広島県立総合技術研究所食品工業技術センター研究報告 第 26 号 平成 23 年 目 次 報文でんぷん分解性乳酸菌 Lactobacillus plantarum A305 株の培養特性およびマルトオリゴ糖の生成 藤原朋子 山内慎也 土屋義信 1 酒母製造に利用可能な乳酸菌の選抜 藤原朋子 藤井一嘉

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1 ISSN CODEN:HSKGAZ 広島県立総合技術研究所食品工業技術センター 研 究報告 第 26 号 平成 23 年 BULLETIN OF HIROSHIMA PREFECTURAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE FOOD TECHNOLOGY RESEARCH CENTER NO 広島県立総合技術研究所 食品工業技術センター

2 広島県立総合技術研究所食品工業技術センター研究報告 第 26 号 平成 23 年 目 次 報文でんぷん分解性乳酸菌 Lactobacillus plantarum A305 株の培養特性およびマルトオリゴ糖の生成 藤原朋子 山内慎也 土屋義信 1 酒母製造に利用可能な乳酸菌の選抜 藤原朋子 藤井一嘉 外薗寛郎 7 超音波画像解析によるゆで卵の異物検出 渡邊弥生 塩野忠彦 橋本顕彦 青山康司 17 ノート県内酒造場の山廃酛から分離した乳酸菌とその性質 藤原朋子 23 超音波画像解析によるカキ異物検出法の開発 橋本顕彦 渡邊弥生 塩野忠彦 青山康司 29 抄録 33

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4 BULLETIN OF HIROSHIMA PREFECTURAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE FOOD TECHNOLOGY RESEARCH CENTER Contents NO Originals Cultural characteristics of amylolytic Lactobacillus plantarum A305 and production of maltooligosaccharides Tomoko Fujiwara, Shinya Yamauchi and Yoshinobu Tsuchiya 1 Selection of lactic acid bacteria suitable for producing shubo or sake starter Tomoko Fujiwara, Kazuyoshi Fujii and Hiroo Hokazono 7 Ultrasonographic detection of foreign bodies in boiled eggs Yayoi Watanabe, Tadahiko Shiono, Akihiko Hashimoto and Yasushi Aoyama 17 Notes Lactic acid bacteria isolated from Yamahai-moto of the sake brewer in Hiroshima Prefecture and their characteristics Tomoko Fujiwara 23 Development of a method for using ultrasonography to detect foreign bodies in oysters Akihiko Hashimoto, Yayoi Watanabe, Tadahiko Shiono and Yasushi Aoyama 29 Abstracts 33

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6 Bulletin of Hiroshima Prefectural Technology Research Institute Food Technology Research Center No. 26(2011) 報文 1 でんぷん分解性乳酸菌 Lactobacillus plantarum A305 株の培養特性 およびマルトオリゴ糖の生成 藤原朋子 山内慎也 * 土屋義信 Cultural characteristics of amylolytic Lactobacillus plantarum A305 and production of maltooligosaccharides Tomoko Fujiwara, Shinya Yamauchi* and Yoshinobu Tsuchiya Lactobacillus plantarum A305, an amylolytic lactic acid bacterium isolated from wheat bran, produces maltooligosaccharides in soluble starch culture media. We examined conditions in which maltooligosaccharides were produced from soluble starch in the culture using the A305 strain, with the aim of producing maltooligosaccharides in high content. MRS medium in which the carbon source was replaced by soluble starch was used as the culture medium. The A305 strain was cultured at 37 in 900 ml of MRS medium, inoculated with 100 ml of A305 preculture medium. The mixture was agitated at 100 rpm. In the ph 6.5-controlled culture, growth stopped at an early culture stage, due to the low activity of amylolytic enzymes; no accumulation of maltooligosaccharides was observed. In the ph 4.5- and 5.0-controlled cultures, growth continued until the soluble starch added as the carbon source was completely consumed. As for the production of maltooligosaccharides, some amounts of G3, G4 and G5 were produced, but they disappeared as the A305 strain increased. In the presence of viable A305 in the culture medium, G1 and G2 were consumed by viable A305; the remaining maltooligosaccharides were mostly G3 and G4. To accumulate G3 and G4 as major maltooligosaccharides in the culture medium, we needed - after promoting the increase of the A305 strain and the production of amylolytic enzymes - to maintain the ph at the level low enough to suppress A305 growth but high enough for the strain to remain viable. 近年, 乳など動物由来資源での発酵に関わる乳酸菌の他に, 野菜, 果物など植物資源で増殖可能な乳酸菌を用いた発酵が注目され, 様々な発酵食品やリキッド飼料などの開発に利用されている 1). また, 植物資源の中で重要な位置を占めるでんぷんを分解 利用できる乳酸菌として, Lactobacillus 属では, L. amylovorus 2), L. manihotivorans 3), L. cellobiosus 4), L. plantarum 5)6) などが報告されている. 特に,Giraud 7) らは, 発酵キャッサバから分離した L. plantarum A6 株が, 生でんぷんを分解すると報告している. この A6 株は,pH6を保持すると菌体外で高いα - アミラーゼ活性を示すが, 乳酸の生成に伴い, 培養液の ph が3.5に低下すると,α - アミラーゼ活性が低下し, ほとんどでんぷんを分解できなくなると報告されている. 一方, Minerva ら 8) は, 魚と米の発酵食品から分離された L. plantarum L137 株のでんぷん分解酵素を精製し, その酵素の至適温度と至適 ph は, それぞれ35 および ph3.8~ 4.0であり,20~45 および ph3.5~5.0の範囲で高活性を * 広島県西部厚生環境事務所 * Hiroshima Prefecture Western Office of Health, Welfare and Environment 維持すると報告している. さらに, 可溶性でんぷんからの分解生成物は, グルコース (G1), マルトース (G2) も存在するが, 主要なものはマルトオリゴ糖のマルトトリオース (G3), マルトテトラオース (G4), マルトペンタオース (G5) であることを報告している. マルトオリゴ糖は, 低甘味, 高粘性を示し,G3や G4は特にでんぷんの老化抑制効果を有する 9). また, 人に対する機能性として,G4の摂取により腸内環境を改善する効果が認められている 10). 一方, 乳酸菌そのものは, 整腸作用や血中コレステロール低減作用, 血圧降下作用など人の健康に役立つとされている 11). 著者らはこれまでに, 小麦フスマから, 可溶性でんぷんを単一炭素源とした培地で増殖する L. plantarum A305 株を単離している 12). 本菌株について, 可溶性でんぷんを炭素源とした培地で, マルトオリゴ糖の生成がみられた. そこで, 本研究では, 食品, 飲料等に利用可能な, マルトオリゴ糖を高含有する乳酸発酵物製造を目的に,L. plantarum A305 株を用い, でんぷんを原料としてマルトオリゴ糖を高生成する培養方法について検討した.

7 2 広島食工技研報 No 実験方法 1. 供試乳酸菌小麦フスマから分離した Lactobacillus plantarum A305 株 ( 以下,A305 株とする ) 12) を, 供試乳酸菌として用いた.A305 株は, 可溶性でんぷん,α 化でんぷん, 生小麦でんぷん, 米粉およびパン粉等のでんぷん源を発酵して乳酸を生成する. 本菌株は,10% グリセロール中に菌体を懸濁後,-80 で凍結保存し, 随時復元して試験に供した. 2. 培地および培養条件供試培地には,MRS 培地 13) の炭素源をグルコースから可溶性でんぷん ( 和光一級でんぷん ( 溶性 )) に代えたもの ( 以下,MRS- 可溶性でんぷん培地とする ) を用いた. なお, 培地は, 調製時に可溶性でんぷんも同時に溶解し, ph7.0に調整後, 分間オートクレーブ殺菌した ( 殺菌培地とする ). 培養は, 全容量 2L のジャーファメンター ( 三ツワ MINI-JAR-FERMENTOR KMJ) を用い, 実容量 1L,37, 無通気で,pH 制御あるいは ph 無制御の回分方式で行った.pH 制御を行う場合は,pH コントローラーにより,2mol/L 水酸化ナトリウム水溶液を添加し, 所定の ph, すなわち ph6.5,ph5.0および ph4.5に維持した. なお, 培養中は, 培養液を均一にするため100rpm で穏やかな攪拌を行った. 前培養は,MRS- 可溶性でんぷん培地 ( 可溶性でんぷん20g/L)100mL を入れた300mL 容三角フラスコを用いて,30,24 時間の静置培養で行った. 実容量の10%(v/v) 量の前培養液 100ml を殺菌培地 900ml へ接種した. 培地 ph は5.5 程度に低下したため, 水酸化ナトリウム水溶液の添加で, 初発 ph を約 6.5に調整して培養を開始した. 3. 分析方法 ⑴ 培養液の成分分析マルトオリゴ糖の生成条件について検討するため, 各種条件で培養中の培養液をサンプリングし, 光学的濁度 ( 以下 O.D.), 乾燥菌体量, 乳酸量, 全糖量, マルトオリゴ糖量およびグルコース量を測定し, 経時変化を調べた.O. D. は, 波長 660nm で, サンプリングした培養液を殺菌培地により希釈して測定した. また, 乾燥菌体量は, あらかじめ作成した O.D. 660nm と乾燥菌体濃度との関係より求めた. 乳酸量は,F-kit L- 乳酸 /D- 乳酸測定キット (J.K. インターナショナル ) を用いて測定し, 全糖量はグルコース量としてフェノール - 硫酸法で測定した 14). マルトオリゴ糖およびグルコース量は, 高速液体クロマトグラフ (HITACHI L-6000 型 ) により,Shodex Asahipak NH2P-50 4E カラム ( mm),HITACHI L-3300 RI Monitor, 溶離液アセトニトリル / 水 (60/40), 流速 1.0mL/min, 温度 30 で測定した. ⑵ でんぷん分解酵素活性 ⅰ) 培養液中のでんぷん分解酵素活性 培養液中のでんぷん分解酵素活性の存在画分を明らかにするために,MRS- 可溶性でんぷん培地で37,24 時間, ph 無制御で A305 株を培養した培養液について, 菌体を含む培養液, 培養液の遠心上清および遠心回収菌体を用いてでんぷん分解酵素活性を測定した. 酵素活性測定の反応液は,100mmol/L 酢酸緩衝液 (ph5.0)5ml,2%(w/v) 可溶性でんぷん水溶液 4ml, 検体 1ml の全量 10ml とした. ph4.5~4.6,37 で6 時間または30 分間酵素反応させ, 沸騰水中で5 分間加熱することにより酵素反応を停止し, 反応液中の残存でんぷん量と, マルトオリゴ糖およびグルコース量を測定した. 残存でんぷん量は, ヨウ素 -でんぷん結合色により測定し,30 分間で10mg の可溶性でんぷんを分解する酵素量を1unit とし 15), これにより酵素活性を比較した. マルトオリゴ糖およびグルコース量は, 既述の培養液の成分分析と同様に, 高速液体クロマトグラフにより行った. なお, 培養液の遠心分離 (KUBOTA6900, RA-400ロータ ) は,4 300 g,4 で10 分間行った. ⅱ) でんぷん分解酵素反応におよぼす ph の影響でんぷん分解酵素反応に及ぼす ph の影響を明らかにするため, 酵素反応液の ph を緩衝液の変更により調整した. すなわち, 反応液の ph を ph2.2~3.0とするために 100mmol/L グリシン- 塩酸緩衝液を,pH4.0~5.5とするために100mmol/L 酢酸緩衝液を,pH6.5~8.0とするために100mmol/L リン酸緩衝液をそれぞれ用いて調整した. 実験結果 1.pH 無制御培養 ( 初発可溶性でんぷん濃度 20g/L) 初発可溶性でんぷん濃度を20g/L とした,pH 無制御下での A305 株の培養結果を図 1に示した. 培養開始後,pH は, 初発の6.7から乳酸の生成とともに低下した. 培養 9 時間後には ph4.1となり,24 時間後には ph3.7に低下した ( 図 1- ⅰ). 菌体濃度は, 培養 9 時間で静止期に達し,2.5g/ L となり, その後は増加しなかった. 一方, 全糖は, 培養 9 時間後には8.3g/L に低下し,24 時間後には全て消費された. 乳酸は,9 時間後には18g/L,24 時間後には25g/L に達した ( 図 1- ⅲ). また, 培養中期では, 培養液中に, マルトトリオース (G3), マルトテトラオース (G4), マルトペンタオース (G5) が検出されたが,24 時間後にはすべて消失した ( 図 1- ⅱ). グルコース (G1), マルトース (G2) およびマルトヘキサオース (G6) からマルトデカオース (G10) のマルトオリゴ糖 (G6~G10) は検出されなかった. 2.pH 制御培養 ⑴ ph6.5での培養初発可溶性でんぷん濃度 20g/L とし, 培養液の ph を6.5 に維持した培養結果を図 2-a に示した.A305 株の増殖速度は小さく, また, 培養 7 時間後には, 培地中の全糖が約 18g/L 残存しているにもかかわらず, 菌体の増殖および糖

8 藤原 他 : 乳酸菌によるマルトオリゴ糖生成 3 図 1 Lactobacillus plantarum A305 株の ph 無制御培養 ( 初発可溶性でんぷん濃度 20g/L) ⅰ ph の変化 ⅱ マルトオリゴ糖濃度の変化 ⅲ 全糖, 乳酸および菌体濃度の変化, マルトトリオース (G3);, マルトテトラオース (G4);, マルトペンタオース (G5);, 全糖 ;, 乳酸 ;, 菌体. の消費, 乳酸の生成ともほぼ停止した ( 図 2-a- ⅲ). マルトオリゴ糖は,G3,G4,G5が培養 3,4 時間後までわずかに検出された ( 図 2-a- ⅱ).pH6.5の中性域では, でんぷんを基質とした乳酸発酵は, 全糖が初発濃度の半分以上残存した状態からほとんど進まなかった. ⑵ ph5.0での培養次に, 培養液の ph を酸性域に制御した A305 株の培養について検討した.A305 株は,pH 無制御培養において, 乳酸の生成に伴い ph が低下したときには, でんぷんを分解した ( 図 1) ことから, 酸性域では分解がすすむことが予想されたため, でんぷんの消費量が大きくなることを想定し, 初発可溶性でんぷん濃度を40g/L に増加して培養実験を行った. 初発可溶性でんぷん濃度を40g/L とし, 前培養液接種後,2mol/L の水酸化ナトリウム水溶液の添加による ph 調整を行うことなく,pH5.6で培養を開始し,pH5.0に低下後は,pH5.0で維持して培養を行った結果を図 2-b に示した.pH は, 培養 3 時間後に5.0となった. 培養 24 時間後には全糖は全て消費され, 乳酸は46g/L に, 菌体濃度は 4.8g/L に達した ( 図 2-b- ⅲ). このように,pH を5.0に制御した条件下では,A305 株の増殖は停止することなく, 糖を全て消費した. 培養液中には, 培養初期に G1と G2がわずかに検出され, 培養中期に G3,G4,G5が多く検出され, 培養 5 時間後のマルトオリゴ糖濃度は,G3が3.6g/L, G4が4.4g/L,G5が2.2g/L であった ( 図 2-b- ⅱ). しかし, 図 2 Lactobacillus plantarum A305 株の ph 制御培養 (a) ph6.5 制御 ( 初発可溶性でんぷん濃度 20g/L) (b) ph5.0 制御 ( 初発可溶性でんぷん濃度 40g/L) (c) ph4.5 制御 ( 初発可溶性でんぷん濃度 40g/L) ⅰ ph の変化 ⅱ マルトオリゴ糖濃度の変化 ⅲ 全糖, 乳酸および菌体濃度の変化 +, グルコース (G1);, マルトース (G2);, マルトトリオース (G3);, マルトテトラオース (G4);, マルトペンタオース (G5);, 全糖 ;, 乳酸 ;, 菌体.

