感染症診療の

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1 2018 年 7 17 MiMID st 使える! 臨床感染症の基本 三重 学 学院名張地域医療学講座 名張市 病院総合診療科 崎隆太郎

2 感染症診療の

3 1 患者 感染症診療の 考え 2 臓器 3 微 物 4 治療 5 再評価

4

5 感染症診療の考え 患者 Patient 臓器 微 物 治療 再評価 Organ Micro-organism Antibiotics Reassessment

6 1 患者 感染症診療の 考え 2 臓器 3 微 物 4 治療 5 再評価

7 atient ( 患者 )

8 ある患者さん 24 歳 性 38 発熱, 咽頭痛, かぜ

9 ある患者さん 24 歳 性 38 発熱, 咽頭痛, 関節痛 1 のある

10 ある患者さん 24 歳 性 38 発熱, 咽頭痛, 関節痛 性 俗店に勤務

11 ある患者さん 24 歳 性 38 発熱, 咽頭痛, 関節痛 2 前にセネガルから帰国

12 ある患者さん 45 歳男性 38 発熱, 咳, 元気あり

13 ある患者さん 45 歳男性 38 発熱, 咳, 元気あり HIV 感染症で CD4 が 50/μl

14 患者背景の重要さは 感染症に限ったことか?

15 ある患者さん 20 歳男性 30 分前から胸が痛い 痩せ型

16 ある患者さん 64 歳男性 30 分前から胸が痛い BMI > 30

17 患者背景を知る 1 詳細な問診 +α ( 年齢, 性別, 既往歴, 内服薬, アレルギー歴, 職業歴, 歴, 喫煙 アルコール, 性交渉歴, 渡航歴 動物接触歴など ) 2 免疫不全か否か ( ステロイド, 免疫抑制剤, 物学的製剤, 化学療法,HIV など ) 3 膚 粘膜のバリア破綻はないか ( カテーテル留置, 化学療法, 熱傷など ) 4 社会背景 ( 外来, 院, 在宅, 介護施設, 維持透析など )

18 1 患者 感染症診療の 考え 2 臓器 3 微 物 4 治療 5 再評価

19 rgan( 臓器 )

20 ある患者さん 75 歳男性 38 発熱, 咳, 痰 臓器?

21 問診身体診察感染症病名 頭痛, 嘔気 嘔吐, 後頸部痛, 羞明感意識障害, 意識変容, 髄膜刺激徴候, 神経学的異常所見 髄膜炎, 脳炎, 脳膿瘍 咽頭痛咽頭発赤, 扁桃腫大咽頭炎 扁桃炎 耳痛, 耳閉塞感, 耳漏, 聴力低下鼓膜混濁 発赤 腫脹中耳炎 膿性鼻汁, 前頭部痛, 顔面痛, 上顎痛顔面叩打痛, 前傾姿勢で症状増悪 副鼻腔炎 咳嗽, 喀痰, 呼吸困難呼吸回数増加,SpO2 低下, 肺雑音肺炎, 気管支炎 腹痛 ( 特に右上腹部痛 ), 胆石の既往 腹部圧痛,Murphy 徴候, 右季肋部叩打痛, 黄疸 下痢, 嘔気 嘔吐, 腹痛腹部圧痛, 腸蠕動音の異常腸炎 肝炎, 肝膿瘍胆嚢炎, 胆管炎 腰背部痛, 下腹部痛膿尿, 血尿,CVA 叩打痛腎盂腎炎 頻尿, 残尿感, 精巣痛 下腹部痛, 異常帯下, 不正性器出血, 排尿困難 皮膚または褥瘡周囲の疼痛, 熱感, 発赤, 腫脹 膿尿, 血尿, 前立腺圧痛, 精巣腫大 圧痛 腹部圧痛, 子宮頸部の圧痛 皮膚の炎症所見, 褥瘡からの浸出液増加, 排膿 前立腺炎, 精巣上体炎 骨盤腹膜炎 蜂窩織炎, 褥瘡感染壊死性筋膜炎 関節痛, 関節腫脹関節可動域制限, 関節の可動時痛化膿性関節炎 頸部痛, 背部痛, 腰痛, 四肢しびれ, 筋力低下, 尿閉, 失禁 脊椎叩打痛, 四肢の筋力低下, 感覚障害, 筋力低下, 肛門括約筋弛緩 化膿性脊椎炎

