論 文 プロスポーツ選手の雇用契約における利用可能性 ヒューリスティックスの検証1 福山 博文 A Study on Availability Heuristics in the Labor Contract of Professional Sports Player Hirofumi FUKUYA
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- あけなお こけい
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1 Title プロスポーツ 選 手 の 雇 用 契 約 における 利 用 可 能 性 : ヒュ ーリスティックスの 検 証 Author(s) 福 山, 博 文 Citation 地 域 政 策 科 学 研 究, 11: Issue Date URL
2 論 文 プロスポーツ選手の雇用契約における利用可能性 ヒューリスティックスの検証1 福山 博文 A Study on Availability Heuristics in the Labor Contract of Professional Sports Player Hirofumi FUKUYAMA Abstract The purpose of this paper is to estimate both a performance model and a salary model of professional sports players by using a performance data in Major League Baseball (MLB), a performance data in Nippon Professional Baseball (NPB) and an annual salary data in NPB on foreign players who transferred the register to Japan from 2001 to As a result, the performance in MLB that influenced the salary when foreign players transferred the register to NPB was the total number of Home Run in MLB and the fact that he was a major leaguer, while the performance in MLB that influenced the performance when they transferred the register to NPB was OnBase Percentage on the average in Minor League. In this paper, we showed that general managers in NPB were affected by information that gave a strong impression like the number of HR in MLB when they contracted to the foreign players. Therefore, we clarified that an availability heuristics was observed in the evaluation of professional sports players. キーワード 1 スポーツ経済学 2 契約 3 利用可能性ヒューリスティックス Key Words : 1 Sports Economics 2 Contract 3 Availability Heuristics 日本語要旨 本論文では 2001年から2013年に NPB 日本プロ野球 に移籍した外国人選手のアメリカでの パフォーマンス データと NPB でのパフォーマンス データ NPB での契約年俸データを用いて パフォーマンス決定モデルおよび年俸決定モデルの推定を行っている 推定の結果 NPB 移籍1年目での出塁率 On-Base Percentage 以下 OBP に最も影響を及ぼす アメリカでのパフォーマンスは3A通算の平均 OBP であるが 外国人選手の NPB での契約年俸に 最も影響を及ぼすアメリカでのパフォーマンスはメジャーリーグ通算 HR 本塁打 数と移籍前年 1 本論文の作成にあたって グローバル市場理論 のワークショップ参加者の方々には大変有益なご意見を頂 いた また 本誌匿名の2名のレフェリーの方には 多くの懇切丁寧なご指摘を頂いた ここに記して感謝 したい なお 本研究は 平成25年度科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究 プロスポーツチームの生み出す 非利用価値と集積効果に関する理論 実証研究 課題番号 による研究成果の一部である 27
3 福 山 博 文 にメジャーリーグに 所 属 していることであった 本 論 文 では,NPB の 編 成 担 当 者 が 外 国 人 選 手 と 契 約 する 際,メジャーリーグでの HR 数 など 強 く 印 象 として 記 憶 に 残 りやすい 情 報 の 影 響 を 受 けやす く, 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスがスポーツ 選 手 の 評 価 においても 観 察 されることを 明 らかに した 1. はじめに 近 年, 欧 米 を 中 心 にスポーツ 経 済 学 (Sports Economics)の 研 究 が 盛 んに 行 われている こ れまでわが 国 におけるスポーツ 研 究 に 対 する 社 会 科 学 的 アプローチは,プロスポーツチームの 経 営 戦 略 やスポーツイベントの 経 済 効 果 の 計 測 に 関 する 研 究 などに 限 られており, 経 済 理 論 や 計 量 経 済 学 的 なアプローチを 用 いた 研 究 はまだ 少 ない スポーツを 経 済 学 的 に 研 究 する 上 での 特 徴 として, 以 下 の3つが 挙 げられる 第 1の 特 徴 は,スポーツ 産 業 は 他 の 産 業 に 比 べ 必 ずしも 大 きな 経 済 的 な 価 値 をもたらすもの ではない(Leeds and Allmen (2007))が,2013 年 9 月 8 日 に 正 式 決 定 された2020 年 東 京 オリン ピックの 開 催 の 報 道 などに 見 られるように,スポーツイベントは 国 民 が 自 国 に 対 するアイデン ティティを 再 確 認 したり,スポーツイベントを 通 して 人 々のコミュニケーションを 円 滑 にした りと, 金 額 では 測 れない 非 金 銭 的 な 価 値 を 生 み 出 すという 点 である このような 非 金 銭 的 な 価 値 は 環 境 経 済 学 で 開 発 された CVM(Contingent Valuation Method)を 用 いることで 計 測 するこ とができ,ホッケー,バスケットボール,フットボール,ベースボールなど 北 米 4 大 スポーツ, ヨーロッパ サッカー,ロンドンオリンピック,そして UEFA EURO 2004など 数 多 くの 事 例 研 究 がある(Castellanos, Garcia and Sanchez (2011)) 第 2の 特 徴 は, 他 産 業 と 異 なり,スポーツ 産 業 では1つのプロスポーツチームだけが 強 く なることが 望 ましいとは 限 らないという 点 である なぜならば,スポーツゲームはどちらが 勝 つかが 事 前 に 分 かっていたならば, 消 費 者 はそのゲームに 対 して 興 味 を 失 うからである スポーツ 産 業 では, 競 争 バランス(Competitive Balance)を 考 慮 する 必 要 があり,Borland and MacDonald (2003)によれば,メジャーリーグベースボールにおいて,ホームチームが60%で 勝 利 するケースが 最 も 消 費 者 が 関 心 を 持 ち, 観 客 数 