青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 目 次 1. 目的 1 2. 携帯食事手帳システムの概要 1 (1) システムの基礎データ 1 (2) 利用方法 1 (3) 確認できる情報 1 3. 携帯食事手帳利用の手引き 2 (1) 携帯食事手帳 (QRコード) 3 (2) 料理選択の仕方 4 (

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私の食生活アセスメント

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Shokei College Investigation into the Physical Condition, Lifestyle and Dietary Habits of the Members of a Boy s Soccer Team and their Families (1) Ph


2214kcal 410g 9.7g 1 Point Advice

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1 栄養成分表示を活用してみませんか? 媒体の内容 1 ページ 導入 ねらい : 栄養成分表示 とは 食品に含まれているエネルギー及びたんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量などを表示したものであることを理解する 栄養成分表示を見たことがありますか? と問いかけ 普段から栄養成分表示を見ているか 見て


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第 3 部食生活の状況 1 食塩食塩摂取量については 成人男性では平均 11.6g 成人女性では平均 10.1gとなっており 全国と比較すると大きな差は見られない状況にあります 図 15 食塩摂取量 ( 成人 1 日当たり ) g 男性

保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

日常的な食事に関する調査アンケート回答集計結果 ( 学生 ) 回収率 平成 30 年 12 月 1 日現在 134 人 問 1 性別 1 2 男性女性合計 % 97.0% 100.0% 3.0% 男性 女性 97.0% 問 4 居住状況 家族と同居一人暮らし

2 夜食 毎日夜食をとっている者は では 22.5%( 平成 23 年 23.9%) であり で % と割合が高い では 18.3%( 平成 23 年 25.2%) であり 40 歳代で割合が高い 図 夜食の喫食状況 (15 歳以上 性別 年齢階級別 )

結果の概要

2 11. 脂肪 蓄 必 12. 競技 引退 食事 気 使 13. 日 練習内容 食事内容 量 気 使 14. 競技 目標 達成 多少身体 無理 食事 仕方 15. 摂取 16. 以外 摂取 17. 自身 一日 摂取 量 把握 18. 一般男性 ( 性. 一日 必要 摂取 把握 19. 既往歴 図

ウ食事で摂る食材の種類別頻度野菜 きのこ 海藻 牛乳 乳製品 果物を摂る回数が大きく異なる 例えば 野菜を一週間に 14 回以上 (1 日に2 回以上 ) 摂る人の割合が 20 代で 32% 30 代で 31% 40 代で 38% であるのに対して 65 歳以上 75 歳未満では 60% 75 歳以

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日本スポーツ栄養研究誌 vol 目次 総説 原著 11 短報 19 実践報告 資料 45 抄録

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結果の概要 1 栄養 食生活に関する状況 (1) 野菜の摂取状況 20 歳以上における 1 日の野菜摂取量の平均値は 288.1g 性別にみると男性 297.1g 女性 281.1g 年齢階級別にみると 男女ともに 40 歳代で最も少ない 図 1 野菜摂取量の平均値 (20 歳以上 性 年齢階級別

食育って, ご存知ですか? 食育とは 生きる上での基本であって, 知育, 徳育及び体育の基礎となるべきもの 様々な経験を通じて 食 に関する知識と 食 を選択する力を習得し, 食育の推進に取り組んでいます! 28 年 ( 平成 2 年 )3 月に 福山市食育推進計画,213 年 ( 平成 25 年

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平成 29 年度食育活動の全国展開委託事業報告書 ( 食生活と農林漁業体験に関する調査 ) 平成 30 年 2 月

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Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

女子大生の食意識と食事摂取量に関する研究

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学校給食摂取基準の活用 学校給食摂取基準は全国平均を示したものであるから その考え方を踏まえた上で 各学校の実態に応じた摂取基準 ( 給与栄養目標量 ) 作成する必要がある EER 算出シートに数字を打ち込めば EER( 推定エネルギー必要量 ) は算出できるが 専門職 ( 管理栄養士 栄養士 )

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特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 報告書46~63ページ

