CW6_A3657D14.indd

Similar documents
物価の動向 輸入物価は 2 年に入り 為替レートの円安方向への動きがあったものの 原油や石炭 等の国際価格が下落したことなどから横ばいとなった後 2 年 1 月期をピークとし て下落している このような輸入物価の動きもあり 緩やかに上昇していた国内企業物価は 2 年 1 月期より下落した 年平均でみ

第1章

平成28年平均 山形市消費者物価指数

Microsoft Word - H19本文0521PDF.doc

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

4月CPI~物価は横ばいの推移 耐久財の特殊要因を背景に、市場予想を上回る3 ヶ月連続の上昇

[000]目次.indd

CW6_A3657D13.indd

12月CPI

2

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

2 10 大費目指数の動き 平成 29 年の10 大費目指数の動きを寄与度でみると, 光熱 水道 は他の光熱( 灯油 ) や電気代の値上がりなどにより 0.26, 食料 は生鮮魚介, 酒類の値上がりなどにより0.23となり, この2 費目合計で0.49と, 総合指数ののび率 (0.6%) のうち約

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

CW6_A3657D16.indd

Ⅰ平成15年平均高知市消費者物価指数の概況

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

企業向けサービス価格指数(2019年2月)

Microsoft Word - 21年報表紙.doc

Microsoft Word - 54_2

各商品の動きについて 新規出店を含めた全店ベースの前年比でみると 衣料品の減少と飲食料品の増加がここ数年のトレンドとして定着しており 7 年も衣料品は減少し 飲食料品は増加した 衣料品が減少傾向にあるのは 販売形態の多様化により 購入先として衣料品専門店や通販 インターネットショッピングなどの選択肢

経済・物価情勢の展望(2017年7月)

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

経済・物価情勢の展望(2017年10月)

表紙.xls

消費者物価指数における新指数の公表開始及び公表資料の掲載内容の見直しについて

平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

1 概 況

2015年基準 消費者物価指数 全国 2019年(平成31年)3月分及び2018年度(平成30年度)平均

平成24年平均CPI.xls

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(5月号)~輸出は好調も、旧正月の影響を均せば増勢鈍化

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

2015年基準 消費者物価指数 全国 平成30年(2018年)9月分

平成23年平均(最新).xls

2015年基準 消費者物価指数 東京都区部 平成30年(2018年)11月分(中旬速報値)

Newsletterむさしの_7.indd

統計から見た三重県のスポーツ施設と県民のスポーツ行動

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(10月号)~輸出はスマホ用電子部品を中心に高水準を維持

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(1月号)~輸出の好調続くも新型スマホ関連がピークアウトへ

3_2

nichigingaiyo

ロシア 3節 第 第3節 ロシア 1 マクロ経済動向 ロシア経済は 緩やかな回復基調にある 2014 年 7 以下 輸出 個人消費 消費者物価 金融市場の動 月以降のウクライナ危機発生及びクリミア併合に伴う 向を中心に概観する 欧米からの経済制裁に加え 2015 年以降 原油価格 の下落を主因として

【No

北陸 短観(2019年6月調査)

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

北陸 短観(2016年12月調査)

北陸 短観(2019年3月調査)

第 1 章 労働経済の推移と特徴 ここで第 1-(2)-2 図により 企業物価指数 ( 国内需要財 ) の上昇率について 需要段階別の寄与度をみると 213 年 1~3 月期以降 為替の円安方向への動きにより輸入物価が上昇したこと等を背景に 素原材料 中間財 最終財の全ての需要段階でプラスになり 企

Newsletterむさしの_2.indd

波及効果の具体的計算方法 直接効果の推計 1 ( 需要増加額の推計 ) 合計額 ( 単位 : 百万円 ) 開催運営費 10.0 来場者支出額 90.0 飲食費 0.6 交通輸送費 3.0 広報関連経費 1.5 施設 機器レンタル料 1.0 アルバイト人件費 1.6 警備料 2.3 宿泊費

