目次
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- みさき やたけ
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1 JRIA27 ナノ分析標準 平成 27 年度 ナノ領域元素分析標準化補助事業 報告書 平成 28 年 3 月 一般社団法人研究産業 産業技術振興協会 この事業は 競輪の補助金により作成しました
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3 平成 27 年度 ナノ領域元素分析標準化補助事業報告書 平成 28 年 3 月 一般社団法人研究産業 産業技術振興協会
4 はじめに 我が国の経済は昭和 30 年代後半以降 電子工業や機械産業のように 高度な研究開発に裏打ちされた工業によって牽引されてきたが 近年若者の理科離れ 製造業離れ 更には BRICs 諸国の追い上げ等 我が国経済の更なる発展に対する大きな課題が顕在化してきた しかし 将来 少子高齢化が急速に進む我が国が 引き続き発展を遂げていくためには より高度な技術研究開発によって世界最先端の技術水準を確保していかざるを得ない 最先端分野においては 例えば材料や電子デバイスの分野では原子レベル ナノレベルの精度での研究開発が当たり前になっており その研究開発段階において 材料 あるいは加工がどのような状況であるかをより正確に分析できなければ その研究開発の成果を挙げることは不可能であるといってもいい 本事業では 我が国において先端分野の研究開発を強力に推進していくため 最先端分野の分析項目について 我が国の異なる分析機関が出した結果についてどの程度のばらつきがあるかの現状を把握し その分析結果がより狭い範囲に収まるためにはどのような課題があり どのような解決策があるかについて検討をすることを目的として実施した 本事業が対象とした走査型電子顕微鏡 (SEM) や二次イオン質量分析法 (SIMS) による分析 計測技術は 内部にナノ構造を持つ材料をナノメートルスケールの分解能で分析 計測できる重要な計測手法で 国際標準機関 ISO/TC201/SC6 やISO/TC202/SC4 で日本が力を入れている領域である 平成 27 年度より三ヵ年の計画で 走査型電子顕微鏡 (SEM) や飛行時間測定型二次イオン質量分析法 (TOF-SIMS) における新たな課題で事業を開始した 初年度はこれら技術の高度化を図るため TOF-SIMS 分析手法に関しては標準化のための共通試料の検討と作製を行い 走査型電子顕微鏡用には空間分解能を評価するための標準物質の検討と作製を行い 高精度測定技術の標準化を目指した調査研究を行った その結果 計測 分析技術上の課題を明らかにし 分析技術の共通化 高精度化に貢献する貴重なデータを得ることができた 本事業を実施するにあたり 財団法人 JKA 殿の御高配に深謝するとともに 本事業に御協力いただいた委員各位に心より感謝申し上げる次第である 平成 28 年 3 月一般社団法人研究産業 産業技術振興協会
5 目次 第 1 章本事業の実施の背景 目的 体制 第 2 章ナノスケール材料の分析技術とその標準化 走査電子顕微鏡 (SEM) について 極低加速電圧 SEM の現状 ナノ材料の国際標準化と SEM の標準化 ナノ材料の分析 SEM の 分解能 とカタログ仕様 分解能 評価と本事業の関係 SEM 像シャープネス標準化 分解能の定義 像シャープネス 標準物質の試案 -SEM 像シャープネス評価用 飛行時間型二次イオン質量分析 (TOF-SIMS) について TOF-SIMS の特徴と課題 TOF-SIMS の原理 TOF-SIMS 分析法の標準化 TOF-SIMS の標準化と当事業の関わり TOF-SIMS の実用分析における課題 TOF-SIMS 関連の有機材料標準物質の供給状況 第 3 章 SEM 像シャープネス評価用の標準物質の開発 現状用いられる SEM 像分解能の評価方法 ギャップ分解能 評価用標準物質 像シャープネス評価用の標準物質の開発目的 標準物質プロトタイプの仕様の検討 標準物質プロトタイプの品質の評価項目 標準物質プロトタイプの品質の評価結果 SEM による上面からの像観察 FIB-SEM 測定 FIB-TEM 測定 AFM 測定 標準物質プロトタイプの SEM 像を用いたシャープネス評価 DR 法による像シャープネス評価手順 像シャープネス評価の共通測定 観察手順 共通測定結果 まとめ
6 3.6.1 プロトタイプタイプのメタルドットの形状評価 プロトタイプの SEM 像を用いた像シャープネス評価 第 4 章 TOF-SIMS 強度軸校正用標準試料の検討と製作 開発の目的 標準試料の仕様に関する留意点 標準試料の構造検討 標準試料の試作に関する予備的調査 成膜条件の検討 標準試料の試作 成膜条件の検討用試料の分析 検討用試料の HR-RBS 分析 分析結果 まとめ 第 5 章総括 本年度の活動成果 今後の活動
7 第 1 章本事業の実施の背景 目的 体制
8 第 1 章 本事業の実施の背景 目的 体制 日本が今後も長期的な競争力を維持し向上させるためには 技術イノベーションにより 技術のフロンティアを開拓し続けることが必要である ナノテクノロジーは米国大統領の一般教書演説で 21 世紀を牽引する 産業技術として位置づけられて以降 各国のナノテクノロジーの精力的な研究開発が進められている ナノテクノロジーの著しい進展により 新機能性材料の出現とその産業化による製品の市場投入もめざましい 学術的 学際的な交流活動から多数の領域が関わる融合的な展開が同時並行に行われる領域も多い 科学研究から工業生産へ 実験室から市場へと進むフェイズ展開が早いため ナノテクノロジーの発展とその社会への受容 ならびに産業応用による国際市場への戦略的展開のために標準化に期待される役割も大きい そのため日本は国際標準化を戦略的に推進し産業競争力の獲得を支えていく方向性を掲げている 経済産業省は 企業の競争優位を強固にする国際標準の確立 産業競争力に資する国内規格の策定 世界的に通用する認証基盤の整備等を通じ 国内外の市場における日本企業の戦略的な事業展開を促進するとともに 国内外市場を創出すること を掲げている また 国際標準化戦略目標 の策定や 平成 25 年の 日本再興戦略 により 国際標準化機関における規格開発に係る幹事国引受件数を 2010 年末の 78 件から 2015 年末までに世界第 3 位に入る水準 (95 件 ) に増加 させることが掲げられており 官民を挙げて国際標準化を推進している 必要なニーズに的確に対応することにより 優れた技術を有する日本の企業が 技術で勝って 事業で負ける ことがないように ビジネスにつながる国際標準化を推進し事業戦略と一体となった戦略的な国際標準化を展開することが期待される 国内外の市場では 各国は新興国市場の拡大を視野に戦略的ツールとして国際標準化を積極的に活用している この流れが生じた経緯は WTO/TBT 協定の発効 (1995 年 ) により貿易に関わる強制的なあるいは任意の標準を国内で設定する場合には国際規格 (ISO/IEC 等 ) への整合が義務づけられたこと あるいは WTO 政府調達協定の発効 (1996 年 ) により調達基準には国際規格を基礎とすることが義務づけられ国際標準化活動の重要性が高まったこと さらには 2001 年の中国 WTO 加盟により 市場の拡大と同時に 日本の国際標準化への適合とその策定への戦略的な関わりがいっそう求められていること 等による 計測 分析技術の分野では日本が優位性を保っており ナノテク分野や分析関連分野の標準化審議体制でも日本が主導的な役割を担っている ナノテク材料とその計測関連に関する ISO の一例を表 1-1 に示す ISO/TC201( 表面化学分析 ) では日本は 議長と国際幹事の職 Sub Committee (SC) の国際議長とセクレタリーの職 Working Group(WG) のコンビーナの職 ISO/TC229( ナノテクノロジー )WG2( 計測と特性評価 ) ではコンビーナの職をそれぞれ担っている 今後も日本が先導的な地位を維持し続けるためにも計測 分析技術の向上に向けて継続的に注力していく必要がある - 1 -
9 表 1-1 ナノ材料分析関連の国際標準化機構 (ISO)( 一部抜粋 ) ISO/TC201 表面科学分析 議長, 幹事国 ISO/TC202 マイクロビーム分析 ISO/TC229 ナノテクノロジー SC-1 SC-2 SC-3 SC-4 SC-6 SC-7 SC-8 SC-9 SG-1 WG-3 WG-4 WG-5 SC-1 SC-2 SC-3 SC-4 WG-8 JWG-1 JWG-2 WG-3 用語一般的手順データ管理と取扱深さ方向の分析 議長 幹事国 二次イオン質量分析法 幹事国 電子分光グロー放電質量分析 幹事国 走査型プローブ顕微鏡 (SPM) ナノ材料評価 幹事国 エックス線反射率分析法 (XRR) 幹事国 全反射蛍光エックス線分析 (TXRF) バイオ材料表面評価 幹事国 Optical interface analysis 幹事国 用語 Electron probe microanalysis 分析電子顕微鏡 (AEM) 議長, 幹事国 走査電子顕微鏡 (SEM) 議長, 幹事国 粒子分析用の試料調整方法用語 命名法計測 キャラクタリゼーション 幹事国 健康 / 安全 / 環境 WG-4 材料分科会 SC: Sub Committee, WG: Working Group 括弧内は日本の役割 先端材料用の計測評価技術は 微細化製造技術の進展により さらに高い空間分解能や三次元空間分布化や高い元素感度測定が求められる 装置の高い測定精度を常時維持するには標準物質開発や測定手順の共通化を含めた校正方法の開発も材料開発の進展に追随しもしくは予測して開発を進める必要がある また測定値の信頼性を向上するためには 測定結果のばらつきが 測定者間 分析装置間 分析機関間でできるだけ小さくなるように測定技術の互換性も保つ必要がある さらにナノ材料やナノデバイスなどのナノスケールの構造を持つ材料では 測定方法の選択と - 2 -
10 計測値が何の値を与えているのかを理解しまた明示することが重要となっており Material Metrology の重要性が認識されている ナノ粒子の大きさを例に取ると 各種ナノスケール計測方法で測った場合手法間で数 % の違いが見いだされている 先端材料とそのナノ計測手法について国内外で検討が進んでいる 本事業では 国内の分析機関を委員として 上記の課題に取り組み 先端計測の高度化のための方針を模索する 具体的には 先端分析手法の標準化のための課題の抽出とそのための標準試料を製作し 各分析機関による共通計測試験を行って測定精度の現状把握を行うこと また機関間の測定のばらつきをより小さく収めるための方策の検討を行うこと を実施する とくに本活動の成果が 国際標準化を視野に入れたものとなるように あるいは日本の標準物質の開発につながるように目標の設定を行う 今年度より三カ年の計画で本事業の活動方針を設定した ナノスケール領域で重要な計測評価手法のうち 飛行測定型二次イオン質量分析法 (TOF-SIMS) と走査型電子顕微鏡 (SEM) を取り上げた これらの計測手法の関わりのある国際標準化機構の委員会は ISO/TC201/SC6 や ISO/TC202/SC4 であり 日本が力を入れている領域である これら技術の高度化を図るため TOF-SIMS 分析手法に関しては標準化のための共通試料の検討と作製を行い SEM 用には空間分解能を評価するための標準物質プロトタイプの検討と作製を行い 高精度測定技術の標準化を目指した調査研究を行った 本事業の実施にあたっては一般社団法人研究産業 産業技術振興協会 (JRIA) が学識経験者及び技術者からなる委員会を設立し 財団法人 JKA の補助事業として本事業を実施した 共通試料の分析 計測は 研究産業 産業技術振興協会会員企業でありまた日本の検査分析分野で中核的な役割を果たしている機関に依頼して実施した 国際標準化を支援するための課題抽出や共同測定結果のとりまとめは当委員会の産業技術総合研究所のメンバーが行った - 3 -
11 ナノ領域元素分析標準補助事業 検討委員会委員名簿 ( 順不同 敬称略 ) 機関名 所属 役職 氏名 産業技術総合研究所 物質計測標準研究部門表面 ナノ分析グループ 黒河明 産業技術総合研究所 物質計測標準研究部門表面 ナノ分析グループ 寺内信哉 産業技術総合研究所 物質計測標準研究部門表面 ナノ分析グループ 熊谷和博 成蹊大学 理工学部物質生命理工学科准教授 青柳里果 東レリサーチセンター 表面科学第 1 研究室室長 鮫島純一郎 東レリサーチセンター 形態科学研究部第 2 研究室室長 原田貴弘 NTT アドバンステクノロジ ( 株 ) NTT アドバンステクノロジ ( 株 ) ( 株 ) コベルコ科研 ( 株 ) コベルコ科研 ( 株 ) コベルコ科研 JFEテクノリサーチ ( 株 ) 先端プロダクツ事業本部材料分析センタ表面分析グループ担当課長先端プロダクツ事業本部材料分析センタ TEM グループ担当部長技術本部エレクトロニクス事業部技監技術本部エレクトロニクス事業部物理解析センターナノ組織解析室技術本部エレクトロニクス事業部物理解析センター表面 物性解析室営業本部東京営業所川崎支所グループ長 高野明雄水野誠一郎笹川薫矢吹和久三井所亜子橋本哲 住友電気工業 ( 株 ) 研究企画業務部企画部主席山下正史 日本電子 ( 株 ) EM 事業ユニット副技師長朝山匡一郎 日鉄住金テクノロジー株式会社 ( 株 ) 日立ハイテクノロジーズ 尼崎事業所解析技術部物理解析室主幹科学 医用システム事業統括本部事業戦略本部科学システム事業戦略部部長 草間一徳 多持隆一郎 < 事務局 > 一般社団法人研究産業 産業技術振興協会 調査研究部部長嵩比呂志 - 4 -
12 第 2 章ナノスケール材料の分析技術とその標準化
13 第 2 章 ナノスケール材料の分析技術とその標準化 2.1 走査電子顕微鏡 (SEM) について走査型電子顕微鏡 (Scanning Electron Microscope, 以下 SEM) は 1965 年に実用化され 約半世紀で性能 機能とも飛躍的に向上し 各種分野での研究 開発や品質管理のツールとして広く利用されてきた SEM の高分解能化は 高輝度電子銃と低収差対物レンズの採用で実現した SEM は固体試料に電子ビームを照射し その相互作用で発生した様々な信号 ( 二次電子 反射電子 X 線など ) を検出して像観察 分析を実施する 図 SEM の構造 一般的な SEM の装置構成を図 に示す 電子銃から放出された電子は 収束レンズや対 物レンズで細く絞られ電子線 ( 電子ビーム ) として試料表面に照射される 電子ビームは偏向コイルにより X-Y 二次元方向に走査され その走査エリアで倍率が定義される 電子ビームを固体試料に照射すると電子との相互作用により 二次電子 反射電子などが放出される 二次電子は 試料表面から約 10nm の深さの情報を持って試料外に放出されることから 主に試料表面の微細構造を観察可能である 一方 反射電子は 入射した電子ビームが弾性 非弾性散乱を繰り返し試料外へ放出される 反射電子信号量は 試料構成元素や結晶方位などで異なることから 試料構成元素の組成や結晶によるコントラストが得られる 信号を選択する場合は 観察目的や試料特性に応じて決定することが重要である また 特性 X 線をエネルギーや波長で分散することにより試料の構成元素を分析することが可能である - 5 -
14 電子の大きさは試料を構成する原子の間隔に比べて非常に小さいことから 電子が試料に侵入すると原子との相互作用を受けながら散乱する その過程で 図 に示すように入射電子の一部は反射電子として再び真空中に飛来するが 残りは二次電子 X 線 光 ( カソードルミネセンス ) などを放出しながら最終的にエネルギーを失って試料内部に止まる 導電性試料では 試料内に止まる電子が試料 ( 吸収 ) 電流として検出される X 線 入射電子ビーム 反射電子 二次電子 カソードルミネセンス二次電子検出器 試料電流 試料 入射電子 ( 吸収電流 ) 侵入領域 図 入射電子と試料の相互作用 試料内部での電子散乱の様子はモンテカルロシュミレーションによって可視化することができる その一例を図 に示すが 入射電子のエネルギーが高く 試料密度が小さいほど入射電子は広い領域に散乱する (a) (b) (c) 試料表面 図 モンテカルロシュミレーションによる試料内電子散乱の様子 (a) 15keV の電子が炭素 (C) 試料に入射した場合 (b) 1keV の電子が炭素 (C) 試料に入射した場合 (c) 15keV の電子が金 (Au) 試料に入射した場合 - 6 -
15 二次電子放出は入射電子が試料内に侵入し非弾性散乱する過程で生じる 図 に示すように 試料内の自由電子が入射電子または散乱電子から静電力 ( クーロン力 ) を受けてエネルギーの一部を受け取り 真空中に飛び出した電子を二次電子と呼ぶ しかし 受け取るエネルギーは数十 ev 以下と小さいため 試料表面から約 10nm 以内の深さで発生した二次電子のみが真空中に脱出できると考えられている 図 試料からの二次電子放出 反射電子は図 に示すとおり試料に入射した電子が試料構成原子との相互作用で散乱を受け 電子の進行と反対方向の真空中に飛び出してきたもので 後方散乱電子とも呼ばれる 試料内部での電子散乱は 入射電子のエネルギーを殆ど失わずに大きな角度で散乱する弾性散乱とエネルギーの損失を伴うが散乱角が小さい非弾性散乱の 2 つのタイプに分けられる 非弾性散乱の代表的なものには二次電子や特性 X 線を放出させる散乱過程がある 図 試料内部における入射電子の散乱過程 入射電子とほぼ等しいエネルギーの弾性散乱電子は試料表面付近から 一方 エネルギーを大きく失った非弾性散乱電子は比較的試料の深いところから真空中に飛び出すが これらを総称して反射電子または後方散乱電子と呼ぶ - 7 -
16 入射電子線が試料を照射したとき放出される二次電子や反射電子のエネルギー分布を図 に示す 一般的に二次電子は 50eV 以下の電子であり 50eV 以上のエネルギーを持つ電子が反 射電子と言われている 二次電子 反射電子 ( 後方散乱電子 ) 相対放出電子数 弾性散乱電子非弾性散乱電子オージェ電子 1 10 約 50eV 100 1k 10k 20k 試料から放出される電子のエネルギー (log ev) 図 電子照射によって試料から放出される電子のエネルギー分布 極低加速電圧 SEM の現状極低加速電圧 SEM の観察対象 SEM は材料の表面形状を観察できることから 様々な材料の観察に広く使われている 電子材料などの多層薄膜 表面処理層の断面の積層構造や表面形態 微粒子の形態 金属 鉄鋼材料の破壊形態などから 生体までが対象となっている SEM 顕微鏡法であるので 画像から長さの計測は可能であり 薄膜の厚さ 構造物の長さ 粒子径の計測やその分布などが計測されてきた SEM も 2kV 以下の極低加速観察可能な極低加速電圧 SEM(Ultra Low Voltage SEM: ULV-SEM) になると 以下のような特徴がある 1) 電子の侵入深さを小さくできナノレベルの材料極表面の観察ができること 2) 加速条件を制御することで帯電を防いで高分子材料やセラミクスなどの絶縁物でも試料前処理をしない観察ができること 3) 表面形状以外の情報 ( 表面形状 組成 化学状態 結晶方位 ) が得られるなどの特徴がある [1-3] この結果 観察対象が大きく変わり ナノマテリアルの観察が可能になっている ただし SEM 画像に見られるコントラストは 直感的に理解可能であるものの 多くの場合定性的なものであることに注意が必要である - 8 -
17 極低加速領域での SEM 画像から得られる情報図 は典型的な SEM 検出器の構造である 2 次電子は 1 次電子との相互作用で発生するものとより深い部分で発生した反射電子により励起される SEM の検出には様々なものがあるが 典型的には図 に示したような対物レンズの内部に配置したインレンズ検出器とアウトレンズ検出器が使われている 画像に現れるコントラストに対して 2 次電子のエネルギーや出射方向 検出器までの距離などが効いており メーカごと 装置ごとで その特性は違っているが 具体的な特性は公開されてはいない 図 典型的な SEM 検出器の構造 Kumagai ら [4] や Nagoshi ら [5] の結果からは低エネルギー成分がインレンズ検出器に入り 高エネルギー成分がアウトレンズ検出器に入るとされている Zach によると インレンズ検出器に低エネルギーのものが到達するし 高エネルギーのものでも出射角度は狭くなるが到達できることが示されている [6] ULV-SEM で観察される様々なコントラストは 表面での物理現象 ( 分解能のところで示した表面への輸送だけでなく 試料内部での 2 次電子の発生収率 試料表面でのポテンシアル効果など ) と装置の特性とが関係しているものの いまだ不明な点も多いのが現状である 例えば ポテンシアルコントラスト 電位コントラストと言われる状態の違いは 実際に何によるのか? 低エネルギー領域の 2 次電子の平均自由行程は実際どのくらいか? ( 田沼らの計算も 10eV 以下まで拡張できるかに関しては不明である 一般の商用のシミュレータでは低エネルギー領域での散乱を取り込めていないので 数 kv 以下の計算は極めて定性的であり 100eV 以下では物理として正しいかさえ不明である ) など物理そのものから 実用的には 1 次電子による励起と反射電子からの励起を見分けているのか? 検出器のタイプによって 発生深さを見分けているのか などが挙げられる - 9 -
18 極低加速 SEM における空間分解能 図 に試料中における電子の非弾性散乱自由行程 [7] を示す SEM 像の空間分解能に対して 1 次電子のビーム径と 2 次電子の発生領域の両方が寄与する 1 次電子のプローブ径は電子銃の形式 (W フィラメント LaB 電子銃 ショットキー型 FE 電子銃 コールド FE 電子銃 ) で異なり この順でビーム径は小さくなる 例えば W フィラメント電子銃で 10nm 程度 ショットキー型 FE 電子銃で 1 5 nm 程度である コールド FE 電子銃では 1nm 以下のものも作られている IMFP (nm) C(graphite) Si Fe ENERGY(eV) 図 試料中における電子の非弾性散乱自由行程 2 次電子は この 1 次電子により励起されるものとより深い部分で発生する反射電子により励起されるものとがある 深い部分で発生する反射電子はあらゆる方向の成分を持つので 反射電子により励起される2 次電子は 1 次電子により励起されるものより広がっていると言える 試料から脱離する 2 次電子の情報深さには 1 次電子の侵入深さ ( 反射電子の発生深さ ) と 2 次電子の脱出深さの両方が効いている 以前の教科書では 2 次電子はエネルギーが低く 表面に敏感であると記述されてきた ここで 表面の言葉は 使う人により異なるものであり 厳密な定義があるものではない ただし ナノマテリアルを対象とすることを考慮すると 10nm 程度以下を表面とすることが適当と思われる 電子の情報深さは平均自由行程を用いて考察できる 図 における電子の非弾性散乱自由行程 [7] から 減衰長さはこの値に弾性散乱平均自由行程 [9]( おおよそ 0 8 倍程度 ) を乗じたもので 2 次電子の減衰はこの 3 倍程度と考えることができる 汎用的に使われる 10kV 以上で加速電圧領域では 1 次電子は 100nm 程度の距離まで侵入できる これに対し 近年使われるようになってきた 2kV 以下の加速電圧で使われる ULV-SEM においては 数 nm 程度以下と大変小さくなっている
