アルカリシリカ反応入門 ②アルカリシリカ反応の基礎~抑制対策~

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1 アルカリシリカ反応入門 2 アルカリシリカ反応の基礎 ~ 抑制対策 ~ * 川端雄一郎 8 ASR の抑制の基本的な考え方 アルカリシリカ反応 (ASR) は, 骨材に含まれる反応性物質がコンクリート中の高 ph の空隙水に溶解して ASR ゲルを生成し, 膨張する現象であり, 反応性物質とアルカリ, 水分がなければ生じません この ASR に対して, 一般には 反応 の抑制がなされますが, もちろん 膨張 の抑制という考え方もあります しかしながら, 膨張を抑制するのは容易ではありません ASR によるコンクリートの膨張は, 拘束下であっても拘束の小さい方向に膨張し, 体積膨張ひずみとしてはさほど変化がありません ) したがって, 国際的には, 三次元的に拘束を行っても膨張を制御することは困難と考えられています 本稿では簡便のため, 反応 膨張いずれに対する抑制にも, ASR( の ) 抑制 という用語を用いますが, 基本的には反応の抑制を指します ただし,ASR の抑制を論じる際に, 反応性物質の反応率を直接測定することは困難なので, 膨張の程度で評価されるのが一般的です したがって, 反応と膨張を混同されないようご注意ください 一般に,ASR を抑制する方策は大別すると以下の 4 つに分類されます ( 細骨材, 粗骨材ともに ) 非反応性骨材を使用すること 2 水分を遮断して乾燥状態にすること 3ASR ゲルを非膨張性に改質すること 4 空隙水の OH - 濃度を下げること の非反応性骨材の使用については, 岩石学的試験や骨材試験を基に骨材の反応性を適切に評価することができれば, 良い方法です ただし, いかに骨材の反応性を適切に評価するか, という点では容易ではありません この点については, 本講座第 回に詳細が記載されていますので, ここでは割愛します また, ある地域の骨材を排除することは現実的に困難な場合が多く, 経済性や環境負荷の観点からは 以外の方法が推奨される場合が * /( 独 ) 港湾空港技術研究所構造研究領域主任研究官 ( 正会員 ) 多くあります 2の乾燥状態の維持は, 確実な遮水が可能であれば有効な方法です ただし, 確実な遮水は困難な場合が多くあります 例えば橋脚に対して水分の遮断を目的として有機樹脂を被覆したものの, 橋脚天端の遮水が十分でなかったため再劣化した事例や, 橋台背面からの水分の侵入による再劣化なども多数報告されています また, 自己乾燥が卓越しない汎用強度レベルの水セメント比であれば, コンクリート中の水分のみでも十分に ASR は起こり得ます 3の ASR ゲルを非膨張性に改質する方法として, リチウム塩を添加する方法が挙げられます この方法は, 現在我が国では既設構造物の補修工法として採用されています 新設構造物におけるコンクリートに適用する場合,ASR を抑制するために必要なリチウム塩の添加量は骨材の反応性や組織などに影響されることが知られています 2) したがって, 例えば FHWA( 米国連邦道路局 ) では, 当該骨材を用いたコンクリートに対して, どの程度リチウム塩を添加すればよいか, 性能試験などを行うことで検討することとしています 4の空隙水の OH - 濃度を下げることには幾つかの方法が挙げられます 一つは低アルカリセメントを用いるなどしてコンクリート中のアルカリ総量を抑えることです また, フライアッシュや高炉スラグ微粉末といった鉱物質混和材 (Supplementary Cementitious Materials:SCMs, 以下 SCM) をセメントの一部に置換するという方法も有効です 5 章で解説しますが, 我が国で行われている抑制対策として, コンクリートのアルカリ総量が 3 kg/m 3 以下に制限することや混合セメントを使用することが示されています この抑制対策以降,ASR による実構造物の被害事例が減少しているという事実から, 空隙水の OH - 濃度を低減することは ASR 抑制対策において非常に有効であることがわかります このように,ASR の抑制方法としては大きく 4 つに分類することができます このうち, 一般的に実施される抑制方法はと4です 我が国における ASR 抑制対策については後述しますが, 骨材試験の改ざん問題などを契機として, 我が国では4を中心とした抑制対策を講