企業向けサービス価格指数(2010年基準)の概要

. 物価の現状 消費者物価は 物価の基調を表すコアコア ( 生鮮食品及びエネルギーを除く総合 ) でみると 年後半に前年比でプラスに転じた後 年後半以降前年比 % 近傍となり横ばいが続いている なお エネルギーを含むコアでみると エネルギー価格の上昇により 7 年には前年比でプラスに転じた GDP

格納統計一覧(うち物価)

スライド 1

平成 22 年基準 秋田県鉱工業生産指数月報 平成 30 年 12 月分 鉱工業生産指数の推移 季節調整済指数全国 東北 : 平成 27 年 =100 秋田 : 平成 22 年 =

ecuador

資料2

表 1 静岡県消費者物価指数の推移及び前年比 総合 平成 16 年 17 年 18 年 19 年 20 年 21 年 22 年 23 年 24 年 25 年 26 年 指数 前年比 (%)

(Microsoft Word \214\216\215\206_\203g\203s\203b\203N1\201i2010\224N\223x\214o\215\317\214\251\222\312\202\265\201j.doc)

実際 円安に伴う原材料コストなどの上昇を背景に 食品メーカー各社は1 月以降の値上げを表明している ( 前頁図表 1) 即席めんや冷凍食品 アイスクリームなど幅広い品目が値上げ対象となっている模様である 日銀短観の2014 年 12 月調査によると 食料品製造業の想定為替レート (2014 年度 )

01Newsletterむさしの7.indd

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

Newsletterむさしの12.indd

資料1

6 月調査 (5 月実績 ) 結果概況 景気判断 DI は現状 見通し共に小幅に下降も 50 を上回る高水準を維持 5 月のスーパーマーケット中核店舗における景気判断 DI 現状判断は前月から-0.3 の 54.8 見通し判断前月から-0.9 の 51.0 となり 共に小幅な下降となったが 引き続き

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

長と一億総活躍社会の着実な実現につなげていく 一億総活躍社会の実現に向け アベノミクス 新 三本の矢 に沿った施策を実施する 戦後最大の名目 GDP600 兆円 に向けては 地方創生 国土強靱化 女性の活躍も含め あらゆる政策を総動員することにより デフレ脱却を確実なものとしつつ 経済の好循環をより

第45回中期経済予測 要旨

中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

untitled

News Release 2018 年 12 月 27 日 香川県内民間企業の 2018 年冬季ボーナス支給見込みアンケート調査結果について 百十四銀行 ( 頭取綾田裕次郎 ) では 香川県内に本社または主工場をもつ民間企業 630 社を対象と して 2018 年冬季ボーナスの支給予想について アン

平成8年版 労働経済の分析

Newsletterむさしの11.indd

製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

平成14年1月20日

untitled

29付属統計表(全体)

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

<8A C52E786C7378>

我が国中小企業の課題と対応策

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

Microsoft Word - 20_2

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

季刊 家計経済研究113号_本文p01−100.indd

<4D F736F F D20819A819A8DC58F49835A C C8E816A2E646F63>

Microsoft Word - ₥+ èª¿æŁ»ï¼›ï¼“çŽºè¡¨å¾„èª¤åŁŠä¿®æŁ£.docx

Microsoft Word iip(速報).doc

RTE月次レポート企画

30付属統計表(全体)

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

28付属統計表(全体)

2016 年家計調査年報 家計収支編 家計消費傾向と品目別支出金額調査報告書 2017 年 9 月 東松島市商工会

「石油TES普及のためのネットワークシステム構築に向けての調査」

Microsoft Word iip(速報).doc

2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

Transcription:

第 4 節 物価の動向 物価は 為替レートの円安方向への動きや景気の回復に伴うマクロ的な需給バランスの改善等を背景に 214 年に入って緩やかに上昇する動きをみせた しかし 214 年夏以降 原油価格の急激な下落を受けて 足下では国内企業物価は緩やかに下落に転じたが 消費者物価の基調 12 は 緩やかに上昇している 215 年度の物価の動向を確認するため 企業間取引における物価 と 消費者物価 の動きに分けてみていく 1 企業間取引における物価の動向 緩やかに下落している国内企業物価物価には 企業間取引における物価 と 消費者物価 があり 企業間取引における物価は モノを対象とした 企業物価 とサービスを対象とした 企業向けサービス価格 がある まず 第 1-(4)-1 図により 企業物価の動きを確認する 図では 国内企業物価 及び国内企業物価に影響を与える 輸入物価 ( 円ベース ) 輸出物価( 円ベース ) 名目実効為替レート 原油価格 の5つの指標の推移を示している 国内企業物価の動きをみると 213 年から緩やかに上昇していた国内企業物価は 214 年 8 月より下落に転じ 足下では緩やかな下落を続けている この主な要因として 輸入物価の推移をみてみる 輸入物価は 212 年秋以降 名目実効為替レートが円安方向へ動いたことを受けて上昇し その後 214 年初頭から小幅なプラス幅となっていたが 214 年夏以降 原油価格の下落ペースが加速したことを受けて 214 年 12 月より下落している 第 1-(4)-1 図 国内企業物価指数の推移 国内企業物価指数は 214 年 8 月から下落に転じ 足下では緩やかに下落を続けている (21 年 =1) ( ドル ) 14 13 125 131.6 115 輸入物価指数 15 12 11 1 輸出物価指数 16.5 95 85 75 65 国内企業物価指数原油価格 ( 右目盛 ) 9 55 8 45 35 7 名目実効為替レート 25 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 1 2 3 212 13 14 15 16 資料出所 日本銀行 企業物価指数 外国為替相場状況 IMF "Primary Commodity Prices" をもとに厚生労働省労働 政策担当参事官室にて作成 ( 注 ) 1) 国内企業物価指数 輸入物価指数 輸出物価指数 名目実効為替レートは 21 年 = 1 2) 原油価格は US$ で示したドバイ産原油 1バレル ( 約 159 リットル ) あたりの月の平均価格 3) 名目実効為替レートは 相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標で 各国との為替レートを貿易額 等で測った相対的な重要度でウェイト付けし 算出したもの 12 生鮮食品 石油製品及びその他特殊要因を除く総合 46