9 4 広島食工技研報 No 図 4 Lactobacillus plantarum A305 株の培養液中のでんぷん分解酵素活性とマルトオリゴ糖の生成 ( 可溶性でんぷん 0.8%(w/v),37,pH4.6,6 時間反応 ) N.D. は不検出を示す. 定量下限 0.05g/L(0.005%). 図 3 Lactobacillus plantarum A305 株の ph 無制御培養 ( 初発可溶性でんぷん濃度 100g/L) ⅰ ph の変化 ⅱ マルトオリゴ糖濃度の変化 ⅲ 全糖, 乳酸および菌体濃度の変化 +, グルコース (G1);, マルトース (G2);, マルトトリオース (G3);, マルトテトラオース (G4);, マルトペンタオース (G5);, 全糖 ;, 乳酸 ;, 菌体. 24 時間後にはマルトオリゴ糖は全て消失した. ⑶ ph4.5での培養初発可溶性でんぷん濃度を40g/l とし, 培養を ph5.6で開始し, 培養 5 時間後に ph4.5に低下後は,ph4.5に維持した培養結果を図 2-c に示した. 菌体の増殖量は,pH5.0とした培養に比べて小さく, 培養 24 時間後の菌体濃度は4.2g/L であった ( 図 2-c- ⅲ). 一方, 培地中の全糖は, 培養 24 時間後でも, 約 8g/L 残存し, 乳酸は42g/L となった. 培地中のマルトオリゴ糖は, 培養 9 時間後では,pH5.0で培養した場合に比べ多く生産され,G3が7.1g/L,G4が6.8g/L, G5が0.3g/L 検出された. しかし,24 時間後には,G3は1.4 g/l,g4は0.4g/l まで低下した ( 図 2-c- ⅱ). また,G2は培養初期にわずかに検出されたのみであった. 3.pH 無制御培養 ( 初発可溶性でんぷん濃度 100g/L) 既述のように,pH6.5に制御した培養に比べ,pH5.0および ph4.5の酸性域での培養では, でんぷんの全てあるいは大部分が分解され, また, 培養 5 時間または9 時間後に, マルトオリゴ糖の大幅な増加が認められた. しかし, それ以後は, いずれの場合もマルトオリゴ糖は減少した. そこで, 培養液中に過剰なでんぷんが存在する環境下で, マルトオリゴ糖の生成の推移をみるため, 初発でんぷん濃度を 100g/L とした培養を行った. なお,pH5.0 以下 4.0 付近の範囲の酸性領域では, 効率的なマルトオリゴ糖生産がみら れたこと ( 図 2-b,2-c) から, 実現場を想定して ph 制御を行わない培養を行うこととした. その結果を図 3に示した. 初発可溶性でんぷん濃度 20g/L の培養 ( 図 1) と同様に,pH は, 初発の6.5から, 乳酸の生成とともに低下し, 24 時間後には3.7となった ( 図 3- ⅰ). 菌体濃度の推移から, 菌体の増殖は培養 10 時間後にほぼ停止した. 培養 24 時間後には, 全糖の低下および乳酸の生成は共にほぼ停止し, 以降, 菌体濃度, 全糖および乳酸濃度は, 培養 48 時間後までほとんど変わらず横ばいで推移した ( 図 3- ⅲ). 初発可溶性でんぷん濃度 100g/L でも, 増殖速度に影響は認められなかった. しかし, 増殖がほぼ停止した培養 10 時間以後も,G3,G4は増加し,24 時間後にはそれぞれ14g/L および12g/L に達した. また,G5は, 培養 10 時間後までは増加したが, その後減少した. 一方,G1,G2は, 培養 8~10 時間にわずかに検出されたのみであった. 培養 48 時間後には, マルトオリゴ糖は,G3が21g/L,G4が13g/L まで増加したが,G5は逆に0.7g/L まで減少した ( 図 3- ii). 4. でんぷん分解酵素活性 ⑴ 培養液中のでんぷん分解酵素活性とマルトオリゴ糖の生成 A305 株の生成するでんぷん分解酵素の活性画分を検討するため, 菌体を含む培養液, 培養液の遠心上清および遠心回収菌体について, でんぷん分解酵素活性を測定した. 37 で6 時間反応させたときの, 反応液中のマルトオリゴ糖量を図 4に示した. 遠心回収菌体をでんぷん分解酵素反応に用いると,G1~G5は検出されなかった. 一方, 菌体を含まない遠心上清をでんぷん分解酵素反応に用いると, G1~G5が生成された. すなわち, 供試した A305 株のでんぷん分解酵素活性は, 菌体ではなく菌体外に認められた. しかし, 菌体を含む培養液の場合には,G3~G5が検出されたが,G1および G2は検出されなかった. ⑵ でんぷん分解酵素反応に及ぼす ph の影響とマルトオリゴ糖の生成

10 藤原 他 : 乳酸菌によるマルトオリゴ糖生成 5 培養液の遠心上清中に含まれるでんぷん分解酵素について, 反応液の ph を調整し, 酵素反応に及ぼす ph の影響を調査した結果を図 5に示した. でんぷん分解酵素活性は, ph4.5~5.0で最も高く ( 図 5-a),G3~G5のマルトオリゴ糖も多く生成された ( 図 5-b). なお, この反応に用いた培養液の遠心上清の酵素活性は,0.3unit/mL であった. 図 5 Lactobacillus plantarum A305 株のでんぷん分解酵素反応に及ぼす ph の影響とマルトオリゴ糖の生成 ( 可溶性でんぷん 0.8%(w/v),37,30 分間反応 ) (a) 最大酵素活性を 100 としたときの相対活性 (b) 反応液中のマルトオリゴ糖生成量, マルトース (G2);, マルトトリオース (G3);, マルトテトラオース (G4);, マルトペンタオース (G5). 考 本研究において,A305 株を用いた培養試験における増殖停止 ( 図 1, 図 3) の要因は, 炭素源の欠乏または ph の低下, およびその両方と考えられた. 乳酸の生成により, ph が3.7 程度に低下すると, 糖が存在しても増殖が停止した ( 図 3). 培養液の ph を中性域 (ph6.5) に制御して培養を行った場合 ( 図 2-a), 菌体の増殖が遅く, 糖が残存しているにもかかわらず培養 8 時間後に増殖が停止した. この培養において, でんぷんの分解産物であるマルトオリゴ糖量をみると, 培養初期に少し検出されたのみであった. 本培養で維持した ph6.5においては, でんぷん分解酵素活性が低い ( 図 5) ため, グルコースおよびマルトオリゴ糖の供給が追いつかなかったものと考えられた. これら少量の糖は, 培養液中に存在する菌体によって消費されたため, 菌体の増殖には適する ph にもかかわらず, 炭素源の欠乏で増殖が停止したと考えられた. これに対し, 酸性域の ph5.0および ph4.5といったでんぷん分解酵素の至適 ph を維持した培養 ( 図 2-b,2-c) で 察 は, でんぷんを炭素源として消費し終えるまで増殖可能であった. すなわち, この ph 域は, 菌体の増殖には最適な ph 域ではないものの, 増殖が停止する ph ではないため, でんぷん分解酵素の働きによりでんぷんは G1,G2にまで分解され, 菌体はこれらの糖を取込んで増殖したものと考えられた.pH5.0と ph4.5での培養を比較すると,ph5.0で増殖量が多かったのは,ph5.0の方がより菌体の増殖に適する ph であったためと考えられた. マルトオリゴ糖については,pH5.0および ph4.5において, 培養中期では顕著な生成がみられていたにもかかわらず, その後は減少し, 24 時間後にはほぼ全量が消費された.G3~G5のマルトオリゴ糖も, でんぷん分解酵素による作用が進行すると分解され, 菌体により消費される. すなわち,G3~G5の生成には, 菌体の増殖とでんぷん分解酵素活性のバランスを考えた ph 制御が重要であることが示唆された. 可溶性でんぷん100g/L とした高濃度の炭素源で ph 無制御培養 ( 図 3) した場合,pH が3.7まで低下すると, A305 株の増殖はほぼ停止したが,G3,G4の生成量は増加していった. 菌体量の増加により, でんぷん分解酵素が十分に生産されるとともに,pH の低下で増殖がほぼ停止した後も, でんぷん分解酵素が作用する ph 域は十分維持されたものと考えられた. 培養液中に含まれる菌体を取除いた遠心上清による酵素反応 ( 図 4) では, 生成される G1,G2はそのまま存在するが, 菌体が共存する培養液による酵素反応では消失した. 上記, 菌体の増殖がほぼ停止していた場合 ( 図 3) にも, 菌体の増殖は停止していたが, 菌体が死滅していたわけでない. そのため, でんぷん分解酵素の作用は持続し, 生成した G1,G2は菌体に取込まれて維持代謝に消費され, マルトオリゴ糖として, ほぼ G3と G4のみになったと考えられた. このようにでんぷん分解酵素が生産され, かつでんぷんが供給されている場合, 菌体の増殖が停止し, 生菌体が存在している環境, すなわち ph4 程度の酸性域の条件下では, でんぷんから生成した G1,G2は, 維持代謝のため, 菌体により取込まれて消費され, その結果,G3,G4の蓄積が可能になると考えられた. したがって,A305 株を用いて, 回分培養系で可溶性でんぷんからマルトオリゴ糖を蓄積するには, 以下の条件が必須である.pH 中性域から培養を開始し, 培養前期で菌体増殖を図り, でんぷん分解酵素の生産を促すと同時に, 乳酸生成させることにより ph を4 程度に低下させる. これにより, 菌体の増殖を抑え, マルトオリゴ糖量が最大になった時点で, 加熱等により酵素反応を停止させることである. Lactobacillus 属のでんぷん分解酵素による分解産物として, マルトオリゴ糖が生成されることは,Minerva らによっても報告されている 8). しかし, 培養によってマルトオリゴ糖の蓄積を示した例はない. 食品製造に利用され

11 6 広島食工技研報 No ているマルトオリゴ糖は, でんぷんを原料としてα - アミラーゼで液化反応を行った後, 特定のマルトオリゴ糖を生成するアミラーゼと, プルラナーゼやイソアミラーゼ等の枝切り酵素を併用して糖化反応を行い, その後, 濾過, 脱色, 脱イオン精製, 膜濾過, 濃縮工程等を経て製造されるものが多い 9). このようなマルトオリゴ糖シロップを, 菓子の保湿効果や, 貯蔵による老化防止に利用する場合, 砂糖の25~30% 代替が可能である 16). パンやスポンジ生地への利用は, 粉の量に対し,6~7% の利用となる 9). 今回の検討結果では, マルトオリゴ糖の蓄積は,G3と G4を合わせても, 培養液中で3% 程度が最大であった. 今後,G3, G4を主とするマルトオリゴ糖を高含有する乳酸発酵物を, 食品, 飲料等の製造へ利用するためには, さらなるマルトオリゴ糖の高濃度生成が必要となり, 培養条件の検討を要する. 要約マルトオリゴ糖を高含有する乳酸発酵物製造の基礎とするために, でんぷん分解性乳酸菌 Lactobacillus plantarum A305 株を用いた培養による可溶性でんぷんからのマルトオリゴ糖生成条件の検討を行った. ph 無制御で, 可溶性でんぷんを炭素源とした培養では, 培養液中にマルトトリオース (G3), マルトテトラオース (G4), マルトペンタオース (G5) が一時検出されたが, その後, 培養液から消失した. 培養液の ph を中性域 (ph6.5) に制御すると,A305 株の増殖は培養早期に停止し, マルトオリゴ糖の蓄積も認められなかった.pH6.5では, でんぷん分解酵素の作用が不十分なため, グルコースやマルトオリゴ糖の供給不足により増殖が停止したと考えられた. 培養液の ph を酸性域の ph4.5および ph5.0に制御した培養では, 炭素源として可溶性でんぷんを消費し終えるまで,A305 株は増殖可能であった. 一方, マルトオリゴ糖は,G3,G4,G5が途中である程度生成したが, 菌体の増殖に伴い培養液から消失した. 高濃度に可溶性でんぷんを投入した ph 無制御下での培養では,A305 株の増殖は,pH3.7 程度に低下した時点で停止した. しかし, その後もでんぷんの分解酵素の作用は続き,G3,G4の蓄積が進行した. A305 株を用いた培養液の, 遠心上清中に含まれるでんぷん分解酵素による可溶性でんぷんの分解では,G3,G4 を主として G1~G5までのマルトオリゴ糖が生成された. 一方, でんぷん分解酵素反応液中に, 生菌体が存在する条件下では, ほぼ G3と G4のみが検出され,G1,G2は菌体により取込まれて消費されたと考えられた. また,A305 株のでんぷん分解酵素活性は ph4~5の範囲で高かった. G3と G4を主なマルトオリゴ糖として蓄積するためには, まず菌体の増殖を図り, でんぷん分解酵素を多量に生産させてでんぷんを分解し, 次いで菌体により生成される乳酸で菌体の増殖を抑え, 生菌体が生存可能な,pH4 程度の低 ph にすることが必要であった. 文 1) 岡田早苗, 植物性乳酸菌世界とその秘める可能性, 日本乳酸菌学会誌, 13(1), (2002). 2) Nakamura,L.K., Lactobacillus amylovorus, a new starchhydrolyzing spiecies from cattle waste-corn fermentations. Int. J. Syst. Bacteriol., 31, (1981). 3) Morlon-Guyot,J., Guyot,J.P., Pot,B., Jacobe de Haut,I. and Raimbault,M., Lactobacillus manihotivorans sp. nov., a new starch-hydrolysing lactic acid bacterium isolated from cassava sour starch fermentation. Int. J. Syst. Bacteriol., 48, (1998). 4) Lindgren,S. and Refai,O., Amylolytic lactic acid bacteria in fish silage. J. Appl. Bacteriol., 57, (1984). 5) Giraud, E., Brauman,A., Keleke, S., Lelong, B. and Raimbault,M., Isolation and physiological study of an amylolytic strain of Lactbacillus plantarum. Appl. Microbiol. Biotechnol., 36, (1991). 6) Minerva,O., Ono,H., Shinmyo,A. and Takano,M., Lactic acid bacteria in a fermented fishery product, "Burong Bangus". J. Ferment. Bioeng. 73(3), (1992). 7) Giraud,E., Alain,C. and Maurice,R., Degradation of Raw Starch by a Wild Amylolytic Strain of Lacobacillus plantarum. Appl. Environ. Microbiol., 60(12), (1994). 8) Minerva,O., Fukuda,H., Ono,H., Kaneko,Y. and Takano,M. Characterization of Starch-Hydrolyzing Lactic acid bacteria isolated from a fermented Fish and rice food, Burond Isda, and its amylolytic enzyme. J. Ferment. Bioeng., 80(2), (1995). 9) 戸塚篤史, マルトオリゴ糖, オリゴ糖の新知識, 第 1 版, 早川幸男編,( 食品化学新聞社, 東京 ),pp (1998). 10) 菅原正義, 竹内政保, 中久喜輝夫, 光岡知足, マルトテトラオース (G4) 含有シラップのヒト腸内フローラに及ぼす影響, 栄食誌,42(2), (1989). 11) 高野俊明, 乳酸菌, 発酵食品の栄養生理効果, 乳酸菌の科学と技術, 第 2 版, 乳酸菌研究集団会編,( 学会出版センター, 東京 ),pp (1996). 12) 山内慎也, 角川幸治, 松本英之, 土屋義信, 井尻哲, 食品残さの発酵リキッド飼料化に用いる乳酸菌の特性評価, 日本養豚学会誌, 44(2), (2007). 13) de Man,J.C., Rogosa,M. and Sharpe,M.E., A medium for the cultivation of lactobacilli. J. Appl. Bacteriol., 23(1), (1960). 14) 根岸由紀子, 全糖の定量, 新食品分析ハンドブック, 第 1 版, 菅原龍幸, 前川昭男監修,( 健帛社, 東京 ),pp (2000). 15) Giraud, E., L. Gosselin, B. Marin, J. L. Parada, and M. Raimbault., Purification and characterization of an extracellular amylase from Lactobacillus plantarum strain A6. J. Appl. Bacteriol., 75, (1993). 16) 鈴木綾子, 新しい食品糖質と調理 食品加工, 糖質の科学, 第 1 版, 新家龍, 南浦能至, 北畑寿美雄, 大西正健編, ( 朝倉書店, 東京 ),pp (1996). 献

