平成22年度地球環境適応型・本邦技術活用型産業物流インフラ整備事業,一般案件に係る円借款案件形成等調査及び民活インフラ案件形成等調査,一般案件に係る円借款案件形成等調査,インドネシア・フルライス地域地熱発電開発調査

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1 平成 22 年度一般案件に係る円借款案件形成等調査 インドネシア フルライス地域地熱発電開発調査報告書 平成 23 年 3 月 経済産業省委託先 : 新日本有限責任監査法人独立行政法人日本貿易振興機構西日本技術開発株式会社

2 まえがき 本報告書は 新日本有限責任監査法人から西日本技術開発株式会社が平成 22 年度の事業 として受託した 一般案件に係る円借款案件形成等調査 の成果をとりまとめたものです 本調査 インドネシア フルライス地域地熱発電開発調査 は インドネシア スマトラ島单部フルライス地域において 110MW 規模の地熱発電開発事業を実施するために 39,255 百万円かけて地熱資源開発 地熱流体輸送設備建設 地熱発電所建設および送電線建設を実施するプロジェクトの実現可能性を調査したものです 本報告書が上記プロジェクト実現の一助となり 加えて我が国関係者の方々のご参考に なることを希望します 平成 23 年 3 月 西日本技術開発株式会社

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4 調査対象地域位置図 ( 出典 :SNC 調査団作成 )

5 略語一覧 ADB : Asian Development Bank アジア開発銀行 AfD : Agence Française de Développement フランス開発庁 AMDAL : Analisis Mengenai Dampak Lingkungan 環境影響評価 ANDAL : Analisis Dampak Lingkungan 環境影響評価書 ASEAN : Association of South East Asian Nations 東单アジア諸国連合 BAPEDAL : Badan Pengendalian Dampak Lingkungan インドネシア環境管理庁 BAPPENAS : Badan Perencanaan Pembangunan Nasional インドネシア国家開発企画庁 BI : Bank Indonesia インドネシア銀行 BPS : Badan Pusat Statistik (Stastics Indonesia) インドネシア統計局 CDM : Clean Development Mechanism クリーン開発メカニズム CFC : Chlorofluorocarbon クロロフルオロカーボン CO 2 : Carbon dioxide 二酸化炭素 ( 炭酸ガス ) CSAMT : Controlled Source Audio-frequency Magneto Telluric method 人工信号源可聴周波数域地磁気地電流法 EBRD : European Bank for Reconstruction and Development 欧州復興開発銀行 EIA : Environmental Impact Assessment 環境影響評価 EIRR : Economic Internal Rate of Return 経済的内部収益率 EPC : Engineering Procurement and Construction エンジニアリング 資機材調達 建設工事 ES : Engineering Service エンジニアリングサービス FCRS : Fluid Collection and Reinjection System 地熱流体輸送設備 FIRR : Financial Internal Rate of Return 財務的内部収益率 FS : Feasibility Study 実施可能性調査 GDP : Gross Domestic Product 国内総生産 GSF : Great Sumatra Fault 大スマトラ断層 HFC : Hydrofluorocarbon ハイドロフルオロカーボン IADB : Inter-American Development Bank 米州開発銀行 IDR : Indonesian Rupiah インドネシアルピア IPCC : Intergovernmental Panel on Climate Change 気候変動に関する政府間パネル IPP : Independent Power Producer 独立系発電事業者

6 JBIC : Japan Bank International Cooperation 独立行政法人国際協力銀行 JICA : Japan International Cooperation Agency 独立行政法人国際協力機構 KfW : Kreditanstalt für Wiederaufbau ドイツ復興金融公庫 KLH : Kementerian Negara Lingkungan Hidup インドネシア人口環境省 LH : Kantor Menteri Negara Lingkungan Hidup インドネシア環境省 LNG : Liquefied Natural Gas 液化天然ガス LPG : Liquefied Petroleum Gas 液化石油ガス MEMR : Ministry of Energy and Material Resources エネルギー鉱物資源省 MHI : Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. 三菱重工業 ( 株 ) MOF : Ministry Of Finance 財務省 MT : Magneto-Telluric method MT 法電磁探査 MWe : Megawatt electric 電気出力メガワット NCG : Non Condensable Gas 非凝縮性 ( 不凝結 ) ガス NEDO : New Energy and Industrial Technology Development Organization 独立行政法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 NEP : National Energy Policy 国家エネルギー政策 NPV : Net Present Value 正味現在価値 O&M : Operation & Maintenance 運転 保守 ODA : Official Development Assistance 政府開発援助 OJT : On-the-Job Training 職場内訓練 OPEC : Organization of the Petroleum Exporting Countries 石油輸出国機構 PPLH : Pusat Pendidikan Lingkungan Hidup 開発環境省 PQ : Pre Qualification 事前資格審査 PT. PGE : PT. Pertamina Geothermal Energy プルタミナ地熱エネルギー社 PT. PLN : PT. Perusahaan Umum Listrik Negara (Persero) インドネシア電力会社 RKL : Rencana Pengelolaan Lingkungan Hidup 環境管理計画 RPL : Rencana Pemantauan Lingkungan Hidup 環境モニタリング計画 RUPTL : Rencana Usaha Penyediaan Tenaga Listrik PLN 電力長期計画 SNC : Ernst & Young ShinNihon LLC 新日本有限責任監査法人 STEP : Special Term for Economic Partnership 本邦技術活用条件 TDEM : Time Domain Electro Magnetic 時間領域電磁探査 TOE : Ton of Oil Equivalent 石油換算トン UKL : Upaya Pengelolaan Lingkungan 環境マネジメントプラン UPL : Upaya Pemantauan Lingkungan 環境モニタリングプラン

7 US : United States of America アメリカ合衆国 WACC : Weighted Average Cost of Capital 加重平均資本コスト WB : World Bank 世界銀行 WKP : Geothermal Working Area 地熱ワーキングエリア WS : Work Shop ワークショップ

8 地名表記対照表 州県市郡村山川湖ブンクルフルライスルボンクタフンルムットブリティブサールコレンパブアルパブスティガレカットレサムムバイチュグチョゴンタンバンサワスバングレゴスバンアグンスマラコムアラアマンテストゥランテラランプンドゥバダロ Propinsi (Provinsi) Kabpaten Kota Kecamatan Desa Gunung (G.), Bukit (Bt.) Sungai (S.), Air (A.) Danau (D.) Bengkulu Hululais Lebong Ketahun Lumut Beritibesar Koleng Pabuar Pabus Tiga Lekat Resam Mubai Cuguk Cogong Tambang Sawah Suban Gregok Suban Agung Semalako Muaraaman Tes Turanlalang Punduk Badaro

9 目次 要約 第 1 章相手国 セクター等の概要... 1 (1) 相手国の経済 財政事情 インドネシア国概要 政治 経済事情 エネルギー事情... 4 (2) プロジェクトの対象セクターの概要 インドネシア国電力セクター インドネシア国の電力需給の現状 インドネシア国の地熱開発の現状と動向... 7 (3) 対象地域の状況 インドネシア国ブンクル州の社会的状況 スマトラ島の電力需給状況 第 2 章調査方法 (1) 調査内容 調査内容 調査対象地点 (2) 調査方法 体制 調査方法 調査体制 (3) 調査スケジュール 第 1 回現地調査 第 2 回現地調査 現地調査における面談者 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 (1) プロジェクトの背景 必要性等 (2) プロジェクトの内容等決定に必要な各種検討 プロジェクトの政府開発計画との関係 事業化の優先度等 プロジェクトの内容を決定する際に検討が必要な事項 (3) プロジェクトの計画概要 技術的手法の検討 プロジェクトの内容 概念設計および適用設備の仕様... 76

10 (4) 提案技術 システムを採用するに当たっての課題およびその解決策 地熱発電開発の手順と地熱資源開発のリスク低減 フルライス地点における課題とその解決策 第 4 章環境社会的側面の検討 (1) 環境社会面における現状分析 既存条件の分析 現状分析 将来予測 ( プロジェクトを実施しない場合 ) (2) プロジェクトの実施に伴う環境改善効果 プロジェクトの環境改善効果 CDM プロジェクトとしての可能性 (3) プロジェクト実施に伴う環境社会面への影響 環境社会配慮項目 提案したプロジェクトとそれ以外の環境社会影響のより小さい選択肢との比較検討 実施機関との協議結果 (4) 相手国の環境社会配慮関連法規の概要 プロジェクト実施に関係する環境社会配慮関連法規の概要 プロジェクトの実施に必要となる相手国の EIA 等の内容 (5) プロジェクトの実現のために当該国 ( 実施機関その他関係機関 ) が成すべき事項 第 5 章財務的 経済的実行可能性 (1) 事業費の積算 事業費の構成 通貨および為替レート 事業費 資金調達計画 (2) 予備的な財務 経済分析の結果概要 財務分析結果 経済分析結果 総合評価 第 6 章プロジェクトの実施スケジュール 第 7 章相手国実施機関の実施能力 (1) 相手国実施機関の概要 PT. PGE の概要 PT. PLN の概要

11 (2) 相手国におけるプロジェクト実施のための組織体制 PT. PGE PT. PLN (3) 相手国実施機関の能力評価と ( 不十分な場合は ) 対応策 PT. PGE PT. PLN 第 8 章我が国企業の技術面等での優位性 (1) 対象プロジェクト ( 設備 商品 サービス別 ) における日本企業の国際競争力と受注の可能性 (2) 日本から調達が見込まれる主な資機材の内容および金額 (3) 我が国企業の受注を促進するために必要な施策 第 9 章プロジェクトの資金調達の見通し (1) 相手国政府 機関の資金調達に関する考え方 (2) 資金調達に伴う関連機関の動向 (3) 提案プロジェクトに関する資金調達の見通しおよび円借款要請の現状 可能性 第 10 章円借款要請に向けたアクションプランと課題 (1) 円借款要請に向けた取り組み状況 (2) 今後の円借款要請 供与に向けて必要となる措置 (3) 円借款要請に向けた具体的なアクションプランと課題

12 図目次 図 1-1 インドネシア全図... 2 図 1-2 インドネシアの GDP 推移... 3 図 1-3 近年の交換レート推移... 4 図 1-4 インドネシアにおける火山と主要地熱地帯の分布 図 1-5 スマトラ島の大構造と主要地熱地点 図 1-6 ジャワ島の大構造と主要地熱地点 図 1-7 スマトラ島の送電線網 図 1-8 スマトラ系統の電力需給バランス (2010~2019 年 ) 図 2-1 フルライス地域地熱発電開発の全体工程 図 2-2 調査対象位置図 図 2-3 調査スケジュール 図 3-1 地熱開発ロードマップと Crash Program II 図 3-2 フルライス地域位置図 図 3-3 フルライス地域地質図 図 3-4 フルライス地域の温泉 噴気分布図 図 3-5 温泉水の主要陰イオン三成分図 図 3-6 温泉水の水の水素同位体比 - 酸素同位体比関係図 図 3-7 フルライス地域ブーゲー異常図 図 3-8 フルライス地域シュランベルジャー法見掛比抵抗分布図 図 3-9 フルライス地域 MT 法電磁探査測点配置図 図 3-10 MT 法解析結果実測データとモデル応答の比較図 図 3-11 MT 法解析結果比抵抗分布図 ( 深度 325m) 図 3-12 MT 法解析結果比抵抗分布図 ( 深度 675m) 図 3-13 MT 法解析結果比抵抗分布図 ( 深度 1,375m) 図 3-14 断層分布と深度 325m における比抵抗分布 図 3-15 地熱有望範囲推定図 図 3-16 地熱概念モデル 図 3-17 フルライス地域地熱資源量モンテカルロ解析結果 図 3-18 生産井の噴出特性推定結果 図 3-19 追加坑井数試算結果 図 3-20 発電所敷地および掘削基地配置図 図 3-21 掘削リグの標準配置図 図 3-22 地熱流体輸送還元設備の模式図 図 3-23 ブンクル州およびスマトラ单部送電系統図... 73

13 図 3-24 スマトラ单部送電系統卖線結線図 図 3-25 既設ぺカロンガン 150/70/20kV 変電所卖線結線図 図 3-26 資機材輸送ルート 図 3-27 生産井および還元井の坑井仕様 ( ケーシングプログラム ) 図 3-28 地熱流体輸送設備レイアウト 図 3-29 地熱流体輸送概略系統 図 3-30 発電所レイアウト 図 3-31 シングルフラッシュ発電系統図 図 3-32 地熱発電開発の一般的な手順 図 3-33 発電所位置想定範囲図 図 4-1 PT. Pertamina の地熱ワーキングエリア 図 4-2 フルライス地熱地域の開発計画 図 4-3 フルライス地熱発電開発計画図 図 4-4 フルライス地熱発電送電線計画図 図 5-1 割引率別平均エネルギーコスト 図 5-2 蒸気卖価に対するに対する PT. PGE 蒸気供給事業 FIRR 感度 図 5-3 売電卖価に対する PT. PLN 発電事業 FIRR 感度 図 5-4 代替プロジェクト建設卖価感度分析 図 5-5 石炭価格感度分析 図 6-1 プロジェクトの実施スケジュール 図 6-2 発電部門のプロジェクトスケジュール (2014 年末までに蒸気供給された場合 ) 図 7-1 PT. PGE 組織図 図 7-2 PT. PLN 組織図 図 7-3 PT. PGE のプロジェクト実施体制 図 7-4 PT. PLN のプロジェクト実施体制 図 8-1 地熱発電プラントの世界における日本製品シェア

14 表目次 表 1-1 インドネシアにおける地熱資源量の見積もり 表 1-2 インドネシアの地熱発電所 表 1-3 スマトラ系統の発電設備容量 (2009 年 ) 表 1-4 スマトラ系統の電力需給バランス (2010~2019 年 ) 表 2-1 調査実施体制 表 2-2 第 1 回現地調査行程表 表 2-3 第 2 回現地調査行程表 表 2-4 面談者リスト 表 3-1 インドネシアにおける主要な地熱開発プロジェクトの事業者 表 3-2 事業化可能性調査地点選定基準 表 3-3 温泉水 噴気の化学成分分析結果 表 3-4 噴気の化学組成と地化学温度計算結果 表 3-5 坑井シミュレータ入力パラメータ 表 3-6 追加坑井数試算結果 表 3-7 地熱発電方式の比較 表 3-8 発電所 坑井基地およびアクセス道路の規模 表 3-9 補充井掘削計画 表 4-1 調査地域における平均的気象条件 表 4-2 調査地域の野生動物 表 4-3 各村の人口 地域面積 人口密度 男女比 (2007 年 ) 表 4-4 算出条件 表 4-5 CO 2 原油変換による排出量削減効果 表 4-6 CDM プロジェクトとしての CO 2 排出量削減効果 表 4-7 本プロジェクトにおける現時点で想定される調査項目 表 4-8 現時点で予想される環境影響項目の選定理由 表 4-9 環境の現状と地熱発電 火力発電の比較 表 4-10 硫化水素の環境基準 表 4-11 硫化水素ガスに係わる排出規制値 ( 固定発生源 ) 表 4-12 水質環境基準 (Ⅰ 類型 飲料水として飲用できる ) 表 4-13 排水基準 表 4-14 騒音に関する環境基準 表 4-15 振動に関する環境基準 表 4-16 森林地域の区分 表 4-17 発電所計画及び AMDAL 対象規模

15 表 5-1 為替レート エスカレーション 表 5-2 事業費積算総括表 表 5-3 事業費調達条件 表 5-4 蒸気供給事業 (PT. PGE) 資金調達計画および機会費用 表 5-5 地熱発電事業 (PT. PLN) 資金調達計画および機会費用 表 5-6 割引率別平均エネルギーコスト 表 5-7 FIRR 計算結果 表 5-8 PT. PGE: FIRR 計算書 表 5-9 PT. PGE: 返済計画表 表 5-10 PT. PGE: キャッシュフロー 表 5-11 PT. PLN: FIRR 計算書 表 5-12 PT. PLN: 返済計画表 表 5-13 PT. PLN: キャッシュフロー 表 5-14 プロジェクト EIRR( 送電線を含む ) 表 5-15 プロジェクト EIRR( 送電線を含まず ) 表 5-16 経済 財務評価総括表 表 7-1 PT. PLN 事業概要

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17 要約 (1) プロジェクトの背景 必要性 インドネシア政府は 急増する電力需要に対応するために電力開発を急いでいるが 電源の多様化や再生可能エネルギーの開発にも重点を置いている 再生可能エネルギーの開発のために インドネシア政府は 10,000 MW 開発計画 Crash Program II を進めている この計画では 全体の開発量の約 35% にあたる 3,583 MW が地熱発電で賄われる予定である フルライス地熱発電事業は この Crash Program II の主要な事業の一つである インドネシア政府は本事業を ODA による支援で実現したいとしている 本地域での地熱発電開発の実現を目指し PT.PGE は本調査の実施を要望した 当該地域の地熱発電開発の円借款事業化を円滑に進めるために 本調査で情報を収集し 地熱資源の評価 開発状況や事業概要の把握を行うこととなった 早期に支援を実現するためは ES 借款による支援からスタートするのも一つの方法と考えられることから これも考慮し 円借款で支援するのに適切な事業かどうか検討した (2) プロジェクトの内容決定に関する基本方針 PT. PGE はフルライス地域での地熱発電開発を計画している このプロジェクトでは 蒸気開発部門を PT. PGE が担当し 発電 送電部門を PT. PLN が担当する計画となっている 当該地域における地熱資源探査は PT. PGE により既に実施されている しかし 坑井掘削の実績はなく 2010 年の 12 月に1 本目の調査井掘削が開始された段階である 現在得られている地熱資源に関するデータには 直接的に地下貯留層の状況を示すものがないため 今回はモンテカルロ解析手法を適用した容積法により当該地点の地熱資源ポテンシャルを見積もった その結果 確率 98% のレベルで見ると 125MWe 以上のポテンシャルを有すると判断された ただし プロジェクトを進めるに当たっては 複数の調査井掘削ならびに掘削結果に基づく地熱資源量評価を行うとともに当該地域における地熱資源の性状を確認し その結果に基づく事業化可能性調査 (FS) 調査が必要と判断される 発電設備の設計に不可欠な地熱資源の性状が不明確なため 調査井掘削の結果によっては 発電所計画案は見直されることも考慮される (3) プロジェクトの概要 フルライス地点に賦存されている地熱資源は 250 以上の高温熱水が期待されることから 蒸気発電を適用することで検討した 不確定要素が多いため 発電方式を含む詳細検討は地熱資源調査ならびに地熱資源量評価の結果を待つ必要があるが 現時点で想 i

18 定されるプロジェクトの概要は以下のとおりである < 地熱資源開発 > 生産井基地および還元井基地の敷地造成 アクセス道路の建設 生産井および還元井の掘削 < 地熱流体輸送設備建設 > < 蒸気発電方式 110MW 地熱発電所建設 > < 送電線建設 > なお 本プロジェクトは 蒸気供給部門 ( 地熱資源開発 地熱流体輸送設備 ) を PT. PGE が 発電部門 ( 地熱発電所 送電線 ) を PT. PLN が行なうことで検討した (4) 環境社会的側面 本プロジェクトの主な環境改善効果としては 再生可能自然エネルギー利用による発電としての二酸化炭素発生抑制効果である 本プロジェクトによって 年間 60 万トン程度の CO 2 排出量削減効果が見込まれる 原油換算 CDM ACM0002 年間発電量 (GWh/ 年 ) 排出係数 (t-co 2 /MWh) 年間排出削減量 (t-co 2 / 年 ) 670, ,889 現地調査結果 プロジェクトの特徴等を踏まえてプロジェクトが事業化される際に 環境社会配慮が適切に行われるために現時点で想定される調査項目を選定した 現時点で考えられる本調査の後の開発調査で必要な環境社会配慮項目を以下に示す 項目 地熱資源 発電所 送電線 大気汚染 -B -A N 騒音 振動 -B -A N 水質汚染 -A -A -A 土壌汚染 -B N N 廃棄物 -A -A N 地盤沈下 -A N N 悪臭 -B -A N 地形 地質 -A -A N 生物 生態系 -A -A -A 水利用 -B -A N 住民の移転 N N N 尐数民族 先住民 C C C 文化遺産 N N N 景観 N N N ii

19 雇用や生計手段等の地域経済 +A +A +A 土地利用や地域資源利用 +A +A +A 社会関係資本や地域の意思決定機関等の社会組織 C C C 既存の社会インフラや社会サービス +A +A +A 先住民の貧困 C C C 被害と便益の偏在 C C C 地域内の利害対立 C C C ジェンダー N N N 子どもの権利 N N N HIV/AIDS 等の感染症 N N N 温室効果ガス N +A N + : 正の影響 -: 負の影響 A : 深刻な影響が予想される C : 影響の有無が不明 B : 軽微な影響が予想される N : 影響が予想されない 本プロジェクトについて 実施機関である PT. PGE PT. PLN の実施責任者 自治体関係者および住民への聞き取り調査を行った PT. PGE は既に環境影響評価 (AMDAL) を実施しており 環境影響評価書 ( ANDAL) 環境管理計画 (RKL) 環境モニタリング計画 (RPL) はレボン県から 2009 年 12 月 19 日付で承認されている また 地域社会への説明は 2008 年 10 月 19 日に実施されている 本プロジェクトにおける計画規模は以下に示す通りであり 環境省大臣令 No. 11(2006) に指定された規模より発電所は大きく AMDAL 対象事業に該当するが 送電線は該当しない 地点名計画規模 AMDAL 対象規模 フルライス 発電所 2 55MW 送電線 150kV 55MW >150kV 環境配慮に関して実施機関が今後なすべき事項は PT. PLN が下流開発 ( 発電所建設 ) に必要な環境影響評価を実施し 利害関係者への周知と情報公開を行うことである また 風向や風速などの気象データは 発電所の概念設計だけでなく 硫化水素の拡散予測にも必要なので 建設予定地点で最低 1 年間は観測する必要がある (5) 実施スケジュール 下図に JICA との ES 借款契約調印後からプロジェクト完了までの実施スケジュールを示す コンサルタントが選定され 生産井および還元井の掘削 地熱流体輸送設備の建設 (PT. PGE 担当 ) 地熱発電所建設 送電線建設 (PT. PLN 担当 ) などのサブ プロジェクトの調達が同時に開始され コントラクターが決定される 各サブ プロジェクトのコントラクターとの契約発効後 直ちに設計 製作 輸送 建設工事 試運転が実行され プロジェクトが完成 営業運転が開始される ES 借款契約から2 号機営業運転開始までは 62 カ月となる iii

20 Loan Application Pre-Construction Work (Incl. FS) PT. PGE 14 PT. PLN 23 Procurement Engineering Consultant for PT. PLN 9 Engineering Consultant for PT. PGE 9 Contractor for PT. PGE 9 Contractor for PT. PLN 9 Consulting Service ACTIVITY No.of Months PT. PGE 40 PT. PLN ES L/A Project L/A Construction PT. PGE PT. PGE Drilling & Testing 23 FCRS 24 PT. PLN Power Plant 38 Transmission Line 22 Unit 1 Unit 2 Warranty Period 26 (6) 円借款要請 実施に関するフィージビリティ 本プロジェクトは大統領発令の Crash Program II にも含まれた国家プロジェクトであり 電力需要が逼迫しているスマトラにおける重要な電力開発プロジェクトであるとともに インドネシア固有のエネルギーである貴重な地熱資源を有効に利用し 輸出に回される化石燃料を節約し 環境的にも優れたプロジェクトである また 下記経済 財務総括表の通り 円借款を使うことによる財務的 経済的な実行可能性が高く示されており インドネシア国として実施すべき優良プロジェクトであると判断される ( ただし 本経済財務評価に用いた各種パラメータ ;55 MW 2の地熱発電を維持する生産井 還元井本数 所内比などは現在 PT. PGE にて掘削中の調査井の噴出試験結果により変化する可能性があり その結果に基づいた詳細な再検討が必要である ) 事業名 フルライス 55MW 2 地熱発電事業 区分蒸気供給事業地熱発電事業 事業者 PT. PGE PT. PLN 事業費百万円 (MUS$) 17,693 百万円 ( M$) 21,562 百万円 ( M$) 総事業費百万円 (MUS$) 発電量 39,255 百万円 ( M$) GWh/ 年 石炭燃料節約量 424 百万 kg, M$ CO 2 年間排出削減量 608,889 t-co 2 / 年 iv

21 蒸気 売電卖価 *1 4.3 cent/kwh 8.9 cent/kwh 機会費用 :FIRR (WACC) 10.71% (2.61%) 8.09% (2.34%) 社会的割引率 :EIRR* % キャッシュフロー NPV M$ M$ 財務 BC レシオ (12%) 経済 BC レシオ (12%) 1.14 *1: 投資額および 30 年間の年間運転維持経費より初年度の平均 kwh 卖価と算定 *2: 代替火力を 70 MW 2 石炭火力として算定 (7) 我が国企業の技術面での優位性 本プロジェクトでは 地熱資源の調査 開発から発電所建設までの支援をインドネシア側は要望している 本邦企業の地熱発電開発分野での競争力は高く 事業計画が円滑に進めば 地熱資源調査 資源 ( 蒸気 ) 開発 発電所建設 発電機器納入等の受注に繋がる可能性は高い 本プロジェクトの最初の段階である資源調査 資源開発では 本邦企業はコンサルタント業務を受注できる可能性がある 発電機器の納入 発電所建設は EPC として発注されることから 機器メーカー 商社が受注する可能性がある 地熱発電プラントの分野では 日本のメーカー ( 三菱重工 富士電機システムズ 東芝 ) は 発電機器の開発から建設 運転 保守点検の分野において多くの実績を有しており 世界をリードしている 日本製地熱発電プラントは世界規模で 70% を越える高いシェアを有している インドネシア国内の既存地熱発電プラントは 合計 18 ユニットあるが そのうち 6 割以上に当たる 11 ユニット また 総設備容量の 7 割以上に当たる 690 MW の地熱発電設備を日本の重電メーカーが受注している 最近のもの (1995 年以降 ) だけに限れば 本邦製はユニット数比でほぼ 9 割 設備容量比では 9 割 5 分以上に達し 本邦製機器の独占に近い状態にある 本邦企業は 地熱発電事業では他の先進諸国に比して優位にある (8) 案件実現までの具体的スケジュール及び実現を阻むリスク 円借款による発電所建設のための支援を実現するには FS の実施が不可欠である このための地熱資源に関する情報は PT.PGE の調査井掘削により収集される予定である FS は ES 借款や自己資金等により PT.PLN や PT.PGE によりそれぞれ早期に実施する必要が v

22 ある ES 借款を利用して FS を考慮した 今後のアクションとしては 1 ES 借款の締結もしくはインドネシア側調査資金の準備 2 FS のためのコンサルタント選定 3 FS の実施 4 調査結果を用いた円借款審査準備 5 円借款審査 (JICA) 6 円借款締結となる この一連のアクションは 2011 年末までに実施される円借款審査以前に行う必要がある 現在掘削作業中の PT. PGE による3 本の調査井によって地熱資源の確認や特性 ( 蒸気条件 ) データ取得ができなかった場合には 円借款の実現が発電所建設工事等の全体のスケジュールが遅れることとなる また FS が資金的や技術的な理由により実施出来なかった場合にも 事業化できなかったり スケジュールが遅れたりすることになる vi

23 第 1 章相手国 セクター等の概要 第 1 章相手国 セクター等の概要 (1) 相手国の経済 財政事情 1. インドネシア国概要インドネシアの国土は日本の約 5 倍の面積を有し 東西約 5,110km 单北約 1,880km に及び 18,110 の島々からなる世界最大の島嶼国家である 人口は 中国 インド 米国に次いで世界第 4 位であり 総人口の 6 割が全国土面積の約 7% に過ぎないジャワ島に集中している 以下にインドネシアの基本データをまとめた 大統領 : スシロ バンバン ユドヨノ (2004 年 10 月から 任期 5 年 二期目 ) 独立 : 1949 年 12 月 27 日 ( オランダから ) 人口 : 約 2.31 億人 (2009 年政府推計 ) 位置 面積 : 单東アジア 約 189 万 km 2 主要都市 : ジャカルタ ( 首都 ) スラバヤ バンドン メダン スマラン パレンバン言語 : インドネシア語 ( 公用語 ) 英語 オランダ語 ジャワ語などの方言 民族 : ジャワ系 (45%) スンダ系(14%) マドラ系(7.5%) マレー系(7.5%) その他 (26%) 宗教 : イスラム教 (88%) キリスト教(9%) ヒンズー教(2%) 仏教(1%) その他 (0%)( 世界最大のイスラム人口を有するが イスラム教は国教ではない ) 1