が 最 大 になると 言 われている 第 3の 特 徴 は,プロスポーツ 選 手 の 労 働 市 場 において,スポーツチームの 編 成 担 当 者 は 選 手 の 能 力 を 示 すシグナルとしてこれまでのパフォーマンス( 成 績 )を 観 察 して 評 価 することがで きるため, 他 の 産 業 と 異 なり, 客 観 的 なパフォーマンス データに 基 づいたより 詳 細 な 契 約 を 結 ぶことができる 点 である 一 方 で, 選 手 を 評 価 する 上 で 観 察 される 客 観 的 なパフォーマン ス データが 豊 富 過 ぎると,チームの 編 成 担 当 者 は 様 々な 情 報 の 影 響 を 受 けて 合 理 的 な 判 断 が できない 可 能 性 がある 近 年, 欧 米 では 行 動 経 済 学 の 観 点 からスポーツ 選 手 の 評 価 において 生 じるチームの 編 成 担 当 者 の 非 合 理 的 な 判 断 について 研 究 がなされている(Healey (2008), お よび Burger and Walters (2009)) 本 研 究 では, 第 3の 特 徴 であるプロスポーツ 選 手 の 雇 用 契 約, 特 に NPB( 日 本 プロ 野 球 ) に 移 籍 してくる 外 国 人 選 手 の 雇 用 契 約 を 経 済 学 の 観 点 から 考 察 する 先 に 述 べた 通 り,プロ スポーツ 選 手 の 雇 用 契 約 では, 例 えば,NPB では 昨 季 のパフォーマンスに 応 じて, 今 季 の 年 -28-
4 プロスポーツ 選 手 の 雇 用 契 約 における 利 用 可 能 性 俸 が 決 められる NPB で 考 えるならば, 出 塁 率 (On-Base Percentage, 以 下,OBP)や 長 打 率 (Slugging Percentage, 以 下,SLP), 防 御 率 などのパフォーマンスを 見 て 詳 細 な 契 約 が 結 ばれ る 2 プロスポーツチームの 編 成 責 任 者 にとって, 選 手 の 昨 季 のパフォーマンスから 今 季 のパ フォーマンスを 正 確 に 予 測 し, 適 正 な 年 俸 を 支 払 うことが 重 要 である アメリカのメジャー リーグにおいて,2000 年 代 前 半 にチームの 勝 利 に 最 も 貢 献 する 指 標 を 探 し 出 し,その 指 標 の 高 い 選 手 を 低 い 賃 金 で 雇 用 することでチームを 常 勝 チームにしたオークランド アスレチックス のビリー ビーン GM を 主 人 公 にした Moneyball が 注 目 を 集 めた チームの 編 成 担 当 者 は 限 ら れた 予 算 の 中 で,いかにしてチームを 強 くするかが 求 められており, 選 手 の 評 価 年 俸 の 決 定 はチームの 勝 利 を 左 右 する 重 要 な 仕 事 である 本 研 究 では,NPB におけるプロスポーツ 選 手 の 雇 用 契 約 の 中 で 特 に 外 国 人 選 手 との 雇 用 契 約 に 焦 点 を 当 てて 分 析 を 行 う NPB で 活 躍 する 外 国 人 選 手 の 多 くはアメリカのメジャーリー グやマイナーリーグを 経 て NPB に 移 籍 してくる アメリカのベースボールと 日 本 の 野 球 は 同 じルールであるが, 採 用 される 作 戦 などが 異 なるため,アメリカで 高 いパフォーマンスを 残 し たからといって 日 本 でも 同 じようなパフォーマンスを 残 せるとは 限 らないし, 逆 にアメリカで のパフォーマンス 以 上 のものを 日 本 で 残 せるかもしれない NPB の 編 成 担 当 者 にとって,フ リーエージェント(FA)となった 日 本 人 選 手 と 雇 用 契 約 を 結 ぶときより, 外 国 人 選 手 と 雇 用 契 約 を 結 ぶときの 方 がリスクが 大 きいためより 慎 重 にならざるを 得 ない 3 編 成 担 当 者 は 外 国 人 選 手 をどのような 視 点 から 評 価 しているのだろうか Hakes and Sauer (2006)は,メジャーリーグの2001 年 から2006 年 のデータを 用 いて,チームの 勝 利 に 最 も 貢 献 するオフェンス 面 のパフォーマンス 指 標 は OBP であるが,OBP よりも SLP の 高 い 選 手 の 方 が 高 く 評 価 され 高 額 の 年 俸 が 支 払 われており,メジャーリーグにおける 労 働 市 場 は 非 効 率 的 であ ることを 示 した Fukuyama and Naito(2013)は,NPB の2006 年 から2012 年 のデータを 用 いて, NPB においてもチームの 勝 利 に 最 も 貢 献 するオフェンス 面 のパフォーマンス 指 標 は OBP であ るが, 最 も 高 額 な 年 俸 が 支 払 われる,すなわち NPB の 労 働 市 場 で 最 も 評 価 されるのはメジャー リーグと 異 なり,OBP の 高 い 選 手 であることを 示 した この2つの 研 究 結 果 から,メジャーリー グにおいても NPB においても 最 も 勝 利 に 貢 献 するパフォーマンス 指 標 は OBP であることから, NPB の 編 成 担 当 者 はメジャーリーグあるいはマイナーリーグで OBP の 高 い 外 国 人 選 手 と 雇 用 契 約 を 結 ぶことが 合 理 的 な 選 択 と 言 えそうである 4 しかしながら,この2つの 研 究 では,メ ジャーリーグで 高 い OBP を 残 した 外 国 人 選 手 が NPB でも 高 い OBP を 残 すかどうかを 判 断 で きない したがって, 本 研 究 の 第 1の 目 的 は, 外 国 人 選 手 の NPB でのパフォーマンスを 予 測 する 上 でメジャーリーグあるいはマイナーリーグでどのパフォーマンスが 最 も 重 要 であるのか 2 出 塁 率 とは, 打 者 の 出 塁 の 割 合 を 表 わしており,( 安 打 + 四 球 + 死 球 ) ( 打 数 + 四 球 + 死 球 + 犠 飛 )で 求 め られる 長 打 率 とは, 打 者 の1 打 数 あたりの 塁 打 数 の 平 均 値 を 表 わしており, 塁 打 打 数 で 求 められる 塁 打 は 単 打 を1, 二 塁 打 を2, 三 塁 打 を3, 本 塁 打 を4としてカウントする 3 例 えば,2013 年 9 月 15 日 に NPB における 本 塁 打 の 歴 代 最 高 記 録 である55 本 を 超 えた 東 京 ヤクルトスワローズ のウラディミール バレンティン 選 手 のアメリカでのパフォーマンスは 決 して 高 くなかったが,NPB では 最 高 のパフォーマンスを 見 せている 4 一 方 で,Deli (2012)はメジャーリーグのデータを 用 いて,チームの 勝 利 に 貢 献 するのは OBP ではなく,SLP であることを 主 張 している -29-
5 福 山 博 文 を 明 らかにすることである 実 際 に NPB の 編 成 担 当 者 が 外 国 人 選 手 と 雇 用 契 約 を 結 ぶ 際,メジャーリーグあるいはマイ ナーリーグでのパフォーマンスの 中 で 何 を 重 視 しているのだろうか これまで 多 くの 外 国 人 選 手 が NPB に 移 籍 してきたが,その 契 約 年 俸 は 各 選 手 でかなりばらつきがある 5 NPB の 編 成 担 当 者 はどのようなタイプの 選 手 に 対 し 高 額 な 年 俸 を 支 払 うのだろうか 当 然,アメリカでの パフォーマンスに 応 じた 年 俸 が 支 払 われるはずであるが,その 際, 編 成 担 当 者 はアメリカでの 客 観 的 なパフォーマンス データだけでなく, 実 際 にその 選 手 のプレーを 観 察 して 総 合 的 な 判 断 を 行 うと 考 えられる 人 々が 評 価 を 行 う 際, 先 入 観 や 印 象 などがその 判 断 に 大 きな 影 響 を 及 ぼすことがある 2002 年 にダニエル カーネマンがノーベル 経 済 学 賞 を 受 賞 したことで 注 目 を 集 めている 行 動 経 済 学 において, 合 理 的 でない 人 間 が 意 思 決 定 するときによりどころとする 簡 便 な 手 がかりとなる 方 法 は ヒューリスティックス と 呼 ばれている ヒューリスティックス には, 利 用 可 能 性 ヒューリスティックス(availability heuristics), 代 表 性 ヒューリスティッ クス(representativeness heuristics), アンカーヒューリスティックス(anchor heuristics) の 3つがある 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスとは,ある 事 象 が 出 現 する 頻 度 や 確 率 を 判 断 す るときにその 事 象 が 生 じたと 容 易 にわかる 出 来 事 を 思 い 出 し,それに 基 づいて 判 断 することで ある 代 表 性 ヒューリスティックスとは,ある 集 合 に 属 する 事 象 がその 集 合 の 特 性 をそのまま 表 していると 考 えて, 頻 度 や 確 率 を 判 断 することである アンカーヒューリスティックスとは, 特 定 の 情 報 や 特 定 の 数 値 に 過 度 に 依 存 し,その 初 期 情 報 の 影 響 を 受 けて 判 断 することである ( 詳 細 は, 友 野 (2006)および 依 田 (2010)を 参 照 ) 編 成 担 当 者 は 外 国 人 選 手 との 雇 用 契 約 と いう 極 めて 不 確 実 な 状 況 下 において,このヒューリスティックスを 利 用 して 判 断 している 可 能 性 が 高 い 仮 に 年 間 を 通 して 同 じパフォーマンスを 残 した2 人 の 選 手 がいた 場 合, 短 期 的 に 顕 著 な 活 躍 をした 選 手 やシーズンの 終 盤 に 活 躍 をした 選 手 の 方 が 編 成 担 当 者 の 印 象 に 強 く 残 るた め,その 評 価 は 高 くなりがちである これは 編 成 担 当 者 が 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスを 判 断 に 利 用 した 結 果 であり,3つのヒューリスティックスの 中 でもスポーツ 選 手 の 評 価 におい ては,この 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスが 重 要 であると 言 えるだろう このような 人 間 の 非 合 理 的 な 行 動 をスポーツ 選 手 の 評 価 に 応 用 した 研 究 には,Healey(2008) がある Healey(2008)は,メジャーリーグの 過 去 4 年 間 のデータを 用 いて,3 年 前,2 年 前, 1 年 前 のパフォーマンスのうち 今 期 のパフォーマンスに 最 も 影 響 を 及 ぼすパフォーマンスを 明 らかにし,さらにこの3 年 間 のパフォーマンスのうち 今 期 の 年 俸 に 最 も 影 響 を 及 ぼすパフォー マンスを 求 め, 今 期 のパフォーマンスよりも 今 期 の 年 俸 の 方 がより 直 近 のパフォーマンスの 影 響 を 強 く 受 けていることを 示 している すなわち,これは,メジャーリーグの GM は 記 憶 に より 鮮 明 に 残 っている 直 近 のパフォーマンスの 影 響 を 受 けて 年 俸 を 決 めており, 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスを 利 用 した 判 断 を 行 っていると 言 える また,Fukuyama and Naito(2013) は,NPB に 所 属 する 選 手 の 月 別 のパフォーマンス データを 用 いて, 年 平 均 のパフォーマン スと 最 も 顕 著 な 成 績 を 残 した 月 のパフォーマンスのどちらが 年 俸 に 強 く 影 響 しているのかを 分 5 例 えば,2012 年 にブラッド ペニー 投 手 は NPB での 外 国 人 初 年 度 年 俸 としては 最 高 額 となる750 万 ドル(5 億 7800 万 円 )( 出 来 髙 を 含 む)で 福 岡 ソフトバンクホークスと 契 約 するなど 高 額 の 年 俸 で 契 約 を 結 ぶ 外 国 人 選 手 がいる 一 方 で, 多 くの 外 国 人 選 手 は2000 万 円 ~5000 万 円 で 契 約 を 結 んでいる -30-
6 プロスポーツ 選 手 の 雇 用 契 約 における 利 用 可 能 性 析 し, 年 俸 の 低 い(1 億 円 未 満 ) 選 手 を 評 価 する 際 には 後 者 の 効 果 の 方 が 強 く 働 くことを 示 し, 編 成 担 当 者 の 判 断 において 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスが 観 察 できることを 明 らかにして いる これらの 研 究 は, 選 手 を 評 価 する 際 に 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスが 利 用 されてい るかどうかをメジャーリーグあるいは NPB のそれぞれのデータを 用 いて 検 証 したものである が,メジャーリーグでのパフォーマンスから NPB での 年 俸 を 決 定 する 際 に 利 用 可 能 性 ヒュー リスティックスが 利 用 されるどうかを 分 析 した 研 究 はこれまで 存 在 しない したがって, 本 研 究 の 第 2の 目 的 は,メジャーリーグでのパフォーマンスが NPB における 年 俸 決 定 にどのよう な 影 響 を 与 えるかを 明 らかにし,その 際, 記 憶 に 残 りやすい 強 い 出 来 事 が 編 成 担 当 者 の 行 動 に 影 響 を 及 ぼしているのかを 検 証 することである 本 論 文 の 構 成 は 以 下 のとおりである まず, 次 節 において, 本 論 文 で 取 り 扱 うデータの 説 明 および 記 述 統 計 について 述 べる 次 に,3 節 において,メジャーリーグあるいはマイナー リーグにおける 外 国 人 選 手 のパフォーマンス データから NPB におけるパフォーマンスを 予 測 する 4 節 では,メジャーリーグあるいはマイナーリーグにおける 外 国 人 選 手 のパフォーマ ンス データと NPB の 各 チームがその 外 国 人 選 手 に 支 払 う 契 約 年 俸 のデータを 用 いることで, アメリカでのどのパフォーマンスが NPB での 年 俸 に 強 く 影 響 を 及 ぼしているのかを 明 らかに する そして,NPB の 編 成 担 当 者 が 年 俸 を 決 定 する 際 に 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスを 利 用 するかどうかを 検 証 する 最 後 に,5 節 において, 本 論 文 のまとめと 今 後 の 課 題 について 言 及 する 2. データと 記 述 統 計 本 論 文 では,まず,アメリカでのパフォーマンスが NPB でのパフォーマンスにどのような 影 響 を 及 ぼすのかを 考 察 するために,アメリカおよび NPB での 外 国 人 選 手 のパフォーマンス データが 必 要 である これらのデータは,Baseball-Reference.com が 提 供 する 詳 細 なデータベー スから 入 手 が 可 能 である 入 手 するデータは,2001 年 から2013 年 に NPB に 移 籍 した 外 国 人 野 手 のパフォーマンス データである 投 手 はパフォーマンス 指 標 として,ERA( 防 御 率 )や WHIP(( 被 安 打 数 + 与 四 球 数 ) 投 球 回 数 )を 使 ったりするが, 多 くの 先 行 研 究 は 野 手 を 対 象 とした 研 究 が 多 く, 先 行 研 究 と 比 較 するため, 本 論 文 は 分 析 の 対 象 を 野 手 