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ベトナム紀行 第三回 Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra に寄せて 2

1. はじめに この報告書は, ベトナムのハノイ, Institute of Mathematics Hanoi で開催された第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar (2007 年 12 月 3 日 - 7 日 ) に参加した, 主に学生達の感想と体験報告を纏めたものである Seminar のプログラムと講演アブストラクト, 参加者のリストは後に掲載するが, 計 87 名 ( 日本から 19 名, 韓国から 3 名 ) の参加者があり,Markus Brodmann 教授 (Zurich 大学 ) の特別参加を得て, ベトナム側の入念な組織と心温まる hospitality の中で, 楽しくも充実した国際色豊かなセミナーが行われた 講演記録を集めた academic program の報告書は, 今回はベトナム側が編集し, 発行する予定となっている セミナーの成功のためベトナムに渡り, 優れた講演を行い, 議論と指導に参加して下さった日本人研究者 11 名の皆さん Problem Session での Brodmann 教授 山岸規久道 ( 姫路独協大学教授 ), 藏野和彦 ( 明治大学教授 ), 下田保博 ( 北里大学准教授 ), 西田康二 ( 千葉大学准教授 ), 中村幸男 ( 明治大学准教授 ), 吉田健一 ( 名古屋大学准教授 ), 居相真一郎 ( 北海道教育大学准教授 ), 黒田茂 ( 首都大学東京准教授 ), 高橋亮 ( 信州大学助教 ), 早坂太 ( 明治大学先端数理科学インスティテュート PD), 櫻井秀人 ( 明治大学先端数理科学インスティテュート PD) には, ご協力に対し心からお礼申し上げます この seminar には, 明治大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻数学系の学生である, 松岡直之 (D3), 大関一秀 (D2), 木村了 (D1), 山田修平 (M2), 虻川雄穂 (M2), 堀内陽介 (M2), 鈴木秀典 (M1) の7 名を派遣した 派遣の目的は, 研究成果の発表, 海外における研究進捗状況の把握, 研究上の友好的な交流関係の確立など, 海外研究機関における研修にあったが, ベトナムという東南アジアの国を親しく知ることも, 大きな研修 派遣目的の一つに設定した Academic な面では, 松岡直之, 大関一秀, 木村了は 50 分の, 山田修平と虻川雄 穂は 30 分の講演を行ったし, 堀内陽介の場合も, 櫻井秀人 (PD) が, 堀内との共同 研究の成果を講演 報告した 彼らの講演はどれも, 内容的にもプレゼン的にも, 非常 3

に充実し優れたものであって, 感銘を受けた研究者達から高い評価を受けたことを, 引率者 指導者として大変嬉しく思う 特に, 山田と虻川が, 初めての研究集会講演を, 外国語 ( 英語 ) でかつ外国で行うという重圧に負けず, 入念に良く準備し, 臆することなく堂々たる講演を行い得たことは, いくら高く評価してもし過ぎることは無いであろう 5 日間にわたる朝 8 時半から夕方 5 時半に及ぶ ( 実際の拘束時間は, 朝 7 時 40 分から夕方 6 時に及んだ ) 過酷な日程のセミナーのあと, 週末には, 研究打ち合わせと共同研究 またベトナムをぜひとも多方面に知って欲しいというベトナム側主催者の強い要請と推奨もあって, ハノイ市内や近郊の観光地など, ベトナム国内の視察と見学を併せて行うことが出来るように配慮して, 研修スケジュールを組んだ 渡航費など派遣に必須の経費は, 数学系が申請し採択された, 文部科学省大学院教育改革支援プログラム 社会社会に数理科学数理科学を発信発信するする次世代型人材創発次世代型人材創発 ( 取組代表者 : 砂田利一教授 ) から支援を受けた 砂田利一教授に対しお礼申し上げると共に, 全学生に研修過程の報告を求め, 記録に残す所以である GP プログラム 社会に数理科学を発信する次世代型人材創発 の支援を受けて来日し, 明治大学の大学院生との共同研究を通して厳しい研鑽を積み上げて来た Tran Thi Phuong 准教授 (Ton Duc Thang University, ベトナム ) も, この第 3 回 Joint Seminar で 30 分の講演を行ったこと, 彼女達の研究にも著しい発展と進捗が見られたことを併せて報告し, 支援に感謝したい Joint Seminar が期待するところの, ベトナムの研究者と日本の研究者の共同研究 交流が確実に実りつつあるという事例の一つとして, 特筆大書すべきかもしれない ここで,Japan-Vietnam joint Seminar がどのようにして始まり, 第 3 回を迎えるに至っ たか, また,4 回以降の計画はいかなるものか, 手短にご報告したいと思う (1) 第 1 回 Japan-Vietnam Joint Seminar は,Conference on Commutative Algebra, 2001 (2001 年 8 月 20 日 24 日 ) として,2001 年に第 1 回が横浜で開催された 明治大学科学技術研究所重点研究費を資金に, 後藤と日本大学の渡辺敬一教授が組織した workshop である 多数の日本人若手研究者が参加して, 開催された 今回 ( 第 3 回 ) の日本人参加者を含め, 現在第一線で活躍している多くの日本人若手研究者が, 学生か PD としてこの workshop に参加していることを考えれば, 実り豊かな集会であったと思われる ベトナムからは Ngo Viet Trung 教授 ( 現 Institute of Mathematics Hanoi 所長, 代数学, 特に可換環論研究の専門家として, 国際的に著名 ),Nguyen Tu 4

Cuong 教授,Le Tuan Hoa 教授の他に,Dam Van Nhi,Nguyen Duc Hoang を招聘したし, アメリカからは Craig Huneke 教授を招聘し,Huneke 教授には, 計 3 回の講演をお願いした 他に, 韓国から Youngkwon Song,Jong Hae Keum,Byung-Gyun Kang,Jee Koh,Jeanam Park, 台湾からは Hsin-Ju Wang を招聘し, 国際色豊かな, 内容的にも非常に充実した研究集会であった 参加者のリスト, プログラム, 講演風景などは, 後藤の HP http://www.math.meiji.ac.jp/~goto/research/yokohama_conf/index.html に掲載されている ベトナムから 5 人の研究者 若手を招聘した狙いは, ベトナムと日 本との間の研究交流を草の根のレベルで開始することにあり, 若手研究者 大学院学 生の間の友情と信頼関係の醸成, これに基づく共同研究の発展にあった その後も, 機会を捕らえて, このような workshop を継続的に開催したいと願っていたが, 次の機会は, 明治大学理工学研究科基礎理工学専攻数学系が申請した 魅力ある大学院教育 イニシアティブプログラム 社会社会とのとの関りをりを重視重視した MTS 数理科学教育 ( 取り組代表者 : 砂田利一教授が採択されたときに, 漸く訪れた (2) 第 2 回 2006 年に明治大学生田キャンパスで開催された第 2 回 Japan-Vietnam Joint Seminar (3 月 20 日 25 日 ) は, 社会との関りを重視した MTS 数理科学教育 の支援を受け, 後藤が組織して開催された 特筆すべきは, この seminar が by and for young mathematicians と銘打って開催されたことであるかもしれない 明治大学科学技術研究所重点研究費で招聘し, 既に来日されていた Santiago Zarzuela 准教授 (University of Barcelona, スペイン ) の参加を得て, ベトナムからは N. T. Coung 教授の他に 4 名の若手研究者を招聘し, 後藤の監督下にではあるが, 明治大学大学院学生早坂太と松岡直之を中心に, ベトナムの若手研究者の協力を得て, 若手のイニシアティブの下に実施された プログラム 参加者リスト 研究成果の内容は, 報告集 The second Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra に詳細に記録されているし, 社会との関りを重視した MTS 数理科学教育 の website にも記載されている 第 2 回目の集会が, 明治大学の大学院学生と若手研究者に与えたインパクトは計り知れないものがあり, 研究者育成のためには, 国際的な展開の下に柔軟で刺激に富んだ研究交流の場を設定することの真の重要性を, 指導者として実感した 同様のインパクトは, ベトナムの学生と若手研究者にも発生したことが, 第 2 回の seminar に招聘したベトナム側の若手の, 今回ハノイで開催された第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra に於ける活躍と成長振りからも, 如実に窺われる 5

