cf 遺贈 : 遺言によって財産が移転 遺贈者 贈与税の対象となる贈与 死亡時 遺言 一方的な意思表示 受遺者 相続税 財産を取得した受贈者 ( 個人 ) にかかる税金 贈与者 財産 受贈者 個人 個人 贈与税 法人 個人 所得税 ( 一時所得か給与所得 ) 個人 法人 法人税 2

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相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

A は 全ての遺産を社会福祉施設に寄付すると遺言に書き残し死亡した A には 配偶者 B と B との間の子 C と D がある C と D 以外にも A と B との子 E もいたが E は A が死亡する前にすでに死亡しており E の子 F が残されている また A には 内妻 G との子 (

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

ラリーマン 相続税の申告は? 45 相続税の申告はどのようにすればよいのでしょうか 相続が開始したことを知った日 ( 通常は被相続人が死亡した日 ) の翌日から 10 か月以内に 被相続人の住所 地の所轄税務署に申告し 相続税を納付する必要があります 申告書を提出する人が 2 名以上いる場合は 共同

税法入門コース 相続税 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 4 回 第 1 章 第 2 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 4 章 第 5 章 テーマ 1 相続税 贈与税とは? テーマ 2 用語の説明 テーマ 1 相続人となれる人は? テ

相続診断士試験

相続税 贈与税の基本がよくわかる! 誰が相続人になるの? 税額はどのようにして求めるの? 土地 建物の評価はどうするの? 住宅取得資金の贈与は最大 3,000 万円が非課税に? 教育資金や結婚 子育て資金の贈与は非課税に? 新しくできる配偶者居住権ってどんなもの? etc.

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5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

住宅取得等資金贈与の非課税特例 教育資金一括贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 相続時精算課税制度 贈与者 贈与年の 1 月 1 日現在で 60 歳以上の父母または祖父母 受贈者 贈与者の直系卑属 ( 子 孫 ひ孫等 ) で贈与の年の 1 月 1 日現在 20 歳以上 受贈年の合計所

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

(2) みなし相続財産ものか13 第1 章12 2 課税される 相続財産 の範囲 海外にある財産も課税対象となる 贈与税の暦年課税適用財産も 3 年以内は課税対象となる 葬式費用 墓地や墓碑 仏壇 仏具等は非課税 相続税の課税対象となる相続財産は (1) 被相続人が亡くなったときに所有していた財産

(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

2 税額控除等の計算 ( 単位 : 円 ) 項目対象者計算過程金額 答案用紙 Chapter2 問題 3 課税価格の計算 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 分割財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 2 みなし取得財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額

2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

叔父から財産の贈与(1~3) を受けた場合 1/1 12/31 2/1 3/15 相選養続択与子贈時届贈精出縁与算書与 1組課提2 税出3 暦年課税相続時精算課税 養子縁組前の贈与 1については 暦年課税により贈与税額を計算し 養子縁組以後の贈与 2 及び 3は 相続時精算課税により贈与税額を計算し

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相続診断士試験

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

2011年税制改正のポイント

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

配偶者の税額軽減特例の有利な受け方 配偶者がいる場合の 相続税の具体的な計算例は以下の通りです 1. 設例 自宅 預貯金等の相続財産の遺産額 =2 億円 法定相続人 = 配偶者 + 子 2 人の合計 3 人 実際の遺産分割は 法定相続分の通りとする 未成年者控除 外国税額控除 生命保険金の非課税枠金

暦年課税の贈与を毎年する人のデータ 暦年課税の贈与は 現金を贈与するのか不動産を贈与するのかで違ってきます 土地は路線価方式または倍率方式で評価し建物は固定資産税評価額で評価しますので 現金での贈与の場合よりも税率は低くなります ただし不動産の贈与では 土地や建物の贈与または共有持分の贈与になります

第 5 章 N

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

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相続税の総額の計算法定相続分であん分課税遺産総額実際の相続割合であん分超過累進税率の適用税価格の合計額の総額税額 基礎控除額遺産に係る相続税の基礎知識 (1) 相続税の計算過程 相続人が配偶者と子 2 人の場合課法定相続分 法定相続分 税額 算出税額 法定相続分 税額 相続税算出税額 税額控除相続人

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

コピー又は web からダウンロードしてご使用ください 答案用紙 Chapter1 問題 1 個人とみなされる納税義務者 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 遺贈財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額 2 生前贈与加算される贈与財産の額の計算 ( 単位 :