12 Bulletin of Hiroshima Prefectural Technology Research Institute Food Technology Research Center No. 26(2011) 報文 7 酒母製造に利用可能な乳酸菌の選抜 藤原朋子 藤井一嘉 * 外薗寛郎 ** Selection of lactic acid bacteria suitable for producing shubo or sake starter Tomoko Fujiwara, Kazuyoshi Fujii* and Hiroo Hokazono** To select lactic acid bacteria strains that can be substituted for lactic acid to be added in the process of producing shubo or sake starter in the sokujo-moto method, a modern procedure for sake brewing, we cultivated 103 strains of lactic acid bacteria possessed by our Research Center on four different culture media. After the selection, shubo preparation and pilot-scale sake brewing were performed, using selected strains. The ingredients of the prepared shubo and brewed sake were then evaluated. Fifteen strains were selected that met the following four criteria: viable in koji extract, not viable in 10% alcohol, viable in 20% glucose and can be cultured with koji extract alone. In shubo producing method in which lactic acid bacteria strains were added before yeast inoculation at 20 C, five Lactobacillus strains (L. sakei NBRC3541, L. curvatus B1, L. brevis A, L. manihotivorans LMG18011 and L. plantarum A) were selected. One more strain (Leuconostoc mesenteroides A2) was selected in the method in which lactic acid bacteria and yeast were added simultaneously. With these strains, we were able to produce shubo and sake of the same quality to those produced with the sokujo-moto method. 清酒醸造では, 醪の雑菌や野生酵母汚染を防止し, 健全な発酵を行なうために酒母が製造される. 酒母は, 優良清酒酵母を高密度に含むことと, 多量の乳酸を含むことが備えるべき重要な条件となる. 酒母製造法は二つに区分される. 蒸米, 米麹を仕込み水に仕込み, 微生物叢の遷移の中で, 乳酸菌により乳酸を生成させる, 伝統的製法である生酛系酒母と, 仕込み時に乳酸と酵母を同時に添加して酒母を速成する, 現在主流の速醸酛系酒母である. 生酛系酒母製造では, 自然由来の硝酸還元菌や乳酸菌の増殖を促し, 雑菌のいない良好な環境を作り出す. しかし, 使用する麹, 水の菌叢や菌数が大きく影響するため, 安定性に乏しい. このため, 微生物の遷移を不確定な自然増殖の制御によらず, 人為的に硝酸還元菌や乳酸菌を添加することにより, 生酛系酒母製造を安定化させようとの試みがなされてきた 1)~5). これらの試みは, 生酛系酒母製造を行っている酒造場においては, 硝酸還元菌や乳酸菌が順調に増殖しない場合に有効な手段と考えられる. しかし, 伝統的な生酛系酒母の製造方法は, 時間と手間がかかることには変わりがない. * 広島県立総合技術研究所農業技術センター * Hiroshima Prefectural Technology Research Institute Agricultural Technology Research Center ** 広島県東部農業技術指導所 ** Hiroshima Prefecture Eastern Center for Agricultural Technology Guidance 生酛系酒母における乳酸菌の役割は, 乳酸を生成することが第一であるが, それ以外の効果についても研究が進んでいる. 例えば, 乳酸菌が死滅する過程で溶出する, 細胞壁成分のテイコ酸が, 蒸米溶解を促進すると報告されている 6)7). また, 乳酸を直接添加する速醸酛系酒母に対して, 生酛系酒母では, 乳酸菌の増殖に伴う乳酸生成がおこるため, 酒母の ph 経過が異なり, アミノ酸含量が高いと報告されている 8)9). このため, 生酛系酒母による製成酒では, 酒母由来の高含有アミノ酸により, 酵母によるペプチド取込が抑えられ, ペプチド含量が高いと報告されている 10). さらに, 生酛系酒母中の酵母は, アルコール耐性が強いため, 醪末期までよく発酵し, 細胞死滅に伴う細胞成分の漏出が少ないとされている. このアルコール耐性の強さは, 酵母の細胞膜の特徴的なリン脂質組成によるもので, これは生酛由来の乳酸菌の増殖に起因することが報告されている 11)~13). このように, 生酛系酒母の特徴は, 乳酸菌が増殖して生成する乳酸だけによるものではないことが示されてきた. そこで, 本研究では, 速醸酛系酒母製造方法で, 従来の乳酸添加の代わりに, 乳酸菌により乳酸を生成させ, 併せて乳酸菌の乳酸生成以外の効果を発現させる利用の仕方を検討することとした. すなわち, 生酛系酒母製造における, 低温仕込みや硝酸還元菌の増殖は省いて, 乳酸菌の増殖により酒母製造を行うものである. 添加する乳酸菌に求められる培養特性は, 酒母成分に近いと考えられる麹汁成

13 8 広島食工技研報 No 表 1 供試した乳酸球菌株および麹汁調整培地における生育性 麹汁調整培地生育性 菌株属種分離源形態発酵形式 NBRC Leuconostoc mesenteroides subsp. sake 酒母 球 hetero *A1 Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides 山廃もと 球 hetero *A2 Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides 山廃もと 球 hetero *A3 Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides 山廃もと 球 hetero *23G-3 Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides ナシ皮 球 hetero JCM6124 Leuconostoc mesenteroides fermenting olives 球 hetero b10 Leuconostoc mesenteroides タイ発酵食品 球 hetero b41 Leuconostoc pseudomesenteroides タイ発酵食品 球 hetero NBRC12007 Lactococcus lactis 球 homo k1-1 Lactococcus lactis タイ発酵食品 球 homo Sa-13 Lactococcus lactis タイ発酵食品 球 homo Enterococcus faecalis タイ発酵食品 球 homo b8 Enterococcus gallinarum タイ発酵食品 球 homo Sa-6 Enterococcus gallinarum タイ発酵食品 球 homo JCM8729 Enterococcus hirae 球 homo Sa-5 Enterococcus hirae タイ発酵食品 球 homo JCM20119 Pediococcus acidilactici 球 homo Sa-2 Pediococcus acidilactici タイ発酵食品 球 homo Sa-1 Pediococcus acidilactici タイ発酵食品 球 homo JCM20109 Pediococcus pentosaceus Dairy products 球 homo *4G-1 稲わら積上げ 球 hetero *17G-1 埋土カリン 球 *18G-5 埋土カリン 球 *19G-6 埋土ハッサク 球 *20G-21 イチジク皮 球 hetero *25G-1 ミニトマト 球 *29G-1 比治山土 球 *30G-1 ドングリ 球 *34G-1 米白ぬか 球 *35G-1 精米 球 *42G-1 埋土果皮 球 *48G-1 ブドウ葉 球 *67G-1 稲わら 球 *73G-1 稲刈り後青葉 球 乳技 510 球 *54122 球 *54123 球 * は, 当センター分離株を示す. 他は微生物資源保存施設から入手あるいは分譲にて入手した株を示す. 生育性は,30 で1 日,20 で2 日,10 で7 日以内で増殖がみられた場合に ++,30 で2 日,20 で3 日,10 で14 日以内で増殖がみら れた場合に+, 増殖にそれ以上の日数を要した, または増殖しなかった場合に-と判定した. は, 選抜株 ( 生育性および分離源, 属種から選択 ) を示す. 選抜

14 藤原 他 : 酒母製造に利用可能な乳酸菌選抜 9 分中での生育が可能で, 火落ちの原因菌となり得ないようアルコール感受性を有し, 酒母の濃糖環境で増殖できる特徴を有することと考えられる. さらに, 酒母へ添加する際に望ましい麹汁での培養可能性を調査することとした 以上の条件を満たす乳酸菌株を, 当センターが保有している様々な分離源由来の乳酸菌株の中から選抜し, 酒母作製試験および清酒小仕込試験での適性について検討した結果を報告する. 実験方法 1. 供試菌株様々な分離源から当センターにて分離した乳酸菌株, あるいは微生物資源保存施設から入手した株 (NBRC 株, JCM 株 ) および他所からの分譲株を含む, 乳酸菌 103 株を供試した ( 表 1,2). 乳酸菌株は,10% グリセロールに懸濁し凍結保存したものを随時復元し, 以下の培養試験に供した. 2. 培地および培養法培地は,M.R.S.broth 培地 ( 関東化学 ) を1/2 濃度で調製した培地 ( 以下,1/2MRS 培地とする ) および次に示す麹汁培地あるいは麹汁調整培地を用いた. 麹汁培地は, 乾燥麹 ( 徳島製麹 )3 500g に水 15L, 酵素剤グルコアミラーゼ アマノ4g を加え,55 で1 晩おき, ろ過により固形分を除去した麹汁 (Brix16.1 %, グルコース濃度 12.9 %, ph4.8) をそのまま培地とした. 麹汁調整培地は, 麹汁を 2 倍希釈し, リン酸水素二カリウムで ph7.2に調整した培地とした. 麹汁成分中での生育性試験には, 麹汁調整培地を試験培地として用いた. アルコール感受性試験には, エタノール 0,2.5,5,7.5および10% を添加した1/2MRS 培地を用いた. 濃糖耐性試験には, グルコース濃度を2,10,20,25, 30および35% とした1/2MRS 培地を試験培地として用いた. 麹汁での培養可能性をみるための麹汁のみでの生育性試験には, 麹汁培地を用いた. 以上の各生育性試験は, 各試験培地 10ml に, 各菌株の前培養液 0.1ml を接種して,30 にて3~14 日間静置培養した. 前培養は,10% グリセロール凍結保存菌株を滅菌つまようじを用い,1/2MRS 培地 2ml に接種して,30 で3 日間静置培養した. なお, 麹汁成分中での生育性試験 ( 麹汁調整培地における生育性試験 ) は,30 に加えて,10 および20 の各温度でも培養した. 生育性の判定は, 培地の濁度により増殖量を判断し, 生育に要した日数と合わせて行った. すなわち, 麹汁調整培地における生育性試験では,30,20 および10 それぞれで,1 日,2 日,7 日で増殖がみられた場合に ++,2 日,3 日,14 日で増殖がみられた場合に+, それ以上の日数を要する場合を-と判定した. アルコール感受性試験, 濃糖耐性試験および麹汁のみでの生育性試験 ( 麹汁生育性試験 ) では,30,3 日間培 養で,1/2MRS 培地 ( エタノール0%, グルコース2%) と同程度の増殖がみられた場合に+, 増殖の抑制あるいは遅延がみられた場合に ±, 増殖がみられなかった場合を-と判定した. 麹汁生育性試験における酸生成は, 培養液の 0.1mol/L 水酸化ナトリウムによる中和滴定量 (ml) で示した. 3. 酒母作製および清酒小仕込試験前記の麹汁調整培地における生育性, アルコール感受性, 濃糖耐性, および麹汁生育性の各試験により選抜した乳酸菌株を用いて, 酒母作製と, これによる清酒小仕込試験を行い, 酒母製造への利用可能性について検討した. ⑴ 小規模酒母作製試験総米 90g( 蒸米 60g, 乾燥麹 27g, 汲水 110ml) で酒母の小仕込製造を行った. 醸造用乳酸 0.75ml 添加区を対照区とし, 乳酸を入れないで乳酸菌培養菌体を添加する試験区 ( 乳酸菌添加区 ) を設けた. なお, 乳酸菌は, 麹汁培地で2 日間 30 静置培養したものを, 汲水として10ml 添加した. すなわち, 乳酸菌添加区の汲水 110ml は, 水 100ml と乳酸菌培養液 10ml とを合わせたものである. また, 酵母はきょうかい酵母 701 号 ( 日本醸造協会 ) を次のように培養して添加した. すなわち, 麹汁を Brix10% に希釈し, これにグルコース13g/L, 乳酸 0.7ml/L, パントテン酸カルシウム0.017g/L を添加した酵母用麹汁培地で,30,3 日間振とう培養したものを2ml 添加した. 試験区は, 表 3に示すように, 仕込み後 20 で,2 日間乳酸菌を増殖後,3 日目に酵母を添加するⅠ 区乳酸菌添加区 ( 乳酸菌増殖後酵母添加 :20 区 ), 仕込み時に乳酸菌と酵母を同時に添加し20 で培養するⅡ 区乳酸菌添加区 ( 乳酸菌 酵母同時添加 :20 区 ), および速醸酛製造と同じように12 で仕込みを開始する速醸モデルのⅢ 区乳酸菌添加区 ( 乳酸菌 酵母同時添加 : 速醸モデル区 ) を設けた.Ⅲ 区乳酸菌添加区は,Ⅱ 区と同様に乳酸菌と酵母を仕込み時に同時添加した.ⅡおよびⅢ 区には, 対照区として, 乳酸菌の代わりに, 酵母添加と同時に醸造用乳酸を添加するⅡ 区対照区およびⅢ 区対照区を設定した. 各試験区とも7 においた後に, 次の清酒小仕込試験に供した. なお, 作製した酒母については, 遠心分離 (5 000rpm, 10 分間 ) 上清について次の項目を分析した. アルコール度はアルコメイト ( 理研計器 ) を用いて, また, 酸度およびアミノ酸度は国税庁所定分析法に準じて測定した. 酵母数は YPD 寒天培地 (1% 酵母抽出物,2% ペプトン,2% グルコース,1.5% 寒天 ) を用い, 平板塗抹法により計測した. 細菌数は標準寒天培地に真菌抑制剤シクロヘキシミドを10ppm 添加した培地を用いて, 混釈法により計測した. ⑵ 清酒小仕込試験表 4に示す仕込み配合で, 清酒小仕込試験を行った. 掛米は50% 精白米を用い, 麹は徳島製麹製 70% 精米の乾燥麹を使用した. 酒母は,7 においていた前記小規模酒母作

15 10 広島食工技研報 No 表 2 供試した乳酸桿菌株および麹汁調整培地における生育性 麹汁調整培地生育性 菌株属種分離源形態発酵形式 NBRC15893 T Lactobacillus sakei 酒母桿 homo NBRC3541 Lactobacillus sakei 酒母桿 homo *B1 Lactobacillus curvatus 山廃もと桿 homo *B2 Lactobacillus curvatus 山廃もと桿 homo JCM1125 T sweet waste-corn Lactobacillus amylophilus fermentation 桿 homo JCM1126 T cattle waste-corn Lactobacillus amylovorus fermentation 桿 homo JCM1559 Lactobacillus brevis green, fermenting Sevillano variety olives 桿 hetero NBRC3345 Lactobacillus brevis green, fermenting Sevillano variety olives 桿 hetero *010925A Lactobacillus brevis キムチ 桿 hetero *020823A Lactobacillus brevis イカキムチ 桿 hetero *021101A Lactobacillus brevis 海鮮キムチ 桿 hetero *021101B Lactobacillus brevis 海鮮キムチ 桿 hetero *021202A Lactobacillus brevis キュウリ漬け 桿 hetero *021202B Lactobacillus brevis キムチ 桿 hetero *103 Lactobacillus brevis 桿 hetero JCM1134 Lactobacillus casei cheese 桿 homo JCM1560 Lactobacillus fermentum 桿 hetero LMG18011 Lactobacillus manihotivorans cassava fermentation 桿 homo JCM1149 Lactobacillus plantarum Pickled cabbage 桿 homo *A305 Lactobacillus plantarum 赤フスマ 桿 homo *SHI3032 Lactobacillus plantarum 白フスマ 桿 homo *A3051 Lactobacillus plantarum 赤フスマ 桿 homo * Lactobacillus plantarum 桿 homo * Lactobacillus plantarum 桿 homo *1823 Lactobacillus plantarum 白菜キムチ 桿 homo *3802 Lactobacillus plantarum キムチ 桿 homo *3902 Lactobacillus plantarum キムチ 桿 homo *3930 Lactobacillus plantarum キムチ 桿 homo *6110 Lactobacillus plantarum 広島菜漬け 桿 homo *6113 Lactobacillus plantarum 広島菜漬け 桿 homo *011002A Lactobacillus plantarum 広島菜漬け 桿 homo *011009A Lactobacillus plantarum 広島菜漬け 桿 homo *011029A Lactobacillus plantarum 広島菜漬け 桿 homo あ1 Lactobacillus plantarum タイ発酵食品 桿 homo b46 Lactobacillus plantarum タイ発酵食品 桿 homo *36I -1 Lactobacillus plantarum 市販キムチ漬汁 桿 homo JCM1136 Lactobacillus rhamnosus 桿 homo k5 Lactobacillus rhamnosus ケフィア 桿 homo JCM6014 Sporolactobacillus inulinus Chicken feed 桿 *1I -2 家ぬか床 桿 *11G -11 市販ぬか漬液 桿 *11I -1 市販ぬか漬液 桿 *34I -10 米白ぬか 桿 *36G -1 キムチ漬汁 桿 *46G -1 酒粕自然発酵 桿 *70G-1 ヒガンバナ花 桿 *74G-1 埋土果皮 桿 *75G-2 埋土果皮 桿 *81I-1 市販サバなれずし 桿 *82I-1 市販サバなれずし 桿 選抜