(3) 第 3 回 Problem Session での Trung 教授 講演中の Hoa 教授懇親会で挨拶挨拶をする Cuong 教授第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra は, 後藤,N. T. Cuong, N. V. Trung, L. T. Hoa 教授の4 人を組織者に開催された 明治大学生田キャンパスで第 2 回目の Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra が開催されている間に, 後藤と Cuong 教授の間で合意が成立し,2007 年 12 月にハノイで開催することが決定されたが, その時点では, 実は日本側からの学生参加者の渡航費支援の目処が全く立たず苦慮していたところ, 幸いにも文部科学省大学院教育改革支援プログラムに数学系が申請した 社会に数理科学を発信する次世代型人材創発 が 6

採択され, このプログラムの計画の一部に第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra 開催が盛り込まれ, 資金面での難問が解決された 上述のように, 派遣した学生は 7 名である この 7 名のうち 6 名のハノイ滞在費は,Institute of Mathematics Hanoi と Vietnam Academy of Science and Technology からの支援によるものであり, 他に 12 名の第一線の日本人研究者が第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra に参加し講演を行っている ベトナム側の至れり尽くせりの心温まる hospitality だけではなく, 運営面でも一部経済支援を受けているのである host である Institute of Mathematics Hanoi と Vietnam Academy of Science and Technology に, 心からお礼申し上げたい (3) 第 4 回次回は, 日本で, やはり 社会に数理科学を発信する次世代型人材創発 の支援下に, 後藤, 藏野和彦,Trung, Cuong, Hoa の 5 人を組織者に, 開催される計画である ベトナムと日本との間の草の根の信頼と友情を積み上げながら, 二つの研究所 明治大学先端数理科学インスティテュート ( 所長 三村昌泰教授, 副所長 向殿政男理工学部長, 副所長 後藤四郎 ) と Institute of Mathematics Hanoi ( 所長 Ngo Viet Trung 教授 ) との連携に発展させる計画があり, 目下急速に進行しつつある これらの営為により, 可換環論研究の飛躍的な発展を目指しながら, 日本とベトナムが共に歩むことが出来ればまことに幸いである 2007 年 12 月 14 日 後藤四郎 7

2. 目次 1. はじめに 2. 目次 3. 記念写真 4. The third Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra プログラム 5. 紀行文集 後藤四郎 藏野和彦 中村幸男 松岡直之 大関一秀 木村了 山田修平 虻川雄穂 堀内陽介 鈴木秀典 8

3. 記念写真 懇親会場で セミナー会場 9

4.The third Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra プログラム 10

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5. 紀行文集第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar を終えて 後藤四郎 私の Hanoi 訪問は今回で 2 回目です 2006 年 1 月に Hanoi で開催された CIMPA conference 以来のことです たった 2 年間ですが, ベトナムの経済状況は好転しつつあるらしく, 走っているバイクや車には新車が目立ち, 大通りの雑多なお店にも活気があり, 特権的な人々のための豪華な住居やお店が目立つようになっていました 人々の表情にも,2 年前と比べて荒んだ感じが減り, 活気と健全な明るさを感じました Institute of Mathematics Hanoi で虻川君と 経済は西側流に, 政治支配は今までどおり 共産党の一党独裁 というのが, この国の流儀です そんなアホくさい欺瞞がいつまでも続く筈が無いと私には思えますが, 体制批判はこの国では勿論ご法度で, 話題にしてもなりません そういう, 隔靴掻痒というべきところがベトナムにもあり, 抱え込んでいる困難 (8,000 万人をどうやって食わせ, 近代国家に発展させるかという問題 ) を考えると, 実はひどく気が滅入るのですが,Hanoi の街の人々はそんな心配はどこ吹く風, 元気溌剌, 生命力とエネルギーの塊のように見えました 最初は道路のバイクの流れに圧倒されましたが, 最終日頃には道路横断の自信を得て帰りました 私が第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar の準備に本格的に着手したのは, 2007 年の 6 月です mail を通して Cuong 教授と打ち合わせながら細々としたセミナーの手配をするだけではなく, 日本側の準備があります 国内の研究者に参加をお願いする他に, 後藤研からは,PD の早坂君と櫻井君が若手研究者として参加すること, 大学院学生の中からは, 松岡君 (D3) と大関君 (D2), 木村君 (D1) が参加することは早々と決めていましたし,M2 の虻川君, 山田君, 堀内君を連れて行くことも決心していました 14

問題は, 総額でかなりの額の経費支援を GP にお願いすることもあり, 学生達の参加を出来るだけ有意義なものにするには, どうすればよいかということにありました 後期課程学生の派遣目的は 海外研究集会における研究成果発表 にあり, 前期課程の学生の派遣目的は 海外研究機関における研修活動 にあって, この目的の範囲内で有意義であれば,GP に対しても十分言い訳は立つのですが, 実際には seminar や workshop に参加して, 講演をするかしないかでは, 意気込みにも ( 研究者としての ) 将来への影響にも著しい違いがあります そこで参加する以上は, すべての学生に講演をさせよう, 後期課程の学生には original な内容を, 前期課程の学生には survey であっても良いが, 出来れば多少は originality のある話をさせたいと考え, 準備に取り掛かりました これが実に大変で, よくまあ何とか当初の目的を達成し, 無事に帰って来ることができたものだと, 我ながら呆れるというか, 感心しています 松岡君と木村君には, ベトナム派遣を目処に, それまでにかなり内容が出来ていた局所環内の quasi-socle ideals の話を整理し論文化するよう指導しましたし, 大関君には, 千葉大学の西田康二准教授と私との共同研究を論文に纏めるよう指示しました これが ( 国際 ) 研究集会で講演をするための準備の基本であると, 私は考えるからです ベトナムに行くために, 松岡君, 大関君, 木村君達, 学生と一緒に, 私が 6 月以降 10 月末までに書き上げた論文数は, 計 7 編に上ります 大関君と西田准教授との共同研究は 2 編の論文 [1], [2] に纏まり, それぞれ Michigan J. Math. と Mathematical Research Letters に accept されました 松岡君と木村君, Phuong(Ton Duc Thang University, ベトナム ) など, 学生達との共同研究は, 計 4 編の論文 [3], [4}, [5], [6] として仕上がり,[3] は Journal of Pure and Applied Algebra に accept され,[4], [5] は目下海外の雑誌に投稿し審査中です 残りの 1 編 [6] は桜井 PD と堀内君との共同研究で, もまもなく投稿する予定になっています 最後の 1 編は, どうするかなあと目下思案中です 山田君, 虻川君にも少しは originality のある講演をさせることが出来ましたし, 堀内君の場合は, 櫻井 PD と後藤との共同研究を櫻井君が発表しました M2 の学生達の成果は, 彼らの修士学位請求論文に反映されます [1] S. Goto, K. Nishida, and K. Ozeki, Sally modules of rank one, Michigan Math. J. (to appear). [2] S. Goto, K. Nishida, and K. Ozeki, The structure of Sally modules of rank one, Mathematical Research Letters (to appear). 15

