博士論文 診療データベースに基づく 降圧薬の使用実態に関する研究 平成 31 年 3 月 石田貴之

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1 博士論文 診療データベースに基づく 降圧薬の使用実態に関する研究 平成 31 年 3 月 石田貴之

2 参考論文 1) Ishida T, Oh A, Hiroi S, Shimasaki Y, Tsuchihashi T Current prescription status of antihypertensive drugs in Japanese patients with hypertension; Analysis by type of comorbidities Clin Exp Hypertens May21:1-8. doi: / ) Ishida T, Oh A, Hiroi S, Shimasaki Y, Tsuchihashi T. Current use of antihypertensive drugs in Japanese patients with hypertension: Analysis by age group. Geriatr Gerontol Int. 2018;18(6): ) Ishida T, Oh A, Hiroi S, Shimasaki Y, Nishigaki N, Tsuchihashi T Treatment patterns and adherence of antihypertensive combination therapies using a Japanese claims data base Hypertens Res. 2019;42(2):

3 目次 略語表... 3 要約... 4 序章... 6 第 1 章降圧薬の使用実態 : 併存疾患別の分析 第 2 章降圧薬の使用実態 : 年齢層別の分析...34 第 3 章降圧薬による併用治療の実態と治療アドヒアランス...51 終章...68 引用論文...70 謝辞

4 略語表 略語正式名称日本語 ACE Angiotensin-Converting Enzyme アンジオテンシン変換酵素 ARB Angiotensin II Receptor Blocker アンジオテンシン II 受容体拮抗薬 ATC Anatomical Therapeutic Chemical Classification System 解剖治療化学分類法 CCB Calcium Channel Blocker カルシウムチャネル拮抗薬 CKD Chronic Kidney Disease 慢性腎臓病 DPC Diagnostic Procedure Combination 包括医療費支払い制度 DBP Diastolic Blood Pressure 拡張期血圧 ICD International Classification of 国際疾病分類 Disease and Related Health Problems JSH The Japanese Society of 日本高血圧学会 Hypertension MDV Medical Data Vision メディカル データ ビジョン NICE The National Institute for Health 英国国立医療技術評価機構 and Care Excellence PDC Proportion of Days Covered - RAS Renin Angiotensin System レニン アンジオテンシン系 SAS Statistical Analysis System 統計分析システム SBP Systolic Blood Pressure 収縮期血圧 - 3 -

5 要約 高血圧治療の目的は 高血圧の持続による心血管病の発症 進展 再発を抑制し 死亡を減少させることである 治療薬には多くの種類があり 病態に応じて適切な降圧薬を選択しなければならない 日本高血圧治療ガイドラインおよび高齢者の安全な薬物療法ガイドラインでは 第一選択薬 併存疾患に応じた降圧薬の選択および高齢者高血圧の治療について記述されており 配合剤の使用が処方の単純化やアドヒアランスの改善等の面で有用であることが示されている しかし 本邦における高血圧の治療実態については十分な検討がおこなわれておらず ガイドラインでの薬剤選択に関する記述と治療実態との関係は明らかにされていない そこで 本研究では 国内の匿名診療データベースを用いて 降圧薬の使用実態を検討した 第一章では 高血圧の薬物治療の全体像をはじめて明らかにし Ca 拮抗薬 (CCB) およびアンジオテンシンⅡ 受容体拮抗薬 (ARB) が処方の中心である一方で 利尿薬やアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬の使用は限定的であることを示した 糖尿病を合併する患者において推奨されている降圧薬 ( 積極的適応 ) は ARB および ACE 阻害薬であるが CCB の処方も多く存在することが示され 腎疾患を有する患者では 他疾患を合併する患者群と比べて 推奨されていないループ利尿薬およびβ 遮断薬の使用率が高いことが明らかになった 第二章では 年齢層別の検討をおこない 75 歳以上の高齢者では 非高齢者と比べて CCB およびループ利尿薬の使用率が高く ARB の使用率が低いことを明らかにした 第三章では 治療アドヒアランスを検討することにより 利尿薬を含む併用治療を受けている患者では 利尿薬を含まない同剤数の併用と比べてアドヒアランスが低いことを明らかにした さらに 利尿薬を含む併用や 3 剤併用では 配合剤を含む治療を受けている群と単 - 4 -

6 剤併用で治療を受けている群の間にアドヒアランスの明確な違いは認められないことを明らかにした 以上の結果より 第一選択薬とされている降圧薬のうち利尿薬の使用は十分に浸透していないこと 糖尿病や腎疾患を有する患者では ガイドラインでの薬剤の推奨や慎重投与が 実臨床における治療実態とは一致していないことが示唆された 実臨床における降圧薬の使用実態は多様であり 配合剤の使用が治療アドヒアランス向上に貢献できていないケースが明らかになった 今後 病態や患者の特性に応じて適切な降圧薬および配合剤を選択し アドヒアランスの向上を意識した医療を提供することが必要であると考えられた - 5 -

7 序章 現在 本邦の高血圧人口は 約 4,300 万人と推定されており 高血圧は脳卒中 心臓病 腎臓病などの強力な原因疾患である (1) 高齢者における高血圧の有病率は非常に高く 今後 急速な高齢化の進行 生活習慣の欧米化を考慮すると 疾患構造の変化にあわせた最新の高血圧治療対策と予防がますます重要な課題となっている 本邦では 標準的な治療指針を提供することを目的として種々のガイドラインが作成されている 2000 年にはじめて 高血圧治療ガイドライン が発行され その後 複数回にわたって改訂がおこなわれている 当ガイドラインは 疫学 降圧薬治療 臓器障害および他疾患を合併する高血圧 高齢者高血圧等によって構成されており (2) Medical Information Network Distribution Service (Minds) の 診療ガイドライン作成の手引き に沿って作成されている ガイドラインはあくまで標準的な治療法を提示したものであり 医師の処方裁量権を拘束するものではない 高血圧治療の目的は 高血圧の持続による心血管病の発症 進展 再発を抑制し 死亡を減少させることである 高血圧の治療率は 過去 30 年間で上昇を続けており 60 歳代で 50% 以上 70 歳代では 60% 以上である また 管理率 ( 降圧薬服用者のうち降圧目標を達成している比率 ) も過去 30 年間に上昇したが 男性では約 30% 女性では約 40% にとどまっている (3) 本態性高血圧の治療には環境因子の多くの部分を占める生活習慣の是正 ( 非薬物療法 ) が含まれるが 生活習慣だけで目標血圧を達成できる患者は少なく 大部分の患者には薬物療法が必要となる 高血圧の罹病歴が長くなると 腎疾患や心疾患等を併発し その病態は複雑で治療が困難となることから 個々の患者において 血圧のレベルと心血管病 - 6 -

8 の危険因子および心血管病の合併などの病態を総合的に評価してリスクを層別化し それに応じた治療計画を設定しなければならない 現在使用される主要な降圧薬は Ca 拮抗薬 (CCB) レニン アンジオテンシン系 (RAS) 阻害薬 (ACE 阻害薬 ARB 直接的レニン阻害薬) 利尿薬 ( サイアザイド系および類似薬 ループ利尿薬 アルドステロン拮抗薬 ) β 遮断薬 α 遮断薬である 高血圧治療ガイドラインでは CCB ACE 阻害薬 ARB およびサイアザイド系利尿薬が第一選択薬 ( 積極的適応がない場合に最初に投与すべき降圧薬 ) とされている さらに 病態に応じて 積極適応 (Table 1a) 禁忌および慎重投与(Table 1b) が定められており 病態に合致した降圧薬を選択することが推奨される 他疾患を合併する場合の高血圧治療に関しては高血圧治療ガイドラインだけでなく 糖尿病診療ガイドライン 急性 慢性心不全ガイドライン 慢性腎臓病 (CKD) 診療ガイドライン 高尿酸血症 痛風の治療ガイドライン等にも記述されており 高齢者の治療に関しては高齢者高血圧診療ガイドラインに纏められているが いずれも高血圧治療ガイドラインに沿った内容となっている また 高齢者薬物療法の安全性を高める目的で 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン が策定されており 高血圧を含む種々の疾患に対する治療薬の使用指針が纏められている (4) 高血圧治療に関しては 高齢者に対して特に慎重な使用が求められる薬物として ループ利尿薬 アルドステロン拮抗薬 非選択的 β 遮断薬 受容体サブタイプ非選択的 α1 遮断薬が定められている (Table 1c) しかし これらのガイドラインで定められた薬剤選択と 治療実態の関係は十分に検討されていない 高血圧症をはじめとする慢性疾患を有する患者では 服用している薬剤数が多いことが知られている 降圧薬の服薬アドヒアランスは 心血管イベントと負の相関を示すことが知られており (5, 6) 服薬アドヒアランスを向上させることは重要である 特定の降圧薬を対象とした臨床研 - 7 -

9 究や観察研究により 配合剤を使用することは単剤併用に比べて服薬アドヒアランスが良好であることが報告されている (7, 8) しかし 臨床研究は実臨床を反映したものではなく リアルワールドにおける降圧配合剤の使用実態およびアドヒアランスに対する影響は十分に検討されていない 本邦には 約 18 万件 ( 約 160 万床 ) の医療施設が存在する ( 医療施設動態調査 2018 年 3 月末 ) 近年 医療における様々な大規模データベースが発展しつつあり 匿名化された診療報酬明細 ( レセプト ) を取り扱う主要なデータベースには 1 特定健診 (National Database) 2 健康保険組合 3Diagnostic Procedure Combination(DPC) 対象病院からの情報をもとに構築されたものが存在する これらのデータベースには診療情報 医薬品の処方 外科的処置 医療費 血液検査結果の一部が含まれ 疫学研究に活用されている National Database は活用できるデータが限られており 健康保険組合のデータベースは 60 歳以上の高齢者のデータが少ないことから 高血圧症の解析に適したデータベースとして DPC 対象病院のデータベースを用いた DPC 対象病院は 全国で約 1700 件 ( 約 50 万床 ) 存在し 本研究で用いたデータベースは そのうち約 11% をカバーしている 本論文では 本邦における高血圧の治療実態について 匿名診療データベースを後ろ向きに解析し 得られた知見を記述する 第一章および第二章では それぞれ併存疾患別 年齢層別における降圧薬の使用実態について述べ 第三章では 主に併用治療のアドヒアランスを検討した結果について論じる - 8 -