24 図 1-1 インドネシア全図 ( 出典 :The World Factbook, Central Intelligence Agency, US government) 2. 政治 経済事情インドネシアは 共和制の下 33 州から構成され 国家元首は大統領 ( 大統領は 国家元首であると共に行政府の長でもある ) 現大統領は 第 6 代目にあたり スシロ バンバン ユドヨノ (2014 年 10 月 20 日まで ) である 議会は 国民協議会 ( 憲法の制定及び改正 国民協議会決定の策定等 ) 国会( 立法機能 国家予算作成機能 政府に対する監視機能 ) 及び地方代表議会( 地方自治等に関する法案の提言 審議への参加 ) がある 国民議会は 国会議員 (560 人 ) と地方代表議会議員 (132 人 ) で構成される 1997 年 7 月に起こったアジア通貨危機において ASEAN 地域の中で最大の経済的影響を受け 1998 年の GDP 成長率はマイナス 13.13% と大幅に落ち込んだ その後 各種改革の実施により 経済は回復傾向にある GDP 成長率は 2003 年 4.5% 2004 年には 5.13% を達成した 2005 年以降 好調な個人消費と輸出に支えられ 5% 後半 ~ 6% 台の経済成長を達成 2007 年は 経済危機以降最高の 6.3% を記録 2008 年も欧米の経済危機による輸出の伸び悩み 国際金融危機の影響等から 同年第 4 四半期には 5.2% に減速したが 通年では 6.1% となり 前年同様 6% 台を維持 2009 年は政府の金融安定化政策 景気刺激策 堅調な国内消費により 世界的にも比較的高い成長率を維持しており 4.5% の成長を達成した 主な経済指標を以下に示す 2

25 第 1 章相手国 セクター等の概要 通貨卖位 : ルピア (IDR) 為替レート (2009 年 ): 1US ドル = 約 10,399 IDR 国内総生産 : 5,394 億ドル (2009 年 ) 実質 GDP 成長率 : 4.5%(2009 年 ) インフレ上昇率 : 4.8%(2009 年 ) 輸出 : 1,195 億ドル (2009 年 ) 輸入 : 843 億ドル (2009 年 ) 主要輸出製品 : 石油 ガス 電子機器 合板 織物 ゴム 主要輸出相手国 地域 : 日本 シンガポール アメリカ 中国 韓国 インド 台湾 マレーシア 主要輸入製品 : 機械 設備類 化学品 燃料 食料品 主要輸入相手国 : シンガポール 中国 日本 マレーシア 韓国 アメリカ タイ ( 出典 :The World Factbook, Central Intelligence Agency, US Government ) 兆ルピア 6,000 5,000 名目 GDP 図 1-2 インドネシアの GDP 推移 実質 GDP(2000 年物価換算 ) 4,000 3,000 2,000 1, 年 2009 年は暫定値 ( 出典 :BPS ホームページ ) 3

26 インドネシアルピア 図 1-3 近年の交換レート推移 18,000 16, 円 1 米ドル 1 ユーロ 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2, /1/1 2002/5/ /9/ /2/9 2006/6/ /11/6 2009/3/ /8/2 2011/12/15 年 ( 出典 :BI ホームページ ) 3. エネルギー事情インドネシアは東单アジアの国で最も人口の多い国で 世界でも 中国 インド アメリカに次ぐ第 4 位の人口を有する インドネシアは 1962 年に石油輸出国機構 (OPEC) に加盟したが 2004 年に石油の輸入国に転じた 2004 年におけるエネルギー消費量は 4.7 1,015Btus で その内訳は 石油が 53% ガスが 30% 石炭が 12% 地熱 太陽 風力 バイオマス 廃棄物発電などの再生可能エネルギーが 3% 水力が2% となっている a. 石油インドネシアは 2007 年 1 月現在 確認埋蔵量 43 億バレルの石油を保有している 産油量はここ十年 徐々に減尐している 2008 年の1 日当たりの平均石油生産量 (bbl/d) は 110 万 bbl/d であり このうちの 81% にあたる 85.6 万 bbl/d が原油である 石油生産量は 1998 年当時に比べ 35% 減尐している インドネシアの OPEC 割当量 1 日当たりの平均石油生産量 (bbl/d) は 145 万 bbl/d であり これはインドネシアの石油生産量を上回る値である また 4

27 第 1 章相手国 セクター等の概要 2006 年におけるインドネシアの石油消費量は 120 万 bbl/d であり インドネシアは わずかながら石油の輸入国となっている b. 天然ガスインドネシアには 2007 年 1 月現在 97 兆 8000 億 ft 3 (Tcf) の埋蔵量が確認されており インドネシアの天然ガス埋蔵量は 世界第 10 位 アジア- 太平洋地域では第 1 位である 埋蔵地域の 70% 程度は海域であり ナトゥア島 東カリマンタン 单スマトラ及び西パプアの沖合に主要な埋蔵地域がある 2004 年 インドネシアでは 2 兆 6000 億 ft 3 (Tcf) が生産され そのうち 1 兆 3000 億 ft 3 (Tcf) が消費された また 1 兆 2,000 億 ft 3 (Tcf) の液化天然ガス (LNG) が日本 韓国及び台湾へ輸出された インドネシアでは従来 天然ガスの用途の主目的を輸出用としてきたが 近年は石油生産量が減尐してきたため 石油代替として天然ガスを国内消費とする傾向が強くなった しかし 国内消費を増加させるには天然ガス流通インフラは不十分な状況にある c. 石炭採掘可能な石炭埋蔵量は 55 億トン弱と想定されており その 85% が褐炭及び亜瀝青炭である スマトラにはインドネシアの約 3 分の2の埋蔵量が見込まれており 残り3 分の1がカリマンタン ジャワ西部及びスラウェシに分布する 2004 年にはインドネシアで 1 億 4,200 万トン弱 (MMst) が生産された (2000 年比で 68% 増 ) 2004 年のインドネシアでの石炭消費量は 2400 万トン弱 (MMst) とほぼ横ばいである インドネシアは世界第 2 位の石炭輸出国で 2004 年の輸出量は 1 億 1,800 万トン弱 (MMst) である インドネシアは 2004 年 1 月に新たな石炭開発 利用計画を策定した これは 国内需要に対応するため また 石炭輸出量を長期的に増加させることを目的に石炭資源の開発を促進させることをねらいとしている (2) プロジェクトの対象セクターの概要 1. インドネシア国電力セクターインドネシアは 1997 年のアジア経済危機の際に ASEAN 諸国の中でも最も大きな影響を受けた しかしながら インドネシアの経済状況は 経済危機後の様々な政策改革や国内外の投資に支えられて大きく改善した 今日では同国の経済は着実に拡大しており 電力需要も急速に伸びている 2009 年には国全体での電力需要のピークは 24,069 MW に達し 前年度に比べて 5.1% 増加している 2009 年のエネルギー需要量 5

28 は TWh を記録し 前年度に比べて 4.3% 増加している 2010 年の 国家電力開発計画 ( RUPTL ) では 同国の電力需要のピークは年間平均 9.5% の割合で増加し 2019 年には 59,863 MW に達すると予測されている 電力量については電力需要のピークよりも高い割合で増加し 2019 年には 334.4TWh に達するものと予測されている インドネシアの電力セクターでは エネルギーの安定供給のために需要に見合うように発電所を建設することが緊急課題のひとつである ジャワ -バリ系統における電力需要は国全体の 78.2% を占めるため この系統内での発電所建設が最重要である このため インドネシア政府は ジャワ -バリ系統に対して 10,000MW の開発を行なう目的で大統領令として Crash Program を 2006 年に公布している 現在 このプログラムを履行する作業が進められている さらに 地方電化や地方経済の拡大に伴って電力需要は急速に増加するため ジャワ -バリ系統以外の系統の電力開発も重要である このため インドネシア政府によって 2010 年に Crash Program の第二弾が公布された このプログラムは ジャワ-バリ系統以外の系統に対して 10,000MW の開発を行なうものである ジャワ -バリ系統以外の系統の発電設備は IPP による地熱発電設備を主とする再生可能エネルギーで開発を進めることとしている インドネシア国の電力セクターが直面している別の緊急課題は エネルギー源の多様化である 原油の高騰を考慮すれば 発電コストの抑制と安定したエネルギー供給のためにはエネルギー源としての石油依存率を低下させる必要がある このため インドネシア政府は 国家エネルギー政策 (National Energy Policy: NEP) を 2002 年に策定し 2020 年までに一次エネルギーの 5% 以上を再生可能エネルギーでまかなう目標を立てている この目標達成のために 政府は同国内に豊富に賦存する地熱エネルギーに重要な役割を与えている 2. インドネシア国の電力需給の現状 2009 年の電力需要 ( 販売電力量 ) は TWh であった この TWh の電力需要に対し 30,320MW の発電設備で対処した 発電設備の内訳は 汽力 11,700MW(38.6%) ガスコンバインドサイクル発電 7,521MW(24.8%) 水力 3,648MW(12.0%) ディーゼル 2,619MW(8.6%) ガスタービン 3,116MW(10.3) 地熱 1,105MW(3.6%) となっている 2009 年には 契約口数が 4,100 万口で 2005 年に比較して 16% の増加となっている 電力に対する潜在的需要家がいるのでそれに見合う電力供給ができるならば契約口数は今まで以上に伸びると見込まれる インドネシアの国内の電力系統は 連携された電力系統と孤立した電力系統との二つに分類することが可能である ジャワーマドゥラーバリ (Java-Madura-Bali) 系統は 既に十分に開発が進められ 超高圧送電網 (500kV) により連系された電力系統を形成している スマトラ (Sumatra) 系統は单北に走る 150kV の送電網で繋がって 6

29 第 1 章相手国 セクター等の概要 いる しかしながら 送電線の長さに対し系統電圧が 150kV と比較的低いので スマトラ島の電力系統は北と单でそれぞれ独立して運用されている この 2 系統以外の電力系統は相対的に開発が遅れており 各系統の連携は不十分である これらの電力系統は小規模な系統と系統から孤立したさらに小さな系統から構成となっており 独立 孤立した地域が依然として多く存在している 発電設備の系統別分布をみるとジャワーマドゥラーバリ系統に 22,906MW(75.7%) の設備が集中し ついでスマトラ系統に 4,598MW(15.2%) の設備が存在し 両系統で全体の 90.7% を占めている 3. インドネシア国の地熱開発の現状と動向インドネシアは世界でも有数の地熱資源保有国である 火山国である日本と同様に インドネシアはプレート境界近くに位置している すなわち インドネシアのスマトラ島からジャワ島を経てヌサテンガラ諸島へいたる島々の单側には スンダ海溝からジャワ海溝を経てティモールトラフへ至る海溝 トラフがあり 総延長 7,000km にも達するユーラシアプレートとインド-オーストラリアプレートとのプレート境界となっている ( 図 1-4) このプレート境界に随伴した数多くの活火山がスマトラ島からヌサテンガラ諸島にかけて海溝とほぼ平行に分布している これらの火山列に伴って スマトラ島やジャワ島 ヌサテンガラ諸島などに数多くの高温地熱系が形成されている ( 図 1-4 及び表 1-1) また フィリピン海プレートとユーラシアプレートとのプレート境界となっているフィリピン海溝に近いスラウェシ島やモルッカ諸島にも火山列が認められ これらの火山列に沿っても数多くの高温地熱系が形成されている なお この火山列はフィリピン海溝に沿って北側に位置するフィリピンのミンダナオ島 レイテ島 ルソン島へと連なっており トンゴナンやバクマンなど多くの高温地熱地帯が形成されている スマトラ島では 北西 - 单東方向に延びるスンダ海溝とほぼ平行に大スマトラ断層 (Great Sumatra Fault, GSF) と呼ばれる大構造線が北西から单東に島を縦断している ( 図 1-5) この断層は右横ずれ断層( 断層の東側が西側に対して单東方向にずれている ) である スマトラ島内の火山は 大局的に見ると この断層にほぼ沿って北西から单東に連なるように分布している ( 詳細に見れば 北東 - 单西方向の火山列が北西 - 单東方向に配列しており 全体としては 北西から单東に火山が配列しているように見える このような火山の配列は プレート境界に位置している弧状列島に特徴的な配列である ) また サルーラやルムットバライ ウルブルなどの地熱地帯もこの断層沿いの火山群に伴われるように分布している なお 大スマトラ断層沿いの地熱地帯の大部分では 地熱貯留層が主として断層に関連した割れ目に形成されている これまでに 坑井で確認されている貯留層は比較的高い透水性を持っており 坑井 1 本から生産される蒸気量が比較的多い 7

30 スンダ海溝はジャワ島の单側で西北西 - 東单東方向のジャワ海溝に連なっている ジャワ島では スマトラ島とは異なり 大スマトラ断層のような大構造線は認められていない 火山の配列を見ると 全体としてジャワ海溝とほぼ平行に西北西 - 東单東方向に連なっており 地熱地帯もこの火山列に沿って分布している ( 図 1-6) インドネシアにおける主要な地熱発電所が建設されている西ジャワ州の地熱地帯 ( カモジャンやワヤンウィンドゥなど ) では 熱水貯留層の上に蒸気卓越型貯留層が比較的大規模に発達している 主要な生産井はこの蒸気卓越型貯留層から蒸気を生産している このため 蒸気生産に伴って生産される熱水の量は比較的尐なく 必要となる還元井の数が尐ないという特徴を持っている インドネシアでは 地熱開発有望地域として 265 地域が抽出されている この有望地域の中で高温が確認されているのは 70 地域である 2000 年には高温が確認されている有望地域のうち 24 地域で坑井掘削が行われ 20,000MW のポテンシャルが見積もられた 現在 15 地点で開発が進められており 確認されたポテンシャルは 2,250MW である インドネシアにおける既設地熱発電所は 表 1-2に示すようにスマトラ島の北スマトラ州にあるシバヤク地熱発電所 ( 設備容量 12MW) ジャワ島の西ジャワ州にあるカモジャン地熱発電所 ( 設備容量 200MW) サラク地熱発電所 ( 設備容量 376.8MW) ダラジャット地熱発電所 ( 設備容量 257.8MW) ワヤンウィンドゥ地熱発電所 ( 設備容量 227MW) 中部ジャワ州にあるディエン地熱発電所 ( 設備容量 60MW) 及びスラウェシ島の北スラウェシ州にあるラヘンドン ( 設備容量 60MW バイナリー発電プラントを除く ) である この発電設備容量は全ポテンシャルの 4% 程度にすぎない なお スマトラ島のサルーラやルムットバライ ウルブル ジャワ島のパトゥーハ ( 西ジャワ州 ) では地熱発電所建設を目指した地熱開発が進められており ジャワ島のカモジャン ワヤンウィンドゥ ディエン スラウェシ島のラヘンドンでは増設計画が進められている インドネシアの国内経済はアジア通貨危機から脱却し 順調な回復 発展を遂げている このため 国内エネルギー需要も増大しているが 他方で 既存油田の生産力低下 設備の老朽化などから 石油供給力は低下している このような事態に危機感を抱いたインドネシア政府は 石油依存体質からの脱却を図るため エネルギーの多様化 国産エネルギーの開発促進を図ることとした このため 2002 年には 国家エネルギー計画 (National Energy Policy: NEP) を策定し 2020 年までにエネルギー利用の5% 以上を再生可能エネルギーにより供給することを目標とした さらに 2006 年には 国家エネルギー政策に関する大統領令 (2006 年第 5 号 ) の発布し 国家エネルギー政策を大統領令という形でより高レベルの国家政策に位置づけた 一方 これと並行して インドネシア政府は内外の民間企業の地熱開発への参加を促進するため 2003 年に初めて 地熱法 を制定し 地熱開発ための法制度を明確化した また エネルギー鉱物資源省では国家エネルギー計画を具 8

31 第 1 章相手国 セクター等の概要 体化するため 2004 年 地熱開発ロードマップ (Road Map Development Planning of Geothermal Energy) ( 以下 ロードマップ という ) を策定し 2020 年に 6,000MW 2025 年には 9,500MW の地熱発電を行うという高い開発目標を設定した このように 同国の地熱開発は新たな開発推進の枠組みが整備され 積極的な開発に向けてそのスタートが切られたところである 9

32 図 1-4 インドネシアにおける火山と主要地熱地帯の分布 (a) 火山分布 フィリ N ユーラシアプレート ピン海溝 W フィリピン海プレート 太平洋 S E スンダ海溝 スマトラ カリマンタン スラウェシ モルッカ海 モルッカ諸島 ニューギニア海溝 パプア ジャワ海 バンダ海 インド洋 ジャワ バリ スンバワ ジャワ海溝インド-オーストラリアプレート フローレス海 フローレスティモールテーモィトルフラ k m 凡例 海溝 ( トラフ ) 第四紀火山 ( 出典 : T. Simkin and L. Siebert (1994)) (b) 地熱地帯分布 ユーラシアプレート フィリ ピン海溝 フィリピン海プレート 太平洋 N スンダ海溝 スマトラ カリマンタン モルッカ海スラウェシモルッカ諸島 ニューギニア海溝 パプア ジャワ海 バンダ海 インド洋 ジャワ バリ スンバワ ジャワ海溝インド-オーストラリアプレート フローレス海 フローレステティモールーモィトルフラ k m 凡例 海溝 ( トラフ ) 主要地熱地帯 ( 出典 : MEMR (2009)) 10

33 第 1 章相手国 セクター等の概要 図 1-5 スマトラ島の大構造と主要地熱地点 THAILAND N EQATOR Banda Aceh スンダ海溝 インド - オーストラリアプレート 0 100km インド洋 Medan D. To ba Padang MALAYSIA 30 Pek anbaru Beng k ulu 73 Kualalumpur J ambi 83 GREAT SUMATRA 断層 ユーラシアプレート SINGAPORE Tanjung pinang Palembang Pang k alpinang 78 Bandar Lampung Serang J ak arta 1 Iboih 15 Kafi 29 Namora Ilangit 43 Sumani 57 Graho Nyabu 71 Wai Selabung 2 Lhok Pria Laot 16 Gunung Kembar 30 Sibubuhan 44 Priangan 58 Sungai Tenang 72 Wai Umpu 3 Jabol 17 Dolok Perkirapan 31 Sorik Marapi 45 Bukit Kili 59 Tambang Sawah 73 Danau Ranau 4 Ie Seum-Krueng Raya 18 Beras Tepu 32 Sampuranga 46 Surian 60 Bukit Gedong-Hulu Lais 74 Purunan 5 Seulawah Agam 19 Lau Debuk-Debuk-Sibayak 33 Roburan 47 Gunung Talang 61 Lebong Simpang 75 G. Sekincau 6 Alur Canang 20 Marike 34 Simisioh 48 Muaralabuh 62 Suban Gergok 76 Bacingot 7 Alue Long-Bangga 21 Dolok Marawa 35 Cubadak 49 Liki-Pinangawan 63 Sungai Liat 77 Suoh-Antatai 8 Tangse 22 PusukBuhit-Danau Toba 36 Talu 50 Pasir Pangarayan 64 Pangkal Pinang 78 Fajar Bulan 9 Rimba Raya 23 Simbolon-Samosir 37 Panti 51 Gunung Kapur 65 Air Tembaga 79 Natar 10 G. Geureudong 24 Pagaran 38 Lubuk Sikaping 52 Gunung Kaca 66 Tanjungsakti 80 Ulubelu 11 Simpang Balik 25 Helatoba 39 Situjuh 53 Sungai Betung 67 Rantau Dedap-Segamit 81 Lempasing 12 Silih Nara 26 Sipaholon Ria-Ria 40 Bonjol 54 Semurup 68 Lumut Balai 82 Wai Ratai 13 Meranti 27 Sarula 41 Kota Baru-Marapi 55 Lempur 69 Ulu Danau 83 Lalianda 14 Brawang Buaya 28 Sibual-buali 42 Maninjau 56 Air Dikit 70 Marga Bayur 84 Pematang Belirang ( 出典 : MEMR (2009)) 11

34 図 1-6 ジャワ島の大構造と主要地熱地点 Serang JAKARTA ジャワ海 N 89 Bandung Semarang 99 Surabaya km Yogyakarta インド洋 Rawa Dano 96 Selabintana 107 Tangkuban Parahu 118 Gunung Galunggung 129 Cibingbin 140 Candi Umbul-Telomoyo 151 Songgoriti 86 Gunung Karang 97 Cisolok 108 Sagalaherang 119 Ciheuras 130 Banyugaram 141 Kuwuk 152 Tirtosari 87 Gunung Pulosari 98 Gunung Pancar 109 Ciarinem 120 Cigunung 131 Bumiayu 142 Gunung Lawu 153 Iyang-Argopuro 88 Gunung Endut 99 Jampang 110 G. Papandayan 121 Cibalong 132 Baturaden 143 Klepu 154 Tiris 89 Pamancalan 100 Tanggeung-Cibungur 111 G. Masigit-Guntur 122 Gunung Karaha 133 Guci 144 Parangtritis 155 Blawan-Ijen 90 Kawah Ratu 101 Saguling 112 Kamojang 123 Gunung Sawal 134 Mangunan-Wanayasa 145 Melati 91 Klaraberes 102 Cilayu 113 Darajat 124 Cipanas-Ciawi 135 Candradim uka 146 Rejosari 92 Awi Bengkok 103 Kawah Cibuni 114 Gunung Tampomas 125 Gunung Cakrabuana 136 Dieng 147 Telaga Ngebel 93 Ciseeng 104 Gunung Patuha 115 Cipacing 126 Gunung Kromong 137 Krakal 148 Gunung Pandan 94 Bujal-Jasinga 105 Kawah Ciwidey 116 Wayang-Windu 127 Sangkanhurip 138 Panurisan 149 Gunung Arjuno-Welirang 95 Cisukarame 106 Marbaya 117 Gunung Talagabodas 128 Subang 139 Gunung Ungaran 150 Cangar ( 出典 : MEMR (2009)) 表 1-1 インドネシアにおける地熱資源量の見積もり 資源量 (MWe) Speculative Hypotetic Possible Probable Proven 設備容量 スマトラ 4,925 2,076 5, ジャワ 1,935 1,946 3, ,815 1,117 バリ ヌサテンガラ カリマンタン スラウェシ 1, マルク パプア 合 計 265 地域 8,935 4,551 11,369 1,050 2,288 13,486 15,042 総計 :28,528 合計 1,189 ( 出典 : MEMR (2009)) 12

35 第 1 章相手国 セクター等の概要 表 1-2 インドネシアの地熱発電所 発電所 地域 Unit MW タービンメーカー 運転開始 蒸気供給 発電 シバヤク #1 2 Unknown 1996 PT. Pertamina 北スマト #2 5 Unknown 2007 PT. PT. ラ #3 5 Unknown 2007 Pertamina Dizamatra #1 60 ANSALDO 1994 Chevron #2 60 ANSALDO 1994 Geothermal PT. PLN #3 60 ANSALDO 1994 Indonesia サラク西ジャワ # Fuji 1997 Chevron Geothermal # Fuji 1997 Indonesia # Fuji 1997 ワヤンウ #1 110 Fuji 2000 西ジャワィンドゥ #2 117 Fuji 2009 Mandala Nusantara Ltd カモジャン ダラジャット ディエン ラヘンドン 西ジャワ 西ジャワ 中央ジャワ 北スラウェシ 合計 #1 30 MHI 1983 PT. #2 55 MHI 1988 Pertamina #3 55 MHI 1988 PT. PLN #4 60 Fuji 2008 PT. Pertamina Chevron # MHI 1994 Geothermal PT. PLN Indonesia #2 90 MHI 2000 PT. Chevron Geothermal #3 110 MHI 2007 Indonesia #1 60 ANSALDO 1999 Geodipa Energi #1 20 ALSTOM 2001 #2 20 Fuji 2007 #3 20 Fuji ,193.6MW PT. Pertamina PT. Pertamina PT. Pertamina PT. PLN PT. PLN PT. PLN ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 13

36 (3) 対象地域の状況 1. インドネシア国ブンクル州の社会的状況本調査の対象範囲は インドネシア スマトラ島の单西地域にあるブンクル州に位置している ブンクル州は西スマトラ州 ジャンビ州 单スマトラ州 ランプン州に接しており フルライス地域は州都ブンクルの北方約 50km のところに位置し 山脈を挟んで单スマトラ州がある ブンクル州の総面積は 19,789 km 2 であり全国の1% である 国による 2010 年の推定では ブンクル州の総人口は 1,713 千人であり 国全体の人口の 0.7% である (Population of Indonesia by Province 1971, 1980, 1990, 1995, 2000 and 2010) ブンクル州における 2008 年の国内総生産 (GDP) は推計 14 兆 4,470 億 IDR であり 全国の 0.3% を占める 産業別の地域総生産は農業 5 兆 9,022 億 IDR(41%) 鉱業 4,541 億 IDR(3%) 製造業 5,694 億 IDR(4%) 電気 ガス 水道 681 億 IDR(0%) 建設業 4,400 億 IDR(3%) 商業 観光業 2 兆 8,462 億 IDR(20%) 運輸 通信 1 兆 2,524 億 IDR(9%) 金融 6,326 億 IDR(4%) 公務員 サービス業 2 兆 2,820 億 IDR(16%) となっている ブンクル州は農業が州の主な産業で 製造業もその多くが農産品の加工である ホテルやレストランなどの観光業も地域総生産の 1% 程度と主要な産業になっていない これらの数値が示すように 他の州と比較するとインドネシアの中でも発展が遅れている地域である これは主にブンクル州が石油や天然ガスなどの鉱物資源に恵まれず 消費地から離れているという地理的特性によるものである ブンクル州の人口に対する貧困層の割合はインドネシア全国平均の 14.15% よりも高く 18.59% となっている (2009 年 3 月現在 ) 2. スマトラ島の電力需給状況スマトラ系統の発電設備容量は 表 1-3に示すように 2009 年に 4,070MW に達した しかしながら 設備容量の 378MW(9.3%) は 20 年以上前に建設され 403MW(9.9%) を占めるディーゼル発電設備は技術的及び経済的理由によって 2007 年から廃止を進めており 885MW(21%) である水力発電設備は季節によって出力が左右されることが設備上の問題点である 14

37 第 1 章相手国 セクター等の概要 表 1-3 スマトラ系統の発電設備容量 (2009 年 ) Name of PP Fuel Install Capacity [MW] Net Capacity [MW] Northern Sumatra HPP Hydro GTPP HSD STCFPP MFO STCFPP Coal CCPP Gas/HSD Diesel HSD Micro Hydro Hydro Geo PP Geo Rent Diesel HSD Sun Total Southrn - Central Sumatra HPP Hydro GTPP Gas GTPP HSD STCFPP Coal STCFPP Gas CCPP Gas Micro Gas Gas Diesel HSD Diesel IDO Diesel MFO Sub Total Total ( 出典 : PT. PLN) 15

38 図1 7にスマトラ島の送電線網を示す 送電系統は最も北に位置する NDA 地方から ランプン地方まで 150kV 送電線で結ばれている 2 で述べたように北と单の送電系統 は独立して運営されている 図 1-7 スマトラ島の送電線網 187 出典: RUPTL 図1 8 表1 4に RUPTL に基づく 2010 年から 2019 年にかけてのスマトラ系統の 電力バランスを示す スマトラ系統の供給電力量は 2010 年の 21,533GWh から 2019 年の 54,807GWh と 2010 年から 2019 年にかけて年平均 10.9 で増加すると予測されている 負荷率は 65.4 か ら 66.9 になると見込まれる 2010 年に 3,743MW である最大電力は 年平均 10.7 で 増加し 2019 年には 9,355MW に達するであろう なお 2008 年のブンクル州の電力需要 実績は 341,711MWh となっている 図では 需要に対して 十分な発電設備容量が備わるように見える しかしながら 今後の計画ではまだ名前も挙げられていない計画が約 2,125MW もリストアップされてい 16

39 第 1 章相手国 セクター等の概要 る さらに 発電設備容量は発電機器の定期修繕 事故停止 水力発電所に流れ込む水 量低下など種々の要因で頻繁に低下することに留意が必要である 図 1-8 スマトラ系統の電力需給バランス (2010~2019 年 ) 16,000 Dependable Capacity excluding Unnamed projects Unnamed projects Peak load 14,000 MW 12,000 10,000 8, ,425 1,725 2,125 6,000 4,000 2,000 4,572 5,200 6,192 6,635 8,531 9,051 9,625 10,130 10,860 11, Year ( 出展 :RUPTL ) 17