[3] S. Goto, N. Matsuoka, and R. Takahashi, Quasi-socle ideals in Gorenstein local rings, J. Pure and Appl. Alg. (to appear). [4] S. Goto, S. Kimura, and N. Matsuoka, Quasi-socle ideals in Gorenstein numerical semigroup rings, Preprint 2007. [5] S. Goto, S. Kimura, N. Matsuoka, and Tran Thi Phuong, Quasi-socle ideals in local rings with Gorenstein tangent cones, Preprint 2007. [6] S. Goto, Y. Horiuchi, and H. Sakurai, Sequentially Cohen-Macaulayness versus parametric decomposition of powers of parameter ideals, Preprint 2007. 学生達の努力を軌道に乗せ加速させるために, 研究室内の workshop を 8 月 ( 清里夏合宿,8 月 19 日 21 日 ) と 10 月 21 日 ( 生田キャンパス ) の 2 回開催し, 成果発表を行わせ, 準備状況の整理と掌握に努めました 特に 10 月 21 日は, 日曜日にも拘わらず, ベトナムでの講演者選定のために朝 10 時から夜 8 時半まで理工学部 6715 演習室でセミナーを行い, 山田君と虻川君を選びました その後は, 全学生の講演準備 ( プレゼンテーション準備 ) に入りましたが, これがまたなかなか大変で, 講演内容の構成から表現 ( 数学英語 ) に至るまで徹底的な指導が必要であることがわかり, 来日していた Phuong を含めて講演をする学生数が多い (6 名 ) こともあって, 多大の時間と労力を費やし, 皆無事に立派にやり遂げてくれたので今は報われた思いで一杯ですが, 当初はどうなることかと心配で非常に疲れました 一方で, 海外旅行は始めてという学生も少なくないため, パスポートの取得の指導から旅行上の注意 ( 後に掲載します ) まで指示しなければならず, 学生引率の研修旅行の重さを実感した次第です 何回にも上ったベトナムとの連絡だけではなく, 学生達の引率は大関一秀君が引き受けてくれました とても責任の重い仕事なのに, 最後まで立派にやり遂げてくれたことを嬉しく思います 大関君は, 学問的にも人間的にも, 大きな成長を遂げつつあります ベトナムに行ってからは, 空港に Cuong 教授と Hoa 教授,Phuong,Minh( 論博事業で来日, 私の後期課程学生 ) 達が出迎えてくれ, 二つのホテルに Institute of Mathematics Hanoi のミニバスで運んでくれました 私の宿舎は Nikko Hotel で, 高いけれど居住性は良く, 後はセミナーをするばかりとなりました 一旦セミナーが始まってしまえば, 目まぐるしいばかりの数学の嵐です 講演を聴いて, 第 2 回 Joint Seminar で日本に招待したベトナムの若手研究者の成長振りに感心しましたし,Phuong,Minh を初め, ベトナムの学生達や研究者との心温まる交流があり, 至れり尽くせりの hospitality の中で, まことに楽しく過ごすことが出来ました 私自身も, 講演あり,chairman あり,problem session 16

では問題提出など, 結構多忙でした 学生達や Phuong の講演の時には, 多少は内心ヒヤリとすることもあり, これはあまり心臓に良くないなあと思いながらも, やるだけのことはやってあると思えましたので, 格別あわてることも無く, 何が起こるか楽しんで聴いていたというのが本当のところです Institute of Mathematics Hanoi の性格でしょうか, 講演数も多かったためか, 今回のセミナーにはやや official というか formal な面が強く出ていて, 実質的な議論や問題の解決のための時間はとりにくく, 議論が結果に収束していくという感じは少なかったような気がします 今後の課題の一つでしょう 多様な問題が提出され,problem session は成功であったと思います Trung 教授,Cuong 教授,Hoa 教授,Phuong, Minh を始めベトナムの人々には, 連日夕食に誘い出して貰うなど, 本当に親切にしてもらいました 特に Phuong には, 過労 ( と, 多分, 心労 ) で倒れそうになったところを支えて貰い, 嬉しく思います 滞在中は終始暖かい気持ちで楽しく過ごせ, ベトナムに対する深い思い入れと希望を持って, 全員無事に帰国できたことを誇りに思います Phuong 女史の講演風景, 後ろ姿は Brodmann 教授 日本とベトナム, 両国の若手研究者と学生達にとって, この第 3 回 Joint Seminar が実り多い体験となることを, 心から願います 成果は 2 3 年後に必 ず現れると信じていますし, 実際にもそうならなければいけません 今回のベトナムベトナム旅行旅行を振り返って 藏野和彦 2007 年 12 月 2 日から 7 日までの日程で, ベトナムの首都ハノイの Institute of Mathematics において, 第 3 回 Japan-Vietnam joint seminar が行われました このシンポジウムは, 明治大学の後藤四郎教授,Institute of Mathematics の Trung 教授,Cuong 教授,Hoa 教授が世話人となって行われたものです しかし, 実際のところは明治大学の大関一秀君 (D2), 木村了君 (D1) とベトナムの大学院生達が世話人の指導のもと協力し合って, 講演者の選 17

定 プログラムの作成 海外渡航や受け入れの準備などを行いました さらに, 講演の約半分が明治大学や Institute of Mathematics などの学生によるものであり, まさに, by and for young mathematicians という言葉そのものの集会でした 学生達の航空運賃と宿泊費の一部 ( 学生達の宿泊費 食費の大部分は, ベトナム側から出していただきました ) については平成 19 年度文部科学省大学院教育改革支援プログラム 社会に数理科学を発信する次世代型人材創発 からの支援を受けました このプログラムの重要なテーマは, 数理科学を世の中に広くプレゼントする能力を育成すること, 数理科学研究等のマネジメント能力育成 にあります プレゼンテーション マネジメントの訓練は, 単なるそれに関する技術の向上だけを目標にしているわけではありません それを通して生まれる社会への責任感, 他の人々の世話をして あるいはプレゼンテーションの準備や実演などによって初めて見えてくる数学の問題の発見など非常に実り多いものであると考えております その意味で, このような研究集会の企画 運営に携わり, また, 自らプレゼンターとして講演を行うことは, 本プログラムの目的にぴったり合致していると言えます 派遣した学生 7 名のうち 5 名が堂々と英語で講演を行いました 学生達は非常に緊張している様子は伺えましたが, 元気ではつらつとしており, 非常にすがすがしい感動を受けました かなり時間をかけて講演の準備をしたということが, よくわかりました シンポジウムの講演で緊張していた昔を思い出して少し若返ったような気がしました 講演をした学生全員が研究者を目指すわけではないのですが, ハノイでの英語の講演 ベトナムの学生達とのふれあいは, 彼らにとって一生の財産となるでしょう 外国人の友人を持つことは, 大変楽しいことです 数学面での重要性は言うまでもありませんが, 全く異なる文化に触れることができ, また, 自然に英語の訓練にもなります 日本の学生たちとベトナムの学生たちが協力してシンポジウムを運営することにより, 自然に友情が芽生えていったように見えました 今回のシンポジウムでは, 明治大学の学生たちがベトナムの学生たちと楽しそうに談笑する場面が非常に目立ちました 普段, 日本でのシンポジウムに出席していたときも, これほど他大学の学生との交流は無かったように思えます この面でも, 学生たちにシンポジウムの運営のかなりの部分を任せるという今回の方法は, 大成功であったと思います 18