おき 太郎様 Inheritance Report 相続診断書 税理士法人おき会計 平成 28 年 7 月 20 日作成

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

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一戸建ての自宅を所有している人のデータ 東京都内やその近郊など路線価の高い宅地に一戸建ての自宅を所有し その他に預貯金や有価証券を保有している人の相続税シミュレーションになります 路線価が高いと自宅の敷地の面積が広くなくても その宅地の評価額は高額になりますので この宅地に対して小規模宅地等の特例が

(3) 年金所得者公的年金等の収入金額が400 万円以下であり かつ その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20 万円以下である場合には 確定申告の必要はありません また 上記 (2) 又は (3) に該当する方であっても 医療費控除や住宅借入金

上級相続診断士練習問題 < 注意事項 > 1 試験問題用紙は 問題用紙と解答用紙からなっています 解答はすべて解答用紙に記入してください 2 試験問題用紙は 問題用紙と解答からなっています 解答はすべて解答用紙に記入してください 3 問題数 (= 解答数 ) は合計 45 問です 本試験は試験時間

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【自動車保険単位】

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配偶者がいる人の一次相続と二次相続のデータ 被相続人に配偶者がいる一次相続と 配偶者がいない二次相続の相続税シミュレーションを行います 配偶者の税額軽減は その節税効果が大きいために一次相続で相続税を大幅に減額することができますが 次の二次相続では想定外の相続税が発生することがあります 配偶者がいる

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[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

スライド 1

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

Microsoft Word 常発041号 改正相続税法等の周知について(・

A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

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このうち 申告納税額がある方 ( 納税人員 ) は640 万 8 千人で は41 兆 4,298 億円 申告納税額は3 兆 2,037 億円となっており 平成 28 年分と比較すると 人数 (+0.6%) (+ 3.4%) 及び申告納税額 (+4.6%) はいずれも増加しました 所得者区分別の状況イ

自宅の他に賃貸マンションと駐車場を所有している人のデータ 自宅の他に賃貸マンションと駐車場を所有している人の 法定相続人の数と相続財産および債務のデータから相続税を試算します 賃貸マンションについては全室が賃貸用かどうか 駐車場については舗装がしてあるかどうかで評価額が違ってくることがあります また

1 特別受益の持戻し免除条項 現在の親は, ある程度以上の資産があると, 余裕からも, また, 相続税対策を考えることからも, 子に生前贈与する傾向がありますが, 子にした生前贈与や遺言書で子に 相続させた 財産について, 持戻しを免除する気持ちがあるのか否かの意思の表明をしない場合が極めて多く,

金融商品と資金運用

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税金の時効 税務では 時効のことを更正 決定処分の期間制限 = 除斥期間 といいます その概要は 以下の通りです 1. 国税側の除斥期間 ( 通則法 70) 1 期限内申告書を提出している場合の所得税 相続税 消費税 税額の増額更正 決定処分の可能期間 : 法定申告期限から 3 年 2 無申告の場合

第 1 問次の関連業法とコンプライアンスに関する各文章 ( 問 1~ 問 10) を読んで 正しいもの または適切なものには〇を 誤っているものまたは不適切なものには を 解答用紙に 記入しなさい ( 各 1 点 ) ( 問 1) 弁護士資格を有しない相続診断士が 事件性のある法律相談を無償で行うこ

/kenkyu * 概 要 taxation method estate tax inheritance tax eclectic system statutory Inheritance taxation system estate division 目次

問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

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図 住宅取得等資金の贈与税の非課税制度 平成年,00万円 700万円 平成6年,000万円 00万円 そして 相続発生時にこれまでの贈与額 を 遺 産 と 合 算 し て 相 続 税 を 計 算 し 支 払 済みの贈与税とで差額を精算します が 歳未満であっても特例を利用すること が可能 平成 年

1 まずは相続の基本的なお話しから 相続とは? 相続とは人が亡くなられた際に その人の財産を一定の身分関係にある誰かが承継することです 相続において 亡くなられた方を被相続人といい 被相続人の財産を承継する方を相続人といいます 誰が相続できますか? 相続人は民法で定められており法定相続人と呼ばれます

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

はなく 真実が判明すると その子は相続人になれない (8) 子が被相続人より先に死亡した場合には 孫が相続人となる 孫も死亡していれば曾孫が相続人となる これを代襲相続人という 3 直系尊属についての注意点被相続人の実親 養親いずれも相続人となる ただし 被相続人が特別養子の場合には その実親は相続