10 Table 1 降圧薬の選択に関するガイドライン (a) 主要降圧薬の積極的適応 ( 高血圧治療ガイドライン ) Ca 拮抗薬 ARB/ACE 阻害薬 左室肥大 サイアザイド系 利尿薬 β 遮断薬 心不全 *1 *1 頻脈 ( 非シ ヒト ロヒ リシ ン系 ) 狭心症 *2 心筋梗塞後 CKD ( 蛋白尿 - ) ( 蛋白尿 + ) 脳血管障害慢性期 糖尿病 / メタボリッ クシンドローム 骨粗鬆症 誤嚥性肺炎 (ACE 阻害薬 ) * 1 少量から開始し 注意深く漸増する * 2 冠攣縮性狭心症には注意 (b) 主要降圧薬の禁忌や慎重投与となる病態 ( 高血圧治療ガイドライン ) Ca 拮抗薬 ARB ACE 阻害薬 禁忌 徐脈 ( 非シ ヒト ロヒ リシ ン系 ) 妊娠 高カリウム血症 妊娠 血管神経性浮腫 *2 高カリウム血症 慎重使用例 心不全 *1 腎動脈狭窄症 *1 腎動脈狭窄症 サイアザイド系利尿薬低カリウム血症痛風 妊娠 耐糖能異常 β 遮断薬喘息 高度徐脈耐糖能異常 閉塞性肺疾患 末梢動脈疾患 * 1 両側性腎細動脈狭窄の場合は原則禁忌 * 2 4 節 3 項 ACE 阻害薬を参照 - 9 -

11 (c) 特に慎重な投与を要する高血圧治療薬のリスト ( 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン ) 薬物クラスループ利尿薬アルドステロン拮抗薬非選択的 β 遮断薬受容体サブタイプ非選択的 α1 遮断薬 推奨される使用法必要最小限の使用にとどめ 循環血漿量の減少が疑われる場合 中止または減量を考慮する 適宜電解質 腎機能のモニタリングを行う 適宜電解質 腎機能のモニタリングを行う 特にK 高値 腎機能低下の症例では少量の使用にとどめる 気管支喘息や COPD ではβ 1 選択的遮断薬に限るが その場合でも適応自体を慎重に検討する カルベジロールは 心不全合併 COPD 例での使用可 (COPD の増悪の報告が少なく心不全への有用性が上回る 気管支喘息では禁忌 ) 可能な限り使用を控える

12 第 1 章降圧薬の使用実態 : 併存疾患別の分析 要約 2014 年に日本高血圧学会より高血圧治療ガイドラインの改訂版 (JSH2014) が発行された 薬物治療に関するガイドラインの遵守率を検討するために 糖尿病 脂質異常症 痛風 高尿酸血症 腎疾患という 4 つの併存疾患に着目し 後ろ向きに降圧薬の使用実態を検討した 包括医療費支払い制度を採用している病院の匿名レセプトデータベースを用いて 2014 年 4 月から 2015 年 3 月までの 59,867 名の高血圧症患者の処方データを使用した 最も繁用されていた降圧薬は いずれの併存疾患に関しても CCB と ARB で 60~70% の患者に処方されていた JSH2014 の推奨と異なり 利尿薬や ACE 阻害薬は 推奨されていないβ 遮断薬よりも使用率が低かった 糖尿病を合併する患者に対して推奨されている降圧薬は ARB および ACE 阻害薬であるが CCB の使用率も高かった 脂質異常症を合併する患者における降圧薬の治療パターンは 全体集団と同様であった ループ利尿薬は 糖尿病や脂質異常症を合併する患者に比べて 腎疾患および痛風 高尿酸血症を合併する患者に対して 高い使用率であった 降圧薬の選択は併存疾患の種類によって異なることが明らかになり JSH2014 における併存疾患毎の降圧薬の推奨は 実臨床において十分に浸透していないことが示唆された

13 緒言 高血圧は 冠動脈疾患と死亡の主なリスクファクターである 本邦に おいて 高血圧治療および血圧の管理は過去 30 年間に渡って改善して きたが 2010 年の調査結果によると 高血圧患者のうち 140/90mmHg(SBP/DBP) を達成しているのは僅か 15~ 30% である (1) JSH2014 には 併存疾患を有する患者における血圧値の治療目標と降圧薬の選択について記載されている (2) それまでのガイドラインからの主な変更点は 積極的治療を有しない患者に対する第一選択薬は CCB ARB ACE 阻害薬およびサイアザイド系利尿薬に限定されたことである JSH2014 では 併存疾患を有する高血圧患者の治療選択が明確にされた 糖尿病を合併する患者には ARB と ACE 阻害薬が第一選択薬とされている 脂質異常症を合併する患者には RAS 阻害薬 CCB α 遮断薬が脂質代謝の障害を改善または増悪しない薬剤として推奨されている 痛風 高尿酸血症を合併する患者に対しては サイアザイド系利尿薬およびループ利尿薬が高尿酸血症を惹起することが記される一方で RAS 阻害薬 CCB α 遮断薬が尿酸代謝に影響を与えない薬剤として推奨されている CKD を合併する患者に対しては 蛋白尿と糖尿病合併の有無が考慮に入れられ 糖尿病を合併する CKD 患者に対しては 蛋白尿の有無に関わらず RAS 阻害薬が第一選択薬として推奨されている 糖尿病を合併しない CKD 患者に対しては 尿蛋白陽性の場合に RAS 阻害薬 CCB 利尿薬が推奨されている(2) これまでに国内のレセプトデータベースを用いた研究では ARB を最初に処方された患者において 第二選択 第三選択薬の治療パターンが報告されている (9) また 内科医に対して オンラインを用いたアンケート調査をおこなった結果が報告されており JSH2014 で推奨されている高血圧治療に関する内容が日常診療に反映されているという結果が示されている (10) しかし この調査の対象となったのは JSH2014 が

14 発行されてから 6 ヶ月以内にガイドラインをダウンロードした医師であった 高血圧の治療にあたるのは 専門医だけでなく 多くの非専門医も含まれることから ガイドラインは必ずしも治療に当たるすべての医師に浸透しているとは限らないことが考えられる 本研究では JSH2014 で併存疾患の種類別に推奨されている降圧薬が 日常臨床に反映されているのか否かに注目した JSH2014 が発行後の最初の 1 年間 (2014 年 4 月 ~2015 年 3 月 ) において 本邦における降圧薬の使用実態を 併存疾患の種類別に検討した

15 方法 1) 研究デザインとデータソース本研究には メディカル データ ビジョン (MDV) 株式会社が保有している診療データベースを利用した データベースには 日本の 174 病院における約 1500 万人以上の入院および外来患者の処方データが含まれている データベースは Diagnostic Procedure Combination(DPC) データ レセプトデータ ( すべての DPC 病院の約 11% をカバーしている ) を基に構築されており 病院からデータの二次利用許諾が得られたもので 全てのデータは個人情報保護の観点から匿名化処理がされている データベースには 診断 医療費 処方および一部の血液検査データが含まれている 本研究は 2014 年 4 月から 2015 年 3 月における降圧薬の使用率 ( 対象期間における最初の処方に基づく ) について 併存疾患ごとに横断解析したものである 2) 対象集団主な組み入れ基準は 2014 年 4 月から 2015 年 3 月において 外来で降圧薬を処方されており 高血圧と診断されている 20 歳以上の患者であることとした ( Fig.1) また 選択基準として 最初の処方以前の前観察期間である 1 年間において 外来での通院歴または入院歴が存在することを条件とした ループ利尿薬およびアルドステロン拮抗薬は 高血圧症以外に心性浮腫または慢性心不全の適応を有している 本研究では心疾患の有病率が高いことから これらが単剤または 2 剤併用 ( ループ利尿薬 +アルドステロン拮抗薬 ) で使用されている場合は 心不全または浮腫の治療目的として使用されている可能性が高いことから除外した 尚 ループ利尿薬およびアルドステロン拮抗薬が 他の降圧薬を含む併用で用いられている場合は除外していない β 遮断薬も心疾患の適応を有するが 過去の高血圧治療ガイドラインでは第一選択薬とされ

16 ており 降圧薬としての位置づけが高いことから除外しなかった 高血圧症の診断は International Classification of Disease (ICD)-10 code のうち I10( 本態性高血圧 ) を用いて定義した 併存疾患は 前観察期間である 1 年間を対象として ICD-10 および Anatomical Therapeutic Chemical (ATC) Classification System codes を用いることで定義した (Table 2) 本研究で着目した併存疾患は JSH2014 において降圧薬の選択に影響を及ぼすと考えられている糖尿病 脂質異常症 痛風 高尿酸血症 腎疾患である 3) アウトカム患者の年齢 性別 併存疾患 降圧薬の使用率を算出した エンドポイントは 対象期間における最初の処方に基づく使用率である 4) 研究倫理本研究は 匿名化されたデータを用いた ( つまり 匿名化された状態で MDV のデータベースに保存されているデータを利用した ) 研究計画段階で MDV と武田薬品工業株式会社は データ使用と機密保持に関する契約を締結している 研究データの分析は IQVIA ソリューションズジャパン株式会社が実施し 解析したデータは厳重に管理した 厚生労働省から発行された疫学研究に関する倫理指針に基づき 本研究の倫理委員会による承認とインフォームドコンセントは適応されない 5) 統計解析患者背景 併存疾患 降圧薬の剤数について記述統計により要約した 連続する数値は平均と標準偏差によって示し カテゴリーデータは 患者数と率によって示した 全集団およびサブグループの併存疾患ごとに 降圧薬の使用率をパーセントで示した 統計解析は SAS R version 9.2 (SAS Institute Inc, Cary, NC, USA) を用いた 解析計画書は STROBE 声明に沿った形式で事前に作成し 計画に沿

17 って解析を実施した

18 Figure 1 研究デザイン 対象期間 選択基準および除外基準と それらを満たした患者数を示す 起点日とは 対象選択期間における最初の処方が存在する日のことである

19 Table 2 降圧薬および疾患の定義 (a) 降圧薬 薬剤クラス ACE 阻害薬 α 遮断薬 ARB Ca 拮抗薬 β 遮断薬直接レニン阻害薬アルドステロン拮抗薬サイアザイド系利尿薬ループ利尿薬配合剤 :ARB+Ca 拮抗薬配合剤 :ARB+ サイアザイド系利尿薬経口糖尿病治療薬脂質異常症治療薬痛風 高尿酸血症治療薬抗血栓 ( 抗凝固 抗血小板 ) 薬 ATC codes # C09A0 C02A2, G04C2 C09C0 C08A0 C07A0 C09X0 C03A1 C03A3 C03A2 C09D3 C09D1 A10C, A10D, A10H0, A10J, A10K, A10L, A10N1, A10N3, A10N9, A10M1, A10M9, A10P1, A10S0, A10X9 C10A1, C10A2, C10A3, C10A9, C10B0, C11A1 M04A0 B01A, B01C, B01E, B01F 各薬剤に対応する ATC code の一覧を示した # Anatomical Therapeutic Chemical (ATC) Classification System codes

20 (b) 疾患 傷病名 ICD-10 codes * ATC codes # 糖尿病 E10, E11 A10C, A10D, A10H0, A10J, A10K, A10L, A10N1, A10N3, A10N9, A10M1, A10M9, A10P1, A10S0, A10X9 脂質異常症 痛風及び高尿酸血症 腎疾患 E78 E79, M10 I12, N08, N18 19, N26, N28 心疾患 I11, I20-25, I47-50, I51.7 脳血管疾患 G45, I60-63, I67-68 各疾患に対応する ICD-10 の一覧を示した 糖尿病に関しては ICD-10 と ATC code の両方が存在する場合を 糖尿病と定義した * International Classification of Diseases (ICD)

