叔父から財産の贈与(1~3) を受けた場合 1/1 12/31 2/1 3/15 相選養続択与子贈時届贈精出縁与算書与 1組課提2 税出3 暦年課税相続時精算課税 養子縁組前の贈与 1については 暦年課税により贈与税額を計算し 養子縁組以後の贈与 2 及び 3は 相続時精算課税により贈与税額を計算し

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5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

( 相続時精算課税適用者の死亡後に特定贈与者が死亡した場合 ) (6) 相続時精算課税適用者 ( 相続税法第 21 条の9 第 5 項に規定する 相続時精算課税適用者 をいう 以下 (6) において同じ ) の死亡後に当該相続時精算課税適用者に係る特定贈与者 ( 同条第 5 項に規定する 特定贈与者

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

住宅取得等資金贈与の非課税特例 教育資金一括贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 相続時精算課税制度 贈与者 贈与年の 1 月 1 日現在で 60 歳以上の父母または祖父母 受贈者 贈与者の直系卑属 ( 子 孫 ひ孫等 ) で贈与の年の 1 月 1 日現在 20 歳以上 受贈年の合計所

コピー又は web からダウンロードしてご使用ください 答案用紙 Chapter1 問題 1 個人とみなされる納税義務者 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 遺贈財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額 2 生前贈与加算される贈与財産の額の計算 ( 単位 :

2 税額控除等の計算 ( 単位 : 円 ) 項目対象者計算過程金額 答案用紙 Chapter2 問題 3 課税価格の計算 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 分割財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 2 みなし取得財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額

第 5 章 N

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税され かつ その所得税は相続税の課税価格の計算上被相続人の債務として控除されていることにより 所得税と相続税の負担の調整は済んでいますので この特例の適用は受けられません 2 取得費に加算される金額平成 26 年度の改正前は 相続財産である土地等の一部を譲渡し

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4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

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平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

配偶者の税額軽減特例の有利な受け方 配偶者がいる場合の 相続税の具体的な計算例は以下の通りです 1. 設例 自宅 預貯金等の相続財産の遺産額 =2 億円 法定相続人 = 配偶者 + 子 2 人の合計 3 人 実際の遺産分割は 法定相続分の通りとする 未成年者控除 外国税額控除 生命保険金の非課税枠金

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

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である 12 遺留分とは 遺言の内容にかかわらず一定の相続人が確実に受け取ることができる一定の 割合のことである 直系尊属のみが相続人である場合は 被相続人の財産の 1/3 その 他の場合には 被相続人の財産の 1/2 である ただし 兄弟姉妹には遺留分はない 13 相続の放棄は 被相続人の生前に行

1.修正申告書を作成する場合の共通の手順編

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(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

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2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

3.相続時精算課税の適用を受ける場合編

(2) みなし相続財産ものか13 第1 章12 2 課税される 相続財産 の範囲 海外にある財産も課税対象となる 贈与税の暦年課税適用財産も 3 年以内は課税対象となる 葬式費用 墓地や墓碑 仏壇 仏具等は非課税 相続税の課税対象となる相続財産は (1) 被相続人が亡くなったときに所有していた財産

相続人の居住用または事業用の宅地については2 割または5 割評価にするという小規模宅地等の評価減の特例があるが 平成 22 年度税制改正により 原則として申告期限まで居住または事業を継続していなければ適用が認められなくなっている 今回 基礎控除額が引き下げられることと合わせ 都市部の独居老人が亡くな

〇本事例集は 平成 31 年 3 月を期限とした個人の確定申告について 国税通則法関連 ( 所得税 の納税地を含む ) の 誤りやすい事例 について取りまとめています 〇本事例集は 誤りやすい事例 を載せた後に 正しい解釈 処理方法を提示しています なお 無用 な文字数 ページ数の増加を避けるため

平成19年12月○日

用語の意義 この FAQ において使用している用語の意義は 次のとおりです 用語 意義 所得税法 ( 所法 ) 所得税法 ( 昭和 40 年法律第 33 号 ) をいいます 所得税法施行令 ( 所令 ) 所得税法施行令 ( 昭和 40 年政令第 96 号 ) をいいます 改正所令 所得税法施行令の一

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

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納税地 (= 住所地 ) の所轄税務署長に提出することとされています ( 相法 21の92 相令 51) 届出書には 受贈者と贈与者の氏名 生年月日 住所又は居所及び続柄その他の事項を記載し 下記の ( 注 1) に掲げる書類を添付することとされています ( 相令 52 相規 101) ( 注 1)

1.一般の贈与の場合(暦年課税)編

このうち 申告納税額がある方 ( 納税人員 ) は640 万 8 千人で は41 兆 4,298 億円 申告納税額は3 兆 2,037 億円となっており 平成 28 年分と比較すると 人数 (+0.6%) (+ 3.4%) 及び申告納税額 (+4.6%) はいずれも増加しました 所得者区分別の状況イ