私の場合 上記表より男性 年齢 51 歳の所を確認しました 活動量低い 普通以上を選択します 活動量は低いにあてはまります ( 座り仕事が中心 歩行 軽いスポーツ等は 5 時間未満 ) 表よりエネルギーは 2200±200 キロカロリーになり 1 日にとる 5 種類の分類のうち摂取量 ( つ (SV

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Ⅵ ライフステージごとの取り組み 1 妊娠期 2 乳幼児期 (0~5 歳 ) 3 学童期 (6~12 歳 ) 4 思春期 (13~19 歳 ) 5 成年期 (20~39 歳 ) 6 壮年期 (40~64 歳 ) 7 高年期 (65 歳以上 ) ライフステージごとの取り組み ( 図 )

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②肥満 やせの状況 3 歳児における肥満児の割合は減少していました 成人男性の肥満は横ばいで 代女性の肥満は増加傾向がみられました 一方 20 代女性のやせは倍増しており 肥満だけでなく 子どもを産み育てる世代への支援が必要となります 20代 60代の肥満 BMI 25以上 の割合 肥満

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gh 第 6 学年 3 組家庭科学習指導案 単元名 : わたしは料理家 ~ おすすめ給食献立を考えよう ~ 朝食から健康な 1 日の生活を 男子 15 名 女子 14 名計 29 名 指導者 T1 宮地仁美 ( 学級担任 ) T2 須山明香 ( 栄養教諭 ) 題材について 小学校学習指導要領家庭科第

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目次 1, 研究背景 1-1, ダイエッに対する関心 1-2, 現代の食生活の問題 2, 肥満になる原因 2-1, 肥満になるメカニズム 2-2, 原因 3, 食事パターンによる比較 3-1, 食事パターンの構造と栄養素等の摂取状況の研究 4, 研究目的と分析手順 4-1, データ概要 4-2, 用

活実態と関連を図りながら重点的に指導していきたい また, 栄養教諭による給食献立の栄養バランスや食事によるエネルギー量を基盤として, グループごとに話合い活動を取り入れるなどの指導の工夫を行いたい また, 授業の導入にアイスブレイクや, カード式発想法を取り入れることにより, 生徒が本気で語ることが

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小学生のカルシウム摂取量に寄与する食品の検討 小学生のカルシウム摂取量に寄与する食品の検討 小川瑞己 1 佐藤文佳 1 村山伸子 1 * 目的 小学生のカルシウム摂取の実態を把握し 平日と休日のカルシウム摂取量に寄与する食品を検討する 方法 2013 年に新潟県内 3 小学校の小学 5 年生全数 3

ちゃんと (450~650kcal 未満 ) 栄養バランスを考えて ちゃんと 食べたい女性や中高年男性の方向けしっかり (650~850kcal) 栄養バランスを考えて しっかり 食べたい男性や身体活動量の高い女性の方向け スマートミールの基準 1 エネルギー量 ( カロリー ) は 1 食あたり

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Q1. あなたが 普段健康のために積極的に摂取している栄養成分 控えている栄養成分をお答えください ( 単数回答 ) n=1000 積極的に摂っている栄養成分 TOP5 積極的に摂っているどちらとも言えない摂取を控えている 水分 61.7% 34.1% 4.2% たんぱく質 44.7% 48.4%

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う について知り ご飯のたき方を理解する 6 おいしいみそ汁の作り方の秘密を調べよう だしの有無やみそ汁の具の種類や切り方によってみそ汁の味や作り方が違うことを理解する 7 8 ご飯とみそ汁を作る計画を立てよう みそ汁の具の組み合わせや切り方 入れる順番等を考え ごはんとみそ汁を同時にできるように時

食育に関する意識調査の結果について ( 速報 ) 基本目標 1 毎日きちんと朝ごはんを食べます 規則正しい生活を心がけ, 毎日朝ごはんをしっかり食べて充実した 1 日を過ごす 1 朝ごはんを毎日食べる人の割合 (1) 一般問 6 朝食を食べていますか ( は1つだけ) 0% 10% 20% 30%

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お子さんの成長にあわせ お母さんの食生活を見直してみませんか? お子さんの成長にあわせて あなたの食生活をかえるチャンスがあります 3 か月 か月 か月