ベトナム紀行文 中村幸男 2007 年 12 月 3 日 ~7 日にわたり, ベトナムのハノイで行われた日越共同セミナーに参加し, その後 12 月 14 日まで N.C. ミン氏と研究打ち合わせを行ってきた 共同セミナーでの講演数は 38 にもわたり, なかなか面白い講演を数多く聞くことができたのだが, スケジュールのぎっしり詰まったタイムテーブルであり, 夜は主催者側からの厚い歓待を受け, 講演内容をゆっくり考える時間があまり取れなかった 自分の講演日が最終日ということもあわせて, ずっと緊張感が続いていたような気もする 今回は初めてプロジェクターを使った講演を行い, また, 講演まで日があったせいもあり, あれも言おうこれも言おうと内容を少しずつ変更してしまった 結局, 講演時では話す量が多すぎて時間が足りなくなってしまったことが反省点として残る ミン氏との共同研究では, 私のほうからは イデアルのコア の話題を, ミン氏からは テトラヘドラル曲線 の話題を出して, この2つを中心に議論をした お互いに自分のテーマを相手に解説し, 問題点を挙げ, 一緒に考えた テトラヘドラル曲線の話では組み合わせ論の可換環論への応用というものをあらためて再認識することになった 今回の渡航では, 共同セミナーの参加で数学的に得るものが多くあったのはもちろんのだが, それ以外に, その後のミン氏との付き合いでベトナムについて多くのことを知ったような気がする まず, 気がつくのがベトナム人はベトナムという国を本当に大事に思ってるということを感じる 国を愛し, 国の歴史に誇りを持ち, 国の指導者を尊敬し, 国の財政を自分の家の家計のように考え, 国の将来を自分の将来のように考えている 一例を挙げれば, ハノイの交通状況はどう見てもパンク状態としか思えないのだが, 私がミン氏に ハノイ市には地下鉄が必要だろう と言うと, 地下鉄建設にはお金がかかる そのような借金を子供の世代に残すわけにはいかない と返された 心の半分では借金をしてまでも地下鉄を作らねば絶対に都市機能がマヒすると思っていたが, もう半分ではミン氏の考え方に 正しさ を感じる 他にも日本と比較していろいろなことを考えさせられることの多かったベトナム紀行であった 19

ベトナム研修研修の感想 D3 松岡直之 Japan-Vietnam Joint Seminar は今回で3 回目となるが, 私はこの3 回全てに出席することができている 第 1 回は2001 年 8 月に横浜で行われた国際会議で, この際私は未だ学部 3 年生であったにも関わらず, 後藤四郎先生の厚意により出席を許され, 大変貴重な経験をすることができた 第 2 回は200 6 年 3 月に明治大学生田キャンパスで行われ, その際は私自身も主催グループの一員として計画立案やアナウンス等の様々な作業を経験することができた このように, Japan-Vietnam Joint Seminar は毎回貴重な経験をするチャンスを与えてくれる, 私にとっては非常に思い入れの深い集会であると言える 第 3 回である今回も例外ではなく, 初めて発展途上国に足を踏み入れる機会を与えてくれた 今後も継続して開催される予定の Joint Seminar にも参加し続けられるように, 研究活動にもより一層励み, 講演ができるようにしていきたいと考えている さて, まずは自分の講演を振り返って おきたい 私はこの The Third Japan-Vietnam Joint Seminar において, 後藤先生と高橋亮さん ( 信州大学 ) との共同研究である Quasi-socle ideals in a Gorenstein local ring の講演を行った 英語による講演は今回で3 回目であったが, 日本語の講演と比べるとどうしても伝えきれない部分があることをもどかしく感じた 今回は, 木村了と Tran Thi Phuong(Ton Duc Thang University) の講演にも共同研究者として関わっており, 私の講演を含めた3つの講演でひとつのストーリーとなっているものであった そのため, 最初の講演者であった自分がしっかりとその背景を説明しなければいけないという目的意識を持ちながら準備を進めてきた 他者の講演にも影響を与えかねないと考えると普段よりも一層気を遣う必要があり, そういった面でも共同研究の重さを感じることができた 20

本 Seminar 最終日に行われた Problem Session においては, 興味深い問いが後藤先生, Ngo Viet Trung, Le Tuan Hoa, Markus Brodmann らから数多く提出され, 今後是非取り組んでいきたい課題が多かった とても有意義な時間だった 前回の Joint Seminar に参加した人たちや, 論博で今年の夏に3ヶ月間滞在していた Nguyen Cong Minh(Hanoi Problem Session において後藤先生後藤先生は様々な問いをいを書き出してして下さったさった National University of Education) との再会も非常に喜ばしく感じた 他にも非常に多くのベトナム人参加者がおり, 新たな交流を持つきっかけとなったことは私自身の今後にとっても大きな意味を持つに違いないと考えている 今後の自分の研究活動において大きなウェイトを占めることになるのではないかと思える良い Seminar だった 今回は, 初めての発展途上国滞在の機会のため, 色々と驚くべき経験ができた まず, ベトナムに着いて最初に驚いたのは, 道を走るバイクの量だった 話に聞いていた通りではあったものの, 百聞は一見にしかずというか, 実際に見るとその光景には驚かざるを得ない状況だと思った また, そのために排気ガスがひどく, 現地の人もマスクをつけてバイクを運転している姿が目立った 一方で, そんな中, 道端で食事をしている人も多く, そのことにも驚いた そのような姿を含め, 生活感を直接感じられる姿が多く見られ, 日本では感じることのできない ( あるいは失われた ) 部分を多く見ることができたことは良い経験だったと思う ハノイでの生活に慣れてきた頃, 少しずつある いびつさ を感じ始めた 生活水準には, 東京とハノイでかなり大きな差があるように感じるのに, インターネットカフェ ( のような店 ) がかなり多く点在し, 通信事情は10 年前の東京よりも良いだろうという印象だったことが, その いびつさ の正体だろうということに帰国後になって気づいた 当然といえば当然の現象だろうとは 21

思うが, 日本では感じられないような 生活の匂い とでもいうようなものが強烈に残っているにも関わらず, ある面では先進的な面が見られるということに, なんとなく不自然さというかどこか無理をしているような気がしたという感じである 背景にあることは, 恐らく日本やアメリカからの旅行者 ビジネスマンの要望が強かったのではないだろうかと思うが, そういったことを無理に取り入れていくことがいいことであるかどうか, 少し疑問に感じたところでもある 現地では, 毎朝ホテルまでバスで迎えが来て, 帰りもバスで送ってもらえるという至れり尽くせりの待遇で, 今まで行ったことのあるどの国よりも様々なサポートが万全というか, 逆に恐縮するほどだった 恐らく, 現地の人たちもそれくらいのサポートをしなければ私たちが不安になるだろうことをよく理解しているのだろう 夕食は, 同行した10 名でホテルのレストランでほとんど済ませたが, 金曜日の夜は Minh と Hoang Le Truong(Institute of Mathematics) にバイキングの店に連れて行ってもらった とても楽しい夕食を一緒に過ごすことができたことを本当にうれしく感じた 月曜に, 飛行機までの時間を利用してハノイ市内を見て回る機会が得られた 交通量の多さや, 道端へのバイクの駐車などによりとても歩きにくかったが, しかし少しでもハノイという土地を自分の足で歩けたことが本当にうれしかった ベトナムで最初の大学の跡地である文廊は, 外の喧騒を忘れさせてくれるような落ち着いた雰囲気があり, 今まで見てきたベトナムとは全く違った印象を持った ベトナムの英雄であるホー チ ミンのミイラが奉られているホー チ ミン廊は残念ながら月曜は閉館日で中を見ることができなかったが, ベトナム戦争時の捕虜収容所として使われていたというホアロー収容所の跡地にある博物館には入ることができた そこには当時の資料や写真が展示されており, その生々しい展示物を目の当たりにし, 当時の残酷な日々が重く感じられた 帰りはハノイからの直通便の席が取れなかったため, 私はホーチミン経由での帰国となったが, そのおかげでホーチミンの空気を少し感じることができ, むしろいい体験ができたと思っている ホーチミンには夜の9 時頃に到着したが, 外は非常に蒸し暑く, 常夏というイメージ通りだった 外の光景は, ハノイ空港よりも整然としているような印象を持ったし, 空港自体は立派なもので, ハノイ空港とは明らかに格が違うといった風体だった 空港を一歩出た程度の印象でしかないのであまり多くは語れないが, しかしホーチミンにも一度滞在してみたい, という思いを持った 22

