第1章

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1 経済産業省御中 平成 28 年度国際エネルギー使用合理化等対策事業 ( インドネシアにおける省エネルギー 再生可能エネルギー政策分析調査 ) 報告書 2017 年 2 月 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

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3 はじめに アジアを中心とした新興国では 堅調な経済成長に伴うエネルギー需要の急増が見込まれている これらの国々におけるエネルギー需要の増加は 現行の世界のエネルギー需給バランスに大きな影響をもたらし 日本のエネルギー安全保障のみならず 気候変動対策からも重要な課題である このため これらの国々に省エネルギー技術及び再生可能エネルギーの導入を一層促進させることが重要であり それを実現可能とする制度や政策の構築及びその根拠となる詳細な技術等の検証を実施することが有効である 特に 東南アジアにおける最大のエネルギー消費国であり 日本の石油 石炭 天然ガスなどのエネルギー資源の輸入元であるインドネシアでは 国内におけるエネルギー需要の増加により 2004 年に石油の純輸入国に転じるなどの資源の需給バランスに変化が生じている この状況を受け インドネシアでは 省エネルギーと再生可能エネルギーの導入促進に向けた目標及び各種政策や 2030 年までの温室効果ガスの排出削減目標を設定している これら目標の達成は当該国のエネルギー安全保障上重要であるだけでなく エネルギー資源を輸入する我が国のエネルギー安全保障にも資する このため 本調査では 日本のエネルギー安全保障の強化を図る目的で 現行の省エネルギー及び再生可能エネルギーの各政策の効果等の分析を実施し 目標を達成する上での課題の整理を実施するとともに 省エネルギーの部門別 産業別 技術別の削減ポテンシャルや各再生可能エネルギーのポテンシャルの定量的な評価 目標達成に向けた具体的な施策 技術の検討を行い インドネシアにおける省エネルギー 再生可能エネルギー目標の達成に向けた具体的な制度の確立 技術普及に向けた政策提言ならびに日本の協力分野を特定している 本報告での調査分析ならびに分析から得られる示唆がインドネシアでの省エネルギー 再生可能エネルギーの推進に向けた政策形成ならびにインドネシアでの省エネルギー及び再生可能エネルギーの技術展開に向け貢献できれば幸いである 平成 29 年 2 月 ( 一財 ) 日本エネルギー経済研究所 II

4 報告書要旨 第 1 章エネルギー需給とエネルギー政策の概要インドネシアは 自国の資源で石油を賄えた時代とは異なり 国際的な原油価格の乱高下が国家財政を悪化させているため 石油代替エネルギーと省エネルギーの推進が重要課題であるとの認識が浸透しつつある 他方 石油製品に対する補助金改革は インドネシアでは最も大きな政治的課題となっており 歴代政権は慎重な対応を強いられてきた インドネシアでは 2011 年および 2012 年の補正予算において 燃料価格の引き上げ案 ( 約 30 ~40% 程度 ) が盛り込まれたものの 燃料値上げに対する国民のデモや暴動に配慮する形で実行は見送られてきた このような状況を打破するために 2014 年 1 月の下院本会議において 2050 年までのエネルギー政策の大枠を定めた 国家エネルギー政策 (KEN: Kebijakan Energi Nasional) に関する大統領規定案を承認し 化石燃料への依存を低減させるとともに再生可能エネルギーの普及促進ならびに省エネルギーの推進を目指している KEN で設定された目標を実現化させるための具体的な措置を盛り込んだ国家エネルギー計画 (RUEN) の策定も行っている KEN では 2025 年までにインドネシアにおける各エネルギーの割合は 石油を 49% から 22% 以下へ低減させる目標を設定している 天然ガスを 20% から 22% 石炭を 24% から 32% 再生可能エネルギーを 6% から 23% へそれぞれ増加させるとしている また 原子力は最後の選択と位置付けている 化石燃料の直接使用から電力への転換を促進し 発電設備容量は現在の 44GW から 2025 年には 115GW に増加させるとしている また 次のような国家エネルギー政策目標を掲げた 1 エネルギー弾性値 ( エネルギー消費の伸び / 経済成長率 ): 経済成長目標に合うよう 2025 年に弾性値を 1 以下とする 2 エネルギー原単位 (GDP 当たりののエネルギー使用量 ):2025 年までに年 1% で改善させる 3 電化率 :2015 年に 85% 2020 年には 100% に近づける 4 家庭用ガスの使用率 :2015 年に 85% とする 5 一次エネルギーに占める新 再生可能エネルギーの割合 :2025 年までに 23% 2050 年までに 31% に引き上げる 第 2 章省エネルギー目標達成に向けた現状と課題インドネシアの省エネルギー政策は エネルギー政策を包括的に定める 国家エネルギー政策 と整合的に形成されている すなわちインドネシアのエネルギーミックスを中心としたエネルギー政策の根幹をなす 国家エネルギー政策 の 2025 年および 2050 年の目 III

5 標を実現する手段として 整合的な形で省エネルギーマスタープランである RIKEN が定められている 国家省エネルギーマスタープラン (RIKEN(2014)) では 2025 年までにエネルギー原単位を毎年 1% 改善することと 同年までにエネルギーの GDP 弾性値を 1 以下とする目標を設定しており これらの目標を達成するために 部門別に様々な政策を実施している 同じく 国家省エネルギーマスタープラン (RIKEN(2014)) によれば 基本計画策定時から 2025 年までの各部門における省エネポテンシャルは それぞれ 産業部門 (17%) 業務部門 (15%) 運輸部門(20%) 家庭部門(15%) としている こうした目標を達成するために産業部門では エネルギー管理制度を導入しており 年間のエネルギー消費が 6,000 toe を超える事業者に対して エネルギー管理者の任命や省エネルギープログラムの策定 定期的な省エネルギー診断 ( エネルギー監査 ) の実施と省エネルギー診断の結果に基づく提案の実施 そして省エネルギーの実施状況の定期報告義務を設定している 省エネ法の執行状況は エネルギー集約産業の 265 事業者のうち 101 事業者がエネルギー使用状況を報告し 提出率は 38% と低い 2016 年 8 月現在で エネルギー管理士認証者は 306 名 エネルギー診断士認証者は 196 名となった 2016 年 2 月現在で必要なエネルギー管理士数 827 名であり その充足率が 27%( 経済産業省 (2016a)) だったものから 37% に向上中であるが 引き続き認証者数の拡大 育成が課題となっている 運輸部門に関しては インドネシア運輸省 (Ministry of Transport) は 2013 年に第 201(2013) 省令を公布し 温室ガス削減のために 回避 (avoid) 代替 (shift) 改善(improve) の方針を運輸部門に適用することを明確した上で いくつかの政策を提示している 例えば 自動車フリー週末 石油からガスへの燃料代替 公共交通開発(TOD) 非動力車使用の奨励 などの実施行動が作成されている エネルギー鉱物資源省でも公用車に対する補助金付き石油燃料の販売制限 ならびに鉱業 農園用の車に対する補助金付き石油燃料の販売制限を決定した この他に 首都ジャカルタで高級車を対象とした補助金付き石油燃料の販売制限の実施が検討されていた こうした政策がプログラムベースで実施されてはいるものの 燃費規制の導入がなされていない上に 公共交通インフラの整備ならびに道路延長工事が自動車保有台数の拡大にペースに追いつかず これらが都市部における慢性的な交通渋滞の原因となるとともに インドネシア全体としても石油需要を押し上げている 家庭部門では 機器のエネルギー効率基準においては 蛍光灯電球およびエアコンの最低エネルギー性能基準 (MEPS:Minimum Energy Performance Standards) が導入されているが その他の機器のエネルギー効率基準は任意基準となっている MEPS は今後 冷蔵庫 扇風機 電子安定器 電気モーター LED 電球 洗濯機 井戸のくみ上げに使うポンプ アイロン テレビに拡大してゆく予定である 住宅に関しては 住宅の断熱性能 空調 照明 建物のエネルギー監査に関する任意基準を策定しているが 基準の義務化には至っていない インドネシアの家庭部門における省エネ施策は ASEAN 諸国と比較してラベリング制度 IV

6 や MEPS の普及は圧倒的に低い状況にある 2015 年にエアコンの MEPS 導入が決定した以外 エネルギー効率基準は自主取り組みであるため 効率改善に対する強制力が働かない これに加え MEPS 対象機器は ASEAN 諸国の中で最も少ないのが現状である上に 機器の基準適合を評価する試験場に関して 人材面と導入技術の両面で改善余地の課題が指摘できる 家庭の電気料金においても ASEAN 諸国と比較して インドネシアの電気料金は平均で 最も低い水準にあり 家庭部門の省エネ意識の醸成に向けた課題として指摘できる インドネシアにおける 6,000 万世帯のうち 20% に対して電力供給がなされていないところ 補助金支給対象となる世帯の契約アンペア 2A, 4A の世帯がそれぞれ全体の 35% 30% を占めている これらの契約世帯への補助金支給の撤廃が省エネルギー意識の醸成に向け重要である 業務部門の省エネルギー政策は (1) 大規模業務ビルのエネルギー管理制度ならびに (2) 建築物の省エネルギー基準から構成される 大規模業務ビルのエネルギー管理制度は 2009 年に制定された省エネルギーに関する法律 No.70 によるもので 同法では年間エネルギー消費が 6,000 toe 以上の建築物ならびに産業部門の事業者はエネルギー管理士を指名 省エネルギープログラムの実施ならびにエネルギー監査の実施 そして省エネルギー計画と手段を政府に対して報告する義務が課される 他方 インドネシアの業務ビルは 98% が 3 万m2以下である エネルギー管理制度の対象事業者を拡大するためにも 現行の年間エネルギー消費 6,000toe から 700toe 程度に引き下げる必要がある 建築物のエネルギー効率改善に向けて 建築物の国家省エネルギー基準 (SNI) が策定されている 他方 同基準の遵守は義務化されておらず 建築に際しての事業者に対するレファレンスとして活用されている 現在のところ 外皮性能 室温 湿度 照明システムならびにエネルギー監査の手法に関する基準が策定されている こうした施策が実施されているものの インドネシアの業務部門における床面積あたりのエネルギー消費は日本の平均的な水準と比較して 10-20% 程度改善余地がある これには 電力等価格が国際的にみても低いことから エネルギー管理プログラム実施に対するインセンティブが不足 省エネルギーに対する認識が不足しているのと共に ベンチマークデータベース等 正しいデータが提供されていないことも課題である 加えて 建築物のエネルギー管理士やオーナーが省エネルギー対策手段に関する知識が足りない事 そして省エネルギー投資に対する融資メカニズムがないなど 様々な課題が指摘できる 第 3 章 2030 年までの省エネルギーポテンシャル及び費用対効果分析本章では 産業 家庭 業務 運輸部門を対象とし 2030 年までのエネルギー需要見通しを作成するとともに 各部門における省エネルギーポテンシャルを試算した また 産業 家庭 業務部門に関しては技術別の費用対効果分析を行い 政策導入に関する示唆を導出した V

7 産業部門の省エネルギーポテンシャル産業部門については エネルギー需要の大きい紙パルプ 鉄鋼 繊維 セメントを対象として分析を行った 分析対象業種のエネルギー需要は BaU ケースにおいて 2014 年の 12Mtoe から 2030 年には 28Mtoe へ年率 5% で増加する見通しである 2030 年時点でのエネルギー需要を業種別にみるとセメントの 11Mtoe が最大であり 紙パルプ (9Mtoe) 鉄鋼 (5Mtoe) 繊維(3Mtoe) と続き セメントおよび紙パルプのエネルギー需要が 2030 年における 4 業種のエネルギー需要の 70% を占める見通しである 一方 ALT ケースにおいては 2030 年時点の 4 業種のエネルギー需要は 22Mtoe となる見通しで BaU と比較して 約 20%(6Mtoe) の省エネルギーポテンシャルを有している 2030 年の省エネルギーポテンシャルを業種別にみると セメントの 2.1Mtoe が最大であり これに紙パルプ (1.7Mtoe) 鉄鋼(1.3Mtoe) 繊維(0.4Mtoe) と続く 家庭部門の省エネルギーポテンシャル 2030 年における家庭部門のエネルギー需要 ( 非商業用バイオマスを含む ) は 2014 年から年率 1.5% で増加 2014 年から 27% 増の 78.5 Mtoe に達する見通しである 他方 電力 ガス等の商業用エネルギー需要は 同 3.4% 増とより急速なスピードでの増加が見込まれる 機器別のインドネシアにおける省エネルギーポテンシャルとしては 2030 年の世帯当たり保有台数を 0.38 台 (2015 年の世帯当たり保有台数は 0.20 台 ) と見込むエアコンの省エネルギーポテンシャルが最も大きく 1.3 Mtoe に上る これに 2030 年の世帯当たり保有台数が 0.89 台 (2015 年の世帯あたり保有台数は 0.58 台 ) に上り年間稼働時間の高い冷蔵庫が続く ( 0.38Mtoe) 普及率の高い照明の 2030 年における省エネルギーポテンシャルも 0.35 Mtoe に上る このほか 洗濯機の省エネルギーポテンシャルは 0.21 Mtoe これに給湯器の 0.19 Mtoe が続く これらの省エネルギーポテンシャル合計は 2030 年において 2.6 Mtoe に上り 同年の家庭部門における商業用エネルギー需要 ( 非商業用バイオマスを除く ) の 10% を占める 業務部門の省エネルギーポテンシャル業務部門のエネルギー需要は 2014 年から 2030 年まで年率 5.5% で増加する見通しである 同期間の GDP が年率 5.3% で拡大する見通しであるのと比較すると それを超える急速なスピードでの増加見通しであり 2014 年の水準と比較すると 2030 年には 2.4 倍の 13 Mtoe に達する 他方 インドネシアの業務部門の 2030 年における省エネルギーポテンシャルは 1.6Mtoe に上り これは 2030 年の業務部門におけるエネルギー需要の 12% に相当する 技術別では 照明の省エネルギーポテンシャルが最大で 0.58Mtoe これに冷房の 0.39Mtoe OA 機器の 0.34Mtoe 冷蔵の 0.23Mtoe 換気の 0.052Mtoe が続く 特に家庭部門とは対照的に照明や冷房の省エネルギーポテンシャルが相対的に大きいのは 普及率とともに事務所 VI

8 ビル等でのこうした技術の稼働時間が長いことを要因としている 運輸部門の省エネルギーポテンシャル途上国でも先進国でも見られるように 自動車の年間台たりのエネルギー消費量は自動車普及率の増加に伴い減少する インドネシアの場合 2014 年では 1.3toe であったが 2030 年に 1.0toe になると予測される 他方 燃費水準が現状のままと仮定した場合 台あたりのエネルギー消費量が普及率の増加に従って減少するが 運輸部門のエネルギー需要は 2014 年の 40.7Mtoe から年率 2.6% で増加 2030 年には 61.7Mtoe と 51% の増加が見込まれる インドネシアでは販売台数上位 10 位の自動車の平均燃費 (CO2 換算 ) が 180gCO2/l であり ガソリンの品質を改善 ( 現状の EURO2 基準から EURO4 基準に改善 ) した上で燃費基準を導入と強化すれば 120gCO/l に改善できると予想される 本試算では 2017 年から新車販売にこうした燃費基準が導入されることを仮定する そうした場合 2030 年までに自動車のエネルギー消費量が 42.7Mtoe に減少すると試算される 省エネルギーポテンシャルは 19.0Mtoe(31%) となる これは自動車単体対策による自動車の省エネルギー量となる 一方 ジャカルタを中心とした首都圏においては交通渋滞が蔓延している JICA 専門家の調査 1 ではジャカルタの平均時速が 30 キロ未満と報告されている ジャカルタでは全国 60% の自動車が集中しているため ジャカルタだけでも道路状況の改善や公共交通機関の促進等の対策で交通渋滞を解消しエネルギー消費量を減少させるポテンシャルが多いと考えられる 仮に首都圏道路交通環境が改善され 自動車の平均時速は 30 キロから 60 キロに向上した場合 これが燃費改善率に換算すると 26% 2 に相当する 本試算では上記の改善率を仮定すると 道路交通状況の改善によるインドネシア全国のエネルギー消費量はさらに 36.1Mtoe(11.0%) に低下すると試算される 費用対効果分析産業部門高効率技術導入時の 2017 年から 2030 年までの累積費用 11 億ドルに対し 累積便益は 28 億ドルと見込まれる 費用から便益を差し引いたネットコストは負の値となる すなわち 予測期間における対象技術の省エネルギー量に基づく社会的な便益が費用を上回ることを示す なお 対象技術の合計では投資した費用の約 2.6 倍の便益が得られることになる 技術別のネットコストでは リジェネバーナー ( 鉄鋼 ) の 9.4 億ドルが最大であり 回収ボイラー ( 紙パルプ 3.8 億ドル ) 発電型排熱回収設備( セメント 3.2 億ドル ) 貫流ボイラー ( 繊維 0.6 億ドル ) と続いており 全ての技術で費用よりも便益が上回る結果となった 家庭部門 1 ジャカルタ新聞 2 内閣府資料 : VII

9 高効率機器の導入にかかわる追加費用は 2030 年までの累積で 144 億ドルに及ぶ これとは対照的に 省エネルギーによる社会的便益は 171 億ドルであり 追加的費用に対する便益は 1.2 倍に上る 特に 将来的な世帯あたり普及率が現状の 0.2 台から 2030 年には 0.38 台へと拡大が見込まれるエアコンの省エネルギーによる社会的便益は 93 億ドルと最大で MEPS 基準の徹底遵守ならびに基準自体の向上が必要である 業務部門業務部門の高効率照明 冷房 冷蔵 換気に係る 2030 年までの追加費用は 38 億ドルに及ぶ これとは対照的に省エネルギーによって得られるインドネシアの社会的便益は 106 億ドルに上り 追加費用の 2.8 倍程度の便益が得られることになる 家庭部門での費用便益分析と比較して 業務部門では追加費用に対する便益の大きさが顕著である これは 業務部門では技術の稼働時間が長いため 省エネルギー効果が相対的に大きいことを要因としている 分析対象技術のネットコスト比較分析対象技術を省エネ量あたりのネットコストとしてまとめたところ もっとも単位当たりのネットコストが大きい ( 便益が費用を上回る ) 技術は業務用の照明であり これに業務用の冷蔵 鉄鋼のリジェネバーナー 紙パルプの回収ボイラが続く 省エネ量では 家庭用の空調が最大のポテンシャルを有する インドネシアでは 家電製品を対象とし MEPS 対象範囲を拡大する予定であるが ネットコストの技術別比較をみると 業務部門または産業部門では 稼働時間の長さを踏まえ高効率技術導入にかかわる便益の相対的大きさが明らかである こうした点を踏まえ 業務部門や産業部門における高効率技術の導入に向けた義務化や技術別の MEPS 導入の検討に向けた作業が必要であると指摘できる 第 4 章再生可能エネルギーの導入目標達成に向けた現状と課題 2014 年策定された国家エネルギー政策では 一次エネルギー供給に占める新 再生可能エネルギーの割合を 2025 年までに 23% 2050 年までに 31% に引き上げる目標が定められている 国際エネルギー機関の統計によると 2014 年時点でインドネシアにおける一次エネルギーベースの再生可能エネルギーの割合は 34% になっているものの その大半が家庭の調理等で使用される非商業バイオマスであり 国家エネルギー計画での目標の対象となっている新 再生可能エネルギーの割合は 6%(2014 年 ) に留まっている インドネシアは水力や 地熱 バイオマス 太陽光等豊富な再生可能エネルギー資源に恵まれている 2004 年同国は石油純輸入国に転じて以来 インドネシア政府は国内再生可能エネルギー資源の利用拡大に積極的に取り組んでいる 2006 年には国営電力会社 PLN 社による再生可能エネルギー発電の買取を義務化 2009 年から再生可能エネルギー技術毎の買取価格が相次いで設定された 2016 年時点で 小水力発電 バイオマス バイオガス発 VIII

10 電 廃棄物発電 地熱発電 3 太陽光発電に対し 固定価格買取(FIT) の規則が公表されている 諸外国で実施される FIT 制度では割高の FIT 買取価格と買取先の平均電力調達コストの差額を電気料金に上乗せし この追加コストを消費者に転嫁して回収できるような仕組みをとるのが一般的である インドネシアにおける電力の買取市場は国営電力会社 PLN 社による独占であり これは再生可能エネルギーにおいても同様である しかしながらインドネシアでは PLN 社が FIT の追加コストを電気料金に転嫁し回収することが出来ない上に再生可能エネルギー発電の追加コストを政府補助で補填されることも保証されていない これに加え 国営企業として経営の健全化と一定の収益を保証する義務もある 結果として 国営電力会社 PLN 社は FIT 価格での再生可能エネルギー発電の買取を行っておらず 現在のところインドネシアでは再生可能エネルギー普及拡大に向けた FIT 制度が機能していない このような課題 ならびに再生可能エネルギー発電コストが急速に低下している世界的な潮流に鑑み インドネシア政府は 2017 年 1 月に新たな再生可能エネルギー発電の買取規則 (MEMR Regulation No. 12/2017) を発表した 新規則は国営電力会社 PLN 社の地域毎の発電コストを再生可能エネルギー調達価格の上限価格としている インドネシアでは地域によって電源構成が異なるためそのコストは異なる 全国電力消費量の約 8 割を占めるジャワ-バリ地域においては主要電源が安価な石炭発電であるため 平均発電コストも他の地域と比較して相対的に安い それに対し 離島 遠隔地ではディーゼル発電に頼っており 高価なディーゼルの燃料コストの影響で 発電コストが高くなる PLN 社によれば石炭火力の平均発電コストが約 4 /kwh に対して ディーゼルの発電コストがその 4 倍強 (17.4 /kwh) になっている 4 これに対し再生可能エネルギーの中でも高価とされる太陽光発電のライフサイクルコストがインドネシアにおいて 14 /kwhと試算されていることから離島 遠隔地におけるディーゼル発電がいかに高価かが分かる 第 5 章 2050 年までの再生可能エネルギー導入ポテンシャルおよび導入促進にむけた政策の費用対効果分析本章では インドネシアの再生可能エネルギーの導入拡大策につきジャワ バリ / スマトラ地域を中央地域 それ以外の地方 離島からなる東インドネシアを地方地域としてこれを分けて 定量的に分析している 東インドネシア地域 5 に関しては特に地方の電力供給における再生可能エネルギー利用拡大の重要性からこれの検討については現状維持のレファレンスケースと再生可能エネルギー最大限利用ケースを設定し 電源開発モデルで 2050 年までの電源構成ならびに総発電コスト等を試算している 地方電力供給の再生可能エネルギーの最大限活用を実現した場合 レファレンスケースと比較すると年間火力発電の代替 年に買取価格の設定は固定価格から入札制に変更された 4 国営電力会社 PLN (2016) PLN Statistics 当該地域における電力消費量は全国の 8% 強に占める IX

11 可能量は 2025 年に 26.3TWh 2030 年に 45.0TWh 2050 年に 141.2TWh となる見通しである 再生可能エネルギー技術のコスト構造は初期費用が相対的に高価となる一方 燃料コスト が殆どかからない 6 ことが特徴である 従って 再生可能エネルギーを最大限に利用した場 合 現状維持ケースと比べ 2025 年までの累積総発電コストは約 80 億ドル増加するものの 2050 年まで約 540 億ドルの総発電コスト節約が期待できる 本調査ではさらにスンバ島とパプア地域のケーススタディを通じて 太陽光によるディ ーゼル発電を置き換える場合のコスト削減効果 ならびに地方電力系統の整備状況を加味 した市場ポテンシャルの推計を行っている 2015 年パプア地域におけるディーゼル発電量 の 10% を太陽光発電で代替すると 約 1 億 9 千万ドルの初期投資が発生するが ライフサ イクル全体で見ると 3 億 6,400 万のディーゼル燃料費が回避され 合計 1 億 7,400 万ドルの 総発電費用を節約できる 7 なお 本調査においては蓄電設備の併設や地域間連系線の増設 を考慮しない場合を想定 ディーゼル発電量の最大 25.8% 前後を太陽光発電により代替可能 であることが示された 8 これを参考に 2015 年インドネシア全国のディーゼル発電量 (18,859GWh) を最大限太陽光発電で置き換えると 必要な太陽光発電の設備容量は 3,471MW に上ると推計された さらに本調査の試算では再生可能エネルギー導入目標を実現するためには地方地域のみ ならず 全国電力需要の大半を占める中心地域における再生可能エネルギーの利用拡大が 不可欠であることが示された 例として 2050 年までのインドネシア全国の電力需要に対す 9 る電力供給の中で FIT 制度及び低金利融資 (LIL: Low Interest Loan) の政策効果と影響を 評価するために FIT+LIL 導入ケースと導入しないケース ( レファレンス ) を設定し 電源 開発モデルを用いそれぞれのケースにおいての電源構成を試算している また FIT 政策の コストと電気料金に対する影響を推計するために FIT のみ導入したケースの計算も行った FIT および LIL を実施すると 再生可能エネルギーの発電量は 2025 年に 28TWh 2030 年に 47TWh 2050 年に 98TWh の導入拡大効果があると見込んでいる FIT 制度の導入によって 発生した追加コストは累積で 2025 年まで 160 億ドル 2030 年まで 230 億ドルに上る 一方 FIT の導入ケースでは再生可能エネルギーの導入量が拡大するため化石燃料費の回避効果 や 学習効果による再生可能エネルギー初期費用の削減速度も大きくなる 全体として FIT の導入によって発生した追加コストの累積は 2027 年頃にピークとなり それ以降 FIT 導入 による発電コストの節約効果が現れ FIT ケースの単年度平均発電コストは FIT なしケース より安くなっていく その結果 FIT 制度の導入ケースでは 2050 年まで FIT を実施しない 場合より 150 億ドルほどの総発電コストの節約が期待できる なお FIT 導入により発生し た単年度の追加コストを全国の電力消費者に転嫁する場合 2025 年時点での消費者負担は 6 バイオマス バイオガス発電以外 7 太陽光発電を導入後 8 年 ~9 年目時点で 回避されたディーゼルの累積コストの現在価値は太陽光発電設備の初期投資と同等となると見込んでいる 8 スンバ島のケーススタディ 年時点の買取価格水準を計算の前提とする X

