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1 年 までの 中 東 諸 国 のエネルギー 需 給 予 測 分 析 Forecast Analysis on Energy Demand and Supply in Middle East Countries by 小 宮 山 涼 一 * 惣 福 脇 学 ** 松 尾 雄 司 Ryoichi Komiyama Manabu Sofukuwaki Yuji Matsuo ( 原 稿 受 付 日 211 年 7 月 22 日, 受 理 日 212 年 2 月 3 日 ) *** This paper develops long-term projections on energy supply and demand up to with particular focus on Middle East countries, based on the analyses of world trends that are already evident or expected to emerge in the future, and describes the methodology of forecast and major projected results of the energy demand and supply. In Reference Scenario, the Middle East countries primary energy consumption will grow at a rate of 2.2% per annum in the period up to, from 592 Mtoe in to 175 Mtoe in. More than 5% of the expected increase in primary energy consumption will be accounted for by increases in Saudi Arabia and Iran. Vigorous growth of electricity demand in Middle East is expected to on the back of economic growth and population increase. Therefore, future profile of power generation mix is considered as influential factor in energy outlook. In Technologically Advanced Scenario, which assumes that all Middle East countries take technological advanced measures and that accelerated R&D encourage global deployment of advanced technologies, primary energy consumption will decrease by 13% compared with the Reference Scenario in. Keywords : Middle East, Integrated econometric model, Energy outlook, CO 2 emissions mitigation 1. はじめに 年 のリーマンショックを 発 端 とする 世 界 的 な 景 気 後 退 にも 関 わらず, 中 東 産 油 国 は 経 済 発 展 を 続 け, 今 後 も 堅 調 な 人 口 の 増 加, 資 源 生 産 の 拡 大, 資 本 の 蓄 積 等 を 通 じ て, 先 進 国 を 上 回 るテンポで 経 済 成 長 すると 見 込 まれる. その 背 景 には 近 年, 中 東 産 油 国 の 有 力 な 石 油 ガス 貿 易 相 手 国 である 中 国,インドをはじめとする 新 興 国 の 経 済 発 展 に 伴 う 世 界 の 石 油,ガス 需 要 の 高 い 伸 びがある.また, 石 油 価 格 は 国 際 的 に 2 年 以 降 上 昇 を 続 け, 年 に WTI 原 油 がその 最 高 値 147 ドル/バレルを 記 録 した. 年 末 に は 3 ドル 台 まで 下 落 したが,211 年 現 在,WTI 原 油 は 8 ドル 台 後 半,ブレント 原 油 は 1 ドルを 超 える 水 準 にある. 石 油 価 格 の 高 値 圏 での 継 続 的 な 推 移 は, 中 東 産 油 国 に 豊 富 な 資 金 を 供 給 し,その 旺 盛 な 経 済 成 長 に 貢 献 している. 一 方, 中 東 諸 国 では 急 激 な 経 済 成 長 とエネルギー 需 要 の 増 大 から, 慢 性 的 な 電 力 不 足 が 深 刻 化 している.また, 資 源 枯 渇 への 危 機 意 識 から, 太 陽 光 などの 再 生 可 能 エネルギ ーや の 導 入 への 関 心 を 強 めている.さらに 地 域 環 境 問 題 等 の 環 境 汚 染 の 問 題 も 深 刻 化 しつつあり, 中 東 諸 国 を 取 り 巻 くエネルギー 環 境 情 勢 は 大 きく 変 化 している. このように 中 東 各 国 のエネルギー 需 給 に 関 する 分 析 の 必 要 性 が 高 まりつつあるにも 関 わらず, 既 存 の 分 析 1) では 中 * 東 京 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科 国 際 専 攻 東 京 都 文 京 区 本 郷 komiyama@n.t.u-tokyo.ac.jp ** 九 州 電 力 株 式 会 社 経 営 企 画 本 部 福 岡 市 中 央 区 渡 辺 通 manabu_soufukuwaki@kyuden.co.jp *** ( 財 ) 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 計 量 分 析 ユニット 東 京 都 中 央 区 勝 どき イヌイビル カチドキ matsuo@edmc.ieej.or.jp 東 全 体 が 一 地 域 として 扱 われる 場 合 がほとんどであり,こ れまで 十 分 な 分 析 が 実 施 されていない.そこで 本 稿 では, 中 東 を 各 国 別 に 詳 細 にそのエネルギー 需 給 予 測 を 分 析 した. 大 きな 経 済 環 境 の 変 化 を 迎 えている 中 東 の 動 向 を 踏 まえ 2)3)4), 年 という 長 期 的 視 野 でエネルギー 需 給 を 各 国 別 (サウジアラビア,イラン,イラク,アラブ 首 長 国 連 邦 (UAE),カタール,クウェート,オマーン,その 他 中 東 (バ ーレーン,イスラエル,ヨルダン,レバノン,シリア,イ エメン))に, 計 量 経 済 学 的 手 法 を 用 いて 分 析 する. ただし 本 稿 では,イスラエルを その 他 中 東 に 含 め 考 慮 しているが, 今 後 の 経 済 情 勢 やエネルギー 動 向 の 趨 勢 に よっては, 中 東 でのプレゼンスがさらに 拡 大 し,1 国 とし て 推 計 する 必 要 性 が 出 てくる 可 能 性 に 留 意 する 必 要 がある. 2. 