今後, このベトナムの雑踏とした雰囲気はどのように変化していくのだろう か この Joint Seminar に参加し続け, それを見つめていくと同時に, 自分を 成長させることができればとても幸せだろうと思う ベトナム訪問訪問について D2 大関一秀 今回のベトナム訪問の目的は, ハノイの Institute of Mathematics にて開催 された, The 3 rd Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra へ の出席及び講演である この日本 ベトナムジョイントセミナーは, 数年前から, 日本とベトナムの間の若手の研究者達の研究の交流を目的として開催されており, 2006 年 3 月に明治大学の生田キャンパスにて開催された第 2 回のジョイントセミナーから私も参加している 私は, 今回の日本 ベトナムジョイントセミナーへ参加するに当たって, 日本側の参加者の纏め役を任されていた 纏め役としての私の最初の仕事は, ジョイントセミナー開催についてのアナウンスであった 去年度の末から, 過去ジョイントセミナー参加者を中心に参加者の募集を行い, 時には研究集会の場で時間を頂いてアナウンスを行ってきた その結果, 明治大学の教員及び学生のみならず, 他の大学からも含めて総勢 19 名の参加者が集まった 纏め役としての仕事が本格的に動き出したのは今年の 7 月頃からである その主な仕事内容としては, ベトナム側からの情報の管理と日本側の参加者の予定の管理等があった ベトナム側とやり取りは困難な部分もあったが, その一方で, 非常に良い経験になったと思われる 私にとって, 他国の人とこのような研究集会についてのやり取りをしたのは, 生まれて初めての経験である その為, 当初のやり取りの際には この文章で内容がしっかり伝わるだろうか こ, の表現では誤解を招かないか 相手側に失礼ではないか と, メールを一通送信するにしても細心の注意を払いながらの作業となった その際に, 先輩方からやり取りに関するアドバイスを頂きながらこなしていくことで, 次第にその作業にも慣れ, 自然に従事することができた アドバイスをくれた諸先輩方には非常に感謝をしている このように, 準備の段階から, 多くの貴重な経験が得られたのではないかと思う 23

私のベトナムへの最初の訪問は, 2005 年 12 月に同じくハノイの Institute of Mathematics にて開催された, CIMPA School and International Conference on Commutative Algebra への参加であった さらに, 今年の 2 月に中村幸男准教授と共にハノイの同研究所を訪れたのが 2 度目である 2 度目の訪問の際には, 現地で定期的に開催されているセミナーへ参加をし, 今回のジョイントセミナーの Organizer である, N.V.Trung 教授, L.T.Hoa 教授, そして, N.T.Cuong 教授らの下で On m-primary ideals with the small first Hilbert coefficients という題目で講演を行ってきた そして, 今回のベトナム出張は 3 度目となる 空港から車に乗って滞在先のホテルに向かう途中,1 年前とも 2 年前とも変わらない街並みを眺めながら, また, ここに戻ってきた という, 懐かしい気持ちが溢れてきたのを覚えている また, その時に空港に迎えに来てくれていた友人達は, その後の滞在中の世話を非常に手厚くしてくれた 特別なトラブルも無く, 充実したベトナム滞在になったとは彼らのお陰であり, 彼らには感謝の気持ちで一杯である このように, ベトナムへの訪問と, そこでの交流は, 私の研究活動に於いて重要な位置付けを占めており, 今回のベトナム出張は, その位置づけをさらに強くするもであった ジョイントセミナー開始! 若手の研究者同士研究者同士の交流 今回のジョイントセミナーは 2007 年 12 月 3 日 ~7 日までの 5 日間に渡って開催された 日本側からの 19 名, ベトナム側から約 60 名の参加者に加えて, スイスから M.Brodmann 教授, さらに, 韓国から S.Kwak 教授ら 3 名が招待されており, 国際会議に準ずる規模で開催された 5 日間の開催期間中に, 全部で 34 コマの講演 (50 分講演と 30 分講演 ) が行われ, その中には興味深い内容のものも幾つか見られた ジョイントセミナー最終日には, プロブレムセッションと題して, 後藤四郎教授, M.Brodmann 教授, N.V.Trung 教授, そして, L.T.Hoa 教授らによって今後取り組むべき興味深い問題が数多く紹介された 24

私は, ジョイントセミナー最終日 (12 月 7 日 ) に, The structure of Sally modules of rank one というタイトルで講演を行った 講演時間は 50 分であった 講演の内容は, 後藤四郎教授と西田康二准教授との共同研究による結果 ( 論文題名 The structure of Sally modules of rank one, Sally modules of rank one ) の紹介で, 階数が 1 の Sally 加群の構造を完全に解析したものである 今回の講演では, 主定理とその証明の概略, さらに定理の条件を満たす例の紹介を行った 海外で講演するのは, 前回のベトナム訪問に続いて, 私自身これが 2 度目であるが, 今回の様な大規模な研究集会での講演はこれが初めてである けれども, 講演前はナーバスというよりはむしろ, これから講演をするということに対してワクワクしているという気分であった 実際, 講演をしながら非常に楽しく充実した気分になっていったのを覚えている 講演中は, とにかく ゆっくり丁寧に話すこと 丁寧に読みやすい板書をすること の 2 点のみ心掛けていた 講演後には, Hoa 教授や Dung 教授らから講演に対してのコメントを頂くことができた 講演時間を少しオーバーしてしまったことや, その他にも構成に関して反省点はあるが, それも含めて非常に大きな経験をさせて頂けたと感じている 講演直前講演終了 ジョイントセミナーの閉幕の際には, Trung 教授や Hoa 教授らに日本側の纏め役として名前を呼ばれてその場に立ち上がり, 参加者の皆さんから大きな拍手を頂く事ができた 纏め役の仕事から, 自身の講演までを通じて, 全てを経験できて良かったと思えた瞬間だった この経験は, 今後の私の研究生活に於ける大きな糧であり, 非常に充実したジョイントセミナーであったと思われる ジョイントセミナー以外にも, 沢山の交流の場があり, その一つ一つもまた 大切な経験である 25

まずは,3 日に Excursion として, ハノイ近郊の Ceramic Village へ 8 日に もハノイ近郊の遠足があった そこでは, ハノイの街並みとは異なり, 自然が 沢山残る風景を見ることができた これらの正式なイベント以外にも,N.C.Minh を初めとする研究所の人達が, ハノイ市内のレストランに招待してくれるなど, 手厚い持て成しをしてくれた ジョイントセミナー以外のこのような場での彼らとの交流もまた, 今後の私の大切な財産になるであろうと思われる 以上のように, 準備期間からセミナーへの参加及び講演, そして, 多くの人 達との交流まで含めた全ての経験が, 今後の人生に影響を与えてくれると考え る 非常に有意義なベトナム訪問であった 最後に, 今回のベトナムへの派遣の機会を与えて下さった後藤四郎教授に深 く感謝いたします そして, 今回のベトナム訪問で携わった全ての方々にも併 せて深く感謝いたします ベトナム研修旅行研修旅行の感想 D1 木村了 ベトナムに行くのは2 回目である ハノイ空港に降り立ったらすぐにバスに乗り宿舎に向かった しばらくするとハノイの中心街に到達し, 一回目にここに来たときと同じように大量のバイクが往来し騒々しい様は相変わらずだった しかし前に来たときより心なしか道路が舗装されて, 若干清潔感が増したなあというのが直ぐに感じたことである それでも宿舎に着きその周りを散歩してみると, 車の中から見た風景と反して, 非常に歩きにくかった それも公道と私道の区別がなく所々私道と思われる場所でバイクが駐車されており, または人々が席を並べて食事をしているのが原因であろう また食事後の食器をそのまま外で水で洗い流すことで, 舗装されていない凸凹の道路にその水がたまり不潔感があるのが否めなかった しかし, 凄まじい量のバイクが道路を往来し ( クラクションの音も凄まじい ), その横で人々が外で食事をしている様は活気があって, ただ町を歩くだけにも関わらず何かベトナムの人々の生活感というか人間が住んでいるんだなあという感覚を直接肌で感じることができた この感覚は日本ではまず味わえないだろう 26