22 ある患者さん 45 歳男性 38 発熱, 頭痛, た 元気 前傾姿勢で症状が増悪する

23 問診身体診察感染症病名 頭痛, 嘔気 嘔吐, 後頸部痛, 羞明感意識障害, 意識変容, 髄膜刺激徴候, 神経学的異常所見 髄膜炎, 脳炎, 脳膿瘍 咽頭痛咽頭発赤, 扁桃腫大咽頭炎 扁桃炎 耳痛, 耳閉塞感, 耳漏, 聴力低下鼓膜混濁 発赤 腫脹中耳炎 膿性鼻汁, 前頭部痛, 顔面痛, 上顎痛顔面叩打痛, 前傾姿勢で症状増悪 副鼻腔炎 咳嗽, 喀痰, 呼吸困難呼吸回数増加,SpO2 低下, 肺雑音肺炎 腹痛 ( 特に右上腹部痛 ), 胆石の既往 腹部圧痛,Murphy 徴候, 右季肋部叩打痛, 黄疸 下痢, 嘔気 嘔吐, 腹痛腹部圧痛, 腸蠕動音の異常腸炎 肝炎, 肝膿瘍胆嚢炎, 胆管炎 腰背部痛, 下腹部痛膿尿, 血尿,CVA 叩打痛腎盂腎炎 頻尿, 残尿感, 精巣痛 下腹部痛, 異常帯下, 不正性器出血, 排尿困難 皮膚または褥瘡周囲の疼痛, 熱感, 発赤, 腫脹 膿尿, 血尿, 前立腺圧痛, 精巣腫大 圧痛 腹部圧痛, 子宮頸部の圧痛 皮膚の炎症所見, 褥瘡からの浸出液増加, 排膿 前立腺炎, 精巣上体炎 骨盤腹膜炎 蜂窩織炎, 褥瘡感染壊死性筋膜炎 関節痛, 関節腫脹関節可動域制限, 関節の可動時痛化膿性関節炎 頸部痛, 背部痛, 腰痛, 四肢しびれ, 筋力低下, 尿閉, 失禁 脊椎叩打痛, 四肢の筋力低下, 感覚障害, 筋力低下, 肛門括約筋弛緩 化膿性脊椎炎

24 ある患者さん 75 歳 性 38 発熱, 腰痛

25 問診身体診察感染症病名 頭痛, 嘔気 嘔吐, 後頸部痛, 羞明感意識障害, 意識変容, 髄膜刺激徴候, 神経学的異常所見 髄膜炎, 脳炎, 脳膿瘍 咽頭痛咽頭発赤, 扁桃腫大咽頭炎 扁桃炎 耳痛, 耳閉塞感, 耳漏, 聴力低下鼓膜混濁 発赤 腫脹中耳炎 膿性鼻汁, 前頭部痛, 顔面痛, 上顎痛顔面叩打痛, 前傾姿勢で症状増悪 副鼻腔炎 咳嗽, 喀痰, 呼吸困難呼吸回数増加,SpO2 低下, 肺雑音肺炎 腹痛 ( 特に右上腹部痛 ), 胆石の既往 腹部圧痛,Murphy 徴候, 右季肋部叩打痛, 黄疸 下痢, 嘔気 嘔吐, 腹痛腹部圧痛, 腸蠕動音の異常腸炎 肝炎, 肝膿瘍胆嚢炎, 胆管炎 腰背部痛, 下腹部痛膿尿, 血尿,CVA 叩打痛腎盂腎炎 頻尿, 残尿感, 精巣痛 下腹部痛, 異常帯下, 不正性器出血, 排尿困難 皮膚または褥瘡周囲の疼痛, 熱感, 発赤, 腫脹 膿尿, 血尿, 前立腺圧痛, 精巣腫大 圧痛 腹部圧痛, 子宮頸部の圧痛 皮膚の炎症所見, 褥瘡からの浸出液増加, 排膿 前立腺炎, 精巣上体炎 骨盤腹膜炎 蜂窩織炎, 褥瘡感染壊死性筋膜炎 関節痛, 関節腫脹関節可動域制限, 関節の可動時痛化膿性関節炎 頸部痛, 背部痛, 腰痛, 四肢しびれ, 筋力低下, 尿閉, 失禁 脊椎叩打痛, 四肢の筋力低下, 感覚障害, 筋力低下, 肛門括約筋弛緩 化膿性脊椎炎

26 名張市 病院総合診療科学 向け感染症講義 臓器探しの旅

27 問診と 体診察でも, 臓器が想定できなかった 場合は?