40 表 1-4 スマトラ系統の電力需給バランス (2010~2019 年 ) Year Demand Energy production GWh 21,533 23,470 25,707 28,345 31,829 35,805 40,266 44,886 49,626 54,807 Peak load MW 3,743 4,099 4,487 4,958 5,553 6,219 6,965 7,731 8,505 9,355 Load factor % Supply Existing Installed capacity MW 4,038 3,778 3,621 3,006 3,006 3,006 2,940 2,940 2,940 2,940 PLN 3,683 3,387 3,230 2,680 2,680 2,380 2,680 2,680 2,680 2,680 IPP Lease PLN projects ,734 2,304 2,614 2,614 3,089 3,764 4,064 4,464 Ongoing Projects ,634 1,534 1,534 1,534 1,534 1,534 1,534 1,534 Planned Projects ,080 1,080 1,555 2,230 2,530 2,930 IPP ,324 3,060 4,080 4,495 4,850 5,580 6,510 Ongoing Projects Simpang Belimbing PLTG 227 Asahan I PLTA 180 Planned Projects ,653 3,673 4,088 4,443 5,173 6,103 Sewa PLTG Jambi Merang PLTG Gunung Megang, ST Cycle PLTGU 30 Banjarsari PLTU Jambi (Infrastruktur) PLTU Sumsel - 2 (Keban Agung) PLTU Sumsel - 6, Mulut Tambang PLTU Riau Mulut Tambang (Cirenti) PLTU Tarahan #1,2 PLTU Sumbar - 1 PLTU 200 Sumsel - 5 PLTU Sumsel - 7 PLTU Sumut - 2 PLTU 225 Ulubelu #3,4 (FTP2) PLTP Lumut Balai (FTP2) PLTP 220 Seulawah (FTP2) PLTP 55 Sarulla I (FTP2) PLTP Rajabasa (FTP2) PLTP 220 Muara Laboh (FTP2) PLTP 220 Rantau Dedap (FTP2) PLTP 220 Sarulla II (FTP2) PLTP 110 Wai Ratai PLTP 55 Pusuk Bukit PLTP Sorik Merapi (FTP2) PLTP 55 Sipaholon PLTP 55 G. Talang PLTP 20 Suoh Sekincau PLTP Danau Ranau PLTP 110 Wampu PLTA 45 Lawe Mamas PLTA Asahan #4,5 PLTA 60 Simpang Aur (FTP2) PLTA 29 Total Capacity MW 4,572 5,200 6,192 6,635 8,681 9,701 10,525 11,555 12,585 13,915 Dependable Capacity excluding Unnamed projects MW 4,572 5,200 6,192 6,635 8,531 9,051 9,625 10,130 10,860 11,790 Unnamed projects MW ,425 1,725 2,125 Reserve margin % 22% 27% 38% 34% 56% 56% 51% 49% 48% 49% ( 出展 :RUPTL ) 18

41 第 2 章調査方法 第 2 章調査方法 (1) 調査内容 1. 調査内容スマトラ島ブンクル州フルライス地域での 110MW 地熱発電事業を円借款により支援できるように 本調査で地熱資源開発 発電所建設に関わる調査を実施し 地熱発電円借款事業に必要な条件を検討し 適切な開発計画の提案を行い 事業化のための準備を行う 地熱発電所を建設し安定的に運転するには 1 十分な地熱資源量があること 2 電力のニーズがあること 3 周辺環境保全上の問題がないこと 4 事業の経済 財務状況が良好なこと等が必要である 本調査では 地熱資源調査では 1にかかわる地熱資源の特性や開発可能量を把握し 2に関する既設発電所の設置地点 送電線 電力需要を調査する また 地熱発電所 送電線建設に関するエンジニアリング調査 ( 電気 機械 ) 及び3 4に関する環境調査 事業財務経済分析を実施し 110MW 地熱発電所建設計画策定に これらのデータを地熱資源調査データと組み合わせて用いた 本調査における調査項目は以下のとおりである (1) 事業対象地点調査地質調査地化学調査物理探査地熱構造モデリングと地熱資源量 ( 開発可能出力 ) 評価電力需要と送変電に関する調査 (2) 事業計画提案地熱資源調査 開発計画提案発電設備 送変電設備建設計画提案 (3) 環境社会配慮 (4) 事業経済 財務評価 (5) 報告書作成および新日本有限責任監査法人および関連機関への報告等 19

42 図 2-1 フルライス地域地熱発電開発の全体工程 地熱資源 地熱フィールドのデータ / 情報収集収集データ / 情報の地球科学的レビュー地熱概念モデルの構築地球科学と環境情報のコンパイル地熱資源容量の評価 発電設備 現地情報収集 発電設備 送変電設備の想定 資機材コストの推定 環境対策 環境社会配慮 経済 財務分析 調査報告書作成 PT. PGE 坑井掘削坑井調査 発電事業の ES ローン借款 地熱資源開発の ES ローン借款 坑井掘削 地熱発電所詳細設計 発電所建設 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 20

43 第 2 章調査方法 2. 調査対象地点 調査対象地点はスマトラ島单部のブンクル州フルライス地域である ( 図 2-2) 図 2-2 調査対象位置図 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 21

44 (2) 調査方法 体制 1. 調査方法現地において既存データを収集するとともに 現地調査を行い 収集したデータ 情報を日本国内で解析 検討 評価した なお 現地調査については 2 回に分けて実施した 第一次現地調査 ( 平成 22 年 12 月中旬 ) では 関係機関への調査計画説明 聞き取り 地熱資源調査 ( 既存データ収集 ) 発電 送変電設備調査 環境社会的側面調査 経済 財務分析 調査を実施した 第二次現地調査で調査結果に関する説明を行った 国内作業では 現地で収集した情報 資料の取りまとめ 地熱構造 地熱資源量の解析 地熱発電設備の概念設計 プロジェクトの経済 財務評価 環境社会的側面検討 プロジェクトの総合検討および報告書作成を行った 2. 調査体制 西日本技術開発株式会社は表 2-1 に示すとおり調査チームを構成し 調査を実施 した 表 2-1 調査実施体制 西日本技術開発 ( 株 ) フ ロシ ェクトマネーシ ャー大石公平 調査チーム 大石公平 総括 開発計画地熱部 島田寛一 資源評価 地熱部 赤迫秀雄 資源調査 評価 ( 地質 坑井地質 ) 地熱部地域地熱グループ 内山明紀 資源調査 評価 ( 地化学 坑井化学調査 ) 地熱部資源調査グループ 福岡晃一郎 資源調査 評価 ( 物理探査 ) 地熱部 資源解析グループ 長野洋士 環境 社会分析 プロジェクト計画 地熱部 鬼木茂 送変電設備検討 送電計画 電力事情調査 海外営業部 藤井建次 経済 財務分析 プロジェクト計画 海外営業部 矢原哲也 資源量評価 ( 貯留層 ) 資源開発計画地熱部 和田隆行 資源調査 評価 ( 坑井調査 ) 資源開発グループ 池田哲 坑井掘削調査 資源開発計画 ( 坑井掘削計画 ) 地熱部掘削監理グループ 塩塚政夫 発電設備 地熱流体輸送設備地熱部設備設計グループ 高藤剛 発電設備 地熱流体輸送設備地熱部設備設計グループ 義山弘男 資源調査 評価 ( 地質 ) 地熱部地域地熱グループ 松田鉱二 資源調査 評価 ( 地化学, 坑井化学調査 ) 地熱部資源解析グループ 大山悦夫 発電設備調査 発電所建設計画火力管理部海外グループ 古賀正明 発電設備調査発電所建設計画火力管理部 外注業者 - 環境 社会データ収集整理 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 22

45 第 2 章調査方法 (3) 調査スケジュール 本調査は 平成 22 年 11 月 29 日から平成 23 年 2 月 21 日までの工期で実施された ( 図 2-3) 図 2-3 調査スケジュール ( 現地調査 ) 1 プロジェクト情報 既存データ収集 2 調査結果説明 協議 2010 年 12 月 月 2011 年 2 月 ( 国内作業 ) 1 現地調査準備 2 現地調査取りまとめ 地熱資源量評価 電力 社会 環境分析 事業計画策定等 ドラフト報告書取りまとめ 3 事業経済 財務評価 4 総合検討 報告書取りまとめ 1 中間報告 (SNC 等関係機関への報告 ) 2 最終報告会 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 1. 第 1 回現地調査第 1 回現地調査では 平成 22 年 12 月 12 日から 12 月 18 日の間に 相手国機関等への調査内容説明 プロジェクト情報 既存データ収集と フィールド調査を実施した ( 表 2-2) 23

46 表 2-2 第 1 回現地調査行程表 日数 月 日 曜日 内容 日 移動 ( 大石 赤迫 鬼木 長野 福岡 内山 : 福岡 -シンガポール-ジャカルタ ) 月 PT. PGE との打合せ 火 PT. PLN との打合せ 在インドネシアジェトロとの打合せ現地移動 ( ジャカルタ-ブンクル ) 水 フルライス地域フィールド調査 木 現地移動 ( 大石 赤迫 鬼木 長野 福岡 内山 : ブンクル-ジャカルタ )PT. PGE との打合せ移動 ( 大石 : ジャカルタ-シンガポール ) 金 移動 ( 大石 : シンガポール- 羽田 - 福岡 ) 在インドネシア JICA との打合せ 移動 ( 赤迫 鬼木 長野 福岡 内山 : ジャカルタ-シンガポール ) 土 移動 ( 赤迫 鬼木 長野 福岡 内山 : シンガポール- 福岡 ) 2. 第 2 回現地調査第 2 回現地調査では 平成 23 年 1 月 16 日から 1 月 20 日の間に 相手国機関等への調査結果説明 協議を実施した ( 表 2-3) 表 2-3 第 2 回現地調査行程表 日数 月 日 曜日 内容 日 移動 ( 大石 島田 赤迫 長野 内山 : 福岡 -シンガポール-ジャカルタ ) 月 PT. PGE との打合せ 火 PT. PLN との打合せ 在インドネシアジェトロとの打合せ 水 在インドネシア JICA との打合せ移動 ( 大石 島田 赤迫 長野 内山 : ジャカルタ-シンガポール ) 木 移動 ( 大石 島田 赤迫 長野 内山 : シンガポール- 福岡 ) 24

47 第 2 章調査方法 3. 現地調査における面談者 現地調査では 関係機関に対して調査内容の説明を行うとともに 調査実施に有効 となる資料 情報を収集した 面談者は表 2-4 に示す通りである 表 2-4 面談者リスト 所属機関 役職 PT. PGE PT. PLN JICA ジェトロ 副社長ほか 10 名再生可能エネルギー部長ほか 15 名ジャカルタ事務所主査ジャカルタセンター副所長ほか 1 名 25

48 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面 の検討 (1) プロジェクトの背景 必要性等 インドネシア国エネルギー鉱物資源省 (MEMR) による国家電力開発計画 (RUKN ) によれば 2008 年の最大需要電力量は設備容量の 24,509 MW 以上の 25,407 MW であった 将来の需要は 2017 年まで年率 9.1% で伸びることが予想されている スマトラ グリッドでは 2008 年の最大需要は 3,316 MW であり 2017 年までには 年率 7.9% で電力需要は伸び 6,602 MW に達するとされている なお 2008 年の設備容量は 3,700 MW であり 電力開発は喫緊の課題である インドネシア政府は 急増する電力需要に対応するために電力開発を急いでいるが 電源の多様化や再生可能エネルギーの開発にも重点を置いている これを達成するために インドネシア政府は 10,000 MW 開発計画 Crash Program II を推し進めている この計画では 同国に賦存する 27,000 MW の発電量に相当すると言われている地熱資源の開発が含まれている 開発量の約 35% にあたる 3,583 MW が地熱発電で賄われる予定である (2010 年 1 月政府資料 ) 現在 1,193.6 MW の地熱発電開発が実施されているが 政府 MEMR は地熱開発ロードマップを策定し 2025 年までに 9,500 MW の地熱発電開発を実施するように計画している ( 図 3-1) 26

49 図 3-1 地熱開発ロードマップと Crash Program II MW (Production) 2,000 3,442 4,600 6,000 9,500 MW 1,148 MW 1,442 MW 1,158 MW 1,400 MW 3,500 MW Existing Existing Existing New WKP New WKP WKP WKP WKP + New 1,193.6 MW Crash Program Current Condition Scenario Phase II ( 出典 :MEMR 講演資料 (2009) 一部修正 ) 地熱開発ロードマップは New Energy Policy (2002) で設定された 2020~2025 年に必要なエネルギーの5% を地熱エネルギーで賄うことを目標としている これについては大統領令 (PD) No.5/2006 に記述されている Crash Program II はこのロードマップ目標をより早期に実現できるように計画されたものである ただし 目標 9,500 MW のうち 6,500 MW 分は PT. PGE に関連した事業によらざるを得ないことが JICA マスタープラン調査 では示されている PT. PGE は 地熱発電開発を蒸気開発から発電所建設までの一貫開発で行うことを希望している ただ 幾つかの地点では PT. PLN の建設する地熱発電所へ蒸気を供給することになっている 表 3-1に示す BAPPENAS の資料によれば フルライス地域では PT. PGE が蒸気開発を行い PT. PLN が発電所建設を行う計画となっている このような地域はほかにもあり 民間事業への期待も大きいが それ以上に PT. PGE や PT. PLN の国有企業は同国の地熱発電開発では大きな役割を果たすことになると思われる 27

50 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 表 3-1 インドネシアにおける主要な地熱開発プロジェクトの事業者 Project Steam Field Power Plant Output Development Lumut Balai #1&2 PT.PGE PT.PGE 110MW Lahendong #5&6 PT.PGE PT.PGE 40 MW Ulubelu #3&4 PT.PGE PT.PGE 110 MW Karaha #1 PT.PGE PT.PGE 30 MW Karaha #2 PT.PGE PT.PGE 110 MW Lumut Balai #3&4 PT.PGE PT.PGE 110 MW Hululais #1&2 PT.PGE PT.PLN 110 MW Kotamobagu#1-4 PT.PGE PT.PLN 80 MW Sungai Penuh#1&2 PT.PGE PT.PLN 110 MW Kamojang #5 PT.PGE PT.PLN(PT.PGE) MW ( 出典 :BAPPENAS 資料 ) PT.PGE は Joint Operating Contracts (JOC) で 既に7 地域の地熱発電開発を行っている 現在 PT.PGE は権利を有する残り 11 地域の開発に注力している この 11 地域にフルライス地域は含まれている Crash Program II では PT.PLN と PT.PGE で開発を行う Hululais, Sungai Penuh and Kotamobagu の3 地域が含まれており これらの PT.PGE PT.PLN の共同事業が 国産エネルギーの開発 地球環境保全等の観点からも 円滑に進むことが期待されている フルライス地熱開発について PT.PLN は Crash Program II を考慮し 2014 年までに2 55MW の地熱発電所の運転を開始したいとしている PT.PGE は当初 年の開発を目指していたが 現在は調査井を掘削する段階であると報告している 本地域での地熱発電開発の実現を目指し PT.PGE は本調査の実施を要望し PT.PLN は正式にインドネシア政府を通じ日本政府へ資金的な支援の要請を行っている この PT.PLN 等の動きにより 本事業支援のための検討等の関係機関の対応がはじまったと理解される フルライス地熱発電事業は Crash Program II の主要事業の一つである インドネシア国政府は この事業を ODA による支援で実現しようとしている JICA も インドネシア側の要望や事業開発の優先順位を理解し 2010 年 12 月にインドネシア側関係機関と協議している しかしながら 現状では調査井の掘削作業が遅れており 円借款事業化の条件等と考えられる地熱資源の賦存の確認 地熱資源の質や量の把握が出来ていない このため 円借款による地熱発電所建設事業の準備として ES 借款による FS 支援が提案されている 本地域の地熱発電事業支援のための FS 実施を ES 借款で支援するには 本地域の地熱資 28

51 源が FS を行うに充分なものであることを示す必要がある このために 本調査では 既存 データを用い地熱資源の評価を行い 凡その開発計画を立案することにより事業の全体像 をつかみ ES 等の円借款で支援するのに十分な事業かどうか検討をした (2) プロジェクトの内容等決定に必要な各種検討 1. プロジェクトの政府開発計画との関係 事業化の優先度等前述のようにフルライス地熱発電開発事業は Crash Program II の主要な事業であり インドネシア政府 PT.PGE PT.PLN にとって開発優先順位の高い事業でもある PT.PGE PT.PLN 政府共に 2014 年までの地熱発電運開を期待している このためには 地熱資源開発 発電所建設共に出来るだけ早く着手する必要がある ただし 本地域の地熱発電開発の現状 円借款手続き等を考慮すれば 手続き期間 開発期間の短縮等のかなりの工夫を行わなければ 2014 年の運開は困難である ES 借款のフルライス地熱発電事業への適用は 諸般の事情を考慮すれば本格プロジェクトに対する円借款のための JICA の事業支援の方法として現状では最適の選択と思われる JICA は 2010 年 12 月にインドネシア側と協議し ES 借款事業を提案したものと考えられる 2. プロジェクトの内容を決定する際に検討が必要な事項 a. 地熱発電事業を円借款で支援するための条件一般的には 円借款によるプロジェクト支援を決定するためには 地熱発電開発及び発電所建設に関する事業化の可能性を示す情報やデータが必要である 地熱発電事業の場合 初期の段階では比較的大きな地熱資源開発リスクがある このリスクのために予定出力の発電を行うための蒸気を確保できない場合もある このリスクを最小化し 適切な円借款事業とするために 従来の地熱発電円借款事業では 対象事業が次の内容で FS が実施され 必要な情報やデータがそろえられている 地熱資源開発 ( 蒸気供給 熱水処理のための坑井掘削 配管 ) について 地熱資源賦存確認 地熱流体の特性把握 ( 蒸気条件 ) 資源量評価( 坑井データを用いた貯留層シミュレーション解析 ) 蒸気生産 熱水処理計画 ( 坑井データを用いた貯留層シミュレーション解析による蒸気生産井 熱水還元井掘削計画 ) 技術的に妥当な蒸気熱水配管計画 29

52 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 坑井掘削及び配管工事に伴う適切な環境保全策 妥当な事業費積算結果 ODA 事業としての妥当な経済 財務評価結果 適切な事業実施計画地熱発電所建設 ( 送電線工事も含む ) について 蒸気条件や供給条件に適合した技術的に妥当な地熱発電所概念設計と建設計画 技術的に妥当な送電計画 ( 送電線建設計画 ) 適切な環境保全策 妥当な事業費積算結果 適切な地熱発電所建設及び送電線建設事業実施計画 2010 年 12 月に実施されたインドネシア側との協議では これらのデータ 情報が不足しており ES 借款が本事業支援には適切と考えられたと思われる ES 借款事業では 地熱発電所建設のための円借款の実現の準備のために 調査井データを用いた資源評価を含む FS を行うことが望ましい ただし ES 借款は金額的には小さいとは言え 資源開発リスクのある地熱発電開発のための ODA 借款であることから 融資を受けるための技術的な条件が設定されると思われる 地熱発電 FS のための地域を選定する条件については JICA Preparatory Survey for Geothermal Power Development, Sector Loan (2010) に記述されているが ES 借款事業では FS が行われることから これらの条件は ES 借款事業にも適用されるものと思われる これらの条件は表 3-2にまとめられる 30

53 表 3-2 事業化可能性調査地点選定基準 Essential item A) Existenc e of geotherm al reservoir Heat/Fluid B) Reservoi r temperat ure Heat/Fluid C) Existence of volcanic rocks and activity of as heat sources Heat D) Existenc e of alteration rocks by hydrothe rmal activity Heat/Fluid E)Existence of geologic al structure suitable f formatio n of geotherm al reservoir s Structure Method Criterion Priority Remarks Geochemical (and isotopic) data of hot spring water and fumarolic gases (or well discharge) Geochemical (and isotopic) thermometers of neutral ph chloride type water and/or fumarolic gases derived from the reservoirs (or well discharge) (Fluid inclusion homogenized temperature) Geological data of rock dating Geological data of alteration rock dating Structural data in geological study and geophysical surveys such as gravity survey and resistivity surveys Neutral ph chloride 1 st Neural ph Cl type type water(chloride hot spring water ion content of higher than some hundreds ppm) and/or fumarolic gases derived from the reservoirs, fluid originated from meteoric water or sea water strongly indicates the reservoir existence. circulating water (not trapped or magmatic water) Higher than 200 o C 1 st Temperature of neutral ph Cl type water is the most reliable information. Temperature from the fumarolic gases and the fluid inclusion are given decreased priority due to many and large disturbing factors. Younger than 0.6 million 2 nd years ago Younger than 0.3 million years ago Possibility of existence of high permeability along faults and in formation. Possibility of existence of impermeability as cap rocks or sealing zones around the reservoirs 2 nd 2 nd 31

54 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 ES 借款を用いて地熱発電開発のための FS 基本設計を行う地熱地域は 上述の条件のほとんどを満たす必要があると思われる 上述の検討のためのデータや情報のほとんどは 一般的には地表探査で得ることができる これらのデータや情報の妥当性は 調査井掘削によって検証されることとなる 地熱資源の賦存が地表調査や調査井掘削により検証されれば 地熱資源量は計算で得ることができる 一般的には モンテカルロ解析を組み込んだ容積法でポテンシャルは計算される 充分な資源量が賦存する可能性がある場合には 地熱発電事業のための事業化調査 基本設計や発電開発準備が ES 借款を用いて実施される b. 地熱資源概況大スマトラ断層は ブンクル州とジャンビ州との州境付近およびブンクル州と单スマトラ州との州境を北西から单東へ伸びており 多くの地熱地域が州境付近に分布している ( 図 3-2) これらの地熱地域のうち フルライス地域はブンクル州の州都ブンクル市の北約 80km に位置する約 120km 2 の地域である 行政上は ルボン県と北ブンクル県にまたがっている ただし 現在検討されている開発範囲はルボン県单ルボン郡内に位置している フルライス地域の单西部は北西から单西へ伸びる尾根となっており 地域单西隅に標高 2,130m のフルライス山が存在する 北東部は 標高 500m 前後の比較的平坦な地形となっており クタフン川が单東から北西へ流下している 32

55 図 3-2 フルライス地域位置図 W N S E 北ルボン郡 ムアラアマン クタフン川 コレン山 ルボン県 レゲス山 フルライス地域 スマラコ サンタン川 アマン川 ルムット山 チェメ山 トゥランララン テス湖 緯距 (m) スバングレゴ 700 フルライス山 スバンアグン 南ルボン郡 900 ライス郡 ブリティブサール山 1500 ブリティクチール山 1100 パブアル山 北ブンクル県 ティガ山 経距 (m) ( 出典 : MEMR (2009) Bakosurtanal PT. PGE) 33

56 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 c. 地質および地質構造フルライス地域およびその周辺は主として第四紀の火山岩類によって覆われている ( 図 3-3) 第四紀火山岩類はルムット山やフルライス山 ブリティブサール山 ブリティクチール山 コレン山などの山体を構成しており 完新世のパブアル黒曜岩 (PBO) 更新世のルムット安山岩 (LMA) パブス凝灰岩 (PBT) フルライス安山岩 (HLA) ティガ安山岩 (TGA) コレン安山岩 (KLA) レカット安山岩 (LKA) レサム安山岩 (RSA) およびムバイ角礫岩に分類されている 図 3-3の範囲内の地表に露出する最も古い岩石は 北東部のチュグ安山岩 (CGA) と单部のチョゴン閃緑岩 (CGD) であり 新三紀中新世の岩石と考えられている また クタフン川沿いには 沖積層 (al) が広がっている なお 本地域の基盤岩として先新第三紀の堆積岩が地下に存在すると推定されている しかし この堆積岩は 本地域およびその周辺には露出しておらず 現時点ではまだ確認されていない地層である この地質図範囲の北西約 8km に位置するタンバンサワ付近には中新世の花崗岩や白亜紀の花崗閃緑岩が露出している 珪質岩が周辺に露出していること 更新世以降の安山岩質マグマの活動が認められることなどから これらのマグマ活動が本地域及びその周辺における熱源と推定される フルライス地域およびその周辺では 8つの断層が推定されている ( 図 3-3) 北西 - 单東方向の断層 F1 F2 F3 および F5 は大スマトラ断層と密接に関連した断層群と考えられる 北北東 - 单单西方向の断層 F4 单北方向の断層 F6 北東- 单西方向の断層 F7 および東北東 - 西单西方向の断層 F8 の伸びは比較的短い d. 地熱徴候および変質帯ルムット山からフルライス山を経てブリティブサールへと北西 - 单東方向に伸びる尾根の北側に温泉や噴気などの地熱徴候が分布している フルライス山の山頂付近には スバンアグンの変質帯と噴気がある また フルライス山北側斜面のスバングレゴおよびブリティブサール山北斜面には噴気を伴う地獄が形成されている これらの噴気地の北側に位置する比較的標高の低い地点に温泉が湧出している これらの噴気や温泉の性状については 次項で述べる 34

57 新第三紀 中新世 第四紀 更新世 完新世 図 3-3 フルライス地域地質図 ムアラアマン LKA 北ルボン郡 F3 al クタフン川 コレン山ルボン県 B KLA レゲス山 W N S E 500 フルライス地域 F1 PBT スマラコ F2 700 CGA 1500 緯距 (m) サンタン川 RSA ライス郡 LMA チェメ山ルムット山 F4 F6 スバングレゴフルライス山 F8 スバンアグン HLA 1700 ブリティブサール山 アマン川 ブリティクチール山 トゥランララン MBB テス湖 700 F5 F7 南ルボン郡 パブアル山 北ブンクル県 A ティガ山 1300 PBO TGA 経距 (m) CGD 1300 A フルライス山 スバンアグン B TGA RSA F1 TGA HLA SO4 チェメ山 スマラコ スバングレゴ CGA RSA HCO3 MBB Cl-HCO3 プンドゥバダロ F8 F5 F3 F2 al CGA HCO3 KLA MBB 凡例 al PBO LMA PBT HLA TGA KLA LKA RSA MBB CGD CGA 沖積層パブアル黒曜岩ルムット安山岩パブス凝灰岩フルライス安山岩ティガ安山岩コレン安山岩レカット安山岩レサム安山岩ムバイ角礫岩チョゴン閃緑岩チュグ安山岩 A 噴気泥火山を伴う地獄地帯温泉変質帯崩壊構造断層 B 断面位置 先新第三紀堆積岩 安山岩質貫入岩 ( 出典 : PT. PGE) 35

58 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 e. 地熱流体の化学特性温泉や噴気 地熱井から噴出する地熱流体の化学性状から 地熱流体の起源や温度 流動を推測することができる 本地域では 地熱井の噴出実績がないことから 温泉と噴気の化学成分既存データを元に これらの検討を行った 既存調査としては PT. Pertamina が 1994 年に本地域の 16 カ所の温泉と2カ所の噴気から試料を採取し ( 図 3-4) 分析を行っている (Budiardjo et al., 2001) また JICA のインドネシア地熱マスタープラン調査において 温泉水と噴気がそれぞれ1 試料ずつ採取されており (JICA, 2007) これらの分析値を解析に用いた 温泉 噴気の湧出温度は 40~98 であり 比較的活発な地熱徴候である 温泉水の化学性状は 单部の温泉が酸性で Cl 濃度の低い SO 4 型の蒸気混入型で 北部の温泉が中性で Cl 濃度の高い Cl-HCO 3 ~Cl 型 (Cl 濃度 ~3,160mg/L) の蒸気加熱 ~ 深部熱水混入型である ( 図 3-5 表 3-3) 水の酸素同位体比 水素同位体比の関係 ( 図 3-6) から 本地域の地熱流体の起源は天水であり Cl 濃度の高い海水の寄与はないと判断され 北部の温泉水中の高い Cl 濃度は 高温で岩石と反応した深部熱水の混入を示唆している 深部地熱流体は Cl/HCO 3 濃度比分布図 HCO 3 /SO 4 濃度比分布図 土壌ガス中の水銀濃度から 单部 ( スバンアグン ) 付近が地下からの上昇域であり 北部に向かって流出していると考えられる ただし 单部 ( スバンアグン ) 付近には Cl 濃度が 1,400mg/L とやや高い温泉水も湧出していることから 一部の Cl 型深部熱水が地表近くまで上昇していると考えられる 貯留層温度については 温泉や噴気の化学成分濃度比から 岩石 - 水平衡反応を用いて計算によって求める手法が確立されている 本地域の温泉水の地化学温度からは 200 程度しか得られていないが (Na-K 温度 ; 表 3-3) 噴気の地化学温度から 250~280 が計算されており (CO 2 -H 2 S-H 2 -CH 4 温度 CO 2 /Ar 温度 ; 表 3-3 表 3-4) 温泉水は流動の過程で伝導冷却されていると推測されることから 深部熱水の貯留層温度は 250~280 程度と考えられる 地熱井から噴出する地熱流体の化学性状は Cl 濃度 =3,000mg/L 程度以上の中性 Cl 型と想定される 分離熱水中には 冷却されると沈殿し還元ラインを目詰まりさせるシリカ (SiO 2 ) が多く含まれることから 高温で還元するなどの対策が望まれる 蒸気中の非凝縮性ガス濃度については 参考となるデータがないため 近隣のルムットバライ地域と同じ 1.0wt% と想定している 36