さて, ハノイに着きその次の日が Japan-Vietnam seminar の初日である セ ミナー開始後 5 日間は大体以下の要領で生活をした 7 時 40 分に自分の宿舎から用意されているバスに乗りかセミナー会場に向かう 8 時 30 分 ~12 時の間, 適宜休憩を挟みつつ午前のセミナーが開催される 12 時 ~14 時の間, 昼食をとる ( 毎回既に用意されている同じお店で ) 14 時 ~17 時の間, 適宜休憩を挟みつつ午後のセミナーが開催される 用意されているバスで宿舎に帰宅し, そこで夕食をとる 完全に決められた生活で多少窮屈な感じは否めないが, 例えばバスや食事の場所が用意されていなければ, ベトナムの交通事情を考えると日本人がうかつに行動できないのはしかたがないだろう 自分はセミナー開始日から3 日後の木曜日に Quasi-socle ideals in Gorenstein numerical semi group rings という題目で講演をした 講演自体そんなに経験が無いにも関わらず, まして英語講演は初めてということもあってか, 自分の講演までの3 日間は, いつもそのことを考えている訳では勿論無いが, 時々無意識に頭の中に入ってくるというような, 異様な緊張感があった しかし自分の講演が終わるとベトナムの学生から質問を受けるなど, 自分にとって非常に有意義な講演になった セミナーの最終日には Problem Session といって, 先生方が, それぞれ今考えている数学の問題を説明または提供をしてくださるという素晴らしい試みがあった これは自分も含め, 学生達にとって素晴らしい機会であった 27

のではないかと思った ところで自分と同じ宿舎に泊まりセミナーに参加した日本人達と各個人の講演の動画を, セミナーが終わった後宿舎で上映をし合った 自分の講演の撮ってもらった動画を見たら, 何だかみすぼらしい英語の発音で恥ずかしい思いをした 英語については本当にまだまだである ベトナム研修旅行研修旅行の感想 M2 山田修平 今回, 第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra に参加させて いただき, かつ講演もさせていただきました ジョイントセミナーの雰囲気は日本のものとはやはり異なり, 何か独特なものを感じました また, 何人かは第 2 回 Japan-Vietnam Joint Seminar の時に会っていて知っていたのですが, ベトナムにこのジョイントセミナーに興味を持ち参加する方々が, 自分が思っていたより, とてもたくさんいるということも知りました ベトナムの方々がとても熱心にこのジョイントセミナーに参加しているということも感じ取ることが出来ました そして, 私の講演についてですが, 初めての講演ということで, とても緊張しましたが, 非常に貴重な体験が出来, 色々なことを知ることが出来たと思います まず, 講演をするということが, 自分の思っていたことより, とても難しいものであることを実感することが出来ました 準備をする段階で, 自分の話す内容をどのように話すか, 何を黒板に書くか, どのタイミングで何を話すか, など色々なことを考えなければならないということを知りました また, 今回, ベトナムでの講演ということでもちろん英語での準備をしなければならず, 日本語でも分からないことだらけのことを英語にする, ということもとても難しく大変でした そして, 講演をする具体的な内容が決まったら, 何度も練習, リハーサルを繰り返し, それでやっと講演をすることが出来るということも知りました 30 分の講演をすることがどれだけ大変で, とても多くの時間と労力を費やさなければならないということを実感することが出来ました 本番, いざ講演を始めてみると, やはりリハーサルのときとは異なり, その場でしか感じることの出来ない空気を感じました また, 黒板の文字を実際にどのくらいの大きさで書けば良いか, どれくらいの声の大きさで話せばよいのかなど, 色々なことをその場で考えてしまいました しかし, リハーサルした通りに講演を進めていき, 無事時間内に 28

終えることが出来ました 終えてみると, とても時間が経つのが早く感じました また, 自 分が思っていたよりとても楽しく講演をすることが出来たと思います 実際に講演をさせていただき, 言葉では説明することの出来ない様々なことを感じ, 知ることが出来ました 準備をすることから初めて, 色々なことを通して, 講演をする, ということが, どのようなことなのかを知り, 実感することが出来, その過程をとても楽しむことが出来たと思います この第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra では, この講演で, 得がたい非常に多くの貴重な体験が出来ました 講演風景,chairman は後藤先生 この第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra で得たものは, 講演に関することだけではありません このジョイントセミナーを通して, とてもたくさんのベトナムの研究者の方々や, 学生たちと交流を持つことが出来ました ベトナムの方々はとても気さくで感じが良く, 色々なことを話してくれました このジョイントセミナーがなければこのような方々と, 知り合うことは, なかなかなかったと思います また,Excursion などを通してベトナムの色々なところへ連れていってもらい, ベトナムがどのような国なのかということも, いろいろ知ることが出来ました ベトナムの人々の生活の一部や, 町の雰囲気なども感じ取ることが出来ました まず, もう町並が日本のものとは異なり, 文化の違いを実感しました また, 街の風景をただ見るだけでも, 日本の裕福な暮らしとは異なるものを感じました ほとんどの建物は, おそらくコンクリートやレンガからできていて, 隣同士の建物がそのままぴったりとくっついているという感じでした また, 路上に店を出している人々や, 路上でいすに座り, 集まって何かを食べたり飲んだりしているのも多く見掛けました 29

交通事情については, 車はあまり見掛けず, 皆ほとんどがバイクに乗っていて二人, 三人乗りも当たり前のように見掛けました また, 信号はほとんどなく, ときどき見掛けたとしても, あってないような感じで, それぞれの人たちが勝手に自分の思うように, バイク等を運転しているように思えました 交通量の多いところや狭い道では, 道をほとんどバイクが埋め尽くしているというような感じでした 道路を歩いて横断するときも, 横断歩道などもほとんどなく, バイクの間をすり抜けて何とか横断するという形でした 事故等は多くおきているようですが, 私はほとんど見掛けず, これほどの交通事情で事故を余り見掛けないのは不思議なくらいでした 食べ物については, 日本人にとても良く合う料理が多かったように思えます 私自身 もベトナムの料理を, とてもおいしく頂くことができました この他にも感じたこと色々ありますが, 日本とベトナムとの文化, 社会, 生活の違いについて, 様々なことを知り, 実感することが出来ました ベトナム訪問で, このように, ベトナムという国を知ることが出来たことも, 貴重な収穫のひとつであると感じています 第 3 回 Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra に参加させていただき, それを通して非常に多くの様々な貴重な体験をすることが出来ました 今回のこのベトナム訪問では, 色々なことを通して, 普段では過ごすことのできない, とても充実した時間を過ごすことが出来ました ベトナム研修旅行研修旅行を終えて M2 虻川雄穂 今回のベトナム研修旅行の日程は,2007 年 12 月 2 日 ~12 月 11 日までの 10 30