教育資金の一括贈与に係る非課税特例の創設

テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

2011年税制改正のポイント

税法入門コース 相続税 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 4 回 第 1 章 第 2 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 4 章 第 5 章 テーマ 1 相続税 贈与税とは? テーマ 2 用語の説明 テーマ 1 相続人となれる人は? テ

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

金庫株を活用した事業承継対策 1. 概要 非上場株式を相続して相続税が発生する場合は 相続で取得した自社株を相続税の申告期限後 3 年以内に金 庫株すればみなし配当課税しない (= 譲渡所得とする ) 特例があります ( 措置法 9 条の 7) 所得税の特例の内容 ( 自己株式をみなし配当課税しない

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国外転出時課税制度(出国税)の導入

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

スライド 1

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

暦年課税の贈与を毎年する人のデータ 暦年課税の贈与は 現金を贈与するのか不動産を贈与するのかで違ってきます 土地は路線価方式または倍率方式で評価し建物は固定資産税評価額で評価しますので 現金での贈与の場合よりも税率は低くなります ただし不動産の贈与では 土地や建物の贈与または共有持分の贈与になります

問 1 ( 続き ) ⑵ 債務の意義 1 控除すべき債務 (➋ 点 ) ⑴ により控除すべき債務は 確実と認められるものに限る 2 公租公課の金額 (➍ 点 ) ⑴ により控除すべき公租公課の額は 被相続人の死亡の際納税義務が確定しているもののほか 被相続人の死亡後 相続税の納税義務者が納付し 又は

2011年度税制改正大綱(相続・贈与税)

税金の時効 税務では 時効のことを更正 決定処分の期間制限 = 除斥期間 といいます その概要は 以下の通りです 1. 国税側の除斥期間 ( 通則法 70) 1 期限内申告書を提出している場合の所得税 相続税 消費税 税額の増額更正 決定処分の可能期間 : 法定申告期限から 3 年 2 無申告の場合

Microsoft Word 常発041号 改正相続税法等の周知について(・

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

ラリーマン 相続税の申告は? 45 相続税の申告はどのようにすればよいのでしょうか 相続が開始したことを知った日 ( 通常は被相続人が死亡した日 ) の翌日から 10 か月以内に 被相続人の住所 地の所轄税務署に申告し 相続税を納付する必要があります 申告書を提出する人が 2 名以上いる場合は 共同

目次 特例措置の概要等... 5 ( 問 1) 非上場株式等についての相続税 贈与税の納税猶予及び免除に係る一般措置と特例措置との違い... 5 ( 問 2) 相続開始後の特例承継計画の提出... 8 ( 問 3) 特例措置の対象となる株式等の種類... 9 ( 問 4) 特例措置における雇用確保要

Microsoft Word - 文書 1

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cf 遺贈 : 遺言によって財産が移転 遺贈者 贈与税の対象となる贈与 死亡時 遺言 一方的な意思表示 受遺者 相続税 財産を取得した受贈者 ( 個人 ) にかかる税金 贈与者 財産 受贈者 個人 個人 贈与税 法人 個人 所得税 ( 一時所得か給与所得 ) 個人 法人 法人税 2

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相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

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相続税 贈与税の基本がよくわかる! 誰が相続人になるの? 税額はどのようにして求めるの? 土地 建物の評価はどうするの? 住宅取得資金の贈与は最大 3,000 万円が非課税に? 教育資金や結婚 子育て資金の贈与は非課税に? 新しくできる配偶者居住権ってどんなもの? etc.

(3) 年金所得者公的年金等の収入金額が400 万円以下であり かつ その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20 万円以下である場合には 確定申告の必要はありません また 上記 (2) 又は (3) に該当する方であっても 医療費控除や住宅借入金

(2) 課税状況の累年比較 申告状況 課税価格相続税額税額控除被相続人の数相続人の数金額人千円千円千円人 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年 8, ,371,256 50,659,924 15,868

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住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

配偶者がいる人の一次相続と二次相続のデータ 被相続人に配偶者がいる一次相続と 配偶者がいない二次相続の相続税シミュレーションを行います 配偶者の税額軽減は その節税効果が大きいために一次相続で相続税を大幅に減額することができますが 次の二次相続では想定外の相続税が発生することがあります 配偶者がいる

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

与等の支払者 ) から毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに 次に掲げる事項を記載した申告書を 当該給与等の支払者を経由して その給与等に係る所得税の納税地 第一章第五節 の所轄税務署長に提出しなければならない ( 法 1941 措法 41の162 41の172 規 731) ( 一 ) 当該

平成23年度税制改正の主要項目

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

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平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税務上の措置 ( 手続 )FAQ 平成 30 年 7 月広島国税局 平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税制上の措置 ( 手続 ) 等につきまして 照会の 多い事例を取りまとめましたので 参考としてください 目次 Ⅰ 災害にあった場

