小児期のアレルギー疾患

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は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

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2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

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こどもの喘息の特徴

本日の話 こどもの喘息の見分け方 こどもの喘息の治療 こどもの喘息の予後 こどもの喘息の最近の話題

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昼間の外来受診 昨日の夕方から咳をするようになって ゼーゼーしていました 昼間になったら症状が無くなりました 今は咳も出ないよ

乳児期 幼児期のゼーゼー 症状があるのは何ヵ月ころから? 喘鳴は 息を吸う時? 息を吐く時? 両方か? 喘鳴は ゼロゼロ? ヒューヒュー? 喘鳴がおきやすいのは 昼? 夜? 哺乳後? 熱はある? アトピー性皮膚炎や食物アレルギーはあるか? 家族にアレルギーの人はいるか?

乳幼児期に喘鳴をくり返す疾患 生まれながらの形態の異常 循環器の異常 ( 先天性心疾患 大血管奇形 ) 喉頭軟化症 気管 気管支軟化症 繊毛運動機能異常 感染症 副鼻腔気管支症候群 IgG2 欠乏症などの免疫不全 胃食道逆流 気道異物

気管支喘息 潜在的要因 気道の慢性炎症 気道の過敏性の亢進 増悪因子の獲得 喘息発作 喘鳴 咳嗽 呼吸困難

気管支喘息診断 (2 歳未満の喘息 ) 広義の乳児喘息の診断の目安 明らかな呼気性喘鳴を 3 エピソード以上繰り返す. 喘鳴のエピソード間に無症状の期間が 1 週間異常ある. β 刺激薬 ( ホクナリンテープ 吸入 内服 ) による症状の改善 気道感染の有無は問わない. ον: 両親 患児のアレルギーの既往 患児にハウスダストなどの特異的 IgEが存在する. 気道感染が無い時に喘息発作を起こしたことがある.

小児の喘鳴性疾患の亜型 一過性初期喘鳴群 アトピー型喘鳴 / 喘息群 頻度 広義の喘息 非アトピー型喘鳴群 0 3 6 12 年齢 ( 歳 )

アレルギーの免疫応答 アレルギー 本来人間の体にとって有益である免疫反応が 逆に体にとって好ましくない反応を引き起こす アレルギー疾患 免疫反応の中でも主に IgE が引き金となって誘発される疾患群 (I 型アレルギー )

ウイルスなどの感染症の関与 RS ウイルス 乳幼児期に感染することが多く 細気管支炎 ( 呼吸困難が強く 多量の痰と咳嗽 呼吸困難をきたす ) の原因となる 鼻で検査が可能 RS ウイルス感染による細気管支炎は気道過敏性を認める 風邪を引くと 喘息発作を認めるようになる

RS ウイルスにより喘鳴をくり返すようになる危険性 年 3 回未満の喘鳴を起こす危険性 年 4 回以上の喘鳴を起こす危険性 年齢 ( 歳 ) Stein, The Lancet, Volume 354, Issue 9178, 1999, 541-545 2 歳までに RS ウイルスの細気管支炎にかかると 10 歳頃まで喘鳴をくり返す危険性が増加する

非アトピー型喘鳴の発作は アレルゲンではおこらない 非アトピー型 アトピー型 運動感染花粉ペットホコリストレス Kurukulaaratchy R J et al. Thorax 2004;59:563-568

乳幼児の喘息 乳児幼児喘息には アトピー型喘息と非アトピー型喘鳴が含まれている. 6 歳未満で喘鳴の既往のある人の 60% は6 歳の時点で喘鳴が消失. 小児 ( 特に乳幼児 ) の喘息は大人に比べて改善しやすい また 近年 ガイドラインが用いられるようになり 重症な喘息患者が減っているのは明らかであり 現在はこれらの数値はより改善している.

薬物療法の基本 小児気管支喘息治療 管理ガイドライン 2012 喘息発作の予防 ( 長期管理 ) 喘息発作時の対応

アレルギーはどうしておこるのか 臓器過敏性 ( 気道過敏性 ) 原因物質との接触 主として薬により対応 悪化因子 生活環境を整える アレルギー疾患発症 アレルギーの体質

重症度の判定 重症度 症状程度ならびに頻度 間欠型 年に数回 季節性に咳嗽 軽度喘鳴が出現する. 時に呼吸困難を伴うことがあるが b2 刺激薬の頓用で短期間で症状は改善し持続しない. 軽症持続型 咳嗽 軽度喘鳴が 1 回 / 月以上 1 回 / 週未満. 時に呼吸困難を伴うが 持続は短く 日常生活が障害されることはない. 中等症持続型 咳嗽 軽度喘鳴が 1 回 / 週以上. 毎日は持続しない. 時に中 大発作となり日常生活が障害されることがある. 重症持続型 咳嗽 喘鳴が毎日持続する. 週に 1 2 回 中 大発作となり日常生活や睡眠が障害される. 最重症持続型 重症持続型に相当する治療を行っていても症状が持続する. しばしば夜間の中 大発作で時間外受診し 入退院を繰り返し 日常生活が制限される.