28 問診と 体診察だけでは診断が難しい感染症 感染症病名 感染性 内膜炎 急性胆管炎 Clostridium difficile 感染症 診断 法 液培養 (3 セット以上 ) エコー ( 経 道 > 胸壁 ) 採 で肝胆道系酵素上昇, 腹部エコー, 腹部 CT 便の CD トキシン検査 膿瘍 ( 特に肝膿瘍, 腸腰筋膿瘍, 腹部造影 CT 検査, 腹部エコー 宮留膿腫など ) 特発性細菌性腹膜炎 眼内炎 カテーテル関連 流感染症 腹 検査 ( 球数, グラム染 培養 ) 眼底検査, 液培養 液培養 感染性 動脈瘤 マラリアやデング熱などの熱帯感染症も 液培養, 管造影 CT

29 問診と 体診察だけでは診断が難しい感染症 感染症病名 感染性 内膜炎 急性胆管炎 Clostridium difficile 感染症 診断 法 液培養 (3 セット以上 ) エコー ( 経 道 > 胸壁 ) 採 で肝胆道系酵素上昇, 腹部エコー, 腹部 CT 便の CD トキシン検査 膿瘍 ( 特に肝膿瘍, 腸腰筋膿瘍, 腹部造影 CT 検査, 腹部エコー 宮留膿腫など ) 特発性細菌性腹膜炎 眼内炎 カテーテル関連 流感染症 腹 検査 ( 球数, グラム染 培養 ) 眼底検査, 液培養 液培養 感染性 動脈瘤 マラリアやデング熱などの熱帯感染症も 液培養, 管造影 CT

30

31 迷ったら 液培養 2 セット

32 でもちょっと待って! 本当に全部診察した??

33 診察し忘れると診断が遠のく感染症 感染症病名 中 炎 ( 特に 児 ) 蜂窩織炎 化膿性関節炎 化膿性脊椎炎 前 腺炎 精巣上体炎 褥瘡感染 肛 周囲膿瘍 感染性 内膜炎 リケッチア感染症 診察 法 膜の診察 下肢の視診 触診 関節の視診 触診 脊椎の触診 叩打痛の有無 直腸診 精巣の視診 触診 臀部の観察 肛 周囲の視診 触診 眼瞼結膜 咽頭の点状出, 掌 底の 疹, 雑 刺し の観察 ( 特に頭 陰部 )

34 1 患者 感染症診療の 考え 2 臓器 3 微 物 4 治療 5 再評価

35 icro-organism ( 微 物 )

36 ある患者さん 84 歳 性 38 発熱, 咳, 痰

37

38 ( 例 ) 市中肺炎の原因菌 肺炎球菌 インフルエンザ菌 グラム染 染まる モラキセラ カタラーリス マイコプラズマ クラミドフィラ レジオネラ 染まらない + 忘れた頃にやってくる 結核

39 グラム染

40 細菌は 4 つに分類 球菌 桿菌 グラム陽性 グラム陰性

41 G: Gram( グラム ) P: Positive( 陽性 ) C: Cocci( 球菌 ) N: Negative( 陰性 ) R: Rods( 桿菌 ) グラム陽性 グラム陰性 球菌 GPC GNC 桿菌 GPR GNR

42 グラム陰性桿菌 グラム陽性球菌

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49 グラム染 染まる 肺炎球菌 インフルエンザ菌 モラキセラ グラム陽性球菌 グラム陰性桿菌 グラム陰性球菌

