほぼ全域の徹底した破壊とその後のアラブ十字軍トルコ等による相次ぐこの地の破壊と占領により殆ど失われてしまった著名の家系図 ספר נצר מ שר שים 1958 נפתלי צבי רובין に見る Gamaliel の家系ナフタリツビールービン נפתלי צבי רובין の著名の家系図 ספר נצר מ שר שים で Gamaliel の家系を調べてみよう 1 האלכסנדרוני - רבי יוחנן הסנדלר 靴屋 הסנדלר のラビヨハナン רבי יוחנן アレキサンドリア האלכסנדרוני בן נחדו של 孫 נחדו の息子 בן 2 רבן גמליאל הזקן 長老 הזקן のラバン רבן ガマリエル גמליאל בן 息子 בן שמעון הנשיא 5

6 3 ナシー הנשיא のシモン שמעון בן 息子 בן הבבלי - הלל הזקן バビロニア Babylonian הבבלי の長老 הזקן ヒレル הלל 4 ここに抜き出したのはガマリエル Gamaliel に結した家系図の一部である 3 のナシー הנשיא のシモン שמעון は 4 のバビロニア Babylonian הבבלי の長老 הזקן ヒレル הלל の息子 בן で 2 の長老 הזקן のラバン רבן ガマリエル גמליאל は 3 のナシー הנשיא のシモン שמעון の息子 בן となるここまでは先に述べたユダヤ教側の系譜と一致しているしかし次は 1 の靴屋 הסנדלר のラビヨハナン רבי יוחנן アレキサンドリア האלכסנדרוני 出身であるが 2 の長老 הזקן のラバン רבן ガマリエル גמליאל の孫 נחדו の息子 בן つまり曾孫となっている極めて不自然な書き方であるユダヤ教側の伝承では長子がシメオン Simeon שמעון בן גמליאל 第二子は女子であることが知られているのにガマリエル Gamaliel の子も孫もとばして曾孫つまり孫の子から書いている何か書けない理由があるのであろうかナフタリツビールービン נפתלי צבי רובין の著名の家系図 ספר נצר מ שר שים からはこれ以上読み取ることは出来なかった 7. 考察 Gamaliel の系図に関するキリスト教側の伝承とユダヤ教の伝承を明確にしてみたその不一致が明らかとなり妻に関しては名前が異なりキリスト教側の伝承においては妻の名が Edna で Gamaliel がキリスト教に改宗したことに反発して長男と共に実家に帰ってしまったことになっているそれに対しユダヤ教では名前が不明である長男に関してはキリスト教側の伝承では名前がセレミア Selemia と呼ばれ母と同様 Gamaliel がキリスト教に改宗したことに反発して母の実家に帰ってしまったとなっているこれに対しユダヤ教では名はシメオン Simeon שמעון בן גמליאל で賢者 the wise חכמים 14 の一でありユダヤの民の指導者であったローマ軍に殺された 10 のユダヤ殉教者の 1 とも伝えられている第二子はキリスト教側の伝承では名前を Abibos と言って男子であり彼は父と共にキリスト教に改宗し 20 才で結婚することなく亡くなったとなっているユダヤ教の伝承では第二子は女子で彼女には娘 Gamaliel の孫娘があったとあるこうまで違うとやはりどちらかが全くの作り話ということであろうかもしもそうだとすると 1 可能性の一つとして Lucian Lukianos が見た Gamaliel の幻の話に根拠を置くキリスト教側の伝承が不利ということになろうその場合著名の家系図 ספר נצר מ שר שים における不自然な書き方はどう理解したらよいであろうか 2 の長老 הזקן ラバン רבן ガマリエル גמליאל から 1 靴屋 הסנדלר のラビヨハナン רבי יוחנן アレキサンドリア האלכסנדרוני へ二世代抜け落ちているのは Gamaliel の第二子が女 6

7 性でその子もまた女性だったためそして当時女性の名が不明だったことが多く系譜から外されたという考え方は可能であろうまたもしもキリスト教の伝承にあるように Gamaliel がキリスト教に改宗したということを前提とすると次のような考え方にも可能性があるすなわち 2 まず長子の名前の不一致は新約聖書におけるシモン Simeon שמעון がペテロ Peter サウロ Saul がパウロ Paul と呼ばれた例をみても当時 2 つの名を持つのはそれほど特別なことではなかったと考えると理解できる 50 C.E. に Gamaliel が亡くなるとサンヘドリン Sanhedrin סנהדרין のナシー Nasi נשיא の地位を引き継いだとあるから一時期母の実家に帰っていたとしてもその後 70 C.E. 頃ローマ軍と戦って殺されて 10 のユダヤ殉教者の 1 と数えられたことは考えられることであるここまでは特に Gamaliel のキリスト教改宗を前提にするまでも無く理解可能な事柄であるここから Gamaliel のキリスト教改宗を前提に推論を交えた考察をしてみよう些か強引な話であるが実は Gamaliel には 3 子どもがいたと考えることは出来ないだろうかそもそもどちらの伝承でも Gamaliel に何の子どもがいたとは明示されていないそこで第二子としては例えばキリスト教の伝承にある Abibos と言う男子を考え父 Gamaliel と共にキリスト教に改宗したが若くして亡くなってしまったと考えてみよう彼はキリスト教にとってはとても切な物だったので Gamaliel が幻で Lucian Lukianos に語った時は墓の中の遺骨の説明 2012 もする必要があったので Abibos についても触れたがもう一の子の女性については特に触れる必要が無かったので触れなかったとの理解であるではユダヤ教の伝承はどう理解したらよいのかこのことを考えるのにきなヒントとなる記述がある引用して見よう Frederic P. Miller, 2011 Contemporary Jewish records continue to list him first among the Sanhedrin but it is of note that he is not listed in the chain of transmission of the oral tradition which may indicate that he was suspected of adhering to another oral tradition, that of the Christians. つまりユダヤ社会は Gamaliel が Christian と関係していることは気付いていて表向きは彼がヒレル Hillel הלל の孫であり二代目ナシーであったシメオン Simeon שמעון の子でありサンヘドリン Sanhedrin סנהדרין の最高権威者であったということで敬ったが実質的には無視していたことを伺い知ることができるましてや Abibos についてはキリスト教改宗と早死にということで完全に無視したことは想像に難くないその代わりユダヤ教内に留まったもう一の女性の子については名前が不明であるが言及したと考えると辻褄が合う 8. まとめ本研究においてはキリスト教とユダヤ教の接点を考えた場合に極めて重要な物であるガマリエル Gamaliel についてキリスト教の伝承とユダヤ教の伝承を検証しその相 7