4節 物価の動向47 第 1 章労働経済の推移と特徴国内企業物価指数の動きを年平均でみると 215 年の企業物価指数は 12.7 と 前年比 2.3% の下落となり 212 年以来 3 年ぶりの下落となった また 品目別にみると 原油価格の下落の影響を受け ガソリン 軽油などの 石油 石炭製品 が 31.7% 下落と最も大きな下げ幅となった他 中国を始めとするアジア新興国等の景気減速の影響を受け 鉄鋼やスクラップ類において価格が下落した 一方 食料品 飲料 たばこ 飼料 や はん用機器 自動車部品などの 輸送用機器 の価格は上昇した ( 付 1-(4)-1 表 ) 第 原油価格の下落は素原材料 中間財 最終財価格に波及 国内企業物価の変動はどのような財による影響が大きいか より詳細にみるため 第 1-(4)- 2 図により 国内企業物価指数 ( 国内需要財 ) の上昇率について 素原材料 中間財 最終財といった需要段階別の寄与度をみてみる 213 年 4 月以降 国内企業物価指数は上昇傾向となっており 為替レートの円安方向への動きにより輸入物価が上昇したこと等を背景に 素原材料 中間財 最終財にまで物価上昇が波及した 214 年に入ってから 素原材料の価格の寄与幅が縮小し 続いて中間財 最終財価格の寄与幅も縮小し 原油価格下落のペースが加速したことを受けて 214 年 12 月から素原材料の価格が国内企業物価の上昇にマイナスに寄与するようになった 215 年に入ってからは素原材料に加え中間財の価格もマイナスに寄与しその寄与幅も増加するとともに 215 年末以降は 最終財価格までマイナスに寄与している 第 1-(4)-2 図 国内企業物価指数 ( 国内需要財 ) 上昇率の需要段階別寄与度 原油価格の下落は 素原材料 中間財に加えて最終財の価格に波及した 8. 6. 4. 2. 最終財 -2. -4. -6. 中間財 素原材料 国内企業物価指数 ( 国内需要財 ) の上昇率 ( 前年同月比 ) -8. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 11112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 11112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 11112 1 2 3 212 131415 13 14 15 16 ( 年 ) 資料出所 日本銀行 企業物価指数 をもとに厚生労働省労働政策担当参事官室にて作成 ( 注 ) 1) 需要段階別指数は 基本分類指数の各項目が 経済の循環過程のどの段階で最終的に需要されるかに着目して分類されたもの 国内向け ( 内需 ) に充てられる場合は国内需要財 ( 国内品 + 輸入品 ) 海外向け( 外需 ) に充てられる場合は輸出品と大別されている 2) 国内需要財は 国内で 生産活動のために使用 消費されるか 最終需要に充てられるかによって さらに以下の3 項目に分類される 素原材料は 第 1 次産業で生産された未加工の原材料 燃料で生産活動のため使用 消費されるもの ( 例 : 原油など ) 中間財は 加工過程を経た製品で 生産活動のためさらに使用 消費される原材料 燃料 動力及び生産活動の過程で使用される消耗品 ( 例 : ナフサなど ) 最終財は 生産活動において原材料 燃料 動力として さらに使用 消費されることのない最終製品 ( 例 : プラスチック製日用品など ) 3)21 年基準で算出 4) ここで用いた需要段階別 用途別指数は消費税を除くベースで作成されている

前年同月比プラスで推移した企業向けサービス価格次に 第 1-(4)-3 図において企業向けサービス価格の推移をみてみよう 総平均の動きをみると 213 年夏場に下げ止まり 213 年 6 月に横ばいとなった後 7 月に前年同月比でプラスへと反転している その上昇率については 消費税の影響を除くと 214 年からほぼ横ばい圏内の% 台で推移しているものの 33 か月連続で前年同月比プラスとなっている 215 年平均でみると前年比 1.1% 上昇 ( 消費税率引上げの影響を除くベースで.4% 上昇 ) となり 214 年に引き続き上昇した 類別にみると 人手不足を反映した土木建築サービスや 訪日外国人の増加などの影響を受けた宿泊サービスなどの価格上昇を受け 諸サービス 13 が前年比 2.% と上昇したほか リース レンタル 金融 保険 などで上昇がみられた( 付 1-(4)-2 表 ) 第 1-(4)-3 図 企業向けサービス価格指数の推移 企業向けサービス価格指数は 33 か月連続で前年同月比プラスで推移している 5. 5. 4. 3. 4. 3. 広告 2. 金融 保険 2. 諸サービス 1. 1. -1. -2. 総平均 不動産 消費税の影響を除く総平均 運輸 郵便 -3. -3. 2 4 6 8 1 12 2 4 6 8 1 12 2 4 6 8 1 12 1 3 2 4 6 8 1 12 2 4 6 8 1 12 2 4 6 8 1 12 1 3 212 14 213 14 15 16 212 14 213 14 15 16 ( 年 ) ( 年 ) 資料出所 日本銀行 企業向けサービス価格指数 をもとに厚生労働省労働政策担当参事官室にて作成 ( 注 ) 1) 数値は前年 ( 同月 ) 比 2)21 年基準で算出 -1. -2. 総平均 リース レンタル 情報通信 消費税の影響を除く総平均 2 消費者物価の動向 消費者物価の基調は緩やかに上昇このような企業物価の動きを受けて 最終需要財の価格の動きを表す消費者物価はどのように推移したのだろうか 第 1-(4)-4 表により 消費者物価指数の動きをみていこう 総合 生鮮食品を除く総合 ( いわゆるコア ) と物価の基調を表す生鮮食品 石油製品及びその他特殊要因を除く総合は 213 年以降 輸入物価の上昇や需給バランスの改善等を背景に緩やかな上昇傾向で推移し 214 年 4 月の消費税率引上げにより大きく上昇した 13 諸サービス は 金融 保険 不動産 運輸 郵便 情報通信 リース レンタル 広告 のいずれの大類別にも属さない品目を分類したものであり 具体的には 廃棄物処理 自動車整備 労働者派遣サービス 教育訓練サービス などが含まれる 48