12 約 0.003US$/kWh であると推計された 第 6 章日本企業の事業機会とリスクを含めた示唆 日本政府のインドネシアに向けた政策支援項目経済性の観点から見ると離島 遠隔地域のような地域はディーゼル発電をベースとした既存電源の発電コストが比較的高いためより魅力的な再生可能エネルギー発電の投資先である しかし新規則のもとでは中央地域の再生可能エネルギーに対する買取価格は 従来の FIT 制度における買取価格と比較して相対的に低くなる したがって 太陽光発電など高価な再生可能エネルギーは収益が低下するが 水力や地熱など比較的発電コストの安い再生可能エネルギー発電プロジェクトであれば事業可能性があると見られる なお 離島 遠隔地域では電力負荷や系統整備状況によって 小規模分散型発電に比較的容易に対応可能な再生可能エネルギー 例えばバイオマス発電や太陽光発電が適している 太陽光発電に対しては出力変動への対策として蓄電設備やバックアップ調整電源の併設 及び総合的な系統運用が必要となってくる 離島 遠隔地域における再生可能エネルギーの導入拡大を促進するためには 技術面 資金面 及び地域の電力供給事業者が長期的に事業を運営できるような水準での料金回収制度または補助金支給といった制度構築が不可欠である 特に高品質ではあるが初期投資費用が高くなる傾向にある日本製品の場合ライフサイクルを考えた長期的視点が収益の観点から重要となってくる そのため 初期費用を負担できるような融資メカニズムやビジネスモデルについて 両国の政府 民間企業 金融機関等様々な分野を横断する解決方法を検討する場を設けることが望まれる 第 7 章インドネシアにおける省エネルギー 再生可能エネルギー推進に向けた政策提言 省エネルギーインドネシアでは 国家エネルギー計画において省エネルギーの推進が重要な政策項目として打ち出されており 2025 年までに 1% のエネルギー原単位改善目標ならびにエネルギー弾性値を 2025 年に 1 以下とする目標を設定している 目標達成に向けたフォローアップメカニズムを構築すると共に これらの目標を達成するためにも産業 運輸 家庭 業務の各部門において省エネルギーを推進するためにも 長期的な視点から実施される政策やプログラムがシナジーを発揮しうるように整合的に制度を構築することが必要である 産業部門では エネルギー管理を通じた省エネルギーを実施する事業所のエネルギー消費量は年間石油換算 6,000toe であり 日本の 1500kL( 石油換算 1,287toe) の 4 倍以上であり 同制度で対象となる事業場が大規模工場等に限定されることからも カバー率を上げるなど 国内の産業部門におけるエネルギー効率改善を行うには裾野のさらなる拡大が必 XI

13 要である 高効率設備の導入に向け 事業者の技術に関する理解向上に資する技術リストを作成し それらの導入に関して補助金支給や低利融資を行うなど政府支援の実現が必須である その際 原資として 現在電力や石油に付与される補助金をシフトさせるなど 政策の転換が求められる 運輸部門はエネルギー需要が最も伸びている部門として 燃費規制の導入支援を急ぐ必要があり これに関連した車検制度の導入と石油精製の品質向上も欠かせない また現状のインドネシア主要都市で起きている乗用車への過剰依存の低減し 渋滞を解消しつつエネルギー消費を節減 LCGC に代表される低燃費車の性能が発揮できるよう 公共交通インフラ整備ならびに乗用車利用の適正化に向けた政策 制度形成の支援が必要である 家庭部門の省エネルギー推進における最も根本的な課題は 電化率が低いことや低アンペア契約の世帯が全体の 65% を占める点にある これは 家電全般 高効率家電製品の普及の阻害要因の一つであると言える その対策として 地方電化率の向上や 2A/4A 契約を撤廃し 6A 契約への移行促進が必要である その代わりに これまで 2A/4A 契約世帯に支給された補助金を電力インフラの形成や地域特有の再エネ資源の開発に資する目的で活用すると共に 省エネ技術 機器への投資へシフトさせる必要もあるだろう 電力 エネルギー価格が相対的に安価であるため 消費者の省エネ意識を喚起するためには 電力料金の適正化 省エネ意識向上に向けた啓発活動や情報提供にさらに注力する必要がある 定期的なエネルギー消費実態調査や省エネ意識調査に基づくモニタリングまたは政策評価に資する情報収集も考えられる 普及が進むテレビや冷蔵庫などの家電製品の省エネルギー推進に当たって MEPS の導入やラベリング制度の対象製品の拡大は不可欠である また 基準に適合した製品が市場に流通するために 試験場での適格な検査が必要されており それに伴い 製品試験場での人材育成や設備の充実化も求められる 高効率家電機器の普及促進に当たって 優遇措置 補助金等の助成 日本のエコポイント制度のような措置を創設 高アンペア契約への移行推進と共に実施されることも考えられる 住宅の断熱性能基準の導入による住宅の省エネ性能の向上も長期的には必要である インドネシアにおける業務部門の省エネルギー推進課題に対応するためにも 政策 規制ならびに遵守メカニズムの構築 ならびに低利融資等のファイナンスメカニズムの構築が必要である 具体的には 現行のエネルギー管理制度における業務部門のカバー率は全体の 1%(35 事業者 ) と限定的であり 対象範囲を述べ床面積 5 万m2 年間エネルギー消費量 700toe に下げるなど 対象を拡大する必要がある また 資金調達コストが膨大となることを阻害要因として 省エネ投資は積極的に行われていないため 利子補給等の低利融資に向けた政府支援が必要である インドネシアでは CFL エアコンに続いて今後 冷蔵庫 炊飯器 モーター 洗濯機な どに拡大する予定である 業務部門の照明や冷蔵庫 産業部門のリジェネバーナー ( 鉄鋼 ) XII

14 回収ボイラー ( 紙パルプ ) など 2030 年の費用対効果分析ではエネルギー需要の石油換算トン当たりの節減にかかるネットコストがマイナスとなる技術がある すなわち 2030 年に向けた省エネルギーによる社会的な便益を考慮すると 便益が費用を上回る技術があることを踏まえ コスト効果性に配慮した技術の導入が望まれる こうした技術の導入促進に向け 例えば産業部門での排熱回収技術導入の義務化といった制度の導入が期待される MEPS や省エネルギー技術導入 経済インセンティブ付与についてのモニタリングと検証メカニズムの構築は 政策効果を把握する上で肝要である エアコンの MEPS が 2016 年 7 月に導入されたところではあるが 同政策の省エネルギー効果を計測できるモニタリングメカニズムはいまだ形成されていない MEPS 制度下では 関連業界との協力を構築し ラべリング制度と共に輸出や販売事業者が添付するラベルのデータを収集するメカニズムを構築 MEMR 省エネルギー局の関連機関として収集したデータを評価する機能を有する機関を形成することが必要である 長期的な視点から省エネルギーはインドネシアのエネルギー安全保障と地球温暖化対策として有効な手段を提示し得る 費用対効果の観点からも長期的に省エネ分を輸出に向けることにえられる便益が省エネ投資を上回る技術の導入に期待が寄せられるためこうした技術の導入に向けエネルギー供給事業者の果たす役割は重要である 具体的には 電力供給事業者である PLN が電力販売として有する消費者との直接のコンタクトを活用 省エネルギーアドバイスや高効率技術導入に関するリベート付与といった役割を担うことが期待される 再生可能エネルギー地方においては再生可能エネルギー発電技術を活用すると ライフサイクル総発電コストの低減が期待できる 2016 年 12 月に発表された地方電化に関する新たな規則 (MEMR Regulation No. 38/2016) でも 地元の再生可能エネルギー資源の活用が推奨されている 本規則の実施においてこれをさらに有効活用する施策として 例えば地方電化における一定比率の再生可能エネルギーの導入を義務化することや 事業者への補助金 ( 一定の利益率を保証するような発電コストと電気料金の差額 ) を算出する際に利益率を再生可能エネルギーの利用と連動させるなどの再生可能エネルギー利用促進の措置が考えられる 本規則はまた マイクログリッド (1 カ所 50MW 以下 ) による電力供給事業者には PLN 社以外でも 他の事業団体 特に市民共同組合 (cooperative) も地方の電力供給事業者として認められる 地域に密着した市民共同組合を地方電化事業へ参入させることは プロジェクトの円滑な推進と持続可能な運営に繋がり地方の雇用創出にも貢献する ただし地元の市民共同組合が地方電化事業への参入を促進するためには技術面での政府サポートは不可欠であり 定期的に研修セミナーの開催や専門家養成プログラムの実施等を検討する必要がある 地方の電力供給における再生可能エネルギーの利用拡大には 地方電化のみならず 既 XIII

15 存のディーゼル発電の再生可能エネルギーによる代替も推進すべきである しかし地方では電力需要の増加へ対応するために 早急な電力供給設備の導入が必要となるため 限られた設備投資の予算の中では 再生可能エネルギー技術に比べ初期投資が安いディーゼル発電が優先される傾向にある この課題に対しては 現在ディーゼル発電設備を所有している事業者に対して 設備置き換えのための初期投資の回収年数 (8~9 年と推計している ) をカバーするような長期融資スキームや 太陽光発電設備費用の分割払いメカニズム等の支援措置を検討する価値がある 一方 発電コストの低い中央地域では 再生可能エネルギープロジェクトの事業性が相対的に低くなるため 高い価格水準で再生可能エネルギーを調達する FIT 制度や 再生可能エネルギーの初期費用を低減させるための政策措置が求められる インドネシアでは 再生可能エネルギー買取の新規則が打ち出されているもののこれまでの固定価格買取 (FIT) 制度は廃止されることとなっていない しかし FIT 制度の円滑な施行を保証するためには FIT による発生した追加費用を回収できるような仕組みの導入が必要である 例えば現在 PLN 社が利用している非補助対象の電力消費者に対するする電気料金調整メカニズムを活用し 電気料金調整の算定式に再生可能エネルギーの買取費用を織り込まれることも一策であろう XIV

16 目次 第 1 章エネルギー需給とエネルギー政策の概要 エネルギー需給動向 エネルギー政策の概要... 2 [ 参考文献 ]... 5 第 2 章省エネルギー目標達成に向けた現状と課題 省エネルギー政策の位置づけならびに長期目標 省エネルギー政策 省エネルギー政府機関の役割 他省庁との協力 気候変動対策目標における省エネルギーの役割 エネルギー原単位の推移 エネルギー弾性値の推移 省エネルギー導入目標 温暖化目標達成に向けた現状把握及び課題 産業部門 運輸部門 家庭部門 業務部門 [ 参考文献 ] 第 3 章 2030 年までの省エネルギーポテンシャルおよび費用対効果分析 省エネルギーポテンシャルの試算方法 概要 ( 全部門共通 ) サブモデルの活用 ( 家庭部門 業務部門 運輸部門 ) 省エネルギー政策の効果分析 ( 全部門共通 ) 産業部門 家庭部門 業務部門 運輸部門 費用対効果分析 費用対効果分析の概要 ( 全部門共通 ) 費用 便益 産業部門 XV

17 家庭部門 業務部門 費用対効果分析のまとめ [ 参考文献 ] 第 4 章再生可能エネルギーの導入目標達成に向けた現状と課題 再生可能エネルギー導入量の現状 再生可能エネルギー導入目標 電力分野 バイオ燃料 再生可能エネルギーに関連する政府機関 再生可能エネルギー政策とその課題 再生可能エネルギー導入促進に関連する政策 再生可能エネルギーの導入拡大に係る課題 技術別課題の抽出 [ 参考文献 ] 第 5 章 2050 年までの再生可能エネルギー導入ポテンシャルと導入促進に向けた政策の費用対効果分析 再エネ資源ポテンシャル 地方電力供給における再生可能エネルギーの導入量に関する分析 東インドネシアの地方電力供給における再生可能エネルギーの活用 系統の整備状況が再エネ導入量に対する影響 ( スンバ島のケーススタディ ) 太陽光発電によるディーゼル発電の置き換えに関するケーススタディ 再生可能エネルギーのコスト競争力を向上させるための政策措置に関する分析 FIT メカニズムと低金利融資の政策効果 FIT 制度の費用と便益に関する分析 再エネ導入目標の実現可能性の検証 [ 参考文献 ] 第 6 章日本企業の事業機会とリスクを含めた示唆 日本政府のインドネシアに向けた政策支援項目 現行再生可能エネルギー促進政策のもとでの日本企業の事業機会リスク SWOT 分析による日本政府のインドネシアに向けた支援項目の検討 XVI

18 第 7 章インドネシアにおける省エネルギー 再生可能エネルギー導入普及に向けた政策提言 省エネルギー 部門別の省エネルギー推進 費用対効果を考慮した省エネルギー技術の導入拡大 新たな政策導入の検討 省エネルギー推進におけるエネルギー供給事業者の役割 再生可能エネルギー 地方電力供給における再生可能エネルギーの導入拡大 再生可能エネルギーのコスト競争力の向上について XVII

19 略語 正式名称 ( インドネシア語 英語 ) 略語表 日本語名称 および訳 ADB Asian Development Bank アジア開発銀行 ALT Alternative Case 代替ケース ( 省エネルギー対策実施ケ ース ) BAPPEAS National Development Planning Agency 国家開発計画庁 BaU Business as Usual Case 従前のエネルギー改善趨勢が維持さ れる現状維持ケース BPPT Agency for Assessment and Application of Technology 研究技術庁 CEMBUREAU European Cement Association 欧州セメント協会 DEN Dewan Energi Nasional 国家エネルギー委員会 DJK Direktorat Jenderal Ketenagalistrikan 電力総局 EBTKE Direktorat Jenderal Energi Baru Terbarukan dan Konservasi Energi 新 再生可. 能エネルギー及び省エネ ルギー総局 ECCJ Energy Conservation Center, Japan 省エネルギーセンター FAO Food and Agriculture Organization of the United Nations 国連食糧農業機関 FIT Feed-in Tariff 固定価格買取制度 GHG Greenhouse Gas 温室効果ガス IEA International Energy Agency 国際エネルギー機関 IEEJ Institute of Energy Economics, Japan 日本エネルギー経済研究所 IGA Investment Grade Audit 投資対象診断 ( 省エネ ) JETRO Japan External Trade Organization 日本貿易振興機構 JICA Japan International Cooperation Agency 国際協力機構 KEN Kebijakan Energi Nasional 国家エネルギー計画 LBNL Lawrence Berkeley National Laboratory ローレンス バークレー国立研究所 LCGC Low Cost Green Car 環境への負担が少ない自動車 注 1: 本文中ではインドネシアの機関や計画名についてはインドネシア語の略称を用いる ただし 省庁に ついては英語の略称を使用する 注 2: 正式名称がインドネシア語の場合は斜体で表している XVIII

20 略語 正式名称 ( インドネシア語 英語 ) 略語表 日本語名称 および訳 MEMR Ministry of Energy and Mineral Resources エネルギー鉱物資源省 MEPS Minimum Energy Performance Standards 最低エネルギー消費効率基準 MoEF Ministry of Environment and Forestry 環境森林省 MoF Ministry of Finance 財務省 MoI Ministry of Industry 工業省 MoNE Ministry of National Education 国家教育省 MoPW Ministry of Public Works 公共事業省 MoT (a) Ministry of Transport 運輸省 MoT (b) Ministry of Trade 通商省 NAMA Nationally Appropriate Mitigation Actions 途上国における適切な緩和行動 NDC Nationally Determined Contribution 各国の決定された貢献 ( 旧約束草案 ) NEDO New Energy and Industrial Technology Development 新エネルギー 産業技術総合開発機構 PLN Organization PT. PLN (Persero), Perusahaan Listrik Negara 国営電力会社 RIKEN Rencana Induk Konservasi Energi Nasional 国家省エネルギーマスタープラン RUED Rencana Umum Energi Daerah 地方エネルギー総合計画 RUEN Rencana Umum Energi Nasional 国家エネルギー総合計画 RUKN Rencana Umum Ketenagalistrikan Nasional 国家電力総合計画 RUPTL Rencana Usaha Penyediaan Tenaga Listrik 電力供給事業計画 UNFCCC United Nations Framework Convention on Climate 国連気候変動枠組条約 WB Change World Bank 世界銀行 WSA World Steel Association 世界鉄鋼協会 注 1: 本文中ではインドネシアの機関や計画名についてはインドネシア語の略称を用いる ただし 省庁に ついては英語の略称を使用する 注 2: 正式名称がインドネシア語の場合は斜体で表している XIX

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22 第 1 章エネルギー需給とエネルギー政策の概要 1.1. エネルギー需給動向図 1-1 は インドネシアの一次エネルギー総供給の推移である インドネシアはアジアの中でも有数の産油国であり 豊富な自国の資源のもと 一次エネルギー供給量は約 35Mtoe (1971 年 ) から 226Mtoe(2014 年 ) と約 6 倍も増加している 年の一次エネルギー供給量の内訳は 石油が 33% と最も大きく 次いでバイオマス 廃棄物が (26%) 天然ガス (16%) 石炭(16%) となっている 化石燃料間の代替においては 原油生産の縮小および天然ガスの増産に伴い 石油から石炭とガスへの転換が積極的に図られている さらに非商業用から商業用への再生エネルギーへの代替は今後の課題である 250 Mtoe バイオマス 廃棄物太陽光 風力 その他地熱水力天然ガス石油石炭 出典 : International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016 より作成 図 1-1 インドネシアの一次エネルギー総供給の推移 図 1-2 は部門別の最終エネルギー消費の推移である インドネシアの最終エネルギー消費量は約 165Mtoe(2014 年 ) であり 内訳は家庭部門が 39% 次いで運輸部門が 28% 産業部門が 24% 業務部門とその他で 4% であり 農村等で使われる非商業用バイオマスを含む家庭部門のエネルギー消費の割合が最大である 年には純輸入国に転換している 1

23 GDP(10 億ドル ) GDP 成長率 (%) Mtoe 非エネルギーその他漁業農業業務家庭運輸産業 出典 : International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016 より作成図 1-2 インドネシアの部門別最終エネルギー消費の推移注 : 家庭部門のエネルギー消費のほぼ 78%(2014 年 ) は農村で使われる非商業用バイオマスである点には注意が必要である インドネシアは 2009 年の金融危機の影響が相対的に小さく GDP 成長率は 2009 年に 4.6% とゆるやかな増加に転じたものの 2010 年には 6.2% 増に回復し 金融危機前の水準を上回 った GDP 成長率 GDP 出典 :World Bank (2016) World Development Indicators 図 1-3 経済成長率の推移 1.2. エネルギー政策の概要インドネシアは 自国の資源で石油を賄えた時代とは異なり 国際的な原油価格の乱高下が 国家財政を悪化させているため 石油代替エネルギーと省エネルギーの推進が重要課題であるとの認識が浸透しつつある 他方 石油製品に対する補助金改革は インドネシアでは最も大きな政治的課題となっており 歴代政権は慎重な対応を強いられてきた 2

24 インドネシアでは 2011 年および 2012 年の補正予算において 燃料価格の引き上げ案 ( 約 30~40% 程度 ) が盛り込まれたものの 燃料値上げに対する国民のデモや暴動に配慮する形で実行は見送られてきた このような状況を打破するために 2014 年 1 月の下院本会議において 2050 年までのエネルギー政策の大枠を定めた 国家エネルギー政策 (KEN) に関する大統領規定案を承認し 化石燃料への依存を低減させるとともに再生可能エネルギーの普及促進ならびに省エネルギーの推進を目指している KEN で設定された目標を実現化させるための具体的な措置を盛り込んだ国家エネルギー計画 (RUEN) の策定を予定している 2025 年までにインドネシアにおける各エネルギーの割合は 石油を 49% から 22% 以下へ低減させる目標を設定している 天然ガスを 20% から 22% 石炭を 24% から 32% 再生可能エネルギーを 6% から 23% へそれぞれ増加させるとしている また 原子力は最後の選択と位置付けている 化石燃料の直接使用から電力への転換の促進 発電設備容量は現在の 44GW から 2025 年には 115GW に増加させる また 次のような国家エネルギー政策目標を掲げた 1 エネルギー弾性値 ( エネルギー消費の伸び / 経済成長率 ): 経済成長目標に合うよう 2025 年に弾性値を 1 以下とする 2 エネルギー原単位 (GDP 当たりののエネルギー使用量 ):2025 年までに年 1% で改善させる 3 電化率 :2015 年に 85% 2020 年には 100% に近づける 4 家庭用ガスの使用率 :2015 年に 85% とする 5 一次エネルギーに占める新 再生可能エネルギーの割合 :2025 年までに 23% 2050 年までに 31% に引き上げる 原子力発電所に対する姿勢 : 原子力発電は最終的な選択肢と位置づけ 導入の可能性を残した 長期的には原発の導入が必要という従来からの政府認識を踏襲した形となっている 資源の輸出に関しては 国内で産出する石炭や天然ガスは 国内の需要の増加を見込み段階的に輸出を減少させ 最終的に完全に停止する方針である これは 将来的なエネルギー資源生産の低迷を見据え 現在の資源輸出する一方で 加工製品を輸入する経済構造には限界があるため 国内での製造業を振興した上で 国内需要の増加を見込むことが長期的な経済政策の方針として掲げられている インドネシアの国家エネルギー計画における 2025 年までのエネルギー需要見通しを図 1-4 に示す 図が示すとおり インドネシアの一次エネルギーは 2013 年から 2025 年まで年率 10.3% で増加 2013 年の水準から 2025 年には 3.2 倍の 602 Mtoe にまで達するとしている これに対して 目標水準は 省エネルギーの貢献が大きく 需要増ペースが BaU と比 3

25 較してペースが低い同年率 6.6% で推移 2025 年には 2013 年の 2.2 倍の水準である 400 Mtoe に達するとしている 602 Mtoe 3% 21% 400 Mtoe 省エネ (33.6%) 186 Mtoe NRE 10% 天然ガス 18% 石油 石炭 41% 31% % 35% % NRE 25% 天然ガス 22% 石油 30% 石炭 エネルギー源の多様化 出典 :National Energy Commission(2014) 国家エネルギー政策 より作成 図 1-4 国家エネルギー政策における 2025 年までのエネルギー需要見通し 4

26 [ 参考文献 ] International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016 World Bank (2016) World Development Indicators 国際協力機構 (2014) 平成 25 年度国際即戦力育成インターンシップ事業インドネ シアの電力事情報告書 5

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28 第 2 章省エネルギー目標達成に向けた現状と課題 2.1. 省エネルギー政策の位置づけならびに長期目標インドネシアの省エネルギー政策は エネルギー政策を包括的に定める国家エネルギー政策 (KEN: Kebijakan Energi Nasional) と整合的に形成されている すなわちインドネシアのエネルギーミックスを中心としたエネルギー政策の根幹をなす国家エネルギー政策の 2025 年および 2050 年の目標を実現する手段として 整合的な形で省エネルギーマスタープランである RIKEN が定められている なお KEN は 国家エネルギー委員会 (National Energy Council or DEN: Dewan Energi Nasional) と呼ばれる省庁を横断した組織が担当しており 議会の承認ならびに大統領の信任を経て 制定するものである エネルギー法 (Law No.30 of the Year 2007 regarding Energy or Energy Law) で定める通り インドネシアでは 国家エネルギー委員会を形成し KEN を作成 石油ガスならびに石炭の開発 電源開発 再生可能エネルギーならびに省エネルギーに関する各政策の基礎となる将来のインドネシアにおけるエネルギー需給の指針が提示されている 国家エネルギー委員会は 2008 年に形成されたもので 大臣 7 名と議会が選出する非政府メンバー 8 名から構成される 大統領が国家エネルギー委員会の委員長であり エネルギー鉱物資源大臣 (Minister of Energy and Mineral Resources) が実質的な省庁間の議論を橋渡しする Daily Chairperson の役割を果たしている 議会 承認 国家エネルギー政策 ( 案 ) 国家エネルギー政策 草案の提示 大統領 大統領の承認 国家エネルギー政策 ( 案 ) 国家エネルギー委員会 (DEN) DEN 議長 DEN Daily 議長 DEN 事務局 国家エネルギー政策 制定 エネルギー鉱物資源省 再エネ 省エネ総局 その他の総局 DEN 委員 ( 関係者 ) 7 名 DEN 委員 ( 大臣と政府関係者 ) 8 名 大統領の任命 出典 :Asia Pacific Energy Research Centre (2012). Peer Review on Energy Efficiency in Indonesia より作成 図 2-1 国家エネルギー計画の策定過程と省エネルギー局の関係 7

29 2014 年 1 月 国家エネルギー政策 (KEN:Kebijakan Energi Nasional) が国会で承認され 同年 10 月から大統領令として施行された この中で 石油依存度の低減と 再生可能エネルギーの利用最大化の方針が示された他 石炭を信頼できる国産エネルギーとして位置付け 発電 産業部門向けに利用していく方針も示された エネルギー法上 国家エネルギーマスタープランである RUEN(Rencana Umum Energi Nasional) が KEN の下に位置づけられ KEN で提示されたインドネシアの将来に関するエネルギー需給の指針を実現する細則を提示する そして KEN と RUEN の方針と整合的に省エネルギーを含む各マスタープランが作成される インドネシアの省エネルギーマスタープランである RIKEN は 2005 年に策定された 同マスタープランの目標は 2025 年までにエネルギー原単位 11 を毎年 1% 改善することであり その実現に向けた政策手段としての情報提供 規制やインセンティブ 価格形成について規定している 2005 年には 2025 年までにエネルギーの GDP 弾性値 12 を 1 以下とする大統領令 (No.5/2006) が策定された 国家エネルギー委員会 (DEN) 大統領 (1) 提出 国家エネルギーマスタープラン (RUEN) ( 案 ) 国家エネルギーマスタープラン (RUEN) (2) 承認 国家エネルギー政策 エネルギー鉱物資源大臣 (3) 制定国家エネルギー政策と整合化 国家エネルギーマスタープラン (RUEN) 国家省エネルギーマスタープラン (RIKEN) 出典 :Asia Pacific Energy Research Centre (2012). Peer Review on Energy Efficiency in Indonesia より作成 図 2-2 国家エネルギー政策と国家省エネルギーマスタープランの関係 11 エネルギー原単位とは エネルギー消費量を GDP で除し 一単位の GDP に必要なエネルギー消費量に関する指標で値が小さいほどエネルギーを効率的に活用した経済活動が行われていることを表す インドネシアが目標として掲げるエネルギー原単位の分子について 一次エネルギー需要か最終エネルギー需要かといった点についての定義は明らかにされていない 12 GDP のエネルギー弾性値とは 特定期間のエネルギー消費の伸び率を GDP の伸び率で除した指標である 同指標が 1 以下とは 特定期間のエネルギー消費の伸び率が GDP の伸び率を下回ることを指す 8