に 限 定 する 野 手 のパフォーマンスを 示 す 指 標 は, 先 述 の Hakes and Sauer(2006)や Fukuyama and Naito(2013) のように,OBP が 最 も 適 している したがって, 本 論 文 では, 野 手 のパフォーマンス デー タとして,NPB に 移 籍 した 外 国 人 選 手 のアメリカでの 移 籍 前 年 の OBP と 移 籍 1 年 目 の NPB での OBP のデータを 利 用 する アメリカでの OBP は,NPB に 移 籍 する 直 前 のメジャーリー グでの OBP あるいは,マイナーリーグでの OBP を 使 用 する 6 なお,マイナーリーグは,レ ベルの 高 い 順 に3A,2A,1A など7 段 階 に 分 かれているが, 本 論 文 では,3A のパフォーマン スに 限 定 する また,Healey(2008)のように 直 近 のパフォーマンスだけでなく, 過 去 数 年 の パフォーマンスが NPB でのパフォーマンスに 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 があると 考 えられるため, 6 メジャーリーグの OBP を 利 用 するか,マイナーリーグでの OBP を 利 用 するかは,At Bat( 打 席 数 )の 多 い 方 を 利 用 する -31-
7 福 山 博 文 NPB での OBP を 説 明 するパフォーマンス データとして,メジャーリーグとマイナーリーグ での 通 算 の OBP も 採 用 する 次 に,アメリカでのパフォーマンスが NPB に 雇 用 される 際 に 支 払 われる 年 俸 にどのような 影 響 を 及 ぼすかを 考 察 するために,NPB での1 年 目 の 年 俸 データを 入 手 する 必 要 がある 年 俸 データは,2001 年 から2013 年 のプロ 野 球 選 手 名 鑑 から 入 手 した 推 定 年 俸 を 利 用 する NPB での 年 俸 は, 先 述 のアメリカでの OBP だけでなく, 様 々なパフォーマンス データに 基 づい て 決 められていると 考 えられるため, 先 述 の OBP のデータに 加 えて,NPB 移 籍 前 年 の HR( 本 塁 打 ) 数 やメジャーリーグ,マイナーリーグでの 通 算 HR 数 もパフォーマンス データとして 利 用 する その 他 にも 雇 用 される 外 国 人 選 手 がメジャーリーガーであるかどうかが 年 俸 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 があるので,メジャーリーガーダミーを 入 れる NPB に 移 籍 する 直 近 の1 年 間 でメジャーリーグでの At bat( 打 席 数 )がマイナーリーグより 多 い 場 合,その 外 国 人 選 手 は メジャーリーガーであると 考 え,その 逆 はマイナーリーガーと 考 える ここで, 各 データの 記 述 統 計 を 見 てみる 詳 細 は 表 1の 通 りである 2001 年 から2013 年 の 間 に NPB に 移 籍 した 外 国 人 選 手 ( 野 手 )は88 名 である 7 そのうち, 移 籍 直 近 の 年 にメジャーリー グに 所 属 している 選 手 は24 名,マイナーリーグに 所 属 している 選 手 は64 名 である 表 1. メジャーリーガーとマイナーリーガーのデータ 比 較 メジャーリーガーの 平 均 マイナーリーガーの 平 均 年 齢 NPB での 年 俸 ( 万 円 ) 14,011 5,454 NPB での OBP 直 近 の OBP MLB での 平 均 OBP A での 平 均 OBP MLB での 通 算 HR 数 A での 通 算 HR 数 サンプル 数 表 1からメジャーリーガー,マイナーリーガーともに NPB に 移 籍 する 年 齢 はほぼ 同 じでお よそ30 歳 であることが 分 かる ほとんどの 選 手 がメジャーリーグおよびマイナーリーグを 経 験 しており,メジャーリーグを1 度 も 経 験 したことのない 選 手 はマイナーリーガー64 名 中 5 名 だ けである NPB での 年 俸 はメジャーリーガーの 平 均 14,011 万 円 に 対 し,マイナーリーガーの 平 均 は5,454 万 円 であり,メジャーリーガーの 方 がマイナーリーガーより 平 均 して 約 2.56 倍 高 いこ とが 分 かる 一 方 で,NPB 移 籍 1 年 目 における OBP については, 両 者 ともにほぼ 同 じである また,3A(マイナーリーグ)での 平 均 OBP についても 両 者 ともにほぼ 同 じである すなわち, メジャーリーガーとマイナーリーガーでは,NPB での 年 俸 において 大 きな 差 があるものの, NPB 移 籍 1 年 目 の OBP および3A での 平 均 OBP などのパフォーマンスには 差 がないことが 分 かる 図 は 横 軸 に NPB 移 籍 1 年 目 の OBP, 縦 軸 に NPB での 年 俸 を 表 わしたグラフ 上 に 外 国 7 ただし,シーズン 途 中 に 移 籍 してきた 外 国 人 選 手 はプロ 野 球 選 手 名 鑑 に 掲 載 されていないため 除 外 している -32-
8 プロスポーツ 選 手 の 雇 用 契 約 における 利 用 可 能 性 人 選 手 全 88 名 のデータをプロットしたものである この 図 からも 分 かるように,NPB 移 籍 1 年 目 での OBP と 年 俸 の 間 にはほとんど 相 関 がないことが 確 かめられる 以 上 のことから, 外 国 人 選 手 の 雇 用 契 約 において,ほぼ 同 じパフォーマンスを 残 す 選 手 でも メジャーリーガーかマイナーリーガーかという 違 いだけで, 支 払 う 年 俸 に 大 きな 差 が 生 じてお り,このとき,NPB の 編 成 担 当 者 は,パフォーマンスに 応 じた 評 価 をしていないので 非 合 理 的 な 判 断 を 行 っていると 言 える もちろん,メジャーリーガーとマイナーリーガーでは,もと もとアメリカで 得 ている 年 俸 に 差 があることから 当 然,NPB における 年 俸 にも 差 が 生 じるは ずである しかしながら,これはアメリカでの 年 俸 の 違 いからだけで 説 明 することはできない であろう この NPB での 年 俸 の 違 いはメジャーリーガーであることが, 優 れた 選 手 である というシグナルとなり, 編 成 担 当 者 がその 選 手 に 対 し 実 力 以 上 の 評 価 を 行 ってしまうという 心 理 的 な 影 響 を 受 けた 可 能 性 が 大 いにあるかもしれない 次 節 以 降 では,NPB の 編 成 担 当 者 が 外 国 人 選 手 の 雇 用 契 約 において 非 合 理 的 な 判 断 を 行 っているのかどうかをさらに 詳 しく 見 てい く 3. パフォーマンス 決 定 モデル 本 節 では, 外 国 人 選 手 のアメリカでのパフォーマンスが NPB 移 籍 1 年 目 のパフォーマンス にどのような 影 響 を 及 ぼすのかを 明 らかにするために 以 下 のようなパフォーマンス 決 定 モデル を 考 える 図. NPB 移 籍 1 年 目 の OBP と 年 俸 の 関 係 OBP i = α + β 1 OBPlastyear i + β 2 OBPmajorave i + β 3 OBP3Aave i + u i. (1) 被 説 明 変 数 である OBP i は 外 国 人 選 手 i の NPB 移 籍 1 年 目 の OBP を 表 わしている 説 明 変 数 である OBPlastyear i は 外 国 人 選 手 i の 移 籍 1 年 前 のメジャーリーグあるいは3A での OBP, -33-