2 じることとなっています 次章からは,4の観点から ASR 抑制方法について解説します 2 アルカリの起源と空隙水の OH - 濃度前章にて述べた通り,ASR の抑制には空隙水の OH - 濃度を下げることが効果的です そこで本章では, コンクリート中の空隙水の OH - 濃度と, コンクリートに高いアルカリ性をもたらすアルカリの起源について解説します 空隙水に存在するアルカリが主にセメントに由来する場合, 空隙水におけるアルカリ (Na +,K + ) は OH - を対イオンとして存在しているため, 基本的に (Na +,K + ) =OH - と考えます したがって, 海砂などを使用しない前提であれば, コンクリート中の空隙水の OH - 濃度は主に配合時の未水和セメント中のアルカリ含有量と水量によって決定され, アルカリイオン濃度にほぼ比例して上昇します 未水和セメント中のアルカリは, 主に硫酸アルカリからなる可溶性アルカリと,C 3A や C 2S などのクリンカ鉱物に比較的多く含まれる固溶アルカリからなります このうち, アルカリの半分強は可溶性アルカリが占めております 可溶性アルカリは水と練り混ぜた直後からほぼ全量が溶解しますが, 固溶アルカリは含まれる相の水和と共に液相に可溶性アルカリとなり放出されます 最終的にはセメントの水和に伴って自由水が減少していくので, 空隙水は ph=3 5 前後の高いアルカリ性を示すようになります 高炉スラグやフライアッシュに含まれるアルカリも同様の効果を示します 3) これまでの研究で,ASR が発生する限界 OH - 濃度について検討がなされており,25 mmol/l 4) が一つの目安と考えられています また, 高反応性骨材に対しては 5 mmol/l 5) という濃度も提案されています したがって, 空隙水の OH - 濃度をどのように制御するかが ASR において重要となります 空隙水の OH - 濃度はセメントや SCM から生成されるカルシウムシリケート水和物 (C S H) との相互作用によって決定されます Ca/Si 比が低い C S H ほどアルカリを固定することが知られています ( ) 6) この C S H のアルカリ固定については, シリケートイオンの負電荷を示すサイトが生成する静電場に, 陽イオンが一定濃度で濃集するというモデルで説明されるのが一般的です 以上を基に, セメントからのアルカリのみを考慮した単純なケースで, コンクリート中の空隙水の OH - 濃度について考えます セメント硬化体単位容積あたりのアルカリ量は固相もしくは液相に存在するため, 以下の式で計算することができます C alkali=r sc CSH+R lc fw ( ) ここに, C alkali: セメント硬化体単位容積あたりのアルカリ量 (mmol/m 3 ) C CSH: セメント硬化体単位容積あたりの C S H 量 (g/m 3 ) C fw: セメント硬化体単位容積あたりの自由水量 (ml/m 3 ) R l: 空隙水のアルカリイオン濃度 (mmol/ml) R s: C S H 単位量あたりのアルカリのモル数 (mmol/ml) また, 分配係数 R d を C S H の Ca/Si 比の関数として表現すると, 以下のようになります R d=r s/r l ( 2 ) R d=α(ca/si) β ( 3 ) ここに, α,β: 実験定数式 ( )~( 3 ) より,C S H の組成 (Ca/Si 比 ) と量, 自由水量が決定されれば, 空隙水の OH - 濃度を算定することができます これらの式から, 外部からアルカリが供給されず,C alkali が一定とすると, 空隙水の OH - 濃度 (R l) を低減するためには,C S H の量を増加させるか,C S H の Ca/Si 比を下げることが重要であることが理解いただけると思います 特に,Ca/Si 比の低下がアルカリ固定に及ぼす影響が非常に強いことがわかります ( 図 ) ここで, 簡単な試算を行ってみます 水セメント比を 分配係数 (ml/g) NaOH mm NaOH 5 mm NaOH 5 mm NaOH 5 mm NaOH mm NaOH 3 mm 8 C S H ゲルの Ca/Si 比 6) OH - 濃度 (mol/l) /C=5%,C=32 kg/m 3 結合水量 :24% Rd= アルカリ総量 (kg/m 3 ) 9 Vol. 52, No., 24. 9

