基金の収益性向上の取組

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かおりつちかね
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1 事例紹介資金運用に係る取り組み基金の収益性向上の取組尼崎市企画財政局行財政推進部財政課小山権治 H

2 尼崎市の概要平成 27 年 3 月 31 日時点市域面積 50.27km2 人口 464,562 人世帯数 226,568 世帯平成 28 年に市制 100 周年を迎えます! 尼崎市の財政状況 ( 平成 25 年度普通会計決算 ) 標準財政規模 996 億円財政力指数 0.82 実質公債費比率 13.0% 将来負担比率 147.7% 地方債残高 2,643 億円基金残高 166 億円 2

3 取組のきっかけ 1 ( 単位 : 百万円 ) 30,000 26,331 25,000 21,309 20,000 15,000 10,000 5,000 0 主要 3 基金残高 (H16 までは土地開発基金含む ) 27,635 27,669 20,686 19,828 17,989 18,054 16,908 17,981 16,284 15,351 18,904 13,109 14,688 14,820 11,322 8,563 8,078 8,766 13,243 6,344 6,866 6,354 5,813 7,814 6,608 7,246 6,757 4,195 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 3,450 年度末残高通常分主要 3 基金財政調整基金減債基金公共施設整備基金厳しい財政状況のもと H21 年度までは基金を財源対策のために取崩し H22 年度以降も下半期の歳計現金不足時における繰替使用に対応 H25 年度には使途が特定されていない基金が132 億円まで回復 3

4 取組のきっかけ 2 20,000 H25 年度の歳計現金の残高状況 ( 単位 : 千円 ) 50,000 44,122 一時借入金利息推移 40,000 34,562 36,033 10,000 30,000 20,000 10, ,293 34,157 18,616 11,366 8,360 15,165 6,326 4,125 1,071 4,585 2,252 2,845 2, H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 0 H H H H H H H H H H H H 一時借入金うち当座借越 -10,000-20,000 一時借入額 3 基金残高下水繰替使用控除後残高歳計現金不足時の対応順位 1 下水会計繰替 2 主要 3 基金繰替 3 金融機関からの当座貸越歳計現金の残高は毎年度同様の傾向毎年度変動するのは繰替使用の余力である 3 基金残高最も歳計現金が不足する 2 月下旬でも繰替使用には約 30 億円の余力一時借入金利息も過去 10 年のピーク 44 百万円から 1 百万円へ 4

5 取組のきっかけ 3 H25 年度の運用状況基金名財政調整基金減債基金公共施設整備基金 3 基金合計 ( 単位 : 円 ) 預金種別 1 年換算運用額運用収入額平均利回り (%) 普通預金 654,770, , % 定期預金等 2,781,689,631 2,300, % 繰替使用 208,746,964 52, % 合計 3,645,207,202 2,484, % 普通預金 711,445, , % 定期預金等 4,898,529,165 6,134, % 繰替使用 2,275,231, , % 合計 7,885,205,832 6,845, % 普通預金 210,988,417 42, % 定期預金等 2,877,960,294 3,902, % 繰替使用 68, % 合計 3,089,016,877 3,944, % 普通預金 1,577,204, , % 定期預金等 10,558,179,090 12,337, % 繰替使用 2,484,046, , % 合計 14,619,429,911 13,273, % 基金の残高も落ち着き始めた一時借入金利息も限界まで抑制できた自治法第 241 条第 2 項に定める確実かつ効率的な運用の範囲内で基金の収益性向上を図るため国債地方債による積極的な運用へ転換平均利回りが 0.1% 上昇するだけで 14 百万円以上の運用収入 5

6 債券運用のリスクデメリット債券運用では預金運用に比べより多くの利息収入が期待できる半面次のようなリスクデメリットが想定される信用リスク ( 債務不履行 ) 満期まで保有すれば基本的に元本割れしないが国債は国地方債は地方財政制度を背景とした発行自治体の財政力が信用力になっておりデフォルトリスクはゼロではない中途解約リスク預金運用に比べ資金が長期固定化することから事業実施などの基金取崩しリスクに備える必要がある基金取崩しのために保有債券を中途解約 ( 売却 ) した場合には元本割れする場合がある金利変動リスク長期間の固定金利による運用となるため市場金利が上昇する局面においては相対的に運用利回りが劣る可能性がある 6