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相続人の居住用または事業用の宅地については2 割または5 割評価にするという小規模宅地等の評価減の特例があるが 平成 22 年度税制改正により 原則として申告期限まで居住または事業を継続していなければ適用が認められなくなっている 今回 基礎控除額が引き下げられることと合わせ 都市部の独居老人が亡くな

4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

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20 第 2 章 遺留分減殺請求権の行使 遺留分侵害行為の特定 () 遺言遺言のうち 相続分の指定 相続させる遺言 包括遺贈 特定遺贈 が遺留分を侵害する行為です (2) 生前贈与生前贈与のうち 相続開始前 年間になされた贈与 遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされた贈与 特別受益 不相当な対

東京太郎様 Inheritance Report 相続診断書 弁護士法人 税理士法人リーガル東京 平成 30 年 8 月 20 日作成

20年度「応用課程・ビデオ問題」

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

2011年度税制改正大綱(相続・贈与税)

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海外財産の相続 : 事例研究 ~ 米国の財産の相続手続き ( 第 4 回 ) 三輪壮一氏三菱 UFJ 信託銀行株式会社リテール受託業務部海外相続相談グループ米国税理士 これまで 海外に財産を保有する場合の 海外相続リスク の存在 特にプロベイト手続き等の相続手続きの煩雑さについて 米国の例を基に説明

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

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教育資金の一括贈与に係る非課税特例の創設

遺留分 遺留分とは 一定の親族 ( 配偶者 子 親等直系尊属 ) に残しておかなければならない遺産の割合です 特に遺言を作成する場合は 遺留分に注意する必要があります なお 遺留分を侵害された相続人には 遺留分に相当する部分の取り戻しを請求 ( 遺留分減殺請求 ) することが認められています [2]

52 第 1 章親族第 1 親族一般 554) 遺贈はいつでも撤回ができるとする民法 1022 条も準用されます ( 最判昭 民集 判時 ) 死因贈与においても 遺贈と同様に贈与者の最終意思が尊重されるためです なお この撤回権は 贈与者本人のみが行使で

Ⅰ ワンルームマンション経営と節税 税務署 確定申告 税金還付 20 万 ~30 万円 ワンルーム家賃収入ローン元利返済サラリーマンマンション A 氏 1 戸所有月 70,000 円月 60,000 円 銀行 年 30,000 円 月 8,000 円 固定資産税 管理会社 1 ワンルームマンション投

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

1.一般の贈与の場合(暦年課税)編

税金読本(13-1)贈与税と二つの課税方法

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

() 葬儀費用を準備する 相続が発生すると預貯金は凍結され 引き出すことができなくなる 預貯金を引き出す時には 遺言書 遺産分割協議書等に記載されている預貯金の相 続人を証明する原因証書に加えて 戸籍謄本 住民票等が必要になる 相続が発生すると すぐに葬儀の費用等が必要になるので 相続発生前に 葬儀

相続税に関するチェックリスト

未成年者が口座開設者となり 原則として その親権者等が未成年者を代理して運用管理等を行います ジュニアNISA 口座に受け入れることができる上場株式等の新規投資による受入限度額 ( 非課税枠 ) は年間 80 万円です その非課税期間は最長で5 年間となります 一般のNISAの場合は 新規投資による

日興証券

(2) 課税状況の累年比較 申告状況 課税価格相続税額税額控除被相続人の数相続人の数金額人千円千円千円人 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年 8, ,371,256 50,659,924 15,868

1.修正申告書を作成する場合の共通の手順編

Microsoft Word - 平成15年税制改正(2).doc

Transcription:

単純贈与特殊の贈与1. 贈与と贈与税贈与契約贈与者 ( 生前 ) 第 5 章相続 事業承継 財産の無償提供受贈者受諾当事者双方の合意による 贈与税 書面による贈与契約 : 一方的な取消は不可 ( 合意の上での契約解除は ) 贈与の種類 口頭による贈与契約 : 贈与の履行前であれば取消可 ( 履行後は ) 通常の贈与 : ( 下 3つ意外の贈与 ) 贈 定期贈与 : 毎年一定額を一定期間贈与する与( 例 ) 毎年 100 万を5 年間贈与する 負担付贈与 : 贈与の代わりに 借入金などの返済を一部負担させる ( 例 ) 土地の贈与の代わりに借入金を負担する 死因贈与 : 贈与者の死亡によって効力が発生 ( 例 ) 私が死んだら自宅をあげる 税相続税 合意によるもの 1

cf 遺贈 : 遺言によって財産が移転 遺贈者 贈与税の対象となる贈与 死亡時 遺言 一方的な意思表示 受遺者 相続税 財産を取得した受贈者 ( 個人 ) にかかる税金 贈与者 財産 受贈者 個人 個人 贈与税 法人 個人 所得税 ( 一時所得か給与所得 ) 個人 法人 法人税 2