3 5%, 単位セメント量を 32 kg, セメントが完全に水和したとして結合水量を 24% とします 水和に寄与していない残水量は空隙水です C S H の Ca/Si 比がアルカリ総量にかかわらず一定 ( ここでは 7(R d= 49) と仮定 ) とすると, コンクリートのアルカリ総量と OH - 濃度の関係として が得られます 実際には, 水和の影響や外部との物質収支などがあるため, より複雑な挙動を示します 図から, アルカリ総量を減ずることで空隙水の OH - 濃度が低下することが理解いただけます すなわち, 抑制対策などでアルカリ総量を制限することは空隙水の OH - 濃度を制限することと等価であるといえます 3 SCM の ASR 抑制 SCM を置換することで空隙水の OH - 濃度は大幅に低減されます 本章では,SCM の ASR 抑制メカニズムについて概説するとともに,SCM に関する幾つかの課題を述べます これまでの多くの研究から,SCM が適切に使用されれば高い ASR 抑制効果が得られることは広く知られています SCM の ASR 抑制のメカニズムは主に空隙水の OH - 濃度の低減と考えられています これは,SCM の置換によって C S H の Ca/Si 比が低下するためです これまで, フライアッシュや高炉スラグ微粉末の ASR 膨張抑制のメカニズムはそれぞれ異なるものと考えられる場合もありました しかしながら, 最近の研究では,SCM の種類や置換率によらず,ASR 膨張の低減効果を一義的に説明できることが示されました ( ) 3) フライアッシュはシリカ質のガラスが反応することで, Ca/Si 比の低い C S H を生成します 一方, 高炉スラグ微粉末はフライアッシュよりもガラスの CaO 含有量が多く, フライアッシュほど Ca/Si 比が低くなりません これが ASR 抑制のために必要な置換率がフライアッシュ (5% 程度 ) と高炉スラグ微粉末 (4% 程度 ) と異なる理由です また,SCM の ASR 抑制効果は, 外部からアルカリが供給される環境においても, 適量置換すれば十分に期待 することができます これは,SCM の添加によって硬化体に高い物質移動抵抗性を付与することで, 外部からのアルカリ供給を制限することが主な理由です 7) は異なる種類のフライアッシュを混入したモルタルを 8 の NaOH 溶液に 4 日間浸漬した場合の断面図です 点線の中では ASR が発生していないことを示しています 膨張量が大きなモルタルにおいて, 点線で囲まれた ASR 未発生領域が小さいことが観察できます SCM の ASR 抑制効果は空隙水の OH - 濃度低減が主要因ですが, 最近では,SCM に含まれる Al の影響も指摘されています 例えば,SCM に含まれる Al は C S H の Si と置換することでアルカリを固定します 8) また, 混和材由来の Al が反応性骨材に含まれるシリカ鉱物などの反応性物質の溶解を抑制するという指摘もなされています 9) しかしながら, どの程度 ASR 抑制効果に寄与しているかは十分にわかっていません 今後, これらの研究が進展すれば, より詳細なメカニズムが明らかになることが期待されます 前節にて記載した通り,SCM は ASR 膨張の抑制に効果的な材料です しかしながら,ASR 膨張を適切に抑制するための SCM の適正な置換率などは十分に明らかにされていません その理由を幾つかご紹介します ( ) 材料品質 ASR 抑制効果は材料の品質に強く影響を受けます に 7 種類のフライアッシュの置換率と膨張比 ( 無 FA b % FA d % () FA b( 膨張量約 %) (2) FA d( 膨張量約 4%) (FA %) 7) ( 点線の中では ASR が生じていない ) 膨張比 2 OPC R R 2 R 3 T 2 R R 4 2 BFS 4 BFS 5 BFS OH - 濃度 (mmol/l) 膨張比 FA(B) FA(C) FA(D) 6 FA(E) FA(F) FA(G) 4 FA(H) フライアッシュ置換率 (%) 3) ) 2

4 混和に対する膨張量の比 ) を示します ) ASR 抑制効果を支配する材料品質は, 主にフライアッシュに含まれるガラスの量と組成, 比表面積です このようなフライアッシュの品質の差を表すため, ガラスに含まれる SiO 2 量と比表面積を用いた指標などが提案されています ),) 上述した通り,SCM の ASR 抑制効果は C S H の Ca/Si 比の低下に起因します は SCM から生成した反応相の Ca/Si 比の分析結果です 2) SCM の表面に反応相が生成し,Ca/Si 比の低い C S H が生成していることが理解いただけます しかしながら, 例えばフライアッシュでは, 同一製品であっても様々な粒子が存在します に同一フライアッシュ中の各粒子の反射電子像を示します 3) いわゆる同じフライアッシュの中にも様々な粒子が存在しており, それぞれの粒子の生成物の組成が異なることは読者の皆様にも容易に想像がつくでしょう また, 海外では CaO 量の多いフライアッシュが産出されることがあります このようなフライアッシュは ASR 