16 藤原 他 : 酒母製造に利用可能な乳酸菌選抜 11 表 2 供試した乳酸桿菌株および麹汁調整培地における生育性 麹汁調整培地生育性 菌株属種分離源形態発酵形式 *83I-1 市販サバなれずし桿 *84I-1 市販サバなれずし桿 *84IK-1 市販サバなれずし桿 *84K-11 市販サバなれずし桿 *85I-1 市販サバなれずし桿 *85IK-1 市販サバなれずし桿 *85K-11 市販サバなれずし桿 *NA-1 ナシ果汁自然発酵桿 *NB2 ナシ果汁自然発酵桿 *NB-3 ナシ果汁自然発酵桿 * 桿 *31830 桿 * ト 30 6L 桿 KE04 桿? FG-1 桿? 滅効桿? * は, 当センター分離株を示す. 他は微生物資源保存施設から入手あるいは分譲にて入手した株を示す. 生育性は,30 で 1 日,20 で 2 日,10 で 7 日以内で増殖がみられた場合に ++,30 で 2 日,20 で 3 日,10 で 14 日以内で増殖がみられた場合に +, 増殖にそれ以上の日数を要した, または増殖しなかった場合に - と判定した. は, 選抜株 ( 生育性および分離源, 属種から選択 ) を示す. 選抜 試験区名 Ⅰ 区乳酸菌添加区 Ⅱ 区乳酸菌添加区 Ⅲ 区乳酸菌添加区 Ⅱ 区対照区 Ⅲ 区対照区 表 3 小規模酒母作製試験における試験区設定 温度管理日数 添加時期 一定 * 使用 乳酸菌増殖後酵母添加 乳酸菌 酵母 20 一定 * 使用 乳酸菌 酵母同時添加 乳酸菌 酵母 * 速醸モデル 使用 乳酸菌 酵母同時添加 乳酸菌 酵母 * 20 一定 使用 乳酸 酵母同時添加 乳酸 酵母 * 速醸モデル 使用 乳酸 酵母同時添加 乳酸 酵母 * 清酒小仕込試験に供したことを示す. 表 4 清酒小仕込試験における仕込み配合 3 酒母 初添仲添留添合計 総米 (g) 蒸米 (g) 乾燥麹 (g) 汲水 (ml) 掛米は50% 精白千本錦を使用した. 乾燥麹は精米歩合 70%, 徳島製麹社製を使用した. 小規模酒母作製試験により作製した酒母 36g を使用した. 製試験で作製した酒母のうち36g を本試験に用いた. 本試験における試験区は, 小規模酒母作製試験で選抜した区に対応して設定した. 添仕込温度を15, 踊 15, 仲仕込温度 10, 留仕込温度 8 とし, 留後 1 日 1 昇温, 最高品温 15 で5 日間,12 日目以降 1 日 0.5 下降し19 日以降 11 とした. 醪重量が, 留仕込み時から,60g 減量時に発酵終了とした. 上槽は遠心分離法で行い, 製成酒について, 日本酒度は密度比重計 DA-520( 京都電子工業 ) を用いて, アルコール度はアルコメイト ( 理研計器 ) を用いて測定し, 酸度およびアミノ酸度は国税庁所定分析法に従って測定した. また, 製成酒の香味の優劣について, 当センター職員

17 12 広島食工技研報 No 表 5 麹汁調整培地での生育性により選抜した乳酸菌 45 株のアルコール感受性 エタノール生育性 選抜 球菌A NBRC 菌株 5% 7.5% 10% A1 + ± - A G 桿菌011002A NBRC ± - B B JCM A ± LMG ± - JCM A ± SHI A ± k A + + ± A + ± - あ b I JCM ± JCM G I ± 34I ± 36G G G G G NA NB ト 30 6L + + ± FG 生育性は,30 で3 日間静置培養後に,1/2MRS 培地 ( エタノール0%) と同様な生育がみられた場合に+, 生育抑制がみられた場合に ±, 生育がみられなかった場合に-と判定した. は, 選抜株 ( エタノール10% で非生育 ) を示す. 3 名で官能評価した. 実験結果および考察 1. 培養特性による乳酸菌の選抜 ⑴ 麹汁成分中での生育性麹汁調整培地は, 麹汁成分中での各菌株の生育を試験するために,pH を調整した培地である. 供試 103 株の麹汁調整培地生育性の結果を表 1,2に示した. 乳酸球菌は本培地で生育可能な株が少なく, 乳酸桿菌は生育できる株が多かった. 生育良好な株として, 生育判定が ++ である株全てを選抜した. さらに, 生育判定が+であっても, 分離源が酒母である株, および生育判定 ++ 選抜株と属種が異なる株などから追加で数株を選択し, 乳酸球菌 37 株から6 株を, 乳酸桿菌 66 株から39 株の, 表 1,2 中 で示した計 45 株を選抜した. ⑵ アルコール感受性麹汁調整培地で選抜した45 株について, アルコール感受性を評価した結果を表 5に示した. エタノール5% では供試した全ての株が生育し,7.5% では球菌の4 株と桿菌の1 株が生育しなかったが, 他の菌株は生育可能であった. エタノール10% で生育しない乳酸菌株は, 清酒醸造の火落菌, 腐造乳酸菌となり得ないと期待されるため, エタノール 10% で生育しない球菌 5 株と桿菌 10 株, 計 15 株を選抜した. ⑶ 濃糖耐性アルコール感受性で選抜した15 株の濃糖耐性を評価した結果を表 6に示した. グルコース25% 以上では, 生育遅延を示す株が多かったが,20% では NBRC 株以外の14 株は全て生育遅延することなく,1/2MRS 培地と同様に生育した. 酒母は濃糖環境であり, グルコース濃度が高いときには20% 程度になるとされている. そのため, グルコース20% で生育可能な供試 15 株は全て, 酒母製造中に生育可能と考えられる. ⑷ 麹汁生育性酒母製造時に乳酸菌を添加する場合, 添加乳酸菌を培養する培地は, 人工培地ではなく, 米あるいは麹から作製したものが望ましい. 添加酵母用の培養にも用いられる麹汁で培養可能であれば, 麹汁を添加乳酸菌用の培地としても利用できることから, アルコール感受性で選抜した15 株について, 麹汁生育性を評価した結果を表 6に示した. 使用した麹汁は ph4.8で, 酸性からの培養開始であった. 生育に差はみられたが,15 株とも麹汁による培養が可能であった. 酸生成量は, 生育に遅れがみられた株で1~2ml, 生育良好な株で2~8ml であり, 菌株によりかなりの差がみられた. 以上の結果, 麹汁成分で生育可能, アルコール10% で生育不能, 濃糖グルコース20% で生育可能および麹汁のみで生育可能の4 条件から, 酒母の製造に利用可能性のある乳酸菌として, 乳酸球菌では供試 37 株中 5 株, 乳酸桿菌では

18 藤原 他 : 酒母製造に利用可能な乳酸菌選抜 13 表 6 アルコール感受性で選抜した乳酸菌 15 株の濃糖耐性および麹汁生育性 球菌桿菌濃糖 ( グルコース ) 生育性 麹汁生育性 * 菌株 属種 10% 20% 25% 30% 35% 生育 酸生成選抜 ** Leuconostoc mesenteroides subsp. A2 + + ± ± mesenteroides NBRC Leuconostoc mesenteroides subsp. sake + ± ± ± - ± 1 A1 Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides + + ± ± A3 Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides + + ± ± G-3 Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides + + ± ± JCM1559 Lactobacillus brevis ± A Lactobacillus brevis + + ± ± ± + 5 NBRC3541 Lactobacillus sakei + + ± ± - ± 2 B1 Lactobacillus curvatus + + ± ± B2 Lactobacillus curvatus + + ± ± LMG18011 Lactobacillus manihotivorans + + ± ± - ± A Lactobacillus plantarum ± A Lactobacillus plantarum ± I-1 Lactobacillus plantarum + + ± ± ± + 6 JCM6014 Sporolactobacillus inulinus + + ± ± ± + 3 * 麹汁培地は,Brix16.1%, グルコース12.9%,pH4.8であった. ** 酸生成は,30 で2 日間培養した培養液 10ml に対して中和に必要な0.1mol/L 水酸化ナトリウムの量 (ml) で示した. 生育性は,30 3 日間静置培養後に,1/2MRS 培地 ( グルコース2%) と同様な生育がみられた場合に+, 生育遅延がみられた場合に ±, 生育がみられなかった場合に-と判定した. は, 選抜株 ( グルコース20% および麹汁のみで生育可能 ) を示す. 表 7 小規模酒母作製試験における添加乳酸菌数および作製した酒母の成分 試験区 酒母 乳酸菌添加区で添加した菌株および乳酸添加 酒母作製時に添加した乳酸菌数 * (logcfu/ml) 酸度 (ml) アミノ酸度 (ml) 作製した酒母 アルコール (%) 酵母数 (logcfu/g) 細菌数 ** (logcfu/g)Ⅰnbrc *** 選抜 A G NBRC B JCM A LMG A A I JCM A2 0Ⅱ NBRC 乳酸添加 ( 対照 ) ⅢA NBRC 乳酸添加 ( 対照 ) * -は乳酸菌を添加していないことを示す( 対照区として乳酸添加 ). ** 菌が不検出の場合, 菌数を10 0 とした. *** 下線の数値は, 酸不足 過多, アルコール不足, 酵母生育不良を示し, 酒母として不適格性を示す. は, 選抜株 ( 酸不足 過多, アルコール不足, 酵母生育不良, および細菌検出に該当しない株 ) を示す.

19 14 広島食工技研報 No 供試 66 株中 10 株の計 15 株を選抜した. 選抜した乳酸球菌は, 清酒酒母から分離された NBRC 株,A1 株,A2 株,A3 株, およびナシ皮から分離された23G-3 株で, いずれも Leuconostoc mesenteroides であった. 選抜した乳酸桿菌は, 清酒酒母から分離された Lactobacillus sakei NBRC3541 株,L. curvatus B1 株,B2 株と, キムチなどの発酵物から分離された L. brevis JCM1559 株,021101A 株, L. manihotivorans LMG18011 株,L. plantarum A 株,011029A 株,36I-1 株および鶏飼料から分離された Sporolactobacillus inulinus JCM6014 株であった. 2. 選抜乳酸菌を利用した酒母作製および清酒小仕込試験 ⑴ 小規模酒母作製試験前項において選抜した乳酸菌 15 株のうち, 分離源が同一で, 同様の性質を示した ( 研究ノート 県内酒造場の山廃酛から分離した乳酸菌とその性質 参照 )A1 株,A2 株, A3 株から A2 株を, また B1 株,B2 株から B1 株の各 1 株ずつを使用することとし,12 株について,Ⅰ 区乳酸菌添加区の酒母を作製した. また,Ⅱ 区およびⅢ 区については, 対照区 ( 乳酸添加区 ) のほかに, 乳酸菌添加区として乳酸球菌の A2 株と乳酸桿菌の NBRC3541 株を供試した. これら供試菌株について, 酒母作製時に添加した麹汁培地培養液中の乳酸菌数と, 作製した酒母の成分を表 7に示した. 添加した麹汁培地培養液中の乳酸菌数は, NBRC 株,NBRC3541 株および LMG18011 株で10 5 ~ 10 6 CFU/ml と, 他の菌株に比べて少なかったが, 菌数の調整は行わずに, いずれも培養液 10ml をそのまま仕込んだ. すなわち, 添加した麹汁培地培養液の乳酸菌数が 10 5 CFU/ml の場合でも, 添加後の乳酸菌数は10 4 CFU/g 程度となる. 生酛系酒母製造時に乳酸菌を添加する場合には, 添加後の乳酸菌数は10 3 CFU/g が最低限確保されていればよいであろうとされている 2). 今回は製造法が異なるが, 添加後の乳酸菌数としては, 十分な数が確保されていたと考えられたため, 菌数の調整は行わなかった. 作製した酒母についてみると,Ⅰ 区乳酸菌添加区の NBRC 株とⅡ 区およびⅢ 区の NBRC3541 株で, 酒母の酸度が,Ⅱ 区およびⅢ 区の対照区 ( 乳酸添加区 ) よりも低く, 酒母として必要な酸度に達していないと考えられた.NBRC 株は麹汁培地で培養時の酸生成も少なく ( 表 6), 酸生成能が低いと考えられた. また,NBRC3541 株は,Ⅰ 区では対照区の酸度に達しているが,Ⅱ 区および Ⅲ 区では酸度不足となった. 更に,A2 株においても,Ⅱ, Ⅲ 区で対照区以上の酸度であったが,Ⅰ 区よりⅡ 区,Ⅲ 区のほうが酸度は低い傾向がみられた. 乳酸菌添加による酒母製造においては, 乳酸菌株により, 酵母添加時期の調整の必要性が示唆された. また,JCM1559 株,011002A 株, JCM6014 株では, 酸度 15 以上であり, 生酛系酒母でも酸度 10~12 程度であること 14) から, 酸生成過多と考えられ た. アミノ酸度は, 乳酸菌添加区は各菌株とも, 対照区 ( 乳酸添加区 ) に比べて, 同等かそれ以上であった. アルコールおよび酵母数についてみると, 対照区と同等のものがほとんどであったが,Ⅰ 区乳酸菌添加区の A2 株と011002A 株ではアルコールが10% より低く, 酵母数も少なかった A 株では, 作製した酒母中に細菌が 10 6 CFU/g と多く存在し, 酸度が16.4と高いことから, 検出された細菌は, 添加した乳酸菌 株が生残したものと考えられた. すなわち,011002A 株の生育に伴う酸生成量過多により, 酵母の生育が抑えられたと考えられる. 以上の結果から, 本試験で作製した酒母について, 次のものは酒母として適さないと考えられた. 酸度が15 以上と高いⅠ 区の JCM1559 株,011002A 株,JCM6014 株および酸度が対照区 ( 乳酸添加区 ) よりも低いⅠ 区の NBRC 株とⅡ 区およびⅢ 区の NBRC3541 株である. さらに, アルコールが10 % よりも低い Ⅰ 区の A2 株と A 株, 酵母数が5 107CFU/g よりも少ないⅠ 区の A2 株,23G-3 株,011002A 株および細菌が検出されたⅠ 区の011002A 株である. したがって, 酒母製造に適している乳酸菌は, 乳酸菌を先に増殖させておく方法 (Ⅰ 区乳酸菌添加区 ) では,NBRC3541 株,B1 株,021101A 株, LMG18011 株,011029A 株および36I-1 株の6 株, 乳酸菌と酵母を同時添加する方法 (Ⅱ 区およびⅢ 区の乳酸菌添加区 ) では,A2 株の計 7 株と考えられた. ⑵ 清酒小仕込試験前記の小規模酒母作製試験で選抜した7 株および乳酸添加により作製した酒母を用いて, 総米 200g の小仕込試験を行った結果を表 8に示した. 醪日数は,Ⅰ 区乳酸菌添加区の36I-1 株使用の酒母を除き, 対照区 ( 乳酸添加区 ) の 29 日よりも短かった. 製成酒の成分は, 酸度, アミノ酸度およびアルコールについて, 対照区とほぼ同等であった. 日本酒度は, 醪日数が短かったⅠ 区 NBRC3541 株および B1 株とⅡ 区 A2 株では, 少し低めの傾向であった.Ⅰ 区の 36I-1 株以外は, 醪日数で対照区よりも優れていた. 製成酒の官能評価では, 各区とも対照と同等であり, 乳酸菌添加による際立った違いはなかった. 麹菌のα-アミラーゼによる蒸米の溶解促進が, 乳酸菌の細胞壁成分に起因する 6)7) との報告があり, 本試験でも蒸米溶解促進効果が同様に働いている可能性が考えられる. 本試験で作製した酒母のアミノ酸量は, 対照区 ( 乳酸添加区 ) に比べ, 乳酸菌添加区で少し多いものもあった ( 表 7) が, 生酛系酒母での増加 8)9)14) ほど多くなかった. 生酛系酒母でのアミノ酸の増加要因は高濃度のグルコースの存在と,pH4.5 前後の限られた ph 条件にさらされること 8)9) であり, また, アミノ酸度の増加は酸度の増加と並行し, その最高量は酸度の増加の緩慢な方が多い 1) とされている. 本試験の乳酸菌添加区で製造された酒母では, 添加乳