贈与税の課税財産 本来の贈与財産 金銭によって見積もることができる財産 死因贈与以外のもの ( 例 ) 金銭 土地 家屋 株式など みなし贈与財産 実質的な経済効果が贈与と同じもの 生命保険金等の受取保険料の支払い = 受取人のケース 低額譲渡 法人 個人は ( 契約者 ) 時価よりも著しく低い価格で財産の譲渡を受けた場合 ( 例 ) 時価 1 億円の土地を3000 万円で譲渡した ( 時価 ) 通常の取引価額 - 譲渡価額贈与税対象 1 億円 - 3000 万円 = 7000 万円 上場株式 土地 建物等の場合 相続税 ( それ以外の場合 ) 相続税評価額 - 譲渡価額 3

負担付贈与 ( 例 )1000 万の土地に借入金が 600 万ある場合 通常の取引価額 - 負担額 贈与税対象 1000 万円 - 600 万円 = 1400 万円上場株式 土地 建物等の場合 ( それ以外の場合 ) 相続税評価額 - 負担額 受贈者が負担を履行しない場合は解除できる 債務免除 ( 例 ) 子の借金を親が代わりに返済した場合 4

贈与税の非課税財産 贈与財産のうちでも 財産の性質や贈与目的から課税対象とはならないもの 法人からの贈与 所得税 扶養義務者からの生活費や教育費で通常必要と認められるもの それを使って 株式などの金融商品を購入するような場合は 離婚による財産分与 社交上 必要とされる香典 贈答 見舞金 祝物など 相続が開始となった年に被相続人から受けた贈与財産 相続税 ( つまり ある年に贈与をうけたが その贈与者がその年に亡くなって 相続した場合 ) 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度 直系尊属 父母 祖父母 贈与 住宅取得増改築の資金 贈与を受けた年の 1/1 において 20 歳以上の者 一定金額まで非課税 翌年 3/15 までに住宅を取得 居住 翌年 2/1~3/15 までに申告 暦年課税や相続時精算課税との併用も可 5

参考問題 1 ( 問題集 P266 H21 年 5 月学科問題 51) 贈与税の課税に関する次の記述のうち 最も不適切なものはどれか 1. 父から子への土地の所有者の名義変更が無償で行なわれた場合には 原則として その土地が父から子へ贈与されたものとして 贈与税の課税対象となる 2. 子が父から土地を使用貸借により借り受けて家屋を建築した場合には 借地権相当額が父から子へ贈与されたものとして 贈与税の課税対象となる ( ヒント : P188 土地の利用に関する権利 ) 3. 父が子へ著しく低い対価で土地を売却した場合には 原則として その土地の売却時の時価と支払われた対価との差額に相当する額が父から子へ贈与されたものとして 贈与税の課税対象となる 4. 父が信託の委託者で 子が当該信託の受益者である場合には 当該信託の効力が生じた時に 父から子への信託受益権が贈与されたものとして 贈与税の課税対象となる ( 補 : 保険料負担者 = 年金受取人の個人年金保険も同様 ) 6

与税額速算表贈2. 贈与税の計算と申告 納付 贈与税の計算 ( 原則 ) 暦年単位課税 1/1~12/31 までの贈与 A = 贈与税の課税価格本来の贈与財産 + みなし贈与財産 - 非課税財産 - 基礎控除額 110 万円 B 税率 - 控除額 C P191 110 万までは税金がかからない 申告の必要なし 7

贈与税の配偶者控除 ( 増築も含む ) 一定の要件を満たす配偶者から居住用不動産またはその購入資金を贈与 要件 婚姻期間が 20 年以上 同じ配偶者からは 1 回のみ 贈与を受けた居住用の不動産に翌年の 3 月 15 日までに居住し 居住継続見込みであること 最高で 2000 万まで贈与税がかからずにすむ ( 基礎控除とは別枠 ) つまり 2110 万まで無税で贈与可 1 店舗併用住宅の場合 居住用の部分から優先的贈与とみなす 2 3 年以内の相続が発生した場合 控除のある 2000 万までの部分については相続税はかからない 手続き贈与税の申告 ( 翌 2 月 1 日 ~3 月 15 日 ) 贈与税ゼロでも必要 8