30 国家エネルギー計画 (KEN) 国家省エネルギーマスタープラン (RIKEN) 旧国家エネルギー政策 (KEN) 各国が決定する貢献 ( 旧約束草案, NDC) 出典 : 各種資料より作成 発行年 発行 元 目標期間 2014 国家エネルギー委員会 2025, ( 改定 ) エネルギー鉱物資源省 国家エネルギー委員会 国家開発企画庁 BAPPENAS) 2030 表 2-1 主要な省エネルギー目標のまとめ 概要 インドネシアのエネルギー政策の基本方針であり その主な内容は 1 燃料と電力部門への補助金を減らし 最終的には廃止 2 石炭と天然ガスの輸出量を減らし 国内の需要を優先 3 原子力は導入目標値こそ定めないものの 最終的な選択肢として残し 再生可能エネルギーの開発が限界に達した時にその導入を検討 目標 地熱 バイオ燃料 石炭液化 その他 -23%( その他には水力 太陽光 風力 コールベッドメタン 原子力を含む ) エネルギー原単位の年率 1% 改善を目標値として設定 エネルギーの GDP 弾性値を 2025 年までに 1 以下にする 大規模エネルギー消費者でのエネエネルギー原単位の年ルギー管理士の任命 省エネルギー率 1% 改善を目標値とプログラムの実施 エネルギー監査して設定 これを達成の実施 省エネルギープログラムのするための部門別省エ報告 エネルギー原単位の年率 1% ネ目標を設定 部門別改善を目途として 2005 年に策定 の省エネ目標は 2025 年中央政府と地方政府が省エネルギで産業 17% 業務 15% ー活動に参加する際の指針 家庭 15% としている 2006 年に策定された旧国家エネルギー政策 エネルギーミックス以外にエネルギー弾性値の目標を導入 エネルギーの GDP 弾性値を 2025 年までに 1 以下にする 2030 年までの GHG 削減目標 2030 年に BaU 比 29% 減 国際支援が得られれば 41% 減 2.2. 省エネルギー政策インドネシアの省エネルギー政策形成が本格化したのは 前述の通り 2004 年の国家エネルギー政策策定以降である 背景には 同年にインドネシアが石油の純輸入国に転じたこと そしてエネルギー補助金に対する支払いの国家財政への圧迫が挙げられる 他方 それ以前にも大統領令や省エネルギープログラムは実施されていた 以下の通り 主な省エネルギー政策の変遷をまとめる 1. 主なエネルギー政策 表 2-2 省エネルギー関連政策のまとめ 年法令 計画主な内容 1991 国家省エネルギー基本計画エネルギー管理 優遇措置 9

31 1991 省エネに関する大統領令 No.43/1991 全てのエネルギー使用者 ( 工業 電力 輸送 産業 公共事業 貿易 不動産 ホテル 商業ビル 一般家庭 ) に対してエネルギー効率改善の実施を義務付ける 1991 省エネ政策に関する大臣令 No 啓発 宣伝 教育 訓練 パイロットプロジェクト 研究 開発 省エネ診断 エネルギー効率の標準化等に関する省エネ政策の指示 1993 省エネルギーに関する規則 No.30.K/48/MPE/1993 エネルギー管理士 省エネ プログラム 診断の運用ガイドラインを規定している 1994 政府機関に関する省エネルギー指 政府機関の省エネを指示している 令 No.15-12/48/600.1/ 国家エネルギー政策 (KEN2004) エネルギー原単位 ( 単位 GDP のエネルギー消費量 ) を年 1% 低減 2005 国家省エネルギーマスタープラン (RIKEN 2005) 基本計画策定時から2025 年までの各部門における省エネポテンシャルは それぞれ 産業 17% 業務 15% 運輸 20% 家庭 20% としている 2005 省エネルギーに関する規則 No.0031/2005 庁舎 商業ビル 産業 運輸 家庭等での省エネ実施手順を規定している 省エネ実施のモニタリングを実施する 2006 省エネルギーに関する大統領令 No 年の目標として エネルギー弾性値を1 以下に押さえる ; エネルギーミックスとして石油 20% 以下 ガス30% 以上 石炭 33% 以下 ; バイオ5% 以上 地熱 5% 以上 原子力 5% 以上 2007 エネルギー法 (DEN)(2008) 省エネは政府 地方政府 事業者 国民の責務であると規定している 同法によって 国家エネルギー委員会 が設置されている 2008 省エネ 節水指令 省エネと節水活動の具体的推進を促す規定 ; 政府 地方政府が率先実行する 2008 電力省エネ ブループリメント ( 案 ) 電力分野の省エネアクションプラン およびロードマップ目標を提示 2009 省エネルギーに関する政府規則 No. 70/2009 工場エネルギー管理 全国民責任論 省エネ義務化 インセンティブ, 開始 10

32 省エネルギー規則大企業 1% 省エネ エネルギー監査 2009 CO2 削減目標 G20 開催時目標 :767Mt-CO2 の GHG を削減 (26% 削 減 ) 2010 エネルギービジョン 25/25 エネルギーミックス : 再生可能 25 % 石炭 22 % ガ 2011 省エネルギーと節水の大統領指示 No. 13/2011 ス 23 % 石油 30% 政府機関の目標節約率 : 電力 20 % 水 10 % ガソリ ン 10% 2014 国家エネルギー政策 (KEN2014) 石油を 49% から 22% 以下に削減させる ; 天然ガスを 20% から 22% 石炭を 24% から 32% に向上 ; 再生可能 エネルギーを 6% から 23% へ 2016 国家エネルギー計画 (RUEN) 化石燃料および電力に対する補助金の撤廃 出典 : 各種資料より作成 2.3. 省エネルギー政府機関の役割インドネシアの省エネルギー政策は エネルギー鉱物資源省の新再生可能エネルギー 省エネルギー総局の省エネルギー局が担当している 以下の通り エネルギー鉱物資源省の組織図を提示する 13 省エネルギー規則 省エネルギー法に基づき 2009 年には具体的な施策を定めた省エネルギー規則が策定された 省エネ規則の概要は以下の通りである エネルギー源利用者とエネルギー利用者によるエネルギー利用は 効率と節約が義務付けられている 特に 年間石油換算 6000 トン以上のエネルギー源及び / 或いはエネルギーを利用するエネルギー源利用者とエネルギー利用者は エネルギー管理を通じた省エネルギーを行う義務を負う 11

33 エネルギー鉱物資源大臣 石油ガス総局 電力総局 石炭資源総局 新再生可能エネルギー 省エネルギー総局 地質庁 研究開発庁 教育訓練庁 新再生可能エネルギー局 省エネルギー局 バイオエネルギー局 地熱局 計画 インフラ開発局 出典 : Ministry of Energy and Mineral Resources ホームページ. 図 2-3 エネルギー鉱物資源省の組織図 Ir. Rida Mulayana 新再生可能エネルギー 省エネルギー総局長 Dr.Dadan ( 事務局長 ) Ir. Farida Zed 省エネルギー局長 Gita Lestari 技術支援協力次長 Ir. Santono 再エネ 省エネ技術次長 Ir. Maritje Hutapea 新再生可能エネルギー局長 Dr. Sudjoko Harsono バイオエネルギー局長 Ir. Yunus Saefulhak 地熱局長 Dr. Ir. Hendra 計画 インフラ開発局長 Ir. Harris 省エネビジネス開発次長 Andriah Feby Misna 省エネプログラム次長 Ir. Mustofa Said 省エネ開発次長 出典 : Ministry of Energy and Mineral Resources 再エネ 省エネ局ホームページ. 図 2-4 エネルギー鉱物資源省 省エネルギー局の組織図 12

34 5 つの部署から形成される省エネルギー局の役割は 政策形成とガイドラインの作成 そして 啓発活動などの以下の 10 項目から構成される 1. 省エネルギーに関する政策 戦略 国家プログラムを形成する 2. 省エネルギーに関する規制と実施の調整を行う 具体的には 1 省エネルギーマスタープラン 2エネルギー管理制度 3 省エネルギー基準 4 省エネルギーの Functional Position の準備 5 経済インセンティブの形成 6ESCO 事業者の形成についての規制に関し関連省庁との調整を行う 3. 省エネルギー手法に関する教育を行う 4. エネルギー管理やエネルギー管理士の任命ならびにエネルギー監査 そして省エネ基準やラべリングに関するガイドラインを作成する 5. 政府 地方政府 エネルギー消費者ならびにエネルギー供給事業者の省エネルギーに関する対話を促進する 6. 経済インセンティブ付与に適した省エネルギー機器や省エネルギープロジェクトを提案する 7. 産業 運輸 業務ビルにおけるエネルギー効率とエネルギー原単位に関するベンチマークを策定する 8. 地方政府における省エネルギー推進に対する技術支援を行う 9. 省エネルギー実施に係るモニタリングと評価を行う 10. 省エネルギーのガイダンスと管理を行う 2.4. 他省庁との協力国家省エネルギーマスタープランである RIKEN に規定される通り 省エネルギー局は他の省庁と協力し インドネシアにおける省エネルギー政策を推進している 省エネルギーに関する他の省庁の役割は以下の通りである 表 2-3 他の省庁における省エネルギー政策に関する役割 省庁 工業省 (Ministry of Industry) 公共事業省 (Ministry of Public Works) 運輸省 (Ministry of Transport) 省エネルギーに関する役割 産業部門における省エネルギー推進に関するガイドラインの策定 産業部門のエネルギー効率改善と製造業の振興 そして高効率技術の製造振興 エネルギー原単位ベンチマークの策定 省エネ基準の策定 建築物に係るエネルギー効率規制の策定 建築物の省エネルギー推進に係るガイドラインの策定 建築物の省エネルギー推進にかかわる大臣イニシアティブの策定 エネルギー原単位ベンチマークの策定 運輸システムの効率改善に向けたに関する計画 運営 管理の実施 自動車の試験手法の構築 エネルギー効率改善に資する排ガステスト手法の構築 運輸システムと自動車燃費の改善に向けた大臣イニシアティブの策定 13

35 通商省 (Ministry of Trade) 財務省 (Ministry of Finance) 国家開発計画庁 (National Development Planning Agency, BAPPENAS) 国家教育省 (Ministry of National Education) 研究技術庁 (Agency for Assessment and Application of Technology - BPPT) 地方政府 エネルギーラベルなど消費者の省エネ製品への啓発に資する規制の形成と高効率技術の市場普及に向けた大臣イニシアティブの策定 省エネルギー推進に向け全ての部門に対して資金を提供し 中央及び地方政府における省エネプログラムへの資金提供に係るガイドラインの策定 省エネ製品普及に向けたインセンティブの付与に係る国家予算の提供 国家開発計画への省エネルギーの反映 国家開発プロジェクトにおける省エネルギー推進に向けた計画ガイドラインの策定 初等教育から高等教育まで 省エネルギーを教育プログラムに統合 大臣イニシアティブを策定し 省エネルギー啓発を実施 省エネ技術に関する情報の発信 省エネルギー評価 省エネルギープロセス 技術や機器の実証事業の実施 省エネ情報の提供 産業と業務部門への省エネルギー規制実施 インセンティブの付与 建築物の省エネルギー基準適合に係る審査 出典 : Asia Pacific Energy Research Centre (2012). Peer Review on Energy Efficiency in Indonesia より作成 2.5. 気候変動対策目標における省エネルギーの役割 インドネシアはパリ協定への国際公約として 2030 年までの目標期間に GHG 排出量を BaU と比較して 29% 削減 ( 国際支援が無い場合 :CM1) するとの目標を設定している ま た 国際支援がある場合の目標としては GHG 排出量を BaU と比較して 41% 削減するとし ている (CM2) 2016 年 11 月 4 日にインドネシアはパリ協定を批准しており UNFCCC に 対して 排出削減目標としてエネルギー 廃棄物 IPPU( 工業プロセスと製品利用 ) 農業 森林による対策を実施するとしている ( 表 2-4 を参照 ) 表が示す通り インドネシアの CO 2 削減目標達成に向け 森林の果たす割合が CM1 にお いて全体の 60% と最大になっており エネルギー部門の割合はこれに次いで 38% と大きい GHG Emissions in 2010 (M ton CO 2 ) 表 年の CO 2 削減への部門別目標 GHG Emissions in 2030 (M ton CO 2 ) GHG Emissions Reduction in 2030 (M ton CO 2 ) M ton CO 2 BaU CM1 CM2 CM1 CM2 エネルギー ,669 1,335 1, 廃棄物 IPPU( 工業プロセスと製品利用 ) 農業 森林 合計 1,334 2,869 2,034 1, ,081 出典 :Republic of Indonesia (2016) First Nationally Determined Contribution 14

36 エネルギー部門の CO 2 削減目標達成に向けた内訳としては 2030 年において再生可能エ ネルギーが全体の 54% を占め これに省エネルギーが 31% と続く すなわち 2030 年にお ける CO 2 削減目標達成に向けた省エネルギーの寄与は 12% となる なお 省エネルギーに よる CO 2 削減目標は 国家エネルギー計画の年間 1% のエネルギー原単位改善が算定の根拠 となっている 表 2-5 エネルギー部門の CO 2 削減目標 目標 (10 億トン CO 2 ) 再生可能エネルギー 省エネルギー クリーンエネルギー発電 燃料転換 鉱業の採掘地修復 合計 出典 :Republic of Indonesia (2016) First Nationally Determined Contribution 省エネルギーの CO 2 削減目標達成に向けた政策 プログラム別の貢献として 以下の表 2-6 にまとめられる通り 現在インドネシアが推進する MEPS/ ラべリング制度や産業 業務 部門を対象としたエネルギー管理に関する制度の寄与が大きく見積もられている 表 2-6 政策 プログラム別の省エネルギーによる CO 2 削減への貢献 目標 (1,000 トン CO 2 ) 産業 業務部門でのエネルギー管理 (6,000 toe 以上 ) 3,099 5,355 13,325 33,157 省エネ監査と Investment Grade Audit ,011 1,628 公共部門での省エネルギーと節水 太陽光発電による街灯 高効率照明への転換 CFL/LED のラベリング 16,111 24,843 39,397 53,951 エアコンの MEPS/ ラベリング 545 1,089 1,753 5,765 その他機器の MEPS/ ラベリング 545 1,089 1,753 5,765 合計 20,777 33,015 57,272 96,335 出典 :Republic of Indonesia (2016) First Nationally Determined Contribution 15

37 2.6. エネルギー原単位の推移インドネシア政府の省エネルギー目標として 毎年 1% のエネルギー原単位を改善するとの目標を国家省エネルギーマスタープランに掲げている ここでは その進捗を把握し課題を抽出するために 2000 年以降のエネルギー原単位の改善率がどのように推移してきたかを分析する 8.0% 6.0% 4.0% 一次エネルギー原単位 最終エネルギー原単位 2.0% 0.0% -2.0% % -6.0% -8.0% -10.0% 出典 : Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016 より作成 図が表わす通り 2000 年以降の非商業用バイオマスを含まないインドネシアデータではエネルギー原単位の改善率は一次エネルギーの GDP 原単位ならびに最終エネルギーの GDP 原単位がいずれも年平均で 0.6% 程度の改善に留まっている 原単位 1% 改善の目標を踏襲し 実績データを踏まえ今後目標の妥当性を評価することが必要である また 非商業エネルギーを含むのか 含まないのか 一次エネルギー原単位か 最終エネルギー原単位か あるいは分母の GDP は何年の物価水準をベースとするのかといった定義の明確化も必要である 政策手段別では 指定管理工場の企業数が全産業の 2 割弱となっているため 指定管理工場制度の強化次第で目標の大幅超過達成も可能であろう また化石燃料と電力への補助金削減の加速が必要である このほか 火力発電の効率化は一次エネルギー原単位の改善に大きく寄与し得る そして MEPS 対象製品とラベリングの拡充と強化 省庁間横断的に税や補助金による省エネ助成制度の構築が必要であると指摘できる 16

38 2.7. エネルギー弾性値の推移 (0.5) (1.0) (1.5) (2.0) 一次エネルギー最終エネルギー電力 (2.5) 出典 : Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016 より作成インドネシアでは エネルギー弾性値を 2025 年までに 1 以下とする目標を設定している すなわち インドネシアでは エネルギー効率の改善により エネルギー消費の伸びが GDP の伸びを下回る緩やかなペースで推移させることを目標として設定している ここでは 目標実現に向けた進捗を把握する目的で 2000 年以降のデータを活用し エネルギーの GDP 弾性値を一次エネルギー供給 最終エネルギー消費 そして電力消費に関して分析し示唆を得る なお ここでは非商業用のバイオマスを除くエネルギー消費について推移をみている 図が示す通り インドネシアのエネルギーの GDP 弾性値は 年によって水準が異なることが分かる 他方 2000 年から 2015 年の平均では 一次エネルギー供給および最終エネルギー消費の GDP 弾性値が と既に 1 を下回る水準になっている 対照的に電力消費の GDP 弾性値は 2000 年から 2015 年の平均で 1.2 となっており GDP の伸びを上回る急速なスピードで増加していることが分かる バイオマスを除く一次エネルギー供給ならびに最終エネルギー消費の GDP 弾性値が 1 を下回る水準となっているのは 必ずしも効率改善によるものではなく 石炭から電力やガスへの燃料代替 産業活動状況等に大きく影響される 特にインドネシアの産業部門のエネルギー消費が 2014 年に大きく落ち込んでいるが これは 世界的な資源価格の低迷による鉱業の生産活動の低迷によるものと指摘できる こうした点を踏まえ 必ずしもエネルギーの GDP 弾性値がエネルギー効率改善に関する適切な指標とは限らないため より詳細なデータの収集による部門別 業種別のエネルギー消費動向を把握した上でエネルギー効率改善動向に関する評価指標を構築する必要があるだろう 17

39 2.8. 省エネルギー導入目標 温暖化目標達成に向けた現状把握及び課題 産業部門 1. エネルギー消費の推移産業部門のエネルギー消費は IEA (2016) によれば 1990 年から 2014 年までの間に年率 3.3% で増加し 2014 年には 1990 年と比べ 2.2 倍に増加した 最終エネルギー消費に占める産業部門のエネルギー消費は 1990 年の 32% から 2014 年の 30% でほぼ横ばいで推移している 産業部門の燃料別のエネルギー消費量は 約 39Mtoe(2014 年 ) であり 燃料種別内訳は天然ガス 33% 石油 20% 再生可能エネルギー 廃棄物等 17% 石炭 17% 電力 14% となっている ( 図 2-5) (Mtoe) 再生可能エネルキ ー 廃棄物等 石油 石炭 電力 天然ガス 出典 : International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016 より作成 図 2-5 産業部門の燃料別エネルギー消費の推移 産業部門の業種別のエネルギー消費量は 2014 年の業種種別内訳は他製造業 53% 電力 14% となっており 業種が特定できている割合は 33% に留まっている ( 図 2-6) 業種が把握できているエネルギー消費量は 約 13Mtoe(2014 年 ) であり この中での内訳はガラス 陶磁器 セメントなど非金属鉱物工業 31% 非鉄金属工業 13% 紙パ 印刷業 10% 繊維 皮革工業 7% 金属鉱業 砕石業 6% 鉄鋼業 5% 食料品 タバコ工業 4% などとなっている ( 図 2-7) 2014 年における産業部門の業種別燃料別エネルギー消費をみると 電力および天然ガスの約 8 割が 他の製造業に計上されている この両者を合計すると 16Mtoe となり 産業部門のエネルギー消費 39Mtoe の 41% に相当する ( 表 2-7) 18

40 (Mtoe) 電力 ( 産業合計 ) 他製造業 鉄鋼業 ガラス 陶磁器 セメントなど非金属鉱物工業化学 石油化学工業 出典 : International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016 より作成 図 2-6 産業部門の業種別エネルギー消費の推移 (Mtoe) 食料品 タバコ工業 金属鉱業 砕石業 繊維 皮革工業 建設業 紙パ 印刷工業 金属製品 一般 電気機械工業 ガラス 陶磁器 セメントなど非金属鉱物工業非鉄金属工業 化学 石油化学工 2 業鉄鋼業 出典 : International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016 より作成 図 2-7 産業部門の業種別エネルギー消費の推移 ( 他製造業 電力を除く ) 19

41 表 2-7 産業部門の業種別燃料別エネルギー消費 (2014 年 ) 石炭石油天然ガス 再生可能エネルキ ー 廃棄物等 ( 単位 : Mtoe) 電力熱合計 鉄鋼業 化学 石油化学工業 非鉄金属工業 ガラス 陶磁器 セメントなど非金属鉱物工業 金属製品 一般 電気機械工業 金属鉱業 砕石業 食料品 タバコ工業 紙パ 印刷工業 建設業 繊維 皮革工業 他製造業 電力 ( 産業合計 ) 合計 出典 : International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016 より作成 産業分野のエネルギー消費状況は 公表されている機関の間でデータが不整合 未整備であるために正確に把握することは困難な状況となっている 工業省 (MoI(2012)) によれば 産業部門のエネルギー消費の 60~70% はエネルギー多消費産業の主要 7 業種 ( 化学肥料 紙パ 繊維 セメント 鉄鋼 窯業 食品 ( パームオイル精製 )) が占めているとされている この主要 7 業種のエネルギー消費量の伸びは BaU ケースで 2012 年から 2025 年で 2.1 倍 ( 90.1TWh 188.4TWh) の見通しで これに対する省エネ量は 22.1TWh (BaU 比 11.7%) となっている ( 図 2-8) また 2012 年時点でエネルギー消費量が多い産業は紙パ 繊維となっている しかし 表 2-7 に見られるように IEA(2016) ではその他産業部門に電力及び天然ガスの消費量の大部分が計上されている等 必ずしも主要 7 業種の正確なエネルギー消費量は把握されていない模様である 20

42 100 TWh 鉄鋼繊維化学肥料紙パパームオイル精製セメント窯業 % 80% 60% 40% 20% 0% 1% 1% 2% 2% 0% 7% 7% 0% 10% 12% 0% 0% 59% 57% 51% 46% 5% 5% 6% 6% 23% 24% 25% 27% 5% 5% 6% 6% 窯業セメントパームオイル精製紙パ化学肥料繊維鉄鋼 出典 :Ministry of Industry (2012) Industrial Energy Efficiency Initiatives & Standards 図 2-8 エネルギー多消費産業の業種別エネルギー需要予測 (BaU ケース ) 2. 経済活動の推移インドネシアの 2015 年の名目 GDP は 8,619 億ドルで そのうち製造業 21% 農林水産業 14% 鉱業 8% を占めている また 近年の経済成長率 ( 実質 ) は 5~6% 程度で推移している 2015 年の粗鋼生産量は 世界鉄鋼協会 (WSA: World Steel Association) によれば 4,854 千トン ( 図 2-9) で 91 ヶ国中 30 位となっている 2015 年の紙 板紙生産量は 国連食糧機関 (FAO: Food and Agriculture Ogranization) が 10,470 千トンと推定している ( 図 2-10) 2013 年のセメント生産量は 欧州セメント協会 (CEMBUREAU: The European Cement Association) によれば 56,000 千トンである 21

43 (kt) 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1, 出典 :World Steel Asociation (2016) Steel Statistical Yearbook 図 2-9 インドネシアの粗鋼生産量の推移 (kt) 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2, 出典 :Food and Agriculture Organization of the United Nations FAOSTAT 図 2-10 インドネシアの紙 板紙生産量の推移 (kt) 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10, 出典 :European Cement Association World Statistical Review 図 2-11 インドネシアのセメント生産量の推移 22

44 3. 省エネルギー目標国家省エネルギーマスタープラン (RIKEN(2005)) によれば 基本計画策定時から 2025 年までの各部門における省エネポテンシャルは それぞれ 産業部門 (17%) 業務部門(15%) 運輸部門 (20%) 家庭部門(20%) としている 産業部門における省エネ目標は 2025 年に BaU 比 17% 削減としているが 技術別の目標が不明である 工業省 (MoI(2012)) に基づけば 経済加速ケースのエネルギー多消費産業の主要 7 業種の 2025 年における省エネ率は 12.4% と算出されている BaU ケースにも同様な業種別省エネ率を想定した場合は 2025 年における省エネ率は 11.7% と算出されている しかしながら RIKEN(2005) の産業分門の 17% 目標を満たしていない状況である 4. 省エネルギー政策とその課題 産業部門の省エネ関連法令産業部門の省エネ関連法令は エネルギー法 省エネルギー政令 新国家エネルギー政策 エネルギー管理に関する規則 国営電力会社 (PLN) の電力料金に関する規則 エネルギー管理士 エネルギー診断士の国家能力基準に関する規則が主たる法制度となっている 表 2-8 産業部門の省エネ関連法令 関連法令 エネルギー法 2007 年 30 号 内容 エネルギー部門を統括管理するための法律 国家エ ネルギー委員会 (DEN) の設置 国家エネルギー政策 の策定のほか省エネルギー政策を規定 省エネルギー政令 2009 年 70 号 エネルギー法に基づいて制定 省エネルギーマスタ ープランの策定 エネルギー管理制度 省エネ基準 ラベルを規定 新国家エネルギー政策 ( 政令 )2014 年 79 号 2025 年におけるエネルギー弾性値を 1 以下 2025 年までにエネルギー原単位を 1% で減少 エネルギー管理に関する MEMR 省令 2012 年 14 号 省エネルギー政令の第 13 条 (5) 項 第 19 条 (3) 項 第 21 条 (2) 項 および第 27 条のエネルギー管理制度の 実施細則 国営電力会社 (PLN) の電力料金に関する MEMR 省 国営会社 (PLN) の電力料金の設定に関する省令 令 2014 年 19 号 産業部門のエネルギー管理士の能力基準に関する MEMR 省令 2010 年 13 号 エネルギー管理士およびエネルギー診断士の国家 能力基準 産業部門のエネルギー管理士の国家職業技能適性 基準に関する MOM&T 省令 2011 年 321 号 23

