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Transcription

1 急性期治療病棟入院患者における隔離期間と精神症状との関係についての検討 医療法人財団北林厚生会五条山病院 太勝美

2 はじめに 行動制限中の精神症状観察能力や看護能力の向上 看護者間で情報の共有化 医師への正確な報告 目的隔離期間と症状との関係を明らかにすること

3 < 研究対象 > 研究中に隔離施行した患者 25 人 < 研究期間 > 200X 年 Y 月 ~4か月 F4 群 1 名 F3 群 2 名 F7 群 1 名 疾患別 F0 群 3 名 F2 群 18 名

4 陽性 陰性症状評価尺度 (PANSS) 主として統合失調症の精神症状を全体的に把握することを目的としKayら (1991) によって作成された評価尺度である 陽性尺度 7 項目 陰性尺度 7 項目 総合精神病理尺度 16 項目の合計 30 項目からなっている 陽性症状の項目より5 項目幻覚による行動興奮敵意非協調性衝動性の調整障害

5 隔離期間中に深夜帯日勤帯準夜帯各 1 回 1 点なし 2 点ごく軽度 3 点軽度 4 点中等度 5 点やや重度 6 点重度 7 点最重度の 7 段階で症状を評価し 各時間帯での合計点を算出した 北 1 病棟 幻覚 興奮 敵意 非協調性 衝動性 0 時 00 分 12 時 00 分 0 時 30 分 12 時 30 分 1 時 00 分 13 時 00 分 1 時 30 分 13 時 30 分 2 時 00 分 14 時 00 分 9 時 00 分 21 時 00 分 9 時 30 分 21 時 30 分 10 時 00 分 22 時 00 分 10 時 30 分 22 時 30 分 11 時 00 分 23 時 00 分 11 時 30 分 23 時 30 分 深夜帯 日勤帯 準夜帯 隔離チェック表 幻覚による行動興奮敵意非協調性衝動性の調節障害 平成年月日 合計 合計 合計 睡眠 サイン 点 点 点 氏名様 外的刺激によらないで惹起された知覚を示すような行動や言語表出 聴覚 視覚 嗅覚 体性感覚の領域に起こる行動の増大 刺激反応性の亢進過剰警戒 気分昜変性の増大に示されるような活動性亢進状態怒り 憤りの言語的ないし非言語的表現 皮肉 受動 攻撃行動 言語的暴力 攻撃性に示される不信感 防御 頑固さ 拒絶 権威に対する反発 敵意あるいは闘争性などを伴うことがある突発的で抑制を欠いた気分の変動や 後先を考えない緊張や情動の爆発をもたらすような 内的な促迫に対する行動の抑制や調節の障害 幻覚 興奮 敵意 非協調性 衝動性 睡眠 サイン 各勤務帯最終に各項目 1~7 点にて評価し合計点を出す 30 分ごとの観察は (+ -) で記入睡眠は覚醒時に (+) 入眠は (-) 21~5:30 まで記入する 陽性 陰性症状評価尺度 (PANSS) 説明表参照

6 表 1 全体の特徴 性別 男性 8 名女性 17 名 平均年齢 平均隔離日数 隔離時得点 平均得点 最大得点 隔離から最大得点までの日数 48.7±19.6 歳 13.8±15.5 日 15.4±5.7 点 12.5±3.2 点 16.2±5.7 点 2.0±2.4 日 表 2 F2 群の特徴 表 3 F2 以外群の特徴 性別 平均年齢 男性 5 名 女性 13 名 41.1±16.9 歳 性別 平均年齢 男性 3 名 女性 4 名 68.1±10.2 歳 平均隔離日数 14.6±16.9 日 平均隔離日数 11.7±11.8 日 隔離時得点 16.3±6.19 点 隔離時得点 12.9±3.0 点 平均得点 12.8±3.5 点 平均得点 11.6±1.8 点 最大得点 17.1±6.2 点 最大得点 13.9±3.5 点 隔離から最大得点までの日数 2.1±2.7 日 隔離から最大得点までの日数 1.6±1.0 日

7 < 結果 > F2 以外群が平均年齢が高い 対象全体 F2 群 F2 以外群 隔離日数 年齢 隔離時得点 平均得点 最大得点 隔離から最大得点までの日数 隔離日数と相関する因子は認められない 男女での比較 有意な差は認められない

8 < 考察 > 疾患や性別 隔離を開始した時の精神症状 もっとも重篤な時の精神症状から 最終的な隔離期間を予測することが困難である F2 以外群が平均年齢が高い 統合失調症以外 7 名中 3 名が認知症である 対象者を増やし検討する 多くの項目と隔離期間との関係について詳細に検討することで 関係の深い因子を明らかに出来ないか ( 教育年数 罹病期間 治療期間 無治療期間 過去の入院回数 隔離回数 投与薬剤の量など )

9 < おわりに > 症状の重症度や性別 診断はいずれも隔離期間とは関係が認められなかった 点数化することで観察項目が定まり看護者間の統一した観察が出来るようになり 医師との情報交換も出来ている 症例を増やしたり その他の因子を幅広く加えて評価したりして 更なる検討を加える必要がある