抑制効果が低いことが知られています にフライアッシュの CaO 量とコンクリートの膨張量の関係を示します 4) 図より, フライアッシュの CaO 量が増加すると, 膨張量が大きくなることがわかります これは, 高 Ca フライアッシュの場合,C S H が低 Ca 化しないことが主な原因です カナダの規格ではアルカリ量,CaO 量のそれぞれに規定値があり, フライアッシュの品質に応じて置換率を設定することになっています なお, 日本では, 主に低 Ca フライアッシュが流通していますが, 海外工事などでフライアッシュを用いる場合には粉末度ともに化学組成にも十分な注意が必要です 我が国の高炉スラグ微粉末における品質の影響については検討事例が多くありませんが, 粉末度およびガラス化率が高いほど ASR 抑制効果が高いこと, また石こうを添加した方が無添加よりも効果が高いことが報告されています 5) なお, カナダ規格では, アルカリ量が % 以下に規定されています これは,SCM を添加しても, アルカリ量が多い場合には ASR 抑制効果が低下するからです ( 2 ) 骨材との組合せ ASR 膨張を抑制するための SCM の適正置換率を考える上で, 骨材の反応性は非常に重要な問題です 骨材が反応できないよう, 空隙水の OH - 濃度を低下させる必要があるので,SCM の適正置換率は骨材の反応性に強く依存します 実構造物では, フライアッシュを約 8% 含むコンクリートで ASR の被害が発生した事例があります ( ) 6) コンクリート中のフライアッシュのガラスを分析した結果, フライアッシュのガラスの SiO 2 濃度が 46~67 wt%,( 平均 58 wt%) であり, 反応性鉱物として含まれていた流紋岩質ガラスの SiO 2 濃度 (=75 wt%) より少ないこと μm fa fa 2 fa 3 Ca/Si (a) マグネタイト (c) ムライト (e) ガラス 2 年後の膨張量 (%) μm bfs bfs 2 bfs 3 Ca/Si ) (b) ヘマタイト (d) 石英 ( f ) ガラス 3) ( 左が反射電子像, 右は後方電子線散乱 結晶質では結晶種類ごとに特定のパターンが得られる ) フライアッシュのアルカリ量 <4 % Na2Oe 珪質石灰岩骨材のコンクリートプリズム 5 to % Na2Oe 高アルカリ量のフライアッシュ フライアッシュの CaO 含有量 (%CaO) 4) B μm 6) Vol. 52, No., 24. 2

5 2 R/S=3 mass% R/S= mass% 骨材の ASR 判定区分 (JR 東日本 ) 9) 対 策 8 E 有害 混合セメント等による対策 膨張比 6 4 準有害 E 無害 アルカリ総量 2 2 kg/m 3 に規制する対策もしくは混合セメント等による対策 無対策 がわかりました したがって, ガラスの反応性が低いフ ライアッシュを使用したことでより反応性の高い流紋岩質ガラスの ASR を抑制することができなかったことが理解できます また,ASR に特有のペシマム ( 骨材量が少ない条件で ASR 膨張が最も大きくなる現象 ) 配合での SCM の ASR 抑制効果は, 反応性骨材が全量の場合よりも低くなります に異なる反応性骨材混合量のモルタルにおけるフライアッシュの ASR 抑制効果の一例を示します ( フライアッシュ置換率 2 vol%) 7) 反応性骨材量が 3% では, 反応性骨材が % の場合よりも膨張比が大きい, すなわち ASR 抑制効果が低いことがわかります この原因は以下の通り説明できます SCM をセメントの一部に置換しても, 生成する Ca/Si 比の低い C S H のアルカリ固定能には限界があります 一方, ペシマム配合では,ASR 膨張に対して, 反応性物質とアルカリのバランスが最適の条件となっているので, 空隙水の OH - 濃度をより低くしなければ膨張を抑えることはできません したがって, より多くの SCM を置換する必要があります 8) 現在,SCM と骨材の組合せ問題を解決するための最も確実な方法は, 実配合でコンクリートプリズム試験を実施することです このような試験は我が国では整備されていません 海外では,ASTM C 293 などで SCM を用いた場合にも適用することができますが, 試験期間として 2 年間必要です ( 本講座第 回参照 ) An An 2 An 3 骨材の種類 7) (R/S: 反応性骨材量 / 全骨材量 ) 我が国における ASR 抑制対策と国際標準 前章まで, 空隙水の OH - 濃度の低減という観点から ASR 抑制について解説しました 我が国の ASR 抑制対策, また世界で先進的なカナダの対策も上述したような考え方に基づいて, 