9 福 山 博 文 OBPmajorave i は 外 国 人 選 手 i のメジャーリーグ 通 算 での 平 均 OBP,OBP3Aave i は 外 国 人 選 手 i の3A 通 算 での 平 均 OBP である また,u i は 誤 差 項 である (1) 式 の 説 明 変 数 を 選 択 した 理 由 は 以 下 の 通 りである NPB 移 籍 1 年 目 の OBP を 最 も 説 明 できる 変 数 として, 最 初 に 挙 げられるのは, 直 近 のパフォーマンス,すなわち,NPB 移 籍 前 のメジャーリーグ,あるいは3A での OBP であると 考 えられる Healy(2008)は,1 年 前 の パフォーマンス,2 年 前 のパフォーマンス,そして3 年 前 のパフォーマンスのうち, 今 期 の パフォーマンスに 最 も 影 響 を 及 ぼすのは 直 近 のパフォーマンス,すなわち1 年 前 のパフォー マンスであることを 示 しており, 本 論 文 においても 説 明 変 数 として 直 近 のパフォーマンスで ある OBP を 選 択 するのは 妥 当 である その 他 にも,メジャーリーグ 通 算 での 平 均 OBP および 3A 通 算 での 平 均 OBP のような 長 期 的 なパフォーマンスも NPB 移 籍 1 年 目 の OBP を 説 明 する 上 で 重 要 な 変 数 と 思 われる また, 年 齢 も 選 手 のパフォーマンスを 予 測 する 上 で 重 要 なファク ターであると 考 えられるが,NPB に 移 籍 する 外 国 人 選 手 は30 歳 前 後 が 多 く,ばらつきが 小 さ いためその 影 響 はあまり 見 られないと 考 え, 今 回 は 説 明 変 数 から 除 外 した (1) 式 の 推 定 において, 注 意 しなければならないのは, 直 近 のパフォーマンスがメジャーリー グでの OBP であるのか,3A での OBP であるのかを 区 別 しければならない 点 である 表 1か らも 分 かるように, 当 然 であるが,メジャーリーグの 方 が3A よりもレベルが 高 いため,メ ジャーリーガーとマイナーリーガーのそれぞれの 直 近 の OBP の 平 均 値 はかなり 差 がある し たがって,メジャーリーガー24 名 とマイナーリーガー64 名 を 分 けて,それぞれで(1) 式 を 推 定 する 必 要 がある 最 小 二 乗 法 により,(1)の 線 形 回 帰 式 をメジャーリーガーとマイナーリーガーにそれぞれ 分 けて 推 定 する しかしながら,メジャーリーガーはサンプル 数 が24と 少 ないため, 本 論 文 では マイナーリーガーのパフォーマンス 決 定 モデル 式 のみ 推 定 する その 結 果 は, 表 2の 第 2 列 の 通 りである 決 定 係 数 R 2 は0.10と 低 い 値 となった また, 直 近 のパフォーマンスを 表 わす OBPlastyear i の 係 数 は 負,メジャーリーグ 通 算 の 平 均 OBP を 表 わす OBPmajorave i の 係 数 は 正 となったが,ともに t 値 が 低 く, 有 意 でない 結 果 となった 一 方,3A 通 算 の 平 均 OBP を 表 わ す OBP3Aave i の 係 数 は 正 となり,1% 水 準 で 有 意 な 結 果 となった まず,この 結 果 は 外 国 人 選 手 の NPB 移 籍 1 年 目 での OBP に 対 し, 直 近 の OBP およびメ ジャーリーグ 通 算 での 平 均 OBP は 統 計 的 に 影 響 を 及 ぼさないことを 意 味 している Healey (2008)では, 直 近 のパフォーマンスが 今 期 のパフォーマンスに 最 も 影 響 を 及 ぼすという 結 果 であったが, 本 論 文 は 異 なった 結 果 となった これは,アメリカのベースボールと 日 本 の 野 球 は 同 じルールの 下 で 行 われるものの, 性 質 の 異 なるものであり, 必 ずしもアメリカでのパ フォーマンスが 日 本 でのパフォーマンスにつながらないことを 改 めて 再 認 識 させるものとなっ た 一 方 で,3A 通 算 での OBP は NPB 移 籍 1 年 目 の OBP に 影 響 を 及 ぼしており,3A 通 算 で の 平 均 OBP が1 厘 上 昇 すると,NPB での OBP が0.902 厘 上 昇 することを 意 味 している 先 述 の 通 り,ベースボールと 野 球 は 性 質 が 異 なるため, 単 純 にアメリカでのパフォーマンスを 日 本 でのパフォーマンスに 置 き 換 えて 考 えることは 難 しいが, 唯 一,3A 通 算 での 平 均 OBP は NPB 移 籍 1 年 目 での OBP をある 程 度 説 明 できる 可 能 性 がある その 理 由 は 次 のように 考 える ことができる 直 近 のパフォーマンスおよびマイナーリーガーにとってのメジャー 通 算 のパ -34-
10 プロスポーツ 選 手 の 雇 用 契 約 における 利 用 可 能 性 フォーマンスは, 短 いスパンにおけるパフォーマンスであるので, 偶 然 の 賜 物 である 可 能 性 が 高 い しかしながら,3A 通 算 のパフォーマンスは, 長 いスパンにおけるパフォーマンスであ るので, 偶 発 的 な 要 素 は 排 除 されており,その 選 手 の 真 の 能 力 を 示 す 指 標 となりうると 考 えら れる 以 上 の 分 析 結 果 から,NPB での OBP を 予 測 する 上 で3A 通 算 の 平 均 OBP が 重 要 であること が 分 かった 次 に,メジャーリーガーとマイナーリーガーを 合 わせた Pooled Data のもとでの 分 析 を 行 う Pooled Data の 場 合, 直 近 の OBP については,メジャーリーガーとマイナーリー ガーでは 比 較 できないことから,(1) 式 から OBPlastyear i を 除 外 して 回 帰 分 析 を 行 うこととす る 表 2. パフォーマンス 決 定 モデルの 推 定 結 果 マイナーリーガーのみ Pooled Data OBPlastyear i ( -1.08) OBPmajorave i (0.091) (0.288) OBP3Aave i (3.088)*** (2.868)*** Constant:α (0.689) (1.068) サンプル 数 R Notes: *** は1% 水 準 で 有 意 を 意 味 する 結 果 は 表 2の 第 3 列 の 通 りである 決 定 係 数 は Pooled Data のケースでも0.07と 低 い 数 値 と なった このことからもアメリカでのパフォーマンスから NPB でのパフォーマンスを 説 明 す ることは 非 常 に 難 しいことが 分 かる また,Pooled Data のケースでもメジャーリーグ 通 算 の 平 均 OBP を 表 わす OBPmajorave i の 係 数 は 正 となったが,t 値 が 低 く, 有 意 でない 結 果 となった その 一 方 で,3A 通 算 の 平 均 OBP を 表 わす OBP3Aave i の 係 数 は 正 となり,1% 水 準 で 有 意 な 結 果 となった この 結 果 から 次 のことが 言 える マイナーリーガーのみのデータのケースと 同 じで, 外 国 人 選 手 の NPB 移 籍 1 年 目 での OBP に 対 し,メジャーリーグ 通 算 での 平 均 OBP は 統 計 的 に 影 響 を 及 ぼさない これは 先 述 の 通 り,NPB に 移 籍 してくる 外 国 人 選 手 はメジャーリーグでの 経 験 が 少 ない 選 手 が 大 半 を 占 めているため,メジャーリーグ 通 算 での 平 均 OBP は 短 いスパンの 下 でのパフォーマンス 指 標 であるから 偶 発 的 な 要 素 が 入 り 込 んでいるため, 真 の 能 力 を 表 わし ていないと 考 えられる 一 方 で,Pooled Data のケースでも3A 通 算 での OBP は NPB 移 籍 1 年 目 の OBP に 影 響 を 及 ぼしており,3A 通 算 での 平 均 OBP が1 厘 上 昇 すると,NPB での OBP が 厘 上 昇 することを 意 味 している マイナーリーガーの Data のみのケースと 同 様,3A 通 算 のパフォーマンスは, 長 いスパンにおけるパフォーマンスであるので, 偶 発 的 な 要 素 は 排 除 されており,その 選 手 の 真 の 能 力 を 示 す 指 標 となっている 以 上 をまとめると, 外 国 人 選 手 の NPB 移 籍 1 年 目 のパフォーマンスを 示 す OBP に 最 も 影 響 を 及 ぼすアメリカでのパフォーマンス 指 標 は3A 通 算 の 平 均 OBP であり,3A 通 算 の 平 均 OBP が 高 い 選 手 は NPB 移 籍 1 年 目 の OBP も 高 くなる 傾 向 にある 一 方 で,NPB 移 籍 前 の 直 近 の -35-
