コラム 151 贈与税についてのまとめ 先月号 (2010 年 5 月号 ) で 150 非課税枠広がる住宅資金の贈与税ということで 拡大される住宅資金贈与の非課税枠について書きましたが 贈与税の基本となる 暦年課税制度 と 相続時精算課税制度 についてもう少しまとめたいと思います 先月号と併せて ( 住宅資金の ) 贈与税の理解が深まれば幸いです また 相続時精算課税制度 については 2006/12 58 親から子に生前の贈与を行いやすくする制度でもまとめています 贈与税がかかる場合 で贈与税は 個人から財産をもらったときにかかる税金す 会社など法人から財産をもらったときは贈与税はかかりませんが 所得税がかかることになっています 贈与税の課税制度には 暦年課税 と 相続時精算課税 の2つ贈与税の課税制度には 暦年課税 と 相続時精算課税 の2つがあり 一定の要件に該当する場合には 相続時精算課税を選択することができます 注意点として 相続時精算課税は 受贈者 ( 贈与を受ける ) である子それぞれが贈与者 ( 贈与する人 ) である父 母ごとに選択できますが いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなった時まで継続して相続時精算課税が適用され 暦年課税に変更することはできません また贈与の課税金額を算出する場合 現金はそのままの数値で計算されますが 不動産 ( 土地 建物 ) や証券 ( 株式 投資信託など ) 生命保険金などは課税金額の出しかたがそれぞれ異なることに注意してください また相続税 贈与税には様々な特例があることにも注意して下さい 1. 暦年課税 贈与税は一人の人が1 月 1 日から12 月 31 日までの1 年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の 110 万円を差し引いた残りの額に対してかかります したがって 1 年間にもらった財産の合計額が110 万円以下なら贈与税はかかりません ( この場合 贈与税の申告は不要 ) 贈与税の税率 基礎控除後の課税価格 税率 控除額 1200 万円以下 10% - 2300 万円以下 15% 10 万円 3400 万円以下 20% 25 万円 4600 万円以下 30% 65 万円 51,000 万円以下 40% 125 万円 61,000 万円超 50% 225 万円
2 2. 相続時精算課税 相続時精算課税 を選択した贈与者( 父または母 ) ごとに その年の1 月 1 日から12 月 31 日までの1 年間に贈与を受けた財産の価額の合計金額から2,500 万円を差し引いた ( 特別控除額 ) 残額に対して贈与税がかかります 注意点として この特別控除額は贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ差し引くことができます ( 前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には 2,500 万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となります ) 3. 申告と納税 贈与税がかかる場合には 財産をもらった人が申告と納税をする必要があります 申告と納税は 財 産をもらった年の翌年 2 月 1 日から 3 月 15 日の間に行ってください 相続時精算課税を選択した場合 制度の概要一定の要件に該当する場合には 相続時精算課税を選択することができます この制度は 贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め その贈与者が亡くなった時に贈与した価額と相続財産の価額を合計した金額を基に計算した相続税額から 既に納めたその贈与税相当額を差し引くことにより納税を行うものです 適用対象者贈与者は65 歳以上の親 受贈者は贈与者の推定相続人である20 歳以上の子 ( 子が亡くなっているときには20 歳以上の孫を含みます ) とされています ( 年齢は贈与の年の1 月 1 日現在のもの ) 適用対象財産など贈与財産の種類 金額 贈与回数に制限はありません ( つまり何年にまたがっていても2500 万円までの贈与は非課税となります ただし 相続が起こったときに相続財産を含め計算を行うので 相続税が発生することがあります ) 贈与税 1 与財産から控除する金額 特別控除額 2500 万円 ( 前年までに特別控除額を使用した場合には 2500 万円から既に使用し た額を差し引いた金額が控除額になります ) 2 税率 特別控除額を超えた部分に対して一律 20% の税率 相続時に精算 贈与者がなくなった時の相続税に計算上 相続税財産の価額に相続時精算課税制度を適用し た贈与財産の価額 ( 贈与時の価額 ) を加算して相続税額を計算します その際 既に支払った贈与税額を相続税額から差し引きます なお控除しきれない金額は還付されます
3 152 金融危機からの株価の動きを振り返る 米国発の金融危機は2008 年 9 月 (Sep09) から2009 年 3 月 (Mar09) まで米国発の金融危機は2008 年 9 月の米大手証券会社リーマン ブラザーズの破綻をきっかけに顕著になりました 振り返ると2008 年 9 月 (Sep09) から2009 年 3 月 (Mar09) あたりまでが金融危機の最悪期だったかと思います 当時は米国 ( または米国企業 ) の破綻やドルの崩壊と米国に対する非常に悲観的な論調がおどった訳ですが 1 図 ( チャート ) でわかるように特に米国株だけが弱いということはありませんでしたし 為替に関しては 金融危機の際にドルは強い通貨であり続けました 米国株は他の先進国と比べても強かった日本の投資家は結果的に円で換算するときにどの程度利益が出ているか または損失が出ているかということが重要になってくるわけですが 米国株に関しては 他の通貨に比べ ドルが強い動きだったため (2 図 ) 円換算では主要先進国では最も損失を防げた国が米国株であったことになります 特にIT 関連の企業が上場するナスダック (MASDAQ) 市場強い動きを続けています 新興国株も金融危機からの立ち直りが速く 日本株は弱い金融危機の際 米国株と並んで心配されたのが中国 インド ブラジルなどの新興国といわれる国の株価でした 変動が大きい時期ももられ 下げ幅も拡大することもありましたが 金融 経済が落ち着き始めると新興国株は非常に強い回復力で 株価も上昇し インドにいたっては金融危機前後を上回るような動きを見せています (3 図 ) 米国や欧州の企業はこれから大変でもし投資を行うならやはり日本株が安全ではないか といった話も当時はよく聞かれたわけですが 残念ながら日本株は先進国 新興国を含め 非常に弱い動きを続けています 情報をきちんと大量に流れてくる情報をある程度選別していかなければ最初のイメージが固定されてしまうこともあるでしょう 金融危機が起こり 米国株は危ない 新興国はもっと危ない やっぱり日本株が安全 というようなイメージを持たれた方は少なくなかったと思います 実際の結果を認識することや道程を振り返ることは情報量が多い時代だからこそ非常に大切な作業になると思います 1 ここ 2 年間の先進国の株価指数の動き ( 現地通貨建て )
4 DOW= 米国ダウ平均 NASDAQ= 米国ナスダック ^FTSE= 英国 FTSE100 ^GDAXI= ドイツ DAX 指数 ^N225= 日経平均株価 2 ここ 2 年間の主な通貨の対円の為替の動き USD/JPY= ドル / 円 EUR/JPY= ユーロ / 円 AUD/JPY= 豪ドル / 円 NZD/JPY=N ドル / 円 CAD/JPY= カナダド / ル円 GBP/JPY= 英ポンド / 円 CHF/JPY= スイスフラン / 円 3 ここ 2 年間の新興国 ( 及び日本株 ) の株価指数の動き ( 現地通貨建て ) ^HIS= 香港 ハンセン指数 000001.SS= 中国 上海総合指数 ^BSESN= インド センセックス指数 ^BVSP= ブラジル ボスペバ指数 ^N225= 日経平均株価
5 153 欧州 ギリシャ問題の影響 欧州 ギリシャ問題でユーロが安いギリシャの財政への懸念から金融市場が混乱しています 特に為替はユーロが売られ ( 図 2) ドル 円が買われている展開です 豪ドルなどの人気通貨も直近では不安定な市場を反映して売られ気味です ユーロは円そしてドルに対し強い時期が続いていましたが 今はかなり下げている状況にあります 欧州問題真っ只中のドイツ株はそれ程弱くない意外な感じがしますが 欧州問題の中心的な役割を担うドイツの株はそれ程弱い動きではありません ( 図 1) これはユーロ安が影響していることが考えられます ドイツは日本以上に輸出の割合が高い国なので ユーロ安になると輸出企業は好調になります ( ユーロ安になると輸出品の価格がユーロ圏以外では安く販売することができるため 通常収益が上がる ) 今回のユーロ安はかなりの水準までいっていますので 企業利益が拡大することが見込まれます いろいろな見方確かに今回の欧州の財政懸念は慎重に見ていかなくてはなりませんが 見方を変えると 企業にとって有利に働いている部分もあり いくつかの観点から分析していく必要はあるのだろうと思います ただし 日本の投資家かからみると円建て換算で損益を考えなくてならないため ドイツ株がある程度頑張っていても それ以上にユーロ安のマイナスの影響を受ける可能性があることは注意する必要があります 1 直近 3 ヶ月の先進国の株価指数の動き ( 現地通貨建て ) DOW= 米国ダウ平均 NASDAQ= 米国ナスダック ^FTSE= 英国 FTSE100 ^GDAXI= ドイツ DAX 指数 ^N225= 日経平均株価
6 2 直近 3 ヶ月の主な通貨の対円の為替の動き USD/JPY= ドル / 円 EUR/JPY= ユーロ / 円 AUD/JPY= 豪ドル / 円 NZD/JPY=N ドル / 円 CAD/JPY= カナダド / ル円 GBP/JPY= 英ポンド / 円 CHF/JPY= スイスフラン / 円 直近の市場の値動きは荒い しかし中長期的にみるとここ1ヶ月は非常に不安定な動きを欧州の株価市場を中心に続けています 楽観的な見通しをする専門家から非常に悲観的な予想を行う人まで情報もいろいろです また IT ネットの発達で情報は一気に世界中に広まるので 一度悪い情報が流れると 一方向に大きく動くことも見られ 運用をしていても不安を感じることも少なくないかもしれません 短期的にみると 激しい動きに目を奪われてしまいますが 中長期的に考えた場合 成長力や収益力のある市場または企業はきちんと結果が出るものと考えて良いのだろうと思っています インド株式市場は金融危機を挟みながらも比較的堅調に推移し 今回の欧州懸念の中でも主要国では強い動きを見せています 米アップル社は様々な懸念はいわれ続けてきましたが ipod,iphon,ipadと立て続けにヒット商品を出し ここ数年で大きく株価を上昇させました 良いマーケット 可能性が感じられる企業群で中長期的に運用を行うことは やはり大きな可能性を秘めていると感じています インド センセックス指数の過去 5 年間の動き 米アップル社の過去 5 年間の株価の動き
7 当コラムは 暮らしに役立つ情報 金融商品の購入に参考となる情報を目的としたものであり 不動産の取引 保険商品の取引 有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的にしたものではありません 当コラムは 信頼できると判断した情報に基づき作成されていますが その情報の正確性もしくは信頼性について保証するものではありません また 情報が不完全な場合または要約されている場合があります 使用するデータ 表現等の欠落 誤謬等につきましてはその責を負いかねます ご了承ください