現在の治療ステップを考慮した気管支喘息の重症度判断 症状のみによる見かけの重症度 現在の治療ステップを考慮した重症度 ステップ 1 ステップ 2 ステップ 3 ステップ 4 間欠型間欠型軽症持続型中等症持続型重症持続型 軽症持続型軽症持続型中等症持続型重症持続型重症持続型 中等症持続型中等症持続型重症持続型重症持続型最重症持続型 重症持続型中等症持続型重症持続型重症持続型最重症持続型

薬物プラン 2 歳未満 ステップ 1 ステップ 2 ステップ 3 ステップ 4 基本治療なし LTRA 追加治療 ロイコトリエン拮抗薬 (LTRA) インタール吸入 and/or インタール吸入 吸入ステロイド 吸入ステロイド LTRA β2 刺激薬 (LABA) 吸入ステロイド 以下の1つまたは両者の併用 LTRA インタール吸入 LABA テオドール 間欠型軽症持続型中等症持続型重症持続型

薬物プラン 2 5 歳 基本治療発作の強度に応じた薬物療法 追加治療 ロイコトリエン拮抗薬 (LTRA) インタール吸入 ステップ 1 ステップ 2 ステップ 3 ステップ 4 LTBA and/or インタール吸入 あるいは 吸入ステロイド 吸入ステロイド 吸入ステロイド以下の併用も可 LTBA インタール吸入 LABA テオドール 以下の 1 つまたは複数の併用 LTRA インタール吸入 長時間作用性 β2 刺激薬 (LABA) テオドール 吸入ステロイドの増量あるいは高用量 SFC 経口ステロイド薬 間欠型軽症持続型中等症持続型重症持続型

薬物プラン 6 15 歳 ステップ 1 ステップ 2 ステップ 3 ステップ 4 基本治療発作の強度に応じた薬物療法 吸入ステロイドあるいは LTRA and/or インタール吸入 吸入ステロイド 吸入ステロイド以下の併用も可 LTRA インタール吸入 LABA テオドール SFC 追加治療 ロイコトリエン拮抗薬 (LTRA) インタール吸入 テオドール 以下の 1 つまたは複数の併用 LTRA インタール吸入 長時間作用性 β2 刺激薬 (LABA) テオドール SFC 吸入ステロイド薬の更なる増量 高用量 SFC 経口ステロイド薬 間欠型軽症持続型中等症持続型重症持続型

軽症はロイコトリエン拮抗薬 2 種類 オノン ( ドライシロップ カプセル ) シングレア キプレス ( 細粒 チュアブル錠 錠剤 ) 作用 抗炎症作用 気道過敏性の抑制作用 副作用が少ない 欠点 効果が出るまでに時間がかかる 吸入ステロイドよりは効果が弱い 発作の治療薬では無い 薬価が高い

LTRA は非アトピー型にも効果がある オノン無し 喘鳴の頻度 オノンあり

基本はステロイド吸入 強力な抗炎症作用を持つ. 口腔の感染を伴うことがあり 吸入後はしっかりうがいをさせる. うがいができない子は食事前に! 4 種の薬剤を使い分ける. パルミコート : ネブライザー可. 低年齢から可能. 噴霧式もあり. キュバール オルベスコ : 噴霧式. スペーサーを用いる. フルタイド : 噴霧式およびドライパウダー. ドライパウダーはスペーサーが必要ない.

ガイドライン推奨スペーサー エアロチャンバー ( アムコ ) オプティヘラー ( チェスト ポリテックス )

Fitted Rate Ratio for Death from Asthma as a Function of the Number of Canisters of Inhaled Corticosteroids Used during the Year before the Index Date. 吸入ステロイドは小児喘息の発作による入院や死亡率を改善させる 喘息発作による死亡率 (%) 吸入ステロイドの 1 年間の使用量 Suissa S et al. N Engl J Med 2000;343:332-336.