分 析 の 概 要 2.1 モデルの 構 造 中 東 の 長 期 エネルギー 需 給 を 予 測 分 析 する 上 で, 経 済 と エネルギー 需 給 の 関 係 を 整 合 的 に 扱 うため,マクロ 経 済 モ デル,エネルギー 需 給 モデル, 技 術 評 価 モデル( 再 生 可 能 エネルギー, 民 生 部 門 エネルギー 機 器 )から 構 成 される 統 合 型 エネルギー 経 済 モデルを 構 築 し 分 析 を 実 施 した( 図 1). 本 モデルの 特 徴 として, 過 去 の 実 際 のデータに 基 づきモ デルの 構 造 が 構 築 されており, 近 時 点 のエネルギー 需 給 情 勢 を 容 易 に 織 り 込 める 等, 将 来 にわたる 需 給 の 絶 対 水 準 の 分 析 に 適 する 点,ならびに, 計 量 経 済 型 モデルはエネルギ ーバランス 表 に 即 したモデル 化 が 容 易 であり, 最 終 消 費 か ら 一 次 エネルギー 供 給 までのエネルギー 需 給 のバランスを 過 去, 将 来 にわたり 整 合 的 に 分 析 可 能 な 点 が 挙 げられる. 本 稿 は, 第 27 回 エネルギーシステム 経 済 環 境 コンファレンス 発 表 原 稿 ( 惣 福 脇 小 宮 山 松 尾 年 までの 中 東 諸 国 のエネルギ ー 需 給 予 測 分 析 )の 内 容 に 基 づき 編 集 している. 44

2 マクロ 経 済 モデル ( 主 要 前 提 ) てまず 推 計 し,その 消 費 量 を 充 足 するためのエネルギー 源 GDP 関 連 指 標 GDP 原 油 価 格 為 替 レート 人 口 など 別 一 次 エネルギー 投 入 量 がエネルギー 転 換 モデルにより 求 物 価 指 数 金 融 等 産 業 活 動 指 標 運 輸 関 連 指 標 等 められる. 最 後 に, 最 終 エネルギー 消 費, 転 換 部 門 での 一 次 エネルギー 投 入 量 の 和 から 一 次 エネルギー 供 給 量 が 推 計 され, 最 終 的 に CO 2 排 出 量 が 計 算 される. 技 術 評 価 モデル エネルギー 需 給 モデル 自 動 車 なお 本 モデルは, 回 帰 分 析 式 を 基 本 とした 計 量 経 済 型 モ 民 生 部 門 エネルギー 機 器 エネルギー 需 要 再 生 可 能 エネルギー デル 7) であり, 社 会 経 済 指 標 とエネルギー 需 給 等 の 要 因 間 CO 2 排 出 量 エネルギー 転 換 新 エネルギー エネルギー 供 給 火 力 発 電 効 率 など の 相 関 関 係 を 1971 年 以 降 の 実 データを 用 いることにより 推 計 を 行 い,この 因 果 関 係 に 基 づきモデルが 構 築 されてい る. 過 去 の 推 計 値 と 実 際 の 実 績 値 がほぼ 一 致 するような 形 図 1 モデルの 構 造 でモデルが 整 備 されており,これを 用 いて 中 東 のエネルギ ー 需 給 の 将 来 推 計 を 行 っている. なお, 本 稿 のモデルでは 基 本 的 に 需 要 に 応 じて 供 給 が 実 現 するようにモデル 化 を 行 っている.ただし 現 実 には, 国 際 的 な 経 済 的 制 裁, 政 治 的 制 裁 等 の 社 会 的 要 因 が, 制 裁 対 象 国 の 石 油 精 製 設 備 量 の 不 足 や 国 内 石 油 製 品 の 供 給 不 足 を もたらす 等, 供 給 上 の 制 約 が 需 要 を 規 定 する 可 能 性 等 も 存 在 する.しかしながら, 本 稿 のモデルではこのような 社 会 ただし 実 際 には, 特 に 中 東 地 域 の 場 合, 経 済 情 勢 やエネ ルギー 需 給 動 向 は, 経 済 制 裁 等 の 政 治 情 勢,それを 受 けた 経 済 上 の 供 給 制 約 により, 将 来 推 計 が 大 きく 変 化 する 可 能 性 がある.そのため, 本 稿 での 将 来 推 計 における 前 提 条 件 や 計 算 結 果 の 解 釈 においては,このような 制 約 要 因 に 十 分 に 留 意 する 必 要 がある. 的 要 因 を 考 慮 できないため, 計 算 結 果 の 解 釈 においては, こうした 分 析 の 制 約 要 因 に 十 分 に 留 意 する 必 要 がある. (3) 技 術 評 価 モデル 本 モデルでは, 自 動 車, 民 生 部 門 エネルギー 機 器, 再 生 (1) マクロ 経 済 モデル マクロ 経 済 モデル 5) は,ケインズ 型 の 国 民 所 得 決 定 理 論 をベースとした 計 量 経 済 型 モデルであり,エネルギー 需 要 を 規 定 する 経 済 構 造 及 び 各 種 の 経 済 活 動 指 標 を 推 計 してい る. 実 質 GDP の 支 出 部 門 (GDP コンポーネント)を 中 核 として, 支 出 分 配 部 門, 財 政 部 門, 金 融 部 門 及 び 労 働 部 門 などが 整 合 的 に 結 合 している. 為 替 レートや 原 油 価 格 など の 海 外 要 因 や 人 口 要 因, 財 政 政 策 要 因 などを 外 生 変 数 と し, 一 般 物 価 水 準 などのほか,エネルギー 需 要 に 密 接 に 関 連 する 主 要 産 業 の 生 産 活 動 指 標 や 運 輸 部 門 輸 送 量 などが 内 生 変 数 として 推 計 される. 可 能 エネルギーの 将 来 予 測 を, 別 途,ボトムアップ 的 に 推 計 し,この 推 計 値 をエネルギー 需 給 モデルに 入 力 すること により, 革 新 技 術 の 導 入 効 果 を 考 慮 している. 自 動 車 の 普 及 見 通 し,その 省 エネ 効 果 の 推 計 に 関 しては, 動 力 技 術 別 消 費 燃 料 種 別 に 自 動 車 の 導 入 量 を 詳 細 に 推 計 する 自 動 車 普 及 分 析 モデル 7) を 用 いている. 民 生 部 門 のエネルギー 消 費 機 器 ( 冷 蔵 庫,エアコン 等 )の 普 及 による 省 エネ 効 果 は, 文 献 を 元 に, 対 象 地 域 における 当 該 機 器 の 普 及 と 廃 棄 を 考 慮 に 入 れた 積 上 げ 型 モデルを 構 築 し, 保 有 台 数 ベースで のエネルギー 効 率 をエネルギー 需 給 モデルに 入 力 すること により, 高 効 率 技 術 の 省 エネ 効 果 を 考 慮 している.また 産 業 部 門 についても,エネルギー 多 消 費 産 業 である 鉄 鋼,セ (2) エネルギー 需 給 モデル エネルギー 需 給 モデル 5) では, 上 記 のマクロ 経 済 モデル から 得 られるマクロ 経 済 社 会 指 標 に 加 え, 以 下 に 述 べる 技 術 評 価 モデルより 得 られる 省 エネルギー 指 標, 新 エネル ギーの 導 入 量 などの 前 提 条 件 に 基 づき, 最 終 エネルギー 消 費, 転 換 部 門 のエネルギー 消 費 から 一 次 エネルギー 消 費 ま でのエネルギー 需 給 バランスが 推 計 される.ここでは,エ メント, 紙 パルプ, 石 油 精 製 部 門 についても, 積 み 上 げ 型 モデルを 分 析 対 象 国 ごとに 構 築 し,これを 用 いて 高 効 率 設 備 の 導 入 による 省 エネルギーポテンシャルを 推 計 し,エネ ルギー 需 給 モデルにおいてこれを 反 映 している. 再 生 可 能 エネルギーに 関 しては, 既 存 文 献 における 既 存 技 術 との コスト 競 合 効 果 を 考 慮 に 入 れた 技 術 評 価 モデルを 用 いて, 普 及 パターンを 計 算 している. ネルギー 統 計 データとして IEA(International Energy Agency) のエネルギーバランス 表 を 用 い,これに 集 約 加 工 を 施 す ことで, 各 国 のエネルギー 需 給 の 実 績 値 をデータベース 化 し, 将 来 推 計 を 実 施 する.モデル 内 では, 産 業 部 門, 民 生 部 門, 運 輸 部 門 の 最 終 エネルギー 消 費 量 を 上 記 指 標 を 用 い 2.2 前 提 条 件 (1) 経 済 成 長 及 び 人 口 の 見 通 し 年 の 米 国 のリーマンショックを 起 点 とした 金 融 危 機 は, 世 界 景 気 を 大 きく 後 退 させ, 世 界 的 に 経 済 成 長 は 鈍 45

