2. 改正の趣旨 背景の等控除は 給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく 年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど 高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みとなっている また に係る税制について諸外国は 基本的に 拠出段階 給付段階のいずれかで課

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平成19年度税制改正.xls

はしがき 配偶者控除 と 配偶者特別控除 は 昭和 36 年と昭和 62 年の税制改正で導入された歴史ある制度です ここ数年 配偶者控除の改正について様々な議論が行われてきましたが 平成 29 年度税制改正において 就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から配偶者控除と配偶者特別控除の見直し

平成19年度市民税のしおり

第6回税制調査会 総6-3

申告者と配偶者の合計所得金額の入力フォーム 申告者 ( 給与の支払いを受ける人 ) の事業所得 雑所得 配当所得 不動産所得 その他の所得の収入金額と必要経費を入力して合計所得金額を計算します 申告者の合計所得金額が 900 万円を超えると 配偶者控除または配偶者特別控除の控除額が変動します 申告者

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

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2018年度税制改正で所得税はどう変わるか

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給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

第5回基礎問題小委員会 礎5-4

平成19年度分から

平成 30 年分給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 ( マル扶 ) の手引き 平成 29 年末に記載する際は 平成 30 年 1 月 1 日時点の情報を書きましょう 平成 30 年の年末調整にて再度記入する際は 平成 30 年 12 月 31 日時点の情報に書き換えます X A 9/19

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

資料5 表紙

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

MR通信H22年1月号

所得控除 雑損控除 医療費控除 社会保険料控除等 旧生命保険料控除 旧個人年金保険料控除 ( 実質損失額 - 総所得金額等の合計額 10%) 又は ( 災害関連支出の金額 -5 万円 ) のうち いずれか多い方の金額医療費の実質負担額 -(10 万円と総所得金額等の 5% のいずれか低い金額 ) 限

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

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Ⅰ 年の中途で行う年末調整の対象となる人 年末調整は 原則として給与の支払者に 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 ( 以下 扶養控除等申告書 といいます ) を提出している人について その年最後に給与の支払をする時に行うことになっていますので 通常は12 月に行うこととなりますが 次に掲

PowerPoint プレゼンテーション

第2回税制調査会 総2-2

Microsoft Word - 個人住民税について(2018~2022)

給与の所得金額の算出速算表 収入金額 給与所得の金額 0 ~ 650, ,000 ~ 1,618,999 収入金額 -650,000 1,619,000 ~ 1,619, ,000 1,620,000 ~ 1,621, ,000 1,622,000 ~ 1,6

消費税増税等の家計への影響試算(2018年10月版)

平成 28 年度市民税 県民税申告の手引き 申告書を提出しなければならない人平成 28 年 1 月 1 日現在 幸手市内に住所を有する人 (1 月 2 日以降に幸手市に転入した人は従前の住所地で申告を行ってください ) ただし 次に該当する人は この申告をする必要はありません 1 平成 27 年分の

1 給与所得控除額を算出する計算式は給与収入金額によって異なります 今回は給与収入金額 3,600,000 円以上 6,599,999 円以下の場合の式を用いています 2 調整控除額は合計課税所得金額 2,000,000 円超と 2,000,000 円以下で算出方法が異なります 今回は 2,000,

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中小企業の退職金制度への ご提案について

平成 31 年度 ( 平成 30 年分 ) 所得控除 雑損控除 納税義務者又はその者と生計同一の配偶者 その他親族が有する資産について 災害 盗難 横領によ る住宅 家財 現金の損害一定額 控除計算 A B いずれか多い方の金額 A:( 損失額 - 保険金等による補てん額 )-( 総所得金額等の合計

第 9 回社会保障審議会年金部会平成 2 0 年 6 月 1 9 日 資料 1-4 現行制度の仕組み 趣旨 国民年金保険料の免除制度について 現行制度においては 保険料を納付することが経済的に困難な被保険者のために 被保険者からの申請に基づいて 社会保険庁長官が承認したときに保険料の納付義務を免除す