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

2.配偶者控除の特例の適用を受ける場合(暦年課税)編

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

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正 審査請求書 ( 次葉 ) 審査請求人 ( 氏名 名称 ) 11 審査請求の趣旨 原処分 ( 再調査の決定を経ている場合にあっては 当該決定後の処分 ) の取消し又は変更を求める範囲等について 該当する番号を で囲んでください なお 次の番号 2 の 一部取消し 又は 3 の その他 を求める場合

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一戸建ての自宅を所有している人のデータ 東京都内やその近郊など路線価の高い宅地に一戸建ての自宅を所有し その他に預貯金や有価証券を保有している人の相続税シミュレーションになります 路線価が高いと自宅の敷地の面積が広くなくても その宅地の評価額は高額になりますので この宅地に対して小規模宅地等の特例が

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第11 源泉徴収票及び支払調書の提出

Transcription:

第七章相続時精算課税 相続税とこれを補完する機能を有する贈与税の関係については第一章で触れましたが 平成 15 年度改正で 生前贈与に対して贈与税を簡易かつ軽課し 贈与者の死亡時の相続税において受贈者に対し生前贈与に係る贈与税をも含めて精算するという 両税を一体のものとして課税する相続時精算課税制度が創設されました ( 相続時精算課税については 第五編贈与税の第六章でも解説していますので 参照してください ) 第一節適用対象者 選択の届出 1 適用対象者相続時精算課税の適用を受けることができる者は 次に掲げる者とされています (1) 贈与者贈与をした年の1 月 1 日において 60 歳以上 ( 平成 26 年 12 月 31 日以前に贈与により取得する財産については 65 歳以上 とされます ) の者とされています ( 相法 21の91) (2) 受贈者贈与により財産を取得した者が贈与者の推定相続人である直系卑属のうち 贈与を受けた年の1 月 1 日において20 歳以上である者とされています ( 相法 21の91) ( 贈与者の配偶者は 直系卑属ではないので受贈者となることはできません ) 贈与者 受贈者の範囲 父 A 母 B 配偶者 F C D 養子 E G 父 A 母 Bは60 歳以上であれば贈与者の要件を満たします D 養子 E 孫 Gは20 歳以上であれば受贈者の要件を満たします ( 配偶者 Fは 直系卑属ではないので推定相続人となりません ) (3) 年の中途で推定相続人となった者贈与のあった年の中途においてその贈与者の養子となったことその他の事由により その贈与者の推定相続人 ( 配偶者を除きます ) となったときは (2) の受贈者の年齢要件を満たせば適用対象となる受贈者となることができます ただし 同じ年の贈与であっても推定相続人となった前の贈与については 相続時精算課税の適用は受けられません ( 相法 21の94) この贈与については贈与税の暦年課税 ( 注 ) が適用されます ( 相続時精算課税の適用を受けている受贈者が推定相続人でなくなった場合の取扱いは2の (5) を参照してください ) ( 注 ) 贈与税の暦年課税とは 相続時精算課税による贈与税の課税ではなく 110 万円の基礎控除が適用される贈与税の課税をいいます -755-

叔父から財産の贈与(1~3) を受けた場合 1/1 12/31 2/1 3/15 相選養続択与子贈時届贈精出縁与算書与 1組課提2 税出3 暦年課税相続時精算課税 養子縁組前の贈与 1については 暦年課税により贈与税額を計算し 養子縁組以後の贈与 2 及び 3は 相続時精算課税により贈与税額を計算します (4) 相続時精算課税適用者の特例 1 平成 27 年 1 月 1 日以後に贈与により財産を取得した者がその贈与をした者の孫 ( その年 1 月 1 日において20 歳以上である者に限ります ) であり かつ その贈与をした者がその年 1 月 1 日において60 歳以上の者である場合には その贈与により財産を取得した者については 相続時精算課税の適用をすることができます ( 措法 70の2の61) 2 その年 1 月 1 日において20 歳以上の者が同日において60 歳以上の者からの贈与により財産を取得した場合において その贈与により財産を取得した者がその年の中途においてその贈与をした者の孫となったときは 孫となった時前にその贈与をした者からの贈与により取得した財産については 1による相続時精算課税の適用はできません ( 措法 70の2の62) 3 相続時精算課税選択届出書を提出した者が その届出書に係る贈与をした者の孫でなくなった場合においてもその贈与をした者からの贈与により取得した財産については 相続時精算課税を適用することができます ( 措法 70の2の63) 2 選択の届出この相続時精算課税の適用を受けるかどうかは選択できますので 適用を受けようとする受贈者は 次の (1) の 相続時精算課税選択届出書 を提出しなければなりません (1) 相続時精算課税選択届出書の提出相続時精算課税選択届出書は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内 ( 贈与を受けた年の翌年 2 月 1 日から3 月 15 日まで ) に 贈与をした者ごとに作成して贈与税の申告書に添付し 受贈者の納税地 (= 住所地 ) の所轄税務署長に提出することとされています ( 相法 21の92 相令 51) 届出書には 受贈者と贈与者の氏名 生年月日 住所又は居所及び続柄その他の事項を記載し 下記の ( 注 1) に掲げる書類を添付することとされています ( 相令 52 相規 101) ( 注 1) 届出書に添付する書類は次のものです ( 相規 111) 受贈者の戸籍謄( 抄 ) 本及び戸籍の附票の写しなど 受贈者の氏名 生年月日 受贈者の20 歳以降の住所等及び贈与者の推定相続人 ( 孫を含む ) に該当することを証明する書類 ( 受贈者の20 歳以降の住所等を証明する書類は 受贈者の平成 15 年 1 月 1 日以後の住所等を証する書類に代えることができます 平 15 改相規附 22 ) 贈与者の住民票の写し又は戸籍の附票の写しなど贈与者の氏名 生年月日及び贈与者の60 歳以降の住所等を証明する書類 ( 贈与者の60 歳以降の住所等を証明する書類は 贈与者の平成 15 年 1 月 1 日以後の住所等を証する書類に代えることができます 平 15 改相規附 23 ) 平成 27 年 1 月 1 日において20 歳未満である者が平成 28 年 1 月 1 日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税については 上記中 及び戸籍の附票の写し とあるのは削除され 生年月日 受贈者贈-756-