59 図 3-4 フルライス地域の温泉 噴気分布図 図 3-5 温泉水の主要陰イオン三成分図 ( 出典 :Budiardjo et al., 2001) ( 出典 :Budiardjo et al., 2001) 37

60 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 図 3-6 温泉水の水の水素同位体比 - 酸素同位体比関係図 ( 出典 :Budiardjo et al., 2001) 表 3-3 温泉水 噴気の化学成分分析結果 ( 出展 : PT. PGE データ ) 38

61 表 3-4 噴気の化学組成と地化学温度計算結果 項目 卖位 値 NCG vol% 15.7 CO 2 vol% H 2 S vol% 0.41 H 2 vol% N 2 vol% 1.36 CH 4 vol% Ar vol% 地化学温度 CO 2 -H 2 S-H 2 -CH 4 温度 250 CO 2 /Ar 温度 280 ( 出展 : JICA, 2007 を基に SNC 調査団作成 ) 39

62 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 f. 物理探査 フルライス地域では 過去に重力探査 シュランベルジャー法比抵抗探査 MT 法 電磁探査が実施されている これらの探査結果について以下に述べる 1 重力探査重力探査の実施時期 測点の正確な座標 データの補正方法等については明らかにされておらず 利用可能な情報は図 3-7に示すブーゲー異常の分布図に限られている 図 3-7のブーゲー異常図には 单西側が高く北東側が低いという特徴が見られる このトレンドは 図 3-3に示されている F1 F2 F3 および F5 の断層群の方向と調和的であり フルライス地域のやや広域的な地質構造を反映している可能性がある 測定範囲の单西側で高異常 北東側で低異常というトレンドに重畳するように フルライス山の北東山麓に局所的な高異常が存在している 一般に 高いブーゲー異常の存在は 貫入岩などの周辺よりも密度の高い岩石の存在を示唆する兆候である フルライス山の北東山麓の高異常 ( 図中青色で示されている領域 ) がどのような構造を反映しているものかについては十分な情報が無いため 特定することは難しい ブリティクチール山の北東には 変化のなだらかな高異常が認められ 高異常の中には2カ所のピークが見られる これらの高異常の分布形状は 図 3-3に示されている F6 F7 断層の位置と整合的であり 断層によって境されたブロックが複数存在することを反映しているものと解釈できる 以上のように 重力探査の結果はフルライス地域の地質構造と概ね整合的であるが 单西側が高く北東側が低いという強いトレンドが卓越しているため 詳細な議論には適さない より詳細な密度構造を議論するためには 空間フィルター処理が必要である 40

63 図 3-7 フルライス地域ブーゲー異常図 ( 出典 : PT. PGE) 41

64 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 2 シュランベルジャー法比抵抗探査図 3-8に 電極間隔 AB/2=750m でのシュランベルジャー法見掛比抵抗分布を示す シュランベルジャー法においては 電極間隔が探査深度のおよその目安となるため 図 3-8は地表から深度 750m までの平均的な比抵抗分布を示しているものと解釈することができる 電極間隔 AB/2=750m の測定を行うには 1,500m の測線が必要となり 現地の状況を考えるとシュランベルジャー法の測点はまばらにしか設定できないことから 図中に十字のシンボルで示されている点が測点に対応すると考えられる 見掛比抵抗の分布は 60ohm-m 以上の高比抵抗を取り囲むように 10ohm-m 以下の低比抵抗が分布する形状となっている 高比抵抗帯の中には測点が含まれていないように見られ 单側の低比抵抗帯を2つに分割する根拠も見当たらないようである しかし 单側の2つの低比抵抗帯の分布は重力探査データの高ブーゲー異常の分布と良い対応を示し 高比抵抗帯の位置はブーゲー異常の急変域にあたっている また フルライス山北東山麓の低比抵抗帯と 国道沿いの低比抵抗帯には 温泉や噴気といった地表兆候が含まれている 地熱地帯の比抵抗構造は 岩石の種類よりも空隙率の違いや変質鉱物の違いに強く影響される場合が多く 変質鉱物は生成された環境の温度に対応して異なる比抵抗を示す 比較的低温の環境で生成されるスメクタイト等は約 10ohm-m 以下の低比抵抗を示し より高温の環境で生成されるクロライトやイライト等は スメクタイト等よりも相対的に高い数 10ohm-m の比抵抗を示すことが多い 前節で述べた地熱流体の地化学的性質から フルライス山の深部から上昇してきた地熱流体は 地形に沿って北側に側方流動し 天水と混合しながら標高の低い領域で温泉として流出していると解釈される 一方 フルライス山山頂近くに存在する地表兆候は 地熱流体から供給された蒸気によって加熱されて形成されたものと考えられる シュランベルジャー法の見掛比抵抗分布はこの解釈と整合しており 高比抵抗を取り囲む低比抵抗のうち フルライス山山頂付近の低比抵抗域は 蒸気によって加熱されて形成された噴気および変質帯の分布に対応し 国道沿いの低比抵抗域は地熱流体と天水の混合によって形成された温泉の分布に対応していると考えられる これらの低比抵抗域に囲まれるように存在する高比抵抗域が 深度 750m 付近における高温の地熱流体の流動域に相当すると解釈できる 以上のように シュランベルジャー法比抵抗探査のデータは 地化学データから導かれる地熱流体の流動と整合した解釈が可能である しかしながら 測点が非常にまばらに配置されていることと 解析されていない見掛比抵抗の分布であることから 定量的な検討には適さない 42

65 図 3-8 フルライス地域シュランベルジャー法見掛比抵抗分布図 ( 出典 : PT. PGE) 3 MT 法電磁探査フルライス地域では 測点数 30 点の MT 法探査が実施されている MT 法探査の測点配置図を 図 3-9に示す 調査範囲内に 单西 - 北東方向に5 測線 北西 - 单東方向に4 測線が設けられ 測線の間隔は約 2~3.5km 測線上には約 1km の間隔で測点が配置されている 43

66 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 MT 法の各測点において セントラルループ配置の TDEM 法測定が実施されており MT 法の解析上問題となりやすいスタティックシフトと地形効果が補正されている MT 法の解析には 3 次元有限差分法を順計算に用い Gauss-Newton 法によるインバージョンを行うコンピュータコード (Sasaki, 2004) が用いられている 解析に使われた有限差分グリッドは N40W 方向を x- 方向 鉛直下向きを z- 方向とする右手系に沿って x,y,z- 方向にそれぞれ 分割されている いずれの方向もモデルの端に近づくにつれてグリッドサイズが大きく取られ 境界条件の影響を低減するように工夫されている TDEM 法によるスタティックシフト補正と地形補正がなされているため 地表は平坦であると仮定して計算されている インバージョンのブロック分割は 複数のグリッドをブロックにまとめ x,y,z- 方向にそれぞれ ブロックが用いられている フィッティングの対象となるデータは 各測点で取得された XY モード (x- 方向に測定した電場と y- 方向に測定した磁場を用いる ) の見掛比抵抗および位相 YX モード (y- 方向に測定した電場と x- 方向に測定した磁場を用いる ) の見掛比抵抗および位相である 解析に用いた周波数は 56Hz から 0.032Hz まで1ディケードを 4 分割した合計 14 周波数である これらの設定は 感度解析を行って深度 100m~5km までの構造を把握しうるように検討して決定されている インバージョンの初期値は 10ohm-m の均質構造であり 6 回程度の反復計算で RMS=4.7 に収束している 図 3-10 に 実測データとモデル応答の比較 ( 一部 ) を示す 実測値と計算値のフィッティングは概ね良好である また 実測値にはスタティックシフトを示唆する兆候 ( 見掛比抵抗疑似断面のみ 縦縞 が目立ち 位相にその兆候が見えない ) は見られないことから TDEM 法による補正が有効であったことが窺える 総合的に判断して MT 法の解析には問題は無く 解析結果の信頼性は高いと評価できる MT 法データの3 次元インバージョンによって得られた比抵抗構造 ( 平面図 ) を図 3-11 から図 3-13 に示す 図 3-11 は地表から深度 325m における比抵抗分布であり 図 3-12 は深度 675m 図 3-13 は深度 1,375m における比抵抗分布である 図 3-11 より 深度 325m レベルにおいて 約 1ohm-m の低比抵抗帯がフルライス地域の大部分を覆っていることが見てとれる この低比抵抗は 200 以下の比較的低温の環境で生成される熱水変質鉱物の分布を示しており フルライス地域のキャップロックの役割を果たしている層に相当すると考えられる 測点 MT16 MT22 付近 および MT14 付近では周辺よりも若干高い比抵抗を示している 深度 625m では これらの測点近傍の比抵抗は 50ohm-m 以上になり 比較的高い比抵抗を示す領域が測点 MT10 から MT16 MT17 さらに单東方向の測点 MT26 MT27 付近まで広がっている この高比抵抗帯は より高温の環境で生成する熱水変質鉱物の分布に対応しており 地熱流体の上昇域を表していると解釈できる 深度 1,350m においては 低比抵抗帯 44

67 よりも高比抵抗を示す領域の占める領域のほうが広くなり 高比抵抗の中心は フルライス山とブリティブサール山の山体の直下に移っている これらの兆候は 地化学データから示唆される地熱流体の流動経路と整合しており フルライス地域の熱源はフルライス山およびブリティブサール山の深部に存在することを示唆するものとなっている 深度 1,350m レベルにおける比抵抗分布には 周辺よりもはるかに低い比抵抗を示す領域が孤立して2か所に認められ その北東側に高比抵抗帯が存在している この高比抵抗帯と フルライス山およびブリティブサール山直下の高比抵抗帯の間には 中間的な比抵抗を示す領域が認められる この領域が側方流動の経路にあたっていると解釈することができる 現在 PT. PGE による調査井は 流動経路にあたる中間比抵抗帯 ( 図中赤い点線で囲まれた領域 ) をターゲットにして掘削が進行中である MT 法データの解析結果と調査井の掘削結果を併せて解釈することにより より現実に近い地熱系概念モデル構築することが望ましい 45

68 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 図 3-9 フルライス地域 MT 法電磁探査測点配置図 ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 46

69 図 3-10 MT 法解析結果実測データとモデル応答の比較図 ( 出典 : PT. PGE) 47

70 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 図 3-11 MT 法解析結果比抵抗分布図 ( 深度 325m) ( 出典 : PT. PGE) 48

71 図 3-12 MT 法解析結果比抵抗分布図 ( 深度 675m) ( 出典 : PT. PGE) 49

72 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 図 3-13 MT 法解析結果比抵抗分布図 ( 深度 1,375m) ( 出典 : PT. PGE) 50

73 g. 地熱系概念モデル 1 透水性を規制する地質構造および有望範囲熱水卓越型貯留層内やその周辺の岩石は 水 - 岩石相互反応による熱水変質作用を一般的に受ける 貯留層中心部から縁辺部に向かうにしたがって温度は低下するため 熱水変質作用によって生成される変質鉱物の種類も縁辺部へ向かうにしたがって低温相のものへと変化する 熱水変質作用の温度が 200 に満たない場合 主としてスメクタイトや緑泥石 -スメクタイト混合層鉱物 イライト-スメクタイト混合層鉱物 石英 (100 未満の場合は玉随やクリストバライトなど ) ハロイサイトなどが生成される これらの変質鉱物のうち スメクタイトや混合層鉱物中のスメクタイト成分は交換性陽イオンを含んでいる このため これらのスメクタイトやスメクタイト成分を含む混合層鉱物を主成分とする粘土化された岩石の比抵抗値は岩石本来の比抵抗値よりも低くなる 一方 200 以上の温度下で熱水変質作用が行われた場合は 緑泥石やイライト 緑レン石などが主要な変質鉱物として生成される これらの変質鉱物は 岩石本来の比抵抗値を下げるような働きをしない 大部分の地熱地帯では 地熱貯留層の上位に低比抵抗ゾーンが検出され この低比抵抗ゾーンの下位は相対的な高比抵抗ゾーンとなっている ほとんどの場合 この低比抵抗ゾーンの下に広がる相対的な高比抵抗ゾーンに主要な蒸気生産ゾーンが存在している このような地熱地帯では 低比抵抗ゾーンとして検出された層状の部分が貯留層の帽岩 ( キャップロック ) としての役割を果たす難透水層に相当している 例えば この低比抵抗ゾーン内では 坑井掘削中の逸水現象はほとんど認められず 伝導型の温度分布が観測される さらに このゾーン内で検出される変質鉱物は主としてスメクタイトや緑泥石 -スメクタイト混合層鉱物 イライト-スメクタイト混合層鉱物である また 低比抵抗ゾーンの下面付近の温度は 200 前後であることが多い このようなことから 下位に高比抵抗ゾーンを伴うある程度の広がりをもった浅部低比抵抗ゾーンは地熱開発にとっての有望範囲と見なすことができる フルライス地域では 浅部に低比抵抗ゾーンが広がり さらにその下には高比抵抗ゾーンが分布しており 有望な地熱資源が存在すると期待できる 深度 325m における比抵抗分布を図 3-14 に示す 比抵抗値が 10ohm-m 未満の低比抵抗ゾーンが断層 F3 の单西側に広がっており 多くの地熱徴候が位置している この低比抵抗ゾーンのほぼ北西縁と单東縁付近には それぞれ断層 F4 と断層 F7 が分布している したがって 断層 F3 F4 および F7 に囲まれた低比抵抗ゾーンの地下に最も有望な地熱資源が期待される 火山地帯では 断層運動によって形成された破砕帯が地熱活動を規制する透水性の良い主要な構造となっていることが多い また 強く粘土化された層が地熱貯留層のキャップロックとなる難透水性の部分となっているのが一般的である 前述し 51

74 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 た低比抵抗ゾーンがキャップロックに対応すると判断される また キャップロックの底面深度は 500m 前後と予想される フルライス地域における地熱徴候分布を見ると その多くが断層 F2 F3 F4 F5 F6 および F8 沿いに分布している したがって これらの断層が主要な透水ゾーンになっていると考えられる なお 北西 - 单東方向の断層 F5 については 5ohm-m 未満の低比抵抗ゾーンがこの断層に沿って伸びていることから 断層 F5 沿いに有望な地熱貯留層が形成されていると期待される 上述した地質構造分布とともに 深度 325m における低比抵抗ゾーンの広がりと深度 675m における低比抵抗ゾーン下位の相対的な高比抵抗ゾーンの広がりを基に有望範囲を検討した すなわち 比較的浅い深度で低比抵抗ゾーン下位の相対的な高比抵抗ゾーンが認められる範囲は地熱流体の上昇域付近に位置すると考えられることから 深度 325m で低比抵抗ゾーンが認められ 深度 675m では相対的な高比抵抗ゾーンとなっている範囲を有望範囲の最小範囲とした また 深度 325m で低比抵抗ゾーンが広がっている範囲を有望範囲の最大範囲とした 抽出された有望範囲の最大範囲と最小範囲の位置を図 3-15 に示す フルライス地域で想定される有望範囲の最大範囲と最小範囲の面積はそれぞれ約 84.5km 2 と約 22.9km 2 である 52

75 図 3-14 断層分布と深度 325m における比抵抗分布 ムアラアマン クタフン川 コレン山 W N E 700 F3 レゲス山 S 500 フルライス地域 F1 スマラコ F 緯距 (m) サンタン川 アマン川 ルムット山 1500 チェメ山 F4 スバングレゴ F6 トゥランラランテス湖 フルライス山 F5 F8 スバンアグン 1700 ブリティブサール山 1500 ブリティクチール山 F パブアル山 ティガ山 経距 (m) 凡例 断層 噴気 泥火山を伴う地獄地帯 温泉 比抵抗 (ohm m) ( 出典 :PT. PGE 資料を基に作成 ) 53

76 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 図 3-15 地熱有望範囲推定図 ムアラアマン F3 クタフン川 コレン山 レゲス山 W N S E 凡例 断層 噴気 500 最大有望範囲 ( 約 84.5km 2 ) フルライス地域 泥火山を伴う地獄地帯 F1 スマラコ F 最小有望範囲 ( 約 22.9km 2 ) 温泉 緯距 (m) サンタン川 アマン川 ルムット山 1500 チェメ山 F4 スバングレゴ F6 トゥランラランテス湖 フルライス山 F5 F8 スバンアグン 1700 ブリティブサール山 1500 ブリティクチール山 F パブアル山 ティガ山 経距 (m) ( 出典 :PT. PGE 資料を基に作成 ) 2 地熱概念モデル今回得られたデータに基づく地熱概念モデルを図 3-16 に示す 地熱有望域はフルライス山からブリティクチール山へと北西から单東に連なる尾根の北側に広がっている 地熱徴候分布や MT 探査に基づけば 地熱活動の中心 ( 上昇域 ) はスバンアグンからブリティクチール山山頂北側の地熱徴候地付近にかけての地域と考えられる この地熱活動の中心から断層 F3 F4 F5 F6 F8 に沿って地熱貯留層が広がっていると考えられる 噴気ガスの化学組成は 250 から 280 の地化学温度を示していることから 地熱活動の中心地付近では 250 から 280 の貯留層温度が期待される この深部貯留層は中性の Cl 型熱水により構成されていると思われる 浅部に広がる粘土化した難透水層 (MT 探査で検出された低比抵抗ゾーンに対応 ) によってこの貯留層熱水の地表への上昇が妨げられており 難透水層の下側を断層 F8 や F4 F6 に沿って主として北へ側方流動していると考えられる また 断層 F4 や F6 に沿 54

77 って北へ側方流動する貯留層熱水の一部は断層 F5 や F3 に沿っても流動していると推定される MT 探査で検出された低比抵抗ゾーンの下面深度を考慮すると 深部貯留層に達するためには尐なくとも 500m( 垂直深度 ) 以上の掘削が必要と判断される スバンアグンからスバングレゴにかけては 浅層の地下水が難透水層を通って上昇してくる深部地熱貯留層由来のガスや熱によって加熱された局所的な温泉帯水層が形成されている この温泉帯水層の形成過程では ガス中の硫化水素 (H 2 S) の酸化により硫酸イオンが形成されるため (H 2 S+2O 2 H 2 +SO 4 ) 温泉水は硫酸酸性となっている なお スバンアグン付近では 断層 F8 沿いに深部貯留層熱水の一部が地表近くまで上昇しているため Cl 型深部熱水と酸性 SO 4 型温泉水とが混合した Cl-SO 4 型温泉水が形成されている スバングレゴよりも北側では 深部貯留層からのガスの上昇はあまり顕著ではなく 難透水層を伝導的に上昇する熱により浅層地下水が加熱されて HCO 3 型温泉帯水層が形成されている ただし 断層 F3 と断層 F4 の交差部付近に位置するスマラコでは 断層沿いに深部貯留層熱水の一部が地表近くまで上昇しているため Cl 型深部熱水と HCO 3 型温泉水が混合した Cl-HCO 3 型温泉帯水層が形成されている 55

78 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 図 3-16 地熱概念モデル A B SO 4 型熱水と Cl 型熱水の混合 ガスの酸化 H 2 S SO 4 ガスの酸化 H 2 S SO 4 HCO 3 型熱水と Cl 型熱水の混合 HCO3 Cl-HCO3 地熱流体の上昇 HCO3 F1 F8 F5 断層 F4およびF6 沿いの深部熱水側方流動 F2 F3 粘土化した難透水層 ( 出典 :SNC 調査団 ) 56

79 h. 地熱資源量の推定本調査では 坑井調査及び地表調査により得られたデータを用いて モンテカルロ解析手法を適用した容積法により フルライス地域における地熱資源量を計算した 容積法は地熱貯留層内の貯留熱量を計算し これから利用可能な熱量 ( 地熱資源量 ) やこの熱量によって得られる発電量を推定する方法である 貯留熱量は 地熱貯留層温度と利用限界温度との温度差に地熱貯留層の体積 密度及び比熱を乗じることによって得られる この貯留熱量をすべて利用することは不可能なので 貯留熱量に地上までのエネルギー回収率を乗じたものが利用可能な地熱資源量である さらに この利用可能地熱資源量に熱エネルギーを電力に変換するまでの変換効率を乗じ プラント運転年数で除することにより最終的な発電出力が求められる 発電出力の計算式を以下に示す 発電出力 =(Tr-Ta) {(1 φ)cprρr+φcpwρw} V RF CE / (LF PL) ここに ρr,ρw : 岩石密度 (kg/m 3 ) 地熱流体密度 (kg/m 3 ) Cpr,Cpw : 岩石比熱 (kj/kg- ) 地熱流体比熱 (kj/kg- ) Tr,Ta : 地熱貯留層温度 ( ) 利用限界温度 ( ) φ : 空隙率 (%) V : 地熱貯留層体積 (km 3 ) RF : 回収率 (%) CE : 変換効率 (%) LF : プラント運転期間 ( 年 ) PL : プラント稼働率 (%) である 通常 容積法で用いられているパラメータ ( 地熱貯留層の体積や温度など ) の値を1つに限定することは困難であり 多くの場合これらは想定される範囲がある したがって地熱資源量の計算結果についてもパラメータの範囲によって算出される範囲が存在する モンテカルロ解析 (Monte Carlo Analysis) は計算結果にどの程度の幅があり その中で最も可能性の高い数値はどれなのかを統計的に求める手法である 前述した地熱系概念モデルに基づき モンテカルロ解析手法を適用した容積法により フルライス地域の可採地熱資源量を計算した 計算での設定パラメータと計算結果を図 3-17 に示す 地熱貯留層の面積は 地熱系概念モデルの項で推定した最小値 (22.9km 2 ) と最大値 (84.5km 2 ) を用いた 地熱貯留層の厚さは キャップロックの中に高比抵抗帯 ( 高 57

80 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 温で生成する熱水変質鉱物によると考えられる ) が出現する深度から 数値モデルの外縁に付けられたコースブロックの上面深度までを対象と考え 500m~3,500m とした 岩石物性は 類似の地熱地帯で一般的に見られる値の範囲を採用した 回収率としては岩石の空隙率の 2.5 倍が採用される場合が多いため ここでもその方式を採用した 発電の変換効率 プラント稼働率と稼働年数はそれぞれ 12%~14% 0.7~ 年を用いた モンテカルロ解析の結果によれば フルライス地域の地熱資源量の最頻値は 350MW~400MW( 頻度 6.93%) となった しかし 資源量計算値の分布のピークはなだらかであり 400~450MW の頻度も 6.92% 450~500MW の頻度も 6.84% と最頻値とほぼ同じ値を示す結果となった また 資源量が 125MW 以下となる累積確率は 1.84% と非常に低い値となっており 125MW 以上の地熱資源が賦存している確率は 98% 以上の高い値となっている フルライス地域の賦存資源量として モンテカルロ解析において 80% 以上の確率を示した資源量を採用するならば 同地域の地熱資源量は 300MW と見積もられる 以上のことから フルライス地域の地熱資源量は 現在の開発計画 (55MW 2 基 ) に比べて十分大きいと結論することができる 58

81 Distribution(%) Frequency 図 3-17 フルライス地域地熱資源量モンテカルロ解析結果 Parameter min. most likely max. Reservoir Area (km 2 ) Reservoir Thickness (m) Rock Density (kg/m 3 ) Porosity (-) Recovery factor (-) Rock Specific Heat (kj/kg o C) Reservoir Average Temperature ( o C) Reservoir Average Pressure (MPa) Heat-Electricity Conversion Efficiency (-) Plant Life (year) Load Factor (-) Abandonment Temperature ( o C) % 7.0% Number of calculation times: % 5.0% 4.0% 3.0% 2.0% 1.0% 0.0% Output (MWe) 確率 80% 以上となる資源量 :300MW Output (MWe) Accumulation Possibility ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 59

82 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 i. 坑井 1 本あたりの出力と開発規模の推定 110MW の発電に必要となる坑井の数を見積るためには 今後掘削される生産井の生産能力を推定する必要がある 本調査では 坑井シミュレータ WELLFLOW(Tokita et al., 2002) を用いて生産井の能力を見積もった 坑井シミュレータ WELLFLOW は これまでに多くの地熱地域において生産井の生産能力の解析に用いられており その有効性が実証されている WELLFLOW は 地熱貯留層の温度 圧力 フィードゾーンの浸透率 - 層厚積から 生産井の噴出特性曲線を計算する機能を備えており 様々な坑口圧力条件における蒸気噴出量 熱水噴出量 および比エンタルピーを計算することができるため タービン入口圧力を仮定すれば 1 本の生産井から得られる発電可能量を見積もることができる フルライス地域では調査井の掘削が始まった段階であるため 地熱貯留層の温度圧力に関する情報がほとんど利用できない このため 地表調査から推定される貯留層の温度 圧力を用いて 生産井の能力を推定した 推定に用いたパラメータを表 3-5に示す 坑井のケーシングプログラムは フルライス地域で現在掘削中の調査井のものと等価な設定を用いた 坑井シミュレータ WELLFLOW によって推定した生産井の噴出特性を 図 3-18 に示す 同図より 坑口圧力 0.5 MPaG の場合 89.3 t/h の蒸気と t/h の熱水 合計 379 t/h の地熱流体が生産されると推定できる 坑口圧力 0.5 MPaG の場合 タービン入口圧力を 0.4 MPaG とし 1MWe の発電に必要な蒸気量を8t/h とすると 110MW の発電には 880 t/h の蒸気が必要となる 1 本の生産井から 89.3 t/h の蒸気が得られるとすれば 110MW の発電に必要な生産井は 10 本となる 生産井 1 本あたり t/h の熱水が噴出するので 110MW の発電を開始すると 2,897 t/h の熱水を地下に還元する必要が生じることになる 生産井 1 本あたり 379 t/h の流体を生産するのであるから 1 本の還元井も同程度の熱水を処理できると考えられるが 還元井の場合は自然水位から口元までの部分が熱水で満たされることにより逸水層における圧力が増大し 流下量が増加すると期待できる この増加分を考慮して 1 本の還元井の最大還元能力を 500 t/h と見積もれば 2,890 t/h の熱水を処理するためには6 本の還元井が必要となるが この見積ではほとんど余裕がないため 実際には 7 本の還元井が必要になると考えられる 発電を開始すると 流体の生産と熱水の還元に伴って貯留層の温度 圧力が低下していく また 主に還元ラインではスケールの生成により 徐々に還元能力が減尐していく 減衰に伴って蒸気生産量または還元容量が低下し 定格出力を維持できなくなった場合には 追加坑井が掘削される 貯留層の温度圧力の低下とスケール生成による減衰を併せた減衰率を年率 3% と仮定して 30 年間に必要となる追加坑井の数を見積もると 図 3-19 表 3-6に示すとおりとなる 60

83 以上の結果をまとめると フルライス地域において 110MW の発電を行うには 発 電開始時点で生産井が 10 本 還元井が 7 本必要であり 30 年間に生産井 8 本 還元 井 5 本の補充井が必要になると考えられる 表 3-5 坑井シミュレータ入力パラメータ Reservoir Pressure = (MPaA) Reservoir Temperature = ( ) Permeability-Thickness (kh) = 5.00 (darcy-m) Production Casing Depth = (m) Feed Point Depth = (m) Production Casing Diameter = (m) Liner Diameter = (m) Skin Factor = 0.00 図 3-18 生産井の噴出特性推定結果 ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 61

84 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 表 3-6 追加坑井数試算結果 Injection Make Up Wells Make Up Wells Years Production Capacity (Production) (Injection) Total 8 5 ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 62

85 Injection Capacity (t/h) Steam Procution (t/h) 図 3-19 追加坑井数試算結果 Years Years ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 63