Q1 市県民税 ( 住民税 ) とはどんな税金ですか? A1 その年の1 月 1 日現在 市内に住所がある個人に対し 前年中の所得 ( 給与 年金 営業 不動産 譲渡などの所得 ) に応じて課税されます また その年の1 月 1 日現在市内に住所がなくても 市内に事務所 事業所又は家屋敷があれば課税

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個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

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所得税算出の流れ Q&A 通信の所得税の流れを詳しく教えてください 改めて以下の図版を見てください は収入から引かれる金額です 引かれる金 額の算出の計算方法をこれから解説します 1 支払金額 ( 給料 賞与 ) 2 給与所得控除後の金額 A 給与所得 所得税算出の流れ B 課税所得 D 所得税 E

住民税 所得税の税率国から地方への税源移譲に伴い 平成 19 年度から住民税所得割の税率が 10% に統一され 所得税の税率が 4 段階から 7 段階の累進税率に改正されています 住民税については平成 19 年度分 ( 平成 19 年 6 月納付分 ) 所得税については平成 19 年分 ( 平成 1

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

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1 見直しの視点 個人住民税の諸控除 住民税の所得控除については 控除項目 金額ともに所得税の範囲内としてきたところであり 所得税において成年扶養控除 配偶者控除を見直す場合には 住民税についても同様の検討が必要ではないか 所得税の給与所得控除や退職所得金額の計算方法の見直しは 住民税には原則 自動

このページを印刷する 2017 年 11 月 23 日森信茂樹 : 中央大学法科大学院教授東京財団上席研究員 副業 兼業の時代 所得税控除見直 し で不公平を正せ 来年度税制改正の作業が 与党税調で始まっている 連日のように改正案の 断片が報道されているが 全体像がいまだよくわからない そこで これ

1. 復興基本法 復興の基本方針 B 型肝炎対策の基本方針における考え方 復旧 復興のための財源については 次の世代に負担を先送りすることなく 今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うこととする B 型肝炎対策のための財源については 期間を限って国民全体で広く分かち合うこととする 復旧 復興のため

( その 1) 月収額の計算のしかた 給与所得者の場合 1. 年間総収入の計算あなたが仕事を始めた時期 対 象 の 収 入 金 額 1 現在の勤務先に前年 1 月 1 日以前から引 前年中の年間総収入金額 き続き勤務している方 ( 源泉徴収票の支払金額の欄 ) 2 現在の勤務先に前年 1 月 2 日

第8回税制調査会 総8-2(案とれ)

例題 1 下記の事項につき ア ~ エのうち正しいものを 1 つ 選んでください 所得税および住民税の生命保険料控除 地震保険料控除についてア. 平成 23 年 12 月締結契約で 一般生命保険料の年間正味払込保険料が75,000 円の場合 この契約に係る所得税の生命保険料控除額は 38,750 円

平成16年度

社会保障・税一体改革による家計への影響試算<改訂版>

資料9

スライド 1

1

あなたと生計を一にする配偶者やその他の親族が受け取る公的年金等から引き落とされている国民健康保険 料 後期高齢者医療保険料 介護保険料はあなたの控除の対象とはなりませんので御注意ください 5 生命保険料控除 地震保険料控除 について それぞれ該当する欄に昨年中に支払った金額を記入し 以下の計算方法に

第 3 表所得控除表 ( 続 ) ( その 2) 合計 事業所得者 生 命 保 険 料 控 除 一般 個人年金 介護医療 人員 金額 人員 金額 人員 金額 合 70 万円以下 100 万円 150 万円 200 万円 250 万円 300 万円 400 万円 500 万円 600 万円 700 万

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

市県民税所得課税証明書から年間所得金額を見る場合 平成 年度 ( 平成 年分 ) 市県民税所得課税証明書 住所 羽生市 134 番地 1 氏名 羽生田羽生子 所得の区分 所得金額 所得の区分 所得金額 総所得金額 330,000 所得控除金額 1,500,000 合計所得金額 330,000 課税標

第23回税制調査会 総23-1

「左記以外の所得のある方」からの確定申告書作成編

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参考資料

< 所得控除の詳細 > 1 所得控除額計算一覧表 控除名 控除の詳細 控除額町県民税 控除額 参考 所得税 次の イ と ロ のい 次の イ と ロ のい ずれか多い方の金額 ずれか多い方の金額 災害や盗難等により 本人や本 イ ( 損害金額 - 保険 イ ( 損害金額 - 保険 雑損控除 人と同一