20 藤原 他 : 酒母製造に利用可能な乳酸菌選抜 15 表 8 清酒小仕込試験における醪日数および製成酒の成分 試験区 酒母 乳酸菌添加区で添加した菌株および乳酸添加 醪日数 酸度 (ml) アミノ酸度 (ml) 製成酒 アルコール (%) 選抜 日本酒度 ⅠNBRC B A LMG A I Ⅱ A 乳酸添加 ( 対照 ) ⅢA 乳酸添加 ( 対照 ) は, 選抜株 ( 醪日数および製成酒の成分が対照区と同等以上 ) を示す. 酸菌により速やかに乳酸が生成しており, 報告されている生酛系酒母でのアミノ酸増加条件とは異なった. 清酒小仕込試験での製成酒のアミノ酸量は, 酒母作製において, 乳酸菌添加区と対照区 ( 乳酸添加区 ) に差がなかった. この点は, 速醸系と生酛系で製成酒のアミノ酸量に差がないこと 10) と一致した. 本試験において, 既述のようにⅠ 区乳酸菌添加区 36Ⅰ -1 株を除き乳酸菌添加区では, 対照区 ( 乳酸添加区 ) よりも醪日数が短くなった. 乳酸菌が増殖する際に, 原料から溶出するリノール酸を取込み, パルミチン酸が多く残っている これが後に増殖する生酛酵母の膜脂質構造ひいてはアルコール耐性を特徴づける要因とされている 11)~13). 本試験での醪日数短縮の結果は, 乳酸菌によるリノール酸の取込みが良好に行われ, アルコール耐性の高い酵母が, 順調にアルコール発酵をした可能性が考えられる. 培養特性で選抜した乳酸菌 15 株の中から, 小規模酒母作製試験に12 株供試し, さらに, 清酒小仕込試験に12 株中 7 株を供試した.NBRC3541 株,B1 株,021101A 株,LMG18011 株および011029A 株の5 株については, 乳酸菌を先に増殖させた後に, 酵母を添加し20 で酒母を作製する製造法 ( 乳酸菌増殖後酵母添加区 ; 表 3) で, 速醸酛系酒母作製方法に近い対照区 ( 乳酸添加区 ) と同等の酒母および製成酒を製造することが可能であった ( 表 7, 表 8).5 株とも乳酸桿菌 Lactobacillus 属であった. 乳酸菌と酵母を同時に添加して酒母を作製する製造法 ( 乳酸菌 酵母同時添加区 ; 表 3) では, 乳酸球菌の A2 株の使用が可能であった. 本研究により, 乳酸菌を利用し, 簡易な製造法により, 速醸酛系酒母と同程度の酒母が製造できることが示された. 乳酸菌による乳酸生成以外の付加機能について, 今後検討すべき課題であるが, 乳酸菌を利用した簡易な酒母製造方法は, 速醸酛系酒母製造並の簡便さで, 生酛系酒母における乳酸菌生育に伴う効果が期待できる可能性がある. 要 速醸酛系酒母製造における乳酸添加の代わりに利用可能な乳酸菌株を選抜する目的で, 当センター保有の乳酸菌 103 株について,4 種類の培地での生育性による選抜と, 選抜した乳酸菌株を用いた酒母作製試験および清酒小仕込試験により, 酒母としての適格性と製成酒の成分を評価した. 麹汁成分で生育可能, アルコール10% で生育不能, 濃糖グルコース20% で生育可能, 麹汁のみで培養可能の4 条件を満たす株として15 株を選抜した. 乳酸菌を先に増殖させた後に酵母を添加する20 での酒母製造法で,Lactobacillus 属 5 株, すなわち,L. sakei NBRC3541 株,L. curvatus B1 株,L. brevis A 株,L. manihotivorans LMG18011 株および L. plantarum A 株を選抜した. 乳酸菌と酵母を同時に添加する方法で,1 株,Leuconostoc mesenteroides A2 株を選抜し, 速醸酛系酒母製造方法と同等の酒母およびこれによる製成酒の製造が可能であった. 文 1) 芦沢長, 山廃酒母における微生物学的研究 ( 第 3 報 ) 乳酸菌添加の影響について, 醸協,58(6), (1963). 2) 芦沢長, 山廃酒母における微生物学的研究 ( 第 6 報 ) 育成日数の短縮について, 醸協,59(3), (1964). 3) 鈴木賢二, 高橋幹雄, 根本彩, 佐藤寿昭, 根本秀夫, 佐藤正, 福島県産ブランド清酒の開発 - 山廃酛用微生物の検索と山廃酛および純米大吟醸酒の試験醸造 -, 福島県ハイテクプラザ試験研究報告, 平成 15 年度,63-66(2003). 4) 鈴木賢二, 鈴木英二, 高橋亮, 櫛田長子, 佐藤正, 福島県産ブランド清酒の開発 - 山廃酛用微生物の検索と山廃酛および純米大吟醸酒の試験醸造 -, 福島県ハイテクプラザ試験研究報告, 平成 16 年度,75-77(2004). 5) 西尾昭, 茂一孝, 乳酸菌と硝酸還元菌の添加による生もと系酒母製造の安定化, 鳥取県産業技術センター研究報告, 11,55-58(2009). 6) 溝口晴彦, 鶴本真人, 古川彰久, 川崎恒, 生酛中より分離 約 献

21 16 広島食工技研報 No された乳酸菌による蒸米溶解促進と作用因子の分画, 醗工誌,69(4), (1991). 7) 溝口晴彦, 鶴本真人, 古川彰久, 川崎恒, 生酛中の乳酸菌に由来するテイコ酸の α 化米溶解促進作用機作, 醗工誌, 69(4), (1991). 8) Iemura,Y., Yamada,T., Takahashi,T., Furukawa,K. and Hara,S., Properties of the Peptides Liberated from Rice Protein in Sokujyo-moto, J. Biosci. Bioeng., 88(3), (1999). 9) Iemura,Y., Takahashi,T., Yamada,T., Furukawa,K. and Hara,S., Properties of TCA-Insoluble Peptides in Kimoto (Traditional Seed Mash for Sake Brewing)and Conditions for Liberation of the Peptides from Rice Protein, J. Biosci. Bioeng., 88(5), (1999). 10) Iemura,Y., Yamada,T., Takahashi,T., Furukawa,K. and Hara,S., Influence of Amino Acid Content in Seed Mash on Peptide Uptake by Yeast Cells in Main Mash in Sake Brewing Process, J. Biosci. Bioeng., 88(6), (1999). 11) 溝口晴彦, 池田朋, 原昌道, 生酛における枯らし中の酵母生存率に及ぼす酵母の生理的性質, 生工誌,72(5), (1994). 12) 溝口晴彦, 原昌道, 生酛で育成された酵母のリン脂質脂肪酸組成に及ぼす乳酸菌の影響, 生工誌,72(5), (1994). 13) Mizoguchi,H. and Hara,S., Effect of Fatty Acid Saturation in Membrane Lipid Bilayers on Simple Diffusion in the Presence of Ethanol at High Concentrations, J. Ferment. Bioeng., 81(5), (1996). 14) 梅田紀彦, 酒母, 増補改訂酒造講本, 増補改訂新版, 佐藤信, 川嶋宏監修,( 財団法人日本醸造協会, 東京 ), pp (2007).

22 Bulletin of Hiroshima Prefectural Technology Research Institute Food Technology Research Center No. 26(2011) 報文 17 超音波画像解析によるゆで卵の異物検出 渡邊弥生 塩野忠彦 橋本顕彦 青山康司 Ultrasonographic detection of foreign bodies in boiled eggs Yayoi Watanabe, Tadahiko Shiono, Akihiko Hashimoto and Yasushi Aoyama We examined how to detect eggshell fragments in boiled eggs, using a medical ultrasound diagnostic imaging system. The stronger ultrasound reflection from the eggshell fragment could be detect in the lower ultrasound frequency(6 to 9MHz), and the optimal distance of the ultrasound probe to the eggshell fragment was determined to be 1 to 3 cm. Therefore it was difficult to evaluate a whole egg with a single fixed probe, and it considered several probes were necessary for the detection. In this static condition, comparing the each mean concentration value, which was calculated from binarized and trimmed ultrasound image, was effective for the detection of foreign bodies in a boiled egg. Since the reflection from the nearby egg white close to the probe and noise were observed in the dynamic condition, the concentration value was not enough to distinguish the eggshell fragment from the egg white reflection. Therefore the shape characteristics, defined as the ratio between the major axis and the minor axis of the ellipse equivalent, was considered to be useful for detecting the eggshell fragment from the boiled egg. 消費者の食品に対する安全 安心意識の高まりに伴い, 食品製造企業に寄せられる異物混入クレーム件数が増加している 1). 食品製造現場では, 異物が製品の中に混入している場合の異物検出装置として, 金属探知機や X 線異物検出機などが利用されているが, 異物の種類や大きさ等が多様なため, 完全に検出 除去できないのが現状である 2). 特に, 密度が低い異物などは, これらの装置では検出できないものも多く存在する. そのため, 食品企業では, 従来の装置では検出できない異物の新たな検出 除去技術が求められている. 超音波は非破壊で瞬時に素材内部の情報を得られるため, 安全と品質を保ちながら, 食品を検査できる有効な手段であると考えられる 3)~6). しかし, 超音波は空気中では減衰しほとんど情報を得ることができないため, 水中での情報収集に利用されることが多い. 著者らは, 水中に浸漬可能な食品であるゆでた鶏卵の卵殻を取り除いた剥き身 ( 以下ゆで卵とする ) を検査対象とし, 従来の方法では検出が難しいゆで卵に付着または突き刺さった卵殻を異物として, 超音波照射で得られたエコー画像を利用して検出することを検討した. 6MHz, 振動子が64 素子であり, 取得される画像データの画素数は であった.sarano のプローブ (L U) はリニア型で, 周波数 6~12MHz, 振動子が128 素子であり, 取得される画像データの画素数は ( 最大時 ) であった. 2. 画像測定システム ⑴ 静的画像測定システム測定は, 水槽に水を入れ, 異物として卵殻片 ( 以下, 殻 実験方法 1. 超音波画像装置超音波画像の取得には, みるキューブ ( グローバルヘルス社製 ) および sarano 7) ( 島津製作所製 ) を使用した. みるキューブのプローブはリニア型で, 周波数 図 1 画像測定システム静的画像測定の場合は, 卵を固定して, プローブを一定間隔移動させるごとに静止画を撮影した. 動的画像測定の場合は, 卵の回転やプローブ移動を行いながら, 動画を撮影した.

23 18 広島食工技研報 No とする ) を上部表面に付着または突き刺した状態のゆで卵を, 完全に水面下に浸漬して行った. プローブは,XYZ 軸リニア走査装置 ( 中央精機社製 CPC-3D) にクランプを用いて固定し, プローブ先端が水中に漬かった状態で水平移動させて, 水中に静置したゆで卵の超音波画像を取得した ( 図 1). プローブを一定距離移動するごとに超音波反射画像を取得した. ⑵ 動的画像測定システムゆで卵を用いた食品製造現場でのゆで卵の連続的な動きを想定した動的画像取得のため, 試料を回転させることと同時に, プローブを XYZ 軸リニア走査装置により水平移動させることを組み合わせて, 模擬的移動条件下において, 試料の超音波画像を取得した ( 図 1). 超音波装置としてはみるキューブを用いた. 測定は, 静的画像測定と同様に, 殻を突き刺したゆで卵を試料として水面下に浸漬し, 試料回転速度 :60rpm, プローブ移動速度 :1 cm/s で行った. 動画撮影は AmaRecCo(amamann,ver. 3.10a) により行い, フレームレートを50fps とした. 3. 画像処理方法 ⑴ 静的画像測定静的画像測定システムにより得られた画像は, PopImaging3.8( デジタル ビーイング キッズ社製 ) を用い解析した. すなわち, 画像の最大輝度値や平均濃度値などの特徴量を解析した. また, トリミング処理や 2 値化操作を行い, その後の画像の特徴量を解析した. ⑵ 動的画像測定動的画像測定システムにより撮影した動画から GOM Player( グレテック,ver. 2.1) により静止画抽出を行い, 得られた静止画像を Image Factory(Imsoft,ver ) を用いて画像処理した. 画像処理は, 静止画を静的 2 値化 ( 閾値 100) し, 形状特徴計測を行った. 形状特徴計測は, 抽出対象設定を幅, 高さともに10ピクセル以上とし, 小さいノイズを排除した反射像をカウントした. カウントした反射像の特徴量として等価楕円主副軸比 8) を求めた. 等価楕円主副軸比 (A) は, 面積一定で対象物を円形状に置き換えた際の等価楕円長径 (a) と等価楕円短径 (b) の百分率比であり,A=b/a 100で求められた. 4. 超音波周波数が異物検出に及ぼす影響異物検出に適した超音波の周波数を調べるため, 周波数設定が変更可能な sarano を用いて撮影を行った. ゆで卵の上部に殻を突き刺し, 超音波の周波数を5 段階 (6~9 MHz,7.5~10.5 MHz, 9~12 MHz, 9~11MHz(H)*, 10~ 12 MHz(H)* ) 変化させて超音波を照射し, 静的画像測定システムにより反射画像を取得した.(*H; ハーモニックイメージング. 超音波が媒質を伝搬中に発生する高調波の成分を映像化する手法 ) 5. 超音波画像装置の差異による異物の検出超音波画像装置 sarano(6~9 MHz) およびみるキュー ブ (6 MHz) を用いて, 殻を付着または突き刺したゆで卵に超音波を照射し, 静的画像測定システムにより反射画像を撮影した. 6. 超音波強度が画像に及ぼす影響超音波は卵を通過する際に減衰するため, プローブと異物である殻との距離が長くなると殻の検出が難しくなると考えられる. したがって, みるキューブを用いて, 水槽底やゆで卵底側からの反射像を得られるように超音波強度を volume144と volume255( 最大値 ) に変化させて, 静的画像測定システムにより撮影を行い, 超音波強度が画像に及ぼす影響を調べた. 7. 超音波画像解析による殻の検出静的画像測定システムにより, ゆで卵を長軸方向に3 mm 間隔でスキャンして得た1 枚 1 枚の画像について, プローブ付近の高輝度部分と水槽底部分の画像を除去するトリミング処理を行い, その後, 画像の平均濃度値を求めた. また, 画像に対して判別分析法 9) による2 値化処理をした後に, 同様にトリミングを行い, 画像平均濃度値を求めた. 殻の配置については, 殻を卵表面にのせるように配置した場合を横方向, 卵の長軸と垂直に突き刺す方向に配置した場合を縦方向とした. なお, 殻のある場合とない場合で画像平均濃度値に差があるか調べるために, 殻ありの横方向と縦方向および殻なしの各区の卵 5 個について平均濃度値の最大値を抽出し,t- 検定を行った. 有意水準は 0.05とした. 8. 動的条件における超音波画像解析による殻の検出殻を突き刺したゆで卵を60rpm で回転させ, プローブを固定した場合と, 卵を回転させながら1 cm/s でプローブを移動した場合の動画を取得した. 得られた画像に対し, 既述の動的画像測定の方法で画像処理を行い, 等価楕円主副軸比を求めた. また, ゆで卵を固定してプローブ移動のみ行う場合は, 殻の位置をゆで卵の上端部にある場合を0 として, これに対して30 と90 ( 横側部 ) の3 位置で撮影を行い, 同様に等価楕円主副軸比を求めた. 実験結果および考察 1. 超音波周波数が異物検出に及ぼす影響異なる周波数の超音波を照射して得られた反射画像の最大輝度値, 平均濃度値,2 値化後の殻部分の度数を図 2に示した. ハーモニックイメージングでは最大輝度値と平均濃度値が小さくなったが, それ以外の周波数では大きな影響はなかった. また,2 値化後の殻の度数は, 周波数が高くなるほど小さくなった. したがって, 超音波画像ではハーモニックイメージングを使わない方が明るい画像が得られ, また周波数が低いほど異物からの反射が大きく評価されることが分かった. 2. 超音波画像装置の差異による異物の検出 sarano およびみるキューブを用いて, 殻を突き刺した

24 渡邊 他 : 超音波画像解析による異物検出 19 図 2 周波数を変化させて撮影したゆで卵の画像解析 (A) 最大輝度値,(B) 平均濃度値,(C)2 値化 ( 閾値 80) 後の殻の度数平均値 ± 標準誤差 (n=3), 殻 : 3 mm 角上部突き刺し H: ハーモニックイメージング装置 :sarano, 設定 :focus 1, size 60, gain 10 ゆで卵を撮影して得られた画像を図 3に示した.sarano を用いた撮影では, 黄身やからざ部分などの卵内部の様子が詳細に画像化された. 一方, みるキューブではゆで卵自体の反射はほとんどなく, 殻からのみ強い反射像が得られた. みるキューブに比べて,sarano はプローブの素子数や画像データの画素数が多いため, より詳細に画像化されたと考えられる. 食品製造現場において, ゆで卵における異物としての殻は卵表面付近へ付着するか突き刺さっていると考えられるため, 卵内部の詳細な情報は不必要である. したがって,sarano はゆで卵の異物検出には不向きであり, みるキューブを用いた方が有効であると考えられた. 3. 超音波強度が画像に及ぼす影響図 4に, みるキューブを用いて超音波プローブと卵の間の距離を変えて, 撮影を行った場合の画像を示した. プローブと卵の距離が0.3 cm と非常に近い場合は, プローブ近傍の輝度の高い部分と殻の画像の判別が難しかった. 一方, 卵とプローブの距離が離れると, 殻からの反射が小さくなっており, 特に4 cm 以上離れると, 殻画像の輝度が非常に低くなっていた. したがって, 対象とプローブとの距離は,1~3 cm が適していた. しかし, 鶏卵の直径は約 5 cm あるため, プローブと反対側の面に殻がある場合には, 検出が難しいと考えられた. そこで, 水槽底やゆで卵の底側からの反射像を得られるように超音波強度について検討した. 超音波の強度を変化させた場合の画像を図 5に示した. 超音波強度が小さ 図 3 sarano およびみるキューブで撮影した殻混入ゆで卵の断面画像 sarano 設定 : frequency 6~9 MHz, gain 20 みるキューブ設定 : frequency 6 MHz, volume 144 殻 :3 mm 角上部突き刺し