19 図 は Ni に電子を入射したときの電子分光スペクトル 真の 2 次電子 非弾性散乱電子 弾性散乱電子を表す 次に 2 次電子の脱出深さについて述べる 2 次電子は数 ev にブロードなピークを有し 高エネルギー側に減衰している 図 と比べると 20eV 以上の高エネルギー成分の 2 次電子の平均自由行程は数 nm 程度であるものの 数 ev の低エネルギー成分はかなり長く10nm 程度以上に達していることが示唆される 図 Ni に電子を入射したときの電子分光スペクトル ( 真の 2 次電子 非弾性散乱電子 弾性散乱電子 ) 1 次電子と 2 次電子の減衰距離とを評価すると 高加速電圧励起の場合の情報深さは 2 次電子の発生領域で決まると考えて良い 一方 加速電圧が 2kV 以下の極低加速の条件になると 高エネルギー成分は高加速の条件と同様 2 次電子の発生領域は 1 次電子の侵入深さより小さいのに対し 低エネルギー成分では1 次電子の侵入深さが 2 次電子の減衰距離より大きい したがって 低エネルギー成分を用いる場合の情報深さは 3nm 程度と考えられる 高エネルギー成分では反射電子による励起を考慮しないと 1nm 弱程度でありが 反射電子による励起を考慮すると 最大 3nm 程度と思われる 2 次電子の発生が表面近傍で等方的に生じていると考えると 横方向の電子の広がりもこの情報深さと同程度と考えられる 実際 Ziaja らの非弾性散乱を考慮した計算結果から 250V の時の 90% 程度の減衰を考慮した広がりは 4nm 程度であるが 半分程度の強度の主要な範囲は 1nm 程度である [9] なお ここでは 2 次電子が発生する最大深さを考えたので 実際に得られる画像の分解能はこれよりは 小さいものと思われる 最近広く用いられるようになった極低加速電圧 SEM には採用されている電界放出型電子銃のプローブ径は 1-2nm 程度である このプローブサイズは上記で考察した 2 次電子の広がりとほぼ同等である したがって 10nm 程度の以下の微小な構造の大きさを計測する場合 ULV-SEM を用いた計測は有効であると言える
20 参考文献 [1] 清水健一 立花繁昭 H.Yaksch 幅崎浩樹, 工業材料, 52, 70 (2004). [2] 佐藤馨, 顕微鏡 50, 173 (2015). [3] 橋本哲 ; 日本信頼性学会誌, 28, 155 (2006). [4] K. Kumagai and T. Sekiguchi, Ultramicroscopy, 109, 368 (2009). [5] M. Nagoshi, T. Aoyama and K. Sato, Ultramicroscopy, 124, 20 (2013). [6] J.Zach, Optic, (1989). [7] S. Tanuma, C. J. Powell and D. R. Penn, Surf. Interface Anal., 21, 165 (1994). [8] C. J. Powell and A. Jablonski, Surf. Interface Anal. 33, 211 (2002). [9] B. Ziaja, A.Szöke, D.Spoel, and J. Hajdu, Phys. Rev. B 66, (2002)
21 2.2 ナノ材料の国際標準化と SEM の標準化 ナノ材料の分析ナノ材料は ISO による国際的な定義は 元素等を原材料として製造された固体状の材料であって 大きさを示す三次元のうち少なくとも一つの次元が約 1~100nm であるナノ物質及びナノ物質により構成されるナノ構造体 ( ナノ物質の凝集した物体を含む ) である 非常に漠とした定義であってこれだけでは多様なナノ材料を定義するには不十分である そこでナノ材料の特徴を決定する要因 ( 物理化学特性 ) は多方面で検討されており 表 2-1 にその物理化学特性の項目の一例を挙げる 表中に示された多数のナノ材料の物理化学特性は 材料の大きさや形状や内部構造などナノスケール化によって初めて新たな機能として顕在化する そのため新たな機能発現をめざして新規材料開発を進めるためには 従来の材料組成のようなバルクの特性にくわえて 表中のナノ材料の物理化学特性を評価していくことが必要である 分析 評価の手法は当然ながらナノスケール分解能を備えた材料評価の性能が求められる SEM の測定手法は 表 2-1 で示されるように SEM が評価に有効な物理化学特性が半数を占め 重要性が大きい 表 2-1 [1] ナノ材料の特性項目として毒性評価試験で報告されるべきもの [2-4] と 測定可能性のある計測手法 [2,5] ナノ材料の物理化学特性 評価手法として SEM が有効なもの 評価手法 Primary particle size, TEM, SEM, DLS, CLS, SAXS, FFF, PTA, 〇 size distribution XRD, AFM, BET, SP-ICP-MS Aggregation and/or TEM, SEM, BET, SMPS, TEM, FFF, Light 〇 agglomeration state scattering, Disc centrifuge Shape, aspect ratio for fibers 〇 TEM, SEM Internal structure TEM(electron diffraction), Spectroscopy (atomic or molecular) XRD Surface analysis technique, Elemental and/or Electron-microprobe technique chemical composition 〇 (XPS, SEM/EDS, TEM/EELS, TOF-SIMS, (including impurities) XRF, SP-ICP-MS) Specific surface area BET Surface chemistry TGA, Spectroscopy Surface charge Electrophoretic mobility Solubility Dialysis, Membrane centrifugation 略語 : TEM: 透過電子顕微鏡 SEM: 走査電子顕微鏡 DLS: 動的光散乱法 CLS: 液相遠心沈降法 SAXS: 小角 X 線散乱法 FFF: 流動場分離法 PTA: 粒子トラッキング分析 XRD: X 線回折 AFM: 原子間力顕微鏡,
22 BET: ガス吸着法 (BET 比表面積計測法 ) SP-ICP-MS: 単粒子誘導結合プラズマ質量分析法 TGA: 熱重量 分析 TOF-SIMS: 飛行時間型二次イオン質分析法 EDS: エネルギー分散型 X 線分析 XPS: エックス線光 電子分光法 XRF: エックス線蛍光分析法 SMPS: 走査型移動度粒径測定器 SEM の 分解能 とカタログ仕様ナノスケールでの評価を行うためには微細構造を識別可能な性能 ( 空間分解能 ) が必要である そのためにはまずプローブとする電子ビームが細く絞れることが必要である さらにナノ材料を観測対象とする場合は制約が生じる 電子ビームの照射点から試料内部に侵入した電子は試料内で弾性散乱と非弾性散乱を繰り返して二次電子を発生する その発生範囲は照射点から洋なし状に広がる 二次電子のうち表面から出てきた電子が像形成に使われる そのため分解能は様々な要因に左右され たとえば二次電子の発生範囲 表面形状 ( 凸凹 ) 表面帯電 二次電子検出器の位置 検出する二次電子のエネルギーとエネルギー分布 などがある そのため SEM の分解能を 装置間 オペレーター間 日間 などで比較する際には細心の注意が必要である 上記の分解能評価を左右する要因をそろえること 最低でも共通の試料を用いて共通の測定条件で評価することが必要である 表 2-2 のように SEM 装置の分解能のカタログ仕様を数値だけで単純比較することは避けるべきである 表 2-2 SEM 装置の分解能とその加速電圧のカタログ仕様の一例 ( 分解能の定義は各社による ) A 社 B 社 C 社 分解能 0.7 nm (15 kv) 0.7 nm (1 kv) 3.0 nm (5 kv 0.8nm (15kV WD =4mm 倍率 270kx) 1.1nm (1kV WD= 1.5mm 倍率 200kx) 0.6 nm at 30 kv (STEM *) 0.6 nm at 15 kv 0.6 nm at 2 kv 0.7 nm at 1 kv WD10 mm 5 na) 加速電圧 0.01kV~30kV 0.01~30kV 20 ev 30 kev 分解能 評価と本事業の関係電子顕微鏡を用いて測定対象の拡大像を得るときに 試料の微細な表面構造をどれだけ観測可能かをあらわす指標として従来 分解能 の用語が用いられてきた (2.3.1 参照 ) 分解能の定義では 隣接する二物体間の最短距離 ( ギャップ ) の他 数種類が知られている そのため SEM 装置の分解能を数値で指標するときに評価方法や評価用試料が定まっておらず 各社各様の分解能の数値が流通しているものと思われる すなわち現状では SEM 機種間の分解能の比較方法として 装置カタログの数値を並べて単純比較することには注意が必要である また共通的な標準物質も流通しておらず SEM 装置の客観的な分解能評価を行う手段がない
23 現在国際標準化機構 ISO/TC202 SC4 の委員会で像シャープネス定義に立ち返って SEM の 分解能 について標準化の検討が続けられている そこで本事業はこの国際標準化活動の国内委員会を支援するため 以下を行うこととした 1 標準物質に適した試料の開発具体的には 従来よく使用されていたグラファイト基板上に蒸着された金粒子に替えて 人工的に制御された構造をもつ分解能評価用試料の開発を行う 2 分解能評価用の標準物質を用いた共通測定を実施し 標準化に向けた測定手順を確立する また SEM の像シャープネス評価のための標準物質の備え得るべき特徴として次の 2 点が挙げられた 1. 表面形状によるコントラスト抑制のため平坦な構造を有すること 2.ISO/TS24597 の要請により Line&space 構造ではないこと これにもとづき SEM における像シャープネス評価のための標準物質の試案として Si 基板 に金属ビア ( タングステン埋込 TiN バリア 60nm 径 ) を周期的に埋め込んだものが提案され た 現在試作が完了し ウエハからの切り出し待ち状態である 図 SEM の分解能標準化のための標準物質の開発計画と H27 年度事業の関係 参考文献 [1] 黒河明 (2016) 第 2 章ナノ粒子表面状態の分析評価 ナノ粒子の表面修飾と分析評価技術 各種特性を向上するためのナノ粒子表面関連技術とその評価 株式会社情報機構 2016/1/26 pp に SEM 分析の適性について加筆 [2] M. J. McCall, V. A. Coleman, J. Herrmann, J. K. Kirby, I. R. Gardner, P. J. Brent, and C. M. Johnson: Nat Nanotechnol, 8 (2013)
24 [3] International Organizational Standardization, ISO/TR 13014:2012 Nanotechnologies - Guidance on physico-chemical characterization of engineered nanoscale materials for toxicologic assessment, [4] OECD Working Party on Manufactured Nanomaterials Sponsorship Program, LisTOF Manufactured Nanomaterials and LisTOF Endpoints for Phase One of the Sponsorship Programme for the Testing of Manufactured Nanomaterials,Series on the Safety of Manufactured Nanomaterials, No. 27, [5] OECD Working Party on Manufactured Nanomaterials Sponsorship Program, ReporTOF the OECD expert meeting on the physical chemical properties of manufactured nanomaterials and test guidelines,series on the Safety of Manufactured Nanomaterials, No. 41, SEM 像シャープネス標準化像分解能とは SEM 観察を行う際に どの位明瞭な像を撮影できるかを示す性能指標である 例えば装置カタログでは 加速電圧 15 kv で二次電子分解能 1 nm と表示されており ユーザへ大きな影響力をもつ数字である また 像分解能は言い換えれば, 像がどの程度のボケを含んでいるかを示す指標でもあり ナノ材料サイズを計測する際の不確かさを見積もる上で重要となる では SEM における像分解能はどの如何にして評価されているであろうか? 結論から言ってしまえば SEM は商用機の登場以来 既に半世紀以上が経過しているにもかかわらず 基本的な性能指標である像分解能の定義 評価手法に関して いまだ統一された方法が整備されていないのが現状である 産業界の動向としては SEM メーカが主導する ISO/TC/202 SC4 における像分解評価の標準化活動が進められている TC202 SC4 における活動の成果として 2011 年に分解能評価に関する技術仕様書 (ISO/TS 24597:2011) が出版され [1] さらに この技術仕様書の ISO 化が提案されている段階である [2] 分解能の定義 SEM における 分解能 には幾つかの解釈が存在し その解釈により定義や評価方法が異なることから しばしば議論の混乱を招く原因となっている 分解能の定義として以下の三種類があげられる 1) 一次電子線束径を用いる理論分解能 2) 視野内で観察される粒子の最小距離を用いるギャップ分解能 3) SEM 像の鮮明さを評価する像シャープネスである 理論分解能は通常の SEM 装置では直接電子線束径を測定するのが困難であることから 一般には利用されない ギャップ分解能は SEM 像から計測可能であるが 目視判定が伴うこと 試料によって粒子の大きさや粒子間距離がばらつく可能性があり 任意性を排除することができないという問題がある こういった問題点を踏まえ 現在 ISO/TC/202 SC4 では像シャープネスを定量的な性能評価指標として ISO 化を検討している
25 2.3.2 像シャープネス像シャープネスの評価法を議論する前に SEM ではどのように像が形成されるかを考える SEM における像形成の概念図を図 に示す 実際に装置で得られる SEM 像は, 理想的に収束された電子線束が試料に入射したときに一次電子と個体の相互作用により得られる信号 ( 試料情報 ) に 装置光学系を主要因とするボケ関数が畳み込まれたものであると考えられる 更に この信号に電源の揺らぎなどによるノイズ成分が足し合わされ 検出器で検出される二次電子信号が形成される 従って 得られた SEM 像からぼけ関数を逆算することにより 像の明瞭さを評価することができる このボケ関数を指標に用い 像の明瞭さを定量的に評価するというのが像シャープネスの基本的な考え方である 図 図 SEM 像の形成と像シャープネス 技術仕様書 ISO/TS24597:2011 ではボケ関数を求めるアルゴリズムとして 3 種類の方法が紹介されている ここでその中で ISO 化が検討されている DR 法と FT 法の二種類について述べる 両方法とも前提として ボケ関数は二次元ガウス関数で表されると考える DR 法では画像中の粒子の輪郭線に垂直な方向にエッジプロファイルを抽出し それぞれのラインプロファイルに次式をフィッティングする ( 図 2.3-2) 図 DR 法による像シャープネス評価 ff(xx) = bb + h erf xx mm (1) 2σσ erf(zz) = 2 zz exp ππ ( tt2 )dddd (2) 0 ここで b,h,m,σはフィッティングパラメータである フィッティングにより求めたガウス分 布の標準偏差 (σ) を用いて, 像シャープネス R は RR = 2σσ (3)
26 と算出される 次に FT 法の概念図を図 に示す FT 法では先ず被評価画像 A を或る閾値で二値化し ボケが無い粒子の輪郭が尖鋭な画像を得る この画像に対して標準偏差 σを持つ二次元ガウス関数 即ちボケ関数をコンボリューションしボケを有する画像 B とする さらに これらの画像 A B をフーリエ変換し それぞれのフーリエ変換像 ( ディフラクトグラム ) A' B' を得る σを変化させながら A' と B' を比較し 最も良い対応を与えるσを求め 式 (3) 像シャープネスを式から決定する 本研究では 以下 DR 法を用いて像シャープネス評価用標準物質の評価を行う 図 FT 法による像シャープネス評価 参考文献 [1] ISO/TS 24597:2011 Microbeam analysis Scanning electron microscopy Methods of evaluating image sharpness (2011) [2] M Matthews and J Shah, Microsc Microanal 21 (2015) p
27 2.3.3 標準物質の試案 -SEM 像シャープネス評価用 - SEM における像シャープネス評価の位置付け現在標準化が検討されている像シャープネスはその名の通り 得られた SEM 像を評価するための指標であり SEM の最終的なアウトプットを評価するという考え方である 従って その評価値は SEM で生じる様々な現象 ( 電子線の集光 固体内での電子散乱 信号電子の検出 信号処理など ) を含んだものであり そこには多くのパラメータが関与していることに留意する必要がある これらの像形成に関するパラメータを大まかに分類すると (a) 装置条件 (b) 観察 ( 励起 ) 条件 (c) 試料 (d) オペレーター技能の 4 つが挙げられる 一方 SEM を使用する中で 像分解能を計測する需要が生じるのは 主に以下の場合が想定される (1) 装置性能の経時変化を評価したい場合 (2)SEM 装置間の性能を比較したい場合 (3) オペレーターの操作スキルを評価したい場合などである 上記 (1)-(3) の評価を行うためには 評価対象以外の像形成に関するパラメータは固定しておく必要がある すなわち (1) の場合は (a)-(d) の 4 つ (2) の場合は (b)-(d) の 3 つ (3) の場合は (a)-(c) の 3 つのパラメータは共通とするのが望ましい ここで いずれの場合にも試料は固定されたパラメータであり 実際の運用上これを容易に実現できるような試料 即ち標準物質が必要となる 像シャープネス評価用標準物質標準物質とは何かしらの特性値が与えられた物質のことである 従って 像シャープネスという特性値を与えられた標準物質は存在し得ない しかしながら 上で述べたように SEM 像形成においては 試料自体が大きな寄与をもつパラメータの一つであるので 現実的な像シャープネス評価シーンにおいては これを固定した像シャープネス計測を行うことが必要となる そこで 試料の素性がよく調査されており かつ像シャープネス評価規格に則った評価に適した試料を像シャープネス評価用標準物質として提案する 具体的な構造や仕様については第 3 章で述べるが 計量機関からこのような標準物質が配布されることにより 試料パラメータを固定した像シャープネス評価が容易になる 例えば 内作の同一試料を用いて上記 (1) のような計測を行う場合 試料の局所構造変化が問題となる可能性がある. 標準物質では, 試料内試料の均一性が検証されているため, 視野の選択に悩む必要はない また 標準物質の場合 異なる試料片であっても 試料の同一性が保たれるという利点がある 従って (2) のような評価をラボ間で行う場合には 同種類の標準物質を双方で用意すれば 簡便に評価を実施することが可能となる また 試料構造の詳細が明らかであるため 評価可能な像シャープネスの限界値を議論することが可能であり 試料由来の原因で生じる過大 / 過小評価を回避することも可能であると思われる 以上挙げたように 像シャープネス評価に適した標準物質を整備するメリットは少なくない 現在進められている像シャープネス評価の標準化は SEM 商用機誕生以後 50 年を経て混乱している SEM 像分解能の議論に一旦の決着をつけるものである この評価法をより実用的なものとするため その手順の標準化と標準物質整備とは歩調を合わせて進めていくべきであると考えられる
28 2.4 飛行時間型二次イオン質量分析 (TOF-SIMS) について TOF-SIMS の特徴と課題飛行時間型二次イオン質量分析 (Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry: TOF-SIMS) は 化学イメージングを高感度にかつ高い空間分解能で得ることができる表面分析法として 様々な分野への応用が期待されている TOF-SIMS データは豊富な化学情報を含み 他の手法では得られない情報も多いが データ解釈が困難なため 十分に情報が引き出されない場合もある データ解釈を困難にする主要な要因としては 二次イオン生成過程が複雑であり 測定条件ばかりでなく 試料の状態によっても二次イオン強度やフラグメント生成が変化するからである 例えば 共存物質によって特定の物質由来の二次イオン強度が著しく変化するマトリックス効果は 定量分析を難しくするおもな原因である 特に複雑な試料では未知物質も含まれることが多いため マトリックス効果が予測できず TOF-SIMS による定量分析は困難となる そこで マトリックス効果や試料の導電性などを考慮した TOF-SIMS の定量性評価法の確立を目指して 日本表面分析研究会 (Surface Analysis Society of Japan: SASJ) の TOF-SIMS ワーキンググループ (TOF-SISM WG) では議論および検討がされてきた こうした点については 節で改めて解説する 本節では TOF-SIMS の概要を記す TOF-SIMS の原理二次イオン質量分析法 (Secondary Ion Mass Spectrometry: SIMS)[1-3] において質量分析器に飛行時間型質量分析器を用いる場合に その手法を TOF-SIMS[4-5] と呼ぶ SIMS は 固体試料表面にイオン ( 一次イオン ) 照射することによって 試料からイオン ( 二次イオン ) を発生させる表面分析法であり, 非常に高感度に化学情報が得られるため 1960 年代に実用化 [1] されてから現代に至るまで広く使われている 一次イオンビームの照射によって固体試料表面から発生する様々な粒子 ( 電子, 中性粒子など ) のうちイオン化されて二次イオンとなるのは 1% 以下であるが SIMS では ppm ppb というきわめて低い濃度範囲で化学種の検出が可能である 初期の SIMS は ダイナミック SIMS(D-SIMS) と呼ばれる破壊的な手法が主流で 高感度ではあるが 分子も破壊するため 化学構造情報は得にくいため 有機物の分析は困難であった その後開発された TOF-SIMS は,D-SIMS と同様に高いエネルギーのイオンビームをパルス的に試料に照射することによって 実質的に試料を非破壊的な分析を可能とし 有機物の分析に応用されるようになった TOF-SIMS では 高い質量分解能と広い質量範囲で, 全二次イオンを同時に測定し 元素ばかりでなく分子やそのフラグメントに関する情報も得られる また 一次イオン照射量が D-SIMS と較べて極端に少ないために帯電が起こりにくく 絶縁物測定が容易であり, 微細一次イオンビームを用いると 100nm 以下の高い空間分解能でイメージングも可能である 図 に TOF-SIMS の概念を示す 質量スペクトルは どのような物質であるかの同定に関する情報が得られ ニ次イオン強度から相対的な定量も可能である また 二次イオン像からは特定の化学種 ( 分子やそのフラグメントなど ) の分布および特定部位における存在量に関する情報が得られる スパッリング用イオン銃を併用した深さ分析によって 測定化学種の 3 次元分布も得られる 有機 高分子およびバイオ材料の分析では たとえば材料の表面化学修飾工程の化学構造および分布に基づいた評価 [6], 高分子 7) やタンパク質 [8-11] の配向評価などに応用されている また 動物 [12-17] および植物組織 [18-20] における特定の物質の分布評価にもよく用いられている 図 には 植物細胞の光学顕微鏡写真 (a) と
29 TOo-SIMS で観察した際の総二次イオン像 (b) を示す 図 2.4-2(b) 総二次イオン像はすべての二次イオ ンの積算であり 試料の概観を表す また スペクトル上の特定の二次イオンに注目して その二次イオン像を得れば 特定物質の分布を細胞レベルで観察できる 図 TOF-SIMS 概念図 図 植物細胞の TOF-SIMS による観察 (a) 光学顕微鏡像 ( 図中四角は測定位置を示す ) (b) 総二次イオン像 TOF-SIMS では パルス化した一次イオンビームを用いるため そのままでは深さ方向分析には不向きであったが 先述のようにスパッタリング用イオン銃を併用することにより高感度深さ方向分析が可能となった 特に近年は 有機物のダメージを極力抑えることができる巨大クラスター (Ar ガスクラスターや C60など ) イオンをスパッタリングに用いることにより 有機物のナノレベルでの深さ方向分析 21) も可能となった