の20 歳以降の住所等 とあるのは 及び生年月日 とされます ( 平 27 改相規附 22) ( 注 2) 届出書を提出した受贈者を 相続時精算課税適用者 その届出書に係る贈与者を 特定贈与者 といいます ( 相法 21の95) ( 注 3) 届出書を提出期限までに提出されなかった場合には 相続時精算課税の適用を受けることはできません ( ゆうじょ規定なし )( 相基通 21の9-3) (2) 選択の例示 ( 事例 1) 長男 二男が父から財産の贈与を受けた場合 長男 二男のそれぞれが父からの贈与について相続時精算課税の適用を受けるか否か検討することになります 父 贈 贈 与 与 長男 二男 受贈者ごとに 相続時精算課税の適用を受けるか否か選択できます ( 事例 2) 子が父母から財産の贈与を受けた場合 子は父母のそれぞれについて相続時精算課税の適用を受けるか否か検討することになります 父 母 贈 贈 与 与 子 受贈者は贈与者ごとに 相続時精算課税の適用を受けるか否か選択できます (3) 贈与の年の中途で贈与者が死亡した場合の選択の届出贈与のあった年の中途において贈与者が死亡した場合に 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 相続時精算課税選択届出書を次の1 又は2のいずれか早い日までに贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません ( 相令 534 相基通 21の9-2) 1 贈与を受けた年の翌年の3 月 15 日 2 贈与者についての相続の開始があったことを知った日の翌日から10 月以内の日 2が相続時精算課税選択届出書の提出期限となる場合に その贈与者の死亡に係る相続税の申告書を提出しなければならないときは その届出書をその相続税の申告書に添付しなければならないこととされています ( 相令 54) ( 相続税の申告書を提出する必要がないときには その届出書をその贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません ) ( 注 1) 贈与の年の中途で贈与者が死亡した場合の相続時精算課税適用者 ( 相続時精算課税の適用を受けようとする者を含みます ) の相続税と贈与税の取扱いは 次のようになります イ贈与税は申告不要 ( 相法 284) ロ相続税は第三節の1の (1) 又は (2) の規定の適用 ( 注 2) 相続時精算課税選択届出書を提出する前に受贈者が死亡した場合の選択の届出は 第四節の2を参照してください (4) 相続時精算課税選択届出書の提出の効果と届出書の撤回相続時精算課税選択届出書に係る特定贈与者から贈与により取得する財産については 届出書により相続時精算課税を適用した年分以後 すべて相続時精算課税の適用を受けることとなります ( 相法 21の93) いったん提出された相続時精算課税選択届出書は 撤回することができません ( 相法 21の96) -757-