11 福 山 博 文 OBP およびメジャーリーグ 通 算 の 平 均 OBP は 全 く NPB 移 籍 1 年 目 の OBP に 影 響 を 及 ぼさな いと 言 える 4. 年 俸 決 定 モデルと 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスの 検 証 本 節 では,まず, 外 国 人 選 手 の NPB 移 籍 1 年 目 の 契 約 年 俸 に 最 も 影 響 を 及 ぼすアメリカで のパフォーマンス 指 標 を 明 らかにする その 後,それらの 指 標 と 前 節 で 明 らかにした NPB 移 籍 1 年 目 のパフォーマンスに 最 も 影 響 を 及 ぼすアメリカでのパフォーマンス 指 標 を 比 較 するこ とで,NPB の 編 成 担 当 者 による 外 国 人 選 手 のパフォーマンス 予 測 と 契 約 年 俸 の 決 定 において 非 合 理 的 な 判 断 がなされていないかどうかを 検 証 する まず, 外 国 人 選 手 のアメリカでのパフォーマンスが NPB 移 籍 1 年 目 の 契 約 年 俸 にどのよう な 影 響 を 及 ぼすのかを 明 らかにするために 以 下 のような 年 俸 決 定 モデルを 考 える Salary i = α + β 1 OBPlastyear + β 2 OBPmajorave i + β 3 OBP3Aave i + β 4 HRmajor i + β 5 HR3A i + β 6 Dummy i + u i. (2) 被 説 明 変 数 である Salary i は 外 国 人 選 手 i の NPB 移 籍 1 年 目 の 契 約 年 俸 を 表 わしている 説 明 変 数 である OBPlastyear i,obpmajorave i,そして OBP3Aave i は,(1) 式 のパフォーマンス 決 定 モデルと 同 様,それぞれ, 外 国 人 選 手 i の NPB 移 籍 前 年 の OBP, 外 国 人 選 手 i のメジャーリー グ 通 算 での 平 均 OBP,そして 外 国 人 選 手 i の3A 通 算 での 平 均 OBP を 表 わしている (1) 式 の パフォーマンス 決 定 モデルと 異 なり, 年 俸 決 定 においては,アメリカでのパフォーマンス 指 標 として,OBP だけでなく 他 のパフォーマンス 指 標 の 影 響 を 受 ける 可 能 性 があるため, 次 の3 つの 説 明 変 数 を 追 加 する 第 1と 第 2は,メジャーリーグ 通 算 HR 数 と3A 通 算 HR 数 でこれ らをそれぞれ HRmajor i,hr3a i で 表 わす NPB の 編 成 担 当 者 が 外 国 人 選 手 に 期 待 するのは 長 打 力 である 近 年 の NPB における HR 数 のランキング 上 位 が 外 国 人 選 手 で 占 められているよ うに, 外 国 人 選 手 に HR を 求 めるチームは 多 いであろう したがって,メジャーリーグおよび 3A での 通 算 HR 数 が 年 俸 決 定 に 大 きな 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 がある 第 3は,NPB 移 籍 直 前 の 所 属 先 がメジャーリーグなのか,マイナーリーグなのかによって, 契 約 年 俸 に 大 きな 違 いが 生 じる 可 能 性 があるため, 外 国 人 選 手 i がメジャーリーガーである 場 合 は1,マイナーリーガー である 場 合 は0とするダミー 変 数 を 説 明 変 数 として 加 える これを Dummy i で 表 わす また, u i は 誤 差 項 である 最 小 二 乗 法 により,(2)の 線 形 回 帰 式 をメジャーリーガーとマイナーリーガーにそれぞれ 分 けて 推 定 しなければならないが,(1)の 線 形 回 帰 式 の 推 定 同 様,メジャーリーガーはサンプル 数 が24と 少 ないため,マイナーリーガーの 年 俸 決 定 モデル 式 のみ 推 定 することとする なお, このとき,データはすべてマイナーリーガーだけであるから,メジャーリーガーダミーは 除 外 して 推 定 を 行 う 推 定 結 果 は, 表 3の 第 2 列 の 通 りである 決 定 係 数 R 2 は0.26と 低 い 数 値 となったが,これは, 外 国 人 選 手 の 年 俸 決 定 において, 今 回, 選 択 した 説 明 変 数 以 外 に 重 要 な 変 数 があることを 示 -36-
12 プロスポーツ 選 手 の 雇 用 契 約 における 利 用 可 能 性 唆 している また, 直 近 のパフォーマンスを 表 わす OBPlastyear i,メジャーリーグ 通 算 の 平 均 OBP を 表 わす OBPmajorave i,3a 通 算 の 平 均 OBP を 表 わす OBP3Aave i,そして3a 通 算 の HR 数 を 表 わす HR3A i はいずれも t 値 が 低 く, 有 意 でない 結 果 となった 一 方,メジャーリーグ 通 算 の HR 数 を 表 わす HRmajor i の 係 数 は 正 となり,1% 水 準 で 有 意 な 結 果 となった 表 3. 年 俸 決 定 モデルの 推 定 結 果 マイナーリーガーのみ Pooled Data OBPlastyear i (0.611) OBPmajorave i (0.366) (0.018) OBP3Aave i ( ) ( ) HRmajor i 77.3 (4.542)*** 70.1 (6.569)*** HR3A i 2.1 (0.359) -3.6 ( ) Dummy i Constant:α (0.689) (1.068) サンプル 数 R Notes: *** は1% 水 準 で 有 意,* は10% 水 準 で 有 意 を 意 味 する まず,(1) 式 のパフォーマンス 決 定 モデルの 推 定 では,NPB 移 籍 1 年 目 での OBP に 最 も 影 響 を 及 ぼすのは,3A 通 算 の 平 均 OBP であったが,(2) 式 の 年 俸 決 定 モデルでは,3A 通 算 の 平 均 OBP は NPB での 年 俸 決 定 に 影 響 を 及 ぼさないという 結 果 になった これは,3A 通 算 の 平 均 OBP が 高 い,すなわち,NPB のチームの 勝 利 に 最 も 貢 献 するパフォーマンスである OBP を 期 待 できる 外 国 人 選 手 に 対 し, 必 ずしも 高 い 年 俸 を 支 払 っていないことを 意 味 している ま た,NPB 移 籍 前 年 の OBP,メジャーリーグ 通 算 の 平 均 OBP,そして3A 通 算 の HR 数 も 年 俸 決 定 に 影 響 を 及 ぼさないという 結 果 になったが,これらの 結 果 は 次 のように 解 釈 できる 各 チー ムの 編 成 担 当 者 は,メジャーリーグであろうが,マイナーリーグであろうが,アメリカでのパ フォーマンスは 直 接,NPB でのパフォーマンスに 繋 がらないという 認 識 があり,パフォーマ ンス 指 標 のような 客 観 的 なデータや 数 値 よりも, 実 際 にプレーする 姿 を 見 て 日 本 の 野 球 への 適 応 性 を 見 極 めて,その 選 手 に 対 する 評 