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緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

Clostridium difficile 毒素遺伝子検査を踏まえた検査アルゴリズム

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耐性菌届出基準

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2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

5 がん化学療法に附随する消化器症状への対応 下痢, 便秘および 重篤な消化管症状への対応 後藤歩, 小栗千里, 光永幸代, 市川靖史 小林規俊, 前田愼, 遠藤格

減量・コース投与期間短縮の基準

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

スライド 1

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを


褥瘡発生率 JA 北海道厚生連帯広厚生病院 < 項目解説 > 褥瘡 ( 床ずれ ) は患者さまのQOL( 生活の質 ) を低下させ 結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります そのため 褥瘡予防対策は患者さんに提供されるべき医療の重要な項目の1 つとなっています 褥瘡の治療はしばしば困難

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別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

どく拡張する ( 中毒性巨大結腸症 ) こともあります. このような場合には緊急に手術が必要です. また 大腸癌になった場合にも手術が必要になります. 内科的治療が効きにくい難治例や重症例の場合にも 内科的治療のバランスの点から手術を選択することがあります. 手術の方法は 大腸全摘ですが 肛門を残す

染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

されており これらの保菌者がリザーバーとして感染サイクルに関与している可能性も 考えられています 臨床像ニューモシスチス肺炎の 3 主徴は 発熱 乾性咳嗽 呼吸困難です その他のまれな症状として 胸痛や血痰なども知られています 身体理学所見には乏しく 呼吸音は通常正常です HIV 感染者に合併したニ


針刺し切創発生時の対応

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通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ

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2015 年 9 月 30 日放送 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) はなぜ問題なのか 長崎大学大学院感染免疫学臨床感染症学分野教授泉川公一 CRE とはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 以下 CRE 感染症は 広域抗菌薬であるカルバペネム系薬に耐性を示す大腸菌や肺炎桿菌などの いわゆる

インフルエンザ(成人)


2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ

目 次 1. はじめに 1 2. 組成および性状 2 3. 効能 効果 2 4. 特徴 2 5. 使用方法 2 6. 即時効果 持続効果および累積効果 3 7. 抗菌スペクトル 5 サラヤ株式会社スクラビイン S4% 液製品情報 2/ PDF

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

したことによると考えられています 4. ピロリ菌の検査法ピロリ菌の検査法にはいくつかの種類があり 内視鏡を使うものとそうでないものに大きく分けられます 前者は 内視鏡を使って胃の組織を採取し それを材料にしてピロリ菌の有無を調べます 胃粘膜組織を顕微鏡で見てピロリ菌を探す方法 ( 鏡検法 ) 先に述

e. 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 B. 感染性下痢 : 胃腸炎 1. ウイルス性 ( 最多 ) a. ノロウイルス b. ロタウイルス 2. 細菌性 ( 一般に食品由来 ) a. コレラ b. Escherichia coli 大腸菌 c. Shigella 赤痢菌属 d. Salmonell

094.原発性硬化性胆管炎[診断基準]

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

(病院・有床診療所用) 院内感染対策指針(案)

技術論文 C. DIFF QUIK CHEK COMPLETE にてクロストリ ジウム ディフィシル抗原 グルタミン酸デヒドロゲ ナーゼ GDH 陽性 トキシン陰性を示した検体に おける BD マックス CDIFF を用いた遺伝子検査の有 用性 松浦 成美 1) 山田 明輝 1) 佐伯 裕二 1)

37, 9-14, 2017 : cefcapene piperacillin 3 CT Clostridium difficile CD vancomycin CD 7 Clostridium difficile CD CD associate

1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

2009年8月17日

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2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

クロストリジウム腸炎の診断と治療

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2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

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「             」  説明および同意書

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モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

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免疫学的検査 >> 5F. ウイルス感染症検査 >> 5F560. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 検体ラベル ( 単項目オーダー時

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

スライド 1

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

Transcription:

講演スライドは, http://www.naramed u.ac.jp/cid/cd.pdf からダウンロード可能です. (2012 年 7 月 15 日まで ) Clostridium difficile の全て 奈良県立医科大学感染症センター笠原敬 まずは C. difficile のことを知ってください Clostridium difficile Clostridium 属 土壌や生物の腸内などの酸素濃度が低い環境に生息する偏性嫌気性菌 酸素存在下では増殖できない 芽胞を形成する Clostridium 属 C. tetani: 破傷風 C. botulinum: 食中毒 C. perfringens: 食中毒, 敗血症, ガス壊疽 C. difficile 1