30 2.5 TOF-SIMS 分析法の標準化 TOF-SIMS の標準化と当事業の関わり TOF-SIMS 分析を使用する国内の装置近年増加し続けている ユーザ数も増加が予測される これは TOF-SIMS 分析が 分析可能な分子の質量が最も軽い水素元素から m/z = 10,000 程度まで重い分子まで広範囲に及ぶこと そのため新規材料の多い有機材料についてその化学構造情報を得られる測定手法として有用であること さらにまた分子がどのように試料面上に分布しているかを二次元イメージング法で可視化できること 2.4 に述べたように材料の最表面層について分析できる測定法であること など多数のメリットがあるためである しかしながら次節以降に詳述するように分析上の課題は多く とくに定量精度は表面化学分析手法としていまだ不十分な状況にある 測定精度向上のための標準化活動が成されてきたが未だ途上にあり 今後も継続的な精度向上の努力が求められている そこで本事業では TOF-SIMS 分析精度の向上に貢献することを念頭に まず分析用の標準的な試料を試作し次に共通測定を行う これにより 分析上の課題とその解決方法の探索 それらを国際標準化にために必要な知見として積み上げていくことを活動指針とする TOF-SIMS 分析に関する標準化活動は国内では SIMS ユーザが多く集まる表面分析研究会で先行している 最近の取り組みでは TOF-SIMS スペクトルの横軸の校正方法で成果を上げている SIMS スペクトルは横軸に質量軸 縦軸に分子イオンの検出強度を現したものであるが スペクトルの縦軸の強度軸に関する標準化も次の課題として取り組みが求められている 本事業は表面分析研究会とも情報交換を行いつつ標準化活動を進める 本年度の活動では TOF-SIMS 分析はどの程度の定量的な議論が可能かという問いに具体的に応えていくため 共通試料の設計 ( 材料の選択 ) に重きを置いた 有機物材料は一般に大気中に保管すると TOF- SIMS 分析における信号強度に経時変化を持つものが多い すなわち安定性が求められる標準物質の材料とするには不安定な物質が多い そのため共通測定物質の候補材料としての安定性 もしくはどのような経時変化を備えるかなどの材料特性を今後丹念に調査していく必要があり 候補材料の選定には時間を要することが予測される 図 TOF-SIMS の強度軸の校正方法の探索に関する年度計画
31 図 に示すように当委員会では 3 年間の計画を立てて課題を実行中である 次年度以降は本年度試作 した標準試料の共通測定による知見を踏まえ 材料の選定とその評価を繰り返しながら T0F-SIMS 分析の 標準化に向けた取り組みを継続する予定である TOF-SIMS の実用分析における課題 ~マトリックス効果などによる二次イオン強度の変化 ~ TOF-SIMS データを適切に解釈するためには 化学構造に関する情報を示す質量 ( 質量スペクトルの横軸 ) と存在比や濃度に関する情報を示す二次イオン強度 ( 縦軸 ) を正しく得る必要がある SASJ では SIMS 質量スペクトルの横軸 縦軸の適切な較正および補正方法について TOF-SIMS WG を通じて検討し 得られた成果を TOF-SIMS ユーザに還元している 飛行時間から質量を換算して, 直線回帰する質量較正には 3 点以上の二次イオンピークが必要であり TOF-SIMS における正二次イオン測定の場合は一般的に CH3 +, C2H3 +, C3H5 + の3 点がよく用いられるが これらに加えて C4H5 +, C6H5 +, C4H7O + を用いるとより高精度な質量較正が可能と報告されている [22] また TOF-SIMS の質量較正に関しては ISO13084 として国際標準化されている ISO13084 が推奨する質量較正ピークには (1) 同定可能である (2) フラグメント化の程度が小さい (3) 同定対象の二次イオンの質量の 55% 以上である ( 図 2.5-2) ことが求められている しかし 標的物質の質量が高すぎて 質量較正ピークに適したピークとして 標的物質の質量の 55% 以上の質量を持つ二次イオンがスペクトル内に見つからない場合が多いなど 実用分析の観点で課題も多い そこで SASJ のTOF-SIMS WG では 分子の構造を保ったままイオン化されやすい添加剤を用いて 質量較正ピークを得やすくする内部添加法 [23,24] を提案し 一定の成果を得ている 図 質量較正用のピーク選択の概念図 (m1, m2, m3, m4 のような二次イオンが含まれることが望ましい )
32 内部添加法は 例えば第四級アンモニウム塩 (Octyltrimethylammonium bromide (C8TMA) tetradecyltrimethylammonium chloride (C14TMA) octadecyltrimethylammonium chloride (C18TMA) など ) を試料に添加して これらの [M+H] + などを質量較正ピークとして用いる手法である ただし 添加によって試料が損なわれることがあるため 添加の前後で試料のスペクトルに大きな変化がないことを確認してから用いる必要がある 添加の前後で試料のスペクトルに大きな変化がないような場合では 例えば Tinuvin 770(m.w.: , C28H52N2O4) の同定において [M+H] + ピークの従来の炭化水素系 CXHY の底質量ピークのみを用いた場合は数 10 ppm であった相対質量確度が大幅に向上し 添加した第四級アンモニウム塩の [M+H] + を質量較正ピークに加えた場合は 数 ppm となった [24] SASJ は次の課題として TOF-SIMS スペクトルの縦軸である二次イオン強度の補正方法確立を目指し 活動を続けている TOF-SIMS は 高感度で微細な分布が分かる優れた手法であるが 定量性が必ずしも高くないことがしばしばデータ解釈上の問題となってきた 定量が難しい原因としては 二次イオン効率が物質によって異なることや 同一物質でも試料の状態や共存物質からの影響などによって二次イオン強度が変化することが挙げられる 例えば 特定の二次イオンの強度が 試料の導電性 [25] や共存物質によって変化することが知られている また 国外では英国物理学研究所 (National Physical Laboratory: NPL) などを中心に 質量較正やマトリックス効果に関する検討がされており こうした国外の研究機関とも連携して ISO での規格化も視野に入れて さらに正確で汎用性の高い手法の確立を目指している 近年の検討としては A. G. Shard[26] らによる有機物多層試料の深さ方向分析におけるマトリックス効果の検証及びマトリックス効果の補正式の報告がある この研究では 2 種類の有機物を異なる濃度で混合した層を TOF-SIMS で分析し マトリックス効果の現れ方を調べ さらに 2 種類の有機物が 50% ずつ混合された層における各有機物に由来する二次イオンのうち共存物質による強度変化が小さいものを用いることによって 補正を実現している SASJ のTOF-SISM WG では マトリックス効果を正確に評価するために 基板の影響 ( 導電性など ) を明らかにすることを目指し 異なる厚みの有機物試料を標準試料として 評価する予定である 基板の影響を明らかにした後は 様々な種類の有機物混合系におけるマトリックス効果評価を目指す 参考文献 [1] A. Benninghoven, F. G. Rüdunauer, H. W. Werner: Secondary Ion Mass Spectrometry, John Wiley & Sons: NY, (1987) [2] 日本表面科学会 : 二次イオン質量分析法, 丸善,(1999) [3] 工藤正博 : 固体表面分析 I 大西孝治, 堀池靖浩, 吉原一紘固編 pp 講談社サイエンティフィク,(1997) [4] J. C. Vickerman and I.S. Gilmore (Eds.): Surface Analysis The Principle Techniques, John Wiley & Sons, (2009). [5] 青柳里果 工藤正博 : 現代表面科学シリーズ第 2 巻表面科学基礎 日本表面科学会編 pp10-12 共立出版 (2013) [6] J. S. Park, H.-J. Kim, Appl. Surf. Sci. 25, (2009)
33 [7] Y.-T. R. Lau, J. M. Schultz, L.-T. Weng, K.-M. Ng, and C.-M. Chan: Langmuir 25(14), (2009). [8] K. Leufgen, M. Mutter, H. Vogel, W. Szymczak: J. Am. Chem. Soc. 125: (2003). [9] R. Michel, D.G. Castner: Surf. Interface Anal. 38, (2006). [10] P. Bertrand: Appl. Surf. Sci., (2006). [11] S. Aoyagi, A. Rouleau and W. Boireau: Appl. Surf. Sci., 255, (2008). [12] A. Brunelle, D. Touboul, O. Laprevote: J. Mass Spectrom. 40: (2005). [13] P. Sjövall, B. Johansson, J. Lausmaa: Appl. Surf. Sci. 252, (2006). [14] I. Lanekoff, M. E. Kurczy, R. Hill, J. S. Fletcher, J. C. Vickerman, N. Winograd, P. Sjövall, and A. G. Ewing: Anal. Chem. 82, (2010). [15] M. Okamoto, T. Tanji, Y. Katayama, J. Okada: Appl. Surf. Sci. 252, 6805 (2006) [16] P. Malmberg, H. Nygren, K. Richter, Y. Chen, F. Dangardt, P. Friberg, Y. Magnusson: Microsc. Res. Tech., 70: (2007). [17] H. Nygren and P. Malmberg: Proteomics 10, (2010). [18] Y. Matsushita, A. Suzuki, T. Sekiguchi, K. Saito, T. Imai, K. Fukushima, Appl. Surf. Sci. 255, (2008). [19] K. Saito, T. Mitsutani, T. Imai, Y. Matsushita, A. Yamamoto, K. Fukushima, Appl. Surf. Sci. 255, (2008). [20] C. Zhou, Q. Li, V. L. Chiang, L. A. Lucia, D.P. Griffis, Anal. Chem., 83, (2011) [21] J. S. Fletcher: Analyst, 134, (2009). [22] F.M. Green, I.S. Gilmore, M.P.Seah: J. Am, Soc. Mass Spectrom, 17, (2006). [23] D. Kobayashi, S. Otomo, S. Aoyagi and H. Itoh, Surface and Interface Analysis, 2014, 46, pp [24] D. Kobayashi, S. Otomo and H. Itoh, Journal of Surface Analysis, 2014, 20, pp [25] S. Aoyagi, M Inoue, "An orientation analysis method for protein immobilized on quantum dot particles", Applied Surface Science, 256, (2009) [26] A.G. Shard, et al., J. Phys. Chem B, 119(33), (2015)
34 2.5.3 TOF-SIMS 関連の有機材料標準物質の供給状況有機材料を用いた深さ分析用の標準物質の供給は 半導体材料系に比べると数が限られている 英国の標準機関 NPL の例では 有機材料に Irganox 系を用いた多層薄膜の標準物質が供給されている ( 図 2.5-3) Irganox3114 層は深さ方向の目印として 1010 層の間に挿入されている 窒素は Irganox3114 層にのみ含まれるため イオンスパッターでこの層が表面に現れればエックス線光電子分光法 (XPS) で同定できる また Irganox3114 層は SIMS 分析で 26 42,346,564Da に特有のピークを持ち Irganox1010 層と分離検出できる 図 英国 National Physical Laboratory(NPL) の有機材料を用いた深さ分析用の多層膜標準物質 主な用途はイオンビームスパッターを伴う深さ分析のためのエッチングレート校正用である 各層の厚さは数十 nm から 100 nm の厚さであるため主にダイナミック SIMS の分析手法が対象であると思われる 近年の有機材料系の分析で多用される TOF-SIMS 用としては各層の厚さが厚い 本材料は VAMAS においてクラスターイオンビームを用いた分析検証用として機関間比較に使用された経緯がある しかしながら本事業が目的としている強度軸の校正用としては厚さが大きすぎ不適当である 有機物材料の多層膜試料を用いて Shard らは深さ方向分析におけるマトリックス効果の検証を行っている (2.5.2 節 ) マトリックス効果は TOF-SIMS 分析では信号強度を左右する大きな要因である マトリックス効果により TOF-SIMS は定量分析ができないということがユーザ多数の認識であり 定量的な議論を行う雰囲気が成り立ち難い 標準物質を製造するときには候補材料のマトリックス効果に関する知見が必要である 標準試料と実サンプルの作製方法は一般に異なるため両者の表面状態が異なり 分析上で同じ表面状態であるべき標準試料の要件を満たさなくなってしまう可能性が高い その他候補材料に関して必要な知見は 材料の安定性である もし同じ作製方法だったとしても 有機物質の表面は一般に 酸化 劣化 脱水 吸着などの影響を受けやすく 表面状態は容易に変わる可能性がある そのため SIMS 等の表面状態に敏感な分析手法で表面を分析するときには 材料の表面状態の経時変化が大きくあらわれてしまい 安定性が必要な標準試料の要件を満たさない可能性もある 表面状態の安定性は材料によって大きく左右されるため知見が必要である
35 第 3 章 SEM 像シャープネス評価用の標準物質の開発
36 第 3 章 SEM 像シャープネス評価用の標準物質の開発 3.1 現状用いられる SEM 像分解能の評価方法 SEM における 分解能 には幾つかの解釈が存在し その解釈により定義や評価方法が異なることから しばしば議論の混乱を招く原因となっている (2.3.1 参照 ) またそれら分解能の評価方法は統一されておらず 幾つかの指標が使用されているのが現状である そのため 定量的な評価方法の標準化と 評価に適した標準物質の整備 の二点が急務である ギャップ分解能撮影された SEM 像から分解能を評価するための指標としてギャップ分解能がよく用いられる これは SEM 像に観察された粒子同士の間隔のうち 最も狭い部分の距離を計測し これを像分解能とするものである 図 にギャップ分解能評価の例を示した この手法は簡便であるが ギャップの選定が目視判断であること また粒子と背景の境界を定める基準がないことなど 任意性が高いことが問題となっている 図 Au/C を用いたギャップ分解能計測の例 また 試料調製により 最小ギャップが変化するという問題も存在する このような問題を抱えつつもギャップ分解能は多くの装置メーカで利用され その値がカタログに掲載されているのが現状である 分解能はユーザにとっても装置性能を測る重要な指標であることから 任意性を排除した定量的な分解能評価法の導入が求められている 評価用標準物質 SEM における像分解能は観察試料によっても左右されるため 試料調製 選定が重要である 現在 分解能は評価用の試料としてはカーボン上に蒸着された金粒子がよく用いられ 市販品も多く入手可能である しかし 上にも述べた様に 試料調製条件で金粒子の粒径や粒子間距離が変化する可能性があるにもかかわらず 試料の素性が明らかな Au/C 試料はほとんど流通していないように思われる また ギャップ法による分解能評価において このような粒子を観察する際には粒子がバック
37 グラウンドに対して十分なコントラストを持つことが必要となる カーボン 金の組み合わせでは低エネルギーの一次電子による観察ではカーボンと金の二次電子収率が等しくなり コントラストが消失する条件があることが知られている [1] 特に低加速電圧 SEM で分解能評価を行う場合には 評価に十分なコントラストが得られるか留意する必要があろう 以上より SEM 分解能の評価の現状を鑑みると 測定法 試料ともに大きな任意性含むことが問題となっている より定量的な評価方法の標準化を進めると同時に その運用を支える車の両輪として分解能評価に適した標準物質の整備が急務であるといえる 参考文献 [1] I Müllerová and L Frank, Scanning 26 (2004) p
38 3.2 像シャープネス評価用の標準物質の開発目的 SEM における像分解能の定義はこれまで長期にわたり議論が続けられてきた (2.3 節 ) 近い将来像シャープネスという指標を導入し その評価方法が標準化されようとしている 本研究では ISO/TC202 SC4 における像シャープネス評価に関する標準化活動の動向を踏まえつつ 像シャープネス評価に適した標準物質の開発を目指す 本節では本年度の取り組みとして実施した像シャープネス評価用の標準物質プロトタイプ開発とその評価について述べる 標準物質プロトタイプの仕様の検討観察試料は SEM 像形成を左右する要因であることから 像シャープネス評価では素性の標準物質を用いることが重要となる 試料形状は手順書の要請やその利便性などから 以下のような特徴を備えることが望ましいと考えられる (a) エッジ効果や帯電などによる像コントラスト異常がないこと (b) 広範な加速電圧範囲でコントラストが安定していること (c) 形状がライン & スペースではないこと (d) 同一の試料で倍率校正および像シャープネス評価可能であること 1 つ目 2 つ目の項目は像シャープネス評価の安定性にかかわる項目である コントラスト異常は絶縁材料を避け 試料を平坦な構造とすることで抑制できるものと考えられる さらに 低加速 SEM の利用を視野に入れ 広範な加速電圧範囲でコントラストが安定するような材料の選択が求められる 3 つ目は技術仕様書 [1] からの要請である 将来 ISO 化される際にも像シャープネス評価アルゴリズムに大幅な変更がない限りはこの条件も継承されるものと思われる 4 つ目の条件はユーザ利便性である 像シャープネス評価を行うためには あらかじめ倍率校正がなされていることが前提である 同一の標準物質で倍率校正および像シャープネス評価が実施できれば 利用者にとって好都合である 以上の要件を満たす標準物質のデザインを図 に示す 三種類の例を示したが いずれも平滑基板上にドットが規則的に配列した構造である ドットはなるべく薄い円板状とし エッジ効果などのコントラスト異常を抑制する 図 像シャープネス評価用標準物質の候補デザインドット間距離 d は既知であり これを利用し x および y 方向に倍率校正が可能である ドット
39 は円形 ( 図 3.2-1(a)) のほか多角形 ( 図 3.2-1(b)) としてもよい 倍率校正は多角形の辺にそって行うのが容易であろう さらに コントラストを安定させるため 複数種類の材料を用いドットを作成する ( 図 3.2-1(c)) ことも考えられる 材料の選択は原子番号の離れた物質を組み合わせが簡便であろう 今回のプロトタイプ試作では図 3.2-1(a) の基本的な構造を採用し 図 図 に示す模式図のような構造とした プロトタイプはシリコン基板にタングステンシリンダーを格子状に埋め込んだ構造であり 基板表面上方から SEM により観察するとドットアレイが観察される Si の原子番号 14 に対して W では 74 と大きく原子番号の差があることから 大きな原子番号コントラストが期待される 図 像シャープネス標準物質プロトタイプ模式図 Joy のデータベースによれば Si および W に対する二次電子収率は図 に示すような一次電子エネルギー依存性を示す データはばらつきが大きいが 概ね 1keV 以上の一次電子エネルギーではタングステンの二次電子収率はシリコンのそれにくらべて大きく タングステンドットは明コントラストで観察されることが期待される また 1 kev 以下の一次電子エネルギーに対しては同等のコントラストあるいは, 暗コントラストを示す可能性が高い 図 Si および W における二次電子収率の一次電子エネルギー依存性 従ってこの標準物質は 1 kev 以上の一次電子エネルギーで活用されることが想定される
40 1 kev 以上の一次電子エネルギーで高コントラストが期待できることに加え タングステンは表面に酸化膜を形成高い耐腐食性をもつことから 長期安定性が要求される標準物質として適した材料と考えられる このタングステンドットアレイを産業技術総合研究所内のスーパークリーンルームにて半導体プロセスを応用して作製した 図 に示す工程により 300 mm Si ウエハ上にドットアレイパターンを作製し ダイシングにより 13 mm x 16 mm の試料片として切り出した 図 像シャープネス標準物質プロトタイプ調製プロセス 図 にプロトタイプの光学顕微鏡像を示す パターンサイズは Si 基板状で 13 mm x 16 mm あり パターン中央部のストライプ状の部分にドットアレイが存在する W ドット径は 60 nm から 125 nm まで 5 nm 刻みで 14 水準が配置されており 図 上で右から左の方向で各ストライプに対応している. 本研究ではこの試料片を分析や共同測定に用いた 図 プロトタイプ試料片光学顕微鏡写真 参考文献
41 [1] ISO/TS 24597:2011 Microbeam analysis Scanning electron microscopy Methods of evaluating image sharpness (2011) [2] DC Joy, Scanning 17 (1995) p. 270 [3] Dione G F, (1973), J. appl. Phys 44, 5361 [4] Czaja W, (1966), J. appl. Phys 37, 4236 [5] Dionne G F (1975), J. appl. Phys 46, 3347 [6] Rothwell T.E., and Russell P.E., (1988), in "Microbeam Analysis -1988", ed D.E.Newbury. (San Francisco Press:San Francisco), 149 [7] Bronstein I M, and Fraiman B S, (1969), in Vtorichnaya Elektronnaya Emissiya, (Nauka: Moskva), p340 [8] Reimer L, Tolkamp C, (1980), Scanning 3, 35. [9] Ahearn A J, (1931), Phys.Rev., 38, 標準物質プロトタイプの品質の評価項目標準物質の開発では作製する標準物質の品質評価が重要なステップとなる 今回作製したプロトタイプについて, そのドットアレイの品質 形状の詳細を明らかにするため予備評価を実施した 標準物質の主たる用途である SEM 像の像シャープネス評価では その SEM 像形成にタングステンドットの形状や Si 基板との界面の状態が大きな影響を与えることから ここではタングステンドットの断面評価を中心とし, 以下の (a)-(d) の 4 種類の評価を実施した (a) SEM による上面からの像観察 (b) FIB-SEM による広範囲断面形状評価 (c) FIB-TEM による高分解能断面形状評価 (d) AFM による表面形状評価以下 手法ごとに目的および評価の詳細を述べる (a) SEM による上面からの像観察目的 :SEM によるタングステンドット自身の像形成を調べる また情報から見たドットの大きさ 真円度 ピッチなどを評価する 二次電子像加速電圧依存性: 像シャープネス評価の基本となるプロトタイプ上面 SE 像を 加速電圧を変化させながら観察し その像の変化を調べ 本プロトタイプが活用できる加速電圧範囲を明らかにする ドット形状の評価: 上方から観察したタングステンドットの大きさや真円度を粒子解析により評価する また 設計値に対する実際のプロトタイプの仕上がりを評価する (b) FIB-SEM による断面評価
