第 5 学年道徳学習指導案 平成 27 年 12 月 2 日 ( 水 ) 第 5 学年 2 組 32 名授業者水端勇太 1 主題名相手の立場に立って 2-(2) 思いやり親切 2 資料名 くずれ落ちた段ボール箱 ( 出典 : 東京書籍 希望をもって ) 3 主題設定の理由 (1) ねらいとする価値について本単元における内容項目 2-(2) は だれに対しても思いやりの気持ちをもち 相手の立場に立って親切にする を内容としている ここでは相手の立場に立つことを強調する必要があるとされている 人間関係の深さの違いや意見の相違などを乗り越え 思いやりの心とそれが伴った親切な行為を接するすべての人に広げていく指導が必要である 私たちの生活はお互いの支え合いで成り立っている 誰に対しても親切や思いやりの心で接することは 周りの人とよりよい人間関係を築き 明るく過ごしやすい集団 社会を作ることが出来る しかし 自分が親切や思いやりに基づいた行動をとっているつもりであっても 相手の状況等によって誤解されることもある それでも思いやりの心をもち 相手の立場に立って親切に接することのよさに気付き 実践につなげていけるようにしたい (2) 児童の実態本学級の児童 ( 男子 19 名 女子 13 名 計 32 名 ) は 児童同士でお互いに助け合ったり 協力したりする姿が見られるようになってきた 一方で考えの違いや相手の立場の違いを認められず 自分の都合や意見を押し通そうとする児童もいる そういった児童の意見に学級の雰囲気が流されてしまうこともある 児童の実態を把握するため 親切の経験についてのアンケートをとった 親切にしてよかったことはありますか という設問に対し ありがとうと言われた 食べ物をもらった など 66% の児童が何らかの見返りがあったことを回答している またよかったことを なし と6% の児童が回答している 一方 自分がすっきりした やさしい気持ちになった 相手の人に喜んでもらえた これからもやろうと勇気がもてた などと28% の児童が見返りではなく 自分の親切な行動に満足したことを挙げている 全ての児童が親切な行為をした経験があることから親切な行為は見返りを求めるものではなく 相手の立場に立って親切にすることで相手が喜んだり 自分の気持ちが晴れやかになったりすることなどを児童に考えさせ より高い道徳的価値に迫りたい 誰に対しても親切にしようとする実践意欲につなげていきたい 1
(3) 資料について本資料は混雑したお店で孫が積んである段ボールを崩してしまい困っているおばあさんの代わりに わたし とその友達の友子が 整理していると 事情の知らない店員に叱られてしまう その後 おばあさんにお礼を言われたが わたし と友子はすっきりしないで帰る 数日後 店員からお詫びの手紙が来たことを知り 二人の心は明るくなるという内容である お礼は言われたものの親切な行動について叱られてしまった時の複雑な気持ちにも共感させた上で親切のよさについて考えさせる資料である 4 研究主題との関連 研究主題 自分を見つめ 友達の思いを大切にする子供の育成 - 道徳授業の充実を通して - 研究主題に迫るために 5 年生では子供たちの目指すべき児童像を 自分の素直な思いを伝えたり 相手の思いを受け止めたりできる子 友達の考えを聞き 相違を比べながら 自分の考えを深める子 道徳的価値に気付き 生活や生き方に生かそうとする子とした また本時における目指すべき具体的な児童像を 友達の考えを受け止め さらに自分の思いを伝えることができる子 親切について友達の考えのよいところに気付き 自分の考えを深めることができる子 学習を振り返り 自分の生活に生かそうとする子 として以下のような手立てを考えた <ねらいとする価値に迫るための手立て> (1) 話合い活動の工夫学習の型を構造化して 見通しをもたせる 第 1 段階では クラス全体でねらいとする価値の共通理解を図り 自分の考えをワークシートに書き 思考の整理をさせる 第 2 段階では 自分の考え 友達の考えを比較検討することを通して 思考の拡大をする 第 3 段階では 児童に班 クラス全体とよりよい考えをまとめる過程を通して考えの根拠を見つけ 思考を深化させる 第 4 段階では 児童は各班の考えを参考にしながら 最終的に自分がよいと思ったことを書かせ 学習をまとめる 最後に学習を通して振り返りを書き 実践意欲につなげたい 自分で考え 周りの人と共有し 話合う そして自分の考えをもつという過程を本時だけではなく これらの学習活動を繰り返し実践していくことで目指す児童像につなげていきたい 2