21 結果 1) 対象者の背景情報および臨床的特徴組み入れ基準を満たした患者数は 59,867 人であり 糖尿病を有する患者は 14,548 人 脂質異常症を有する患者は 34,001 人 痛風 高尿酸血症を有する患者は 10,886 人 腎疾患を有する患者は 5,966 人であった 平均年齢は 70.0±11.9 歳であり 男性は 56.9% であった 多い併存疾患は 脂質異常症 (56.8%) および心疾患 (52.0%) であった 降圧薬は平均で 1.9±1.0 剤が処方されており 痛風 高尿酸血症や腎疾患を有する患者では 比較的 併用治療が多かった (Table 3) 2) 降圧薬の使用率本研究で対象となった患者における降圧薬の使用率の全体像を Fig.2 に示した 単剤は 41.1% であり 2 剤 ( 34.2%) 3 剤 ( 16.5%) 4 剤 ( 6.1%) および 5 剤以上 (1.7%) と続いた 併存疾患別に算出した降圧薬の使用率を Fig.3 に示した CCB(65.3% ~68.2%) と ARB(59.9%~69.7%) が総集団および各併存疾患別サブグループのいずれにおいても処方の中心となっていた β 遮断薬に次いで 利尿薬 ( サイアザイド系およびループ ) および ACE 阻害薬の使用率が高かった ARB は 糖尿病を有する患者において 使用率が高い傾向が認められた ループ利尿薬は 糖尿病や脂質異常症を有する患者よりも 痛風 高尿酸血症および腎疾患において使用率が高かった α 遮断薬は 腎疾患を有する患者で使用率が最も高かった 脂質異常症を有する患者における治療パターンは 総集団のそれと類似していた β 遮断薬 (39.9% vs 10.9%) ループ利尿薬(17.7% vs 3.0%) ACE 阻害薬 ( 11.8% vs 6.2%) およびアルドステロン拮抗薬 (8.8% vs 1.7%) は 心疾患を有さない患者よりも 心疾患を有する患者で使用率が高かった (Table 4)

22 3) 単剤治療単剤の降圧薬を処方されている患者 24,786 人 (41.1%) では CCB および ARB が処方の中心であった 唯一 糖尿病のサブグループでは ARB の方が CCB の使用率より高かった β 遮断薬は JSH2014 において第一選択薬から除外されているが 総集団およびすべてのサブグループにおいて β 遮断薬の使用率は ACE 阻害薬およびサイアザイド系利尿薬のそれよりも高かった (Fig.4a) 4) 2 剤併用治療 2 剤の降圧薬を処方されている患者 20,499 人 ( 34.2%) では CCB+ARB の処方が最も多く 47.0%( 腎疾患 ) から 63.1%( 糖尿病 ) であった その他の 2 剤併用は CCB+β 遮断薬 ARB+β 遮断薬 CCB+ACE 阻害薬 ARB+ サイアザイド系利尿薬であり いずれも 10% 未満であった 痛風 高尿酸血症および腎疾患では 糖尿病や脂質異常症に比べて 上位 5 種類以外の 2 剤併用で治療されている患者の割合が高かった (Fig.4b) 5) 3 剤併用治療 3 剤の降圧薬を処方されている患者 9,879 人 ( 16.6%) では CCB+ARB+ β 遮断薬 ( 20.1%~30.6%) の使用率が最も高かった 次いで CCB+ARB+ サイアザイド系利尿薬 ( 腎疾患サブグループ以外 ) または CCB+ARB+ ループ利尿薬 ( 腎疾患サブグループのみ ) の使用率が高かった 3 剤併用においては その他と定義した上位 5 種類以外の併用の割合が高く (33.1%~43.6%) 特に痛風 高尿酸血症および腎疾患のサブグループで高かった (Fig.4c)

23 Table 3 対象者の背景情報および臨床的特徴 全体 糖尿病 脂質異常症 痛風 腎疾患 (n = 59,867) (n = 14,548) (n = 34,001) 高尿酸血症 (n = 5,966) (n = 10,886) 年齢 ( 歳 ) 70.0 ± ± ± ± ± 12.5 性別 ( 男性 ) 34,044(56.9) 9,127(62.7) 19,094(56.2) 8,669(79.6) 3,881(65.1) 併存疾患糖尿病 14,548(24.3) 14,548(100.0) 10,993(32.3) 3,067(28.2) 1,872(31.4) 脂質異常症 34,001(56.8) 10,993(75.6) 34,001(100.0) 7,312(67.2) 3,763(63.1) 痛風 高尿酸血症 10,886(18.2) 3,067(21.1) 7,312(21.5) 10,886(100.0) 3,000(50.3) 腎疾患 5,966(10.0) 1,872(12.9) 3,763(11.1) 3,000(27.6) 5,966(100.0) 心疾患 ( 入院 )* 31,106(52.0) 7,939(54.6) 20,668(60.8) 7,181(66.0) 4,042(67.8) 脳血管疾患 ( 入院 )* 11,596(19.4) 3,159(21.7) 7,406(21.8) 2,145(19.7) 1,243(20.8) 入院経験 11,403(19.1) 3,273(22.5) 6,229(18.3) 2,624(24.1) 2,083(34.9) 降圧薬の剤数 1.9 ± ± ± ± ± 1.2 分布 1 剤 24,786(41.4) 4,983(34.3) 12,701(37.4) 2,978(27.4) 1,721(28.9) 2 剤 20,499(34.2) 5,081(34.9) 12,021(35.4) 3,486(32.0) 1,781(29.9) 3 剤 9,879(16.5) 2,900(19.9) 6,213(18.3) 2,591(23.8) 1,391(23.3) 4 剤 3,662(6.1) 1,187(8.2) 2,371(7.0) 1,354(12.4) 749(12.6) 5 剤以上 1,041(1.7) 397(2.7) 695(2.0) 477(4.4) 324(5.4) 対象者の背景情報 併存疾患 入院経験 使用されている降圧薬の剤数およびその分布を示す 併存疾患のサブグループは 糖尿病 脂質異常症 痛風 高尿酸血症 腎疾患の 4 カテゴリーに分類した 併存疾患および入院経験は 前観察期間に該当の傷病名または入院の履歴が存在する比率を示す * 心疾患および脳血管疾患では 傷病名に加えて 前観察期間に入院の履歴が存在することを条件とした 結果は n( %) または 平均 ± 標準偏差で示す

24 Ca 拮抗薬 +ARB+ サイアザイド系利尿薬 3.5% Ca 拮抗薬 +ARB+ β 遮断薬 4.7% サイアザイド系利尿薬 +ARB 1.5% 3 剤 16.5% その他 (2 剤 ) 5.1% 5 剤以上 1.7% その他 (3 剤 ) 8.4% 4 剤 6.1% Ca 拮抗薬 19.6% ARB 14.9% 1 剤 41.4% Ca 拮抗薬 +ACE 阻害薬 1.9% ARB+β 遮断薬 2.3% Ca 拮抗薬 +β 遮断薬 3.0% 2 剤 34.2% Ca 拮抗薬 +ARB 20.4% β 遮断薬 4.5% ACE 阻害薬 1.6% その他 (1 剤 ) 0.8% Figure 2 降圧薬の使用実態の全体像 起点日において 全患者数に占める各降圧薬の使用率を剤数毎に示す 使用率が 1.5% 未満の薬剤および併用は 剤数毎に その他 として示す

25 使用率 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 全体 (n=59,867) 糖尿病 (n=14,548) 脂質異常症 (n=34,001) 痛風 高尿酸血症 (n=10,886) 腎疾患 (n=5,966) Figure 3 併存疾患別の降圧薬の使用率 糖尿病 脂質異常症 痛風 高尿酸血症または腎疾患を併存疾患として有する患者における降圧薬の使用率を示す 各群の患者数を分母とし 単剤 併用を問わず各薬剤が使用されている割合を示す

26 Table 4 心疾患の有無での降圧薬の使用率 降圧薬心疾患 ( 入院 )* 有り (n = 31,106) 無し (n = 28,761) Ca 拮抗薬 65.3% 68.5% ARB 57.5% 62.4% β 遮断薬 39.9% 10.9% ループ利尿薬 17.7% 3.0% サイアザイド系利尿薬 10.2% 9.5% ACE 阻害薬 11.8% 6.2% アルドステロン拮抗薬 8.8% 1.7% α 遮断薬 4.8% 4.4% 直接レニン阻害薬 0.5% 0.3% 併存疾患としての心疾患の有無で層別化し 降圧薬の使用率を示す 対象となる患者数を分母とし 単剤 併用を問わず各薬剤が使用されている割合を示す * 入院とは 前観察期間に入院の履歴が存在することを条件とした

27 (a) 単剤 70% 60% 使用率 50% 40% 30% 20% 全体 (n=24,786) 糖尿病 (n=4,983) 脂質異常症 (n=12,701) 痛風 高尿酸血症 (n=2,978) 腎疾患 (n=1,721) 10% 0% (b) 2 剤併用 70% 60% 使用率 50% 40% 30% 20% 10% 全体 (n=20,499) 糖尿病 (n=5,081) 脂質異常症 (n=12,021) 痛風 高尿酸血症 (n=3,486) 腎疾患 (n=1,781) 0%

28 (c) 3 剤併用 70% 60% 使用率 50% 40% 30% 20% 全体 (n=9,879) 糖尿病 (n=2,900) 脂質異常症 (n=6,213) 痛風 高尿酸血症 (n=2,591) 腎疾患 (n=1,391) 10% 0% Figure 4 併存疾患別の降圧薬の使用実態 ( 剤数毎の内訳 ) (a) 降圧薬の使用率 ( 単剤 ) 単剤で治療されている患者数を分母とし 各降圧薬の使用率を示す (b) 降圧薬の使用率 (2 剤併用 ) 2 剤で治療されている患者数を分母とし 各併用の使用率を示す 上位 5 種類の併用以外は その他 として纏めた (c) 降圧薬の使用率 (3 剤併用 ) 3 剤で治療されている患者数を分母とし 各併用の使用率を示す 上位 5 種類の併用以外は その他 として纏めた