42 目的 : タングステンシリンダーの断面観察を実施し W ドットの深さ方向形状やボイドの状態などを明らかにする SEM の広い視野を活用しビア間での構造のばらつきを観察する サンプリング : 切出し位置の上面 SE or SI 像 (H-FOV 2000 nm 程度 ) を記録した後 ビア中心部を通る直線に沿ってビア断面を露出させる ( 図 3.3-1(a)) 歪んだビアと真円に近いビアが同一断面に含まれるのが望ましい 像観察 ( 低倍率 ): 低倍率像 (Vacc 5kV, H-FOV 2000 nm 程度 ) 観察では 視野内にシリンダーが 個観察されるような SE 像を取得し シリンダーの深さや 大きさのばらつきを調べる ( 図 3.3-1(b)) 像観察 ( 高倍率 ): タングステンシリンダーのボイドの形状を調べるため 高倍率像 (Vacc 5kV, H-FOV 4-500nm 程度 ) の観察を行う 図 FIB-SEM によるサンプリング位置 (a) と得ようとする断面観察イメージ (b) (c) FIB-TEM による断面評価目的 :TEM の高分解能を活かし W ドット断面の詳細な観察を実施する.SEM では観察困難である TiN レイヤーや表面酸化層の構造や厚みを評価する サンプリング : タングステンシリンダーの中心部を含む試料切片を切り出す ( 図 3.3-2(a)) 可能であれば切出し位置の上面 SE or SI 像を記録することが望ましい 像観察 : 視野を 300 nm 各程度の倍率とし 一つのシリンダー全体の高倍率像を取得する また Si-TiN-W の界面近傍を FOV 100 nm 程度の高倍率で観察する TiN 層, 酸化膜の厚み計測 : 上で得られた画像を解析し シリンダーの表面近傍中部 底部で各層の厚みを計測し シリンダーの構造を明らかにする ( 図 (b))
43 図 FIB-TEM によるサンプリング位置 (a) と 得ようとする断面観察イメージおよび各層の厚み計測位置 (b) (d) AFM による表面形状評価目的 : 電子顕微鏡では観察困難である試料表面構造評価を行う CMP 後における W ドット表面 基板表面の表面荒れを評価する 観察部位と像観察 : ドットアレイ表面の 1µm 角の領域において形状像を観察する 表面荒さ計測 : ビア部 基板部が認識できれば それぞれについての面粗さ (Sa, Sz, Sq 必須 ) を求める 両者が識別できない場合には全観察面に対する面粗さを計測する ラインプロファイル :SEM/TEM による断面観察と比較するため ドット中心に沿って 二つの方向からラインプロファイルを求める ( 図 3.3-3) 図 AFM による観察視野例およびラインプロファイル抽出位置 上に挙げた予備評価の結果を以下 3.4 節で述べる
44 3.4 標準物質プロトタイプの品質の評価結果 SEM による上面からの像観察図 に加速電圧を変化させながら撮影したプロトタイプの SEM 像を示す 二次電子検出器は 1 kv(retarding) 条件のみ TTL 検出器を使用し それ以外の条件では E-T 型二次電子検出器を用いた 図に示すように タングステンドットが格子状に配列しており 設計通りにアレイが形成されていることが分かる ここでは 60, 80, 100 nm のドット径についてのみ SE 像を示すが 他のドット径についても同様に格子が形成されていることを確認した また 加速電圧を 15 kv から 1 kv まで下げていくとドットの輪郭がぼやけていく様子が観察された この像の変化から 本プロトタイプは平面分解能このプロトタイプは ( 少なくともこの加速電圧範囲では ) 評価すべき像シャープネスに対して 微細な構造を持っていることが分かる 図 プロトタイプにおける SE 像の加速電圧依存性
45 一方 タングステンドットは加速電圧 15 kv から 1 kv の範囲ではドット径に関係なくシリコ ン基板に対して明コントラストを示し ドットとして認識可能である 即ち これらの条件では 本プロトタイプは像シャープネス評価に利用可能であることが示唆される 次に 図 に示した二次電子像を画像解析することにより ドットの形状を評価した 図 に 100 nm, 80 nm, 60 nm のドットについての真円度分布を示す 真円度は, 真円度 =4π ( 面積 )/( 円周 ) 2 で定義され この値が 1 で真円 0 に近づくほど形状が細長くなることを示す指標である 本プロトタイプでは 100, 80, 60 nm ドット共に 真円は約 0.9 にピーク持った分布をしている 100, 80 nm のドットでは真円度分布の下限は 0.85 であるのに対して 60 nm ドットでは 0.8 まで裾を引いた分布となっており 先の二者に比べると 60 nm ドットの形状は円から外れた歪なものとなっていることが分かった 図 プロトタイプ試料各直径水準での真円度
46 この様子はタングステンドットの最大フェレ径を最小フェレ径に対してプロットした図 からも見てとることができる 真円であれば最大フェレ径と最小フェレ径が一致するが 本プロトタイプでは そのプロットは y = x の直線には乗らず 小粒径側で y = x からの乖離が大きい 特に 60 nm ドットではその粒径分布が突出して広く 設計からのズレが大きいことが分かった 図 各直径水準での最小フェレ径に対する最大フ ェレ径のプロット タングステンドット径の設計値と実測値の関係を図 に示した 上向きの三角は最大フェレ径の平均値 下向きの三角は最小フェレ径の平均値を示す エラーバーの長さは ±1σである この図からわかるように 設計値で 60 nm より大きい水準のドットでは その設計値は平均最大フェレ径と平均最小フェレ径の間に収まっていることが分かる これに対して設計値 60 nm のドットではその平均最大フェレ径は 50 nm 平均最大フェレ径は 43 nm と大きな乖離がある これは 今回利用した半導体プロセス技術の限界であると考えられ 現時点は設計値 60 nm を目指すのは避けるべきであるとの知見が得られた 図 各直径水準での設計値とプロトタイプ上の実測値の関係
47 今回のドットアレイ作製においては 露光時の近接効果の影響によるドットの形状の異方性が 懸念されたことから 各粒径水準で最大フェレ径を与える角度分布をポーラープロットし 評価 を行った 図 近接効果の大きな 影響があるとすれ ば 最近接ドットが 存在する 90º方向 あるいは第二近接の 45º, 135º に特徴を持 ったパターンが多く のドット径について のポーラープロット に現れることが予想 されたが 図 ではそのような傾向 持ったパターンは観 察されなかった 従 って 本プロトタイ プでは 標準物質と して問題となるよう な近接効果の影響は ないものと判断し た ただし 最大フ ェレ径を与える方向 が小粒径では底角度 であるのに対して 粒径が大きくなるに 従って高角度にシフ トしている点は留意 すべきである 現段 階ではこのシフトの 意味が掴みきれてい ないが 今後議論が 必要になる可能性が ある 図 各直径水準での最大フェレ径を与える角度分布
48 3.4.2 FIB-SEM 測定今回作製された Si(100) 基板上 W ドットアレイが SEM 像シャープネス ( 分解能 ) 評価の標準物質として妥当か否かの確認のため W ドット径が 100nm と 60nm のアレイについて W ドット表面形状評価のための表面 SEM 像観察 W ドットビアの深さ方向形状 ( 断面形状 ) W ボイド ビア間の構造のばらつき評価のために FIB-SEM 像 ( 断面 SEM 像 ) 観察を行った 表面 SEM 像観察 100nm アレイの表面 SEM 像を図 から図 に 60nm アレイの表面 SEM 像を図 から図 に示した 100nm と 60nm を比較すると 100nm アレイのドット ( 表面形状 ) は円形に近い物が多く 比較的揃っているのに対して 60nm は歪な形状が多く観察された 何方の大きさのドットも中心部にボイドと思われる暗いコントラストが散見されたが ( 図 矢印 図 矢印 ) 60nm は頻度が高かった 図 nmW ドットアレイ低倍 SEM 像 ( 左 ) 図 nmW ドットアレイ高倍 SEM 像 ( 右 ) 図 nmW ドットアレイ低倍 SEM 像
49 図 nmW ドットアレイ表面領域 A 高倍 SEM 像 ( 左 ) 図 nmW ドットアレイ表面領域 B 高倍 SEM 像 ( 右 ) Si 基板表面 TiN 層 図 nmW ドットアレイ表面領域 C 高倍 SEM 像 ( 左 ) 図 nmW ドットアレイ高分解能 SEM 像 ( 右 ) W ドット外周部の TiN 層と Si 基板界面に暗いコントラストの薄い層が観察され ( 矢印 ) 非晶質 Si 層と推測されたが SEM 像シャープネス評価への影響は小さいと思われた ( 図 ) 断面 SEM 像観察 TiN 層 FIB 加工によりビアのほぼ中心部の断面を露出させ 断面 SEM 像観察を行った 100nm W ドットアレイの結果を図 から図 に 60nmW ドットアレイの結果を図 から図 に示した 100nm アレイと 60nm アレイ どちらも Si 表面に対して W ドットの表面は低くなっていた ( 図 図 ) 100nm アレイと 60nm アレイを比較すると 100nm アレイのビア深さは 95nm 程度でほぼ均一であり ( 図 ) ビア側壁の垂直性も良好であったのに対して( 図 ) 60nm アレイでは 27nm~75nm の範囲で周期的に揺らいでいる様に観察された ( 図 ) 表面 SEM 像と断面 SEM 像を同一のビアについて行った結果 ( 図 から図 ) 表面の W ドットが小さく観察されるビアの深さは浅いことが確認された
50 図 nmW ドットアレイ断面低倍 SEM 像 図 nmW ドットアレイ断面低倍 SEM 像 図 nmW ドットアレイ断面領域 D 高倍 SEM 像
51 図 nmW ドットアレイ断面領域 E 高倍 SEM 像 図 nmW ドットアレイ表面低倍 SEM 像 図 nmW ドットアレイ断面低倍 SEM 像
52 図 nmW ドットアレイ断面領域 F 高倍 SEM 像 図 nmW ドットアレイ断面領域 G 高倍 SEM 像 図 nmW ドットアレイ断面領域 H 高倍 SEM 像以上の試作 W ドットアレイ 60nm 径と 100nm 径について行った 表面 SEM 像及び断面 SEM 像観察の範囲においては 100nm 径の W ドットアレイパターンが SEM 像シャープネス ( 分解能 ) 評価の標準物質として適していると言える
53 3.4.3 FIB-TEM 測定目的 FIB を用いてビア断面試料を作製し STEM にて TiN 層や表面酸化層の構造および厚みを評価する 分析条件断面 STEM 観察を以下の条件で行った < 観察試料 > : 60nm(1:1) 100nm(1:1) STEM 像観察装置 : 日本電子株式会社 JEM-ARM200F 加速電圧 : 200kV 観察倍率 : 50,000 倍 200,000 倍 1,500,000 倍観察モード : HAADF-STEM 観察および分析結果 (a)stem 観察結果図 にビア断面試料の低倍率 STEM 観察結果を示す 60nm(1:1) でビアの深さにばらつきが認められた 一方 100nm(1:1) ではビアの深さは均一であった 図 に中倍率 STEM 観察結果を示す 60nm(1:1) では表面が平坦であるのに対して 100nm(1:1) では表面に凹凸形状が認められた ビア上で窪み 結晶 Si 上で盛り上がった形状となっている 図 に高倍率 STEM 観察結果および各層厚み評価結果を示す 観察結果からビア側壁部および底部に TiN 層が認められた TiN 層に途切れ等は認められず 顕著な厚みのばらつきも認められなかった TiN 層の厚みは概ね 4~4 5nm 程度であることがわかった しかし W/TiN 界面は平坦ではないため厚み測定する場所によりばらつきがあると思われる また 結晶 Si およびビア表面には酸化層が認められており Si 酸化層の厚みは 1 8~2nm であることがわかった TiN/ 結晶 Si 界面に暗い層が認められているが 図 に示す EDX マッピング結果において この暗い層から酸素濃化を示唆する結果は得られていない 図 に示す EELS 分析結果から 暗い層に該当する point2 および 3 は Si 酸化層 (point1) 結晶 Si(point4) と異なる Si-L 吸収端形状が得られており 非晶質 Si である可能性が高い
54 60nm(1:1) 100nm(1:1) 図 ビア断面試料の低倍率 STEM 像
55 60nm(1:1) 100nm(1:1) 図 ビア断面試料の中倍率 STEM 像
56 60nm(1:1) 100nm(1:1) 図 ビア断面試料の高倍率 STEM 像
57 図 ビア断面試料の EDX マッピング結果
58 図 ビア断面試料の EELS 分析位置および結果
59 3.4.4 AFM 測定目的電子顕微鏡では観察困難な試料表面構造評価を原子間力顕微鏡 (AFM) により行う CMP 後におけるビア表面 基板表面の表面荒れを評価する 試料以下に示すWドットアレイを対象とした 60nm dot (1:1) 100nm dot (1:1) 測定条件本測定は以下に示す条件により実施した 装置型式 : NanoscopeⅢa 測定モード : タッピング AFM 測定面積 : 1μm 1μm (512 画素 512 画素 ) スキャンレート: 0.5 Hz 歪補正 : Plane Fit XY (order 3) カットオフ : OFF 結果 60nm dot (1:1) 測定結果形状像を図 示す ドット形状はやや歪んだ円形であり 中央が僅かに凹んでいるドットが多く認められた 全面での面粗さ計測結果を図 に ドット部分を除外 ( 枠内 ) した基板部での面粗さ計測結果を図 に示す また Sa Sz Sq 値を表 3-1 にまとめて示すが これらは それぞれ図中の Ra Rmax Rms に相当する X 方向でのラインプロファイルを図 に Y 方向でのラインプロファイルを図 に示す ドット部分は形状像では判別できたが ラインプロファイルでは不明瞭であった 100nm dot (1:1) 測定結果形状像を図 に示す ドット形状はほぼ円形であったが いずれも基板よりも凹んでいた 全面での面粗さ計測結果を図 に ドット間の基板部 ( 選択した 枠内 ) での面粗さ計測結果を図 から図 に示す さらに ドット部分を除外 ( 枠内 ) した基板部での面粗さ計測結果を図 に示し Sa Sz Sq 値 ( 図中の Ra Rmax Rms) を表 3-1 にまとめて示す X 方向でのラインプロファイルを図 に Y 方向でのラインプロファイルを図 に示す ドット部分はいずれもほぼ同じ深さの凹形状であった
60 表 3-1 面粗さ計測結果 ( 単位 :nm) 60nm dot (1:1) 100nm dot (1:1) 全面基板部全面 基板部箇所 1 基板部箇所 2 基板部 Sa(Ra) Sz(Rmax) Sq(Rms) 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :60nm(1:1) 形状像 )
61 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :60nm(1:1) 面粗さ ( 全面 )) 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :60nm(1:1) 面粗さ ( 基板部 ))
62 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :60nm(1:1) Line profile X 方向 ) 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :60nm(1:1) Line profile Y 方向 )
63 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :100nm(1:1) 形状像 ) 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :100nm(1:1) 面粗さ ( 全面 ))
64 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :100nm(1:1) 面粗さ ( 基板部, 箇所 1)) 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :100nm(1:1) 面粗さ ( 基板部, 箇所 2))
65 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :100nm(1:1) 面粗さ ( 基板部 )) 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :100nm(1:1) Line profile X 方向 )
66 図 AFM 測定結果 ( 観察部位 :100nm(1:1) Line profile Y 方向 )
67 3.5 標準物質プロトタイプの SEM 像を用いたシャープネス評価作製したプロトタイプを用いた像シャープネス評価を試みる 目的は測定条件の違いによるシャープネス値の変化を調べること プロトタイプを用いた一連の像シャープネス評価手順の確立を目指した 本節では DR 法による像シャープネス評価手順の概要について述べる DR 法による像シャープネス評価手順 2.3 節でも述べた通り DR 法による像シャープネス評価法は ISO/TC202 SC4 で議論が進められており 2011 年出版の技術仕様書 [1] としてまとめられている 本研究ではこの技術仕様書に従い DR 法による像シャープネス評価を行った なお 現在この技術仕様書を叩き台として改良点を盛り込んだ DR 法の IS 化が議論されており 今回実施した処理手順は近い将来変更される可能性があることを付記しておく 技術仕様書における像シャープネス評価の処理手順の概要を図 に示した 読み込まれた SEM 像について 画像のノイズレベルが評価に耐えうるかをチェックするため まずコントラスト / ノイズ比 (CNR) を求める 技術仕様書では CNR は 10 以上であることが求められる CNR が十分大きい画像については 図 破線内の DR 法フローに従いエッジのラインプロファイル抽出が行ない カーブフィッティングにより像シャープネスを計算する 本研究ではこれら一連の処理を行うためのプログラムを開発した図 DR 法による像シャープネス評価フローチャート
68 図 DR 法による像シャープネス評価ソフトウェアによる処理画面 図 にプログラムの画面を示す ウィンドウ上部に計算された CNR 値 像シャープネス値 (RDR) が表示される フローの各過程で作成されたバイナリマスクやエッジ位置マップは画面右側に表示される 最終的に評価に用いたラインプロファイル位置は 黄線として元画像に重ね合わされ画面左側に表示されている 抽出された個々のラインプロファイルやフィッティングパラメータはテキストデータとして出力することが可能である プラットホームは Igor Pro 形式, Labview 形式の 2 種類を用意した 像シャープネス評価の共通測定これまで 3.2, 3.3 節で述べたように, プロトタイプ自身の評価を進めてきた 今後は様々な装置条件 観察条件でプロトタイプを撮影することにより 各種条件下で得られる像シャープネス値変化調査 データ処理ルーチンの確立や運用上の問題点の洗い出し進めていく必要がある ここではこれらを主な目的とし 参画機関を募りプロトタイプを用いた像シャープネス評価の運用を想定した共通測定を実施した 本研究では 4 機関の参加があり, 以降これらをそれぞれ機関 A B C D と呼ぶ 参加機関にはそれぞれ 1 点ずつプロトタイプを配布し 以下に示す指示に従って SEM 像を観察実施した 撮影された SEM 像は幹事機関である産総研が取りまとめ 像シ
69 ャープネス評価 解析を行った 観察手順 指定観察条件 SEM では像形成に寄与する多くにパラメータが存在するため データの比較を行うには必要最低限のパラメータを共通に指定する必要がある ここでは表 3-2 に示すように加速電圧を 15 kv と 5 kv で指定した 更に 実際の運用を想定し 高分解能条件と分析 ( 大電流 ) 条件でそれぞれ像観察を実施した 照射電流値や作動距離 (WD) は特に指定しないが 各機関でルーチン的に使用している条件などで行うこととした 観察倍率はすべての条件に共通で 10 万倍である 各機関はこれら計 4 条件で SEM 観察を行い 得られた SEM 像と報告事項を提出することとした 表 3-2 共通測定における指定条件 条件 想定モード Vacc (kv) 観察倍率 1 高分解能観察 15 x100k 2 高分解能観察 5 x100k 3 分析 15 x100k 4 分析 5 x100k 観察試料試料は像シャープネス評価用標準物質プロトタイプの 100 nm ドットアレイとした SEM 画像に対する要請 SEM では画像サイズやの輝度など任意に調節可能であるが データ処理のため以下の条件を目安に調整することとした いわゆる二次電子像であること ジャストフォーカスを狙って撮影すること 画像が白飛び 黒つぶれしない範囲で, ドットと背景に十分なコントラストが得られていること 画像解像度: 画像サイズが選択できる場合には 1280px x 960px に最も近い画像サイズとすること フォーマット:TIFF 形式 報告事項以下の情報と SEM 像をあわせて報告することとした 測定実施日 各条件での SEM 画像 画像解像度( ピクセル数 )
70 使用装置名 作動距離 (working distance) 使用検出器 照射電流とその確認法( ファラデーカップ, 装置仕様値など ) 撮像時間(sec / image) 及びスキャン方式 :single, multiple, noise reduction の有無など 共通測定結果 各機関の SEM 像および観察条件 各機関から提出された SEM 像を図 に 報告された観察条件を表 3-3 に示す 表 3-3 各参加機関の観察条件 機関条件 Vacc(kV) 照射電 流 (pa) 電流測定法 Image size (pixels) WD (mm) SEM 装置 検出器 Duration (s/image) A FC 1280x SU-70 SE(U) FC 1280x SU-70 SE(U) FC 1280x SU-70 SE(L) FC 1280x SU-70 SE(L) 80 B FC 1024x768 1 Ultra-55 Inlens-SE FC 1024x768 1 Ultra-55 Inlens-SE FC 1024x768 8 Ultra-55 Inlens-SE FC 1024x768 8 Ultra-55 Inlens-SE 26 C FC 1024x768 3 Ultra FC 1024x768 3 Ultra FC 1024x768 6 Ultra FC 1024x768 6 Ultra-55 Outlens- SE Outlens- SE Outlens- SE Outlens- SE D FC 1280x SU-8020 SE(U)? FC 1280x SU-8020 SE(U)? FC 1280x SU-8020 SE(U)? FC 1280x SU-8020 SE(U)?