4節 物価の動向49 第 1-(4)-4 表 消費者物価指数 ( 前年 ( 同月 ) 比 ) の推移 第 消費税の影響を除い た生鮮食品 石油製 品及びその他特殊要 因を除く総合 第 1 章 労働経済の推移と特徴 消費者物価指数 ( 総合及びいわゆるコア ) は 緩やかに上昇していたが 214 年夏にかけて上昇テンポが鈍化し 足下では横ばいとなっている 一方 生鮮食品 石油製品及びその他特殊要因を除く総合については 緩やかに上昇を続けている 年月総合 生鮮食品を除く総合 ( いわゆるコア ) 消費税の影響を除いた生鮮食品を除く総合 ( いわゆるコア ) 生鮮食品 石油製品及びその他特殊要因を除く総合 前年比 212. -.1 -.5 13.4.4 -.2 14 2.7 2.6 2.3 15.8.5 1.4 前年同月比 213 1 -.3 -.2 -.8 2 -.7 -.3 -.9 3 -.9 -.5 -.8 4 -.7 -.4 -.6 5 -.3. -.4 6.2.4 -.3 7.7.7 -.2 8.9.8 -.1 9 1.1.7. 1 1.1.9.3 11 1.5 1.2.6 12 1.6 1.3.8 14 1 1.4 1.3.8 2 1.5 1.3.9 3 1.6 1.3 1.3.9.9 4 3.4 3.2 1.5 2.8.9 5 3.7 3.4 1.4 2.7.8 6 3.6 3.3 1.3 2.8.8 7 3.4 3.3 1.3 2.9.9 8 3.3 3.1 1.1 2.8.9 9 3.2 3. 1. 2.8.8 1 2.9 2.9.9 2.8.8 11 2.4 2.7.7 2.6.7 12 2.4 2.5.5 2.6.6 15 1 2.4 2.2.2 2.6.6 2 2.2 2.. 2.5.6 3 2.3 2.2.2 2.6.6 4.6.3..7.6 5.5.1.1.8.8 6.4.1.1.9.9 7.2.. 1. 1. 8.2 -.1 -.1 1.1 1.1 9. -.1 -.1 1.3 1.3 1.3 -.1 -.1 1.1 1.1 11.3.1.1 1.2 1.2 12.2.1.1 1.2 1.2 16 1... 1. 1. 2.3.. 1.1 1.1 3 -.1 -.3 -.3 1. 1. 資料出所 総合 生鮮食品を除く総合 は総務省統計局 消費者物価指数 その他は 内閣府 消費者物価指数の公表について ( 注 ) 1)21 年基準 2) 生鮮食品 石油製品及びその他特殊要因を除く総合 は 生鮮食品を除く総合 から 石油製品 電気代 都市ガス代 米類 切り花 鶏卵 固定電話通信料 診察代 介護料 たばこ 公立高校授業料 私立高校授業料を除いたもので 内閣府試算値 214 年夏にかけて 総合及び生鮮食品を除く総合 ( いわゆるコア ) は ほぼ同様の動きを続けており 輸入物価の上昇による価格転嫁の動きがほぼ一巡したこと 原油の価格の下落などを受けて 徐々に上昇テンポが鈍化し 消費税率引上げに伴う上昇分が剥落した 215 年 4