86 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 (3) プロジェクトの計画概要 現在得られている地熱資源に関するデータには 直接的に地下貯留層の状況を示すものがないため 今回はモンテカルロ解析手法を適用した容積法により当該地点の地熱資源ポテンシャルを見積もった その結果 確率 98% のレベルで見ると 125MWe 以上のポテンシャルを有すると判断された ただし プロジェクトを進めるに当たっては 複数の調査井掘削ならびに掘削結果に基づく地熱資源量評価を行うとともに当該地域における地熱資源の性状を確認し その結果に基づく FS 調査が必要と判断される 発電設備の設計に不可欠な地熱資源の性状が不明確なため 調査井掘削の結果によっては 発電所計画案は見直されることも考慮される 1. 技術的手法の検討 a. 発電所敷地および坑井掘削基地本調査地域はフルライス山の東側山麓に位置し 比較的緩やかな地形である 当地域には PT. PGE により A 基地と B 基地の2 基地が既に造成されており それぞれの基地で4~8 本の坑井が掘削可能と考えられる これらは地熱開発において生産井掘削用敷地として利用可能である なお B 基地では1 本の坑井が現在 掘削中である 110MW(55MW 2 基 ) の地熱発電所運開にあたっては 前述の地熱資源量および開発規模の推定から 生産井 10 本と還元井 7 本が必要であり 既存の坑井掘削基地に加え新たな基地およびアクセス道路を造成しなければならない 周辺の地形状況から 既存の基地から西側の比較的緩傾斜地に2つの坑井掘削基地と発電所敷地を造成できると考えられる この坑井基地は既存基地より標高が低いことから 還元井掘削基地に適しており 1 基地当り最大で8 本程度の坑井掘削スペースを確保できる 各基地を結ぶアクセス道路のうち 急峻な谷を通る場合は 必要によりトラス橋またはコンクリート橋を設置することを推奨する フルライス地域における発電敷地 生産井掘削基地 還元井掘削基地候補地点の位置を図 3-20 に示す また 坑井掘削基地の標準的なレイアウト例を図 3-21 に示す 選定された生産井基地や還元井基地から 地熱活動に関連した地質構造まで掘削することが可能かどうかを次のような仮定を基に検討した 生産井のターゲットは 断層 F5 F6 および F8 還元井のターゲットは 生産井のターゲットの北部 地表から 400m までは垂直に掘削し この深度から傾斜掘削を開始 64

87 10m につき 1 度の割合 ( 増角率 ) で最小 20 度 最大 40 度まで傾斜をつけ 計 画した傾斜角度に達した後は その角度を保って掘削を続ける 掘削長は 2,500m 程度とする 以上のような仮定を基に検討した結果 生産井で 10 以上 還元井で 7 つ以上のタ ーゲットが掘削可能と判断された したがって 選定された生産井基地および還元 井基地の位置は妥当と考えられる 65

88 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 図 3-20 発電所敷地および掘削基地配置図 1000 凡例 900 発電所生産井基地還元井基地アクセス道路 ( 既設 ) アクセス道路 ( 新設 ) 蒸気配管還元配管 800 D 基地 ( 新設 ) 700 B 基地 ( 既設 ) 700 W N S E C 基地 ( 新設 ) フルライス山 A 基地 ( 既設 ) ブリティブサール山 km ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 66

89 エアコンプレッサー 給水タンク 150m 図 3-21 掘削リグの標準配置図 100m 泥溜 ザク溜 泥溜 ザク溜 水溜 水溜 サクションタンク インターミテ ィエートタンク シェーカータンク 1 号井 4 号井 パイプラック MP #3 MP #2 MP #1 SCR #3 #2 #1 掘削機用発電機 冷却タンク H2S 測定器泥水測定器 BOP コントロール 5 号井 2 号井 3 号井 6 号井 7 号井 8 号井 資機材置き場 ケーシングパイプ, ドリリングツールス, セメンチング機材, 泥材及び添加剤, 廃棄物等 燃料タンク 守衛小屋 電気小屋機械小屋現場事務所管理事務所医務室食堂他 出入り口 ( 出典 : SNC 調査団作成 ) b. 地熱流体輸送方式の選定図 3-22 に地熱流体輸送還元設備の模式図を示す 地熱流体輸送設備 (FCRS = Fluid Collection and Reinjection System) として採用される方式は 生産井から生産される地熱流体の性状によって一般的に異なる 生産される地熱流体が蒸気のみの場合 生産井から蒸気輸送管のみで蒸気を輸送する蒸気輸送方式が採用される 一方 生産される地熱流体が二相状態 ( 蒸気と熱水 ) の場合には 口元分離方式 二相流体輸送方式 気水分離器基地分離方式およびポンプ生産方式の4 方式の中から現地の条件に最も適した方式が採用される 口元分離方式の場合 生産井から噴出する地熱流体は各生産井に設置されたセパレータで気水分離される 各セパレータからの蒸気は卖独あるいは合流させて発電所に輸送され 残りの分離熱水は還元井まで輸送され地下に還元される したがって このシステムの場合 蒸気配管と還元配管の2 種類の配管が敷設される 口元 67

90 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 分離方式は 蒸気と熱水をそれぞれ別の配管で輸送するため 二相流体輸送方式よりも安定した輸送が可能であり あらゆる地形に適している 二相流体輸送方式の場合 生産井からの地熱熱水は二相状態 ( 蒸気と熱水の混相流 ) で発電所近くに設置したセパレータまで輸送されて気水分離される セパレータからの蒸気は発電所に輸送され 残りの分離熱水は還元井まで輸送されて地下に還元される このシステムでは生産井基地から発電所までは 1 本の二相流体輸送配管のみとなる 二相流体輸送方式は口元分離方式に比べて圧力損失が大きくなる 二相流の流動形が噴霧流 ~ 環状流となるような流速の維持が可能な配管レイアウト 口径を選択する必要がある 二相流体輸送方式は 一般的に下り勾配の地形に適している 気水分離器基地分離方式の場合には 蒸気と熱水は二相状態で気水分離基地まで輸送される 気水分離基地で分離された蒸気は発電所へ輸送され 残された熱水は還元井へ輸送される この場合 生産井基地と気水分離基地との間に二相流体輸送配管が敷設される ポンプ生産方式の場合 生産井に深井戸ポンプを設置して地熱熱水を汲み上げる ポンプ生産方式は次のようなケースに適している (a) 中低温地熱熱水を地熱発電に利用する場合 (b) 熱水の生産量を増加する場合 (c) 熱水の蒸気化を防ぎ 生産配管でのカルサイトシリカ析出を抑制する場合 (d) 熱水の温度低下を抑え 熱交換器でシリカスケール析出を抑制する場合 本地点では 高温地熱流体の貯留が予想されることと 蒸気の方が取り扱いが容易な点 坑井基地の配置などを考慮して それぞれの坑井基地近傍に基地の地熱流体すべての気水分離を行う基地 (3カ所) を設置する気水分離基地分離方式を選択した 68

91 図 3-22 地熱流体輸送還元設備の模式図 気水分離器 生産井 気水分離器 生産井 気水分離器基地 気水分離器基地 蒸気溜 蒸気溜 還元井 発電所 還元井 還元井 発電所 還元井 口元分離方式 気水分離器基地分離方式 生産井 深井戸ポンプ 深井戸ポンプ 生産井 深井戸ポンプ サント セハ レータ 生産井 深井戸ポンプ サント セハ レータ サント セハ レータ 気水分離器 熱水タンク 還元井 発電所 二相流体輸送方式 還元井 還元井 発電所 ポンプ生産方式 ( 出典 : SNC 調査団作成 ) c. 発電方式の選定地熱発電方式には自然蒸気発電 フラッシュ蒸気発電およびバイナリー発電の3 種類があり 開発地点で生産される地熱流体の性状により発電方式は決定される 表 3-7に地熱発電方式の比較を示す 自然蒸気発電では蒸気卓越型の貯留層 ( 貯留層温度 220~300 以上 ) から生産される乾き蒸気または過熱蒸気が使用される 生産井からの蒸気は坑口のセパレータを通った後 タービンに導かれる 生産井と発電所の間にセパレータを設け 蒸気と共に流れるダストや小片粒が分離回収される セパレータから発電所までの蒸気配管にはドレンポットを数箇所に設置し タービン入口前にはデミスターを設置して 蒸気凝縮水やミストを回収 除去する 自然蒸気発電はイタリアやアメリカ合衆国で開発された最も古い地熱発電方式である またこの発電方式が適用できる地熱地帯は世界でも数尐ない 69

92 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 フラッシュ蒸気発電は熱水卓越型の高温貯留層 ( 貯留層温度 180~260 ) をもつ開発地点に適用される 熱水卓越型の地熱地帯は蒸気卓越型よりも多く分布している 一般に熱水卓越型の貯留層からは加圧された蒸気と熱水の混相流 ( 二相流 ) が生産される 二相流体が標準的な発電用タービンに流れ込むとタービン翼が損傷してしまうため セパレータを設置して蒸気と熱水に分離する 分離後の蒸気はタービンに送気され 熱水は還元井に輸送される ダブルフラッシュ蒸気発電はさらに温度の高い地熱貯留層 ( 貯留層温度 240~ 320 ) を持つ開発地点に適用される ダブルフラッシュ方式の場合 セパレータとフラッシャーの2 段のフラッシュシステムを持つ セパレータで分離された熱水はフラッシャーに導かれ そこでフラッシュ蒸気を発生させる フラッシャーに残った熱水は還元井に輸送される したがって ダブルフラッシュ蒸気発電では異なる圧力の蒸気をタービンに送気する また ダブルフラッシュ蒸気発電では シングルフラッシュよりも 15~25% 出力が増加する しかしながら発電設備はシングルフラッシュ蒸気発電より複雑になり 建設費も高くなるとともに設備の補修個所も増える バイナリー発電は 中低温の貯留層 ( 貯留層温度 90~175 ) を持つ開発地点でも発電を可能としている バイナリー発電では 熱交換器によって熱源である地熱流体から低沸点の作動媒体に伝熱される 作動媒体は予熱器と蒸発器の2 種類の熱交換器で加熱 蒸気化する 蒸気となった作動媒体は発電機の連結した蒸気タービンに送気される タービンを出た作動媒体は凝縮器を通過する過程で凝縮し液相となる 液相の作動媒体は媒体供給ポンプによって予熱器 蒸発器に再送される 地下資源に関する検討結果から 本地点では高温熱水が貯留されていると推察され 地熱資源の温度を考慮すると最も一般的な発電システムであるフラッシュ蒸気発電方式として検討した また 熱水量については現時点で不明瞭であるため シングルフラッシュ方式にするとともに 非凝縮性ガスが多いとの情報もないことから 地熱資源の有効な利用に配慮し復水式として検討した 70

93 表 3-7 地熱発電方式の比較 分類 貯留層温度 ( ) 発電方式 特徴 自然蒸気発電 背圧式 以上適さない復水式 以上適さない 過熱蒸気で非凝縮性ガスが多い井戸に適用一般に小容量復水式と比較して地熱エネルギー利用効率が低い建設費は安いが蒸気消費量大排気騒音対策を要する 過熱蒸気で非凝縮性ガスが尐ない井戸に適用大容量が可能地熱エネルギーの利用効率が高い良質の蒸気の場合 最も経済的である 適さない シングルフラッシュ背圧式 熱水 熱水卓越型で非凝縮性ガスが多い井戸に適用井戸元発電で一般に小容量復水式と比較して地熱エネルギー利用効率が低い建設費は安いが蒸気消費率大排気騒音対策を要する フラッ シュ蒸気発電 適する シングルフラッシュ復水式 熱水卓越型で非凝縮性ガスが尐ない井戸に適用大容量が可能熱水が多い場合は地熱エネルギー利用率が低いダブルフラッシュに比べ 高温高圧還元により還元井のシリカスケール防止と還元井数減または還元ポンプの動力費節減に有利な場合あり 適さない ダブルフラッシュ復水式 過熱蒸気で非凝縮性ガスが尐ない井戸に適用大容量が可能熱水が多い場合はシングルフラッシュよりも出力が 15~25% 増加するシングルフラッシュに比べて約 6% 建設費が高くなるシングルフラッシュより還元熱水量が尐ない 71

94 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 適さない 熱水型バイナリー ターヒ ン熱交換器熱水 G コンテ ンサー 熱水の熱を熱交換器によって低沸点の作動媒体に伝え この蒸気によってタービン駆動するフラッシュ発電に適さないような低エンタルピーの井戸に適用一般に小容量のパッケージタイプ構造が卖純で無人化運転が容易 P バイナ 適さない 蒸気熱水併用バイナリー 気水分離器蒸気 ターヒ ン G 熱交換器 P 熱水 生産井 還元井 P コンテ ンサー Condenser 中低エンタルピーの熱水卓越型井戸に適用大容量ガス抽出装置 ( 真空ポンプ ) が不要非凝縮性ガスの全量地下還元が可能な場合あり蒸気と熱水の両方を熱源とするためエネルギーの利用効率が高い比較的卖純構造ユニットを並べることで 10MW 以上の発電も可能 リー発電 適さない コンバインドサイクル型バイナリー 気水分離器背圧ターヒ ン蒸気 G G コンテ ンサー Condenser 熱水熱交換器 P 生産井還元井還元井 高圧で中 ~ 高エンタルピーの井戸に適用大容量ガス抽出装置 ( 真空ポンプ ) が不要非凝縮性ガスの全量地下還元の実例あり熱水も熱源として併用する構成も可能 1 台の背圧タービンに数台のバイナリーユニットを組み合わせる大容量化が可能 適さない ハイブリッド型バイナリー 気水分離器 蒸気 フラッシュ復水式または コンハ イント サイクル型ハ イナリー 生産井 熱水 熱水型ハ イナリー 還元井 熱水卓越型で中エンタルピーの井戸に適用蒸気と熱水の両方を熱源とするため地熱エネルギーの利用効率が高いボトミングプラントだけをセパレータ基地に設置でき レイアウトの自由度が高いボトミングプラントはメインプラントから遠隔制御が可能 ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 72

95 d. 送電設備の検討 1 ブンクル州およびスマトラ单部送電系統 図 3-23 ブンクル州およびスマトラ单部送電系統図 ( 出典 : PT. PLN, 2010) 図 3-24 スマトラ单部送電系統卖線結線図 ( 出典 : PT. PLN データ ) 73

96 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 スマトラ单部系統とスマトラ中部系統間の 150kV 送電線は 2004 年 7 月に完成した スマトラ单部から中部への 150kV 系統連系は 单スマトラのラハト (Lahat) 変電所と西スマトラのキリランジャオ (Kiliranjao) 変電所の間で既に電圧 275kV で設計されている ラハト変電所とキリランジャオ変電所間の送電線は RUPTL に従って 2012 年に 275kV 送電網に昇圧する予定である ラハト変電所は 275/150/20kV 変電所に昇圧する予定である また フルライス地熱発電所は 150kV ぺカロンガン (Pekalongan) 変電所に連系される予定である ぺカロンガン変電所はブンクル州の拠点変電所であり ラハト変電所とキリランジャオ変電所間のルブックリンガウ (Lubuk Linggau) 変電所に接続される 2 フルライス地熱発電所とぺカロンガン変電所間の送電線 図 3-25 既設ぺカロンガン 150/70/20kV 変電所卖線結線図 ( 出典 : PT. PLN データ ) 74

97 ぺカロンガン変電所 150kV ヤード写真 ( 出典 : SNC 調査団 ) 実際のフルライス地熱発電所地点は ブンクル州テス (Tes) の西側山肌にある ぺカロンガン変電所からフルライス地熱発電所までの 150kV 送電線の推定距離は約 50km( 参考 : テス水力発電所とぺカロンガン変電所間の 70kV 送電線は 45.86km) である ぺカロンガン変電所は フルライス発電所に送電線 150kV2 回線で新たに接続 するために ルブックリンガウ変電所向けの隣に 150kV 二重母線をコーヒー 農園側に 2 スパン延長することが必要である 既設建屋内には十分なスペースがあるが ぺカロンガン変電所新設時からフ ルライス発電所向けの送電線は計画されていなかったので 制御盤 保護盤 通信盤等のための既設建屋内部の見直しが必要とされる 2. プロジェクトの内容フルライス地点において 55MW 2のシングルフラッシュ方式地熱発電所を建設する 本プロジェクトは以下のサブ プロジェクトにより構成される 地熱資源開発 敷地造成 アクセス道路建設 生産井および還元井の掘削地熱流体輸送設備建設地熱発電所建設 75

98 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 敷地造成 電気機械設備設置 構築物設置 発電所建屋設置送電線建設なお このサブ プロジェクトのうち PT. PGE が地熱資源開発と地熱流体輸送設備建設を担当し PT. PLN が地熱発電所建設及び送電線建設を担当する計画とした 3. 概念設計および適用設備の仕様 a. 地熱資源開発計画 1 発電所 坑井掘削基地およびアクセス道路造成本地域の地熱開発では 4つの坑井基地が必要であり PT. PGE により既に造成されている2 基地を除き 新たな2 基地とそれらを結ぶアクセス道路を造成する アクセス道路の幅員は 5m 程度であれば 資機材運搬の重機通行は可能であると考える なお C 基地 ~B 基地間ならびに C 基地 ~D 基地間には深い谷があるため 横断部にはトラス橋の設置を推奨する 敷地造成に当たっては詳細な地形測量や表層土質等の調査を行った後に詳細設計を行う必要がある 表 3-8に発電所 坑井掘削基地およびアクセス道路の規模を示す 表 3-8 発電所 坑井基地およびアクセス道路の規模 項目 規模 備考 発電所 240m 275m 55MW 2 基 A 基地 100m 150m 既設 4 本の生産井掘削 B 基地 100m 150m 既設 4 本の生産井掘削 C 基地 100m 150m 新設 2 本の生産井掘削 D 基地 100m 150m 新設 7 本の還元井掘削 アクセス道路 5mW 100m 新設 基地間のアクセス道路から発電所まで 5mW 3,500m 既設 既存道路 ~サイト 5mW 1,800m 既設 A 基地から B 基地間 5mW 2,000m 新設 B 基地から C 基地間 5mW 1,800m 新設 C 基地から D 基地間 6mW 20m 2 箇所の橋 C 基地 ~B 基地 C 基地 ~D 基地 ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 76

99 フルライス地域はブンクル州都ブンクル市から北へ約 150km に位置する 坑井掘 削および発電設備は ブンクル港で荷揚げし 当地域まで陸路での輸送が可能であ る 図 3-26 に資機材輸送ルートを示す 荷揚げ港の現有クレーン設備が小規模な場合は 一時的に移動式 100 トン級クレ ーンを手配する必要がある 本プロジェクトにおいて想定される資機材の最大規模 は次の通りある 最大重量 ( 発電機 ):80~90 トン 最大長さ ( 発電機 ):10~12 メートル ブンクル市からフルライス地域間の道路状況は ほとんどの区間で舗装が施され ており 乗用車での通行には支障はない しかし 資機材運搬の重機通行に当たっ ては事前に港からの既設道路について 路盤強度 幅員 橋梁等の詳細な調査を実 施するべきであり 必要に応じて地熱開発前には道路や橋梁の補強 補修を行わな ければならない W N S E 掘削工事や発電所運用に必要となる工事用水は 本地域の西側を流れる河川からジュジュンクリンチ湖タミアイ西スマトラ州クリンチ県ラヤ山メランギン県サロラングン県ルンプールマンタゴ山取水が可能であり 取水設備およびクンジット山南プシシル県ムアラシアウ B 基地までの給水配管は既に設置されている サロラングンフルニロ山ジャンビ州プラワン ムコムコ ルブックピナン トゥラステルジャム パサリプー グレカ山 スンビン山 テンガーテラス山ブンク山 ムコムコ県 ポンドスグー マスライ山 ブサール山パンダンボンス山ムアラムンデラスカユアロ山 グダン山 トゥンカ山 ジャンカ プラウパンダン 図 3-26 クニット山資機材輸送ルート スブラ山フナウ山ルンチン山 南スマトラ州 タンジュンアグン スルラングン トゥラワス ブキットアサイ ビンギントゥルック ムシラワス県 アチェ特 バンダアチェ 赤 道 別州 北スマトラ州 メダン タ イ パダン 西スマトラ州 マレーシア リアウ州 プカンバル ジャンビ州 シンガポー ジャンビ タンジュンピナ リアウ群島 バンン スブラ 北ブンクル県 クタフン Muaraaman パンダン山 ルボン県 ダウン山 アルガマムル クバン山 タバーバルテススリカトントゥグムリョフルライステス湖ルブックリンガウ市ムアラブリティグダンフルライス山リンボプンガダンコンドン山ルブックリンガウパダンジャヤムラユ レジャンルボン県 ブリンギン 3 チュルプアイルドゥク パダンウラタンディン ダラウ ムアラクリンギ スカラミ 0 100km インド洋 ブンクル ブンクル州 南スマトラ州 ランプン州 バンテ パ パレンバン バンダ ス W N S E ライスタンジュンアグン ブンクル州 MUKOMUKO 0 50 km ブンクル市 WEST SUMATRA PROVINCE SOUTH PESISIR DISTRICT ウジャンマスポンドクラパ タランカンブ スカラジャ Jujun カバ山 クパヒアン県 スルマ県 L. Kerinci Tamiai KERINCI DISTRICT Mt. Raya Lempur タイス Mt. Mantago Mt. Kunjit Lubukpinang Terasterujam クパヒアンバライ山タバルカラウ ブルマニタランパダンパダンタプンサングドゥ山プンドポタンジュクグラマン マスマンバン Mt. Hulunilo Mt. Sumbing ファジルブランフ Mt. Tungkat Mt. Grekah タランムンポ Mt. Masurai Mt. Tengahteras Mt. Bungkuk ムアラピナン デンポ山ディンギン山 MERANGIN DISTRICT ヒタム山 Jangkat 南ブンクル県 マサット Mt. Besar パサルピノ Mt. Pandan Bongsu Muaramenderas マンナ Mt. Kayuaro MUKOMUKO DISTRICT Mt. Gedang Pondoksuguh トゥビンティンギー ラハット県 ジャライクトゥン山 パタ山 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) パガララム パガララム市 Muarasiau JAMBI PROVINCE Mt. Kunyit ブンガマス Talangmumpo ラハットヌグリアグン コタアグン ジャンブル山 バライ山 アレマンタイ Pulaupandan ルムット山 ブパグット山 Fajarbulan アラハン プラウピナン タンジュンアグンイサウイサウ山 SAROLANGUN DISTRICT スギンワラスウラックパンダン ムアラエニム県 P. パングン ウジャンマス ムアラエニム タンジュンエニム プニャンディンガン プンガドナン ナンティ山 プラブムリ オガンコメリンウル県 ムアラドゥアキサム ムアラドゥア カラン バトゥラジャ バトゥラジ SOUTH SUMATRA PROVINCE シムパ Mt. Seblat Mt. Hnau Mt. Runcing Tanjungagung Pasaripuh 77 Mt. Pandan Mt. Kubang Muaraaman LEBONG DISTRICT NORTH BENGKULU DISTRICT Tabah Baru TES L. Tes Seblat LUBUKLINGGAU Mt. Gedanghulu り ais CITY Rimbopengadang Padang Jaya Kp. Melayu Ketahun Mt. Condong Mt. Daun ARGAMAKMUR REJANG LEBONG DISTRICT CURUP Airduku Beringin 3 Lais Mt. Kaba

100 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 2 生産井および還元井の掘削生産井および還元井の掘削は 限られた坑井敷地から複数のターゲットを掘り抜くために 傾斜掘削を行うものとする 坑井の詳細な掘削深度やケーシングプログラムは 地表調査や調査井掘削結果を基に作成された地熱構造モデルを参考に最終決定されるべきである 本調査では次のような想定の基に坑井仕様を検討した 生産ゾーンは深度 1,000m から 2,500m 程度で 地層温度は平均掘削深度 2,000m で 265 程度と仮定する 還元ゾーンは生産ゾーンの北部付近とし 1 坑井当りの還元容量は毎時 500 トン程度を仮定する 坑井仕様 ( ケーシングプログラム ) に関し 地熱流体の採取または還元熱水の増加が図れるよう 13-3/8 プロダクションケーシングを深度 1,000m まで埋設する 深度 1,000m 以深はライナーハンガー方式でケーシングを固定し 地層崩壊防止のため孔明管を設置する また 坑井偏距を最大 1,000m 程度確保するため 坑井傾斜 40 度 掘削深度 2,500m 程度とする 生産井および還元井の仕様を図 3-27 に示す 坑井掘削で使用する設備は 掘削深度が 2,500m 程度であることを考慮し 2,000 馬力相当のものを推奨する なお 掘削機材 材料の運搬調達等については 事前に充分な調査を実施する必要がある 出力 110MW の発電に必要な坑井掘削数は 生産井 10 本と還元井 7 本である これらの配置は 既存の基地である A 基地と B 基地でそれぞれ生産井 4 本 新設する C 基地に生産井 2 本および D 基地に還元井 7 本を掘削する 各坑井基地からの掘削本数は表 3-8に示す通りである 運用開始後の補充井掘削は前述したように 本地域での坑井掘削実績がないため貯留層圧力 地熱流体の性状やシリカ析出等による減衰率等不明であるが 以下の減衰率を仮定して 30 年間の掘削本数を想定した 生産井の減衰率 :3%/ 年 還元井の減衰率 :3%/ 年 この結果 30 年間で生産補充井 8 本 還元井 5 本と試算された なお 補充井を 掘削する坑井基地は 運開時の基地で掘削可能であるか または新設や拡幅が必要 か検討しなければならない 表 3-9 に補充井掘削計画を示す 78

101 図 3-27 生産井および還元井の坑井仕様 ( ケーシングプログラム ) 12" 主弁 ケーシング径 / 深度 30" コンダクターケーシング x 30m 掘削径 / 深度 20" インターメディエイトケーシング x 450m 26" 坑 x 450m KOP 深度 500m ライナートップ (13 3 / 8 " x 10 3 / 4 ") x 980m 17 1 / 2 " 坑 x 1,000m 13 3 / 8 " プロダクションケーシング x 1,000m ライナートップ (10 3 / 4 " x 8 5 / 8 ") x 1,580m 12 1 / 4 " 坑 x 1,600m 10 3 / 4 " ライナーケーシング x 1,600m 生産ゾーン 還元ゾーンに孔明管を配置 8 5 / 8 " ライナーケーシング x 2,500m 生産ゾーン 還元ゾーンに孔明管を配置 9 7 / 8 " 坑 x 2,500m ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 79

102 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 表 3-9 補充井掘削計画 運開後年数 生産井掘削数 還元井掘削数 合計 合計 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 80

103 b. 地熱流体輸送設備計画 1 全体配置発電所 生産井基地 還元基地および配管レイアウトを図 3-28 に示す 生産配管は生産井から発電所まで設置し 還元配管は生産井から還元井まで設置する 図 3-28 地熱流体輸送設備レイアウト N W E S D C B A 凡例発電所生産井基地還元井基地蒸気配管 還元配管 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 2 生産配管と還元配管各生産井からの噴出地熱流体は口元で汽水分離器により蒸気と熱水に分離され 蒸気は蒸気輸送管により発電所まで輸送される 蒸気圧力を 0.4MPaG とした場合 110MW(55MW 2) の発電機出力を得るために必要な蒸気量は約 880t/h であり 20% の余裕を考慮した 1,056t/h の蒸気を3つの基地から均等に得られるものとして各基地からの蒸気量を 350t/h とする 蒸気配管サイズは蒸気の管内流速 (35m/s 程度 ) を考慮して 48 インチとした なお 蒸気配管については アクセス道路沿いに設置することとして 長さは概ね以下のとおりとなる 81

104 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 A 基地 ~ 発電所全長約 1,800m B 基地 ~ 発電所全長約 400m C 基地 ~ 発電所全長約 2,000m 汽水分離器で分離された熱水は 熱水輸送管により還元井まで輸送させる 必要還元能力を約 3,500t/h としており 20% の余裕を考慮した 4,200t/h の熱水を3つの基地から均等に得られるものとして各基地からの熱水量は 1,400t/h とする 熱水配管サイズは熱水の管内流速 (2m/s 程度 ) を考慮して 20 インチとした なお 熱水配管についても アクセス道路沿いに設置することとして 長さは概ね以下のとおりとなる A 基地 ~D 基地全長約 5,600m B 基地 ~D 基地全長約 3,800m C 基地 ~D 基地全長約 1,800m 配管肉厚については 配管使用圧力や流体の腐食性 流体の浸食性を考慮して選 定する 蒸気配管の熱伸縮吸収対策としては 曲がり管による方法を採用する FCRS のモニタリング項目としては 次のようなものがあげられる 生産井基地 : 生産井の口元圧力 流量 温度 生産井基地出口圧力 発電設備入口圧力 流量熱水ピット : ピット水位および還元ポンプ運転表示 還元ポンプ圧力還元井 : 還元井口元圧力 流量 温度 生産井基地 還元井基地および熱水ピットにそれぞれ情報伝送現場盤を設置し この伝送現場盤から電線ケーブルで監視盤に情報を送る なお ケーブルトレイで保護された電線ケーブルは配管に沿って敷設する 各所のパネルについては鉄製として腐食防止塗装を施す 発電所の中央制御室には監視盤を設置する 3 その他の設備生産井基地に坑口サイレンサーと熱水ピットを設置し 生産井の初期熱水処理のための一時貯水に対応する 図 3-29 に地熱流体輸送概略系統を示す 82