Clostridium difficile 芽胞を形成する偏性嫌気性のグラム陽性桿菌 difficile = difficult 難しい 培養が難しいことからこの名前がついた. なぜ培養が難しいのか? 偏性嫌気性菌だから. 通性嫌気性菌 : ブドウ球菌, 大腸菌, 連鎖球菌など 偏性嫌気性菌 : バクテロイデス, クロストリジウムなど 微好気性菌 : カンピロバクターなど 偏性好気性菌 : 緑膿菌, 結核菌, 百日咳菌など Clostridium difficile 芽胞を形成する偏性嫌気性のグラム陽性桿菌 芽胞 菌の周囲の環境が成育に不利になったときに形成される耐久器官 休止状態では増殖などの生物活性がほとんどみられなくなる Clostridium 属のほかに,Bacillus 属も形成する 極めて高温に強く,100 の煮沸でも完全に不活化はできない. 数年から10 数年にわたって生存する 生き残った芽胞が, 再びその細菌の増殖に適した環境に置かれると, 芽胞は発芽して, 通常の増殖 代謝能を有する菌体が作られる. 2

Ultrastructure of C. difficile 630 spores. Permpoonpattana P et al. J. Bacteriol. 2011;193:6461-6470 芽胞染色 緑色のものが芽胞 赤色のものが菌体 Clostridium difficile 芽胞を形成する偏性嫌気性のグラム陽性桿菌 3

もっと C. difficile とお近づきになってください C. difficile の歴史 抗菌薬を投与すると, 患者が下痢をする. 1978 年に,Clostridium difficileが原因であることが判明. 当初は, ほとんどがクリンダマイシン ( ダラシン ) 投与例であった. 1989 年 ~1992 年には J strain と呼ばれるクリンダマイシン耐性のC. difficileによる大きなアウトブレイクがあった. C. difficile の歴史 2003 年 ~2006 年には, より高頻度な より重症な より治療抵抗性な より再発しやすい C. difficile 感染症が見られるようになった. この株は NAP1/BI/027 と呼ばれている. 制限酵素処理解析 :BI 型 パルスフィールド電気泳動 :North America PFGE 1 型 PCR リボタイピング :027 型 キノロン系薬の使用と関連があるとされている. 日本では今のところ 稀 4

NAP1/BI/027 C. difficile Toxinotype III に分類される tcdcの欠損 トキシンAの産生性が16 倍 トキシンBの産生性が23 倍 バイナリートキシン産生 キノロン系薬に耐性 日本では稀? 増加する CD 感染症 5

CDI の臨床症状 発症機序 抗菌療法 腸内細菌叢の変化 C. difficile の獲得と定着 Toxin A (enterotoxin) と toxin B (cytotoxin) の放出 腸粘膜の損傷と炎症 CDI の臨床症状 タイプ下痢その他の症状身体所見内視鏡所見 無症候性キャリアなしなし異常なし異常なし 腸炎を伴う CD 関連下痢症 複数の軟便便中白血球 + 便潜血 + 血便は稀 嘔気, 食欲不振, 腹部膨満, 腹痛発熱, 脱水, 白血球増多 腸炎 偽膜性腸炎 より重症の下痢便中白血球 + 便潜血 + 血便は稀 上記の症状がより重篤 上記身体所見がより重篤 偽膜性腸炎 劇症型腸炎 より重症の下痢または麻痺性イレウスにより排便消失外科的処置を考慮 発熱, 頻脈, 腸管拡張 急性腹症様症状 内視鏡検査は禁忌 ( 穿孔のリスクあり ) 6