(5) 相続時精算課税適用者が推定相続人でなくなった場合の取扱い相続時精算課税適用者が 特定贈与者の推定相続人でなくなった場合 ( 例えば養子縁組の解消 ) においても その特定贈与者からの贈与により取得した財産については相続時精算課税が適用されます ( 相法 21の95) 第二節贈与税の課税 相続時精算課税を選択した場合の贈与税の課税は次によります ( 第五編り詳しく解説していますので 参照してください ) 贈与税の第六章ではよ 1 課税価格 特別控除相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した財産については 特定贈与者ごとに その年中において贈与により取得した財産の価額の合計額を課税価格とすることとされています ( 相法 21の10) 相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については 特定贈与者ごとの贈与税の課税価格からそれぞれ次に掲げる金額のうちいずれか低い金額 ( 特別控除額 ) を控除します ( 相法 21の121) イ ロ 2,500 万円 ( 既にこの特別控除を適用し控除した金額がある場合には その金額の合計額を控除した残額 ) 特定贈与者ごとの贈与税の課税価格 2 税率相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税の額は 特定贈与者ごとに 1により計算した課税価格から 1により計算した特別控除額を控除した後の金額にそれぞれ20% の税率を乗じて計算した金額とされます ( 相法 21の13) -758-

第三節相続税の課税価格及び税額の計算 相続時精算課税を適用した相続税の計算は 特定贈与者からの贈与により取得した財産と相続又は遺贈により取得した財産の合計した額を相続税の課税価格として計算しますが 相続時精算課税適用者の納付すべき相続税額については 既に支払った贈与税額を控除して算出することとされています 1 課税価格 (1) 相続財産を取得した場合特定贈与者について相続が開始した場合に その特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者については 通常の例により計算した相続税の課税価格に その特定贈与者からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものの価額 ( 贈与時の価額によります ) を加算した価額を相続税の課税価格とされます ( 相法 21の151) ( 注 ) 加算される贈与財産特定贈与者からの贈与により取得した財産のうち 第五編第四章 贈与税の非課税財産 の非課税財産以外の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるすべてのものであり 贈与税が課されているかどうかを問いません 従って 第二節 1の特別控除額に相当する金額も加算されることとなります ( 相基通 21の15-1) (2) 相続財産を取得しなかった場合特定贈与者について相続が開始した場合に その特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者については その特定贈与者からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものをその特定贈与者から相続 ( 相続時精算課税適用者がその特定贈与者の相続人以外の者である場合は 遺贈 ) により取得したものとみなして相続税の計算をします ( 相法 21 の161) (1) 及び (2) の場合に 相続税の課税価格に算入される贈与財産の価額は その特定贈与者からの贈与時の価額によります ( 相法 21の163 相基通 21の15-2) (2) の場合は 相続又は遺贈により財産を取得していなくても 特定納税義務者として納税義務があることになります -759-

(3) 課税価格の計算上の留意点 相続財産を取得した場合 相続財産を取得しなかった場合 債務控除 ( 相法 13) 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産についても控除の適用があります ( 相法 21 の152 21の161 相令 5の41 相基通 13-9) 相続時精算課税適用者が 無制限納税義務者又は制限納税義務者の区分に応じ 控除が適用されます ( ただし 相続時精算課税適用者が相続人に該当せず かつ特定遺贈のみで財産を取得した場合は 控除の適用はありません )( 相基通 13-9(1)) 相続時精算課税適用者が 相続開始時に国内に住所を有する場合は無制限納税義務者と同様に 住所を有しない場合は制限納税義務者と同様に 控除の適用があります ( ただし 相続時精算課税適用者が相続人又は包括受遺者に該当しない場合は 控除の適用はありません )( 相基通 13-9(2)) 相続開始前 3 年以内の贈与 ( 相法 19) 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については 相法 19の適用はありません ( 相法 21の152 21の162) ( 注 1) 相続時精算課税の適用を受ける年分前の贈与財産については 相法 19の適用があります ( 相基通 19-11) ( 注 2) 相法 19の規定は 被相続人から相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合は適用されませんが 相続時精算課税適用者については 被相続人から相続又は遺贈により財産を取得しなかった者でも相続開始前 3 年以内の贈与財産 ( 相続時精算課税の適用を受ける財産を除きます ) には適用されます ( 相基通 19-11) 相続開始前 3 年以内 贈与 贈与 出書提出相続時精算課税選択届贈与 相続開始 平成 26 年平成 27 年平成 28 年平成 29 年 暦年課税 相続時精算課税 相法 19 の適用あり 相法 19 の適用なし ただし 相法 21 の 15 相法 21 の 16 により加算 -760-