抑制対策が設定されています 本章では, 我が国における ASR 抑制対策と国際標準についてご紹介します 我が国では,ASR を抑制するため, 以下の 3 つの対 策の中のいずれか つについて確認をとることとしています 特に, 土木構造物ではと2を優先することとなっています コンクリート中のアルカリ総量の抑制 2 抑制効果のある混合セメント等の使用 3 安全と認められる骨材の使用 では, コンクリート中のアルカリ総量を 3 kg/m 3 以下にしなければなりません ただし, 最近のセメントのアルカリ量が 6% 前後であるとすると, 単純計算で単位セメント量が約 5 kg/m 3 以下であれば, ほぼ自然に達成することができます 2では,JIS R 52 の高炉セメント B 種または C 種, あるいは JIS R 523 のフライアッシュセメント B 種または C 種を使用することで達成することができます または,ASR 抑制効果の確認ができた混和材であれば, 使用することができます 3では, 骨材試験 ( 化学法またはモルタルバー法 ) で 無害 と確認された骨材を使用することで, 対策を達成することができます これらの対策の基本的な概念は,2 章で示した対策と同じです しかしながら, アルカリ総量 3 kg/m 3 以下で ASR が発生した事例や, 混合セメントを使用して ASR が発生した事例も報告されています このような背景から, 新たに独自の対策を講じた事業体もあります 例えば,JR 東日本では, に示すように, 骨材判定区分 ( 本講座第 回参照 ) と判定区分に応じた抑制対策を実施することとなっています 9) 対策として, 混合セメントの使用を中心として, アルカリ総量の規制値も 2 2 kg/m 3 と厳しく見直しされています このように, 我が国の対策はまだ途上段階であり, 今後検証や見直しが必要です 現在実施している対策で構造物には実際に ASR が発生していないのか, もし発生しているのであればその原因は何か, を解明することで, 将来の対策に資することができるでしょう そのためには適切な構造物の 診断技術 が必要不可欠ですが, それは本講座第 3 回をご参照ください 国際的に合意され, 最も信頼性の高い抑制対策としてカナダの規格 (CSA A A) が挙げられます カナダ規格の特徴として, リスクマネジメントの概念に基づいて, いくつかの分類から抑制対策を決定することが挙げられます まず, 骨材試験をベースとして, 骨材の反応性を 4 つの区分から決定します ( ) 次に, コ

6 骨材の反応性区分 コンクリートプリズム試験 年後の膨張量 (%) (CSA A A) 促進モルタルバー試験 4 日後の膨張量 (%) (CSA A A) 注非反応性 < 4 < 5 注中程度の反応性 4~ 2 - 注高い反応性 > 2 > 5 極めて高い反応性 > 23 > 4 注 CSA 規格には注意書きが記載されているが, 本稿では割愛しているので, 詳細は CSA A A を参照 寸法とコンクリートの環境薄い部材, 乾燥条件 (R H.<6%) 非反応性 骨材の反応性 中程度の反応性 高い反応性 極めて高い反応性 Level Level Level 2 Level 3 マッシブ, 乾燥条件 Level Level 2 Level 3 Level 4 湿気環境に暴露,( 土中 ) 埋没,( 液体 ) 浸漬 Level Level 3 Level 4 Level 5 リスクレベル 仮設構造物 (< 5 年 ) 耐用年数 5 ~75 年 耐用年数 75 年以上 V V V 2 V W X 3 V X Y 4 W Y Z 5 W Z ZZ ンクリートの寸法やおかれる環境と骨材の反応性の組合 せから,5 段階に分類された ASR のリスクレベルを決定します ( ) なお, マッシブなコンクリートでは ASR 膨張が生じるのに十分な内部湿度が存在するため, 薄い部材よりもリスクレベルが高くなります 最後に, ASR のリスクレベルと, 構造物の予定供用年数の組合せを基に,6 つに分類された抑制レベルから対策を決定します ( ) このうち,V が最も低く,ZZ が最も高い抑制レベルとなっています また, 抑制レベルに応じて, アルカリ総量の規制値や SCM の置換率などが決められています 例えば, 抑制レベル V では無対策とすることができますが, 最も厳しい抑制レベル ZZ ではアルカリ総量を 2 kg/m 3 以下とし, かつ SCM を置換 ( 低 Ca フライアッシュ :35%, 高炉スラグ微粉末 :6%, など ) することになります SCM の置換率は,SCM の品質 ( アルカリ量や CaO 量 ( フライアッシュの場合 )) に応じて設定されています このように, カナダの規格では, 骨材の反応性, 水分供給の有無, 空隙水の OH - 濃度,SCM の品質などに着目しており,ASR の抑制の基本理念に基づいて決定していることが理解できます その他の国でも, リスクマネジメントに基づいて, 各国事情に合わせた対策にマイナーチェンジして自国の対策としています また, 我が国の原子力施設における抑制対策も提案されています 2) この中では, 我が国の骨材事情に合わせて, ペシマムの影響や外部からのアルカリ供給などを踏まえた対策が提案されており, カナダ規格などを国内で適用した先進的な事例です ASR の抑制対策について, 国内外の情報を紹介しましたが, 最近では予定供用年数に代わって構造物の性能に着目して区分する方向も提示されようとしています すなわち予定供用年数という時間のみの概念ではなく, 脆弱性 (Vulnerability) 2) や重大性 (Severity) 22) といった概念で整理されようという動きがあります JCI TC 5 FS ASR 診断の現状とあるべき姿研究委員会 の報告書 23) でも, 構造物や部材への要求性能に応じて ASR を許容し, 許容膨張量に達しないように材料設計もしくは構造設計で対応できるような将来像が提唱されています これまで, 我々は材料を規定することで ASR を単に抑えようとしてきました しかしながら, これからは構造物の性能にまで展開することが必要です もし ASR が起きたとしても, 時間軸上において構造物が要求性能を満足すればよいわけで, そのための対策としては材料から構造まで幅広い選択肢があるはずです 設計は想像に基づいた行為であり, 仕様は設計空間を狭める制約条件になります 24) 今後, 新しい枠組みが構築され, そのための要素技術の開発が進むことが期待されます ) Multon, S:Evaluation expérimentale et théorique des effets mécaniques de lʼalcali réaction sur des structures modèles, Universite de Marne la Vallee, 23 (in French) 2) Feng, X., Thomas, M. D. A., Bremner, T. W., Folliard, K. J. and Fournier, B.:Summary of research on the effect of LiNO3 on alkali silica reaction in new concrete, Cement and Concrete Research, Vol.4, pp , 2 3) 川端雄一郎 山田一夫 松下博通 : セメント系材料により生成される水和物の相組成と ASR 膨張抑制効果の関係, 土木学会論文集 E2,Vol.69,No.4,pp.42~42,23 4) Diamond, S.:Alkali Reactions in Concrete Pore solution Effects, Proceedings of 6 th International Conference on Alkali Aggregate Reaction in Concrete, pp.55 66, 983 5) 鍵本広之 佐藤道生 川村満紀 : アルカリシリカ反応により劣化した構造物の劣化度評価と細孔溶液分析による劣化進行の予測, 土木学会論文集,No.64/V 46,pp.24~25,2 6) Hong, S. H. & Glasser, F. P.:Alkali binding in cement pastes: Part I The C S H Phase, Cement and Concrete Research, Vol.29, pp , 999 7) 林建佑 河野克哉 山田一夫 山下弘樹 : 外来アルカリ環境下におけるフライアッシュⅡ 種のアルカリシリカ反応抑制効果, セメント コンクリート論文集,No.62,pp.334~34,28 8) Hong, S. H. and Glasser, F. P.:Alkali sorption by C S H and C A S H gels: Part II Role of alumina, Cement and Concrete Research, Vol.32, pp., 22 9) Chappex, T. and Scrivener, K.:The influence of aluminium on the dissolution of amorphous silica and its relation to alkali silica reaction, Cement and Concrete Research, Vol.42, pp , 22 ) 川端雄一郎 松下博通 : アルカリシリカ反応抑制の観点からのフライアッシュの品質評価に関する研究, 土木学会論文集 E,Vol.63, Vol. 52, No.,