105 図 3-29 地熱流体輸送概略系統 汽水分離器 サイレンサー 20B 48B A 基地 汽水分離器 サイレンサー 20B 48B B 基地 汽水分離器 サイレンサー 20B 48B C 基地 D 基地 1 号機 55MW 2 号機 55MW ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 83

106 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 c. 地熱発電設備計画 1 発電所レイアウト一般的に地熱発電所の配置計画を行う際には 生産井基地からの地熱流体輸送管の位置 方向性 送電線の位置 風向 ( 冷却塔の最適配置検討のため ) を検討する必要がある 発電所敷地の中央には 55 MW 2ユニットのシングルフラッシュ発電設備を設置する 発電所の周りには 変電所 原水タンク 事務所等の建屋を設置する 主変圧器は変電所区画内に配置する なお 変電所等の電気設備が冷却ファンからの排気や腐食性の非凝縮性ガスやミストを含んだ排気による影響がないように冷却塔は変電所の風下側に配置する 図 3-30 にシングルフラッシュ発電設備のレイアウトを示す 図 3-30 発電所レイアウト 240,000 守衛所 変電所 重機置場 倉庫 事務所 中央制御室 タービン室 275,000 工作場 冷却塔 冷却塔 原水貯水池 ポンプ室 水処理装置 原水タンク生活用水タンク ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 84

107 2 発電系統の概要図 3-31 にシングルフラッシュ発電設備の発電系統を示す 蒸気井から供給された蒸気はデミスターを経由してタービンに通気される タービンで膨張した蒸気は復水器で凝縮される 復水器で凝縮された蒸気 ( 温水 ) は温水ポンプで冷却塔に送水され冷却塔で冷却された後 冷却水として復水器に送水される また タービンに通気される前の蒸気の一部は復水器真空装置としてのエゼクターに利用される 図 3-31 シングルフラッシュ発電系統図 蒸気タービン ~ エゼクタ 主蒸気ヘッダーより 発電機 デミスタ 冷却塔 復水器 温水ポンプ 油冷却器 発電機冷却器 その他 軸受冷却水ポンプ 軸受冷却水冷却器 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 85

108 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 3 発電設備地熱発電設備を設計するにあたっては 生産井の蒸気条件や気象データが必要である しかし 本地点についてはこれらのデータが得られていない このため 発電設備の概略仕様についてのみの検討にとどめた 主要設備の仕様タービン型式卖気筒復流型復水タービン定格出力 55 MW 数量 2 ユニット回転数 3,000 rpm 発電機型 式 横置円筒回転界磁型 三相同期発電機 周波数 50Hz 力 率 0.9 遅れ 数 量 1 基 /1ユニット 励磁方式 ブラシレス励磁機 復水器 型式スプレー式直接冷却復水器 数量 1 基 /1 ユニット 冷却塔型 式 機械通風式向流型 塔体構造 鉄筋コンクリート製 数 量 1 基 /1ユニット 4 その他付属設備取水 貯水設備発電所に原水貯水池を設置し 近隣河川から取水した水を貯水し 必要に応じて水処理を行い 原水タンクおよび生活用水タンクに貯水する 消火設備 屋外消火設備として 水消火栓設備を発電所および建屋廻りに設置する 消火用 水は原水タンクよりディーゼルおよび電動駆動の消火ポンプにより昇圧されて消火 86

109 栓へ供給される 主変圧器 所内変圧器には水噴霧消火装置を設置する 屋内の消火 設備として ポータブル型の粉末消火器を発電所建屋に備える 空気圧縮機 発電設備の空気駆動式弁の動力源として空気圧縮機を設置する 保守 点検設備 予備品 道工具等を保管する資機材倉庫および機器修理場所を設ける 空調装置 空調装置を設置し 電気 制御室 発電所事務所の空調を行う 通信設備 給電指令所と発電所等との連絡用として通信設備を設置する (4) 提案技術 システムを採用するに当たっての課題お よびその解決策 1. 地熱発電開発の手順と地熱資源開発のリスク低減地下資源を開発する場合には 資源を直接確認することができないため 開発リスクを常に伴っている 地熱資源開発も同様であり ハイリスク ローリタンの資源開発と見なされていた しかし 適用される探査技術の進歩ならびに地熱資源探査に有効な解析法の改善などにともなって 段階的に開発を進めることによってリスクの低減が図られるようになった 地熱発電開発の一般的な手順を図 3-32 に示す すなわち 探査段階から FS 段階を経て建設段階 O&M 段階ヘと進む手順である 探査段階は さらに2 段階に細分される 第 1 探査段階では 有望範囲を抽出するのが主要な目的となる この段階で一般的に適用される探査手法は 既存資料調査 広域地質調査 流体地化学調査 広域重力探査 広域比抵抗調査などである これらの地表調査に加えて 小口径の地温調査孔の掘削が行われる場合もある この段階では 抽出された有望範囲の資源ポテンシャルが調査結果を基に評価される ポテンシャル評価では モンテカルロ法を適用した容積法によるポテンシャルの見積もりが一般的である 第 2 探査段階では 抽出された有望範囲で詳細な探査と調査井の掘削が行われる この段階の主要な目的は 利用可能な地熱資源の有無を確認するとともに 生産さ 87

110 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 れる蒸気 熱水の品質を確認することにある この段階で実施される探査は 調査井掘削場所 ( ターゲット ) を絞り込むための探査であり 将来の生産井や還元井のターゲットを検討する上でも重要なデータとなる 比較的高コストではあるが この段階での探査データの精度は 以降の坑井掘削の成功率に大きな影響を与える 掘削コストを考慮すれば この段階での探査精度を向上させることは 資源開発コストの低減に大きく寄与する この段階で一般的に適用される探査手法は 地質精査 流体地化学調査 比抵抗調査 調査井掘削 坑井調査 噴出試験などである なお 地熱貯留層の性状を十分に把握するためには 2 本以上の調査井掘削が望まれる この段階で得られたデータを基にした3 次元貯留層シミュレーションにより 持続可能な最適発電規模が判断される 図 3-32 地熱発電開発の一般的な手順 探査段階 地熱有望範囲の抽出 地熱 地質構造評価 第 1 探査段階 地質精査流体地化学調査 ( 温泉, 地下水, 噴気等 ) 重力調査比抵抗調査その他 調査井掘削ターゲット選定 第 2 探査段階 抽出された地熱有望範囲での精査調査井掘削坑内検層噴出試験注水試験干渉試験温度回復試験 その他 地熱概念モデルの評価 3 次元貯留層シミュレーション 持続可能な最適発電規模の検討 実施可能性調査 開発段階 生産井及び還元井の掘削 発電設備の設計 地熱流体輸送設備 ( 蒸気 熱水配管等 ) の建設 発電所及び送電線の建設 試運転 運用開始 88

111 ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 2. フルライス地点における課題とその解決策 a. フルライス地点の地熱資源開発フルライス地点に関しては 開発対象となる地熱貯留層が掘削によって確認されていないために地熱資源そのものにも技術的に解明すべき課題が残っている 地熱資源の評価を行うには 今回得られたフルライスのデータは十分ではない したがって 資源開発に関わるリスクは比較的高いといえる このリスクを低減するためには調査井による地熱構造モデルの確認 地熱流体の化学的性状 地熱貯留層温度 透水性など地熱資源に関する情報を得ることが不可欠である さらにリスクを低減するには 貯留層シミュレーションを行うことが望まれる 開発段階に進めていくためには 尐なくとも 現在 PT. PGE によって掘削されている3 本程度の調査井掘削で 複数の噴出流体を得ることが望まれる 噴出流体を確認することによって開発可能な地熱貯留層の存在とその性状を把握できる これは発電所設計に不可欠と考えられる蒸気熱水の性状を得ることを意味する 今後 望まれる調査項目を以下に示す 調査井掘削 噴出試験 地熱資源量評価および総合解析 調査井追加掘削 (3 本の調査井の掘削結果で追加掘削を判断する ) 追加掘削井に対する調査井検層 噴出試験 地熱資源量評価 (3 次元貯留層シミュレーション ) 実施可能性検討 開発計画策定 地熱発電所概念設計 ( 発電所蒸気条件の検討 ) 経済 財務性評価 環境影響評価 この調査の主要目的は下記のとおり 地熱資源開発リスクの低減 地熱資源の存在の確認 発電に利用する資源の能力と性状の明確化 発電所計画地点に関しても 開発対象となる地熱貯留層が掘削によって確認され 89

112 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 ていないためにこの報告書の中で最適位置を断定することは困難である この報告書の発電所計画地点は A B C 各基地から同じ量の同じ性状の地熱流体が噴出することを前提に選定している 実際には 調査井の噴出結果を得た上で 発電設備と地熱流体輸送管の基本設計を行うが その基本設計の検討の中で最適な発電所建設地点も検討することとなる ここでは参考に 既設および計画されている掘削基地の配置から想定される発電所設置範囲を図 3-33 に示す また この範囲の中で図 3-28 に示した発電所計画地点以外の発電所候補地点を 3カ所示す 図 3-33 発電所位置想定範囲図 N W E S 発電所代替候補地 発電所位置想定範囲 2km ( 出典 : SNC 調査団作成 ) b. JICA ES 借款事業を実施するための条件について円借款による事業支援を実現するためには ES 借款事業では調査井データを用いた FS を実施する必要がある 地熱発電事業の場合 通常 資源開発リスクがあるが このリスクがあまりにも大きすぎる場合には 技術的にも経済的にも困難な状況となり 事業が円滑に進む可能性は極めて小さくなる 調査井の掘削が行われていない等のデータが不充分な状態での地熱資源開発リスクを最小限にするために 地熱発電開発事 90

113 業では 地表調査が終了した段階で地熱資源の質や量について一定の判断基準を設定しているのが一般的である 円借款事業に対しても 費用のかかる調査井掘削を含む FS を実施する場合を想定して 前述のように地熱資源の質 量に関する判断条件の設定が提案されている この条件をフルライス地域の地熱資源に適用し ES 借款で開発準備を行う価値があるかどうか検討した 検討結果は以下の通りである 地熱資源の賦存 ; 地表調査結果の温泉水の化学特性より熱水卓越型 ( 中性 Cl 型 ) の地熱地貯留層の分布が推定された (FS では 調査井掘削及び噴気試験による確認が望まれる ) 貯留層温度 ; 温泉水及び噴気の化学組成から 250 以上が推定された (FS では調査井掘削 検層及び噴気試験による確認が望まれる ) 熱源 ; 定量的データは不足熱水変質年代 ; 変質帯の分布 変質年代のデータ無地質構造 ( 透水性構造存在の可能性 ); 高透水性層を伴う断層の分布 (FS では調査井掘削 検層及び噴気試験による確認が望まれる ) 地熱資源量 ; 地表調査結果から 110 MW 以上の地熱資源の賦存 以上のように 本地域には 地表調査結果はすべての条件を満たすわけではないが 質量共に計画された発電開発に適した地熱資源が賦存している可能は高いと判断さ れた ES 借款による支援は 技術的面から見れば妥当なものと思われる c. 望ましい ES 借款事業地熱資源開発 地熱発電所建設のための円借款事業準備のために ES 借款事業で実施するのが望ましい内容を以下にまとめた 調査井掘削が順調に進み貯留層に関するデータが収集できれば 以下の作業を円滑に行うことが可能である a. PT. PGE の地熱資源 ( 蒸気 ) 開発について 1. 地熱資源量評価 1-1 地熱資源調査データ及び地熱構造概念モデルのレビュー 1-2 貯留層シミュレーションによる資源量評価と資源開発シナリオ 2. 資源 ( 蒸気 ) 開発計画立案 ( 生産井 還元井掘削計画 配管計画 ) 2-1 坑井掘削計画及び FCRS 配管工事計画 2-2. 経費積算 3. 社会及び自然環境配慮のためのコンサルティングワーク 91

114 第 3 章プロジェクトの内容および技術的側面の検討 4. 全体事業費積算と経済 財務評価 5. 地熱資源開発事業実施計画作成 6. 生産井 還元井及び FCRS 配管に関する基本設計 7. 掘削工事 配管工事の各業者の PQ 審査準備及び審査支援 b. PT. PLN の地熱発電所及び送電線建設について 1. 電力需給調査 2. 地熱発電所 付帯設備 送電線建設のための概念設計 2-1 地熱発電所建設のための概念設計と建設計画 2-2 経費積算 3. 社会及び自然環境配慮のためのコンサルティングワーク 4. 全体事業費積算と経済 財務評価 5. 地熱発電所建設及び送電線建設事業実施計画作成 6. 地熱発電所建設及び送電線建設に関する基本設計 7. 建設工事のための EPC コントラクター PQ 審査準備及び審査支援 8. 地熱発電所建設 送電線建設のための環境影響評価 (AMDAL) 現在掘削中の調査井により貯留層の確認が出来なかった場合には PT.PGE の実施す る ES 借款事業に 3 本程度の調査井掘削を含めるのが望ましい 92

115 < 参考文献 > Bambang Budiardjo, Djoko Hantono, Heni Agus and Nugroho, (2001) Geochemical characterization of thermal waters in hululais geothermal prospect, Stanford Geothermal Workshop Sasaki, Y. (2004) Three-dimensional inversion of static-shifted magnetotelluric data, Earth Planets Space, 56, Tokita H., Momita M., Matsuda K., Takagi H., Tosha T., and Koide K. (2002) A Rough estimation of Deep Geothermal Potentials of the Hohi and Ogiri Areas, Japan with Simplified Numerical Model Proceedings of 23rd Annual PNOC-EDC Geothermal Conference, 2002,

116 第 4 章環境社会的側面の検討 第 4 章環境社会的側面の検討 (1) 環境社会面における現状分析 1. 既存条件の分析 a. 位置フルライス地熱地域は 1996 年 1 月 26 日付 Dir EP Migas No. 58/DMG/1996 で承認されたプルタミナ地熱の地熱ワーキングエリアである その地熱ワーキングエリアはレボン県にあり 单緯 東経 である ( 図 4-1) 現在 地熱貯留層特性と資源量評価のための詳細な調査が行われている 図 4-1 PT. Pertamina の地熱ワーキングエリア ( 出典 : PT. PGE) フルライス地熱地域はブンクル - チュチュップ - ムアラアマンを通る道路沿いに 180km の距離にあるブンクル州レボン県单レボン郡および中央レボン郡に位置して 94

117 いる フルライス地熱地域の開発エリアは標高 950m 広さ 20km 2 で丘陵地となっている フルライス地熱地域は大部分が地域住民の所有する農耕地になっており 残りは西側斜面に沿って広がる保全林となっている フルライス地熱地域の開発計画を図 4-2に示す 図 4-2 フルライス地熱地域の開発計画 ( 出典 : PT. PGE) 地熱発電所建設地点は地域住民によるコーヒー ゴム シナモンや水田などの農 業や林業活動に広く利用されている高原に位置している 山手の高原は保全林と保 護林になっている 本プロジェクトは行政上 中央レボン郡タランサクティ村 单 95

118 BT. WAUWAU 第 4 章環境社会的側面の検討 TN. KERINCI SEBLAT レボン郡ムバイ村に位置する 図 4-3に示すように発電所建設地点の山手の高原は保全林と保護林になっている また 図 4-4に示すように送電線建設地点の单 BT. KUBANG 西側は保護林 北東側は保全林となっている T.1775 PG. PARUNGLUPU PG. PANJANG 図 4-3 フルライス地熱発電開発計画図 MUARAAMAN # BT. SEBAYUR BT. GEDANGHULULAI 2130 Talangsinjau # Preservation Forest Protection Forest Limited Production Forest Permanent Production Forest Other Utilization Area Village/habitation Benchmark Lake Road River G. TAWANGWALAN BT. PEBUAR 1354 # Airputih G. HULUKOKAL # Kotabaru Paldelapan # Balam # ARGAMAMUR # ( 出典 : PT. PGE) Sungaipiring # Talanggambir # Tanjungberingin # Sukalangu Airmerah # # CURUP Caw # # Talangtua # Tabahpadang Tanjungdalam # Sungaiare LAIS Talangtembok Pebo Tabahpenyengat Sawahlebar Lalangrenahkandis Pasarkerap Talangpanjang # PagarG # # Punjung KEPAHIANG # Teluk Pering Pondokelapa 96 Ulaklebar Tamungdalam #

119 図 4-4 フルライス地熱発電送電線計画図 ( 出典 : PT. PGE) b. 自然環境 1 気象 気候表 4-1に調査地点の気候状況を示す プロジェクト地点では山風が吹いているが 風速は速くなく平均 3.5km/h である 最高気温は 4 月の日中で 30.2 最低気温は雤期の終わりの 6 月の夜間で 19.5 である 一日の平均気温は 24.0 で十分涼しく 湿度はやや高く大気圧は平均 1,012.5hPa である 97

120 第 4 章環境社会的側面の検討 表 4-1 調査地域における平均的気象条件 Daily Averages Month Wind velocity (km/hour) Maximum air temperature (ºC) Minimum air temperature (ºC) Average air temperature (ºC) Relative humidity (%) Air pressure (hpa) Jan ,012.4 Feb ,013.1 Mar ,013.2 Apr ,011.6 May ,012.1 Jun ,011.5 Jul ,012.8 Aug ,012.9 Sep ,013.3 Oct ,013.0 Nov ,012.8 Dec ,011.8 Average ,1 1,012.5 ( 出典 : BMG and BPS of Lebong Regency (2006)) 2 動植物相レボン県にあるプロジェクト地点周辺の植物の生態系は二次林と地域住民所有の混合農園である そして残りは保全林と保護林 ( クリンチスブラット国立公園 ) になっている 作物はコーヒー シナモン ココア ゴムそして水田である この原生林で見られるコブラやオウム 野鳥 ピグミー鹿 鹿 スマトラ虎やマレー熊のようないくつかの野生生物は希尐種かインドネシアの法によって保護されている 調査地域における種々の生物の存在はその地域が種々の野生の種を支えることができる自然状況にあることを示している PT. PGE による現地調査や地域社会からの情報で得た調査地域の野生生物を表 4-2に示す 98

121 表 4-2 調査地域の野生動物 No. Class Local Name Latin Name Population Estimation Description Conservation Status 1 Amphibia Frog Leptophryne + Observation TDL borbinica 2 Aves Partridge Gallus gallus + Interview Tdl 3 Aves Parrot / Gracula religiosa + Interview Dl Ketiong 4 Aves Parakeet / Psittacula sp + Interview Dl Parrot,reed 5 Aves Lathe Centropus +++ Observation TDL bengalensis 6 Aves Honey bird Antrhreptes cf. ++ Observation DL simplex 7 Aves Cekakak Halcyon sp ++ Observation DL 8 Aves Cucak yellow Phycnonotus + Observation TDL melanicterus 9 Aves Cucak finch Phycnonotus ++ Observation TDL augrigaster 10 Aves Delimukan Chacophaps indica + Observation TDL emerald 11 Aves Hawk,looming Haliastur sp + Interview Dl 12 Aves Gold / Aceros undulatus + Observation DL Hornbill 13 Aves Kacer Copsychus sp ++ Observation TDL 14 Aves Orioles Orilus sp + Interview Dl 15 Aves Kipasan Rhipidura sp + Observation DL 16 Aves Merbah Pycnonotus sp +++ Observation TDL 17 Aves Sparrow Locnchura Malacca ++ Observation TDL 18 Aves Common Streptopelia chinemsis ++ Observation TDL cuckoo 19 Aves Swallow Collocalia sp +++ Observation TDL 20 Mammals Wild boar Sus sp +++ Interview TDL 21 Mammals Squirre Callosciurus sp +++ Observation TDL 22 Mammals Beaver Lutra sp + Interview DL 23 Mammals Honey bear Helarctos malayanus + Scratches Dl 24 Mammals Ape Macaca nemestrina ++ Observation TDL 25 Mammals Cingkuk Presbytis sp ++ Observation 26 Mammals Flying-fox Rousettus sp ++ Arrest TDL 27 Mammals Sumatran tiger Panthera tigris + Interview Dl sumatrensis 28 Mammals Clever Tragulus sp + Interview Dl individual 29 Mammals Bat Rhinolopus sp +++ Arrest TDL 30 Mammals Long-tailed Macaca fascicularis ++ Interview Tdl macaques 31 Mammals Lemur Nycticebus coucang + Interview Dl 32 Mammals Weasel Paradoxurus sp ++ Interview Tdl 33 Mammals Deer Cervus sp? Interview Dl 34 Mammals Gibbon Hylobates syndactilus + Interview Dl 35 Mammals Hoop Presbytis sp +++ Interview Dl 36 Mammals Rat Rattus sp +++ Interview Tdl 37 Mammals Forest rat Maxomys surifer ++ Observation TDL 99

122 第 4 章環境社会的側面の検討 38 Mammals Anteater Manis javanica + Interview DL 39 Reptile Lizards Varanus salvator ++ Interview TDL 40 Reptile Lizard Mabouya sp ++ Observation TDL 41 Reptile Snake welang, Cf. natrix + Observation? 42 Reptile Brown snake Phyton sp + Interview DL 43 Reptile Cobra Naja sp ++ Interview DL Remarks TDL: Not protected by law of Indonesia DL: Protected by law of Indonesia 3 土地利用地元住民が生活のためいろいろな用途に土地利用がされている 利用できる土地は主に農園 ( コーヒー ゴムおよびココア ) と水田である しかしながら一部はまばらな林や密林となっている c. 社会環境プロジェクト地点はブンクル州レボン県に位置している 社会環境調査の境界は中央レボン郡のタランサクティ村 スメラコ村 カランアニャール村 单レボン郡のブンギン村 カランダポ村 ムンバイ村の 6つの村にまたがる 192,924ha の範囲で 单レボン郡 リンボペンガダン郡 中央レボン郡 北レボン郡および上レボン郡を含んでいる 1 人口構成最も人口が多いのはスメラコ村の 2,631 人で これに次ぐのがムンバイ村の 2,444 人である 一方 人口が最も尐ない村はカランアニャール村で 440 人である 各村の人口構成を表 4-3に示す 表 4-3によると最も人口密度が大きいのはスメラコ村の 人 /km 2 で カランダポ村の 人 /km 2 がそれに次ぐ 一方 最も人口密度が小さいのはカランアニャール村の 85.8 人 /km 2 で ブンギン村の 人 /km 2 がそれに次ぐ 男女比はタランサクティ村が 0.77 で 女が 100 人に対して男が 77 人の割合であることを意味している 一方 カランダポ村やブンギン村は1より大きく それぞれ 1.05 と 1.10 になっている これらは女が 100 人に対して男がそれぞれ 105 人 110 人の割合であることを意味している 表 4-3 各村の人口 地域面積 人口密度 男女比 (2007 年 ) No. Village Name Population Number (persons) Male (persons) Female (persons) Area Size (km 2 ) Population Density Sex Ratio 1 Tl. Sakti 1, Semelako 2,631 1,298 1, K. Anyar Bungin 1, Mubai 2,444 1,182 1, , K.Dapo 1,

123 出典 : Monograph of Talang Sakti, Semelako, Karang Anyar, Bungin, Mubai dan Karang Dapo Villages, 暮らし暮らしについては中央レボン郡のタランサクティ村 スメラコ村 カランアニャール村 单レボン郡のブンギン村 カランダポ村 ムンバイ村の6つの村で観察を行った これら6つの村での主な生活費はコーヒー農園と稲作から得られている 一部の人たちはゴム園 ココア園や野菜栽培から生活費を得ている 平均的な1 所有者のコーヒー園の広さは 2-3ha で毎年 kg/ha の収穫を得ている 調査時点でのコーヒーの価格は 12,500 IDR /kg だったので1 所有者あたりの収入は毎年 2 x ,500 IDR = 17,500,000 IDR となる 稲作では 1 水田あたり毎年 2000kg 程度の収穫があり 米の価格は 5,000 IDR/ kg なので年間 10,000,000 IDR の収入となる これらの主な収入源の他には池の魚採取 ヤシ砂糖 小売り店舗やその他の事業である 3 公共認識 PT. PGE によるブンクル州レボン県におけるフルライス地熱発電開発プロジェクトに関する公共認識には地域住民の要望と期待が含まれている 地域住民は 地熱発電プロジェクトで何が行われるのか知りたいが それが完全に明らかになっていない と主張している プロジェクトが実施される地域社会のメンバーは 危害がないと説明された地熱井掘削作業については同意した プロジェクトに対する公共認識は 強く同意 同意 そして反対に分けられる 地域住民の大部分は実施内容について同意している まず 土地の収用に関して土地所有者に不利な影響がないようにと期待している 次は 雇用に関してプロジェクト地点周辺からの卖純労働者の就労を期待しており 3 番目は 社会的関心に関することである 一方 相違意見として プロジェクトの実施が雇用の増大につながらないと考える人がいる 彼らの意見は 過去の事例から プロジェクトの実施による雇用はその実施地域からよりもその外部から雇用されることが多い傾向にあるということである 2. 現状分析現地調査期間中にプロジェクト地域を訪れ 現状を確認した プロジェクト地域はフルライス山の裾野に広がる丘陵地帯に位置している ( 写真 1) 既に地熱井を掘削するための2つの基地 (Cluster A-B 写真 2) とそのアクセス道路 ( 写真 3) は完成している これらは单西の高標高側の保護林を避けるように民有地を買収して建設されている アクセス道路は居住地から離れており 工事車輌以外はコーヒー農園への通行に利用される程度である Cluster-B では1 本目の調査井の掘削が始まっていた ( 写 101

124 第 4 章環境社会的側面の検討 真 4) 掘削現場は禁煙となっており 喫煙場所が設けられていた ( 写真 5) 掘削用水は Cluster-A の近くを流れる河川から取水されており 調査時に確認した限りでは水量は豊富であった ( 写真 6) プロジェクト地域周辺は雑木林やコーヒー園が広がっている プロジェクト地域近傍にある集落は Tes 村で建設予定地点から約 6km 離れている 写真 -1 フルライス地点状況写真 -2 Cluster-B 写真 -3 アクセス道路写真 -4 調査井掘削リグ 写真 -5 喫煙所写真 -6 取水地点 102

125 3. 将来予測 ( プロジェクトを実施しない場合 ) 以下はプロジェクトが実施されない場合の予測である 現地の環境状況は安定している 表 1-4のスマトラ系統の電力需給バランスを見ると 系統のどこかに火力発電所 地熱発電所あるいは水力発電所を追加的に建設することが 現在の電力不足の打開策のひとつとなる しかしながら 建設された発電所近辺の住民の生活条件は建設された発電所運転による環境影響を受ける 地熱発電の代わりに既存の火力発電所の焚き増しにより発電量を増加させた場合 温室効果ガス排出量は増加する (2) プロジェクトの実施に伴う環境改善効果 1. プロジェクトの環境改善効果本プロジェクトの主な環境改善効果としては 再生可能自然エネルギー利用による発電としての二酸化炭素発生抑制効果があり 年間 670,351 トン程度の CO 2 排出量削減効果が見込まれる 以下に計算の詳細を示す a. 温室効果ガス排出量の計算方法 1 算出前提 省エネ ( または代エネ ) 効果 ( 原油換算量 ) を用いて計算する CO 2 以外の温室効果ガスについては その種類に応じて定められた指数を乗じる 温室効果ガス削減効果の要因が省エネ ( または代エネ ) 効果以外でも起因している場合 その部分の算定については 気候変動に関する政府間パネル (IPCC) で定めた算定式を用いる 2 算出前提 温室効果ガス削減効果の要因が省エネ ( または代エネ ) 効果のみに起因する場合 CO 2 換算量 = 省エネ ( または代エネ ) 効果の原油換算量 ( ktoe/y ) /12 103