8 違点を明確にしたその上でその相違点の溝を埋めることが出来るとすればどのような可能性があるか両伝承の背後にある Gamaliel のキリスト教への改宗というキーを軸として考察して二つの可能性を引き出した一つは Lucian Lukianos が見た Gamaliel の幻の話に根拠を置くキリスト教側の伝承を単なる言い伝えとして信仰で受け止める可能性もう一つは Gamaliel のキリスト教改宗を前提とした推論に基づく考察によるものであるこの考え方によると二つの伝承は一見飛び越えがたく見える相違点がそれほど無理なく一致して理解できた実は本研究で重要な参考資料として用いた著名の家系図 ספר נצר מ שר שים は数の現代著名ユダヤに伝わる家系図を遡って作成したものということである 2000 年の歴史を記憶する民の凄さに驚嘆を覚えたが願わくは別のグループの類似の家系図があれば是非出合いたいものであるこの議論を補完する研究が出来ることを期待し願ってやまない註 1 使徒行伝 5 章節および 22 章 3 節なお冒頭の Gamaliel גמליאל に見るようにヘブライ語表記は本論文全体を通して右から左へのヘブライ語本来の表記法を用いる 2 サンヘドリン Sanhedrin סנהדרין は第二神殿時代祭司学者長老で構成されたユダヤ教最高法院 Rabban רבן はラビ Rabbi רבי の中でも特別の尊称で呼ばれたユダヤ教の最高指導者であるラビ Rabbi רבי はユダヤ教における聖書ならびに律法の教師である本稿でキリスト教の伝承というとき特に Gamaliel גמליאל の家系に関するものは Andrzej Strus の記述 Andrzej Strus 2000 によるところが多くカトリックにおける伝承を中心としている 6 Andrzej Strus は教皇庁立サレジオ学 The Pontifical Salesian University の教授として Bet Gemal בית גימאל の考古学的歴史的研究を一任され 15 年間掛けて行われた全ての発掘に関わりこの研究の成功にきく貢献した 7 引用は 1982 年版日本聖書協会発行の聖書引照つきによる引用中内は 40 節である 8 Caphar Gamala は CapharGamala もしくは Kaphargamala とも書かれヘブライ語では קפר גמלה と表記される Strus は地名学を駆使しまた精緻な考察と巧みな考古学の手法によってこの地が現在の Beth Gemal בית גימאל であることを立証したその Beth Gemal は Gamaliel גמליאל の地所で彼の墓があり石打ちされて亡くなった Stephen を彼が連れて来て葬った場所というのがカトリックに伝わる Lucian の見た幻に纏わる伝承であるサウロ Saul は後のパウロ Paul である 10 タルムード תלמוד はユダヤ教口伝律法の総称特に本文ミシュナーと注解グマラー גמרא の全体を指し生活宗教徳に関する律法の集成である 11 ミシュナー משנה は 2 世紀にラビユダナシー רבי יהודה הנשיא が口伝律法から宗教生活に関する規則を 6 篇に編集したもので後にタルムードの基礎となる 12 ナシー Nasi נשיא はサンヘドリン Sanhedrin סנהדרין の議長旧約では族長現代では統領や学長をいう 13 Rabban Gamaliel I は本稿が対象としている Gamaliel であるが Rabban としての Gamaliel は 6 8

9 いて一世から六世まで Rabban Gamaliel I Rabban Gamaliel VI と呼ばれている初代 Gamaliel は単に Rabban Gamaliel と呼ばれたり Gamaliel the Elder または Rabbi Gamaliel I などと呼ばれる 14 聖書を注解する教師で伝統慣習言い伝えなど教える々のこと後にラビと呼ばれるようになった 15 Dr. Noah Hacham Prof. Avigdor Shinan Prof. Emanuel Tov 等 The Hebrew University of Jerusalem の学者たちいずれも第二神殿時代の専門家であるが Gamaliel の家系図 1958 נפתלי צבי רובין についての評価には疑問を持っている参考文献 Beit Gemal と Gamaliel キリスト教とユダヤ教の伝承仙台白百合女子学紀要 17 pp フラウィウスヨセフス著秦剛平訳 2002 ユダヤ戦記 2 ちくま学芸文庫 3 Andrzej Strus, sdb, BET GEMAL : Pathway to the Tradition of Saints Stephen and Gamaliel, Pontificia Università Salesiana, , ידיעות אחרונות, בית מורשה בירושלים, חכמים : בנימין לאו 5 Frederic P. Miller, Agnes F. Vandome, John McBrewster Ed., Gamaliel Rabbi Gamaliel I, Alphascript Publishing, Emil Bernhard Cohn, Stories and Fantasies From the Jewish Past, The Jewish Publication Society of America, Talmud. Sotah 15 : Mishnah. Pirkei Avot 1 : , ספר נצר מ שר שים, נפתלי צבי רובין 9

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