申告期限と納付方法 贈与税の申告と納付 納期限 : 3 月 15 日 遅れると延滞税あり受贈者贈与の翌年の2 月 1 日 ~3 月 15 日受贈者の納税地の所轄税務署長に申告 基礎控除額 110 万円以下の贈与については申告不要 配偶者控除 相続時精算課税制度 直系尊属からの住宅取得等資金の贈与適用の場合は申告が必要 ( 贈与税ゼロでも申告 ) 延納 原則 現金による一括納付 一定の要件を満たす場合には 延納も可 (5 年以内 ) 納付税額が 10 万円以上 金銭による一括納付が困難など 注意物納は ( 相続税の場合は ) 9

3. 相続時精算課税制度 贈与時点の P197の例親 H22: 贈与税 0 H23: 1000 万 20%=200 万 H24: 500 万 20%=100 万 合計 300 万 親 ( 父母 ) 子 20 歳以上 ( 贈与の年の1/1 時点 ) 65 歳以上祖父母 ( 代襲相続も含む ) 贈与財産が住宅取得資金ならば父母の年齢要件なし 2000 万 1500 万 500 万相続時親贈与贈与贈与 H22 H23 H24 H32 贈与財産合わせて累計 2500 万まで非課税 ( 特別控除額 ) 4000 万相続税算出の結果 + 最初の贈与時相続時精算課税制度 ( 通常の ) 暦年課税制度 残額について贈与税一律 20% 受贈者が選択 子 相続財産 1 仮に 500 万の場合 2 ゼロの場合 1: 差額 200 万が相続税 2: すでに支払った 300 万の贈与税はすべて還付 精算課税制度を選択した場合 : 翌年 2 月 1 日 ~3 月 15 日までに 相続時精算課税選択届出書 を提出 贈与時の時価による評価 ( つまり 金融商品を贈与された場合で 相続時に値上がりしていても贈与時の時価のままで合算する ) 10

1 度この制度を選択すると 撤回は 相続時まで継続適用 暦年課税精算課税 贈与回数の制限なし 贈与税がなくても申告が必要 4. 相続と法律 相続人の範囲と順位 被相続人の財産を引き継げる人 民法の定める相続人 配偶者 ( 常に相続人 ) 被相続人の子 ( 第 1 順位 ) 被相続人の直系尊属 ( 第 2 順位 ) (1. 父母 2. 祖父母 ) 被相続人の兄弟姉妹 ( 第 3 順位 ) 欠格と廃除は代襲相続あり 相続放棄は適用なし 亡くなっているとき代襲相続 ( 直系卑属へ ) 11

民法上と相続税法上との違い 民法 胎児は生まれたもの 養子は何人でも相続人 相続放棄者は相続人の数に入れない ( 代襲も ) 例 相続人は一致しない 相続税法 計算上 法定相続人 胎児は生まれていないもの 養子の数は限定 ( 実子あり ) 1 人まで ( 実子なし ) 2 人まで 相続放棄者も 法定相続人の数に入る 特別養子 代襲相続の養子は被相続人 A 実子扱い妻 B 長男 C 次男 D( 相続放棄 ) 養子 E 養子 Fの場合 民法上の相続人 : 4 人妻 B 長男 C 養子 E 養子 F 相続人になることができない人 相続開始前にすでに死亡相続人の欠格事由にあたる人相続人から廃除されている人相続人の放棄をしている人 法定相続人 :4 人妻 B 長男 C 次男 D 養子 E か F (1 人のみ ) 12

法定相続分 ( 復習 ) 1 配偶者と子のみ 遺言がない場合の 民法上に定められた相続割合 実際 まず配偶者が1/2 残りの1/2 を子が分ける ( 第 1 順位 ) 2 配偶者と父母のみ 子がない 第 2 順位の父母へ ( 第 3 順位の次男は ) まず配偶者が 2/3 残りの 1/3 を父母が分ける 法定相続分はあくまでも目安であって 実際には話し合いによって決める 父 被相続人 被相続人 子 A 子 B 1/6 1/6 長男 次男 子なし 配偶者 1/4 1/4 母 配偶者 1/2 1/2 残り 2/3 残り 1/3 13