29 考察 本邦の DPC を採用している病院のレセプトデータベースを用いて 降圧薬の使用実態を 併存疾患の種類別に分析した 本研究では JSH2014 において降圧薬の治療選択に影響を及ぼすと考えられている糖尿病 脂質異常症 痛風 高尿酸血症 腎疾患に着目した JSH2014 では 厳格な血圧コントロールが心血管イベントの予防に重要であり 低用量の利尿薬を含む 2~3 剤の降圧薬を用いて降圧目標を達成することが必要であることを言及している 本研究で使用されていた降圧薬は平均 1.9 剤であり 単剤での治療が 41.4% を占めた 痛風 高尿酸血症および腎疾患を有する患者では より多くの降圧薬が使用されていたが それでも単剤は 25% 以上を占めた 本邦の 2010 年における 140/90mmHg(SBP/DBP) の降圧目標達成率は 15~30% であることが報告されており (1) 降圧目標未達成は 若年および中年 糖尿病 CKD 心筋梗塞を有する患者で多いことが知られている (11) 最近の厳格な降圧目標を設定した 2 つの大規模な臨床研究では 降圧薬の平均剤数は それぞれ 3.4 剤および 2.8 剤であり 本研究で使用されていた降圧薬の平均剤数 (1.9 剤 ) よりも多かった (12, 13) 降圧薬は増量するよりも 種類の異なる降圧薬を併用する方が大きい降圧効果が得られることが報告されており (14) 血圧値や薬剤の用量情報を解析することで 降圧目標を達成するための課題を明らかにできる可能性が考えられる 本研究で対象とした集団では CCB と ARB が処方の中心であり それぞれ 66.8% および 59.9% の使用率であった JSH2014 で第一選択薬とされているサイアザイド系利尿薬および ACE 阻害薬は 10% 程度しか使用されておらず 第一選択薬から除外されているβ 遮断薬の使用率よりも低かった β 遮断薬は 改定前のガイドラインでは第一選択薬とされており 改訂されたガイドラインで定められた第一選択薬の内容が 実臨床の治療に十分に反映されていないことが示唆された 本研究におけ

30 る利尿薬の使用率は 健康保険のレセプトデータベースを用いた 2011 年の報告 (15) に比べるとやや高く この結果の違いは 使用しているデータベースの違いが影響しており 本研究では心疾患の有病率が高いことが要因の1つかもしれない また ARB+ 利尿薬の配合剤が上市されてから数年経過し 本邦における利尿薬の使用率上昇してきていること (15-17) も理由である 利尿薬および ACE 阻害薬の使用率が低いことは 欧米とは状況が異なる 米国では 利尿薬は最も使用率が高く 次いで ACE 阻害薬の処方が多い (18, 19) これらの薬剤は 欧州でも日本に比べて使用率が高いことが報告されている (20-23) 国による治療実態の違いには 各国のガイドラインの影響だけでなく 複数の要因が影響しうる 本邦では 内科医は薬剤の有害事象に懸念を示す傾向があり (16) 利尿薬では他の降圧薬に比べて有害事象が多いこと (24) が 利尿薬の使用率が低い要因の1つと考えられる ACE 阻害薬の有害事象としての空咳のリスクは 白人に比べて東アジアの人種の方が高く (25) そのことが ACE 阻害薬の使用率が低いことに一部寄与しているかもしれない これまでに糖尿病患者における降圧薬の使用率を検討した報告は存在する (26, 27) 一方 種々の併存疾患別のサブグループで降圧薬の使用率を検討した成績は見当たらない JSH2014 では 糖尿病を合併する患者に対して ARB または ACE 阻害薬が第一選択薬とされており 血圧コントロールが不十分な場合には CCB を併用することが推奨される (2) 本研究では CCB の使用率も ARB と同等に高いという結果であった これは ARB や ACE 阻害薬が単剤では効果不十分で 2 剤目として併用されていることも含まれているであろうが 糖尿病のサブグループにおける単剤治療では ARB が 50.3% で CCB が 34.6% であり 糖尿病を合併する場合の薬剤選択についてガイドラインの内容が実臨床に十分に反映されていないことが示唆された 本研究では心疾患の有病率が高かっ

31 たが 心疾患の有無では CCB の使用率は同程度であったことから この結果は心疾患の有病率とは無関係であると考えられ 医師がガイドラインの内容を十分に把握していないことが要因かもしれない JSH2014 では 脂質異常症を合併する患者に対して ARB ACE 阻害薬 CCB およびα 遮断薬が推奨されており これらの薬剤は脂質代謝を改善するか悪影響を及ぼさないことが知られている 脂質異常症のサブグループでは ACE 阻害薬およびα 遮断薬の使用率は 他疾患と同様に低かったことから 医師が ACE 阻害薬やα 遮断薬の脂質代謝に対する影響を認識していないまたは 重要視していないことが考えられる 痛風 高尿酸血症を合併する患者において ARB ACE 阻害薬 CCB およびα 遮断薬などの尿酸代謝に良好な影響がある薬剤が推奨されている (2) 痛風 高尿酸血症のサブグループでは ループ利尿薬が約 25% の患者に使用されており β 遮断薬は約 35% の患者に使用されており 比較的高い使用率であった ループ利尿薬の使用により尿酸値が上昇し 高尿酸血症を発症した患者も含まれている可能性もあり 横断解析だけではその因果関係は不明である また 本研究では心疾患の有病率が高く 心疾患ではループ利尿薬の使用率が高いことが影響を及ぼしていることも考えられる いずれにしても尿酸代謝の面からは この使用実態は好ましくないことが考えられる 他の併存疾患を有する患者に比べて 腎疾患のサブグループではループ利尿薬およびβ 遮断薬が極めて多く使用されていた 一方 推奨されているサイアザイド系利尿薬の使用率は 10% 程度に止まっていた 腎疾患では治療抵抗性高血圧が多いことが知られており 血圧を十分にコントロールするためには しばしば利尿薬を含む 3 剤以上の降圧薬が必要とされる ループ利尿薬は サイアザイド系利尿薬に比べて降圧作用は弱く 利尿作用が強いことが知られており 浮腫の改善による CKD の進行抑制の目的で使用されている場合も存在することが推測できる さ

32 らに 腎疾患を有する患者では 心疾患の有病率が特に高く 心疾患を併発する患者に対してループ利尿薬は推奨されており その使用率が高いという結果から 心不全に対する体液貯留緩和の目的で使用されている可能性も考えられる CKD における血圧管理は 疾患のステージ (1 ~4) によって降圧薬の剤数や使用する種類が異なり (2, 10) 年齢などの因子も治療選択に影響を与える (28) 腎疾患における降圧薬選択を理解するには 蛋白尿の有無や CKD のステージ別に解析するなどの追加の解析が必要であるが 本研究で使用したデータベースには これらの情報が十分に含まれておらず検討できなかった 心疾患の有病率 ( 52.0%) が高かったことから 心疾患の有無で降圧薬の使用率を検討した 心疾患の合併が無い群と比べて 心疾患を合併している群では β 遮断薬 ループ利尿薬 ACE 阻害薬およびアルドステロン拮抗薬の使用率が高かった β 遮断薬は心不全 狭心症および心筋梗塞後に使用することが推奨されており RAS 阻害薬も心不全および心筋梗塞後に推奨されている (2) また これらのクラスの降圧薬の一部は 心不全の適応を有しており その治療目的で使用されている可能性もある 一方 JSH2014 では CCB は狭心症に サイアザイド系利尿薬は心不全を有する場合に推奨されているが 心疾患の有無では使用率にほとんど差異が認められなかった 心疾患には様々な種類があり 治療選択も多岐にわたることから これについて詳細に検討することで新たな知見が得られる可能性も考えられる さらに 複数の併存疾患を有する場合の治療は個々の病態に合わせて判断する必要があり 本研究の対象集団は心疾患だけでなく複数の併存疾患を有していることが 降圧薬の選択を難しくしていることも考えられる 本研究の結果は データベースのコホートが高齢 ( 平均 70.0 歳 ) であることも ある程度影響を及ぼしている可能性がある JSH2014 では 高齢者と非高齢者では第一選択薬は同じ推奨を示しているが 75 歳以上

33 と未満では降圧目標は異なり そのことが高齢者と非高齢者での降圧薬の使用パターンの違いに影響を及ぼしているかもしれない この課題を解決するためには年齢層別の解析が必要であり その検討結果については第二章で述べる 本研究の限界については以下の通りである JSH2014 の発行前後での比較検討はしておらず 縦断的な解析は実施していない 他疾患のガイドラインは発行された時期や内容が異なる部分があり JSH2014 以外のガイドラインが薬剤選択に影響を及ぼしている可能性もあるが 本研究の結果とすべてのガイドラインとの関係を考察することは困難である 全国に約 18 万件 ( 約 160 万床 ) の医療機関が存在するが 本研究で用いたデータベースは約 1700 件 ( 約 50 万床 ) の DPC 病院のうちの約 11% をカバーするものであることから 日本の高血圧症患者における降圧薬の使用実態として一般化することは困難である 特に DPC システムを導入している病院のデータベースであるため 患者が転院している場合は追跡ができないために 他の病院で薬剤を処方されている可能性がある 降圧薬の使用率は コホートの特徴 ( 平均年齢が 70.0 歳 併存疾患の出現率が高い等 ) の影響を受けており 本データベースを使用することは併存疾患別の解析をおこなうという目的に合致している 一方 クリニックや DPC を採用していない医療機関のデータは含まれておらず 高血圧症を新規発症した患者は少ない可能性がある 使用したデータベースには血圧値は含まれておらず 降圧薬の用量や患者が降圧目標を達成しているか否かは検討していない 同様に 臨床検査値 (HbA1c 等 ) は本研究の組み入れ基準を満たした患者のうち約 10% 程度しか利用できない 高血圧症以外の適応を有する降圧薬は 降圧目的以外で使用されている可能性がある 最後に 検査のための疑い病名は除外されているが ICD-10 コードと実際の診断の乖離は否定できない 前述の限界は存在するが 本邦における DPC 病院のデータベースを用

34 いて併存疾患別に降圧薬の使用率を分析した結果 JSH2014 における併存疾患別の降圧薬の推奨は 改訂後の最初の 1 年間では実臨床において十分に反映されていないことが示唆された 他疾患では医師の専門性が高いほどガイドラインの遵守率が高く 患者の予後も良好であるという報告があり (29) ガイドラインでの推奨と実臨床における治療の乖離は 臨床医 ( 特に非専門医 ) に対するガイドラインの浸透が不十分なことも影響しているかもしれない 従って 併存疾患を有する場合の血圧管理について 臨床医に対してガイドラインを啓発することが必要と考える 高血圧治療ガイドラインと治療実態の関係を解明するには 血圧値や臨床検査値を踏まえた更なる検討が必要である

35 第 2 章降圧薬の使用実態 : 年齢層別の分析 要約 高齢者と非高齢者の相違に着目し 降圧薬の使用実態を年齢層別に分析することを目的とした 全国規模の匿名レセプトデータベースを用いて 2014 年 4 月から 2015 年 3 月までに外来で降圧薬の処方を受けた患者を対象に 降圧薬の使用実態を検討した 対象となった患者は 59,867 名で 年齢によって 65 歳未満 (28.7%) 65~74 歳 (33.1%) および 75 歳以上 (38.2%) に層別化した 対象集団すべてに使用されていた降圧薬は 1.9±1.0 剤 ( 平均 ± 標準偏差 ) であり 年齢層別に明確な違いは認められなかった 処方の中心となっている降圧薬は CCB と ARB であり CCB は 65~74 歳 (66.9% vs 60.5%) および 75 歳以上 (70.4% vs 56.8%) の集団で ARB よりも多く使用されていた 一方 ARB は 65 歳未満 (53.1% vs 61.9%) の集団で CCB よりも多く使用されていた β 遮断薬 ACE 阻害薬 サイアザイド系利尿薬の使用率は 年齢層別での違いはほとんど認められなかった さらに 糖尿病または腎疾患を合併している患者では 非高齢者に比べて 75 歳以上で ARB の使用率が特に低かった 腎疾患を合併している患者では 非高齢者に比べて 75 歳以上ではループ利尿薬の使用率が特に高かった 以上の成績から 75 歳以上の集団では非高齢者の集団に比べて 特に CCB ARB ループ利尿薬の選択に違いが認められることが明らかになった

