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1 上原記念生命科学財団研究報告集, 26 (2012) 62. がん抑制遺伝子タンパク質 HHM/GCIP による肝臓がん抑制機構の構造基盤の解明 濡木理 Key words: がん, 転写因子, 細胞周期 * 東京大学医科学研究所基礎医科学部門染色体制御分野 緒言 dnhlh 転写因子である HHM/GCIP は, 強力ながん抑制遺伝子タンパク質である. がん患者と健常者を比較すると, がん患者では,HHM/GCIP の発現量が著しく低くなっている. また,HHM/GCIP をノックアウトしたマウスでは,2 年間で 30% が肝がんに罹患することが報告されている. 最近になって,HHM/GCIP は,TGF-β 下流で Oligo-1 転写因子を阻害することで細胞運動を抑制し, また Cyclin D1-CDK4 と結合してこれを抑制することで, 細胞周期を G1 期で停止させ, 強い抗腫瘍作用を発揮することが知られている. また HHM/GCIP は,NF-κB プロモーター領域のヒストン H3 に特異的な脱アセチル化酵素 SirT6 と相互作用する. 以上の機序により,HHM/GCIP は肝がんの発生 進行を抑制している. しかし, その分子機構は未だわからなかった. 方法ヒト由来 HHM/GCIP 遺伝子を GST (Glutathion S-transferase) との融合タンパク質の形で, 大腸菌を用いて大量発現させた. グルタチオンセファロース, 陰イオン交換カラム, ヘパリン, ゲル濾過などのカラムクロマトグラフィーにより精製を行った. 精製標品を用いて結晶化を行ったところ, 六角柱状の比較的大きな結晶が得られた. しかし,SPring-8 シンクロトロン放射光において回折実験を行なったところ,6 Å の反射しか観測されなかった.HHM/GCIP には7つの Cys 残基がある. これらが非特異的に分子間ジスルフィドを形成し, 結晶化を阻害している可能性を考慮し, 還元剤をより強力な TSEP を用いて精製を行ったところ, 分解能が 4 Å に向上した. そこで,Cys に配位結合してこれを覆う,PCMB( パラクロロメルクリベンゼン ) で処理した精製標品を用いて結晶化したところ, 分解能が 3 Å に向上した. さらに, ジスルフィド結合を形成しうる, 表面に出た Cys 残基を, 質量分析を用いて解析した結果,2つの Cys 残基が結晶化を阻害している可能性が明らかになったため, これらを Ser に置換した変異体を作製したところ,2.5 Å 分解能の回折データが収集でき,MAD 法により結晶構造解析に成功した. V 字型構造を壊す変異体を4 種類作製し,Olig1, Id2, NeuroD1, CyclinD1 に対する結合をプルダウン法により検出した. また, これら 4 種類の変異体遺伝子を, 筋芽細胞 C1C12 に発現させ, 筋肉マーカー遺伝子の発現を見ることで, 筋肉の分化を検出した. 結果我々は,HHM/GCIP の結晶構造を 2.5 Å 分解能で決定することに成功した 1). その結果,HHM/GCIP は,10 本のヘリックスが 5 本ずつのヘリックスバンドル構造を形成し, この N 端ドメイン (N バンドル ) と C 端ドメイン (C バンドル ) が鋭角に V 字型構造を取った新規構造を持っていることが判明した. この N バンドルと C バンドルをつなぐ部位に HLH があり, 通常の HLH とは全く異なる伸張した構造をとっていた ( 図 1). * 現所属 : 東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻 1

2 図 1. HHM/GCIP の結晶構造. HHM/GCIP の 2.5 Å 分解能での結晶構造.5 本の α へリックスからなるヘリックスバンドル 2 本が V 字型構造をして いる. さらに, 超遠心分析を行うことで,HHM/GCIP は V 字型構造と HLH がほどけた relaxed 型構造との conformation 平衡 として存在することが判明した ( 図 2). 図 2. 野生型 HHM と変異体の速度法超遠心分析. 野生型 HHM は 2 つの conformation 平衡として存在したのに対し,V 字型構造を不安定化する変異体は 1 つのコン フォメーションをとることがわかった. さらに,HHM/GCIP の HLH と N バンドルおよび C バンドルの結合を弱め,V 字型構造を不安定化する変異体を作製した ところ, これらの変異体は relaxed 型構造のみを取るようになり, 変異体 HHM/GCIP は Olig-1 のみならず NeuroD1 や Id2 と も結合するようになった ( 図 3). 2