2 税額の計算 原則として通常の例により計算しますが 次の調整規定に注意してください 遺産に係る基礎控除 ( 相法 15) 相続税額の2 割加算 ( 相法 18) 贈与税額控除 ( 相法 19) 未成年者控除 ( 相法 19の3) 障害者控除 ( 相法 19の4) 相次相続控除 ( 相法 20) 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額も基礎控除の対象となります ( 相法 21の14) 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の取得時に被相続人の一親等の血族 ( 注 1) であった場合に その贈与財産に対応する相続税額として政令で定める部分は 加算の対象とされません ( 相法 21の152 21の162 相令 5の2) ( 注 1) その被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し 又は相続権を失ったため 代襲して相続人となったその被相続人の直系卑属を含み 被相続人の直系卑属がその被相続人の養子となっている場合を含みません ( 相法 18) ( 注 2) 加算の対象とされない部分の金額は次の算式によります ( 相基通 18-5) 相続時精算課税適用者に係る相続税額 相続時精算課税の適用を受ける財産で一親等の血族であった期間内にその特定贈与者から取得したものの取得時の価額 相続時精算課税の規定により課税価格に算入された財産の価額 1の (3) の 相続開始前 3 年以内の贈与 で相法 19の適用なしとされた贈与財産に係る贈与税額については 控除の適用はありません 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産も控除の対象とされ その未成年者の扶養義務者として相続時精算課税適用者に控除の適用があります ( 相法 21の152 21の 162 相令 5の42) 特定納税義務者については その相続開始の時に国内に住所を有しない者には控除の適用はありません ( 相法 19の413 21の162) 第二次相続に係る被相続人から相続により取得した財産には その被相続人からの相続時精算課税の適用を受ける贈与財産を含みます ( 相法 20 21の152 21の161 相基通 20-3 20-4) -761-

3 贈与税額の控除及び還付 (1) 贈与税額の控除相続時精算課税を適用して相続税を計算する場合に 第二節で説明した特定贈与者からの贈与により取得した財産につき課せられた贈与税があるときは 2で計算した相続税額 ( 相法 20の2までの規定により算出した金額 ) からその贈与税の税額相当額を控除した金額が その相続時精算課税適用者の納付すべき相続税額となります ( 相法 21の153 21の164 相令 5の3) 控除する贈与税額は 相法 21の8 在外財産に対する贈与税額の控除 の規定による控除前の税額とし 延滞税 利子税 過少申告加算税 無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除きます ( 相法 21の153 21の164) (2) 贈与税額の還付 (1) の贈与税額を控除するに当たって 相続税額から控除してもなお控除しきれなかった金額がある場合において その控除しきれなかった金額 ( 注 1) に相当する税額は還付されます 還付を受けるためには相続税の申告書 ( 第五節 2の (2) 参照 ) を提出することが要件とされています ( 相法 33の21 4) ( 注 1) 相法 21の8の規定の適用を受けた贈与財産に係る贈与税の場合は 外国税額の控除額を控除した残額とされます ( 相法 33の21) ( 注 2) (2) の還付金について還付加算金の計算規定 ( 相法 33の2237) が設けられています ( 注 3) 更正 決定があった場合は 更正 決定後の金額が還付されます ( 相法 33の256) -762-

贈与税額 相続税額の計算図 贈与税額の計算 贈与者 A から子 C へ贈与 贈与財産 特別控除額 (2,500 万円 ) 20%= 贈与税額 相続税額の計算 贈与者 A の相続開始 相続時精算課税制度に係る贈与財産 相続 ( 遺贈 ) により取得した財産 子 C( 相続時精算課税適用者 ) 子 D 配偶者 B 課税遺産総額 遺産に係る基礎控除額 子 C(1/4) 子 D(1/4) 配偶者 B(1/2) 法定相続分で取得したと仮定してあん分する ( 税率 ) ( 税率 ) ( 税率 ) ( 税額の算出 ) 相続税の総額 各人の実際の相続割合によってあん分する 各人の算出税額 贈与税額 配偶者の税額軽減 各人の算出税額から 税額控除 ( 配偶者の税額軽減 贈与税額の控除等 ) を行う なし 相続税額 ( 子 C) ( 子 D) ( 配偶者 B) 相続時精算課税に係る贈与税額の控除 ( 又は還付 ) -763-

計算例 ( 設例 ) ( 単位 : 千円 ) 相続人 法定相続分 相続又は遺贈により取得した財産の価額 相続時精算課税の適用を受けた贈与財産の価額 相続時精算課税における贈与税額の合計額 甲 ( 子 ) 1/4 100,000 50,000 5,000 乙 ( 子 ) 1/4 1,000 50,000 5,000 丙 ( 子 ) 1/4 20,000 0 丁 ( 子 ) 1/4 19,000 イ課税価格の合計額甲 100,000 千円 +50,000 千円 =150,000 千円乙 1,000 千円 +50,000 千円 = 51,000 千円丙 20,000 千円丁 19,000 千円課税価格の合計額 240,000 千円ロ課税遺産総額 240,000 千円 -(3,000 万円 +600 万円 4 人 )=186,000 千円 ハ各人の相続税額甲 18,250 千円 丁 乙 6,205 千円千円例丙 2,433 千円 丁 2,312 千円 ニ納付すべき相続税額等 甲 18,250 千円 -5,000 =13,250 千円 乙 6,205 千円 -5,000 = 1,205 千円 丙 2,433 千円 により計算-764-