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著作権について 本冊子は著作権法で保護されている著作物であり 本冊子の使用に関しては 以下の点にご注意くださ い 本冊子の著作権は 創企株式会社に属します 創企株式会社の許可なく 本冊子の全部又は一部をいかなる手段においても複製 転載 流用 転売 する事を禁じます 創企株式会社の許可なく 本冊子から

新旧児童手当、子ども手当と税制改正のQ&A

第 7 章 間にその者の居住の用に供したときに 一定の要件の下で そのバリアフリー改修工事等にあてるために借り入れた住宅借入金等の年末残高 (1,000 万円を限度 ) の一定割合を5 年間所得税の額から控除できます なお 52ページの増改築に係る住宅ローン控除制度との選択適用になります 1 控除期

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2018年度税制改正大綱ポイント整理

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妙高市 税に関するWEBページ

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Q1 法人事業税の負担変動の軽減措置とは どのような制度ですか? A. 平成 27 年度税制改正により導入された 外形標準課税の拡大 ( 所得割の税率引き下げ及び付加価値割 資本割の税率引き上げ ) によって生じる税負担の変動の影響を緩和する措置で 付加価値額が一定以下の法人を対象に税負担の増加につ

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各年の住宅ローン控除額の算出 所得税から控除しきれない額は住民税からも控除 当該年分の住宅ローン控除額から当該年分の所得税額 ( 住宅ローン控除の適用がないものとした場合の所得税額 ) を控除した際に 残額がある場合については 翌年度分の個人住民税において 当該残額に相当する額が 以下の控除限度額の

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市 県民税 ( 住民税 ) 市民税は 県民税と合わせて住民税と呼ばれ 住民のみなさんがそれぞれの税の負担能力に応じて分担し合うという性格をもつ税金で 個人が負担する個人市民税と 会社などが負担する法人市民税があります 市民税には 均等の額によって納めていただく均等割と 個人の所得に応じて納めていただ

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平成16年度

市場と経済A

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5 事業用の車両等を売却 ( 譲渡 ) した場合の売却益 ( 譲渡益 ) 売却損 ( 譲渡損 ) については 事業所得とはならない 総合課税の譲渡所得 ( 土地 建物以外 ) の扱いになり 所有期間 (5 年超か以下か ) によって長期譲渡所得 短期譲渡所得に区分される 6 使用可能期間が1 年未満

「左記に該当しない方」からの確定申告書作成編

以下本人の給与収入速報 平成 29 年度税制改正解説所得課税 ~ 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し 2 配偶者の給与収入が 万円超 15 万円以下の場合の改正案の控除額及び改正前後の影響について 配偶者特別控除 配偶者の給与収入 万円超 15 万円 15 万円以上 11 万円 11 万円以上 1


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2017 年度税制改正大綱のポイント ~ 積立 NISA の導入 配偶者控除見直し ~ 大和総研金融調査部研究員是枝俊悟

[ 特別控除の一覧 ] 控除の内容 特定扶養親族控除 ( 税法上の扶養親族で満 16 才以上 23 才未満の扶養親族 ) 老人扶養親族 配偶者控除 ( 税法上の扶養親族で満 70 才以上の扶養親族 ) 控除額 1 人につき 250,000 1 人につき 100,000 障がい者控除寡婦 ( 夫 )

Transcription:

4. 等控除の見直し 1. 改正のポント (1) 趣旨 背景の等控除は 給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく 年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるため 世代内 世代間の公平性を確保する観点から 控除額に上限が設けられるとともに 年金以外の所得金額が高い場合には控除額が引下げられる仕組みとなる (2) 内容 1 等控除額を一律 10 万円引下げる 2 等の収入金額が1,000 万円を超える場合の控除額は 195.5 万円を上限とする 3 等に係る雑所得 以外の所得の合計所得金額(6-6 参照 ) が1,000 万円超 2,000 万円以下の場合には 控除額を12の見直し後の控除額から一律 10 万円引下げる 4 等に係る雑所得 以外の所得の合計所得金額が2,000 万円超の場合には 控除額を12の見直し後の控除額から一律 20 万円引下げる (3) 適用時期平成 32 年分以後の 平成 33 年度分以後の個人住民税に適用される (4) 影響等の収入金額が1,000 万円を超える場合や 等に係る雑所得 以外の所得の合計所得金額が 1,000 万円を超える場合には 増税となる 改正後のメージ (65 歳以上のケース ) ( 控除額 : 万円 ) 等控除額 : 上限なし ( ) 上限 :195.5 万円 10 万円 10 万円改正後 10 万円基礎控除へシフト 120 110 100 90 ( ロ ) 上限 :185.5 万円 ( ハ ) 上限 :175.5 万円 ( ) 等以外の所得金額 :1,000 万円以下 ( ロ ) 等以外の所得金額 :1,000 万円超 2,000 万円以下 ( ハ ) 等以外の所得金額 :2,000 万円超 330 1,000 ( 年金収入 : 万円 ) 4-1 ( 住民税 )

2. 改正の趣旨 背景の等控除は 給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく 年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど 高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みとなっている また に係る税制について諸外国は 基本的に 拠出段階 給付段階のいずれかで課税される仕組みとなっているが わが国は 拠出段階では全額控除され 給付段階でも等控除が受けられ 拠出 給付の両段階で十分な課税がなされない仕組みとなっている こうした点を踏まえ 世代内 世代間の公平性を確保する観点から 控除額に上限が設けられるとともに 年金以外の所得金額が高い場合には控除額が引下げられる仕組みとなる 3. 改正の内容等控除額は以下のとおりとなり 等の収入金額だけでなく合計所得金額により異なる計算式となる 65 歳未満 65 歳以上 1 等控除額を一律 10 万円引下げ 等の収入金額が 1,000 万円を超える場合の控除額は 195.5 万円を上限とする 2 等に係る雑所得 以外の所得の合計所得金額が 1,000 万円超 2,000 万円以下の場合には 控除額を 1 の見直し後の控除額から一律 10 万円引下げる 3 等に係る雑所得 以外の所得の合計所得金額が 2,000 万円超の場合には 控除額を 1 の見直し後の控除額から一律 20 万円引下げる 等の収入金額 (A) ( ) 年齢が 65 歳以上であるかは その年の 12 月 31 日時点で判定 1 1,000 万円以下 21,000 万円超 2,000 万円以下 3 2,000 万円超 1,300,000 円未満 700,000 円 600,000 円 500,000 円 400,000 円 1,300,000 円以上 4,100,000 円未満 (A) 25%+375,000 円 (A) 25%+275,000 円 (A) 25%+175,000 円 (A) 25%+75,000 円 4,100,000 円以上 7,700,000 円未満 (A) 15%+785,000 円 (A) 15%+685,000 円 (A) 15%+585,000 円 (A) 15%+485,000 円 7,700,000 円以上 10,000,000 円未満 (A) 5%+1,455,000 円 (A) 5%+1,355,000 円 (A) 5%+1,255,000 円 (A) 5%+1,555,000 円 10,000,000 円以上 1,955,000 円 1,855,000 円 1,755,000 円 3,300,000 円未満 1,200,000 円 1,100,000 円 1,000,000 円 900,000 円 3,300,000 円以上 4,100,000 円未満 (A) 25%+375,000 円 (A) 25%+275,000 円 (A) 25%+175,000 円 (A) 25%+75,000 円 4,100,000 円以上 7,700,000 円未満 (A) 15%+785,000 円 (A) 15%+685,000 円 (A) 15%+585,000 円 (A) 15%+485,000 円 7,700,000 円以上 10,000,000 円未満 (A) 5%+1,455,000 円 (A) 5%+1,355,000 円 (A) 5%+1,255,000 円 (A) 5%+1,555,000 円 10,000,000 円以上 1,955,000 円 1,855,000 円 1,755,000 円 控除額 4-2 ( 住民税 ) 改正後 等に係る雑所得 以外の所得に係る合計所得金額