50 感染症病名 髄膜炎 咽頭炎 中 炎 副 腔炎 肺炎 胆嚢炎, 胆管炎 腸炎 腎盂腎炎, 前 腺炎, 精巣上体炎 盤腹膜炎 蜂窩織炎 化膿性関節炎 化膿性脊椎炎 細菌が原因となる場合の主な原因菌 肺炎球菌, 髄膜炎菌 (50 歳以上, 新 児, 免疫不全ではリステリアも ) レンサ球菌 (A 群,C 群 ),Fusobacterium necrophorum, 肺炎球菌, インフルエンザ菌 肺炎球菌, インフルエンザ菌 肺炎球菌, インフルエンザ菌, モラキセラ カタラーリス 腸菌,Klebsiella pneumoniae, 嫌気性菌, 腸球菌など カンピロバクター, サルモネラ, ビブリオ, 病原性 腸菌 腸菌,Klebsiella pneumoniae,proteus 属 腸菌,Klebsiella pneumoniae,proteus 属 ブドウ球菌, レンサ球菌 ブドウ球菌, レンサ球菌 ブドウ球菌, 腸菌, レンサ球菌,CNS など CNS: Coagulase negative staphylococcus

51 1 患者 感染症診療の 考え 2 臓器 3 微 物 4 治療 5 再評価

52 グラム染 で染まる 肺炎球菌 インフルエンザ菌 モラキセラ ペニシリン G アンピシリン セフトリアキソン アンピシリン スルバクタム グラム陽性球菌 グラム陰性桿菌 グラム陰性球菌

53 PCG ABPC PSSP PRSP BL (-) BL (+) BL (-) BL (+) PBP ABPC/SBT CTM CTRX CTX

54 CTRX のイイところ 髄液移 性が良いので市中細菌性髄膜炎のエンピリック治療としても使える!! ほとんどの腸内細菌に効くので市中尿路感染症にも使える!! 1 1 回投与でOK!! ほぼ肝代謝なので腎機能障害があっても 量調整が不要!!

55 感染症はすべて とりあえず CTRX で良いのでは?

56 CTRX が選択される感染症 CTM のスペクトラム+PRSP, BLNAR 市中肺炎 市中急性腎盂腎炎 細菌性髄膜炎 淋菌感染症 ( 尿道炎など ) など

57 CTRX がカバーしない細菌 Pseudomonas aeruginosa( 緑膿菌 ) Staphylococcus aureus (MRSA) Enterococcus spp( 腸球菌 ) 耐性 GNR(ESBL 産 菌,AmpC 多量産 菌 カルバペネム耐性菌など ) Mycoplasma pneumoniae Legionella pneumophila Mycobacterium tuberculosis( 結核 ) など

58 感受性菌 耐性菌

59 CTRX 感受性菌 CTRX 耐性菌 (CTRX 投与 )

60 ( 例 ) 市中肺炎の原因菌 肺炎球菌 βラクタム剤 ( ペニシリン系, セフェム系, カルバペネム系 ) インフルエンザ菌 は効かない モラキセラ カタラーリス マイコプラズマ クラミドフィラ レジオネラ + 忘れた頃にやってくる 結核 マクロライド テトラサイクリン フルオロキノロン 染まる 染まらない

61 尿路感染症 ( 発熱していれば ) 1 急性腎盂腎炎 2 急性前 腺炎 3 急性精巣上体炎

62 腸菌 Klebsiella pneumoniae

63 Pseudomonas aeruginosa( 緑膿菌 )

64 Enterococcus faecalis( 腸球菌 )

65 腸球菌かどうかは で分かるので まずは 腸菌か緑膿菌か分かれば良い 腸菌 緑膿菌 ST 合剤 CTRX (or CTM) 抗緑膿菌作 のある抗菌薬 (CFPM, PIPC, PIPC/TAZ, MEPM, フルオロキノロン, アミノグリコシドなど )

66 GPC-chain ( レンサ状 ) なら腸球菌疑い では GPC-cluster ( ブドウ状 ) なら? E. faecalis ABPC (E. faecium VCM)

67 86 歳 性 慢性腎不全で維持透析中. 前腕のシャントが閉塞したため右内頚静脈から透析 カテーテル挿 中. 院 7 前に38 の発熱あり, 前医からCFPN-PI 200mg/ day+ctrx 1g q24h 点滴を連 投与された. 院前 に嘔吐し, 院当 39 の発熱で救急搬送された 体温 38.8, 圧 98/62 mmhg, 脈拍 92 回 / 分, 呼吸 24 回 / 分,SpO2: 96%(room). CVA 叩打痛なし. 尿混濁あり. WBC 23280/µl, CRP 27.7mg/dl 尿 般検査 : 潜 1+ 蛋 1+,WBC3+