第四節納税の権利 義務の承継 1 特定贈与者よりも先に相続時精算課税適用者が死亡した場合 相続時精算課税適用者が特定贈与者の死亡以前に死亡した場合は その相続時精算課税適用者の相続人 ( 包括受遺者を含みます 以下第四節において同じ ) がその相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利又は義務を承継します ただし その相続人に特定贈与者がいる場合は その特定贈与者はその納税に係る権利又は義務を承継しません ( 相法 21の171) 上記の承継の場合に 次の場合の取扱いは次によります 1 相続時精算課税適用者の相続人が2 人以上いる場合各相続人 ( 特定贈与者を除きます ) が承継により納税する額 ( 又は還付を受ける額 ) については 法定相続分 代襲相続分 指定相続分 ( 民法 900~902) の規定による相続分 ( 相続人に特定贈与者がいても いないものとして相続分を計算します ) によりあん分して計算した額とされます この場合に相続財産の価額が承継する相続税額を超える相続人は その超える額を限度として他の相続人が承継する相続税額を納付する責任があります ( 相法 21の173 相令 5の5) 2 相続時精算課税適用者の相続人が限定承認をした場合限定承認をした相続人は相続により取得した財産 ( 相続時精算課税適用者からの遺贈又は贈与により取得した財産を含みます ) の限度においてのみ納税の権利 義務を承継します ( 相法 21の172) 3 特定贈与者よりも先に承継者が死亡した場合承継者の相続人 ( 特定贈与者を除きます ) がその相続時精算課税適用者の納税に係る権利又は義務を承継します この場合 上記の各取扱いが準用されます ( 相法 21の174) 4 相続時精算課税適用者の相続人が特定贈与者のみである場合権利義務は誰にも承継されないで消滅します 特定贈与者の死亡に係る相続時精算課税適用者の相続税の申告は不要です ( 相基通 21の17-3) ( 注 1) 相続時精算課税適用者の相続人が2 人以上あるときに各相続人が承継する相続時精算課税の適用に伴う権利義務の割合について 基本的な設例を示せば 次のとおりです ( 相基通 21の17-2) 設例 1 特定贈与者 相続時精算課税適用者 ( 死亡 ) 設例 2 特定贈与者 子 配偶者 母 相続時精算課税適用者 ( 死亡 ) 配偶者 この場合において 特定贈与者の死亡前に相続時精算課税適用者が死亡したときには 配偶者及び子が相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継することになり その割合は 配偶者と子がそれぞれ2 分の1ずつとなります 子は20 歳以上であれば代襲相続人として特定贈与者からの贈与を受け その贈与により取得した財産についての相続時精算課税の適用について この納税に係る権利又は義務の承継とは別に選択するか否かを判断することとなります ( 編者注 ) この場合において 特定贈与者の死亡前に相続時精算課税適用者が死亡したときには 母及び配偶者が相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継することになり ( 特定贈与者には承継されません ) その割合は 母が3 分の1 配偶者が 3 分の2となります -765-

( 注 2) 相続時精算課税適用者が被相続人である特定贈与者の死亡の日前に死亡している場合は 相続税の申告書の付表 (= 第 1 表の付表 1 納税義務等の承継に係る明細書 兼相続人の代表者指定届出書 ) を提出します 2 受贈者が相続時精算課税選択届出書の提出前に死亡した場合 (1) 受贈者の相続人による相続時精算課税選択届出書の提出受贈者が相続時精算課税の適用を受けることができる第一節 1の要件を満たしている場合に その受贈者が相続時精算課税選択届出書の提出期限前にその届出書を提出しないで死亡したときは その受贈者の相続人 ( その贈与者を除きます 以下 2において同じ ) は その相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内 ( 注 1) に相続時精算課税選択届出書をその受贈者の納税地の所轄税務署長に共同して提出 ( 注 2) することができます ( 相法 21の181) ( 注 1) 相続人が納税管理人の届出をしないでその期間内に国内に住所 居所を有しないこととなるときは その有しないこととなる日までとされています ( 注 2) 提出手続イ贈与税の申告書を提出すべき場合は 相続時精算課税選択届出書は申告書に添付すること ( 相令 5の 61) ロ届出書にはその受贈者の相続人であることを証する書類その他の財務省令で定める書類を添付すること ( 相令 5の62 相規 112) ハ受贈者の相続人が2 人以上の場合は 届出書に相続人が連署して提出すること ( 相令 5の63) (2) 納税の権利 義務の承継 (1) により相続時精算課税選択届出書を提出した受贈者の相続人は 受贈者が有することとなる相続時精算課税の適用を受けることに伴う納税に係る権利又は義務を承継します ( 相法 21の182) ( 注 1) (2) の場合は 1の1 2を準用します ( 注 2) 受贈者の相続人が届出書を提出しないで死亡した場合は (1)(2) を準用します ( 相法 21の183) -766-