無症候性キャリア 入院患者の約 20% は無症候性キャリア ( 保菌者 ) 長期療養施設では無症候性キャリアが50% にのぼるという報告もある 院内での感染伝播のソースになることがある CDI の臨床症状 タイプ下痢その他の症状身体所見内視鏡所見 無症候性キャリアなしなし異常なし異常なし 腸炎を伴う CD 関連下痢症 複数の軟便便中白血球 + 便潜血 + 血便は稀 嘔気, 食欲不振, 腹部膨満, 腹痛発熱, 脱水, 白血球増多 腸炎 偽膜性腸炎 より重症の下痢便中白血球 + 便潜血 + 血便は稀 上記の症状がより重篤 上記身体所見がより重篤 偽膜性腸炎 劇症型腸炎 より重症の下痢または麻痺性イレウスにより排便消失外科的処置を考慮 発熱, 頻脈, 腸管拡張 急性腹症様症状 内視鏡検査は禁忌 ( 穿孔のリスクあり ) 腸炎を伴う CD 関連下痢症 典型的には1 日 10~15 回の水様性下痢, 腹痛, 発熱, 白血球増多 38.5 以上の発熱は 重症 のCD 関連下痢症を示唆する 抗菌薬の投与中または終了後 5~10 日経過してから発症する 通常白血球数は15,000 以上となる 7

よく分からない白血球増多は C. difficile を考えろ, という報告もある 原因不明の白血球数上昇 (15,000 以上 ) がみられた60 名の入院患者のうち,58% でCD toxinが陽性であった ( 白血球上昇がみられなかった患者では12%) 原因不明の白血球上昇がCD 感染であった場合,1~2 日以内に下痢が始まることが多い CDI の臨床症状 タイプ下痢その他の症状身体所見内視鏡所見 無症候性キャリアなしなし異常なし異常なし 腸炎を伴う CD 関連下痢症 複数の軟便便中白血球 + 便潜血 + 血便は稀 嘔気, 食欲不振, 腹部膨満, 腹痛発熱, 脱水, 白血球増多 腸炎 偽膜性腸炎 より重症の下痢便中白血球 + 便潜血 + 血便は稀 上記の症状がより重篤 上記身体所見がより重篤 偽膜性腸炎 劇症型腸炎 より重症の下痢または麻痺性イレウスにより排便消失外科的処置を考慮 発熱, 頻脈, 腸管拡張 急性腹症様症状 内視鏡検査は禁忌 ( 穿孔のリスクあり ) 偽膜性腸炎 8

劇症型腸炎 強い腹痛, 下痢, 腹部膨満, 発熱, 脱水, 乳酸アシドーシス, 著明な白血球増多 (40,000/µl 以上 ) 進行すると, 腸管運動が麻痺し, 麻痺性イレウスや中毒性巨大結腸症などを呈する 腸管内圧がさらに上昇すると腸管穿孔 腹膜炎 ショックへ こうなると下部消化管内視鏡検査は禁忌! 中毒性巨大結腸 7cm CDI では便秘は下痢よりヤバイ. 9

CDI の診断 CDI の検査 みなさん, どうやってらっしゃいますか? みなさんの施設では, 何の検査をされてますか? 培養検査? CDチェック? CDトキシン? 検査キットの名前と特性, ご存じですか? CDI の検査 まずは臨床症状 経過が大事 無症状の患者は検査しない つづいて検査 その患者は, トキシン産生性の C. difficile を保有するか? 完璧な ( 感度, 特異度の高い ) 検査をするには 1 便培養検査で C. difficile をみつける 2 生えてきた C. difficile の菌そのものを用いてトキシン産生性かどうかの検査を行う 10

CDI の培養検査 CDI の培養検査 CDI の検査 検体 : 普通は便を用いる 何を検出するのか? 菌の抗原? トキシン?A?B? 両方? 11

CDI の検査 便の中に C. difficile がいるか? 最も感度が高いのは便の培養検査 多くのキットは,GDH (glutamate dehydrogenase) と呼ばれる C. difficile の抗原を調べている 感度は培養検査と比べると落ちる その C. difficile はトキシンを産生するか? 多くのキットは, 便中の トキシンを調べる 便中トキシンが陰性でも, 培養で生えた C. difficile の菌そのものを用いて検査すると陽性のことがある 微生物検査 C. DIFF QUIK CHEK コンプリート 抗原陰性, トキシン陰性 抗原陽性, トキシン陰性 12