71 図 に示した画像は提出された画像の一部をそれぞれ 512 pixel x 512 pixel に切り出したものである 使用された装置は日立ハイテク社製が 2 機関 (A: SU-70, D: SU-8020) であり 機関 B C はともにカールツァイス社の Ultra-55 であった 各装置における電子銃は機関 A-C はショットキー型 FE 機関 D は冷陰極型 FE 電子銃であった 二次電子検出器は機関 A では高分解能条件と分析条件で二種類を使用 機関 B は 4 条件を通して in-lens 検出を使用 機関 C は機関 B と同じ装置ではあるが out-lens 検出機を使用するといった特徴が見られた 機関 D は使用検出器についての報告がなかったが SEM 鏡筒内に設置された in-lens 型の検出機を用いたと思われる そのほか任意とした照射電流や WD 撮像時間は機関により大きなばらつきがあった 図 各機関で測定された 4 条件の SE 像
72 画像の評価 ピクセルサイズ決定報告された画像はピクセルサイズ (1 画素あたりの長さ ) が異なるため 像シャープネスを長さの次元で比較するためには, ピクセルサイズが既知である必要がある 本研究では図 に示すフローに沿って 提出された SEM 像のピクセルサイズを算出した 図 ピクセルサイズ校正フロー 概要は以下のとおりである (1) 粒子解析によりドットを抽出し それぞれの重心位置を求める (2) 隣接する 2 ドットの距離をそれぞれ求め 平均ピッチ (pixels) を算出する (3) 倍率校正がなされた SEM により 100 nm ドットアレイを観察し 校正済み平均ピッチ (nm) を求める (4) 校正済み平均ピッチ (nm) より 提出された画像のピクセルサイズ (nm/pixel) を決定する
73 画像輝度分布 SEM 像のコントラスト調節については定性的ではあるが 画像が白飛び 黒つぶれしない範囲で ドットと背景に十分なコントラストが得られていること という要請をした 図 に見られるように得られた SEM 像の輝度分布は機関ごとに大きな開きがあることが分かる 図 各機関で測定された 4 条件の SE 像 これを定量的に取り扱うため 図 に各画像の輝度分布のヒストグラムを示す 横軸は 256 のグレイスケール値であり 縦軸はその頻度を示す 各ヒストグラムでは底輝度側でシリコン基板の大きなピークが 高輝度側にタングステンドットの小さなピークが存在する この二つのピーク位置もそれぞれ表 3-5 の BG-Peak GS value, W dot-peak GS value 列にまとめた 更
74 に タングステンドットとシリコン基板の輝度の差を GS(W)- GS(BG) 列に示す ドット 基板間 の輝度差は機関 A B D C の順で小さくなることが分かる 図 各機関参加機関の SE 像のグレイスケール値分布 CNR で述べたプログラムにより求めた CNR 値も表 3-5 各機関から報告された画像の評価にまとめた ここで CNR 値は 512 pixel x 512 pixel に切り出した SEM 像より計算したものである CNR 値の大きさはすべての画像で技術仕様書が求める 10 をこえており その大小関係には降順で機関 A B C D の傾向があった
75 像シャープネス評価像シャープネス評価のために抽出されたエッジプロファイル位置を観察条件 1 とした処理の例を図 に示す 像中の細線は像シャープネス評価に利用されたラインプロファイル位置を示している 図 像シャープネス評価ソフトウェアによる処理の例 また 各画像で抽出されたラインプロファイル数と最終的に求められた像シャープネス値 (RDR) を表 3-4 にまとめた まず 注目すべきは機関 C では観察条件 3 4 において エッジプロファイルが得られず像シャープネス値が決定できなかった これについては後に 節で議論する
76 表 3-4 各機関から報告された画像の像シャープネス値評価 機関 条件 No. of line profiles RDR (nm) A B C na 4 0 na D 高分解能条件下の結果高分解能条件での像シャープネス値の加速電圧に対する変化を図 に示す 5 kv 15 kv ともに値が収束することなく 機関ごとに値にバラつき認められた もしプロトタイプの構造が 電子プローブの広がりに対して十分大きければ像シャープネス値はプロトタイプの構造を反映した値に収束すると考えられる 今回は像シャープネス値に機関ごと すなわち測定環境を反映した分布が見られた 本プロトタイプは今回の条件に限っては 観察条件による像シャープネス値の変動検出に利用できることが示唆された 図 では加速電圧が 15 kv から 5 kv と変化すると機関 A C では像シャープネス値が小さく 機関 B D で像シャープネス値が大きくなるという傾向が見られた 図 条件 1,2 の SE 像から求めた像シャープネス値
77 像シャープネスが変化する要因として電子光学系集光性能の変化や個体内での電子線散乱領域の変化が挙げられる 例えば 機関 A では WD が 5 mm@15 kv から 2 mm@ 5kV と変化しており 電子線散乱領域の縮小加えて WD の変化による集光特性の変化が像シャープネス現象の要因と思われる 機関 C では WD は 3 mm で固定である 機関 C が像観察に使用した SEM 装置における Outlens-SE 検出器は いわゆる二次電子の中でもより高エネルギーの二次電子や低エネルギー反射電子の一部を選択的に捕集するという特性がある [2] このような電子は固体内で散乱を経て 一次電子入射点から離れた位置から放出される ( その範囲は電子飛程の 1/3 程度と言われている ) ため [3] 散乱領域の変化が像シャープネスにもたらす影響は少なくない 以上から機関 C では散乱領域の縮小が像シャープネス値の減少に寄与しているものと考えられる 機関 B D ではそれぞれ WD は固定であり 検出器もいわゆる二次電子を効率良く捕集するタイプのものである これらの条件では加速電圧を下げたことによる集光特性の悪化により像シャープネス値が増加したものと考えられる 分析条件下の結果分析条件で RDR が算出できたのは機関 A B D の 3 機関である 高分解能条件同様に 像シャープネス値の変化を図 に示す シャープネス値は 3 機関で大まかに分かれ 機関 A B では加速電圧減少とともに像シャープネス増加 機関 D では減少であった このプロットの機関間差は WD と対応するものと思われる 即ち WD は機関 D で 3.5 mm 機関で 8mm 機関 A で 15mm であり この順番で像シャープネスが増加している 図 条件 3,4 の SE 像から求めた像シャープネス値
78 以上 本プロトタイプによる共通測定では 高分解能 分析条件とも観察条件によりことなる像シャープネス値が得られた その値の変化は観察条件の変化と結びつけられることから 本プロトタイプを試料として用いることで SEM 像形成を反映した像シャープネスの変化を計測できる可能性が示された 最後に今回の共同測定で得られたすべてのデータを図 にまとめて示した 図中の実線が高分解能条件 破線が分析条件を示している 図 本共通測定で求めた像シャープネス値 像シャープネス評価による各パラメータ間の相関これまでの述べた通り 像シャープネスは観察条件を反映していると考えれ 関連パラメータ間での相関に興味がもたれる 関連パラメータ間の分散図を図 に示す 図 (a) (b) に示すように像シャープネス値は WD, CNR に対して正の相関示す WD は集光性能に大きく寄与するパラメータであるので この傾向は妥当なものであると考えられる CNR は表 3-5 に示す通り 分解能で不利な大電流条件で大きくなる傾向がある 従って この相関も妥当なものと考えられる 図 (c)-(e) にその他のパラメータ間の相関を示すが 強い相関は見られなかった
79 図 SE 像形成関連パラメータ間の相関
80 表 3-5 各機関から報告された画像の評価 機 関 条 件 BG-Peak GS value W dot-peak GS value GS(W) -GS(BG) Reported Pixel size (nm) Calibrated pixel size (nm) CNR A B na na na na C D SE 像輝度とラインプロファイル抽出条件今回の共同測定では機関 C の条件 3 4 の画像ではラインプロファイルが抽出できず 像シャープネス値が評価できなかった 本節ではこの現象について考察する 技術仕様書による手順では ラインプロファイルを抽出する際に すべてのラインプロファイルを採用するのではなく フィルタを設け 評価に適したラインプロファイルを選択している 以下 図 に示すラインプロファイルの模式図を用いてフィルタの機能を説明する 図 ラインプロファイルと関係する値の模式図いま,j 番目のプロファイルをPP jj (λλ) とする このプロファイルに対して 次の値を定義する
81 mm 0 = median PP jj (λλ = 0) over all jj = 1,, N (1) mm rr = median PP jj (λλ = +10) over all jj = 1,, NN (2) mm ll = median P j (λ = 10) over all j = 1,, N (3) d y = (m r + m l )/2 (4) m d = m 0 d y /4 (5) m b = m 0 + d y /4 (6) このとき 以下の条件を見たすプロファイルは排除される PP jj (λλ) > mm dd for λλ = 10, 9.5,, 7 (7) P j (λ)<m d for λ = 7, 7.5,, 10 (8) ここで 今回の機関 C の事例を考察するため 誤差関数のような理想的なプロファイルの場合を考える 理想的なプロファイルではdd yy = mm 0 であるから mm dd = 3/4mm 0 (9) m b = 5/4m 0 (10) プロファイルが排除されないためには少なくとも mm rr > mm bb (11) m l < m d (12) 以上から mm rr mm ll > mm bb mm bb = 1/2mm 0 (13) が必要となる 今回の共通測定で得られた値を用いて 表 3-5 における BG-Peak GS value を mm ll W dot-peak GS value をmm rr と近似すると 表 3-6 に示す関係が得られる 観察条件 1 2 では式 (13) の関係を満たしているのに対して 観察条件 3 4 では式 (13) を満たしていない この関係を考慮すると機関 C の観察条件 3 4 で像シャープネスが評価できなかった原因がうまく説明できる この条件理想的なプロファイルに対するものであるが 機関 C の観察条件 3 4 は CNR も大きいことから 第一近似としては議論に耐えうると考える 本節で導いた式 (13) の関係は技術仕様書には明示的に記載されてはいないが 得られた SEM 像が評価できるかを判断する上では簡便かつ有効な手法である こういった情報は本事業の活動を通じて ISO での議論にも積極的にフィードバックさせていくことが重要であると思われる 表 3-6 機関 C による画像の輝度とフィルタ閾値の関係 観察条件 ml (~BG) mr (~W dot) mr -ml /2m
82 参考文献 [1] ISO/TS 24597:2011 Microbeam analysis Scanning electron microscopy Methods of evaluating image sharpness (2011) [2] K Kumagai and T Sekiguchi, Ultramicroscopy 109 (2009) p [3] DC Joy and CS Joy, Micron 27 (1996) p まとめ プロトタイプタイプのメタルドットの形状評価 3.4 節から述べてきたように 本研究では標準物質プロトタイプタイプの評価を上方観察 SEM 像 FIB-SEM/TEM による断面観察 AFM による表面形状観察といった多様な手法を活用し実施した 評価のまとめとして 今回作成したプロトタイプタイプの設計と実際の形状の比較を図 に示す 今回評価を進めてきた 60nm のドットアレイと 100 nm のドットアレイはそれぞれ 図 3.6-1(a), (b) のような構造を目指してデザインされていた これに対して, 仕上がったプロトタイプはプロセス技術の制限などで 図 3.6-1(c), (d) のような構造となっていることが判明した 図 像シャープネス評価用標準物質プロトタイプのドット断面方向から見た模式図 (a) 60 nm ドット,(b) 100 nm ドットと実際の形状 (c) 60 nm ドット,(d)100 nm ドット 分析の詳細については前節までを参照されたい 本研究で得られた知見は今後プロセスにフィ
83 ードバックし よりデザインに則した構造の標準物質開発を進めていく また こういった分析は本プロトタイプが評価し得る像シャープネスの限界を議論する上でも重要な知見となる プロトタイプの SEM 像を用いた像シャープネス評価本事業では自身で開発 評価を行った標準物質プロトタイプを用いた像シャープネス評価共通測定を実施した こういった取り組みは他に例がほとんどなく 世界に先駆けた活動と言えるものである この共通測定では一連の作業を通じて多くの収穫があった 本プロトタイプの SEM 像から求めた像シャープネスが観察条件に応じて変化するという基本的ではあるが 最も重要な点が確認できたことが一番の成果である また 像シャープネス解析プログラムの開発 倍率校正ルーチンの確率といったインフラの整備が進んだ さらに,SEM 画像の輝度についての議論から 撮影するべき SEM 像についての指針が得られた 以上 新規開発したプロトタイプ評価 プロトタイプを用いた像シャープネス計測の試みを通じて様々な知見が得られた これらを踏まえ 2.2 節で述べた来年度以降の活動を進めていく予定である 更に 本事業での像シャープネス評価実施例に基づく知見は像シャープネス評価の標準化を審議している ISO/TC202 SC4 へもフィードバックし 標準化活動支援につなげていきたい
84 第 4 章 TOF-SIMS 強度軸校正用標準試料の 検討と製作
85 第 4 章 TOF-SIMS 強度軸校正用標準試料の検討と製作 4.1 開発の目的 TOF-SIMS 分析における標準化の課題のうち 本事業では強度軸についての校正方法の検討を行うこととする これまでに TOF-SIMS のスペクトルにおいての横軸の校正方法すなわち質量軸の校正方法は表面分析研究会の SIMS-WG をはじめ精力的な活動が成されている スペクトルの縦軸の校正方法の開発すなわち強度軸の校正については強度の変調要因が 装置側にあるのか 試料の不安定性に起因するのか など未解明の要素が多く 高精度の測定や定量分析化を阻んでいる TOF-SIMS 分析の強度軸の校正を検討するため 本年度の目標として 有機材料系を用いた TOF-SIMS 標準試料の課題の整理と 標準試料の仕様の検討と 標準試料の製作とを設定した 4.2 標準試料の仕様に関する留意点有機材料を用いた標準試料の構造や材料に関して検討を行った 有機材料の産業利用の例として 有機エレクトロルミネッセンス ( 有機 EL) による有機発光ダイオードや発光ポリマーが挙げられる これらの発光素子は発光層が有機化合物から構成されている 有機 EL には数多くの利点があり 面発光 にできて 形状に制約がない 透明 プラスチックフィルムを基板にできて フレキシブル な製品にできるなど ディスプレイのほか次世代照明技術として大いに期待され 市場規模も大きく拡大することが期待されている 一方で有機材料の分析は SIMS 分析の立場からみると考慮すべき要素が多い その一つは SIMS 信号強度の経時変化である 有機材料の中には 大気暴露によって酸化や吸着等の影響を受けて表面状態が変わるものがある 暴露時間と共に状態変化が進行するため 表面に敏感な TOF- SIMS 分析では信号強度の漸次減少となって現れる 安定性が必要な標準物質としては重要な点である 英国 NPL が供給している有機多層膜の標準物質は 多層構造にしてマーカー層を試料内部に閉じ込め多構造となっている ( 図 4.2-1) そのため 表層を除けば 材料を大気から遮蔽し保護する効果がある物と思われる 安定性が求められる標準物質を作製するための一つの方法である 図 多層膜標準物質の構造例 ( 深さ方向にマーカー層が挿入されている 深さ分析の校正用として用いられる )
86 有機材料は半導体素子用材料に比べて複雑な分子構造を持ち そのため分子量が大きく 種類が多い 有機 EL 材料は 発光層では蛍光材料や燐光材料 成膜法分類では蒸着法が使える低分子材料や印刷技術が使える高分子材料 などに分類される 材料例では 低分子系の緑色発光材料のトリス (8-キノリノラト) アルミニウム (Alq3) 正孔輸送用材料のα-NPD 正孔注入材料の 2-TNATA などがある ( 図 4.2-2) また有機多層薄膜標準物質で使用されている Irganox1010 及び 3114( 図 4.2-3) はいずれも真空蒸着法により成膜することができ膜厚の制御が可能である 図 キノリノールアルミ錯体の分子構造 ( 左 ) およびジフェニルナフチルジアミンの分子構造 ( 中 ) アミノ } トリフェニルアミンの分子構造 ( 右 ) 図 Irganox 1010 の分子構造 ( 左 ) および Irganox 3114 の分子構造 ( 右 ) TOF-SIMS 用標準試料の構造として 二種類の純物質が表面に露出したものを検討した これは二種類の材料が混在した表面からのそれぞれのイオン信号強度はマトリクス効果により組成比を反映した信号強度とならないことを避け マトリクス効果がない表面をもつ試料にするためである まず検討したのは 多層膜を積層した後に垂直断面を露出させ その上に保護膜を形成した表面を出す製法である ( 図 4.2-4) まず多層膜を形成し つぎに断面試料を作製して表面に各層を露出させてこの面を使用する 表面には保護膜を形成し大気暴露による表面状態の変化を抑制する 多層膜の各層の厚さをイオンビームの走査範囲よりも十分に小さくすることで 二つの純物質それぞれの表面から飛び出すイオンの信号強度が各層の厚さの比を反映したイオン強度となる TOF-SIMS スペクトルを得ることができる
87 マトリクス効果は 多層膜の境界面には残存するが 狭い領域に限定されることが期待できる 試料の表面は保護膜で覆って試料保管時における大気からの酸化 吸水 汚染を防ぐ狙いがある この構造を検討したところ 多層膜の断面を利用するためには層数が非常に大きい試料をまず作製する必要がありコストがかさむこと また断面試料を作製する際にダメージのない試料形成方法を探索する必要があること などの課題が挙げられた 図 有機多層薄膜を利用した To-SIMS 標準試料の構造 次に検討されたのが有機材料をドット状に配置したものである ( 図 4.2-5) 信号強度比は A ドットと B ドットの個数密度比で制御できるので ドットの密度を制御することにより 有機物 A と有機物 B の 2 種類の有機物の二次イオン強度の線形性を調べることができる この構造モデルをもとに検討した結果については次節に詳述する なお 本モデルと同様に 二種類の有機材料を混合するのではなく 表面上に並べることを試行した例がある 藤井らは有機材料で形成したベタ膜上に メッシュマスクを用いてもう一種類の有機材料を蒸着し 市松模様の二種混合試料を作製し ビスマスクラスター SIMS 法で二次元イメージングを行っている [1] 面積比はメッシュの線径とピッチで決めることができる 図 基板面上に二種類の有機材料をドット上に形成した TOF-SIMS 標準試料の構造 図 種類の有機薄膜のベタ膜を用いた TOF-SIMS 標準試料の構造
88 装置の分析スポットの数を右側と左側とで変化させることにより イオン強度を制御する方法 ( 図 左図 ) や装置のイオンビームの矩形走査範囲を左側面積と右側面積とで制御することにより イオン強度を制御する方法 ( 図 右図 ) など試料の作製技術に頼らず 装置が備えるイオンビームの分析位置の制御でイオン強度を制御させる方法も検討されたが ビームのスポットの大きさが一に変わらず均一かどうか ( 図 の左側試料 ) イオンビームの走査矩形範囲の評価方法の課題が加わる( 図 の右側試料 ) の課題があることが挙げられ見送られた 図 にマトリクス効果の他に検証すべき課題を示した そのうちの一つは 分析対象の有機薄膜の膜厚が小さくなると膜の基板の材料の影響がイオン強度に表れるのではないかという懸念である 実際そのような例が経験上観測されるという意見もあり 検証することとなった 検証用試料の仕様については次節で詳述する もう一つの課題は試料の保管方法である 試料を非常に低い温度で保管すれば保管期間が長くなっても室温に戻して分析したときのイオン強度の減衰量が抑えられる事例がある ただ極低温の保管はそのための設備が必要となり制約が大きい まずは常温で保管した場合のイオン強度の経時変化を定量的に調査することが必要である 試料の表面汚染層の形成も課題の一つである 表面汚染層が大気暴露等により形成されると その除去が必要となる しかしながら清浄化処理によって常に一定の表面状態となることが保証できるような手法が課題となる これについては今後も検討を続けることとなった 図 基板上に形成された有機薄膜の TOF-SIMS 分析上の課題 参考文献 [1] 藤井麻樹子 宍戸理恵 鈴木茂 松尾二郎 ビスマスクラスター SIMS 法による有機材料分析に関する研究 応用物理学会 2015 年春季講演会で発表
89 4.3 標準試料の構造検討 標準試料の試作に関する予備的調査有機膜の成膜法任意の有機物を成膜する方法としては ベタ膜にはスピンコート法があり パターニング可能な方法として真空蒸着法 (1) および印刷法 (2) がある 印刷法で 10 μm 以下のパターンを達成する方法としてはインクジェット法とナノインプリント法が考えられる しかし ナノインプリント法では表面の汚染が不可避であり TOF-SIMS はガスクラスターイオン (GICB) を用いて表面をクリーニングしない限り 最表面からののみのデータを取得することになるため適していない また インクジェット法はまだまだ高額であり 現在のところ安価な成膜ができない このため 本研究では ベタ膜の成膜にはスピンコート法を パターンの形成には真空蒸着法を用いて それぞれ成膜することを検討した 参考文献 [1] 八瀬清志, 基礎講座 < 有機分子エレクトロニクスの基礎と応用 > 有機分子デバイスの製膜技術 Ⅰ 真空蒸着法, 応用物理, 第 77 巻, 第 1 号, (2008), P56 [2] 八瀬清志, 基礎講座 < 有機分子エレクトロニクスの基礎と応用 > 有機分子デバイスの製膜技術 Ⅱ 印刷法, 応用物理, 第 77 巻, 第 2, (2008), P173 有機ドット試料の作製法検討 TOF-SIMS におけるマットリックス効果を検討するため まず 有機物 A と有機物 B の 2 種類の有機物の被覆率に対する二次イオン強度の線形性を調べるための試料の作製を検討した 試料の模式図を図 に示す A B A 濃度 100 % 78 % 50 % 13 % 6 % B 濃度 0 % 22 % 50 % 87 % 94 % 図 種類の有機ドット試料の模式図 この試料の作製は 真空蒸着法により行われるが 有機物であること 表面汚染を避ける必要があること の 2 点からフォトレジストのようなプロセスを踏むことはできず メタルマスクを用いたパターニングとなる しかし TOF-SIMS の分析エリアを 100 μm 100 μm とすると ドットの直径は数 ~20 μm となる
90 この大きさを 2 種類のメタルマスクでマスク合わせをするとなると 非常に難しいものとなる このため 図 のように Si 基板上に周期の均一なマスクを用いて有機 A を蒸着し 続いて直交するように周期一定で線幅の異なるマスクを用いて有機物 B を蒸着することによって 有機物 A の面積 + 有機部 B の面積 = 一定 を満たし 有機物 A と有機物 B の被覆率を変化させた試料構造を作製することが可能となる なお マスクの大きさは 60 mm かφ3 インチである 図 に真空蒸着装置とポートの模式図を示す ポートの中で有機物が加熱され ウェハに蒸着される 膜厚は XTAL によりモニタされる (a) メタルマスクのパターン (b) 成膜されるパターン 有機膜 A を成膜するためのパターン 有機膜 A の成膜されたパターン 有機膜 B を成膜するためのパターン 有機膜 A 及び B の成膜される様子 試料断面 有機膜 B 有機膜 A Si 基板 (C) 成膜された有機膜 B/ 有機膜 A/Si 基板の断面構造 図 真空蒸着のメタルマスクパターンと成膜状態
91 ここで ソース (S) ターゲット (T) 間の距離が 280 mm 程度 S はφ1 mm 程度の点 蒸着の有効半径を 30 mm ( 直径 60 mm) とする また マスク高さ ( 厚さ ) に関してハンドリングを考慮して 100 μm とすると 影の距離は 100 μm tanθ = 100 μm (30 / 280) = 10.7 μ m すなわち マスクによる影が約 11 μm 見込む必要がある 試料台 XTAL ~280mm ウエハ 材料 inside ポート ポート 図 真空蒸着装置とポートの模式図 有機ベタ膜の作製法検討 TOF-SIMS では 同じ有機物を測定する場合でも 下地の違いによって 二次イオン強度が異なることが知られている これも広義でのマトリックス効果と言うべきものであるが この原因を 1 導電性の違い 2 一次イオンの後方散乱の効果 3 下地金属の触媒作用などによる増感効果 について検討する 1の導電性の違いについては 下地が同じで膜厚の異なる有機膜の違いを評価するための試料の作製の検討を行う なお 膜厚の違いは厳密には導電性のみに影響するわけではないことを付記しておく 2の一次イオンの後方散乱の効果については 下地の原子番