吸入ステロイドを中止すると喘息の症状は再燃する 吸入ステロイドをやめると発作が増える 喘息発作の無い日の率 吸入ステロイド使用中断 Guilbert TW et al. N Engl J Med 2006;354:1985-1997. 月

ステロイド吸入の副作用 : 成長抑制 身長差 (cm) 成人した時点で身長が 1.2cm 低くなる 年齢 ( 歳 ) Kelly HW, New Engl J Med. 2012; 367 (10): 904-912

ステロイドは成長ホルモンの分泌を抑制する 母子健康協会ホームページより http://www.glico.co.jp/boshi/futaba/no68/con03_04.htm

ステロイド吸入の副作用の年齢や体重による違い 15kg 以上 ステロイドを吸入した人としていない人の身長の差 15kg 未満 3 歳 2 歳 低年齢または体重が少ない時にステロイド吸入を開始するとより身長が伸びにくい Gilbert TW, J Allergy Clin Immunol 2011; 128: 956-963

治療開始後の喘息状態の評価をしっかり行ない不必要な治療はさける 夜間の睡眠を含め 活動性の制限がない. β2 刺激薬の必要性がない. 気道過敏性の改善 ( 運動 寒冷曝露等での発作誘発がない ). 他 治療は 3 ヵ月安定期間を目安に薬剤を減量していく. すべての薬剤を中止する段階では より長期の観察が必要. ステロイド吸入を最後まで残す. ステップ2 数ヶ月から1 年 ステップ3 6 月から1 年 ステップ4 年単位 乳児幼児期の非アトピー型喘鳴については

軽症では吸入ステロイドを発作時だけ使用しても効果は良好 吸入ステロイド連日使用 発作時だけ吸入ステロイド使用 吸入ステロイド使用無し Martinez FD, Lancet. 2011; 377(9766):650-657

ステロイド吸入の仕方による 身長の伸びの違い 1 年間で 1.1cm の違い ステロイドの吸入をしていない人 発作の時だけステロイドの吸入をしている人 ステロイドの吸入を毎日している人 Martinez FD, Lancet. 2011; 377(9766):650-657 発作の時だけの吸入ステロイドであれば低身長を予防できた

日本小児アレルギー学会よりの注意喚起本年 2 月 25 日

気管支喘息の増悪因子 吸入アレルゲン ダニ ハウスダスト ペットの毛 カビ 花粉 アレルゲン以外 激しいスポーツ 季節の変わり目 天候不順 温度変化 強い臭いや煙 ( タバコの受動喫煙 ) ストレス 過労 感染症 肥満

気管支喘息と運動 水泳は発作を起こしにくく 長距離走や 脈拍数がかなり増加する縄跳び マット運動は起こしやすい 運動誘発喘息は 運動の前に準備体操 吸入や内服等を行うことで運動が可能となることがある

親のタバコは明らかな悪

肥満児は喘息が治りにくいという報告もあります 肥満は喘息のリスクを上げる 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 喘息の有症率 (%) やせ 標準体重 肥満 やせ 標準体重 肥満 やせ 標準体重 肥満 6 7 歳 13 14 歳 16 17 歳 日本の肥満と小児気管支喘息 Okabe, Pediatric Int, 2011; 53: 192-198

環境の整備 アレルゲン ( 吸入抗原 ) をできるだけ避ける ペットは 管理指導表で接触を避けるように指導された場合はその動物のみ避ける 清掃時は必要に応じてマスクの着用 呼吸器感染症 :RS ウイルス マイコプラズマ 空気汚染 運動 タバコは特に要注意 チョークの粉 キャンプファイヤー 飯ごう炊爨 花火の煙 マット運動 発作の無いときは積極的に. 気象 : 季節の変わり目は注意 心理的ストレスの除去

思春期 青年期の喘息 難治化しやすい成人喘息へ移行 心理的 社会的問題 服薬回数の低下 ( アドヒアランスの低下 ) 気管支拡張薬への依存 受診が不定期に 成長による病態の変化 非発作時でも気道狭窄が回復しなくなる ( リモデリング ) 非発作時でも気道過敏性が回復しなくなる 病気の理解と治療の習慣付けが重要

喘息日記をつけよう 環境再生保全機構 https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/index.html

ピークフローメーターの活用 ( 小学生以上 ) 気道閉塞の程度変化を客観的に評価できる. ピークフロー日誌に値を記入する. 少なくとも 起床時 夜の1 日 2 回測定する. ミニライト ( 松吉医科器械 ) アズマプラン ( 宝通商 ) エアゾーントルーゾーンパーソナルベストアズマチェックアズマメーターアセス ( ポリテックスチェスト )

日常コントロールの目標 β 刺激薬の頓用が減少 または必要ない. 昼夜を通じて症状がない. 学校を欠席しない. スポーツを含め日常生活を普通に行うことができる. 肺機能がほぼ正常 気道過敏性の改善.