3 年 ~ 年 % 年 ~ 年 サウジアラビア イラン イラク UAE カタール クウェート オマーン その 他 中 東 中 東 -2. 図 2 中 東 諸 国 の GDP 成 長 率 の 見 通 し 百 万 人 年 年 22 年 年 年 年 中 東 2. 億 人 3. 億 人 サウジアラビア イラン イラク UAE カタール クウェート オマーン その 他 中 東 図 3 中 東 諸 国 の 人 口 の 見 通 し 化 した.しかし,その 後, 主 要 各 国 の 景 気 対 策 が 実 施 され, 29 年 初 頭 には 中 国 をはじめとする 新 興 国 は 回 復 を 見 せ 始 め,211 年 現 在, 日 本 を 含 め, 先 進 国 の 経 済 も 徐 々にこ れまでの 巡 航 速 度 での 成 長 テンポを 回 復 しつつある.この ような 中, 中 東 は,これまで 先 進 国 が 示 した 一 人 当 たり 所 得 と 経 済 成 長 率 の 関 係 を 考 慮 に 入 れると, 今 後 年 にか けて 年 率 3.5%と 高 い 経 済 成 長 が 見 込 まれる( 図 2). 現 在 も, 原 油 価 格 等 のエネルギー 価 格 の 高 位 圏 での 推 移 が 経 済 成 長 を 後 押 ししている. 特 にガス 資 源 が 豊 富 なカタールは, 世 界 的 なガス 需 要 の 高 まりを 受 けて 年 の GDP 成 長 率 が 25.4% 1) になるなど, 経 済 が 好 調 に 推 移 している. しかし 実 際 には, 中 東 地 域 の 経 済 成 長 は, 中 東 各 国 の 政 治 のガバナンス 能 力 に 大 きく 依 存 すると 考 えられ, 経 済 成 長 を 促 す 生 産 性 向 上, 雇 用 創 出, 世 界 経 済 との 結 びつきの 強 化 等 についての 政 策 上 の 決 定 は,この 能 力 の 帰 趨 による. そのため, 中 東 各 国 の 政 治 リスクが 経 済 成 長 に 不 確 実 性 を 与 える 点 を 十 分 に 留 意 する 必 要 がある. 中 東 諸 国 の 人 口 の 将 来 推 計 値 は, 最 新 の 国 連 予 測 等 11) に 基 づき 設 定 している. 中 東 諸 国 は 経 済 発 展 に 伴 い 出 生 率 が 低 下 傾 向 にあるものの, 国 際 的 にみても 以 前 から 出 生 率 の 相 対 的 に 高 い 地 域 であり, 人 口 は 今 後 も 年 率 平 均 1.5%で 増 加 すると 見 込 まれている. 中 東 全 体 の 人 口 は 年 の 約 2. 億 人 から 年 には 約 3. 億 人 に 達 する 見 通 しである ( 図 3).また, 労 働 人 口 が 豊 富 であり,2 歳 未 満 の 若 年 者 は 年 で 約 4 割 を 占 めており, 持 続 的 な 購 買 層 の 拡 大 に より 内 需 が 堅 調 に 増 加 していくと 考 えられる. (2) ケース 設 定 ケース 設 定 に 関 しては,レファレンスケース 及 び 技 術 進 展 ケースの 2 つのケースを 想 定 する. レファレンスケースは, 世 界 各 国 が 現 状 以 上 に 特 段 の 環 境 対 策 省 エネルギー 対 策 を 行 わないケースである.この 表 1 技 術 進 展 ケースにおける 中 東 の 主 な 前 提 条 件 年 年 実 績 レファレンス 技 術 進 展 GW 7.6GW 18.5GW ( 内 訳 ) ( 内 訳 ) イラン:2.GW イラン:4.GW UAE:5.6GW UAE:5.6GW サウシ アラヒ ア:5.6GW クウェート:2.2GW ヨルダン:1.1GW 再 生 可 能.1GW.1GW 49.1GW エネルギー ( 内 訳 ) 風 力 :21.4GW 太 陽 光 :21.4GW 太 陽 熱 :6.3GW 発 電 効 率 33% 42% 5% ( 世 界 平 均 ) 36% 42% 47% ( 途 上 国 ) 33% 4 45% 自 動 車 燃 費 4.2toe/ 台 2.8toe/ 台 2.2toe/ 台 ( 世 界 平 均 ) 1.8toe/ 台 1.3toe/ 台 1.toe/ 台 ( 途 上 国 ) 2.2toe/ 台 1.5toe/ 台 1.1toe/ 台 場 合, 後 述 するように, 世 界 のエネルギー 消 費 は 年 ま で 直 線 的 に 増 加 を 続 け,それに 伴 ってエネルギー 起 源 の CO 2 排 出 量 も 増 加 を 続 ける. 一 方, 技 術 進 展 ケースでは, 中 東 諸 国 がより 一 層 のエネ ルギー 安 定 供 給 の 確 保 と 地 球 温 暖 化 対 策 の 強 化 に 資 する 一 連 のエネルギー 環 境 政 策 を 実 施 し, 革 新 的 技 術 の 開 発, 導 入 が 加 速 した 場 合 におけるエネルギー 需 給 を 分 析 する. 基 本 的 には 中 東 諸 国 のエネルギー 政 策 を 反 映 して 諸 前 提 を 設 定 し,OECD 加 盟 国 など 先 進 国 からの 技 術 移 転 促 進 に よる 効 果 等 によって,エネルギー 効 率 がレファレンスケー スよりも 早 いペースで 改 善 され,さらに 12)13), 太 陽 光 発 電 14) など 非 化 石 エネルギーの 導 入 が 拡 大 すると 想 定 している( 表 1). 46

4 1,2 1, 億 トン 増 実 績 予 測 その 他 中 東 オマーン クウェート カタール UAE イラク イラン サウジアラビア % 62% % 21 58% 55% 44% % 37% 34 95% 8 96% % % 7% 25% 54% 16 75% 76% 63% 59% 69% 72% 62% 12% 再 生 可 能 他 ガス 石 油 サウジ アラビア イラン イラク UAE カタール クウェート オマーン その 他 中 東 石 油 天 然 ガス その 他 図 4 中 東 の 一 次 エネルギー 消 費 の 見 通 し( 地 域 別 ) 3. 予 測 結 果 (レファレンスケース) 3.1 中 東 諸 国 の 一 次 エネルギー 消 費 中 東 全 体 の 一 次 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.2%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算 5.9 億 トンから 年 の 1.8 億 トン( 年 時 点 の 日 本 の 約 2. 