92 号 ( 質量 ) が大きいほど二次イオン強度が高くなるか否かについて評価するめの試料作製を検討する 例えば 下地として 軽い Si と重い W の違いである 3の下地金属の触媒作用などによる増感効果についてであるが 原子番号と質量が近い元素であっても 触媒作用を持つような金属 (Au, Pt, Ag など ) で二次イオン強度が高くなるか否かについて評価するための試料作製を検討する 例えば 下地として 触媒作用のある Au と原子番号の近い W との違いである 今回 これらの現象を評価するために Si W Au を下地とした PC ( ポリカーボネート ) 膜をそれぞれ 2 条件成膜すする方法を検討した 本年度は この構造での試作を検討することとした 下地金属膜の作製法検討 Si に関しては Si 基板として 平坦かつ清浄な物質を準備できる W 及び Au に関しては Si 基板上にマグネトロンスパッタ法により成膜することによって 平坦な膜を成膜することが可能である 図 にマグネトロンスパッタ法の模式図を示す ( 図の例では Mo と C 多積層膜を成膜している模式図である ) マグネトロンスパッタ法による成膜の平坦性は X 線ミラーとしての W/C 多積層膜 (1) あるいは SIMS の Si 深さ校正用標準物質としての a-si/ BN 膜 (2) として実績がある 膜厚は Au のように島状になり易い物質のことも考慮して 10 nm 以上とし TOF- SIMS による下地の影響を確実にする意味をも考慮して 30 nm とすることとした このようにして 作製される下地は 図 に示す 3 種類とした 図 マグネトロンスパッタ法の模式図 ( 図中では W と C を交互に成膜している図である )
93 W 膜 30 nm 4 インチ Si 基板 4 インチ Si 基板 Au 膜 30 nm 4 インチ Si 基板 下地 Si W Au 図 作製される下地 参考文献 [1] H. Takenaka, T. Kawamura, T. Haga, H. Kinoshita and Y. Ishii, Japanese Journal of Applied Physics, Volume 34, Part 1, Number 9A [2] Y. Homma, H. Takenaka, F. Toujou, A. Takenaka, S. Hayashi and R. Shimizu, Surf. Inter. Anal. 35, 544 (2003) 有機膜の作製法検討有機膜に関しては 比較的安定なポリカーボネート (PC) を候補とした PC ベタ膜の成膜方法に関しては スピンコート法とした 成膜方法の詳細に関しては TOF-SIMS の質量校正法 [1] によると ポリ ( ビスフェノル A カーボネート ) 100 mg を テトラヒドロフラン (THF) 100 ml に溶解した溶液を 1 cm の Si に 0.2 ml 滴下し 4000 rpm 25 秒間回転させることにより 10 nm 厚程度の PC が成膜できるとされている 図 に成膜の模式図を示す 今回 これに準じた方法での成膜を検討することとした 図 PC 膜の成膜方法 (ISO に拠る ) 参考文献 [1] ISO Surface chemical analysis Secondary ion mass spectrometry Calibration of the mass scale for time-of-flight secondary-ion mass spectrometer
94 試作試料の決定 これらの内容を踏まえ 本年度は 有機ベタ膜の作製法検討に示した構造を試作することと した 有機膜付きシリコン基板に関する仕様まずは 有機膜の作製法検討で作製する PC 膜の スピンコートの回転数に対する膜厚を評価するために 以下の基板を準備した 基板 ; 4 インチ Si 基板膜 ; ポリカーボネート膜極薄膜ポリカーボネート膜超薄膜ポリカーボネート膜薄膜計 3 種 有機膜 / 金属膜付きシリコン基板に関する仕様 続いて 有機ベタ膜の作製法検討を満たす試料の試作を以下の仕様で行うこととした 試料 :Si 基板に部分的に Au 或いは W 膜をスパッタ法により成膜し その上からスピンコートによりポリカーボネート (PC) 膜を成膜する (1) 下地金属膜付き Si 基板基板構造 ; 膜なし 4 インチ Si 基板 Au (30 nm) / 4 インチ Si 基板 ( 膜厚の不確かさ ; 不問 ) W (30 nm) / 4 インチ Si 基板 ( 膜厚の不確かさ ; 不問 ) 枚数 ; 各 2 枚 計 6 枚 (2) 上記 2.1 の基板に対して スピンコート法により ポリカーボネート (PC) 膜を成膜する 成膜環境 ; クリーンルーム内 成膜方法 1; 無水テトラヒドロフラン (THF) で溶解した PC をスピンコート法により塗布 膜厚 ; 20 nm ( 膜厚の不確かさ ; 不問 ) 50 nm ( 膜厚の不確かさ ; 不問 ) 枚数 ; 6 枚 PC 膜 (20 nm) / 膜なし 4 インチ Si 基板 1 枚 PC 膜 (20 nm) / Au (30 nm) / 4 インチ Si 基板 1 枚 PC 膜 (20 nm) / W (30 nm) / 4 インチ Si 基板 1 枚 PC 膜 (50 nm) / 膜なし 4 インチ Si 基板 1 枚 PC 膜 (50 nm) / Au (30 nm) / 4 インチ Si 基板 1 枚 PC 膜 (50 nm) / W (30 nm) / 4 インチ Si 基板 1 枚
95 (3) 試料切断クリーンルーム環境下で ヘキ開により 15 mm 15 mm を 15 セット割断し 1 インチフルオロウェア製ホルダに入れる その後 直ちに真空パックする ( 残材についても フルオロウェアに入れた後 真空パックする ) 成膜条件の検討成膜条件の検討用試料の作製スピンコート続いて 試作試料の決定を満たす試料を作製するにあたり スピンコートの条件を 有機膜付きシリコン基板に関する仕様により行った 成膜条件は以下の通りである (1) 基板 ; 4 インチ Si 基板 (2) PC 原料 ; Sigma-Aldrich ポリ ( ビスフェノール A カルボナート ) Poly(Bisphenol A carbonate) grade analytical standard form neat mol wt average Mn 17,000 (typical) average Mw 29,000 (typical) density 1.2 g/ml at 25 (lit ) (3) 溶媒 ; テトラヒドロフラン (THF) (4) 溶液 ; PC 100 mg を THF 100 ml 中 ( ガラス栓付きメスフラスコ中 ) に入れ 一晩かけて溶解した (5) 成膜条件 ; 成膜環境 ; クリーンルーム内成膜装置 ; スピンコータ ( 通常はレジストを塗布している ) 溶液 ; (4) の溶液 2 ml ( これは 4 インチウェハが回転前に十分濡れる量である ) 回転数 ; 1000 rpm 2000 rpm 3000 rpm 4000 rpm 5000 rpm 計 5 種類時間 ; 干渉色がなくなるまでなお スピンコートは 500 rpm 程度の予備回転で 十分に液滴を基板表面に馴染ませてから 所定の回転数に上げる しかし THF は 500 rpm の回転で乾いてしまい 目視でムラが生じた 従って 今回は予備回転なしで成膜している
96 成膜条件の検討用試料の作製結果 で作製した試料の内 回転数 1,000 rpm 3,000 rpm 5,000 rpm の試料について 膜厚を High Resolution Ratherford-Backscattering Spectrometry (HR-RBS) を用いて評価した HR-RBS の結果の詳細は 4.4 に示すが ここでは概要を示す 図 に 回転数 1,000 rpm 3,000 rpm 5,000 rpm の試料についての HR-RBS スペクトルを示す アラインドスペクトルの Si の立ち上がりに着目すると 表面に PC 膜が十分に存在すれば Si のピークは低エネルギー側にシフトするはずであるが いずれの試料も同じエネルギー (Surface peak に相当 ) にピークが見られ 表面に Si が存在していることが分かる 通常行う 500 rpm の予備回転でムラが生じたことを考慮すると Si が部分的に露出しているものと考えられる また C のスペクトルに着目すると 3,000 rpm と 5,000 rpm とでは C の幅に差異はなく 膜厚が等しい すなわち 3,000 rpm で膜厚が薄い方に飽和していることが分かる なお 解析の結果 PC 膜厚は 1,000 rpm で 30 nm 3,000 rpm 及び 5,000 rpm で 20 nm であることが判明した これを元に の試作では 回転数を 1,000 rpm と 3,000 rpm の 2 条件で行うこととした 図 HR-RBS スペクトル
97 4.3.3 標準試料の試作 有機膜 / 金属膜付きシリコン基板に関する仕様に基づき 有機膜 / 金属膜構造を試作し た (1) 下地金属膜付き Si 基板試料サイズ ; 4 インチ φsi 基板成膜方法 ; マグネトロンスパッタ法基板構造 ; 膜なし 4 インチ Si 基板 Au (30 nm) / 4 インチ Si 基板 ( 膜厚は成膜レートから算出 ) W (30 nm) / 4 インチ Si 基板 ( 膜厚は成膜レートから算出 ) 枚数 ; 各 2 枚 計 6 枚 (2) PC 原料 ; Sigma-Aldrich ポリ ( ビスフェノール A カルボナート ) Poly(Bisphenol A carbonate) grade analytical standard form neat mol wt average Mn 17,000 (typical) average Mw 29,000 (typical) density 1.2 g/ml at 25 (lit.) (3) 溶媒 ; テトラヒドロフラン (THF) (4) 溶液 ; PC 100 mg を THF 100 ml 中 ( ガラス栓付きメスフラスコ中 ) に入れ 一晩かけて溶解した (5) 成膜条件 ; 成膜環境 ; クリーンルーム内成膜装置 ; スピンコータ ( 通常はレジストを塗布している ) 溶液 ; (4) の溶液 2 ml ( これは 4 インチウェハが回転前に十分濡れる量である ) 回転数 ; 1000 rpm (30 nm 相当 ) 3000 rpm (20 nm 相当 ) 各々の基板に対して 2 種類時間 ; 干渉色がなくなるまで通常行われる予備回転 (500 rpm 程度 ) は 今回の THF では乾燥するために行っていない (6) 外観観察 PC をスピンコートした Si 基板表面の写真を図 に PC をスピンコートした Au (30 nm) / Si 基板表面の写真を図 に示す 図 に PC を塗布した W(30nm)/Si 基板の写真を示
98 す 図 Si 基板上に PC を 3000 rpm (20 nm 相当 ) でコートした表面の写真 1,000 rpm (30 nm 相当 ) でコート 3,000 rpm (20 nm 相当 ) でコート 図 PC を塗布した Au (30 nm) / Si 基板の写真
99 1,000 rpm (30 nm 相当 ) でコート 3,000 rpm (20 nm 相当 ) でコート図 PC を塗布した W (30 nm) / Si 基板の写真 (7) 切断及び包装図 の模式図に従って ヘキ開により試料を切断した 試料は 1 インチフルオロウェアの中に Surface down で収納され 真空封止した 梱包後の試料の写真を図 に示す 図 基板切断模式図 ( 内部円は膜厚が均一な領域 )( 左 ) 図 梱包後の試料写真 ( 右 )
100 4.4 成膜条件の検討用試料の分析 検討用試料の HR-RBS 分析目的 で作製した試料のうち 回転数を変えた 3 種類のポリカーボネートの膜厚を高分解能 RBS により評価する 分析試料 膜構造 ポリカーボネート/Si 基板 で作製した試料のうち 回転数 1,000rpm, 3,000rpm, 5,000rpm で成膜した試料について合計 3 試料を分析した 分析試料は 4 インチウェハ中心部から 20mm 角に切り出した 分析条件 HR-RBS 分析は表 4-1 の条件で行った 表 4-1 分析装置 : 神戸製鋼所製高分解能 RBS 分析装置 HRBS500 測定条件 : 項目 パラメータ 入射イオン : エネルギー He + 450keV 散乱角 65 度 入射角 試料面の法線に対し 45 度 ( アラインド条件 ) 試料面の法線に対し 50 度 ( ランダム条件 ) 試料電流 25nA 照射量 25μC( アラインド条件 ) 12.5μC( ランダム条件 25μC に規格化して表示 ) 試料面でのビームサイズ 約 1mm 角 分析方法 (4.1) アラインド条件エネルギー 450keV の He + イオンを試料面の法線から 45 度 (<101> チャネリング方向 ) の角度で照射し 散乱された He + イオンを散乱角 65 度の位置で偏向磁場型エネルギー分析器より検出した なおイオンビームによるポリカーボネートの変質を抑えるために場所を移動させながら測定している スペクトルを取得したトータルの測定領域は 5mm 15mm である (4.2) ランダム条件エネルギー 450keV の He + イオンを試料面の法線から 50 度の角度で照射し 散乱された He + イオンを散乱角 65 度の位置で偏向磁場型エネルギー分析器より検出した なお測定中は試料を面内回転させながら測定した 解析方法 HR-RBS スペクトルについてシミュレーションフィッティング解析を行い デプスプロファイルを求めた
101 4.4.2 分析結果各試料の HR-RBS アラインドスペクトルを比較した結果を図 に示す C ピークの幅からポリカーボネートの膜厚は 3,000rpm と 5,000rpm は同等であり 1,000rpm はそれより厚いと考えられる なお いずれの試料も Si のピークが最表面で観測されていることから 分析領域内に Si 基板が部分的に露出しているかもしくはポリカーボネート膜上に Si 層が薄く存在する可能性が考えられる このことを確認するために 1,000rpm についてランダム測定を行った結果 ( 図 4.4-2) 分析領域内で Si 基板が部分的に露出している可能性が高いと考えられる 2000 最表面から検出されたピーク rpm と 5000rpm で膜厚に変化なし C Si 1000rpm 3000rpm Yield[count] O 5000rpm Energy[keV] 図 各資料の HR-RBS アラインドスペクトル C O 1000rpm Yield[count] Si Energy[keV] 図 rpm の HR-RBS ランダムスペクトル各試料のアラインドスペクトルのシミュレーションフィッティング結果とデプスプロファイル ( 横軸 : 面密度 深さ表示 ) を図 から図 に示す 1,000rpm についてはランダムスペクトルのシミュレーションフィッティング結果も示す
102 注 1) 横軸を nm 単位へ換算する際 膜厚もしくは密度を仮定する必要がある 本報告で はポリカーボネート層の密度は 1.2g/cm 3 Si の密度は 2.33g/cm 3 ( いずれの値も理 化学辞典参照 ) を用いた ポリカーボネートの膜厚算出 デプスプロファイルにおいてポリカーボネート /Si 基板の界面を C 濃度のピーク値の 1/2 となる 位置と仮定し 膜厚を算出した結果を表 4-2 に示す 表 4-2 各試料のポリカーボネート膜厚算出結果 成膜条件 ( 回転数 ) 膜厚 (nm) 1,000rpm 30 3,000rpm 20 5,000rpm 20 図 ,000rpm の HR-RBS 分析結果
103 図 ,000rpm の HR-RBS 分析結果 図 ,000rpm の HR-RBS 分析結果
104 4.5 まとめ TOF-SIMS 測定法は有機材料系試料の分析で幅広く使用され今後も利用拡大が見込まれる 定量精度の向上のため 定量的な測定を阻害している要因を改めて検証し TOF-SIMS 分析法の定量精度の向上を目指すための試行が必要である 今年度は TOF-SIMS のイオン強度軸校正用の標準試料について必要な仕様の検討を行った 標準試料を試作し その目的を 試料有機薄膜の安定性 ( 経時変化 ) を評価すること 膜厚の薄さが与えるイオン強度の影響を調査すること 薄膜の下地基板の種類が与えるイオン強度の影響を検証することとした 来年度は試作標準試料による共通測定を行って課題の検証を行う 測定の実施には当委員会のみならず TOF-SIMS 分析に定量精度を求めるユーザや表面分析研究会の SIMS ワーキングループと協調して行う予定である
105 第 5 章総括
106 第 5 章 総括 5.1 本年度の活動成果本事業の活動は ナノ材料をはじめナノスケール領域での計測評価技術について日本の国際標準化での先導的立場を支援することを目標としている 本活動により 日本の分析機関の計測 評価技術の向上 機関間での技術の共通化 共同作業による計測 評価のノウハウ共有化 等の効果が得られる 本年度からの三カ年間計画で ナノ材料分析やナノスケールレベルの計測評価法として国内で応用が進む二種類のナノ計測評価手法についてそれぞれの標準化を進める 計測評価手法の一つは飛行型二次イオン分光法 (TOF-SIMS) である TOF-SIMS は有機材料系の質量分析が可能なため近年ユーザ数が増加している分析 計測技術である 高い質量分解能と広いイオン分析質量範囲を持ち 元素 分子 フラグメントに関する情報が得られ しかも試料の実質的な非破壊分析ができる もう一つは走査型電子顕微鏡 (SEM) である SEM は近年装置性能が飛躍的に向上しており 電子ビームプロープ径が極細化して 1-2 nm 程度となっている また超低加速エネルギー化が進んでおりナノ材料や絶縁材料まで測定対象を広げている 以下に本事業で取り上げた課題とその成果を記す (1) 飛行型二次イオン分光法 (TOF-SIMS) の標準化 TOF-SIMS は有機系材料の豊富な化学情報を得ることができる質量分析方法であるものの 各イオンの強度の安定性に乏しく定量分析が困難であるといわれる その主な要因はマトリックス効果である 本年度は TOF-SIMS の定量性評価法の確立を目指して マトリックス効果や試料の導電性などを考慮し 標準試料の仕様の検討行った 試料の材料として TOF-SIMS 分析でのイオン強度の経時変化が小さいものを選び 導電性効果を明らかにするための試料構造を設計した それに従って標準試料の製作を進めた 次年度に標準試料の分析を行う予定である (2) 走査型電子顕微鏡 (SEM) の標準化顕微鏡としての 分解能 には幾つかの解釈が存在し 定義や評価方法が異なることから しばしば議論の混乱を招く原因となっている またそれら分解能の評価方法は統一されていない そのため 定量的な評価方法の標準化と 評価に適した標準物質の整備 との二点を並行して進めることが必要である ここで定量的な評価方法の検討は国際標準化機構の ISO/TC202 SC4 で進められている 本年度は 標準物質の仕様を検討し 標準物質プロトタイプの製作 プロトタイプのナノスケールレベルでの品質評価 そのプロトタイプを用いた共通測定 を行った このような SEM 標準化の取り組みは他に例がほとんどなく とくに標準物質プロトタイプの試みは世界に先駆けた活動と言えるものである この共通測定では一連の作業を通じて多くの知見が得られた
107 5.2 今後の活動本事業は三年間で目標を達成する計画であり 年度毎に計画目標を見直しつつ実施する 初年度にあたる本年度は目標を十分達成することができた 今後も調査研究事業を継続することにより 国内分析機関が共同で計測 評価技術上の課題を明らかにすること ひいては新規の先端材料に対しても高精度計測の水準を維持すること ナノ領域の計測評価技術を国際的に先導していくための活動を継続すること が望まれる 次年度以降は下記の実施を計画している 1 飛行型二次イオン分光法 (TOF-SIMS) の標準化本年度作製した標準試料を分析機関で共通試験を行う 共通試験は外部 SIMS 研究会等とも連携してデータを集積する 試料については標準化のために安定性の確認を行う 有機材料でユーザーニーズが大きく見込めるものを随時検討しその標準化を検討する 2 走査型電子顕微鏡 (SEM) の標準化本年度開発した SEM 分解能評価用の標準物質プロトタイプの知見をもとに さらに標準化活動を継続する 具体的には下記の 2 点を行う 1. 分解能評価用の標準物質の開発従来より多用されていたグラファイト基板上に蒸着された金粒子に替えて 人工的に制御された構造を持った分解能評価用の標準物質開発を行う 2. 標準物質を用いた共通測定の手順の開発分解能評価にはその測定の手順も標準化することが重要であるため 共通測定手順を確立する なお 上記活動の成果は像シャープネス評価の標準化を審議している国際標準機関 ISO/TC202 SC4 の日本の国内委員会へフィードバックし 国際標準化活動を先導できるように支援する
108 JRIA27 ナノ分析標準 平成 27 年度 ナノ領域元素分析標準化補助事業報告書 発行発行者 ホームページ 平成 28 年 3 月一般社団法人研究産業 産業技術振興協会 東京都文京区本郷 3 丁目 23 番 1 号クロセビア本郷 2F 電話 : 禁無断転載 非売品 Copyright 2016 JRIA 文中の講演資料等の著作権は 発表者各位に帰属します
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報道関係各位 2014 年 5 月 28 日 二酸化チタン表面における陽電子消滅誘起イオン脱離の観測に成功 ~ 陽電子を用いた固体最表面の改質に道 ~ 東京理科大学研究戦略 産学連携センター立教大学リサーチ イニシアティブセンター 本研究成果のポイント 二酸化チタン表面での陽電子の対消滅に伴って脱離する酸素正イオンの観測に成功 陽電子を用いた固体最表面の改質に道を拓いた 本研究は 東京理科大学理学部第二部物理学科長嶋泰之教授
IB-B
FIB による TEM 試料作製法 2 バルクピックアップ法 1. はじめにピックアップ法を用いた FIB による TEM 試料作製法は事前の素材加工が不要であり 試料の損失を無くすなど利点は多いが 磁性材料は観察不可能であること 薄膜加工終了後 再度 FIB に戻して追加工をすることができないこと 平面方向の観察試料作製が難しいことなど欠点もある 本解説ではこれらの欠点を克服するバルクピックアップ法を紹介する
<4D F736F F F696E74202D C834E D836A834E83588DDE97BF955D89BF8B5A8F F196DA2E >
7-1 光学顕微鏡 8-2 エレクトロニクス材料評価技術 途による分類 透過型顕微鏡 体組織の薄切切 や細胞 細菌など光を透過する物体の観察に いる 落射型顕微鏡 ( 反射型顕微鏡 ) 理 学部 材料機能 学科 属表 や半導体など 光を透過しない物体の観察に いる 岩 素顕 [email protected] 電 線を使った結晶の評価法 透過電 顕微鏡 査電 顕微鏡 実体顕微鏡拡 像を 体的に
電子部品の試料加工と観察 分析 解析 ~ 真の姿を求めて ~ セミナー A 電子部品の試料加工と観察 分析 解析 ~ 真の姿を求めて ~ セミナー 第 9 回 品質技術兼原龍二 前回の第 8 回目では FIB(Focused Ion Beam:FIB) のデメリットの一つであるGaイ
第 9 回 品質技術兼原龍二 前回の第 8 回目では FIB(Focused Ion Beam:FIB) のデメリットの一つであるGaイオンの打ち込み ( 図 19. 第 6 回参照 ) により 試料の側壁に形成されるダメージ層への対処について事例などを交えながら説明させていただきました 今回は 試料の表面に形成されるダメージ層について その対処法を事例を示してお話しをさせていただきます Gaイオンの試料への打ち込みですが
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指紋認証のマニューシャ抽出について 澤見研究室 I02I036 兼信雄一 I02I093 柳楽和信 I02I142 吉田寛孝 1. はじめに近年, キャッシュカードや暗証番号が盗用され, 現金が引き出されるような事件が相次いでいる. これらの対向策として人間の体の一部を認証の鍵として利用する生体認証に注目が集まっている. そこで我々は, 生体認証で最も歴史がある指紋認証技術に着目した. 指紋認証方式は,2
論文の内容の要旨
論文の内容の要旨 2 次元陽電子消滅 2 光子角相関の低温そのまま測定による 絶縁性結晶および Si 中の欠陥の研究 武内伴照 絶縁性結晶に陽電子を入射すると 多くの場合 電子との束縛状態であるポジトロニウム (Ps) を生成する Ps は 電子と正孔の束縛状態である励起子の正孔を陽電子で置き換えたものにあたり いわば励起子の 同位体 である Ps は 陽電子消滅 2 光子角相関 (Angular
画像類似度測定の初歩的な手法の検証
画像類似度測定の初歩的な手法の検証 島根大学総合理工学部数理 情報システム学科 計算機科学講座田中研究室 S539 森瀧昌志 1 目次 第 1 章序論第 章画像間類似度測定の初歩的な手法について.1 A. 画素値の平均を用いる手法.. 画素値のヒストグラムを用いる手法.3 C. 相関係数を用いる手法.4 D. 解像度を合わせる手法.5 E. 振れ幅のヒストグラムを用いる手法.6 F. 周波数ごとの振れ幅を比較する手法第
図 5 一次微分 図 6 コントラスト変化に伴う微分プロファイルの変化 価し, 合否判定を行う. 3. エッジ検出の原理ここでは, 一般的なエッジ検出の処理内容と, それぞれの処理におけるパラメータについて述べる. 3.1 濃度投影検出線と直交する方向に各画素をスキャンし, その濃度平均値を検出線上
The Principles of Edge Detection, and Its Application to Image Measurement/ Junichi SUGANO ヴィスコ テクノロジーズ株式会社開発本部研究部菅野純一 1. はじめに画像処理におけるエッジとは, 対象物と背景の境界点を指しており, この境界点が連なることで対象物の輪郭を形成する. 対象物の輪郭を拡大してみると, レンズボケにより明から暗または暗から明へ濃度値が連続的に変化していることがわかる.