第五節申告及び還付等 1 申告特定贈与者である被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものの申告は 相続又は遺贈の場合と同様です ( 相法 271) ただし 申告書の記載事項については 相続時精算課税選択届出書や贈与税の申告書を提出した税務署名その他の事項が追加 ( 第四節の納税の権利 義務の承継の場合の相続税の申告書には 更に記載事項が追加 ) されています ( 相規 1312) 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者についても その特定贈与者からの贈与により取得した財産は その特定贈与者から相続による取得とみなして申告することとなります ( 注 ) 相続時精算課税適用者に係る 相続の開始があったことを知った日 通常の相続の場合の規定 ( 相基通 27-4) にかかわらず 特定贈与者が死亡したこと又は特定贈与者について民法の失踪の宣告に関する審判の確定のあったことを知った日とされます ( 相基通 27-4なお書 ) 2 還付 (1) 相続税額から控除しきれなかった贈与税額の還付第三節 3の (1) の贈与税額を控除するに当たって 相続税額から控除してもなお控除しきれなかった金額に相当する税額は還付されます 還付を受けるためには相続税の申告書を提出することが要件とされています ( 相法 33の214) ( 注 ) 相続税の申告書の付表 (= 第 1 表の付表 2 環付される税額の受取場所 ) を提出します (2) 還付申告相続時精算課税適用者は 相続税の申告書を提出すべき場合のほかに 相続時精算課税に係る贈与税額の還付を受けるための申告書を住所地の所轄税務署長に提出することができます ( 相法 273 62 1) しかし 提出先は 被相続人の死亡時の住所が国内にあればその死亡時の住所地の所轄税務署長とされます ( 相法附則 3) その申告書には 相続時精算課税の適用を受ける財産の相続税の課税価格 還付を受ける税額その他の事項 ( 相規 15) を記載することとされています この還付のための申告書は 相続開始の日後 5 年間 提出することができます ( 相基通 27-8) 3 延納及び物納の取扱い延納の延納期間及び利子税については 課税相続財産の価額 ( 相続又は遺贈により取得した財産で相続税額の計算の基礎となったものの価額の合計額をいいます ) のうちに不動産等の価額が占める割合に応じて規定されていますが この課税相続財産の価額には相続時精算課税の適用を受けた贈与により取得した財産の価額は含まれないこととされています ( 相法 381) また この課税相続財産の価額については 相続開始の年において 特定贈与者である被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税の適用を受けるもののうちに不動産等がある場合については 相続又は遺贈により取得した財産 に含めても差し支えないものとされています ( 相基通 38-3) なお 物納に充てることができる財産から相続時精算課税の適用を受ける財産が除外されています ( 相法 412) -767-

4 贈与税の申告内容の開示相続若しくは遺贈又は相続時精算課税の適用を受ける贈与により財産を取得した者は 他の共同相続人等がある場合には その被相続人に係る相続税の申告書の提出又は更正の請求に必要となるときに限り 他の共同相続人等がその被相続人から相続開始前 3 年以内に贈与により取得した財産又は相続時精算課税の適用を受けた財産に係る贈与税の申告書に記載された贈与税の課税価格 ( 贈与税について修正申告書の提出又は更正若しくは決定があった場合には その修正申告書に記載された課税価格又は更正若しくは決定後の贈与税の課税価格 ) の合計額について所轄税務署長に開示の請求をすることができます ( 相法 49) 開示請求があった場合は 税務署長は請求後 2か月以内に開示することとされています ( 相法 492) ( 注 1) 次に掲げる者も開示の請求ができるとされています ( 相基通 49-1) イ相続税の申告書を提出すべき者が申告書提出前に死亡した場合に 相続税の納税義務を承継した者ロ第四節の相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継した者 ( 注 2) 開示の方法等イ開示請求書に 他の共同相続人等の氏名など財務省令で定める事項を記載し 他の共同相続人等がその被相続人の相続人等であることを証する書類その他の財務省令で定める書類を添付し 所轄税務署長に提出します ( 相令 2712 相規 2912456) ロ開示の請求は 被相続人に係る相続の開始の日の属する年の3 月 16 日以後にすることができます ( 相令 273) ハ請求先は 原則として被相続人の死亡の時における住所地の所轄税務署長となります ( 相令 274) ニ開示に当たっては 次に掲げる金額ごとに開示されます ( 相令 275) (a) 被相続人に係る相続の開始前 3 年以内にその被相続人からの贈与により取得した財産の価額 ((b) の価額を除きます ) の合計額 ( 相法第 19 条第 2 項に規定する特定贈与財産の価額を除きます ) (b) 被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けたものの価額の合計額 ( 注 3) 贈与税の申告内容の開示は 平成 15 年 1 月 1 日以後に贈与により取得した財産に係る贈与税の申告書に記載された贈与税の課税価格について適用されます ( 平 15 所法等改正法附則 21) -768-