月以降は 前年同月比 % 台で推移し ほぼ横ばいの動きが続いている 一方 生鮮食品 石油製品及びその他特殊要因を除く総合は 215 年に入ってからも 引き続き緩やかな上昇を続けており 原油価格の動きが消費者物価指数に与える影響が大きいことが分かる 生鮮食品 石油製品及びその他特殊要因を除く総合の変化について 前年同月比でみると 213 年 1 月にプラスに転じた後 214 年 4 月以降は 消費税率引上げもあってプラス幅を拡大し 215 年 4 月に消費税率引上げの影響が剥落した後も プラスでの推移を続け 216 年 3 月では前年同月比 1.% の上昇となっている 215 年平均の消費者物価指数を 1 大費目別の前年比でみると 生鮮食品や外食の価格上昇を受け 食料が 3.1% 上昇したほか 訪日外国人の増加などによる需要増による宿泊料の価格上昇を受け教養娯楽などで上昇した 一方 原油価格下落によるガソリン価格の値下がりを反映した交通 通信 光熱 水道は前年に比べて下落した ( 付 1-(4)-3 表 ) 食料工業製品などの価格が上昇する一方で石油製品などの価格下落を受け 消費者物価指数は横ばいそれでは 消費者物価指数 ( 総合 ) の前年同月からの上昇率に対し どのような品目の財 サービスが影響を与えたのかを 第 1-(4)-5 図によりみてみる 野菜や精肉などの生鮮商品は 213 年 7 月にプラスへ転じ その後は一貫して消費者物価指数の上昇に寄与している 同様に パン 調味料 加工食品などの食料工業製品も 213 年 1 月にプラスに転じた後 消費税率引上げもあって徐々にプラス幅を拡大し 215 年 4 月に消費税率引上げの影響が剥落した後もプラスでの推移を続けている また 215 年夏以降 外食の値上がりや 需要の増加する宿泊料などが影響し 一般サービスの消費者物価指数の上昇への寄与幅が拡大傾向にある 一方で 灯油 ガソリン プロパンガスといった石油製品や 電気 都市ガス 水道は 原油価格の動きに大きく影響を受けている 石油製品は 214 年夏以降 原油価格の下落の影響を受け 消費者物価指数の上昇への寄与幅が徐々に縮小し 215 年に入ってからはマイナスへの寄与に転じている さらに 215 年 6 月からは 電気 都市ガス 水道も消費者物価指数の押し下げに寄与するようになったことが分かる 第 1-(4)-5 図 消費者物価指数 ( 総合 ) に対する財 サービス分類別寄与度 食料工業製品などの価格が上昇する一方で石油製品などの価格下落を受け 消費者物価指数は横ばいとなっている 4. 3. 消費者物価指数 ( 総合 ) の前年 ( 同月 ) 比 2. 1. -1. -2. 212 131415 生鮮商品電気 都市ガス 水道一般サービス食料工業製品石油製品公共サービス繊維製品他の工業製品 1 2 3 4 5 6 7 8 9 11112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 11112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 11112 1 2 3 213 14 15 16 ( 年 ) 資料出所 総務省統計局 消費者物価指数 をもとに厚生労働省労働政策担当参事官室にて作成 5

第 1 章労働経済の推移と特徴先にみたとおり 足下の消費者物価指数 ( 総合 ) は 前年同月比で% 台で推移しているが これは 生鮮商品や食料工業製品などの価格上昇率が 前年同月比プラスに寄与する一方で 石油製品などのエネルギー価格が前年同月比マイナスに寄与するようになり 互いに打ち消し合うことで 消費者物価指数 ( 総合 ) 全体では横ばいの動きとなっていることが分かる 第4節 物価の動向51