36 緒言 1961 年 ~2010 年の 50 年間に日本人の平均収縮期血圧は年齢 性別に関係なく 明らかに低下傾向を示す (1) この血圧値の低下は 脳卒中による死亡率の低下の主な原因として考えられている (3) しかし 本邦には 2010 年時点で約 4300 万人の高血圧症患者が存在し 高血圧症の人口は 今後も社会の高齢化に沿って増加することが予想されている 2011 年の国民栄養調査では 65~74 歳の集団では 66% 75 以上の集団では 80% が高血圧に罹患していると報告されており 高齢者に対する降圧治療の重要度は増している JSH2014 によると CCB ARB ACE 阻害薬 低用量の利尿薬が第一選択薬として推奨されている 高齢者に対しては 降圧薬を通常用量の半量から開始し 不十分であれば 他の薬剤を追加することを推奨している (2) 降圧目標は 75 歳未満では 140/90mmHg(SBP/DBP) であり 75 歳以上では 150/90mmHg に設定されている また 老年医学会が定めた高齢者の安全な薬物療法ガイドラインによると 高齢者に対して特に慎重な使用が求められる高血圧治療薬は ループ利尿薬 アルドステロン拮抗薬 非選択的 β 遮断薬 受容体サブタイプ非選択的 α1 遮断薬であると定められている 高齢者における降圧薬の治療実態に関しては これまでに神奈川県医師会が内科医を対象として アンケート調査を実施している (30) JSH2014 では 75 歳未満と 75 歳以上で降圧目標が異なるように設定されているだけでなく 慎重な使用が求められる薬剤が存在するが 高齢者と非高齢者での治療選択の違いについては十分に検討されていない そこで 本研究では 高齢者と非高齢者の違いに注目して レセプトデータベースを用いることで降圧薬の使用実態を検討した さらに 年齢層と代表的な併存疾患 ( 糖尿病と腎疾患 ) による層別解析をおこなうことで 年齢と併存疾患のどちらが治療選択に及ぼす影響が大きいのかを

37 検討した

38 研究方法 1) データ抽出期間 第 1 章に準ずる 2) 対象集団 第 1 章に準ずる 3) アウトカム 第 1 章に準ずる 4) 研究倫理 第 1 章に準ずる 5) 統計解析 第 1 章に準ずる

39 結果 1) 対象者の背景情報と臨床的特徴選択基準を満たした患者に関して 年齢毎の人数分布を Fig.5 に示した 患者を年齢によって 3 カテゴリーに分類し (65 歳未満 :n=17,205 65~74 歳 :n=19, 歳以上 :n=22,852) 患者背景 併存疾患 降圧薬の剤数を Table 5 に記載した 75 歳以上の集団 ( 男性 :49.6% 女性 : 50.4%) を除いて 男性の比率が高かった 腎疾患を有する患者の比率は 65 歳未満 (24.3%) および 65~74 歳 (30.3%) よりも 75 歳以上 (45.5%) で著明に高かった 心疾患および脳血管疾患の有病率も同様に 65 歳未満 (40.2% 13.5%) および 65~ 74 歳 (50.8% 19.2%%) よりも 75 歳以上 (61.8% 23.9%) で高かった 各年齢層で使用されていた降圧薬の剤数は 1.8±1.0 剤 ( 65 歳未満 ) 1.9±1.0 剤 (65~74 歳 ) 2.0±1.0 剤 (75 歳以上 ) であった 2) 降圧薬の使用率年齢層ごとの降圧薬の使用率を Fig.6 に示した CCB と ARB が処方の中心であり それぞれ 61.8%~70.4% 56.8%~63.1% であった CCB は 65~74 歳 (66.9% vs 60.5%) および 75 歳以上 (70.4% vs 56.8%) の年齢層で ARB よりも使用率が高かった β 遮断薬は いずれの年齢層でも約 25% の使用率であった ループ利尿薬は 65 歳未満 (6.4%) および 65~74 歳 (8.3%) の層よりも 75 歳以上 (15.8%) で使用率が著明に高かった サイアザイド系利尿薬および ACE 阻害薬は いずれも 10% 程度の使用率であった また アルドステロン拮抗薬 α 遮断薬 直接レニン阻害薬の使用率は微々たるものであった 3) 単剤治療 併用治療単剤治療では 75 歳以上では他の年齢層に比べて CCB の使用率が高く ARB の使用率が低かった 2 剤併用では CCB+ARB の併用が最も

40 多く 3 剤併用では CCB+ARB+β 遮断薬の併用が最も多かった この傾向は いずれの年齢層でも同様であった しかし 上位 5 種類以外の その他の併用 は 75 歳以上の年齢層で多い傾向が認められた (Fig.7a, b, c) 4) 併存疾患を有する患者における降圧薬の使用実態年齢層と併存疾患 ( 糖尿病 腎疾患 ) によって区分した使用率を Fig.8 および 9 に示した いずれの併存疾患においても CCB と ARB に次いでβ 遮断薬の使用率が高く 年齢層による使用率の違いは全体集団の傾向と変わりなかったが 腎疾患を伴う 75 歳以上の患者ではループ利尿薬の使用率はβ 遮断薬を上回っており 年齢層による違いも顕著であった

41 12,000 10,000 8,000 人数 6,000 4,000 2,000 0 Figure 5 年齢層別の患者数の分布本研究の選択基準を満たした患者について 年齢毎の人数分布を示す

42 Table 5 対象者の背景情報および臨床的特徴 全体 (n = 59,867) 65 歳未満 (n = 17,205) 65~74 歳 (n = 19,810) 75 歳以上 (n = 22,852) 年齢 ( 歳 ) 70.0 ± ± ± ± 4.5 性別 ( 男性 ) 34,044 (56.9) 10,962 (63.7) 11,741 (59.3) 11,341 (49.6) 併存疾患糖尿病 14,548 (24.3) 4,103 (23.9) 5,403 (27.3) 5,042 (22.1) 脂質異常症 34,001 (56.8) 9,120 (53.0) 11,847 (59.8) 13,034 (57.0) 痛風 高尿酸血症 10,886 (18.2) 3,162 (18.9) 3,450 (17.4) 4,274 (18.7) 腎疾患 5,966 (10.0) 1,447 (8.4) 1,805 (9.1) 2,714 (11.9) 心疾患 ( 入院 )* 31,106 (52.0) 6,913 (40.2) 10,065 (50.8) 14,128 (61.8) 脳血管疾患 ( 入院 )* 11,596 (19.4) 2,329 (13.5) 3,804 (19.2) 5,463 (23.9) 降圧薬の剤数 1.9 ± ± ± ± 1.0 分布 n % n % n % n % 1 剤 24, , , , 剤 20, , , , 剤 9, , , , 剤 3, , , 剤以上 1, 対象者の背景情報 併存疾患 使用されている降圧薬の剤数とその分布を示す 年齢のサブグループは 年齢層によって 3 カテゴリー (65 歳未満 65~74 歳 75 歳以上 ) に分類した 併存疾患および入院経験は 前観察期間に該当の傷病名または入院の履歴が存在する比率を示す * 心疾患および脳血管疾患では 傷病名に加えて 前観察期間に入院の履歴が存在することを条件とした 結果は n(%) または 平均 ± 標準偏差で示す

43 80% 70% 使用率 60% 50% 40% 30% 全体 (n=59,867) 65 歳未満 (n=17,205) 歳 (n=19,810) 75 歳以上 (n=22,852) 20% 10% 0% Figure 6 年齢層別の降圧薬の使用率年齢により 65 歳未満 65~74 歳 75 歳以上に分類し それぞれの年齢層における降圧薬の使用率を示す 各群の患者数を分母として 薬剤が使用されている割合を示す

44 (a) 単剤 70% 60% 50% 使用率 40% 30% 20% 全体 (n=24,786) 65 歳未満 (n=7,849) 歳 (n=8,447) 75 歳以上 (n=8,490) 10% 0% (b) 2 剤併用 70% 60% 使用率 50% 40% 30% 20% 全体 (n=20,499) 65 歳未満 (n=5,704) 歳 (n=6,787) 75 歳以上 (n=8,008) 10% 0%

45 (c) 3 剤併用 70% 60% 使用率 50% 40% 30% 20% 全体 (n=9,879) 65 歳未満 (n=2,475) 歳 (n=3,152) 75 歳以上 (n=4,252) 10% 0% Figure 7 年齢層別の降圧薬の使用率 ( 剤数毎の内訳 ) (a) 降圧薬の使用率 ( 単剤 ) 単剤で治療されている患者数を分母とし 各降圧薬の使用率を示す (b) 降圧薬の使用率 (2 剤併用 ) 2 剤で治療されている患者数を分母とし 各併用の使用率を示す 上位 5 種類の併用以外は その他 として纏めた (c) 降圧薬の使用率 (3 剤併用 ) 3 剤で治療されている患者数を分母とし 各併用の使用率を示す 上位 5 種類の併用以外は その他 として纏めた

46 使用率 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 全体 (n=14,548) 65 歳未満 (n=4,103) 歳 (n=5,403) 75 歳以上 (n=5,042) Figure 8 糖尿病患者における年齢層別の降圧薬の使用率併存疾患として糖尿病を有する患者における降圧薬の使用率を 年齢層毎に示す 対象の患者数を分母とし 単剤 併用を問わず各薬剤が使用されている割合を示す

47 80% 70% 60% 使用率 50% 40% 30% 全体 (n=5,966) 65 歳未満 (n=1,447) 歳 (n=1,805) 75 歳以上 (n=2,714) 20% 10% 0% Figure 9 腎疾患を有する患者における年齢層別の降圧薬の使用率併存疾患として腎疾患を有する患者における降圧薬の使用率を 年齢層毎に示す 対象の患者数を分母とし 単剤 併用を問わず各薬剤が使用されている割合を示す

