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Q1 主たる債務と保証債務の一体整理を既存の私的整理手続により行った場合 甲社は この数年間業績不振が続いており 債務超過の状態に陥ったことから 今般 中小企業再生支援協議会による再生支援スキームを利用して甲社の再生計画を策定するとともに 本ガイドラインに基づき甲社の経営者で保証人である乙氏による弁済も当該再生計画の内容に含めることとしました 主たる債務者甲社の債務は 百万円 (A 銀行 70 百万円 B 銀行 20 百万円 C 銀行 10 百万円 ) は 百万円 (A 銀行 70 百万円 B 銀行 20 百万円 C 銀行 10 百万円 ) 本ガイドラインによる保証債務の整理申立て時の乙氏の保有資産の価額は 30 百万円 ( 自宅兼店舗 20 百万円 0 百万円 ) です 中小企業再生支援協議会による再生支援スキームを利用して策定された甲社の再生計画 ( 保証人である乙氏による弁済も含む ) に全金融債権者 (A 銀行 B 銀行 C 銀行 ) が同意して 次のとおり 甲社の債務及びの整理を一体的に行うこととなりました 1 乙氏の残存資産については 本ガイドライン7(3)3に従い 百万円と甲社の事業継続に必要となる乙氏の自宅兼店舗 20 百万円とし 残りの 9 百万円を返済に充当する 2 返済後の甲社の債務 91 百万円のうち 41 百万円の債権放棄を行い 50 百万円まで減額する ( 注 )A 銀行 B 銀行 C 銀行の間で 上記の1の返済及び上記 2の債権放棄に係る損失の負担については応分とする 甲社の再生計画が合理的な再生計画であるという前提にたった場合 乙氏の残存保証債務 50 百万円について免除を行ったとしても 甲社から回収が見込まれる部分の保証債務の免除を行ったに過ぎず 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 所得税法第 36 条に規定する収入の実現はなく 乙氏に所得税の課税関係は生じないものと解して差し支えありませんか また 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 全金融債権者において保証債権の放棄に係る寄附金課税 ( 法人税法 37 条 ) は生じないものと解して差し支えありませんか 9 返済 41 債務免除 50 附従性により減額 0 自宅兼店舗 20 50 50 保証免除 9 返済 自宅兼店舗 20 ( 注 ) の免除に際しては ガイドライン7(3)5に基づき 乙氏による誠実な情報開示と表明保証及び全金融債権者がその適格性を認める甲社の顧問税理士によるそ 2

の適正性の確認を経てを把握し 乙氏が開示した資産の状況について 事実と異なることが判明した場合に免除保証債務及び免除期間分の延滞利息も付した上で追加弁済を行うことを乙氏と全金融債権者が合意し書面で契約し 中立かつ公正な第三者である中小企業再生支援協議会による再生支援スキームにおける検討委員会の委員の確認 報告を経ています ( 以下 Q4まで同様の手続きを経ています ) A1 Q1 のとおりに解して差し支えありません ( 理由 ) 1 主たる債務の整理が私的整理手続により行われる場合 主たる債務である甲社の債務が 91 百万円から 50 百万円に減額されれば はその附従性 ( 民法 448 条 ) により 50 百万円に減額されます 2 全金融債権者が 残債務に付されている 50 百万円について免除したとしても 偶発債務を免除したにすぎず 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 所得税法第 36 条に規定する収入の実現はなく 乙氏に所得税の課税関係は生じないこととなります 3 また 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 全金融債権者において保証債権の放棄に係る寄附金課税 ( 法人税法 37 条 ) は生じないこととなります なお 本事例では主たる債務と保証債務の一体整理が行われることとなりますが 私的整理手続により策定される主たる債務者甲社の再生計画が合理的な再生計画であることを前提とすれば 全金融債権者が当該計画に基づき行う甲社に対する債権放棄による損失 (41 百万円 ) については 原則として 法人税基本通達 9-4-2の取扱いにより 損金の額に算入することができるものと考えられます ( 注 ) 上記ケースと異なり 中小企業の金融債務について 経営者により 実質的に経営者保証と同等の効果が期待される併存的債務引受がなされた場合における 当該経営者に対する債権 ( ガイドライン脚注 2 3 参照 ) について 金融債権者から返済の免除がされたときは 当該経営者は経済的利益の供与を受けたことになり債務免除益が生じますが ( 所得税基本通達 36-15) その債務免除益のうち 債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたものについては 課税関係は生じないことになります ( 所得税基本通達 36-17)( 以下 Q4まで同様です ) ( 注 ) この税務上の取扱いについては 中小企業庁及び金融庁から国税庁に確認済みです ( 以下 Q4まで同様です ) 3