父 母 3 配偶者と兄弟姉妹子がない 両親もすでに死亡 兄弟姉妹へ ( 第 3 順位 ) まず配偶者が 3/4 残りの 1/4 を兄弟姉妹が人数によって分ける 次男長女 1/8 1/8 被相続人 残り 1/4 子なし 配偶者 3/4 順位と配偶者取り分との関係をおさえる Point 配偶者は必ず相続人 順位に応じて 配偶者の相続分を決める その残りを同順位の人数によって均等に配分する 実子と養子は 相続分は同じ非嫡出子 ( 婚姻関係がない場合の子 ) は嫡出子の 1/2 14

相続の承認と放棄 被相続人の財産 プラスの財産 ( 資産 ) もマイナスの財産 ( 債務 ) もある 選ばないと すべて相続 : 単純承認 3ヶ月以内一部の債務のみ相続 : 限定承認全員選択積極財産の範囲で消極財産 ( 負債 ) を支払う すべてを放棄 : 放棄の場合について 相続放棄 単独も 相続開始を知った日から 3 ヶ月以内に家庭裁判所へ申述 いったん申述すると取消 撤回は 放棄をすると その子は代襲相続人になることができない 生前に相続の放棄は 相続を放棄した人がもらえないのは 被相続人から直接取得する相続財産 生命保険金 死亡退職金などの みなし相続遺贈財産 は受け取ることが可能 これらは被相続人が保有する財産そのものではなく 亡くなった結果として生じるもの 15

参考問題 2 ( 問題集 P256 H20 年 9 月学科問題 55) 限定承認に関する次の記述のうち 最も適切なものはどれか 1. 相続人が自己のために相続があったことを知った時から 原則として 3 ヶ月以内に限定承認または放棄をしなかったときは 単純承認をしたものとみなされる 2. 相続の限定承認とは 被相続人の消極財産を限度として 積極財産を相続することである 3. 相続人が数人いる場合 各相続人は単独で限定承認する旨を家庭裁判所へ申述することができる 4. 相続人が家庭裁判所へ限定承認する旨の申述をした場合 相続があったことを知った 10 ヶ月以内であれば 限定承認を取り消すことができる 16

遺言なし 協議分割 : 共同相続人全員の協議で分割を行なう ( 全員の同意 ) 5. 遺産分割 協議不成立 遺産分割の方法 効力 相続開始時にさかのぼる 具体的な取得財産を決定する手続き 指定分割 : 被相続人が遺言によって指示する分割方法最優先 調停分割 : 家庭裁判所の調停により分割 審判分割 : 家庭裁判所の審判により分割 遺産分割協議書 ( 書面 ) を作成 ( 書式は自由 相続人全員の署名押印が必要 1 人が作成してもよい 作成に期限なし ) 共同相続人に未成年の子がいる場合 子の特別代理人を選任する必要あり 法定相続分に拘束 財産分割の方法 父 ( 被相続人 ) 自宅 相続財産 実際の財産を分割する方法所得税 住民税 Aのみ取得子 A Aの財産 ( 代償交付財産 ) 子 B 子 C 相続人 時価取得相続税 17

換価分割自宅を売却 6000 万 A B C で分割 代償分割 A のみが相続財産の自宅をもらう B と C にはかわりに A の財産を分ける 6. 遺言 遺留分 遺言 15 歳以上であること 正常な判断能力があること 一定の方式を整えること ( 遺言行為は法定 ) 共同での遺言は無効 単独でのみ可 遺言の撤回は自由 自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言 P209 の表 家庭裁判所での検認が必要 検認が必要 18

参考問題 3 ( 問題集 P258 H19 年 1 月学科問題 53) 遺言に関する次の記述のうち 正しいものはどれか 1. 普通方式遺言には 自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言があるが 公正証書遺言が最も安全確実で 遺言の存在および内容を秘密にできることから多用されている 2. 公正証書遺言は 証人 2 人以上の立会いが必要であり 遺言者と利害関係がある者は証人になれないが 公証人の配偶者は承認となれる 3. 遺言者が公正証書遺言を取り消す場合において 前の遺言を取り消す遺言を作成するときは その遺言書は公正証書遺言による必要はない 4. 公正証書遺言については 相続発生後 公証人が家庭裁判所に検認の申し立てを行い 相続人の立会いの下に家庭裁判所で検認を受ける必要がある 19