話合いにおける児童の思考の流れの図 段階思考の流れ活動 1 思考の整理 2 思考の拡大 ( 比較 検討 ) 3 思考の深化 ( 再検討 ) 思考のまとめ 4 ( 最適解への到達 ) 価値の共通理解 ワークシートに自分の考えを書く 班や全体での話合い 班の友達の考えを聞く 疑問点を挙げる 他班の友達の考えを聞く 班や全体での話合い 班でよいなと思った考えを書く 自分の考えの根拠を説明する 自分の考えを書く 学習の振り返りをする (2) 資料提示の工夫資料の内容を児童に視覚的に表示することで場面の状況を理解させる 範読の際には場面絵を大きく提示して資料の世界に入りやすくするため電子黒板に表示する また場面絵と話の内容を関連させて表示することで 話の内容を整理できるようにする (3) 板書の工夫児童が わたし の心情を理解し ねらいとする価値に迫れるよう構造的な板書にする また各班から出された考えを書いたホワイトボードを黒板に分類して掲示することで友達の考えのよさや相違点を比べやすくし 考えを深められるようにする (4) 発問の工夫資料の主題やテーマそのものにかかわって 価値に迫る発問を中心発問にする 全体にかかわる発問をすることで 資料の一場面だけではなく 資料全体に広く捉えて考えさせるようにする 事前アンケートからみえてきた児童があまり経験のない親切について問いかけることで より高い道徳的価値に気付かせたい 3
5 本時の授業 (1) 本時のねらい見返りのない親切について考える活動を通して思いやりをもって相手の立場に立って行動しようとする実践意欲を育てる (2) 本時の展開 学習活動 ( 基本発問 中心発問 予想される児童の反応 ) 指導上の留意点 ( 評価 ) 導入 5 分展開 15 分 1 これまでの親切にした経験について話合う 親切にしてよかったことはあるか ありがとうと言ってもらった 自分にも親切にしてもらった 2 資料 くずれ落ちた段ボール箱 を読んで話合う わたし はどんな気持ちで手伝ったのだろう おばあさんが困っているから助けなきゃ 片付けてあげよう 早く男の子を追いかけないと迷子になるかも だれも片付けていないな 学級内の親切な行為について取り上げる 道徳的価値のよさ( 親切のよさ ) について児童のアンケートを交えて共通理解をする 後段の話合いに生かすために児童が行った親切の見返りについて確認する 資料の場面をイメージしやすくするため 範読しながら場面絵を提示する 登場人物や状況を整理し 共通理解をするため 電子黒板を活用する わたし が相手の立場に立って親切をしたことをおさえるため 親切な行動をした気持ちに共感させる いいえ いいんです と言った時 わたし はどんな気持ちだったのだろう おばあさんが喜んでくれたからよかった 男の子が迷子にならなくてよかった 親切になんてするんじゃなかった 親切にしたのに叱られるなんておかしい 後段の複雑な気持ちを捉えさせるため 叱られた わたし のやるせない気持ちに共感させる 叱られた気持ちとお礼を言われてうれしい気持ちの主人公の複雑な気持ちをおさえる 親切な行動の肯定的な気持ちと否定的な気持ちを整理するため 色を分けて板書する 校長先生が手紙を読むのを聞いたとき わたし はどんな気持ちだったのだろう わかってもらってよかった やっぱり親切にしてよかった 誤解が解け わたし の親切な行動が最 後は認められ 晴れ晴れとした気持ちになっ たことを確認する 4
20 分 手紙をもらう以外で親切にするよさは何だろうか 困っている人を助けると達成感がある あとで考えた時にやってよかったと思える 自分も相手も気持ちが良くなる 見返りがなくても親切な行動をするよさについて考えるため 話合いを取り入れ より高い道徳的価値に気付かせる 話合いの流れ 自分の考えをワークシートに書く ワークシートをもとにグループで話合う 全体で話し合う 話合いの焦点がわかりやすいようにホワイ トボードに赤い線を引く おばあさんや他の人の立場に立って親切な 行動をしたことを振り返る 3 見返りのない親切について自分の生活を振り返る 相手の立場に立って親切にしようとして 考えたこと これからの自分の生活に生かしたいこと いるか ( ワークシート ) を書く 終末 4 教師の説話を聞く 道徳的価値に意識を向けるために教師の説話 5 分 を聞く 電車で座っているときに目の前に妊婦の方 がいた 席をゆずるためにどうぞと声をかける のではなく さりげなく席を立つことで席をゆ ずった 相手の人のほっとした顔を見てうれし くなった (3) 評価 相手の気持ちを思いやり 進んで親切にすることのよさについて考え 実践意欲をもつことができ たか ( ワークシート 発言 ) 5
(4) 板書計画 6