Q2 主たる債務について既に法的整理( 再生型 ) が終結した保証債務の免除を 既存の私的整理手続により行った場合 ( 法的整理からのタイムラグなし ) 甲社は この数年間業績不振が続いており 債務超過の状態に陥ったことから 今般 民事再生手続を申し立てて再生計画を策定することとなりました また 同時に 甲社の経営者で保証人であるについて 本ガイドラインに従い特定調停手続を利用して整理することとなりました 主たる債務者甲社の債務は 百万円 (A 銀行 70 百万円 B 銀行 20 百万円 C 銀行 10 百万円 ) 甲社の経営者で保証人であるは 百万円 (A 銀行 70 百万円 B 銀行 20 百万円 C 銀行 10 百万円 ) 保証債務の整理申立て時の乙氏の保有資産の価額は 21 百万円 ( 自宅兼店舗 20 百万円 百万円 ) です 甲社の再生計画及び乙氏の弁済計画の内容は次のとおりであり 全金融債権者は 本ガイドライン7(3)3に従い 保証債務の履行請求額の経済合理性について 甲社の債務とを一体として判断して を免除することとしています 甲社の再生計画甲社の債務を 百万円から 50 百万円に減額する 乙氏の弁済計画乙氏の残存資産については 本ガイドライン7(3)3に従い 百万円と甲社の事業継続に必要となる乙氏の自宅兼店舗 20 百万円とし 百万円を全額免除する ( 注 )A 銀行 B 銀行 C 銀行の間で 甲社に対する債権放棄に係る損失の負担については応分とする 甲社の再生計画の認可後 全金融債権者が乙氏の弁済計画に同意して保証債務 ( 百万円 ) の免除を実施しました この場合 全金融債権者は 甲社の債務とを一体として判断した上で 甲社の事業継続に必要となる資産を残存資産に含めることで回収見込額の最大化を図ったものであり 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 所得税法第 36 条に規定する収入の実現はなく 乙氏に所得税の課税関係は生じないものと解して差し支えありませんか また 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 全金融債権者において保証債権の放棄に係る寄附金課税 ( 法人税法 37 条 ) は生じないものと解して差し支えありませんか 50 債務免除 保証免除 50 自宅兼店舗 自宅兼店舗 20 20 4

A2 Q2 のとおりに解して差し支えありません ( 理由 ) 1 主たる債務の整理が民事再生手続により行われる場合 民事再生法 177 条 2 項にて 再生計画の効力は保証人に影響を及ぼさないこととされているため 主たる債務者である甲社の債務が 百万円から 50 百万円に減額されてもは 百万円のまま残存することになります 2 全金融債権者は 本ガイドライン 7(3)3 に従い 甲社の債務とを一体として判断して 百万円と甲社の事業継続に必要となる乙氏の自宅兼店舗 20 百万円を乙氏の手元に残すこととし 百万円を全額免除したとのことですが 現実に履行される前の保証債務を免除したとしても 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 所得税法第 36 条に規定する収入の実現はなく 乙氏に所得税の課税関係は生じないこととなります 3 また 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 全金融債権者において保証債権の放棄に係る寄附金課税 ( 法人税法 37 条 ) は生じないこととなります なお 本事例では主たる債務の整理と保証債務の整理が同時に行われることとなりますが 主たる債務について民事再生法の規定に基づき甲社の再生計画の認可決定があった場合において 当該決定により切り捨てられることとなった金額 (50 百万円 ) については 全金融債権者において貸倒れとして損金の額に算入することができるものと考えられます ( 法人税基本通達 9-6-1(1)) ( 注 ) 保証債務のみを整理するに当たり 本ガイドライン7(3)4のとおり 準則型私的整理手続によらず 支援専門家等の斡旋によった場合であっても 本ガイドラインの要件を満たす合理的な弁済計画を策定し対象債権者としても一定の経済合理性が認められる範囲で 保証債務を減免 免除する場合には 上記と同様に取り扱われます ( 以下 Q4まで同様です ) 5