7 債券運用の基本方針債券運用によるリスクデメリットを最大限抑制するとともに収益性を向上させるため次のような基本方針を定めた債券運用する額に上限を設定主要 3 基金の過去 10 年間の最小残高以内 & 前年度の歳計現金における主要 3 基金繰替使用後の余剰基金残高以内債券運用の期間は 20 年債を中心に検討市場流通量が比較的多く & 現状のイールドカーブが最も効果的と考えられる20 年債をベースラダー型での運用中途解約リスクに備えて流動性を一定程度確保 & 金利変動リスクに備えて金利上昇耐性を確保イールドカーブ ( 利回り曲線 ) パターン 1 パターン 2 パターン 3 7

8 ラダー型での運用イメージ中途解約リスクに備えて流動性を一定程度確保 & 金利変動リスクに備えて金利上昇耐性を確保現在 1 億 1 億 1 億 1 億 1 億 1 億 1 億 1.00% 2.20% 1.90% 2.30% 2.00% 1.70% 1.50% ( 残存期間 ) 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 19 年 20 年合計 20 億 1 年後償還 2.20% 1.90% 2.30% 2.00% 1.70% 1.50% 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 19 年 20 年略再取得後 20 億再取得を見送ることにより運用額は 19 億へ減再取得 or 毎年度の一定額償還の都度再取得の可否を判断する再取得を取りやめることで固定化した債券の一部を現金化し流動性を確保する債券を分散させることで結果としての金利の是非を回避するハイリスクハイリターンよりローリスクローリターンを優先する 8

9 債券運用開始時点の具体的な取組 1 一般的な満期一括償還の債券によるラダー型での運用の完成には新規発行債券の場合では 20 年かかる発行済債券であれば 1 年間でラダー型での運用を完成させることが可能 (1 年債 ~20 年債までを分割購入 ) 発行済債券の取得はオーバーパーとなることがあり債権管理の実務上課題がある 5 年債までの短期債券は国の金利政策の関係でほぼ金利がつかない場合によっては預金金利に劣りリスクに見合ったリターンが得られない 9

10 債券運用開始時点の具体的な取組 2 債券運用開始時点においては利率面で 20 年満期一括償還の債券には劣るものの初年度からラダー型での運用と同様の効果を発揮できる均等債 ( 定時償還方式の債券 ) を取得する ( 単位 : 百万円 ) 2,000 1,500 1, 億円 2.200% 2 億円 2.200% 1.900% 20 億円 19 億円 0.650% 0.650% 18 億円 0.650% 3 億円 2.200% 1.900% 2.000% 17 億円 0.650% 4 億円 2.200% 1.900% 2.000% 16 億円 0.650% 5 億円 15 億円 0.650% 6 億円 14 億円 0.650% 7 億円 8 億円 13 億円 0.650% 12 億円 0.650% 9 億円 11 億円 0.650% 0 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 均等債残高満期一括残高毎年度の一定額償還の都度再取得の可否の判断が可能 ( 中途解約リスク耐性 ) 再取得の都度債券の分散 ( 金利の分散 ) が可能 ( 金利変動リスク耐性 ) 10

11 債券運用開始後の運用状況 ( 試算 ) 実際に取得した債券を H25 年度決算で置き換えて試算 ( 単位 : 円 ) 基金名預金種別 1 年換算運用額運用収入額平均利回り (%) 普通預金 654,770, , % 財政調整基金定期預金等 2,781,689,631 2,300, % 繰替使用 208,746,964 52, % 合計 3,645,207,202 2,484, % 普通預金 711,445, , % 定期預金等 2,898,529,165 3,623, % 減債基金繰替使用 2,275,231, , % 債券運用 2,000,000,000 12,900, % 合計 7,885,205,832 17,234, % 普通預金 210,988,417 42, % 公共施設整備基金定期預金等 2,877,960,294 3,902, % 繰替使用 68, % 合計 3,089,016,877 3,944, % 普通預金 1,577,204, , % 定期預金等 8,558,179,090 9,826, % 3 基金合計繰替使用 2,484,046, , % 債券運用 2,000,000,000 12,900, % 合計 14,619,429,911 23,662, % 運用開始前 13,273,802 円 0.091% から運用収入額が 10 百万円超増加 11