倍 )まで 1.8 倍 に 拡 大 する( 図 4). サウジアラビア,イランの 一 次 エネルギー 消 費 の 和 は, 中 東 全 体 の 一 次 エネルギー 消 費 の 約 6 割 を 占 め, 年 か ら 年 までの 一 次 エネルギー 消 費 増 加 量 は 上 記 二 カ 国 が 中 東 全 体 の 57%を 占 める. 各 国 別 に 見 ると,サウジアラビアの 一 次 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.2%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算 1.6 億 トンから 年 の 2.9 億 トンまで 約 1.8 倍 に 拡 大 する. 石 油 は 年 でも 依 然 として 主 要 なエネルギ ー 源 となる( 図 5).また, 天 然 ガスの 利 用 が 進 み, 主 に 産 業 部 門 や 発 電 部 門 で 増 加 が 見 込 まれる. イランの 一 次 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 ま で 年 率 2.で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算 2. 億 トンから 年 の 3.5 億 トンまで 約 1.7 倍 に 拡 大 する. 石 油 は 年 にかけて 民 生, 運 輸 部 門 で 増 加 する 一 方, 天 然 ガスは 民 生 部 門, 産 業 部 門, 発 電 部 門 で 増 加 する.また, が 導 入 されることでエネルギー 源 が 多 様 化 していく( 図 5). イラクの 一 次 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 ま で 年 率 3.2%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算.3 億 トンから 年 の.8 億 トンまで 約 2.4 倍 に 拡 大 する. 石 油 は 年 で 一 次 エネルギーの 95%を 占 めており, 発 電 部 門 のほぼ 全 てが 石 油 火 力 であることから, 年 でも 依 然 として 主 要 なエネルギーであり 続 ける( 図 5). UAE の 一 次 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 1.8%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算.6 億 トンから 図 5 中 東 のエネルギー 源 別 一 次 エネルギー 消 費 ( 地 域 別 ) 年 の.9 億 トンまで 約 1.6 倍 に 拡 大 する. 年 時 点 で 一 次 エネルギー 消 費 の 約 8 割 を 占 める 天 然 ガスは, 産 業 部 門, 発 電 部 門 で 増 加 を 続 け 年 も 中 心 的 なエネルギーであ り 続 ける.また, が 導 入 され, 年 の 一 次 エネル ギー 消 費 の 1 割 を 占 める( 図 5). カタールの 一 次 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.7%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算.2 億 トンから 年 の.5 億 トンまで 約 2 倍 に 拡 大 する.カタールはガ ス 資 源 が 豊 富 に 存 在 するため, 今 後 も 天 然 ガスは 産 業, 発 電 部 門 で 堅 調 に 増 加 し, 発 電 部 門 のほぼ 全 てがガス 火 力 の ため, 一 次 エネルギー 消 費 の 大 半 を 占 める( 図 5). クウェートの 一 次 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.3%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算.3 億 トンか ら 年 の.5 億 トンまで 約 1.9 倍 に 拡 大 する. 産 業 部 門 や 発 電 部 門 で 天 然 ガスの 利 用 が 進 むが, 年 でも 依 然 と して 石 油 が 主 要 な 一 次 エネルギー 供 給 源 となる( 図 5). オマーンの 一 次 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算.2 億 トンから 年 の.3 億 トンまで 約 1.7 倍 に 拡 大 する.ガス 火 力 が 発 電 の 8 割 を 占 めるオマーンでは 電 力 部 門 でのガス 利 用 が さらに 進 み, 一 次 エネルギーに 占 めるガスの 割 合 は 年 に 7 割 を 超 える( 図 5). 3.2 中 東 諸 国 の 最 終 エネルギー 消 費 中 東 全 体 の 最 終 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.4%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算 3.9 億 トンから 年 の 7.3 億 トンまで 約 1.9 倍 に 拡 大 する( 図 6). 部 門 別 では, 全 体 の 4 割 超 を 占 める 非 エネルギー 部 門 を 含 めた 産 業 部 門 が, 石 油 化 学 を 中 心 として 堅 調 に 成 長 し 続 ける. また, 人 口 の 増 加 や 経 済 的 な 成 長 を 背 景 に, 民 生 部 門 での エネルギー 消 費 の 増 加 が 著 しい( 図 6). 47

5 8 実 績 予 測 年 ~ 年 の 増 加 量 産 業 運 輸 民 生 他 民 生 他 29% 運 輸 29% 産 業 43% 3 22% 47% % 154 サウジ アラビア 4% 18% % 68 33% 24% 42% % % 19% 27 53% 35% 32% % 56% 6% 7% 73% 39% イラン イラク UAE カタールクウェートオマーン その 他 中 東 産 業 運 輸 民 生 他 21 47% 7 84 民 生 他 44% 44 運 輸 37% % 産 業 53% 32% 図 6 中 東 の 最 終 エネルギー 消 費 の 見 通 し 図 7 中 東 の 部 門 別 最 終 エネルギー 消 費 の 見 通 し( 地 域 別 ) 各 国 別 では,サウジアラビアの 最 終 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.5%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算 1. 億 トンから 年 の 1.9 億 トンまで 約 1.9 倍 に 拡 大 する. 部 門 別 では, 最 終 エネルギー 消 費 の 5 割 を 超 える 産 業 部 門 が, 石 油 化 学 を 中 心 として 堅 調 に 増 加 する.また, 経 済 発 展 を 背 景 に 民 生, 運 輸 部 門 が 増 加 する( 図 7). イランの 最 終 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 ま で 年 率 2.