45 エネルギー診断士の国家職業技能適性基準に関す る MOM&T 省令 2012 年 614 号 出典 : エネルギー鉱物資源省 WEB サイト ( 法規集 14 ) など各種資料より作成 エネルギー管理制度省エネルギー政令でエネルギー管理者の任命などのエネルギー管理制度が定められており 実施細則はエネルギー管理に関する規則で定められている また エネルギー管理士およびエネルギー診断士の国家能力基準が定められている (1). エネルギー多消費事業者 (6,000toe 以上 ) 年間 6,000toe 以上のエネルギーを使用するエネルギー多消費事業者は 以下のエネルギー管理を通じた省エネルギーを実施することが求められている エネルギー管理者の任命 省エネルギープログラムの策定 定期的な省エネルギー診断 ( エネルギー監査 ) の実施 省エネルギー診断の結果に基づく提案の実施 省エネルギーの実施状況の定期報告 (2). エネルギー管理士 エネルギー診断士任命されるエネルギー管理者は エネルギー管理士認証が義務付けられている 省エネルギー診断は 内部のエネルギー診断士または認定機関が実施し この省エネルギー診断を実施するエネルギー診断士もエネルギー診断士認証が義務付けられている (3). 省エネルギー実施の成功基準省エネルギー実施の成功基準は 一定期間にエネルギー原単位 (SEC: Specific Energy Consumption) またはエネルギー消費弾性値が減少することである エネルギー管理に関する規則では 一定期間の間に連続して 3 年間 エネルギー原単位の年 2% 以上の改善と定められている (4). インセンティブ ディスインセンティブ定期報告の評価結果が省エネルギー実施の成功基準を満たしている時 以下のインセンティブを申請することができる 省エネ設備の税制優遇 省エネ設備の地方税の減免または免除 輸入省エネ設備の関税免除 省エネ投資の低利融資 政府による財政支援されたパートナーシップによる省エネルギー診断また エネルギー管理を通じた省エネルギーを実施していない場合 以下のディスインセンティブが科される

46 書面による警告 マスメディアでの公表 罰金 エネルギー供給の削減 5. 省エネ施策の実施状況と課題 省エネ施策の実施状況と課題の概要省エネ法の執行状況は エネルギー集約産業の 265 事業者のうち 101 事業者がエネルギー使用状況を報告し 提出率は 38% と低い 法の執行強化が課題となっている 2016 年 8 月現在で エネルギー管理士認証者は 306 名 エネルギー診断士認証者は 196 名となった ( 表 2-11 表 2-12) 2016 年 2 月現在で必要なエネルギー管理士数 827 名であり その充足率が 27%( 経済産業省 (2016a)) だったものから 37% に向上中であるが 引き続き認証者数の拡大 育成が課題となっている 2011~2014 年に 517 事業者 ( 発電 化学工業 紙パ 食品 飲料 繊維 鉄鋼 農産業 ) の省エネ診断が実施された 低コストの省エネ対策の提案は ほぼ実施済みとなっている 2014~2015 年に 10 事業者 ( 繊維 化学工業 鉄鋼 ) の省エネ設備導入などの省エネ投資を目的とした投資対象省エネ診断 (IGA: Investment Grade Audit) 15 が実施された 中高コストの省エネ投資に対する財政支援 これら投資対象省エネ対策 (IGA) に対する専門知識の不足が課題である ( 表 2-9) 外部機関からも同様指摘がなされており これらに加えて エネルギー管理システムの未構築 省エネ対策の具体化能力が低いことなどが指摘されている ( 表 2-10) 表 年時点での MEMR の省エネ施策の実施状況と課題の概要 ( 産業部門 ) 省エネ施策現状課題 政府予算による省エネ診断の実施政府予算による投資対象省エネ診断 (IGA) の実施エネルギーマネジメントシステム (ISO50001) の実施 :UNIDO サポート 2011 年 ~2014 年の間に 517 件 ( 火力発電所 化学 紙パ 食品飲料 繊維 鉄鋼 農産業 ) に対して省エネ診断を実施 コスト負担が無い または低コストの省エネ対策の提案は ほぼ実施済み 2014 年 ~2015 年にかけて 10 件の投資対象省エネ診断 (IGA) の実施 ( 繊維 化学 鉄鋼 ) 2012 年 ~2017 年目標 : 繊維 紙パ 食品飲料 化学 エネルギーマネジメントシステムおよび 中高コストの省エネ対策提案の実施のための財政支援の不足 自覚の不足 認証エネルギー診断士の人数の不足投資対象省エネ診断 (IGA) を実施する国内専門家の不足 工場経営層のエネルギーマネジメントシステムに関する自覚および情報の不足 15 投資対象省エネ診断 (IGA) とは 省エネ投資を要する省エネプロジェクトベースの詳細診断のことで 計測診断や経済性分析が実施される 25

47 事業エネルギー管理士 診断士の認証エネルギー管理の指定 (>6,000toe) システム最適化の認証国内専門家 25 名 国内専門家による ISO50001 実施予定の 11 企業 ISO50001 適合済み 5 企業 (2016 年 8 月現在 ) 認証エネルギー管理士 306 名認証エネルギー診断士 196 名エネルギー集約企業 265 社のうち 101 社がエネルギー使用状況の報告済み 技術スタッフおよびオペレーターの力量の不足 法執行の不足 エネルギー管理士受験者の力量不足 法執行の不足 出典 :Farida Zed (2015) Indonesia Energy Efficiency and Conservation Status, Gaps, and Opportunities 及び経済 産業省 (2016a) 平成 27 年度国際エネルギー使用合理化等対策事業 ( 省エネルギー人材育成事業 ) 表 2-10 外部機関からの指摘事項 指摘事項 1. 省エネ政策及び法制度上の課題 1-1. エネルギー管理制度の整備が不十分 エネルギー管理士およびエネルギー診断士の不足 エネルギー管理者の実施すべき職務の指針や基準が未設定 1-2. 省エネ推進の支援制度が未設定 省エネ投資を促進するための補助金などの支援制度が未設定 金融支援の対象となる有効な省エネ技術や設備の指針が未整備 2. 民間における省エネ推進の課題 2-1. 多くの企業でエネルギー管理システムが未構築 経営者の省エネや環境保全に対する理解が不足 エネルギー管理システムを構築するための具体的なガイドラインが未整備 エネルギー管理システムを構築するための知識を有する人材の不足 プロセスや設備の省エネ指針およびデータベース等の管理ツールが未整備 多くの企業でエネルギー管理従事者の教育カリキュラムが未整備のため自社内の教育訓練が未実施 結果として エネルギー管理担当者の具体的な改善策を策定する能力のバラツキが大 2-2. 省エネ対策のプロジェクト化が困難 ( 有効な省エネ対策提案の低実施率 ) 金利が高いなどの制約があるため投資回収 2 年超の設備投資が困難 BAT やベストプラクティスの情報が非共有 省エネ案件を具体化するプロジェクト形成能力の不足 2-3.ESCO 等の外部の省エネ支援団体の不足 ESCO 等支援団体の技術能力の不足 26

48 報告数 顧客や金融機関が ESCO に関して低理解出典 : 経済産業省 (2016a) 平成 27 年度国際エネルギー使用合理化等対策事業 ( 省エネルギー人材育成事業 ) エネルギー使用状況報告 省エネ法の執行状況は エネルギー集約産業の 265 社のうち 101 社がエネルギー使用状況を報告し 提出率は 38% と低く 法の執行強化が課題となっている 2014 年から利便性の向上のためにエネルギー使用状況報告はオンラインで提出することができるようになったため 2014 年の報告数は増加している ( 図 2-12 図 2-13) 一方で エネルギー多消費事業者の数は 800 事業所に上るとの調査結果もあり 16 相当数の事業所が把握されていない可能性がある 産業部門 業務部門 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Statistik EBTKE 2015 図 2-12 エネルギー使用状況の報告数 16 国際協力機構 (2009) によれば 6,000toe 以上の産業部門の事業者数は 710 事業所であった ECCJ(2016) では 必要エネルギー管理士数は 827 名である 27

49 出典 : オンラインエネルギー管理報告 Web サイト 17 図 2-13 オンラインエネルギー使用状況報告 エネルギー管理士 エネルギー診断士 国内専門家年間 6,000toe 以上のエネルギーを使用する大口事業者は エネルギー管理者の任命および省エネルギー診断 ( エネルギー監査 ) の定期的な実施が義務付けられている 任命されるエネルギー管理者は エネルギー管理士認証が義務付けられている 省エネルギー診断は 内部のエネルギー診断士または認定機関が実施し この省エネルギー診断を実施するエネルギー診断士もエネルギー診断士認証が義務付けられている 2016 年 8 月現在で エネルギー管理士認証者は 306 名 エネルギー診断士認証者は 196 名となった ( 表 2-11 表 2-12) 2016 年 2 月現在で必要なエネルギー管理士数 827 名であり その充足率が 27%( 経済産業省 (2016a)) だったものから 37% に向上中であるが 引き続き認証者数の拡大 育成が課題となっている 国内専門家は 2015 年 1 月 30 日現在で 49 名が登録されている このうち 圧縮空気システム最適化の専門家が 18 名 蒸気システム最適化の専門家が 17 名 ポンプシステム最適化の専門家が 5 名 エネルギーマネジメントシステム (ISO50001) の専門家が 22 名である

50 表 2-11 エネルギー管理士認証の取得状況 セクター / サブセクター 認証年 * 2016* 合計 産業部門 エネルギー供給 化学 石油化学 セメント 繊維 織物 鉄鋼 鉱業 農業 食品 飲料 紙 パルプ 加工 その他 商業ビル部門 モール 大学 集合住宅 合計 *2015 年は2015 年 10 月現在 2016 年は2016 年 8 月現在の数値を使用 出典 : オンラインエネルギー管理報告 Web サイトのエネルギー管理士リストおよび Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Statistik EBTKE 2015 セクター 産業部門 産業部門 / 商業ビル部門 表 2-12 エネルギー診断士認証の取得状況 内部 外部 内部 外部 商業ビル部門内部 合計 診断員種類 認証年 出典 : オンラインエネルギー管理報告 Web サイトのエネルギー診断士リスト 合計 省エネルギー診断 2003 年 ~2014 年の間に 産業部門および商業ビル部門に対して官民パートナージップ省エネプログラムに基づく政府出資の省エネ診断が 1,274 件実施された ( 表 2-13) 2011~2014 年の産業部門 517 件 ( 発電 化学工業 紙パ 食品 飲料 繊維 鉄鋼 農産業 ) の省エネ診断の実施結果は 低コストの省エネ対策の提案は ほぼ実施済みとなっている ( 前出表 2-9) 2014~2015 年には 10 事業者 ( 繊維 化学工業 鉄鋼 ) の投資対象省エネ診断 (IGA) 29

51 が実施された 表 2-13 官民パートナージップ省エネプログラムに基づく政府出資の省エネ診断 資金 参加者 省エネポテンシャル 獲得省エネ量 10 億ルピー (PT. PLN) (PT. PLN) ( 国家予算 ) ( 国家予算 ) ( 国家予算 ) ( 国家予算 ) ( 国家予算 ) ( 国家予算 ) ( 国家予算 ) ( 国家予算 ) 産業部門 商業ビル部門 GWh , 億ルピー ktco , GWh 億ルピー ktco 注 :2005 年および 2008 年は未実施 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Statistik EBTKE 2015 金融環境インドネシア中央銀行は 今年 6 回目の政策金利の引き下げを実施した これは 銀行融資の伸び悩みおよび国内景気の刺激を狙ったものである 18 しかし インドネシアの実質金利は この利下げにもかかわらず高止ったままとなっている インドネシアの最大手銀行である国営マンディリ銀行の 2017 年 1 月 31 日現在のプライムローン ( 信用度の高い借り手への短期融資 ) の金利は年 9.95% リテール( 消費者向け小口金融 ) は 9.95% マイクロローン ( 少額融資 ) は 18.75% となっている 19 このように融資金利が 9.95% を超えるなど資金調達コストが膨大となることが阻害要因となって 省エネ投資は積極的に行われていない これにより投資回収年数 1 年程度の技術への投資が主体となっている ( 図 2-14)

52 繊維 1 億ルピア以下 1-10 億ルピア 10 億ルピア以上 36% 59% 5% 鉄鋼 25% 50% 25% セメント 0% 100% 食品 0% 67% 33% 製造業 20% 60% 20% ビル 69% 27% 4% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 出典 : 国際協力機構 (2009) インドネシア国省エネルギー普及促進調査 図 2-14 業種別省エネ投資の現状 今後の予定対象事業所の拡大のために エネルギー使用量のしきい値の引き下げ ( 産業部門 :4,000toe 業務部門 :2,000toe) が計画されている 事業所のエネルギー管理状況のランク付けも計画される エネルギー管理士等の資格者の充足数を満たすために 新たな認証機関や新たなトレーニングスキームに基づくトレーニングセンターが設立される予定となっている これらによって 2020 年までに エネルギー管理士有資格者の総数を直近の 306 名から 900 名に増加させる目標を掲げている ( 表 2-14) 31

53 表 2-14 エネルギー管理制度の目標 現状 合計 エネルギー管理士 エネルギー診断士 資格認証機関 関連法規改正 トレーニングセンター 出典 :Kusuma (2016) Improvement of the existing energy manager training & certification system with roadmap plan of energy management system 6. 他省庁における省エネ関連施策 工業省 インドネシアの産業政策においても 環境 省エネ技術の強化 が位置付けられている ( 図 2-15) 新工業法 2014 年 3 号では 産業部門のエネルギーに関して 効率的 環境融和的で持続可能なプロセスおよび使用 および企業等に対してエネルギー管理の実施を要求している また 産業のグリーン化を推奨しており 意識の向上の取組として インドネシアグリーン産業表彰 (Green Industry Award) を実施しており 2014 年には 112 社の応募があり 101 社が表彰されている 省エネ政策の整備は エネルギー鉱物資源省が実施しているが 産業部門の省エネ対策は工業省が策定している 工業省の省エネ量 (BaU ケース ) は 11.7% である一方 RIKEN の省エネ目標は 17% 両省の政策整合化が必要である( 図 2-16) 出典 : 経済産業省 (2015) 平成 26 年度アジア産業基盤強化等事業インドネシアの現地中小企業の実態調 査 図 2-15 工業省の産業政策 32

54 省エネ政策制度の整備 エネルギー鉱物資源省 (MEMR) 政策整合化 産業部門の省エネ対策 工業省 (MOI) エネルギー法 2007 年 30 号 新工業法 2014 年 3 号 国家省エネルギーマスタープラン (RIKEN) 省エネルギー規則 2009 年 70 号 ( 省エネ義務 ) 国家工業開発マスタープラン (RIPIN) Green Industry 図 2-16 エネルギー鉱物資源省と工業省の省エネ関連政策の関係 環境省環境省は 環境政策の策定 環境基準の設定 省庁間の調整などを担当している 各部門の具体的な政策 規則の策定は各省庁に権限があり エネルギー部門はエネルギー鉱物資源省が 産業部門は工業省が管轄している エネルギー部門にはエネルギー需要管理 ( 省エネ ) が含まれているため 産業部門の政策 規則は エネルギー鉱物資源省と工業省の管轄がオーバーラップしている ( 表 2-15) 表 2-15 国家温室効果ガス削減行動計画 (RAN-GRK) における実施機関 セクター 実施機関 農業森林 泥炭地エネルギー 運輸産業廃棄物 公共事業省 農業省 森林省 公共事業省 農業省 エネルギー鉱物資源省 運輸省 財務省 DKI ジャカルタ州政府 工業省 公共事業省 環境省 出典 : 大統領令 2011 年 61 号より作成 7. 課題のまとめインドネシアの産業部門では エネルギー管理制度の法整備 政府による省エネ診断の実施などが着実に推進されてきているものの 規制対象事業者のカバー率が低い エネルギー管理者の不足などの課題があり 改善に向けた取組が実施されてきているところである 政府の省エネルギー推進体制は エネルギー鉱物資源省が省エネルギー全般の監督官庁であるが 産業部門は工業省が管轄しており 関係省庁間の連携が重要になる 官民パートナージップ省エネプログラムに基づく政府出資の省エネ診断が実施されており 省エ 33

55 ネポテンシャルが把握されているものの この提言に基づく省エネ対策の実施は低コストなものにとどまっている 高コストの省エネ対策の実施率は低い状況であり 政府による財政支援が必要となっている また 設備投資適格な省エネ対策案件を抽出するための投資対象省エネ診断 (IGA) を実施できる専門家の不足も課題となっている 8. 課題を解決する技術の提案インドネシアの産業部門エネルギー原単位は 過去の省エネ診断の報告結果や JICA(2009) の調査事業によると 各国と比較して大きく 省エネポテンシャルは 20%~30% あると推定されている ( 表 2-16) また 国連主導の技術ニーズ評価である Technology Needs Assessment (TNA) が 2010 年に実施され インドネシア国内の省エネ技術ニーズが把握された セメントで 17 技術 ( 第 1 優先技術 :7 第 2 優先技術 :7 第 3 優先技術 :5) 鉄鋼で 23 技術 ( 第 1 優先技術 :8 第 2 優先技術 :8 第 3 優先技術 :7) 紙パで 16 技術 ( 第 1 優先技術 :10 第 2 優先技術 :6) が特定されている ( 表 2-17) 表 2-16 産業部門エネルギー原単位の各国比較 産業部門国エネルギー原単位 鉄鋼 インドネシア インド 日本 650 kwh/ton 600 kwh/ton 350 kwh/ton セメント インドネシア 日本 800 kcal/kg clinker 773 kcal/kg clinker 窯業 インドネシア ベトナム 16.6 GJ/Ton 12.9 GJ/Ton ガラス インドネシア 韓国 12 MJ/ton 10 MJ/ton 繊維 インドネシア インド Spinning : 9,59 GJ/Ton Weaving : 33 GJ/Ton Spinning : 3,2 GJ/Ton Weaving : 31 GJ/Ton 出典 : Indarti (2011) Energy Efficiency Indicators in Indonesia 年 ~2010 年に実施された省エネ診断および国際協力機構 (2009) の調査事業 34

56 表 2-17 産業部門の省エネ技術のニーズ (TNA) Cement No. First Priority Second Priority Third Priority 1 Use of limestone with low CaCO3. Alternative fuels Kiln burner modification 2 Reducing clinker-to-cement ratio by Energy management and process control substituting clinker with materials such as fly system ash, etc. 3 Mineral components in Cement (MIC) 4 Preventative maintenance (insulation, compressed air system, maintenance) Waste heat recovery of cement kiln exhaust gas for raw meal pre-heater High-efficiency classifiers Conversion to grate cooler Install meter in every section and reroute power cable Optimization of hydraulic roller crusher 5 Install variable speed drive Optimization of compressed air systems Install vibrating screen cement pre-grinder 6 Kiln shell heat loss reduction Refractories 7 Minimize ingress of false air High-efficiency motor drives Iron & Steel No. First Priority Second Priority Third Priority 1 Slabs/ billets hot charging Preventative maintenance Variable speed drive: flue gas control, pumps, fans 2 Thin slab mills technology (hot rolling) Energy monitoring and management system De-dusting system optimization (steelmaking) 3 Optimization in laddle pre-heating Zero reformer Energy-efficient drives (rolling mill) 4 Oxygen lancing at electric arc furnace (steelmaking) Waste heat recovery Heat recovery on the annealing line 5 Scrap pre-heater (steelmaking) Process control in hot strip mill Reduced steam use (pickling line) 6 Power demand control Recuperative burners Automated monitoring and targeting system 7 Fuel substitution Insulation of furnaces 8 Adopt continuous casting Energy Control Center Pulp & Paper No. First Priority Second Priority Changing paper press surface from groove 1 to drill/ groove type Refiner improvement: Refiner blade 2 replacement Waste heat recovery Optimization of regular equipment 3 Using shoe press machine Blow-down steam recovery 4 Use chemicals in pulp refinery system Steam trap maintenance 5 Steam traps treatment Increase use of recycled paper 6 Condensate heat recovery 7 Continuous digesters 8 Continuous digester modifications 9 Boiler maintenance 10 Leak repair Energy management and process control system Controlling oxygen levels and VSDs on combustion air fans 出典 :Republic of Indonesia (2010) Indonesia's Technology Needs Assessment on Climate Change Mitigation - Updated Version - 35

57 エネルギー消費 (Mtoe) 運輸部門 1. エネルギー消費の推移運輸部門のエネルギー消費は 2000 年に 20.5Mtoe であり 2005 年まで 20Mtoe 台前半で推移していたが 2007 年から増加速度が GDP と同程度に加速しはじめた 2015 年に 2000 年比倍以上の 48.4Mtoe に増加した 運輸 産業 家庭 業務 その他 非エネ利用 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016 図 2-17 運輸部門のエネルギー消費量の推移 2. 運輸部門のエネルギー消費のシェア 運輸部門のエネルギー消費は 2015 年現在 最終部門の 39% を占め 産業の 24% よりも 多い ちなみに バイオマスを除いた場合 同比率が 40% である その他, 1% 非エネ利用, 9% 産業, 24% 運輸, 29% 業務, 3% 家庭, 33% 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016 図 2-18 運輸部門のエネルギー消費のシェア (2015 年 ) 36

58 エネルギー消費量 (Mtoe) エネルギー消費量 (Mtoe) 1) 道路部門のエネルギー消費量インドネシアが公表したガソリンや軽油等のエネルギー消費量のデータ ( 上記 Handbook 2016) に基いて推計すると 道路部門のエネルギー消費量は 2000~2015 年までの平均として運輸部門の 92.5% を占めており また 2015 年 92.5% を占めている 一方 IEA データに基いて計算すると同比率が 88.2% であった 本試算は IEA の統計データを利用する 運輸部門 道路部門 運輸部門 道路部門 出典 :International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016, Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016 図 2-19 道路部門のエネルギー消費量 ( 左 インドネシアデータと右 IEA データ ) 3. 省エネルギー目標国家エネルギー省エネプログラム (National Energy Conservation Programme:RIKEN)( 2011 年 ) では運輸部門の省エネ目標として 2025 年 BaU 比で 20% の省エネとしている 同プログラムにおける運輸部門の省エネプログラムとして 公共交通機関の開発と交通システムの改善の 2 つのプログラムを実施することが計画されている 一方 インドネシア運輸省 (Ministry of Transport) は国家輸送システムの企画 運用管理における省エネ原則の実施 道路車両品質のテスト 燃焼完全性 ( エネルギー効率 ) を含めた排気ガスのテスト 効率的な国家輸送システムと高効率自動車製造等の業務を管轄する中央行政機関となっている 運輸省は 2013 年に第 201(2013) 省令を公布し 温室ガス削減のために 回避 (avoid) 代替 (shift) 改善(improve) の方針を運輸部門に適用することを明確した上で いくつかの政策を示した 例えば 自動車フリー週末 石油からガスへの燃料代替 公共交通開発 (TOD) 非動力車使用の奨励 などの実施行動が作成されている 37

59 4. 省エネルギー政策とその課題全般 1991 年に発令された省エネに関する大統領令 No.43/1991 では 全てのエネルギー使用者 ( 工業 電力 輸送 産業 公共事業 貿易 不動産 ホテル 商業ビル 一般家庭 ) に対してエネルギー効率改善の実施を義務付ける 2007 年 8 月に公布された エネルギー法 でも 省エネは政府 地方政府 事業者 国民の責務である と規定している 2012 年 6 月には追加的に 省エネ関連のエネルギー鉱物相規定 公用車と鉱業 農園用の車に対する補助金付き石油燃料の販売制限に関する 2012 年第 12 号規定 の規定の交付を行った 本規定では 公用車に対する補助金付き石油燃料の販売制限 ならびに鉱業 農園用の車に対する補助金付き石油燃料の販売制限を決定した この他に 首都ジャカルタで高級車を対象とした補助金付き石油燃料の販売制限の実施が検討されていた 2015 年はガソリンとディーゼルに対する補助金が撤廃された LCGC(Low Cost Green Car) への減税措置 2013 年 5 月 インドネシア政府は低価格かつ低燃費の LCGC 車 (Low Cost Green Car) に対し 優遇策の導入を開始した 以下の条件を満たすことで LCGC 適合車として奢侈販売税 10% 減免が認められる 1 燃費効率 :20km /l 以上走行可能 2 排気量 : ガソリン車 1,200cc 以下 ディーゼル車 1,500cc 以下 3 機動性 :4.6m 未満の最小回転半径 4 現地調達率 : 部品の現地調達率は 80% 以上 5 その他 : エアバックなど安全装置抜きの場合 9,500 万ルピア以下に抑える LCGC が実施した結果 環境に比較的に優しい自動車は消費者が優先的に選択されるようになった一方 自動車メーカーも競って規格に合った自動車を多く生産するようになった 実際 LCGC 車の販売が好調であった インドネシア自動車協会によれば 2016 年上期インドネシアの新車販売台数が 1% 増にとどまっていたにも関わらず LCGC 車は 10% も増加した 道路整備と交通システムの改善インドネシアは道路整備を急速に進めている模様である アジア開発銀行によるクラス区分別の道路延長の推移をみると 2004 年には最低限の基準を満たす クラスⅢ が約半数を占めていたが 2012 年には クラスⅢ がほとんどなくなり クラスⅠ もしくは クラスⅡ に変わっており 道路整備が急速に進展していることが伺わせる 21 インドネシアの途上国における適切な緩和行動 (NAMA: Nationally Appropriate Mitigation Actions, 2010) は財政面における投資コストや投資内容が明確に示している そのうち運輸 21 経済産業省 (2016b) 38