3 図 3. HHM および変異体と各種転写因子との結合. 野生型 HHM は Olig-1 転写因子とのみ特異的に結合したが,V 字型構造を不安定化する変異体は,NeuroD1 や Id2 とも非特異的に結合するようになった. またこの変異体は筋細胞の分化を著しく促進することが判明した.Id2 による MyoD の抑制を解放するためと思われる ( 図 4). 3

4 図 4. 野生型 HHM と変異体による筋分化. 野生型 HHM を C2C12 細胞に発現させたところ,V 字型構造を不安定化させる変異体では, 筋肉への分化が観察さ れた. 以上のことから,HHM/GCIP の V 字型構造は, 転写因子の特異性に寄与しており,Olig-1 と結合すると,Cyclin D1 と結合しその活性を抑制することで細胞周期を G1 停止させ, がん細胞の運動抑制と増殖抑制の 2 通りの方法で抗腫瘍活性を発揮していることが示された. 考察 HHM/GCIP の立体構造は, 予測に反して,HLH 領域が伸長し,2 つのヘリックスバンドルをつなぐ,V 字型立体構造であった.V 字型構造を壊す変異体の各種転写因子に対する結合実験から,V 字型立体構造は, 休眠構造あるいは自己阻害構造に相当し, 特異的な転写因子とのみ結合する活性に働いていることが示された. 超遠心分析の結果から, 実際,HHM/ GCIP は自己阻害構造と,HLH がほどけた活性型の relaxed form の平衡状態にあることが明らかになった. 変異体 HHM/ GCIP は, 超遠心分析の結果からも, 常に活性型 relaxed form をとり, 転写因子認識が緩んでいることが推測された. これら変異体遺伝子を C1C12 細胞に発現させ, 筋肉の分化を見たところ, 野生型と異なり変異体 HHM/GCIP は筋芽細胞の筋肉への分化を促進することが観察された. これは, 通常,MyoD/E12/E47 転写因子複合体が筋分化を促進するのを Id2 抑制因子が抑制しているのに対し, 変異体 HHM/GCIP が Id2 と結合してしまうため,MyoD/E12/E47 転写因子複合体が解放され, 筋分化が促進されたものと考えられる. 4

5 共同研究者 本研究の共同研究者は, 東京大学大学院医学系研究科の宮園浩平教授, 山梨大学医学部の宮澤恵二教授である. 文献 1) Ishii, R., Isogaya, K., Seto, A., Koinuma, D., Watanabe, Y., Arisaka, F., Yaguchi, S., Ikushima, H., Dohmae, N., Miyazono, K., Miyazawa, K., Ishitani, R. & Nureki, O. : Structure of a dominant-negative helix-loop-helix transcriptional regulator suggests mechanisms of autoinhibition. EMBO J., 31 : , ) Nishimasu, H., Ishitani, R., Aoki, J. & Nureki, O. : A 3D view of autotaxin. Trends Pharmacol. Sci., 33 : , ) Kato, H. E., Zhang, F., Yizhar, O., Ramakrishnan, C., Nishizawa, T., Hirata, K., Ito, J., Aita, Y., Tsukazaki, T., Hayashi, S., Hegemann, P., Maturana, A. D., Ishitani, R., Deisseroth, K. & Nureki, O.: Crystal structure of the channelrhodopsin light-gated cation channe. Nature, 482: , ) Tsukazaki, T., Mori, H., Echizen, Y., Ishitani, R., Fukai, S., Tanaka, T., Perederina, A., Vassylyev, D. G., Kohno, T., Maturana, A. D., Ito, K. & Nureki, O. : Structure and function of a membrane component SecDF that enhances protein export. Nature, 474 : , ) Nishimasu, H., Okudaira, S., Hama, K., Mihara, E., Dohmae, N., Inoue, A., Ishitani, R., Takagi, J., Aoki, J. & Nureki, O. : Structure and function of a membrane component SecDF that enhances protein export. Nat. Struct. Mol. Biol., 18 : , ) Saito, K., Kobayashi, K., Wada, M., Kikuno, I., Takusagawa, A., Mochizuki, M., Uchiumi, T., Ishitani, R., Nureki, O. & Ito, K. : Omnipotent role of archaeal elongation factor 1 alpha (EF1α in translational elongation and termination, and quality control of protein synthesis. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 107 : , ) Kobayashi, K., Kikuno, I., Kuroha, K., Saito, K., Ito, K., Ishitani, R., Inada, T. & Nureki, O. : Structural Basis for mrna Surveillance by Archaeal Pelota and GTP-bound EF1α Complex. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 107 : ,

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