Q3 過去に主たる債務について法的整理( 再生型 ) により整理がなされた保証債務の免除を 既存の私的整理手続により行った場合 ( 法的整理からのタイムラグあり ) 甲社は 過去に会社更生手続を申し立てて更生計画を策定し その認可を得て 負債整理を行いました 会社更生手続申立て時点の主たる債務者甲社の債務は 百万円 (A 銀行 70 百万円 B 銀行 20 百万円 C 銀行 10 百万円 ) 甲社の経営者で保証人であるは 百万円 (A 銀行 70 百万円 B 銀行 20 百万円 C 銀行 10 百万円 ) であり この更生計画により 甲社の債務は 百万円から 50 百万円に減額されました 甲社の更生計画の認可が行われた後に 乙氏は 自身の保証債務 百万円について 本ガイドラインに基づき特定調停手続を利用して保証債務の整理を開始することとしました 保証債務の整理申立て時の乙氏の保有資産の価額は 21 百万円 ( 自宅 20 百万円 百万円 ) であり 弁済計画の内容は 次のとおりです 1 乙氏の残存資産については ガイドライン 7(3)3 に従い 破産手続における自由財産の範囲内であると考えられる 0.99 百万円とする 2 残りの 20.01 百万円 (21 百万円 -0.99 百万円 ) を返済に充当した上で 残余の保証債務 79.99 百万円を免除する ( 注 )A 銀行 B 銀行 C 銀行の間で 返済は応分とする 全金融債権者が乙氏の弁済計画に同意して保証債務の免除を実施しました この場合 乙氏の残存資産について破産手続における自由財産の範囲内として残余を返済に充当したものであり 残存保証債務の免除による乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 所得税法第 36 条に規定する収入の実現はなく 乙氏に所得税の課税関係は生じないものと解して差し支えありませんか また 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから全金融債権者において保証債権の放棄に係る寄附金課税 ( 法人税法 37 条 ) は生じないものと解して差し支えありませんか 50 債務免除 20.01 返済 50 79.99 保証免除 20.01 返済 自宅 20 現金 0.99 6

A3 Q3 のとおりに解して差し支えありません ( 理由 ) 1 主たる債務の整理が会社更生手続により行われる場合 会社更生法 203 条 2 項にて 更生計画の効力は保証人に影響を及ぼさないこととされているため 主たる債務である甲社の債務が 百万円から 50 百万円に減額されてもは 百万円のまま残存することになります 2 保証債務の整理開始前に会社更生手続の認可がなされている場合 全金融債権者は 百万円からの回収を期待し得る状況にありますが 本ガイドラインに従い破産手続における自由財産 0.99 百万円を乙氏の残存資産として 現実に履行される前の残存保証債務を免除したとしても 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 所得税法第 36 条に規定する収入の実現はなく 保証人に所得税の課税関係は生じないこととなります 3 また 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 全金融債権者において保証債権の放棄に係る寄附金課税 ( 法人税法 37 条 ) は生じないこととなります 7