60 部門では年率 9.5% で投資の拡大の必要があるとし 2010~2014 年の間に総額 19 京 9,495 兆 ルピアの投資を見込んでいた 5. 課題を解決する技術の提案インドネシアは国内石油生産の低迷に伴い 石油消費を抑制する方針を打ち出している 具体的には一次エネルギー消費に占める石油の割合を現状 (2013 年 ) の 46% から 2025 年に 25% までに削減する計画となっている 自動車は石油消費の 80% 以上を占めているため 石油消費の削減の担い手となっている 自動車普及台数は 2025 年に 2 倍程度増加すると試算されているため 自動車の石油消費の削減が課題である しかし 燃費基準等の規制措置が形成されていない ただし 燃費基準の導入は燃料品質の向上 とりわけ硫黄分の減少が急務となっている 現状では EURO2 にも満たさない場合があるから 燃料品質の向上にとって最大のネックとなっている 一方 既存の自動車に関しては 車検制度の導入により大量にある年式の自動車の廃止が期待されている また 自動車単体の省エネルギー政策のほか 公共交通機関の整備 道路状況の改善 道路交通信号の合理化も重要な省エネルギー政策となっている 家庭部門 1. エネルギー消費の推移家庭部門のエネルギー消費は 1990 年から 2014 年までの間に年率 2% で増加し 2014 年には 1990 年と比べ 1.5 倍に増加した 最終エネルギー消費に占める家庭部門のエネルギー消費は 経済成長や産業開発に伴い 1990 年の 52% から 2014 年の 37% までに減少したものの 依然として最大のエネルギー消費部門である 家庭部門の燃料別のエネルギー消費を見ると 所得水準の向上に伴い 非商業バイオマスから転換し 電力 石油 ガス等への商業エネルギーの需要が拡大しつつある 2014 年家庭部門エネルギー消費に占める電力消費は 1990 年の 2% から 2014 年の 11% までに増加した ( 図 2-20) 39

61 6 (Mtoe) 天然ガス 電力 2 再生可能エネルギー 廃棄物等 1 0 石油 出典 :International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016 より作成 図 2-20 家庭部門のエネルギー消費の推移 2. 省エネルギー目標 国家省エネルギーマスタープラン (RIKEN 2005) によれば 家庭部門における省エネ 目標は 2025 年に BaU 比 15% 削減としているが 技術別の目標が不明である 3. 省エネルギー政策とその課題インドネシアでは 家電製品の省エネラベリング制度が策定され 2011 年 10 月より蛍光灯電球に対する省エネラベルが開始された エネルギー効率基準はワット当たりの照度を 4 段階 ( 同量のエネルギーで最も明るいものを 4 星 ) に分けている 冷蔵庫 エアコン テレビ等にも順次導入する予定である 図 2-21 にインドネシアの省エネラベリングを示す 出典 :Edi Hilman and Mustafa Said(2009) Energy Efficiency Standard and Labeling Policy in Indonesia 図 2-21 インドネシアの省エネラベリング 機器のエネルギー効率基準においては 蛍光灯電球およびエアコンの最低エネルギー性 能基準 (MEPS:Minimum Energy Performance Standards) が導入されているが その他の機 器のエネルギー効率基準は任意基準となっている MEPS は今後 冷蔵庫 扇風機 電子安 40

62 定器 電気モーター LED 電球 洗濯機 井戸のくみ上げに使うポンプ アイロン テレビに拡大してゆく予定である 住宅に関しては 住宅の断熱性能 空調 照明 建物のエネルギー監査に関する任意基準を策定しているが 基準の義務化には至っていない インドネシアの家庭部門における省エネ施策は ASEAN 諸国と比較してラベリング制度や MEPS の普及は圧倒的に低い状況にある 2016 年にエアコンの MEPS が導入された以外 エネルギー効率基準は自主取り組みであるため 効率改善に対する強制力が働かない MEPS 対象機器は ASEAN 諸国の中で最も少ない ( 表 2-18) 表 2-18 ASEAN 諸国における MEPS 対象機器国 MEPS 対象機器インドネシア 2 機器 : 蛍光灯電球 エアコンフィリピン 8 機器 : 蛍光灯安定器 小型蛍光ランプ 冷凍庫 冷凍冷蔵庫 冷蔵庫 モーター 室外機付エアコン 窓型エアコンタイ 6 機器 : 蛍光灯 CFL 3 相モーター エアコン LPG ガスストーブ 冷蔵庫マレーシア 5 機器 : 冷蔵庫 エアコン テレビ 家庭用ファン 照明 ( 蛍光灯 CFL LED と白熱灯 ) 出典 : 各資料より作成 ラベリングは 2014 年に照明ランプが義務化された後 エアコンの省エネ規制導入とともにラベリングについても義務化されているがその他は自主ベースとなっている また 図 2-22 の製品試験場の人材と設備を見ると ASEAN 諸国と比較して インドネシアのエアコン試験場の能力は 人材 設備 マネジメント 維持 手法において圧倒的に立ち遅れており キャパビルと共に MEPS ラベリングの義務化を推進する必要がある 41

63 フィリピンエンジニア PJ2013 / 67% Engineer 100% PJ2014 / 77% PJ2015 / 83% PJ2013 / 52% インドネシア Engineer PJ2014 / 55% 100% PJ2015 / 57% 設備 Facility/Syste m 50% 0% 手法 Method Facility/System 50% 0% Method Management 管理 Maintenance 維持 タイ Engineer PJ2013 / 92% 100% PJ2014 / 94% PJ2015 / 96% 50% Facility/System Method 0% Management Maintenance PJ2013 / 86% マレーシア Engineer 100% PJ2014 / 91% PJ2015 / 93% 50% Facility/System Method 0% Management Maintenance Management Maintenance 出典 : 日本電機工業会 (2016) Summary of the Result of Mutual Evaluation Test and Training 図 2-22 ASEAN 諸国の製品試験場の能力比較 そのほか 省エネ機器の普及促進に欠かせない優遇措置や補助金などの助成も実施されておらず ( 表 2-19) 一般消費者は初期費用が高い高効率型機器の長期的な経済メリットに対する認識が足りない これが高効率型機器の普及が進まない一因である 表 2-19 ASEAN 諸国での省エネ経済助成制度の比較国経済助成制度インドネシアなし フィリピン (1) 省エネ事業に対し 税制面での優遇措置を実施 (2) 固定資産税の還付 ( ケソン市 ) (3) 省エネルギー設備 機器の投資資金ローン支援タイ (1) ENCON Fund (2) 省エネルギー標準設備基準 30% 援助プログラム (3) 省エネ税優遇制度 (4) 省エネ型電気機器の普及促進の為の DSM プログラム (5) 省エネ循環基金マレーシア (1) 省エネ機器の免税措置 (2) 環境に優しい建物を対象とした免税措置 (3) 省エネ家電割り戻し制度出典 : 各資料より作成 住宅の断熱性の基準においては ASEAN 諸国全般的に 住宅の断熱性の等省エネルギー 42

64 化に向けた基準は 表 2-20 に示した通り義務化されていない インドネシアにおいても建 築基準法に省エネルギー基準が適用されておらず 高断熱化等の強制力が働かない 表 2-20 ASEAN 諸国の住宅の断熱性能基準国住宅の断熱性能インドネシア断熱性能 空調 照明 建物のエネルギー監査に関する任意基準を設定 フィリピン建築物の省エネルギー推進に関するガイドラインを設定 タイ業務部門のビルディングコードは 2009 年に発効しているが 住宅向けの省エネ基準は策定されていない マレーシア住宅を含む建築物の省エネルギーガイドラインを策定して いるが基準の義務化には至っていない 出典 : 各資料より作成 また 家庭の電気料金において ASEAN 諸国と比較して インドネシアの電気料金は平均で 最も低い水準にあり ( 表 2-21) 家庭部門の省エネ意識の醸成に向けた課題として指摘できる インドネシアにおける 6,000 万世帯のうち 20% に対して電力供給がなされていないところ 補助金支給対象となる世帯の契約アンペア 2A, 4A の世帯がそれぞれ全体の 35% 30% を占めている ( 図 2-23) これらの契約世帯への補助金支給の撤廃が省エネルギー意識の醸成に向け重要である 表 2-21 ASEAN 諸国の電気料金比較国家庭向け電気料金比較インドネシア ( ルビア /kwh)or 6 円 /kwh フィリピン 5.69( ペソ /kwh)or 13 円 /kwh タイ ( バーツ /kwh)or 7-14 円 /kwh マレーシア 0.34( リンギット /kwh)or 10 円 /kwh 出典 : 日本貿易振興機構ホームページ 投資コスト比較 低アンペア契約 (2A/4A) の世帯は 全体の 65% を占めており 電力供給容量の制限がある中で 低ワット 低コスト家電製品の方が好まれている 家電の同時運転は不可能であり エネルギー消費の高いエアコンの普及率は まだ 15% しかない また エアコン販売量に占めるインバータ機の割合は 3% 程度 ASEAN 諸国の中で最も低く 省エネ性能も低い契約電力の制限でうまく発揮できない 43

65 >2200W (10A) 5% 1300W (6A) 10% 電力供給なし 20% 900W (4A) 30% 450W (2A) 35% 出典 : 現地ヒアリング調査資料より作成 図 2-23 インドネシアにおける 6,000 万世帯の電力契約アンペアの現状 4. 課題を解決する対策ならびに技術の提案家庭部門の省エネルギー推進における最も根本的な課題は 電化率が低いことや低アンペア契約の世帯が大勢にいる点にある これは 家電全般 高効率家電製品の普及の阻害要因の一つであると言える その対策として 地方電化率の向上や 2A/4A 契約を撤廃し 6A 契約への移行促進が必要である その代わりに これまで 2A/4A 契約世帯に支給された補助金を電力インフラの形成や地域特有の再エネ資源の開発に資する目的で活用すると共に 省エネ技術 機器への投資へ還流させる必要もあるだろう 電力 エネルギー価格が相対的に安価であるため 消費者の省エネルギー意識を喚起するためには 電力料金の適正化 省エネルギー意識向上に向けた啓発活動や情報提供にさらに注力する必要がある 定期的なエネルギー消費実態調査や省エネ意識調査に基づくモニタリングまたは政策評価に資する情報収集も考えられる 普及が進むテレビや冷蔵庫などの家電製品の省エネルギー推進に当たって MEPS の導入やラベリング制度の対象製品の拡大は不可欠である また 基準に適合した製品が市場に流通するために 試験場での適格な検査が必要されており それに伴い 製品試験場での人材育成や設備の充実化も求められる 高効率家電機器の普及促進に当たって 優遇措置 補助金等の助成 日本のエコポイント制度のような措置を創設し 高アンペア契約への移行推進と共に実施されることも考えられる 住宅の断熱性能基準の導入による住宅の省エネルギー性能の向上も長期的には必要である 技術面での対策としては 照明の LED 化 ならびに 2016 年に MEPS が導入されたエアコンの更なる基準向上 そして今後 MEPS 導入が予定されている冷蔵庫 テレビ 洗濯機 炊飯器の高効率化が望まれる 44

66 業務部門 1. エネルギー消費の推移業務部門のエネルギー消費は インドネシアの最終エネルギー消費に占める割合が 3.1% と最も小さいものの 近年急速に消費量が拡大しており インドネシアにおける将来的な省エネルギー推進を考える上で重要な部門である 実際 1990 年から 2014 年の間に業務部門のエネルギー消費は年率 8.2% で増加しており 同期間の最終エネルギー消費が年率 3.1% で増加したのと対比をなす エネルギー源別では 電力消費が 1990 年から 2014 年の間に年率 10.3% で急速に拡大しており 業務部門に占める割合も 1990 年の 50.1% から 2014 年には 78.4% へと増加した ( 図 2-24) これとは対照的に ディーゼルや重油等の石油製品を活用したオンサイトの発電用途で利用される石油製品の消費量は 1990 年には業務部門のエネルギー消費のうち 40.1% を占めていたのが 国内の電化が進展したことを受けて 年率 3.7% 増で推移 2014 年にはその割合は 14.1% へと縮小している 最終エネルギー消費 (Mtoe) 6 5 サービス産業 GDP (2010 年価格, 10 億ドル ) 天然ガス 再生可能エネルギー 廃棄物等 電力 石油 出典 :International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016, World Bank (2016) World Development Indicators より作成 図 2-24 業務部門のエネルギー消費の推移 45

67 Mtoe インドネシアマレーシアフィリピンタイベトナム toe/ 人 インドネシアマレーシアフィリピンタイベトナム 出典 :International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016, World Bank (2016) World Development Indicators より作成図 2-25 ASEAN 諸国の業務部門エネルギー消費比較 ( 左 ) ASEAN 諸国の一人当たり業務部門エネルギー消費比較 ( 右 ) の推移 空調照明エレベーターその他 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 17% 13% 16% 14% 6% 3% 14% 5% 4% 22% 15% 65% 16% 22% 27% 57% 57% 55% 25% 47% 出典 : 国際協力機構 (2009) インドネシア国省エネルギー普及促進調査 より作成 図 2-26 診断対象となった業務用ビルの用途別電力消費 46

68 kwh/m 2 出典 :Lee Siew Eang (2015) A Review of Building Energy Efficiency Development in Indonesia より作成 図 2-27 業務建築物の業種別床面積あたりエネルギー原単位の比較 業種別床面積あたりのエネルギー消費では インドネシアの水準は 日本と比較して 10~20% 程度多くエネルギーを消費している 日本の水準と床面積あたりエネルギー消費に乖離がある理由として インドネシアにおける導入される技術の効率水準が高くはないこと 建築物のエネルギー効率基準遵守にかかわる課題や年間を通した冷房需要の必要性が指摘できる kw/rton インドネシア 27% 0.55 シンガポール ( 最良水準 ) 0.65 シンガポール ( 平均水準 ) 出典 :Lee Siew Eang (2015) A Review of Building Energy Efficiency Development in Indonesia より作成図 2-28 業務用チラーのエネルギー効率比較導入技術の効率水準として 業務用チラーの効率をインドネシアとシンガポールに関して比較した例を図 2-28 に示す 図が示す通り インドネシアの業務用チラーのエネルギー効率は シンガポールの最良水準と比較して 27% 多くエネルギーを消費している シンガポールの平均的なチラーの効率水準と比較しても 13% 多くエネルギーを消費している 47

69 2. 省エネルギー目標国家省エネルギーマスタープラン (RIKEN 2005) によれば 基本計画策定時から 2025 年までの各部門における省エネポテンシャルは それぞれ 産業 (17%) 業務(15%) 運輸 (20%) 家庭(15%) としている 同マスタープランにおける業務部門における省エネ目標は 2025 年に BaU 比 15% 節減としている 他方 前提となる技術別の目標は明らかにされていない 3. 省エネルギー政策とその課題業務部門の省エネルギー政策は (1) 大規模業務ビルのエネルギー管理制度ならびに (2) 建築物の省エネルギー基準から構成される (1) 大規模業務ビルのエネルギー管理制度は 2009 年に制定された省エネルギーに関する法律 No.70 によるもので 同法では年間エネルギー消費が石油換算で 6,000 トン以上の建築物ならびに産業部門の事業者は エネルギー管理プログラムを実施することが規定されている 具体的には 同法の 12 条において対象事業者はエネルギー管理士を指名 省エネルギープログラムの実施ならびにエネルギー監査の実施 そして省エネルギー計画と手段を政府に対して報告する義務が課される 表 2-22 業務部門の省エネルギーに関連する法律 業務部門の省エネルギーに関連する法律エネルギーに関する法律 Law No. 30/2007 省エネルギーに関する法律 No.70/2009 Article 12 節電に関するエネルギー鉱物資源省規制 No.13/2012 エネルギー管理に関するエネルギー鉱物資源省規制 No.14/2012 エネルギー管理士の適格性に関するエネルギー鉱物資源省規制 No.13/2010 及び No.14/2010 出典 : 各種資料より作成 内容国家エネルギー委員会の形成と国家エネルギー計画の策定に関する法律年間エネルギー消費 6,000 toe 以上の事業者に対するエネルギー管理規制全ての政府建物 公共施設 街灯 看板照明は 前の 6 ヶ月間の電力消費の平均から 20% 節減する規制年間エネルギー消費 6,000 toe 以上の事業者に対するエネルギー管理規制エネルギー管理士ならびにエネルギー監査士の適格性を定めた規制 48

70 年間エネルギー消費 (toe) 出典 : 国際協力機構 (2009) インドネシア国省エネルギー普及促進調査 図 2-29 業務建築物における延べ床面積と年間エネルギー消費の関係 5 万m2以上, 0% 3 万 ~5 万m2, 2% 3 万m2以下, 98% 出典 : 国際協力機構 (2009) インドネシア国省エネルギー普及促進調査 図 2-30 業務ビルの床面積別全体に占める割合 業務部門におけるエネルギー管理制度の課題として対象事業者の数が圧倒的に小さいことが指摘できる 年間エネルギー消費が石油換算トンあたり 6,000 トン程度の業務ビルの床面積は 40 万 m 2 以上の建物に相当する 他方 インドネシアの業務ビルは 98% が 3 万m2以下である ( 図 2-29 および図 2-30) エネルギー管理制度の対象事業者を拡大するためにも 現行の年間エネルギー消費 6,000 石油換算トンから 700 石油換算トン程度に引き下げる必要がある 国内のエネルギー管理士 診断士の数が不足していることも課題として挙げられる 国内におけるエネルギー管理士ならびに監査士の有資格者数は 2016 年の時点でそれぞれ 278 名 163 名である エネルギー管理士については 産業部門の同人数が 266 名である一方で 業務部門のエネルギー管理士はわずかに 12 名にとどまり エネルギー管理にかかわる人材数が圧倒的に不足していることが分かる 49

71 表 2-23 エネルギー管理士 監査士の有資格者数 ( 単位 : 人 ) エネルギー管理士 エネルギー監査士 合計 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) ASEAN-Japan Energy Efficiency Partnership - Indonesia より作成 業務部門の省エネ投資の現状として JICA(2009) が行った調査では 投資額の規模割合でみても 1 億ルピア以下の省エネ投資が全体の 69% を占めており 1 年以下の投資回収年数の省エネ投資がほぼ 70% を占めている 国内の融資金利が 12% を超えるなど 資金調達コストが大きい中で 省エネルギー投資に対するインセンティブが低いことが課題として指摘できる 100% 90% 80% 70% 60% 50% 4% 27% 10 億ルピア以上 1-10 億ルピア 100% 90% 80% 70% 60% 50% 3% 27% 2 年以上 1-2 年 40% 30% 69% 1 億ルピア 40% 以下 70% 30% 1 年以下 20% 20% 10% 10% 0% 業務ビル 0% 業務ビル 出典 : 国際協力機構 (2009) インドネシア国省エネルギー普及促進調査 図 2-31 業務部門の省エネ投資の現状 (2) 建築物のエネルギー効率改善に向けて 建築物の国家省エネルギー基準 (SNI) が策定されている 他方 同基準の遵守は義務化されておらず 建築に際しての事業者に対するレファレンスとして活用されている 現在のところ 外皮性能 室温 湿度 照明システムならびにエネルギー監査の手法に関する基準が策定されている 50

72 表 2-24 建築物の省エネルギー基準建築物の省エネルギー基準 SNI 建築物の外皮性能 (OTTV & RTTV < 35 W/m2) SNI 建築物におけるエアコン利用にかかわる省エネルギ SNI ー ( 室温 :24-27 度 湿度 :60%±5%) 建築物の照明システムにかかわる省エネルギー ( 事 SNI 務所 家庭 産業 病院 ショッピングセンター ) 建築物のエネルギー監査に関する手法 SNI 注 :OTTV (Overall Thermal Transfer Value), RTTV (Roof Thermal Transfer Value) の略出典 :Andriah Feby Misna (2014) Energy Efficiency of Buildings in Indonesia より作成 建築許可ならびに運用 管理 解体に関しては 建築物の法律 No.28/2002 に規定され ており オーナーまたは建築事業者が地方自治体に申請し 地方自治体の担当部局が適宜 指示 監督 規制を行う ジャカルタ首都特別州 (DKI Jakarta) では グリーンビルに関する知事令 (Governor Regulation No.38/2012) が公布され 建築物の省エネルギーと環境に関する規制が義務化された グリーンビルは計画 建設 利用 維持 解体まで環境と資源の効率利用に配慮するものであり ジャカルタ首都特別州では 新築ならびに既築改修に際して同法令の規定に従う必要がある なお 同法令の対象となるのは 以下の通りである 集合住宅 事務所 複合施設で床面積が 50,000 m2以上の建築物 ホテル 公共文化施設 医療 健康関連施設で床面積が 20,000 m2以上の建築物 社会文化施設 教育サービス施設で床面積が 10,000 m2以上の建築物 同法令での規制内容は 1 省エネルギーの推進 2 水資源の効率的利用 3 室内環境 の改善 4 土地 廃棄物利用 5 建築に際しての環境への配慮である インドネシアでは建築物の省エネルギー基準が整備されており ジャカルタ首都州ではグリーンビルディング基準の遵守が義務化されているものの こうした基準の遵守を徹底するメカニズムが導入されておらず 先の出典 :Lee Siew Eang (2015) A Review of Building Energy Efficiency Development in Indonesia より作成図 2-27 でもみたように 床面積あたりのエネルギー消費として 日本の平均的な水準と比較すると 10~20% 程度改善余地があると指摘できる 51

73 また 業務部門の省エネルギー推進に対する課題として以下が指摘できる 電力等価格が国際的にみても低いことから エネルギー管理プログラム実施に対するインセンティブの不足 省エネルギーに対する認識が不足しているのと共に ベンチマークデータベース等 正しいデータの不足 建築物のエネルギー管理士やオーナーが省エネルギー対策手段に関する知識の不足 省エネルギー投資に対する融資メカニズムの不足 4. 課題を解決する対策ならびに技術の提案インドネシアにおける業務部門の省エネルギー推進課題に対応するためにも 政策 規制ならびに遵守メカニズムの構築 ならびに低利融資等のファイナンスメカニズムの構築が必要である 具体的には 現行のエネルギー管理制度における業務部門のカバー率は全体の 1%(35 事業者 ) と限定的であり 対象範囲を述べ床面積 5 万m2 年間エネルギー消費量 700toe に下げるなど 対象を拡大する必要がある また 資金調達コストが膨大となることを阻害要因として 省エネ投資は積極的に行われていないため 利子補給等の低利融資に向けた政府支援が必要である 課題を解決するための技術としては 業務部門における用途別の電力消費調査結果が示す通り インドネシアにおいては空調の占める割合が事務所の場合 47% ホテルでは 65% と圧倒的に大きいことから 高効率チラーならびにパッケージエアコンのインバータ化 そして建築物の省エネルギー基準の遵守による断熱性能の改善が鍵である 断熱性能の向上に資する Low-E ガラスや複層ガラスの導入は 空調需要の低減に向けて極めて重要である 加えて 換気の熱ロス改善も空調需要が大きいインドネシアでは有効な省エネルギー手段である 同様に 照明の LED 化や IT を活用した照明制御機器の導入も業務部門の効率改善に資する 52

74 [ 参考文献 ] Edi Hilman and Mustafa Said(2009) Energy Efficiency Standard and Labeling Policy in Indonesia European Cement Association World Statistical Review Farida Zed (2015) Indonesia Energy Efficiency and Conservation Status, Gaps, and Opportunities entations/global%20ee%20workshop,%20nov%202015/day%204/indonesia.ashx?la=da Food and Agriculture Organization of the United Nations FAOSTAT Indarti (2011) Energy Efficiency Indicators in Indonesia International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016 Kusuma (2016) Improvement of the existing energy manager training & certification system with roadmap plan of energy management system Lee Siew Eang (2015) A Review of Building Energy Efficiency Development in Indonesia Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Statistik EBTKE Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) ASEAN-Japan Energy Efficiency Partnership - Indonesia Ministry of Industry (2012) Needs for Energy Planning for the Industry Sector towards the Acceleration of Industrialization Ministry of Industry (2015) Industrial Energy Efficiency Initiatives & Standards tations/industrial_energy_efficiency_initiatives standards_indonesia_mrs_shinta_sirait.pdf National Center of National Action Plan for Greenhouse Gas reduction (Sekretariat RAN-GRK) Republic of Indonesia (2010) Indonesia's Technology Needs Assessment on Climate Change Mitigation Updated Version Statistics Indonesia (BPS) (2016) Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016 World Steel Association Steel Statistical Yearbook オンラインエネルギー管理報告 Web サイト 経済産業省 (2015) 平成 26 年度アジア産業基盤強化等事業インドネシアの現地中小企業の実態調査 ( 委託先 : 日本経済研究所 ) 53

75 経済産業省 (2016a) 平成 27 年度エネルギー使用合理化委託促進基盤整備委託費 ( 新興アジア諸国における自動車の需要動向等調査事業 ) 調査報告書 ( 委託先 : 三菱 UFJ 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング証券株式会社株式会社 ) 経済産業省 (2016b) 平成 27 年度国際エネルギー使用合理化等対策事業 ( 省エネルギー人材育成事業 ) ( 委託先 : 省エネルギーセンター ) 国際協力機構 (2009) インドネシア国省エネルギー普及促進調査 ( 委託先 : 電源開発株式会社 ) 日本電機工業会 (2016) Summary of the Result of Mutual Evaluation Test and Training 日本貿易振興機構ホームページ 投資コスト比較 54