126 第 4 章環境社会的側面の検討 1 省エネ ( または代エネ ) 効果 ( 原油換算 ktoe/y) 原油の熱量換算は 10,000 kcal/kg を用いる 電力の熱量換算は 2,646 kcal/kwh を用いる 2 エネルギー卖位 ( 熱量 :TJ) への換算 2= TJ/kt ( 換算係数 ) 3 炭素排出原卖位への換算 3=2 20 t-c/tj ( 炭素排出原卖位 ) 4 不完全燃焼分の修正 4= ( 炭素の酸化比率係数 ) 5 CO 2 換算 5=4 44/12( モル重量比 ) b. 温室効果ガス排出量の計算方法 1 算出条件 発電所の計画出力および年間発電量から算出した年間利用率を表 4-4 に示す 表 4-4 算出条件 地点名発電所計画出力 (MW) 年間発電量 (GWh) 年間利用率 フルライス ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 2 CO 2 排出量削減効果 1 原油換算量 (toe/y) 2,646 kcal/kwh/10,000 kcal/kg=264.6 kg/mwh 104

127 2 エネルギー卖位 ( 熱量 :TJ) への換算 kg/ MWh TJ/kt= TJ/MWh 3 炭素排出原卖位への換算 TJ/ MWh 20 t-c/tj = t-c/mwh 4 不完全燃焼分の修正 t-c/ MWh 0.99 =0.223 t-c/ MWh 5 CO 2 換算量 ( 排出係数 ) t-c/ MWh 44/12 = t-co 2 / MWh 6 年間発電量 年間発電量 (MWh)= 発電所計画出力 (MW) 24(h) 365(day) 年間利用率 (%) 6 年間 CO 2 排出量削減効果 年間 CO 2 排出量削減効果 (t-co 2 /year)=0.818 (t-co 2 / MWh) 年間発電量 (MWh) 本プロジェクトにより見込まれる CO 2 排出量削減効果 (6 および 7 の計算結果 ) を 表 4-5 に示す 表 4-5 CO 2 原油変換による排出量削減効果 原油換算年間発電量 (GWh/ 年 ) 排出係数 (t-co 2 /MWh) 年間排出削減量 (t-co 2 / 年 ) 670,351 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 105

128 第 4 章環境社会的側面の検討 2. CDM プロジェクトとしての可能性当プロジェクトの基本的手法は 方法論 ACM0002 系統連系する再生可能エネルギー発電プロジェクトのための統合化ベースライン方法 が適用される この方法論による排出係数は インドネシア国の National Commission for Clean Development Mechanism のデータベースとしてインターネットのホームページ < で一般に公開されている 排出量削減効果の結果は表 4-6に示す 表 4-6 CDM プロジェクトとしての CO 2 排出量削減効果 CDM ACM0002 年間発電量 (GWh/ 年 ) 排出係数 (t-co 2 /MWh) 年間排出削減量 (t-co 2 / 年 ) 608,889 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 106

129 (3) プロジェクト実施に伴う環境社会面への影響 1. 環境社会配慮項目現地調査の結果を踏まえ 地熱発電所建設というプロジェクトが実施されることを考慮し 次の段階で必要となる環境社会配慮項目を地熱資源 ( 掘削および配管 ) 発電所および送電線の 3つに分けて抽出した 環境社会配慮項目は (A) 深刻な影響がある (B) 軽微な影響がある (C) 影響の有無は不明 (N) 影響が予想されない という区分を行い 正と負の影響を評価した その結果を表 4-7に示す また 影響が予想される項目の選定理由を表 4-8に示す 表 4-7 本プロジェクトにおける現時点で想定される調査項目 項目 地熱資源 発電所 送電線 大気汚染 -B -A N 騒音 振動 -B -A N 水質汚染 -A -A -A 土壌汚染 -B N N 廃棄物 -A -A N 地盤沈下 -A N N 悪臭 -B -A N 地形 地質 -A -A N 生物 生態系 -A -A -A 水利用 -B -A N 住民の移転 N N N 尐数民族 先住民 C C C 文化遺産 N N N 景観 N N N 雇用や生計手段等の地域経済 +A +A +A 土地利用や地域資源利用 +A +A +A 社会関係資本や地域の意思決定機関等の社会組織 C C C 既存の社会インフラや社会サービス +A +A +A 先住民の貧困 C C C 被害と便益の偏在 C C C 地域内の利害対立 C C C ジェンダー N N N 子どもの権利 N N N HIV/AIDS 等の感染症 N N N 温室効果ガス N +A N + : 正の影響 -: 負の影響 A : 深刻な影響が予想される C : 影響の有無が不明 B : 軽微な影響が予想される N : 影響が予想されない ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 107

130 第 4 章環境社会的側面の検討 表 4-8 現時点で予想される環境影響項目の選定理由 項目地熱資源発電所送電線 硫化水素 (H 2 S) 地熱貯留層評価を行うために実施する噴出試験に伴い H 2 S を含むガスが発生し 近傍地域における一時的な影響が想定される H 2 S を含む地熱流体を発電用蒸気として利用することにより H 2 S が水蒸気とともに冷却塔から排出され 発電所近傍における環境影響が想定される 大気汚染 窒素酸化物 (NOx ) 資材等の搬出入の車輌通行に伴う影響については 広域に及ぶとは考えられない しかし 輸送経路の近傍に民家等があることから 一時的な影響が想定される 資材等の搬出入の車輌通行に伴う影響については 広域に及ぶとは考えられない しかし 輸送経路の近傍に民家等があることから 一時的な影響が想定される 汚染対策 粉じん等騒音 振動 工事中の資材等の搬出入に使用する車両から 土砂粉じんの巻き上げ等が発生するが その影響は広域に及ぶとは考えられない しかし 輸送経路の近傍に民家等がある場合は 影響が想定される 坑井において 地熱流体の噴出時に発生する騒音や建設機械の稼働において発生する建設作業騒音および振動が想定されるが 一時的なものであるため 環境への影響は小さいと考えられる 工事中の資材等の搬出入に使用する車両から 土砂粉じんの巻き上げ等が発生するが その影響は広域に及ぶとは考えられない しかし 輸送経路の近傍に民家等がある場合は 影響が想定される 冷却塔 蒸気タービン 発電機等からの騒音 振動が想定され 近傍における環境への影響が想定される 水質汚染 坑井掘削時に泥水の発生が考えられる また 敷地造成時の裸地発生により 降雤時の土砂の流出による地表水の濁りが考えられる 排水による周辺の水環境への影響が想定される 敷地からの土壌流出により 周辺の水環境への影響が想 定される 還元設備が未完成であ る調査 建設段階におい 土壌汚染 ては 地熱水が周辺に漏れて 土壌汚染につながることが懸念される 108

131 廃棄物 産業廃棄物土木工事残土 工事中に産業廃棄物 ( 掘削汚泥 廃材 ) の発生が想定される 土木工事に伴う土砂が発生することが想定され 減量化 土捨場への適正処分等の検討が必要となる 産業廃棄物 ( 汚泥 廃油等 ) の発生が想定される 深部地熱流体を採取す 地盤の沈下 ることから 発電所近傍における地盤沈下が想定される 悪臭 実施する噴出試験で発生する H 2 S による悪臭が 近傍地域における一時的な影響を及ぼす可能性が想定される 冷却等から拡散する H 2 S による悪臭が 発電所近傍に影響を及ぼす可能性が想定される 用水 工事用水取水により 河川流量 地下水位に影響を及ぼす可能性が想定されるが 取水は一時的で かつ量も尐ないため 影響は小さいと考えられる 発電用水取水により 河川流量 地下水位 湿地への影響が懸念される 地形 地質 調査 生産井掘削 発電所建設工事等による土地の形状の変更が予想される 発電所建設工事等による土地の形状の変更が予想される 鉄塔等の建設工事等による土地の形状の変更が予想される 自然環境 動植物 樹木の伐採や土地の改変 施設の存在による動物の分布状況 生息環境 植物の重要種および群落の影響が想定されるが 詳細は不明である 樹木の伐採や土地の改変 施設の存在による動物の分布状況 生息環境 植物の重要種および群落の影響が想定されるが 詳細は不明である 樹木の伐採や土地の改変 施設の存在による動物の分布状況 生息環境 植物の重要種および群落の影響が想定されるが 詳細は不明である 生態系 樹木の伐採や土地の改変 施設の存在により 動植物の分布 生息 生育環境の変化が考えられる 樹木の伐採や土地の改変 施設の存在により 動植物の分布 生息 生育環境の変化が考えられる 樹木の伐採や土地の改変 施設の存在により 動植物の分布 生息 生育環境の変化が考えられる 水利用 工事用水取水により 河川流量 地下水位に影響を及ぼす可能性が想定されるが 取水は一時的で かつ量も尐ないため 影響は小さいと考えられる 発電所用水取水により 河川流量 地下水位への影響が予想される 109

132 第 4 章環境社会的側面の検討 社会環境 雇用や生計手段等の地域経済土地利用や地域資源利用 雇用機会の増加 調査 建設資 機材の地元調達や作業人員の食料の地元購入により地域経済や住民の暮らしについては正の影響が期待される 調査 建設のための基地と取付け道路の設置による土地の利用や地域資源の利用が予想される 雇用機会の増加 発電所維持管理のための資 機材の地元調達や作業人員の食料の地元購入により地域経済や住民の暮らしについては正の影響が期待される 発電所施設等による土地の利用や地域資源の利用が予想される 既存の社会インフラや社会サービス 調査 建設段階における道路の建設 整備等により社会インフラの改善が期待できる 発電所施設等の存在による道路の整備 維持管理や 住民への電気供給等の正の影響が期待できる その他 温室効果ガス 化石燃料の代替により 温室効果ガスの削減につながる効果により 正の影響が予想される ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 2. 提案したプロジェクトとそれ以外の環境社会影響のより小さい選択肢との比較検討現時点で プロジェクト地域での可能な電源としては 火力発電や再生可能エネルギーの地熱 水力 風力 太陽光の各発電を挙げることができる これらのうち 火力 水力 地熱発電はベース電源と位置づけられる 残りの風力 太陽光発電は ベース電源にはなり得ず補完用の電源である また スマトラ グリッドおいて計画されている地熱発電規模と同程度の水力発電の開発計画はない したがって 火力発電および地熱発電が当該調査地域でベース電源になり得る 表 4-9に既存条件での 3 択の比較マトリックスを示す 一つは既存の発電を維持した場合 もう一方は地熱発電 火力発電を行う場合である 表 4-9 環境の現状と地熱発電 火力発電の比較 環境項目 環境の現状 地熱発電 火力発電 大気 NOx, SOx H 2 S 0 (-) 0 騒音 水質 地表水 0 (-) - 110

133 地下水 土壌 廃棄物 自然環境 生活環境 温室効果ガス 費用 : 現状より悪化 0: 変化なし +: 現状より改善 (-): 重大ではない悪化あり ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 3. 実施機関との協議結果本プロジェクトについて 実施機関である PT. PGE PT. PLN の担当責任者並びに地点周辺の自治体関係者および住民への聞き取り調査を行った その結果は以下のとおりである a. プルタミナ地熱エネルギー担当責任者 PT. PGE は既に環境影響評価を実施しており 環境影響評価書 (ANDAL) 環境管理 計画 (RKL) 環境モニタリング計画 (RPL) はレボン県から 2009 年 12 月 19 日付で 承認されている 地域社会への説明は 2008 年 10 月 19 日に実施されている フルライスの地熱開発範囲は 80ha で民有地であり 保全林や保護林は含まれてい ない PT. PGE は地域住民から 300 人の卖純労働者の雇用を行う b. 国営電力会社担当責任者 既に地熱発電所や送電線の建設のための環境影響調査は開始しており 2011 年 5 月には完了する予定である 送電線のルートは保全林や保護林を避けるように計画する c. 自治体関係者 地方政府や地域住民は地熱プロジェクトを歓迎しており 開発に反対を示していな い 地域住民は新しい就労機会を期待している PT. PGE によるプロジェクトに関する地域社会への説明会には 100 名以上が参加し た 111

134 第 4 章環境社会的側面の検討 地域社会への説明会はプロジェクトの内容を理解するためのよい機会となった 一部の住民は東ジャワのシドアンジョにおけるラピンド社の泥火山噴出災害と同 じことが起きるのではないかと心配している d. 地元住民ここには 21 年間住んでいる 1ha のコーヒー農園を所有している 何のプロジェクトを実施しているか知らない 飲料水は井戸水を利用している PT. PGE にコーヒー農園の一部を 5,000 IDR/m 2 で売り コーヒーの木は 1 本あたり 5,000 IDR の補償を受けた (4) 相手国の環境社会配慮関連法規の概要 1. プロジェクト実施に関係する環境社会配慮関連法規の概要 a. プロジェクト実施に関係する環境汚染防止関連法規 1 大気質 i. 環境基準大気汚染の防止を目的とした基準は 1988 年に制定され 1999 年に大気汚染の防止に関する政令 ((No.41,1999) によって改定されている 地熱開発と関係の深い硫化水素に関しては 悪臭の基準に関する環境担当大臣令 1996 年第 50 号 (KEP-50/MENLH/11/1996) で 環境基準を定められている 表 4-10 に悪臭に関する硫化水素の環境基準を示す 表 4-10 硫化水素の環境基準 項目卖位基準値 硫化水素 (H 2 S) ppm 0.02 ( 約 28 μg/m 3 ) ( 出典 :Decree of the State Minister for Environment concerning Offensive Odor Level Standards (KEP-50/MENLH/11/1996)) ii. 排出基準 硫化水素に係わる固定発生源からの排出規制値は 1995 年に改定され 新規の地 熱発電所 (2000 年 1 月 1 日以降運転開始 ) からの排出規制を表 4-11 に示す 112

135 表 4-11 硫化水素ガスに係わる排出規制値 ( 固定発生源 ) 項目卖位規制値 硫化水素 (H 2 S) ( 総排出量 ) mg/ m 3 35 ( 約 25ppm) ( 出典 :Decree of the State Minister for Environment concerning Emission Standards for Stationary Sources (KEP-13/MENLH/3/1995)) 2 水質 i. 環境基準水質環境基準は水質汚濁の防止に関する政令 2001 年第 82 号 (Government Regulation Number 82/2001) で改定され 水域を利水目的別に以下の 4 類型に区分して定めている Ⅰ 累型 : 無処理で直接飲料水として利用できる水 Ⅱ 累型 : 飲料水の原水として利用できる水 Ⅲ 累型 : 水産や畜産に利用できる水 Ⅳ 累型 : 農業 小規模事業 工業及び水力発電に利用できる水基準項目は 物理項目 化学項目 微生物 放射性物質の 4つに分類された 48 項目からなっている 地熱開発に関係する水質項目の環境基準 Ⅰ 類型を表 4-12 に示す 表 4-12 水質環境基準 (Ⅰ 類型 飲料水として飲用できる ) 項目 卖位 最大値 備考 水温 気温 ±3 総溶存物質濃度 (TDS) mg/l 1000 浮遊物質濃度 (SS) mg/l 50 ph 最小 - 最大 生物化学的酸素要求量 (BOD) mg/l 2 化学的酸素要求量 (COD) mg/l 10 溶存酸素 (DO) mg/l 6 総リン (T-P) mg/l 0.2 硝酸性窒素 (NO 3 -N) mg/l 10 アンモニア性窒素 (NH 3 -N) mg/l 0.5 ヒ素 (As) mg/l

136 第 4 章環境社会的側面の検討 ホウ素 (B) mg/l 1 フッ素 (F) mg/l 0.5 塩素 (Cl) mg/l 600 水銀 (Hg) mg/l 硫酸化合物 mg/l 400 硫化水素性化合物 (H 2 S) mg/l ( 出典 :Government Regulation Number 82/2001, regarding Management of Water Quality and Control of Water Pollution, dated, December 14, 2001) ii. 排水基準 インドネシアにおける排水基準は産業別設定されており 地熱プロジェクト開発 に関する排水規制は環境大臣令 Kep-42/MENLH/10/1996 で定められている 地熱開発 生産からの排水基準を表 4-13 に示す 表 4-13 排水基準 項目卖位最大値 硫化水素性化合物 (as H 2 S) mg/l 1 アンモニア性窒素 (as NH 3 -N) mg/l 10 水銀 (Hg) mg/l ヒ素 (As) mg/l 0.5 水温 45 ph ( 出典 :Decree of the State Minister for Population and Environment concerning Standards of Liquid Waste for Industry Activities (KEP-42/MENLH/10/ 1996)) 3 騒音騒音に係わる環境基準を表 4-14 に示す 騒音に関する環境基準における地域の類型があるが 時間の区分はなく 昼間 夜間は同じ基準になっている 騒音の規制はなく 一般住民に対しては環境基準 (<55dB) を維持することを目標にしている 表 4-14 騒音に関する環境基準 地域の類型 / 保健環境 db (A) a. 地域の類型 114

137 1. 住居 商業 事務所 緑地 工業 官庁及び公共施設 レクレーション施設 ( リゾート ) その他 - 空港 * - 鉄道駅 * - 海港 70 - 文化財 60 b. 活動地域 1. 病院 Hospital 学校 School 祈念場所 / 教会 / 寺院 / モスク 55 *: 通信 情報省 (Ministry of Communications) による ( 出典 :Decree of the State Minister for Population and Environment concerning Noise Level Standards(KEP 48 / MENLH / 11 /1996)) 4 振動 振動に係わる環境基準を表 4-15 に示す なお 振動に関する規制基準はない 表 4-15 振動に関する環境基準 周波数 (Hz) 振動レベル ( 10-6 m) 影響なしやや影響あり不快である弊害がある 4 < > > < > > < > > < > > < > > < > > < > > < > >

138 第 4 章環境社会的側面の検討 25 < > > < > > < > > < > > < > 9-12 > 12 ( 出典 :Decree of the State Minister for Population and Environment concerning vibration Level Standards(KEP 49 / MENLH / 11 /1996)) b. 森林法インドネシアでの森林保護の意識は強く 森林法は 1967 年 1990 年 1999 年とたびたび改正されている 現在の森林法 No. 41/1999 によると同国の森林地域は保全林 (Hutan Consavasi) 保護林(Hutan Lindung) 生産林(Hutan Producsi) に分けられる ( 表 4-16) 保全林は動植物の種やエコシステムの保全目的の森林である 保護林は生活環境維持 水理 洪水や浸食の防止 土壌の肥沃維持のための森林である 生産林は主に森林生産物の持続的促進のための森林である 表 4-16 森林地域の区分 森林エリア (Kawasan Hutan) 保全林 (Hutan Consavasi) 自然生物保護エリア (Kawasan suaka alam) 厳重自然保護区 (CA: Cagar Alam) 野生生物保護区 (SM: Suaka Margasatwa) 自然保護エリア (Kawasan pelestarian alam) 国立公園 (TN: Taman Nasional) 重要森林公園 (THR: Taman Hutan Raya) 自然レクリエーション公園 (TWA: Taman Wisata Alam) 狩猟公園 (TB: Taman Buru) 保護林 (Hutan Lindung) 生産林 (Hutan produksi) 永続生産林 (HP: Hutan Produksi Tetap) 限定生産林 (HPT: Hutan Produksi Terbatas) 転換可能な生産林 (Hutan Produksi yang dapat dikonversi) ( 出典 : インドネシア政府資料 JICA, 2007 に基づき SNC 調査団作成 ) 116

139 2. プロジェクトの実施に必要となる相手国の EIA 等の内容 a. 環境アセスメントシステムインドネシアでは 1978 年に環境行政を扱う開発環境省 (PPLH) が設置された これを背景に 1982 年には国家の環境政策の内容を法律として示した環境管理のための基本規定に関する法律 ( 環境管理基本法 )(No.4) が制定された 同年には開発環境省が改組され人口環境省 (KLH) が設置された KLH の機能を強化するため 1990 年の大統領令 No.23 に基づき環境行政実施機関として環境管理庁 (BAPEDAL) が発足した 1993 年 3 月には人口環境省が分割され環境省 (LH) が設置された 大統領令 No.77/1994 により BAPEDAL の大幅な組織改正と機能強化が図られ 環境保全対策や公害対策を実施する仕組みが整備された 一方 地方においては 1997 年に改正された同環境管理基本法第 18 条第 3 項により 各州政府が地方の生活環境保全について 国の方針に基づき実施する権限を有するとされており その役割を各州の環境局が担っている 環境影響評価の実施権限は当該事業を所轄する中央官庁や全国の州 特別行政区に与えられ 事前のスクリーニングや環境影響評価書の内容を審査するための 環境影響評価委員会 が設置されている また 所轄官庁が複数にまたがるような事業の環境影響評価を実施するために 包括的な環境影響委員会 も設置されている BAPEDAL は環境影響調査の全体的な調整の役割のため監督権限を持っている 環境管理基本法の第 16 条には 環境に著しい影響を及ぼす可能性のある事業は 環境影響調査を実施しなければならない と境影響評価を実施するための法的根拠が示されており これを受けて 1986 年に環境影響評価制度を導入されている 1993 年には 環境影響評価に関する政令 (No. 51/1993) が制定され 1999 年政令第 27 号において改定されている インドネシア国では環境影響評価は Analysis Mengenai Dampak Lingkungan( 以下 AMDAL と略す ) と呼ばれている 影響や活動の範囲に応じて 3 種類に分類されている AMDAL Kawasan: 事業活動や重大な影響が 1 自治体内であるもの AMDAL Kegiatan Terpadu/Multisektoral: 統合事業の活動や重大な影響が 複数自治体にまたがるもの AMDAL Regional: 事業活動や重大な影響が 複数自治体にまたがる開発計画区域にあるもの重大な影響とは 環境の基本的な変化であり 影響される人数 範囲 時間 深度等 6 種類の要素を考慮して 環境省大臣令 No.56/1994 にて決められている 重大な影響をもたらす恐れのある事業活動としては 地形改変 再生 非再生自然資源の開発 文化社会環境に影響する活動など 14 業種が考慮されている 詳細に 117

140 第 4 章環境社会的側面の検討 は AMDAL を提出すべき事業活動と規模を定めた環境省令 No. 11/1994 が発布されたが 対象業種規模については 環境省令 No. 11/2006 にて改定されている 環境影響評価書は Analisis Dampak Lingkungan( 以下 ANDAL と略す ) と呼ばれ 重大な影響についての詳細で掘り下げられた報告書である また 提案事業活動による重大な影響を管理したり モニターしたりするための計画の作成が求められている 環境管理計画 (Rencana Pengelolaan Lingkungan Hidup) --- RKL と呼ぶ 環境モニタリング計画 (Rencana Pemantauan Lingkungan Hidup) --- RPL と呼ぶ AMDAL に係わる政令 No. 27/1999 にて AMDAL が義務付けられない業種活動を行うものに UKL( 環境マネジメントプラン Upaya Pengelolaan Lingkungan) と UPL( 環境モニタリングプラン Upaya Pemantauan Lingkungan) の提出させる ことが決定し その実施要領に係わるガイドラインが環境省令 No. 86/2002 として発行されている b. 環境影響評価の対象環境省大臣令 No. 11/2006 によると地熱発電所については 出力が 55MW 未満の地熱発電所は環境影響評価の対象となっていないが 55MW 未満の地熱発電所であっても保護地域に立地する場合には環境影響評価を義務付けられている 環境省令 No. 11/1994 による保護地域の例は以下の通りである 保護地域 : 森林保護地域水源地域海岸河川岸湖沼 貯水池周辺地域自然保護地域海洋及び淡水保護地域マングロープ地域国立公園レクリエーション公園文化遺跡科学的研究地域自然災害の恐れがある地域本プロジェクトにおける計画規模は表 4-17 に示す通りであり 発電所については環境省大臣令 No. 11(2006) に指定された規模より大きく AMDAL 対象事業に該当し 送電線については対象となっていない 表 4-17 発電所計画及び AMDAL 対象規模 地点名計画規模 AMDAL 対象規模 フルライス 発電所 2 55MW 送電線 150kV 55MW >150kV ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 118

141 (5) プロジェクトの実現のために当該国 ( 実施機関その他関係機関 ) が成すべき事項 PT. PGE は上流開発 ( 地熱資源開発 ) についての環境影響調査を実施済みである 環境影響評価書 (ANDAL) のタイトルは Construction of Geothermal Field and Geothermal Power Plant Hululais by PT. Pertamina Geothermal Energy in District of South and Central Lebong, Regency of Lebong, Province of Bengkulu でレボン県より 2008 年 10 月 18 日付で承認されている (No.660.1/012/BLHK P/2008) PT. PLN は下流開発 ( 発電所建設 ) に必要な環境影響評価を実施することが必要であるが 既に調査を開始しているとのこと これらの環境影響調査は 2011 年 5 月に終わる予定とのこと ただし 風向や風速などの気象データは 発電所の概念設計だけでなく 硫化水素の拡散予測にも必要なので 建設予定地点で最低 1 年間は観測する必要がある 円借款の環境社会配慮のなかで重要な利害関係者の関与と情報公開については プロジェクトの計画が決まった段階 ANDAL の作成途中や完了後の段階において 住民への情報の公開や説明を実施する必要がある フルライス地点の上流開発については ANDAL の作成途中に住民への説明が行なわれている 利害関係者の関与と情報公開の重要性については 下流開発のプロジェクト実施主体である PT. PLN は認識しているものと考えられる 119

142 第 5 章財務的 経済的実行可能性 第 5 章財務的 経済的実行可能性 (1) 事業費の積算 本プロジェクトはインドネシア国経済企画庁 (BAPPENAS) の国家電力開発計画に基づき 地熱発電開発の上流部門 ( 蒸気開発部門 Upstream) は PT. PGE 下流部門( 地熱発電および送電部門 Downstream) は PT. PLN が実施することになっており 両機関とも日本政府の JICA による 円借款によって事業を実施するとすれば 事業費はまず大きく PT. PGE および PT. PLN 部門に分けられる また コスト積算は 2010 年価格をベースとし JICA 殿指定の年エスカレーションレートを Price Contingency( 外貨ポーション :1.8% 内貨ポーション :7.9%) とし また 物理的予備費 (5%) も考慮するとした 両部門ともコンサルタントを雇用してプロジェクトを実施するものとした 1. 事業費の構成事業費は下記の構成により見積もられた PT. PGE 事業 PT. PGE 事前実施業務 土地購入費 取り付け道路 土木工事 事前掘削コスト 坑井テスト 事前業務管理費 PT. PGE 蒸気供給設備 土地購入費 取り付け道路 土木工事 掘削コスト 坑井テスト FCRS PT. PGE 管理費 コンサルタント費 予備費 PT. PLN 事業 PT. PLN 発電設備 120

143 土地購入費 地熱発電所 PT. PLN 送電 変電設備 150 kv 送電線 変電所増設工事 PT. PLN 管理費 コンサルタント費 予備費 なお 事業費の積算については 図 6-1の事業計画の以下のマイルストーンを考慮したものである PT. PGE 事前業務 (2010 年に開始した3 本の調査井掘削 またそのための進入道路建設 その他 AMDAL 取得のためなどの管理業務 ) プロジェクト L/A 2012 年 3 月 コンサルタント業務 : 2011 年度コンサルタント選定 2011 年度 12 月よりコンサルタント業務開始 EPC コントラクター選定 :2012 年 7 月より 2013 年 3 月 発電所建設 :2013 年より 38 カ月 2015 年末 1 号機運開 3カ月後引き渡し 2 号機はその後 3カ月遅れ ( 経済財務評価的には 2016 年度より売電開始 30 年間の経済的耐用年数があるものとした ) 2. 通貨および為替レート事業費は外貨 内貨に分けて積算した 表示はアメリカドルとした 為替レートおよび 価格予備費に用いるエスカレーションレートは以下の通り 2010 年度 JICA インドネシア向け評価指標を用いた 表 5-1 為替レート エスカレーション 為替レート エスカレーション 1US$ 90.9 円 1US$ 9,017 IDR 内貨 7.90% 外貨 1.80% ( 出典 :JICA) 121

144 第 5 章財務的 経済的実行可能性 3. 事業費 表 5-2 事業費積算総括表 PGE Project: Upstream Works including Advance Works Unit: Million US$ Price FC Ratio LC Ratio FC LC Total Ratio 1 PGE Advance Works 1.1 Land Acquisition % 100% Access Road/Civil Works % 100% Advance Well Drilling Cost % 30% Well Testing % 30% PGE Administration Cost % 100% Subtotal % 2 PGE Project Up Stream Works 2.1 Land Acquisition % 100% Access Road/Civil Works % 100% Well drilling % 30% Well Testing % 30% FCRS % 44% Subtotal Total PGE Project Cost % 4 PGE Administration Cost % 100% % 5 Consulting Fee % 25% % 6 Contingencies 7.1 Price Contingency (FC:1.8%, LC:7.9%) 25% 75% Physical Contingency 57% 43% Subtotal % 7 Grand Total % Grand Total (Million Yen) 10,068 7,625 17,693 8 Implementation 9.1 PGE Equity 47% 53% % 9.2 JICA Project Loan, 85% 58% 42% % 9.3 JICA Consultant Loan, 100% 70% 30% % Total 57% 43% % 9 IDC+Commitment Charge, PGE