68 尿グラム染 この時点で 液培養再検して尿路感染症の診断で 院バンコマイシン追加. メロペネム (MEPM) 0.5g q12h で治療開始. 翌 以降も38 台の発熱が継続. 液培養 :MRSA 尿培養 :ESBL 産 Klebsiella pneumoniae, MRSA

69 SABU (Staphylococcus aureus bacteriuria) SABUの原因 泌尿器 殖器 静脈カテーテル感染 静脈炎 or 管内デバイス 感染性 内膜炎 その他 不明 割合 26 % 22 % 7 % 4 % 17 % 22 % 菌が 流に乗って 全 を回った結果を尿グラム染 で確認できる場合がある! Clin Infect Dis 2007; 44: ブドウ球菌菌 症の 8~34 % に ブドウ球菌 尿症を認める Curr Infect Dis Rep 2012;14:601-6

70 原因微 物 の想定なしでは 治療薬は選べない ていうか, 選択した治療の根拠を 患者 家族に説明できない

71

72 ここまでをまとめると

73 例えば腎盂腎炎 性に多い, 齢者に多い 尿道留置カテーテルはリスク 腎臓 腸菌が最多 腸菌に効く抗菌薬を選択 ST 合剤,3 rd セファロスポリン

74 1 患者 感染症診療の 考え 2 臓器 3 微 物 4 治療 5 再評価

75 eassessment ( 評価を繰り返す )

76 よくなっている?

77 症例 患者 :67 歳, 男性 主訴 : 発熱, 咳, 痰 現病歴 :2 前から倦怠感, 欲不振あり. 本 発熱してきたため来院. 既往歴 : 糖尿病, 圧 内服薬 : メトホルミン 1,000mg/day, アムロジピン 5mg/day

78 体所 体温 38.4, 圧 148/78, 脈拍 102 回 / 分, 呼吸 25 回 / 分,SpO2: 94 % (room air) 頭頚部 : 眼瞼結膜貧 (-), 眼球結膜 染 (-), 咽頭発 (-), 頸部リンパ節腫脹 (-) 胸部 : 右下肺野背側で吸気初期から coarse crackle 聴取. 雑 (-) 腹部 : 平坦, 腸蠕動 正常, 圧痛 (-). 四肢 : 浮腫 (-), 疹 (-), 関節腫脹 (-)

79 診断は?? 治療は??

80 診断 : 肺炎球菌肺炎 治療 : アンピシリン 2g 6 時間ごとで治療開始

81 経過 体温 ABPC 2g q6h WBC 18,900 16,500 Hb Plt CRP 酸素流量 (L/min)

82 経過 体温 ABPC 2g q6h WBC 18,900 16,500 Hb Plt CRP 酸素流量 (L/min) 菌は消えている!!

83 経過 体温 あれ?? ABPC 2g q6h WBC 18,900 16,500 酸素流量 (L/min) でもまだ熱あるし Hb 16.7,CRP13.0 とか いし, Plt 本当に良くなってるのか?? CRP

84 ( 例 ) 肺炎 全 た の元気さ 発熱 欲 意識, 脈拍 ADL 球 CRP 局所 呼吸困難 呼吸回数 咳の回数 痰の量 呼吸 の異常 痰グラム染 PaO2, SpO2 胸部 Xp 浸潤影

85 治療前 4 時間後 16 時間後

86 ( 例 ) 急性腎盂腎炎 全 た の元気さ 発熱 欲 意識, 脈拍 ADL 球 CRP 局所 頻尿 残尿感 背部痛 CVA 叩打痛 尿中 球数 尿亜硝酸塩 尿グラム染

87 急性腎盂腎炎の 然経過 70 の単純性急性腎盂腎炎 ( 合併症なし ) 治療開始から解熱までの時間 平均 34 時間 治療開始 48 時間後も発熱 26 % 治療開始 72 時間後も発熱 13 % Am J Med 1996;101: 適切な抗菌薬治療を開始後,37.5 以下に解熱するまで 38.5 時間 ( 中央値 ) in 名張市 病院