25 20 広島食工技研報 No * * * * * * 0.3 cm 1 cm 2 cm 3 cm 4 cm 5 cm 図 4 卵上端部とプローブ間の距離の影響殻 : 卵の上部にのせた状態 (2 cm 角 ),*: 殻画像装置 : みるキューブ,volume 設定 :144 図 5 超音波強度の影響上段 : 撮影画像, 下段 : 2 値化画像 ( 判別分析法 ) (A) 卵なし,(B) 殻なし卵,(C) 殻あり卵殻 : 卵の下に置いた状態 (3 mm 角 ), 装置 : みるキューブ い場合 (Volume 144) では超音波が卵を通過中に減衰し, 水槽底からの反射像や底側にある殻の画像は得られなかった. 一方, 超音波強度を上げた場合 (Volume 255), 底側にある殻からの反射像は得られたが, ノイズが大きいうえに, 白身や黄身の表面からの反射像があるため, 殻の検出は難しかった. すなわち1つのプローブで卵全体の殻を検出することは難しいと示唆された. したがって, 少なくとも2 方向からの超音波画像をもって, 殻の検出をする必要があると考えられた. 4. 超音波画像解析による殻の検出画像の平均濃度値を算出した結果を図 6に示した. 撮影した画像をトリミングしたのみでは, 殻の存在する部位以外のスキャン位置でも平均濃度値が変動するため, 殻の有無の判別が難しかった. しかし,2 値化処理をした後トリミングを行うことで, 殻の存在する部位以外のスキャン位 置での平均濃度値がほぼ一定になり, 殻の存在する部位のみで値が大きくなった. 異物である殻がある場合とない場合のゆで卵を3 mm 間隔でスキャンして得た超音波画像それぞれについて,2 値化後トリミング処理し, 平均濃度値を算出し, 各卵における最大値を抽出した結果を図 7に示した. 殻がある場合と殻がない場合の間には, 画像平均濃度値の最大値に有意な差が認められた. このことから, 異物検出のパラメータとして, 画像平均濃度値が使用できると示唆された. 例えば平均濃度値が2.5 以上になった場合に殻があると判定すれば, 殻の検出が可能になると考えられた. また, 殻を横方向に配置した方が, 縦方向にするよりも, 平均濃度値が高くなっていた. 卵の殻は厚みが約 0.4 mm と薄いため, 殻を横方向に配置すると, 縦方向配置するのに比べて超音波が反射する面積が大きくなる. 超音波は密度の異なる物質

26 渡邊 他 : 超音波画像解析による異物検出 21 図 8 ゆで卵の超音波画像の等価楕円主副軸比ゆで卵に殻を挿入し回転させ得られた画像より等価楕円主副軸比を求めた 殻 :1.5 mm 角, 装置 : みるキューブ : 殻, : エラー ( ノイズ等 ), : 白身反射 図 6 ゆで卵の超音波スキャン画像の平均濃度値の推移 (A) トリミング処理のみ, (B)2 値化 ( 判別分析法 ) 後トリミング処理殻の大きさ :3 mm 角 ** * 図 9 動的条件で画像解析を行った際の検出率回転 :60 rpm, プローブ移動 :1 cm/s : 殻 1.5 mm 角, : 殻 3.8 mm 角 図 7 ゆで卵の超音波スキャン画像の平均濃度値の最大値ゆで卵の各スキャン画像を 2 値化後トリミング処理し, 平均濃度値を算出し, 各卵の中で最大となった値を抽出した. 殻の大きさ : 3 mm 角平均値 ± 標準誤差 (n =5),*:P<0.05,**:P<0.01 境界面で反射する特徴があり, 検出には異物 ( 殻 ) の面積が重要であることが示唆された. 現在主流の X 線異物検出装置では,X 線の透過量を元に異物を判別するため, 異物の厚みが重要であり, 表面積が大きくても厚みのない異物は X 線が透過して検出が難しい. 一方, 超音波では厚みよりも面積が重要と考えられた. したがって, 卵の殻の ような薄い異物には超音波を用いた検出が有用と考えられる. 5. 動的条件における超音波画像解析による殻の検出ゆで卵に殻を突き刺し回転させた時の等価楕円主副軸比を図 8に示した. 動的条件では, プローブに近い卵上端部の白身反射 ( 以下, 白身反射とする ) やノイズが一定でなく, 画像の濃淡だけでは白身反射と殻の判別が困難であったため, 形状的な特徴からの判別が必要であった. 白身反射は細長い像として観察され, 殻は相対的に円に近い像として観察されることから, 等価楕円主副軸比を用いて殻の判別を行った. 挿入した殻の等価楕円主副軸比は30% 以上を示し, ノイズや白身反射がほぼ30% 以下を示したことから,30% 以上を殻として認識する判定ラインとした. 判定エラーは, 等価楕円主副軸比が30% 以上において白身反射あるいはノイズを選択している場合, 又は殻の反射が30% 以下である場合とし, 正しく判別した静止画像数と

27 22 広島食工技研報 No 総静止画像数より求めた検出率を図 9に示した. ゆで卵を回転させてプローブ移動がない場合 (A), 殻サイズ1.5 mm で75%,3.8 mm で84% となり殻サイズが大きい方が検出率は高かったが, 回転かつプローブ移動させた場合 (B) では殻サイズに関係なく同じであった. ゆで卵を固定し, プローブを移動させた場合は,0 (C),30 (D) は両殻サイズとも79% 以上を示したが,90 (E) では両殻サイズとも59% と検出率が低下した. これは, 殻の角度変化による反射面積の減少により, 細長い画像が得られたためと考えられた. したがって, プローブと殻との位置関係による検出率低下を防ぐためには, 動的条件下でも複数のプローブが必要であると考えられた. 本報では, ゆで卵に付着または突き刺さった殻について, 超音波プローブを動かすこと, あるいはゆで卵を回転させる動的条件によって検出を行ったが, 生産現場の大量処理工程では, 複数の超音波プローブを固定し, 流水中を移動する卵を検査する必要があり, その場合のノイズや, 検査速度などについて, 今後検討する必要があると考えられる. また, 検出できる殻の大きさの下限や,2つ以上のプローブを用いた場合の検出精度についても検討を要する. 要約超音波画像診断装置を用いて, 水中に浸漬したゆで卵の表面に付着又は突き刺さった殻の検出について検討した. 超音波の周波数は低い (6~9 MHz) 方が殻からの反射が大きかった. また殻を検出するのに適した超音波プローブ と対象間の距離は1~3 cm で,1つのプローブで卵全体を検査することは難しかった. ゆで卵の超音波画像を2 値化した後にトリミングを行い, 平均濃度値を比較することで, 殻の有無を判別できる可能性が示唆された. 動的条件では, 超音波画像を2 値化および等価楕円主副軸比を求めることで殻の有無を判別できる可能性が示唆された. 文 1) 石向稔, 異物混入対策としての AIB の導入支援, 食品と開発,45(5),7-9(2010). 2) 先光吉伸, 検出 除去装置の組合せ技術, 食品異物除去ハンドブック, 第 1 版 ( サイエンスフォーラム, 東京 ), pp ,(2008). 3) Cho, B.-K. and Irudayaraj, J.M.K., Foreign Object and Internal Disorder Detection in Food Materials Using Noncontact Ultrasound Imaging. J. Food Sci., 68(3), (2003). 4) Hæggström, E. and Luukkala, M., Ultrasound detection and identification of foreign bodies in food products. Food Control, 12, 37-45(2001). 5) Zhao, B., Jiang, Y., Basir, O.A. and Mittal, G.S., Foreign Body Detection in Foods using the Ultrasound Pulse/Echo Method. J. Food Qual., 27, (2004). 6) Chivers, R.C., Russell, H. and Anson, L.W., Ultrasonic studies of preserved peaches. Ultrasonics, 33, 75-77(1995). 7) 小藪一弥, 柴田眞明, 宮島武史, 常石召一, 岡崎秀樹, 辻井貫也, 俵秀行, 増田善紀, 八久保敬弘, 清水豊, 汎用超音波診断装置 sarano, 島津評論,63, (2007). 8) アイエムソフト,Image Factory for NT, 2000, XP User's Manual, 97(2005). 9) 田村秀行,2 値画像処理, コンピュータ画像処理, 第 1 版 ( オーム社, 東京 ),p.140,(2002). 献

28 Bulletin of Hiroshima Prefectural Technology Research Institute Food Technology Research Center No. 26(2011) ノート 23 県内酒造場の山廃酛から分離した乳酸菌とその性質 藤原朋子 Lactic acid bacteria isolated from Yamahai-moto of the sake brewer in Hiroshima Prefecture and their characteristics Tomoko Fujiwara We isolated and identified lactic acid bacteria that may serve as candidates for addition to shubo or sake starter in the traditional kimoto method, which will permit stable shubo production with maintaining sake quality. Lactic acid bacteria were isolated from yamahai-moto (shubo of the one type of the kimoto method) of the sake brewer in Hiroshima Prefecture. We investigated the characteristics of the identified lactic acid bacteria. Phenotypic analysis (size and shape of bacteria, sugar assimilation, optical activity of the lactic acid produced etc.) and 16S rdna sequence analysis revealed that the isolated coccal strain was Leuconostoc mesenteroides and the isolated rod-shaped strain was Lactobacillus curvatus. Both strains showed growth ability at low temperatures and low ph levels, and sensitivity to alcohol. These characteristics are also the same exhibited by L. mesenteroides and Lactobacillus sakei, which reportedly increase in the shubo produced by the kimoto method. 清酒醸造における酒母は, 雑菌の生育を防止するために多量の乳酸を含むことが必要である. 酒母は, 乳酸菌によって乳酸を生成させる生酛系酒母 ( 生酛, 山廃酛 ) と, 既製の乳酸を添加する速醸酛系酒母とに区分される. 伝統的製法である生酛系酒母では, 自然に発生してくる微生物を利用する. 生酛系酒母が主流であった時代から, 生酛系酒母に生育する乳酸菌については, 多くの研究がされている. 伝統的製法では, まず乳酸球菌の Leuconostoc mesenteroides が増殖し, 少し遅れて乳酸桿菌の Lactobacillus sakei が増殖するとされている 1)2). しかし, 乳酸桿菌, 乳酸球菌のどちらかだけが出現し, 乳酸菌種の変遷がみられない酒母も報告されている 3)4). 速醸酛系酒母が主流となった近年においても, 生酛系酒母の乳酸菌叢が調査され, 過去の報告と同様に, 乳酸桿菌と乳酸球菌両方が認められるもの 5)~7) や, 乳酸桿菌が認められないものも多くある 8) と報告されている. 生酛系酒母製造では, 自然由来の硝酸還元菌や乳酸菌を利用するため, 使用する麹, 水の菌叢や菌数が大きく影響し, 安定性に乏しい. 微生物の遷移を不確定な自然増殖の制御によらず, 人為的に硝酸還元菌や乳酸菌を添加することにより, 生酛系酒母製造を安定化させようとの試みがなされてきた 3)9)~12). 今回, 広島県で製造されている清酒の酒質を変えることなく, 生酛系酒母製造安定化の一助とするべく, 添加乳酸菌として活用できる菌株探査のため, 県内酒造場の山廃酛から, 乳酸菌を分離し, 諸性質を調べた. 分離した乳酸菌 ( 以下, 分離乳酸菌とする ) の性質と, 伝統的生酛系酒母 で発生するとされている乳酸球菌の L. mesenteroides および乳酸桿菌の L. sakei の性質を比較検討したので報告する. 1. 実験方法 ⑴ 分離源および分離方法広島県内酒造場 ( 山岡酒造株式会社 ) において, 山廃酛を,2008 年 2 月,3 月の2 回採取し, 分離源とした. どちらのサンプルも, 採取時は湧付休みであった. 酒母を生理食塩水 (0.85% 塩化ナトリウム ) で10 倍希釈したもの0.1ml を, 真菌抑制剤シクロヘキシミドを10ppm 添加した GYP 培地 13) 10ml に添加し,30 で3 日間静置培養した. 酸度の上昇を確認した培養液を GYP 白亜寒天培地 13) に混釈し, 30 で3 日間培養した. 生酸による明確なクリアゾーンを形成したコロニーを各分離源につき3 株ずつ釣菌, 純化し, 分離生酸菌株とした. ⑵ 生理 生化学的試験分離生酸菌株について, 乳酸菌実験マニュアル 13) に従い, 次の項目について試験を実施した. すなわち, グラム染色, 顕微鏡による細胞の形態観察, カタラーゼ試験, 運動性試験, グルコースからのガス発生, 発酵形式, スクロースからのデキストラン生成, 糖類発酵性試験, 初発 ph 試験, 生育温度試験, 生成乳酸光学活性の各試験を実施した. また, 生成乳酸の光学活性は F - kit L - 乳酸 / D - 乳酸測定キット (J.K. インターナショナル ) を用いて測定した. さらに, 耐アルコール試験も実施した. 比較対照とした乳酸菌株は, 微生物資源保存施設 NBRC から入手した. すなわち, 乳酸球菌として,

29 24 広島食工技研報 No 図 1 分離乳酸球菌 (A3 株 ) および分離乳酸桿菌 (B1 株 ) の顕微鏡写真 Leuconostoc mesenteroides subsp. sake NBRC 株 ( 以下,NBRC 株と示す ), 乳酸桿菌として, Lactobacillus sakei NBRC15893 T 株 ( 以下,NBRC15893 T 株と示す ) および L. sakei NBRC3541 株 ( 以下, NBRC3541 株と示す ) を用いた. なお,NBRC 株, NBRC15893 T 株,NBRC3541 株とも, 清酒の酒母から分離された乳酸菌株である. ⑶ 16S rdna 配列解析乳酸菌からのゲノム DNA の抽出は,FastDNA Kit (Qbiogene) を使用して行った.16S rdna 領域は, プライマーとして341F(5 -CCTACGGGAGGCAGCAG-3 ) と 907R(5 -CCGTCAATTCCTTTRAGTTT-3 ) を用い, TaKaRa Ex Taq( タカラバイオ ) で, サーマルサイクラー ( タカラバイオ,TP3000) を使用して PCR 増幅した. PCR 産物は,ABI PRISM310 システム (Applide Biosystems) によりその配列を決定した. 得られた DNA 配列は, 日本 DNA データバンクで公開されている BLAST サーチによる相同性検索により解析した. 2. 実験結果および考察 ⑴ 酒母からの乳酸菌分離採取 1 回目の酒母から分離した生酸菌株 A1 株,A2 株, A3 株は, 全てグラム陽性の球菌, カタラーゼ陰性であり, 3 株とも乳酸球菌であった. 採取 2 回目の酒母からの分離では, 純化の過程で1 株生育しなくなったため2 株 B1 株,B2 株の生酸菌株取得となった.B1 株,B2 株とも, グラム陽性の桿菌, カタラーゼ陰性であり, 乳酸桿菌であった. 分離乳酸球菌, 分離乳酸桿菌の顕微鏡写真を図 1に示す. 採取 1,2 回目の酒母とも, 湧付休み時に採取したサンプルであった. 湧付休み時は, 酵母の生成するアルコールにより, 乳酸菌は減少, 死滅していく時期である. 今回の実験では, 酒母を生理食塩水で希釈し, 生残している乳酸 菌を液体培地で増殖させた後, 分離した. 生酛系酒母では, 初期段階に, 低温で生育しやすく, かつ栄養分が少なくても生育する乳酸球菌の Leuconostoc 属が出現し, 次第に, 亜硝酸耐性が高く, 乳酸生成能の強い乳酸桿菌である Lactobacillus 属に遷移すると言われている 14). 最近の報告では, 両方の菌種がみられるという報告とともに, 乳酸球菌のみしか認められないとの報告もある 6)~8). 今回, 山廃酛採取 1 回目サンプルからは乳酸球菌が, 採取 2 回目サンプルからは乳酸桿菌が分離された. ⑵ 分離乳酸菌の同定分離乳酸球菌, 分離乳酸桿菌それぞれと, その比較対照株の諸性質をまとめた結果を表 1, 表 2に示す. 分離乳酸球菌 A1 株,A2 株および A3 株の3 株は,16S rdna 配列解析の結果, 解析した約 500bp の配列で L. mesenteroides と100% の相同性を示した.3 株とも, ヘテロ発酵連鎖 ( 双 ) 球菌で, 生成乳酸の光学活性は D - 型, スクロース資化性は陽性, スクロースからのデキストラン生成は陰性, アラビノース資化性は陽性であった. これらのことから, 分離乳酸球菌 3 株は,L. mesenteroides と同定した. 分離乳酸桿菌 B1 株および B2 株は,16S rdna 配列解析から, 解析した約 500bp の配列で,L. sakei および Lactobacillus curvatus と100% の相同性を示し, いずれかの菌種であると推定された. 分離乳酸桿菌は, ホモ発酵型で, 高温 45 での生育は陰性, アラビノース資化性は陰性, 生成乳酸の光学活性は DL - 型, リボース資化性は陽性, マンニトール, ソルビトールおよびメリビオース資化性はいずれも陰性であった. また,L. sakei の近縁種の解析から,L. sakei は, 酢酸ナトリウム存在下では, 生成乳酸が DL - 型から L - 型に変わることが, 種特異的な特徴として示されている 15). 分離乳酸桿菌 2 株は, 酢酸ナトリウム存在下でも生成乳酸は DL - 型であった. これらのこ