145 PLN Project: Power Plant and T/L Unit: Million US$ Price FC Ratio LC Ratio FC LC Total Ratio 1 PLN Down Stream Works 1.1 Power Plant % 30% Land Acquisition % 100% Subtotal % 2 PLN Transmission Line & SS kv T/L (HL1&2 to Pekalongan SS) % 26% KV Switchgear Expansion % 15% Subtotal % 3 Total PLN Project Cost % 4 PLN Administration Cost (3%) 0% 100% % 5 Consulting Fee 75% 25% % 6 Contingencies 5.1 Price Contingency (FC:1.8%, LC:7.9%) 31% 69% Physical Contingency 63% 37% Subtotal % 7 Grand Total % Grand Total (Million Yen) 13,499 8,064 21,562 8 Implementation 7.1 PLN Equity 52% 48% % 7.2 JICA Project Loan, 85% 64% 36% % 7.3 JICA Consultant Loan, 100% % Total 63% 37% % 9 IDC+Commitment Charge, PLN Grand Total (PGE +PLN) Grand Total (Million Yen) 23,567 15,688 39,255 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 4. 資金調達計画 PT. PGE PT. PLN とも 本プロジェクトの必要な資金のうち 85% を上限として日本政府の JICA 円借款を調達し 残りの 15% はプロジェクト実施者が調達するものとした ただし コンサルコストについては 100%JICA 円借款によるものとした JICA 円借款条件 および PT. PGE PT. PLN 資金調達条件は下表の通り想定した 表 5-3 事業費調達条件 プロジェクト円借款 コンサルタント円借款 PT. PGE 資金 PT. PLN 資金 金利 償還率 年率 0.3% 年率 0.01% 14.48% 12.00% 据置期間 10 年 10 年 NA NA 返済期間 40 年 40 年 NA NA ( 出典 :JICA および SNC 調査団作成 ) 123

146 第 5 章財務的 経済的実行可能性 円借款に関するその他調達条件は下記の通り ジェネラル アンタイド L/A 調印後 120 日後に未調達分に対して 0.1% のコミットメント費を課す プロジェクト円借 コンサルタント円借とも JICA の ODA 調達ガイドラインによるものとする (2) 予備的な財務 経済分析の結果概要 1. 財務分析結果 a. 評価方法 PT. PGE は生産した蒸気を PT. PLN に売ることにより収益を得 PT. PLN はその蒸気を電力に変換し売電収益を得る PT. PGE と PT. PLN は既に蒸気販売契約を締結しており その卖価は 4.3 cent/kwh となっている PT. PLN 国有電力会社としては現状の全国統一価格である 7.5 cent/kwh で販売されるが 地熱発電の先行投資の高さを考慮して 現在インドネシア国エネルギー省で地熱 IPP の上限として 8.7cent/kWh と規定している このような状況を加味し 本調査の PT. PLN の財務性は 投資額に対する 30 年間の加重平均価格をインドネシアにおける電力開発に一般的に使用される 12% の割引率にて求め この価格をベース価格として本プロジェクトの財務性を蒸気供給設備 (PT. PGE) および地熱電力設備 (PT. PLN) に分けてそれぞれの内部収益率 (IRR) を求め 本事業に投入される機会費用 ( 加重平均金利 :WACC) と比較することによりそれぞれの財務性を評価した b. 事業費調達および機会費用 PT. PGE および PT. PLN それぞれの事業資金調達 支出計画表 機会費用 (WACC) は表 の通り 124

147 表 5-4 蒸気供給事業 (PT. PGE) 資金調達計画および機会費用 Million US$ No. 年 プロジェクト コンサルタント 自己資金 合計 割合 % % % % % % % 合計 % 等価百万円 14, ,792 17,693 割合 79.8% 4.4% 15.8% 100% 借款条件 プロジェ コミット コンサル クト メント タント 自己資金 金利 % 0.30% 0.10% 0.01% 14.48% 据え置き期間 年 days 10 0 返済期間 年 加重平均機会費用 2.61% ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 125

148 第 5 章財務的 経済的実行可能性 表 5-5 地熱発電事業 (PT. PLN) 資金調達計画および機会費用 Million US$ No. 年 プロジェクト コンサルタント 自己資金 合計 割合 % % % % % % % 合計 % 等価百万円 16,704 1,218 3,641 21,562 割合 77.5% 5.6% 16.9% 100% 借款条件 プロジェクト コミットメント コンサルタント 自己資金 金利 % 0.30% 0.10% 0.01% 12.00% 据え置き期間 年 days 10 0 返済期間 年 加重平均機会費用 2.34% ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 返済期間については JICA の規定では 40 年返済 うち 10 年据え置きとなってい るが プロジェクトの経済的耐用年数 30 年を考慮し 30 年返済 10 年据え置きと した c. 税金 減価償却インドネシア財務省の規定により地熱事業税は 34%( その他の発電事業は 32%) とし 減価償却方法は定額法の残存価格なしとする 経済的耐用年数は蒸気生産還元井 10 年 その他蒸気供給 発電設備は 30 年 送電配電設備 40 年とする d. 地熱発電所運転状況 本事業の運転状況は下記の通り想定する 126

149 設備容量 : 55 MW 2 所内比率 : 5.5% 稼働率 : 90% 生産井 : 運開時 10 本 ( 補充井 :8 本 ) 還元井 : 運開時 7 本 ( 補充井 :5 本 ) 蒸気生産設備維持管理費 : 3.37 Mill $ 発電設備維持管理費 : 5.07 Mill $ 年間発生電力量 : GWh 送電ロス : 0.7% 年間送電端電力量 : GWh e. 蒸気価格および電力価格蒸気価格は PT. PGE と PT. PLN で締結された蒸気供給契約に基づく 4.3 cent/kwh とし 耐用年数期間に 55 MW 2 基の発電を維持するための蒸気生産 熱水還元を確保する追加井を含む全体投資額から理論上の平均売電卖価を インドネシアの電源開発に用いられる割引率 12% をベースに求めた 発電原価は 次表のように計算される 127

150 US Dollor 第 5 章財務的 経済的実行可能性 表 5-6 割引率別平均エネルギーコスト 平均エネルギーコスト (US$) 割引率 発電端原価 変電端売電卖価 12.00% % % % % % % % % % % % % % % ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 図 5-1 割引率別平均エネルギーコスト Levelized Energy Cost 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% 10% 11% 12% 13% 14% 15% 16% LEC Sale LEC Gen End ( 出典 : SNC 調査団作成 ) 128

151 PT. PGE の PT. PLN への蒸気卖価は 4.3 cent/kwh である なお この価格は先行する同規模のウルブル地熱開発 (55 MW 2) の合意済み蒸気卖価 4.2 cent/kwh と近似する PT. PLN の発電原価は発電所端で 7.7 cent/kwh, 変電所端で 8.8 cent/kwh となる f. FIRR 計算結果 す PT. PGE の蒸気供給事業 PT. PLN 地熱発電事業の内部収益率計算結果を下表に示 表 5-7 FIRR 計算結果 事業 ベース卖価 WACC FIRR PT. PGE 蒸気供給事業 4.3 cent/kwh 2.61% 10.71% PT. PLN 発電事業 8.9 cent/kwh 2.34% 8.09% ( 出典 : SNC 調査団作成 ) PT. PGE 事業および PT. PLN 事業とも 得られた FIRR はそれぞれの WACC より2 倍以上高くなり それぞれのプロジェクトは借入金をすべて返済可能後も キャッシュフロー的に十分な財務的健全性を示している PT. PGE の蒸気供給事業の FIRR 計算書 返済計画表 キャッシュフローを表 に示す また PT. PLN の FIRR 計算書 返済計画表 キャッシュフローを表 に示す g. FIRR 感度分析 蒸気卖価および売電卖価についてそれぞれ PT. PGE 蒸気供給事業および PT. PLN 発電事業の財務性について下表の通り感度分析を行った 129

152 FIRR FIRR 第 5 章財務的 経済的実行可能性 図 5-2 蒸気卖価に対するに対する PT. PGE 蒸気供給事業 FIRR 感度 PGE FIRR: Sensitivity to Steam Rate 20.0% 18.0% 16.0% 14.0% 12.0% 10.0% 8.0% 6.0% 4.0% 2.0% 0.0% Steam Rate, cent/kwh ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 図 5-3 売電卖価に対する PT. PLN 発電事業 FIRR 感度 Sensitivity to Power Rate 18.0% 16.0% 14.0% 12.0% 10.0% 8.0% 6.0% 4.0% 2.0% 0.0% Power Rate, cent/kwh ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 130

153 WACC は 両事業とも JICA の低金利および長期返済期間 返済猶予期間の優遇借款を調達することにより かなり低くなるため 両事業ともベースケースで機会費用の2 倍以上の FIRR を達成できており 財務的健全性を示している PT. PLN の発電事業においても 理論上の 8.8 cent/kwh ではなく実際の 7.5 cent/kwh においても FIRR は4% 台の数値を確保できる また 両事業とも BC レシオにおいても理論上 1を大きく上回り JICA の円借款を用いれば 財務的に健全なプロジェクトとなると判断される 表 5-8 PT. PGE: FIRR 計算書 model: Hulu Lais Geothermal No. 1 and No. 2 PGE [MM $] REVENUE CASH FLOW SALES INVESTMENT COSTS OUTPUT NET INCOME NET INCOME No. of INITIAL INV. GWH SALE (w /o IDC) DEPRECIATION No. YEAR MW Supplem. SUPPLM. TOTAL TOTAL OPER SUP. WELL TOTAL NET Tax [After Tax] FREE Wells INVEST. INVEST. REVENUE COST DEPN. EXPENSES INCOME CASH FLOW Total Total Fm Loan Equity Total Ini Well Others [2+3] [6+7+8] [5-9] [10-11] [ ] M$/well] [GWh] [ [ 34% ] Total 26, , Steam Price 4.30 ( /kwh) Equity FIRR 25.47% WACC of Project: 2.61% Project F.I.R.R % ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 131

154 第 5 章財務的 経済的実行可能性 表 5-9 PT. PGE: 返済計画表 Loan Total Repayent No Year Loan Equity Total Principal Interest During Construction Interest Hulu Lais Geothermal No. 1 and No. 2 Repay-ment Outstand-ing Balance Total Note: IDC include 0.1% of commitment charge ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 132

155 表 5-10 PT. PGE: キャッシュフロー Cash Inflow Cash Outflow Balance Cash Flow from Operating Activities Depreciation Initial Equity Additional Repayment Per Borrow ing No. Year EBIT Interest Tax Profit Initial Inv. Add'nal Inv. Total Investment Equity Investment Capital Total Year Accumulate (w /o IDC) [ 34% ] [2-3-4] [ ] [ ] [8-12] ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 表 5-11 PT. PLN: FIRR 計算書 model: PLN: Hulu Geothermal Power Project [MM $] INVESTMENT COSTS OUTPUT Generation Sale REVENUE NET INCOME NET INCOME CASH FLOW INITIAL INV. (w /o IDC) No. YEAR MW GWH Gen GWH Sale TOTAL TOTAL Steam O&M Dep TOTAL NET Tax [After Tax] FREE Total Total INVEST. REVENUE Purchase EXPENSES INCOME CASH FLOW Total Fm Loan Equity [6+7+8] [5-9] [10-11] [ ] [GWh] [ 34% ] Total 26, , , , Purchase ( /kwh) Equity FIRR 30.13% Steam Electricity Sale ( /kwh) Project F.I.R.R. 8.09% WACC of Project: 2.34% ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 133

156 第 5 章財務的 経済的実行可能性 表 5-12 PT. PLN: 返済計画表 Loan Total Repayent No Year Loan Equity Total Principal Interest During Construction Interest PLN: Hulu Geothermal Pow er Project Repay-ment Outstand-ing Balance Total Note: IDC include 0.1% of commitment charge ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 134

157 表 5-13 PT. PLN: キャッシュフロー PLN: Hulu Geothermal Power Project [MM $] Cash Inflow Depreciatio Cash Outflow] Balance Borrow ing Equity Cash Flow from Operating Activities n Initial Repayment Per No. Year (w /o IDC) EBIT Interest Tax Profit Initial Inv. Total Investment Equity Capital Total Year Accumulate [ 34% ] [2-3-4] [ ] [ ] [8-12] ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 2. 経済分析結果 a. 評価方法本プロジェクトの経済的実行可能性については経済的内部収益率法により検証した 本プロジェクトと社会に対して同等の便益 (MWh) を提供できる代替プロジェクトを選定し プロジェクトのコスト ( 蒸気供給事業と発電事業の合計コスト ) を費用とし 代替プロジェクトのコストを便益とし 両者の等価割引率 (EIRR) を求め インドネシアにおける電源開発の算定に用いられている割引率 12% と比較することにより本プロジェクトの経済性を評価した b. 代替プロジェクト社会に対し本プロジェクトと同等の便益を供給できる発電形態として 卖機容量 70MW の石炭火力発電を想定し下記の運転状況を想定した 石炭火力発電の稼働率は地熱発電より総じて低くインドネシアの場合約 70% 台だと言われ それを考慮し 地熱発電と同等の発電端電力を供給できる卖機容量として 70 MW の出力を選定した 135

158 第 5 章財務的 経済的実行可能性 卖機容量 *1 70 MW ユニット数 2 耐用年数 30 years 稼働率 * % 所内比 7.5% 発電端電力 GWh ( プロジェクトと同等 ) 熱効率 35% 石炭発熱量 *2 5,100 kcal/kg 建設卖価 1,000 US$/kW 2) 石炭燃料卖価 * $/ton 固定維持費 50.0 $/kw/yr 変動維持費 0.67 $/kwh ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 注 1): プロジェクトの発電端電力量と同等となるように算定 2): 出典 : PT. PLN s RUPTL 2010 c. EIRR 計算結果 上記代替発電形式として石炭火力とのコスト比較においてプロジェクトの EIRR は 下記の結果となった 計算過程を表 に示す 総合プロジェクト EIRR( 送電線含む ) 14.67% 総合プロジェクト EIRR( 送電線含まず ) 15.31% 送電線建設および変電所拡張工事を含む場合 含まない場合ともハードルレート である 12% を超えており 地熱発電プロジェクトはインドネシア国として経済的に 適切であることが証明された d. EIRR 感度分析代替プロジェクト建設卖価および石炭価格について感度分析 ( 送電線含むケース ) を行った 建設卖価については ベースコストの 700 US$/kW より高い 800 US$/kW となると EIRR は 12% となり また 石炭価格卖価が 55$/ton となると 12% を下回り地熱発電の経済的優位性が損なわれることが判明した 136

159 EIRR 70% 73% 75% 78% 80% 83% 85% 88% 90% 93% 95% 98% 100% 103% 105% 108% 110% 113% 115% EIRR 図 5-4 代替プロジェクト建設卖価感度分析 Sensitivity to Alternative Project Cost 18.0% 16.0% 14.0% 12.0% 10.0% 8.0% 6.0% 4.0% 2.0% 0.0% Project Cost in % ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 図 5-5 石炭価格感度分析 25.0% Sensitivity to Coal Price 20.0% 15.0% 10.0% 5.0% 0.0% Coal $/ton ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 137

160 第 5 章財務的 経済的実行可能性 表 5-14 プロジェクト EIRR( 送電線を含む ) Year Year % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % , , , , ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 表 5-15 プロジェクト EIRR( 送電線を含まず ) Year Year Model: [Geo with TL and SS] EIRR = 14.67% PROJECT ALTERNATIVE : [Coal-fired] Annual Supple. Alt. Annual Fuel Cost Project Capacity Capacity Efficiency Consump. Balance Fuel Capacity Salable Drilling Total Cost Project Capacity Salable (Fuel O&M Cost Total Cost Cost Cost Factor O&M Cost Factor Energy Cost Cost Energy Save) MM$ MW % GWh MM$ MM$ MM$ MM$ MW % GWh % Mil. Kg MM$ MM$ MM$ MM$ Model: [Geo without LL & SS] EIRR = 15.31% PROJECT ALTERNATIVE : [Coal-fired] Annual Supple. Alt. Annual Fuel Cost Project Capacity Capacity Efficiency Consump. Balance Fuel Capacity Salable Drilling Total Cost Project Capacity Salable (Fuel O&M Cost Total Cost Cost Cost Factor O&M Cost Factor Energy Cost Cost Energy Save) MM$ MW % GWh MM$ MM$ MM$ MM$ MW % GWh % Mil. Kg MM$ MM$ MM$ MM$ % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % % , , , , ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 138

161 3. 総合評価本プロジェクトは大統領発令の Crash Program II にも含まれた国家プロジェクトであり 電力需要が逼迫しているスマトラにおける重要な電力開発プロジェクトであるとともに インドネシア固有のエネルギーである貴重な地熱資源を有効に利用し 化石燃料消費を削減し 環境的にも優れたプロジェクトである また 下記経済 財務総括表の通り 財務的 経済的な実行可能性が高く示されており インドネシア国として 実施すべき優良プロジェクトであると判断される ( ただし 本経済財務評価に用いた各種パラメータ ;55 MW 2の地熱発電を維持する生産井 還元井本数 所内比などは 現在 PT. PGE にて掘削中の調査井の噴気試験結果により変化する可能性があり 試験結果に基づいた再検討が必要である ) 表 5-16 経済 財務評価総括表 事業名 フルライス 55MW 2 地熱発電事業 区分 蒸気供給事業 地熱発電事業 事業者 PT. PGE PT. PLN 事業費百万円 (MUS$) 17,693 百万円 ( M$) 21,562 百万円 ( M$) 総事業費百万円 (MUS$) 39,255 百万円 ( M$) 発電量 GWh/ 年 石炭燃料節約量 424 百万 kg, M$ CO 2 年間排出削減量 608,889 t-co 2 / 年 蒸気 売電卖価 4.3 cent/kwh 8.8 cent/kwh 機会費用 :FIRR (WACC) 10.71% (2.61%) 8.09% (2.34%) 社会的割引率 :EIRR 14.67% キャッシュフロー NPV M$ M$ 財務 BC レシオ (12%) 経済 BC レシオ (12%) 1.14 ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 139

162 第 6 章プロジェクトの実施スケジュール 第 6 章プロジェクトの実施スケジュール 図 6-1に JICA との ES 借款契約調印後からプロジェクト完了までの実施スケジュールを示す コンサルタントが選定され 生産井および還元井の掘削 地熱流体輸送設備の建設 (PT. PGE 担当 ) 地熱発電設備建設 送電線建設 (PT. PLN 担当 ) などのサブ プロジェクトの調達が同時に開始され コントラクターが決定される 各サブ プロジェクトのコントラクターとの契約発効後 直ちに設計 製作 輸送 建設工事 試運転が実行され プロジェクトが完成 営業運転が開始される 事前作業 PT. PGE は調査井掘削など 14 カ月 PT. PLN は環境影響評価など 23 カ月を要する な お これらは借款事業と平行して実施される コンサルタントの雇用プロジェクトの早期着手 実現のためには まず コンサルタントを早く選定すべきである コンサルタントの選定は 9カ月 サービス期間は PT. PGE 担当部分は 40 カ月 PT. PLN 担当部分は 66 カ月である プロジェクトの調達 (Procurement Stage) コンサルタント選定後 各サブ プロジェクトのコントラクター決定までの調達期間は 詳細設計 Bid Documents 作成 Pre-Qualification Bidding 入札評価 契約までで PT. PGE 担当部分は7カ月 PT. PLN 担当部分は 23 カ月である プロジェクトの実施 (Construction Stage) プロジェクトの実施段階は次のとおりである 1 生産井 還元井の掘削 (PT. PGE 担当 ) 契約後 掘削資機材の輸送 生産井 還元井の掘削 試験完了まで 23 カ月 2 地熱流体輸送設備の建設 (PT. PGE 担当 ) 契約後 設計 製作 輸送 建設工事 試運転完了まで 24 カ月 3 地熱発電設備の建設 (PT. PLN 担当 ) 契約後 設計 製作 輸送 建設工事 試運転完了まで 38 カ月 4 送電線の建設 (PT. PLN 担当 ) 契約後 設計 製作 輸送 建設工事 試運転完了まで 22 カ月 プロジェクトの完成 営業運転開始 ES 借款契約から2 号機営業運転開始までは 62 カ月となる 140

163 図 6-1 プロジェクトの実施スケジュール ( 出典 :SNC 調査団作成 ) また PT. PLN からの要望に応じ 2014 年末に蒸気が供給されるという前提条件で作 成した発電部門のみの開発スケジュールを図 6-2 に示す 141

164 第 6 章プロジェクトの実施スケジュール 事前作業 事前作業は環境影響評価など 23 カ月を要する なお これらは借款事業と平行して実 施される コンサルタントの雇用 プロジェクトの早期着手 実現のためには まず コンサルタントを早く選定すべき である コンサルタントの選定は 8 カ月 サービス期間は 56 カ月である プロジェクトの調達 (Procurement Stage) コンサルタント選定後 各サブ プロジェクトのコントラクター決定までの調達期間は 詳細設計 Bid Documents 作成 Pre-Qualification Bidding 入札評価 契約まで 14 カ月である プロジェクトの実施 (Construction Stage) プロジェクトの実施段階は次のとおりである 1 地熱発電設備の建設契約後 設計 製作 輸送 建設工事 試運転完了まで 30 カ月 2 送電線の建設契約後 設計 製作 輸送 建設工事 試運転完了まで 21 カ月 プロジェクトの完成 営業運転開始 ES 借款契約から 2 号機営業運転開始までは 48 カ月となる 142

165 図 6-2 発電部門のプロジェクトスケジュール (2014 年末までに蒸気供給された場合 ) ( 出典 :SNC 調査団作成 ) 143

166 第 7 章相手国実施機関の実施能力 第 7 章相手国実施機関の実施能力 (1) 相手国実施機関の概要 1. PT. PGE の概要本事業の実施主体は PT. PGE と PT. PLN (Persero) から成る PT. PGE は蒸気開発 供給を行い PT. PLN は送配電線を含む地熱発電所建設 運転 維持管理を行う PT. PGE の組織 経験は 次のように要約される PT. PGE はインドネシア国有石油会社である PT. Pertamina (Persero) の子会社であり PT. Pertamina の Working Areas での地熱発電開発を行う会社である PT. PGE は インドネシア政府が 15 の地熱 Working Areas を開発するために 2006 年に設立した地熱開発機関である PT. Pertmina 時代を含めれば PT. PGE は地熱開発には充分な経験を持っていることになる 以下に主要な事業経験をまとめた 同国の地熱発電開発は PT. Pertamina がリードし 1983 年の Kamojang 地域の地熱発電所 1 号機 (30MW) さらに 2 年後の2 機の 55 MW 発電所の運転開始によりはじまった 一方 スマトラ島でもモノブロックタイプ発電 (2MW) が Sibayak-Brastagi で行われ スラウェシ島 Lahendong 発電所 (PT. PLN) では 20 MW の発電が 2001 年に開始された 現在 PT. PGE は一貫開発で Kamojang4 号機を開発し Lahendong 1 ~4 号機にも蒸気を供給している また Ulubelu 1 2 号機にも蒸気を供給する予定である 近く PT. PGE は 円借款による支援で Lumut Balai 1 2 号機を一貫開発し 運転を開始する予定でもある PT. Pertamina の人的資源や経験を引き継いだ PT. PGE は 現在積極的に地熱開発を行っている PT. PGE には地熱開発の経験を有する多くの技術者や科学者が所属しているが 現在も PT. PGE は PT. Pertamina により財務的人資源的に支援を受けている PT. PGE は 図 7-1に示すように Planning & Development グループ Operation グループ Finance グループ及び Supporting Service Management からなる 252 名の技術者や科学者がスタッフとして所属し 558 名の外部技術者の支援を受けている (2009 年時点 ) PT. PGE は 技術力を高め体制を整えて フルライス地域だけでなくほかの PT. Pertamina の他の Working Areas での地熱発電開発を目指している 以上述べたように PT. PGE はフルライス地域の地熱発電開発を行う十分な能力や経験を有すると判断される 144

167 図 7-1 PT. PGE 組織図 ( 出典 : PT. PGE 資料 ) 145

168 第 7 章相手国実施機関の実施能力 2. PT. PLN の概要本プロジェクトの発電部門の実施主体は インドネシア国営電力会社 PT. PLN である PT. PLN は インドネシア国において電力供給の責任を有する国有企業である PT. PLN は 1950 年に設立され 1994 年の政令により国営公社から国有会社に転換され 従来の発送配電の固有業務のほかに子会社の設立なども可能になった PT. PLN の組織図を図 7-2に示す PT. PLN の事業概要を表 7-1に示す 2006 年の発電設備容量は 24,936MW 発電量は 112,609GWh 売上は 105 兆 IDR 従業員数 47,155 人である PT.PLN は Kamojang Salak Lahendong 等の地熱発電所建設 運転の実績が示すように 地熱発電所建設には十分な経験 能力を有するものと判断される 146

169 図 7-2 PT. PLN 組織図 President Director Dahlan Iskan Head of Internal Audit Unit Director of Primary Energy Director of HR and General Affairs Director of Planning and Technology Director of Strategic Procurement Director of Java- Bali Operations Director of West Indonesia Operations Director of East Indonesia Operations Director of Business and Risk Management Director of Finance Paiman Nur Pamuji Eddy D. Emingpraja Nasri Sebayang Bagiyo Riawan I.G.A. Ngurah Adnyana M. Harry Jaya Pahlawan Vickner Sinaga Murtaqi Syamsuddin Setio Anggoro Dewo Corporate Secretary Head of Coal Division Head of Organisation Development Division Head of Corporate Strategic Planning Division Head of Procurement Planning Division Head of Java-Bali Power Generation Division Head of West Indonesia Power Generation Division Head of East Indonesia Power Generation Division Head of Commerce Division Head of Corporate Finance Division I.B.G. Mardawa P. Misbachul Munir Iwan Bachtiar Made Ro Sakya Doday Hertanto Paingot M Nasser Iskandar Sapto Triono W. Benny Marbun Yusuf Hamdani Head of Gas and Oil Fuel Division Head of HR Development System Division Head of System Planning Division Head of Strategic Procurement Division Head of Java-Bali Transmission Division Head of West Indonesia Transmission Division Head of East Indonesia Transmission Division Head of Business and Electricity Transaction Division Head of Budget Monitoring Planning Division Head of Corporate Delivery Unit Prawoko Dadang Daryono Joko Prasetio Tonny Tondajoyo Ramli Hutasuhut Yanuar Hakim Susanto Wibowo Binarto B M. Hudiono Head of HR and Skill Development Division Head of Engineering and Technology Division Head of IPP Procurement Division Head of Java-Bali Distribution and Customer Services Division Roikhan Bowo Setiadji Monstar Panjaitan Haryanto WS Head of General Affairs and Management for Head Office Division Eddy Sukmoro Head of New and Renewable Energy Division Moch. Sofyan Head of Java-Bali Construction and IPP Division Henky H Basudewo Head of West Indonesia Distribution and Customer Services Division Karel Sampe Pajung Head of West Indonesia Construction and IPP Division Head of East Indonesia Distribution and Customer Services Division Head of Risk Management Division Head of Accounting Tax and Insurance Division Syarifuddin Ibrahim Amir Rosyidin Beni Hermawan Head of East Indonesia Construction and IPP Division Head of Treasury Division Eko A Sudartanto Widodo Mulyono Tjutju Kumia S. Head of Management Information System Division Rully Fasri Harry Hartoyo Head of Corporate Legal Services Unit Budi Kristanto GM of PLN Power Generation Business Unit GM of PLN Region Business Unit GM of PLN Main Project Business Unit GM of PLN Education and Training Center Director of Subsidiary GM of Transmission and Center for Load Dispatching Business Unit GM of PLN Distribution Business Unit GM of Supporting Services Business Unit GM of Electricity Research and Development Director of Joint Ventures ( 出典 : PT. PLN 資料 ) 147

170 第 7 章相手国実施機関の実施能力 表 7-1 PT. PLN 事業概要 ( 出典 :PT.PLN 統計 2006) 148

(1) プロジェクトの背景 必要性 インドネシア政府は 急増する電力需要に対応するために電力開発を急いでいるが 電源の多様化や再生可能エネルギーの開発にも重点を置いている 再生可能エネルギーの開発のために インドネシア政府は 10,000 MW 開発計画 Crash Program II を進めてい

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