76 第 3 章 2030 年までの省エネルギーポテンシャルおよび 費用対効果分析 3.1. 省エネルギーポテンシャルの試算方法 概要 ( 全部門共通 ) 分析にあたっては 日本エネルギー経済研究所のエネルギー需給分析モデル (IEEJ モデル ) を活用する 本モデルでは 図 3-1 に示すように回帰分析によって 社会経済指標とエネルギー需要との相関を分析 需要部門から転換部門 供給部門までを整合的に分析できるモデルとなっている 以下 IEEJ モデルによる分析の枠組みをまとめる IEEJ モデルは 1マクロ経済モデルと2 部門別 エネルギー源別の分析を行うパートから構成される 1の結果である GDP 人口 エネルギー価格といった変数や 気温や世帯構成 産業構造の変化は2の部門別 エネルギー源別の分析に活用する また 3 家庭部門と業務部門に対してサブモデルを構築 1の GDP や人口 エネルギー価格等のマクロ経済モデル結果を活用し 機器 技術の販売とストックの変化を分析 それらのエネルギー効率改善を分析し 2の部門別 エネルギー源別分析に変数として活用する 1 2 3の分析を通して 技術保有とエネルギー効率の改善など様々な社会経済変数との相関を分析する 省エネルギーポテンシャル分析にあたっては 図 3-2 に示すように BaU ケースと高効率技術が普及する Alternative ケース ( 以降 ALT ケース ) の 2 ケースを設定し それらの差分を省エネルギーポテンシャルとして提示する 業務部門以外では 最終エネルギー需要は 家庭 産業 (12 業種 ) 運輸(2 部門 4 輸送機関 ) を分析 他方供給面では 事業用発電 産業用自家発 地域電力 熱供給の分析を行う 最終需要の業種別 用途別省エネ効果分析と 分析対象として選定した政策 制度の省エネ効果を機器 技術別に試算できる 需要面のみならず 供給面も分析できるため 省エネルギー分析で選定した政策 制度の省エネルギー効果を一次エネルギー換算し それらの CO2 削減効果も分析可能である 1 社会経済的側面とエネルギー需要の関係 及び2 技術的側面とエネルギー需要の関係の両方から省エネルギー効果の分析が可能である 55

77 モデル前提 各ケース共通 人口 世帯 労働力人口 為替レート等 原油価格 石炭価格 LNG 価格等 マクロ経済モデル GDP 物価 産業別生産量 生産指数 床面積等 エネルギー価格モデル 石油製品 電力 都市ガス価格 エネルギー需給モデル 需要最終エネルギー消費 産業 (12 業種 ) 家庭 (5 用途 ) 業務 (9 業種 ) 運輸 (2 部門 4 輸送機関 ) 技術積み上げモデル エネルギーバランス表 CO 2 排出量 バランス 供給一次エネルギー供給 エネルギー源別 転換部門 ( 発電 石油精製 ガスプロセス 自家発 ) 部門毎に詳細に積み上げ エネルギー源毎に需要と供給を整合させるので 需要家 供給事業者双方に対して数値の提示が可能 出典 : 日本エネルギー経済研究所作成 図 3-1 IEEJ モデルの概要 一般普及機器導入ケース 1BaU エネルギー需要 省エネルギ - ポテンシャル (1-2) 2Alternative エネルギー需要 高効率機器導入ケース 1986 年規制導入年 2030 年 出典 : 日本エネルギー経済研究所作成 図 3-2 省エネルギーポテンシャルのイメージ図 56

78 サブモデルの活用 ( 家庭部門 業務部門 運輸部門 ) 上記の様にエネルギー需要と社会経済指標との相関を求める以外にも 家庭部門や業務部門の様にエネルギー需要の多くが一部の機器によって生じる場合については 分析内容を精緻化するためにサブモデルを活用する 技術 機器の販売とストックを推計 インドネシア全体の技術 機器別エネルギー効率をストックレベルで分析し それらとエネルギー需要との相関を分析する 具体的には 以下の手順でサブモデルの分析を進める すなわち 機器 技術別に経済や人口 床面積などを参照し 販売数を求める 特定年に販売された機器 技術の残存率をワイブル分布に従い推計 これにより特定年に存在する機器 技術のストックが推計可能となる これらの特定年に販売された機器 技術の販売レベルでの効率を想定 フローでの効率が決定される 特定年に販売された機器 技術の残存率を求めることから ストックでのエネルギー効率を求め これを指標化し IEEJ モデルで変数として活用し エネルギー需要との相関を分析する 省エネルギー政策の効果分析 ( 全部門共通 ) ここまで述べた分析に加え インドネシアにおいて追加的な省エネルギー政策が導入された場合の定量的な効果についても分析を実施する 具体的には 2017 年以降にそれぞれの部門にふさわしい省エネルギー政策を検討した上で 同政策が導入された際の省エネルギー効果を分析している なお 詳細な試算方法や前提については 部門毎の特性を考慮して分析を実施している ため 各部門の項目を参照されたい 57

79 産業部門本項では エネルギー効率の改善が現状程度にとどまる 2030 年までのエネルギー需要見通し (BaU ケース ) を作成 その上でエネルギー多消費産業を対象とした業種別の省エネルギーポテンシャルを分析する さらに インドネシアに日本の省エネルギー政策が導入された場合の効果を試算する 1. 業種別省エネルギーポテンシャルの推計 試算方法の補足産業部門の省エネルギーポテンシャルの試算においては 3.1 の試算方法に記載の通り IEEJ モデルを活用して業種別に分析する 22 BaU ケースは IEEJ モデルを活用し 計量経済の手法を用い 生産量とエネルギー需要との相関を考慮し将来需要見通しを作成する 一方 ALT ケースでは高効率機器が最大限導入されたと仮定した場合におけるエネルギー原単位を 2030 年に亘って想定 IEEJ モデルにより導出された生産活動量に乗じることでエネルギー需要見通しを作成する ALT ケースにおけるエネルギー原単位の想定は 日本エネルギー経済研究所 (2016) 世界 アジアエネルギーアウトルック 2016 の技術進展ケースや International Energy Agency (2012,2014) を参考に業種別の改善率を想定している 試算対象業種試算対象業種は第 1 章で特定した様に鉄鋼 セメント 紙パルプ 繊維である 図 3-3 は インドネシア工業省による 7 業種 ( 鉄鋼 セメント 紙パルプ 繊維 食品 化学 ) を対象とした 2012 年時点のエネルギー消費量である 本節では このエネルギー消費統計に基づき エネルギー消費量の上位 5 業種のうち 化学肥料業を除く 4 業種を試算対象とする 22 なお 一部 モデルに用いるデータの前提を国際協力機構 (2015) における業種ごとの燃料種別消費量や インドネシア中央統計庁のデータに変更している 58

80 鉄鋼, 268, 3% 化学肥料, 389, 5% セラミック, 103, 1% 食品, 43, 1% セメント, 552, 7% 繊維, 1,927, 23% 紙パ, 5,000, 60% 単位 :ktoe 出所 :MOI(2012) 出典 :Ministry of Industry (2012) Needs for Energy Planning for the Industry Sector towards the Acceleration of Industrialization より作成 図 3-3 業種別エネルギー消費量 (2012 年 ) 2. エネルギー需要見通し Mtoe 実績値 予測値 Mtoe 鉄鋼 セメント 実績値 予測値 20% 2030 年 紙パルプ 繊維 BAU ケース ALT ケース 鉄鋼 セメント 紙パ 繊維 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 図 3-4 部門別省エネルギーポテンシャルの試算結果 (Mtoe) 59

81 産業部門における分析対象業種のエネルギー需要は BaU ケースにおいて 2014 年の 12Mtoe から 2030 年には 28Mtoe へ年率 5% で増加する見通しである 2030 年時点でのエネルギー需要を業種別にみるとセメントの 11Mtoe が最大であり 紙パルプ (9Mtoe) 鉄鋼 (5Mtoe) 繊維(3Mtoe) と続き セメントおよび紙パルプのエネルギー需要が 2030 年における 4 業種のエネルギー需要の 70% を占める見通しである 一方 ALT ケースにおいては 2030 年時点の 4 業種のエネルギー需要は 22Mtoe となる見通しで BaU と比較して 約 20%(6Mtoe) の省エネルギーポテンシャルを有している 2030 年の省エネルギーポテンシャルを業種別にみると セメントの 2.1Mtoe が最大であり これに紙パルプ (1.7Mtoe) 鉄鋼(1.3Mtoe) 繊維(0.4Mtoe) と続く 3. 省エネルギー政策の効果本項では 試算した省エネルギーポテンシャルを達成するために必要な政策措置を検討 それらの定量的な効果を分析する 具体的には 日本の省エネルギー政策を整理 検討し これらの政策がインドネシアへ導入された場合の政策効果を試算する インドネシアで導入される省エネルギー政策の検討 機器 技術 事業者 業種 省エネ基準 ラべリング MEPS( 機器等のエネルギー消費効率規制 ) トップランナー エネルギー管理制度 ベンチマーク制度 低炭素社会実行計画 ( 業界目標 ) 出典 : 日本エネルギー経済研究所作成 図 3-5 日本の省エネルギー政策の概要と政策効果のフロー 産業部門における省エネルギー政策は 規制や補助金等の多様な政策手法を 技術 事業者 業種といった階層ごとに組み合わせることで 効果的な対策の実施が可能である 実際に日本の省エネルギー政策は多層的に実施されており 個々の技術ではトップランナー制度 事業者別では省エネ法に基づくエネルギー管理制度やベンチマーク制度 業種では低炭素社会実行計画が実施されている そのため インドネシアへ日本の省エネルギー政策を導入する際は個別の政策ではなく エネルギー管理制度やベンチマーク制度 低炭素社会実行計画など複数の政策をパッケージ化することにより各制度が補完的に機能するため 省エネルギーポテンシャルの実現に向け有効であると考えられる 60

82 試算方法 一般普及技術導入ケース 1BaU エネルギー需要 1) 省エネ政策による効果 2) インセンティブ ( 不足分 ) 2Alternative エネルギー需要高効率技術導入ケース 2000 年 2017 年 2030 年 ( 制度導入年 ) 出典 : 日本エネルギー経済研究所作成 図 3-6 政策効果のイメージ図 インドネシアに日本の省エネルギー政策を導入した際の効果 ( 以降 導入効果 ) は BaU ケースのエネルギー需要と政策導入時のエネルギー需要の差分として表される最大の省エネルギー効果の内数となる 政策の導入効果を試算することにより 最大の省エネルギーポテンシャルを達成するために必要な政策措置が明らかにできる 検討対象とする政策導入時のエネルギー需要は 省エネルギー政策を導入したことにより改善したエネルギー原単位に BaU ケースと同じ生産活動量を乗じることで求める 政策効果としては 低炭素社会実行計画の実績値を参照する 具体的には紙パルプ業 23 におけるエネルギー原単位の改善実績を カバー率に一定の想定をした上 24 で試算する また 導入効果のみでは前節で試算した省エネルギーポテンシャルを達成できない可能性がある その際 不足分については補助金や低利融資 税控除等のインセンティブ措置の必要性を表すものと見なす 23 紙パルプ業界では 1990 年から 2015 年の 26 年間でエネルギー原単位を 33% ほど改善しているため 年平均の原単位改善率は 1.3% となる なお 低炭素社会実行計画には今回の分析対象である 4 業種すべてが参加しているが 製造工程の違いや業界団体のバウンダリーの不一致等から 本分析では紙パルプ業のエネルギー原単位を用いた 24 低炭素社会実行計画は業界団体の取組であるため カバー率が低い場合は業界団体と業種全体の改善率が一致しない 加えて 政策導入当初より分析対象業種の事業者が網羅されることは困難である 従って 政策導入対象が段階的に増えると想定した なお カバー率については推計開始年である 2017 年から段階的に拡大し 2030 年時点で 60-70% になると想定した 61

83 分析結果 Mtoe 14% 省エネ政策 実績値 予測値 1. 低炭素社会実行計画 2. エネルギー管理制度 3. ベンチマーク制度 6% インセンティブ 省エネルギー政策 インセンティブ BAU ケース ALT ケース 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 図 3-7 産業部門における政策効果の分析結果 日本の省エネルギー政策を導入した場合の政策効果を図 3-7 に示す 低炭素社会実行計画やエネルギー管理制度 ベンチマーク制度等の日本の省エネルギー政策を総合的に導入した場合 2030 年時点で 3.8Mtoe の省エネルギー効果が得られ BaU ケース比で 14% の節減となる 一方で 日本の省エネルギー政策の導入効果のみでは 1 で試算された省エネルギーポテンシャルを満たすには不十分であるため BaU ケース比で約 6% 経済インセンティブ措置が必要となる 家庭部門インドネシアの家庭部門におけるエネルギー消費の 76% を木材など農村地で活用される非商業用バイオマスが占めている (2014 年 ) このため 2000 年以降の家庭部門におけるエネルギー需要の伸びは 年率 1.1% とゆるやかであるが 電力やガスなどの商業用エネルギー消費は 2000 年以降所得水準の拡大とインフラ形成に下支えされ それぞれ年率 7.3% 28.2% と急速なペースで拡大してきている 将来的にも家庭部門における更なる所得水準の拡大に伴う世帯当たりの機器保有増やインフラ形成にともなう商業用エネルギー需要の増加が見込まれる 62

84 1. 省エネルギーポテンシャル分析の枠組み及び前提条件インドネシアの家庭部門における省エネルギーポテンシャルの分析の枠組みは前述の通り 計量経済手法を用い BaU ケースの将来の需要見通しを作成している 省エネルギーポテンシャルは 機器の販売ならびに普及見通しを作成した上で それぞれの機器が現状の効率水準を維持した場合を BaU ケースとする一方 2017 年以降の新規販売機器が先進国並みのエネルギー効率水準を達成した場合を ALT ケースとして その差分を省エネルギーポテンシャルとして分析を行った 本分析で対象とした機器は 第 1 章の 課題を解決する技術 で指摘した将来的普及が見込まれる機器であるエアコン 冷蔵庫 照明 洗濯機 給湯器 テレビを対象とした これらの 2030 年までの効率改善に関する前提は以下の通りである なお 前提の設定に関しては LBNL (2008) ならびに日本エネルギー経済研究所 (2016) を参照した 表 3-1 分析の前提 2013 年の効率 BaU(2030 年 ) ALT(2030 年 ) エアコン (COP) 冷蔵庫 (kwh/ 年 ) 洗濯機 (kwh/ 年 ) 照明 (kwh/ 年 / 個 ) 給湯器 (kwh/ 年 ) 年率 1.5% で改善 テレビ (kwh/ 年 ) 出典 : 日本エネルギー経済研究所 2. エネルギー需要見通しインドネシアの家庭部門におけるエネルギー需要は 非商業用バイオマスを含む場合 BaU ケースにおける年率 1.5% で増加 2014 年の 61.4 Mtoe から 2030 年には 78.5 Mtoe と 25% 増加する見通しである 他方 非商業用バイオマスを除く家庭部門の商業用エネルギー需要は 2030 年まで年率 3.4% で増加 とりわけ電力と天然ガスの需要は 同 5.2% 増 13.4% 増の見通しである 特に天然ガスは 現状ではガス供給インフラが形成されるジャカルタ周辺に家庭部門での利用は限定されるが 供給網の拡大を見込み 予測期間の GDP 成長率の 5.2%/ 年を上回る急速なペースで拡大する見通しである 63

85 Mtoe 石油天然ガス電力非商業用バイオマス 実績 予測 出典 : 日本エネルギー経済研究所 図 3-8 家庭部門のエネルギー需要見通し (BaU)( Mtoe) 図 3-9 に 2030 年における機器別のインドネシアにおける省エネルギーポテンシャルを示す 図が示す通り 2030 年の世帯当たり保有台数を 0.38 台 (2015 年の世帯当たり保有台数は 0.20 台 ) と見込むエアコンの省エネルギーポテンシャルが最も大きく 1.3 Mtoe に上る これに 2030 年の世帯当たり保有台数が 0.89 台 (2015 年の世帯あたり保有台数は 0.58 台 ) に上り年間稼働時間の高い冷蔵庫が続く (0.38Mtoe) 普及率の高い照明の 2030 年における省エネルギーポテンシャルも 0.35 Mtoe に上る このほか 洗濯機の省エネルギーポテンシャルは 0.21 Mtoe これに給湯器の 0.19 Mtoe が続く これらの省エネルギーポテンシャル合計は 2030 年において 2.6 Mtoe に上り 同年の家庭部門における商業用エネルギー需要 ( 非商業用バイオマスを除く ) の 10% を占める 64

86 エアコン 1,329 冷蔵庫 375 照明 351 洗濯機 207 給湯器 193 テレビ 114 2, ,000 1,500 2,000 2,500 3,000 ktoe 出典 : 日本エネルギー経済研究所 図 3-9 家庭部門の省エネルギーポテンシャル (2030 年, Mtoe) 3. 省エネルギー政策の効果分析本項では機器の効率基準改善以外の政策効果を検討する 具体的には 欧米諸国で実施されるエネルギー供給者への省エネルギー義務制度の省エネルギー効果を試算する エネルギー供給者義務制度 (EEO: Energy Efficiency Obligation) とは 電力やガス等のエネルギー供給事業者に対して 年間販売エネルギーの特定割合を節減する目標を設定 原資を主に消費者から徴収した資金を活用し エネルギー供給事業者が需要サイドにおいて 様々な省エネルギープログラムを実施するものである 具体的には 消費者の電力 ガス料金に上乗せした費用を原資として活用し 家庭部門の消費者が高効率機器を導入するにあたっての費用の一部を負担 高効率機器の導入を促進するプログラムなどがある インドネシアにおける省エネルギー機器導入にあたっては 初期投資が高額となることが障壁として指摘できる この点を踏まえ エネルギー供給者義務制度による効果を検討することとする 65

87 消費者が負担する原資に基づく省エネプログラムの実施 目標達成に伴うインセンティブと株主への還元 省エネルギーに伴う販売減少分の補てん エネルギー供給事業者 エネルギー供給 料金支払い 省エネ機器購入 省エネルギー情報 アドバイスの提供 需要家 省エネルギーにともなう電力 ガス料金の節減 費用対効果の高い省エネ技術導入による 1 エネルギー安定供給の確保 2 CO2 削減への貢献を達成 図 3-10 エネルギー供給者義務制度の概要 なお 同制度の導入にあたっては 欧米諸国では原資の消費者負担が一般的であるが インドネシアでは 電力や石油事業者に支払われる補助金の一部をこうした需要サイドでの省エネプログラム実施費用にシフトさせるといったことが検討される必要がある また 同制度の導入にあたっては エネルギー供給事業者に対する省エネルギー目標の設定 プログラムの運営と達成した省エネ量の報告や検証といった様々な制度の構築が必要である点には注意が必要である 他方 消費者への直接のコミュニケーションの窓口としてコンタクトを有するエネルギー供給事業者の省エネルギー推進における果たすべき役割を考慮し 同制度の省エネルギーポテンシャルを検討する Mtoe 実績 予測 出典 : 日本エネルギー経済研究所作成 図 3-11 家庭部門のエネルギー需要見通し (BaU ケースと ALT ケース比較 ) 66

88 分析にあたっては 米国東海岸地域におけるエネルギー供給者義務制度で電力事業者が達成する省エネルギーの電力販売に占める割合の平均値である 1.3% を活用 2017 年の導入から 2030 年までの効果を検討した 図 3-11 が示す通り エネルギー供給者義務制度の家庭部門における省エネルギーポテンシャルは 2.8 Mtoe であり 前項での MEPS 導入による省エネルギー効果とほぼ同水準の省エネルギー効果に上る 業務部門インドネシアの業務部門におけるエネルギー消費は 最終エネルギー消費の 3.2% と占める割合は小さい 他方 同部門における 2000 年以降のエネルギー消費の伸びは年平均で 5.4% であり 最終エネルギー消費の伸びが同 2.3% であるのと比較すると同部門の伸びの高さが分かる 将来的にも産業構造のサービス化や OA 機器の普及をふまえ インドネシアの業務部門におけるエネルギー需要拡大が見込まれるため 特に用途別の需要として占める割合が大きい空調や照明を中心とした効率改善に取り組むべき部門である 1. 省エネルギーポテンシャル分析の枠組み及び前提条件ここでは 技術別の効率改善によるインドネシアの業務部門における省エネルギーポテンシャルを照明 冷房 機器 冷蔵 換気について行った 同分析の手法としては 前述の通り LBNL (2008) を参照し インドネシアにおける業務建築物の床面積を推計した上で 各機器の床面積あたり導入量を想定 それぞれの耐用年数から毎年の販売台数を推計している 販売台数の推計とともに 各機器の効率を下記の通り想定し 効率が現状程度に留まる BaU ケースと効率改善が進む ALT ケースについて推計 両者のストック効率に活動量を乗じたエネルギー需要の差分を省エネルギー量として推計している 2. エネルギー需要見通し 業務部門のエネルギー需要は 2014 年から 2030 年まで年率 5.5% で増加する見通しである 同期間の GDP が年率 5.3% で拡大する見通しであるのと比較すると それを超える急速なスピードでの増加見通しであり 2014 年の水準と比較すると 2030 年には 2.4 倍の 13 Mtoe に達する エネルギー源別では 電力の伸びが年率 6.5% での増加見通しであり その占める割合は 2014 年の 77% から 2030 年には 89% へと拡大する 予測期間における天然ガスの伸びは年率 6.1% 増と急速に拡大する見通しであるが 2030 年における業務部門のエネルギー需要に占める割合は 4% に留まる 67

89 Mtoe 電力天然ガス石炭再生可能エネルギー 14 実績 予測 出典 : 日本エネルギー経済研究所 図 3-12 業務部門のエネルギー需要見通し (BaU)( Mtoe) 照明 580 冷房 387 機器 341 冷蔵 234 換気 52 省エネ量 1, ,000 1,500 Mtoe 出典 : 日本エネルギー経済研究所 図 3-13 業務部門の省エネルギーポテンシャル (2030 年, Mtoe) 68

90 図が示す通り 上記技術を対象としたインドネシアの業務部門の 2030 年における省エネルギーポテンシャルは 1.6Mtoe に上り これは 2030 年の業務部門におけるエネルギー需要の 12% に相当する 技術別では 照明の省エネルギーポテンシャルが最大で 0.58Mtoe これに冷房の 0.39Mtoe OA 機器の 0.34Mtoe 冷蔵の 0.23Mtoe 換気の 0.052Mtoe が続く 特に家庭部門とは対照的に照明や冷房の省エネルギーポテンシャルが相対的に大きいのは 普及率とともに事務所ビル等でのこうした技術の稼働時間が長いことを要因としている 3. 省エネルギー政策の効果家庭部門と同様に 政策効果を分析するためにエネルギー供給者義務制度の業務部門における省エネルギー効果を試算した 前項と同様に 米国東海岸地域でのエネルギー供給者義務制度の実施による電力の販売に占める省エネルギーの割合を 1.3% と想定 2017 年から 2030 年の累積分をエネルギー供給者義務制度の省エネルギー効果として試算した 結果として エネルギー供給者義務制度の省エネルギー効果は 2030 年で 2.1Mtoe と業務部門のエネルギー需要の 16% に上る 前項でも記した通り エネルギー供給者義務制度の実施にあたっては 原資の確保や目標設定 省エネルギー効果の検証に関する詳細なシステムの構築が必要である点には留意が必要である 他方 業務部門の消費者に対して電力販売により直接のコンタクトを有する PLN による需要家における省エネルギーの推進を考慮することは 将来的なインドネシアにおける電力需要の拡大と供給インフラ形成ニーズを考慮した際 需要サイドにおける省エネルギーがこうしたインフラ形成を回避しうるオプションを提示することから 検討の余地を有すると考えられる 69

91 Mtoe 実績 予測 出典 : 日本エネルギー経済研究所 図 3-14 業務部門のエネルギー需要見通し (BaU ケースと ALT ケース比較 ) 運輸部門 本節では インドネシアの自動車の普及台数を予測した上 燃費改善による省エネルギ ーの可能性を試算する 1. 自動車普及と販売状況 自動車保有台数 2014 年インドネシアの自動車保有台数の内訳として 乗用車 1,260 万台 バス 240 万台 トラック 624 万台 バイク 9,298 万台 合計 1 億 1,421 万台となった 自動車保有台数は 1990~2014 年までの年平均増加率が 11% と高い とりわけ 1990 年 ~2000 年までの増加率は 8% であったが 2000 年 ~2010 年では 15% と倍以上に加速した 2010 年インドネシアの一人あたりの GDP が 3,000 ドルを突破したため 今後引き続き高い乗用車の普及速度が予想される 70

92 販売台数 ( 千台 ) 自動車保有台数 ( 千台 ) バイク保有台数 ( 千台 ) バイク乗用車バス貨物車 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2, ,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 出典 :Statistics Indonesia (BPS) 図 3-15 自動車保有台数の推移 新車販売台数 2012 年よりインドネシアの乗用車販売台数は 100 万台に乗った 2014 年には 万台に増加 10 年前の 2005 年比倍以上となった ちなみに インドネシアは ASEAN 国中初の 100 万台に達した国である 1,400 トラック 1,230 1,208 1,200 1,116 乗用車 350 1, 出典 :International Organization of Motor Vehicle Manufacturers (2016) HALF-YEAR SALES STATISTICS 図 3-16 新車販売台数の推移 71