48 考察 本研究では 約 6 万人の高血圧患者を対象に 年齢層別の降圧薬の使用実態を解析した JSH2014 では 75 歳以上と 75 歳未満で降圧目標値を区別して定義しており 老年医学会では 75 歳以上を高齢者 65 歳以上を准高齢者と定義している 使用したデータベースでは 70~74 歳の患者数が最も多く 75 歳以上の患者も 38.2% と多く含まれていた 以上のことから 両ガイドラインの記述との関係を検討するためには 3 カテゴリー (65 歳未満 65~74 歳 75 歳以上 ) に層別化することが適切と考えた 非高齢者に比べて 75 歳以上では 女性が多く含まれており 腎疾患 心疾患および脳血管疾患の有病率が高かった 併存疾患の有無や重症度は降圧薬の選択に影響を及ぼすことから 結果を解釈するには これらの背景因子の違いに留意しなければならない 本研究の対象となった集団に使用されていた降圧薬の剤数は 1.9±1.0 剤 ( 平均 ± 標準偏差 ) であり 年齢が高いほど平均剤数が多い傾向は認められたが 年齢層間の明確な違いは無かった これまでに 日本のクリニックに通院する約 400 例の高血圧患者における降圧薬の剤数は 80 歳以上と未満で同等であったことが報告されており (17) 本研究の結果はこれと矛盾するものではない いずれの年齢層でも CCB と ARB が処方の中心になっていた 2005 年から 2011 年を対象に実施された健康保険レセプトデータベースの解析では年齢層別の解析はおこなわれていないが CCB と ARB が処方の中心であり (15) 前述のクリニックにおける降圧薬の使用実態研究においても CCB(78%) および ARB(66%) の使用率が高かったことは 本研究の結果と一致している 本研究において 75 歳以上の群では ARB の使用率 ( 特に単剤での使用 ) は CCB よりも明らかに低く 内科医が患者の年齢によって薬剤を選択していることが伺える 高齢者では一般的に 老化による生理的な腎機能低下や 長期の高血圧罹病による腎細

49 動脈硬化が生じており (31) 高齢者では非高齢者と比べて ARB の有害事象としての脱水 高カリウム血症および低ナトリウム血症が出現しやすい (32) 高齢者では血漿中のレニン活性が低値を示すことも報告されており RAS 活性の低下が低ナトリウム血症の頻度が高いことと関連している (33) 一方 CCB は一般的に糖代謝および脂質代謝に対する悪影響が無いというエビデンスが確立されている これらの薬理学的および生理学的特徴により 高齢者では ARB よりも CCB が選択されやすい可能性が考えられる また NICE(The National Institute for Health and Care Excellence) の高血圧治療ガイドラインでは 55 歳以上の患者には CCB が推奨されている (34) 韓国における疫学研究では CCB と ARB の使用率に関して 成人 (19~64 歳 ) 高齢者(65~79 歳 ) 超高齢者(80 歳以上 ) の層別解析で本研究と同様の結果が報告されており (35) 海外でも高齢者に対しては CCB が優先される傾向がある ループ利尿薬は 非高齢者と比べて 75 歳以上の群で使用率が高かった ループ利尿薬は 老年医学会が作成した 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン では 高齢者に対して慎重投与が求められる薬物のカテゴリーに含まれており (36) 高齢者の安全な薬物療法ガイドラインの記載と処方実態には乖離が存在した 一方 第一章で述べたとおり 本研究で使用したデータベースでは特に 75 歳以上の患者で心疾患や腎疾患の有病率が高かった ループ利尿薬は 心不全に対する体液貯留緩和のためには必須の薬剤であり 高齢者に対してもループ利尿薬の低用量投与が推奨される 今後 用量情報を抽出できるデータベースを用いることで 安全な薬物療法という面でループ利尿薬の使用実態を明らかにすることが可能になると考えられる さらに興味深いことに 非高齢者に比べて 75 歳以上の群では 2 剤併用や 3 剤併用の中で上位 5 種類以外の併用治療の割合が高かった 言い換えれば 75 歳以上の患者では降圧薬の使用が複雑化および個別化している 75 歳以上の群では 腎疾患 心

50 疾患および脳血管疾患の有病率が高かったことから 複雑な病態のために薬剤選択が困難である可能性が考えられる β 遮断薬 ACE 阻害薬およびサイアザイド系利尿薬に関しては 年齢層別の使用率の違いは軽微であった β 遮断薬は 高齢者において禁忌や使用上の注意が必要な場合が多い 一方 心不全などの心疾患には使用が推奨されており 高齢者では心疾患の有病率が高く β 遮断薬が降圧目的以外で用いられている可能性も考えられる 年齢と心疾患の有無を組み合わせた層別解析により β 遮断薬の使用実態に関する新たな知見が得られる可能性が考えられる ACE 阻害薬およびサイアザイド系利尿薬の使用率は海外と異なり いずれの年齢層でも 10% 程度で極めて低かった 高齢者に特徴的で降圧薬の選択に影響を与える病態として 誤嚥性肺炎と骨粗鬆症がある ACE 阻害薬はブラジキニンの不活性化を介して咳反射を亢進することから 誤嚥性肺炎に有用であることが報告されている (37) サイアザイド系利尿薬は 高齢者を対象とした臨床研究で骨折の発症を抑制したエビデンスがあり (38, 39) 骨粗鬆症の患者に対する使用が推奨されている 本研究における誤嚥性肺炎の有病率は検討していないが 骨粗鬆症の有病率は 65 歳未満 (6.6%) 65~74 歳 ( 8.9%) 75 歳以上 (15.0%) であった ACE 阻害薬とサイアザイド系利尿薬の年齢層別の使用率が変わらなかった要因の 1 つとして これらの病態を併発する患者での使い分けが意識されていない可能性が考えられる JSH2014 では 糖尿病を有する患者に対しては ARB または ACE 阻害薬が推奨されているが 単剤での CCB の使用率も高く 第一章ではガイドラインが実臨床に十分に反映されていないことが示唆された 年齢層別の検討により 糖尿病を有する 75 歳以上の患者では CCB の使用率は ARB のそれよりも高く 年齢が降圧薬の選択に大きな影響を及ぼしていた 高齢者は併存疾患を有する場合が多いが 特に 75 歳以上の高齢者でのエビデンスは少なく 降圧目標の達成 他疾患の合併 有害事

51 象 医療費に配慮して薬剤を選択することになる ARB よりも CCB が優先されることの要因として 前述のこと以外に狭心症や頻脈などの心疾患の併存 薬価が安いこと 忍容性が高いこと (40) などが考えられる 蛋白尿を伴う CKD 患者には ARB および ACE 阻害薬が推奨されており 蛋白尿が陰性の CKD 患者には ARB ACE 阻害薬 CCB およびサイアザイド系利尿薬が推奨されている (Table1) 本研究では腎疾患を伴う群において 非高齢者に比べて 75 歳以上の患者では RAS 阻害薬 ( 特に ARB) の使用率が CCB の使用率よりも低かった 腎疾患では RAS 阻害薬投与時に血清クレアチニン値が急上昇する場合があり その原因として腎動脈狭窄 心不全 脱水などが存在する 老化によりこれらのリスクが増大することが 高齢者における RAS 阻害薬の使用率低下につながっている可能性が考えられる 蛋白尿の有無については検討できておらず この点についてはさらなる検討が必要である 本研究の限界については 第一章で述べた通りである 本研究では 75 歳以上と 75 歳未満の患者では 特に CCB ARB およびループ利尿薬の選択が異なることが明らかになった 降圧薬の使用率は 併存疾患によっても異なることも明らかである 医師は 糖尿病を有する患者に対して必ずしも CCB よりも ARB および ACE 阻害薬を優先しているわけでは無かった 併用治療としてのループ利尿薬の使用率は 特に腎疾患を有する 75 歳以上の群で高かった 年齢層別で認められた使用率の違いの解釈に関しては 併存疾患の有病率や性別比を考慮する必要があり さらなる検討が必要である JSH2014 に記載されている通り 高齢者では低用量から降圧薬が使用されているか否かについては用量情報を用いた縦断的な解析が必要である 今後は 血圧値のデータを含むデータベースを利用し 高齢者と非高齢者での降圧目標達成率について比較することが必要と考えられる

52 第 3 章降圧薬による併用治療の実態と治療アドヒアランス 要約 降圧配合剤の使用は 処方の単純化 治療アドヒアランス 医療経済の面で有用であることが知られている 本邦では 治療アドヒアランスに対する降圧薬のクラスエフェクトについては十分に検討されていない 本研究では 全国の DPC システム (41, 42) を導入している病院の匿名レセプトデータベースを用いて 2014 年 4 月から 2015 年 3 月に 47,891 名の高血圧症患者を対象として 降圧薬に対する治療アドヒアランスを検討した 治療アドヒアランスは Proportion of Days Covered(PDC) を用いて評価した 対象者が使用していた降圧薬は 2.0±1.0 剤 ( 平均 ± 標準偏差 ) であり 2.4±1.7 錠 ( 平均 ± 標準偏差 ) であった 治療アドヒアランスの平均は 91.5% であり アドヒアランスは 降圧薬の剤数および錠数の増加に応じて 低下する傾向が認められた CCB+ARB の 2 剤 併用は ARB+ サイアザイド系利尿薬の 2 剤併用に比べて 有意 (p<0.0001) に治療アドヒアランスが高く CCB+ARB+β 遮断薬の 3 剤併用は CCB+ARB+ サイアザイド系利尿薬の 3 剤併用に比べて 有意 (p<0.0001) にアドヒアランスが高いことが示された CCB+ARB の 2 剤併用において 配合剤の使用は 単剤の併用に比べて有意にアドヒアランスが高かった しかし 他の代表的な併用では 配合剤使用の有無でアドヒアランスの違いは認められなかった さらに 配合剤を使用していても 同種の単剤との併用により処方が複雑となっているケースが一定数存在した 以上の結果より 利尿薬を含む併用や 3 剤併用では 配合剤使用の有無によってアドヒアランスに明確な差異は認められず 配合剤の使用がアドヒアランスに貢献できていないことが示唆された

53 緒言 高血圧症は 冠動脈疾患の主要なリスクファクターとして考えられている 本邦では 過去 50 年間に渡って 血圧値の明らかな低下傾向が認められているが 高血圧は依然として国民の健康問題として残存している 2010 年には約 4300 万人の高血圧症患者が存在すると見積もられており 140/90mmHg(SBP/DBP) 未満に管理できているのは 僅か 15~ 30% とされている (1) JSH2014 によると 降圧目標を達成し 維持するためには 異なるクラスの降圧薬を用いた併用治療が必要である (2) 高血圧治療に対する高いアドヒアランスは 冠動脈疾患 (5, 43, 44) 脳血管疾患(45) 総死亡(44) 入院 (46) 血圧管理の向上(47) と関係することが報告されている これまでに冠動脈疾患のリスクが高い患者を対象としたランダム化比較試験では 配合剤の使用は 単剤併用に比べてアドヒアランスの向上につながることが示されている (48-52) また 配合剤の使用は 致死性または非致死性冠動脈イベントを予防し 医療経済面でのメリットがあることが報告されている (53) さらに JSH2014 は 治療アドヒアランスと血圧管理の向上を目的として配合剤を使用することを支持している (2) 本邦では多くの降圧配合剤が使用可能となっているが 用量と種類の組み合わせは 数多く存在する単剤併用の一部に限られる また レセプトデータベースを用いて 治療アドヒアランスに対する降圧薬のクラスエフェクトを検討した報告は見当たらず これまでに報告されているものは 特定の降圧薬を対象とした臨床研究による検討 (47, 54) や単施設での検討 (17) に限定されている 臨床研究は薬剤の使用が厳しく制限されているが 実臨床下では日々の薬剤選択は異なることから 実臨床を反映したレセプトデータのデータベースを用いて検討することで 臨床に即した結果が得られる可能性がある 本研究では 降圧薬を用いた代表的な 2 剤併用 3 剤併用に着目し