12 尼崎市債券の運用に関する指針 1 債券運用の取組は長期間に及ぶため一貫した考え方が必要地方公共団体には人事異動がつきもの時々で恣意的な判断が入らないよう尼崎市債券の運用に関する指針を策定債券の運用期間償還期間が異なるよう実質的に取得する債券を分散し毎年一定程度の金額が償還されるように保有する場合 ( 以下ラダー型運用という ) については概ね20 年を上限とする長期運用を可能とするが債券全体の平均残存期間が10 年を大幅に超過することがないよう留意する取得可能債券の期間を現状の10 年債から現時点のイールドカーブが最も効果的な20 年債へ延長行財政計画は5~10 年がほとんどで超長期の財政状況を見通すことは非常に困難ラダー型の運用導入の目的の1つは流動性の一定程度の確保運用債券全体に対する平均残存期間の考え方を導入 12

13 平均残存期間平均残存期間算出シート発行元平均残存期間基準日基準日時点の額面市年 H ,000,000,000 円償還年月日償還額償還後残額償還間隔額面期間 H 円 1,000,000,000 円年 504,109,589 H 円 1,000,000,000 円年 497,267,760 H 円 1,000,000,000 円年 502,732,240 H 円 1,000,000,000 円年 495,890,411 H 円 1,000,000,000 円年 504,109,589 H 円 1,000,000,000 円年 495,890,411 H ,000,000 円 970,000,000 円年 504,109,589 H ,000,000 円 940,000,000 円年 481,013,699 H ,000,000 円 910,000,000 円年 473,863,014 H ,000,000 円 880,000,000 円年 452,513,661 H ,000,000 円 850,000,000 円年 442,404,372 H ,000,000 円 820,000,000 円年 421,506,849 H ,000,000 円 790,000,000 円年 413,369,863 H ,000,000 円 760,000,000 円年 391,753,425 H ,000,000 円 730,000,000 円年 383,123,288 H ,000,000 円 700,000,000 円年 362,000,000 H ,000,000 円 670,000,000 円年 352,876,712 H ,000,000 円 640,000,000 円年 333,169,399 H ,000,000 円 610,000,000 円年 321,748,634 H ,000,000 円 580,000,000 円年 302,493,151 H ,000,000 円 550,000,000 円年 292,383,562 H ,000,000 円 520,000,000 円年 272,739,726 H ,000,000 円 490,000,000 円年 262,136,986 H ,000,000 円 460,000,000 円年 242,986,301 H ,000,000 円 430,000,000 円年 231,890,411 H ,000,000 円 400,000,000 円年 213,825,137 H ,000,000 円 370,000,000 円年 201,092,896 H ,000,000 円 340,000,000 円年 183,479,452 H ,000,000 円 310,000,000 円年 171,397,260 H ,000,000 円 280,000,000 円年 153,726,027 H ,000,000 円 250,000,000 円年 141,150,685 H ,000,000 円 220,000,000 円年 123,972,603 H ,000,000 円 190,000,000 円年 110,904,110 H ,000,000 円 160,000,000 円年 94,480,874 H ,000,000 円 130,000,000 円年 80,437,158 H ,000,000 円 100,000,000 円年 64,465,753 H ,000,000 円 70,000,000 円年 50,410,959 H ,000,000 円 40,000,000 円年 34,712,329 H ,000,000 円 10,000,000 円年 20,164,384 H ,000,000 円 0 円年 4,958,904 平均残存期間 = ( 基準日時点の額面基準日から 1 回目償還日までの期間 ) +( 1 回目償還後の額面 1 回目償還日から 2 回目償還日までの期間 ) + +( N-1 回目償還後の額面 N-1 回目償還日から N 回目償還日までの期間 ) 基準日時点の額面 11,587,261,172 13

14 尼崎市債券の運用に関する指針 2 運用基金の額ラダー型運用を行う場合については原則として取得時点の前年度における下水道事業会計資金主要 3 基金からの繰替使用後の余剰基金残高及び過去 10 年間の主要 3 基金の最小残高を超えない範囲内において企画財政局長が定める額とする平均残存期間の考え方と整合を図るため主要 3 基金の最小残高は過去 10 年間に設定債券の取得方法尼崎市内に本店または支店を有する証券会社のうち本市が共同発行している兵庫のじぎく債の引受実績があり参加を希望する証券会社 ( 以下取扱証券会社という ) から見積合わせ等により取得する銀行預金の元本を保証しているのは銀行自身債券の元本を保証しているのは発行体債券運用にあたり証券会社の経営の健全性は必ずしも必要ではない 14