遺留分 ( 配布資料 :H20 年 1 月実技第 5 問 H19 年 9 月実技第 5 問 ) 遺留分が認められている一定の相続人 ( 遺留分権利者 ) に与えられた相続財産の最低保証割合 配偶者 子 ( 代襲あり ) 直系尊属 相続人遺留分の割合直系尊属のみ法定相続分 1/3 その他 ( 例 ) 配偶者のみ 子のみ 法定相続分 1/2 配偶者 + 子 配偶者 + 父母 配偶者 + 兄弟姉妹など ただし兄弟姉妹には遺留分はない 遺留分減殺請求権 相続があったことを知った日から 1 年以内知らなかったときは相続開始から 10 年以内 に行使しないとき 遺留分の放棄時効により消滅相続開始前 家庭裁判所の許可が必要相続開始後 許可不要 算定基礎には 生前贈与財産 ( 相続開始前 1 年以内 ) も含む 20

課税価格相続税の( 生前の借入金 葬儀費用など ) 7 相続税の計算 ( 配布資料 :H20 年 1 月実技第 5 問 ) 相続税の計算の全体像 (P223) 第 1 段階それぞれの相続人ごとに 取得した相続財産の価格 ( 相続税の課税価格 ) を計算する 本来の相続財産 + みなし相続遺贈財産 ( 生命保険金 死亡退職金など ) - 非課税財産価額 - 債務控除額 + 生前贈与財産額 生命保険金死亡退職金 それぞれの非課税限度額 (P217) = 500 万円 法定相続人の数放棄 養子も含む 相続時精算課税制度による贈与分 ( 贈与時の時価 ) 相続開始前 3 年以内の贈与分 ( 贈与時の時価 ) 特別養子 実子扱い普通養子 実子が他にいれば 1 人まで実子がいなければ 2 人まで 被相続人の死亡後 3 年以内に支給が確定したもの 実際の支払 21

例 第 1 段階において 各相続人の課税価格を算出 被相続人実際の相続財産価格を算出している 実際の相続価格 子 A 子 B 配偶者 1 億円 被相続人の合計課税価格 2 億円 養子と放棄は含めることに注意 この例では 法定相続人は 3 人 5000 万 5000 万 第 2 段階 第 3 段階 課税遺産総額の計算 課税価格 ( 配偶者 ) 課税価格 ( 子 A) 課税価格 ( 子 B) 2 億円 合計 1 課税遺産総額の按分計算 8000 万 遺産に係る基礎控除 = 課税遺産総額 5000 万 +1000 万 法定相続人数 法定相続人が法定相続分を取得したとして按分する 1 億 2000 万 被相続人配偶者子 A 子 B 1/4 1/4 3000 万 3000 万 1/2 6000 万 22

2 各人の相続税額の計算 相続税の速算表から 1 で求めた按分後の課税財産に 所定の税率をかけて 相続税額を計算する 配偶者 子 A 子 B 6000 万 30%-700 万 =1100 万 それぞれ 3000 万円 15%-50 万 =400 万 合計 第 4 段階 3 相続税の総額 ( 分割方法によらず総額は一定 ) 1100 万 +400 万 +400 万 =1900 万 各人の納付する相続税額 ( 算出税額 ) の計算 1900 万 相続税の総額 各人の課税価格 課税価格の合計 相続税の総額を実際に取得した課税価格に応じた相続割合で按分する 配偶者 子 A 子 B 1900 万 1 億 /2 億 = 950 万 1900 万 5000 万 /2 億 =475 万 配偶者の税額控除により税額はゼロ 1 子の相続税 23

取得者の事情を考慮して 相続人ごとに一定の加算や控除の調整をする 相続税額の 2 割加算 相続税額の + 相続税額の 2 割加算 相続税額の - 配偶者の税額軽減 その他の税額控除 贈与税額控除額 未成年者控除額 障害者控除額など 被相続人の 1 親等 ( 代襲を含む ) 子 父母配偶者 以外の場合 ( 例 ) 被相続人の兄弟姉妹代襲相続以外の孫 相続税額の 2 割を加算する 相続税額 = 算出税額 1.2 24

配偶者の税額軽減 法定相続分または 1 億 6000 万円までの相続 ( 遺贈も ) 贈与税額控除 納税が免除 ( ただし 申告書の提出は必要 ) 婚姻期間は問わない 相続放棄の人も 未分割の財産は含めない ただし 申告時に未分割でもその後分割して 3 年以内ならば更生の請求により軽減適用ができる 相続時精算課税制度の適用により贈与された財産相続開始前 3 年以内に贈与を受けた財産 これらについての贈与税分は控除できる これらの調整をおこなって 最終的に各人の納付すべき相続税額が算出される 25