93 アバンザ T グランマックスピックアップ D アギア T キャリイピックアップ S イノーバ T セニア D アイラ D ブリオ サティヤ H エルティガ S HR-V H ブランド別トップ 10 の販売シェア (2015 年 ) ブランド別の販売シェアのトップ 10 としては アバンザ ( トヨタ )10% グランマックスピックアップ ( ダイハツ )5% アギア( トヨタ )4% キャリイピックアップ ( スズキ )4% イノーバ( トヨタ )3% セニア( ダイハツ )3% アイラ( ダイハツ )3% ブリオ サティヤ ( ホンダ )2% エルティガ( スズキ )2% HR-V( ホンダ )2% となっている いずれも日系メーカーである これらの自動車はいずれも MPV であり インドネシアの多人数の家族構成に適したものである 12% 10% 10% 8% 6% 4% 5% 4% 4% 3% 3% 3% 2% 2% 2% 2% 0% 出典 : 各種資料より作成 図 3-17 ブランド別トップ 10 の自動車販売シェア (2015 年 ) 2. 国別販売シェア (2014 年 ) 国別の販売シェアとしては 日本が 96.3% を占め ほぼ 100% が日本車となっている 100.0% 96.3% 90.0% 80.0% 70.0% 60.0% 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% 1.9% 0.9% 0.7% 0.1% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 出典 :Association of Indonesia Automotive Industries (2016) Domestic Auto Market by Brand ( ) 図 3-18 国別別トップ 10 の自動車販売シェア (2015 年 ) 72

94 3. 自動車燃費の状況 インドネシアの乗用車燃費は新車ベースでは 2013 年 6.9l/km で 2005 年に比べて 4% 改善 した 通常先進国でも燃費改善率が 1~2% であることから インドネシアの改善率が低い 表 3-2 インドネシアの乗用車燃費 (2005~2013) Japan France Italy Turkey UK Germany Mexico Chile Australia USA India Thailand South Africa Egypt Argentina Malaysia Brazil Indonesia Ukraine China Russia World Averag 出典 :Global Fuel Economy Initiative (2011) Working Paper 5/10, International comparison of light-duty vehicle fuel economy and related characteristics, Global Fuel Economy Initiative (2015) GFEI Working Paper 11, International comparison of light-duty vehicle fuel economy: Evolution over 8 years from 2005 to 自動車普及台数の予測 乗用車の普及台数の予測旅客部門の保有台数の予測はロジスティック曲線に当てはめて定式化した p k 1 e (5) a( x b) ただし x は一人あたり所得 k は普及率の上限値 a は所得間の自動車普及率の最大段 差率 b は普及率が上限値 k の半分における所得水準である この曲線は次のように線形変 換を行い 回帰分析からパラメータを求めることができる r ax ab (6) 73

95 ただし r p log( ) k p (7) 回帰に用いたデータ x は国連が公表した人口統計 弊所 日本エネルギー経済研究所が発 行したエネルギー経済統計要覧の GDP 統計による算出 実績自動車普及率は世界自動車統 計年報等による算出した 出典 : 各種資料より作成 表 3-3 所得水準と普及台数の関係 人口 GDP 一人あたり GDP 乗用車保有台数 百万 (2000 年 p B.USD) ドル / 人 千台 UN 統計要覧 計算値 世界自動車統計年報等 Japan 127 5,094 40,002 58,366 EU ,713 19, ,601 US ,548 36, ,892 China 1,360 3,246 2,387 58,616 India 1, ,300 Indonesia ,142 5,625 S. Africa ,647 5,100 Brazil ,710 31,258 Russia ,892 34,350 推計結果として k を 50% とした場合に a は b は として推計結果が 得られる 一方 将来の人口は国連の中位人口見通しを使用した その結果として 2030 年の普及台数が 3,533 万台に増加し 2000 年比 4.0 倍 2014 年比 2.8 倍となる 指標人口 GDP GDP 成長率 単位 百万 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 トラック台数の推計 (2010 年価格十億米ドル ) 表 3-4 乗用車の普及台数の普及予測 人当たり GDP (2010 年価格 ) 人当たり GDP (2000 年価格 ) 乗用車普及率 自動車保有台数 % ドル / 人ドル / 人台 /100 人千台 出所 UN 統計要覧 IEA 等計算値計算値計算値実績は中央統計庁 % 3,137 1, , , % 5,019 1, , , % 7,294 2, ,331 トラック台数 ( バスを含む ) の推定は GDP の弾性値 0.85(2000 年 ~2014 年の実績値 ) を 利用して行った その結果 2030 年に 1,421 万台に増加し 2000 年比 2.0 倍 2014 年の

96 バイク普及率 ( 台 / 千人 ) 倍となる 表 3-5 トラック普及台数の普及予測 指標 GDP 成長率 GDP 普及台数対 GDP 弾性値 トラック保有台数 単位 % 2010 年価格十億米ドル 千台 出所 IEA 等 実績はWB 2000~2014 年実績 計算値 % , % 1, , % 2, ,210 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 バイクの普及台数の推定バイク普及率の推定は下記ロジスティクス曲線を利用して推計した その結果 バイクの普及台数は 2030 年に 1 億 8,412 万台で 2000 年比 3.0 倍 2014 年の 2 倍となると試算される 1, 推定値 実績 (1980~2014) 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 図 3-19 バイク普及率の推定 75

97 表 3-6 バイク普及台数の普及予測 指標 人口 普及率 バイク保有台数 単位 百万 台 / 千人 千台 出所 UN 実績と計算値 実績と計算値 , , ,117 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 自動車の普及台数の合計動車の普及台数の合計は 2030 年に 2.3 億台と予測される 表 3-7 自動車普及台数の普及予測 ( 合計 ) 指標 乗用車 トラック バイク 合計 単位 千台 千台 千台 千台 ,891 6,938 61,078 76, ,713 10, , , ,331 14, , ,659 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 5. 自動車省エネルギーポテンシャルの試算 台あたりのエネルギー需要及び 2030 年の運輸部門のエネルギー需要見通し途上国でも先進国でも見られるように 自動車の年間台たりのエネルギー消費量 ( 乗用車換算 詳細は下表を参照 ) は自動車普及率の増加に伴い減少する インドネシアの場合 2014 年では 1.3toe であったが 2030 年に 1.0toe になると予測される 76

98 台当たりエネルギー消費 (toe/ 台 年 ) y = x R² = 台あたり実績値 台あたりエネルギー消費 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 図 3-20 台あたりのエネルギー消費 省エネルギーポテンシャルの推計燃費水準が現状のままと仮定した場合 台あたりのエネルギー消費量が普及率の増加に従って減少するが エネルギー消費量は 2030 年に 61.7Mtoe に増加するとされる 資料 25 によればインドネシアでは販売台数上位 10 位の自動車の平均燃費 (CO 2 換算 ) が 180gCO2/l であり ガソリンの品質を改善 ( 現状の EURO2 基準から EURO4 基準に改善 ) した上で燃費基準を導入と強化すれば 120gCO/l に改善できると予想される 本試算では 2017 年から新車販売にこうした燃費基準が導入されることを仮定する そうした場合 2030 年までに自動車のエネルギー消費量が 42.7Mtoe に減少すると試算される 省エネルギーポテンシャルは 19.0Mtoe(31%) となる これは自動車単体対策による自動車の省エネルギー量となる 一方 ジャカルタを中心とした首都圏においては交通渋滞が蔓延している JICA 専門家の調査 26 ではジャカルタの平均時速が 30 キロ未満と報告されている ジャカルタでは全国 60% の自動車が集中しているため ジャカルタだけでも道路状況の改善や公共交通機関の促進等の対策で交通渋滞を解消しエネルギー消費量を減少させるポテンシャルが多いと考えられる 仮に首都圏道路交通環境が改善され 自動車の平均時速は 30 キロから 60 キロに向上した場合 これが燃費改善率に換算すると 26% 27 に相当する 本試算では煩雑の試算を避けて単純に上記の改善率を仮定する この場合 道路交通状況の改善によるインドネシア全国のエネルギー消費量はさらに 36.1Mtoe(11.0%) に減少すると試算される 25 第 1 章 TCC Expert Presenting at the 11th Indonesia International Automotive Conference (IIAC) 26 ジャカルタ新聞 27 内閣府資料 : 77

99 エネルギー消費量 (Mtoe) 指標 単位 乗用車保有台数 千台 トラック保有台数 千台 (1.5 台換算 ) 表 3-8 自動車のエネルギー消費量の推計と結果 バイク保有台数 千台 (0.05 台換算 ) 乗用車換算保有台数計 エネルギー需要 (Bau) 台あたりエネルギー消費 推計新車販売 千台 Mtoe toe/ 台千台 2017 年以降累計新車販売 千台 ( 廃車率 1/25) 2017 以前保有台数 千台 燃費改善後のエネルギー需要 180gco2/l 120gco2/l 道路対策道路対策で後のエネ燃費改善率ルギー需要 燃費指数 Mtoe ( 首都エネ ( 首都 30km 60%) 60km) ,039 3, , ,891 10,407 3,054 24, , ,599 12,951 4,649 32, , ,713 15,842 6,860 42, ,667 14,037 28, ,331 21,315 9,206 67, ,834 62,341 5, BAU 燃費改善交通流対策 61.7 燃費改善 31% 交通流策 11% 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算図 3-21 エネルギー需要の予測インドネシアの運輸部門 ( 本試算では道路部門 ) における省エネルギーポテンシャルは上図に示したとおりである 78

100 3.2. 費用対効果分析 本節では 政策の優先順位や日本企業の事業機会を明らかにするために 各部門にお ける高効率技術 機器導入時の費用対効果分析を実施する 費用対効果分析の概要 ( 全部門共通 ) 費用対効果分析はある事業を実施する際に生じる費用と便益を比較することによって その事業の経済性を評価する手法である 費用対効果分析を各部門における高効率技術の導入に対して行い 技術毎の経済性を比較 評価を行う 費用 導入台数 IEEJ モデル等から導入台数を推計する 機器 技術 部門ごとの特性を考慮した上で 導入数を試算 便益 省エネルギー量 電力は以下の変数を用いて 一次エネルギーに換算 電源構成 発電効率 送電ロス 費用 機器 技術の導入および運転に係る費用を考慮 導入費用 維持補修費等 エネルギー価格 エネルギー価格は IEEJ モデルで用いられている将来見通し価格を使用 総費用 総便益 総費用 省エネルギー量 総便益 省エネルギー量 省エネルギー量あたりのネットコスト 出典 : 日本エネルギー経済研究所作成 図 3-22 費用対効果分析のフロー 費用対効果分析は図 3-22 にあるように まず 予測期間 (2017 年 ~2030 年 ) の省エネル ギー量と費用 便益の合計を計算する 次に推計した省エネルギー量当たりの費用と便益 を求め その差分である省エネ量当たりのネットコストを計算する 省エネルギー量当た 79

101 りのネットコストを評価指標として用いることによって 導入費用や省エネルギー効果 耐用年数が異なる機器を比較することが可能になる なお 省エネルギー量当たりのネッ トコストは以下の様に定式化することができる ( 式 1) MC = 省エネルギー当たりのネットコスト, n = 評価期間, Ct = t 年次の費用, Bt = t 年次の便益, Energy Savingst = t 年次 の省エネルギー量 式 1 から読み取れるように 費用を便益が上回る場合は負のコストとして表される な お 費用および便益の想定はそれぞれ以下の通りである 費用 総費用は高効率技術の導入数に対して技術当たりの導入費用を乗じることにより求める なお 各部門の想定については 以下を参照されたい 便益総便益は省エネルギーポテンシャルにエネルギー価格を乗じることによって求める ただし 本節で求める便益は政策形成の検討材料としてより適した結果を得るために 事業者がプロジェクト分析に用いる最終エネルギーベースの便益ではなく 分析して得られた省エネルギー量を一次エネルギーに換算した石油 石炭 天然ガスを輸出した場合に得られる社会的便益として分析している すなわち 節減されるエネルギー源が電力の場合は 電源構成 発電効率 送電ロスを考慮し 28 一次エネルギーに換算した省エネルギー量を求める その上で日本エネルギー経済研究所が 世界 アジアエネルギーアウトルック 2016 で想定する国際エネルギー価格 ( 石油 石炭 天然ガス ) を乗じ 2030 年までの社会的便益として計算している 産業部門 本項では 第 3 章では部門レベルの試算であったため 新たに分析対象技術を特定した 上で費用対効果分析を行う 産業部門における費用対効果の分析手法 産業部門では費用対効果分析を以下の様な前提に基づき試算する 28 なお 省エネルギーポテンシャルを一次エネルギーに換算する際に用いる電源構成 発電効率 送電ロスはいずれも IEEJ モデルによって得られた結果を採用している ただし 電源構成については インドネシアにおける発電電力量の大部分が化石燃料由来の電源であるため 1 次エネルギーに換算する際は全て化石燃料が節減されると仮定している 80

102 (1) 導入台数分析対象技術の導入台数は生産規模に比例して導入されると想定する すなわち 高効率技術の導入台数は工場数や生産能力といった規模によって制約が存在するため 以下の手順で導入台数を導出する 参考文献に基づき生産能力ならびに稼働率の実績値を推定する 1を用いて 生産活動量 ( 例 : 粗鋼生産量 ) あたりに必要な生産能力の比を算出する 2030 年までの生産活動量を推計する 2と3を乗じて 年次毎に必要生産能力を求める 該当年の必要生産能力が前年の生産能力を上回った場合に 一定規模の新たな工場が新設されると想定し その際に対象機器が導入される 1~5までの手順により 毎年の導入台数が試算されるため 2030 年まで積み上げる 導入台数に関してはワイブル分布に基づく残存率を用いる (2) 省エネルギーポテンシャルおよび費用 便益等省エネポテンシャルや費用 便益は導入台数にそれぞれの値を乗じることによって求めた なお 費用のうち 維持補修費については毎年計上している その他の想定については と同様である 29 分析対象技術分析対象技術はリジェネバーナー ( 鉄鋼 ) 発電型排熱回収設備( セメント ) 回収ボイラー ( 紙パルプ ) 貫流ボイラー( 繊維 ) とする これらの技術の特定にあたっては 次の条件を満たす技術を選出した すなわち 1インドネシアで将来的に需要拡大が見込まれるエネルギー多消費産業での導入を対象 2インドネシア側の技術ニーズ 3 途上国への導入実績がある日本が優位性を有する技術を考慮して選定した 具体的には第 2 章と同様にインドネシアにおいてエネルギー需要が大きい鉄鋼 セメント 紙パルプ 繊維を対象業種とした これらの業種のインドネシアにおける省エネルギー技術ニーズ (Republic of Indonesia 2010) や 途上国への日本の省エネルギー技術の導入実績 (JCMFS 調査および NEDO 実証事業 ) を踏まえて 分析対象技術を特定した 各技術の概要については図 3-23 に 試算に用いた生産活動量の詳細や生産容量 技術の関連データ等の出所については表 3-9 に示す 29 なお セメントセクターの発電型排熱回収設備は電力需要を節減する機器であるため 省エネルギーポ テンシャルを一次エネルギーに換算している 81

103 リジェネバーナー (鉄鋼) 初期投資 (億円) 効率改善 (%) 省エネ量 (ktoe/y) 耐用年数 (年) 出典 NEDO HP 発電型排熱回収設備 (セメント) 2.7 初期投資 30 効率改善 (億円) (%) 省エネ量 (ktoe/y) 4.5 耐用年数 10 回収ボイラー (紙パルプ) 初期投資 (億円) 効率改善 (%) 省エネ量 (ktoe/y) 耐用年数 出典 Kawasaki Heavy Industries HP (年) (年) 出典 JFE Engineering Corporation HP 貫流ボイラー (繊維) 初期投資 13 (億円) 効率改善 20 (%) 省エネ量 (ktoe/y) 21 耐用年数 20 出典 MIURA CO.,LTD HP (年) 注 効率改善率は既存技術と比較した場合の値である 出典 各社 HP 画像 および各種参考文献 ヒアリング結果 値 より日本エネルギー経済研究所作成 図 3-23 産業部門の費用対効果分析における対象技術および概要 82

104 表 3-9 各技術の試算に用いたデータおよび出所 セクター技術生産活動量出所 国際協力機構 (2009), 鉄鋼リジェネバーナー粗鋼生産量 日本エネルギー経済研究所 (2010), Indonesia Investment (2016), セメント 発電型排熱回収 設備 World Steel Association セメント生産量地球環境センター (2013) 紙パルプ 回収ボイラー 製紙およびパルプ生産量 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 (2008), Center for International Forestry Research (2012), 宇部興産株式会社 (2013), Food and Agriculture Organization of the United Nations 繊維 貫流ボイラー 付加価値額 (GDP) 三浦工業株式会社 (2014) およびヒアリング結果, 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 (2015), Statistics Indonesia (BPS) 分析結果 10 億ドル Once Through 貫流ボイラー Boiler Recovery 回収ボイラー Boiler Waste 発電型排熱回収 Heat Recovery Regenerative リジェネバーナー Burner 0 Cumulative 累積費用 Additional Costs (USD, (10 億ドル Billion) ) Cumulative 累積便益 Benefits (USD, (10 億ドル Billion) ) 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 図 3-24 産業部門における技術別の累積費用および累積便益 83

105 産業部門における技術別の累積費用および累積便益を図 3-24 に示す 高効率技術導入時の 2017 年から2030 年までの累積費用 11 億ドルに対し 累積便益は 28 億ドルと見込まれる 費用から便益を差し引いたネットコストは負の値となる すなわち 予測期間における対象技術の省エネルギー量に基づく社会的な便益が費用を上回ることを示す なお 対象技術の合計では投資した費用の約 2.6 倍の便益が得られることになる 技術別のネットコストでは リジェネバーナー ( 鉄鋼 ) の 9.4 億ドルが最大であり 回収ボイラー ( 紙パルプ 3.8 億ドル ) 発電型排熱回収設備( セメント 3.2 億ドル ) 貫流ボイラー( 繊維 0.6 億ドル ) と続いており 全ての技術で費用よりも便益が上回る結果となった 7 年 Regenerative Burner リジェネバーナー ( 鉄鋼 ) Waste Heat Recovery 発電型排熱回収 ( セメント ) Recovery Boiler Once Through 貫流ボイラー Boiler 回収ボイラー ( 紙パルプ ) ( 繊維 ) 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 図 3-25 産業部門における技術別の投資回収年数 各技術の投資回収年数を図 3-25 に示す 投資回収年数が最短の技術は リジェネバーナーの 2.3 年である 続いて回収ボイラー ( 紙パルプ 3.2 年 ) 貫流ボイラー( 繊維 3.6 年 ) 発電型排熱回収 ( セメント 5.9 年 ) との結果を得られた なお この投資回収年数は 2017 年から 2030 年までの累積費用を 2030 年時点の便益で除した簡易的な手法を用いたため 必ずしも一般的な投資回収年数の結果と一致しない点について留意が必要である 84

106 Regenerative リジェネバーナー Burner ( 鉄鋼 ) (Iron & Steel) 222 Waste 発電型排熱回収 Heat Recovery ( セメント ) (Cement) 119 回収ボイラー Recovery Boiler ( 紙パルプ ) (Paper & Pulp) Once Through 貫流ボイラー Boiler ( (Textile) 繊維 ) 省エネ量 Energy Savings Ktoe 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 図 3-26 産業部門における技術別の省エネルギーポテンシャル (ktoe) 技術別の省エネルギーポテンシャルはリジェネバーナー ( 鉄鋼 ) の 222 ktoe が最大であり 続いて 発電型排熱回収設備 ( セメント 119 ktoe) 回収ボイラー( 紙パルプ 95 ktoe) 貫流ボイラー ( 繊維 25 ktoe) である この分析結果から産業部門全体の省エネルギーポテンシャルの内 リジェネバーナー ( 鉄鋼 ) による節減量が約 50% を占めていることがわかる 高い経済成長を背景に粗鋼需要が増加する見通しを背景とし 経済性の高いリジェネバーナーの導入が進む事を背景としている 家庭部門他国と同様 インドネシアにおける高効率機器導入に関してはその初期コストの高さがハードルとなっている 他方 高効率機器の導入は インドネシアの外貨獲得手段として貴重なエネルギー資源の節減に資するため ここでは高効率機器の導入による省エネルギー効果に対して国際エネルギー価格を乗じて 省エネルギーがもたらす社会的便益を検討する 高効率機器の導入にかかわる追加費用は 2030 年までの累積で 144 億ドルに及ぶ これとは対照的に 省エネルギーによる社会的便益は 171 億ドルであり 追加的費用に対する便益は 1.2 倍に上る 特に 将来的な世帯あたり普及率が現状の 0.20 台から 2030 年には 0.38 台へと拡大が見込まれるエアコンの省エネルギーによる社会的便益は 93 億ドルと最大で MEPS 基準の徹底遵守ならびに基準自体の向上が必要である 85

107 18 10 億ドル 給湯器洗濯機テレビ冷蔵庫照明エアコン 2 0 累積追加投資 (10 億ドル ) 累積便益 (10 億ドル ) 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 図 3-27 家庭部門の高効率機器導入の追加投資額と便益の比較 (2030 年までの累積 ) 業務部門 家庭部門と同様に ここでは業務部門の高効率技術導入に係る費用と便益を試算する 具体的には BaU 技術から追加的に必要な高効率技術導入にかかわる費用を追加費用として 2030 年までの累積を試算 これを省エネルギー効果に国際エネルギー価格を乗じて省エネルギーがもたらす社会的便益を検討する 図が示す通り 業務部門の高効率照明 冷房 冷蔵 換気に係る 2030 年までの追加費用は 38 億ドルに及ぶ これとは対照的に省エネルギーによって得られるインドネシアの社会的便益は 106 億ドルに上り 追加費用の 2.8 倍程度の便益が得られることになる 家庭部門での費用便益分析と比較して 業務部門では追加費用に対する便益の大きさが顕著である これは 業務部門では技術の稼働時間が長いため 省エネルギー効果が相対的に大きいことを要因としている 86

108 16 10 億ドル 換気冷蔵照明機器冷房 累積追加投資 (10 億ドル ) 累積便益 (10 億ドル ) 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 図 3-28 業務部門の高効率機器導入の追加投資額と便益の比較 (2030 年までの累積 ) 費用対効果分析のまとめ 図 3-29 は上記分析を省エネ量あたりのネットコストとして技術別にまとめたものである ネットコストとは 予測期間の高効率技術導入に関する費用から便益を控除し 省エネ量で除したものである ネットコストがマイナスの値として推計される技術は 予測期間における同技術の導入による便益が費用を上回ることを示す また エネルギー単位当たり ( 石油換算トン ) のネットコストとして分析した技術を比較することにより 技術別の導入にかかわる優先順位といった政策的な示唆を得ることができる 同図では Y 軸に石油換算トンあたりの技術別の省エネルギーにかかわるネットコストを表示し X 軸に技術別の省エネルギー量を提示している 分析から明らかな通り もっとも単位当たりのネットコストが大きい ( 便益が費用を上回る ) 技術は業務用の照明であり これに業務用の冷蔵 鉄鋼のリジェネバーナー 紙パルプの回収ボイラが続く 省エネ量では 家庭用の空調が最大のポテンシャルを有する インドネシアでは 家電製品を対象とし MEPS 対象範囲を拡大する予定であるが ネットコストの技術別比較をみると 業務部門または産業部門では 稼働時間の長さを踏まえ高効率技術導入にかかわる便益の相対的大きさが明らかである こうした点を踏まえ 業務部門や産業部門における高効率技術の導入に向けた義務化や技術別の MEPS 導入の検討に向けた作業が必要であると指摘できる 87

109 Net cost (unit: thousand, US$ / toe) Energy Savings (unit: ktoe) 出典 : 日本エネルギー経済研究所試算 図 3-29 機器別のネットコストと省エネポテンシャル 88

110 [ 参考文献 ] Association of Indonesia Automotive Industries (2016) Domestic Auto Market by Brand ( ) Center for International Forestry Research (2012) New round of pulp and paper expansion in Indonesia: What do we know and what do we need to know? Food and Agriculture Organization of the United Nations FAOSTAT Global Fuel Economy Initiative (2011) Working Paper 5/10, International comparison of light-duty vehicle fuel economy and related characteristics Global Fuel Economy Initiative (2015) GFEI Working Paper 11, International comparison of light-duty vehicle fuel economy: Evolution over 8 years from 2005 to Indonesia Investment (2016) Steel Industry Indonesia: Infrastructure Projects & China Production Cuts ucture-projects-china-production-cuts/item6867? International Energy Agency (2012) Energy Technology Perspectives 2012 International Energy Agency (2014) Energy Technology Perspectives 2014 International Organization of Motor Vehicle Manufacturers (2016) HALF-YEAR SALES STATISTICS Ministry of Industry (2012) Needs for Energy Planning for the Industry Sector towards the Acceleration of Industrialization Statistics Indonesia (BPS) World Steel Association JFE エンジニアリング株式会社ホームページ ( 画像引用 : 発電型排熱回収設備 ) 宇部興産株式会社 (2013) インドネシアの製紙業者に関する調査最終報告書 川崎重工業株式会社ホームページ ( 画像引用 : 回収ボイラー ) 89

111 経済産業省産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会各種 WG 資料 国際協力機構 (2009) インドネシア国省エネルギー普及促進調査 ( 委託先 : 電源開発株式会社 ) 国際協力機構 (2015) 省エネ施策の新手法開発( マージナル アベイトメント コスト カーブ ) ( 委託先 : 三菱 UFJ モルガン スタンレー証券株式会社 ) 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構ホームページ ( 画像引用 : リジェネバーナー ) 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 (2008) 地球温暖化対策技術移転ハンドブック 2008 年改訂版温暖化対策技術 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 (2015) 地球温暖化対策技術普及等推進事業 JCM プロジェクト実現可能性調査 / タイ国における超高効率技術小型貫流ボイラーおよび関連技術普及プロジェクト案件調査 ( 委託先 : 三浦工業株式会社 日本手ピア株式会社 ) 地球環境センター (2013) セメント工場における排熱利用発電 ( 委託先 :JFE エンジニアリング株式会社 ) 日本エネルギー経済研究所 (2010) インドネシアにおける省エネルギーの現状と今後の課題 日本エネルギー経済研究所 (2016) 世界 アジアエネルギーアウトルック 2016 三浦工業株式会社ホームページ ( 画像引用 : 貫流ボイラー ) 三浦工業株式会社 (2014) 決算説明会資料三浦工業株式会社会社説明会ミウラの成長戦略 90