15 債券運用リスクのさらなる抑制策現時点においては中途解約や一時借入金発生のリスクは非常に小さい仕組み今後取崩しなどにより主要 3 基金の残高が減少した場合中途解約や一時借入金発生のリスクが顕在化する恐れもある中途解約リスクの抑制策として市全体の基金による一括運用の導入を検討一時借入金発生リスクの抑制策として一時借入金調達手段の多様化を検討 15

16 基金の一括運用単独基金でのラダー型の運用現在 1 億 1 億 1 億 1 億 1 億 1 億 1 億 1.00% 2.20% 1.90% 2.30% 2.00% 1.70% 1.50% 合計 20 億 ( 残存期間 ) 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 19 年 20 年 1 年後略償還 2.20% 1.90% 2.30% 2.00% 1.70% 1.50% 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 19 年 20 年再取得後 20 億再取得を見送ることにより運用額は 19 億へ減再取得一括運用でのラダー型の運用現在 1 億 1 億 1 億 1 億 1 億 1 億 1 億 ( 残存期間 ) 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 19 年 20 年減債基金 20 億平均金利 1.8% 1 年後償還 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 19 年 20 年略再取得を見送り運用全体 19 億減債基金 17 億環境基金 2 億平均金利 1.9% 再取得債券の個別の紐付けはせず金利は全体の利息収入を各基金の運用額で按分取崩しなど不測の事態に各基金間での運用額振替を可能とするため各基金の運用可能額に一定の制限を設ける ( 例えば基金残高の75% 以内など ) 16

17 一時借入金調達手段の多様化金融機関からの当座貸越枠の利用歳計現金不足時にいつでも借入可能借入利率は高い金融機関からの当座貸越枠金利の引下げ近隣地方公共団体の金利状況金融機関との関係に留意する必要がある金融機関からの当座貸越枠金利の 2 段階設定債券運用額の範囲内の当座貸越枠金利は TIBOR+α( 例えば 0.5% 前後など ) 債券運用額の範囲を超えた当座貸越枠金利は短期プライムレート ( 例えば 1.475% など ) 短期間の手形貸付証書貸付の利用金融機関における審査期間を勘案して予め歳計現金の予測をたてる必要がある債券売り現先取引の利用証券会社の信用力当座貸越枠設定金融機関との関係に留意する必要がある 17

18 さいごに債券運用への姿勢一時借入金の発生を許容して仮に債券運用額を50 億円にした場合 (P.11の試算での債券運用額を50 億円に増額 ) ( 単位 : 円 ) 基金名預金種別 1 年換算運用額運用収入額平均利回り (%) 普通預金 654,770, , % 財政調整基金定期預金等 2,781,689,631 2,300, % 繰替使用 208,746,964 52, % 合計 3,645,207,202 2,484, % 普通預金 609,974, , % 定期預金等 % 減債基金繰替使用 2,275,231, , % 債券運用 5,000,000,000 32,250, % 合計 7,885,205,832 32,940, % 普通預金 210,988,417 42, % 公共施設整備基金定期預金等 2,877,960,294 3,902, % 繰替使用 68, % 合計 3,089,016,877 3,944, % 普通預金 1,475,733, , % 定期預金等 5,659,649,925 6,203, % 3 基金合計繰替使用 2,484,046, , % 債券運用 5,000,000,000 32,250, % 合計 14,619,429,911 39,369, % 当座貸越 ( 一時借入金 ) 利率種別短期プライムレート TOBOR+α 想定利率 1.475% 0.500% 当座貸越利息 506, ,605 当座貸越日数 25 日 20 億円の債券運用に比べ 50 万円の一時借入金利息の発生を許容すれば 1,500 万円の運用収入額アップ満期保有の概念を捨てローリング効果を狙った積極売買取引への発展でさらなる運用収入額のアップも見込める可能性がある 18

【IR付属資料2】120116地方公共団体の基金に係る資金の性質に応じた運用手法について

【IR付属資料2】120116地方公共団体の基金に係る資金の性質に応じた運用手法について地方公共団体金融機構 IR 付属資料 2 地方公共団体の基金に係る資金の性質に応じた運用手法について目次 1. 主な基金に係る資金の性質とその運用例 2 2. 基金の一括運用による効率化 3 3. 主な基金に係る資金の性質 3-1. 財政調整基金 4 3-2. 減債基金 5 3-3. その他基金 ( 取り崩し型 ) 6 3-4. その他基金 ( 果実運用型 ) 7 4. 資金の性質に応じた運用手法例の特色