4. 適用時期 5. 改正の影響 平成 32 年分以後の 平成 33 年度分以後の個人住民税に適用される 等の収入金額が 1,000 万円以下の場合 かつ 等に係る雑所得 以外の所得の合計所得金額が 1,000 万円以下の場合は 等控除額は 10 万円引下げられるが 基礎控除の額を 10 万円引上げるため 改正後においても税負担は変わらない 一方 等の収入金額が 1,000 万円を超える場合 又は 等に係る雑所得 以外の所得の合計所得金額が 1,000 万円を超える場合には税負担は増加する 等に係る雑所得 以外の所得に係る合計所得金額 1,000 万円以下 1,000 万円超 2,000 万円以下 2,000 万円超 等の収入金額 1,000 万円以下 1,000 万円超 変更なし 負担増 負担増 負担増 負担増 負担増 等に係る雑所得 がある場合 4-3 ( 住民税 )

6. 参考 4-4 ( 住民税 ) ( 出典 ) 第 13 回政府税制調査会 2017 年 10 月 23 日財務省説明資料 ( )

参考 ( モデルケース別シミュレーション ) (1) 給与所得者に係る影響額の概要 平成 29 年 ( 配偶者控除 給与所得控除 基礎控除の ) と平成 32 年 ( 配偶者控除 給与所得控除 基礎控除の改正後 ) の給与所得者に係る税負担 ( 住民税 ) の増加額 前提事項 ( 以下 (2) も同様 ) 介護 子育て世帯の扶養親族は 16 歳未満の扶養親族とする 所得控除については 配偶者控除及び基礎控除のみ考慮している 復興特別を含んでおり 概算の税額となる 青色申告特別控除は考慮しておらず また = 事業所得とし 必要経費は考慮していない 4-5 ( 住民税 )

(2) モデルケース別の改正による影響 ( 平成 29 年 平成 30 年度税制改正による ) モデルケース別の平成 29 年度税制改正に基づく配偶者控除の改正及び平成 30 年度税制改正に基づく給与所得控除 等控除 基礎控除の改正による税額の税負担の増減額 1 配偶者控除の適用があり 介護 子育てがある世帯 ( 改正考慮 ) ロ ハ 住民税計 住民税計 住民税計 1,000 - - 171.8 171.8 171.8 0.0 0.0 1,500 - - 370.3 386.4 386.4 16.1 0.0 2,500 - - 836.1 854.9 854.9 18.8 0.0 3,000 - - 1,090.3 1,109.1 1,133.0 18.8 23.9. 配偶者控除の改正により が 1,120 万円を超えると増税 ロ. 配偶者控除の改正により が 1,110 万円を超えると増税 ハ. 上記ロに加え 給与所得控除及び基礎控除の改正により が 2,610 万円を超えると更に増税 所得の増加に伴う税率変更による税負担の増加は で示していない ( 以下モデルケース同様 ) ハ 2 配偶者控除の適用があり 介護 子育てがない世帯 ( 改正考慮 ) 住民税計 住民税計 住民税計 1,000 - - 171.8 171.8 176.9 0.0 5.1 1,500 - - 370.3 386.4 392.9 16.1 6.5 2,500 - - 836.1 854.9 862.5 18.8 7.6 3,000 - - 1,090.3 1,109.1 1,140.6 18.8 31.5 ロ ハ ニ ハ ニ. 配偶者控除の改正により が1,120 万円を超えると増税 ロ. 給与所得控除の改正により が850 万円を超えると増税 ハ. 上記ロに加え 配偶者控除の改正により が1,095 万円を超えると更に増税 ニ. 上記ハに加え 基礎控除の改正により が2,595 万円を超えると更に増税 4-6 ( 住民税 )

(2) モデルケース別の改正による影響 ( 平成 29 年 平成 30 年度税制改正による ) 3 配偶者控除の適用がなく 介護 子育てがある世帯 ( 改正考慮 ) 住民税計 住民税計 住民税計 1,500 - - 386.4 386.4 386.4 0.0 0.0 2,000 - - 604.9 604.9 604.9 0.0 0.0 2,500 - - 854.9 854.9 854.9 0.0 0.0 3,000 - - 1,109.1 1,109.1 1,133.0 0.0 23.9. 給与所得控除及び基礎控除の改正により が 2,610 万円を超えると増税 4 配偶者控除の適用がなく 介護 子育てがない世帯 ( 改正考慮 ) 住民税計 住民税計 住民税計 1,500 - - 386.4 386.4 392.9 0.0 6.5 2,000 - - 604.9 604.9 611.4 0.0 6.5 2,500 - - 854.9 854.9 862.5 0.0 7.6 3,000 - - 1,109.1 1,109.1 1,140.6 0.0 31.5 ロ ロ. 給与所得控除の改正により が 850 万円を超えると増税 ロ. 上記に加え 基礎控除の改正により が 2,595 万円を超えると更に増税 4-7 ( 住民税 )