で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算 1.5 億 トンから 年 の 2.7 億 トンまで 約 1.8 倍 に 拡 大 する.7, 万 人 を 越 す 人 口 のさらなる 増 加 と 経 済 成 長 により, 部 門 別 では, 主 に 民 生 部 門 と 運 輸 部 門 での 増 加 が 大 きい( 図 7). イラクの 最 終 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 ま で 年 率 2.5%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算.3 億 トンから 年 の.5 億 トンまで 約 2 倍 に 拡 大 する. 年 の 人 口 3,1 万 人 は 年 率 2%で 増 加 し, 年 に 5,3 万 人 となる. 部 門 別 では, 急 激 な 人 口 増 加 で 民 生 部 門 のエネルギー 消 費 が 特 に 拡 大 する( 図 7). UAE の 最 終 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.6%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算.3 億 トンから 年 の.7 億 トンまで 約 2. 倍 に 拡 大 する. 部 門 別 では, 石 油 化 学 を 中 心 に 産 業 部 門 の 消 費 が 成 長 し, 年 には 最 終 エ ネルギー 消 費 の 約 6 割 を 占 める.また, 順 調 な 経 済 成 長 か ら 民 生 部 門 でのエネルギー 消 費 も 増 大 する( 図 7). カタールの 最 終 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.5%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算.1 億 トンから 年 の.3 億 トンまで 約 2. 倍 に 拡 大 する. 部 門 別 では, 最 終 エネルギー 消 費 の 7 割 を 占 める 産 業 部 門 が, 石 油 化 学 を 中 心 として 堅 調 に 増 加 する( 図 7). クウェートの 最 終 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.5%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算.1 億 トンか ら 年 の.2 億 トンまで 約 1.9 倍 に 拡 大 する. 部 門 別 で は, 主 に 産 業 部 門, 民 生 部 門 でのエネルギー 消 費 が 増 加 し, 年 の 最 終 消 費 全 体 に 占 める 比 率 は 産 業 部 門 が 4 割 を 超 え, 民 生 部 門 が 約 3 割 となる( 図 7). オマーンの 最 終 エネルギー 消 費 は, 年 から 年 まで 年 率 2.3%で 増 加 し, 年 の 石 油 換 算.7 億 トンか ら 年 の.13 億 トンまで 約 1.9 倍 に 拡 大 する. 部 門 別 で は, 主 に 産 業, 民 生 部 門 の 消 費 が 増 加 し, 年 のシェア は 産 業 部 門 が 5 割 を 超 え, 民 生 部 門 が 3 割 となる( 図 7). 3.3 中 東 諸 国 の 発 電 電 力 量 と 電 源 構 成 堅 調 な 経 済 発 展 を 背 景 に, 中 東 全 体 の 電 力 需 要 の 伸 びは 著 しく,2 年 から 年 までに 年 率 6.6%で 増 加 してい る. 年 から 年 までは 年 率 3.を 見 込 み, 発 電 電 力 量 は 年 の 771TWh から 年 の 1,741TWh( 年 時 点 での 日 本 の 約 1.7 倍 )へ 約 2.3 倍 に 増 大 する. 中 東 全 体 の 電 源 構 成 ( 図 8)は, 年 時 点 でガス 火 力 が 発 電 電 力 量 の 58%を 占 めるが, 石 油 輸 出 量 の 量 的 確 保 のた めに, 国 内 でのガス 利 用 をさらに 促 進 する 見 込 みである. 年 にかけてガス 火 力 は, 石 油 火 力 を 代 替 し,64%へさ らに 拡 大 する. 火 力 はイスラエルの 27 年 の 発 電 設 備 容 量 の 約 7 割 を 占 める 重 要 な 電 源 となっていること 15) や 将 来 的 にドバイ やオマーンで 火 力 発 電 計 画 が 検 討 されているものの, 現 状 では 中 東 全 体 の 発 電 電 力 量 の 5% 程 度 しか 占 めておら ず, 今 後 も 火 力 の 大 幅 な 増 設 は 行 われない 見 込 みであ る. は,イランや UAE で 導 入 が 進 み, 年 には イランで 2.GW,UAE で 5.6GW, 中 東 全 体 の 発 電 設 備 容 量 は,7.6GW になると 想 定 している. 再 生 可 能 エネ ルギーは,イランで 風 力 発 電 やイスラエルで 太 陽 光 発 電 の 導 入 が 見 られるが,レファレンスケースでは 年 まで 現 状 値 で 一 定 として 想 定 している. 48

6 発 電 電 力 量 電 源 構 成 TWh 1,2 5% 3% 3% 1, 石 油 天 然 ガス 8 38% 43% 58% 59% 6 64% 再 生 可 能 他 6 5% ガス 火 力 4 石 油 火 力 52% 47% 36% 2 34% 3% 28% 火 力 % 4% 5% 4% 5% 5% 図 8 中 東 の 発 電 電 力 量 電 源 構 成 の 見 通 し TWh 24 43% 57% % 36% サウジ アラビア 449 3% 再 生 可 能 他 79% % % % 25% 37 76% 98% % 99% % 17% 16% 98% 7% 45% 82% 89% 25% 26% イラン イラク UAE カタール クウェート オマーン その 他 中 東 石 油 天 然 ガス 再 生 可 能 他 図 9 中 東 の 発 電 電 力 量 電 源 構 成 の 見 通 し( 地 域 別 ) 32 再 生 可 能 他 ガス 石 油 各 国 別 にみると,サウジアラビアの 発 電 電 力 量 は, 年 から 年 まで 年 率 3.3%で 増 加 し, 年 の 24TWh から 年 の 495TWh まで 2.4 倍 に 拡 大 する. 発 電 電 力 増 加 量 の 9 割 が 民 生 部 門 での 電 力 需 要 増 加 に 起 因 する. 国 内 のガス 利 用 を 積 極 的 に 推 進 しており, 電 源 構 成 は,ガス 火 力 が 徐 々に 石 油 火 力 を 代 替 し, 発 電 量 に 占 める 比 率 は 年 の 43%から 年 には 64%へ 拡 大 する( 図 9). イランの 発 電 電 力 量 は, 年 から 年 まで 年 率 2.7%で 増 加 し, 年 の 215TWh から 年 の 449TWh まで 2.1 倍 に 拡 大 する. が 21 年 から 稼 動 し, 年 までに 設 備 容 量 は 2.GW に 達 すると 考 えられる.しかし, の 占 める 発 電 電 力 量 は 約 3% 程 度 に 過 ぎず, 電 源 構 成 の 約 8 割 はガス 火 力 が 占 める( 図 9). イラクの 発 電 電 力 量 は, 年 から 年 まで 年 率 2.7%で 増 加 し, 年 の 37TWh から 年 の 12TWh まで 2.8 倍 に 拡 大 する. 発 電 構 成 は, 年 でほぼ 全 てが 石 油 火 力 で 残 りが 発 電 であるが, 年 も 構 成 はほぼ 変 化 しない( 図 9). UAE の 発 電 電 力 量 は, 年 から 年 まで 年 率 2.4% で 増 加 し, 年 の 86TWh から 年 の 174TWh まで 2. 