54 これらを使用している患者の治療アドヒアランスを検討した また そ れぞれの併用において 配合剤を使用している患者と使用していない患 者のアドヒアランスを比較した

55 方法 1) 研究デザインとデータソース第一章に準ずる 2) 対象集団主な組み入れ基準は第一章と同様であるが 本章ではそれに加えて 対象期間において 3 ヶ月毎に 1 度以上の処方が認められる患者を対象とした (Fig.10) これは アドヒアランスを算出するためには 複数回のデータが必要であることと DPC を採用している急性期病院のデータベースを用いており 一時的な通院を除外するためである 3) アウトカム治療アドヒアランスは Proportion of Days Covered (PDC) を用いて 以下の計算式で算出した PDC(%)= 定義された対象薬剤がすべてカバーされた処方日数 ( 日 ) 定義された期間の総日数 ( 日 ) 治療アドヒアランスは 起点日から最大 12 ヶ月を追跡期間として算出した 4) 研究倫理第一章に準ずる 5) 統計解析対象者の背景情報は 記述統計にて要約した 連続変数は 平均 ± 標準偏差で表示し カテゴリーデータは 数またはパーセントで表現した 降圧薬の使用率および PDC によって算出した治療アドヒアランスは パーセントで示した 2 群間の比較検定には t 検定を使用し サンプルサイズを考慮して p<0.001 を統計学的に有意差ありとした 統計解析は SAS R version 9.2(SAS Institute Inc, Cary, NC, USA) を用いた

56 Figure 10 研究デザイン 対象期間 選択基準および除外基準と それらを満たした患者数を示す 起点日とは 対象選択期間における最初の処方が存在する日のことである

57 結果 1) 患者背景患者背景 臨床的特徴 PDC を Table 6 に纏めた 選択基準を満たした患者 (n=47,891) のうち 男性は 57.0% で 平均年齢は 70.1 歳であった 前観察期間に降圧薬が処方されている患者は 93.5% であった 頻度が高かった併存疾患は 脂質異常症 (59.6%) 心疾患(53.2%) 糖尿病 (26.1%) であった 処方されていた降圧薬の平均剤数は 2.0±1.0 剤 2.4±1.7 錠 ( いずれも平均 ± 標準偏差 ) であった 生活習慣病に関連する治療薬 ( 降圧薬 糖尿病治療薬 高脂血症治療薬 痛風 高尿酸血症治療薬および抗血栓薬 ) は 3.6±2.0 剤 4.8±3.5 錠であった PDC に基づいて 3 カテゴリーに分類したところ 治療アドヒアランスが高い (80% 以上 ) の群では 処方されていた降圧薬は 1.9±1.0 剤および 2.3±1.6 錠であり アドヒアランスが低い群 (40% 未満 ) では 2.7± 1.1 剤および 3.3±2.0 錠であった また 生活習慣病に関連する治療薬は 前者では 3.6±2.0 剤および 4.7±3.5 剤であり 後者では 4.4±2.2 剤および 5.9±3.8 錠であった また 治療アドヒアランスが低い群では 入院を経験している比率が高い傾向が認められた 2) 治療アドヒアランス患者の治療アドヒアランスは 1 日あたりの降圧薬の剤数に応じて低下する傾向が認められた (1 剤 :94.6% 5 剤以上 :80.7% 1 錠 :94.4% 5 錠以上 :86.1%) 降圧薬を 1 剤服用している群の治療アドヒアランスと 剤以上の群のそれはいずれも有意差が認められ (Fig.11a).. 1 日あたりの錠数ごとの治療アドヒアランスに関しても同様に有意差が認められた ( Fig.11b) 最も少ない剤数および錠数と比較することを目的とし サンプルサイズの大きな群間の比較であり 統計手法による検出力の違いは軽微であることから t 検定を用いた

58 降圧薬の単剤を服用している患者の治療アドヒアランスはいずれも 80% 以上と高く 薬剤クラスによって異なり CCB(95.0% n=8,702) ARB(95.2% n=6,958) β 遮断薬 (93.5% n=1,733) ACE 阻害薬 (90.4% n=726) α 遮断薬 (89.0% n=181) およびサイアザイド系利尿薬 (87.0% n=87) であることが示された 最も治療アドヒアランスが高い ARB と比べて β 遮断薬 ACE 阻害薬 α 遮断薬 サイアザイド系利尿薬のアドヒアランスは有意に低く 唯一 ARB と CCB の治療アドヒアランスの間には有意差は認められなかった (p=0.256) 代表的な 2 剤または 3 剤併用の治療アドヒアランスについて検討したところ CCB+ARB の 2 剤併用は ARB+ サイアザイド系利尿薬の 2 剤併用に比べて治療アドヒアランスが有意に高く CCB+ARB+β 遮断薬の 3 剤併用は CCB+ARB+ サイアザイド系利尿薬の 3 剤併用に比べて治療アドヒアランスが有意に高かった (Fig.12) 3) 配合剤の使用有無における治療アドヒアランスの比較 CCB+ARB の 2 剤を併用している患者において 配合剤を使用している方が 単剤併用に比べて治療アドヒアランスが有意に高かった しかし 他の併用 (ARB+ サイアザイド系利尿薬 CCB+ARB+β 遮断薬 CCB+ARB+ サイアザイド系利尿薬 ) では 配合剤の有無で治療アドヒアランスに有意差は認められなかった (Fig.13) 4) 配合剤の治療パターン配合剤を使用している患者を対象として降圧薬の使用実態を検討したところ 配合剤と それに含まれる同種の単剤が併用されているケースが一定数存在することが明らかになり 具体的には ARB+ サイアザイド系利尿薬 (3.7%) CCB+ARB+ サイアザイド系利尿薬 (7.1%) CCB+ARB(14.9%) CCB+ARB+β 遮断薬 (25.3%) の比率で存在することが示された (Fig.14)

59 Table 6 対象者の患者背景および臨床的特徴 全体 (n = 47,891) Proportion of Days Covered 高 (80% 以上 ) (n = 42,352) 中 (40~79%) (n = 3,124) 低 (40% 未満 ) (n = 2,415) 年齢 ( 歳 ) 70.1 ± ± ± ± 11.7 性別 ( 男性 ) 27,293 (57.0) 24,061 (56.8) 1,819 (58.2) 1,413 (58.5) 併存疾患糖尿病 12,508 (26.1) 11,075 (26.2) 792 (25.4) 641 (26.5) 脂質異常症 28,538 (59.6) 25,399 (60.0) 1,716 (54.9) 1,423 (58.9) 痛風 高尿酸血症 9,026 (18.9) 7,764 (18.3) 677 (21.7) 585 (24.2) 腎疾患 4,803 (10.0) 3,890 (9.2) 463 (14.8) 450 (18.6) 心疾患 ( 入院 ) * 25,487 (53.2) 22,224 (52.5) 1,704 (54.6) 1,559 (64.6) 脳血管疾患 ( 入院 ) * 9,663 (20.2) 8,633 (20.4) 562 (18.0) 468 (19.4) 入院経験 8,245 (17.2) 6,434 (15.2) 1,011 (32.4) 800 (33.1) 降圧薬の剤数 2.0 ± ± ± ± 1.1 降圧薬の錠数 2.4 ± ± ± ± 2.0 生活習慣病に関連する経口薬 * の剤数生活習慣病に関連する経口薬 * の錠数 3.6 ± ± ± ± ± ± ± ± 3.8 糖尿病経口薬の剤数 0.44 ± ± ± ± 0.83 経口薬の錠数 0.84 ± ± ± ± 1.77 脂質異常症経口薬の剤数 0.54 ± ± ± ± 0.61 経口薬の錠数 0.65 ± ± ± ± 0.90 痛風 高尿酸血症経口薬の剤数 0.15 ± ± ± ± 0.40 経口薬の錠数 0.17 ± ± ± ± 0.48 抗血栓薬経口薬の剤数 0.51 ± ± ± ± 0.78 経口薬の錠数 0.79 ± ± ± ± 1.43 対象者の背景情報 併存疾患 入院経験 使用されている降圧薬および生活習慣病治 療薬の剤数 錠数を示す アドヒアランスのサブグループは Proportion Day Covered によって 3 カテゴリーに分類した 併存疾患および入院経験は 前観察期間に該当の 傷病名または入院の履歴が存在する比率を示す * 心疾患および脳血管疾患では 傷病名に加えて 前観察期間に入院の履歴が存在す ることを条件とした 結果は n( %) または 平均 ± 標準偏差で示す

60 (a) 剤数 (b) 錠数 Figure 11 剤数および錠数ごとの降圧薬のアドヒアランス降圧薬の 1 日あたりの剤数 (a) および錠数 (b) によって層別化し 各群の Proportion of Days Covered の平均値を示す 1 剤または 1 錠の群を対照とした 2 群間の比較には t 検定を用いた **: p<0.0001(vs 1 剤 ) ##: p<0.0001( vs 1 錠 ) とした

61 100% p < p < % Proportion of Days Coverd 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% Ca 拮抗薬 + ARB ARB + 利尿薬 Ca 拮抗薬 + ARB + β 遮断薬 Ca 拮抗薬 + ARB + 利尿薬 (n=10,284) (n=751) (n=2,387) (n=1,773) Figure 12 代表的な降圧薬併用治療のアドヒアランス 4 種類の代表的な併用治療を受けている患者の治療アドヒアランスを Proportion of Days Covered の平均値で示す 2 群間の比較には t 検定を用いた

62 100% 90% Ca 拮抗薬 + ARB p < ARB + 利尿薬 Ca 拮抗薬 + ARB + β 遮断薬 Ca 拮抗薬 + ARB + 利尿薬 p = p = p = Proportion of Days Coverd 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 配合剤単剤併用配合剤単剤併用配合剤単剤併用配合剤単剤併用 (n=2,626) (n=7,658) (n=600) (n=151) (n=521) (n=1,866) (n=1,279) (n=494) Figure 13 併用治療における配合剤使用時と単剤併用時のアドヒアランス 4 種類の代表的な降圧薬の併用を対象として 配合剤使用時と単剤併用時のそれぞれの治療アドヒアランスを Proportion of Days Covered の平均値で示す 2 群間の比較には t 検定を用いた

63 Figure 14 配合剤を含む降圧治療の実態 4 種類の代表的な降圧薬の併用を対象として 降圧配合剤を含む治療を受けている患者数を分母として 配合剤のみ 配合剤を含む最小錠数である場合 配合剤と同種の単剤が重複している場合を区別し それぞれの治療パターンが占める割合を示す