30 類発酵D - トレハロース 生育温度( 生育p藤原 : 山廃酛から分離した乳酸菌 25 表 1 分離乳酸球菌の性質 分離乳酸球菌 Leuconostoc mesenteroides A1 株 A2 株 A3 株 NBRC 株 グラム染色 細胞の形態 球 球 球 球 細胞の大きさ (μm) 0.5~ ~ ~ ~0.7 カタラーゼ反応 運動性 グルコースからのガス発生 発酵形式 ヘテロ ヘテロ ヘテロ ヘテロ スクロースからのデキストラン生成 生成乳酸の光学活性 D D D D 糖性D -ガラクトース w スクロース L -アラビノース D -リボース D -キシロース D -グルコース D -フルクトース w D -マンノース w マルトース w メリビオース ) w w w w w H w w w 生育アコール(%ル) w w w - +, 陽性 (++, 強 ;w, 弱 );-, 陰性 とから, 分離乳酸桿菌 2 株は,L. sakei ではなく,L. curvatus と同定した. ⑶ 分離乳酸菌の諸性質低温で仕込みを開始する生酛系酒母で生育する乳酸菌のほとんどが,L. mesenteroides と L. sakei の2 種であるのは, 両種が4 程度の低温においても生育可能という特徴を有しているためと考えられている 2). 近年, この2 種以外に, 低温発酵性の乳酸菌として, 米麹から乳酸球菌 Leuconostoc citreum が分離されている 16). 今回, 山廃酛から分離した乳酸桿菌 2 株は, いずれも L. curvatus と同定され,5 での低温生育性は良好であった.L. curvatus は,L. sakei と同様 4 程度の低温生育性を示す株もあることが知られている 17). 生育 ph 域については, 分離乳酸球菌 3 株は ph4.0ではごく弱い生育を示したが, 分離乳酸桿菌 2 株は ph3.5でも生育可能であった ( 表 1,2). 分離乳酸球菌, 分離乳酸桿菌は, それぞれ比較対照の NBRC 株および NBRC3541 株と同程度以上の低 ph 生育性を示した. GYP 培地で30,2 日間培養後の酸生成量は, 分離乳酸球菌 A2 株と比較対照の NBRC 株は, 乳酸換算で 0.8% 程度の酸を生成し, また, 分離乳酸桿菌 B1 株と比較対照の NBRC3541 株は1.0% 程度の酸を生成し, いずれも

31 D- トレハロース 生育温度( 生育p26 広島食工技研報 No 表 2 分離乳酸桿菌の性質 分離乳酸桿菌 Lactobacillus sakei B1 株 B2 株 NBRC15893 T 株 NBRC3541 株 グラム染色 細胞の形態桿桿桿桿 カタラーゼ反応 運動性 グルコースからのガス発生 発酵形式ホモホモ生成GYP 培地 DL DL DL DL 乳性酸GYP 培地 + Ac (50mM 酢酸ナトリウム ) 光学活DL DL L L 糖類発酵性D- グルコース L- アラビノース D- リボース D- マンニトール D- ソルビトール メリビオース マルトース D- マンノース スクロース ) w w ++ H 生育アル) w ++ コール(%+, 陽性 (++, 強 ; w, 弱 ); -, 陰性 図 2 分離乳酸球菌, 分離乳酸桿菌および比較対照株の GYP 培地における 30,2 日間培養後の酸生成量 ( 乳酸換算 )n=4 比較対照株と同程度の酸生成を示した ( 図 2). 乳酸桿菌の比較対照株の1つとした NBRC15893 T 株は生育があまりよくなかったが, 今回分離した乳酸桿菌 L. curvatus は,L. sakei と同程度の低 ph 生育性および酸生成能を持つと考えられる. エタノールに対する耐性は, 分離乳酸球菌, 分離乳酸桿菌とも, 比較対照株と同程度に低かった ( 表 1,2). いずれの株もエタノール10%(v/v) 下での生育能力はなく, アルコール感受性をもち, 火落ちの原因菌にはなり得ないことが確認された. 分離乳酸球菌は, 既述のように L. mesenteroides であ

32 藤原 : 山廃酛から分離した乳酸菌 27 り, 比較対照の NBRC 株と同様の性質を有していた. また, 分離乳酸桿菌は, 既述のように L. curvatus であったが,L. sakei と同程度の低温生育性, アルコール感受性および低 ph 生育性を有していた. 以上の結果から, 分離乳酸球菌 L. mesenteroides と分離乳酸桿菌 L. curvatus は, 生酛系酒母中で増殖することを示唆しており, 生酛系酒母製造安定化のための添加乳酸菌としての活用が期待できる. 謝 本研究を行うにあたり, 酒母の採取に協力いただいた山岡酒造株式会社および現愛媛大学教育学部准教授谷本昌太氏に感謝します. 文 1) 片桐英郎, 北原覺雄, 酒母より分離せる乳酸菌の研究, 農化誌,10(9), (1934). 2) 大林晃, 北原覚雄, 生酛系酒母中の乳酸菌菌相を決定する因子, 農化誌,33(10), (1959). 3) 芦沢長, 山廃酒母における微生物学的研究 ( 第 3 報 ) 乳酸菌添加の影響について, 醸協,58(6), (1963). 4) 芦沢長, 山廃酒母における微生物学的研究 ( 第 10 報 ) 球状乳酸菌と桿状乳酸菌について, 醸協,60(10),70-73 (1965). 5) 豊田泰, 岡田早苗, 小崎道雄, 北原覚雄, 生酛より Lactobacillus sake の再分離とその検討, 農化誌,53(8), (1979). 6) 百瀬洋夫, 藤倉寛子, 生酛系酒母より分離した桿状乳酸菌, 辞 献 醸協,91(11), (1996). 7) 恩田匠, 生もと清酒モロミから分離した乳酸菌の同定とその性状, 醸協,98(2), (2003). 8) 百瀬洋夫, 鎌尾敦子, 生酛系酒母より分離した球状乳酸菌, 醸協,88(1),p76-80(1993). 9) 芦沢長, 山廃酒母における微生物学的研究 ( 第 6 報 ) 育成日数の短縮について, 醸協,59(3), (1964). 10) 鈴木賢二, 高橋幹雄, 根本彩, 佐藤寿昭, 根本秀夫, 佐藤正, 福島県産ブランド清酒の開発 - 山廃酛用微生物の検索と山廃酛および純米大吟醸酒の試験醸造 -, 福島県ハイテクプラザ試験研究報告, 平成 15 年度,63-66(2003). 11) 鈴木賢二, 鈴木英二, 高橋亮, 櫛田長子, 佐藤正, 福島県産ブランド清酒の開発 - 山廃酛用微生物の検索と山廃酛および純米大吟醸酒の試験醸造 -, 福島県ハイテクプラザ試験研究報告, 平成 16 年度,75-77(2004). 12) 西尾昭, 茂一孝, 乳酸菌と硝酸還元菌の添加による生もと系酒母製造の安定化, 鳥取県産業技術センター研究報告, No.11,54-57(2008). 13) 内村泰, 岡田早苗, 乳酸菌実験マニュアル - 分離から同定まで -, 小崎道雄監修, 朝倉書店 (1992). 14) 芦沢長, 斎藤孔男, 山廃酒母における微生物学的研究 ( 第 13 報 ) 乳酸菌群の遷移に対する Pseudomonas 属菌の役割 ( その 2), 醸協,61(11), (1966). 15) Iino,T., Uchimura,T. and Komagata,K., Characterization of Lactobacillus sakei by the type of stereoisomers of lactic acid produced. J. Gen. Appl. Microbiol., 49, (2003). 16) 黒瀬直孝, 浅野忠男, 川北貞夫, 垂水彰二, 米麹からの低温発酵性 Leuconostoc citreum の分離と諸性質, 生工誌,82 (5), (2004). 17) Bergey s Manual of Systematic Bacteriology Volume2, p.1228, Williams & Wilkins(1986).

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34 Bulletin of Hiroshima Prefectural Technology Research Institute Food Technology Research Center No. 26(2011) ノート 29 超音波画像解析によるカキ異物検出法の開発 橋本顕彦 渡邊弥生 塩野忠彦 青山康司 Development of a method for using ultrasonography to detect foreign bodies in oysters Akihiko Hashimoto, Yayoi Watanabe, Tadahiko Shiono and Yasushi Aoyama In this study, we used a medical ultrasonic tomography to detect foreign bodies attached to and mixed in with oyster meat removed from the shell. Oyster meat containing shell fragments was placed in water and subjected to ultrasonic tomography. Since the fragments were observed as bright spots in the image obtained, we examined methods for detecting bright spots using image processing. The results showed that a combination of contour detection processing and bright spot detection processing was useful for identifying foreign body candidates. We tried to identify the adductor muscle from other oyster tissues, in order to identify bright spots suggesting the presence of foreign bodies attached to the adductor muscle, but could not achieve clear identification. 消費者の食の安全性への意識の高まりから, 異物の問題はより深刻化する傾向にある. 食品異物の検査装置には様々なものがあるが, 様々な業種で使用されている装置として金属探知機やX 線検出器があげられる. しかし, 金属探知機は金属以外を検出ができないなど, それぞれの装置には欠点があり, あらゆる異物に対応できるわけではない. 超音波は気体, 液体, 固体のどの媒質中でも伝播し, 伝播中の媒質と異なる性質の媒質に当たると, その界面において反射する特徴がある. また, 高密度の物質でも低密度の物質でも反射測定が可能であることなど, 他の検査方法にはない特性を持つ 1,2). これらの性質を食品異物の検出に応用することで, 新たな検査機器の開発が期待できる 3,4,5). 本報告では医療診断用機器を使用し, 超音波反射画像によるカキむき身に混入する異物の検出を試みた. 1. 実験方法 ⑴ 材料 装置カキは広島湾産の冷凍カキを解凍して用いた. 異物についてはカキ殻を粉砕して用いた. 異物カキはカキの外套膜とえらの間にカキ殻 (3 mm 角 ) を挟み込んで調製した. 異物の検出は超音波画像診断装置 (sarano, 島津製作所 ) により行った. ⑵ 超音波測定プラスチック製水槽にカキが十分に浸かる量の水を入れ, カキむき身を沈めた. カキむき身の上部から鉛直方向に超音波が当たるように超音波画像診断装置のプローブの発信部を水に浸け, 超音波測定を行った. 周波数は MHz, フォーカスは1 点, ゲインは20,size は30 mm に設定して行った. 測定はカキの外套膜縁側から長軸方向 ( 唇 弁側 ) にプローブを3 mm ずつ平行移動させて, この軸の鉛直方向に超音波透過撮影を行い,20 枚の連続断層画像を得た. ⑶ 画像処理画像処理は Paint shop pro ver. 8(Jasc software) および Pop imaging 3.8( デジタル ビーイング キッズ ) によって行った 6,7,8). 画像診断装置の画像はビットマップイメージであり, それをパソコンに取り込み画像処理を行った. 2. 実験結果および考察超音波画像診断装置によって得られたカキの断層撮影図を Fig. 1に示す. 画像 (a) から (d) までは唇弁の反対の外套膜縁辺部から貝柱に至るまでの画像である. また, (d) の画像のみにカキ殻異物が輝点として得られた. 画像 (e) から (i) までは貝柱とその他の組織がどちらも存在する画像で, 貝柱部分は表面部のみ反射が見られ内部には反射が少ない. そのことから密度的に比較的均一であると考えられる. 画像 (j) 以降の画像は貝柱が含まれない組織部位の画像で 組織の複雑さに起因する密度界面があるため, 超音波の反射源が多数存在する. Fig. 1の画像 (d) に現れた異物の輝点を画像処理により判別することとした.Fig. 1の画像 (d) の画像処理結果を Fig. 2に示す.(a) は原画像 (Fig. 1の画像 (d) と同じもの ) で, 超音波によりカキ殻がある位置の断面画像を取得している. カキの体内は反射が強い場所と弱い場所が存在しているため, 画像に濃淡が発生する. カキ殻は反射が強いため, 白色のピクセルで現れる. しかし, 体内反射の強い部分とカキ殻の反射部分はどちらも白色のピクセルになり, 階調で分離するのは困難であった. そこで, カキ

35 30 広島食工技研報 No Figure 1 Tomographic image of oyster by ultrasonic sonograph. Figure 2 Foreign body by image processing of oyster tomographic images. (a), original image; (b), binarization (low tone threshold); (c) binarization (high tone threshold); (d), edge detection of image (c); (e), opening of image (d); (f) image arithmetic (adding) between image (b) and (e).

36 橋本 他 : 超音波画像解析によるカキ異物検出法の開発 31 Figure 3 Adductor muscle detection by image processing of oyster tomographic image. (a), original image of frequency 6.0 MHz-9.0 MHz; (b), original image of frequency 7.5 MHz-10.5 MHz; (c)-(l), image arithmetic between image (a) and (b). 断面画像の輪郭近傍 ( カキむき身の表面に近い部分に相当 ) にある輝点が異物であると仮定して, 画像 (a) で輪郭上にある輝点の検出を次の手順により試みた. まず, 輝点を抽出するために閾値を高い階調に設定し, 二値化処理を行った ( 画像 (b)). 一方, 輪郭を抽出するため, 閾値を低い階調に設定し画像 (a) の二値化処理を行った ( 画像 (c)). 画像 (c) のエッジ検出処理により輪郭線を得た ( 画像 (d)). しかし, このままではカキ内部にも輪郭線が検出されるため, 輪郭線で囲まれた面積が小さい領域を消去した後, 画像のオープニング処理を行い, 輪郭線を強調した ( 画像 (e)). 輝点を抽出した画像 (b) とカキの輪郭である画像 (e) について加算演算処理を行い, 目的とする輪郭線と重なった輝点を得た ( 画像 (f)). この処理では, 異物の輝点 1 個を含む数個の輝点が得られ, 異物候補を絞るは可能であったが, 決定できなかった. カキ殻異物はカキ打ち時に出る殻の残留物であり, 通常は貝柱の表面に付着している. そのため,Fig. 2の処理に加え, 貝柱の位置が認識できるように画像処理を行えば異物の検出が可能と考えられる. そこで, 超音波画像において貝柱とその他のむき身の部分を識別することを試みた. 2 種類の周波数域 ( MHz および MHz) において異物のないカキむき身の測定を行い, その2 画像について様々な演算処理を行った (Fig. 3).AND 及び明所比較, 暗所比較の3 処理において比較的きれいな画像が得 られたが, これらを2 値化しても貝柱とその他の部分の識別は困難であった. 要約カキ殻異物の検出技術の開発のため, 超音波画像診断装置により取得した画像について検討し, 以下の知見を得た. ⑴ 超音波によるカキむき身の断層撮影を行った. プローブをカキの外套膜縁辺側方向から唇弁側方向へ移動しながら断層撮影を行った. カキむき身は比較的強い反射像が得られるが, 貝柱部分は表面のみ反射強度が強いことが判明した. また, カキ内部には強い輝点が複数観察されたが, この輝点の由来については不明であった. ⑵ カキ殻異物があるカキむき身の超音波断層画像について画像処理を行った. 画像輪郭の検出と強い輝点の検出の演算によりカキ殻異物候補を絞り込むことが可能になった. ⑶ カキ貝柱の識別について検討した. 周波数の異なる超音波画像について, 種々の演算処理を検討したが貝柱を明確に識別することはできなかった. 以上, 超音波画像により, カキ殻異物を輝点として検出することは可能であるが, 異物以外のものに起因する輝点との判別が課題である. これを解決することによって, 新たな食品用異物検査機器の開発につながると考えられる.