小林真琴 小林良清 おり 3) 保健衛生指標のみならず食生活にも特徴があることがうかがえる 国民健康 栄養調査は全国を対象に実施している調査で国民全体の状況把握が目的のため 各都道府県別の状況を把握できる調査設計にはなっていない そのため 平成 24 年国民健康 栄養調査結果の概要において都道府県別

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120 海 津 夕希子 を食事指導で使用する場合 名人度判定の基準となる8項目に何を使用するかが重要となってくる そ こで本稿では 本学の女子学生を対象に まずはエネルギーおよび3大栄養素 たんぱく質 総脂質 炭水化物 と 前報2 で摂取量の改善が見られなった食物繊維 平成27年度国民健康 栄養調査

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高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に


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徳島市受託研究報告書 青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 2011 年 3 月 31 日 四国大学 生活科学部 吉村幸雄 髙橋啓子

青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 目 次 1. 目的 1 2. 携帯食事手帳システムの概要 1 (1) システムの基礎データ 1 (2) 利用方法 1 (3) 確認できる情報 1 3. 携帯食事手帳利用の手引き 2 (1) 携帯食事手帳 (QRコード) 3 (2) 料理選択の仕方 4 (3) 料理リスト 5 (4) 使ってみよう 10 4. 携帯食事手帳の利用に関するアンケート結果 11 (1) アンケート結果 11 (2) システムの今後の展望 13 5. 携帯食事手帳システムの登録データの集計結果及び考察 14 (1) 調査期間及び対象者 14 (2) 結果及び考察 14 6. 今後の展望 17

青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 1. 目的 若者の食生活は欠食 夜食等 食に関する問題点が多く見られる その結果 男性の肥満の増加 一方で女性のやせ過ぎなど健康に関する問題が多い 健康の維持や将来の生活習慣病のリスクを低減するためには早期からの食生活改善を行う必要がある そこで 携帯電話のインターネット機能を利用した食事管理システムを開発し 大学生を中心とした若い人たちに利用してもらい 食生活改善を行う 2. 携帯食事手帳システムの概要 インターネット上にシステムを公開し 携帯電話から日々の食事 ( メニュー ) を送信することで システム上の基礎データを基にエネルギー 三大栄養素の比率などを自動計算する 入力したデータは1 週間分が保存され 1 日あたりの栄養素摂取量の平均値等を確認できる (1) システムの基礎データ 1 料理栄養価 食事バランスガイドデータ 2 食事摂取基準 2010 年版 (18~29 歳 ) (2) 利用方法 1 2 3 携帯電話によるアクセス URL を入力または QR コードを読み込むことによってシステムにアクセス する 利用者情報の登録 郵便番号上 3 桁 男女の区分 年齢 身長 体重等 初回登録時に ID を発行し 次回からは ID 入力のみでアクセス可 食事情報の入力 月日 朝 昼 夕を選択 34 の料理グループを選択し グループ内の料理を選択 登録する (3) 確認できる情報 1 2 3 4 1 日当たりのエネルギー タンパク質 脂質 炭水化物 PFC 比率 食事バランスガイドによる主食 主菜 副菜 乳製品 果実の摂取量 1 週間に食べた料理 その他 食に関する情報 1

参考 < 食に関する情報の例 > 朝ご飯, 食べていますか? 平成 19 年国民健康 栄養調査では朝食を食べない人は 20~29 歳の男性で3 人に1 人 女性では4 人に1 人です 早寝 早起き 朝ご飯の習慣を作りましょう 朝食を食べるとこんな良いことがあるよ 1 日の生活のリズムをつくる 胃が活動を開始し 体温が上がる 身体と脳にエネルギーを送り 活発に活動し始める お腹の中も動き始めて便通がよくなる 栄養バランスがよくなる 3. 携帯食事手帳利用の手引き 携帯食事手帳を利用しやすくするために次の手引きを作成し配布した 徳島市ホームページ上で別途 携帯食育手帳 ( 操作手引書 ) 掲載のため省略 2