倍 に 拡 大 する. が 22 年 から 導 入 され 始 め, 年 の 設 備 容 量 は 5.6GW となる. 年 に は 発 電 電 力 量 の 23%を 占 めるが, 電 源 構 成 は 依 然 としてガス 火 力 が 中 核 にある( 図 9). カタールの 発 電 電 力 量 は, 年 から 年 まで 年 率 2.9%で 増 加 し, 年 の 22TWh から 年 の 46TWh ま で 2.1 倍 に 拡 大 する. 発 電 電 力 増 加 量 の 約 8 割 が 民 生 部 門 の 電 力 需 要 増 加 による. 電 源 構 成 は, 年 時 点 とほぼ 変 化 せず 年 においても, 全 てガス 火 力 が 占 める( 図 9). クウェートの 発 電 電 力 量 は, 年 から 年 まで 年 率 2.7%で 増 加 し, 年 に 52TWh から 年 に 15TWh まで 2.1 倍 に 拡 大 する. 電 力 需 要 増 加 量 の 9 割 が 民 生 部 門 の 電 力 需 要 増 加 に 起 因 する.クウェートも 国 内 のガス 利 用 を 積 極 的 に 推 進 しており, 電 源 構 成 は,ガス 火 力 が 徐 々に 石 油 火 力 を 代 替 し, 発 電 量 に 占 める 比 率 は 年 の 3% から 年 には 55%へ 増 加 する( 図 9). オマーンの 発 電 電 力 量 は, 年 から 年 まで 年 率 4.3%で 増 加 し, 年 に 16TWh から 年 に 49TWh ま で 3.1 倍 に 拡 大 する. 電 力 需 要 増 加 量 のほぼ 全 てが 民 生 部 門 による. 電 源 構 成 は,ガス 火 力 が 年 に 発 電 電 力 の 8 割 を 占 め, 年 においては 約 9 割 を 占 める 主 力 電 源 とな る( 図 9). 3.4 中 東 の 石 油 ガス 供 給 中 東 の 石 油 ガス 生 産 は,BP 16),IEA 17),EIA 18),Cedigaz 19) 等 のデータと, 世 界 の 石 油 ガス 需 要 見 通 しを 踏 まえ 予 測 した. 中 東 の 石 油 生 産 は 27 年 現 在 2,5 万 b/d で, 中 東 の 石 油 需 要 は 6 万 b/d であり 生 産 量 の 24%を 占 める. 年 の 石 油 生 産 の 見 通 しは,3,5 万 b/d となり, 同 年 の 石 油 需 要 は 1,1 万 b/d と 推 計 されることから, 生 産 量 の 3 を 占 める( 図 1). 一 方,ガス 生 産 は 27 年 現 在 342bcm で,ガス 需 要 は 278bcm であり 生 産 量 に 占 める 割 合 は 8 である. 年 には 中 東 のガス 生 産 は 741bcm に 達 し 27 年 比 で 倍 増 し,ガス 需 要 は 528bcm となるため 生 産 量 に 占 める 割 合 は 7に 低 下 し, 供 給 余 力 は 増 大 すると 見 込 まれ る( 図 1).また 各 国 別 に 見 ても, 長 期 的 にもガス 需 給 バ ランスはほぼ 均 衡 すると 推 計 される( 図 11). しかし, 中 東 全 体 のガス 供 給 余 力 は 増 大 するものの, 各 国 別 のガス 需 給 状 況 は,カタールやバーレーンを 除 き 逼 迫 している 2).サウジアラビアでは, 原 油 輸 出 量 最 大 化 を 図 るためにガスを 原 油 の 代 替 燃 料 として 位 置 づけ, 国 内 での 消 費 を 志 向 している.UAE やクウェートは, 天 然 ガスの 確 認 可 採 埋 蔵 量 自 体 に 余 力 はあるものの, 発 電 淡 水 化 プラ ントや 石 油 化 学 部 門 でのガス 需 要 増 大 に 国 内 ガス 生 産 量 が 49

7 またガス 消 費 国 では,オマーンはガス 関 連 産 業 の 拡 大 を 国 石 油 ガス 内 経 済 の 多 角 化 の 重 要 な 柱 として 政 策 的 位 置 付 けを 行 い, 百 万 b/d 需 要 生 産 供 給 余 力 需 要 生 産 供 給 余 力 bcm 4 8 UAE は 域 内 の 発 電 部 門 等 への 天 然 ガス 供 給 安 定 化 を 重 要 な 政 策 課 題 として 掲 げている そのため,カタールの 世 界 最 大 のノースフィールドガス 田 や,イラン 等 の 産 ガス 国 からの 天 然 ガス 供 給 を 域 内 に 行 きわたらせるパイプライン 整 備 は, 域 内 各 国 にとって, 長 期 的 に 重 要 である.27 年 にカタールから UAE に 向 けて, ペルシャ 湾 岸 初 となる 国 家 間 の 大 規 模 ガスパイプラインで 27 年 22 年 年 27 年 22 年 年 あるドルフィン ガスパイプラインが 完 成 したが, 今 後, 域 内 各 国 のさらなる 政 策 的 取 組 により,カタール UAE 図 1 中 東 の 石 油 ガス 需 給 バランスの 見 通 し イラン オマーンを 結 ぶ 広 域 ガスパイプラインネットワー 1 兆 立 方 メートル 8 クが 構 築 され, 域 内 の 天 然 ガスの 一 層 の 相 互 融 通 が 実 現 す る 可 能 性 があると 考 えられる.さらには, 長 期 的 には,カ 7 2% 4% イラク 8% UAE 6. タール,イランから UAE やオマーンを 経 由 し,さらにパ 6 ビア サウジアラ 5. キスタンやインド 方 面 への 天 然 ガス 供 給 の 実 現 により, 中 東 とインドを 結 ぶ 広 範 なガスパイプラインネットワークに 4 34% カタール 3. 発 展 するシナリオも 存 在 すると 考 えられる なお, 中 東 の 天 然 ガス 消 費 は 年 にかけて, 年 率 約 5%, もしくは, 年 間 LNG 換 算 約 7 万 トンのテンポで 増 加 する 39% イラン 1. 見 通 しであるが, 当 該 規 模 のガス 需 給 を 実 現 するためには 27 中 東 サウジアラビア UAE 相 当 程 度 のガスインフラへの 投 資 が 必 要 であるため, 投 資 イラン クウェート カタール ガス 埋 蔵 量 の 実 現 が 阻 害 されれば 需 給 がタイトになる 可 能 性 がある 点 図 11 中 東 のガス 確 認 可 採 埋 蔵 量 ( 左 図 )と 自 国 のガス 需 要 量 に に 留 意 を 要 する. 対 するガス 生 産 量 の 比 率 ( 右 図 ) 追 いつかず,ガスを 輸 入 せざるを 得 ない 状 況 になっている. すでに UAE では,カタールのノースフィールドの 天 然 ガ スをパイプラインで 輸 入 するドルフィン パイプラインが 27 年 から 稼 動 している.また,クウェートは, 保 有 する 天 然 ガス 資 源 のほとんどが 原 油 生 産 に 伴 う 随 伴 ガスである ため,ガス 資 源 確 保 の 安 定 化 を 図 るためには, 長 期 的 に 輸 入 に 依 存 せざるを 得 ない 状 況 となっており, 輸 入 先 はロシ アやオマーン,マレーシアなど 多 岐 に 渡 る.また, 今 後 は カタールからの 輸 入 も 検 討 されている. このように, 主 にカタールを 除 く 中 東 湾 岸 諸 国 は, 天 然 ガス 資 源 が 潤 沢 とは 言 えず, 近 年 の 経 済 発 展 と 旺 盛 な 人 口 増 加 を 背 景 に, 天 然 ガスをエネルギー 源 とする 発 電, 海 水 淡 水 化 等 に 依 存 するこれら 諸 国 にとって, 天 然 ガスの 安 定 供 給 は 産 業 育 成 と 自 律 的 な 経 済 発 展 を 促 す 上 で 重 要 な 政 策 課 題 となっている. 