37 32 広島食工技研報 No 文 1) Cobus, L.A.E.B., Ross, K.A., Scanlon, M.G. and Page, J.H., Comparison of Ultrasonic Velocities in Dispersive and Nondispersive Food Materials., J. Agric. Food Chem., 55, (2007). 2) Kuo, F.-J., Sheng, C.-T. and Ting, C.-H., Evaluation of ultrasonic propagation to measure sugar content and viscosity of reconstituted orange juice., 86, (2008). 3) Cho, B.-K. and Irudayaraj, J.M.K., Foreign Object and Internal Disorder Detection in Food Materials U v sing Noncontact Ultrasound Imaging., J. Food Sci., 68, (2003). 献 4) Hæggström, E. and Luukkala, M., Ultrasound detection of foreign bodies in food products., Food Control, 12, (2001). 5) Zhao, B., Jiang, Y., Basir, O.A. and Mittal, G.S., Foreign body detection in foods using the ultrasound pulse/echo method., J. Food Quality, 27, (2004). 6) 田村秀行,2 値画像処理, コンピュータ画像処理, 第 1 版 ( オーム社, 東京 ),p.140,(2002). 7) 末松良一, 山田宏尚, 膨張 収縮処理, 画像処理工学, 初版 ( コロナ社, 東京 ),p.128,(2000). 8) 小島清嗣, 岡本洋一, フィルタリングについて, 画像解析テキスト, 改訂第 3 版,p.43,(2008).

38 Bulletin of Hiroshima Prefectural Technology Research Institute Food Technology Research Center No. 26(2011) 抄録 33 抄 録 凍結含浸法を利用した新食感食品の製造技術坂本宏司 : 食品の包装, 40, (2009). 凍結含浸法は, 酵素等を食材内部に急速導入する技術で, 分解酵素等を導入すれば, 形状を保持したまま食材の硬さを制御することが可能となる また, 農産物から肉, 魚介類まで多くの食材に適用でき, 操作が簡易で小規模施設でも技術導入しやすい面を持つ. これらの特徴を生かして高齢者 介護用食品として実用化が進んでいる現状を紹介するとともに, 物性を改質して新しい食感を有する食品の開発への応用について言及した 真空包装機を用いた凍結減圧酵素含浸法による形状保持軟化食材の作製中津沙弥香, 柴田賢哉, 石原理子, 坂本宏司 : 日本摂食 嚥下リハビリテーション学会雑誌, 13(2), 120~127 (2009). 凍結含浸法を用いて植物組織崩壊酵素を食材内部に導入すると, 食材の形状を保持したまま任意の硬さに制御することが可能となる そこで, 真空容器内で減圧酵素含浸を行っていた従来法を改変し, 真空包装機を用いて包装フィルム内で減圧酵素含浸する方法について検討した その結果, 解凍時に用いる酵素濃度は, 従来の酵素溶液に浸漬させて減圧処理する方法に比べて1.25~1.67 倍の濃度が必要であった 減圧時の真空包装機の圧力は38~115mmHg の範囲では有意な差は認められなかったが, 真空度が高いほど軟化する傾向を示した 減圧保持時間は0~5 分の範囲では長いほど有意に軟化した また, 表面に酵素溶液を付着 浸透させた後, 真空包装機で減圧酵素含浸した結果, ほぼ均一に軟化することが分かった このことから, 真空包装機を用いた凍結含浸処理によっても, 食材内部に均一に酵素を導入できることが示唆された 凍結含浸法による新しい介護食の可能性坂本宏司 : 臨床と栄養, 115(3), (2009). 凍結含浸法を用いて介護食を調理する際, 病院や介護施設の厨房で真空調理システムを利用する方法について紹介した また, 嚥下造影食を利用したヒト臨床評価による安全性の確認や摂食時間の短縮などの食欲増進効果が確認されていることを紹介した 凍結含浸法による高齢者に対応した高品質食材の開発坂本宏司 : 研究ジャーナル, 33(5), (2010). 凍結含浸法は, 酵素等を食材内部に急速導入する技術 で, 新しい食品製造技術として注目されている 例えば, 分解酵素と調味料を含浸すれば, 形状を保持したまま食材の軟化と調味を同時に行なうことができる また, 酵素反応を利用して食材内部に機能性成分を付加 増強することも可能である. 本論文では, 高齢者 介護用食品や造影検査食などの医療食分野での実用化例や今後展開が見込まれる新食感食品, 機能性食品への応用例などを紹介した 凍結含浸法を用いた見た目においしい咀嚼 嚥下困難者用食品の開発坂本宏司 : フードケミカル, 26(5), (2010). 高齢者 介護用食品の多くは, 流動食や刻み食など安全性や機能性を重視したものが主流で,QOL(quality of life) の視点でみると未だ発展途上にある このような現状において, 凍結含浸法は, 形状を保持したまま, 食材を劇的に軟化させる技術として食のバリアフリー化をもたらす 比較的硬い食材であるタケノコやゴボウでもプリンのようにスプーンで食べることができ, 硬さを自由に調節できることから, 障害度に応じた硬さの介護食を提供することも可能となる Enzymatic Production of Malto-oligosaccharide in Potato by Freeze-Thaw Infusion Kenya SHIBATA, Koji SAKAMOTO, Sayaka NAKATSU, Ryo KAJIWARA and Mitsuya SHIMODA*: Food Science and Technology Research, 16, 4, (2010). Freeze-thaw infusion (FI)is a technique used to rapidly impregnate food materials with enzymes. We investigated whether an enzyme could penetrate both the intercellular spaces and the intracellular spaces using FI by determining the enzymatic potato starch decomposition efficiency and by assessing maltooligosaccharide production. Malto-oligosaccharide production by FI using α -amylase was dependent on time and enzyme concentration, reaching a maximum production of 6.5g/100g after 60 min at 1.0 %(w/v) e n z y m e. T h i s c o r r e s p o n d s t o a n e n z y m a t i c decomposition efficiency of 76%, compared with crushed potatoes (8.5 g/100 g). Production after infusion or immersion of unfrozen potatoes was below 1.0g/100g and production after immersion of freeze-thawed potatoes was 3.0g/100g. The results indicate that FI enables

39 34 広島食工技研報 No efficient intracellular impregnation, which allows for efficient enzymatic decomposition of intracellular substrates, while retaining food material shape. * Department of Bioscience and Biotechnology, Faculty of Agriculture, Kyushu Univercity Effects of Freezing Conditions on Enzyme Impregnation into Food Materials by Freeze- Thaw Infusion Kenya SHIBATA, Koji SAKAMOTO, Masako ISHIHARA, Sayaka NAKATSU, Ryo KAJIWARA and Mitsuya SHIMODA*:Food Science and Technology Research, 16, 5, (2010). Freeze-thaw infusion (FI)is a new technique for rapid impregnation of enzymes into food materials. Volume expansion has been observed when freeze-thawed potatoes were exposed to vacuum. Therefore, the effects of freezing treatment on volume expansion and enzyme impregnation were investigated. According to the progress in freezing, the volume expansion ratio increased to over 20 %, and enzyme impregnation efficiency was also increased. A distinctive correlation was found between the volume expansion ratio and enzyme impregnation efficiency. During volume expansion, the air expanded in the materials, thereby pushing out the inner liquid from the materials. Thus, enzyme impregnation by FI appears to result from rapid influx of the enzyme solution into the expanding space formed in the materials. * Department of Bioscience and Biotechnology, Faculty of Agriculture, Kyushu Univercity 超臨界水を利用した食品廃棄物のガス化の基礎的検討宗綱洋人 *, 今村邦彦 **, 玉井正弘 *, 樋口浩一 ***, 橋本寿之 ****, 野口賢二郎 *****, 松村幸彦 ******: 日本エネルギー学会誌, 88(2), 147(2009). 食品廃棄物は, 全国で約 2,000 万 t/ 年排出されており, その発生抑制 リサイクルが強く望まれているが, 約 1,600 万 t/ 年が未利用のまま処分されており, そのリサイクル率は非常に低いというのが現状である この低いリサイクル率の一因として, 食品廃棄物の含水率の高さが挙げられる 食品廃棄物を燃焼などによりエネルギー源として再利用する場合, 水分の除去が必要となるが, 含水率が高く非常に多くのエネルギーを必要とするため, エネルギーとして利用することが困難である しかし, 高温高圧の水である超臨界水を利用する方法であれば, 食品廃棄物を乾燥させる必要はなく, 有益なエネルギー源である水素やメタンを多く含んだガスを得ることが可能であり, 食品廃棄物を エネルギー源として利用することが可能となる 本研究では, 超臨界水を利用した流通式連続ガス化装置を作製し, 反応に安価なニッケル触媒を用い380~450 という比較的低温条件でガス化反応を行い, 食品廃棄物からエネルギーとして利用可能である水素あるいはメタンを連続的に得ることについて検討を行った その結果, 反応管出口温度約 450, 反応圧力 25MPa,1dry-wt% の模擬食品廃棄物溶液から約 6 割の水素を含有するガスを得ることが可能であり, 試料を均一に装置内に導入するための前処理として酵素処理が有効であることを確認した * 広島総研西部工業技術センター ** 広島総研西部工業技術センター ( 現所属 : 広島県尾三地域事務所厚生環境局 ), *** 広島総研西部工業技術センター ( 現所属 : 広島総研食品工業技術センター ) **** 広島総研東部工業技術センター ***** ( 株 ) 東洋高圧 ****** 広島大学大学院工学研究科機械システム工学専攻広島県内における水素利用技術の開発状況樋口浩一 : 生物工学, 87, 306 (2009). 広島県内の公設試験研究所, 大学および企業における水素利用技術の開発状況について, 水素の製造, 貯蔵, 輸送, 利用の立場から, バイオマスの水素 メタン発酵や超臨界によるメタンの生成, 触媒を利用したメタンの改質による水素製造, 水素吸蔵物質に関する開発状況等の概要を説明した さらに, 広島地区の水素利用に関する研究会活動を紹介すると共に, 短期的ではない中長期的な研究の必要性を述べた 凍結含浸法による軟化根菜類の高齢者による摂食評価中津沙弥香, 石原理子 *, 前西政恵 **, 柴田賢哉, 坂本宏司, 横山輝代子 **: 日本摂食 嚥下リハビリテーション学会雑誌, 14(2), (2010). 凍結含浸法で軟化処理したタケノコ, ゴボウ, レンコンおよびニンジンの4 種類の根菜類について, 介護施設入所者 65 名を対象に摂食評価を行い, 介護食としての適性を評価した その結果, 凍結含浸食材の 見た目, 硬さ および 飲み込み易さ について, 通常の食事で極キザミ食やミキサー食を食べている対象者から特に高く評価され, 自発的な摂食を促す傾向が認められた このことから, 凍結含浸法で処理した軟化食材は, 極キザミ食やミキサー食を喫食している対象者に適している可能性が示唆された * 広島県立総合技術研究所企画部 ** 医療法人社団あと会, 社会福祉法人あと会

40 抄 録 35 凍結含浸法により軟化処理したレンコンの消化性中津沙弥香, 柴田賢哉, 坂本宏司 : 日本食品科学工学会誌, 57, 434~440 (2010). 凍結含浸法により軟化処理したレンコンの消化性を評価した パンクレチンを用いて人工消化を行った結果, 凍結含浸処理試料は, 人工消化 3 時間までは経時的に不溶性固形物量が減少し,3 時間で4.3±0.1(g/100 g) となり一定となった 対照試料は, 人工消化 9 時間までは経時的に不溶性固形物量が減少し,9 時間で6.7±0.1(g/100 g) となり一定となった 素材の硬さと人工消化後の不溶性固形物量には相関が認められ (rs =0.95,p<0.01), 素材が軟らかいほど値が小さくなった 凍結含浸法による素材の軟化によって, 消化可能な試料量が増加し, 消化に要する時間が短縮されたと考えられた ラットへの胃内投与の結果, 凍結含浸処理試料は, 対照試料に比べて, 胃内の水溶性色素残存率が高く, 不溶性固形物のモード径および体積が小さかった これらの結果から, 水溶性成分の胃排出速度の抑制や腹部膨満感の防止効果が期待できた 本研究の結果, 凍結含浸法による食品素材の軟化処理によって, 消化性が向上すると考えられた カプロン酸エチル高生成酵母 ( 広島吟醸酵母 ) と9 号系酵母を混合醸造した清酒もろみにおける両酵母菌数および諸成分の経日変化谷本昌太, 松本英之, 藤井一嘉, 大土井律之, 山根雄一, 若林三郎 : 醸造協会誌, 4, (2009). カプロン酸高生成酵母と発酵力の高い酵母の混合醸造を行い, もろみにおける両酵母菌数および諸成分の経日変化を比較した 広島吟醸酵母は,KA-4と比べてもろみ中での酵母菌数が少なかった 全酵母菌数に対する広島吟醸酵母の菌数の比率は, もろみ初期から減少し, もろみ中期に約 10-60% に減少した 広島吟醸酵母の添加比率が増すにつれてもろみ中のアルコール濃度および酸度が低くなり, ボーメの切れは緩慢となった もろみ中の香気成分については, 広島吟醸酵母の添加比率が増すことにより, もろみ期間を通じてカプロン酸エチルおよびカプロン酸は高く, 酢酸エチル, 酢酸イソアミルは低くなった 一方, 有機酸については, リンゴ酸およびコハク酸が低下した 広島吟醸酵母と KA-4を混合醸造することで, もろみの発酵力を改善するとともに, 酒質を変化させることが可能であった また, もろみ中のカプロン酸エチル濃度の違いは, 広島吟醸酵母の酵母菌数に応じて生成されたカプロン酸が広島吟醸酵母および KA-4によりエステル化を受けているためと推察された 凍結含浸法による果実の軟化若﨑由香 : 果樹試験研究推進協議会, 17(7), (2010). 凍結含浸法は, 食材に急速に酵素を導入し, 食材の形を保ったまま軟化する技術であり, 高齢者 介護用食品の分野から大きな注目を浴びている この技術は酵素の種類を変えることで様々な食材を軟化することができ, これまでに野菜の他, キノコ類, 肉類, 魚介類の軟化に成功している 果実類の軟化も可能である 野菜類と同様の処理では形が崩れやすいが, 一手間加えることで, 形を保ったまま軟化することを可能とした 凍結含浸法では酵素以外の物質も導入可能である 今後は嚥下造影検査食の開発, 栄養成分の強化, ペプチダーゼによるペプチド増強といった機能性食品の開発など, 様々な展開を検討している 凍結含浸法によるジャガイモへの油脂含浸渡邊弥生, 石原理子, 中津沙弥香, 坂本宏司 : 日本食品科学工学会誌, 58(2), (2011). 凍結含浸法を用いて, ジャガイモ内部に油脂を導入する方法を検討した 油脂の割合が30% の水中油滴型エマルションを用いると導入効率がよく,3g/100g 含浸された また, 油滴が小さいエマルションを含浸に用いると, ジャガイモの油脂含量が増えた 油脂とペクチナーゼを同時に含浸すると, 油脂が導入された軟らかいジャガイモができた この方法は, 脂溶性成分のβ - カロテンを含浸する技術としても応用できる 凍結含浸法は, 油脂や疎水性物質を導入するのにも有効であることが示唆された ミクロバブル超臨界二酸化炭素による Absidia fusca 由来キトサンの脱臭谷本昌太 *, 坂本宏司, 宮岡俊輔 **, 三宅正起 ***, 下田満哉 ****, 筬島豊 *****: 愛媛大学教育学部紀要, 57, (2010). A. fusca 由来キトサンの揮発性成分の同定 定量を行うとともに, ミクロバブル超臨界二酸化炭素によるキトサンの揮発性成分の除去効果について検討した キトサンより炭化水素類 (2), ケトン類 (1), アルデヒド類 (12), アルコール類 (6) の合計 21 成分が同定された キトサンの全揮発性成分の約 55 % は Hexanal で主要成分であった 20MPa,40 処理の場合, 揮発性成分の定量値の合計値は処理前の約 20% に減少した 20MPa,60 の処理でほとんどの成分が痕跡または不検出となり, 検出された 2-Butenal および Hexanal も処理前の約 1% となった * 愛媛大学教育学部 ** 愛媛県産業技術研究所 *** 九州女子大学 **** 九州大学大学院農学研究院 ***** 元九州女子大学

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42 編集委員会 委員長 赤 繁 悟 長 尾 かおり 橋 本 顕 彦 柴 田 賢 哉 山 崎 梨 沙 広島県立総合技術研究所食品工業技術センター研究報告第 26 号 平成 23 年 3 月 30 日発行 編集兼発行者 広島県立総合技術研究所食品工業技術センター広島市南区比治山本町 12 番 70 号 ( 郵便番号 ) (T E L ) 印刷所株式会社ニシキプリント広島市西区商工センター 7 丁目 5 番 33 号 (T E L )

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