PowerPoint プレゼンテーション
ナノ計測ソリューションコンソーシアム概要紹介 1 ソリューションプラットフォーム構想 ナノテクノロジーは エレクトロニクスから医療まで広い分野にわたって社会に大きな便益をもたらすことが期待されています ナノテクのさらなる推進のためには 製造技術の革新とともに精密かつ正確な計測が重要です これまでにもアカデミアを中心に最先端計測機器が開発されてきましたが これが生産現場にはなかなか繋がらないという問題を抱えていました
QOBU1011_40.pdf
印字データ名 QOBU1 0 1 1 (1165) コメント 研究紹介 片山 作成日時 07.10.04 19:33 図 2 (a )センサー素子の外観 (b )センサー基板 色の濃い部分が Pt 形電極 幅 50μm, 間隔 50μm (c ),(d )単層ナノ チューブ薄膜の SEM 像 (c )Al O 基板上, (d )Pt 電極との境 界 熱 CVD 条件 触媒金属 Fe(0.5nm)/Al(5nm)
0 21 カラー反射率 slope aspect 図 2.9: 復元結果例 2.4 画像生成技術としての計算フォトグラフィ 3 次元情報を復元することにより, 画像生成 ( レンダリング ) に応用することが可能である. 近年, コンピュータにより, カメラで直接得られない画像を生成する技術分野が生
0 21 カラー反射率 slope aspect 図 2.9: 復元結果例 2.4 画像生成技術としての計算フォトグラフィ 3 次元情報を復元することにより, 画像生成 ( レンダリング ) に応用することが可能である. 近年, コンピュータにより, カメラで直接得られない画像を生成する技術分野が生まれ, コンピューテーショナルフォトグラフィ ( 計算フォトグラフィ ) と呼ばれている.3 次元画像認識技術の計算フォトグラフィへの応用として,
e - カーボンブラック Pt 触媒 プロトン導電膜 H 2 厚さ = 数 10μm H + O 2 H 2 O 拡散層 触媒層 高分子 電解質 触媒層 拡散層 マイクロポーラス層 マイクロポーラス層 ガス拡散電極バイポーラープレート ガス拡散電極バイポーラープレート 1 1~ 50nm 0.1~1
Development History and Future Design of Reduction of Pt in Catalyst Layer and Improvement of Reliability for Polymer Electrolyte Fuel Cells 6-43 400-0021 Abstract 1 2008-2008 2015 2 1 1 2 2 10 50 1 5
周期時系列の統計解析 (3) 移動平均とフーリエ変換 nino 2017 年 12 月 18 日 移動平均は, 周期時系列における特定の周期成分の消去や不規則変動 ( ノイズ ) の低減に汎用されている統計手法である. ここでは, 周期時系列をコサイン関数で近似し, その移動平均により周期成分の振幅
周期時系列の統計解析 3 移動平均とフーリエ変換 io 07 年 月 8 日 移動平均は, 周期時系列における特定の周期成分の消去や不規則変動 ノイズ の低減に汎用されている統計手法である. ここでは, 周期時系列をコサイン関数で近似し, その移動平均により周期成分のがどのように変化するのか等について検討する. また, 気温の実測値に移動平均を適用した結果についてフーリエ変換も併用して考察する. 単純移動平均の計算式移動平均には,
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インクジェットを利用した微小液滴形成における粘度及び表面張力が与える影響 色染化学チーム 向井俊博 要旨インクジェットとは微小な液滴を吐出し, メディアに対して着滴させる印刷方式の総称である 現在では, 家庭用のプリンターをはじめとした印刷分野以外にも, 多岐にわたる産業分野において使用されている技術である 本報では, 多価アルコールや界面活性剤から成る様々な物性値のインクを吐出し, マイクロ秒オーダーにおける液滴形成を観察することで,
RMS(Root Mean Square value 実効値 ) 実効値は AC の電圧と電流両方の値を規定する 最も一般的で便利な値です AC 波形の実効値はその波形から得られる パワーのレベルを示すものであり AC 信号の最も重要な属性となります 実効値の計算は AC の電流波形と それによって
入門書 最近の数多くの AC 電源アプリケーションに伴う複雑な電流 / 電圧波形のため さまざまな測定上の課題が発生しています このような問題に対処する場合 基本的な測定 使用される用語 それらの関係について理解することが重要になります このアプリケーションノートではパワー測定の基本的な考え方やパワー測定において重要な 以下の用語の明確に定義します RMS(Root Mean Square value
横浜市環境科学研究所
周期時系列の統計解析 単回帰分析 io 8 年 3 日 周期時系列に季節調整を行わないで単回帰分析を適用すると, 回帰係数には周期成分の影響が加わる. ここでは, 周期時系列をコサイン関数モデルで近似し単回帰分析によりモデルの回帰係数を求め, 周期成分の影響を検討した. また, その結果を気温時系列に当てはめ, 課題等について考察した. 気温時系列とコサイン関数モデル第 報の結果を利用するので, その一部を再掲する.
本日の内容 HbA1c 測定方法別原理と特徴 HPLC 法 免疫法 酵素法 原理差による測定値の乖離要因
HbA1c 測定系について ~ 原理と特徴 ~ 一般社団法人日本臨床検査薬協会 技術運営委員会副委員長 安部正義 本日の内容 HbA1c 測定方法別原理と特徴 HPLC 法 免疫法 酵素法 原理差による測定値の乖離要因 HPLC 法 HPLC 法原理 高速液体クロマトグラフィー 混合物の分析法の一つ 固体または液体の固定相 ( 吸着剤 ) 中で 液体または気体の移動相 ( 展開剤 ) に試料を加えて移動させ
記者発表資料
2012 年 6 月 4 日 報道機関各位 東北大学流体科学研究所原子分子材料科学高等研究機構 高密度 均一量子ナノ円盤アレイ構造による高効率 量子ドット太陽電池の実現 ( シリコン量子ドット太陽電池において世界最高変換効率 12.6% を達成 ) < 概要 > 東北大学 流体科学研究所および原子分子材料科学高等研究機構 寒川教授グループはこの度 新しい鉄微粒子含有蛋白質 ( リステリアフェリティン
直観的な使い易いユーザーインターフェースで多次元の視覚化と定量解析 日本語 英語画面表示対応 背景輝度の均一化 豊富な画質調整 画像処理 画像解析機能を搭載 マクロ自動記録 特定用途向けアプリでの利用で 複数データでのバッチ処理が可能 コントラスト強調 平坦化フィルタ ハイパスフィルタ ノイズ除去 境界線の強調 ローパスフィルタ 局部イコライズフィルタ エッジや模様の強調 ディスタンスマップ バリアンスフィルタ
Mirror Grand Laser Prism Half Wave Plate Femtosecond Laser 150 fs, λ=775 nm Mirror Mechanical Shutter Apperture Focusing Lens Substances Linear Stage
Mirror Grand Laser Prism Half Wave Plate Femtosecond Laser 150 fs, λ=775 nm Mirror Mechanical Shutter Apperture Focusing Lens Substances Linear Stage NC Unit PC は 同時多軸に制御はできないため 直線加工しかでき 図3は ステージの走査速度を
POCO 社の EDM グラファイト電極材料は 長年の技術と実績があり成形性や被加工性が良好で その構造ならびに物性の制御が比較的に容易であることから 今後ますます需要が伸びる材料です POCO 社では あらゆる工業製品に対応するため 各種の電極材料を多数用意しました EDM-1 EDM-3 EDM
POCO 社の EDM グラファイト電極材料は 長年の技術と実績があり成形性や被加工性が良好で その構造ならびに物性の制御が比較的に容易であることから 今後ますます需要が伸びる材料です POCO 社では あらゆる工業製品に対応するため 各種の電極材料を多数用意しました EDM-1 EDM-200 EDM-200 EDM-200 INDEX EDM グラファイトの分類 電極材料選択の主要ファクタ P2
Pick-up プロダクツ プリズム分光方式ラインセンサカメラ用専用レンズとその応用 株式会社ブルービジョン 当社は プリズムを使用した 3CMOS/3CCD/4CMOS/4CCD ラインセンサカメラ用に最適設計した FA 用レンズを設計 製造する専門メーカである 当社のレンズシリーズはプリズムにて
Pick-up プロダクツ プリズム分光方式ラインセンサカメラ用専用レンズとその応用 当社は プリズムを使用した 3CMOS/3CCD/4CMOS/4CCD ラインセンサカメラ用に最適設計した FA 用レンズを設計 製造する専門メーカである 当社のレンズシリーズはプリズムにて発生する軸上色収差 倍率色収差を抑えた光学設計を行い 焦点距離が異なったレンズを使用しても RGB 個々の焦点位置がレンズ間で同じ位置になるよう設計されている
02.参考資料標準試料データ
参考資料 標準試料データ目次 クリソタイル標準試料 JAWE111 108 アモサイト標準試料 JAWE211 113 クロシドライト標準試料 JAWE311 118 クリソタイル標準試料 JAWE121 123 アモサイト標準試料 JAWE221 131 クロシドライト標準試料 JAWE321 139 アンソフィライト標準試料 JAWE411 147 トレモライト標準試料 JAWE511 155
論文の内容の要旨
論文の内容の要旨 論文題目 Superposition of macroscopically distinct states in quantum many-body systems ( 量子多体系におけるマクロに異なる状態の重ね合わせ ) 氏名森前智行 本論文では 量子多体系におけるマクロに異なる状態の重ねあわせを研究する 状態の重ね合わせ というのは古典論には無い量子論独特の概念であり 数学的には
F 1 2 dc dz ( V V V sin t 2 S DC AC ) 1 2 dc dc 1 dc {( VS VDC ) VAC} ( VS VDC ) VAC sin t VAC cos 2 t (3.2.2) 2 dz 2 dz 4 dz 静電気力には (3.2.2) 式の右
3-2 ケルビンプローブフォース顕微鏡による仕事関数の定量測定 3-2-1 KFM の測定原理ケルビンプローブフォース顕微鏡 (Kelvin Force Microscopy: KFM) は ケルビン法という測定技術を AFM に応用した計測手法で 静電気力によるプローブ振動の計測を利用して プローブとサンプルの仕事関数差を測定するプローブ顕微鏡の手法である 仕事関数というのは 金属の表面から電子を無限遠まで取り出すのに必要なエネルギーであり
SP8WS
GIXS でみる 液晶ディスプレイ用配向膜 日産化学工業株式会社 電子材料研究所 酒井隆宏 石津谷正英 石井秀則 遠藤秀幸 ( 財 ) 高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 Ⅰ 小金澤智之 広沢一郎 背景 Ⅰ ~ LCD の表示品質 ~ 液晶ディスプレイ (LCD) 一方向に揃った ( 配向した ) 液晶分子を電圧により動かすことで表示 FF 液晶分子 液晶配向と表示品質 C 電極 液晶分子の配向が乱れると表示品質が悪化
The world leader in serving science OMNIC ユーザーライブラリベーシックマニュアル サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
The world leader in serving science OMNIC ユーザーライブラリベーシックマニュアル サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 目次 1. 概要 3 2. ユーザーライブラリ作成手順 4 3. スペクトルの追加 11 OMNIC User Library Basic Manual rev.1-1 - 1. 概要 このマニュアルは FT-IR( フーリエ変換赤外分光装置
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第 47 回地盤工学研究発表会 モアレを利用した変位計測システムの開発 ( 計測原理と画像解析 ) 平成 24 年 7 月 15 日 山形設計 ( 株 ) 技術部長堀内宏信 1. はじめに ひびわれ計測の必要性 高度成長期に建設された社会基盤の多くが老朽化を迎え, また近年多発している地震などの災害により, 何らかの損傷を有する構造物は膨大な数に上ると想定される 老朽化による劣化や外的要因による損傷などが生じた構造物の適切な維持管理による健全性の確保と長寿命化のためには,
2008 年度下期未踏 IT 人材発掘 育成事業採択案件評価書 1. 担当 PM 田中二郎 PM ( 筑波大学大学院システム情報工学研究科教授 ) 2. 採択者氏名チーフクリエータ : 矢口裕明 ( 東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻博士課程三年次学生 ) コクリエータ : なし 3.
2008 年度下期未踏 IT 人材発掘 育成事業採択案件評価書 1. 担当 PM 田中二郎 PM ( 筑波大学大学院システム情報工学研究科教授 ) 2. 採択者氏名チーフクリエータ : 矢口裕明 ( 東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻博士課程三年次学生 ) コクリエータ : なし 3. プロジェクト管理組織 株式会社オープンテクノロジーズ 4. 委託金支払額 3,000,000 円 5.
SPring-8ワークショップ_リガク伊藤
GI SAXS. X X X X GI-SAXS : Grazing-incidence smallangle X-ray scattering. GI-SAXS GI-SAXS GI-SAXS X X X X X GI-SAXS Q Y : Q Z : Q Y - Q Z CCD Charge-coupled device X X APD Avalanche photo diode - cps 8
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2011 年 5 月 20 日 第 4 回ソフトマター研究会 産業利用における GISAXS の活用 東レリサーチセンター構造化学研究部構造化学第 2 研究室岡田一幸 1. 小角 X 線散乱 ( 反射測定 ) 薄膜中のポア (Low-k 膜 ) 2.GISAXS による粒子サイズ評価 薄膜に析出した結晶 (High-k 膜 ) 3. ポリマーの秩序構造の評価 ブロックコポリマーの自己組織化過程 4.
スライド 1
劣化診断技術 ビスキャスの開発した水トリー劣化診断技術について紹介します 劣化診断技術の必要性 電力ケーブルは 電力輸送という社会インフラの一端を担っており 絶縁破壊事故による電力輸送の停止は大きな影響を及ぼします 電力ケーブルが使用される環境は様々ですが 長期間 使用環境下において性能を満足する必要があります 電力ケーブルに用いられる絶縁体 (XLPE) は 使用環境にも異なりますが 経年により劣化し
技術資料 JARI Research Journal OpenFOAM を用いた沿道大気質モデルの開発 Development of a Roadside Air Quality Model with OpenFOAM 木村真 *1 Shin KIMURA 伊藤晃佳 *2 Akiy
技術資料 176 OpenFOAM を用いた沿道大気質モデルの開発 Development of a Roadside Air Quality Model with OpenFOAM 木村真 *1 Shin KIMURA 伊藤晃佳 *2 Akiyoshi ITO 1. はじめに自動車排出ガスの環境影響は, 道路沿道で大きく, 建物など構造物が複雑な気流を形成するため, 沿道大気中の自動車排出ガス濃度分布も複雑になる.