7 No.3,pp.379~395,27 ) 長瀧重義 大賀宏行 井上毅 : フライアッシュによるアルカリ骨材反応の膨張抑制効果とそのメカニズム, 土木学会論文集, No.44/V 2,pp.75~84,99 2) Hashimoto, T. and Torii, K.:The Development of Highly Durable Concrete Using Classified Fine Fly Ash in Hokuriku District, Journal of Advanced Concrete Technology, Vol., pp.32 32, 23 3) 高橋晴香 山田一夫 :ASR 抑制効果を支配するフライアッシュキャラクターの SEM EDS/EBSD による解析, 論文集,Vol.23,No.,pp.~,22 4) Thomas, M.:The effect of supplementary cementing materials on alkali silica reaction: A review, Cement and Concrete Research, Vol.4, No.2, pp , 2 5) 松下博通 近田孝夫 長尾之彦 前田悦孝 : 高炉スラグ微粉末の品質がアルカリシリカ反応抑制効果に及ぼす影響,Proceedings of East Asia Alkali Aggregate Reaction Seminar,pp.55~62, 997 6) Katayama, T.:Diagnosis of alkali aggregate reaction-polarizing microscopy and SEM EDS analysis, Castro Borges et al. (eds) Concrete under Severe Conditions, pp.9 34, 2 7) 井上祐一郎 濱田秀則 川端雄一郎 山田一夫 : ペシマム現象を生じる骨材を用いたモルタルのフライアッシュによる ASR 抑制効果, 年次論文集,Vol.32,No.,pp.953~958,2 8) Kawabata, Y., Ikeda, T., Yamada, K. and Sagawa, Y.:Suppression effect of fly ash on ASR expansion of mortar/concrete at the pessimum proportion, Proceedings of 4 th International Conference on Alkali Aggregate Reaction in Concrete, 37 KAWA, 22 9) 松田芳範 隈部佳 木野淳一 岩田道敏 : アルカリ骨材反応の JR 東日本版抑制策の制定について,,Vol.5, No.8,pp.669~675,22 2) 中野眞木郎 : 原子力用コンクリートの反応性骨材の評価方法の提案,JNES RE レポート,24 2) Godart, B., Sims, I., Nixon, P., Capra, B., Rooji, M. and Wood, J.: The RILEM guidance on appraisal and management of structures damaged by AAR, Proceedings of 3 th International Conference on Alkali Aggregate Reaction in concrete, 22 22) Nixon, P., Hawthorn, F. and Sims, I.:Developing an international specification to combat AAR, Proceedings of the 2 th International Conference on Alkali Aggregate Reaction in Concrete, pp.8 6, 24 23) 日本会 :ASR 診断の現状とあるべき姿研究委員会報告書,24 24) 土木学会 : 鉄筋コンクリート構造物の設計システム Back to the Future II, コンクリート技術シリーズ 4,24 24

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