中 東 各 国 の 基 本 的 な 天 然 ガス 政 策 とし て, 域 内 の 主 な 産 ガス 国 を 見 ると,カタールは 産 業 多 角 化 の 一 環 として 政 府 がガス 輸 出 の 拡 大 を 指 向 し,イランでは 豊 富 な 天 然 ガス 資 源 を 輸 出 し, 獲 得 外 貨 を 天 然 ガスと 原 油 生 産 能 力 の 増 強 や 整 備 に 投 資 することを 目 標 に 掲 げている. 4. 予 測 結 果 ( 技 術 進 展 ケース) 4.1 中 東 諸 国 の 一 次 エネルギー 消 費 見 通 しの 比 較 技 術 進 展 ケースにおける 中 東 の 一 次 エネルギー 消 費 は, 発 電 効 率 の 向 上, 燃 費 の 改 善 などを 背 景 として, 年 に 石 油 換 算 9.4 億 トンとなり,レファレンスケースに 比 べて 12.9%の 省 エネが 達 成 される( 図 12). 年 には はレファレンスケースの 約 2.4 倍, 再 生 可 能 エネルギーは 約 4.2 倍 導 入 されるが,これらの 非 化 石 エネルギー 源 が 一 次 エネルギー 消 費 全 体 に 占 める 比 率 は 5% 程 度 に 過 ぎない. 一 方, 化 石 燃 料 はレファレンスケースに 比 べて 15.8% 削 減 されるが, 依 然 として 石 油 とガスが 中 核 的 なエネルギー 供 給 源 となる( 図 12). 4.2 中 東 諸 国 の 最 終 エネルギー 消 費 見 通 しの 比 較 技 術 進 展 ケースでの 中 東 の 最 終 エネルギー 消 費 は, 年 に 石 油 換 算 6.7 億 トンとなり,レファレンスケースに 比 べ 8.4%の 省 エネが 見 込 まれる( 図 13). 運 輸 部 門 のエネル ギー 消 費 は 燃 費 の 改 善 から, 年 にレファレンスケース に 比 べ 19% 減 少 し, 省 エネポテンシャルが 大 きい.また, 5

8 1,2 1, 8 2% 2% % 1,75 49% % 再 生 可 能 エネルキ ー 等 936 4% 47% ガス 2, 1,5 1, TWh 3% 771 1,741 64% 1,589 8% 56% 再 生 可 能 エネルキ ー 等 6% ガス 2 48% 47% 石 油 5 2% 2% レファレンス 技 術 進 展 5 58% 28% 36% 5% 5% レファレンス 25% 技 術 進 展 石 油 4% 石 油 ガス 再 生 可 能 エネルギー 等 石 油 ガス 再 生 可 能 エネルギー 等 図 12 中 東 の 一 次 エネルギー 消 費 見 通 しの 比 較 図 14 中 東 の 発 電 電 力 量 電 源 構 成 見 通 しの 比 較 1, % % % 民 生 他 運 輸 CO2 換 算 億 トン 13.6 CO 2 排 出 量 (リファレンス) CO 2 排 出 量 ( 技 術 進 展 ) 25.1 省 エネ(72%) 太 陽 光 風 力 等 (4%) (1) 燃 料 転 換 (12%) % 47% 49% 産 業 43% レファレンス 技 術 進 展 産 業 運 輸 民 生 他 図 15 中 東 の CO 2 排 出 量 見 通 しの 比 較 図 13 中 東 の 最 終 エネルギー 消 費 見 通 しの 比 較 なり, 電 源 の 多 様 化 が 進 む( 図 14). 電 力 需 要 の 大 半 を 占 める 民 生 部 門 でも, 省 エネの 進 展 から 最 終 エネルギー 消 費 は 7.5% 減 少 する. 一 方, 石 油 化 学 産 業 により 主 に 構 成 されている 中 東 の 産 業 部 門 では, 省 エネが 他 部 門 に 比 較 すると 小 さく,3.9% 程 度 の 減 少 となる( 図 13). 4.3 中 東 諸 国 の 発 電 電 力 量 と 電 源 構 成 見 通 しの 比 較 技 術 進 展 ケースにおける 中 東 の 発 電 電 力 量 は, 需 要 サイ ドにおける 省 エネの 進 展 や 送 配 電 ロス 率 の 低 下 などから 年 に 1,589TWh となり,レファレンスケースに 比 べて 8.7%の 省 エネが 見 込 まれる( 図 14). 技 術 進 展 ケースでは, 発 電 がイラン,UAE だけでなく,サウジアラビア, クウェート,ヨルダンにおいても 導 入 されることを 想 定 し ている. 電 源 構 成 では,, 再 生 可 能 エネルギー, 水 力 などの 非 化 石 燃 料 が 発 電 電 力 量 の 15%を 占 めることに 4.4 中 東 諸 国 の CO 2 排 出 量 見 通 しの 比 較 レファレンスケースでは, 中 東 のエネルギー 起 源 の CO 2 排 出 量 は, 年 の 13.6 億 トンから 年 に 1.8 倍 の 25.1 億 トンとなる. 技 術 進 展 ケースでは, 省 エネと 非 化 石 エネ ルギー 源 の 進 展 により, 年 の CO 2 排 出 量 はレファレン スケースと 比 べて 18% 削 減 され 2.6 億 トンとなる( 図 15). 技 術 進 展 ケースで 削 減 された CO 2 排 出 量 (4.5 億 トン)を, 技 術 対 策 別 にその 削 減 効 果 を 見 ると( 図 15), 省 エネによ る 削 減 効 果 が 最 も 大 きく, 削 減 量 全 体 の 72%を 占 め,3.3 億 トンの 削 減 に 貢 献 する., 燃 料 転 換 はそれぞれ,.5 億 トンの 削 減 に 貢 献 する. 太 陽 光 風 力 等 の 再 生 可 能 エ ネルギーの 削 減 量 は 最 も 小 さく.2 億 トンの 削 減 効 果 であ り, 削 減 量 全 体 のうち 4%にしか 満 たない.このことから, 中 東 の CO 2 排 出 量 の 抑 制 には 省 エネ 対 策 の 強 化 が 最 も 効 果 51

9 が 高 いと 考 えられる. 対 して 有 望 な 解 決 手 段 になると 考 えられる. 現 に 中 東 各 国 政 府 は, 電 気 料 金 に 補 助 金 を 投 入 することで, 国 民 に 低 廉 5.まとめ なエネルギー 価 格 を 供 しているが, 今 後 さらに 需 要 が 増 加 する 見 通 しであることから, 補 助 金 制 度 は 政 府 にとって 一 本 稿 では, 国 際 的 にも 見 ても 急 速 な 経 済 成 長,エネルギ 層 の 財 政 負 担 となるため, 電 力 需 要 の 抑 制 が 重 要 な 政 策 課 ー 消 費 の 増 加 を 見 せる 中 東 諸 国 の 年 までのエネルギ 題 として 認 識 されつつある.このような 中, 省 エネルギー ー 需 給 予 測 に 関 して 分 析 を 行 った. 分 野 に 強 みをもつ 日 本 は, 中 東 諸 国 の 省 エネルギー 技 術 の 世 界 の 石 油 生 産 量 は 年 の 86 万 b/d から 年 に 普 及 に 積 極 的 に 取 り 組 む 必 要 があると 考 えられる. 中 東 諸 は 1 億 7 万 b/d まで 拡 大 するが 5), 本 稿 の 分 析 結 果 より, 国 は, 単 なる 日 本 の 主 要 な 資 源 輸 入 相 手 国 という 関 係 だけ 中 東 の 石 油 生 産 が 占 める 比 率 は 年 の 29%から 年 に 止 めるのではなく,このような 側 面 からも 関 係 を 密 接 に には 33%へ 上 昇 する.