4. 携帯食事手帳システムの利用に関するアンケート結果 システムを利用した 159 名の学生に対して 使い勝手等についてアンケートを実施した その内 94 名から回答があった 調査期間 : 平成 22 年 10 月 22 日 ~ 平成 22 年 11 月 5 日 アンケート回答者 :94 名 (1) アンケート結果 1 携帯食事手帳の使い勝手について 2 1 食分の回答にはおおよそ何分くらいかかりましたか? 3 携帯食事手帳を使用して良かった点 悪かった点 良かった点 1. 簡単に食事状況が把握できる (53.2%) 2. 結果がわかりやすかった (37.2%) 3. 栄養や食事について考えるきっかけになった (28.7%) 4. 入力作業が簡単であった (27.7%) 5. 楽しく利用できた (9.6%) 6. 料理数が豊富であった (4.3%) 11

悪かった点 1. 料理数が少なく 目的の料理がなかった (63.8%) 2. 分量の入力が出来ない (51.1%) 3. 同じ区分から料理を 2 種類選ぶ時 (34.0%) 4. 画面のスクロールが面倒だった (27.7%) 5. 毎回パスワードを入れるのが面倒だった (26.6%) 6. 料理区分がわかりにくい (25.5%) 7. 料理数が多すぎて選ぶのに大変だった (1.1%) 4 少なかった料理グループ ( 上位 ) 料理グループ 選択率 (%) 12. 肉料理 30.9% 16. 肉 野菜ミックス料理 24.5% 17. 魚 野菜ミックス料理 16.0% 13. 魚介料理 14.9% 14. 卵料理 12.8% 15. 豆腐 豆料理 11.7% 18. 野菜 いも 海藻料理 11.7% 19. サラダ 11.7% 33. お茶 コーヒー 10.6% 2. ご飯もの ( 和 ) 9.6% 10. スパゲティ ピザ 9.6% 21. みそ汁 すまし汁和菓子 9.6% 5 わかりにくかった料理グループ ( 上位 ) 料理グループ 選択率 (%) 16. 肉 野菜ミックス料理 21.3% 17. 魚 野菜ミックス料理 14.9% 13. 魚介料理 9.6% 12. 肉料理 8.5% 18. 野菜 いも 海藻料理 5.3% 2. ご飯もの ( 和 ) 4.3% 14. 卵料理 4.3% 28. デザート類 4.3% 12

6 追加して欲しい料理鍋 納豆 果物など 7 今後も携帯食事手帳を利用したいと思いますか? 質問項目 回答数 回答率 1 利用したい 10 10.6% 2 どちらかといえば利用したい 18 19.1% 3 改善されれば利用したい 36 38.3% 4 どちらとも言えない 19 20.2% 5 どちらかといえば利用したくない 4 4.3% 6 利用したくない 6 6.4% 無回答 1 1.1% 8 改善して欲しい点や追加して欲しい機能について ( 自由記述 ) パスワード入力の省略 料理数の増加 食事に対するアドバイス 分量の入力 料理選択の方法 料理グループの改善 ( 料理を探すのがめんどう ) 複数入力の改良 ダイエットに役立つ機能 全ての携帯で利用できるようにして欲しい (au 携帯が使用できなかった ) (2) システムの今後の展望 今回の携帯食事手帳を試用した結果 使い勝手については 難しかった, やや難しかった を合わせて 54% の約半数が難しいと感じていた 入力等にかかった時間は 5 分以内が 80% であり 短時間での入力が可能であることがわかった 3 携帯食事手帳を使用して良かった点では 食事状況の把握が簡単 が 53% と最も多く 栄養や食事を考えるきっかけとなった などの評価も高かった 悪かった点では 選択できる料理項目が少なく 実際に摂取した料理が携帯食事手帳になかった (64%) 分量の入力が出来ない (51%) が多く これらは 改善して欲しい点にも記載されていた また 今回の試用システムでは 同じ料理グループの料理を 2 種類以上摂取した場合の入力方法が複雑であったため 利用者が理解できておらず 実際に食べた料理の量と異なる量が登録されてしまった可能性が考えられた 今後 利用者がより簡便に利用できるように料理の種類や数の改善 料理選択の方法 摂取分量の入力などの改善が必要であると考えられた 13

