2016.9.2 平成 28 年度愛媛県病院薬剤師会プレアボイド講演会 薬局プレアボイドの 調査報告と事例紹介 愛媛大学医学部附属病院薬剤部安永大輝
プレアボイド事例共有システムの概要 各施設での取り組みを解析し 医薬経済効果を算出 ( 医療費に対する薬剤師の介入効果を用いて取り組みの効果を評価 ) 事務局 事例の蓄積 収集 発信
調査期間 薬局プレアボイド 452 件 保険薬局 24 施設 (2015 年 10 月 12 月 ) 健康相談 499 件 保険薬局 10 施設 (2015 年 4 月 12 月 )
結果 1 医療経済効果の推算 ( 薬局 ) 分類 1 件あたりの医療経済効果 ( 円 ) 件数医療経済効果 ( 円 ) 重大な副作用の回避または重篤化の回避 2,140,000 3 6,420,000 がん化学療法に対する介入 112,000 2 224,000 薬物相互作用回避 腎機能に応じた投与量推奨 注射薬配合変化防止 薬歴の聴取 その他の薬物療法提案 high-risk 84,000 3 252,000 normal 56,000 4 224,000 high-risk 84,000 0 0 normal 56,000 7 392,000 high-risk 84,000 0 0 normal 56,000 0 0 high-risk 84,000 0 0 normal 56,000 17 952,000 high-risk 84,000 27 2,268,000 normal 56,000 224 12,544,000 残薬解消介入 - 139 1,034,909 不足日数調節 0 26 0 合計 - 452 24,310,909
結果 2 処方箋 1 枚あたりの医療経済効果 ( 薬局 ) 医療経済効果 ( 処方日数調節と残薬解消介入を除いた値 ) 23,276,000 円 プレアボイド件数 ( 処方日数調節と残薬解消介入を除いた値 ) 287 件 プレアボイド件数 1 件あたりの医療経済効果 81,101 円 4.15% 8.57% 総応需処方箋枚数 80,644 枚 289 円 / 枚 疑義照会件数 3,350 件 6,948 円 / 件 プレアボイド件数 287 件 81,101 円 / 件 0.17% 薬剤削減費 :1,034,909 円から換算 残薬解消件数 139 件 0.36% 13 円 / 枚
結果 3 重大な副作用の回避または重篤化回避 ( 薬局 ) 1. 症状を聴取し 重要な基本的注意に基づいて重大な副作用を回避した事例在宅患者面談時 ラシックス錠 40mg を内服中の患者で 血圧が 100mmHg 以下かつ脱水を起こしているような症状があったため検査を依頼した結果 脱水と診断されてラシックスは中止となった 2. 検査値を確認し 重要な基本的注意に基づいて重大な副作用を回避した事例患者からの相談 バルトレックス錠 (500mg)3 錠 / 日で服用中の患者から 慢性腎炎だが大丈夫か? と電話相談があった 検査値を確認すると血清 Cr:6.5(mL/min) Ccr:7.4(mg/dl) であり ファムビル錠へ変更となった 3. 副作用歴を確認し 重大な副作用を回避した事例 副作用歴を確認 以前 オゼックス細粒で痙攣 ( 重大な副作用 ) を起こし入院した経験あり オゼックス細粒が処方されていたため パセトシン細粒へ変更となった
結果 4 検査値 ( 薬局 ) 合計に対する各項目の割合 (%) # 腎機能に応じた投与量推奨 ( 作用増強回避 )
腎機能に応じた投与量 の提案にこれらを使用し ています 腎機能別薬剤使用マニュアル 日本腎臓病薬物療法学会の投与量一覧
結果 5 1 その他の薬物療法提案 ( 薬局 ) n = 16 (6.4%) n = 10 (4.0%) n = 38 (15.1%) n = 37 (14.7%) n = 3 (1.2%) n = 9 (3.6%) n = 138 (55.0%) n = 251 誤転記 誤処方に対する介入処方もれの確認不要薬の中止副作用対策禁忌症例の処方回避他の諸症状に対する提案その他
原因 n = 6 (17.1%) 結果 5 2 不要薬の中止 ( 薬局 ) n = 4 (11.4%) n = 7 (20.0%) n = 18 (51.4%) 院内重複 ( 他科重複など ) 他院重複漫然投与その他 処方元が不明の 2 件を除く ネキシウムが処方されたが 他院でラベプラゾールを内服中であり ネキシウムが中止となった トラムセット配合錠を今までに合計 84 日分服用したが 全く効果を感じていない旨聴取したため 疑義照会を行い 患者には整形受診を勧めた 処方医より漸減後に処方中止との回答 3 錠 / 日 2 錠 / 日 1 錠 / 日 服用終了と患者に説明 チャンピックスの投与期間が満了となっていたため中止となった