価 を 行 っているからだと 考 えられる その 一 方 で, 唯 一,メジャーリーグでの 通 算 HR 数 だけが NPB での 年 俸 決 定 に 影 響 を 及 ぼ しており,メジャーリーグでの 通 算 HR 数 が1 本 増 えると,NPB との 契 約 年 俸 が77.3 万 円 上 昇 するという 結 果 になった NPB の 編 成 担 当 者 はアメリカでのパフォーマンスは NPB でのパ フォーマンスに 繋 がらないという 認 識 を 持 っていても,マイナーリーガーとは 言 え,やはりメ ジャーリーグでの 通 算 HR 数 が 何 本 であるのか,というシグナルは 強 く 印 象 に 残 るものなのか もしれない また, 先 述 したように 外 国 人 選 手 に 対 し,NPB 側 が 求 めるのは,HR などの 長 打 力 である したがって,メジャーリーグで 通 算 何 本 の HR を 打 っているかという 情 報 は 外 国 人 選 手 を 評 価 する 上 で 重 要 な 要 素 と 言 えるだろう 以 上 の 分 析 結 果 から,NPB での 年 俸 決 定 を 左 右 するのは,メジャーリーグでの 通 算 HR 数 であることが 分 かった 次 に,メジャーリーガーとマイナーリーガーを 合 わせた Pooled Data -37-
13 福 山 博 文 のもとでの 分 析 を 行 う 前 節 同 様,Pooled Data の 場 合, 直 近 の OBP については,メジャーリー ガーとマイナーリーガーでは 比 較 できないことから,(2) 式 から OBPlastyear i を 除 外 する ま た,Pooled Data の 場 合 はメジャーリーガーとマイナーリーガーが 混 同 するので,メジャーリー ガーであることが NPB の 年 俸 決 定 に 影 響 を 及 ぼすのかどうかを 検 証 するために,メジャーリー ガーダミーとして,Dummy i を 追 加 して 回 帰 分 析 を 行 うこととする 結 果 は 表 3の 第 3 列 の 通 りである 決 定 係 数 は Pooled Data のケースでは0.52とマイナーリー ガーの Data のみのケースから 改 善 された これは, 単 純 にサンプル 数 が 増 えたこともあるが, 新 しい 変 数 として,メジャーリーガーダミー 変 数 を 加 えたことで,より 精 度 の 高 いモデルと なったと 言 える また,Pooled Data のケースでもメジャーリーグ 通 算 の 平 均 OBP を 表 わす OBPmajorave i,3a 通 算 の 平 均 OBP を 表 わす OBP3Aave i,そして3a 通 算 の HR 数 を 表 わす HR3A i はいずれも t 値 が 低 く, 有 意 でない 結 果 となった 一 方,マイナーリーグの Data のみのケースと 同 様,メ ジャーリーグ 通 算 の HR 数 を 表 わす HRmajor i の 係 数 は 正 となり,1% 水 準 で 有 意 な 結 果 となっ た また,メジャーリーガーであるかどうかを 表 わすメジャーリーガーダミーである Dummy i の 係 数 も 正 となり,1% 水 準 で 有 意 な 結 果 となった この 結 果 から 次 のことが 言 える マイナーリーガーのみのデータのケースと 同 じで,Pooled Data のケースでも,NPB の 編 成 担 当 者 は,アメリカでのパフォーマンスが NPB でのパフォー マンスに 繋 がらないと 考 えているため,メジャーリーグ 通 算 の 平 均 OBP,3A 通 算 の 平 均 OBP,そして3A 通 算 の HR 数 は 統 計 的 に NPB の 年 俸 に 影 響 を 及 ぼさない 一 方 で,Pooled Data のケースでもメジャーリーグ 通 算 の HR 数 は NPB の 年 俸 に 影 響 を 及 ぼしており,メジャー リーグでの 通 算 HR 数 が1 本 増 えると,NPB との 契 約 年 俸 が70.1 万 円 上 昇 するという 結 果 になっ た これは, 先 述 したように,メジャーリーグでの 通 算 HR 数 は NPB の 編 成 担 当 者 にとって 強 く 印 象 に 残 るため, 年 俸 決 定 に 対 し 正 の 影 響 を 及 ぼすと 考 えられる また,Pooled Data では, メジャーリーガーであることが 年 俸 に 正 の 影 響 を 及 ぼしており,メジャーリーガーであるとマ イナーリーガーより NPB での 年 俸 が 万 円 高 くなるという 結 果 になった これはもちろ ん,メジャーリーガーはすでに 高 い 年 俸 を 受 け 取 っているので,NPB においてもそれに 応 じ た 高 い 年 俸 を 支 払 わなければならないということも 考 えられる また,メジャーリーガーであ れば, 他 チームとの 獲 得 競 争 が 生 じるため, 年 俸 が 高 騰 するとも 考 えられる しかしながら, これもメジャーリーグでの 通 算 HR 数 と 同 様 に,メジャーリーガーであるということが NPB の 編 成 担 当 者 にとってその 外 国 人 選 手 が 優 れた 選 手 であるという 強 い 印 象 を 与 えるため, 年 俸 決 定 に 正 の 影 響 を 及 ぼすと 考 えられる 最 後 に,NPB の 編 成 担 当 者 による 外 国 人 選 手 のパフォーマンス 予 測 と 契 約 年 俸 の 決 定 にお いて, 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスが 生 じているかどうかを 検 証 する NPB の 編 成 担 当 者 による 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスとは, 外 国 人 選 手 の 年 俸 決 定 において, 強 く 印 象 に 残 り, 容 易 に 思 い 出 すことのできるパフォーマンスに 基 づいて, 選 手 の 評 価 および 年 俸 の 決 定 が 行 われていることを 言 う パフォーマンス 決 定 モデルおよび 年 俸 決 定 モデルの 推 定 結 果 か ら, 次 のような 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスを 用 いた 判 断 を NPB の 編 成 担 当 者 が 行 って いることが 分 かる -38-
14 プロスポーツ 選 手 の 雇 用 契 約 における 利 用 可 能 性 パフォーマンス 決 定 モデルの 推 定 結 果 から,アメリカでのパフォーマンスの 中 で 最 も NPB でのパフォーマンスに 正 の 影 響 を 及 ぼすのは,3A 通 算 の 平 均 OBP であることから,NPB の 編 成 担 当 者 は3A 通 算 の 平 均 OBP の 高 い 選 手 を 高 く 評 価 しそのパフォーマンスに 見 合 った 高 い 年 俸 を 支 払 うことが 合 理 的 な 判 断 と 言 える しかしながら, 年 俸 決 定 モデルの 推 定 結 果 か ら,3A 通 算 の 平 均 OBP は 年 俸 決 定 に 影 響 を 及 ぼさない,すなわち,3A 通 算 の 平 均 OBP の 高 い 選 手 が 高 い 評 価 を 受 けるわけではないことが 分 かった したがって,NPB の 編 成 担 当 者 は 非 合 理 的 な 判 断 を 行 っていると 言 える この 理 由 は,NPB 編 成 担 当 者 が 利 用 可 能 性 ヒューリ スティックスを 用 いた 判 断 を 行 ったためと 考 えられる 年 俸 決 定 モデルの 推 定 結 果 から,メ ジャーリーグでの 通 算 HR 数 の 多 さやメジャーリーガーであることが 年 俸 を 高 める 要 因 となっ ていた これらの 情 報 は 選 手 の 能 力 を 判 断 する 上 で 直 観 的 で 分 かりやすいためマスコミにとっ て 伝 達 しやすい 情 報 であり, 新 聞 紙 面 でもよく 目 にする 情 報 である NPB 編 成 担 当 