参考問題 4 ( 問題集 P262 H20 年 5 月学科問題 55) 配偶者に対する相続税額の軽減 ( 以下 配偶者の税額軽減 という ) に関する次の記述のうち 最も適切なものはどれか 1. 相続税の遺産に係る基礎控除額を超える相続財産がある場合には たとえ配偶者の税額軽減の適用を受けて納付すべき相続税額がゼロとなるときでも 相続税の申告は必要である 2. 配偶者の税額軽減の適用を受けることができるのは 被相続人との婚姻期間が 20 年以上の配偶者に限られる 3. 配偶者の税額軽減は 相続税の申告期限までに遺産分割が行なわれなかった場合でも 原則として その申告期限から 5 年以内に遺産分割が行なわれれば適用を受けることができる 4. 被相続人の配偶者が遺贈により取得した財産については 配偶者の税額軽減の適用対象とはならない 参考問題解答 ( 問題 1) 2 ( 問題 2) 1 ( 問題 3) 3 ( 問題 4) 1 26

( 補 ) 宅地の評価について 路線価方式 1. 標準的な場合奥行価格補正率 =1.0 この道路に接する標準的な宅地の評価額市街地的な地域の場合 1m2あたり宅地の評価 = 路線価 地積 300 千円 ( 宅地面積 ) その宅地が接している道路につけられている価格 ( 公示価格の80%) 1 m2あたりの価額 ( 単位 : 千円 ) で表示 通常の路線価は その道路に接する宅地が最も標準的なものである場合を想定したもの 奥行きに関する価格調整の必要なし 路線価 300D 宅地 30m 10m 借地権割合 この宅地の評価額は? 300 千円 10m 30m= 9000 万 (30 万 ) ( 地積 ) But 宅地の形状によっては 調整が必要な場合がある ( 例 ) 奥行きが深すぎる宅地 利用しにくい 評価額も低くなる 奥行価格補正率 を用いることによって評価を下げる 27

2. 奥行価格補正率による調整 宅地の評価額 = 路線価 奥行価格補正率 地積 意味 ( 例 1) 奥行価格補正率 300D 10m: 1.0 30m: 0.98 300m2もし 奥行が10mなら利用の利便性は標準的 よって補正率は1.0で調整の必要なし 10m もし 奥行が30mある土地ならば 奥行が深くて利便性が下がる ( 間口が広い方が良い ) 標準的な宅地の場合よりも評価を下げる必要あり よって補正率を0.98 として 調整する Point 宅地の図において どちらの長さが奥行を示しているか? 道路に対して垂直方向 30m 路線 ( 道路 ) 奥行つまり 上の例では 30m が奥行になる 標準的な 1 の場合より評価額は低くなる 奥行価格補正率 =0.98 を用いて調整 よって 宅地の評価額 =300 千円 0.98 300 m2 =8820 万円 (30 万 ) 28

( 例 2) 同じ奥行価格補正率のもとで 300D 30m 10m 奥行 よって 奥行価格補正率は 10mに対する値 (=1.0) になる 3. 2 つの路線に面している場合 正面と側方に道路があるステップ1 どちらの道路が正面か? 路線価 奥行価格補正率で比較 ( 道路 1) 430 1.0 = 430 ( 奥行きは18m) 比較 ( 道路 2) 400 1.0 = 400 ( 奥行きは20m) 大きい方 正面の路線よってこの例では 道路 1 が正面路線 400C 430C ( 道路 1) 360m2 18m (道(1.0) 路20m (1.0) 2 )奥行価格補正率 : 18m 1.0 20m 1.0 側方路線影響加算率 0.05 29

ステップ 2 正面路線と 側方路線では 評価が異なる 評価が高いのは 正面路線 側方路線の評価を下げる 側方路線には 側方路線影響加算率を用いることで調整 ( この例では 0.05) 側方路線の路線価 奥行価格補正率 側方路線影響加算率 正面路線については これまでと同様 正面路線価 奥行価格補正率 ステップ 3 両方の路線の評価を合計する 430( 千円 ) 1.0 ( 道路 1): 正面道路 + 400( 千円 ) 1.0 0.05 ( 道路 2): 側方道路 360 m2地積 = 宅地の評価額 16200 万 30