10 ご清聴ありがとうございました

11 陽性 陰性症状評価尺度 (PANSS) 陽性症状項目 5 項目 1 点 2 点 3 点 4 点 5 点 6 点 7 点 なしごく軽度軽度中等度やや重度重度最重度 1 幻覚による行動 外的刺激によらないで惹起された知覚を示すような行動や言語表出 聴覚 視覚 嗅覚 体性感覚の領域に起こる 定義に当てはまらない 病理的か疑わしい もしくは正常上限 1,2 の明白な幻覚が時折見られたり 多くの曖昧な知覚異常が見られるが 思考や行動の歪みは認められない 幻覚はしばしば起こるが持続的ではない 患者の思考や行動は最小限しか障害されない 幻覚はしばしば起こり 二つ以上の感覚領域を含むことがあったり 思考や行動を歪めがちである 幻覚はほぼ持続的に見られ思考と行動に大きな障害をもたらす 患者は幻覚にほとんど没頭しており 思考と行動はそれに支配されている 2 興奮 行動の増大 刺激反応性の亢進過剰警戒 気分昜変性の増大に示されるような活動性亢進状態 定義に当てはまらない 病理的か疑わしい もしくは正常上限 わずかに乱れたり 警戒的であったり 張り詰めていたりするが 明らかな興奮性や気分昜変性はない 焦燥感や切迫感が明らかにみられ 会話と行為を障害したり散発的に激高する 顕著な活動性亢進がにられ しばしば行為の爆発もみられて 患者は数分もじっと座っていることができない 著明な興奮が支配し 注意を絞ることができない 食事や睡眠のような日常的な機能もある程度障害される 著明な興奮が食事や睡眠を深刻に障害し 対人関係をもつことは不可能である 3 敵意 怒り 憤りの言語的ないし非言語的表現 皮肉 受動 攻撃行動 言語的暴力 攻撃性に示される 定義に当てはまらない 病理的か疑わしい もしくは正常上限 皮肉 不遜 敵意のある言葉 時には昜刺激性などに示される間接的で限局した怒りの表現 明らかに敵意のある態度を示し しばしば昜刺激的で怒りの直接的表明がみられる かなり昜刺激性で 時には暴言や威嚇がみられる 非協調性 言語的暴力 脅迫のため面接は面接はほとんど成り立たず 社会関係に深刻な影響をおよぼす 顕著な怒りが極度の非協調性となり 対人関係を遮断する 4 非協調性 5 衝動性の調整障害 職員 家族など重要な他者の意向に同調することを積極的に拒否すること 不信感 防御 頑固さ 拒絶 権威に対する反発 敵意あるいは闘争性などを伴うことがある 突発的で抑制を欠いた気分の変動や 後先を考えない緊張や情動の爆発をもたらすような 内的な促迫に対する行動の抑制や調節の障害 定義に当てはまらない 定義に当てはまらない 病理的か疑わしい もしくは正常上限 病理的か疑わしい もしくは正常上限 憤り 苛立ち あてこすりなどの態度が認められる ストレスに直面したり満足が得られないときに 容易に怒り 動揺する傾向が認められるが 直接的な行動に移すことはまれである 敵意や抵抗あるいは拒絶を示すこともあるが 普通は働きかけに応ずることが出来る 些細な挑発によって怒り 罵倒を始める 時に威嚇的となったり 破壊的になったり 1.2 度物理的な対決や小さな喧嘩を起こしてしまう 患者はしばしば自分の生活上の義務を遂行せず 他人からは仲間外れと 見なされ 態度に重大な問題があると思われている 患者は非常に非協力的 拒絶的で 時に好戦的となる ほとんどの社会的義務に従事することを拒否 実質的にはほとんど全ての機能領域において 患者の積極的な抵抗の影響が著しく認められる どんな社会的活動にも加わらず 身の回りのこともしない 罵倒や器物破損 身体的威嚇をしばしば衝動的であり 攻撃的 致死的な暴行や強姦を犯して 含む衝動的な事件を繰り返して威嚇的, 強要的 破壊的になる 何度も残虐性を示し あるいはいる 激しい攻撃性を表したこと他害的行動を示し 性的な衝動自傷行為をする危険な衝動のコが1.2 度あり そのため隔離や拘が強かったり 場合によっては幻ントロールが不可能であり 常に束あるいは鎮静を必要としたこと覚によって支配された行動がみら直接的な監督あるいは周りからがある れる の拘束や抑制を必要とする

12 平均隔離日数 13.8±15.5 日 日数 隔離日数 40 日以上 30~39 20~29 10~19 10 日未満 人数

13 隔離時得点 15.4±5.7 点平均得点 12.5±3.2 点最大得点 16.2±5.7 点 点数 PANSS 得点 隔離時点数最大得点平均得点 最大得点 隔離時点数 平均得点 幻覚 興奮 敵意 非協調性 衝動性 観察項目

統合失調症患者の状態と退院可能性 (2) 自傷他害奇妙な姿勢 0% 20% 40% 60% 80% 100% ないない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 尐ない 中程度 高い 時々 毎日 症状なし 幻覚 0% 20% 40% 60% 80% 100% 症状

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Ⅰ 向精神薬の合理的な用い方 ④ 3 理学的および生化学的検査 身長 体重 体温 脈拍 血圧などの測定とともに 心電図およ び血液生化学的検査を施行し生体の病的状態の有無を評価してお く 脳波 CT MRI SPECT PET NIRS 等も必要に応じて施行 する 2 薬物療法の実際 ① 適切な薬剤 2 Ⅰ 向精神薬の合理的な用い方 向精神薬による薬物療法の導入は精神医療を一変させ 多くの患 者達に多大な恩恵をもたらしたことは 万人の認めるところとなっ ている 精神障害は生物学的基盤を有するのみでなく 心理社会的 な側面も無視できないが 精神薬理学はあくまで科学の一分野であ り 薬物療法に際しては その薬理学的および生化学的基礎の充分 な認識を必要とする それゆえ適切かつ有効で科学的 合理的な薬

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