者 にとっ てこれらの 情 報 は 記 憶 に 残 りやすく, 外 国 人 選 手 を 評 価 する 際 に 強 く 影 響 を 及 ぼしている 可 能 性 があるだろう しかしながら,このように 編 成 担 当 者 が 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスを 用 いて, 非 合 理 的 な 判 断 を 行 うことは 否 定 すべきことではない 前 節 でも 述 べたように,チームの 勝 率 を 高 め るのは OBP であるかもしれないが,NPB 編 成 担 当 者 が 外 国 人 選 手 に 求 めるのは,HR などの 長 打 力 である したがって,メジャーリーグ 通 算 HR 数 の 多 い 選 手 が 高 く 評 価 されるのは, 長 打 力 を 求 める NPB の 編 成 担 当 者 による 合 理 的 な 判 断 であるとむしろ 言 えるかもしれない 5. おわりに 本 論 文 では,プロスポーツチーム, 特 にアメリカのベースボールと 日 本 のプロ 野 球 のデータ を 用 いて,ベースボールから 野 球 という 同 じルールではあるが 質 の 異 なるスポーツリーグに 移 籍 する 外 国 人 選 手 のパフォーマンスを NPB の 編 成 担 当 者 がどのように 評 価 するかを 考 察 した まず, 第 3 節 において, 外 国 人 選 手 のアメリカでのパフォーマンス データと NPB 移 籍 1 年 目 のパフォーマンス データに 基 づき,パフォーマンス 決 定 モデルの 推 定 を 行 った その 結 果,NPB 移 籍 1 年 目 での OBP に 最 も 影 響 を 及 ぼすアメリカでのパフォーマンスは,3A 通 算 の 平 均 OBP となった これは,NPB 移 籍 前 年 の OBP およびメジャーリーグでの OBP のよ うな 短 いスパンでのパフォーマンスではなく,3A 通 算 の 平 均 OBP のような 長 いスパンでのパ フォーマンスがその 選 手 の 真 の 能 力 を 表 わすシグナルとなることを 意 味 している 次 に, 第 4 節 において, 外 国 人 選 手 のアメリカでのパフォーマンス データと NPB での 契 約 年 俸 データに 基 づき, 年 俸 決 定 モデルの 推 定 を 行 った その 結 果, 外 国 人 選 手 の NPB での 契 約 年 俸 に 最 も 影 響 を 及 ぼすアメリカでのパフォーマンスは,メジャーリーグ 通 算 HR 数 と 移 籍 前 年 にメジャーリーグに 所 属 していることであった これは,NPB の 編 成 担 当 者 が 外 国 人 選 手 と 契 約 する 際,これらの 情 報 が 強 く 印 象 として 記 憶 に 残 っており, 想 起 しやすいが 故 に 影 響 を 及 ぼしたと 考 えられ, 利 用 可 能 性 ヒューリスティックスがスポーツ 選 手 の 評 価 においても 観 察 されることを 示 した 本 論 文 に 残 された 今 後 の 課 題 は 次 の 通 りである 第 1の 課 題 は, 最 大 サンプル 数 88 個 の 下 で -39-
15 福 山 博 文 回 帰 分 析 を 行 った 結 果 で 解 釈 を 行 っている 点 である 2001 年 から2013 年 までのデータを 利 用 し たが,88 個 のデータしか 集 めることができず, 各 モデルの 決 定 係 数 も 低 い 値 となった 統 計 分 析 の 精 度 を 高 めるためにももっと 過 去 にさかのぼってサンプル 数 を 増 やす 必 要 があるかもしれ ない 第 2の 課 題 は, 本 論 文 では, 先 行 研 究 に 従 い,チームの 勝 率 に 最 も 貢 献 するパフォーマ ンス 指 標 として OBP を 利 用 したが,NPB の 各 チームは 外 国 人 選 手 には 長 打 力 を 期 待 して 獲 得 する 傾 向 にあるので,OBP と SLP を 足 した OPS(On-base Plus Slugging)のような 長 打 力 も 考 慮 したパフォーマンス 指 標 を 利 用 してみるともっと 興 味 深 い 結 論 を 得 られるかもしれない 第 3の 課 題 は, 本 論 文 では 野 手 に 限 定 して 分 析 を 行 ったが, 投 手 に 関 して 同 じように 分 析 するの も 非 常 に 興 味 深 い 研 究 と 言 えるだろう 参 考 文 献 Baseball-Reference.com. Retrieved from Borland, J. and R.MacDonald (2003), Demand for Sport, Oxford Review of Economic Policy, 19, Burger, J.D. and S.J.K.Walters (2009), Uncertain Prospects: Rates of Return in the Baseball Draft, Journal of Sports Economics, 10(5), Castellanos, P., J.Garcia and J.M.Sanchez (2011), The Willingness to Pay to Keep a Football Club in a City: How Important are the Methodological Issues?, Journal of Sports Economics, 12(4), Deli, D. (2012), Assessing the Relative Importance of Inputs to a Production Function: Getting on Base Versus Hitting for Power, Journal of Sports Economics, 14(2), Fukuyama, H. and T. Naito (2013), Peak-End Effect in Salary Determination: The Case of Japanese professional Baseball, Discussion Papers in Economics and Sociology, No Hakes, L.K. and R.D. Sauer (2006), An Economic Evaluation of the Moneyball Hypothesis, Journal of Economic Perspectives, 20(3), Healy, A. (2008), Do Firms Have Short Memories? Evidence From Major League Baseball, Journal of Sports Economics, 9(4), 依 田 高 典 (2010), 行 動 経 済 学, 中 公 新 書 Leeds, M.A. and P.V.Allmen (2007), The Economics of Sports, Pearson Education.( 大 坪 正 則 ( 監 訳 ), 佐 々 木 勉 ( 訳 ) スポーツの 経 済 学, 中 央 経 済 社,2012 年 ) プロ 野 球 名 鑑,(2001 年,2002 年,2003 年,2004 年,2005 年,2006 年,2007 年,2008 年,2009 年, 2010 年,2011 年,2012 年,2013 年 ), ベースボール マガジン 社 友 野 典 男 (2006), 行 動 経 済 学 経 済 は 感 情 で 動 いている, 光 文 社 新 書 原 稿 受 領 日 : 平 成 25 年 10 月 2 日 ;Received 2 October 2013 掲 載 受 理 日 : 平 成 25 年 11 月 12 日 ;Accepted 12 November
った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる
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