(2) モデルケース別の改正による影響 ( 平成 29 年 平成 30 年度税制改正による ) 5 自営業者等で配偶者控除の適用がある世帯 ( 改正考慮 ) 住民税計 住民税計 住民税計 - - 900 212.0 212.0 208.7 0.0 3.3 - - 1,500 466.4 482.5 478.1 16.1 4.4 - - 2,500 947.9 966.8 977.5 18.9 10.7 - - 3,000 1,202.1 1,221.0 1,239.8 18.9 18.8. 配偶者控除の改正により 合計所得金額が 900 万円を超えると増税 ロ. 配偶者控除及び基礎控除の改正により 合計所得金額が 900 万円以下は減税 900 万円を超えると増税 ロ 6 自営業者等で配偶者控除の適用がない世帯 ( 改正考慮 ) 住民税計 住民税計 住民税計 - - 1,500 482.5 482.5 478.1 0.0 4.4 - - 2,000 712.6 712.6 707.5 0.0 5.1 - - 2,500 966.8 966.8 977.5 0.0 10.7 - - 3,000 1,221.0 1,221.0 1,239.8 0.0 18.8. 基礎控除の改正により 合計所得金額が 2,400 万円以下は減税 2,400 万円を超えると増税 4-8 ( 住民税 )

(2) モデルケース別の改正による影響 ( 平成 29 年 平成 30 年度税制改正による ) 7 配偶者控除の適用があり 介護子育て世帯で 給与 の受取りがある世帯 (65 歳以上 ) ( 改正考慮 ) 住民税計 住民税計 住民税計 1,000 300-232.1 241.1 241.1 9.0 0.0 1,500 300-448.9 465.0 469.4 16.1 4.4 2,000 300-673.4 692.2 697.3 18.8 5.1. 配偶者控除の改正により 合計所得金額が 900 万円を超えると増税 ロ. 上記に加え 給与所得控除 等控除の改正により が 110 万円を超え が 1,220 万円を超えると更に増税 と収入がある方の所得金額調整控除額は 25 万円という前提 ロ ロ 8 配偶者控除の適用があり 介護子育のない世帯で 給与 の受取りがある世帯 (65 歳以上 ) ( 改正考慮 ) 住民税計 住民税計 住民税計 1,000 300-232.1 241.1 247.6 9.0 6.5 1,500 300-448.9 465.0 476.0 16.1 11.0 2,000 300-673.4 692.2 704.9 18.8 12.7. 配偶者控除の改正により 合計所得金額が 900 万円を超えると増税 ロ. 給与所得控除の改正により が 850 万円を超えると増税 ハ. 上記及びロに加え 等控除の改正により が 110 万円を超え が 1,205 万円を超えると更に増税 と収入がある方の所得金額調整控除額は 10 万円という前提 ロ ハ ハ 4-9 ( 住民税 )

(2) モデルケース別の改正による影響 ( 平成 29 年 平成 30 年度税制改正による ) 9 配偶者控除の適用があり の受取りがある自営業者 (65 歳以上 ) ( 改正考慮 ) 住民税計 住民税計 住民税計 - 300 1,000 326.6 342.7 342.7 16.1 0.0-300 1,500 545.1 561.2 565.5 16.1 4.3-300 2,000 785.3 804.1 809.2 18.8 5.1. 配偶者控除の改正により 合計所得金額が 900 万円を超えると増税 ロ. 上記に加え 等控除の改正により が 100 万円を超え 等以外の合計所得金額が 1,000 万円を超えると更に増税 ロ ロ 4-10 ( 住民税 )