また, 世 界 のガス 生 産 量 は 年 していくことが, 日 本 の 経 済 成 長,エネルギーセキュリテ の 288bcm から 年 には 496bcm へ 増 加 し 5), 中 東 の ィを 考 える 際, 重 要 であると 考 えられる. ガス 生 産 が 占 める 比 率 は 年 の 12%から 年 には 15%へ 上 昇 する.このように, 中 長 期 的 にみても, 中 東 諸 参 考 文 献 国 は 世 界 の 重 要 なエネルギー 供 給 拠 点 としてのプレゼン 1) OECD/IEA;World Energy Outlook 21,OECD,Paris スを 一 層 増 すものと 考 えられることから, 同 地 域 のエネル (21) ギー 需 給 シナリオを 分 析 することは, 国 際 的 なエネルギー 2) ( 財 ) 中 東 協 力 センター; サウジアラビア,イラン,カタ 安 全 保 障 問 題 を 考 えるうえで 極 めて 重 要 であると 考 えら ール,クウェート,アラブ 首 長 国 連 邦,オマーンの 産 れる. 業 基 盤 (26) 中 東 諸 国 は, 近 年 の 原 油 価 格 高 騰 により 急 速 な 経 済 成 長 3) Country Analysis Brief Saudi Arabia, Iran, Iraq, Qatar, を 示 す 一 方,それに 伴 う 電 力 需 要 をはじめとする 旺 盛 なエ Kuwait, UAE, Oman, Syria, Yemen - (211) ネルギー 需 要 の 増 加 への 対 応 が 喫 緊 の 課 題 となっている. 4) 外 務 省 ; 各 国 地 域 情 勢 ( 中 東 ) (211) 世 界 の 石 油 消 費 に 占 める 中 東 の 比 率 は 27 年 の 7%から 5) 伊 藤 浩 吉, 松 尾 雄 司, 小 宮 山 涼 一 ;アジア/ 世 界 エネル 年 には に 拡 大 し, 世 界 の 天 然 ガス 消 費 に 占 める ギーアウトルック 21-アジア/ 世 界 の 長 期 エネルギ 比 率 も 9%から 1へ 増 加 する. 今 後 も 堅 調 な 経 済 成 長 と ー 需 給 展 望 と 環 境 問 題 の 解 決 に 向 けた 技 術 の 役 割 -, 人 口 増 加 によるエネルギー 需 要 の 増 大 に 対 して, 中 東 域 内 ( 財 ) 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所, 第 45 回 定 例 研 究 での 電 力 網 の 拡 充 や 発 電 所 建 設 の 着 実 な 推 進 などが 電 力 会 報 告 会 (21) セキュリティ 確 保 に 欠 かせないと 考 えられる.また 中 東 産 6) International Energy Agency; Energy Balances of 油 国 では, 原 油 輸 出 の 最 大 化 を 行 うために, 天 然 ガス 需 要 Non-OECD Countries(29) が 原 油 の 代 替 燃 料 として 増 加 しており, 域 内 の 天 然 ガスの 7) 室 田 泰 弘, 越 国 麻 知 子, 伊 藤 浩 吉 ; マクロ 産 業 連 関 分 析 供 給 余 力 は,バーレーン,カタールを 除 き 逼 迫 している. のためのパソコンによる 経 済 予 測 入 門, (25), 275, 東 中 東 諸 国 では, 今 後 のガス 生 産 量 増 大 に 向 けた 着 実 な 投 資 洋 経 済 新 報 社. が 欠 かせないとともに, 一 部 の 国 では 輸 入 拡 大 も 視 野 に 入 8) 末 広, 小 宮 山, 松 尾, 永 富, 森 田, 沈 ; 自 動 車 部 門 にお れる 必 要 がある.UAE のマスダールシティ 計 画 にあるよう ける CO 2 排 出 削 減 効 果, 第 26 回 エネルギーシステ に 近 年, 中 東 では, 太 陽 光 や 太 陽 熱 などの 再 生 可 能 エネル ム 経 済 環 境 コンファレンス 論 文 集 (21). ギーが 注 目 を 浴 びている.しかし, 再 生 可 能 エネルギーの 9) M. A. McNeil, V. E. Letschert, S. R.Can; Global Potential 利 用 は, 大 気 汚 染 などの 環 境 汚 染 に 対 する 懸 念 は 小 さいも of Energy Efficiency Standards and Labeling Programs, のの,エネルギー 密 度 の 低 さから, 旺 盛 なエネルギー 需 要 Lawrence Berkeley National Laboratory (LBNL), 増 加 への 中 心 的 な 供 給 対 策 となるまでには 時 間 がかかる LBNL-79E (). と 考 えられる.また, 発 電 の 導 入 は, 廃 棄 物 処 理 や 1) ( 財 ) 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 エネルギー 計 量 分 析 安 全 性 に 対 する 懸 念 に 加 え, 核 拡 散 や 濃 縮 など 核 の 取 扱 い センター; 超 長 期 の 世 界 エネルギー 需 給 地 球 環 境 に を 含 めた 国 際 的 な 案 件 となることが 考 えられるため, 導 入 関 するモデル 分 析 (1995). へのハードルは 低 くはない. 本 稿 での CO 2 排 出 量 の 削 減 ポ 11) International Monetary Fund(IMF); World Economic テンシャルの 推 計 結 果 より, 結 果 として, 省 エネ 意 識 の 向 Outlook (21) 上 や 機 器 効 率 の 改 善 が, 中 東 諸 国 のエネルギー 環 境 問 題 に 12) United Nations; World Population Prospects The 52

10 Revision Population Database - (29) 13) Nuclear Energy Agency; Nuclear Energy Outlook () 14) 日 刊 工 業 新 聞 社 ; 年 鑑 29 (21) 15) European Photovoltaic Industry Association; Unlocking the Sunbelt Potential of Photovoltaics (21) 16) ( 社 ) 海 外 電 力 調 査 会 ; 海 外 諸 国 の 電 気 事 業 第 2 編, (21) 17) British Petroleum; BP Statistical Review of World Energy 29(29) 18) Energy Information Administration; International Energy Outlook 21 (21) 19) International Energy Agency; World Energy Outlook 29 (29) 2) Cedigaz; Natural Gas in the World 29 (29) 21) Middle East Economic Digest; (ア クセス 日 ;21 年 11 月 12 日 ) 53