C. DIFF QUIK CHEK コンプリート 結果 抗原 陰性 陽性 陽性 陰性 トキシン 陰性 陽性 陰性 陽性 判断 限りなく CDI の可能性は低い 限りなく CDI の可能性は高い 治療が必要 感染対策も必要 トキシン非産生株 トキシンの偽陰性 臨床症状を総合して感染対策 治療を判断 トキシンの偽陽性 菌が死んでしまった 臨床症状を総合して感染対策 治療を判断 思い出してください 検体は 便 である. その 便 に, 検出できるだけのトキシンがなかった. 便を培養して得られた 菌株 を直接調べると, トキシン陽性になることがある. CDI の診断 培養で得られたC. difficileの菌株を直接用いてトキシン産生を確認した症例 便を用いてトキシン産生を確認すると, 約 50~60% の症例しか陽性にならない 感度 に問題あり 2011 日本臨床微生物学雑誌 澤辺悦子, Clostridium difficile 感染症の迅速診断における糞便中 C. difficile 抗原およびトキシン A/B 同時検出キット :C. DIFF QUIK CHEK COMPLETE の有用性に関する検討 CDI の診断 1 トキシン陽性 基本的に治療や感染対策が必要 2 トキシン陰性, 菌抗原または培養陽性 トキシンは偽陰性かもしれない 培養で生えた菌株を直接調べるとトキシン + のことがある 臨床症状と総合的に判断が必要 3 トキシン陰性, 菌抗原または培養陰性 基本的に CDI は否定して良い 13

CDI の治療 CDI の治療 1. まずは, 現在使用している抗菌薬の中止が可能かどうか検討する. 2. 第一選択薬はメトロニダゾール 3. 第二選択薬は経口バンコマイシン散剤 CDI の治療 初回 第一選択 :MTZ 1 回 500mg 1 日 3 回または 1 回 250mg 1 日 4 回 10~14 日間 第二選択 ( または重症患者 ):VCM 散剤 1 回 125mg 1 日 4 回 10~14 日間 より重症の場合,VCM 散剤を1 回 500mgに増量 さらに重症の場合,VCM 散剤に静注用のMTZを併用する 腸閉塞の場合,VCMの経腸的投与を考慮再発 初回と同様のレジメで再治療再々発 VCM 散剤 1 回 125mg 1 日 4 回 7~14 日間,1 回 125mg 1 日 2 回 7 日間,1 回 125mg 1 日 1 回 7 日間,1 回 125mg 1 日おき 7 日間,VCM 散剤 1 回 125mg 3 日おき 14 日間さらに再発 第一選択 :VCM 1 回 125mg 1 日 4 回,14 日間, ついで rifaximin 1 回 400mg 1 日 2 回 14 日間 第二選択 :fidaxomicin 1 回 200mg 1 日 2 回 10 日間 14

薬価 塩酸バンコマイシン散 500mg 塩野義 3015 円,1 日 4 バイアルで 12,000 円くらい 小林化工 1701 円 マイラン 1526 円 フラジール 250mg 塩野義 36 円,1 日 1500mg 使うと 220 円くらい 富士製薬 19 円 VCM:500mgX4 vs 125mgX4 15

VCM 血中濃度への影響 メトロニダゾールは, 腸管から吸収され, 病変部位に分泌されることにより有効性を発揮する 静注用のメトロニダゾールも有効 バンコマイシンは 障害部位 に到達しないとダメ 静注用のバンコマイシンは無効 障害の強い腸粘膜からは, 経口バンコマイシンは吸収されることもある. バンコマイシン血中濃度に影響を与えることがある 注腸療法 ( 一例 ) 1 回 500mgを100~200mlに溶解し,6 時間おきに投与 止痢薬を投与するという専門家もいる 仰向けでは注腸液は深部に入りませんので 必ず注入時は左側臥位とする 200mlの量では下行結腸までが精一杯 腸の走行によってはS 状結腸までしか入らないかもしれない 体位変換が出来る人なら 左側臥位 腹臥位 左側臥位 仰向け 左側臥位を数回繰り返す これで多くの場合 脾わん曲部まで入る 外科手術の適応 年齢 65 歳以上 白血球数 20,000 以上 乳酸値 2.2~4.9meq/L 腹膜炎, 重症腸閉塞, 中毒性巨大結腸症の所見があるとき 16