88

89 治療前 治療後

90 ( 例 ) 急性腸炎 全 局所 た の元気さ 発熱 欲 意識, 脈拍 ADL 球 CRP 便回数 嘔気 嘔吐回数 腹痛 腸蠕動 改善 便

91 感染症 咽頭炎 副 腔炎 中 炎 肺炎 気管 炎 膀胱炎 腎盂腎炎 腸炎 蜂窩織炎 典型的な臨床経過 2-3 以内に咽頭痛が改善に向かう 2-3 以内に 汁, 前頭部痛が改善に向かう 2-3 以内に 痛が改善に向かう 2-3 以内に気道症状 ( 痰 > 咳 ), 呼吸状態 ( 呼吸数,SpO2) が改善に向かう 2-3 以内に頻尿, 背部痛が改善に向かう 2-3 以内に嘔吐, 下痢, 腹痛が改善に向かう 2-3 以内に 膚の発 が改善に向かう

92 全 の指標がすべて良くなっていれば たいてい患者も良くなっている. ただし, 多くの場合に局所の指標の が より迅速で鋭敏である ( 特にグラム染 )

93 1 患者 感染症診療の 考え 2 臓器 3 微 物 4 治療 5 再評価

94 微 物から臓器を推定することができます 3 微 物 2 臓器 例えば 液培養 腸菌,Klebsiella 尿路, 胆道系 ブドウ球菌 カテーテル, 膚, 筋 格系 肺炎球菌 肺, 髄液,IPD 腸球菌 尿路, 胆道系, カテーテル

95 原因菌のイメージ 膚 軟部組織 関節も グラム陽性菌 ( が多い ) グラム陽性菌 横隔膜 グラム陰性菌

96 感染症病名 髄膜炎 咽頭炎 中 炎 副 腔炎 肺炎 胆嚢炎, 胆管炎 腸炎 腎盂腎炎, 前 腺炎, 精巣上体炎 盤腹膜炎 蜂窩織炎 化膿性関節炎 化膿性脊椎炎 細菌が原因となる場合の主な原因菌 肺炎球菌, 髄膜炎菌 (50 歳以上, 新 児, 免疫不全ではリステリアも ) レンサ球菌 (A 群,C 群 ),Fusobacterium necrophorum, 肺炎球菌, インフルエンザ菌 肺炎球菌, インフルエンザ菌 肺炎球菌, インフルエンザ菌, モラキセラ カタラーリス 腸菌,Klebsiella pneumoniae, 嫌気性菌, 腸球菌など カンピロバクター, サルモネラ, ビブリオ, 病原性 腸菌 腸菌,Klebsiella pneumoniae,proteus 属 腸菌,Klebsiella pneumoniae,proteus 属 ブドウ球菌, レンサ球菌 ブドウ球菌, レンサ球菌 ブドウ球菌, 腸菌, レンサ球菌,CNS など CNS: Coagulase negative staphylococcus

97 1 患者 感染症診療の 考え 2 臓器 3 微 物 4 治療 5 再評価

98 治療薬から微 物を推定することができます 4 治療 3 微 物 CTRX,ABPC/SBT で良くなった 緑膿菌や MRSA ではなさそう VCM で良くなった グラム陽性菌の何か. グラム陰性菌ではなさそう MEPM 投与中に状態悪化 MRSA, Stenotrophomonas maltophilia, 真菌など. またはマイコプラズマやレジオネラなどの細胞内寄 菌?

99 2016/3/1/ken_Open_Report_ pdf

100 2016/3/1/ken_Open_Report_ pdf

101 1 患者 感染症診療の 考え 2 臓器 3 微 物 4 治療 5 再評価

102 感染症診療の考え 患者 Patient 臓器 微 物 治療 再評価 Organ Micro-organism Antibiotics Reassessment

103 まとめ 患者, 臓器, 微 物, そして治療! 臓器が分かれば, 原因微 物が分かる, 原因微 物がわかれば治療が分かる. ( 逆も然り ) 治療開始後のフォローアップは局所の指標と全 の指標に分けて評価する.

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