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12 回パターン検出と画像特徴 テンプレートマッチング 領域分割 画像特徴 テンプレート マッチング 1 テンプレートマッチング ( 図形 画像などの ) 型照合 Template Matching テンプレートと呼ばれる小さな一部の画像領域と同じパターンが画像全体の中に存在するかどうかを調べる方法 画像内にある対象物体の位置検出 物体数のカウント 物体移動の検出などに使われる テンプレートマッチングの計算
53nenkaiTemplate
デンドリマー構造を持つアクリルオリゴマー 大阪有機化学工業 ( 株 ) 猿渡欣幸 < はじめに > アクリル材料の開発は 1970 年ごろから UV 硬化システムの確立とともに急速に加速した 現在 UV 硬化システムは電子材料において欠かせないものとなっており その用途はコーティング 接着 封止 パターニングなど多岐にわたっている アクリル材料による UV 硬化システムは下記に示す長所と短所がある
図 2 TOF-SIMS 測定の模式図. され, それまで数 10 μm であったビーム径が, 一気にサブミクロンにまで向上した. ただし, 当時のイオン源は Ga のみであったため, 無機材料の応用例が中心であった. 液体金属型イオン銃はサブミクロンのビーム径に加え, 高質量分解能も容易に達成でき
ナノイオンプローブによる新規顕微計測技術の展開 TOF-SIMS による有機材料の 3 次元ナノスケールイメージ解析 Three Dimensional Nano Scale Image Analysis of Organic Materials Using TOF-SIMS 飯田真一 Shin-ichi Iida アルバック ファイ株式会社 要 旨表面に非常に敏感で, 元素あるいは分子種を高感度で検出可能な飛行時間型二次イオン質量分析法
空間光変調器を用いた擬似振幅変調ホログラムによる光の空間モード変換 1. 研究目的 宮本研究室北谷拓磨 本研究は 中心に近づく程回折効率が小さくなるホログラムを作製し 空間光変調器 (spatial light modulator SLM) を用いて 1 次のラゲールガウスビーム (LG ビーム )
空間光変調器を用いた擬似振幅変調ホログラムによる光の空間モード変換 1. 研究目的 宮本研究室北谷拓磨 本研究は 中心に近づく程回折効率が小さくなるホログラムを作製し 空間光変調器 (spatial light modulator SLM) を用いて 1 次のラゲールガウスビーム (LG ビーム ) を正確に発生させることを目的とする このようなホログラムはまた 光子の軌道角運動量状態および軌道角運動量重ね合わせ状態の柔軟な検出及び操作を実現することが期待される
多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典
多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典 重回帰分析とは? 重回帰分析とは複数の説明変数から目的変数との関係性を予測 評価説明変数 ( 数量データ ) は目的変数を説明するのに有効であるか得られた関係性より未知のデータの妥当性を判断する これを重回帰分析という つまり どんなことをするのか? 1 最小 2 乗法により重回帰モデルを想定 2 自由度調整済寄与率を求め
Presentation Title Arial 28pt Bold Agilent Blue
Agilent EEsof 3D EM Application series 磁気共鳴による無線電力伝送システムの解析 アジレント テクノロジー第 3 営業統括部 EDA アプリケーション エンジニアリングアプリケーション エンジニア 佐々木広明 Page 1 アプリケーション概要 実情と現状の問題点 非接触による電力の供給システムは 以前から研究 実用化されていますが そのほとんどが電磁誘導の原理を利用したシステムで
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[ 博士論文概要 ] 平成 25 年度 金多賢 筑波大学大学院人間総合科学研究科 感性認知脳科学専攻 1. 背景と目的映像メディアは, 情報伝達における効果的なメディアの一つでありながら, 容易に感情喚起が可能な媒体である. 誰でも簡単に映像を配信できるメディア社会への変化にともない, 見る人の状態が配慮されていない映像が氾濫することで見る人の不快な感情を生起させる問題が生じている. したがって,
特長 01 裏面入射型 S12362/S12363 シリーズは 裏面入射型構造を採用したフォトダイオードアレイです 構造上デリケートなボンディングワイヤを使用せず フォトダイオードアレイの出力端子と基板電極をバンプボンディングによって直接接続しています これによって 基板の配線は基板内部に納められて
16 素子 Si フォトダイオードアレイ S12362/S12363 シリーズ X 線非破壊検査用の裏面入射型フォトダイオードアレイ ( 素子間ピッチ : mm) 裏面入射型構造を採用した X 線非破壊検査用の 16 素子 Si フォトダイオードアレイです 裏面入射型フォトダイオードアレ イは 入射面側にボンディングワイヤと受光部がないため取り扱いが容易で ワイヤへのダメージを気にすることなくシ ンチレータを実装することができます
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22 年国家試験解答 1,5 フーリエ変換は線形変換 FFT はデータ数に 2 の累乗数を要求するが DFT は任意のデータ数に対応 123I-IMP Brain SPECT FBP with Ramp filter 123I-IMP Brain SPECT FBP with Shepp&Logan filter 99mTc-MIBI Myocardial SPECT における ストリークアーチファクト
Excelによる統計分析検定_知識編_小塚明_5_9章.indd
第7章57766 検定と推定 サンプリングによって得られた標本から, 母集団の統計的性質に対して推測を行うことを統計的推測といいます 本章では, 推測統計の根幹をなす仮説検定と推定の基本的な考え方について説明します 前章までの知識を用いて, 具体的な分析を行います 本章以降の知識は操作編での操作に直接関連していますので, 少し聞きなれない言葉ですが, 帰無仮説 有意水準 棄却域 などの意味を理解して,
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In situ XRD および XAFS を用いた燃料電池アノード触媒電極の劣化解析 日本電気 ( 株 ) 松本匡史 [email protected] 直接型メタノール燃料電池の PtRu アノードにおいて Ru は触媒被毒の原因である CO の酸化を促進する役割を持ち 電池出力の向上に不可欠な要素である しかし 長時間運転時には Ru が溶出し 性能が劣化する Ru 溶出は 運転時の
と 測定を繰り返した時のばらつき の和が 全体のばらつき () に対して どれくらいの割合となるかがわかり 測定システムを評価することができる MSA 第 4 版スタディガイド ジャパン プレクサス (010)p.104 では % GRR の値が10% 未満であれば 一般に受容れられる測定システムと
.5 Gage R&R による解析.5.1 Gage R&Rとは Gage R&R(Gage Repeatability and Reproducibility ) とは 測定システム分析 (MSA: Measurement System Analysis) ともいわれ 測定プロセスを管理または審査するための手法である MSAでは ばらつきの大きさを 変動 という尺度で表し 測定システムのどこに原因があるのか
0 スペクトル 時系列データの前処理 法 平滑化 ( スムージング ) と微分 明治大学理 学部応用化学科 データ化学 学研究室 弘昌
0 スペクトル 時系列データの前処理 法 平滑化 ( スムージング ) と微分 明治大学理 学部応用化学科 データ化学 学研究室 弘昌 スペクトルデータの特徴 1 波 ( 波数 ) が近いと 吸光度 ( 強度 ) の値も似ている ノイズが含まれる 吸光度 ( 強度 ) の極大値 ( ピーク ) 以外のデータも重要 時系列データの特徴 2 時刻が近いと プロセス変数の値も似ている ノイズが含まれる プロセス変数の極大値
2008JBMIA技術調査小委員会報告書
画像濃度 Ⅴ-6 トナー内部材料分散観察の進化 ( トナー開発における分析技術 ) 河野信明キヤノン株式会社材料プロセス開発センター室長 1. はじめに電子写真用トナーは バインダ樹脂中に着色剤 ワックス 荷電制御剤等を分散した構造を有し 各材料の分散状態はトナー性能に大きく影響する たとえば 着色剤の分散状態は着色力に影響することが知られている 分散良 モグラフィー法や連続断面画像から三次元像を構築する手法で
(3) E-I 特性の傾きが出力コンダクタンス である 添え字 は utput( 出力 ) を意味する (4) E-BE 特性の傾きが電圧帰還率 r である 添え字 r は rrs( 逆 ) を表す 定数の値は, トランジスタの種類によって異なるばかりでなく, 同一のトランジスタでも,I, E, 周
トランジスタ増幅回路設計入門 pyrgt y Km Ksaka 005..06. 等価回路についてトランジスタの動作は図 のように非線形なので, その動作を簡単な数式で表すことができない しかし, アナログ信号を扱う回路では, 特性グラフのの直線部分に動作点を置くので線形のパラメータにより, その動作を簡単な数式 ( 一次式 ) で表すことができる 図. パラメータトランジスタの各静特性の直線部分の傾きを数値として特性を表したものが
Kumamoto University Center for Multimedia and Information Technologies Lab. 熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI 宮崎県美郷
熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI プロジェクト @ 宮崎県美郷町 熊本大学副島慶人川村諒 1 実験の目的 従来 信号の受信電波強度 (RSSI:RecevedSgnal StrengthIndcator) により 対象の位置を推定する手法として 無線 LAN の AP(AccessPont) から受信する信号の減衰量をもとに位置を推定する手法が多く検討されている
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超多積層量子ドット太陽電池と トンネル効果 菅谷武芳 革新デバイスチーム 量子ドット太陽電池 電子 バンド3:伝導帯 E23 E13 E12 正孔 バンド2:中間バンド 量子ドット超格子 ミニバンド 量子ドットの井戸型 ポテンシャル バンド1:価電子帯 量子ドット太陽電池のバンド図 量子ドット超格子太陽電池 理論上 変換効率60%以上 集光 A. Luque et al., Phys. Rev. Lett.
Nov 11
http://www.joho-kochi.or.jp 11 2015 Nov 01 12 13 14 16 17 2015 Nov 11 1 2 3 4 5 P R O F I L E 6 7 P R O F I L E 8 9 P R O F I L E 10 11 P R O F I L E 12 技術相談 センター保有機器の使用の紹介 当センターで開放している各種分析機器や計測機器 加工機器を企業の技術者ご自身でご利用できます
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空間周波数 周波数領域での処理 空間周波数 (spatial frquncy) とは 単位長さ当たりの正弦波状の濃淡変化の繰り返し回数を表したもの 正弦波 : y sin( t) 周期 : 周波数 : T f / T 角周波数 : f 画像処理 空間周波数 周波数領域での処理 波形が違うと 周波数も違う 画像処理 空間周波数 周波数領域での処理 画像処理 3 周波数領域での処理 周波数は一つしかない?-
AlGaN/GaN HFETにおける 仮想ゲート型電流コラプスのSPICE回路モデル
AlGaN/GaN HFET 電流コラプスおよびサイドゲート効果に関する研究 徳島大学大学院先端技術科学教育部システム創生工学専攻電気電子創生工学コース大野 敖研究室木尾勇介 1 AlGaN/GaN HFET 研究背景 高絶縁破壊電界 高周波 高出力デバイス 基地局などで実用化 通信機器の発達 スマートフォン タブレットなど LTE LTE エンベロープトラッキング 低消費電力化 電源電圧を信号に応じて変更
STRUCTUAL ANALYSIS OF DAMAGED HAIR UNDER STRETCHING CONDITION BY MICROBEAM X-RAY DIFFRACTION
マイクロビーム X 線を用いた 毛髪微細構造の研究 ( 株 ) 資生堂 新成長領域研究開発センター 柿澤みのり マイクロビーム X 線を用いた 毛髪微細構造の研究 利用ビームライン BL40XU: 高フラックスビームラインビーム径が小さく ( 約 5μm) 強度の高い X 線が得られる 毛髪の構造 キューティクル コルテックス メデュラ 80-120μm 毛髪の部位ごとの構造が測定可能 今回の発表内容
先進材料研究とリアルタイム3DアナリティカルFIB-SEM複合装置“NX9000”
SCIENTIFIC INSTRUMENT NEWS Technical magazine of Electron Microscope and Analytical Instruments. 2016 技術解説 Vol. No.2 SEPTEMBER 59 先進材料研究とリアルタイム 3D アナリティカル FIB-SEM 複合装置 NX9000 Advanced material research
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平成 24 年度 SCOPE 研究開発助成成果報告会 ( 平成 22 年度採択 ) 塩害劣化した RC スラブの一例 非破壊評価を援用した港湾コンクリート構造物の塩害劣化予測手法の開発 かぶりコンクリートのはく落 大阪大学大学院鎌田敏郎佐賀大学大学院 内田慎哉 の腐食によりコンクリート表面に発生したひび割れ ( 腐食ひび割れ ) コンクリート構造物の合理的な維持管理 ( 理想 ) 開発した手法 点検
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電池 Fruit Cell 自然系 ( 理科 ) コース高嶋めぐみ佐藤尚子松本絵里子 Ⅰはじめに高校の化学における電池の単元は金属元素のイオン化傾向や酸化還元反応の応用として重要な単元である また 電池は日常においても様々な場面で活用されており 生徒にとっても興味を引きやすい その一方で 通常の電池の構造はブラックボックスとなっており その原理について十分な理解をさせるのが困難な教材である そこで
どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化
ISO 9001:2015 におけるプロセスアプローチ この文書の目的 : この文書の目的は ISO 9001:2015 におけるプロセスアプローチについて説明することである プロセスアプローチは 業種 形態 規模又は複雑さに関わらず あらゆる組織及びマネジメントシステムに適用することができる プロセスアプローチとは何か? 全ての組織が目標達成のためにプロセスを用いている プロセスとは : インプットを使用して意図した結果を生み出す
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付録 2 2 次元アフィン変換 直交変換 たたみ込み 1.2 次元のアフィン変換 座標 (x,y ) を (x,y) に移すことを 2 次元での変換. 特に, 変換が と書けるとき, アフィン変換, アフィン変換は, その 1 次の項による変換 と 0 次の項による変換 アフィン変換 0 次の項は平行移動 1 次の項は座標 (x, y ) をベクトルと考えて とすれば このようなもの 2 次元ベクトルの線形写像
テレコンバージョンレンズの原理 ( リアコンバーター ) レンズの焦点距離を伸ばす方法として テレコンバージョンレンズ ( テレコンバーター ; 略して テレコン ) を入れる方法があります これには二つのタイプがあって 一つはレンズとカメラ本体の間に入れるタイプ ( リアコンバーター ) もう一つ
テレコンバージョンレンズの原理 ( リアコンバーター ) レンズの焦点距離を伸ばす方法として テレコンバージョンレンズ ( テレコンバーター ; 略して テレコン ) を入れる方法があります これには二つのタイプがあって 一つはレンズとカメラ本体の間に入れるタイプ ( リアコンバーター ) もう一つはレンズの前に取り付けるタイプ ( フロントコンバーター ) です 以前 フロントコンバーターについて書いたことがありました
相対性理論入門 1 Lorentz 変換 光がどのような座標系に対しても同一の速さ c で進むことから導かれる座標の一次変換である. (x, y, z, t ) の座標系が (x, y, z, t) の座標系に対して x 軸方向に w の速度で進んでいる場合, 座標系が一次変換で関係づけられるとする
相対性理論入門 Lorentz 変換 光がどのような座標系に対しても同一の速さ で進むことから導かれる座標の一次変換である. x, y, z, t ) の座標系が x, y, z, t) の座標系に対して x 軸方向に w の速度で進んでいる場合, 座標系が一次変換で関係づけられるとすると, x A x wt) y y z z t Bx + Dt 弨弱弩弨弲弩弨弳弩弨弴弩 が成立する. 図 : 相対速度
O-27567
そこに そこがあるのか? 自明性 (Obviousness) における固有性 (Inherency) と 機能的クレーム (Functional Claiming) 最近の判決において 連邦巡回裁判所は 当事者系レビューにおける電気ケーブルの製造を対象とする特許について その無効を支持した この支持は 特許審判部 (Patent and Trial and Appeal Board (PTAB))
平成22年度事故情報収集調査結果について(概要速報)
Product Safety Technology Center 製品事故解析に必要な アルミニウム合金の引張強さとウェブ硬さ及びバーコル硬さとの関係について 九州支所 製品安全技術課清水寛治 説明内容 目的 アルミニウム合金の概要 硬さの測定方法 引張強さとビッカース硬さの関係 ビッカース硬さとウェブ硬さ バーコル硬さの関係 引張強さとウェブ硬さ バーコル硬さの関係 効果と活用事例 2 1. 目的
不確かさ 資料 1/8
不確かさ 資料 /8 天びんの校正の不確かさの目安 表 に 代表的な電子天びんの校正の不確かさ ( 目安 ) 示します 表 校正の不確かさ ( 目安 ) 最小表示 機種 校正ポイント拡張不確かさ ( 風袋なし ) (k=2) 0.00mg BM-20 g 0.09 mg GH-202 50 g 0.7 mg 0.0mg GH-252 00 g 0.3 mg BM-252 00 g 0.29 mg GR-20/GH-20
Microsoft PowerPoint - 電装研_2波長赤外線センサを用いた2波長融合処理について
2 波長赤外線センサを用いた 2 波長融合処理について 防衛装備庁電子装備研究所センサ研究部光波センサ研究室技官小山正敏 発表内容 1. 2 波長赤外線センサ (2 波長 QDIP*) の概要 2. 2 波長化のメリット 2.1 2 波長帯域の取得による運用場面の拡大 2.2 2 波長融合処理による目標抽出 識別能力の向上 2.2.1 特徴量分類処理 2.2.2 太陽光クラッタ低減処理 2.2.3
EOS: 材料データシート(アルミニウム)
EOS EOS は EOSINT M システムで処理できるように最適化された粉末状のアルミニウム合金である 本書は 下記のシステム仕様により EOS 粉末 (EOS art.-no. 9011-0024) で造形した部品の情報とデータを提供する - EOSINT M 270 Installation Mode Xtended PSW 3.4 とデフォルトジョブ AlSi10Mg_030_default.job
図 維持管理の流れと診断の位置付け 1) 22 22
第 2 章. 調査 診断技術 2.1 維持管理における調査 診断の位置付け (1) 土木構造物の維持管理コンクリート部材や鋼部材で構成される土木構造物は 立地環境や作用外力の影響により経年とともに性能が低下する場合が多い このため あらかじめ設定された予定供用年数までは構造物に要求される性能を満足するように適切に維持管理を行うことが必要となる 土木構造物の要求性能とは 構造物の供用目的や重要度等を考慮して設定するものである
sample リチウムイオン電池の 電気化学測定の基礎と測定 解析事例 右京良雄著 本書の購入は 下記 URL よりお願い致します 情報機構 sample
sample リチウムイオン電池の 電気化学測定の基礎と測定 解析事例 右京良雄著 本書の購入は 下記 URL よりお願い致します http://www.johokiko.co.jp/ebook/bc140202.php 情報機構 sample はじめに リチウムイオン電池は エネルギー密度や出力密度が大きいことなどから ノートパソコンや携帯電話などの電源として あるいは HV や EV などの自動車用動力源として用いられるようになってきている
加振装置の性能に関する検証方法 Verification Method of Vibratory Apparatus DC-X デジタルカメラの手ぶれ補正効果に関する測定方法および表記方法 ( 光学式 ) 発行 一般社団法人カメラ映像機器工業会 Camera & Imaging Pr
加振装置の性能に関する検証方法 Verification Method of Vibratory Apparatus DC-X011-2012 デジタルカメラの手ぶれ補正効果に関する測定方法および表記方法 ( 光学式 ) 発行 一般社団法人カメラ映像機器工業会 Camera & Imaging Products Association 目 次 1. まえがき ------------------------------------------------------------------------------------------------------
エラー動作 スピンドル動作 スピンドルエラーの計測は 通常 複数の軸にあるセンサーによって行われる これらの計測の仕組みを理解するために これらのセンサーの 1つを検討する シングル非接触式センサーは 回転する対象物がセンサー方向またはセンサー反対方向に移動する1 軸上の対象物の変位を測定する 計測
LION PRECISION TechNote LT03-0033 2012 年 8 月 スピンドルの計測 : 回転数および帯域幅 該当機器 : スピンドル回転を測定する静電容量センサーシステム 適用 : 高速回転対象物の回転を計測 概要 : 回転スピンドルは 様々な周波数でエラー動作が発生する これらの周波数は 回転スピード ベアリング構成部品の形状のエラー 外部影響およびその他の要因によって決定される
ISO9001:2015規格要求事項解説テキスト(サンプル) 株式会社ハピネックス提供資料
テキストの構造 1. 適用範囲 2. 引用規格 3. 用語及び定義 4. 規格要求事項 要求事項 網掛け部分です 罫線を引いている部分は Shall 事項 (~ すること ) 部分です 解 ISO9001:2015FDIS 規格要求事項 Shall 事項は S001~S126 まで計 126 個あります 説 網掛け部分の規格要求事項を講師がわかりやすく解説したものです
【NanotechJapan Bulletin】10-9 INNOVATIONの最先端<第4回>
企画特集 10-9 INNOVATION の最先端 Life & Green Nanotechnology が培う新技術 < 第 4 回 > プリンテッドエレクトロニクス時代実現に向けた材料 プロセス基盤技術の開拓 NEDO プロジェクトプロジェクトリーダー東京 学教授染 隆夫 に聞く 図6 4 3 解像度を変えた TFT アレイによる電子ペーパー 提供 凸版印刷 株 大面積圧力センサの開発
Microsoft PowerPoint - 14.菅谷修正.pptx
InGaAs/系量子ドット太陽電池の作製 革新デバイスチーム 菅谷武芳 電子 バンド3:伝導帯 E3 E3 E 正孔 バンド:中間バンド 量子ドット超格子 ミニバンド 量子ドットの井戸型 ポテンシャル バンド:価電子帯 量子ドット太陽電池のバンド図 6%を超える理想的な量子ドット太陽 電池実現には E3として1 9eVが必要 量子ドット超格子太陽電池 理論上 変換効率6%以上 集光 を採用 MBE
バイオ構造における SAXS 分析
バイオ構造における SAXS 分析 構造生物学における SAXSのメリット SAXS( 小角 X 線散乱 ) は 分子生物学分野の構造研究手法です 他の確立された手法では得られない貴重な情報が得られることから 広く使用されるようになってきています 生体高分子及びその複合体の構造解析を行う際 一般的に使用される手法は 結晶学とNMR( 核磁気共鳴 ) です SAXSでは これらの高分解能のテクニックのいずれを使っても得ることのできない貴重な追加情報を得られます
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デジカメ天文学実習 < ワークシート : 解説編 > ガリレオ衛星の動きと木星の質量 1. 目的 木星のガリレオ衛星をデジカメで撮影し その動きからケプラーの第三法則と万有引 力の法則を使って, 木星本体の質量を求める 2. ガリレオ衛星の撮影 (1) 撮影の方法 4つのガリレオ衛星の内 一番外側を回るカリストまたはその内側のガニメデが 木星から最も離れる最大離角の日に 200~300mm の望遠レンズ
Microsoft Word - 1 color Normalization Document _Agilent version_ .doc
color 実験の Normalization color 実験で得られた複数のアレイデータを相互比較するためには Normalization( 正規化 ) が必要です 2 つのサンプルを異なる色素でラベル化し 競合ハイブリダイゼーションさせる 2color 実験では 基本的に Dye Normalization( 色素補正 ) が適用されますが color 実験では データの特徴と実験の目的 (
<4D F736F F D FB89BBBAC8B8C0B082CC FB964082C982C282A282C45F F2E646F63>
SPG 乳化コネクターコネクターの利用方法利用方法について SPG テクノ株式会社 http://www.spg-techno.co.jp/ SPG 膜を利用した簡易膜乳化デバイスに関し 板状 SPG 膜をシリンジと接続可能なコネクター同士の中央に挟み込んだポンピング式の乳化デバイスであり 少量溶液で均一な乳化エマルションを調製することができる 乳化組成の探索や 実用量が非常に微量である乳化形態 また乳化溶液が少量高価なものでロスボリュームを抑えたい場合に非常に効果的である
Microsoft Word - NJJ-105の平均波処理について_改_OK.doc
ハンディサーチ NJJ-105 の平均波処理について 2010 年 4 月 株式会社計測技術サービス 1. はじめに平均波処理の処理アルゴリズムの内容と有効性の度合いを現場測定例から示す まず ほぼ同じ鉄筋かぶりの密接鉄筋 壁厚測定時の平均波処理画像について また ダブル筋 千鳥筋の現場測定例へ平均波処理とその他画像処理を施し 処理画像の差について比較検証し 考察を加えた ( 平均波処理画像はその他の各処理画像同様
s ss s ss = ε = = s ss s (3) と表される s の要素における s s = κ = κ, =,, (4) jωε jω s は複素比誘電率に相当する物理量であり ここで PML 媒質定数を次のように定義する すなわち κξ をPML 媒質の等価比誘電率 ξ をPML 媒質の
FDTD 解析法 (Matlab 版 2 次元 PML) プログラム解説 v2.11 1. 概要 FDTD 解析における吸収境界である完全整合層 (Perfectl Matched Laer, PML) の定式化とプログラミングを2 次元 TE 波について解説する PMLは異方性の損失をもつ仮想的な物質であり 侵入して来る電磁波を逃さず吸収する 通常の物質と接する界面でインピーダンスが整合しており
<4D F736F F D2093C192E895578F8089BB8B408AD A8EC08E7B977697CC FC90B394C5816A2E646F6378>
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