毒素吸着剤 免疫グロブリン 糞便注腸療法 プロバイオティクス その他の治療法 糞便療法 ドナーの血液検査 :HAV, HBV, HCV, HIV, 梅毒 ドナーの便検査 : 培養検査および虫卵検査,C. difficile を保菌していないか ドナー : 毎日正常な排便があり,6 か月以内に抗菌薬を投与されておらず,IBD の既往がなく, 日々健康に過ごしていることなどを確認 血縁関係になくてもよい 生活環境を共にしていなくてもよい 200~300g の便を 200~300ml の滅菌生食に溶かし,5 日間連日経腸投与 患者には 6 時間ほど排便を我慢してもらう. ロペラミドなどが有効 経鼻チューブから投与する方法もある Fecal transplant 17

CDI の感染対策 アルコールは芽胞に無効 流水での手指衛生が有効 環境の清掃には 0.1% 次亜塩素酸ナトリウム 標準予防策 + 接触感染予防柵 個室隔離 コホーティング CDI サーベイランスのススメ 入院 退院 48h 4 週間 8 週間 1HO HCFA 2CO HCFA Indeterminate 3CA CDAD 1 Hospital Onset HealthCare Facility Associated 3 Community Associated C. Difficile Associated Diarrhea 2 Community Onset HealthCare Facility Associated 18

小児の CDI 新生児 幼小児の CD 保菌率は高い 新生児の保菌率は 50% 近い, という報告もある 幼児の保菌率は 70% という報告もある 母乳で育った幼児のほうが保菌率は低い しかし, 彼らは CDI を発症しない CD toxin のレセプターを持たない, という説がある 4 歳を過ぎると, 徐々に保菌率は低下する 健常成人の保菌率は 2% 前後 小児の CDI の診断 臨床症状 38.9 以上の発熱 白血球数上昇 血沈高値 ( 40mm) または CRP 高値 ( 4mg/dl) 便中白血球 低アルブミン血症 アシドーシス 重症の下痢 (1 日 3 回以上,5 日以上継続, 血便など ) 腸閉塞による急性腹症 腹部画像所見 ( レントゲン, エコー,CT) 偽膜性腸炎の所見 小児の CDI の診断 危険因子 6 週間以内の抗菌薬使用歴 最近の入院歴, 特に CD 患者がいた病棟 PPI 炎症性腸疾患, ヒルスシュブルング病, 溶血性尿毒症症候群など 免疫不全 腸管の解剖学的異常 ( 手術を含む ) 遠位腸閉塞症候群を伴う嚢胞線維症 新生児ボツリズム症などの motility disorder 19

MRSA 腸炎 MRSA 腸炎 多くの MRSA 腸炎 は, 実は C. difficile 感染症 MRSA が腸炎を起こすという明確なエビデンスはない ただし,MRSA 感染症患者 ( 敗血症, 皮膚 軟部組織感染症, などなど ) で 下痢 をすることはある それでも MRSA が検出される患者で下痢するヒトはいる 20

それでも MRSA が検出される患者で下痢するヒトはいる 院第 7 病 Staphylococcal toxic shock syndrome Toxic shock syndrome toxin-1 (TSST-1) 多彩な臨床症状 圧低下 : 収縮期圧 90mmHg 膚所 : 膚の紅潮 後に 膚剥離 落屑落屑は特に 掌 底にみられる 多臓器の異常筋 痛や筋 低下 ( しばしば CPK の上昇 ) 消化器症状 ( 特に重症の下痢 ) 腎前性腎不全脳症 治療 抗菌薬の有 性すら証明されていない 毒素産 抑制 クリンダマイシン リネゾリド ガンマグロブリン 21

どのくらいの株が TSST-1 を産 するのか 対象 : 東京都に住む健常成 性 209 名 腔および膣のスワブを採取した 209 中 108 から S.aureus が分離 分離された 159 株中,14 株 (9%) が TSST-1 産 209 中 12 (5.7%) が TSST-1 産 S.aureus の定着 2 (1.0%) が膣に TSST-1 産 S.aureus を保菌 TSST-1 抗体保有率は東京 性が 47%, アメリカ 性が 89% Parsonnet J, Goering RV, Hansmann MA, et al. Prevalence of toxic shock syndrome toxin 1 (TSST-1)- producing strains of Staphylococcus aureus and antibody to TSST-1 among healthy Japanese women. J Clin Microbiol 2008;46:2731-8. ご清聴ありがとうございました 22

CDI の診断 1 まずは臨床症状が大事 無症状の患者は検査しない 2 続いて, 微生物検査 C. difficile が存在するか? トキシンが存在するか? 23