残薬解消介入件数 :139 件 ( のべ 164 薬剤 ) 結果 6 残薬解消介入 ( 薬局 ) 上位の大半が自己調節して使用する薬剤 残薬解消介入 高齢者への服薬指導の充実 アドヒアランス向上 医療経済的側面だけではなく 患者の健康にも寄与している可能性が考えられた 対象薬剤件数眼科用剤 ( 目薬 ) 42 下剤 20 降圧薬 10 睡眠薬 9 鎮痛薬 抗炎症薬 9 止痒薬( 外用薬 ) 抗凝固薬 / 抗血小板薬 9 胃薬 8 脂質異常症治療薬 6 利尿剤 6 6 主として一般細菌に作用するもの
0 5 10 15 20 25 30 35 40 薬剤中止用法変更薬剤減量薬剤追加薬剤増量薬剤変更調剤法変更剤形変更服薬指導投与法変更日数変更その他結果 7 薬学的ケアの解析結果件数 ( 件 ) 患者 家族の訴えあり患者 家族の訴えなし
結果 8 健康相談 2015 年度 499 件 2015 年度重点項目肺炎球菌ワクチン インフルエンザワクチン接種推奨 493 件 歯科受診推奨 60 件 ( ワクチン接種と同時 ) 64 歳女性に対して白内障の初期症状を説明し 眼科受診を推奨した ニポラジンと市販の感冒薬との併用について相談あり 成分が重複するためどちらかを内服するよう説明した 本日朝の血圧が低かったため服用中の 2 種類の降圧薬の影響かと不安になった 担当医が糖尿病専門で循環器内科ではないため対応を相談された 低値が継続するようであれば担当医に連絡するよう指導した 低血糖による救急搬送の経験あり 自宅での血糖測定の相談あり 血糖測定器を購入された このように様々な事例を繰り返し報告し 共有することで 保険薬局薬剤師のかかりつけ機能強化につながる
患者のための薬局ビジョン ~ 門前 から かかりつけ そして 地域 へ ~ 健康サポート機能 健康サポート薬局 国民の病気の予防や健康サポートに貢献 要指導医薬品等を適切に選択できるような供給機能や助言の体制 健康相談受付 受診勧奨 関係機関紹介等 高度薬学管理機能 高度な薬学的管理ニーズへの対応 専門機関と連携し抗がん剤の副作用対応や抗 HIV 薬の選択などを支援等 服薬情報の一元的 継続的把握 副作用や効果の継続的な確認 多剤 重複投薬や相互作用の防止 ICT( 電子版お薬手帳等 ) を活用し 患者がかかる全ての医療機関の処方情報を把握 一般用医薬品等を含めた服薬情報を一元的 継続的に把握し 薬学的管理 指導 疑義照会 処方提案 副作用 服薬状況のフィードバック かかりつけ薬剤師 薬局 医療機関等との連携 医療情報連携ネットワークでの情報共有 24 時間対応 在宅対応 夜間 休日 在宅医療への対応 24 時間の対応 在宅患者への薬学的管理 服薬指導 地域の薬局 地区薬剤師会との連携のほか へき地等では 相談受付等に当たり地域包括支援センター等との連携も可能 医薬品等に関する相談や健康相談への対応 医療機関への受診勧奨 厚生労働省ホームページより引用 3
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薬局事例 1 腎機能に応じた投与量推奨 疾患 : 感冒 70 歳女性体重 :45kg 血清 Cr:1.0mg/dl 処方 : クラビット錠 500mg 1 錠分 1 朝食後 7 日分 処方せんにて腎機能を確認したところ Ccr31.0 (ml/min) にも関わらず クラビット錠が 500mg/ 日で処方されていた 20 Ccr<50 では 初日 500mg を 1 回 2 日目以降 250mg を 1 日 1 回の投与量が推奨されているため 担当医に減量を提案したところ 提案通り減量となった
薬局事例 2 不要薬の中止と残薬解消介入 疾患 : 両側性形成不全性股関節症 65 歳女性 処方 : トラムセット配合錠 3 錠分 3 毎食後 30 日分 プリンペラン錠 5mg 3 錠分 3 毎食後 30 日分 ルネスタ錠 2mg 1 錠分 1 眠前 30 日分 患者よりトラムセットによる吐き気は消失しており 吐き気止めは不要である旨聴取した また ルネスタは家に残薬があるので今回は 10 日分で良いとのこと 担当医に確認し プリンペランは中止 ルネスタは処方日数が変更となった
薬局事例 3 健康相談 疾患 : 白内障 56 歳男性処方 : カリーユニ点眼液 1 日 3 回右眼点眼 3 本 血圧計で測定した血圧が 180/110mmHg と高かったので患者より相談あり 降圧薬の服用はなく 頭痛も時々ある旨患者より聴取 患者に食事指導を行うとともに 医療機関 ( 内科 ) を受診するよう説明した
愛媛県病院薬剤師会今年度のテーマ 検査値とくすり 3 回シリーズで講演会を企画第 1 回検査値の読み方 ( 演者 : 検査技師の先生方 ) 第 2 回処方箋に印字されている検査値について 第 3 回同上 今後 様式 3( 薬物治療効果の向上 ) への対応 副作用回避に主眼を置いていた システム活用例を紹介 検査値を活用する 具体的な症例を交えた講演会
V : V 8 91 7 V 1 1TV - 7 17 6 11 5 V 1 17 9 1 11 5 1 1 1 1 11 5 1 1 1