112 第 4 章再生可能エネルギーの導入目標達成に向けた現状と課題 4.1. 再生可能エネルギー導入量の現状 2014 年にインドネシアの一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合は 34% に達している しかし 地熱 (7.65%) 水力(0.58%) とバイオディーゼル (0.56%) を除けば その殆どが固体バイオマス (25.75%) である なお 固体バイオマスの大半は 農業廃棄物 薪 木材などの直接燃焼であり いわゆる非商業用エネルギーとして利用されている 発電部門においては 全発電量に占める再生可能エネルギーの割合が 11.44% に達している 水力発電は 6.63% と最も大きなシェアを占め 地熱発電 (4.39%) が続く 近年では バイオマス発電が徐々に増えてきており 再生可能エネルギーの利用が多様化し始めている 水力発電と地熱発電の設備容量および発電量の推移を図 4-2 と図 4-3 に示す (TWh) 17.5% 16.0% 15.9% 15.0% 13.6%13.6%13.6% 12.3% 12.9%13.3%13.2% 12.0% 12.3% 11.2% 11.4% 水力バイオマス風力太陽地熱海洋再エネシェア 20% 18% 16% 14% 12% 10% 8% 6% 4% 2% 0% 出典 :International Energy Agency (2016) World Energy Statistics and Balances 2016 より作成 図 4-1 再生可能エネルギー電源構成および発電量に占める割合の推移 91

113 MW GWh MW GWh 中小水力 一般水力 発電量 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016 より作成 図 4-2 水力発電設備容量と発電量の推移 容量 発電量 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016 より作成 図 4-3 地熱発電設備容量と発電量の推移 4.2. 再生可能エネルギー導入目標 第 1 章でも述べられたように 2014 年に成立した 国家エネルギー計画 (KEN: Kebijakan Energi Nasional) では 一次エネルギーに占める新 再生可能エネルギー 30 の割合を 新 再生可能エネルギーの対象は再生可能エネルギーのみならず Coal Bed Methane や石炭スラリー (coal 92

114 年までに 23% 2050 年までに 31% に引き上げる目標が掲げられている 31 国家エネルギー委員会国家エネルギー計画で設定された目標を受けて エネルギー鉱物資源省は 2025 年までの新 再生可能エネルギーロードマップを作成した ( 表 4-1) 2025 年目標達成に向けて バイオ燃料 廃棄物 地熱 水力の利用拡大が期待されている 表 4-1 新 再生可能エネルギー導入目標の詳細 (2025 年 ) 新 再エネ技術 割合 一次エネルギー (MTOE) 地熱 7% 28 バイオ燃料 5% 20 都市ゴミ 5% 20 水力 3% 12 その他 3% 12 合計 23% 92 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2015) Roadmap for Accelerated Development of New and Renewable Energy より作成 エネルギー法 (No.30/2007) 国家エネルギー審議会 (DEN) 作成 DEN 作成 国家エネルギー政策 (NEP) 電力法 (No.30/2009) 国家エネルギー総合計画 (RUEN) 国家電力総合計画 (RUKN) バイオ燃料混入率目標 再エネロードマップ 各界の有識者が RUEN と RUED の作成に参加 地方エネルギー総合計画 (RUED) 電力供給事業計画 (RUPTL) 市 県エネルギー総合計画 (RUED) 国営電力会社 (PLN) 作成 エネルギー鉱物資源省 (MEMR) 作成 出典 : 各種資料により作成 図 4-4 インドネシアにおけるエネルギー政策 目標の関係図 電力分野 電力分野では エネルギー鉱物資源省 (MEMR: Ministry of Energy and Mineral Resources) 傘下の電力総局 (DJK: Direktorat Jenderal Ketenagalistrikan) が国家電力総合計画 (RUKN: slurry) 原子力発電等も含まれている 年同割合は 6% である 93

115 Rencana Umum Ketenagalistrikan Nasional) を策定し 国営電力会社 (PT. PLN (Persero): Perusahaan Listrik Negara) はそれに基づき 電力供給事業計画 (RUPTL: Rencana Usaha Penyediaan Tenaga Listrik) を作成 実施する RUKN は 20 年間の計画であり 国会での承認が必要である 他方 RUPTL は国営電力会社 PLN 社の 10 年間事業計画であり 毎年更新され 国会での承認は不要である 2015 年に公表された RUKN のドラフト版 (RUKN Draft) は 2025 年までに総発電量に占める新 再生可能エネルギーのシェアを 25% に引き上げる計画を立てている 国営電力会社 PLN 社の最新の電力供給事業計画 RUPTL では表 4-2 に示すように 再生可能エネルギーの導入計画が策定された 表 4-2 PLN の再生可能エネルギー導入計画 ( 年間新規導入量 ) 単位 合計 地熱発電 MW ,250 1,250 6,150 水力発電 MW , ,322 2,031 5,950 13,100 小水力発電 MW ,365 太陽光発電 MWp 風力発電 MW バイオマス 廃棄物発電 MW 海洋エネルギー発電 MW 発電用バイオ燃料利用量 1000kL 合計 MW ,005 2,513 1, ,185 3,326 3,563 7,422 22,186 出典 : PLN (2016) RUPTL より作成 国家エネルギー委員会が発表した 2050 年までのインドネシアエネルギー需給見通し 32 で は 上記の KEN で定められた新 再生可能エネルギー目標を実現した場合 新 再生可能 エネルギーによる発電量は 2025 年に 128TWh 2050 年に 466TWh に達すると見込んでいる バイオ燃料バイオ燃料については 2008 年のエネルギー 鉱物資源省の大臣令による導入義務化の行政令により主な政策の枠組が決められた その後 バイオ燃料の混入義務化目標は複数回にわたって見直しされ 最近では (MEMR Regulation 12/2015) によって目標が修正された なお インドネシアは野心的なバイオ燃料の混合率義務化に関する目標を設定しているものの 目標未達成の状況が続いている 32 Dewan Energi Nasional 国家エネルギー委員会 (2016) Outlook Energi Indonesia

116 表 4-3 バイオ燃料混入義務化の目標 2016 年 2020 年 2025 年 バイオディーゼル 輸送用 ( 公共交通機関 ) 20% 30% 30% 輸送用 ( 一般 ) 20% 30% 30% 産業用 20% 30% 30% 発電用 30% 30% 30% バイオエタノール 輸送用 ( 公共交通機関 ) 2% 5% 20% 輸送用 ( 一般 ) 5% 10% 20% 産業用 5% 10% 20% 出典 :United States Department of AgricultureForeign Agricultural Service (2015) Indonesia Biofuels Annual Report より作成 4.3. 再生可能エネルギーに関連する政府機関インドネシアでは 再生可能エネルギー促進政策に関してはエネルギー鉱物資源省傘下の新 再生可能エネルギー及び省エネルギー総局 (EBTKE: Direktorat Jenderal Energi Baru Terbarukan dan Konservasi Energi) によって立案する 政策の実施主体も同局である なお 水力や地熱発電等再生可能エネルギー資源開発や 土地利用などに関しては環境森林省 (MOEF: Ministry of Environment and Forestry) や地方政府が関わっている 再生可能エネルギー発電の唯一の売電先は国営電力会社 PLN 社である 再生可能エネルギー発電プロジェクトの系統接続 関連する系統運用に関してはエネルギー鉱物資源省傘下の電力総局によって規制されている しかしながら国営電力会社 PLN 社を含め電力供給事業における採算のとれない部分のコスト負担 例えば固定価格買取制度 (FIT: Feed-in Tariff) など再生可能エネルギー政策の実施に必要な資金 ( 補助金 ) については 貧困層への電力価格を低く据え置くことによる電力供給事業者収入不足分への補助金と同様 エネルギー鉱物資源省ではなく財務省 (MOF: Ministry of Finance) により管理されている

117 出典 : 各種資料により作成 図 4-5 インドネシアにおける再生可能エネルギーに関連する政府組織の関係図 4.4. 再生可能エネルギー政策とその課題 再生可能エネルギー導入促進に関連する政策 1. 固定価格買取制度 (FIT)(2009 年 34 から 2016 年まで適用 ) 2002 年の大臣令 No.1122 K/30/MEM/2002 によって 1MW 以下の小型の再生可能エネルギー電源からの電力を系統に売電することが可能となった 2004 年にインドネシアは石油の純輸入国に転じ 政府は本格的に再生可能エネルギーの導入拡大に取り組むようになった 2006 年に発行されたエネルギー鉱物資源省令 Regulation No.2/2006 によって 10MW まで再生可能エネルギー発電設備が買取義務化の対象となった 2009 年から 再生可能エネルギー技術毎の買取価格が相次いで設定されるようになった 2016 年時点で 小水力発電 バイオマス ( バイオガス ) 発電 都市ごみ発電 太陽光発電が固定価格買取制度の対象となっている 2014 年に 地熱発電に対する買取価格の決定方式は固定価格から入札制へ移行した 海外投資家による投資を促進するために 小水力 都市ごみ発電 太陽光発電 地 年から再生可能エネルギーの買取を義務化し 2009 年に買取価格を設定 ( その後買取価格が数回見 直し ) 96

118 熱発電の買取価格 ( または買取上限価格 ) の設定はドル建てとなっている 2016 年時点の 買取価格 ( または買取上限価格 ) 水準を表 4-4~ 表 4-8 に示す 表 4-4 小水力買取価格 (US /kwh)(2016 年 ) 中圧 低圧 係数 F 流れ込み式 多目的ダム或いは灌漑用水 流れ込み式 多目的ダム或いは灌漑用水 1~8 年目 9~20 年目 1~8 年目 9~20 年目 1~8 年目 9~20 年目 1~8 年目 9~20 年目 Java, Bali Region 1 12*F 7.5*F 10.8*F 6.75*F 14.4*F 9*F 13*F 8.1*F Sumatra *F 7.5*F 10.8*F 6.75*F 14.4*F 9*F 13*F 8.1*F Kalimantan, Sulawesi Region *F 7.5*F 10.8*F 6.75*F 14.4*F 9*F 13*F 8.1*F West Nusa Tenggara, and East Nusa Tenggara *F 7.5*F 10.8*F 6.75*F 14.4*F 9*F 13*F 8.1*F Maluku, and North Maluku *F 7.5*F 10.8*F 6.75*F 14.4*F 9*F 13*F 8.1*F Papua, and West Papua *F 7.5*F 10.8*F 6.75*F 14.4*F 9*F 13*F 8.1*F 注 : 基準価格かける係数 F の価格は該当地域における小水力発電の買取価格である出典 :Nah R Murdono Law Office ウェブサイト 35 より作成 表 4-5 バイオマス発電の買取価格 ( ルピア /kwh)(2016 年 ) 地域 係数 F バイオマスバイオガス中圧低圧中圧低圧 Java Island *F 1500*F 1050*F 1400*F Sumatra Island *F 1500*F 1050*F 1400*F Sulawesi Island *F 1500*F 1050*F 1400*F Kalimantan Island *F 1500*F 1050*F 1400*F Bali, Bangka Belitung, Lombok Riau archipelago, Papua, rest of the islands *F 1500*F 1050*F 1400*F *F 1500*F 1050*F 1400*F 注 : 基準価格かける係数 F の価格は該当地域におけるバイオマス発電の買取価格である出典 :International Energy Agency Policies and Measures Database 及びインドネシア政府発表資料などより作成 都市ごみ発電の最新の買取価格は 2015 年に設定されたものである (MEMR Regulation No.44/2015) 都市ごみ発電の買取対象となるのは 都市ごみの埋立てガス ( 埋立地発生し たメタンガス ) 発電とごみ焼却発電である 表 4-6 都市ごみ発電の買取価格 (US /kwh)(2016 年 ) 埋立てガス発電 ごみ焼却発電 20MW 以下 20MW 以下 20MW< 設備容量 50MW 50MW 以上 高圧 (75/150/275/500 kv) 中圧 (20kV) - - 低圧 (380V) 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2015) MEMR Regulation No. 44/2015 より作成

119 太陽光発電に対しては入札で買取価格を決める方針であった 36 が 2016 年 7 月インドネシア政府は太陽光発電の買取価格を公表し 固定価格買取制度に移行することとなった 買取する予定の総枠は 5,000MW であるが 第一段階の買取枠が 250MW と段階的な買取を実施することになっている なお 事業者は登録先着順で再生可能エネルギー 省エネルギー総局の審査によって決定される 表 4-7 太陽光発電の買取枠と買取価格 ( 第一段階 US /kwh) 地域 買取枠 (MW) 買取価格 ( /kwh) DKI Jakarta West Java Banten Central Java and Yogyakarta East Java Bali Lampung 5 15 South Sumatra, Jambi, and Benkulu Aceh 5 17 North Sumtatra West Sumatra Riau and Kep. Riau 4 17 Bangka-Belitung 5 17 West Kalimantan 5 17 South Kalimantan and Central Kalimantan 4 16 East Kalimantan and North Kalimantan North Sulawesi, Central Sulawesi, and Gorontalo 5 17 South Sulawesi, Southeast Sulawesi, and West Sulawesi 5 16 West Nusa Tenggara 5 18 East Nusa Tenggara Maluku and North Maluku 3 23 Papua and West Papua Total 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) MEMR Regulation No. 19/2016 より作成 地熱発電の買取価格の設定方式と価格水準については数回の見直しが行われてきた 2014 年 37 の改正によって 地熱発電の買取価格は固定価格から入札制度に移行した 投資を促進するため 入札の上限価格は 2025 年まで設定している ( 上限価格の適用は商業運転開始日に準ずる ) また 地域によって上限価格は異なる 買取価格は第一号機の商業運転から 30 年間有効である 36 Ministerial Regulation No. 17/ Ministerial Regulation No. 17/

120 表 4-8 地熱発電の入札上限価格 (US /kwh) Sumatra, Java, Bali Sulawesi, Nusa Tenggara Barat, Nusa Tenggara Timur, Halmahera, Maluku, Irian Jaya and Kalimantan 上記地域における石油火力による電力をしている遠隔地 出典 :International Energy Agency Policies and Measures Database より作成 2. 新たな買取規制 (MEMR Regulation No.12/2017) インドネシアでは 固定価格買取制度が導入されているものの 実際にこの制度の実施は難航している ( その理由は後述 ) 太陽光発電等再生可能エネルギーの発電コストが急速的に低下している世界的な潮流を鑑み インドネシア政府は割高価格で再生可能エネルギー発電を買取る制度を より経済性重視の再生可能エネルギー調達制度に移行する方針となり 2017 年 1 月にインドネシア政府は新たな包括的な再生可能エネルギー買取規制 (MEMR Regulation No.12/2017) を発表した 新制度では 各再生可能エネルギー発電技術に対し 国営電力会社 PLN 社の平均発電コストを上限価格とした買取価格を設定した 技術別の調達価格決定方式の詳細と旧 FIT 制度との対照を表 4-9 に示す 99

121 表 4-9 再生可能エネルギー調達価格決定方式の詳細と旧 FIT 制度との対照 対象技術対照項目旧新 調達価格決定方式固定価格 (MEMR 設定 ) 入札 太陽光発電 調達価格水準 最大 :25 /kwh( パプア地域 ) 最小 :14.5 /kwh( ジャカルタ等中央地域 ) 上限価格 : PLN 総発電コスト *85%( 総発電コスト > 全国平均水準の地域 ) PLN 総発電コスト *100%( 総発電コスト 全国平均水準の地域 ) *2015 年 PLN ディーゼル発電コスト :17.4 /kwh * 全国平均発電コスト :8~9 /kwh 風力発電 買取対象外 買取対象太陽光と同様のスキーム 調達価格決定方式固定価格 (MEMR 設定 ) PLN と価格交渉 水力発電 調達価格水準 遠隔地域 ( 平均 ):12.56 /kwh~16.74 /kwh 中央地域 ( 平均 ):8.37 /kwh~11.16 /kwh 上限価格 : PLN 総発電コスト *85%( 総発電コスト > 全国平均水準の地域 ) PLN 総発電コスト *100%( 総発電コスト 全国平均水準の地域 ) *2015 年 PLN ディーゼル発電コスト :17.4 /kwh * 全国平均発電コスト :8~9 /kwh 調達価格決定方式固定価格 (MEMR 設定 ) PLN と価格交渉 バイオマス バイオガス発電 (<=10MW) 調達価格水準 遠隔地域 :12.6 /kwh~18 /kwh 中央地域 :7.88 /kwh~11.25 /kwh 上限価格 : PLN 総発電コスト *85%( 総発電コスト > 全国平均水準の地域 ) PLN 総発電コスト *100%( 総発電コスト 全国平均水準の地域 ) *2015 年 PLN ディーゼル発電コスト :17.4 /kwh * 全国平均発電コスト :8~9 /kwh バイオマス バイオガス発電 (>10MW) 都市ゴミ発電 調達価格決定方式 PLN と価格交渉数社見積 調達価格決定方式 調達価格水準 固定価格 (MEMR 設定 ) 埋立てガス :16.55 /kwh~20.16 /kwh 焼却処理 :13.14 /kwh~22.43 /kwh 固定価格 (PLN 平均発電コスト )( 総発電コスト > 全国平均水準の地域 ) PLN と価格交渉 ( 総発電コスト 全国平均水準の地域 ) 2015 年 PLN ディーゼル発電コスト :17.4 /kwh 全国平均発電コスト :8~9 /kwh 地熱発電 調達価格決定方式 調達価格水準 入札 /PLN と価格交渉 固定価格 (PLN 平均発電コスト )( 総発電コスト > 全国平均水準の地域 ) PLN と価格交渉 ( 総発電コスト 全国平均水準の地域 ) 2015 年上限価格 : 2015 年 PLNディーゼル発電コスト :17.4 /kwh 25.4 /kwh( ディーゼルによる電力供給地域 ) 全国平均発電コスト:8~9 /kwh 11.8 /kwh( ジャカルタ等中央地域 ) 注 : PLN は再生可能エネルギー発電入札の運営を第三者に委託することも可能 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources ( 2017) MEMR Regulation No.12/2017 およびその他各種資料 をもとに作成 3. 地方電化政策電力総局の統計によると 2015 年時点でインドネシアの電化率は約 88.3%( 世帯数ベース ) に達しているが 電化率が最も低い地域は西パプア地域 (45.9%) であり 未電化世帯数が最も多い地域は東ジャワ州である そのほか スマトラ地域 西ジャワ州 中央ジャワ州においても多くの未電化世帯が分布している インドネシア政府の政策では 地方電化を含めた貧困層への補助に対し高い優先順位が与えられている 前述の KEN では 2020 年までにほぼ 100% の電化率を達成するために必要な地方電化の目標も盛り込まれている 2009 年の新電力法によって PLN 以外の事業者が地方電化事業へ参入する法的基盤が整えられた しかしながら 現状はインドネシアにおける地方電化を実施する主体は依然と 100

122 して国営電力会社 PLN 社である 同社社は自社資金 ( 電気料金による収入と政府から受け取る電気料金に対する補助金 (Public Service Obligation: PSO 補助金 )) を用いて 地方電化を含めた設備投資を行う この毎年の中央政府予算では PLN 社に対する PSO 補助金以外に 地方電化設備投資用の資金が確保されており 同社を通じた地方電化が進められている 国営電力会社 PLN 社の他に エネルギー 鉱物資源省傘下の新 再生可能エネルギー及び省エネルギー総局や 地方政府等がオフグリッドの電化プログラムを実施している 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources and Asian Development Bank (2015) Achieving Universal Electricity Access in Indonesia 及びヒアリング調査により作成 図 4-6 インドネシアにおける地方電化に関連する資金の流れ インドネシア政府は地方電化への民間投資を促進するために 2016 年 12 月に新たな規則 (MEMR Regulation 38/2016) を発表した 本規則は離島や遠隔地等 既存の送配電ネットワークが届かない村落に対し 国営電力会社 PLN 社以外の事業者でも電力供給 ( 発電と送配電 ) 事業に参入させる仕組みを整備した 本規則に基づき 地方政府は一箇所 50MW 以下の電力供給事業を国営電力会社 PLN 社以外の事業者に委託することが可能となる なお 国営電力会社 PLN 社が当該地域の電化を行う余裕がないと判断した場合を委託実施の条件とする 本規則では再生可能エネルギーを活用した電力供給が推奨されている また 地方電化における電気料金は割安の規制料金であるため 電気料金と電力供給コストとの差額は中央政府予算で補填される 101

123 出典 :Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) MEMR Regulation 38/2016 をもとに作成 図 4-7 地方電化に関する新規則の流れ 4. スンバ島プロジェクト (Sumba Iconic Island) (1) プロジェクト概要スンバ島はインドネシアの東ヌサ トゥンガラ (East Nusa Tenggara (NTT)) 省の管轄である 人口は約 650,000 人 一人当たり収入は約 2,213,104 ルピア ( 約 17,217 円 ) である 2009 年オランダの NGO Hivos がインドネシアの中央政府機関 地方政府機関 国際パートナー 技術専門家等の協力を得ながら スンバ島電化計画の調査を始めた 目標は 2025 年までに 100% の再生可能エネルギーによる 95% の電化率を実現することである また スンバ島プロジェクトで得られた経験をインドネシア全土および世界中に活用することも期待されている この活動は現在インドネシア政府から SII プログラムとして再エネ促進の象徴的プロジェクトとして認めこれをモデルとし ここで得られた経験を他の島電化にも応用することを期待している すなわち 2015 年 6 月 1 日 インドネシア政府は SII プロジェクトを推進するための行政令 (MEMR Decree No. 556 K/73/DJE/2015) を発表し 正式的に SII プロジェクトの管轄機関をエネルギー鉱物資源省傘下の新 再生可能エネルギー及び総局に指名した ほかの主要パートナーは国営電力会社 PLN 社 アジア開発銀行 (ADB: Asian Development Bank) ノルウェー大使館 Hivos と 5 つの地方政府である 102

124 出典 : スンバ iconicisland.org/program/ をもとに作成 図 4-8 スンバ島プロジェクトの概要 (2) 電力需給現状現在スンバ島の電化率は約 30% で 電力需要のピークロードは約 10.8MW である 電力供給システムは Waikabubak-Waitabula と Waingapu の二つの主要系統と数カ所の独立システムで構成されている 表 4-10 スンバ島における電力需給状況概要 (2015 年 ) ピークロード (MW) 発電設備容量 (MW) 発電設備タイプ Waingapu システム ( 東 Sumba) ディーゼル発電 (PLN) Waikabubak-Waitabula システム ( 西 Sumba) 出典 :PLN (2016) RUPTL をもとに作成 ディーゼル発電 / 小水力発電 / 太陽光発電 (PLN) 独立システム ディーゼル発電 / 小水力発電 (PLN/IPP) Hivos の調査によると 電力需要の 75% が家庭用 20% が業務用 5% がその他となってい る 家庭電力消費の内 約 7 割は照明需要である 電力需要のピーク時間帯は夜の 18 時 ~ 22 時である 103

125 出典 :Kema and Hivos Report (2011) Grid Connected Electricity Generation をもとに作成 図 4-9 スンバ島における電力需要の内訳 出典 :Kema and Hivos Report (2011) Grid Connected Electricity Generation をもとに作成 図 4-10 スンバ島における電力負荷曲線 (2010 年時点 ) (3) 再生可能エネルギー資源量 スンバにおける年平均日射量は約 5.54kWh/m 2 /day である 日射量が最も多い時期の日射 量は 6.38~6.45kWh/m 2 /day 最も少ない時期の日射量は約 6.38~6.65kWh/m 2 /day である 38 風力資源については最も風況が良い地域の年平均風速は 6.5m/s~8.2m/s である 経済性が あると思われる風力資源サイトは Hambapraing/Tanjung Mondu Palakahembi/Laepori および Lawola である 3 か所合計で 130MW~181MW の風力資源量があると推計されている ( 現 38 Asian Development Bank (prepared by Castlrock consulting) (2014) Scaling Up Renewable Energy Access in Eastern Indonesia Delierable B: Energy Resources for Grid Supply & Electricity Demand Analysis for スンバ スンバ 104

126 在ディーゼル発電設備の容量は約 11MW) 39 スンバ島は豊富な水力発電資源を有しており 既に水力発電所が導入されている PLN 社の RUPTL によると 同社は今後もスンバで合計 40MW の水力発電設備を導入すると計画している また スンバ島におけるバイオマス由来の発電に関してはバイオガス発電 ( 農業廃棄物を発酵させて発生したメタンガスを燃料にした発電 ) のポテンシャルが約 10MW であると推計されている 40 (4) 今後の計画 PLN 社のスンバ島電力供給システムの整備計画を表 4-11 にまとめる 発電 表 4-11 PLN 社によるスンバ島の電力システム整備計画 出典 :PLN (2016) RUPTL をもとに作成 予定 現状 (2016 年時点 ) Waigapu 小水力 (10MW) 2018 年運転開始 調達段階 Waigapu2 小水力 (30MW) 2019 年運転開始 計画段階 バイオマス発電 (1MWのパイロットプロジェクト ) - 計画段階 送電 150kV 送電線 2019 年導入予定 変電所 プロジェクト Waingapu:150/20kV 30MVA 2019 年運転開始計画段階 Waitabula:150/20kV 30MVA 2019 年運転開始計画段階 出典 : PLN (2016) RUPTL 図 4-11 スンバ島における高圧送電線の建設計画 39 National Renewable Energy Laboratory (NREL) (2015) Sustainable Energy in Remote Indonesian Grids: Accelerating Project Development 40 Asian Development Bank (prepared by Castlrock consulting) (2014) Scaling Up Renewable Energy Access in Eastern Indonesia Delierable B: Energy Resources for Grid Supply & Electricity Demand Analysis for Sumba 105

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