急性期の対応

発作時の対応 4 段階で判定する 小発作 : 呼気性喘鳴はあるが 呼吸苦はない状態 ( 呼吸数増加有り ). 在宅で対応. 中発作 : 軽度から中等度の呼吸困難 ( 努力呼吸 ). 医療機関の受診を考慮. 大発作 : 高度の呼吸困難. 救急搬送. 呼吸不全 : 最重度の呼吸障害有り. 生命の危機有り.119 番. 一次救命処置の準備. 睡眠 食事がほぼ普通にできていれば 在宅で経過を見ることは可能.

強い喘息発作のサイン 幼児期後期 学童 唇や爪の色が白っぽい 青 紫 咳嗽が激しい 乳児 幼児前期 息を吸うときに小鼻が開く喘鳴が著明 ( 時に減弱 ) 息を吸うときに 胸がぺこぺこ凹む脈がとても速い話すのが苦しい歩けない横になれない 眠れないボーとしている 胸の骨の間が凹む頻呼吸シーソー呼吸呻吟機嫌が悪くなく叫ぶ抱かれている時の方が楽 過度に興奮する 暴れる 医療機関受診が必須

発作強度の判定基準

小発作の対応 安静 理学療法 ( 腹式呼吸 排痰 ) β2 刺激薬内服 ( メプチン ベネトリンなど ) 内服後 30 分から 1 時間くらいで効果発現 他の財形との併用に注意 ( 貼付薬 ) β2 刺激薬吸入 ( メプチン ベネトリン ) 1 日 2 回まで ( 過剰使用は喘息死の原因に ) 医療機関受診を考慮 ホクナリンテープ貼付薬は 速効性がありません.

発作の対応外来 1. 発作強度の判定 2. β2 刺激薬反復吸入 15 30 分間隔で3 回まで反復可 SpO2 < 95% なら酸素吸入併用 3. ステロイド点滴静注 ここまでで改善がなければ入院 4. アミノフィリン点滴静注 痙攣の既往のある児には使用しない.

新しい治療 : ゾレア アトピー型喘息の病態に関与している IgE を中和する抗体. 昨年 8 月に小児で使用可能になった. 発作が毎日出るような重症のアトピー型喘息に 月 1 2 回皮下注射する.( ステロイドの内服をしなければコントロールできないような患者様に使用 )

アレルギーマーチ アトピー性皮膚炎 食物アレルギー 14 12 喘息 アレルギー性鼻炎 有病率 (%) 10 8 6 4 2 0 0 1 3 4 5 6 年齢 ( 歳 )

アレルギーは体質? アレルギーとは ばい菌等の異物から体を守る反応 ( 免疫反応 ) のバランスがうまくいかない状態 病気と体質の両方の側面があり 治療として 生活環境 生活習慣の改善 体調の管理 ストレスの除去 薬の微妙な調節 ( 現在のところ対症療法が基本 )

食物アレルギーの早期治療により アレルギーマーチを止められるのか? 早期除去開始群 (n=41) 後期除去開始群 (n=28) 喘鳴発症率 (%) ダニ RAST 陽性化率 (%) 血清 IgE (IU/ml) (mean ± SD) 2.4 24.4 115.4 ± 168.2 21.4 75.0 1363.5 ± 3210.8 対症療法群 (n=36) 50.0 97.2 2143.0 ± 伊藤節子, 小児科臨床 4693.0, 1998 まだ 一定の見解は無い.( 食物アレルギー診療ガイドライン 2012)

まとめ 乳児の喘鳴は診断が難しいく アトピー型と非アトピー型の鑑別が問題となります. ステロイド吸入はアトピー型喘息治療の根幹です. 診断と症状に応じて適切に使用しましょう. 喘息発作の予防には 環境の整備も大切です. 日々の自分の状態を理解するため 喘息日記をつけましょう. 思春期喘息では 特に薬の適切な使用が重要となります. 発作時は症状に応じて 救急病院を受診してください.