Q4 主たる債務について既に法的整理( 清算型 ) が終結した保証債務の免除を 既存の私的整理手続により行った場合 ( 法的整理からのタイムラグなし ) 甲社は この数年間業績不振が続いており 債務超過の状態に陥ったことから 今般 特別清算開始の申立てをし 負債整理を行うこととなりました また 同時に 甲社の経営者で保証人であるについて 本ガイドラインに従い特定調停手続を利用して整理することとなりました 主たる債務者甲社の債務は 百万円 (A 銀行 70 百万円 B 銀行 20 百万円 C 銀行 10 百万円 ) は 百万円 (A 銀行 70 百万円 B 銀行 20 百万円 C 銀行 10 百万円 ) 保証債務の整理申立て時の乙氏の保有資産の価額は 21 百万円 ( 自宅 20 百万円 百万円 ) です 甲社の特別清算に係る協定及び乙氏の弁済計画の内容は次のとおりであり 全金融債権者は 本ガイドライン 7(3)3 に従い 保証債務の履行請求額の合理性について 甲社の債務とを一体として判断して を免除することとしています 甲社の特別清算に係る協定全金融債権者に対し総額 30 百万円の弁済をし 残額 70 百万円の債権を切り捨てる 乙氏の弁済計画 1 乙氏の残存資産については 本ガイドライン7(3)3に従い 破産手続における自由財産 (0.99 百万円 ) に加え 一定期間の生計費に相当する金額 (1.95 百万円 ) を含める ( 合計 2.94 百万円 ) 2 残りの 18.06 百万円 (21 百万円 -2.94 百万円 ) を返済に充当した上で 残余の保証債務 81.94 百万円を免除する ( 注 )A 銀行 B 銀行 C 銀行の間で 上記 2の返済を応分とする なお 保証債務の免除額は 全金融債権者が 本ガイドライン 7(3)3 に従い乙氏による甲社の早期の事業清算の着手の決断が甲社の保有資産等の劣化防止に寄与したことなどを総合的に勘案して 乙氏に自由財産に加え一定期間の生計費に相当する金額を乙氏の手元に残すことについて合意し 決定されたものです 甲社の特別清算手続終結後 全金融債権者が乙氏の弁済計画に同意して残存保証債務 (81.94 百万円 ) の免除を実施しました この場合 全金融債権者は 主たる債務と保証債務を一体として判断した上で 回収額の最大化を図ったものであり この保証債務の免除による乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 所得税法第 36 条に規定する収入の実現はなく 乙氏に所得税の課税関係は生じないものと解して差し支えありませんか また 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 全金融債権者において保証債権の放棄に係る寄附金課税 ( 法人税法 37 条 ) は生じないものと解して差し支えありませんか 8

債務免除 18.06 返済 自宅 20 70 30 81.94 保証免除 18.06 返済 現金 0.99+1.95 A4 Q4 のとおりに解して差し支えありません ( 理由 ) 1 主たる債務の整理が特別清算手続により行われる場合 会社法 571 条 2 項にて 協定の効力は保証人に影響を及ぼさないこととされているため 主たる債務者である甲社の債務が 百万円から 30 百万円に減額されてもは 百万円のまま残存することになります 2 全金融債権者は 本ガイドライン 7(3)3 に従い 主たる債務と保証債務を一体として判断して 乙氏による甲社の早期の事業清算の着手の決断が甲社の保有資産等の劣化防止に寄与したことなどを総合的に勘案して 乙氏に自由財産に加え一定期間の生計費に相当する金額を乙氏の手元に残し 残余の保証債務を免除したものであり 現実に履行される前の保証債務の免除による保証人に対する経済的利益の供与はないことから 所得税法第 36 条に規定する収入の実現はなく 乙氏に所得税の課税関係は生じないこととなります 3 また 乙氏に対する経済的利益の供与はないことから 全金融債権者において保証債権の放棄に係る寄附金課税 ( 法人税法 37 条 ) は生じないこととなります なお 本事例では主たる債務の整理と保証債務の整理が同時に行われることとなりますが 主たる債務について特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において 当該決定により切り捨てられることとなった金額 (51.94 百万円 =70 百万円 -18.06 百万円 ) については 全金融債権者において貸倒れとして損金の額に算入することができるものと考えられます ( 法人税基本通達 9-6-1(2)) 9