64 考察 本研究では DPC 病院のレセプトデータベースを利用し 2014 年 4 月から 2015 年 3 月までの期間に組み入れ基準を満たした約 48,000 人を対象として治療アドヒアランスと降圧配合剤の治療パターンを検討した アドヒアランスは 3 つの観点 ( 降圧薬の剤数および錠数 降圧薬の併用による違い 配合剤の有無での違い ) で検討した まず 降圧薬の治療アドヒアランスは 全体としては平均 88% と高かった 海外でも降圧薬のアドヒアランスは 糖尿病や脂質異常症のそれと比べて高いことが報告されており (55) 既報と矛盾しない 治療アドヒアランスの高低によって 3 カテゴリーに層別化し それらの集団の特徴について検討したところ アドヒアランスが中程度または低い群では 高い群に比べて 2 倍以上の入院率であった 入院患者では 複数の併存疾患を持っていることが多く そのために多種の薬剤の服用が必要になることや 入院による薬剤の切り替えがアドヒアランスに影響を及ぼした可能性が考えられる アドヒアランスが低い群では 1 日あたりの生活習慣病に関連する治療薬が 5.9 錠使用されていた また 1 日あたりの剤数および錠数に応じて アドヒアランスが低下する傾向が認められた これは 服薬アドヒアランスが 1 日あたりの錠数と負の相関を示すことを示した大規模なシステマティックレビューの結果と一致している (56) アドヒアランスが中程度または低い群では 腎疾患や心疾患の有病率が高いことが示された ARB とサイアザイド系利尿薬の併用治療を受けている患者を対象とした台湾の研究で 腎疾患や双極性障害を合併する患者でアドヒアランスが低かったことが示されており (57) 本邦においても併存疾患がアドヒアランスに影響する可能性が考えられる 併存疾患や服薬錠数以外にアドヒアランスに影響を及ぼす因子として 生活習慣 就労の有無 重症度や罹病歴などが考えられるが 本研究はデータベースを用いることから これらに関しては検討できて

65 いない CCB+ARB に対するアドヒアランスは ARB+ サイアザイド系利尿薬のそれよりも高く CCB+ARB+ β 遮断薬に対するアドヒアランスは CCB+ARB+ サイアザイド系利尿薬のそれよりも高かった 一般的に 薬剤の有害事象はアドヒアランスが低くなる主な要因である (58) 例えば 利尿薬は 頻尿 疲労 筋痙攣を惹起する可能性があり 忍容性の低下につながることが報告されている (59) さらに 利尿薬は 代謝や電解質異常を誘発することから 医師によって投薬が中止される場合がある (60) また 患者にとって 利尿作用による頻尿の誘発が服薬を避ける要因である可能性も推測できるが いずれの要因がアドヒアランスの低下に主として寄与するかは不明である 配合剤使用の有無でアドヒアランスを比較したところ CCB+ARB では配合剤を含む治療を受けている患者の方が 配合剤を含まず単剤併用を受けている患者と比べてアドヒアランスが有意に高かったが 他の降圧薬の組み合わせ (ARB+ サイアザイド系利尿薬 CCB+ARB+β 遮断薬 CCB+ARB+ サイアザイド系利尿薬 ) では両群に統計的な有意差は認められなかった 前述の台湾人を対象とした研究では ARB+ サイアザイド系利尿薬に対するアドヒアランスと治療継続率は 配合剤を使用している群の方が単剤併用の群よりも高かった (57) また データベースを用いた研究で 利尿薬を含む治療ではアドヒアランスおよび治療継続率が低く 配合剤の使用によって改善したという報告もある (61, 62) 本研究の結果との違いは 研究の条件が異なること 本研究における ARB+ サイアザイド系利尿薬では例数が少ないこと ( 配合剤を含む群が 600 例 単剤併用の群が 151 例である ) も要因として考えられ 本研究でも CCB+ARB を使用している患者は 1 万例以上であり 群によって例数が大きく異なることは結果に影響を与えている可能性がある 2010 年に報告された 3 つのコホートと 2 つ臨床試験を含むメタアナリシス

66 (n=17,999) によると 配合剤の使用は単剤併用に比べてアドヒアランスが有意に良好であった (8) 最近の研究報告によると CCB+ARB の配合剤 (63) および CCB+ARB+ サイアザイド系利尿薬の配合剤 (64, 65) においても 配合剤を用いる方が単剤併用よりもアドヒアランスが高いことが示されている 一方 ARB+ サイアザイド系利尿薬を対象とした無作為化試験でアドヒアランスを指標として 配合剤の単剤併用に対する優位性を示すことができなかったという報告も存在する (54) CCB+ARB の併用において 約 25% が配合剤を使用しており ARB+ サイアザイド系利尿薬では約 80% が配合剤を使用していた ARB+ サイアザイド系利尿薬の配合剤を使用する主な理由は 配合剤には低用量の利尿薬 ( つまり 通常剤形の半量または 1/4 量 ) が含まれており その利便性によるものと推察される 本邦では ガイドラインに記述があるように少量の利尿薬を使用することが推奨されており 少量の利尿薬を用いるには 多くの場合は単剤を割って使用するか配合剤を使用することになるため サイアザイド系利尿薬を含む併用では利尿薬の配合剤の使用率が高くなっていると考えられる 本研究では 3 剤併用を受けている患者のように剤数が多い場合にも 配合剤を用いることの単剤併用に対する優位性が認められなかった 配合剤と それに含まれる同クラスの単剤の併用率は ARB+ サイアザイド系利尿薬で最も低く 3.7% であるが CCB+ARB+ サイアザイド系利尿薬では 7.1% CCB+ARB+β 遮断薬 25.3% と高く 処方が複雑なケースが一定数存在することが明らかになった このことから 配合剤を使用していても その処方が複雑であることが治療アドヒアランスに悪影響を与えている可能性が推察される DPC 病院のデータベースでは 服薬のタイミングについては分析することができず 本研究では用量について検討していないことから 処方パターンが用量や服薬タイミングの調整 ( 例 : クロノテラピー ) によっ

67 て影響を受けているか否かについては今後の検討が必要である 単剤併用を配合剤に置き換えることは 薬剤費の軽減という観点で有用かもしれない (66) しかし 処方の単純化という観点で 配合剤が有効に利用されていない可能性も考えられた 本研究の限界は第一章および第二章で述べたことに加えて 以下のことが重要である DPC システムを導入している病院のデータベースであるため 患者が転院している場合は追跡ができず 最初の診断と最後の診断が変わっているかもしれないこと 残薬について把握できていないこと 血圧値を含む臨床検査値が不十分であることなどに留意しなければならない 前述の通り クロノテラピーは効果的に血圧をコントロールする方法であることが知られているが (67) 薬剤の用量および服薬のタイミングについて検討していない 配合剤と それに含まれる同クラスの単剤の併用が存在することが 結果の解釈を難しくしている 高血圧症以外の適応を有する降圧薬は 降圧目的以外で使用されている可能性がある また サンプルサイズが大きい場合には 統計学的な有意差が必ずしも臨床的な意味を持たない可能性がある それぞれの群で例数に大きな違いがあり 統計学的な検出力に影響がある 研究方法に関連して レセプトデータベースを用いた研究では 治療アドヒアランスの評価方法として PDC は 他の指標である medical possession ration と比較して アドヒアランスを過大評価しないという点で好ましいとされている 最後に 外来患者と入院患者は服薬管理が異なることから 入院率が治療アドヒアランスに影響を及ぼしている可能性が考えられる 以上の成績から 日本のレセプトデータベースを用いた研究から 降圧薬の治療アドヒアランスが低いことは 処方されている剤数や錠数が多いことと関連していることが示された 代表的な 2 剤または 3 剤併用治療において 利尿薬を含まない併用に比べて 利尿薬を含む併用治療を受けている患者では治療アドヒアランスが有意に低いことが明らか

68 になった さらに 利尿薬を含む併用や 3 剤併用において 配合剤を含む治療と単剤併用では 治療アドヒアランスに明確な差異が認められなかった 本研究より アドヒアランスの観点から 配合剤がより有効となる患者を同定することや 複雑な処方ではアドヒアランスをモニタリングする体制などの工夫が必要であると考えられた

69 終章 本邦における高血圧の治療目標達成率は 男性では約 30% 女性では約 40% にとどまっており 改善が必要である 治療には 塩分摂取をはじめとする生活習慣の是正が重要であるが 多くの患者には薬物治療が必要で リスクを層別化し それに応じた治療計画を設定することが標準的な薬物治療法である そこで本研究では ガイドラインで定められた治療法と降圧薬の使用実態の関係 降圧薬に対するアドヒアランスに着目した 第一章では 急性期病院における高血圧の薬物治療の全体像を検討し 第一選択薬であるサイアザイド系利尿薬および ACE 阻害薬の使用が限定的であることを明らかにした さらに 糖尿病 腎疾患 痛風 高尿酸血症の併存疾患を有する患者においてガイドラインで推奨されている降圧薬が 実臨床において必ずしも使用されていないことを示した 第二章では この治療実態を年齢層別に解析し 75 歳以上と未満で降圧薬の選択が異なることを示した これらの事実は 治療方針を決定する医師に対するガイドラインの認知度向上の必要性を示唆するものである 今後ガイドラインを改訂し その内容を啓発する際には 実臨床における薬物治療の実態と照らし合わせながら情報提供することが有用と考える 第三章では 降圧薬の併用治療に対するアドヒアランスを検討し 利尿薬を含む併用治療では 利尿薬を含まない同剤数の併用と比べて アドヒアランスが低いことを明らかにした 利尿薬が有する利尿作用などの薬理学的特徴が原因となり 患者が自己判断で服用を避けていることが推定される さらに 代表的な降圧薬の併用において 配合剤を含む群と単剤併用の群の比較により CCB と ARB のシンプルな 2 剤併用以外では 両群のアドヒアランスが変わらないことを示した 利尿薬を含

70 む併用や多剤併用では 配合剤の使用が患者の治療アドヒアランスに対して十分に貢献できてないことを示唆するものである この事実を踏まえて アドヒアランスを向上させるには 各薬剤に対する好適患者の同定 患者のアドヒアランスをモニタリングする体制 一包化 ピルケース アプリケーションによる服薬管理 患者の治療意欲の向上などの工夫が必要であると考える 本研究で用いたデータベースは 血圧値をはじめとする臨床検査値の登録が少なく 治療実態と降圧目標達成率 心血管イベントの発生の関係を検討することはできなかった 今後 データベースを有効活用するためには 検査値の登録促進や他のデータベースとの統合が必要と考える 急性期病院のデータベースを解析し 降圧薬の治療実態とアドヒアランスを検討したことは 本邦における高血圧治療の課題を発見した価値のある研究事例となることを望みつつ 今後の高血圧治療の発展に貢献することができれば幸いと考える

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