日間であり, そのうち 3 日 ( 月 )~7 日 ( 金 ) は講演を行うなど研究集会へ出席しましたが, その後は, 研究打ち合わせや共同研究の合間にハノイ市内や近郊の見学を行いました そのときの様子や感想などを, 以下に簡単に報告します 1. 研究集会について今回の研究集会は, 自分にとって, 今までの研究集会とは大きく異なるものでした なぜならば, 今まではただ聞いているだけのいわば受動的な参加だったのに対し, 今回は講演者の一人として前に立つこととなったからです それは, プレゼンテーションとは何かということを学ぶ素晴らしい機会であったと思います 実際, 講演準備の段階から発表, そして報告まで, いくつものステップや注意点があることを知りました まず, 講演内容の選定と発表原稿の作成時には, 後藤先生, 木村先輩に大変お世話になりながら, 自分が納得し, かつ Audience にもわかりやすいと思えるものを何とか作ることが出来ました 発表練習では, 英語の発音や板書の仕方を確認しながら何度もリハーサルをした結果, いつでも頭の中で 30 分の講演内容を話せるようになりました そして, 実際の発表の場では, 後藤先生からアドバイスを頂いた次の二点 ゆっくり, はっきり, 丁寧に, 大きな声で, 落ち着いて話をする 何が何でも解らせる, 考えていることを必ず伝える, という気持ちで話すを心掛けながら, 何とか満足のいく講演が出来ました 最後に報告集への提出がありますが, 講演をやりっぱなしにしないで, 次に繋げることが出来るようにしっかりと纏めたものを作りたいと考えております 以上のように一つの講演をするということは, かなりの努力と時間を必要とすることがわかりました 今回の経験は, 必ずこれから先の同じような場面で役に立つ ( むしろ, 自分の中で拠り所になる ) に違いないと思います 講演の様子 ( 緊張で手が震えました ) 2. ハノイ市内市内の見学見学について以下に何枚かの写真とともに, 簡単な感想を書きます 31

圧倒されたされたバイクバイクと喧騒喧騒の渦 至る所で見られるられる食事食事の風景 街中に見られる, 活気あふれるあふれる市場 子供の頃からから教え込まれるのだろうか 食事は野菜中心野菜中心で馴染馴染みやすいが, 中にはびっくりするようなにはびっくりするような味付味付けも 3. まとめベトナムという国は, 良い意味でも悪い意味でも, 若い国だなという印象を持ちました 活力があり, まだまだ発展の余地がありますが, それと同時に, 環境汚染や貧富の差の拡大など, 見過ごせない課題も併せ持っていると思います 日本では当たり前に享受できることがベトナムでは貴重であり, その反面, 日本では失われてしまったものをベトナム人はまだ持っていると感じました 32

最後に, 今回のベトナム研究集会への派遣を許可していただき, 更に講演の機会まで下さった後藤先生, 旅程全般にわたって私達の代表として取りまとめていただいた大関先輩, 講演準備時に大変お世話になった木村先輩, そして, 滞在中に面倒を見ていただいたベトナムの方々, 先輩方に, 深く感謝いたします ありがとうございました ベトナム紀行 M2 堀内陽介 1. 旅立ち ~ ハノイ着 2007 年 12 月 2 日早朝, まだ辺りが薄暗い中, 私は成田空港へと向かった 研究集会 The 3 rd Japan-Vietnam joint seminar on commutative algebra に出席するため, ベトナム ハノイを訪れることになっているのだ 10 日分の着替えや生活用品, 何冊かの数学の本などを詰め込んだスーツケースを引きずり, 新宿発 成田エクスプレス に飛び乗った 未踏の地 ベトナムを思い, 心地よい高揚感に包まれながら白んでゆく空を眺めていた 日本とは辿ってきた歴史も, 文化も, 思想も異なるベトナムという国で, 私は何を見, 何を感じ, 何を思うのか 正直に言って, ベトナムという国について, 本で読んだ知識以外ほとんど何も知らなかった私は, 風邪を引いていたこともあり, この時点ではかなり不安が大きかったように思う 食べ物は安全だろうか 生野菜, フルーツなどを含め, 火の通っていないものは食べないほうがよいだろう 街に出るときはスリや引ったくり, 強盗に気をつけなければ 狂犬病, 鳥インフルエンザ, コレラなど恐ろしい病気は大丈夫か 日本の常識は世界の非常識と言い聞かせ, 警戒してもしすぎることはないと, かなり肩に力が入っていた 成田空港で後藤先生をはじめ, 今回の旅で同行するメンバーと合流し, 一路ベトナムへと旅立った 成田から約 6 時間のフライトでノイバイ空港に到着した 暑い 冬の東京とは違い, 気温は 20 を超えているのだろう 冬の装いの私はすぐに汗だくになった 入国手続きを済ませると, 現地の先生方や学生が出迎えてくれた 皆, 前回の joint seminar で顔見知りになっていた バスに乗り込みホテルのあるハノイ市街へと向かった 車窓からベトナムの景色を眺める 赤茶けたむき出しの大地 建物はまばらで, 時折日系企業の広大な工場が見える 道路は日本では考えられない数のバイクが縦横無尽に走っており, クラクションが間断なく鳴り響いている バイクは二人乗りは当たり前で, 三, 四人乗りや, 大きな袋を両側に下げていたりする 空気が乾燥しているのか, 土埃が舞い上がり, 排 33

気ガスでもうもうとしていて遠くが霞んでいる 青空もよく見えない 歩行者やバイクの運転者は色とりどりのマスクで身を守っている 小一時間ほどしてバスはハノイ市街に入った ベトナムの首都であるハノイは政治の中心であり, ベトナム最大の商業都市であるホーチミンとは違いのんびりとした雰囲気であると聞いていた 実際のハノイも聞いていた通り, 活気はあるものの, 以前に行ったことのあるタイの首都である大都市バンコクなどの, どこかギラついた東南アジアのエネルギーあふれる感じとはかなり違っていた 歩道という歩道は食卓となっていて, たくさんの人々が食事を取っている 大きな建物は少なく, 小さなお店がたくさん並んでいる ハノイ最大の湖 西湖 (Ho Tay) の畔に, 私たちの滞在するホテル Ho Tay Villa Area はあった チェックインをフロントで済ませ部屋に向かう このホテルにはエレベーターがなく, 重いスーツケースを部屋のある三階まで運ばなければならなかった 部屋の鍵は調子が悪いのか, 何度も回してやっと掛かったり, 開いたりする このホテルは大丈夫だろうか 不安だった その日は晩御飯を生野菜はなるべく避けて, 恐る恐る食べた 次の朝まったく体調に変化はなく, しかも, とても美味しかったので, 生水や生の魚介類以外ならば挑戦してみようと思った 2. ハノイでのでの時間今回の joint seminar では私の講演はなかったが, 特に, 現地の学生 H. L. Truong さんの私と同じ研究テーマについての講演や, 私と共同研究をしていただいている櫻井秀人さんの講演があり, 私にとって非常に有益な時間を過ごすことができた 34

Joint seminar の期間中は, 私たちは昼間のほとんど時間を Institute of Mathematics Vietnam Academy of Science and Technology で過ごした 会 場内に卓球台があり, 昼休みに少し体を動かしてみた 場内でのコミュニケーションは基本的に英語であった お互いが英語を母国語としていないために, あまり上手ではない英語で話しているのだから, なかなか通じないことも多々あり少し苦労した しかし, その分お互い一生懸命伝えようと努力するので親近感が沸き, 初めて会う人ともすぐに仲良くなることができた 日本人の学生同士で固まることはよくないと考え,Coffee break の時間もなるべくベトナムの人と話そうと心がけていた しかし, ベトナムの人もシャイなところがあり, 特に女性はまったく話しかけてきてくれず, しかも固まって話していて, 話をすることがなかなかできずにいた Excursion や Banquet のときはここぞとばかりにたくさんの人と話した もちろん女性たちとも 雪は見たことがありますか? や, ベトナムの料理はとても美味しいです など, 本当に世間話のようなものだが, 臆せずに何でもいいから話していれば次第に会話も生まれてくるということを学んだ 日本人もベトナム人も, そのことがまだ苦手であるように思う 国際的な舞台で非常に損をしているのではないかと思う 35