5. 携帯食事手帳システムの登録データの集計結果及び考察 携帯食事手帳システムを利用した 228 名の栄養素摂取状況を把握し 問題点を明ら かにした (1) 調査期間及び対象者 調査期間 : 平成 22 年 10 月 22 日 ~ 平成 23 年 3 月 31 日 対象者 :228 名 ( 女性 183 名 男性 45 名 ) (20 代女性 157 名 20 代男性 33 名 ) (2) 結果及び考察 携帯食事手帳を利用した人の栄養素摂取状況を表 1 図 1 に示した 結果は 20 歳代の男女 (190 名 ) のみについてまとめた 栄養素摂取量の目安とする食事摂取基準と比較すると ( 表 1) 女性の摂取量ではエネルギー たんぱく質はほぼ適正量摂取できていたと推測できる しかし カルシウム 鉄 ビタミン 食物繊維等は不足の可能性が高い また 脂質エネルギー比が高く 脂質の摂取量が多いと推測される 男性では調査人数が少ないため 充分な評価が出来かねるが エネルギーをはじめとして多くの栄養素の摂取量が少ないと推測される また 同年代の他の調査である平成 21 年国民健康栄養調査と比較すると ( 表 1) 摂取量の平均値は国民健康栄養調査を下回っていた 特に男性にその傾向が強い 栄養素摂取量の違いは 調査方法が異なることも要因のひとつと考えられるが 女子ではビタミンDとビタミン B1 男子ではビタミンDが国民健康栄養調査では充分な量が摂取できていたが その他の栄養素については不足している可能性が高いと考えられた 傾向としては本調査と栄養素摂取量はよく似ており 20 歳代の栄養素摂取の特徴と考えられる 14

15

図 1 携帯食事手帳エネルギー摂取量の分布図 さらに 本調査のエネルギー摂取量の分布を見ると ( 図 1) 適正量は女子では 1600 ~1800kcal 男子では 2000~2400kcal と考えられる この範囲で摂取できていは女子で 35% 男子で 15% であり エネルギー摂取量については不足している者が女子で 40% 男子では 67% であった また 過剰と考えられる者は女子で 26% 男子で 18% 未満と考えられた 平均値ではほぼ適正な範囲のエネルギー摂取量と思われたが 男女ともエネルギー摂取量が不足の者が多く その他の必要な栄養素が充分摂取できていないことが考えられた エネルギー摂取量のバランスを PFC 比率から見てみると 脂肪エネルギー比は上限であり 炭水化物摂取量は下限の範囲であった よって 脂質量を減らし 炭水化物を多く摂取することによりエネルギー摂取バランスはよくなると考えられた また ビタミンやミネラル 食物繊維は必要量の 50~80% 程度しか摂取できていない これらの結果から 油脂類や脂身つき肉類など脂肪の多い食品を控えて, 穀類など主食となる食品をしっかり摂取することが望まれる さらに 野菜や果物 乳製品の摂取を心がけるように指導が必要と考えられた 16

6. 今後の展望 平均値で見るとほぼ適正な食事をしていると見られる青年期の食生活であるが 個々においてはエネルギーの過剰もしくは不足による摂取栄養素のアンバランスがみられ 特にビタミンやミネラル 食物繊維など身体の調子を調える栄養素の不足が明らかとなり 食事に問題を抱えている者は多いことがわかった 本調査と同年代である 20 歳代の栄養素摂取量を他の調査と比較した結果 よく似た傾向を示しており 青年期の食生活改善の必要性は本調査に限るものではない この結果を踏まえて 如何に個人を対象として 青年早期から食生活への興味を持たせ 食事を改善する行動変容を起こさせるかが課題である 青年期においては自らの食事に関心を持ち 栄養や健康について考える者は少ないと考えられる そこで 食生活改善への興味を引き出す事が重要であり そのひとつの方法として青年期ではほぼ全員が持っている携帯電話を活用したシステムは有効な手段ではないかと考えられた ただし 携帯電話会社のシステムの違いにより対応できない携帯電話があり 携帯食事手帳システムのプログラム修正や対応機種に苦慮し 当初予定していた他大学の学生へのシステム提供が行えず 利用は学内の学生に限られた 今後このシステム対応も課題の一つとなる また アンケート結果よりシステムについては料理の種類や数 料理選択の方法など改良点が浮き彫りにされたが いつでもどこでも利用できるという利便性を生かして 普及に努めたいと考えている 17