3. ハノイ見学 ~ 帰国今回の旅ではハノイ市内を見学する機会もあった 街を往来している人々は, さすが首都だけあってかなり洗練された格好をしている そして, 路上生活者と思われる人をまったく見かけなかった 社会主義国だからなのであろうか, 街の雰囲気もどこかのんびりしていて, 財布だけもって一人で買い物ができそうな街であった 最初に持っていた不安はこの頃にはすっかり消えて, 毎日美味しいものをたくさん食べ, ハンドバッグ一つで街を歩くようになっていた あるベトナムシルクのお店に入って品物を見ていると, きれいな英語で女性の店員さんが対応してくれた 私はそんなに英語が得意なほうではないが, 彼女は あなたの英語はとてもきれいで判りやすいですよ と, 私の英語をほめてくれた そして, ときどき日本のお客様がいらっしゃいますが, ほとんどの方は英語が話せない方なので, 何をお求めになりたいのかわからず, 対応に困ってしまうんです と続けた 対応に困るというのだから, その日本人は, なんとかして相手に伝えるという努力もしないのだろう 私は一部の日本人の持つある種の傲慢さを見た気がした こっちは客だから店側が日本語で対応しろとでも思っているのではないか そうだとしたら非常に恥ずかしい そういう人たちに海外に行く資格はない 日本にいるのと同じ感覚で, 日本の常識を通 36

そうとする その国の文化や考え方に理解を示そうともせず, 最初から知ろう とすらしない それはその国に対してとても失礼だと私は思う 帰りの飛行機は夜中 0 時 10 分発であったので, 離陸してすぐに消灯となった するとなにやらガタガタと音がする 見れば, 日本人の中年女性が無理やりにリクライニングシートを倒そうとしているところだった どうやらシートが壊れているらしい ちょうど飛行機は乱気流に入るところで, シートベルトランプが点灯している それにもかかわらず, フライトアテンダントを呼び出すコールボタンを何度も押し, なにやら騒ぎ始めた 私が フライトアテンダントもシートベルトを着用して席に着いているはずだから, 今は呼んでも来てくれませんよ と言うと, どうせ後ろでお喋りしてるんだから呼べばいいのよ! と滅茶苦茶なことを言う ベトナム人の乗務員が来てくれたが, 私は英語が喋れない と追い返し, 日本人乗務員を呼び, 壊れた席に通しておいて快適な空の旅もあったもんじゃない! お金返して! と食って掛かった 結局正常に作動するシートに移動してもらい, この話は終わったが, 私は本当に気分が悪かった この女性はベトナムで何を見てきたのであろうか 歴史も, 文化も, 思想すらも異なる海外へ行くということは, その違いを感じ自国, ひいては自身を見直すことに他ならないと私は考える 資本主義と共産主義, 民主主義と社会主義の考え方の違いなどと大げさなことをここで議論するつもりはないが, 自分の常識がいつでもどこでも通じるなどということがあるはずがないということは自明ではないか それを肌で感じられるのが旅なのだ それを感じることがないのなら, 海外になど行かないでほしい 日本人のイメージが悪くなるだけだ 誠実な旅行者に対して大迷惑だ 私は心からそう思った 飛行機は夜明けとともにそ知らぬ顔で成田へと降り立った 十日ぶりの日本 はなんだかとても寒く感じた 地球は大きい 4. まとめベトナムから帰って 2 日くらいは, 日本語に違和感がありうまく聞き取れなくなっていた それくらい一生懸命英語を話そうとしていたのだと, 我ながら感心した 私にとって 3 度目の海外であったが, やはり得たものは大きかったように思う 海外で同世代の若者が同じ分野を研究していることを知り, 彼らと話すことで自分の研究に対するモチベーションとすることができたし, 数学以外でも彼らと話すことでよい刺激を受けた また, 海外での生活で, 日本という国と, 37

そこに暮らす自分を省みるよい機会となった たくさんの人と出会い, たくさ ん話し, 少しばかりの憤りなども感じ, しかし, ハノイの街のおおらかさと, 人々の明るい笑顔に私も笑顔になれる ベトナムは不思議な国だと思う これからの課題であるが, まず一つは何をおいても修士論文を書き上げること もう一つは, 日本社会の閉塞感の正体は一体何であるかを考えること 日本はベトナムに比べ, 経済のレベルははるかに高く裕福であるはずだが, どこか余裕がなく, とても息苦しい そして, その社会の中で私は何を見, 何を感じ, 何を思うのか 私の人生において, このベトナム行きは大きな意味を持っていると確信しつ つ筆を置こうと思う ベトナム研修旅行研修旅行の感想 M1 鈴木秀典 この度, ベトナム ハノイで開かれた The 3rd Japan-Vietnam joint seminar on commutative algebra に参加させていただきました まだ M1 という早い段階でこのような機会をいただけたことは非常に幸運なことだと自分が如何に恵まれた環境の中で学んでいるかを改めて感じました ベトナムに着いて先ず驚いたのは気温の高さでした 日本を発つ前に予め情報を集めた積りでしたがまさかあれ程は 12 月だというのに 20 から暑い日だと 30 近くまで上がったりしていた また, 交通状況の劣悪さにも驚いた まずバイクの量が日本とは比べ物にならないほど多く, 逆に信号機や横断歩道の数は少ない その上, 信号はすぐに変わってしまうし, 曲がってくる車のスピ 38

ードはとても速い 道一つ渡るのも命がけだという話も現地の状況を見れば頷 ける そういったことを考慮してか空港からホテルまで, というかホテルから セミナー会場など外を移動しなければならないときは必ずバスで送ってくれた 二日目からはいよいよセミナーの開始 後藤先生をはじめ, ベトナム側の先生, ゲストの先生等の挨拶でセミナーが始まる 英語の講演を聴くのは初めてというわけではないが, 話していることを聞くだけで精一杯になってしまい, 数学の内容を考えながらというのはやはり無理なようです 自分の英会話能力の低さを痛感させられました それでも いつもお世話になっている先生方や自分とも近い諸先輩方の講演なのでしっかり聞こう と思い, 数学の内容を考えながら聞いてみる が, やはり内容もあまりよく解らない部分が多い それでも 折角お金を出してもらって外国まで来ているのだから と思い, 頑張って聴いてみる が, やはり解らないものは解らないようでした M1 の段階で ここで話されていることを大雑把にでもよいから理解しよう というのは甘いようです とりあえず自分にも解りそうな部分や興味のわいてくるような部分を重点的に聞いてみよう そう思って聞いてみれば, 少しは解る部分が増えて自分も面白く講演を聞くことができた 39

講演では多くの先輩方の講演も聴くことができた しかし, ドクター以上の 先輩の話はやはり解らない部分のほうが圧倒的に多かった それでは今回が講 演デビューだという M2 の方の講演はどうか? 流石に他の人の講演と比べると自分にもよく解る とは言っても二人とも初講演とは思えないほどしっかりとした講演だったと僕は思いました それと同時に次回の Japan-Vietnam joint seminar で自分もあんな風に講演ができるのだろうか? と不安にもなった 先生方はどう思ったかはわからないが, 僕には二人の講演はそれほど立派に見えた 40

4 日目の夜には banquet が開かれ色々な人と話をすることができた ただ, ここでも問題になったのが自分の英会話能力 せっかく話をしていても相手の英語が聞きとれず, 何を言っているのか解らない 相手の質問を聞き取れてもその答えを英語で表現できない 今後の第一の課題は数学よりも英語なのではないか? と思えるほどだった 下の 2 段は banquet の時に撮った集合写真 ぱっと見た感じでは誰がどこに写っているのか解らない あとからこうして見ると本当に沢山の人が来たものだと思う 次回は日本での開催になると思うが今回の様に成功できるように先輩方の補佐は勿論, 自分でも色々考えながら少しでも良いセミナーにしたい そして次回はきっと自分も講演ができるよう, より一層勉強にも力を入れていこうと思いました 41

MIMS 42